JP6171380B2 - アクチュエータ駆動システムと映像機器 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば圧電素子などによって傾動される可動部の傾動位置を検出する傾動位置検出装置と、この傾動位置検出装置を備えたアクチュエータ駆動システムと、このアクチュエータ駆動システムを備えた映像機器とに関する。
従来から、光源から射出されたレーザ光を二次元方向に走査する光スキャナーが知られている(特許文献1参照)。
かかる光スキャナーは、固定枠内に配置された可動枠とミラー部とを備え、可動枠は弾性変形可能な4つの曲がり梁によって固定枠に保持され、ミラー部は2つのトーションバーによって可動枠内に保持されている。可動枠は曲がり梁の弾性変形によって第1軸回りに回動し、ミラー部はトーションバーのねじれによって、2つのトーションバーと同軸上の第2軸回りに回動するようになっている。第1軸と第2軸とは直交している。
各曲がり梁の表面には、圧電素子が取り付けられており、この圧電素子の伸縮により曲がり梁が弾性変形して可動枠及びミラー部が第1軸回りに回動し、曲がり梁の曲がりに応じて可動枠に第2軸回りの回転トルクが与えられ、トーションバーを介してミラー部が第2軸回りに回動するようになっている。このミラー部の第1軸及び第2軸回りの回動により、レーザ光を二次元方向に走査するようになっている。
また、可動枠やミラー部の動きは、発光素子の光を検出対象部に照射して、その反射光を受光素子で受光し、その反射光量の変化から検出する。
このような光スキャナーでは、ミラー部の動きを検出するために、光スキャナーとは別に、発光素子と受光素子とが必要であるという問題がある。
この発明の目的は、発光素子と受光素子とを使用せずに、しかもノイズの影響を受けずに傾動部の傾動位置を検出することのできる傾動位置検出装置と、この傾動位置検出装置を備えたアクチュエータ駆動システムと、このアクチュエータ駆動システムを備えた映像機器とを提供することにある。
請求項1の発明は、可動部と、
前記可動部を支持する弾性変形部と、
前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部を変形させることで前記可動部を傾動させる駆動手段と、
前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第1変形検出手段と、
前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第2変形検出手段と、
前記第1,第2変形検出手段の出力信号の差である差信号を増幅して出力する差動増幅回路器と、
前記差信号から前記可動部の傾動位置を検出する検出部と、を備え、
前記弾性変形部は第1,第2弾性変形部が連続した折り返し構造を有し、該第1,第2弾性変形部の弾性変形により前記可動部は第1軸回りに傾動し、
前記第1変形検出手段は、前記第1弾性変形部に設けられ、
前記第2変形検出手段は、前記第2弾性変形部に設けられ、
前記検出部は、前記可動部の前記第1軸回りの傾動位置を検出することを特徴とする。
請求項2の発明は、可動部と、
前記可動部を支持する弾性変形部と、
前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部を変形させることで前記可動部を傾動させる駆動手段と、
前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第1変形検出手段と、
前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第2変形検出手段と、
前記第1,第2変形検出手段の出力信号の差である差信号を増幅して出力する差動増幅器と、
前記差信号から前記可動部の傾動位置を検出する検出部と、を備え、
前記駆動手段は、電圧印加により変形して前記弾性変形部を変形させる駆動用圧電素子であり、
前記第1,第2変形検出手段は、第1,第2弾性変形部の変形に伴って変形することで電気信号を生じる圧電素子によって形成された検出用圧電素子であることを特徴とする。
この発明によれば、発光素子や受光素子を使用せずに、しかもノイズの影響を受けすに傾動部の傾動位置を検出することができる。
