以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構により支持される放射性物質収納容器としてのキャスクの一例を示す側断面図であり、図2は、図1に示すキャスクの一例の平断面図である。
放射性物質収納容器としてのキャスク11は、胴部12と蓋部13とバスケット14とから構成されている。胴部12は、胴本体21の一方、つまり、上部に開口部22が形成され、他方、つまり、下部に底部(閉塞部)23が形成された円筒形状をなしており、内部に放射性物質(例えば、使用済燃料集合体)を収納可能となっている。すなわち、胴本体21は、内部にキャビティ24が設けられ、このキャビティ24は、その内面がバスケット14の外周形状に合わせた形状となっている。バスケット14は、複数の放射性物質(図示略)を個々に収納するセルを複数有している。バスケット14は、図1に示すようにバスケット本体14Aを有する。バスケット本体14Aは、互いに平行かつ所定間隔で配置されるセルとしての放射性物質収納部14Bが上下方向で連続して形成されている。上下方向とは、キャスク11において胴部12の円筒形状の中心軸に沿う方向であり、胴本体21の上下方向に相当する。そして、胴本体21は、下部に底部23が溶接により結合されており、この胴本体21および底部23は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっている。胴本体21および底部23は、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。また、胴本体21および底部23は、球状黒鉛鋳鉄や炭素鋼鋳鋼などの鋳造品を用いることもできる。
胴部12は、胴本体21の外周側に所定の隙間を空けて外筒25が配設されており、胴本体21の外周面と外筒25の内周面との間に、熱伝達を行う銅製の伝熱フィン25aが周方向に等間隔で複数溶接されている。そして、胴部12は、胴本体21と外筒25との空間部に、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するボロンまたはボロン化合物を含有したレジン(第2中性子遮蔽体)26が流動状態で図示しないパイプ等を介して注入され、固化されている。
また、胴部12は、底部23の下側に複数の連結板27により所定の隙間を空けて底板28が連結されていてもよく、この連結板27と底板28との空間部にレジン(中性子遮蔽体)29が設けられている。更に、胴部12は、外周部における所定の位置にトラニオン41が固定されている。
胴部12における胴本体21の開口部22を閉塞する蓋部13は、一次蓋部31と二次蓋部32によって構成されている。一次蓋部31は、γ線を遮蔽するステンレス鋼または炭素鋼からなる円盤形状である。また、二次蓋部32も、ステンレス鋼製または炭素鋼製の円盤形状であるが、その内部にレジン(中性子遮蔽体)33が封入されている。この一次蓋部31および二次蓋部32は、ステンレス鋼製または炭素鋼製のボルト(図示略)により胴本体21の上端部に着脱自在に取付けられている。この場合、一次蓋部31および二次蓋部32と胴本体21との間に、それぞれ図示しない金属ガスケットが介装され、内部の密封性を確保している。なお、レジン33は、一次蓋部31の内部に設けられていてもよく、一次蓋部31にのみ設けられていてもよい。また、蓋部13の周囲には、レジンを封入した補助遮蔽体34が設けられる場合もある。また、図示しないが一次蓋部31と二次蓋部32のさらに外側に三次蓋部が設けられる場合もある。
トラニオン41について詳細に説明する。図3は、図1に示すキャスクのトラニオンの一例を示す側断面図である。
トラニオン41は、円柱形状をなし、キャスク11における胴部12の胴本体21に対して基端が固定され、胴部12の径方向外側に先端が突出して設けられている。このトラニオン41は、基端部に、胴本体21に螺合するネジ部42と、胴本体21の外面に当接するフランジ部43とを有している。そして、トラニオン41は、基端部に凹部が形成され、当該凹部においてフランジ部43の位置に対応する奥部に中性子吸収材44が挿入され、同凹部においてネジ部42の位置に対応する開口部に蓋板45が挿入されて塞がれている。
また、トラニオン41は、その先端側の突出端部に、掛止部46および係止穴47を有している。掛止部46は、トラニオン41の先端側の円柱の外周面をなす周面部46aと、トラニオン41の先端において周面部46aの全周に沿って外方に突出形成された掛止鍔部46bとで構成される。係止穴47は、トラニオン41の先端において基端側に凹んで設けられ、円形断面形状の内周面47aを有している。なお、係止穴47の奥には、回転用工具(図示略)が係止可能な工具用係止穴47bが設けられている。この工具用係止穴47bは、例えば、六角形穴であって、外部から回転用工具の先端部(六角部)を係止させ、この回転用工具を回転することで、トラニオン41を回転させ、ネジ部42を胴本体21に螺合させるためにある。なお、トラニオン41の胴本体21への取り付けは、ネジ部42による胴本体21への螺合以外に、図には明示しないが、フランジ部43を胴本体21にボルト止めしたり、キーとキー溝とにより結合したりする構成であってもよい。
上記構成のトラニオン41は、上述したキャスク11において径方向の相反する側に突出して対をなし、この対が蓋部13側と底部23側の上下の2箇所に配置されて、少なくとも計4箇所に設けられている。なお、補助として、トラニオン41は、上述したキャスク11において径方向の相反する側に突出して対をなし、かつ上下方向の2箇所にさらに追加配置して、計8箇所に設けてもよい。そして、このようにトラニオン41が配置されたキャスク11は、蓋部13側を上向きに立てた形態で、上方の対のトラニオン41を用いて吊り上げられて支持されつつ移送される一方、蓋部13側を横に向けた横倒しの形態で、4つのトラニオン41を用いて支持される。
また、トラニオン41は、掛止部46および係止穴47を有する構成に限らない。例えば、係止穴47を有さず、掛止部46と、図には明示しないがトラニオン41の先端において掛止部46よりも小径の別の掛止部と、を有する構成であってもよい。
図4〜図9は、キャスクを移送する手順を示す工程図である。この移送手順においては、図4および図5に示すように、プール100の水中で放射性物質を収納したキャスク11を吊り上げてプール100から出し、その後、キャスク11を搬送や貯蔵するため、図6〜図9に示すようにキャスク11を横置きにする。キャスク11は、トラニオン41を介して吊装置51により吊り上げ支持される。また、キャスク11は、架台装置61によりトラニオン41を介して横倒しの状態で支持される。
