JP6172076B2 - トランクリッドヒンジ構造 - Google Patents

Description

本発明は、トランクリッドヒンジ構造に関し、特に、トランクリッドヒンジをカバーするヒンジカバーのトランクリッドヒンジへの取付作業性を向上させる技術に関する。

従来、車両の後部に形成されたトランクルーム開口は、前端部にトランクリッドヒンジが設けられたトランクリッドが上下方向に回動することによって開閉される。トランクリッドヒンジには、例えば、一端側が車体に回動自在に固定された略直線状の軸支部と該軸支部の他端から湾曲して延出しトランクリッドに連結される湾曲部とを有する所謂スワンヒンジであり、トランクルーム開放時にトランクルーム開口の開口量を大きく確保している。

上記トランクリッドヒンジは、通常、車体と同様に金属製であって、車体と同一色に塗装されているが、より見栄えを高めたいというニーズがある。また、トランクリッドには、通常、電磁ロック機構やライセンスプレートランプが設けられており、それらへ電力を供給するためのハーネスがトランクリッドヒンジに沿って固定されている。その場合、ハーネスが露出するため、トランクリッドヒンジの見映え向上のニーズはより一層高くなっている。このようなニーズを満たすべく、特許文献１には、トランクリッドヒンジの全周を覆う２分割構造のヒンジカバーが開示されている。

特許第３２６０１１４号公報

しかしながら、特許文献１のヒンジカバーは、２つの分割体からなるため、部品点数が多い。また、このヒンジカバーでは、各分割体の位置決めが困難であるため、組付性に難がある。

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を抑えつつ、ヒンジカバーをトランクリッドヒンジに簡単に組み付けることにある。

上記の目的を達成するために、本発明は、パイプ状のトランクリッドヒンジの上端に形成された開口を利用してトランクリッドヒンジカバーをトランクリッドヒンジに仮固定するものである。

具体的には、本発明は、一端部がトランクルーム開口の外周縁部に回動可能に支持され、かつ他端部が該トランクルーム開口を開閉するトランクリッドに連結されて該トランクリッドを開閉可能に支持し、トランクルーム開放状態において略上下方向に延びる、長尺のトランクリッドヒンジをカバーするパイプ状のトランクリッドヒンジカバーを備えたトランクリッドヒンジ構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。

すなわち、第１の発明は、上記トランクリッドヒンジカバーは、単一物からなり、トランクルーム開放状態において、上記トランクリッドヒンジの上端に形成された開口に挿入されて係止する係止片を有することを特徴とする。

第１の発明によれば、トランクリッドヒンジカバーをトランクリッドヒンジに組み付ける際には、トランクルーム開放状態においてトランクリッドヒンジの上端の開口に、トランクリッドヒンジカバーの係止片を上方から差し込むだけで、簡単に仮固定することができる。また、係止片が係止された状態でトランクリッドヒンジカバーが位置決めされる。さらに、係止片がトランクリッドヒンジカバーに一体に設けられているので、部品点数を抑えることができる。

第２の発明は、第１の発明において、上記トランクリッドヒンジカバーの車両後方側の面の上記係止片に対応する箇所には、開口部が形成され、上記係止片は、該開口部の内側に突出するように延びていることを特徴とする。

第２の発明によれば、係止片が開口部の内側に突出するように延びているので、外部から係止片を確認しやすい。そのため、トランクリッドヒンジカバーを車両後方側からトランクリッドヒンジに組み付ける際に、係止片の位置を確認しながら係止片をトランクリッドヒンジの開口に差し込むことができる。よって、組付性をさらに向上させることができる。

第３の発明は、第２の発明において、上記係止片の基端部の車幅方向両側には、上記トランクリッドヒンジの板厚と同程度の幅を有する溝が形成され、該溝に上記開口の周縁部が嵌まり込むことを特徴とする。

第３の発明によれば、係止片をトランクリッドヒンジの開口に挿入した状態で、この開口の周縁部が係止片の基端部の車幅方向両側の溝に嵌り込む。したがって、係止片が車幅方向にずれにくく、トランクリッドヒンジカバーの車幅方向の位置決め性が向上する。

第４の発明は、第１乃至第３のいずれか１つの発明において、上記トランクリッドヒンジカバーは、上記トランクリッドヒンジの上記開口を覆う蓋部をさらに有することを特徴とする。

第４の発明によれば、トランクリッドヒンジの開口に差し込まれた係止片と、当該開口を覆う蓋部と、によってトランクリッドヒンジカバーの先端部が断面Ｌ字状となり、剛性が向上する。