この発明に係るアクチュエータ駆動システムの構成を概略的に示したブロック図である。 図1に示すアクチュエータ駆動システムのメムスユニットのフレーム板を示した平面図である。 図2に示すフレーム板の各部と、この各部に取り付けた駆動用圧電素子と検出用圧電素子とを示した説明図である。 図3に示す駆動用圧電素子と検出用圧素子の電気的な接続関係を示した説明図である。 駆動用圧電素子に印加される鋸波電圧と、ミラーの傾動位置とを示した説明図である。 図2に示すフレーム板の弾性変形部の変形状態とミラーのY方向の傾動状態を示した斜視図である。 図6とは逆方向にミラーが傾動した状態を示したフレーム板の斜視図である。 図6に示す位置へミラーが傾動した場合の反射光の反射方向を示した説明図である。 図7に示す位置へミラーが傾動した場合の反射光の反射方向を示した説明図である。 共振電圧VdとミラーのX方向に対する傾動状態との関係を示した説明図である。 検出部の増幅回路の構成を示した回路図である。 差動増幅回路の構成を示した回路図である。 各フィルタの構成を示した回路図である。 傾動位置検出装置の構成を示した回路図である。 パッシブフィルタの構成を示した回路図である。 アクティブローパスフィルタの構成を示した回路図である。 計装アンプの構成を示した回路図である。 第2実施例のアクチュエータ駆動システムの構成を示した説明図である。 第3実施例のアクチュエータ駆動システムの構成を示した説明図である。 映像機器の構成を示した説明図である。
以下、この発明に係る傾動位置検出装置を備えたアクチュエータ駆動システムの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
図1にレーザ光を2次元方向に走査するアクチュエータ駆動システム1を示す。
このアクチュエータ駆動システム1は、メムスユニット100と、このメムスユニット100の後述する可動部17(図2参照)を傾動させる駆動部200と、
可動部17の傾動位置を求める傾動位置検出装置500を有する検出部300とを備えている。
駆動部200には、後述する鋸波電圧Va,Vb(図5参照)を出力する出力回路201と、後述する共振電圧Vd(図10参照)を出力する出力回路202とが設けられている。
検出部300には、増幅回路310と差動増幅回路(差動増幅器)330とが設けられている。
メムスユニット100は、図3に示すように、フレーム板10と、このフレーム板10の所定箇所に取り付けられた駆動用圧電素子20〜25と、検出用圧電素子30〜35とを有している。
[フレーム板]
フレーム板10は、図2に示すように、複数の切込K1〜K6によって形成された外周囲側に位置する固定フレーム11と、この固定フレーム11内に位置する弾性変形部12〜16と、可動部17を有している。
弾性変形部(第1弾性変形部)12は、一端が固定フレーム11に固定され、その他端が弾性変形部(第2弾性変形部)13の後部に固定されている。弾性変形部12と弾性変形部13とは切込K1,K2によって1回の折返し構造となっている。
同様に、弾性変形部(第1弾性変形部)14は、他端が固定フレーム11に固定され、その一端が弾性変形部(第2弾性変形部)15の後部に固定されている。弾性変形部14と弾性変形部15とは切込K3,K4によって1回の折返し構造となっている。
弾性変形部13の先端部には下方(図2において)に延びたアーム部18Lが連続形成され、このアーム部18Lの先端部が弾性変形部(第3弾性変形部)16の一端側の下部(図2において)に固定されている。一方、弾性変形部15の先端部が弾性変形部16の他端側の下部に固定されている。また、弾性変形部15の先端部には逆L字形のアーム部18Rが形成され、このアーム部18Rの先端部が弾性変形部13の先端部に固定されている。
弾性変形部16の上部の両端部には、切込K5,K6によって左右方向に延びた細い支持部19A,19Bが形成され、この支持部19A,19Bが可動部17を支持している。可動部17の表面はミラー17Mとなっている。
可動部1は、弾性変形部12〜15の弾性変形によりY方向(図2において左右方向)に傾動し、可動部17は弾性変形部16の弾性変形によりX方向(図2において上下方向)に傾動するようになっている。すなわち、可動部17は2軸回りに傾動するようになっている。
