JP6171153B2 - 透視性蓄光表示体 - Google Patents

透視性蓄光表示体 Download PDF

Info

Publication number
JP6171153B2
JP6171153B2 JP2013000280A JP2013000280A JP6171153B2 JP 6171153 B2 JP6171153 B2 JP 6171153B2 JP 2013000280 A JP2013000280 A JP 2013000280A JP 2013000280 A JP2013000280 A JP 2013000280A JP 6171153 B2 JP6171153 B2 JP 6171153B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorescent
transparent
display
resin
translucent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013000280A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014132294A (ja
Inventor
狩野 俊也
俊也 狩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiraoka and Co Ltd
Original Assignee
Hiraoka and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiraoka and Co Ltd filed Critical Hiraoka and Co Ltd
Priority to JP2013000280A priority Critical patent/JP6171153B2/ja
Publication of JP2014132294A publication Critical patent/JP2014132294A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6171153B2 publication Critical patent/JP6171153B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は間仕切り表示体に関する。本発明は、地下駅舎、地下街、ホテル、デパート、映画館、遊戯施設、博物館、美術館、遊園地などの施設における往来制御のための看板兼用間仕切りや、天井に設置される標識、案内板などにおいて、暗闇の中で避難誘導案内や特別メッセージなどを切り替え表示可能な防災表示体及び防煙垂壁に関する。
都市部では特に地下駅舎と地下街、地下街と地下街との連絡通路が緻密に発達していることでその利便性が高い。これらの地下連絡通路やコンコースは景観的特徴が似通っているため、道標・標識・案内板等が随所に設置されていても初めての場所では進路がわかり難いことがある。それ故、地震や停電事故に遭遇した場合には、暗闇の中での避難が一層困難となる。また地下通路は閉塞感が強いため、大規模災害による停電の場合には群集の心理的不安を極度に煽り、パニックによる人的事故を引き起こし易い危険を孕んでいる。
そこで本出願人は、地下駅舎、連絡通路、コンコースなどの壁面に設置して用い、普段は広告看板や案内板、ビジュアルボードとして活用するが、停電時の暗闇では避難誘導案内表示板、及びメッセージ等の表示板として切り替え表示機能するような、広告看板と避難誘導標識とを兼用する異種表示構造体(特許文献1)の提案を行った。この異種表示構造体では、確かに停電時に避難誘導案内表示や特別メッセージなどに切り替え表示が可能なものであるが、表示構造体の表面のみの観察に対して異種表示を可能とするもので、従って特許文献1の異種表示構造体は壁設置専用であり、仮に両面での異種表示を行うためには特許文献1の異種表示構造体2対を背中合わせで使用する必要があった。このような表示の要望は具体的に、地下駅舎、連絡通路、コンコース、地下街などでの天井からの吊り下げ標識や案内板などである。
一方、建築材料には最新の法令改正により、フロア面積の大きな店舗やオフィスビルにおいて、火災時に天井を這い伝う煙の拡散を遅延させ、少しでも安全な避難経路を確保するために、天井部にはガラス板で仕切られた防煙区画、すなわち防煙垂壁の設置が法令で義務付けられるようになった。透明ガラス板による防煙垂壁は不燃で、店舗や施設内の空間イメージや美観を損なうことがなく、また防煙垂壁自体の存在も気にならないなど使用環境との調和性に優れている(特許文献2)。しかし、ガラス製の防煙垂壁だと、震災時にはガラス製防煙垂壁が崩落する危険性が指摘され、最近では震災時に崩落しても危険性のより少ない不燃素材への転換が急務とされ、例えばガラス繊維織物を難燃性樹脂で含浸被覆した透明プリプレグ材料(特許文献3)などがガラス代替素材として注目されている。
このように地下駅舎、連絡通路、コンコース、地下街などでの天井からの吊り下げ標識や案内板には、火災時に煙の拡散を遅延させる目的の防煙垂壁としての機能は求められておらず、また大型店舗やオフィスビルなどの天井区画に設置され、煙の拡散を遅延させる目的の防煙垂壁には室内景観上、標識や案内板などの機能、さらには停電時の避難誘導などの防災機能は求められていなかった。拠って地下駅舎、連絡通路、コンコース、地下街などでの天井からの吊り下げ標識や案内板に、火災時に煙の拡散を遅延させる防煙垂壁の機能や設計が付帯され、また大型店舗やオフィスビルなどの天井区画に設置される防煙垂壁に標識や案内板などの機能、さらには停電時の避難誘導などの防災機能や設計が付帯されれば、火災と停電(震災)との両方の非常時において、より効果的な安全確保が期待できる。
特開2009−186526号公報 特開2007−082759号公報 特開2005−319746号公報
本発明は、間仕切り看板、間仕切り標識、間仕切り案内板などとして使用することができ、停電または消灯による暗闇の中では誘導案内、及びメッセージなどを両面表示可能な透視性蓄光表示体の提供と、さらに天井に設置した場合には、火災時に煙の拡散を遅延させる防煙垂壁の機能を有する透視性の間仕切り表示体を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明では、蓄光発光性の印刷部を部分的に有する透明基材を芯材として、その両面に空隙率25〜55%の範囲から選ばれた同一空隙率のメッシュシートを積層してなる複合体において、メッシュシートの空隙部同士の積重同調率を60〜95%として、複合体の両面に印刷を施すことによって得られた透視性蓄光表示体が、停電または消灯による暗闇の中で誘導案内表示、及びメッセージなどを両面表示可能であり、特に透明基材に厚さ1mm〜5mmのガラス板を用い、さらに複合体の両面に透明保護層として、厚さ1mm〜5mmのガラス板を設けることによって防煙垂壁の機能を有する透視性の間仕切り表示体が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の透視性蓄光表示体は、蓄光発光性の印刷部を部分的に有する透明基材を芯材として、その両面に空隙率25〜55%の範囲から選ばれた同一空隙率のメッシュシートを積層してなる複合体であって、前記メッシュシートの空隙部同士の積重同調率が60〜95%であり、前記複合体の両面に印刷が施されていることが好ましい。これによって本発明の透視性蓄光表示体は停電または消灯による暗闇の中で誘導案内、及びメッセージなどを両面表示可能とする。
