JP2012196020A - 単独運転検出方法、及び単独運転検出装置 - Google Patents

単独運転検出方法、及び単独運転検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】インバータの単独運転の検出精度を向上させる。
【解決手段】単独運転検出装置では、分散型電源PVが連系する柱上変圧器TRの励磁電流iを推定する際に、高調波推定手段が、分散型電源が連系する系統の柱上変圧器の励磁電圧V、前記柱上変圧器の励磁電圧の周波数fとの比であるV/f比の値を基に、柱上変圧器TRの励磁電流の2成分である磁化電流ImLと鉄損電流Imrのそれぞれについて高調波成分(ImLk、Imrk)を推定する。すなわち、柱上変圧器TRの励磁回路の鉄損分についても非線形素子として扱う。そして、この推定した磁化電流と鉄損電流の高調波成分(ImLk、Imrk)を基に、励磁電流の高調波成分Imkの位相θmkを算出し、この算出した位相θmkに基づいて系統側に注入すべき高調波電流の位相を決定する。
【選択図】図7

Description

本発明は、例えば太陽光発電機、燃料電池発電機、ガスエンジン発電機、風力発電機や水力発電機等の分散型電源と系統電源(商用電源)間に配置され、前記分散型電源の系統連系運転中に、前記分散型電源の単独運転を検出する単独運転検出方法、及び該単独運転検出装置に関する。
近年では、一般電力需用家の家屋に設置した太陽電池などの分散型電源を、インバータを介して既存の電力系統(商用電力系統)と連系し、分散型電源の発電量が家屋の電力利用量を越えた場合の余剰電力は系統側に送電(逆潮流)して電力会社に買い取ってもらい、分散型電源の発電量が家屋の電力利用量を下回った場合の不足電力は系統側からの電力供給で賄うという系統連系システムの普及が進んでいる。
このような系統連系システムにおいては、系統側の事故停電時や作業停電時など、系統電源からの電力供給が停止した場合に、分散型電源によって配電線が逆充電されることに起因して感電や配電設備の破損などの可能性があるため、系統連系しているインバータの単独運転を検出した際に、系統とインバータとの連系を切断することで安全性を確保している。なお、インバータや当該インバータの制御装置、系統連系を切断するためのリレー装置など、分散型電源を系統連系するために必要な各種装置をオール・イン・ワンで収容するものをパワーコンディショナ(単独運転検出装置)と呼び、1台の分散型電源に対して1台のパワーコンディショナが家屋の所定位置に配置されることが一般的である。
インバータの単独運転検出方法は、受動的方式と能動的方式とに大別される。受動的方式とは、連系運転時から単独運転時に移行する際の連系点における電圧波形や位相、周波数などの変化を捉えることでインバータの単独運転を検出する方式である。単独運転検出方法には、例えば「電圧位相跳躍検出方式」や「周波数変化率検出方式」、「3次高調波電圧歪み急増検出方式」などが挙げられる。一方、能動的方式とは、積極的にインバータから系統側へ変動要素(無効電力、周波数等)を与えて、それら変動要素による連系点の変化(電圧波形や周波数等の変化)が単独運転時に大きく現れるようにすることでインバータの単独運転を検出する方式である。能動的方式には、例えば「周波数シフト方式」や「無効電力変動方式」、「高調波重畳方式」などが挙げられる。
なお、関連するインバータの単独運転検出方法が開示されている(例えば特許文献1を参照)。この特許文献1に記載のインバータの単独運転検出方法では、出力電力の効率を下げることなく、能動的方式によって単独運転を検出できるようにすることを目的としている。このために、電流制御型のパワーコンディショナにおいて、指令電流に高調波重畳手段からの高調波を重畳することにより、インバータの出力電流に高調波電流を一定の周期で重畳し、その周期に対応して高調波検出手段では、単独運転時に増加する系統電圧の高調波を検出し、それに基づいて単独運転を検出するようにしている。また、単独運転時に生じる高調波による電圧歪みを助長する方へ出力電流に正帰還する。すなわち、単独運転時に発生した高調波電圧の歪みをインバータの出力電流に正帰還し、歪み電圧を助長して単独運転を検出する。このように、系統電圧の高調波成分を正帰還させるので、単独運転時に系統電圧の高調波が増加すると、さらに高調波成分が増加することになり、単独運転の検出感度が向上する。これにより、インバータの出力電流に重畳させる高調波電流の割合を少なくするようにしている。
また、関連する単独運転検出方法及びその装置がある(特許文献2を参照)。この単独運転検出装置は、余計なコストをかけることなく、複数台の分散型電源を系統連系した場合の相互干渉を回避して、インバータの単独運転の検出感度の低下を防ぐことを目的としている。このために、柱上変圧器の磁気飽和特性に起因する励磁電流に同期する高調波電流を、インバータを介して系統側へ注入し、当該注入による系統側の変化に基づいて前記インバータの単独運転を検出する。
また、関連する単独運転検出方法及びその装置がある(特許文献3を参照)。この特許文献3に記載の単独運転検出装置は、余計なコストをかけることなく、複数台の分散型電源を系統連系した場合の相互干渉を回避して、インバータの単独運転の検出感度の低下を防ぐことを目的としている。このために、インバータの連系点電圧を用いて柱上変圧器の磁気飽和特性に起因する励磁電流を推定し、この励磁電流に同期する高調波電流を、インバータを介して系統側へ注入し、当該注入による系統側の変化に基づいてインバータの単独運転を検出する。
すなわち、特許文献2及び3に記載の単独運転検出装置の技術は、単独運転時に生じる高調波電圧の主な発生原因と考えられる柱上変圧器の励磁電流の高調波成分を予め推定し、インバータの出力電流に励磁電流の高調波成分と同期する位相を重畳させることで、特許文献1に記載の技術である正帰還処理を必要としない技術である。
特開平11−127542号公報 特開2010−213529号公報 特開2010−213530号公報
ところで、高低圧混触事故時の地絡検出を低圧側において0.1秒程度で高速に検出するには能動信号の相互干渉防止や不要解列の抑制が不可欠となる。特許文献1の技術は、集中連系時の能動信号の同期方法には言及がなく、注入タイミングによっては能動信号が相互干渉し、単独運転後の高調波電圧の検出が微量になって、正帰還作用が高速に動作しないことが考えられる。微量な歪み量でも検出できるように精度を高めると検出器のコスト増やCPU処理の負担増または不要解列が多発する恐れがあり、検出ロジックも複雑化する可能性がある。
また、特許文献2及び特許文献3の技術は、励磁電流の高調波特性の推定にあたり、励磁電流は磁化電流成分が支配的と見なして推定しており、任意の磁束(任意の電圧と周波数)における汎用的な推定方法ではなかった。そのため、任意の電圧と周波数において、能動信号を精度よく同期して注入することができなかった。
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、インバータ単独運転の検出精度を向上させることができる単独運転検出方法、及び単独運転検出装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の単独運転検出方法は、分散型電源の系統連系に用いられるインバータの単独運転検出方法であって、高調波推定手段が、前記分散型電源が連系する系統の柱上変圧器の励磁電圧Vと、前記柱上変圧器の励磁電圧の周波数fとの比であるV/f比の値を基に、前記柱上変圧器の励磁電流の2成分である磁化電流と鉄損電流のそれぞれについての所定次数の高調波成分を推定し、前記推定した所定次数の磁化電流と鉄損電流とを基に前記所定次数の励磁電流の位相を算出し、前記算出した位相に基づいて前記系統側に注入すべき所定次数の高調波電流の位相を決定することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出方法は、前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を磁束についての所定次数の第1のべき級数関数で定式化し、前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を磁束の1階微分についての所定次数の第2のべき級数関数で定式化し、前記第1及び第2のべき級数関数における各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することにより、前記第1及び第2のべき級数関数により前記磁化電流及び鉄損電流を算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出方法は、前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を所定次数の高調波による第1のフーリエ級数により定式化し、前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を所定次数の高調波による第2のフーリエ級数により定式化し、前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出し、前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出方法は、前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波鉄損電流実効値であるk次鉄損電流実効値が含まれるように定式化し、前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波磁化電流実効値であるk次磁化電流実効値が含まれるように定式化し、前記第1のフーリエ級数の各項に含まれる前記k次鉄損電流実効値のそれぞれを、前記V/f比についての第3のべき級数関数により定式化するとともに、前記第2のフーリエ級数の各項に含まれるk次磁化電流のそれぞれを、前記V/f比についての第4のべき級数関数により定式化し、前記第3のべき級数関数の各項に含まれる前記k鉄損電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出するとともに、前記第4のべき級数関数の各項に含まれる前記k次磁化電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出方法は、前記k次鉄損電流実効値についての前記第3のべき級数関数を、前記周波数fに依存しないヒステリシス項と、前記周波数fに比例する渦電流項とに分解して定式化するとともに、前記ヒステリシス項を前記V/f比についての第5のべき級数として定式化し、前記渦電流項を前記V/f比についての第6のべき級数関数と、前記周波数fに比例する係数との乗算式により定式化し、前記第5及び第6のべき級数関数の各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出方法は、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を、離散化された測定点の値に基づいて補完して近似値を算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出方法は、前記インバータから前記系統側に注入する所定の次数のk次高調波電流の注入量を所定時間、所定量変化させるとともに、当該k次高調波電流の注入量の変化の前後における前記系統連系点のk次高調波電圧とk次高調波電流とを検出し、前記k次高調波電流の注入量を変化させる前の前記k次高調波電圧及びk次高調波電流と、前記k次高調波電流の注入量を変化させた後の前記k次高調波電圧の変化量及びk次高調波電流の変化量と、予め求めた高圧側のk次高調波インピーダンスとを基に、k次高調波の励磁電流を算出し、当該算出したk次高調波の励磁電流を基に、前記V/f比を推定することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出方法は、前記インバータの出力電流と、予め求めておいた前記柱上変圧器の磁化電流及び鉄損電流と磁束との対応関係を示す前記第1及び第2のべき級数関数の式と、予め求めておいた単独運転時における負荷条件とを用いて構成される磁束に関する回路方程式を解くことにより、単独運転後の高調波電圧歪みを推定することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、分散型電源の系統連系に用いられるインバータの単独運転検出装置であって、前記分散型電源が連系する系統の柱上変圧器の励磁電圧Vと、前記柱上変圧器の励磁電圧Vの周波数fとの比であるV/f比を基に、前記柱上変圧器の励磁電流の2成分である磁化電流と鉄損電流のそれぞれについての所定次数の高調波成分を推定し、前記推定した所定次数の磁化電流と鉄損電流とを基に前記所定次数の励磁電流の位相を算出し、前記算出した位相に基づいて前記系統側に注入すべき所定次数の高調波電流の位相を決定する高調波推定手段と、前記高調波推定手段によって決定された前記位相に基づいて前記励磁電流に同期する所定次数の高調波電流が前記インバータから前記系統側に出力されるように前記インバータを制御する高調波制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段は、前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を磁束についての所定次数の第1のべき級数関数で定式化し、前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を磁束の1階微分についての所定次数の第2のべき級数関数で定式化し、前記第1及び第2のべき級数関数における各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することにより、前記第1及び第2のべき級数関数により前記磁化電流及び鉄損電流を算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段は、前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を所定次数の高調波による第1のフーリエ級数により定式化し、前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を所定次数の高調波による第2のフーリエ級数により定式化し、前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出し、前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段は、前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波鉄損電流実効値であるk次鉄損電流実効値が含まれるように定式化し、前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波磁化電流実効値であるk次磁化電流実効値が含まれるように定式化し、前記第1のフーリエ級数の各項に含まれる前記k次鉄損電流実効値のそれぞれを、前記V/f比についての第3のべき級数関数により定式化するとともに、前記第2のフーリエ級数の各項に含まれるk次磁化電流のそれぞれを、前記V/f比についての第4のべき級数関数により定式化し、前記第3のべき級数関数の各項に含まれる前記k鉄損電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出するとともに、前記第4のべき級数関数の各項に含まれる前記k次磁化電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段は、前記k次鉄損電流実効値についての前記第3のべき級数関数を、前記周波数fに依存しないヒステリシス項と、前記周波数fに比例する渦電流項とに分解して定式化するとともに、前記ヒステリシス項を前記V/f比についての第5のべき級数として定式化し、前記渦電流項を前記V/f比についての第6のべき級数関数と、前記周波数fに比例する係数との乗算式により定式化し、前記第5及び第6のべき級数関数の各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を、離散化された測定点の値に基づいて補完した近似値を算出することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段は、前記インバータから前記系統側に注入する所定の次数のk次高調波電流の注入量を所定時間、所定量変化させるとともに、当該k次高調波電流の注入量の変化の前後における前記系統連系点のk次高調波電圧とk次高調波電流とを検出し、前記k次高調波電流の注入量を変化させる前の前記k次高調波電圧及びk次高調波電流と、前記k次高調波電流の注入量を変化させた後の前記k次高調波電圧の変化量及びk次高調波電流の変化量と、予め求めた高圧側のk次高調波インピーダンスとを基に、k次高調波の励磁電流を算出し、当該算出したk次高調波の励磁電流を基に、前記V/f比を推定することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段は、前記インバータの出力電流と、予め求めておいた前記柱上変圧器の磁化電流及び鉄損電流と磁束との対応関係を示す前記第1及び第2のべき級数関数の式と、予め求めておいた単独運転時における負荷条件とを用いて構成される磁束に関する回路方程式を解くことにより、単独運転後の高調波電圧歪みを推定することを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段により推定された柱上変圧器の励磁電流の高次成分の位相に同期する高調波電流を、前記インバータを介して系統側へ注入し、当該注入による系統側の変化に基づいて前記インバータの単独運転を検出する単独運転判定手段を、備えることを特徴とする。