そして、弾性変形部12〜15の表面には、図3に示すように弾性変形部12〜15を弾性変形させる駆動用圧電素子(駆動手段)20〜23が取り付けられている。弾性変形部16の左右の両端側の表面には駆動用圧電素子(第3駆動手段)24,25が取り付けられている。
また、弾性変形部12〜15の表面には、弾性変形部12〜15の弾性変形量を検出する検出用圧電素子(変形検出手段)30〜33が駆動用圧電素子20〜23に隣接して取り付けられている。弾性変形部16の左右方向(図3において)の両端部の表面には、弾性変形部16の弾性変形を検出する検出用圧電素子(変形検出手段)34,35が駆動用圧電素子24,25に隣接して、すなわち近傍に取り付けられている。
図4に示すように、駆動用圧電素子(第1駆動手段)20の表面電極(図示せず)と駆動用圧電素子(第2駆動手段)23の表面電極(図示せず)とが共通の入力端子SDAに接続され、駆動用圧電素子(第2駆動手段)21の表面電極(図示せず)と駆動用圧電素子(第1駆動手段)22の表面電極(図示せず)とが共通の入力端子SDBに接続されている。また、駆動用圧電素子24の表面電極と駆動用圧電素子25の表面電極とが共通の入力端子MDに接続されている。各駆動用圧電素子20〜25の裏面電極(図示せず)はアースライン(図示せず)に接続されている。
入力端子SDAは、図1に示すように、駆動部200の出力回路201の出力端子201Aに接続され、入力端子SDBは出力回路201の出力端子201Bに接続されている。また、入力端子MDは出力回路202の出力端子202Aに接続されている。
各検出用圧電素子30〜33の表面電極には、図4に示すように出力端子SSA1,SSA2,SSB1,SSB2がそれぞれ接続され、各検出用圧電素子30〜33が検出する弾性変形量に応じた検出信号(検出電流)が出力端子SSA1,SSA2,SSB1,SSB2から出力されることになる。また、検出用圧電素子34,35の表面電極には、共通の出力端子MSが接続され、検出用圧電素子34,35が検出する弾性変形量に応じた検出信号(検出電流)が出力端子MSから出力されることになる。
駆動部200の出力回路201の出力端子201A,201Bからは、図5に示す鋸波電圧Va,Vbが出力されて入力端子SDA,SDBを介して駆動用圧電素子20,23、21,22に印加する。鋸波電圧Vaと鋸波電圧Vbとは位相が180度反転した電圧である。
この鋸波電圧Va,Vbにより、駆動用圧電素子20,23、21,22が伸縮して可動部17のミラー17MがY方向に対して傾動する。すなわち、X方向と平行なミラー17Mの中心を通るA軸回りに回動する(図4参照)。
図5は、ミラー17Mの傾きと、駆動用圧電素子20,23、21,22に印加する鋸波電圧Va,Vbとの関係を示す。時点t0では、ミラー17Mはミラー17Mを中心にして、すなわち図4のA軸(第1軸)回りに右側に最大傾き、時点t1では、鋸波電圧Vaは最大電圧の3/4、鋸波電圧Vbは最大電圧の1/4となり、ミラー17Mは最大傾斜と水平のおおよそ中間の傾きとなる。
時点t2では、鋸波電圧Vaは最大電圧の1/2、鋸波電圧Vbは最大電圧の1/2となり、ミラー17Mはおおよそ水平となる。時点t3では、鋸波電圧Vaは最大電圧の1/4、鋸波電圧Vbは最大電圧の3/4となり、ミラー17Mは時点t1の傾きと逆の傾きとなる。時点t4では、鋸波電圧Vaはゼロ、鋸波電圧Vbは最大電圧となり、ミラー17Mは時点t0の傾きと逆の傾きとなる。時点t5では、鋸波電圧Vaは最大電圧、鋸波電圧Vbはゼロとなり、ミラー17Mは時点t0と同じ傾きとなる。以下、同様な動作が繰り返されることになる。
図6は、時点t0,t5のフレーム板10の弾性変形部12〜16の弾性変形(傾動状態)と、ミラー17Mの傾動状態を示したものである。
時点t0,t5では、弾性変形部12,15が最大に変形(駆動用圧電素子20,23が最大に収縮)した状態を示す。
図7は、時点t4のフレーム板10の弾性変形部12〜16の弾性変形(傾動状態)と、ミラー17Mの傾動状態を示したものである。時点t4では、弾性変形部13,14が最大に変形(駆動用圧電素子21,22が最大に収縮)した状態を示す。