本発明の透視性蓄光表示体は、前記透明基材が、0.3mm〜1mmの熱可塑性樹脂フィルム、厚さ1mm〜5mmの合成樹脂板、またはガラス板の何れか1種であることが好ましい。透明基材を熱可塑性樹脂フィルムとすることによって本発明の透視性蓄光表示体に可撓性が付与され、また透明基材を合成樹脂板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に形態安定性及び剛直性が付与され、また透明基材をガラス板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に不燃性を付与することができる。
本発明の透視性蓄光表示体は、前記メッシュシートが、穿孔シート、または樹脂被覆した粗目織物であることが好ましい。メッシュシートに穿孔シートを使用することでメッシュシートの空隙部同士の積重同調率60〜95%を効率的に達成し、本発明の透視性蓄光表示体の透視性及び両面表示をより良好とすることができる。またメッシュシート(特に樹脂被覆した粗目織物)を使用することで本発明の透視性蓄光表示体の破壊強度を高くして、震災などによる崩落時にもガラスなどの破片の飛散を抑制することができる。
本発明の透視性蓄光表示体は、前記複合体の両面に、0.1mm〜1mmのフィルム、厚さ1mm〜5mmの合成樹脂板、またはガラス板の何れか1種による透明保護層が設けられていることが好ましい。透明保護層を熱可塑性樹脂フィルムとすることによって本発明の透視性蓄光表示体に可撓性が付与され、また透明保護層を合成樹脂板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に形態安定性及び剛直性が付与され、また透明保護層をガラス板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に不燃性を付与することができる。
本発明の透視性蓄光表示体は、前記複合体が、フレーム固定により積層構造を維持し、かつ前記透明基材が抜き差し自在であることが好ましい。これによって停電または消灯による暗闇の中で表示する誘導案内、及びメッセージなどの表示パターンを任意に交換することを可能とする。
本発明によれば、停電または消灯による暗闇の中では誘導案内、及びメッセージなどを両面表示可能な透視性蓄光表示体が得られ、さらに天井に設置した場合には、火災時に煙の拡散を遅延させる防煙垂壁の機能を有する透視性の間仕切り表示体を得ることができるので、本発明の透視性蓄光表示体を、地下駅舎、地下街、ホテル、デパート、映画館、遊戯施設、博物館、美術館、遊園地などの施設における往来制御のための看板兼用間仕切りや案内板兼用間仕切りなどとして用いることができ、さらには地下駅舎、連絡通路、コンコース、地下街などでの天井からの吊り下げ標識や案内板として、火災時に煙の拡散を遅延させる防煙垂壁の機能が付帯され、また大型店舗やオフィスビルなどの天井区画に設置される防煙垂壁には標識や案内板などの機能、さらには停電時の避難誘導などの防災機能が付帯されるので、火災と停電(震災)との両方の非常時において、より効果的な防災環境が構築できるようになる。
本願発明の透視性蓄光表示体の断面の一例を表す図 本願発明の透視性蓄光表示体の断面の一例を表す図 本願発明の透視性蓄光表示体(明所観察)の外観の一例を表す図 本願発明の透視性蓄光表示体(暗所観察)の外観の一例を表す図
本発明の透視性蓄光表示体は、蓄光発光性の印刷部を部分的に有する透明基材を芯材として、その両面に空隙率25〜55%の範囲から選ばれた同一空隙率のメッシュシートを積層してなる複合体であって、これらメッシュシートの空隙部同士の積重同調率が60〜95%であり、複合体の両面には印刷が施され、さらに必要に応じて透明保護層が設けられたものである。本発明の透視性蓄光表示体において透明基材は、1).0.3mm〜1mmの熱可塑性樹脂フィルム、2).厚さ1mm〜5mmの合成樹脂板、3).厚さ1mm〜5mmのガラス板の何れかである。熱可塑性樹脂フィルム.1)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、エチレン及び/又はα−オレフィンモノマーとシクロオレフィンモノマーとの共重合体である環状オレフィンコポリマーなどによるフィルムまたはシートが好ましく、軟質〜半硬質塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PPなど)、オレフィン系共重合体樹脂(EVA,EMMAなど)、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素含有共重合体樹脂などによるフィルムまたはシートであってもよい。透明基材を熱可塑性樹脂フィルムとすることによって本発明の透視性蓄光表示体に可撓性が付与される。合成樹脂板.2)としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエステル樹脂(PET樹脂)、ビニルエステル樹脂、半硬質ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂であり、屈折率1.4〜1.6n(JIS K7105)を有する透明樹脂が最も好ましいが、乳濁半透明のもの、あるいは透明樹脂に光拡散性微粒子を配合したものも使用できる。本発明においてはアクリル樹脂(メタクリレート樹脂)板、及びポリカーボネート樹脂が好ましい。透明基材を合成樹脂板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に形態安定性及び剛直性が付与される。ガラス板.3)としては、単板ガラス、複層ガラス、合わせガラス、耐熱ガラス、強化ガラス、クリスタルガラスなどが挙げられる。透明基材をガラス板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に不燃性を付与することができる。