また、本発明の単独運転検出装置は、前記高調波推定手段は、前記インバータの出力電流と、予め求めておいた前記柱上変圧器の磁化電流及び鉄損電流と磁束との対応関係を示す前記第1及び第2のべき級数関数の式と、予め求めておいた単独運転時における負荷条件とを用いて構成される磁束に関する回路方程式を解くことにより、インバータの単独運転後の高調波電圧歪みを推定し、前記単独運転判定手段は、前記高調波推定手段により算出された前記単独運転後の前記高調波電圧歪みと、前記電圧検出手段により検出された連系点電圧に含まれるk次高調波電圧とを比較することにより、前記インバータの単独運転を検出することを特徴とする。
本発明によれば、柱上変圧器TRの励磁電流を推定する際に、分散型電源の系統の柱上変圧器の励磁電圧Vと周波数fの比であるV/f比の値を基に、柱上変圧器の励磁電流の2成分である磁化電流と鉄損電流のそれぞれについて高次成分(高調波成分)を推定する。そして、この推定した磁化電流と鉄損電流の高調波成分を基に、この励磁電流の高調波成分の位相を算出し、この算出した位相に基づいて系統側に注入すべき高調波電流の位相を決定する。
これにより、従来は定量化が困難であった高次鉄損電流成分を簡易に推定でき、能動信号(高調波電流)の注入位相をより精度良く決定することができることから、インバータ単独運転の検出精度を向上させることができる。
本発明の実施形態に係わる系統連系システムの概略構成図である。 能動信号の振幅の決定処理を示すフローチャートである。 単独運転判定部における単独運転判定処理のロジックを示す図である。 高次鉄損を考慮した単独運転時の回路方程式を算出するための等価回路を示す図である。 単独運転時の等価回路の回路方程式を解くために使用可能なロジック回路の一例を示す図である。 高次鉄損を考慮した変圧器の等価回路を示す図である。 フーリエ級数展開による励磁電流定式化の詳細な手順について説明するための図である。 k次高調波電流実効値及びべき級数関数の各項の係数を生成するために使用可能なロジック回路の第1の例を示す図である。 k次高調波電流実効値及びべき級数関数の各項の係数を生成するために使用可能なロジック回路の第2の例を示す図である。 系統連系時にパワーコンディショナPCSから変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する第1の方法について説明するための図である。 第1の方法により変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する処理の流れを示すフローチャートである。 系統連系時にパワーコンディショナPCSから柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する第2の方法について説明するための図である。 第2の方法により柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する処理の流れを示すフローチャートである。 第2の方法により柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する処理の流れを示すタイムチャートである。 /fから鉄心最大磁束密度Bへの換算表を示す図である。 低圧系統連系インバータの保護リレー標準整定値の例を示す図である。 励磁電流特性試験の試験回路を示す図である。 励磁電流特性試験の試験結果を示す図である。 変圧器の励磁電流特性を示す図である。 磁化電流実効値ImLkのV/f比依存性を示す図である。 鉄損電流実効値ImrkのV/f比依存性を示す図である。 磁化電流実効値ImLkのf依存性を示す図である。 k次高調波の鉄損電流実効値Imrkのf依存性を示す図である。 ヒステリシス損電流実効値Ihkと渦電流実効値IekのV/f比依存性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
本実施形態における単独運転検出装置は、柱上変圧器の鉄損電流の高調波成分を考慮することにより、励磁電流と同期する高調波能動信号の注入位相をより正確に決定することを主たる目的とし、さらには、単独運転後の高調波電圧歪みをより正確に推定し、単独運転をより高速・高精度に検出することを目的としている。以下、本発明の実施形態について説明するが、以下の説明では、最初に、系統連系システムの全体構成と、パワーコンディショナPCS(単独運転検出装置)の構成及び動作と、について説明し、その後に、本発明の特徴部分となる、鉄損電流を考慮した柱上変圧器TRの励磁電流の推定原理について説明する。
[系統連系システムの全体構成の説明]
図1は、本発明の実施形態に係わる系統連系システムの概略構成図である。この図1において、符号PSは系統電源、符号UWは超高圧送電線、符号STは配電用変圧器、符号CBは遮断器、符号HWは高圧配電線、符号HLは高圧側負荷、符号TR1及びTR2は柱上変圧器(「柱上変圧器TR」で総称される)、符号LW1及びLW2は低圧配電線(「低圧配電線LW」で総称される)、符号LL1及びLL2は低圧側負荷、符号PV1、PV2、及びPV3は分散型電源、符号PCS1、PCS2、及びPCS3はパワーコンディショナ(「パワーコンディショナPCS」で総称される)である。
系統電源PSは、例えば火力発電所や原子力発電所などの発電所に相当し、発電した電力を超高圧電力に昇圧して超高圧送電線UWを介して配電用変圧器STの1次側に供給する。超高圧送電線UWは、系統電源PSと配電用変圧器STとを接続し、系統電源PSから配電用変圧器STへ超高圧電力を送電するために用いられる送電線である。配電用変圧器STは、超高圧送電線UWを介して受電した超高圧電力を高圧電力(例えば6600V)に変換して遮断器CB及び高圧配電線HWを介して柱上変圧器TR1、変圧器TR2の1次側に供給する。遮断器CBは、系統事故発生時などに高圧電力の供給(配電)を停止させるための開閉装置である。これら配電用変圧器ST及び遮断器CBは、配電用変電所内に設置されているものである。高圧配電線HWは、配電用変電所(配電用変圧器ST及び遮断器CB)と柱上変圧器TR1及びTR2とを接続し、配電用変圧器STから柱上変圧器TR1及びTR2へ高圧電力を配電するために用いられる配電線である。また、高圧側負荷HLは、高圧配電線HWに接続された全ての負荷である。
柱上変圧器TR1は、高圧配電線HWを介して受電した高圧電力を一般電力需用家が利用可能な低圧電力(例えば100Vまたは200V)に変換して低圧配電線LW1を介して一般電力需用家の家屋(図示省略)に供給する。低圧配電線LW1は、柱上変圧器TR1と一般電力需用家の家屋とを接続し、柱上変圧器TR1から一般電力需用家の家屋へ低圧電力を配電するために用いられる配電線である。また、低圧側負荷LL1は、低圧配電線LW1に接続された全ての負荷である。柱上変圧器TR2についても同様であり、高圧配電線HWを介して受電した高圧電力を一般電力需用家が利用可能な低圧電力(例えば100Vまたは200V)に変換して低圧配電線LW2を介して一般電力需用家の家屋(図示省略)に供給する。また、低圧側負荷LL2は、低圧配電線LW2に接続された全ての負荷である。
以上の系統電源PS、超高圧送電線UW、配電用変圧器ST、遮断器CB、高圧配電線HW、柱上変圧器TR1、TR2、及び低圧配電線LW1、LW2によって既存の電力系統(商用電力系統)が構成されており、このような電力系統に対して分散型電源PV1、PV2、及びPV3が各々に対となって設けられたパワーコンディショナPCS1、パワーコンディショナPCS2、及びパワーコンディショナPCS3を介して連系されている。
分散型電源PV1は、例えば一般電力需用家の家屋に設置された太陽電池であり、太陽光発電によって得られた直流電力をパワーコンディショナPCS1に供給する。分散型電源PV2は、例えば分散型電源PV1とは異なる一般電力需用家の家屋に設置された太陽電池であり、太陽光発電によって得られた直流電力をパワーコンディショナPCS2に供給する。分散型電源PV3についても同様であり、太陽光発電によって得られた直流電力をパワーコンディショナPCS3に供給する。なお、これら分散型電源PV1、PV2、及びPV3は太陽電池に限らず、燃料電池などの他の分散型電源であっても良い。
パワーコンディショナPCS1は、分散型電源PV1に対となって一般電力需用家の家屋に設置されていると共に、低圧配電線LW1上の連系点P1において既存の電力系統と連系(接続)されている。詳細は後述するが、このパワーコンディショナPCS1は内部にインバータを備えており、実際にはこのインバータを介して分散型電源PV1は系統連系されている。つまり、分散型電源PV1によって発電された直流電力は、パワーコンディショナPCS1内のインバータによって交流電力に変換されて電力系統側(低圧配電線LW1)に送電(逆潮流)可能となっている。
パワーコンディショナPCS2は、分散型電源PV2に対となって一般電力需用家の家屋に設置されていると共に、低圧配電線LW1上の連系点P2において既存の電力系統と連系(接続)されている。このパワーコンディショナPCS2も同様に内部にインバータを備えており、実際にはこのインバータを介して分散型電源PV2は系統連系されている。つまり、分散型電源PV2によって発電された直流電力は、パワーコンディショナPCS2内のインバータによって交流電力に変換されて電力系統側(低圧配電線LW1)に送電(逆潮流)可能となっている。同様にして、パワーコンディショナPCS3は、分散型電源PV3に対となって一般電力需用家の家屋に設置されていると共に、低圧配電線LW2上の連系点P3において既存の電力系統と連系(接続)されている。このパワーコンディショナPCS3も同様に内部にインバータを備えており、実際にはこのインバータを介して分散型電源PV3は系統連系されている。つまり、分散型電源PV3によって発電された直流電力は、パワーコンディショナPCS3内のインバータによって交流電力に変換されて電力系統側(低圧配電線LW)に送電(逆潮流)可能となっている。
続いて、パワーコンディショナPCS1、パワーコンディショナPCS2及びパワーコンディショナPCS3の内部構成について詳細に説明する。なお、パワーコンディショナPCS1、パワーコンディショナPCS2、及びパワーコンディショナPCS3は内部構成が同一であるため、以下ではパワーコンディショナPCS1を代表的に用いて説明する。
[パワーコンディショナPCS1の構成と動作の説明]
(パワーコンディショナPCSの構成についての説明)
図1に示すように、パワーコンディショナPCS1は、連系スイッチ1、計測用変流器2、電圧計3、電流計4、高調波検出部5、高調波推定部7、高調波制御部8、インバータ9、及び単独運転判定部10を備えている。このようなパワーコンディショナPCS1は、単独運転検出装置として機能し、上記の電圧計3は電圧検出手段に相当し、高調波検出部5は高調波検出手段に相当し、高調波推定部7は高調波推定手段に相当し、高調波制御部8は高調波制御手段に相当し、また、単独運転判定部10は単独運転判定手段に相当する。
連系スイッチ1は、単独運転判定部10から入力される解列信号に応じて、インバータ9と電力系統(低圧配電線LW1)との連系(接続)を解列するスイッチである。ここで、「解列」とは、インバータ9と電力系統(低圧配電線LW)との電気的な接続を切断することを指す。計測用変流器2は、インバータ9の出力電流を計測可能な低電流に変流して電流計4に出力する。電圧計3は、低圧配電線LW1の連系点P1における電圧(以下、連系点電圧と称す)を検出して高調波検出部5、及び高調波推定部7に出力する。電流計4は、インバータ9の出力電流(具体的には計測用変流器2の出力電流;以下、パワーコンディショナPCS出力電流とも呼ぶ)を検出して高調波検出部5に出力する。
高調波検出部5は、電圧計3から入力される連系点電圧v(t)と、電流計4から入力されるパワーコンディショナPCS出力電流i(t)とを基に、連系点電圧v(t)に含まれる所定次数kの高調波(以下、k次高調波と称す)の振幅V及び位相θvkと、パワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅I及び位相θikを検出する。
ここで、検出すべきk次高調波の次数kは、後述するインバータ9を介して電力系統へ注入する能動信号(高調波電流)の次数kに応じて決定される。つまり、例えば、インバータ9を介して電力系統へ注入する能動信号(高調波電流)が3次及び5次高調波(k=3、5)である場合、高調波検出部5は、連系点電圧v(t)に含まれる3次及び5次高調波の振幅V(V、V)及び位相θvk(θv3、θv5)、パワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれる3次及び5次高調波の振幅I(I、I)及び位相θik(θi3、θi5)を検出する。
また、この高調波検出部5は、連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅V及び位相θvkの検出結果を単独運転判定部10に出力すると共に、パワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅I及び位相θikの検出結果を高調波制御部8に出力する。なお、連系点電圧v(t)及びパワーコンディショナPCS出力電流i(t)から、連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅Vk及び位相θvkと、パワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅I及び位相θikを検出する手段としては、デジタル信号処理を行う場合にはDFT(離散フーリエ変換)やデジタルフィルタを用いることができ、アナログ信号処理を行う場合にはアナログフィルタを用いることができる。