ここで、吊装置51は、図4、図6〜図8に示すように、水平に延在して中央部がクレーンなどの揚重設備で吊られる基部52の両端に、アーム53が設けられている。アーム53は、上端部が基部52に軸(図示略)により支持され、揺動機構(図示略)により互いに近づく方向と離れる方向に揺動可能に設けられている。また、アーム53は、下端部に放射性物質収納容器支持機構(以下、支持機構という)1が設けられている。この吊装置51の支持機構1は、詳細を後述するが、トラニオン41の係止穴47に挿入されたり、トラニオン41の掛止部(他の掛止部も含む)46を挿入したりする。
また、架台装置61は、図6〜図9に示すように、床面に載置される基台62の上面の四方に、支柱63が立設されている。支柱63は、上端部に放射性物質収納容器支持機構(以下、支持機構という)1が設けられている。この架台装置61の支持機構1は、詳細を後述するが、トラニオン41の掛止部(他の掛止部も含む)46の下部を支持する。
まず、プール100の水中で放射性物質を収納する場合、キャスク11は、図4に示すように、蓋部13側を上向きにして立てられた状態とされる。キャスク11は、蓋部13が外され、バスケット14の放射性物質収納部14Bの内部に放射性物質が収納される。また、キャスク11は、放射性物質が収納されると蓋部13が取り付けられる。このように、プール100の水中で放射性物質を収納したキャスク11は、蓋部13側を上向きにして立てられた状態とされる。
このプール100の水中で立てられた状態のキャスク11をプール100から出すには、図4に示すように、吊装置51が用いられる。そして、吊装置51における各アーム53の支持機構1を蓋部13側の各トラニオン41の掛止部46に掛け止め、キャスク11を吊り上げる。吊り上げられたキャスク11は、図5に示すように、プール100の外で立てられた状態で載置され、ここで、例えば、蓋部13に設けられた水抜穴(図示略)から内部の水が抜かれ、さらにキャスク11の外部の除染が行われる。
その後、立てられた状態のキャスク11を横置きにする。キャスク11を横置きにするには、図6に示すように、吊装置51における各アーム53の支持機構1を蓋部13側の各トラニオン41の係止穴47に挿入して係止し(または、吊装置51における各アーム53の支持機構1を蓋部13側の各トラニオン41の他の掛止部に掛け止め)、キャスク11を吊り上げる。吊り上げられたキャスク11は、図7に示すように、底部23側の各トラニオン41における掛止部46の周面部46aが、架台装置61において対向する各支柱63の支持機構1に掛け止められ支持される。その後、図8に示すように、架台装置61に支持された各トラニオン41を回転中心としてキャスク11を横倒しにしてゆく。そして、最後に、図9に示すように、蓋部13側の各トラニオン41の掛止部46の周面部46aを、架台装置61において対向する各支柱63の支持機構1に掛け止め、キャスク11を横置きとする。
なお、図6〜図9において、架台装置61は、床に載置された形態で示され、この形態はキャスク11を貯蔵するためのものである。また、キャスク11を搬送する場合、架台装置61が搬送手段であるトレーラなどに設置される。
以下、上述したようなキャスク11の支持に用いられる支持機構1の各実施形態について説明する。
[実施形態1]
図10は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の側断面図である。図10に示すように、本実施形態の支持機構1A(1)は、トラニオン41を支持する支持体1Aaと、支持体1Aaに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Abと、を備える。
本実施形態の支持機構1Aは、トラニオン41の係止穴47に挿入してキャスク11を支持するものである。このため、支持体1Aaは、係止穴47に挿入される挿入部1Aa1を有している。挿入部1Aa1は、円柱状に形成されて先端部がトラニオン41の係止穴47に挿入されて、係止穴47の内周面47aに引っ掛かりトラニオン41を介してキャスク11を支持する。
また、転動体1Abは、吊装置51のアーム53に対して挿入部1Aa1を回転可能に支持するもので、例えば、ベアリングとして構成されている。すなわち、転動体1Abは、内輪1Ab1が挿入部1Aa1の外周に取り付けられ、外輪1Ab2が吊装置51のアーム53に固定される円環状の固定部1Acに取り付けられて、内輪1Ab1と外輪1Ab2との間で保持器(図示略)に支持されたコロまたは球体からなる。
この支持機構1Aは、支持体1Aaの挿入部1Aa1がトラニオン41の係止穴47に挿入されてトラニオン41を支持し、かつ転動体1Abにより挿入部1Aa1が回転可能に設けられている。従って、上述したキャスク11の移送工程において、キャスク11を立てた状態から横倒しにする際、トラニオン41が支持機構1Aに対して相対的に回転移動するが、トラニオン41の係止穴47に挿入された挿入部1Aa1が転動体1Abを介してトラニオン41とともに回転することで、トラニオン41の回転移動を案内する。
このように、本実施形態の支持機構1Aは、トラニオン41を支持する支持体1Aaと、支持体1Aaに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Abと、を備えることで、トラニオン41側と支持体1Aa側との相対的な回転移動を転動体1Abにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する。このため、トラニオン41と支持体1Aaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。この結果、トラニオン41に傷が付く事態を防ぐことができる。また、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合であっても、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことができる。また、擦れ合うことで締め付けが低下することもないため、トラニオン41の抜け落ちやトラニオン41またはキャスク11が破損する事態を防ぐことができる。しかも、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合に、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことから、締め付けトルクに耐えるように構造強度を高めることがなく、これによりトラニオン41の大型化を防ぐことができる。
そして、本実施形態の支持機構1Aでは、上述したように、トラニオン41は、突出端に係止穴47を有して構成され、支持体1Aaは、係止穴47に挿入される挿入部1Aa1を有し、転動体1Abは、挿入部1Aa1を回転可能に支持する構成とすることで、トラニオン41側と支持体1Aa側との相対的な回転移動を転動体1Abにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する作用を実現することができ、トラニオン41と支持体1Aaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