この透明基材の少なくとも一方の面には、蓄光発光性の印刷部を部分的に有している。この印刷部は暗闇で避難誘導やメッセージなどを表示する任意の内容で構成され、非印刷部は背景の透視性に寄与する部分となる。印刷部は、例えば「非常口」、「避難場所」、「→」などのピクトグラムやシンボルマーク、「××駅まで100m」、「あわてずに ゆっくり!」などのメッセージである。またこれらメッセージ文字のデザインや種類も任意に使用することができる。防災用表示以外では、遊戯施設、遊園地などの娯楽施設においてアニメや漫画の「キャラクター」などを隠し絵として仕込み、暗闇で発光表示することもでき、特に防災用表示に限定されるものではない。また、印刷部の透明基材に対する占有面積は25〜65%で、表示と透視性との良好なバランスの観点では35〜55%である。印刷部の占有面積が25%未満だと暗闇での発光表示が目立たないことがあり、また65%を越えるとシルエットバランスを欠き、かえって発光表示が解かり難くすることがあり、しかも背景の透視性を悪くする。このような印刷部は、印刷、塗装、賦型物貼付、マーキングフィルム貼付、及びこれらの併用によって形成される。これらは具体的に、蓄光顔料粒子を含む塗料、特に透明の合成樹脂溶液中に蓄光顔料粒子を分散させた塗料を用いてのスクリ−ン印刷、グラビア印刷、ハケ塗り塗装であり、これらには紫外線硬化型樹脂を用いてUV硬化したものでもよい。また、例えば、軟質ポリ塩化ビニル樹脂などに蓄光顔料粒子を練り込んでシート加工し、それから任意の形状に切り出した賦型物の貼着、また、ペースト状ポリ塩化ビニル樹脂などに蓄光顔料粒子を分散させた液体を、0.1mm〜0.5mm厚のシート状に成形し、これに粘着剤を塗布したマーキングフィルムの貼着である。蓄光発光性の印刷部に含む蓄光顔料粒子量は20〜60質量%であり、その量は印刷部の厚さに応じて増減して発光輝度を調整すればよく、例えば、薄い印刷部に対しては高濃度に、厚い印刷部に対してはやや低い濃度に調整すればよい。また、蓄光発光性の印刷部以外の領域は、無色透明であることが好ましいが、着色透明印刷であってもよい。このとき蓄光発光性の印刷部と同系統の色調とすることにより、隠し絵として内蔵する蓄光発光性の印刷部を平時に解かり難いようにする。
蓄光発光性の印刷部に使用する蓄光顔料粒子としては公知の蓄光性夜光体粒子で、主として緑系の燐光発光色タイプ、青系の燐光発光色タイプの粒子などが使用できる。青系の燐光発光色タイプとしては、二価金属アルミン酸塩(例えば、アルミン酸ストロンチウム)の母体結晶に、希土類元素を賦活剤として二価の金属に対し、0.001〜10モル%加えた粒子である。二価の金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などであり、希土類元素としてはセリウム、プラセオジム、ネオジム、サマルウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどであり、具体的には、MoAl:Eu、Mo・xAl:y・SiOEu、MoSiEu、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、CaAl:Eu,Nd、SrAl141425:Eu,Dy等を例示できるが、特に酸化アルミナモリブデン(MoAl:Eu)系及び酸化アルミナストロンチウム(SrAl:Eu,Dy)系の青〜青緑に燐光発光する蓄光性夜光体粒子が好ましい。また、酸化イットリウム/硫黄系[Y:S:Eu、Ln(橙色発光)]、硫化カルシウム/ビスマス系[CaS:Bi(紫青色発光)]、硫化カルシウム・ストロンチウム/ビスマス系[CaSrS:Bi(青色発光)]、硫化亜鉛/銅系[ZnS:Cu(緑色発光)]、硫化亜鉛・カドミウム/銅系[ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光)]などの硫化物系蓄光性蛍光体、CaAlSiN3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN3:Euなど赤色発光を呈するAlを含むEu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体、Ca2Si58:Eu,Tmなど赤色発光を呈するEu,Tm付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体なども使用することができる。
蓄光発光性の印刷部を部分的に有する透明基材の両面には、空隙率25〜55%の範囲から選ばれた同一空隙率のメッシュシートが積層されるが、この積層は単なる重ね合わせ(非接着)でよい。単なる重ね合わせとすることで本発明の透視性蓄光表示体は、フレーム固定により積層構造を維持しながら透明基材を抜き差し自在とする。それによって暗闇の中で表示する誘導案内、及びメッセージなどの表示パターンを任意に交換することができる。このようなメッシュシートは、1).空隙率25〜55%の穿孔シート、2).空隙率25〜55%の樹脂被覆した粗目織物の何れかである。本発明の透視性蓄光表示体は、空隙率25〜55%、好ましくは35〜50%のメッシュシートを表裏に有し、表裏のメッシュシートにおける空隙部同士の積重同調率を60〜95%として、メッシュシートの空隙率25〜55%を最大限活用することで、透視性と蓄光発光表示とのバランスを良好に維持することができる。積重同調率は、透明基材を挟んで互いに対向するメッシュシート積重配置において、一方のメッシュシートAの空隙面積aを通して見えるもう一方のメッシュシートBの空隙面積bの認識率(b/a×100%)である。つまり互いのメッシュシート同士の積重配置がずれていると、空隙面積aを通して見える空隙面積bの認識率が低くなり、そのぶんだけ蓄光発光性印刷部の発光表示の発現性を悪くすることになる。また、このようなメッシュシート、特に樹脂被覆した粗目織物によるメッシュシートを使用することで本発明の透視性蓄光表示体の破壊強度を高くして、特に透明基材をガラス板とする透視性蓄光表示体においては、震災による不慮の崩落でのガラス破片の飛散を効果的に抑制することができる。このような飛散防止効果は穿孔シートでも十分に得ることができる。シート全体での積重同調率は、1枚のメッシュシートの光線透過率を分母としたとき、2枚重ね状態でのメッシュシートの光線透過率を分子として表される百分率である。