高調波推定部7は、電圧計3から入力される連系点電圧v(t)に基づいて、入力される連系点電圧v(t)の周波数fを抽出し、柱上変圧器の励磁電圧Vと周波数fとの比を示すV/f比を算出する。高調波推定部7は、このV/f比を基にして、柱上変圧器TRの磁気飽和特性に起因するk次高調波励磁電流(k次高調波磁化電流ImLkとk次高調波鉄損電流Imrk)を算出し、このk次高調波励磁電流の位相θmk及び振幅Imkを求める。そして、高調波推定部7は、これら位相θmk及び振幅Imkに基づいて、励磁電流Iに同期して電力系統側へ注入すべき能動信号(k次高調波電流)の位相及び振幅を決定する。また、この高調波推定部7は、能動信号を注入している状態において、単独運転発生時における励磁電圧Vと、この励磁電圧Vに含まれる高調波電圧歪みVmkを推定し、この推定した高調波電圧歪みVmkを単独運転判定部10に出力する。この高調波推定部7は、励磁電流推定部7a、単独運転時励磁電圧推定部7b、高調波抽出部7c及び能動信号決定部7dを備えている。なお、高調波推定部7における、励磁電流iのk次高調波電流(k次高調波磁化電流ImLkとk次高調波鉄損電流Imrk)の推定動作と、単独運転発生時におけるk次高調波電圧Vmkの推定動作の詳細については後述する。
励磁電流推定部7aは、電圧計3から入力される連系点電圧v(t)に基づいて、入力される連系点電圧v(t)の周波数fを抽出し、励磁電圧Vと周波数fとの比を示すV/f比の値を算出する。励磁電流推定部7aは、このV/f比の値を基に、後述する励磁電流の推定原理に基づき、k次高調波磁化電流ImLkと、k次高調波鉄損電流Imrkを推定する。ここで、例えば、能動信号として3次及び5次高調波電流を注入する場合、励磁電流推定部7aは、3次及び5次高調波の磁化電流ImLk及び鉄損電流Imrkを推定する。単独運転時励磁電圧推定部7bは、後述する単独運転後の等価回路を基に、能動信号が注入されている状態における柱上変圧器TRの励磁電圧Vを推定する。高調波抽出部7cは、単独運転時励磁電圧推定部7bにより推定された励磁電圧Vに含まれるk次高調波の振幅Vmkを抽出し、この振幅Vmkを単独運転判定部10に出力する。ここで、例えば、能動信号として3次及び5次高調波電流を注入する場合、高調波抽出部7cは、3次及び5次高調波の励磁電圧Vmkを抽出する。なお、励磁電圧Vに含まれるk次高調波Vmkを抽出する手段としては、デジタル信号処理を行う場合にはDFT(離散フーリエ変換)やデジタルフィルタを用いることができ、アナログ信号処理を行う場合にはアナログフィルタを用いることができる。
能動信号決定部7dは、高調波検出部5から入力されるパワーコンディショナPCS出力電流i(t)の基本波振幅Iの検出結果と、励磁電流推定部7aによって抽出された励磁電流iに含まれるk次高調波の位相θmk及び振幅Imkを基に、励磁電流iに同期して注入すべき能動信号(k次高調波電流)の位相(以下、同期位相と称す)及び振幅(以下、能動振幅と称す)を決定する。具体的には、この能動信号決定部7dは、励磁電流iに含まれるk次高調波の位相θmkと同期する位相θGkを系統側へ注入すべき同期位相として決定する。ここで励磁電流の向きを励磁回路から系統へ流出する方向を正とする場合はθGk=θmkであり,励磁電流の向きを系統から励磁回路へ流入する方向を正とする場合はθGk=(θmk+π)である。
また、能動信号決定部7dは、励磁電流iに含まれるk次高調波の振幅Imkが所定の初期振幅設定値Iak以下であった場合には初期振幅設定値Iakを電力系統側へ注入すべき能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Ik1として決定し、また、振幅Imkが初期振幅設定値Iakより大きい場合には振幅上限値を算出し、当該算出した振幅上限値を電力系統側へ注入すべき能動信号の能動振幅Ik1として決定する。なお、このような能動信号決定部7dにおいて実施される能動振幅Ik1の決定処理の詳細については後述する。能動信号決定部7dは、上記のように決定した同期位相θGk及び能動振幅Ik1を高調波電流指令値として高調波制御部8に出力する。
高調波制御部8は、能動信号決定部7dから入力される高調波電流指令値(電力系統側へ注入すべき能動信号(k次高調波電流))の同期位相θGk及び能動振幅(Ik1)と、パワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅I及び位相θikの検出結果を基に、励磁電流iに同期する能動信号が電力系統側へ注入されるようにインバータ9を制御するための制御信号、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成してインバータ9に出力する。
具体的には、高調波制御部8は、同期位相θGk及び能動振幅Ik1を有するk次高調波電流がインバータ9から出力されるようにPWM信号を生成するが、この時、連系点電圧v(t)に含まれる基本波の位相θv1を基準としてk次高調波電流の位相同期制御を行うと共に、パワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅I及び位相θikが能動振幅Ik1及び同期位相θGkに一致するようにフィードバック制御を行う。なお、この高調波制御部8は、PWM信号の生成方式として正弦波・三角波比較方式を用い、正弦波の振幅及び周波数を変化させることで所望のPWM信号を生成する。
インバータ9は、分散型電源PV1から供給された直流電力を上記PWM信号に基づいてスイッチングすることにより交流電力に変換して電力系統(低圧配電線LW)に出力する。つまり、このインバータ9の出力電流には励磁電流iに同期するk次高調波電流が重畳することになる。単独運転判定部10は、高調波検出部5から入力される連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅V及び位相θvkの検出結果と、高調波抽出部7cから入力される高調波電圧歪みVmkの推定結果とに基づいて、インバータ9の単独運転が発生したか否かを判定し、単独運転が発生したと判定した場合に連系スイッチ1をオフにする(解列する)ための解列信号を連系スイッチ1に出力する。なお、このような単独運転判定部10において実施される単独運転判定処理の詳細については後述する。
(パワーコンディショナPCS1の動作についての説明)
上記パワーコンディショナPCS1の構成により、励磁電流推定部7aを設けることにより、後述する推定原理に基づき励磁電流iの高次成分(より正確にはk次高調波磁化電流imLとk次高調波鉄損電流imr)を推定することができる。そして、励磁電流推定部7aは、励磁電流iに含まれるk次高調波(例えば3次及び5次高調波)の位相θmk及び振幅Imkを抽出する。
そして、能動信号決定部7dは、励磁電流推定部7aにより抽出された励磁電流iに含まれるk次高調波の位相θmk及び振幅Imkを基に、励磁電流iに同期して注入すべき能動信号(k次高調波電流)の位相(同期位相)及び振幅(能動振幅)を決定する。ここで、能動信号決定部7dは、励磁電流iに含まれるk次高調波の位相θmkと同期する位相θGkを系統側へ注入すべき同期位相として決定する。
また、能動信号決定部7dは、図2に示すようなフローチャートに従って能動振幅を決定する。この図2に示すように、能動信号決定部7dは、まず、初期振幅設定値IakをIak=d×Iによって算出する(ステップS11)。ここで、dkは係数であり、例えば0.02〜0.03の範囲に設定されている。また、IはパワーコンディショナPCS出力電流i(t)の基本波振幅(k=1)である。
続いて、能動信号決定部7dは、励磁電流iに含まれるk次高調波の振幅Imkが初期振幅設定値Iak以下か否かを判定する(ステップS12)。このステップS12において、「Yes」の場合、つまりIak≧Imkであった場合、能動信号決定部7dは、初期振幅設定値Iakを能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Ik1として決定する(ステップS13)。つまり、Iak≧Imkの場合には、単独運転時において連系点P1に発生する高調波電圧の増幅効果を最大限に得るために、能動信号の注入量を極力大きくすることが望ましいので、初期振幅設定値Iakを能動振幅Ik1として決定する。
一方、ステップS12において、「No」の場合、つまりIak<Imkであった場合、能動信号決定部7dは、振幅上限値をdmax×Iによって算出し、この振幅上限値を能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Ik1として決定する(ステップS14)。ここで、dmaxは上限係数であり、例えば0.03に設定されている。つまり、Iak<Imkの場合には、電力品質の観点から、振幅値の大きな高次数高調波電流を注入することは好ましくないため、能動振幅Ik1を振幅上限値とすることでリミッタをかける。
能動信号決定部7dは、上述した能動振幅Ik1の決定処理を、例えば3次(k=3)及び5次(k=5)について行うことにより、励磁電流iに同期して注入すべき能動信号(3次及び5次高調波電流)の能動振幅Ik1(I31、I51)を決定し、このように決定した能動振幅Ik1と同期位相θGkとを高調波電流指令値として高調波制御部8に出力する。
そして、高調波制御部8は、能動信号決定部7dから入力される高調波電流指令値と、高調波検出部5から入力されるパワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅I及び位相θikの検出結果を基に、励磁電流に同期する能動信号(k次高調波電流)が電力系統側へ注入されるようにインバータ9を制御するためのPWM信号を生成してインバータ9に出力する。
具体的には、高調波制御部8は、同期位相θGk及び能動振幅Ik1を有するk次高調波電流がインバータ9から出力されるようにPWM信号を生成するが、この時、連系点電圧に含まれる基本波の位相θv1を基準としてk次高調波電流の位相同期制御を行うと共に、パワーコンディショナPCS出力電流に含まれるk次高調波の振幅I及び位相θikが能動振幅Ik1及び同期位相θGkにそれぞれ一致するようにフィードバック制御を行う。このような高調波制御部8の制御により、インバータ9の出力電流には柱上変圧器TRの励磁電流iに同期するk次高調波電流が重畳することになり、つまり、励磁電流iに同期する能動信号が電力系統側(低圧配電線LW)に注入されることになる。
以上が柱上変圧器TRの励磁電流imに同期する能動信号(高調波電流)を、インバータ9を介して電力系統側(低圧配電線LW)に注入するまでの動作説明であり、以下では、能動信号の注入に起因して連系点P1に発生する高調波電圧の変化を基にインバータ9の単独運転を判定する動作について説明する。
(単独運転判定部10の動作の説明)
単独運転判定部10は、高調波検出部5から入力される連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅V及び位相θvkの検出結果と、高調波推定部7内の高調波抽出部7cから入力される単独運転後のk次高調波電圧Vの推定結果に基づいて、インバータ9の単独運転が発生したか否かを判定する。
図3は、単独運転判定処理のロジックを示す図である。この図3において、ΔVは連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅Vの変化量であり、例えば下記(1)式で表される。なお、下記(1)式において、Vk_baseは過去100サイクルのk次電圧歪み(k次高調波の振幅Vk)の平均値であり、Vk_nowは現在のk次電圧歪みであり、V1baseは基本波標準電圧(100Vまたは200V)である。
そして、k次高調波電圧VがVkth以上であるか否かを判定する。また、ΔVの絶対値がΔVkth以上であるか否かを判定する。なお、Vkth、ΔVkthは予め所定の値に設定された閾値である。
また、図3において、Δθvkは連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波電圧の位相θvkの変化量であり、例えば下記(2)式で表される。なお、下記(2)式において、θvk_baseは過去100サイクルのk次高調波電圧位相(k次高調波の位相θvk)の平均値であり、θvk_nowは現在のk次高調波電圧の位相である。
そして、Δθvkの絶対値が、Δθvkth以上であるか否かを判定する。なお、Δθvkthは予め所定の値に設定された閾値である。
Figure 2012196020
この図3に示す構成により、単独運転判定処理では、V≧Vkth、|ΔV|≧ΔVkth、|Δθvk|≧Δθvkth、の3つの条件の内、少なくとも1つが成立した場合にOR回路21から「論理1」がタイマ22に出力され、タイマ22はその出力状態「論理1」が規定時間継続した場合に、インバータ9の単独運転が発生したとの判定結果を出力する。
単独運転判定部10は、上記のような単独運転判定処理を用いてインバータ9の単独運転発生を判定すると、連系スイッチ1をオフにする(解列する)ための解列信号を連系スイッチ1に出力する。これにより、インバータ9は電力系統から切断されるため、インバータ9の単独運転による電力系統の逆充電を防止し、安全性を確保することができる。
[単独運転時の等価回路と高調波電圧の推定動作についての説明]
前述したように、パワーコンディショナPCS内の高調波推定部7は、単独運転時励磁電圧推定部7bにより、単独運転後の柱上変圧器TRの励磁電圧Vを推定する。さらに、高調波推定部7は、高調波抽出部7cにより、励磁電圧Vから高調電圧歪み(k次高調波電圧Vmk)を推定し、この推定したk次高調波電圧Vmkを単独運転判定部10に出力する。単独運転判定部10は、高調波抽出部7cから入力されたk次高調波電圧Vmkと、連系点電圧v(t)から検出したk次高調波電圧Vと比較することにより、単独運転の発生を検出する。ここでは、単独運転時励磁電圧推定部7bにおける単独運転後の高調波電圧歪み(k次高調波電圧Vmk)の推定動作について説明する。
図4は、図1に示す系統連系システムにおいて、単独運転時(CB開放時)の回路方程式を算出するための等価回路を示す図であり、高次鉄損を考慮した単独運転時の回路方程式(励磁電流の瞬時値推定方程式)を算出するための方程式である。この図に示す等価回路は、インバータ9の単独運転後、つまり遮断器CBが開放されて配電用変圧器STからの電力供給が停止した場合における等価回路図であり、6.6kV系の配電線に柱上変圧器TR(例えば、6.6kV/200V)が接続され、この柱上変圧器TRの低圧側にパワーコンディショナPCS1から電流i(t)を注入する場合の等価回路である。なお、図4では、説明の便宜上、パワーコンディショナPCS2、柱上変圧器TR2、及びパワーコンディショナPCS3を省略している。
図4において、LT1は柱上変圧器TRの1次漏れインダクタンス、LT2は柱上変圧器TRの2次漏れインダクタンスであり、また柱上変圧器TRの励磁回路のLは励磁インダクタンス(励磁サセプタンス)であり、Rは鉄損分の抵抗(励磁コンダクタンス)である。これらの励磁インダクタンス(励磁サセプタンス)及び抵抗(励磁コンダクタンス)は、非線形素子として扱われる。そして、この励磁回路(インダクタンスL及び鉄損分の抵抗R)に流れる電流が励磁電流i(t)で示されている。また、Lsは上位系統(6.6kV高圧側系統)の線路インダクタンス、CBは遮断器(ここでは解列状態にある遮断器)を示している。従って、高圧側系統(6.6kV無限大母線)から供給される有効電力Pの変動量ΔP及び無効電力の変動量ΔQは、それそれ「0(ゼロ)」となる(ΔP=0、ΔQ=0)。
また、柱上変圧器TRの二次側(低圧側)に接続され電力の供給を受ける負荷を、抵抗RとインダクタンスLとコンデンサCとで示しており、この抵抗Rに流れる電流をi、インダクタンスLに流れる電流をi、コンデンサCに流れる電流をiでそれぞれ示している。また、パワーコンディショナPCS1(インバータ9)を定電流源として近似し、パワーコンディショナPCS1から連系点P1に流れ込む電流(パワーコンディショナPCS出力電流)をi(t)とし、連系点P1の電圧(連系点電圧)をv(t)としている。
ここで、図19(B)に示した柱上変圧器TRのφ−i特性曲線から分かるように、励磁電流iは柱上変圧器TRの磁気飽和特性によって磁束φに対して非線形な特性となる。そして、図4に示す等価回路により鉄損を考慮した単独運転時の回路方程式として、下記(3)式が得られる。
Figure 2012196020
