以下、図面を参照して、実施形態に係る運転支援装置を説明する。運転支援装置は、自車両に搭載されて、縦列駐車位置から発進する自車両に対する運転支援を行う。なお、以下の説明において、上下左右等の方向は、特に指示する場合を除き車両の上下左右等の方向をいう。各図において、“Up”は高さ方向上方を示し、“Fr”は前後方向前方を示し、“R”は車幅方向右方を示す。また、各図において、同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、縦列駐車している状態を示した図である。図1では、実施形態に係る運転支援装置(図2参照)が搭載された自車両B1が縦列駐車位置αに駐車しており、自車両B1の前後方向前方に隣接車両B2が駐車しており、自車両B1の前後方向後方に隣接車両B3が駐車している状況を示している。自車両B1は、セダンやクーペ等の車両であり、隣接車両B2及び隣接車両B3は、自車両B1よりも車高の高いSUV等の車両である。そして、第1の実施形態に係る運転支援装置は、図1に示す状況において、隣接車両B2及び隣接車両B3を回避するように自車両B1を縦列駐車位置αから発進させる運転支援を行う。なお、図1において、破線βは、自車両B1の発進経路の一例を示している。
図2は、実施形態に係る運転支援装置のブロック構成図である。図1及び図2に示すように、実施形態に係る運転支援装置1は、スイッチ11と、レーザレーダ12と、レーダ13と、ソナー14と、カメラ15と、パワートレーンECU(Electronic Control Unit)21と、ブレーキECU22と、ステアリングECU23と、SBW(Steer By Wire)ECU24と、メータECU25と、HMI(HumanMachine Interface)26と、自動駐車ECU30と、を備えている。スイッチ11は、運転支援装置1に運転支援を実行させるための操作部である。
レーザレーダ12は、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser ImagingDetection and Ranging)と呼ばれている。レーザレーダ12は、レーザ光により検出範囲内に位置する障害物の検出部位Eを検出する検出部である。レーザレーダ12は、自車両B1の前端部及び後端部に取り付けられている。レーザレーダ12は、自車両B1の前後方向において自車両B1から離れるに従い扇状に広がる予め設定された検出範囲を有している。図1に示す状況においては、レーザレーダ12の取付高さが、隣接車両のバンパーの取り付け高さよりも低くなっている(図3参照)。そして、レーザレーダ12は、レーザ光を出射し、障害物の検出部位Eから反射して戻ってきた反射波を測定する。これにより、レーザレーダ12は、検出範囲内に位置する障害物の検出部位Eを検出するとともに、その測距データを取得する。レーザレーダ12の測距データには、反射波の反射強度と、前後方向に延びる線に対するレーザ光の出射角度と、レーザレーダ12から検出部位Eまでの距離と、が含まれる。なお、レーザレーダ12から検出部位Eまでの距離は、周知のタイム・オブ・フライト方式によりレーザ光の速度と超音波の往復時間とから求めることができる。そして、レーザレーダ12は、取得した測距データを自動駐車ECU30に送信する。
レーダ13は、ミリ波帯等の電波により検出範囲内に位置する障害物の検出部位Eを検出する検出部である。レーダ13は、レーザレーダ12と同様に、自車両B1の前端部及び後端部に取り付けられている。レーダ13は、自車両B1の前後方向において自車両B1から離れるに従い扇状に広がる予め設定された検出範囲を有している。なお、レーダ13のその他の取付位置、測距方法等は、基本的にレーザレーダ12と同様であるため、その説明を省略する。そして、レーダ13は、取得した測距データを自動駐車ECU30に送信する。
ソナー14は、超音波により検出範囲内に位置する障害物の検出部位Eを検出する検出部である。ソナー14は、自車両B1の四隅に取り付けられている。ソナー14は、自車両B1の前後方向において自車両B1から離れるに従い扇状に広がる予め設定された検出範囲を有している。なお、ソナー14のその他の取付位置、測距方法等は、基本的にレーザレーダ12と同様であるため、その説明を省略する。そして、ソナー14は、取得した測距データを自動駐車ECU30に送信する。
カメラ15は、周囲の状況を画像データとして取得する撮像装置である。カメラ15は、自車両B1の前方及び後方を撮像できる位置に取り付けられている。カメラ15は、前後方向における前方及び後方を撮像する。そして、カメラ15は、撮像した画像データを自動駐車ECU30に送信する。
パワートレーンECU21は、自車両B1を前進、後退及び停止させるためのエンジン制御を行う制御部である。パワートレーンECU21は、エンジン制御として、例えば、運転者のアクセル操作によらず、燃料の噴射量、燃料の噴射タイミング及び点火タイミング等の制御を行う。