穿孔シート.1)は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などによる、厚さ0.1mm〜1mm程度の熱可塑性樹脂フィルム(例えば白着色PETフィルム)、または複層シート(白層/黒層)が好ましい。穿孔シートは穿孔部と非穿孔部からなり、非穿孔部は印刷が裏面に透けないよう遮光性を有することが好ましい。遮光手段としては穿孔シートが二酸化チタンを含み、白着色されていることが印刷性と遮光性に都合が良い。また穿孔シート裏面に黒印刷がなされた白黒ツートンシートであること、穿孔シートが難燃剤を含み、防炎性を有することも好ましい。また、穿孔シートは、パンチングなどの方法により多数の穴開けを、単位面積当りに均等密度数で施したもので、孔径は1mm〜10mmφ、好ましくは3mm〜8mmφである。孔径が1mmφ未満だと、得られる透視性蓄光表示体において蓄光発光性の印刷部の発光露出が不十分となることがあり、また孔径が10mmφを超えると穿孔シートに付帯する印刷の外観が不明瞭となることがある。また穿孔シートの空隙率は20〜60であり、特に好ましくは30〜50である。空隙率は穿孔シートの単位面積に対して、その単位面積中に含む穿孔の合計面積の比であり、空隙率が20未満(穿孔の合計面積が20%未満)だと、得られる透視性蓄光表示体において蓄光発光性の印刷部の発光露出が不十分となることがあり、また空隙率が60を超える(穿孔の合計面積が60%を超える)と、穿孔シートに付帯する印刷の外観を不明瞭とすることがある。穿孔の形状は、円形、三角形、四角形、六角形、星型などの幾何学形態、及びこれらの幾何学形態が崩れた不規則形態など任意である。これら上記の穿孔シートにおいて穿孔部が空隙部に相当する。
またメッシュシートとしては、経糸条と、緯糸条からなる粗目布帛を芯材として含み、この経糸条と緯糸条の表面が熱可塑性樹脂で被覆して得られる繊維複合メッシュが使用できる。この繊維複合メッシュは具体的に、織布もしくは編布で、特に糸条と糸条との間に隙間を有する粗目布帛を芯材として、その粗目布帛に含む糸条の表面全面を、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、及びこれらの共重合体樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂で被覆したものである。これらの熱可塑性樹脂被覆は、粗目布帛の単位面積当りの質量に対して20〜100質量%で、その一部が繊維糸条に含浸していてもよい。粗目布帛としてはポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維などのモノフィラメント糸条、もしくはマルチフィラメント糸条を用いることができ、これらの糸条は100〜1000デニール、好ましくは250〜750デニールであり、これら糸条の交絡によって得られる、粗目の織布、または編布である。本発明において最も好ましい例は、ポリエステル繊維、特に黒染のポリエステル繊維による粗目平織物を芯材として、軟質配合の白色ポリ塩化ビニル樹脂ペーストをコーティング、またはディッピングの手段で(含浸)被覆して得た繊維複合メッシュを用いることである。繊維複合メッシュには熱プレス処理で表面が平坦化されたものが好ましく使用できる。
繊維複合メッシュは開孔部と非開孔部からなり、非開孔部は熱可塑性樹脂被覆によって遮光性を有することが好ましく、遮光手段としては熱可塑性樹脂被覆層が二酸化チタンを含み、白着色されていることが印刷性と遮光性に都合が良い。また遮光性を増すためにシート裏面に黒印刷がなされた白黒ツートンシートであること、繊維複合メッシュの熱可塑性樹脂被覆層が難燃剤を含み、防炎性を有することも好ましい。また、これらの繊維複合メッシュの開孔部は、孔サイズ1mm〜10mm、好ましくは3mm〜8mmである。孔サイズが1mm未満だと、得られる透視性蓄光表示体において蓄光発光性の印刷部の発光露出が不十分となることがあり、また孔サイズが10mmを超えると繊維複合メッシュに付帯する印刷の外観が不明瞭となることがある。また繊維複合メッシュの空隙率は20〜60%であり、特に好ましくは30〜50%である。空隙率は繊維複合メッシュの単位面積に対して、その単位面積中に含む開孔の合計面積の比であり、空隙率が20%未満(開孔の合計面積が20%未満)だと、得られる透視性蓄光表示体において蓄光発光性の印刷部の発光露出が不十分となることがあり、また空隙率が60%を超える(開孔の合計面積が60%を超える)と、繊維複合メッシュに付帯する印刷の外観を不明瞭とすることがある。開孔の形状は、四角形、四隅の丸い四角形などである。これら上記の繊維複合メッシュにおいて開孔部が空隙部に相当する。
本発明の透視性蓄光表示体において、表裏メッシュシートには各々印刷が施されている。この印刷は、絵画、イラスト、写真、文字など、表示内容に特に制限は無く、これらはグラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、転写印刷などの手段によって、メッシュシートの表面に形成されるものであるが、特にコンピューターで処理された画像データの出力によるインクジェット印刷が好適である。本発明の透視性蓄光表示体は、予めメッシュシートの表面に印刷を施し、印刷が施されたメッシュシートを透明基材の両面に積層したものである。このとき、透明基材側に接するメッシュシート(非印刷面側)の色相は、黒色〜暗灰色などマンセル明度4以下の黒系色とすることが好ましい。透明基材を介在して2層のメッシュシートを積層すると、表裏各々の空隙部(穿孔または開孔)の重なりの同調率を60〜95%とすることで、同調がずれた部分が表裏各々のメッシュシートに施した印刷柄に対して、透明基材側に接するメッシュシート(非印刷面側)の黒色〜暗灰色などのマンセル明度4以下の黒系色が縁取りコントラスト効果となって、絵画、イラスト、写真、文字などの表示をより鮮明に引き立たせる効果を得る。これら印刷を施したメッシュシートと、透明基材との積層は接着してもよいが、メッシュシートの印刷及び、蓄光発光性の印刷部を有する透明基材を定期的に別の表示に交換する用途には、弱い粘着剤、粘着テープによる固定、雌雄面ファスナーなどによる微細フック固定、吸盤固定、これら手段による部分固定などで積層を行うとよい。