以上、本発明によれば、部品点数を抑えつつ、ヒンジカバーをトランクリッドヒンジに簡単に組み付けることができる。

トランクルーム開放状態における本発明の実施形態に係るトランクリッドヒンジ構造を備えた自動車を後斜め上方から見た斜視図である。 トランクルーム開放状態におけるトランクリッドヒンジとトランクリッドとの連結部分を示す斜視図である。 トランクリッドトリムを取り外した状態における図２相当図である。 トランクリッドトリム及びトランクリッドヒンジカバーを取り外した状態における図２相当図である。 トランクルーム開放状態におけるカバー係止部を示す斜視図であって、（ａ）は車幅方向外側から見た図であり、（ｂ）は車幅方向内側から見た図である。 カバー係止部を示す平面図である。 図６のVII-VII線断面図である。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。

図１は、本実施形態に係るトランクリッドヒンジ構造を備えた自動車を後斜め上方から見た斜視図である。自動車の車体１は、その後部にトランクルーム３を有し、このトランクルーム３の開口（以下、トランクルーム開口という）５がトランクリッド７によって開閉される。

上記トランクリッド７は、トランクルーム３閉鎖状態でトランクルーム開口５を覆うパネル状をなし、車体後方に向けて若干下方に傾斜して延びる矩形パネル部７ａと、矩形パネル部７ａの後端縁から後方に向けて下方に大きく傾斜して徐々に幅を狭めながら一体に延びる左右対称な台形パネル部７ｂとによって側方から見て断面略への字状に形成されている。矩形パネル部７ａは、トランクリッド７の主面を構成している。

矩形パネル部７ａの裏面における車体前端部の車幅方向両端と、トランクルーム開口５の車体前端の車幅方向両端とは、一対のトランクリッドヒンジ（以下、単にヒンジという。）９，９によって連結されている。該一対のヒンジ９，９は、トランクリッド７を開閉可能に支持している。図１は、トランクリッド７を跳ね上げた状態を示している。

各ヒンジ９は、見映え向上を目的として、トランクリッドヒンジカバー（以下、単にヒンジカバーという。）１１によって主に外部から視認可能な部分をカバーされている。なお、図１では、左側のヒンジ９にヒンジカバー１１が取り付けられ、右側のヒンジ９にヒンジカバー１１が取り付けられていない状態を示している。また、図１では、ヒンジカバー１１を模式的に示している。

ここで、左右のトランクリッドヒンジ構造は互いに略同一であるため、以下では、左側に設けられたヒンジ構造について主に説明する。また、以下では、トランクルーム３が開放されて、ヒンジ９，９が略上下方向に延びる状態に基づいて説明する。図２は、トランクルーム３開放状態における左側のヒンジ９とトランクリッド７との連結部分を示す斜視図である。また、図３は、後述するトランクリッドトリム１３を取り外した状態における図２相当図であり、図４は、トランクリッドトリム１３及びヒンジカバー１１を取り外した状態における図２相当図である。

ヒンジ９は、長尺且つ四角筒状の金属パイプ材を鉤状に曲げ加工したものである。ヒンジ９は、一端部が上記トランクルーム開口５の車体前端に回動可能に支持されている一方、他端部が上記トランクリッド７の裏面に取り付けられたトランクリッドトリム１３とトランクリッド７との間に形成された開口部７ｃに挿入固定されている。トランクリッドトリム１３は、図２に示すように、その周縁部が複数のクリップ１４，１４，…によってトランクリッド７に固定されることにより、取り付けられている。

ヒンジ９は、略水平に延びて前端部が上記トランクルーム開口５の車体前端に回動可能に支持される軸支部（図示せず）と、この軸支部後端から略鉛直上方に延びる直線部９ａと、直線部９ａの上端から前斜め上方に傾斜する傾斜部９ｂと、傾斜部９ｂの前端から略鉛直上方に延びて上記トランクリッド７の裏面に固定される固定部９ｃと、を備えている。この固定部９ｃは、図４に示すように、上下２箇所でトランクリッド７の裏面にボルト締結されている。固定部９ｃの上端には、矩形状の開口９ｄが形成されている。

トランクリッド７には、電磁ロック機構やライセンスプレートランプが設けられており、それらへ電力を供給するための電装品用ハーネス１５がヒンジ９に取付固定されている。ハーネス１５は、ヒンジ９の長手方向に間隔をあけて配設された複数の固定具１７，１７，…によってヒンジ９に固定されており、その一部は、図１及び図４に示すように、ヒンジ９の直線部９ａ及び傾斜部９ｂの車体後方側の面、並びに、固定部９ｃの車幅方向内側の面に沿って固定されている。