ブレーキECU22は、自車両B1を減速させるためのブレーキ制御を行う制御部である。ブレーキECU22は、ブレーキ制御として、例えば、運転者のブレーキ操作によらず、ブレーキマスターシリンダから伝達される液圧等の制御を行う。
ステアリングECU23は、自車両B1の進行方向を変えるための操舵制御を行う制御部である。ステアリングECU23は、操舵制御として、例えば、運転者のステアリング操作によらず、電動式パワーステアリングを構成するモータ等の制御を行う。
SBW ECU24は、変速ギアのシフト位置を電気信号で伝えるSBW制御を行う制御部である。SBW ECU24は、SBW制御として、例えば、運転者のシフト操作によらず電気信号によりシフト位置を切替える等の制御を行う。
メータECU25は、自車両B1のメータ等の表示制御を行う制御部である。メータECU25は、表示制御として、HMI26に様々な車両状態情報又は運転支援情報等を出力させる制御を行う。
HMI26は、運転支援等の運転支援情報をディスプレイ等に出力するインターフェースである。HMI26は、例えば、液晶パネルに、現在の運転支援の支援内容を出力させる。
自動駐車ECU30は、主にCPU等の演算装置とメモリ等の記憶装置とにより構成されており、予め記憶された様々なプログラムに従って各種制御を行う。自動駐車ECU30は、スイッチ11、レーザレーダ12、レーダ13、ソナー14、カメラ15、パワートレーンECU21、ブレーキECU22、ステアリングECU23、SBW ECU24及びメータECU25と電気的に接続されている。そして、自動駐車ECU30は、スイッチ11、レーザレーダ12、レーダ13、ソナー14及びカメラ15から出力されたデータに基づいて、パワートレーンECU21、ブレーキECU22、ステアリングECU23、SBW ECU24及びメータECU25を制御することにより、自車両B1の運転支援を行う。
自動駐車ECU30は、隣接車両判定部31と、算出部32と、車体端部位置推定部33と、発進可否判定部34と、運転支援実行部35と、を備える。隣接車両判定部31、算出部32、車体端部位置推定部33、発進可否判定部34及び運転支援実行部35は、それぞれ自動駐車ECU30で実現される機能である。隣接車両判定部31、算出部32、車体端部位置推定部33、発進可否判定部34及び運転支援実行部35は、一つのECUで実現されてもよく、複数のECUで実現されてもよい。
隣接車両判定部31は、レーザレーダ12、レーダ13又はソナー14が検出した障害物が、縦列駐車位置αにある自車両B1の前後方向に位置する隣接車両B2又は隣接車両B3であるか否かを判定する。
隣接車両B2又は隣接車両B3であるか否かの判定は、例えば、レーザレーダ12又はレーダ13から送信された測距データ、又は、カメラ15から送信された画像データを用いて行うことができる。
まず、レーザレーダ12又はレーダ13から送信された測距データを用いて判定する場合について説明する。車両のバンパーよりも上の部分は、主に金属素材及びガラス素材の部材(ボンネットやフロントガラス等)で構成される。一方、車両のバンパーよりも下の部分は、主にゴム素材の部材(タイヤ等)で構成される。このため、車両のバンパーよりも下の部分は、車両のバンパーよりも上の部分よりも反射波の反射強度が小さくなる。そこで、隣接車両判定部31は、レーザレーダ12又はレーダ13から送信された測距データから反射波の反射強度を抽出し、路面側の反射波の反射強度と路面の反対側の反射波の反射強度とを比較する。そして、隣接車両判定部31は、路面側の反射波の反射強度が路面の反対側の反射波の反射強度よりも小さい場合は、検出した障害物が車両であると判定する。一方、路面側の反射波の反射強度が路面の反対側の反射波の反射強度よりも大きい又は同等である場合は、検出した障害物が車両でないと判定する。
次に、カメラ15から送信された画像データを用いて判定する場合について説明する。画像データからは、障害物の形状を特定することができる。このため、隣接車両判定部31は、まず、画像データの障害物に対応する部分に対して車両テンプレートをマッチングさせるテンプレートマッチングを行う。そして、隣接車両判定部31は、車両テンプレートとのマッチング度が所定閾値以上であると判定した場合は、検出した障害物が車両であると判定する。一方、隣接車両判定部31は、車両テンプレートとのマッチング度が所定閾値以上でないと判定した場合は、検出した障害物が車両でないと判定する。