本発明の透視性蓄光表示体の表裏には、透明保護層が設けられていることが汚れ付着防止、及び印刷の色褪せ抑止の観点で好ましい。透明保護層は、1).0.1mm〜1mmの熱可塑性樹脂フィルム、2).厚さ1mm〜5mmの合成樹脂板、3).ガラス板の何れか1種である。熱可塑性樹脂フィルム.1)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、エチレン及び/又はα−オレフィンモノマーとシクロオレフィンモノマーとの共重合体である環状オレフィンコポリマーなどによるフィルムまたはシートが好ましく、軟質〜半硬質塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PPなど)、オレフィン系共重合体樹脂(EVA,EMMAなど)、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素含有共重合体樹脂などによるフィルムまたはシートであってもよい。透明保護層を熱可塑性樹脂フィルムとすることによって本発明の透視性蓄光表示体に可撓性が付与される。合成樹脂板.2)としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエステル樹脂(PET樹脂)、ビニルエステル樹脂、半硬質ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂であり、屈折率1.4〜1.6n(JIS K7105)を有する透明樹脂が最も好ましいが、乳濁半透明のもの、あるいは透明樹脂に光拡散性微粒子を配合したものも使用できる。本発明においてはアクリル樹脂(メタクリレート樹脂)板、及びポリカーボネート樹脂が好ましい。透明保護層を合成樹脂板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に形態安定性及び剛直性が付与される。ガラス板.3)としては、単板ガラス、複層ガラス、合わせガラス、耐熱ガラス、強化ガラス、クリスタルガラスなどが挙げられる。透明保護層をガラス板とすることで本発明の透視性蓄光表示体に不燃性を付与することができる。上記熱可塑性樹脂フィルム及び合成樹脂板には印刷の色褪せを効果的に抑止するために、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤など公知の紫外線吸収剤を含むことが好ましく、これらの添加量は透明保護層に対して0.01〜1質量%が好適である。これら紫外線吸収剤は、アクリル樹脂、アクリル−シリコン共重合体樹脂、アクリル−フッ素共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、架橋型ウレタン樹脂などの溶液に溶解させたクリア防汚耐光塗料の形態で、上記熱可塑性樹脂フィルム及び合成樹脂板の表面に塗膜形成されていてもよい。また、上記ガラス板表面にはナノサイズのシリカ、光触媒性物質(特に二酸化チタン)、有機シリケート化合物(メチル、またはエチルシリケートの加水分解縮合物)から選ばれた1種以上による薄膜が形成されることによって、更に汚れ防止性を向上させることができる。
以下、本願発明の透視性蓄光表示体を具体的に説明する。図1は本願発明の透視性蓄光表示体の断面の一例を表す図であり、図1の透視性蓄光表示体(1)は、透明基材(2)の表面に表面メッシュシート(3−1)が、透明基材(2)の裏面には裏面メッシュシート(3−2)を積層して配置されてなる複合体の端部をフレーム(5)で固定されたものであり、透明基材(2)の表面には蓄光発光性の印刷部(2−1)が部分的に設けられ、さらに表面メッシュシート(3−1)、及び裏面メッシュシート(3−2)の表面には個々印刷部(3−1−1、3−2−1)とが設けられている。また図2は本願発明の透視性蓄光表示体の断面の一例を表す図であり、図2の透視性蓄光表示体(1)は、図1の透視性蓄光表示体の両面に個々透明保護層(4)を積層して配置されてなる複合体であり、図1の透視性蓄光表示体同様、複合体の端部がフレーム(5)で固定されたものである。図3は本願発明の透視性蓄光表示体(明所観察)の表裏外観の一例を表す図で、明所観察される印刷柄の一例を示し、各々の面から観察される透視背景の描写は省略してある。図4は図3の透視性蓄光表示体を暗所観察したときの外観を一例として表す図である。
[実施例1]
1).白顔料で着色された0.05mm厚の白PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂層と、黒顔料で着色された0.05mm厚の黒PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂層とからなる0.1mm厚の白/黒ツートンフィルムに、直径3.5mmφの円孔を、等間隔で多数個パンチングした、空隙率38%(穿孔度38)のメッシュシート(高さ30cm×幅150cm)を2枚用意した。(穿孔度はメッシュシートの単位面積に対して、その単位面積中に含む穿孔の合計面積との比である。)このうち1枚のメッシュシートの白PET面には、溶剤系インク使用のインクジェット印刷機を用いて「▲○駅地下連絡通路」のゴシック体による濃紺色の文字印刷層を形成し、もう1枚のメッシュシートの白PET面には、同様にして「●△交差点方面出口」のゴシック体による臙脂色の文字印刷層を形成した。(図3)
2).厚さが均一に5mmで、屈折率1.49n(JIS K7105)の透明アクリル平板(透明基材:高さ30cm×幅150cm)の表面に、蓄光顔料粒子含有のインキによるスクリーン印刷により、非常口のゴシック文字と非常口のピクトグラムを印刷し、透明アクリル平板の裏面に同様に非常口の反転文字と非常口の反転ピクトグラムを印刷して、蓄光発光性の印刷部を部分的に有する透明基材を得た。
〈蓄光顔料粒子含有インキ〉
セイコーアドバンス社製の紫外線硬化型スクリーンインキHUG(エポキシアクリレート系)の標準色クリアーの固形分100質量部をベースに、青色燐光蓄光顔料粒子(MoAl:Eu)40質量部配合した組成物を使用した。
3).次に1)で得た2枚の印刷層付きメッシュシートの、黒PET面側にアクリル系粘着剤を丸ドット状にグラビア塗布(メッシュシートの充実面積に対して20%の占有面積で塗布)し、この2枚を、2)で得た蓄光発光性の印刷部を部分的に有する透明基材の表面、及び裏面に粘着仮止め積層し積重同調率を90%(透光率による測定値)とした。この端部全周をアルミフレームで挟んで機械的に固定し、高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。
4).3)で得た透視性蓄光表示体を、室内の中央部天井に固定装着し、蛍光灯点灯状態で透視性蓄光表示体を観察したところ、一方の観察面側では「▲○駅地下連絡通路」の表示が鮮明に観察され、その背景側景観が透視可能であった。またもう一方の観察面側では「●△交差点方面出口」の表示が鮮明に観察され、その背景側景観も透視可能で、互いの印刷表示が干渉し合う問題は無かった。
5).4)の状態を1時間継続した後、蛍光灯を消灯したところ、室内は完全な暗闇となって表裏の印刷層「▲○駅地下連絡通路」及び「●△交差点方面出口」は全く見えなくなり、突如、「非常口」のゴシック文字と非常口の「ピクトグラム」の燐光蓄光発光による表示とその反転表示が現出した。この燐光蓄光発光はメッシュシートの穿孔部を透過する青色の燐光発光ドットの集合体で表示され、メッシュシート充実部と非蓄光発光印刷部とによる暗黒部分によってシルエット(影絵)表示されたものであった。
[実施例2]