上記ヒンジカバー１１は、長尺の鋼板をヒンジ９の形状に合わせて曲げ加工した単一物であって、前方に開放された断面略コ字状をなしている。ヒンジカバー１１は、ヒンジ９の車両後側部分及び車幅方向両側部分を覆っている。

ヒンジカバー１１におけるヒンジ９の直線部９ａ及び傾斜部９ｂに対応する部位は、当該直線部９ａ及び傾斜部９ｂと略同程度の幅を有する。一方、ヒンジカバー１１における固定部９ｃに対応する部位は、当該固定部９ｃよりもやや幅広となっており、当該部位の上端部が固定部９ｃの開口９ｄ周縁部に係止する。そこで、このヒンジカバー１１における固定部９ｃの上端部に対応する部位を、カバー係止部１９とする。

図５はカバー係止部１９を示す斜視図であって、（ａ）は車幅方向外側から見た図であり、（ｂ）は車幅方向内側から見た図である。また、図６は、カバー係止部１９を示す正面図である。さらに、図７は、図６のVII-VII線断面図である。

カバー係止部１９は、固定部９ｃの車幅方向両側をカバーする一対の側壁部２１，２２と、両側壁部２１，２２の車両後方側端同士を連結する後壁部２３と、固定部９ｃの開口９ｄをカバーする蓋部２５と、を有している。

車幅方向外側の側壁部２１は、固定部９ｃよりもやや大きい前後幅を有し、車幅方向外側の面全体を覆って、前端面がトランクリッド７の裏面に接している。一方、車幅方向内側の側壁部２２は、固定部９ｃよりも小さい前後幅を有し、トランクリッド７の裏面との間に隙間が設けられている。この隙間を、固定部９ｃの車幅方向内側に沿って延びるハーネス１５が通って車幅方向内側へと延びている。

後壁部２３は、固定部９ｃよりも大きい車幅方向幅を有し、ヒンジ９の固定部９ｃ及びハーネス１５を車両後方から覆っている。後壁部２３の中央には、トランクリッドトリム１７をヒンジ９に固定するためのクリップ１４が挿通するクリップ挿通孔２７が形成され、このクリップ挿通孔２７の上方及び下方には、ヒンジ９をトランクリッド７に固定するためのボルト２９，２９が挿通するボルト挿通孔３１，３１が形成されている。

後壁部２３の上端部は、ヒンジカバー１１を覆うトランクリッドトリム１３の形状に沿って車両前方に僅かに窪んでおり、この窪んだ部位に上側のボルト挿通孔３１（開口部）が形成されている。したがって、このボルト挿通孔３１が形成されている部位は、他の部位よりも車両前方側に位置している。この上側のボルト挿通孔３１は、図６に示すように、上半部分が略半円状をなすと共に、下半部分が矩形状をなしており、上縁部から下方に矩形状の係止片３３が延びている。この係止片３３は、ヒンジ９の開口９ｄよりも幅狭であって、該開口９ｄに挿入可能となっている。また、係止片３３の基端部、即ち係止片３３の上端部の車幅方向両側には、ヒンジ９の板厚と略同一の幅を有する溝３５，３５が形成されており、各溝３５に開口９ｄの周縁部が嵌め込み可能となっている。さらに、係止片３３の表面には、上下方向に延びる一対の補強リブ３７，３７が車幅方向に間隔をあけて設けられている。

また、上側のボルト挿通孔３１の下半部分の車幅方向両端部には、一対の立設部３９，３９が設けられている。各立設部３９は、車両後方に突出する断面略Ｌ字状の縦壁部３９ａと、該縦壁部３９ａからボルト挿通孔３１の内側に張り出す矩形状の横壁部３９ｂと、を有している。

上記構成のヒンジカバー１１をヒンジ９に取り付ける際には、先ず、トランクリッド７を跳ね上げてトランクルーム３開放状態とする。この状態で、ヒンジ９は略上下方向に延びている。そして、ヒンジ９の後上方からヒンジカバー１１を近づけて、ヒンジカバー１１の上側のボルト挿通孔３１にヒンジ９の上端部を挿通させて、係止片３３をヒンジ９の開口９ｄに上方から差し込む。

そして、係止片３３が開口９ｄに差し込まれた状態で、ヒンジ９の車幅方向両側の側板部が係止片３３の基端部両側の溝３５，３５に嵌め込まれるため、ヒンジカバー１１が車幅方向にずれるのを防ぐことができる。