算出部32は、隣接車両判定部31が障害物を隣接車両B2又は隣接車両B3と判定した場合、レーザレーダ12、レーダ13又はソナー14の検出結果に基づいて、前後方向における自車両B1と隣接車両B2の検出部位Eとの距離L(不図示)と、隣接車両B2の検出部位Eの高さH(不図示)と、を算出する。また、算出部は、同様に、前後方向における自車両B1と隣接車両B3の検出部位Eとの距離Lと、隣接車両B3の検出部位Eの高さHと、を算出する。具体的に説明すると、算出部32は、隣接車両B2の検出部位Eの各検出点について、前後方向における自車両B1との距離Lと、高さ方向における路面Sからの高さHと、を算出する。また、算出部32は、隣接車両B3の検出部位Eの各検出点について、前後方向における自車両B1との距離Lと、高さ方向における路面Sからの高さHと、を算出する。なお、以下の説明では、距離L及び高さHを算出することを、“測距する”ともいう。
距離Lは、周知の手法により算出することができる。なお、距離Lは、レーザレーダ12、レーダ13又はソナー14の何れの検出結果を用いても同様の手法により算出することができる。このため、代表してレーザレーダ12の検出結果を用いて算出する場合についてのみ説明する。算出部32は、まず、レーザレーダ12から送信された計測データから、前後方向に延びる線に対する高さ方向及び車幅方向におけるレーザ光の出射角度と、レーザレーダ12から検出部位Eまでの距離と、を抽出する。次に、算出部32は、レーザレーダ12から検出部位Eまでの距離と、計測データから抽出した高さ方向及び車幅方向におけるレーザ光の出射角度とを用いて、周知の簡単な三角関数により、レーザレーダ12から隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eまでの前後方向における距離を算出する。そして、算出部32は、この算出した距離に、レーザレーダ12から自車両B1の隣接車両B2側又は隣接車両B3側の先端までの前後方向における距離を加えることで、距離Lを算出する。
高さHは、周知の手法により求めることができる。なお、高さHは、レーザレーダ12、レーダ13又はソナー14の何れの検出結果を用いても同様の手法により算出することができる、このため、代表してレーザレーダ12の検出結果を用いて算出する場合についてのみ説明する。算出部32は、まず、レーザレーダ12から送信された計測データから、前後方向に延びる線に対する高さ方向におけるレーザ光の出射角度と、レーザレーダ12から検出部位Eまでの距離と、を抽出する。次に、算出部32は、レーザレーダ12から検出部位Eまでの距離と、計測データから抽出した高さ方向におけるレーザ光の出射角度とを用いて、周知の簡単な三角関数により、レーザレーダ12から隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eまでの高さ方向における距離を算出する。そして、算出部32は、この算出した距離に、レーザレーダ12の取り付け高さを加えることで、高さHを算出する。
なお、レーザ光は電波よりも指向性が高く、電波は超音波よりも指向性が高い。このため、レーザレーダ12の検出結果を用いた方が、レーダ13又はソナー14の検出結果を用いるよりも、測距制度が高くなる。そこで、以下の説明では、レーザレーダ12の検出結果を用いて隣接車両B2及び隣接車両B3を測距するものとして説明する。
車体端部位置推定部33は、算出部32が算出した距離Lと高さHとに基づいて、前後方向において隣接車両B2のうち自車両B1に最も近い車体端部位置Cを推定する。隣接車両B2の車体端部位置Cは、隣接車両B2のリアバンパー、荷台等の後端の位置となる。同様に、車体端部位置推定部33は、算出部32が算出した距離Lと高さHとに基づいて、前後方向において隣接車両B3のうち自車両B1に最も近い車体端部位置Cを推定する。隣接車両B3の車体端部位置Cは、隣接車両B3のフロントバンパー等の前端の位置となる。
ここで、図3〜図8を参照して、車体端部位置Cの推定手法について詳しく説明する。なお、隣接車両B2の車体端部位置Cの推定手法と隣接車両B3の車体端部位置Cの推定手法とは基本的に同じであるため、代表して隣接車両B2の車体端部位置Cの推定手法のみについて説明する。
図3〜図5は、自車両と隣接車両との距離と検出部位との関係を説明するための図である。図6〜図8は、検出部位の高さに応じた車体端部位置の推定手法を説明するための図である。なお、図3と図6、図4と図7、図5と図8とは、それぞれ自車両B1と隣接車両B2との位置関係が同じ状態を示している。
図3〜図5に示すように、レーザレーダ12の検出範囲Dは、前後方向に向かって高さ方向及び車幅方向に所定角度で扇状に広がっている。このため、自車両と隣接車両との距離が短くなるほど、検出範囲Dが高さ方向及び車幅方向に狭くなる。
図3では、検出範囲D内に位置する検出部位Eの上端位置が車体端部位置Cよりも上方となる程度に、自車両B1と隣接車両B2とが十分に離れている状態を示している。また、図3に示す状態では、検出部位Eに、隣接車両B2の車体端部位置C及びリアタイヤRTの路面Sとの接地点付近が含まれる。なお、検出部位Eは、図3において太線で示した部分である。