上記(3)式は、下記(4)〜(11)式を基にして導出されるものであり、柱上変圧器TRの磁束φに関するDuffingの非線形微分方程式となる。なお、(5)式に示すように、励磁回路の電圧V、負荷側のコンデンサCの電圧V、負荷側のインダクタンスLの電圧V、及び負荷側の抵抗Rの電圧Vが等しいものとしている。すなわち、パワーコンディショナPCS1と柱上変圧器TRとの間では電圧降下がないものとしている。
そして、(3)式においては、下記(11)式に示すように、磁化電流imLを、磁束φについてのべき級数関数(磁束φを変数とするべき級数関数)により定義している。なお、この(11)式において、係数a、a、a、・・・はべき級数関数の各項の係数である。この磁化電流imLの非線形性については、前述の特許文献2及び3で開示された単独運転検出装置においても考慮されているが、本実施形態では、さらに、鉄損電流の非線形性についても考慮している。
すなわち、上記の(3)式において、下記(10)式に示すように鉄損電流imrの非線形を考慮し、この鉄損電流imrを、磁束φの一階微分(dφ/dt)についてのべき級数関数(dφ/dtを変数とするべき級数関数)により定義している。
なお、この(10)式において、係数b、b、b、・・・はべき級数関数の各項の係数である。また、べき級数関数の各項の係数「a、a、a、・・・・」と「b、b、b、・・・・」の決定方法については、後述する「柱上変圧器TRの励磁電流の推定原理についての説明」の項で詳細に説明するが、ここでは、べき級数関数の各項の係数「a、a、a、・・・・」と「b、b、b、・・・・」が、励磁電流推定部7aにより既に決定されたものとする。
なお、(11)式に示す磁束φについてのべき級数関数(磁束φを変数とするべき級数関数)が、本発明における第1のべき級数関数に相当し、(10)式に示す磁束φの一階微分(dφ/dt)についてのべき級数関数(dφ/dtを変数とするべき級数関数)が、本発明における第2のべき級数関数に相当する。
そして、(3)式に示す回路方程式、すなわち、鉄損電流imrを考慮した回路方程式を解くことにより、単独運転後の高調波電圧歪み(k次高調波電圧Vmk)を高精度で求める(推定する)ことができる。
Figure 2012196020
そして、上記(3)式を変形することにより、下記(12)式が得られる。
Figure 2012196020
図5は、上記(12)式の回路方程式を解くために使用可能なロジック回路の一例を示す図であり、このロジック回路は、単独運転時励磁電圧推定部7bに含まれるものである。この図5に示すロジック回路は、インバータ単独運転時において、パワーコンディショナPCS1から系統連系点に、基本波電流Isin(ωt)を注入するとともに、能動信号として、3次高調波電流Isin(3ωt+θ)と、5次高調波電流Isin(5ωt+θ)を注入している状態において、励磁電圧Vと、磁束φと、鉄損電流imrと、磁化電流imLとを推定する例である。これにより、励磁電圧Vを推定するとともに、この励磁電圧Vから高調波電圧歪み(k次高調波電圧Vmk)を抽出することができる。単独運転判定部10は、この高調波電圧歪みVmkと、実際に検出した高調波歪みの検出値とを比較することにより、単独運転の発生を高精度で検出する。
この図5に示すように、このロジック回路は、加減算器101、乗算器102、積分器103及び104、乗算器105、106、107、108、109、110、111、加算器112、113、113、114、115、及び乗算器116から構成されている。
加減算器101は、パワーコンディショナPCS出力電流i(t)に含まれる基本波電流Isinωtと、3次高調波電流Isin(3ωt+θ)と、5次高調波電流Isin(5ωt+θ)と、を加算すると共に、この加算値から乗算器105の出力信号と加算器115の出力信号とを減算し、その計算結果を乗算器102に出力する。この乗算器102は、加減算器101の出力信号に係数(1/nC)を乗算し、信号(dφ/dt)を積分器103に出力する。積分器103は、乗算器102の計算結果(dφ/dt)を1次積分し、その積分値(dφ/dt)を積分器104、並びに、乗算器105、106及び111に出力する。この積分器103から出力される積分値(dφ/dt)に対して乗算器106により係数n(巻線数)を乗算することにより、柱上変圧器TRにおける励磁電圧V(≒連系点P1における基本波電圧v(t))を求めることができる。
積分器104は、積分器103の積分値(dφ/dt)を1次積分し、その積分値(φ)を乗算器109、110及び111に出力する。この積分器104から出力される積分値から磁束φを求めることができる。また、乗算器105は、積分器103の積分値(dφ/dt)に定数(n/R)を乗算し、その計算結果「(n/R)×(dφ/dt)」を加減算器101に出力する。乗算器107は、積分器103の積分値(dφ/dt)を3乗し、その計算結果(dφ/dt)を乗算器111に出力する。乗算器108は、積分器103の積分値(dφ/dt)を5乗し、その計算結果(dφ/dt)を乗算器111に出力する。乗算器109は、積分器104の積分値(φ)を3乗し、その計算結果(φ)を乗算器111に出力する。乗算器110は、積分器104の積分値(φ)を5乗し、その計算結果(φ)を乗算器111に出力する。
乗算器111は、積分器103から出力される積分値(dφ/dt)に係数b1を乗算し、その計算結果「b・(dφ/dt)」を加算器112に出力する。また、乗算器111は、乗算器107の計算結果「(dφ/dt)」に係数bを乗算し、その計算結果「b・(dφ/dt)」を加算器112に出力する。また、乗算器111は、乗算器108の計算結果「(dφ/dt)」に係数bを乗算し、その計算結果「b・(dφ/dt)」を加算器112に出力する。これにより、加算器112により鉄損電流imrを算出することができる。なお、係数「b、b、b」は、後述するように励磁電流推定部7aにより推定された値である。
また、乗算器111は、積分器104から出力される積分値(φ)に係数aを乗算し、その計算結果「a・φ」を加算器113に出力する。また、乗算器111は、乗算器109の計算結果(φ)に係数aを乗算し、その計算結果「a・φ」を加算器113に出力する。また、乗算器111は、乗算器110の計算結果(φ)に係数aを乗算し、その計算結果「a・φ」を加算器113に出力する。これにより、加算器113により磁化電流imLを算出することができる。なお、係数「a、a、a」は、後述するように励磁電流推定部7aにより推定された値である。
加算器114は、加算器112から出力される鉄損電流imrと、加算器113から出力される磁化電流imLとを加算し、励磁電流iを算出する。また、乗算器116は、積分器104から出力される積分値(φ)に、係数(n/L)を乗算し、負荷側に流れる電流iを算出する。加算器115は、加算器114から出力される励磁電流iと、乗算器116から出力される負荷電流iとを加算し、計算結果(i+i)を、加減算器101に出力する。
以上のようなロジック回路を単独運転時励磁電圧推定部7bに設けることにより、鉄損電流を考慮した単独運転時の等価回路により、この単独運転時励磁電圧推定部7bにおいて、励磁電圧Vと、磁束φと、鉄損電流imrと、磁化電流imLとを精度よく推定することができる。
以上が本実施形態における系統連系システムの構成に関する説明であるが、上述したように、パワーコンディショナPCS1は、柱上変圧器TRの磁気飽和特性に起因するk次高調波励磁電流imkを高調波推定部7により推定し、このk次高調波励磁電流imkに同期する高調波電流を、インバータ9を介して電力系統側へ注入し、当該注入による連系点P1における連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波電圧及び電流の変化を基にインバータ9の単独運転を検出する機能を備えている。パワーコンディショナPCS2、パワーコンディショナPCS3についても同様である。
[柱上変圧器TRの励磁電流の推定原理についての説明]
(概要)
次に、本発明の単独運転検出装置において特徴部分となる柱上変圧器TRの励磁電流の推定原理について説明する。最初に、本実施形態における柱上変圧器TRの励磁電流の推定原理の概要について説明する。
第1に、本実施形態の単独運転検出装置では、柱上変圧器TRの励磁電流を推定する場合に、実験的知見に基づき、分散型電源が連系する任意の柱上変圧器の励磁電圧Vと任意の周波数fのV/f比(V/f比例磁束)から、同一低圧系統の柱上変圧器の励磁電流において、その磁化電流と鉄損電流の高次成分を精度良く推定できることを示す。この磁化電流成分と鉄損電流の高次成分を精度良く推定することにより、励磁電流と同期する高調波能動信号の注入位相をより正確に決定することができる。
例えば、図1に示す系統連系システムにおいて、後述する図8または図9に示す生成ブロック図(ロジック回路)を用いて、磁化電流の高次成分(実効値ImLk)と鉄損電流の高次成分(実効値Imrk)を精度良く推定することができる。
第2に、本実施形態の単独運転検出装置では、柱上変圧器の励磁電流の特性化にあたって、この励磁電流の2成分である磁化電流imLと鉄損電流imrとを等価回路と式で定義し、実験によりその特性式を求める。そして、磁化電流imLを磁束φについてのべき級数関数、鉄損電流imrを磁束φの1階微分(dφ/dt)についてのべき級数関数で展開した場合、その各項の係数も磁束φの関数として統一的に記述できることを示す。
例えば、図6に示す高次鉄損を考慮した柱上変圧器の等価回路において、鉄損電流imrを、前述の(10)式に示す磁束φの一階微分(dφ/dt)についてのべき級数関数(第2のべき級数関数)で定式化を行うことができる。また、磁化電流imLを、前述の(11)式に示す磁束φについてのべき級数関数(第1のべき級数関数)で定式化を行うことができる。この定式化を行う際に、図20に示す磁化電流実効値ImLkのV/f比依存性の特性曲線から、磁化電流imLのべき級数関数の各項の係数a、a、aを決定することができる。また、図21に示す鉄損電流実効値ImrkのV/f比依存性の特性曲線から、鉄損電流imrのべき級関数の各項の係数b、b、bを決定することができる。
第3に、本実施形態の単独運転検出装置では、さらに鉄損電流の各次数成分について、周波数fに比例する渦電流項と、周波数fに依存しないヒステリシス項に分解して表記することができることも示し、より正確に鉄損電流を定義して推定が容易になることを示す。
例えば、励磁電流iを、後述する図7の(13−1)式に示すように、鉄損電流成分imr(t)と、磁化電流成分imL(t)のそれぞれをフーリエ級数展開により定式化した場合に、磁化電流imL(t)の各項の係数に含まれるk次磁化電流実効値ImLkを(13−2)式で示すV/f比についてのべき級数関数(第4のべき級数関数)で定式化でき、また、鉄損電流imr(t)の各項の係数に含まれるk次鉄損電流実効値Imrkを(13−3)式で示すV/f比についてのべき級数関数(第3のべき級数関数)で定式化できることを示す。
さらに、図7の(13−4)式に示すように、k次鉄損電流実効値Imrkをk次ヒステリシス損電流Ihkとk次渦電流Iekの2成分に分離し特性化できることを示す。そして、k次渦電流実効値Iekを(13−5)式のべき級数関数(第6のべき級数関数)で定式化し、k次ヒステリシス電流実効値Ihkを(13−6)式のべき級数関数(第5のべき級数関数)で定式化できることを示す。この場合に、(13−5)式における係数Cekjと、(13−6)式における係数Chkjとを、図23に示すk次鉄損電流Imrkのf依存性(周波数依存性)の特性曲線と、図24に示すヒステリシス損電流Ihkと渦電流IekのV/f比依存性の特性曲線とを基にして決めることができることを示す。
第4に、本実施形態の単独運転検出装置では、励磁電流のk次電流実効値を決める方法として変動する電圧Vと周波数fに対して(13−2)式〜(13−8)式のようなべき級数関数式で求めることもできるが、より簡易に求めるため離散化された打点の多折れ線グラフから直線補間することにより簡易に決定することもできることを示す。
例えば、図20に示す磁化電流実効値ImLkのV/f比依存性のデータの測定点(○印で示す点)を直線で結ぶことにより多折れ線のグラフを作成し、この多折れ線のグラフから直線補間して、任意のV/fの値におけるk次磁化電流実効値ImLkの値を決定することができる。また、図24に示すヒステリシス損電流実効値Ihkと渦電流実効値IekのV/f比依存性データの測定点(○印で示す点)を直線で結ぶことにより多折れ線のグラフを作成し、この多折れ線のグラフから直線補間して、任意のV/fの値におけるk次ヒステリシス損電流実効値Ihkとk次渦電流実効値Iekの値を決定することができる。なお、多折れ線のグラフからの直線補間の演算処理は、2点間を結ぶ直線の式(線形式)により算出することができる。図24に示されるように、直線補間により近似しても、算出される近似値において、補間処理による誤差が少ない結果を得ることができる。それゆえ、記憶させておくデータも、数点の測定点の測定データだけよく、少ないデータ数であっても十分な精度を得ることができる。
また、べき級数の演算処理に代え、多折れ線のグラフからの直線補間の演算処理を行うことにより、演算負荷を軽減することが可能となる。
第5に、本実施形態の単独運転検出装置では、柱上変圧器TRとインバータの間の線路インピーダンスや潮流が大きいために線路電圧降下の影響が無視できない場合は、V/f比が連系点と励磁回路部で異なることが考えられ,推定位相が実際の位相とずれていくことがある。このような場合は,特許文献1に記載の技術同様、単独運転後に正帰還処理を行うか、あるいは予め線路電圧降下を予測し補正することで注入位相を微調整できるようにすることができることを示す。
例えば、後述する図10(C)に示す、系統連系時にパワーコンディショナPCSから変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定するための等価回路において、図11に示すフローチャートに示す処理手順を実行することにより、系統連系時にパワーコンディショナPCSから柱上変圧器TRの励磁電圧V、励磁電流Iを推定することができる。
このように、本発明の単独運転検出装置により、従来は定量化が困難であった高次鉄損電流成分を簡易に推定でき、能動信号の注入位相をより精度良く決定することができる。これにより、単独運転後の高調波電圧歪みを最大限に助長することができるとともに、単独運転検出装置において、単独運転の検出の精度の向上を図ることができる。
以下、本実施形態の単独運転検出装置における柱上変圧器TRの励磁電流の推定原理について詳細に説明する。なお、以下の説明において、符号‘↑’は、この符号‘↑’の後に続く変数がベクトル量(ベクトル表記される変数)であることを示している。
(変圧器の励磁電流特性についての説明)
まず、一般的な変圧器の励磁電流特性について説明する。図17は、変圧器の励磁電流を計測するための試験回路を示す図である。この図に示す試験回路は、柱上変圧器を柱上変圧器模擬リアクトルにより模擬したものである。そして、この試験回路において、この柱上変圧器模擬リアクトルの巻線の両端に交流電源(単相交流、2W(ワイヤ))から200V/50Hzの交流電圧v(t)を印加し、電流・電圧測定器により、柱上変圧器模擬リアクトルの巻線の電圧v(t)と、柱上変圧器模擬リアクトルに流れる励磁電流i(t)とを計測する。
図18は、上記の試験回路における実験結果の例を示す図である。この図の図18(B)に示すように、柱上変圧器模擬リアクトルには、1次高調波電流(1次電流、基本波:0.3623[A])と、3次高調波電流(3次電流、基本波に対して29.3%)と、5次高調波電流(5次電流、基本波に対して13.0%)と、7次高調波電流(7次電流、基本波に対して5.8%)と、9次高調波電流(9次電流、基本波に対して3.1%)とが流れる。
一方、図18(A)に示すように、励磁電圧V(t)に対する高調波成分は、3次高調波電圧(3次電圧)が0.02%、5次高調波電圧(5次電圧)が0.01%、7次高調波電圧(7次電圧)が0.0%、9次高調波電圧(9次電圧)が0.005%となり、高調波電圧成分は、基本波に対して極めて少ない。従って、後述するように変圧器の等価回路として、励磁電圧の基本波成分に対する励磁特性を反映するモデルを用いることにより、分散型電源からみた場合において、この励磁特性を推定することが可能となる。