以上により、ヒンジカバー１１がヒンジ９に仮固定される。

その後、トランクリッドトリム１３をトランクリッド７及びヒンジカバー１１の後方から近付けて接触させ、クリップ１４，１４，…によってトランクリッドトリム１３をトランクリッド７及びヒンジ９に固定する。以上により、ヒンジカバー１１及びトランクリッドトリム１３のトランクリッド７への取付作業が終了する。

−発明の実施形態の効果−
上記実施形態によれば、ヒンジカバー１１をヒンジ９に組み付ける際には、トランクルーム３開放状態においてヒンジ９の上端の開口９ｄに、ヒンジカバー１１の係止片３３を上方から差し込むだけなので、簡単に仮固定することができる。また、係止片３３が係止された状態でヒンジカバー１１が位置決めされる。さらに、係止片３３がヒンジカバー１１に一体に設けられているので、部品点数を抑えることができる。

また、上記実施形態によれば、係止片３３が上側のボルト挿通孔３１の内側に突出するように延びているので、外部から係止片３３を確認しやすい。そのため、ヒンジカバー１１を車両後方側からヒンジ９に組み付ける際に、係止片３３の位置を確認しながら係止片３３をヒンジ９の開口９ｄに差し込むことができる。よって、組付性をさらに向上させることができる。

さらに、上記実施形態によれば、係止片３３をヒンジ９の開口９ｄに挿入した状態で、この開口９ｄの周縁部が係止片３３の基端部の車幅方向両側の溝３５，３５に嵌り込む。したがって、係止片３３が車幅方向にずれにくく、ヒンジカバー１１の車幅方向の位置決め性が向上する。

また、上記実施形態によれば、ヒンジ９の開口９ｄに差し込まれた係止片３３と、当該開口９ｄを覆う蓋部２５と、によってヒンジカバー１１の先端部が断面Ｌ字状となり、剛性が向上する。

（その他の実施形態）
上記実施形態では、ヒンジカバー１１の係止片３３が設けられている部位に開口部（上側のボルト挿通孔３１）が形成されているが、これに限定されず、このような開口部が設けられていなくてもよい。ただし、その場合、係止片３３をヒンジ９の開口９ｄに差し込む際に係止片３３を外部から視認することができないので、組付作業がやや難しくなる。そのため、作業性向上の観点から、上記のような開口部を設けるのが好ましい。

また、上記実施形態では、係止片３３の基端部の車幅方向両側に溝３５，３５が形成されているが、これに限定されず、当該溝３５，３５が形成されていなくてもよい。

さらに、上記実施形態では、ヒンジ９にハーネス１５が固定されているが、これに限定されず、ハーネス１５が固定されていなくてもよい。

以上説明したように、本発明に係るトランクリッドヒンジ取付構造は、部品点数を抑えつつ、ヒンジカバーをトランクリッドヒンジに簡単に組み付ける用途に適用することができる。

３ トランクルーム
５ トランクルーム開口
７ トランクリッド
９ トランクリッドヒンジ
９ｄ トランクリッドヒンジの開口
１１ トランクリッドヒンジカバー
２５ 蓋部
３１ 上側のボルト挿通孔（開口部）
３３ 係止片
３５ 溝

Claims (4)

1. 一端部がトランクルーム開口の外周縁部に回動可能に支持され、かつ他端部が該トランクルーム開口を開閉するトランクリッドに連結されて該トランクリッドを開閉可能に支持し、トランクルーム開放状態において略上下方向に延びる、長尺のトランクリッドヒンジをカバーするパイプ状のトランクリッドヒンジカバーを備えたトランクリッドヒンジ構造であって、
   上記トランクリッドヒンジカバーは、単一物からなり、トランクルーム開放状態において、上記トランクリッドヒンジの上端に形成された開口に挿入されて係止する係止片を有することを特徴とするトランクリッドヒンジ構造。
2. 請求項１に記載のトランクリッドヒンジ構造において、
   上記トランクリッドヒンジカバーの車両後方側の面における上記係止片に対応する箇所には、開口部が形成され、上記係止片は、該開口部の内側に突出するように延びていることを特徴とするトランクリッドヒンジ構造。
3. 請求項２に記載のトランクリッドヒンジ構造において、
   上記係止片の基端部の車幅方向両側には、上記トランクリッドヒンジの板厚と同程度の幅を有する溝が形成され、該溝に上記開口の周縁部が嵌まり込むことを特徴とするトランクリッドヒンジ構造。
4. 請求項１乃至３のいずれか１項に記載のトランクリッドヒンジ構造において、
   上記トランクリッドヒンジカバーは、上記トランクリッドヒンジの上記開口を覆う蓋部をさらに有することを特徴とするトランクリッドヒンジ構造。

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