図4では、検出範囲D内に位置する検出部位Eの上端位置が車体端部位置Cよりも下方となる程度に、図3の状態よりも自車両B1と隣接車両B2とが近づいた状態を示している。また、図4に示す状態では、検出部位Eに、リアタイヤRTの路面Sとの接地点付近が含まれるものの、隣接車両B2の車体端部位置Cが含まれなくなる。なお、検出部位Eは、図4において太線で示した部分である。
図5では、検出範囲D内に位置する検出部位Eの下端位置がリアタイヤRTの路面Sとの接地点よりも上方となる程度に、図4の状態よりも更に自車両B1と隣接車両B2とが近づいた状態を示している。また、図5に示す状態では、検出部位Eに、隣接車両B2のリアタイヤRTの一部が含まれるものの、隣接車両B2の車体端部位置Cも含まれなくなる。なお、検出部位Eは、図5において太線で示した部分である。
そこで、図3及び図6に示すように、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに、路面Sからの高さが予め設定された車体端部位置判定閾値T1以上である上側検出部位E1が含まれるか否かを判定する。なお、図6では、上側検出部位E1における代表的な検出点を、検出点J1として示している。
車体端部位置判定閾値T1は、検出部位Eに車体端部位置Cが含まれるか否かを判定するための閾値である。車体端部位置判定閾値T1は、任意の値に設定することができる。具体的に説明すると、車体端部位置判定閾値T1は、隣接車両B2として想定される車両モデルにおける車体端部位置よりも所定距離下方の高さ位置である。車体端部位置判定閾値T1の上限値としては、例えば、隣接車両B2として想定される車両モデルにおける車体端部位置Cとすることができる。車体端部位置判定閾値T1の下限値としては、例えば、隣接車両B2として想定される車両モデルにおけるリアバンパーの下端位置とすることができる。車両モデルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、車高の高いSUVの車両モデルを採用することができる。
検出部位Eに上側検出部位E1が含まれるか否かは、例えば、算出部32が算出した検出部位Eの各検出点の高さHと車体端部位置判定閾値T1とを比較することにより判定することができる。この場合、少なくとも一つの検出点の高さHが車体端部位置判定閾値T1よりも高ければ、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに上側検出部位E1が含まれると判定する。
そして、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに、路面Sからの高さが予め設定された車体端部位置判定閾値T1以上である上側検出部位E1が含まれると判定した場合、上側検出部位E1のうち自車両B1に最も近い位置を車体端部位置Cと推定する。上側検出部位E1のうち自車両B1に最も近い位置は、例えば、算出部32が算出した検出部位Eの各検出点について距離Lを比較することに特定することができる。
一方、図4、図5、図7及び図8に示すように、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに上側検出部位E1が含まれていないと判定した場合、以下に説明するように、まず、検出部位Eに基づいて前後方向における隣接車両B2の自車両B1側の車軸位置Gを推定する。そして、車体端部位置推定部33は、この推定した車軸位置Gに基づいて車体端部位置Cを推定する。
図4及び図7に示すように、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに上側検出部位E1が含まれていないと判定した場合、まず、検出部位Eに、路面Sからの高さがタイヤ接地点判定閾値T2以下である下側検出部位E2が含まれているか否かを判定する。タイヤ接地点判定閾値T2は、路面Sからの高さが車体端部位置判定閾値T1よりも低い閾値である。なお、図7では、下側検出部位E2における代表的な検出点を、検出点J2として示している。
タイヤ接地点判定閾値T2は、検出部位EにタイヤRTが路面Sに接地する接地点に近接する部位が含まれるか否かを判定するための閾値である。タイヤ接地点判定閾値T2は、任意の値に設定することができる。タイヤ接地点判定閾値T2としては、0よりも大きな値とすることができる。また、タイヤ接地点判定閾値T2としては、隣接車両B2として想定される車両モデルにおいて、レーザレーダ12により検出可能なタイヤの上端よりも低い位置とすることができる。
検出部位Eに下側検出部位E2が含まれるか否かは、例えば、算出部32が算出した検出部位Eの各検出点の高さHと車体端部位置判定閾値T1とを比較することにより判定することができる。
