JP6171359B2 - エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、およびエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、およびエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機溶剤に良好に分散したエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、およびエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の製造方法に関する。
エポキシ樹脂硬化物微粒子には、高い硬度、耐薬品性、高耐熱性の特徴があり、これまでナノオーダーからミクロンオーダーのエポキシ樹脂硬化物微粒子が開発されてきた。例えば、特許文献2には、粒径0.6〜3ミクロンのエポキシ樹脂硬化物粉体の製造方法が記載されている。これらエポキシ樹脂硬化物微粒子を取り扱う場合、粉体ではなく、溶剤に分散させて使用することが多く、例えば特許文献1には、平均粒径が50〜400nmのエポキシ樹脂硬化物微粒子をアルコール系溶媒などに分散させた分散液が記載されているが、分散性の点で不十分であった。塗料用添加剤や建材用のシーリング材用途においてその粘度調整のために、中でもナノオーダーのエポキシ樹脂硬化物微粒子を有機溶剤へ良好に分散させる方法が望まれていた。
しかしながら、ナノオーダーのエポキシ樹脂硬化物微粒子を製造する一般的な方法では、水を溶剤とするため、得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子が水の分散液となり、エポキシ樹脂硬化物微粒子を有機溶剤に置換させることが困難であった。
特開2010−53329号公報 特開平4−249536号公報
本発明は、有機溶剤に良好に分散したエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、およびエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記発明に到達した。
すなわち本発明は、
「[1]エポキシ樹脂と硬化剤を硬化して得られる、平均粒子径が50nm以上900nm未満であるエポキシ樹脂硬化物微粒子と、沸点100℃以上でありかつ水酸基を有するエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、オクタノール、ラウリルアルコール、テルピネオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールのいずれかの有機溶剤を含むエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、
[2]前記有機溶剤が、分子内に水酸基を2個以上有することを特徴とする[1]記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、
[3]エポキシ樹脂硬化物微粒子の平均粒子径が、50nm以上、00nm未満であることを特徴とする[1]〜[]のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、
[4]エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液が、有機溶剤100質量部に対して、0超〜50質量部の界面活性剤を含有することを特徴とする[1]〜[]のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、
[5]界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれかであることを特徴とする[]記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、
[6]ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル又はその誘導体であることを特徴とする[]記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、
[7]硬化剤が、アミン系硬化剤であることを特徴とする[1]〜[]のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液、
[8]金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする[1]〜[]のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
[9]バインダー樹脂を含有することを特徴とする[1]〜[]のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
[10]エポキシ樹脂と硬化剤をノニルフェノールエチレンオキシド付加物存在下で硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液に、沸点100℃以上でありかつ水酸基を有するエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、オクタノール、ラウリルアルコール、テルピネオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールのいずれかの有機溶剤を加えた後、水を除去することを特徴とする[1]〜[]のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の製造方法」、である。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液は、有機溶剤への分散性が良好であるため、水分散液では使用できない各種バインダー樹脂が適用でき、塗膜耐久性向上、膜厚制御などが可能となり有用である。また、エポキシ樹脂硬化物微粒子が凝集した有機溶剤分散液に比べ、トナーなどに使用すると、エポキシ樹脂硬化物微粒子の凝集に起因した外観不良の抑制が可能となり有用である。具体的には、液晶用スペーサー、光拡散板、光拡散フィルム、防眩フィルムなどの電子、電気部材、クロマトグラフィー用充填剤、診断接着剤、塗料、化粧品、樹脂改質材、導電性粒子、トナー、金属や炭素、ケイ素焼結体の造孔剤などに適用できる。
以下本発明をさらに詳しく説明する。
本発明におけるエポキシ樹脂とは、分子内にエポキシ基を有する熱硬化性樹脂のことである。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、分子内に水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に二重結合を有する化合物を酸化することから得られる脂環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプの基が分子内に混在するエポキシ樹脂などが用いられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびこれらの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPON”(登録商標)825、“jER”(登録商標)826、“jER”(登録商標)827、“jER”(登録商標)828(以上、三菱化学株式会社製)、“エピクロン”(登録商標)850(大日本インキ化学工業株式会社製)、“エポトート”(登録商標)YD−128(新日化エポキシ製造株式会社製)、DER−331、DER−332(ダウケミカル社製)、“Bakelite”(登録商標)EPR154、“Bakelite”(登録商標)EPR162、“Bakelite”(登録商標)EPR172、“Bakelite”(登録商標)EPR173、および“Bakelite”(登録商標)EPR174(以上、BakeliteAG社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)806、“jER”(登録商標)807、“jER”(登録商標)1750(以上、三菱化学株式会社製)、“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ化学工業社製)、“エポトート”(登録商標)YD−170、“エポトート”(登録商標)YD−175(新日化エポキシ製造株式会社製)、“Bakelite”(登録商標)EPR169(BakeliteAG社製)、GY281、GY282、およびGY285(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール”(登録商標)EX−201(ナガセケムテックス株式会社製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)152、“jER”(登録商標)154(以上、三菱化学株式会社製)、“エピクロン”(登録商標)740(大日本インキ化学工業社製)、およびEPN179、EPN180(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂の具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、およびキシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類の市販品としては、“スミエポキシ”(登録商標)ELM434(住友化学株式会社製)、“アラルダイト”(登録商標)MY720、“アラルダイト”(登録商標)MY721、“アラルダイト”(登録商標)MY9512、“アラルダイト”(登録商標)MY9612、“アラルダイト”(登録商標)MY9634、“アラルダイト”(登録商標)MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、“jER”(登録商標)604(三菱化学株式会社製)、“Bakelite”(登録商標)EPR494、“Bakelite”(登録商標)EPR495、“Bakelite”(登録商標)EPR496、および“Bakelite”(登録商標)EPR497(以上、BakeliteAG社製)などが挙げられる。
アミノフェノールのグリシジル化合物類の市販品としては、“jER”(登録商標)630(三菱化学株式会社製)、“アラルダイト”(登録商標)MY0500、“アラルダイト”(登録商標)MY0510(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、“スミエポキシ”(登録商標)ELM120、および“スミエポキシ”(登録商標)ELM100(以上住友化学株式会社製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン類の市販品としては、GAN、GOT(以上、日本化薬株式会社製)や“Bakelite”(登録商標)EPR493(Bakelite AG社製)などが挙げられる。
キシレンジアミンのグリシジル化合物としては、TETRAD−X(三菱瓦斯化学株式会社製)が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂の具体例としては、フタル酸ジグリシジルエステルや、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルやそれぞれの各種異性体が挙げられる。
フタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”(登録商標)R508(三井化学株式会社製)や“デナコール”(登録商標)EX−721(ナガセケムテックス社製)などが挙げられる。
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”R540(三井化学株式会社製)やAK−601(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
ダイマー酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“jER”(登録商標)871(三菱化学株式会社製)や“エポトート”(登録商標)YD−171(新日化エポキシ製造株式会社製)などが挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂の市販品としては、“セロキサイド”(登録商標)2021P(ダイセル化学工業株式会社製)、CY179(ハンツマン・アドバンスド・マテリアル社製)、“セロキサイド”(登録商標)2081(ダイセル化学工業株式会社製)、および“セロキサイド”(登録商標)3000(ダイセル化学工業株式会社製)などが挙げられる。
本発明における硬化剤としては、例えば、芳香族アミンや脂肪族アミンなどのアミン系硬化剤、ポリアミドアミン、カルボン酸無水物およびルイス酸錯体、酸系硬化触媒、塩基系硬化触媒などが挙げられ、硬化反応が効率よく進行することから、芳香族アミンや脂肪族アミンなどのアミン系硬化剤が好ましく、特に脂肪族アミンが好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族アミンや、ピペラジン、ヒドラジン、ヘキサンニ酸ジヒドラジド、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ポリアミドアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、オレイルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミンなどの脂肪族アミンが挙げられる。
中でも、好ましくは、ピペラジン、ヒドラジン、ヘキサン二酸ジヒドラジド、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂肪族アミンが挙げられ、特に好ましくは、ピペラジン、ヒドラジンである。
また、これらの硬化剤は、硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂に硬化助剤を組み合わせる場合の好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素(DCMU)などの尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、アミン系硬化剤に三フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例、およびカルボン酸無水物やノボラック樹脂に3級アミンを硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
硬化剤の市販品としては、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、脂肪族アミン型の“jERキュア(登録商標)”(三菱化学株式会社製)、ポリオキシアルキレンアミン類の“ジェファーミン(登録商標)”(三井化学ファイン株式会社製)、ポリアミドアミン類の“ラッカマイド”(登録商標)(大日本インキ工業株式会社製)などが挙げられる。
本発明でいう、エポキシ樹脂硬化物微粒子とは、上記エポキシ樹脂と上記硬化剤とを反応させ、未反応エポキシ樹脂の含有量が30質量部以下であることを示す。未反応エポキシ樹脂とは、分子内のエポキシ基が1個も反応していないエポキシ樹脂硬化物微粒子の製造原料であるエポキシ樹脂のことである。