図8及び図9は、時点t0,t5と時点t4とのとき、ミラー17Mに光が入射した場合、その反射光の反射方向をそれぞれ示したものであり、ミラー17Mの傾きに応じて反射光はY方向(水平方向:図3において左右方向)に走査されることが分かる。
図10は、駆動用圧電素子24,25に印加する共振電圧Vdと、ミラー17MのX方向に対する傾動状態との関係を示したものである。時点t1では、共振電圧Vdはゼロであり、ミラー17Mの変位(傾動)はゼロである。時点t2では、駆動用圧電素子24,25が最大の中間ぐらいに収縮し、ミラー17Mはやや左へ傾動する。時点t3では、駆動用圧電素子24,25が最大に収縮し、ミラー17Mは左側へ最大に傾動する。このようにして、ミラー17MはX方向に傾動していく。すなわち、ミラー17Mは、Y方向と平行な第2軸回りに傾動する。
ミラー17MのX方向の傾動は、少ない投入エネルギーでできる限り大きな振幅を得るために共振で動作させる。共振電圧Vdは、共振周波数の電圧を示す。
[増幅回路]
増幅回路310は、検出用圧電素子34,35から出力される検出信号を増幅する増幅回路である。
この増幅回路310は、図11に示すように、検出用圧電素子34,35か出力される検出信号の電流を電圧に変換する電圧変換器(第3電圧変換器)311と、ローパスフィルタF1及びハイパスフィルタF2と、増幅器312とを有している。
電圧変換器311の反転入力端子と出力端子との間にローパスフィルタF1が接続され、非反転入力端子が接地されている。
電圧変換器311の出力端子はハイパスフィルタF2及び抵抗R1を介して増幅器312の反転入力端子に接続されている。また、この増幅器312の反転入力端子は抵抗R2を介して増幅器312の出力端子に接続されている。増幅器312の非反転入力端子は接地されている。
ローパスフィルタF1は、図13に示すように、抵抗R3とコンデンサC1の並列回路から構成されている。ハイパスフィルタF2は、コンデンサC2のみからなるフィルタである。
[差動増幅回路]
差動増幅回路330は、図12に示すように、電圧変換器331,332と、差動アンプ340などとを有している。
電圧変換器(第2電圧変換器)331の非反転入力端子は接地され、反転入力端子はローパスフィルタF3を介して出力端子に接続されている。
電圧変換器(第1電圧変換器)332の非反転入力端子は接地され、反転入力端子はローパスフィルタF3を介して出力端子に接続されている。
差動アンプ340は、オペアンプ341と抵抗R4〜R7とを有している。オペアンプ341の非反転入力端子は抵抗R4を介して電圧変換器331の出力端子に接続され、また、オペアンプ341の非反転入力端子は抵抗R5を介して接地されている。
オペアンプ341の反転入力端子は抵抗R6を介して電圧変換器332の出力端子に接続され、また、オペアンプ341の反転入力端子は抵抗R7を介して出力端子に接続されている。
ローパスフィルタF3は、図13に示すように、抵抗R8とコンデンサC3の並列回路から構成されるフィルタである。
[傾動位置検出装置]
傾動位置検出装置500は、図14に示すように、検出用圧電素子(第2変形検出手段)30と、検出用圧電素子(第1変形検出手段)31と、この検出用圧電素子30,31の検出信号(出力信号)の差を求めてこの差(差信号)から可動部の傾動位置を検出する差動増幅回路330とを有している。
[動 作]
次に、上記のように構成されるアクチュエータ駆動システム1の動作について説明する。
図1に示す駆動部200の出力回路202から図10に示す共振周波数の共振電圧Vdが出力され、この共振電圧Vdが駆動用圧電素子24,25に印加し、駆動用圧電素子24,25が伸縮して、フレーム板10の弾性変形部16が弾性変形し、可動部17のミラー17Mは図10に示すように傾動していく。すなわち、ミラー17MはX方向に傾動していく。
このミラー17MのX方向の傾動により、ミラー17Mに入射した光は反射してX方向に走査されていくことになる。
一方、検出用圧電素子34,35から出力される検出信号が図11に示す増幅回路310の電圧変換器311に入力し、検出信号の電流が電圧に変換されて電圧変換器311から出力電圧として出力される。この出力電圧がハイパスフィルタF2を通って増幅器312に入力し、増幅器312から検出信号に応じた出力電圧が出力され、この出力電圧によってミラー17MのX方向に対する傾動位置が検出されることになる。すなわち、弾性変形部16のX方向の弾性変形量が増幅器312から出力される出力電圧として検出される。