次に、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに、路面Sからの高さがタイヤ接地点判定閾値T2以下である下側検出部位E2が含まれていると判定した場合、前後方向において下側検出部位E2のうち自車両B1から最も遠い位置を接地点推定位置Iとする。そして、車体端部位置推定部33は、この接地点推定位置Iから車軸位置Gを推定する。なお、前後方向において下側検出部位E2のうち自車両B1から最も遠い位置と、高さ方向において下側検出部位E2のうち最も低い位置とは同じである。このため、前後方向において下側検出部位E2のうち自車両B1から最も遠い位置の算出を、高さ方向において下側検出部位E2のうち最も低い位置の算出により行ってもよい。
車軸位置Gの推定としては、例えば、前後方向において接地点推定位置Iの位置を車軸位置Gと推定してもよく、接地点推定位置Iから車軸位置Gを推定してもよく、前後方向において接地点推定位置Iよりも自車両B1の反対側に所定距離の位置を車軸位置Gと推定してもよい。ここで、接地点推定位置Iは、レーザレーダ12から見える位置である。このため、接地点推定位置Iは、前後方向においてタイヤRTの回転中心である車軸位置Gよりも自車両B1側の位置となる。そこで、前後方向において接地点推定位置Iよりも自車両B1の反対側に所定距離の位置を車軸位置Gと推定する。これにより、推定した車軸位置Gを実際の車軸位置Gに近づけることができる。但し、この所定距離が長すぎると、車軸位置Gの推定精度が低下する。このため、この所定距離は、隣接車両B2のタイヤRTとして想定されるタイヤモデルの半径以下とすることが好ましい。
そして、車体端部位置推定部33は、この推定した車軸位置Gから自車両B1側にオーバーハング設定距離L1の位置を車体端部位置Cと推定する。
オーバーハング設定距離L1は、隣接車両B2として想定される車両モデルの自車両B1側の車軸から自車両B1側の車体端部位置Cに至るオーバーハング部分の長さである。
また、図5及び図8に示すように、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに、路面Sからの高さがタイヤ接地点判定閾値T2以下である下側検出部位E2が含まれていないと判定した場合、検出部位Eの曲面形状に基づいて、車軸位置Gを推定する。なお、図8では、検出部位Eにおける代表的な検出点を、検出点J3として示している。
ここで、検出部位Eの曲面形状に基づく車軸位置Gの推定手法について説明する。
検出部位Eに、上側検出部位E1及び下側検出部位E2が含まれていない場合であっても、検出部位Eに、タイヤRTの外周面に沿った曲面形状となる部分が含まれる場合がある。そこで、車体端部位置推定部33は、まず、検出部位Eから、タイヤRTの外周面に沿った曲面形状となる第三候補検出部位E3を抽出する。
第三候補検出部位E3の抽出は、例えば、次の手法により行うことができる。第三候補検出部位E3は、タイヤRTの外周面に沿った曲面形状となる部分である。そこで、車体端部位置推定部33は、検出部位Eのうち、自車両B1側から自車両B1の反対側の位置に向かうに従って曲線を描くように路面Sに近づいていく(低くなっていく)部分を、第三候補検出部位E3として抽出する。この場合、車体端部位置推定部33は、検出部位Eを、隣接車両B2のタイヤとして想定されるタイヤモデルにフィッティングさせることにより、第三候補検出部位E3を抽出してもよい。
次に、車体端部位置推定部33は、抽出した第三候補検出部位E3から車軸位置Gを推定する。
第三候補検出部位E3から車軸位置Gを推定する手法は、特に限定されるものではなく、例えば次の手法を採用することができる。すなわち、第三候補検出部位E3を円弧に近似させ、この近似させた円弧の中心を車軸位置Gと推定してもよい。また、第三候補検出部位E3を、隣接車両B2のタイヤとして想定されるタイヤモデルにフィッティングさせ、このタイヤモデルの車軸位置を車軸位置Gと推定してもよい。
そして、車体端部位置推定部33は、この推定した車軸位置Gから自車両B1側にオーバーハング設定距離L1の位置を車体端部位置Cと推定する。
発進可否判定部34は、車体端部位置推定部33が推定した隣接車両B2の車体端部位置C及び隣接車両B3の車体端部位置Cに基づいて、自車両B1が隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できるか否かを判定する。つまり、発進可否判定部34は、自車両B1が車体端部位置Cを回避して発進できる経路を探索する。経路の探索は、例えば、自車両B1の最小回転半径等の旋回特性などに基づいて行う。そして、発進可否判定部34は、当該経路を探索できた場合は、自車両B1が隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できると判定する。一方、発進可否判定部34は、当該経路を探索できなかった場合は、自車両B1が隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できないと判定する。