本発明におけるエポキシ樹脂硬化物微粒子中の未反応エポキシ樹脂量は、粒子同士の融着を抑制できる観点から0〜30質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、0〜25質量%、さらに好ましくは、0〜20質量%、中でも好ましくは、0〜15質量%、特に好ましくは、0〜10質量%であり、極めて好ましい範囲は、0〜5質量%である。
なお、本発明における未反応エポキシ樹脂量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を行い、以下に示すような絶対検量線法によって定量すればよい。具体的には、まず、エポキシ樹脂硬化物微粒子の製造原料であるエポキシ樹脂を、HPLCを用いて測定した際の溶出時間を確認する。次に、濃度の異なるいくつかのエポキシ樹脂のみを含む試料と、それらから得られるHPLC分析チャート上の面積の関係より検量線を作成する。続いて、上記未反応エポキシ樹脂が抽出された濾液をHPLC分析し、原料エポキシ樹脂の溶出時間に対応するピークの面積を求める。最後に、予め作成した検量線より、濾液中の未反応エポキシ樹脂量を算出し、[濾液中の未反応エポキシ樹脂量÷抽出に用いたエポキシ樹脂硬化物微粒子量×100]により、エポキシ樹脂硬化物微粒子中の未反応エポキシ樹脂量(質量%)に換算する。
また、粒子径が小さく、濾過が困難な場合には、遠心分離により微粒子と媒体を分離し、媒体を試料とすることで未反応エポキシ樹脂量を定量できる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子の平均粒子径は、50nm以上1000nm未満である。分散液中での分散性が良好になることから、その上限は、好ましくは900nm未満、より好ましくは800nm未満、さらに好ましくは600nm未満、特に好ましくは500nm未満、最も好ましくは450nm未満である。
下限値は生産性の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは100nm超、さらに好ましくは150nm以上、特に好ましくは200nm以上、著しく好ましくは300nm以上である。なお、本発明における、エポキシ樹脂硬化物微粒子の平均粒子径とは、動的光散乱方式による粒度分布計で測定した体積平均粒子径を示す。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子は、その形状が、真球状、楕円球状、扁平状、岩状、金平糖状、不定形等いずれの形態でもよい。また、上述した微粒子の平均粒子径は、微粒子の形状が球形以外である場合には、相当する球形の平均粒子径とする。
本発明におけるエポキシ樹脂硬化物微粒子の有機溶剤分散液とは、沸点100℃以上でありかつ水酸基を有する有機溶剤とエポキシ樹脂硬化物微粒子の分散液である。分散性の良好なエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液に、沸点100℃以上であり、特に分子内に水酸基を有する有機溶剤を加えた後、水を除去することで、有機溶剤で良好な分散性を維持した、エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の製造が可能となる。なお、ここで言う沸点とは、常圧における沸点のことを言う。
沸点100℃以上でありかつ水酸基を有する有機溶剤の沸点については、水との単離が容易になることから、120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましく、180℃以上が最も好ましい。本発明における有機溶剤の水酸基は、分子内に2個以上含んでいるほうが、分散性が良好になることから好ましい。
具体的な沸点100℃以上の水酸基を有する有機溶剤を例示すると、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ベンゼンジオール、イソプレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、n―ブタノール、イソブタノール、イソペンチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、2−エチルー1−ヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどである。これらは、単独または2種以上を選択してもかまわない。
本発明の沸点100℃以上の水酸基を有する有機溶剤は、さらに極性基を含んでいてもよく、例えばアミノ基、カルボキシル基、シアノ基、チオール基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。具体的には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、1,2―アミノドデカン酸、3−アミノ−1−プロパノール、イソプロパノールアミンなどのヒドロキシアミン類、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸などのヒドロキシ酸類、1−チオグリセロール、2−メルカプトエタノールなどである。これらは、単独または2種以上を選択してもかまわない。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散媒中に含まれるエポキシ樹脂硬化物微粒子の量は、有機溶剤100質量部に対して、1〜50質量部である。微粒子の凝集や貯蔵安定性を悪化させることを防ぐ観点から、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が特に好ましく、30質量部以下が最も好ましい。コーティング用途等での生産性の観点から、下限値として2質量部以上が好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、10質量部以上が特に好ましく、15質量部以上が最も好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液は、本発明を損なわない範囲で、界面活性剤を含むことが可能である。界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン(非イオン)系界面活性剤が挙げられ、アニオン系界面活性剤としては、例えば脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、モノアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルナトリウム、脂肪酸エステルスルホン酸ナトリウム、脂肪酸エステル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アルキロースアミド硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アミドスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルピリジニウムなどが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えばアルキルアミノカルボン酸塩、カルボキシベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタインなどが挙げられる。
ノニオン(非イオン)系界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸トリエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、イソプロパノールアミド、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びこれらの誘導体などが挙げられる。