また、図19は、励磁電流特性について説明するための図である。この図19に示す励磁電流特性は、図17に示す試験回路により、柱上変圧器模擬リアクトルに200V、50Hzを印加した場合の測定結果である。
この図において、図19(A)は、横軸に時間をとり、2次側電圧V、磁束φ、励磁電流i、磁化電流imL、及び鉄損電流imrを並べて示した図である。一般的に、磁化電流imLと鉄損電流imrとを合成した電流を励磁電流i(=imL+imr)と呼び、図19(A)に示すように、励磁電流I(=imL+imr)の波形は高調波歪みを含んだ三角波状の波形となる。また、磁化電流imLは、磁束φと同位相の波形となり、高調波歪みを含んだ三角波状の波形となる。また、鉄損電流imrは、電圧Vと同位相となる台形波状の波形となる。
また、図19(B)は、横軸に励磁電流i及び磁化電流imLを取り、縦軸に磁束φを取り、磁化曲線(φ−imLカーブ)と、ヒステリシスループ磁化曲線(φ−iカーブ)とを示した図である。この図19(B)に示すように、励磁電流i(=imL+imr)と磁束φとの特性曲線はヒステリシスループを形成する。
本実施形態の単独運転検出装置においては、実験的知見に基づき、後述するように分散型電源が連系する任意の柱上変圧器TRの励磁電圧Vと任意の周波数fの比(V/f∝磁束)から、同一低圧系統の柱上変圧器TRの励磁電流iの磁化電流成分imLの高次成分と、鉄損電流imrの高次成分とを精度良く推定する。そして、この推定値から、励磁電流iと同期する高調波能動信号の注入位相をより正確に決定するものである。
(高次鉄損を考慮した変圧器の等価回路についての説明)
次に、高次鉄損を考慮した変圧器の等価回路について説明する。図6は、高次鉄損を考慮した変圧器の等価回路を示す図である。図6(A)は、一般的な変圧器の等価回路の例を示し、図6(B)は、励磁回路(励磁コンダクタンス及び励磁サセプタンス)を非線形素子として扱う例を示す図である。図6(A)に示す一般的な変圧器のモデルでは励磁回路(コンダクタンスgとサセプタンスb)は線形素子として扱われる。印加電圧が歪みのない基本波のみであれば励磁容量の無効電力と励磁に伴って発生する鉄損(有効電力)は基本波成分であるため、励磁電流の高調波電流成分は無視されることが多い。
これに対して、本実施形態の単独運転検出装置では、変圧器の励磁電流の特性化にあたっては、この励磁電流の2成分である磁化電流↑ImLと鉄損電流↑Imrを等価回路と式で定義し、実験によりその特性式を求めている。その結果、磁化電流↑ImLを磁束φについてのべき級数関数、鉄損電流↑Imrを磁束φの1階微分(dφ/dt)のべき級数関数で展開した場合、その各項の係数も磁束φの関数として統一的に記述できることが判明した。以下、これについて、図6(B)に示す等価回路を用いて説明する。
図6(B)に示す変圧器の等価回路において、励磁回路のコンダクタンスgとサセプタンスbとが非線形素子として扱われる、なお、変圧器の二次側インピーダンスは無視することができる(無負荷特性でもあるため)。なお、巻線インピーダンス(コンダクタンスgとサセプタンスb)に励磁電流の高調波が流れるため、厳密には、励磁電圧↑V(t)には、わずかに高調波成分が含まれているが、ここでは、この微量成分を無視している。例えば、18図(B)の実験結果に示すように、1次高調電流(基本波)と、3次高調波電流(基本波に対して29.3%)と、5次高調波電流(基本波に対して13.0%)と、7次高調波電流(基本波に対して5.8%)と、9次高調波電流(基本波に対して3.1%)とが流れている場合においても、図18(A)に示すように、励磁電圧V(t)に対する高調波成分が極めて少ないためである。このように、励磁電圧の基本波成分に対する励磁特性を反映するモデルを用いることにより、分散型電源からみた場合において、この励磁特性を推定することが可能となる。
そして、図6(B)に示す変圧器の等価回路において、励磁回路に流れる励磁電流を↑I(t)とし、この励磁電流↑I(t)を、k次(k=1、3、5、・・・・)のフーリエ級数展開により定式化すると、以下の(13)式が得られる。
なお、この(13)式に示すフーリエ級数において、フーリエ正弦級数(sin(kωt)についての級数)が、本発明における第1のフーリエ級数に相当し、フーリエ余弦級数(cos(kωt)についての級数)が、本発明における第2のフーリエ級数に対応する。
Figure 2012196020
この(13)式においては、フーリエ正弦係数を、鉄損電流実効値Imrkを(21/2
倍した値「(21/2)×Imrk」とし、フーリエ余弦係数を、磁化電流実効値ImLkを(21/2)倍した値「(21/2)×ImLk」としている。
また、べき級数関数による定式化を行うと下記の式が得られる。なお、係数「a、a、a、・・・」と「b、b、b、・・・」は、べき級数関数の各項の係数であり、この係数「a、a、a、・・・」と「b、b、b、・・・」の決定方法については、後述する。
Figure 2012196020
図7は、フーリエ級数展開による励磁電流定式化の詳細な手順について説明するための図である。図7に示すように、励磁電流iは、「励磁電流i=鉄損電流Imr+磁化電流imL」、で示される。この図7のステップS21に示すように、励磁電流i(t)は、(13−1)式で示される。この(13−1)式は、前述した(13)式と同じ式であり、励磁回路に流れる励磁電流↑I(t)を、k次(k=1、3、5、・・・・)のフーリエ級数展開により定式化した式である。そして、(13−1)式のフーリエ正弦級数(sin(kωt)についての級数)におけるk次鉄損電流実効値Imrkと、フーリエ余弦級数(cos(kωt)についての級数)におけるk次励磁電流値ImLkのそれぞれについては、後述する実験結果により、(V/f)特性により評価することができる。
このため、ステップS22に示すように、k次磁化電流の実効値ImLkを、(V/f)の関数により、(13−2)式で定式化することができる。また、k次鉄損電流の実効値Imrkを、(V/f)の関数により、(13−3)式で定式化することができる。なお、励磁電流のk次高調波電流↑Imkは、このステップS22の右側のベクトル図に示すように、磁化電流ImLkの成分と、鉄損電流Imrkの成分と、位相θmkにより示される。
そして、さらに、鉄損電流のk次の実効値Imrkは、後述する実験結果により、ステップS23の(13−4)式に示すように、2成分に分離して特性化することができる。すなわち、k次鉄損電流実効値Imrkを、周波数fに依存しないk次ヒステリシス電流実効値Ihkと、周波数fに依存するk次渦電流実効値Iekに分離して特性化することができる。これは、例えば、図23の実験結果(k次高調波鉄損電流実効値Imrkのf依存性)に示すように、k次鉄損電流実効値Imrkは、固定値の成分と、周波数fに比例する成分とに分離できるためである。すなわち、k次高調波鉄損電流実効値Imrkは、周波数fの変化に対して単調に変化する一次関数(y=ax+bの形式の関数)で示されるためである。
さらに、k次渦電流実効値Iekを、(13−5)式で定式化し、k次ヒステリシス電流実効値Ihkを(13−6)式で定式化すると、k次鉄損電流実効値Imrkは、(13−7)式で定式化され、さらには、(13−8)式で定式化される。すなわち、k次鉄損電流実効値Imrkは、(13−8)式で示すように、(V/f)の関数で表すことができる。
なお、図7の(13−2)式、(13−5)式、及び(13−6)式に示すように、k次磁化電流実効値ImLkと、k次ヒステリシス電流実効値Ihkと、k次渦電流実効値Iekとを、それぞれV/fについての6次(j=0〜6)のべき級数で関数化した場合は、k次の励磁電流成分を推定するために係数CLKj、Chkj、Cekj(j=0〜6)について21個(7×3=21)のパラメータを予め知られていることが必要である。実用的にはk=3、5を用いるので、少なくとも42個(21×2=42)のパラメータが分かっていればよいことになる。さらには、べき級数関数の次数「j=0〜6」は、これに限定されず、実際の変圧器TRの特性に応じて増減することができる。
なお、上記の(13−3)式で示すk次鉄損電流実効値Imrkのべき級数関数が、本発明における第3のべき級数関数に相当し、上記の(13−2)式で示すk次磁化電流実効値ImLkのべき級数関数が、本発明における第4のべき級数関数に相当し、(13−6)式に示すk次ヒステリシス損電流実効値Ihkのべき級数関数が、本発明における第5のべき級数関数に相当し、(13−5)式に示すk次渦電流実効値Iekのべき級数関数が、本発明における第6のべき級数関数に相当する。
そして、上述の図7で示した式を整理すると、励磁電流特性のk次高調波電流実効値(フーリエ級数係数)の生成式は以下に示すようになる。
Figure 2012196020
一方、上述した(10)式及び(11)式で示される励磁電流特性のべき級数関数の生成式において、各項の係数「a、a、a」と「b、b、b」は、上記の(14−1)〜(14―6)式を基にして生成することができ、以下に示す(15−1)〜(15−6)式となる。但し、べき級数関数の各項の係数(5次近似)の例である。
Figure 2012196020
また、べき級数関数の各項の係数を一般化した生成式は、以下に示す(16−1)式、及び(16−2)式に示すようになる。
Figure 2012196020
次に、磁化電流imL(t)のフーリエ級数の各項の係数と、べき級数関数の各項の係数との関係について説明する。まず、連系点電圧v(t)を以下の(17−1)式で示し、磁束φ(t)を(17−2)式で示し、cosωtを、(17−3)式で示す。
Figure 2012196020
そして、磁化電流imL(t)を5次まで近似して余弦関数ついて倍角公式を適用すると、以下の式が得られる。
Figure 2012196020
そして、べき級数関数の各項の係数と比較すると次の関係(18−1)式〜(18−3)式が得られる。
Figure 2012196020
この磁化電流imLについては、フーリエ係数はV/f(∝φ)の一次元(一変数)関数ととらえることもできる。また、べき級数関数の各項の係数は、ImLkと、「nω/((21/2)Vrms)」とが共にV/fの関数であるので、同じくV/fの一次元(一変数)関数ととらえることができる。
同様にして、鉄損電流imr(t)のフーリエ級数の各項の係数と、べき級数係数の各項の係数との関係は以下に示すようになる。まず、連系点電圧v(t)を以下の(19−1)式で示し、dφ/dtを(19−2)式で示し、sinωtを、(19−3)式で示す。
Figure 2012196020
そして、磁化電流imL(t)を5次まで近似して余弦関数ついて倍角公式を適用すると、以下の式が得られる。
Figure 2012196020
そして、べき級数関数の各項の係数と比較すると次の関係式、(20−1)式〜(20−3)式が得られる。
Figure 2012196020
この鉄損電流Imrについて、フーリエ係数はV/f(∝φ)とVの二次元(二変数)関数ととらえることもできる。べき級数関数の各項の係数は,ImrkがV/fの関数であるが、「n/((21/2)V)」は電圧Vの関数であるので,V/fとVの二次元(二変数)関数ととらえることができる。
以上説明した方法により、実験結果を基にして係数CLKj、Chkj、Cekj(j=0〜6)を決定することにより、鉄損電流のk次の実効値Imrkと、磁化電流のk次の実効値ImLkを算出できるとともに、係数「a、a、a5」と「b、b、b」も決定することができる。
例えば、図6(B)の等価回路で示される変圧器の励磁電流特性のk次高調波電流実効値の推定と、べき級数関数の各項の係数の生成とを、図8に示すロジック回路により行うことができる。
図8は、k次高調波電流実効値及びべき級数関数の各項の係数を生成するために使用可能なロジック回路の第1の例を示したものである。この図8に示すロジック回路は、変圧器の励磁電圧↑V(≒連系点電圧であるとき)の瞬時値情報を基に、k次励磁電流実効値(磁化電流実効値ImLk及び鉄損電流実効値Imrk)を算出するものである。さらに、このロジック回路は、(10)式及び(11)式で示すべき級数関数の各項の係数(aおよびb)を算出するものである。なお、このロジック回路は、図1に示す励磁電流推定部7aに含まれる回路である。
図8に示すロジック回路は、除算器121、122、123、124、125と、乗算器126と、加算器127と、乗算器128と、乗算総和器129、130、131、132、133と、arctan回路134と、乗算器135と、LPF(ローパスフィルタ)141と、実効値演算部142と、周波数演算部143と、で構成されている。
図8において、LPF(ローパスフィルタ)141は、励磁電圧(≒連系点電圧)の瞬時値Vの高調波成分を除去し、その出力を実効値演算部142及び周波数演算部143に出力する。実効値演算部142は、励磁電圧(≒連系点電圧)の実効値Vを算出し、この実効値Vの計算結果を除算器122及び124に出力する。周波数演算部143は、励磁電電圧V(≒連系点電圧)の周波数fを算出し、この周波数fの計算結果を除算器124及び乗算器126に出力する。除算器124は、実効値演算部142の計算結果(実効値V)を周波数演算部143の計算結果(f)で除算し、計算結果(x=V/f)を算出する。この除算器124の計算結果(x=V/f)は、除算器123と、乗算総和器131、132、133とに出力される。
また、除算器121は、定数n(巻線数)を定数(21/2)で除算し、その計算結果(x=n/(21/2)を、除算器122及び乗算器128に出力する。除算器122は、除算器121の計算結果(n/(21/2))を実効値演算部142の計算結果(実効値V)で除算し、その計算結果(x=n/((21/2)V))を乗算総和器129に出力する。乗算総和器129は、除算器122の計算結果(x=n/((21/2)V))と、後述する加算器127の出力(Imrk)と基に、(16−2)式に示す演算を行い、鉄損電流のべき級数関数の各項の係数bを算出する。また、乗算器128は、除算器121の計算結果(n/(21/2))に定数(π)を乗算し、計算結果(nπ/(21/2))を算出し、この計算結果(nπ/(21/2))を除算器123に出力する。除算器123は、乗算器128の計算結果(nπ/(21/2))を、除算器124の計算結果(x=V/f)で除算し、その計算結果「x=nω/((21/2)V)」を乗算総和器130に出力する。乗算総和器130は、除算器123の計算結果「x=nω/((21/2)V)」と、後述する乗算総和器131の出力(ImLk)を基に、(16−1)式に示す演算を行い、磁化電流のべき級数関数の各項の係数aを算出する。
乗算総和器131は、除算器123の計算結果(x=V/f)を基に、磁化電流のk次磁化電流実効値ImLkを算出して出力する。乗算総和器132は、除算器123の計算結果(x=V/f)を基に、図7のステップS22内の(13−2)式に示す演算を行い、k次ヒステリシス電流実効値Ihkを算出して出力する。乗算総和器132は、除算器123の計算結果(x=V/f)を基に、図7のステップS23内の(13−6)式に示す演算を行い、k次ヒステリシス電流実効値Ihkを算出して出力する。乗算総和器133は、除算器123の計算結果(x=V/f)を基に、図7のステップS23内の(13−5)式に示す演算を行い、k次渦電流実効値Iekを算出して出力する。乗算器126は、乗算総和器133の計算結果(Iek)に、周波数演算部の計算結果(f)を乗算し、計算結果(Iek×f)を算出し、乗算器135に出力する。乗算器135は、乗算器126の出力(Iek×f)に定数(1/f)を乗算し、その計算結果「Iek・(f/f)」を加算器127に出力する。
加算器127は、乗算総和器132の出力(Ihk)と、乗算器135の出力「Iek・(f/f)」とを加算し、計算結果「Imrk」を出力する。すなわち、加算器127は、k次鉄損電流実効値Imrkを出力する。乗算器125は、乗算総和器131の計算結果(ImLk)を、加算器127の計算結果(Imrk)で除算し、その計算結果(ImLk/Imrk)をarctan回路134に出力する。arctan回路134は、除算器125の計算結果(ImLk/Imrk)を基に、k次励磁電流の位相θmkを算出して出力する。