ところで、共振電圧Vdの周波数は、数kHz〜数10kHzであるため、検出用圧電素子34,35の電極に発生する電荷量も比較的多く、このため、検出用圧電素子34,35から出力される検出信号の電流は大きく、S/N比も良好な検出信号が得られることになる。このため、増幅回路310からミラー17MのX方向に対する傾動位置を示すX傾動位置信号を得ることができる。
他方、駆動部200の出力回路201の出力端子201A,201Bから図5に示す鋸波電圧Va,Vbが出力されて、駆動用圧電素子20,23、21,22に印加し、駆動用圧電素子20,23、21,22が伸縮していく。これにより、フレーム板10の弾性変形部12〜15が弾性変形して、可動部17のミラー17Mが図5に示すように傾動していく。すなわち、ミラー17MはY方向に傾動していく。
このミラー17MのY方向の傾動により、ミラー17Mに入射した光は反射してY方向に走査されていくことになる。
弾性変形部12,13の弾性変形量は、検出用圧電素子30,31から出力される検出信号が図14に示す差動増幅回路330の電圧変換器331,332にそれぞれ入力し、検出信号の電流が電圧(出力電圧)V1,V2に変換されて電圧変換器331,332から出力され、この電圧V1,V2が差動アンプ340に入力する。差動アンプ340は、電圧変換器331,332から出力される電圧V1,V2の差に応じた電圧(差信号)を出力する。
ここで、ミラー17MのY方向の傾動は、非共振であり、かつ周波数も数10Hzである。このため、検出用圧電素子30,31の電極に発生する電荷量が非常に少ない(発生する電荷量は動作周波数と比例関係にある)。このため、電圧変換器331,332のゲインを上げれば検出用圧電素子30,31の出力信号を大きくすることができるが、検出用圧電素子30,31から出力される検出信号のS/N比が非常に悪く、このため、電圧変換器331,332のみから検出信号を取り出すのは困難であった。
しかし、電圧変換器331,332から出力される電圧を差動アンプ340で差動増幅すると、ノイズが打ち消されて信号成分のみが出力され、しかも、差動アンプ340から出力される電圧は、ミラー17MのY方向の傾動に応じて変化していることも分かった。これは、弾性変形部12,13の変形量が異なるために、検出用圧電素子30,31から出力される検出信号に差が生じ、差動アンプ340で差動増幅すると、ノイズが打ち消されて信号成分のみが出力されるものと思われる。
すなわち、電圧変換器331,332から出力される電圧を差動アンプ340で差動増幅することにより、ミラー17MのY方向の傾動位置に応じた電圧を検出することができることが分かった。つまり、差動増幅回路330からミラー17MのY方向に対する傾動位置を示すY傾動位置信号が出力される。
この第1実施例では、検出部300の増幅回路310にはハイパスフィルタF2を設けているので、出力回路201から出力される周波数の低い鋸波電圧Va,Vb(図5参照)によるクロストークを抑えることができる。また、検出部300の差動増幅回路330にはローパスフィルタF3を設けているので、出力回路202から出力される周波数の高い共振電圧Vd(図10参照)によるクロストークを抑えることができる。このため、さらにS/N比の高いX傾動位置信号やY傾動位置信号を得ることができる。
図15は、L型2次CRパッシブフィルタF4を示す。このL型2次CRパッシブフィルタF4は、抵抗R8,R9とコンデンサC4,C5とから構成されている。
このL型2次CRパッシブフィルタF4を差動増幅回路330の出力端子S−Voutに接続すれば、さらにS/N比の高いY傾動位置信号を得ることができる。また、出力端子S−Voutに接続する替わりにローパスフィルタF3の接続点A1,A2と抵抗R4,R5との間に接続してもよい。
図16は、VCVS型アクティブローパスフィルタF5を示す。このVCVS型アクティブローパスフィルタF5は、オペアンプOP1と抵抗R10,R11,R12,R13とコンデンサC6,C7とから構成されている。