なお、図10に示すように、挿入部1Aa1は、先端部が係止穴47に挿入され、その基端部が転動体1Abに回転可能に支持されている。すなわち、挿入部1Aa1は、転動体1Abで片持ちに支持されていることで、荷重点が支持位置から張り出している。このような場合、転動体1Abを介して挿入部1Aa1を支持するアーム53側に曲げモーメントが作用しトラニオン41(キャスク11)の支持が不安定となってしまう。そして、挿入部1Aa1と、係止穴47とが接触する係止穴47の縁部分の面圧が高くなり、当該係止穴47の縁部分を塑性変形させてしまうおそれがある。そこで、本実施形態の支持機構1Aでは、図10に示すように、転動体1Abを挿入部1Aa1の延在方向の2箇所に配置し、挿入部1Aa1にかかる荷重点が支持位置から張り出している場合の反力を各転動体1Abで受けるように構成されている。また、本実施形態の支持機構1Aでは、荷重点(挿入部1Aa1が係止穴47に挿入される先端部)から遠い位置にある転動体1Abは、荷重点に近い位置にある転動体1Abに対して受ける反力が小さいことから、荷重点に近い位置のものより小径のものとし、複数の転動体1Abを用いた構成であっても、転動体1Abにかかるコストを低減している。
また、本実施形態の支持機構1Aでは、挿入部1Aa1の係止穴47の内周面47aと接触し得る部分に、係止穴47の内周面47aを構成する金属よりも軟質の金属部材1Adが設けられることが好ましい。
金属部材1Adとは、例えば銅板などがある。このように軟質の金属部材1Adを設けることで、トラニオン41と挿入部1Aa1との相互間に摺動が生じた場合であっても金属部材1Ad側が傷つくことでトラニオン41側への傷付きを防止することができる。
また、本実施形態の支持機構1Aでは、挿入部1Aa1の係止穴47の内周面47aと接触し得る部分に、高摩擦処理1Aeが施されることが好ましい。
高摩擦処理1Aeとは、例えば、亜鉛皮膜を施すことである。このように高摩擦処理1Aeを施すことで、トラニオン41と挿入部1Aa1との相互間における摺動の発生を防ぎ、相対的な回転移動を行わせるように助勢することができる。
また、本実施形態の支持機構1Aでは、支持体1Aaは、トラニオン41を介してキャスク11を吊り上げる吊装置51に設けられる。
この支持機構1Aによれば、キャスク11を吊り上げる際において、トラニオン41と支持体1Aaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
また、本実施形態の支持機構1Aでは、転動体1Abは、潤滑に油脂等を用いない方式を適用することが好ましい。
この支持機構1Aによれば、キャスク11をプールに吊り上げ吊り下げする際において、転動体1Abからプールに油脂類の溶出や脱落等によるプール水の水質低下を防ぐことができる。また、潤滑に油脂等と用いない方式とすることで、プールでの吊り上げ吊り下げ作業を行った後の支持機構1Aの除染作業を容易に行うことができる。なお、キャスク11が製造工場や発電所に入荷する前であれば転動体1Abの潤滑に油脂類等を用いた方式を適用することができる。
[実施形態2]
図11は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の側断面図である。図11に示すように、本実施形態の支持機構1B(1)は、トラニオン41を支持する支持体1Baと、支持体1Baに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Bbと、を備える。
本実施形態の支持機構1Bは、トラニオン41の係止穴47に挿入してキャスク11を支持するものである。このため、支持体1Baは、係止穴47に挿入される挿入部1Ba1を有している。挿入部1Ba1は、円柱状に形成されて先端部がトラニオン41の係止穴47に挿入されて、係止穴47の内周面47aに引っ掛かりトラニオン41を介してキャスク11を支持する。また、支持体1Baは、挿入部1Ba1が係止穴47に挿入した場合にトラニオン41への接触を避けつつ挿入部1Ba1の外周を囲む外形部1Ba2を有している。
また、転動体1Bbは、吊装置51のアーム53に対して挿入部1Ba1を回転可能に支持するもので、例えば、ベアリングとして構成されている。すなわち、転動体1Bbは、内輪1Bb1が外形部1Ba2の外周に取り付けられ、外輪1Bb2が吊装置51のアーム53に固定される円環状の固定部1Bcに取り付けられて、内輪1Bb1と外輪1Bb2との間で保持器(図示略)に支持されたコロまたは球体からなる。
この支持機構1Bは、支持体1Baの挿入部1Ba1がトラニオン41の係止穴47に挿入されてトラニオン41を支持し、かつ転動体1Bbにより挿入部1Ba1が回転可能に設けられている。従って、上述したキャスク11の移送工程において、キャスク11を立てた状態から横倒しにする際、トラニオン41が支持機構1Bに対して相対的に回転移動するが、トラニオン41の係止穴47に挿入された挿入部1Ba1が転動体1Bbを介してトラニオン41とともに回転することで、トラニオン41の回転移動を案内する。
このように、本実施形態の支持機構1Bは、トラニオン41を支持する支持体1Baと、支持体1Baに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Bbと、を備えることで、トラニオン41側と支持体1Ba側との相対的な回転移動を転動体1Bbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する。このため、トラニオン41と支持体1Baとの間での擦れ合いを防ぐことができる。この結果、トラニオン41に傷が付く事態を防ぐことができる。また、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合であっても、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことができる。また、擦れ合うことで締め付けが低下することもないため、トラニオン41の抜け落ちやトラニオン41またはキャスク11が破損する事態を防ぐことができる。しかも、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合に、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことから、締め付けトルクに耐えるように構造強度を高めることがなく、これによりトラニオン41の大型化を防ぐことができる。