また、図9は、系統連系点時にパワーコンディショナPCSから柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する際に使用されるロジック回路であり、k次高調波電流実効値及びべき級数関数の各項の係数を生成するために使用可能なロジック回路の第2の例を示したものである。この図9に示すロジック回路は、図8に示すロジック回路と比較して、図8に示す実効値演算部142を削除し、図9に示すV/f推定部144と乗算器145を新たに追加した点が異なり、他の構成部分は、図8に示すロジック回路と同様である。
このV/f推定部144における励磁電圧Vを推定する方法については、以下に示すように2通りの方法があり、まず、この励磁電圧Vの第1の推定方法について説明する。
(系統連系点時にパワーコンディショナPCSから柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する第1の方法)
図10は、系統連系時にパワーコンディショナPCSから柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する第1の方法について説明するための図である。図10(A)は、瞬時値等価回路を示し、図10(B)は、基本波(k=1)の実効値等価回路を示し、図10(C)は、k次高調波(k>1)の実効値等価回路を示している。
図10(A)に示す瞬時値等価回路は、図10(B)に示す基本波(k=1)実効値等価回路と、図10(C)に示すk次高調波(k>1)実効値等価回路と、に分けて考えることができる。また、図10(C)に示すk次高調波等価回路においては電圧源eの内部インピーダンスは「0(ゼロ)」、パワーコンディショナPCSの内部インピーダンスは「∞」と見なせる。また、負荷に高調波共振現象等が存在しないとき、「負荷k次インピーダンス≫高圧側k次インピーダンス」が一般的に成り立つので、負荷に流れるk次高調波電流ILkを「ILk≒0」と見なし無視できる。
これにより、図10(C)に示すk次高調波(k>1)実効値等価回路により、V/fを容易に推定することができる。この図10(C)において、↑Zk_A及び↑Zk_Bは低圧配電線LWのk次高調波に対する線路インピーダンスを、↑Zk−Hは高圧側k次インピーダンスを、Zk_Lはk次高調波に対する低圧側負荷インピーダンスを示している。また、↑IGkはパワーコンディショナPCSから連系点に流れる能動信号(k次高調波電流)であり、↑Imkは、柱上変圧器TRから流れ出るk次高調波電流、↑IL_kは、低圧側k次負荷インピーダンス↑Zk_Lに流れるk次負荷電流を示している。また、↑Vmkは、柱上変圧器TRの励磁電圧のk次高調波電圧を示している。
前述したように、k次負荷電流を「ILk≒0」と見なし無視できるので、図10(C)に示す等価回路は、パワーコンディショナPCSから見て以下の(21)式が成り立つ。
Figure 2012196020
ここで、↑IGkはPCS能動信号(k次高調波電流)、↑VGkは、連系点k次高調波電圧、↑Imkは、柱上変圧器TRから発生するk次高調波電流であり、パワーコンディショナPCSから注入される高調波電流↑IGkが「↑IGk=0」のとき、以下の(22)式となる。
Figure 2012196020
この(22)式から、励磁電圧のk次成分↑Vmkが推定できる。高圧側k次インピーダンス↑ZkHは、高圧側インピーダンス↑Zが既知であれば容易に分かるから、以下に示す(23)式から柱上変圧器TRの発生するk次高調波励磁電流↑Imkが推定できる。
Figure 2012196020
k次高調波励磁電流↑Imkが推定できれば、逆問題を解く(あるいは特性図から読み取る)ことにより(V/f)を決定できる。例えば、図11のステップS113内に示す、k次磁化電流実効値ImLk/f特性図(より詳細には図20を参照)から、V/fを推定することができるので、この推定した(V/f)にfを乗ずることで、励磁電圧V(≒Vm1)を求めることができる
図11に、上述した第1の方法により変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する処理の流れをフローチャートにより示している。以下、図11を参照して、V/fを推定する処理手順について説明する。なお、このV/fの推定処理は、高調波推定部7内の励磁電流推定部7aにより行われるものである。
最初に、パワーコンディショナPCSは、高調波制御部8を制御することにより、PCS能動信号(k次高調波電流)↑IGKを0(ゼロ)にする(ステップS101)。この場合に、例えば、パワーコンディショナPCSから連系点に3次と5次の高調波能動信号を注入する際に、5次の高調波能動信号を0にする場合は(↑IG5=0)、3次の高調波能動信号を0にしないようにし(↑IG3≠0)、正味の高調波能動信号が0にならないようにする。
そして、励磁電流推定部7aでは、電圧計3から連系点電圧v(t)が入力され、この連系点電圧v(t)から、連系点のk次高調波電圧↑VGk(≒↑Vmk)を検出する(ステップS102)。
励磁電流推定部7aでは、このk次高調波電圧↑VGk(≒↑Vmk)を、高圧側k次インピーダンスZk_Hで除算することにより、k次励磁電流↑Imkを算出する(ステップS103)。なお、高圧側1次インピーダンス↑Z1_Hは、ステップS111内に示す(23−1)式により求めることができるので、高圧側k次インピーダンス↑Zk_Hは、ステップS112内に示す(23−2)式により求めることができる。なお、(23−1)式において、高圧側のインピーダンス成分(r、xHL、XHC)が予め分かっているものとする。
そして、励磁電流推定部7aでは、ステップS103において算出したk次高調波電流↑Imkを基に、k次鉄損電流の実効値Imrkと、k次磁化電流の実効値ImLkと、位相θmkを算出する(ステップS104)。また、励磁電流推定部7aは、ステップS104で算出したk次鉄損電流の実効値Imrk、または、k次磁化電流の実効値ImLkにより、「V/f」を推定する(ステップS105)。なお、この「V/f」の推定の際には、ステップS113内の特性図に示すように、k次励磁電流imLkのV/f特性図(より詳細には図20を参照)から、V/fを求めることができる。
これにより、パワーコンディショナPCSにおいて変圧器TRの励磁電圧V(≒V1)を推定することができる(ステップS106)。
(系統連系時にパワーコンディショナPCSから変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する第2の方法についての説明)
パワーコンディショナPCSにおいて柱上変圧器TRの励磁電圧V(≒Vm1)を推定する際に、前述の第1の方法では、複数のk次高調波能動信号の内の1つのk次高調波能動信号(例えば、5次高調波能動信号)を0(ゼロ)になるように変化させて、連系点のk次高調波電圧VGkの変化量を検出する例について説明した。しかしながら、一時的に高調波能動信号を減少させることは、単独運転の検出性能が低下する場合も考えられるので、第2の方法として、いずれのk次高調波能動信号も0(ゼロ)にすることなく、連系点のk次高調波電圧VGkを検出する例について説明する。
図12は、系統連系時にパワーコンディショナPCSから柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する第2の方法について説明するための図である。図12(A)及び図12(B)は、k次高調波(k>1)の実効値等価回路を示しており、図12(A)に示す等価回路は、前述した第1の方法で用いた等価回路(図10(C))と同じものであり、図12(B)が、以下で説明する第2の方法で用いられる等価回路である。
図12(B)に示す等価回路は、図12(A)に示す等価回路と比較して、パワーコンディショナPCSから連系点に注入する能動信号↑IGkを、「↑IGk+↑ΔIGk」に変更した点と、柱上変圧器TRに発生するk次高調波電圧↑Vmkを「↑Vmk+↑ΔVmk」に変更した点と、連系点のk次高調波電圧VGkを「VGk+ΔVGk」に変更した点だけが異なり、他の構成要素につては図12(A)と同様である。すなわち、図12(B)に示す例では、能動信号↑IGkを「↑IGk+↑ΔIGk」へと↑ΔIGkだけ変化させることにより、連系点電圧↑VGkの変動↑ΔVGkを検出するものである。
図12(A)及び(B)に示すk次高調波(k>1)等価回路のそれぞれにおいて、電圧源の内部インピーダンスは「0(ゼロ)」、パワーコンディショナPCSの内部インピーダンスは「∞」と見なせる。また、負荷に高調波共振現象等が存在しないとき、「負荷k次インピーダンス≫高圧側k次インピーダンス」が一般的に成り立つので、負荷に流れる高調波電流↑ILkを「↑ILk≒0」と見なし無視できる。
このため、図12(A)に示す等価回路においては、パワーコンディショナPCSから見て以下の(24)式が成り立つ。
Figure 2012196020
また、図12(B)において、パワーコンディショナPCSから出力される高調波能動信号↑IGKを↑ΔIGkだけ変化させると、パワーコンディショナPCSから見て以下の(25)が成り立つ。
Figure 2012196020
そして、(25)式から(24)式を引くことにより、(26)式が得られる。
Figure 2012196020
そして、(24)式と(26)式とにより、(27)式が得られ、高圧側k次インピーダンス↑ZK_Hが既知であれば、柱上変圧器TRの発生するk次高調波励磁電流↑Imkが推定できる。このk次高調波励磁電流↑Imkが推定できれば、(V/f)を決定できる。
Figure 2012196020
図13は、第2の方法により柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する処理の流れを示すフローチャートである。以下、図13に示すフローチャートを参照してその処理の流れについて説明する。
この図13に示すフローチャートにおいて、連系点電圧Vの推定動作は所定時間ごとに定期的に繰り返して行われる。そして、時刻tが時刻tに至るとi回目のV推定動作が開始され、パワーコンディショナPCSは、高調波制御部8を制御して、PCS能動信号(k次高調波電流)↑IGKを「↑IGk」から「↑IGk+↑ΔIGk」に変化させる。この能動信号変化時の注入時間は、時刻t〜t+Tとなる。ここで、Tは、PCS能動信号変化時の注入時間である(ステップS201)。
そして、能動信号「↑IGk+↑ΔIGk」が注入された状態において、高調波推定部7内の励磁電流推定部7aは、電圧計3から連系点電圧v(t)が入力され、この連系点電圧v(t)から、連系点のk次高調波電圧「↑VGk+↑ΔVGk」を検出する(ステップS202)。
そして、時間Tが経過し、時刻tが時刻t+Tに至ると、その後、高調波推定部7は、高調波制御部8を制御して、通常動作時(能動信号を変化させない時)の高調波能動信号↑IGkを、時刻t+Tまで注入する。ここで、Tは、i回目V推定動作時間を示している(ステップS203)。そして、高調波推定部7は、k次高調波能動信号「↑IGk」が注入された状態において、電圧計3から連系点電圧v(t)が入力され、この連系点電圧v(t)から、連系点k次高調波電圧「↑VGk」を検出する(ステップS204)。
上記手順により、高調波推定部7では、ステップS202及びS204で検出したk次高調波電圧↑VGkと、k次高調波電圧の変化量↑ΔVGkと、パワーコンディショナPCSから注入したk次高調波能動信号↑IGkと、k次高調波能動信号の変化量↑ΔIGkと、を検出する(ステップS205)。励磁電流推定部7aでは、k次高調波電圧↑VGkと、k次高調波電圧の変化量↑ΔVGkと、k次高調波能動信号↑IGkと、k次高調波能動信号の変化量↑ΔIGkと、を基にして、前述した(27)式により、k次励磁電流↑imkを推定する(ステップS206)。なお、高圧側1次インピーダンス↑Zk_Hは、ステップS211内に示す(23−1)式を基にして、ステップS212内に示す(23−2)式により求めることができる。なお、(23−1)式において、高圧側のインピーダンス成分(r、xHL、xHC)は予め分かっているものとする。
そして、高調波推定部7では、ステップS103において算出したk次高調波電流↑Imkを基に、k次鉄損電流の実効値Imrkと、k次磁化電流の実効値ImLkと、位相θmkを算出する(ステップS207)。なお、k次鉄損電流の実効値Imrkと、k次磁化電流の実効値ImLkは、k次励磁電流↑Imkと位相θmkとによりステップS213内に示すベクトル図を基に算出することができる。
続いて、高調波推定部7は、ステップS207で算出したk次鉄損電流の実効値Imrk、または、k次磁化電流の実効値ImLkにより、「V/f」を推定する(ステップS208)。なお、この「V/f」の推定の際には、ステップS214内の特性図に示すように、k次磁化電流実効値ImLkのV/f特性図(より詳細には図20を参照)から、V/fを求めることができる。
これにより、パワーコンディショナPCSにおいて柱上変圧器TRの励磁電圧V(≒Vm1)を推定することができる(ステップS209)。
また、図14は、図13で説明した第2の方法により柱上変圧器TRの励磁電圧、励磁電流を推定する処理の流れを示すタイムチャートである。この図14に示すタイムチャートは、横軸に時間tの経過を取り、縦方向に、k次高調波能動信号↑IGKと、連系点のk次高調波電圧↑VGkとを並べて示したものである。
このタイムチャートに示すように、Vの推定動作は所定時間Tごとに定期的に繰り返して行われる。そして、時刻tが時刻tに至るとi回目のV推定動作が開始され、高調波推定部7は、高調波制御部8を制御して、PCS能動信号(k次高調波電流)↑IGKを「↑IGk」から「↑IGk+↑ΔIGk」に変化させる。この能動信号変化時の注入時間は、時刻t〜t+Tとなる。ここで、Tは、PCS能動信号変化時の注入時間である。
そして、高調波能動信号「↑IGk+↑ΔIGk」が注入された期間(t〜t+T)において、連系点のk次高調波電圧↑VGkは、k次高調波電圧「VGk+ΔVGk」に変化する。励磁電流推定部7aは、電圧計3から連系点電圧v(t)が入力され、この連系点電圧v(t)から、連系点k次高調波電圧「↑VGk+↑ΔVGk」を検出する。
そして、時間が経過し時刻t+Tに至ると、高調波推定部7は、高調波制御部8を制御して、通常動作時(能動信号を変化させない時)の高調波能動信号↑IGkを、時刻t+T(=ti+1)まで注入する。そして、励磁電流推定部7aは、k次高調波能動信号「IGk」が注入された状態において、電圧計3から連系点電圧v(t)が入力され、この連系点電圧v(t)から、連系点k次高調波電圧「↑VGk」を検出する。(i+1)回目のV推定動作についても同様である。
これにより、いずれのk次高調波能動信号も0(ゼロ)にすることなく、PCS側から柱上変圧器TRの連系点電圧Vを容易に推定することが可能になる。従って、図9に示すロジック回路において、V/f推定部144では、上記の図11のフローチャート、又は図13のフローチャートに示す処理を行うことにより、V/fを容易に推定することができる。
以上、説明したように本発明のパワーコンディショナPCS(単独運転検出装置)では、柱上変圧器TRの励磁電流を推定する場合に、実験的知見に基づき、分散型電源が連系する箇所の任意の電圧Vと任意の周波数fの比(V/f比例磁束)から、その磁化電流成分と鉄損電流の高次成分を精度良く推定できるようになる。これにより、励磁電流と同期する高調波能動信号の注入位相をより正確に決定することができる。このため、単独運転後の高調波電圧歪みを最大限に助長することができ単独運転の検出の精度を向上することができる。
また、ここで、図15から図24に示す実験データについて補足して説明する。図15は、V/fから鉄心最大磁束密度Bへの換算表を示す図である。V/fから鉄心最大磁束密度Bを算出する場合は、下記の(28−1)式により算出することができる。また、鉄心最大磁束密度Bから最大磁束φを(28−2)式により算出することができる。
Figure 2012196020