自車両B1が車体端部位置Cを回避して発進できる経路としては、特に限定されるものではない。例えば、最大舵角で前進及び後退を繰り返す経路であってもよく、隣接車両B3まで真っ直ぐ後退して最大舵角で前進する経路であってもよい。
運転支援実行部35は、縦列駐車位置αから発進する自車両B1に対する運転支援を実行する。具体的に説明すると、運転支援実行部35は、発進可否判定部34が、自車両B1が車体端部位置Cを回避して発進できると判定した場合に、この判定の根拠となった経路で自車両B1が走行するように、パワートレーンECU21、ブレーキECU22、ステアリングECU23、SBW ECU24及びメータECU25を制御する。なお、運転支援実行部35は、周知の様々な制御態様により各ECUを制御する。
次に、図9を参照して、本実施形態に係る運転支援装置の運転支援処理について説明する。図9は、係る運転支援装置による運転支援処理を示すフローチャートである。なお、図9に示す処理動作は、スイッチ11により運転支援を実行させるための操作が行われることにより開始し、自動駐車ECU30の制御により行われる。
図9に示すように、スイッチ11が操作されると、運転支援装置1は、自車両B1が縦列駐車位置αに駐車しているか否かを判定する(S1)。S1の判定方法は、特に限定されるものではなく、例えば、次に示す方法を採用することができる。例えば、運転支援装置1は、自車両B1の運転者が自車両B1の操作ボタン等を操作することにより、自車両B1が縦列駐車位置αに駐車しているか否かを判定してもよい。また、運転支援装置1は、自車両B1が駐車する際に周辺車両の駐車状況を検出しておくことにより、自車両B1が縦列駐車位置αに駐車しているか否かを判定してもよい。
自車両B1が縦列駐車位置αに駐車していないと判定した場合(S1:NO)、運転支援装置1は、自車両B1を縦列駐車位置αから発進させるための運転支援を行う必要が無いと判断する。そして、運転支援装置1は、運転支援処理を終了する。
一方、自車両B1が縦列駐車位置αに駐車していると判定した場合(S1:YES)、運転支援装置1は、レーザレーダ12、レーダ13、ソナー14及びカメラ15の少なくとも一つにより、各検出範囲を走査させる。そして、自動駐車ECU30は、前後方向に位置する障害物を検出したか否かを判定する(S2)。前後方向に位置する障害物を検出したか否かは、レーザレーダ12、レーダ13、ソナー14及びカメラ15から送信された測距データに基づいて判定することができる。
前後方向に位置する障害物を検出していないと判定した場合(S2:NO)、運転支援装置1は、自車両B1を縦列駐車位置αから発進させるための運転支援を行う必要が無いと判断する。そして、運転支援装置1は、運転支援処理を終了する。
一方、前後方向に位置する障害物を検出したと判定した場合(S2:YES)、隣接車両判定部31は、S2で検出した障害物が自車両B1の前後方向に位置する隣接車両B2又は隣接車両B3であるか否かを判定する(S3)。障害物が隣接車両B2又は隣接車両B3であるか否かは、例えば、レーザレーダ12又はレーダ13から送信された測距データ(反射波の反射強度)、又は、カメラ15から送信された画像データに基づいて判定することができる。
障害物が隣接車両B2又は隣接車両B3でないと判定した場合(S3:NO)、運転支援装置1は、自車両B1を縦列駐車位置αから発進させるための運転支援を行う必要が無いと判断する。そして、運転支援装置1は、運転支援処理を終了する。
一方、障害物が隣接車両B2又は隣接車両B3であると判定した場合(S3:YES)、算出部32は、S1の検出結果に基づいて、前後方向における自車両B1と隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eとの距離Lと、検出部位Eの高さHと、を算出する(S4)。距離L及び高さHは、レーザレーダ12から送信された測距データに含まれる前後方向に延びる線に対するレーザ光の出射角度と、レーザレーダ12から検出部位までの距離とに基づいて算出することができる。
次に、車体端部位置推定部33は、S4において算出した距離Lと高さHとに基づいて、前後方向において隣接車両B2又は隣接車両B3のうち自車両B1に最も近い車体端部位置Cを推定する(S5)。
ここで、図10を参照して、S5において車体端部位置Cを推定する車体端部位置推定処理を詳しく説明する。図10は、車体端部位置推定処理を示すフローチャートである。なお、隣接車両B2の車体端部位置Cを推定する車体端部推定処理と隣接車両B3の車体端部位置Cを推定する車体端部推定処理とは基本的に同じであるため、代表して隣接車両B2の車体端部位置Cを推定する車体端部推定処理のみについて説明する。