なお、ここでいうアルキルとは、例示するならば炭素数1から30までの直鎖型飽和炭化水素基または分岐型飽和炭化水素基が挙げられる。またアルキルの部分が水素原子、直鎖型不飽和炭化水素基、分岐型不飽和炭化水素基であってもよい。
特に、本発明で使用する界面活性剤としては、エポキシ樹脂硬化物の微粒子に対し適当なHLB値を有し、エポキシ樹脂硬化物微粒子の分散媒への分散性を向上すると共に、得られた分散液が長期的に安定な分散性を維持することができるため、ノニオン系界面活性剤が好ましく、さらに好ましくは、上記に含まれるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ノニルフェノールエチレンオキシド付加物)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびそれらの誘導体であり、最も好ましくは、下記(1)式で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。前記アルキル基の好ましい範囲としては、炭素数1から20までの直鎖型飽和炭化水素基または分岐型飽和炭化水素基が挙げられる。またアルキルの部分が水素原子、直鎖型不飽和炭化水素基、分岐型不飽和炭化水素基であってもよい。
Figure 0006171359
式中、mは1〜3の正数、また、nは5〜100、好ましくは10〜40の正数である。
エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液中の界面活性剤の含有量は、有機溶剤100質量部に対して、0超〜50質量部である。その含有量は、用途等で適宜選択することが可能であるが、分散性を長期的に継続しやすいことから、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上が特に好ましい。フィルムへのコーティング用途等で使用した際に、フィルム性能を低下させない観点から、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が最も好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液には、金属酸化物微粒子を分散させることが可能であることから、金属酸化物微粒子を含んでいてもよい。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化インジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化カリウム、酸化ビスマス、酸化タンタルおよび酸化鉄(磁性酸化鉄を含む)等公知の金属酸化物微粒子があげられ、これらは単独または2種以上を適宜混合して使用することができる。これらのなかで、資源が豊富にあるということから、酸化チタン、酸化亜鉛等が好ましい。上記金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子である場合は、例えば、通常ルチル型の酸化チタン微粒子、アナターゼ型の酸化チタン微粒子、ブルッカイト型の酸化チタン微粒子及びこれら結晶性酸化チタンを修飾した酸化チタン微粒子等を用いることができる。
金属酸化物微粒子の含有量としては、エポキシ樹脂硬化物微粒子を100質量部とした場合、10〜5000質量部の範囲である。含有量が増加すると、媒体の粘度が増加し、分散液の取り扱い性が悪化することから、その上限としては、好ましくは4000質量部以下、より好ましくは3000質量部以下、最も好ましくは2000質量部以下である。コーティング用途などに使用した際に、金属酸化物微粒子の脱落等によって性能が付与できないことから、その下限としては、20質量部以上が好ましく、より好ましくは50質量部以上、最も好ましくは100質量部以上である。
金属酸化物微粒子の形状としては、特に限定されず、球形状、楕円体状、赤血球状、または、球形状若しくは楕円体状の粒子が凝集した造粒物の形状、さらに不定形破砕状やその造粒物の形状が挙げられる。
金属酸化物微粒子の粒子径は、用途によって、好ましいサイズを適宜選択すればよく、通常、1nm〜100μmの範囲である。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、用途によって好ましい範囲に適宜調整すればよいが、一般的に3〜500nmであることが好ましい。平均粒子径が500nm以上であると金属酸化物微粒子が沈殿しやすくなるため、より好ましい上限としては、300nm以下、さらに好ましい上限は、100nm以下である。平均粒子径が3nm以上であると、金属酸化物微粒子と媒体の総界面自由エネルギーが小さくなり、金属酸化物微粒子の分散が容易になるため、好ましくは5nm以上、さらに好ましく10nm以上、最も好ましくは20nm以上である。さらに金属酸化物微粒子の合成が容易となり、コストダウンが期待できる。なお、本発明における、金属酸化物微粒子の平均粒子径とは、動的光散乱方式の粒度分布計で測定した体積平均粒子径を示す。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液は、エポキシ樹脂硬化物微粒子や金属酸化物微粒子を基材と接着する目的でバインダー樹脂を含んでいてもよい。
バインダー樹脂とは、エポキシ樹脂硬化物微粒子や金属酸化物微粒子を基材と接着するものであれば特に限定されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などから選ばれる。有機溶剤に可溶であれば、バインダー樹脂による、エポキシ樹脂硬化物微粒子と金属酸化物微粒子の融着等を抑制できることから、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂などが挙げられ、好ましくは、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂などである。具体例としては、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリアクリルアミド、及びデキストリン等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、単独または2種以上を選択しても構わない。
バインダー樹脂の含有量は、用途によって適宜変更することが可能であるが、エポキシ樹脂微粒子を100質量部とした場合、10〜5000質量部の範囲である。含有量が多量であると、分散液の粘度が増加し、取り扱い性が悪化することから、その上限としては3000質量部以下が好ましく、1500質量部以下がより好ましく、1000質量部以下が最も好ましい。含有量が少ないと、エポキシ樹脂硬化物微粒子や金属酸化物微粒子を基材と接着させることができないため、その下限としては50質量部以上が好ましく、100質量部以上がより好ましく、250質量部以上が最も好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液は、本発明を損なわない範囲で、他の添加剤を含むことが可能である。特に有機溶剤の分散液であるため、添加剤の中でも、分散性が要求されるものを使用することが可能となる。
添加剤としては、繊維、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候(光)安定剤など)、着色剤[水不溶性(又は難溶性)染料(油溶性染料(ソルベント染料)、分散染料、バット染料、硫化染料、アゾイック染料(ナフトール染料)など]、難燃剤、帯電防止剤、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正荷電制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、結晶核剤、抗菌剤、防腐剤などが挙げられる。これらの添加剤は単独または2種以上を選択しても構わない。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液は、有機溶媒中でエポキシ樹脂硬化物微粒子を直接製造する方法や、エポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液を一旦製造し、その後に分散媒を置換する方法によって製造することが可能である。