そして、柱上変圧器模擬リアクトル(図17を参照)の諸元を、コイル巻線の巻数を、「N=44(ターン)」とし、鉄心断面積を「S=126.7(cm)」とすると、図15に示す換算表が得られる。なお、設計磁束密度は、「B=1.73[Wb]」である。
この換算表においては、柱上変圧器模擬リアクトルの巻線への印加電圧を180V〜220Vまで、10Vごとに電圧を変化させた場合において、さらに、周波数fを48Hzから52Hzの間で変化させた場合のV/f値と、磁束密度Bの値とを示したものである。この表に示すように、通常考えられる電圧Vと周波数fの変化範囲において、V/f値は、最小3.46(V=180V、f=52Hzの場合)から最大4.58(V=220V、f=48Hzの場合)まで変化することが分かる。また、磁束密度Bは、最小1.40(V=180V、f=52Hzの場合)から最大1.85(V=220V、f=48Hzの場合)まで変化することが分かる。また、例えば、「電圧V=190V、周波数f=49.5Hz」の場合に、V/f値が3.84になり、「電圧V=200V、周波数f=52Hz」の場合に、V/f値が3.85になり、概略同じV/f値となることが分かる。
そして、図16に示すように、低圧系統連系インバータの保護リレー標準整定値は、例えば、200V/50Hz系においては、OVR(過電圧継電器)が230V、UVR(不足電圧継電器)が160V、OFR(周波数上昇継電器)が51Hz、UFR(周波数低下継電器)が48.5Hzとなる。このため、V/fの最大値は4.74となり、最小3.14となる。また、磁束密度は、最大1.91[T]、最小1.27[T]となる。また、200V/60Hz系においては、OVR(過電圧継電器)が230V、UVR(不足電圧継電器)が160V、OFR(周波数上昇継電器)が61.2Hz、UFR(周波数低下継電器)が58.2Hzとなる。このため、V/fの最大値は3.95となり、最小2.61となる。また、磁束密度は、最大1.60[T]、最小1.06[T]となる。
従って、後述するk次磁化電流実効値ImLk等のV/f比依存性のデータを得るためには、V/f値を3〜4.5程度の範囲で計測すればよいことが分かる。
また、図17は、柱上変圧器模擬リアクトルに交流電源(単相交流、2W)から交流電圧v(t)(200V、50Hz)を印加し、計測用変流器CTと測定器とにより、柱上変圧器模擬リアクトルに流れる励磁電流iと、電圧v(t)を計測したものである。図18は、この試験回路における測定データを示す図である。
図18(A)は、高調波電圧(振幅)を示し、図18(B)は、高調波電流(振幅)を示し、図18(C)は、高調波電流(位相)を示している。この実験結果の図18(B)に示すように、1次高調電流(基本波)が0.3623A流れている状態において、3次高調波電流(基本波に対して29.3%)と、5次高調波電流(基本波に対して13.0%)と、7次高調波電流(基本波に対して5.8%)と、9次高調波電流(基本波に対して3.1%)とが流れている場合に、図18(A)に示すように、1次高調電圧(基本波)が199.93Vであるのに対し、3次高調波電圧(基本波に対して0.01%)と、5次高調波電圧(基本波に対して0.01%)と、7次高調波電圧(基本波に対して0.0%)と、9次高調波電圧(基本波に対して0.005%)と、基本波励磁電圧に対する高調波成分が極めて少ないことが分かる。このため、励磁電圧の基本波成分に対する励磁特性を反映するモデル(等価回路)を用いることが可能になる。
図19は、柱上変圧器TRの一般的な特性について説明するための図である。図19(A)は、横軸に時間の経過をとり、2次側電圧V、磁束φ、励磁電流i、磁化電流imL、及び鉄損電流imrを並べて示した図である。一般的に、磁化電流iと鉄損電流irとを合成した電流を励磁電流i(=imL+imr)と呼び、図19(A)に示すように、励磁電流i(=imL+imr)の波形は、三角波状の波形となり高調波歪みを含んでいる。
また、図19(B)は、横軸に励磁電流iと磁化電流imLとを取り、縦軸に磁束φを取り、磁化曲線(φ−imLカーブ)と、ヒステリシスループ磁化曲線(φ−iカーブ)とを示した図である。この図19(B)に示すように、励磁電流i(=imL+imr)と磁束φとの特性曲線はヒステリシスループを形成する。
また、図20は、V/f有効範囲の確認試験において、k次磁化電流実効値ImLkのV/f比依存性を示す図である。この図に示す特性曲線は、横軸にV/f値を取り、縦軸にk次磁化電流ImLk[A]を取り、V/f値を変化させた場合のk次磁化電流実効値ImLk[A]の変化の様子を示したものである。そして、図20(A)は、k次磁化電流実効値ImLk(k=1:基本波)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次磁化電流実効値ImLk(k=1:基本波)のV/f比依存性を示したものである。また、図20(B)は、k次磁化電流実効値ImLk(k=3)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次磁化電流実効値ImLk(k=3)のV/f比依存性を示したものである。また、図20(C)は、k次磁化電流実効値ImLk(k=5)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次磁化電流実効値ImLk(k=5)のV/f比依存性を示したものである。また、図20(D)は、k次磁化電流実効値ImLk(k=7)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次磁化電流imLk(k=7)のV/f比依存性を示したものである。
図20(A)、図20(B)、図20(C)、及び図20(D)の特性曲線に示すように、V/f値が増加にする従い、k次磁化電流実効値ImLkは次第に増加し、特に、V/f値が4.5以上になると、磁気飽和のためにk次磁化電流実効値ImLkが急激に増加する様子が示されている。一方、k次磁化電流実効値ImLkは周波数fが変化(f=35Hz〜65Hz)してもほとんど変化しない(図では、○印で示す測定点が互いに重なり識別できない状態になる)ことが分かる。
また、図21は、V/f有効範囲の確認試験において、k次鉄損電流実効値ImrkのV/f比依存性を示す図である。この図に示す特性曲線は、横軸にV/f値を取り、縦軸にk次鉄損電流実効値Imrk[A]を取り、V/f値を変化させた場合のk次鉄損電流Imrk[A]の変化の様子を示したものである。そして、図21(A)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=1:基本波)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk(k=1:基本波)のV/f比依存性を示したものである。また、図21(B)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=3)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk(k=3)のV/f比依存性を示したものである。また、図21(C)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=5)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk(k=5)のV/f比依存性を示したものである。また、図21(D)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=7)のV/f比依存性を示し、周波数fを35Hz〜65Hzの範囲で変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk(k=7)のV/f比依存性を示したものである。
図21(A)、図21(B)、図21(C)、及び図21(D)の特性曲線に示すように、V/f値が増加にする従い、k次鉄損電流実効値Imrkは次第に増加し、特に、V/f値が4〜4.5以上になるとk次鉄損電流実効値Imrkが急激に増加する様子が示されている。
また、図22は、V/f有効範囲の確認試験において、k次磁化電流実効値ImLkのf(周波数)依存性を示す図である。この図に示す特性曲線は、横軸にf/f値を取り、縦軸にk次磁化電流実効値ImLk[A]を取り、V/f値をパラメータとして、f/f値を変化させた場合のk次磁化電流実効値ImLk[A]の変化の様子を示したものである。この例では、パラメータ(V/f値)を、2.8から4.6まで段階的に増やしている。
そして、図22(A)は、k次磁化電流実効値ImLk(k=1:基本波)のf依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次磁化電流imLk(k=1:基本波)のf依存性を示したものである。図22(B)は、k次磁化電流実効値imLk(k=3)のf依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次磁化電流ImLk(k=3)のf依存性を示したものである。図22(C)は、k次磁化電流実効値ImLk(k=5)のf依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次磁化電流ImLk(k=5)のf依存性を示したものである。図22(D)は、k次磁化電流実効値ImLk(k=7)のf依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次磁化電流実効値ImLk(k=7)のf依存性を示したものである。
この図に示すように、k次磁化電流実効値ImLkは、k=1、k=2、k=3、k=5、k=7のいずれの場合においても、周波数fの変化(より正確にはf/f値の変化)に対して、単調に変化する一次関数(y=ax+bの形式の関数)で示される。
例えば、図22(B)に示す3次(k=3)高調波において、パラメータ(V/f値)が4.6の場合において、f/f値を変数xとして変化させ、k次磁化電流実効値ImLkをyとした場合に、k次磁化電流実効値ImLkは、「y=−0.0871x+0.8471」で示される。同様にして、パラメータ(V/f値)が2.8の場合に、k次磁化電流実効値ImLkは、「y=−0.0034x+0.0273」で示される。このように、k次磁化電流実効値ImLkは、周波数fの変化に応じて単調に増加または減少する一次関数で表されるが、その変化の程度は無視できるほど少なく、k次磁化電流実効値ImLkは、周波数fに依存せず、パラメータ(V/f値)にのみ依存することが分かる。
また、図23は、k次高調波の鉄損電流実効値Imrkのf(周波数)依存性を示す図である。この図に示す特性曲線は、横軸にf/f値を取り、縦軸にk次鉄損電流実効値Imrk[mA]を取り、V/f値をパラメータとして、f/f値を変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk[mA]の変化の様子を示したものである。この例では、パラメータ(V/f値)を、2.8から4.6まで段階的に増やしている。
そして、図23(A)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=1:基本波)のf依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk(k=1:基本波)のf(周波数)依存性を示したものである。図23(B)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=3)のf(周波数)依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk(k=3)のf(周波数)依存性を示したものである。図23(C)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=5)のf(周波数)依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次鉄損電流Imrk(k=5)のf(周波数)依存性を示したものである。図22(D)は、k次鉄損電流実効値Imrk(k=7)のf(周波数)依存性を示し、f/f値を0.7〜1.3まで変化させた場合のk次鉄損電流実効値Imrk(k=7)のf(周波数)依存性を示したものである。
この図に示すように、k次鉄損電流実効値Imrkは、k=1、k=3、k=5、k=7のいずれの場合においても、周波数fの変化(より正確にはf/f値)が増加するにつれて単調に増加する一次関数(y=ax+bの形式の関数)で示される。また、k次磁化鉄損電流実効値Imrkは、パラメータ(V/f値)に応じて増加することが示されている。
例えば、図23(B)に示す3次(k=3)鉄損電流実効値Imrkにおいて、パラメータ(V/f値)が4.6の場合において、f/f値を変数xとして変化させ、k次鉄損電流実効値Imrkをyとした場合に、k次鉄損電流実効値Imrkは、「y=54.607x+172.63」で示される。同様にして、パラメータ(V/f値)が2.8の場合に、k次鉄損電流実効値Imrkは、「y=4.5199x+10.036」で示される。
このように、k次鉄損電流実効値Imrkは、周波数fの増加に応じて単調に増加する一次関数で表される。従って、k次鉄損電流実効値Imrkは、固定値であるk次ヒステリシス損電流実効値Ihkと、周波数fに比例するk次渦電流実効値Iekとにより表されることが分かる。
また、図24は、交流鉄損電流をヒステリシス損電流と渦電流に分離する試験により得られたデータ例を示し、ヒステリシス損電流実効値Ihkと渦電流実効値IekのV/f依存性を示す図である。この図において、図24(A)及び図24(B)に示す特性曲線は、横軸にV/f値を取り、縦軸にk次渦電流実効値Iek[mA]を取り、V/f値を変化させた場合のk次渦電流実効値Iekの変化の様子を示したものである。また、図24(C)及び図24(D)に示す特性曲線は、横軸にV/f値を取り、縦軸にk次ヒステリシス損電流実効値Ihk[mA]を取り、V/f値を変化させた場合のk次ヒステリシス損電流実効値Ihkの変化の様子を示したものである。
そして、図24(A)の特性曲線に示すように、V/f値を変化させた場合の、k=1、k=3、k=5のそれぞれの場合におけるk次渦電流実効値Iekは、V/f値の変化に対して、ほぼ単調に増加する傾向を示している。この図24(A)の特性曲線に示されるように、k次渦電流実効値Iekは、V/f値に応じて特定でき、この特性曲線を基にして、前述した図7のステップS23内の(13−6)式における係数Cekjを求めることができる。
一方、図24(B)に示すように、V/f値を変化させた場合の、k=7、k=9、k=11のそれぞれの場合におけるk次高調波の渦電流Iekは、V/f値の変化に対して、V/f値が4以上になると急激に増加するが、k=7、k=9、k=11の場合のk次渦電流実効値Iekの値は、k=1、k=3、k=5の場合のk次高調波の渦電流Iekと比較して値が小さいため、主には、k=1、k=3、k=5の場合のk次渦電流実効値Iekを考慮すればよいことが分かる。
また、図24(C)に示すように、V/f値を変化させた場合の、k=1、k=3、k=5のそれぞれの場合におけるk次ヒステリシス損電流実効値Ihkは、V/f値の変化に対して、V/f値が4以下の場合は、ほぼ単調に増加する傾向を示し、V/f値が4以上で急激に増加する傾向を示している。この図24(C)の特性曲線に示されるように、k次ヒステリシス損電流実効値Ihkは、V/f値に応じて特定でき、この特性曲線を基にして、前述した図7のステップS23内の(13−6)式における係数Chjkを求めることができる。