このVCVS型アクティブローパスフィルタF5をL型2次CRパッシブフィルタF4の替わりに使用してもよい。VCVS型アクティブローパスフィルタF5を使用することにより、さらに、S/N比の高いY傾動位置信号を得ることができる。
図17は、計装アンプ(計装増幅器)600を示す。この計装アンプ600は、増幅器601,602と差動増幅器603とから構成されている。この計装アンプ600を差動アンプ340の替わりに使用すれば、高感度でさらにS/N比のよいY傾動位置信号を得ることができる。
第1実施例では、検出用圧電素子30,31をフレーム板10の弾性変形部12,13に設けて検出用圧電素子30,31の検出信号の差をとるようにしているが、フレーム板10の固定フレーム11の位置で検出用圧電素子30,31に重畳されるノイズと同じノイズが重畳される場合には、検出用圧電素子30,31のどちらか一方をフレーム板10の固定フレーム11に設けて、検出用圧電素子30,31の検出信号の差をとるようにしてもよい。
また、第1実施例では、検出用圧電素子32,33の検出信号を利用していないので、検出用圧電素子32,33を設けなくてもよい。
第1実施例では、フレーム板10に弾性変形部12,14と弾性変形部13,15とは切込K1,K2,K3,K4によって1回の折返し構造を設けているが、複数回設けてもよく、また、弾性変形量が十分にとれる場合には折返し構造を設けたくてもよい。
[第2実施例]
図18は第2実施例のアクチュエータ駆動システム700を示す。このアクチュエータ駆動システム700は、傾動位置検出装置510の差動増幅回路330の前段に選択部701を設けたものである。この選択部701によって、感度の高い検出用圧電素子30または検出用圧電素子32と、検出用圧電素子31または検出用圧電素子33とを選択し、この選択した検出用圧電素子31または32と、検出用圧電素子31または33とを差動増幅回路330に接続するものである。そして、この接続した検出用圧電素子31または32と、検出用圧電素子31または33とから出力される検出信号を差動増幅回路330へ入力するようにしたものである。
第2実施例のアクチュエータ駆動システム700によれば、感度の高い検出用圧電素子30を予め把握できているので、基板を組み立てる段階で接続する側を決定して接続することにより、よりS/N比のよいY傾動位置信号を得ることができる。
[第3実施例]
図19は第3実施例のアクチュエータ駆動システム800を示す。アクチュエータ駆動システム800は、傾動位置検出装置520の差動増幅回路330の前段に切換スイッチ801を設けたものである。この切換スイッチ801の切り換えによって、感度の高い検出用圧電素子30または検出用圧電素子32と、検出用圧電素子31または検出用圧電素子33を選択するものである。
システムのセットアップ時あるいはウオーミングアップ時に実際に切換スイッチ801を切り換えることによって各検出用圧電素子30〜33の感度を測定し、切換スイッチ801によって感度の高い検出用圧電素子30または32と、検出用圧電素子31または33とを差動増幅回路330に接続するものである。
このようにすることで、検出用圧電素子30〜33の感度のバラツキや経時変化によって感度が逆転した場合でも、常にS/N比の良いY傾動位置信号を得ることができる。
[映像機器]
図20に光走査型の映像機器1000を示す。アクチュエータ駆動システム1と、制御装置1001と、レーザ光発生装置1002と、映像信号出力装置1003とを備えている。
制御装置1001は、映像信号出力装置1003から出力される映像信号に基づいてアクチュエータ駆動システム1の駆動部200やレーザ光発生装置1002を制御する。レーザ光発生装置1002から出力されたレーザ光は、メムスユニット100の可動部17のミラー17Mに向けて照射され、ここで反射されてスクリーン1004に投影される。この投影される反射光は、ミラー17MのX方向及びY方向の傾動により、スクリーン1004上を二次元方向に走査されていき、スクリーン1004上に映像が投影されることになる。
この映像機器1000は、アクチュエータ駆動システム1を備えているので、S/N比の高いX傾動位置信号やY傾動位置信号を得ることができ、このため、制御性に優れた高性能な映像機器となる。
この映像機器1000は、アクチュエータ駆動システム1を備えているが、他のアクチュエータ駆動システム700,800であってもよい。