なかでも、比較的小さい粒子径でかつ狭い粒子径分布の微粒子が作製できるという点から、後者の方法を採用するのが良い。
後者の方法の場合、まずエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液を作る。エポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液は、従前公知の方法で作製すれば良く、例えば、界面活性剤の入った水の中でエポキシ樹脂のエマルションを形成させる方法、2軸押出機を用いてエポキシ樹脂のエマルションを形成させる方法、スプレードライを用いる方法、および転相乳化法などが挙げられる。
中でも、粒子の平均粒子径の制御が容易な転相乳化法を用いる方法が好ましい。本発明におけるエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液を転相乳化法を経由する場合は、以下のようにして製造することができる。
エポキシ樹脂、界面活性剤を反応容器に加え、攪拌・混合する。この際、エポキシ樹脂と界面活性剤の質量比は、エポキシ樹脂100質量部に対し、界面活性剤が好ましくは2質量部〜100質量部であり、より好ましくは5質量部〜80質量部であり、さらに好ましくは5質量部〜50質量部である。界面活性剤の配合量をこのような範囲にすることにより微細な粒径の微粒子を得ることができる。
エポキシ樹脂と界面活性剤を混合する際の攪拌温度としては、特に限定されるものではないが、例えば20℃〜80℃であり、好ましくは30℃〜70℃であり、より好ましくは35℃〜50℃である。この温度条件で攪拌することにより、発泡を抑えることができ、かつ効率よく均一に攪拌することができる。また、攪拌速度としては、100〜800rpmが好ましく、より好ましくは300〜500rpmにするとよい。
このようにして得られた、エポキシ樹脂と界面活性剤の混合物に対し、水を加えることにより、転相乳化させエマルションを作る。
この際用いる水の量は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量100質量部に対し、10〜1000質量部、好ましくは50〜500質量部、より好ましくは50〜300質量部になるようにするとよい。
この際、エポキシ樹脂と界面活性剤の混合物に水を投入する方法としては、連続滴下法、分割添加法、一括添加法のいずれでも良いが、好ましくは連続滴下法、分割滴下法であり、工業的に効率的に実施するため最も好ましいのは連続滴下法である。水を滴下する時間は、特に限定されるものではないが、1分〜100時間、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1時間〜5時間の範囲である。
この際、水を加える温度としては、好ましくは−20℃〜200℃、より好ましくは10℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜60℃である。
また、エポキシ樹脂と界面活性剤の混合物に水を滴下するときの攪拌速度としては、好ましくは100〜1600rpmであり、より好ましくは200〜900rpmであり、更に好ましくは400〜700rpmである。
エポキシ樹脂と界面活性剤のエマルションを作成する雰囲気は、空気下、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス雰囲気下のいずれでもよいが、好ましくは窒素雰囲気下である。
上述した条件により調製すれば、転相乳化を実施する際に、エポキシ樹脂が凝集、融着することなく、極めて微細に、かつ均一に分散したエポキシ樹脂のエマルションを得ることができる。このようにして得られたエポキシ樹脂のエマルションを硬化反応させることにより、極めて微細な平均粒子径を有し、粒子径分布が狭いエポキシ樹脂硬化物の微粒子を得ることができる。
硬化反応の工程では、上記エポキシ樹脂のエマルションに対して、硬化剤を加え、所定の条件で混合攪拌する。硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部〜100質量部、より好ましくは1質量部〜80質量部、さらに好ましくは1質量部〜60質量部である。
硬化剤は、そのまま加えても良いが、好ましくは溶液状態で加えるのが良い。この際の溶媒としては、硬化剤が溶けるものであればいずれでも良く、特に好ましいものは、エポキシ樹脂の分散媒と同じものであり、極めて好ましいものは水である。
得られたエポキシ樹脂と硬化剤を含むエマルションを、加熱・混合することにより硬化反応を行い、エポキシ樹脂硬化物の微粒子が分散した水分散液とすることができる。エポキシ樹脂を硬化反応させる加熱温度は好ましくは20℃〜200℃、より好ましくは20℃〜100℃、さらに好ましくは40℃〜80℃にするとよい。また、硬化反応を行う時間は、好ましくは10分〜100時間、より好ましくは30分〜10時間、さらに好ましくは1時間〜5時間の範囲である。また、反応雰囲気は、空気下、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス雰囲気下のいずれでも良いが、好ましくは窒素雰囲気下である。
エポキシ樹脂を硬化反応させて微粒子を形成するときの攪拌速度としては、好ましくは100〜1600rpmであり、より好ましくは200〜900rpmであり、更に好ましくは300〜350rpmである。
これらの温度、時間、攪拌条件で操作することにより、凝集・融着をさせることなく、目的のエポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液を得ることができる。
上述したエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液を、有機溶剤の分散液に置換する方法として、遠心分離法、濾過分離法、スプレードライ、遠心沈殿、有機溶剤を水分散液に加えた後、水を除去する等、公知の方法でエポキシ樹脂硬化物微粒子を分離した後に、有機溶剤で置換する方法が挙げられる。
中でも、沸点100℃以上の水酸基を有する有機溶剤をエポキシ樹脂微粒子に加えた後、水を除去することで、エポキシ樹脂硬化物微粒子の凝集を抑制し、エポキシ樹脂微粒子の有機溶剤分散液を製造できるため、本方法が好ましい。
沸点100℃以上の水酸基を含む有機溶剤のエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液への添加量は、エポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液の総量を100質量部とした場合、10質量部〜1000質量部の範囲である。添加量が少ないと、粒子同士の凝集が発生しやすいため、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、特に好ましくは50質量部以上である。コーティング用途等に使用する際の生産性が低下することから、800質量部以下が好ましく、600質量部以下がより好ましく、400質量部以下が最も好ましい。
水を除去する方法としては、単蒸留、減圧蒸留、薄膜蒸留、抽出、膜分離など通常公知の方法が使用されるが、最も一般的な方法として、単蒸留か減圧蒸留が挙げられ、エポキシ樹脂硬化物微粒子の熱による劣化を抑制できるという点から、減圧蒸留が最も好ましい。