そして、本実施形態の支持機構1Bでは、上述したように、トラニオン41は、突出端に係止穴47を有して構成され、支持体1Baは、係止穴47に挿入される挿入部1Ba1を有し、転動体1Bbは、挿入部1Ba1を回転可能に支持する構成とすることで、トラニオン41側と支持体1Ba側との相対的な回転移動を転動体1Bbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する作用を実現することができ、トラニオン41と支持体1Baとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
なお、図11に示すように、支持体1Baは、挿入部1Ba1の外周を囲む外形部1Ba2を有し、この外形部1Ba2に転動体1Bbが取り付けられている。このため、図10に示す実施形態1のように荷重点が支持位置から張り出さないような構成とし、転動体1Bbを1箇所に配置しても十分な耐荷重を確保することができる。この結果、転動体1Bbにかかるコストを低減することができる。
また、本実施形態の支持機構1Bでは、挿入部1Ba1の係止穴47の内周面47aと接触し得る部分に、係止穴47の内周面47aを構成する金属よりも軟質の金属部材1Bdが設けられることが好ましい。
金属部材1Bdとは、例えば銅板などがある。このように軟質の金属部材1Bdを設けることで、トラニオン41と挿入部1Ba1との相互間に摺動が生じた場合であっても金属部材1Bd側が傷つくことでトラニオン41側への傷付きを防止することができる。
また、本実施形態の支持機構1Bでは、挿入部1Ba1の係止穴47の内周面47aと接触し得る部分に、高摩擦処理1Beが施されることが好ましい。
高摩擦処理1Beとは、例えば、亜鉛皮膜を施すことである。このように高摩擦処理1Beを施すことで、トラニオン41と挿入部1Ba1との相互間における摺動の発生を防ぎ、相対的な回転移動を行わせるように助勢することができる。
また、本実施形態の支持機構1Bでは、支持体1Baは、トラニオン41を介してキャスク11を吊り上げる吊装置51に設けられる。
この支持機構1Bによれば、キャスク11を吊り上げる際において、トラニオン41と支持体1Baとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
また、本実施形態の支持機構1Bでは、転動体1Bbは、潤滑に油脂等を用いない方式を適用することが好ましい。
この支持機構1Bによれば、キャスク11をプールに吊り上げ吊り下げする際において、転動体1Bbからプールに油脂類の溶出や脱落等によるプール水の水質低下を防ぐことができる。また、潤滑に油脂等と用いない方式とすることで、プールでの吊り上げ吊り下げ作業を行った後の支持機構1Bの除染作業を容易に行うことができる。なお、キャスク11が製造工場や発電所に入荷する前であれば転動体1Bbの潤滑に油脂類等を用いた方式を適用することができる。
[実施形態3]
図12は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の側断面図である。図12に示すように、本実施形態の支持機構1C(1)は、トラニオン41を支持する支持体1Caと、支持体1Caに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Cbと、を備える。
本実施形態の支持機構1Cは、トラニオン41の掛止部46を挿入してキャスク11を支持するものである。このため、支持体1Caは、掛止部46が挿入される挿入孔部1Ca1を有している。挿入孔部1Ca1は、掛止部46が挿入された場合にトラニオン41の掛止部46の外周を囲む円環状の外形部1Ca2の内側に設けられている。
また、転動体1Cbは、吊装置51のアーム53に対して外形部1Ca2を回転可能に支持するもので、例えば、ベアリングとして構成されている。すなわち、転動体1Cbは、内輪1Cb1が外形部1Ca2の外周に取り付けられ、外輪1Cb2が吊装置51のアーム53に固定される円環状の固定部1Ccに取り付けられて、内輪1Cb1と外輪1Cb2との間で保持器(図示略)に支持されたコロまたは球体からなる。
この支持機構1Cは、支持体1Caの挿入孔部1Ca1にトラニオン41の掛止部46が挿入されてその周面部46aに挿入孔部1Ca1の内周面が接触することでトラニオン41を支持し、かつ転動体1Cbにより挿入孔部1Ca1を有する外形部1Ca2が回転可能に設けられている。従って、上述したキャスク11の移送工程において、キャスク11を立てた状態から横倒しにする際、トラニオン41が支持機構1Cに対して相対的に回転移動するが、トラニオン41の掛止部46が挿入された外形部1Ca2が転動体1Cbを介してトラニオン41とともに回転することで、トラニオン41の回転移動を案内する。
このように、本実施形態の支持機構1Cは、トラニオン41を支持する支持体1Caと、支持体1Caに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Cbと、を備えることで、トラニオン41側と支持体1Ca側との相対的な回転移動を転動体1Cbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する。このため、トラニオン41と支持体1Caとの間での擦れ合いを防ぐことができる。この結果、トラニオン41に傷が付く事態を防ぐことができる。また、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合であっても、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことができる。また、擦れ合うことで締め付けが低下することもないため、トラニオン41の抜け落ちやトラニオン41またはキャスク11が破損する事態を防ぐことができる。しかも、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合に、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことから、締め付けトルクに耐えるように構造強度を高めることがなく、これによりトラニオン41の大型化を防ぐことができる。
そして、本実施形態の支持機構1Cでは、上述したように、トラニオン41は、円柱形状に突出された掛止部46を有して形成され、支持体1Caは、掛止部46が挿入される挿入孔部1Ca1を有し、転動体1Cbは、支持体1Caを回転移動可能に支持することで、トラニオン41側と支持体1Ca側との相対的な回転移動を転動体1Cbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する作用を実現することができ、トラニオン41と支持体1Caとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