図10に示すように、車体端部位置推定処理(S5)において、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに、路面Sからの高さが予め設定された車体端部位置判定閾値T1以上である上側検出部位E1が含まれるか否かを判定する(S11)。
検出部位Eに上側検出部位E1が含まれると判定した場合(S11:YES)、車体端部位置推定部33は、上側検出部位E1のうち自車両B1に最も近い位置を車体端部位置Cと推定する(S12)。そして、車軸位置Gの推定が終了すると、運転支援装置1は、車体端部位置推定処理を終了する。
一方、検出部位Eに、路面Sからの高さが予め設定された車体端部位置判定閾値T1以上である上側検出部位E1が含まれないと判定した場合(S11:NO)、車体端部位置推定部33は、検出部位Eに、路面Sからの高さが車体端部位置判定閾値T1よりも低いタイヤ接地点判定閾値T2以下である下側検出部位が含まれているか否かを判定する(S13)。
検出部位Eに下側検出部位E2が含まれていると判定した場合(S13:YES)、車体端部位置推定部33は、前後方向において下側検出部位E2のうち自車両B1から最も遠い位置を接地点推定位置Iとする(S14)。そして、車体端部位置推定部33は、接地点推定位置Iから車軸位置Gを推定する(S15)。S15では、車体端部位置推定部33は、前後方向において接地点推定位置Iを車軸位置Gと推定してもよく、前後方向において接地点推定位置Iよりも自車両B1の反対側に所定距離の位置を車軸位置Gと推定してもよい。
次に、車体端部位置推定部33は、S15で推定した車軸位置Gから自車両B1側にオーバーハング設定距離L1の位置を車体端部位置Cと推定する(S16)。そして、車軸位置Gの推定が終了すると、運転支援装置1は、車体端部位置推定処理を終了する。
一方、検出部位Eに下側検出部位E2が含まれていないと判定すると(S13:NO)、車体端部位置推定部33は、検出部位Eの曲面形状に基づいて車軸位置Gを推定する(S17)。S17において、車体端部位置推定部33は、まず、検出部位Eから、タイヤRTの外周面に沿った曲面形状となる第三候補検出部位E3を抽出する。車体端部位置推定部33は、その後、抽出した第三候補検出部位E3から車軸位置Gを推定する。
次に、車体端部位置推定部33は、S17で推定した車軸位置Gから自車両B1側にオーバーハング設定距離L1の位置を車体端部位置Cと推定する(S18)。そして、車軸位置Gの推定が終了すると、運転支援装置1は、車体端部位置推定処理を終了する。
図9に示すように、車体端部位置推定処理(S5)が終了すると、発進可否判定部34は、S5で推定した隣接車両B2の車体端部位置C及び隣接車両B3の車体端部位置Cに基づいて、自車両B1が縦列駐車位置αから隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できるか否かを判定する(S6)。S6において、発進可否判定部34は、自車両B1が縦列駐車位置αから車体端部位置Cを回避して発車できる経路を探索する。そして、発進可否判定部34は、当該経路が探索できた場合は、自車両B1が隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できると判定する。一方、発進可否判定部34は、当該経路が探索できなかった場合は、自車両B1が隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できないと判定する。
自車両B1が縦列駐車位置αから隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できる判定した場合(S6:YES)、運転支援実行部35は、S5で発進可能と判定した経路で自車両B1を発進させるように、運転支援を実行する(S7)。運転支援の形態は、特に限定されるものではない。例えば、運転支援実行部35が、パワートレーンECU21、ブレーキECU22、ステアリングECU23及びSBW ECU24を制御することにより、自車両B1を自動運転してもよい。また、運転支援実行部35が、メータECU25を介してHMI26を制御することにより、運転者に運転操作を情報提供してもよい。そして、自車両B1が縦列駐車位置αから出て隣接車両B2及び隣接車両B3を回避する必要の無い位置まで移動すると、運転支援実行部35は、運転支援処理を終了する。
一方、自車両B1が縦列駐車位置αから隣接車両B2及び隣接車両B3を回避して発進できないと判定すると(S6:NO)、運転支援実行部35は、運転支援を実行することなく、運転支援処理を終了する。この場合、運転支援実行部35は、メータECU25を介してHMI26を制御することにより、自車両B1が発進できないことを運転者に情報提供してもよい。