1).実施例1のメッシュシート(白/黒ツートンの穿孔シート)を、次の2)に示すメッシュシートに変更した以外は、実施例1と同様にして、印刷層を有するメッシュシートを透明基材の表裏に有する積層体を得た。この2枚のメッシュシート同士の積重同調率は86%(透光率による測定値)であった。またこの積層体は端部全周をアルミフレームで挟んで機械的に固定し、それによって高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。この透視性蓄光表示体を、室内の中央部天井に固定装着し、蛍光灯点灯状態で透視性蓄光表示体を観察したところ、一方の観察面側では「▲○駅地下連絡通路」の表示が鮮明に観察され、その背景側景観が透視可能であった。またもう一方の観察面側では「●△交差点方面出口」の表示が鮮明に観察され、その背景側景観も透視可能で、互いの印刷表示が干渉し合う問題は無かった。この状態を1時間継続した後、蛍光灯を消灯したところ、室内は完全な暗闇となって表裏の印刷層「▲○駅地下連絡通路」及び「●△交差点方面出口」は全く見えなくなり、突如、「非常口」のゴシック文字と非常口の「ピクトグラム」の燐光蓄光発光による表示とその反転表示が現出した。この燐光蓄光発光はメッシュシートの開孔部を透過する青色の燐光発光ドットの集合体で表示され、メッシュシート充実部と非蓄光発光印刷部とによる暗黒部分によってシルエット(影絵)表示されたものであった。
2).〈メッシュ状シート〉
ガラス繊維マルチフィラメント扁平糸条(500デニール)を経糸条、及び緯糸条とし、経糸条、及び緯糸条の打込本数が8本/1インチである粗目平織物を基布として用い、これを下記配合1による、白色ペースト状ポリ塩化ビニル樹脂組成物で含浸被覆し、これを加熱してゲル化させることによって、白色に着色されて表面が樹脂被覆された空隙率34%(開孔度34)のメッシュシート(質量180g/m)を得た。この開孔は1辺が1.6mmサイズの角のとれた四角形であり、メッシュシート1インチ幅当りに含む開孔の分布は各々9個である。
[配合1]
白色ペースト状ポリ塩化ビニル樹脂組成物
塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
DOP(可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
三酸化アンチモン 15質量部
Ba−Zn(安定剤) 2質量部
酸化チタン(白色顔料) 10質量部
[実施例3]
実施例1の透視性蓄光表示体の表裏に透明保護層として、厚さが均一に1mmで、屈折率1.49n(JIS K7105)の透明アクリル平板(高さ30cm×幅150cm)を積重同調率90%(透光率による測定値)で積層し、この端部全周をアルミフレームで挟み機械的に固定し、高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。実施例3の透視性蓄光表示体を用いて実施例1と同じ蛍光灯照明及び消灯試験を行った結果、実施例1の透視性蓄光表示体同様、消灯により突如、非常口のゴシック文字と非常口のピクトグラムの燐光蓄光発光による表示とその反転表示が現出した。この燐光蓄光発光はメッシュシートの穿孔部を透過する青色の燐光発光ドットの集合体で表示され、メッシュシート充実部と非蓄光発光印刷部とによる暗黒部分によってシルエット(影絵)表示されたものであった。また蛍光灯照明の元では蓄光表示体の背景側景観が透視可能で、互いの印刷表示が干渉し合う問題は無かった。
[実施例4]
実施例2の透視性蓄光表示体の表裏に透明保護層として、厚さが均一に1mmで、屈折率1.49n(JIS K7105)の透明アクリル平板(高さ30cm×幅150cm)を積重同調率86%で積層し、この端部全周をアルミフレームで挟み機械的に固定し、高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。実施例4の透視性蓄光表示体を用いて実施例2と同じ蛍光灯照明及び消灯試験を行った結果、実施例2の透視性蓄光表示体同様、消灯により突如、非常口のゴシック文字と非常口のピクトグラムの燐光蓄光発光による表示とその反転表示が現出した。この燐光蓄光発光はメッシュシートの開孔部を透過する青色の燐光発光ドットの集合体で表示され、メッシュシート充実部と非蓄光発光印刷部とによる暗黒部分によってシルエット(影絵)表示されたものであった。また蛍光灯照明の元では蓄光表示体の背景側景観が透視可能で、互いの印刷表示が干渉し合う問題は無かった。
[実施例5]
実施例1の厚さ5mm、屈折率1.49n(JIS K7105)の透明基材用の透明アクリル平板(高さ30cm×幅150cm)を、厚さ5mm、屈折率1.458n(JIS K7105)の透明基材用の透明ガラス平板(高さ30cm×幅150cm)に変更した以外は実施例1と同様にして高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。(積重同調率90%:透光率による測定値)
[実施例6]
実施例2の厚さ5mm、屈折率1.49n(JIS K7105)の透明基材用の透明アクリル平板(高さ30cm×幅150cm)を、厚さ5mm、屈折率1.458n(JIS K7105)の透明基材用の透明ガラス平板(高さ30cm×幅150cm)に変更した以外は実施例2と同様にして高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。(同調率86%:透光率による測定値)
[実施例7]
実施例3の厚さ5mm、屈折率1.49n(JIS K7105)の透明基材用の透明アクリル平板(高さ30cm×幅150cm)を、厚さ5mm、屈折率1.458n(JIS K7105)の透明基材用の透明ガラス平板(高さ30cm×幅150cm)に変更し、さらに透明保護層用の透明アクリル平板(厚さ1mm、屈折率1.49n(JIS K7105)、高さ30cm×幅150cm)を、厚さ1mm、屈折率1.458n(JIS K7105)の透明基材用の透明ガラス平板(高さ30cm×幅150cm)に変更した以外は実施例3と同様にして高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。(積重同調率90%:透光率による測定値)
[実施例8]
実施例4の厚さ5mm、屈折率1.49n(JIS K7105)の透明基材用の透明アクリル平板(高さ30cm×幅150cm)を、厚さ5mm、屈折率1.458n(JIS K7105)の透明基材用の透明ガラス平板(高さ30cm×幅150cm)に変更し、さらに透明保護層用の透明アクリル平板(厚さ1mm、屈折率1.49n(JIS K7105)、高さ30cm×幅150cm)を、厚さ1mm、屈折率1.458n(JIS K7105)の透明基材用の透明ガラス平板(高さ30cm×幅150cm)に変更した以外は実施例4と同様にして高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。(積重同調率86%:透光率による測定値)