なお、図12に示すように、支持体1Caは、掛止部46の外周を囲む外形部1Ca2を有し、この外形部1Ca2に転動体1Cbが取り付けられている。このため、図10に示す実施形態1のように荷重点が支持位置から張り出さないような構成とし、転動体1Cbを1箇所に配置しても十分な耐荷重を確保することができる。この結果、転動体1Cbにかかるコストを低減することができる。
また、本実施形態の支持機構1Cでは、挿入孔部1Ca1の掛止部46の周面部46aと接触し得る部分に、掛止部46の周面部46aを構成する金属よりも軟質の金属部材1Cdが設けられることが好ましい。
金属部材1Cdとは、例えば銅板などがある。このように軟質の金属部材1Cdを設けることで、トラニオン41と挿入孔部1Ca1との相互間に摺動が生じた場合であっても金属部材1Cd側が傷つくことでトラニオン41側への傷付きを防止することができる。
また、本実施形態の支持機構1Cでは、挿入孔部1Ca1の掛止部46の周面部46aと接触し得る部分に、高摩擦処理1Ceが施されることが好ましい。
高摩擦処理1Ceとは、例えば、亜鉛皮膜を施すことである。このように高摩擦処理1Ceを施すことで、トラニオン41と挿入孔部1Ca1との相互間における摺動の発生を防ぎ、相対的な回転移動を行わせるように助勢することができる。
また、本実施形態の支持機構1Cでは、支持体1Caは、トラニオン41を介してキャスク11を吊り上げる吊装置51に設けられる。
この支持機構1Cによれば、キャスク11を吊り上げる際において、トラニオン41と支持体1Caとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
また、本実施形態の支持機構1Cでは、転動体1Cbは、潤滑に油脂等を用いない方式を適用することが好ましい。
この支持機構1Cによれば、キャスク11をプールに吊り上げ吊り下げする際において、転動体1Cbからプールに油脂類の溶出や脱落等によるプール水の水質低下を防ぐことができる。また、潤滑に油脂等と用いない方式とすることで、プールでの吊り上げ吊り下げ作業を行った後の支持機構1Cの除染作業を容易に行うことができる。なお、キャスク11が製造工場や発電所に入荷する前であれば転動体1Cbの潤滑に油脂類等を用いた方式を適用することができる。
[実施形態4]
図13は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の側断面図であり、図14は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の正面視断面図である。図13および図14に示すように、本実施形態の支持機構1D(1)は、トラニオン41を支持する支持体1Daと、支持体1Daに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Dbと、を備える。
本実施形態の支持機構1Dは、トラニオン41の掛止部46を下方に配置されてキャスク11を支持するものである。このため、支持体1Daは、トラニオン41の掛止部46の下方に配置される。本実施形態において、支持体1Daは、掛止部46が挿入される挿入孔部1Da1を有している。挿入孔部1Da1は、掛止部46が挿入された場合にトラニオン41の掛止部46の外周を囲む円環状の外形部1Da2の内側に設けられている。この外形部1Da2は、吊装置51のアーム53に対して固定されている。
また、転動体1Dbは、トラニオン41を回転可能に支持するものである。本実施形態において、転動体1Dbは、支持体1Daの挿入孔部1Da1の下半部の内周に沿う外面と、トラニオン41の掛止部46における周面部46aの下半部に沿う内面とを有する図14の正面視でC形の芯部材1Db1に、この芯部材1Db1の外面および内面に連なって図14の正面視でC形環状の内輪1Db2が設けられ、この内輪1Db2のC形環状に沿って屈曲自在(例えばチェーン構造)の保持器1Db3に支持されたコロまたは球体からなる。
この支持機構1Dは、支持体1Daの挿入孔部1Da1にトラニオン41の掛止部46が挿入されてその周面部46aの下方に転動体1Dbが接触することで転動体1Dbを介して支持体1Daによりトラニオン41を支持し、かつ転動体1Dbが掛止部46と支持体1Daとの間で転動しつつ掛止部46の周面部46aに沿って循環移動可能に設けられている。従って、上述したキャスク11の移送工程において、キャスク11を立てた状態から横倒しにする際、トラニオン41が支持機構1Dに対して相対的に回転移動するが、転動体1Dbが転動しつつ掛止部46の周面部46aに沿って循環移動することで、トラニオン41の回転移動を案内する。
このように、本実施形態の支持機構1Dは、トラニオン41を支持する支持体1Daと、支持体1Daに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Dbと、を備えることで、トラニオン41側と支持体1Da側との相対的な回転移動を転動体1Dbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する。このため、トラニオン41と支持体1Daとの間での擦れ合いを防ぐことができる。この結果、トラニオン41に傷が付く事態を防ぐことができる。また、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合であっても、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことができる。また、擦れ合うことで締め付けが低下することもないため、トラニオン41の抜け落ちやトラニオン41またはキャスク11が破損する事態を防ぐことができる。しかも、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合に、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことから、締め付けトルクに耐えるように構造強度を高めることがなく、これによりトラニオン41の大型化を防ぐことができる。
そして、本実施形態の支持機構1Dでは、上述したように、トラニオン41は、円柱形状に突出された掛止部46を有して形成され、支持体1Daは、掛止部46の下方に配置され、転動体1Dbは、掛止部46と支持体1Daとの間で掛止部46の周面部46aに接触して転動しつつ掛止部46の周面部46aに沿って循環移動可能に設けられることで、トラニオン41側と支持体1Da側との相対的な回転移動を転動体1Dbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する作用を実現することができ、トラニオン41と支持体1Daとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