以上説明したように、運転支援装置1では、レーザレーダ12、レーダ13、ソナー14及びカメラ15の少なくとも一つが障害物を検出し、隣接車両判定部31が当該障害物を隣接車両B2又は隣接車両B3と判定した場合、算出部32が、前後方向における自車両B1と隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eとの距離Lと、検出部位Eの高さHと、を算出する。そして、車体端部位置推定部33が、算出された距離Lと高さHとに基づいて、前後方向において隣接車両B2のうち自車両B1に最も近い車体端部位置C及び隣接車両B3のうち自車両B1に最も近い車体端部位置Cを推定する。ここで、車体端部位置推定部33が隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eに車体端部位置判定閾値T1以上である上側検出部位E1が含まれると判定した場合は、検出部位Eに隣接車両B2又は隣接車両B3の車体端部位置Cが含まれると考えられる。そこで、この場合は、車体端部位置推定部33が、上側検出部位E1のうち自車両B1に最も近い位置を車体端部位置Cと推定する。一方、車体端部位置推定部33が隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eに上側検出部位E1が含まれていないと判定した場合は、検出部位Eに隣接車両B2又は隣接車両B3の車体端部位置Cが含まれていないが、検出部位Eに隣接車両B2又は隣接車両B3の車体端部位置Cよりも下方に位置するタイヤRTが含まれていると考えられる。タイヤRTの位置と車軸位置Gとには所定の関係性があり、車軸位置Gと車体端部位置Cとにも所定の関係性がある。そこで、この場合は、車体端部位置推定部33が、検出部位Eに基づいて前後方向における隣接車両B2又は隣接車両B3の自車両B1側の車軸位置Gを推定し、この推定された車軸位置Gに基づいて隣接車両B2又は隣接車両B3の車体端部位置Cを推定する。これにより、タイヤRTを車体端部位置と判定した場合に比べて、隣接車両B2又は隣接車両B3の車体端部位置Cを適切に推定することができる。そして、発進可否判定部34は、このようにして推定した車体端部位置Cに基づいて発進可否判定を行うことで、自車両B1が隣接車両B2又は隣接車両B3を回避して縦列駐車位置αから発進できるか否かを適切に判定することができる。
また、車体端部位置推定部33が、隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eに、上側検出部位E1が含まれておらず、且つ、車体端部位置判定閾値T1よりも低いタイヤ接地点判定閾値T2以下である下側検出部位E2が含まれていると判定した場合は、検出部位Eに、タイヤRTが路面Sに接するタイヤ接地点又はタイヤ接地点付近が含まれると考えられる。また、タイヤRTはタイヤ接地点に近づくほど自車両B1から離れていく形状をなしており、タイヤ接地点と車軸位置Gとには所定の関係性がある。そこで、この場合は、車体端部位置推定部33が、前後方向において下側検出部位E2のうち自車両B1から最も遠い位置を接地点推定位置Iとし、この接地点推定位置Iから車軸位置Gを推定する。これにより、車軸位置Gの推定精度を高くすることができる。
また、隣接車両B2又は隣接車両B3の検出部位Eに、上側検出部位E1及び下側検出部位E2が含まれていないと判定した場合は、検出部位Eに、タイヤRTの一部が含まれていると考えられる。また、タイヤRTの外周面は曲面形状をなしており、車軸はタイヤRTの半径方向中心に位置している。そこで、この場合は、車体端部位置推定部33が、検出部位Eの曲面形状に基づいて車軸位置Gを推定することで、車軸位置Gの推定精度を高くすることができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、運転支援装置は、前後方向前方に隣接する隣接車両B2及び前後方向後方に隣接する隣接車両B3の双方を検出するものとして説明した。しかしながら、運転支援装置は、前後方向前方に隣接する隣接車両B2のみを検出するものとしてもよく、前後方向後方に隣接する隣接車両B3のみを検出するものとしてもよい。運転支援装置が前後方向前方に隣接する隣接車両B2のみを検出するものとする場合は、発進可否判定部34は、自車両B1を後退させることなく最大舵角で前進することにより、自車両B1が縦列駐車位置αから隣接車両B2を回避して発進することができるか否かを判定してもよい。運転支援装置が前後方向後方に隣接する隣接車両B3のみを検出するものとする場合は、発進可否判定部34は、自車両B1を一旦後退させた後、最大舵角で前進することにより、自車両B1が縦列駐車位置αから隣接車両B2を回避して発進することができるか否かを判定してもよい。