一方、図24(D)に示すように、V/f値を変化させた場合の、k=7、k=9、k=11のそれぞれの場合におけるk次ヒステリシス損電流実効値Ihkは、V/f値の変化に対して、V/f値が4以下の場合は、ほぼ0(ゼロ)であり、V/f値が4以上で急激に増加するが、k=7、k=9、k=11の場合のk次ヒステリシス損電流実効値Ihkは、k=1、k=3、k=5の場合のk次ヒステリシス損電流実効値Ihkと比較して値が小さいため、主には、k=1、k=3、k=5の場合のk次ヒステリシス損電流実効値Ihkを考慮すればよいことが分かる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、図1に示すパワーコンディショナPCS1は、内部にCPU、ROM、及びRAMを含むコンピュータシステムを有している(パワーコンディショナPCS2及びパワーコンディショナPCS3についても同様である)。そして、上述したパワーコンディショナPCS1内の各部の処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
すなわち、高調波検出部5、高調波推定部7内の励磁電流推定部7a、単独運転時励磁電圧推定部7b、高調波抽出部7c、能動信号決定部7d、及び高調波制御部8における、各処理の一部または全部は、CPU等の中央演算処理装置がROMやRAM等の主記憶装置に上記プログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるものである。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の単独運転検出装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば,実験から得られた磁気特性について磁束φ[Wb]と励磁電流I[A]を用いて説明したが,鉄芯断面積Sを用いて,磁束φ[Wb]を磁束密度B[T]に換算でき,また鉄芯磁路長L[m]を用いれば,励磁電流I[A]を磁界H[A/m]に換算できる。このように換算した単位表示によれば,任意の変圧器容量の磁気特性値に換算して本発明を用いることができる。
PS・・・系統電源、UW・・・超高圧送電線、ST・・・配電用変圧器、
CB・・・遮断器、HW・・・高圧配電線、HL・・・高圧側負荷、
TR1,TR2・・・柱上変圧器、LW1,LW2・・・低圧配電線、
LL1,LL2・・・低圧側負荷、PV1、PV2、PV3・・・分散型電源、
PCS1、PCS2、PCS3…パワーコンディショナ(単独運転検出装置)、
g,g・・・励磁コンダクタンス、b,b・・・励磁サセプタンス、
1・・・連系スイッチ、2・・・計測用変流器、3・・・電圧計(電圧検出手段)、
4・・・電流計、5・・・・高調波検出部、7・・・高調波推定部(高調波推定手段)、7a・・・励磁電流推定部、7b・・・単独運転時励磁電圧推定部、
7c・・・高調波抽出部、7d・・・能動信号決定部、
8・・・高調波制御部(高調波制御手段)、9・・・インバータ、
10・・・単独運転判定部

Claims (18)

  1. 分散型電源の系統連系に用いられるインバータの単独運転検出方法であって、
    高調波推定手段が、前記分散型電源が連系する系統の連系点の柱上変圧器の励磁電圧Vと、前記柱上変圧器の励磁電圧の周波数fとの比であるV/f比の値を基に、前記柱上変圧器の励磁電流の2成分である磁化電流と鉄損電流のそれぞれについての所定次数の高調波成分を推定し、前記推定した所定次数の磁化電流と鉄損電流とを基に前記所定次数の励磁電流の位相を算出し、前記算出した位相に基づいて前記系統側に注入すべき所定次数の高調波電流の位相を決定する
    ことを特徴とする単独運転検出方法。
  2. 前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、
    前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、
    前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を磁束についての所定次数の第1のべき級数関数で定式化し、前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を磁束の1階微分についての所定次数の第2のべき級数関数で定式化し、
    前記第1及び第2のべき級数関数における各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することにより、前記第1及び第2のべき級数関数により前記磁化電流及び鉄損電流を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の単独運転検出方法。
  3. 前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、
    前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、
    前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を所定次数の高調波による第1のフーリエ級数により定式化し、
    前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を所定次数の高調波による第2のフーリエ級数により定式化し、
    前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出し、
    前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の単独運転検出方法。
  4. 前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波鉄損電流実効値であるk次鉄損電流実効値が含まれるように定式化し、
    前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波磁化電流実効値であるk次磁化電流実効値が含まれるように定式化し、
    前記第1のフーリエ級数の各項に含まれる前記k次鉄損電流実効値のそれぞれを、前記V/f比についての第3のべき級数関数により定式化するとともに、前記第2のフーリエ級数の各項に含まれるk次磁化電流実効値のそれぞれを、前記V/f比についての第4のべき級数関数により定式化し、
    前記第3のべき級数関数の各項に含まれる前記k次鉄損電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出するとともに、前記第4のべき級数関数の各項に含まれる前記k次磁化電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出する
    ことを特徴とする請求項3に記載の単独運転検出方法。
  5. 前記k次鉄損電流実効値についての前記第3のべき級数関数を、前記周波数fに依存しないヒステリシス項と、前記周波数fに比例する渦電流項とに分解して定式化するとともに、
    前記ヒステリシス項を前記V/f比についての第5のべき級数として定式化し、
    前記渦電流項を前記V/f比についての第6のべき級数関数と、前記周波数fに比例する係数との乗算式により定式化し、
    前記第5及び第6のべき級数関数の各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の単独運転検出方法。
  6. 予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を、離散化された測定点の値に基づいて補完して近似値を算出する
    ことを特徴とする請求項5に記載の単独運転検出方法。
  7. 前記インバータから前記系統側に注入する所定の次数のk次高調波電流の注入量を所定時間、所定量変化させるとともに、当該k次高調波電流の注入量の変化の前後における前記系統連系点のk次高調波電圧とk次高調波電流とを検出し、
    前記k次高調波電流の注入量を変化させる前の前記k次高調波電圧及びk次高調波電流と、前記k次高調波電流の注入量を変化させた後の前記k次高調波電圧の変化量及びk次高調波電流の変化量と、予め求めた高圧側のk次高調波インピーダンスとを基に、k次高調波の励磁電流を算出し、当該算出したk次高調波の励磁電流を基に、前記V/f比を推定する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の単独運転検出方法。
  8. 前記インバータの出力電流と、予め求めておいた前記柱上変圧器の磁化電流及び鉄損電流と磁束との対応関係を示す前記第1及び第2のべき級数関数の式と、予め求めておいた単独運転時における負荷条件とを用いて構成される磁束に関する回路方程式を解くことにより、単独運転後の高調波電圧歪みを推定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の単独運転検出方法。
  9. 分散型電源の系統連系に用いられるインバータの単独運転装置であって、
    前記分散型電源が連系する系統の柱上変圧器の励磁電圧Vと、前記柱上変圧器の励磁電圧の周波数fとの比であるV/f比の値を基に、前記柱上変圧器の励磁電流の2成分である磁化電流と鉄損電流のそれぞれについての所定次数の高調波成分を推定し、
    前記推定した所定次数の磁化電流と鉄損電流とを基に前記所定次数の励磁電流の位相を算出し、前記算出した位相に基づいて前記系統側に注入すべき所定次数の高調波電流の位相を決定する高調波推定手段と、
    前記高調波推定手段によって決定された前記位相に基づいて前記励磁電流に同期する所定次数の高調波電流が前記インバータから前記系統側に出力されるように前記インバータを制御する高調波制御手段と、
    を備えることを特徴とする単独運転検出装置。
  10. 前記高調波推定手段は、
    前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、
    前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、
    前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を磁束についての所定次数の第1のべき級数関数で定式化し、前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を磁束の1階微分についての所定次数の第2のべき級数関数で定式化し、
    前記第1及び第2のべき級数関数における各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出することにより、前記第1及び第2のべき級数関数により前記磁化電流及び鉄損電流を算出する
    ことを特徴とする請求項9に記載の単独運転検出装置。
  11. 前記高調波推定手段は、
    前記柱上変圧器の励磁電流を推定する際に、
    前記柱上変圧器の等価回路において励磁回路の励磁サセプタンスと励磁コンダクタンスのそれぞれを磁気飽和特性に起因する非線形素子で表し、
    前記励磁コンダクタンスに流れる鉄損電流を所定次数の高調波による第1のフーリエ級数により定式化し、
    前記励磁サセプタンスに流れる磁化電流を所定次数の高調波による第2のフーリエ級数により定式化し、
    前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出し、
    前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出する
    ことを特徴とする請求項9に記載の単独運転検出装置。
  12. 前記高調波推定手段は、
    前記第1のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波鉄損電流実効値であるk次鉄損電流実効値が含まれるように定式化し、
    前記第2のフーリエ級数の各次の高調波の係数に、当該係数に対応する次数の高調波磁化電流実効値であるk次磁化電流実効値が含まれるように定式化し、
    前記第1のフーリエ級数の各項に含まれる前記k次鉄損電流実効値のそれぞれを、前記V/f比についての第3のべき級数関数により定式化するとともに、前記第2のフーリエ級数の各項に含まれるk次磁化電流実効値のそれぞれを、前記V/f比についての第4のべき級数関数により定式化し、
    前記第3のべき級数関数の各項に含まれる前記k次鉄損電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出するとともに、前記第4のべき級数関数の各項に含まれる前記k次磁化電流実効値を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出する
    ことを特徴とする請求項11に記載の単独運転検出装置。
  13. 前記高調波推定手段は、
    前記k次鉄損電流実効値についての前記第3のべき級数関数を、前記周波数fに依存しないヒステリシス項と、前記周波数fに比例する渦電流項とに分解して定式化するとともに、
    前記ヒステリシス項を前記V/f比についての第5のべき級数として定式化し、
    前記渦電流項を前記V/f比についての第6のべき級数関数と、前記周波数fに比例する係数との乗算式により定式化し、
    前記第5及び第6のべき級数関数の各項の係数を、予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を基に算出する
    ことを特徴とする請求項12に記載の単独運転検出装置。
  14. 前記高調波推定手段は、
    予め求めておいた前記柱上変圧器の前記V/f比と前記磁化電流及び前記鉄損電流との対応関係を示す特性曲線を、離散化された測定点の値に基づいて補完した近似値を算出する
    ことを特徴とする請求項13に記載の単独運転検出装置。
  15. 前記高調波推定手段は、
    前記インバータから前記系統側に注入する所定の次数のk次高調波電流の注入量を所定時間、所定量変化させるとともに、当該k次高調波電流の注入量の変化の前後における前記系統連系点のk次高調波電圧とk次高調波電流とを検出し、
    前記k次高調波電流の注入量を変化させる前の前記k次高調波電圧及びk次高調波電流と、前記k次高調波電流の注入量を変化させた後の前記k次高調波電圧の変化量及びk次高調波電流の変化量と、予め求めた高圧側k次高調波インピーダンスとを基に、k次高調波の励磁電流を算出し、当該算出したk次高調波の励磁電流を基に、前記V/f比を推定する
    ことを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載の単独運転検出装置。
  16. 前記高調波推定手段は、
    前記インバータの出力電流と、予め求めておいた前記柱上変圧器の磁化電流及び鉄損電流と磁束との対応関係を示す前記第1及び第2のべき級数関数の式と、予め求めておいた単独運転時における負荷条件とを用いて構成される磁束に関する回路方程式を解くことにより、インバータ単独運転後の高調波電圧歪みを推定する
    ことを特徴とする請求項10に記載の単独運転検出装置。
  17. 前記高調波推定手段により推定された柱上変圧器の励磁電流の高次成分の位相に同期する高調波電流を、前記インバータを介して系統側へ注入し、当該注入による系統側の変化に基づいて前記インバータの単独運転を検出する単独運転判定手段を、
    備えることを特徴とする請求項9から16のいずれか1項に記載の単独運転検出装置。
  18. 前記高調波推定手段は、
    前記インバータの出力電流と、予め求めておいた前記柱上変圧器の磁化電流及び鉄損電流と磁束との対応関係を示す前記第1及び第2のべき級数関数の式と、予め求めておいた単独運転時における負荷条件とを用いて構成される磁束に関する回路方程式を解くことにより、インバータの単独運転後の高調波電圧歪みを推定し、
    前記単独運転判定手段は、
    前記高調波推定手段により算出された前記単独運転後の前記高調波電圧歪みと、前記電圧検出手段により検出された連系点電圧に含まれるk次高調波電圧とを比較することにより、前記インバータの単独運転を検出する
    ことを特徴とする請求項17に記載の単独運転検出装置。
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