減圧蒸留を行う際には、エポキシ樹脂硬化物微粒子や有機溶剤の熱劣化を促進する可能性があることから、酸素が極力存在しない状態が好ましく、工業的な観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。具体的には、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などが挙げられる。
水は極力除くことが、金属酸化物微粒子の添加量を増加することが可能なため好ましく、具体的な含水量としては、有機溶剤100質量部に対して、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.8質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以下、著しく好ましくは、0.3質量部以下、最も好ましくは0.1質量部以下である。
有機溶剤中の水の残存量は、通常公知の方法で測定することができ、ガスクロマトグラフィー法、カールフィッシャー法などで測定できる。
蒸留の温度、減圧度は沸点100℃以上の水酸基を有する有機溶剤の蒸気圧や水を除去する速度に合わせ、適宜選択可能であるが、エポキシ樹脂硬化物微粒子や有機溶剤の熱分解を抑制する観点から、温度については、200℃以下が好ましく、より好ましくは、150℃以下、さらに好ましくは120℃以下、特に好ましくは100℃以下、著しく好ましくは90℃以下、最も好ましくは80℃以下である。減圧度については、選択する有機溶剤と水が分離できる範囲であれば、特に制限されない。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液は、有機溶剤への分散性が良好であるため、水分散液では使用できない各種バインダー樹脂が適用でき、塗膜耐久性向上、膜厚制御などが可能となり有用である。また、エポキシ樹脂硬化物微粒子が凝集した有機溶剤分散液に比べ、トナーなどに使用すると、エポキシ樹脂硬化物微粒子の凝集に起因した外観不良の抑制が可能となり有用である。具体的には、液晶用スペーサー、光拡散板、光拡散フィルム、防眩フィルムなどの電子、電気部材、クロマトグラフィー用充填剤、診断接着剤、塗料、化粧品、樹脂改質材、導電性粒子、トナー、金属や炭素、ケイ素焼結体の造孔剤などに適用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)粒子中の未反応エポキシ樹脂量の測定方法
エポキシ樹脂硬化物微粒子を含む分散液を、15000Gで遠心分離した後、上澄み液を取り除き、そこに除去した上澄み液と同量のイオン交換水を加え、エポキシ樹脂硬化物微粒子を再分散させた後、再度15000Gでの遠心分離及び上澄み液の除去を行った。そのようにして得られたペースト状物をナスフラスコに移し、−18℃の冷凍庫内で12時間静置した後、凍結乾燥を12時間行い、エポキシ樹脂硬化物微粒子を回収した。
上記エポキシ樹脂硬化物微粒子2gとアセトニトリル50gをナスフラスコに精秤し、50℃で8時間加熱攪拌後、メンブレンフィルターを用いて吸引濾過した。この濾液を用いて以下に示す分析条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を行い、絶対検量線法により濾液中の未反応エポキシ樹脂量を定量し、それをエポキシ樹脂硬化物微粒子中の未反応エポキシ樹脂量(質量%)に換算した。
分析条件
カラム:Inertsil ODS−3 4.6mmI.D.×25cm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/水=0.6/0.4
流速:1.0ml/min
検出:UV254nm。
(2)粒子径測定・粒子径分布測定
動的光散乱方式の粒度分布計(大塚電子株式会社 ELS−Z)を用い、粒子径分布および平均粒子径を測定した。
(3)有機溶剤中の含水率測定
水分測定装置(モイスチャーメーターCA−06 三菱化成株式会社製)を用いて、カールフィッシャー法で測定した。測定の終点は、電気分解の速度が0.2μg/秒以下となる点とした。
製造例1
100gのビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製jER(登録商標)828、以下「EP828」と称す。)と10gのノニルフェノールエチレンオキシド付加物(第一工業製薬株式会社製エマルジット9、以下「乳化剤」と称す。)を反応容器に入れ、40℃、攪拌速度320rpmで、20分間の攪拌を行った。次に、攪拌速度を600rpmに調節した後に、20gの脱イオン水を入れ、10分間の攪拌をした。その後、20gの脱イオン水を入れ、引き続き10分間攪拌した後に、さらに20gの脱イオン水を加え、10分間攪拌した。引き続き、14gのピペラジンと111.6gの脱イオン水から構成される硬化剤水溶液を加え、40℃、320rpmの攪拌速度で24時間反応を行い、攪拌硬化させることにより、エポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液295.1gを得た。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子を遠心分離を使ったデカンテーションを3回行った後に、凍結乾燥することにより、エポキシ硬化物微粒子の含有量を算出したところ、38.5質量%であった。得られた微粒子の未反応エポキシ樹脂量は10質量%、平均粒子径は、350nmであった。
製造例2
100gのビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828)と10gの乳化剤を反応容器に入れ、40℃、攪拌速度は320rpmで20分間の攪拌を行った。次に、攪拌速度を700rpmに調節した後に、20gの脱イオン水を入れ、10分間の攪拌をした。その後、20gの脱イオン水を入れ、引き続き10分間攪拌した後に、さらに20gの脱イオン水を加え、10分間攪拌した。引き続き、14gのピペラジンと111.6gの脱イオン水から構成される硬化剤水溶液を加え、40℃、320rpmの攪拌速度で24時間反応を行い、攪拌硬化させることにより、エポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液295.0gを得た。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子を遠心分離を使ったデカンテーションを3回行った後に、凍結乾燥することにより、エポキシ硬化物微粒子の含有量を算出したところ、38.2質量%であった。得られた微粒子の未反応エポキシ樹脂量は10質量%、平均粒子径は、300nmであった。
製造例3
100gのビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828)と16gの乳化剤を反応容器に入れ、40℃、攪拌速度は320rpmで20分間の攪拌を行った。次に、攪拌速度を500rpmに調節した後に、20gの脱イオン水を入れ、10分間の攪拌をした。その後、20gの脱イオン水を入れ、引き続き10分間攪拌した後に、さらに20gの脱イオン水を加え、10分間攪拌した。引き続き、14gのピペラジンと111.6gの脱イオン水から構成される硬化剤水溶液を加え、40℃、320rpmの攪拌速度で24時間反応を行い、攪拌硬化させることにより、エポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液301.0gを得た。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子を遠心分離を使ったデカンテーションを3回行った後に、凍結乾燥することにより、エポキシ硬化物微粒子の含有量を算出したところ、37.2質量%であった。得られた微粒子の未反応エポキシ樹脂量は8質量%、平均粒子径は、200nmであった。