上記実施例は、傾動位置検出装置500,510,520をいずれも光を2次元方向に走査するアクチュエータ駆動システム1,700,800に適用したものについて説明したが、1次元方向に光を走査するアクチュエータ駆動システムに適応してもよい。
上記実施例では、いずれもフレーム板10の弾性変形部12〜16の変形量を検出用圧電素子30〜33で検出するようにしているが、これに限らず、例えばひずみゲージなどを用いて検出するようにしてもよい。
また、弾性変形部12〜16の変形を駆動用圧電素子20〜23で行っているが、これに限らず、例えば静電気力や電磁力などで弾性変形部12〜16を弾性変形させるようにしてもよい。
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
1 アクチュエータ駆動システム
10 フレーム板
11 固定フレーム
12〜16 弾性変形部
17 可動部
20〜25 駆動用圧電素子
30〜33 検出用圧電素子
330 差動増幅回路(差動増幅器)
500 傾動位置検出装置
特開2011−107505号公報

Claims (11)

  1. 可動部と、
    前記可動部を支持する弾性変形部と、
    前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部を変形させることで前記可動部を傾動させる駆動手段と、
    前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第1変形検出手段と、
    前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第2変形検出手段と、
    前記第1,第2変形検出手段の出力信号の差である差信号を増幅して出力する差動増幅器と、
    前記差信号から前記可動部の傾動位置を検出する検出部と、を備え
    前記弾性変形部は第1,第2弾性変形部が連続した折り返し構造を有し、該第1,第2弾性変形部の弾性変形により前記可動部は第1軸回りに傾動し、
    前記第1変形検出手段は、前記第1弾性変形部に設けられ、
    前記第2変形検出手段は、前記第2弾性変形部に設けられ、
    前記検出部は、前記可動部の前記第1軸回りの傾動位置を検出することを特徴とするアクチュエータ駆動システム。
  2. 可動部と、
    前記可動部を支持する弾性変形部と、
    前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部を変形させることで前記可動部を傾動させる駆動手段と、
    前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第1変形検出手段と、
    前記弾性変形部に設けられ、前記弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第2変形検出手段と、
    前記第1,第2変形検出手段の出力信号の差である差信号を増幅して出力する差動増幅器と、
    前記差信号から前記可動部の傾動位置を検出する検出部と、を備え
    前記駆動手段は、電圧印加により変形して前記弾性変形部を変形させる駆動用圧電素子であり、
    前記第1,第2変形検出手段は、第1,第2弾性変形部の変形に伴って変形することで電気信号を生じる圧電素子によって形成された検出用圧電素子であることを特徴とするアクチュエータ駆動システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ駆動システムであって、
    前記弾性変形部に支持され、前記可動部を支持する第3弾性変形部と、
    前記第3弾性変形部に設けられ、該第3弾性変形部を変形させることにより前記可動部を第2軸周りに傾動させる第3駆動手段と、
    前記第3弾性変形部に設けられ、該第3弾性変形部の変形量に応じた出力信号を生じる第3変形検出手段と、
    を有し、
    前記検出部は、前記第3変形検出手段が生じる出力信号から前記可動部の第2軸回りの傾動位置を求めることを特徴とするアクチュエータ駆動システム。