実施例5〜8の透視性蓄光表示体は、実施例1〜4の透視性蓄光表示体同様、消灯により突如、非常口のゴシック文字と非常口のピクトグラムの燐光蓄光発光による表示とその反転表示が現出した。この燐光蓄光発光はメッシュシートの穿孔部または開孔部を透過する青色の燐光発光ドットの集合体で表示され、メッシュシート充実部と非蓄光発光印刷部とによる暗黒部分によってシルエット(影絵)表示されたものであった。また蛍光灯照明の元では蓄光表示体の背景側景観が透視可能で、互いの印刷表示が干渉し合う問題は無かった。特に、透明基材をアクリル樹脂板からガラス板に変更した実施例5〜8の透視性蓄光表示体は、ガラス板表裏にメッシュシート層を積層配置したことでガラス飛散防止効果に優れていた。
〈飛散防止効果〉
透視性蓄光表示体を垂直方向に地上3mの高さからコンクリート床に自由落下させた。
ガラス飛散防止効果優れる:ガラス板は割れてガラス破片が飛散することは
なかった。
ガラス飛散防止効果乏しい:ガラス板は割れてガラス破片が飛散した。
また、実施例5〜8の透視性蓄光表示体は耐火性に優れ、特に実施例7及び8の透視性蓄光表示体はその最外層もガラス板で構成することで不燃性規格を満足し、防煙垂壁の使用に適するものであった。
〈不燃性試験:ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法〉
輻射電気ヒーターによる50kW/mの輻射熱を透視性蓄光表示体面に20分間照射し、この発熱性試験において、20分間の総発熱量と発熱速度を測定し、試験後の透視性蓄光表示体の外観を観察した。
(a)総発熱量:8MJ/m以下のものを適合とした。
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/mを超えないものを適合とした。
(c)外観観察:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がないものを適合と
した。
[比較例1]
実施例1の透視性蓄光表示体において、2枚のメッシュシートのうち、裏面用の1枚のみを次のメッシュシートに変更した以外は実施例1と同様として、高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。
〈裏面用メッシュシート〉
白顔料で着色された0.05mm厚の白PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂層と、黒顔料で着色された0.05mm厚の黒PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂層とからなる0.1mm厚の白/黒ツートンフィルムに、直径2.5mmφの円孔を、等間隔で多数個パンチングした空隙率26%(穿孔度26)のメッシュシート。(高さ30cm×幅150cm)表面用メッシュシートと裏面用メッシュシートとの積重同調率は37%(透光率による測定値)で、本発明において好ましい積重同調率の範囲を外れて下回るものであった。
得られた表示体を用いて実施例1と同じ蛍光灯照明及び消灯試験を行った結果、消灯により現出した燐光発光表示は輝度が低く、しかも輪郭が不鮮明で、非常口のゴシック文字や非常口のピクトグラムの判読が困難であった。
[比較例2]
実施例2の透視性蓄光表示体において、2枚のメッシュシートのうち、裏面用の1枚のみを次のメッシュシートに変更した以外は実施例2と同様として、高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。
〈裏面用メッシュシート〉
ガラス繊維マルチフィラメント扁平糸条(500デニール)を経糸条、及び緯糸条とし、経糸条、及び緯糸条の打込本数が11本/1インチである粗目平織物を基布として用い、これを配合1による、白色ペースト状ポリ塩化ビニル樹脂組成物で含浸被覆し、これを加熱してゲル化させることによって、白色に着色されて表面が樹脂被覆された空隙率26%(開孔度26)のメッシュシート(質量240g/m)を得た。この開孔は1辺が1.1mmサイズの角のとれた四角形であり、メッシュシート1インチ幅当りに含む開孔の分布は各々12個である。表面用メッシュシートと裏面用メッシュシートとの積重同調率は31%(透光率による測定値)で、本発明において好ましい積重同調率の範囲を外れて下回るものであった。
得られた表示体を用いて実施例1と同じ蛍光灯照明及び消灯試験を行った結果、消灯により現出した燐光発光表示は輝度が低く、しかも輪郭が不鮮明で、非常口のゴシック文字や非常口のピクトグラムの判読が困難であった。
[比較例3]
実施例1の表示体において、2枚のメッシュシートのうち、裏面用の1枚のみを実施例2のメッシュシートに変更した以外は実施例1と同様として、高さ31cm×幅151cmサイズの透視性蓄光表示体を得た。表面用メッシュシート(実施例1)と裏面用メッシュシート(実施例2)との積重同調率は24%(透光率による測定値)で、本発明において好ましい積重同調率の範囲を外れて下回るものであった。得られた表示体を用いて実施例1と同じ蛍光灯照明及び消灯試験を行った結果、消灯により現出した燐光発光表示は輝度が低く、しかも輪郭が不鮮明で、非常口のゴシック文字や非常口のピクトグラムの判読が困難であった。
上記実施例1〜8によって明らかなように、本願発明の透視性蓄光表示体は、停電または消灯による暗闇の中では誘導案内、及びメッセージなどを両面表示可能な透視性蓄光表示体が得られ、特に実施例5〜8の透視性蓄光表示体を天井に設置した場合には、火災時に煙の拡散を遅延させる防煙垂壁の機能を有する透視性の間仕切り表示体を得ることができるので、本発明の透視性蓄光表示体を、地下駅舎、地下街、ホテル、デパート、映画館、遊戯施設、博物館、美術館、遊園地などの施設における往来制御のための看板兼用間仕切りや案内板兼用間仕切りなどとして用いることができ、さらには地下駅舎、連絡通路、コンコース、地下街などでの天井からの吊り下げ標識や案内板として、火災時に煙の拡散を遅延させる防煙垂壁の機能が付帯され、また大型店舗やオフィスビルなどの天井区画に設置される防煙垂壁には標識や案内板などの機能、さらには停電時の避難誘導などの防災機能が付帯されるので、火災と停電(震災)との両方の非常時において、より効果的な防災環境が構築できるようになる。
1 透視性蓄光表示体(複合体)
2 透明基材
2−1 蓄光発光性の印刷部
3 メッシュシート
3−1 表面メッシュシート
3−1−1 印刷部
3−2 裏面メッシュシート
3−2−1 印刷部
4 透明保護層
5 フレーム

Claims (4)