製造例4
100gのビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828)と8gの乳化剤を反応容器に入れ、40℃、攪拌速度は320rpmで20分間の攪拌を行った。次に、攪拌速度を500rpmに調節した後に、20gの脱イオン水を入れ、10分間の攪拌をした。その後、20gの脱イオン水を入れ、引き続き10分間攪拌した後に、さらに20gの脱イオン水を加え、10分間攪拌した。引き続き、14gのピペラジンと111.6gの脱イオン水から構成される硬化剤水溶液を加え、40℃、320rpmの攪拌速度で24時間反応を行い、攪拌硬化させることにより、エポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液293.1gを得た。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子を遠心分離を使ったデカンテーションを3回行った後に、凍結乾燥することにより、エポキシ硬化物微粒子の含有量を算出したところ、37.9質量%であった。得られた微粒子の未反応エポキシ樹脂量は11質量%、平均粒子径は、450nmであった。
製造例5
100gのビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828)と6gの乳化剤を反応容器に入れ、40℃、攪拌速度は320rpmで20分間の攪拌を行った。次に、攪拌速度を500rpmに調節した後に、20gの脱イオン水を入れ、10分間の攪拌をした。その後、20gの脱イオン水を入れ、引き続き10分間攪拌した後に、さらに20gの脱イオン水を加え、10分間攪拌した。引き続き、14gのピペラジンと111.6gの脱イオン水から構成される硬化剤水溶液を加え、40℃、320rpmの攪拌速度で24時間反応を行い、攪拌硬化させることにより、エポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液291.0gを得た。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子を遠心分離を使ったデカンテーションを3回行った後に、凍結乾燥することにより、エポキシ硬化物微粒子の含有量を算出したところ、38.9質量%であった。得られた微粒子の未反応エポキシ樹脂量は10質量%、平均粒子径は、800nmであった。
実施例1
製造例1で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液295gにエチレングリコール(沸点197℃)170gを加え、80℃で30kPaまで減圧し2時間保持後、さらに3kPaまで減圧し1時間保持し、系中から水を除去した。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の平均粒子径は、350nmであり、水分散液での粒子径を維持しており、粒子の凝集等は観測されなかった。得られた分散液中の溶媒を乾固し、その固形分濃度からエポキシ樹脂硬化物濃度を算出したところ、41.0質量%であった。含水率は、0.12%であった。
実施例2
製造例2で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液を作製した。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の平均粒子径は、300nmであり、水分散液での粒子径を維持しており、粒子の凝集等は観測されなかった。得られた分散液中の溶媒を乾固し、その固形分濃度からエポキシ樹脂硬化物濃度を算出したところ、42.0質量%であった。含水率は、0.08%であった。
実施例3
製造例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液を作製した。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の平均粒子径は、200nmであり、水分散液での粒子径を維持しており、粒子の凝集等は観測されなかった。得られた分散液中の溶媒を乾固し、その固形分濃度からエポキシ樹脂硬化物濃度を算出したところ、41.0質量%であった。含水率は、0.18%であった。
実施例4
製造例4で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液を作製した。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の平均粒子径は、500nmであり、水分散液での粒子径を維持しており、粒子の凝集等は観測されなかった。得られた分散液中の溶媒を乾固し、その固形分濃度からエポキシ樹脂硬化物濃度を算出したところ、42.0質量%であった。含水率は、0.22%であった。
実施例5
製造例5で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液を作製した。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の平均粒子径は、800nmであり、水分散液での粒子径を維持しており、粒子の凝集等は観測されなかった。得られた分散液中の溶媒を乾固し、その固形分濃度からエポキシ樹脂硬化物濃度を算出したところ、41.0質量%であった。含水率は、0.14%であった。
実施例6
エチレングリコールをプロピレングリコール(沸点188℃)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で、エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液を作製した。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の平均粒子径は、200nmであり、水分散液での粒子径を維持しており、粒子の凝集等は観測されなかった。得られた分散液中の溶媒を乾固し、その固形分濃度からエポキシ樹脂硬化物濃度を算出したところ、39.5質量%であった。含水率は、0.31%であった。
実施例7
エチレングリコールをブタンジオール(沸点230℃)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で、エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液を作製した。得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の平均粒子径は、200nmであり、水分散液での粒子径を維持しており、粒子の凝集等は観測されなかった。得られた分散液中の溶媒を乾固し、その固形分濃度からエポキシ樹脂硬化物濃度を算出したところ、39.5質量%であった。含水率は、0.15%であった。
比較例1
製造例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液を遠心分離し、水を除去した後、エタノール(沸点78℃)を加えたが、エポキシ樹脂硬化物微粒子同士が合一していた。
比較例2
製造例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子水分散液を遠心分離し、水を除去した後、メタノール(沸点65℃)を加えたが、エポキシ樹脂硬化物微粒子同士が合一していた。
実施例8
実施例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液300gに、金属酸化物微粒子として酸化チタン微粒子(粒子径10nm)34gと、バインダーとしてエチルセルロースを14g加え、ホモミキサーで撹拌した。得られた分散液の粒子径分布は、エポキシ樹脂硬化物微粒子由来の粒子径200nmを頂点としたピークと、酸化チタン微粒子由来の粒子径10nmを頂点としたピークからなる2峰性の形状であった。エポキシ樹脂硬化物微粒子や酸化チタン微粒子の凝集等は発生しなかった。