なお、図13に示すように、支持体1Daは、掛止部46の外周を囲む外形部1Da2を有し、この外形部1Da2に転動体1Dbが取り付けられている。このため、図10に示す実施形態1のように荷重点が支持位置から張り出さないような構成とし、転動体1Dbを1箇所に配置しても十分な耐荷重を確保することができる。この結果、転動体1Dbにかかるコストを低減することができる。
また、本実施形態の支持機構1Dでは、掛止部46の周面部46aに、転動体1Dbよりも軟質の金属部材1Ddを設けることが好ましい。
金属部材1Ddとは、例えば銅板などがある。このように軟質の金属部材1Ddを設けることで、トラニオン41と転動体1Dbとの相互間に摺動が生じた場合であっても金属部材1Dd側が傷つくことでトラニオン41側への傷付きを防止することができる。
また、本実施形態の支持機構1Dでは、支持体1Daは、トラニオン41を介してキャスク11を吊り上げる吊装置51に設けられる。
この支持機構1Dによれば、キャスク11を吊り上げる際において、トラニオン41と支持体1Daとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
また、本実施形態の支持機構1Dでは、転動体1Dbは、潤滑に油脂等を用いない方式を適用することが好ましい。
この支持機構1Dによれば、キャスク11をプールに吊り上げ吊り下げする際において、転動体1Dbからプールに油脂類の溶出や脱落等によるプール水の水質低下を防ぐことができる。また、潤滑に油脂等と用いない方式とすることで、プールでの吊り上げ吊り下げ作業を行った後の支持機構1Dの除染作業を容易に行うことができる。なお、キャスク11が製造工場や発電所に入荷する前であれば転動体1Dbの潤滑に油脂類等を用いた方式を適用することができる。
[実施形態5]
図15は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の側断面図であり、図16は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の正面視断面図である。図15および図16に示すように、本実施形態の支持機構1E(1)は、トラニオン41を支持する支持体1Eaと、支持体1Eaに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Ebと、を備える。
本実施形態の支持機構1Eは、トラニオン41の掛止部46を下方に配置されてキャスク11を支持するものである。このため、支持体1Eaは、トラニオン41の掛止部46の下方に配置される。本実施形態において、支持体1Eaは、掛止部46が挿入される挿入孔部1Ea1を有している。挿入孔部1Ea1は、掛止部46が挿入された場合にトラニオン41の掛止部46の外周を囲む円環状の外形部1Ea2の内側に設けられている。この外形部1Ea2は、吊装置51のアーム53に対して固定されている。
また、転動体1Ebは、トラニオン41を回転可能に支持するものである。本実施形態において、転動体1Ebは、支持体1Eaの挿入孔部1Ea1の下半部の内周に固定されてトラニオン41の掛止部46における周面部46aの下半部に沿う内面を有する図16の正面視でC形の支持部材1Eb1に、軸1Eb2により回転可能に支持されて内面に沿って複数設けられたコロからなる。
この支持機構1Eは、支持体1Eaの挿入孔部1Ea1にトラニオン41の掛止部46が挿入されてその周面部46aの下方に転動体1Ebが接触することで転動体1Ebを介して支持体1Eaによりトラニオン41を支持し、かつ転動体1Ebが掛止部46と支持体1Eaとの間で自転可能に設けられている。従って、上述したキャスク11の移送工程において、キャスク11を立てた状態から横倒しにする際、トラニオン41が支持機構1Eに対して相対的に回転移動するが、転動体1Ebが自転することで、トラニオン41の回転移動を案内する。
このように、本実施形態の支持機構1Eは、トラニオン41を支持する支持体1Eaと、支持体1Eaに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Ebと、を備えることで、トラニオン41側と支持体1Ea側との相対的な回転移動を転動体1Ebにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する。このため、トラニオン41と支持体1Eaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。この結果、トラニオン41に傷が付く事態を防ぐことができる。また、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合であっても、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことができる。また、擦れ合うことで締め付けが低下することもないため、トラニオン41の抜け落ちやトラニオン41またはキャスク11が破損する事態を防ぐことができる。しかも、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合に、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことから、締め付けトルクに耐えるように構造強度を高めることがなく、これによりトラニオン41の大型化を防ぐことができる。
そして、本実施形態の支持機構1Eでは、上述したように、トラニオン41は、円柱形状に突出された掛止部46を有して形成され、支持体1Eaは、掛止部46の下方に配置され、転動体1Ebは、掛止部46と支持体1Eaとの間で自転可能に支持体1Eaに取り付けられていることで、トラニオン41側と支持体1Ea側との相対的な回転移動を転動体1Ebにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する作用を実現することができ、トラニオン41と支持体1Eaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
なお、図15に示すように、支持体1Eaは、掛止部46の外周を囲む外形部1Ea2を有し、この外形部1Ea2に転動体1Ebが取り付けられている。このため、図10に示す実施形態1のように荷重点が支持位置から張り出さないような構成とし、転動体1Ebを1箇所に配置しても十分な耐荷重を確保することができる。この結果、転動体1Ebにかかるコストを低減することができる。
また、本実施形態の支持機構1Eでは、掛止部46の周面部46aに、転動体1Ebよりも軟質の金属部材1Edを設けることが好ましい。
金属部材1Edとは、例えば銅板などがある。このように軟質の金属部材1Edを設けることで、トラニオン41と転動体1Ebとの相互間に摺動が生じた場合であっても金属部材1Ed側が傷つくことでトラニオン41側への傷付きを防止することができる。
また、本実施形態の支持機構1Eでは、支持体1Eaは、トラニオン41を介してキャスク11を吊り上げる吊装置51に設けられる。
この支持機構1Eによれば、キャスク11を吊り上げる際において、トラニオン41と支持体1Eaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
また、本実施形態の支持機構1Eでは、転動体1Ebは、潤滑に油脂等を用いない方式を適用することが好ましい。
この支持機構1Aによれば、キャスク11をプールに吊り上げ吊り下げする際において、転動体1Ebからプールに油脂類の溶出や脱落等によるプール水の水質低下を防ぐことができる。また、潤滑に油脂等と用いない方式とすることで、プールでの吊り上げ吊り下げ作業を行った後の支持機構1Eの除染作業を容易に行うことができる。なお、キャスク11が製造工場や発電所に入荷する前であれば転動体1EAbの潤滑に油脂類等を用いた方式を適用することができる。
[実施形態6]
図17は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の正面視断面図である。図17に示すように、本実施形態の支持機構1F(1)は、トラニオン41を支持する支持体1Faと、支持体1Faに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Fbと、を備える。
本実施形態の支持機構1Fは、トラニオン41の掛止部46を下方に配置されてキャスク11を支持するものである。このため、支持体1Faは、トラニオン41の掛止部46の下方に配置される。本実施形態において、支持体1Faは、掛止部46が挿入される挿入凹部1Fa1を有している。挿入凹部1Fa1は、掛止部46が挿入された場合にトラニオン41の掛止部46の下方外周を囲む半円形状の外形部1Fa2の内側に設けられている。この外形部1Fa2は、架台装置61の支柱63の上端に対して固定されている。なお、図には明示しないが、支持体1Faは、外形部1Fa2の上方にトラニオン41の掛止部46の上方外周を囲む逆半円形状の支持部材を着脱可能に設け、キャスク11を横倒しの状態で支持する場合のトラニオン41の外れ止めとする。
また、転動体1Fbは、トラニオン41を回転可能に支持するものである。本実施形態において、転動体1Fbは、支持体1Faの挿入凹部1Fa1の内周に沿う外面と、トラニオン41の掛止部46における周面部46aの下半部に沿う内面とを有する正面視でC形の芯部材1Fb1に、この芯部材1Fb1の外面および内面に連なって正面視でC形環状の内輪1Fb2が設けられ、この内輪1Fb2のC形環状に沿って屈曲自在(例えばチェーン構造)の保持器1Fb3に支持されたコロまたは球体からなる。
この支持機構1Fは、支持体1Faの挿入凹部1Fa1にトラニオン41の掛止部46が挿入されてその周面部46aの下方に転動体1Fbが接触することで転動体1Fbを介して支持体1Faによりトラニオン41を支持し、かつ転動体1Fbが掛止部46と支持体1Faとの間で転動しつつ掛止部46の周面部46aに沿って循環移動可能に設けられている。従って、上述したキャスク11の移送工程において、キャスク11を立てた状態から横倒しにする際、トラニオン41が支持機構1Fに対して相対的に回転移動するが、転動体1Fbが転動しつつ掛止部46の周面部46aに沿って循環移動することで、トラニオン41の回転移動を案内する。
このように、本実施形態の支持機構1Fは、トラニオン41を支持する支持体1Faと、支持体1Faに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Fbと、を備えることで、トラニオン41側と支持体1Fa側との相対的な回転移動を転動体1Fbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する。このため、トラニオン41と支持体1Faとの間での擦れ合いを防ぐことができる。この結果、トラニオン41に傷が付く事態を防ぐことができる。また、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合であっても、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことができる。また、擦れ合うことで締め付けが低下することもないため、トラニオン41の抜け落ちやトラニオン41またはキャスク11が破損する事態を防ぐことができる。しかも、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合に、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことから、締め付けトルクに耐えるように構造強度を高めることがなく、これによりトラニオン41の大型化を防ぐことができる。
そして、本実施形態の支持機構1Fでは、上述したように、トラニオン41は、円柱形状に突出された掛止部46を有して形成され、支持体1Faは、掛止部46の下方に配置され、転動体1Fbは、掛止部46と支持体1Faとの間で掛止部46の周面部46aに接触して転動しつつ掛止部46の周面部46aに沿って循環移動可能に設けられることで、トラニオン41側と支持体1Fa側との相対的な回転移動を転動体1Fbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する作用を実現することができ、トラニオン41と支持体1Faとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
なお、図17に示すように、支持体1Faは、掛止部46の下方に配置される外形部1Fa2を有し、この外形部1Fa2に転動体1Fbが取り付けられている。このため、図10に示す実施形態1のように荷重点が支持位置から張り出さないような構成とし、転動体1Fbを1箇所に配置しても十分な耐荷重を確保することができる。この結果、転動体1Fbにかかるコストを低減することができる。
また、本実施形態の支持機構1Fでは、掛止部46の周面部46aに、転動体1Fbよりも軟質の金属部材1Fdを設けることが好ましい。
金属部材1Fdとは、例えば銅板などがある。このように軟質の金属部材1Fdを設けることで、トラニオン41と転動体1Fbとの相互間に摺動が生じた場合であっても金属部材1Fd側が傷つくことでトラニオン41側への傷付きを防止することができる。
また、本実施形態の支持機構1Fでは、支持体1Faは、トラニオン41を介してキャスク11を支える床置きの架台装置61に設けられる。
すなわち、上述したトラニオン41は、キャスク11の少なくとも蓋部12側の相反する方向に突出する2箇所、および底部23側の相反する方向に突出する2箇所の計4箇所に設けられている。そして、キャスク11を立てた状態から架台装置61に横置きにする場合、蓋部12側の1対のトラニオン41を介して吊装置51によりキャスク11を吊り上げ、底部23側の1対のトラニオン41を、架台装置61の対向する2箇所の支柱63に置き、この底部23側の1対のトラニオン41を支点にキャスク11を傾けて、吊り上げている蓋部13側の1対のトラニオン41を他の対向する2箇所の支柱63に置くことでキャスク11が横倒しの状態で架台装置61に支持される。また、キャスク11を横置きの状態から立てる場合は上述工程を逆に行う。従って、この支持機構1Fによれば、架台装置61の支柱に支持体1Faを設けることで、キャスク11を床に載置する際において、トラニオン41と支持体1Faとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
[実施形態7]
図18は、本実施形態に係る放射性物質収納容器支持機構の正面視断面図である。図18に示すように、本実施形態の支持機構1G(1)は、トラニオン41を支持する支持体1Gaと、支持体1Gaに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Gbと、を備える。
本実施形態の支持機構1Gは、トラニオン41の掛止部46を下方に配置されてキャスク11を支持するものである。このため、支持体1Gaは、トラニオン41の掛止部46の下方に配置される。本実施形態において、支持体1Gaは、掛止部46が挿入される挿入凹部1Ga1を有している。挿入凹部1Ga1は、掛止部46が挿入された場合にトラニオン41の掛止部46の下方外周を囲む半円形状の外形部1Ga2の内側に設けられている。この外形部1Ga2は、架台装置61の支柱63の上端に対して固定されている。なお、図には明示しないが、支持体1Gaは、外形部1Ga2の上方にトラニオン41の掛止部46の上方外周を囲む逆半円形状の支持部材を着脱可能に設け、キャスク11を横倒しの状態で支持する場合のトラニオン41の外れ止めとする。
また、転動体1Gbは、トラニオン41を回転可能に支持するものである。本実施形態において、転動体1Gbは、支持体1Gaの挿入凹部1Ga1の内周に固定されてトラニオン41の掛止部46における周面部46aの下半部に沿う内面を有する正面視でC形の支持部材1Gb1に、軸1Gb2により回転可能に支持されて内面に沿って複数設けられたコロからなる。
この支持機構1Gは、支持体1Gaの挿入凹部1Ga1にトラニオン41の掛止部46が挿入されてその周面部46aの下方に転動体1Gbが接触することで転動体1Gbを介して支持体1Gaによりトラニオン41を支持し、かつ転動体1Gbが掛止部46と支持体1Gaとの間で自転可能に設けられている。従って、上述したキャスク11の移送工程において、キャスク11を立てた状態から横倒しにする際、トラニオン41が支持機構1Gに対して相対的に回転移動するが、転動体1Gbが自転することで、トラニオン41の回転移動を案内する。
このように、本実施形態の支持機構1Gは、トラニオン41を支持する支持体1Gaと、支持体1Gaに設けられてトラニオン41の回転移動を案内する転動体1Gbと、を備えることで、トラニオン41側と支持体1Ga側との相対的な回転移動を転動体1Gbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する。このため、トラニオン41と支持体1Gaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。この結果、トラニオン41に傷が付く事態を防ぐことができる。また、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合であっても、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことができる。また、擦れ合うことで締め付けが低下することもないため、トラニオン41の抜け落ちやトラニオン41またはキャスク11が破損する事態を防ぐことができる。しかも、トラニオン41がネジ込み式で胴本体21に取り付けられる構成の場合に、擦れ合いにより締め付けが増大するような事態を防ぐことから、締め付けトルクに耐えるように構造強度を高めることがなく、これによりトラニオン41の大型化を防ぐことができる。
そして、本実施形態の支持機構1Gでは、上述したように、トラニオン41は、円柱形状に突出された掛止部46を有して形成され、支持体1Gaは、掛止部46の下方に配置され、転動体1Gbは、掛止部46と支持体1Gaとの間で自転可能に支持体1Gaに取り付けられていることで、トラニオン41側と支持体1Ga側との相対的な回転移動を転動体1Gbにより案内し、相互間の摺動抵抗を低減する作用を実現することができ、トラニオン41と支持体1Gaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。
なお、図18に示すように、支持体1Gaは、掛止部46の下方に配置される外形部1Ga2を有し、この外形部1Ga2に転動体1Gbが取り付けられている。このため、図10に示す実施形態1のように荷重点が支持位置から張り出さないような構成とし、転動体1Gbを1箇所に配置しても十分な耐荷重を確保することができる。この結果、転動体1Gbにかかるコストを低減することができる。
また、本実施形態の支持機構1Gでは、掛止部46の周面部46aに、転動体1Gbよりも軟質の金属部材1Gdを設けることが好ましい。
金属部材1Gdとは、例えば銅板などがある。このように軟質の金属部材1Gdを設けることで、トラニオン41と転動体1Gbとの相互間に摺動が生じた場合であっても金属部材1Gd側が傷つくことでトラニオン41側への傷付きを防止することができる。
また、本実施形態の支持機構1Gでは、支持体1Gaは、トラニオン41を介してキャスク11を支える床置きの架台装置61に設けられる。
すなわち、上述したトラニオン41は、キャスク11の少なくとも蓋部12側の相反する方向に突出する2箇所、および底部23側の相反する方向に突出する2箇所の計4箇所に設けられている。そして、キャスク11を立てた状態から架台装置61に横置きにする場合、蓋部12側の1対のトラニオン41を介して吊装置51によりキャスク11を吊り上げ、底部23側の1対のトラニオン41を、架台装置61の対向する2箇所の支柱63に置き、この底部23側の1対のトラニオン41を支点にキャスク11を傾けて、吊り上げている蓋部13側の1対のトラニオン41を他の対向する2箇所の支柱63に置くことでキャスク11が横倒しの状態で架台装置61に支持される。また、キャスク11を横置きの状態から立てる場合は上述工程を逆に行う。従って、この支持機構1Gによれば、架台装置61の支柱に支持体1Gaを設けることで、キャスク11を床に載置する際において、トラニオン41と支持体1Gaとの間での擦れ合いを防ぐことができる。