  4. 前記可動部は、第1,第2軸回りに傾動することにより光を2次元方向に走査する反射ミラーを有することを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ駆動システム。
  5. 前記第1、第2、第3変形検出手段は、前記第1、第2、第3弾性変形部の変形に伴って変形することで電気信号を生じる圧電素子によって形成された第1、第2、第3検出用圧電素子であり、
    第1検出用圧電素子から出力される第1検出信号の電流を電圧に変換する第1電圧変換器と、第2検出用圧電素子から出力される第2検出信号の電流を電圧に変換する第2電圧変換器と、第3検出用圧電素子から出力される第3検出信号の電流を電圧に変換する第3電圧変換器とを設け、
    第1,第2電圧変換器はローパスフィルタを有し、
    第3電圧変換器はハイパスフィルタを有し、
    前記差動増幅器で第1電圧変換器の出力電圧と第2電圧変換器の出力電圧との差を増幅させて前記可動部の第1軸回りの傾動位置を検出し、
    前記第3電圧変換器の出力電圧に基づいて第2軸回りの傾動位置を検出することを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ駆動システム。
  6. 第1電圧変換器の出力端子と前記差動増幅器の一方の入力端子との間と、第2電圧変換器の出力端子と前記差動増幅器の他方の入力端子との間とに2次以上のパッシブルフィルタまたはアクティブフィルタを設け、
    または、前記差動増幅器の出力端子に2次以上のパッシブルフィルタまたはアクティブフィルタを設けることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ駆動システム。
  7. 前記差動増幅器は計装増幅器であることを特徴とする請求項1ないし請求項の何れか一項に記載のアクチュエータ駆動システム。
  8. 前記折り返し構造が2つ設けられ、
    一方の折り返し構造の第1弾性変形部に設けられた第2弾性変形検出手段の出力端子と、
    他方の折り返し構造の第1弾性変形部に設けられた第2弾性変形検出手段の出力端子とを接続し、
    一方の折り返し構造の第2弾性変形部に設けられた第1弾性変形検出手段の出力端子と、
    他方の折り返し構造の第2弾性変形部に設けられた第1弾性変形検出手段の出力端子とを接続して前記差動増幅器に入力させることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ駆動システム。
  9. 前記折り返し構造が2つ設けられ、
    一方の折り返し構造の第1,第2弾性変形部に設けられた第2,第1弾性変形検出手段と、
    他方の折り返し構造の第1,第2弾性変形部に設けられた第2,第1弾性変形検出手段とのうち、予め求めておいた感度の高い一方の第1弾性変形検出手段または他方の第1弾性変形検出手段と、予め求めておいた感度の高い一方の第2弾性変形検出手段または他方の第2弾性変形検出手段とからの検出信号値の差を前記差動増幅器から求めることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ駆動システム。
  10. 前記折り返し構造が2つ設けられ、
    一方の折り返し構造の第2弾性変形部に設けられた第1弾性変形検出手段と、他方の折り返し構造の第2弾性変形部に設けられた第1弾性変形検出手段とのどちらか一方と、
    一方の折り返し構造の第1弾性変形部に設けられた第2弾性変形検出手段と、他方の折り返し構造の第1弾性変形部に設けられた第2弾性変形検出手段とのどちらか一方とを選択する切換スイッチを設け、
    それぞれの第1,第2弾性変形検出手段の感度を測定して、感度のよい第1,第2弾性変形検出手段を前記切換スイッチの切り換えによって選択し、この選択された第1,第2弾性変形検出手段の検出信号を前記差動増幅器に入力するようにしたことを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ駆動システム。
  11. 請求項1ないし請求項1のいずれか1つのアクチュエータ駆動システムを備えたことを特徴とする光走査型の映像機器。
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