実施例9
実施例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液300gに、金属酸化物微粒子として酸化チタン微粒子(平均粒子径10nm)68gと、バインダーとしてエチルセルロースを28g、有機溶剤としてテルピネオールを170g加え、ホモミキサーで撹拌した。得られた分散液の粒子径分布は、エポキシ樹脂硬化物微粒子由来の粒子径200nmを頂点としたピークと、酸化チタン微粒子由来の粒子径10nmを頂点としたピークからなる2峰性の形状であった。エポキシ樹脂硬化物微粒子や酸化チタン微粒子の凝集等は発生しなかった。
実施例10
実施例6で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液300gに、金属酸化物微粒子として酸化チタン微粒子(平均粒子径10nm)34gと、バインダーとしてエチルセルロースを14g加え、ホモミキサーで撹拌した。得られた分散液の粒子径分布は、エポキシ樹脂硬化物微粒子由来の粒子径200nmを頂点としたピークと、酸化チタン微粒子由来の粒子径10nmを頂点としたピークからなる2峰性の形状であった。エポキシ樹脂硬化物微粒子や酸化チタン微粒子の凝集等は発生しなかった。
実施例11(光拡散フィルムの製造)
実施例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液100gに、トルエン100g、メチルエチルケトン50g、ポリエステルバインダー(東洋紡株式会社製“バイロン”200)25gを加え、塗液を調整した。塗液中で、エポキシ樹脂硬化物微粒子は良好に分散しており、数日間静置しても、微粒子の凝集や沈殿は発生していなかった。ポリエステルフィルムに塗液をコーティングし、乾燥を行った。ポリエステルフィルム表面には粒子が均一に塗布されており、良好な外観であった。本ポリエステルフィルムには、エポキシ樹脂硬化物微粒子が均一にコーティングされ、エポキシ樹脂硬化物微粒子とポリエステルフィルムの接着性も優れているため、アンチブロッキング性などで好適である。
比較例3
製造例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液100gに、トルエン100g、メチルエチルケトン50g、ポリエステルバインダー(東洋紡株式会社製“バイロン”200)25gを加え、塗液を調整したところ、粒子が凝集し、沈殿物が発生した。ポリエステルフィルムに塗液をコーティングし、乾燥を行ったが、スジが発生し、外観不良であった。
実施例12(多孔質焼結体)
実施例3で得られたエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液100gに、フェノール樹脂(大日本インキ化学株式会社製フェノライトJ−325)100gを加え、180℃で硬化させ、エポキシ樹脂微粒子がフェノール樹脂硬化物中に分散した基材を作成した。その後、焼成炉にて窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成し、エポキシ樹脂微粒子由来の空孔を有する、多孔質炭素焼結体を作製した。炭素焼結体断面の観察から、エポキシ樹脂硬化物微粒子と同じ200nmサイズの空孔が、均一な間隔で炭素焼結体中に形成されていた。本炭素焼結体は、均一な空孔を有するため、膜用途などにおいて有用である。
比較例4
比較例2で製造した、エポキシ樹脂微粒子分散液を使用した以外は、実施例12と同様に多孔質炭素焼結体を作製したが、炭素焼結体断面から、エポキシ樹脂硬化物微粒子より大きいサイズの空孔が、不均一な間隔で炭素焼結体中に形成されていた。
本発明のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液は、有機溶剤への分散性が良好であるため、水分散液では使用できない各種バインダー樹脂が適用でき、塗膜耐久性向上、膜厚制御などが可能となり有用である。また、エポキシ樹脂硬化物微粒子が凝集した有機溶剤分散液に比べ、トナーなどに使用すると、エポキシ樹脂硬化物微粒子の凝集に起因した外観不良の抑制が可能となり有用である。具体的には、液晶用スペーサー、光拡散板、光拡散フィルム、防眩フィルムなどの電子、電気部材、クロマトグラフィー用充填剤、診断接着剤、塗料、化粧品、樹脂改質材、導電性粒子、トナー、金属や炭素、ケイ素焼結体の造孔剤などに適用できる。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂と硬化剤を硬化して得られる、平均粒子径が50nm以上900nm未満であるエポキシ樹脂硬化物微粒子と、沸点100℃以上でありかつ水酸基を有するエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、オクタノール、ラウリルアルコール、テルピネオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールのいずれかの有機溶剤を含むエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  2. 前記有機溶剤が、分子内に水酸基を2個以上有することを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  3. エポキシ樹脂硬化物微粒子の平均粒子径が、50nm以上、00nm未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  4. エポキシ樹脂硬化物微粒子分散液が、有機溶剤100質量部に対して、0超〜50質量部の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  5. 界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれかであることを特徴とする請求項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  6. ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル又はその誘導体であることを特徴とする請求項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  7. 硬化剤が、アミン系硬化剤であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  8. 金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  9. バインダー樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液。
  10. エポキシ樹脂と硬化剤をノニルフェノールエチレンオキシド付加物存在下で硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物微粒子の水分散液に、沸点100℃以上でありかつ水酸基を有するエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、オクタノール、ラウリルアルコール、テルピネオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールのいずれかの有機溶剤を加えた後、水を除去することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物微粒子分散液の製造方法。
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