  1. 蓄光発光性の印刷部を部分的に有する透明基材を芯材として、その両面に空隙率25〜55%の範囲から選ばれた同一空隙率を有するメッシュシートを積層してなる複合体であって、前記メッシュシートの空隙部同士の積重同調率が60〜95%であり、前記複合体の両面に印刷が施されていて、さらに前記複合体が、フレーム固定により積層構造を維持し、かつ前記透明基材が抜き差し自在であることを特徴とする透視性蓄光表示体。
  2. 前記透明基材が、0.3mm〜1mmの熱可塑性樹脂フィルム、厚さ1mm〜5mmの合成樹脂板、またはガラス板の何れか1種である、請求項1に記載の透視性蓄光表示体。
  3. 前記メッシュシートが、穿孔シート、または樹脂被覆した粗目織物である請求項1または2に記載の透視性蓄光表示体。
  4. 前記複合体の両面に、0.1mm〜1mmの熱可塑性樹脂フィルム、厚さ1mm〜5mmの合成樹脂板、またはガラス板の何れか1種による透明保護層が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の透視性蓄光表示体。
JP2013000280A 2013-01-07 2013-01-07 透視性蓄光表示体 Expired - Fee Related JP6171153B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013000280A JP6171153B2 (ja) 2013-01-07 2013-01-07 透視性蓄光表示体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013000280A JP6171153B2 (ja) 2013-01-07 2013-01-07 透視性蓄光表示体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014132294A JP2014132294A (ja) 2014-07-17
JP6171153B2 true JP6171153B2 (ja) 2017-08-02

Family

ID=51411409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013000280A Expired - Fee Related JP6171153B2 (ja) 2013-01-07 2013-01-07 透視性蓄光表示体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6171153B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6257058B1 (ja) * 2017-02-01 2018-01-10 株式会社フシキ 装飾パネル
WO2019058953A1 (ja) * 2017-09-20 2019-03-28 日本ゼオン株式会社 熱可塑性樹脂シートおよび積層体

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW574102B (en) * 1999-12-28 2004-02-01 Dynic Corp Forgery prevention sheet
JP2008170520A (ja) * 2007-01-09 2008-07-24 Mk Trading:Kk シート状表示体
JP5041422B2 (ja) * 2008-02-04 2012-10-03 株式会社環境システムプランニング 異種視覚表示構造体
JP3150347U (ja) * 2009-02-25 2009-05-07 家庭化学工業株式会社 発光体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014132294A (ja) 2014-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5041422B2 (ja) 異種視覚表示構造体
JP5960526B2 (ja) 異種視覚表示構造体
JP5899560B2 (ja) 白色蓄光発光膜材
JP2011013302A (ja) 背面映写可能な産業資材シート、及びその映写システム
JP5286622B2 (ja) 光天井照明シェ−ド及び、非常灯機能を有する光天井照明システム及び、その非常灯照明方法
JP5401719B2 (ja) 看板用発光表示体及び、非常灯機能を有する看板用発光表示体システム及び、その照明方法
JP2009151210A (ja) 消防・防災・安全用標識プレートおよび消防・防災・安全用標識プレート作成キット
JP6171153B2 (ja) 透視性蓄光表示体
JP2009263606A (ja) 光天井用膜材
JP2014016394A (ja) 多種視覚表示構造体
WO2006109742A1 (ja) 蓄光発光シート
JP2007112006A (ja) 蓄光性シート
US20050238911A1 (en) Non-powered luminous panels and devices and method of manufacture
JP2008165203A (ja) 案内標識
JPH08338009A (ja) 盲人用歩道板
JP5239097B2 (ja) 背面映写可能な産業資材シート
JP5167544B2 (ja) 看板用発光表示体及び、非常灯機能を有する看板用発光表示体システム及び、その照明方法
KR100808068B1 (ko) 축광도료를 이용해 무광시에만 비상안내 정보가 나타나도록제조된 광고수단 및 그 제조방법
JP5282232B2 (ja) 光天井照明シェ−ド及び、非常灯機能を有する光天井照明システム及び、その非常灯照明方法
JP2017219616A (ja) 電光/蓄光ハイブリッドマルチパネル
JP5749097B2 (ja) 蓄光式標識とその製造法
JP2009037080A (ja) 屋外用内照式膜材及びそれを用いた施工物
EP1496490B1 (en) Image display device and image sheet
JP2019038986A (ja) 蓄光フィルム及びその製造方法
JP2010191129A (ja) 背面映写可能な産業資材シート、及びその映写システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151211

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170529

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170601

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6171153

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees