PCSK9に結合する抗原結合タンパク質(抗体およびその機能的な結合断片等)が、本明細書に開示される。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9に結合し、様々な方法でPCSK9が機能を発揮するのを妨げる。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9が他の物質と相互作用する能力を遮断するまたは減少させる。例えば、幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9がLDLRに結合する可能性を妨げる、または減少させる様式でPCSK9に結合する。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9に結合するが、PCSK9がLDLRと相互作用する能力を遮断しない。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトモノクローナル抗体である。
当業者によって理解されるように、本開示を考慮に入れると、PCSK9とLDLRとの間の相互作用を変化させることは、LDLに結合するのに存在するLDLRの量を増加させ、続いて、これは、対象における血清LDLの量を減少させ、対象の血清コレステロールレベルの減少をもたらす。したがって、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、血清コレステロールレベルの上昇を有する対象、血清コレステロールレベルの上昇のリスクがある対象、または血清コレステロールレベルの減少が有益であり得る対象を治療するための様々な方法および製剤において使用することができる。したがって、血清コレステロールの増加を低下させ、維持し、または妨げるための様々な方法および技術も、本明細書に記載される。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9とLDLRとの間の結合を可能とするが、抗原結合タンパク質は、LDLRに対するPCSK9の有害な活性を妨げる、または減少させる。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、LDLRへのPCSK9の結合を妨げる、または減少させる。
便宜のため、以下の項は、本明細書に使用される様々な用語の意味を全般的に概観する。この論述の後に、抗原結合タンパク質に関する一般的な態様が論述され、その後に、抗原結合タンパク質の様々な実施形態の特性およびそれらをどのように使用することができるかを示す具体的な例が続く。
定義および実施形態
前述の概要および次の詳細な説明の両方は、例示および説明にすぎず、特許請求される本発明を制限しないことを理解されたい。本願において、単数形の使用は、具体的に別様に規定されていない限り、複数形を含む。本願において、「または」の使用は、別様に規定されていない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含んでいる」という用語、ならびに「含む」および「含まれた」等の他の形態の使用は、限定的なものではない。また、「要素」または「成分」等の用語は、具体的に別様に規定されていない限り、1つのユニットを含む要素および成分、ならびに1つを超えるサブユニットを含む要素および成分の両方を包含する。また、「部分」という用語の使用は、構成部分の一部または構成成分の全体を含み得る。
本明細書で使用される項の見出しは、構成を目的とするものに過ぎず、記載されている主題を限定するものと解釈すべきではない。非限定で特許、特許出願、論文、本、および論説を含む、本願に引用されているすべての文献または文献の一部は、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。本開示に従って使用される場合、以下の用語は、別記されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
「前駆タンパク質転換酵素サブリシンケキシン9型」または「PCSK9」という用語は、配列番号1および/もしくは3に記載されているポリペプチドまたはその断片、ならびに対立遺伝子変異型、スプライス変異型、誘導体変異型、置換変異型、欠失変異型、および/またはN末端メチオニンの付加を含む挿入変異型、融合ポリペプチド、および種間相同体が挙げられるが、これらに限定されない、関連ポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、PCSK9ポリペプチドは、リーダー配列残基、標的残基、アミノ末端メチオニン残基、リシン残基、タグ残基、および/または融合タンパク質残基等であるが、これらに限定されない、末端残基を含む。「PCSK9」はまた、FH3、NARC1、HCHOLA3、前駆タンパク質転換酵素サブリシン/ケキシン9型、および神経アポトーシス制御転換酵素1とも称されている。PCSK9遺伝子は、分泌性スブチラーゼファミリーのプロテイナーゼKサブファミリーに属する前駆タンパク質転換酵素タンパク質をコードする。「PCSK9」という用語は、前駆タンパク質および前駆タンパク質の自己触媒後に生成される産物の両方を表す。(例えば、切断されたPCSK9に選択的に結合する抗原結合タンパク質に対して)自己触媒された産物のみが引用される場合には、タンパク質は、「成熟」、「切断された」、「プロセシングされた」、または「活性な」PCSK9と称され得る。不活性形態のみが引用される場合には、タンパク質は、PCSK9の「不活性」、「プロ型」、または「プロセシングされていない」形態と称され得る。本明細書に使用されるPCSK9という用語は、突然変異体D374Y、S127R、およびF216L等の天然に存在する対立遺伝子も含む。PCSK9という用語はまた、グリコシル化、PEG化されたPCSK9配列、そのシグナル配列が切断されたPCSK9配列、触媒ドメインからそのプロドメインが切断されているが、触媒ドメインから分離されていないPCSK9配列(例えば、図1Aおよび1B)等のPCSK9アミノ酸配列の翻訳後修飾を組み込んだPCSK9分子も包含する。
「PCSK9活性」という用語は、PCSK9のいかなる生物学的効果をも含む。ある特定の実施形態では、PCSK9活性は、基質または受容体と相互作用し、それに結合するPCSK9の能力を含む。幾つかの実施形態では、PCSK9活性は、LDL受容体(LDLR)に結合するPCSK9の能力によって表される。幾つかの実施形態では、PCSK9は、LDLRに結合し、LDLRが関与する反応を触媒する。幾つかの実施形態では、PCSK9活性は、LDLRの利用可能性を変化させる(例えば、減少させる)PCSK9の能力を含む。幾つかの実施形態では、PCSK9活性は、対象におけるLDLの量を増加させるPCSK9の能力を含む。幾つかの実施形態では、PCSK9活性は、存在するLDLへ結合できるLDLRの量を減少させるPCSK9の能力を含む。幾つかの実施形態では、「PCSK9活性」は、PCSK9シグナル伝達から得られるあらゆる生物学的活性を含む。例となる活性としては、LDLRへのPCSK9の結合、LDLRまたは他のタンパク質を切断するPCSK9酵素活性、PCSK9作用を促進するLDLR以外のタンパク質へのPCSK9の結合、APOB分泌を変化させるPCSK9(Sun X−M et al,“Evidence for effect of mutant PCSK9 on apoliprotein B secretion as the cause of unusually severe dominant hypercholesterolemia,Human Molecular Genetics 14: 1161−1169,2005およびOuguerram K et al,“Apolipoprotein B100 metabolism in autosomal−dominant hypercholesterolemia related to mutations in PCSK9,Arterioscler thromb Vasc Biol. 24:1448−1453,2004)、肝臓の再生および神経細胞の分化におけるPCSK9の役割(Seidah NG et al,“The secretory proprotein convertase neural apoptosis−regulated convertase 1(NARC−1): Liver regeneration and neuronal differentiation”PNAS 100: 928−933,2003)、ならびに肝臓のグルコース代謝におけるPCSK9の役割(Costet et al.,“Hepatic PCSK9 expression is regulated by nutritional status via insulin and sterol regulatory element−binding protein 1c”J.Biol.Chem.281(10):6211−18,2006)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「高コレステロール血症」という用語は、コレステロールレベルが所望の値を上回って上昇している状態を指す。幾つかの実施形態では、これは、血清コレステロールレベルが上昇していることを表す。幾つかの実施形態では、所望のレベルは、当業者に公知である(および本明細書に記載されるまたは引用されている)様々な「危険因子」を考慮に入れる。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖のヌクレオチドポリマーの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドまたはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾された形態であり得る。当該修飾には、ブロモウリジンおよびイノシン誘導体等の塩基修飾、2′,3′−ジデオキシリボース等のリボース修飾、ならびにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート、およびホスホロアミデート等のヌクレオチド間連結修飾が含まれる。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、200個以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。幾つかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10〜60塩基長である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、または20〜40ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、例えば、突然変異遺伝子の構築に使用するために、一本鎖または二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイのために、放射標識、蛍光標識、ハプテン、または抗原性標識等の標識を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、例えば、PCRプライマー、クローニングプライマー、またはハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。
「単離された核酸分子」とは、単離されたポリヌクレオチドが本来見出されるポリヌクレオチドの全体または一部分と会合していない、またはそれが本来連結されていないポリヌクレオチドと連結している、ゲノム、mRNA、cDNA、または合成起源のDNAもしくはRNA、またはその幾つかの組み合わせを意味する。本開示の目的のために、特定のヌクレオチド配列「を含む核酸分子」には無傷の染色体が包含しないことを理解されるべきである。特定の核酸配列「を含む」単離された核酸分子は、特定の配列に加えて、最大10個、またはさらには最大20個の他のタンパク質またはその一部分のコード配列を含むことができ、または引用されている核酸配列のコード領域の発現を制御する、作用可能に連結されている調節配列を含むことができ、および/またはベクター配列を含むことができる。
特に指定されない限り、本明細書に論述される任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5′末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向を5′方向と称する。新生RNA転写物の5′から3′への付加の方向は転写方向と称され、RNA転写物の5′末端の5′側であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「上流配列」と称され、RNA転写物の3′末端の3′側であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「下流配列」と称される。
「制御配列」という用語は、それらが連結されているコード配列の発現およびプロセシングに影響を与えることができるポリヌクレオチド配列を指す。このような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の実施形態では、原核生物の制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列を含み得る。例えば、真核生物の制御配列は、転写因子の1つまたは複数の認識部位を含むプロモーター、転写エンハンサー配列、および転写終結配列を含み得る。「制御配列」は、リーダー配列および/または融合パートナー配列を含み得る。
「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移すために使用される、任意の分子または実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、またはウイルス)を意味する。
「発現ベクター」または「発現構築体」という用語は、宿主細胞の形質転換に適しており、それに作用可能に連結された1つ以上の異種コード領域の発現を(宿主細胞と共に)指示および/または制御する核酸配列を含有するベクターを指す。発現構築体としては、転写、翻訳に影響を与えるまたはそれを制御する配列、およびイントロンが存在する場合、それに作用可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を与える配列が含まれ得るが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「作用可能に連結された」とは、この用語が適用される構成成分が、それらが適切な条件下でその本来の機能を実行することを可能にする関係にあることを意味する。例えば、タンパク質コード配列と「作用可能に連結された」ベクター中の制御配列は、タンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性に適合する条件下で達成されるように、それに連結されている。
「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換されている、または形質転換させることができ、それによって対象となる遺伝子を発現する細胞を意味する。この用語には、対象となる遺伝子が存在する限り、子孫が元の親細胞と形態的に同一であるかどうか、または元の親細胞と遺伝的構成が同一であるかどうかに関わらず、親細胞の子孫が含まれる。
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来または外因性のDNAの取り込みを意味し、外因性DNAが細胞膜内に導入された場合に、細胞は「トランスフェクトされている」。多くのトランスフェクション技法が当技術分野で周知であり、本明細書に開示されている。例えば、Graham et al.,1973,Virology 52:456、Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,上記、Davis et al.,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier、Chu et al.,1981,Gene 13:197。このような技術は、適切な宿主細胞に1つ以上の外因性DNA部分を導入するために使用することができる。
「形質転換」という用語は、細胞の遺伝的特徴の変化を指し、新しいDNAまたはRNAを含有するように改変されている場合に、細胞は形質転換されている。例えば、トランスフェクション、形質導入、または他の技術を介して新しい遺伝物質を導入することによってその元の自然の状態から遺伝的に改変されている場合に、細胞は形質転換されている。トランスフェクションまたは形質導入の後、形質転換するDNAは、細胞の染色体内に物理的に組み込まれることによって細胞のそれと組み換えられ得るか、または複製されずにエピソーム要素として一過的に維持され得るか、またはプラスミドとして独立して複製され得る。形質転換されているDNAが細胞の分裂に伴って複製される場合に、細胞は、「安定に形質転換された」と見なされる。
「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、ネイティブタンパク質、すなわち、天然に存在する非組換えの細胞によって生成される、または遺伝子操作されたもしくは組換えの細胞によって生成されるタンパク質のアミノ酸配列を有する高分子を意味し、ネイティブタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、またはネイティブ配列の1つ以上のアミノ酸からの欠失、それへの付加、および/もしくはその置換を有する分子を含む。この用語はまた、1つ以上のアミノ酸が、天然に存在する対応するアミノ酸およびポリマーの化学的類似体であるアミノ酸ポリマーも含む。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、具体的には、抗原結合タンパク質の1つ以上のアミノ酸からの欠失、それへの付加、および/もしくはその置換を有するPCSK9抗原結合タンパク質、抗体、または配列が包含される。「ポリペプチド断片」という用語は、完全長のネイティブタンパク質と比較してアミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失、および/または内部の欠失を有するポリペプチドを指す。また、このような断片は、ネイティブタンパク質と比較して、修飾されたアミノ酸も含有し得る。ある特定の実施形態では、断片は、約5〜500アミノ酸長である。例えば、断片は、少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400、または450アミノ酸長である。有用なポリペプチド断片は、結合ドメインを含む免疫学的に機能的な断片を含む。PCSK9結合抗体の場合、有用な断片としては、CDR領域、重および/もしくは軽鎖の可変ドメイン、抗体鎖の一部、または2つのCDRを含むその可変領域のみ等が挙げられるが、これらに限定されない。
引用されている「単離されたタンパク質」という用語は、対象タンパク質が、(1)それが通常一緒に見出される少なくとも幾つかの他のタンパク質を含まない、(2)同じ供給源、例えば同じ種からの他のタンパク質を本質的に含まない、(3)異なる種からの細胞によって発現される、(4)それが天然で会合している、少なくとも約50パーセントのポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質から分離されている、(5)それが天然で会合していないポリペプチドと作動可能に会合している(共有または非共有的な相互作用による)、または(6)天然に存在しないことを意味する。典型的には、「単離されたタンパク質」は、所与のサンプルの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を占める。ゲノムDNA、cDNA、mRNA、もしくは合成起源の他のRNA、またはその任意の組み合わせがこのような単離されたタンパク質をコードし得る。好ましくは、単離されたタンパク質は、実質的に、その治療的、診断的、予防的、研究用、または他の使用を妨害する可能性のある、その天然環境中で見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物質を含まない。
「アミノ酸」という用語は、当技術分野におけるその通常の意味を含む。
ポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質または抗体)の「変異体」は、別のポリペプチド配列と比較して、1つ以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入され、欠失され、および/または置換されているアミノ酸配列を含む。変異体は、融合タンパク質を含む。
「同一性」という用語は、配列のアラインメントおよび比較によって決定される、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。「同一性パーセント」とは、比較した分子中のアミノ酸またはヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較した分子の最小のものの大きさに基づいて計算される。これらの計算のために、アラインメントにおけるギャップ(存在する場合)は、好ましくは、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって処理される。アラインメントされた核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用され得る方法は、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York: Oxford University Press、Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York: Academic Press、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey: Humana Press、von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York: Academic Press、Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York: M.Stockton Press、およびCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載されているものが含まれる。
同一性パーセントを計算する際、比較される配列は、一般的には、配列間の最大の一致を与える方法でアラインメントされる。同一性パーセントを決定するために使用することができるコンピュータプログラムの一例は、GAPを含む、GCGプログラムパッケージである(Devereux et al.,1984,Nucl. Acid Res. 12:387、Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)。コンピュータアルゴリズムのGAPを用いて、配列同一性パーセントを決定する2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドをアラインメントする。配列は、そのそれぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適な一致についてアラインメントされる(アルゴリズムによって決定される「一致スパン」)。ギャップ開きペナルティー(これは平均対角の3倍として計算され、「平均対角」とは、使用される比較マトリックスの対角の平均であり、「対角」とは、特定の比較マトリックスによってそれぞれの完全なアミノ酸一致に割り当てられたスコアまたは数値である)およびギャップ伸長ペナルティー(これは、通常はギャップ開きペナルティーの1/10倍である)、ならびにPAM250またはBLOSum62等の比較マトリックスがアルゴリズムと併せて使用される。ある特定の実施形態では、標準の比較マトリックス(PAM250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352、BLOSum62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915−10919を参照)も、アルゴリズムによって使用される。
GAPプログラムを用いてポリペプチドまたはヌクレオチド配列に対する同一性パーセントを測定する際に使用することができるパラメータの例は、以下の通りである。
・アルゴリズム: Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443−453
・比較マトリックス: Henikoff et al.,1992,上記から得られるBLOSum62
・ギャップペナルティー: 12(但し、末端ギャップにはペナルティーはなし)
・ギャップ長ペナルティー:4
・類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列をアラインメントするためのあるアラインメントスキームでは、2つの配列の短い領域のみの一致しかもたらさない場合があり、この小さなアラインメントされた領域は、2つの完全長配列間には有意な関係が存在しないにも関わらず、非常に高い配列同一性を有する場合がある。したがって、選択したアラインメント方法(GAPプログラム)は、所望する場合は、標的ポリペプチドの少なくとも50個または他の数の連続的なアミノ酸にまたがるアラインメントをもたらすように調整することができる。
本明細書で使用される、20の慣用(例えば、天然に存在する)アミノ酸およびそれらの略語は、慣用的な用法に従う。Immunology−−A Synthesis(2nd Edition,E.S.Golub and D.R.Gren,Eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))を参照されたく、これは、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。また、20の慣用アミノ酸の立体異性体(例えばD−アミノ酸)、たとえばα−,α−二置換アミノ酸等の非天然アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、および他の慣用でないアミノ酸も、本発明のポリペプチドの適切な構成成分であり得る。慣用でないアミノ酸の例には、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、ならびに他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば4−ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書で使用されるポリペプチドの表記法では、標準の用法および慣習に従って、左側方向がアミノ末端方向であり、右側方向がカルボキシル末端方向である。
同様に、特に指定されない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5′末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5′方向と称される。新生RNA転写物の5′から3′への付加の方向を転写方向と称され、RNA転写物の5′末端の5′側であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「上流配列」と称され、RNA転写物の3′末端の3′側であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「下流配列」と称される。
保存的アミノ酸置換は、典型的には、生物系内の合成ではなく、化学的ペプチド合成によって組み込まれる非天然アミノ酸残基を包含し得る。これらには、ペプチド模倣物およびアミノ酸部分の他の逆転または反転された形態が含まれる。
保存的アミノ酸置換は、典型的には、生物系内の合成ではなく、化学的ペプチド合成によって組み込まれる非天然アミノ酸残基を包含し得る。これらには、ペプチド模倣物およびアミノ酸部分の他の逆転または反転された形態が含まれる。
天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて、クラスに分類され得る。
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
3)酸性:Asp、Glu、
4)塩基性:His、Lys、Arg、
5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro、および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
例えば、非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを含み得る。このような置換された残基は、例えば、非ヒト抗体に相同であるヒト抗体の領域内に、または分子の非相同領域内に導入することができる。
抗原結合タンパク質またはPCSK9タンパク質に対して変換を施す上で、ある特定の実施形態によれば、アミノ酸の疎水性親水性指数を検討し得る。それぞれのアミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水性親水性指数が割り当てられている。それらは、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタメート(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパルテート(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)である。
タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能を付与する上での疎水性親水性アミノ酸指数の重要性は、当技術分野において理解されている。Kyte et al.,J.Mol.Biol.,157:105−131(1982)。ある種のアミノ酸は、類似の疎水性親水性アミノ酸指数またはスコアを有する他のアミノ酸と置換でき、それでもなお類似の生物学的活性を保持することが知られている。疎水性親水性アミノ酸指数に基づいて変化させる際には、ある特定の実施形態では、疎水性親水性指数が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。ある特定の実施形態では、±1以内であるものが含まれ、ある特定の実施形態では、±0.5以内であるものが含まれる。
また、類似するアミノ酸の置換が、本事例のように、特にそれによって産出される生物学的に機能的なタンパク質またはペプチドが、免疫学的実施形態における使用を意図されている場合、親水性に基づいて効率的に行うことができることも当技術分野において理解されている。ある特定の実施形態では、その隣接アミノ酸の親水性によって制御されるタンパク質の局所的な最大平均親和性が、その免疫原性および抗原性、すなわち、そのタンパク質の生物学的特性と相関している。
以下の親水性値が、これらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパルテート(+3.0±1)、グルタメート(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、およびトリプトファン(−3.4)。類似の親水性値に基づいて変化させる際には、ある特定の実施形態では、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、ある特定の実施形態では、±1以内であるものが含まれ、ある特定の実施形態では、±0.5以内であるものが含まれる。また、親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを特定することもできる。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」とも称される。
例となるアミノ酸置換を、表1に示す。
「誘導体」という用語は、アミノ酸(または核酸)の挿入、欠失、または置換以外の化学的改変を含む分子を指す。ある特定の実施形態では、誘導体は、ポリマー、脂質、または他の有機もしくは無機部分との化学的結合等が挙げられるが、それらに限定されない、共有結合改変を含む。ある特定の実施形態では、化学的に改変された抗原結合タンパク質は、化学的に改変されていない抗原結合タンパク質よりも大きな循環半減期を有することができる。ある特定の実施形態では、化学的に改変された抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、および/または臓器に対する改善された標的誘導能力を有することができる。幾つかの実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の水溶性ポリマー付着を含むように共有結合的に改変される。例えば、米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号、および第4,179,337号を参照されたい。ある特定の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物をベースとするポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化されたポリオール(例えばグリセロール)、およびポリビニルアルコール、ならびにこのようなポリマーの混合物が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上のポリマーを含む。
ある特定の実施形態では、誘導体は、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有結合的に改変される。ある特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーが、1つ以上の特定の位置で、例えば、誘導体のアミノ末端で結合されている。ある特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーが、誘導体の1つ以上の側鎖に無作為に付着されている。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質に対して治療能力を向上させるためにPEGが使用される。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体に対して治療能力を向上させるためにPEGが使用される。ある特定のこのような方法は、例えば、米国特許第6,133,426号に論述されており、これはあらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
ペプチド類似体は、テンプレートペプチドのものと類似の特性を有する非ペプチド薬物として製薬産業において一般的に使用されている。非ペプチド化合物のこれらの種類は、「ペプチド模倣体(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣薬(peptidomimetics)」と称されている。Fauchere,J.,Adv.Drug Res.,15:29(1986)、Veber & Freidinger,TINS,p.392(1985)、およびEvans et al.,J.Med.Chem.,30:1229(1987)を参照、これらはあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。このような化合物は、コンピュータ化された分子モデリングの助けを借りて開発されることが多い。治療上有用なペプチドと構造的に類似するペプチド模倣体は、類似の治療効果または予防効果を生じさせるために使用し得る。一般に、ペプチド模倣体は、ヒト抗体等の模範ポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に類似するが、当技術分野で公知の方法によって、−−CH2NH−−、−−CH2S−−、−−CH2−CH2−−、−−CH=CH−(シスおよびトランス)、−−COCH2−−、−−CH(OH)CH2−−、および−−CH2SO−−から選択される連結によって任意に置換された1つ以上のペプチド連結を有する。同種のD−アミノ酸によるコンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の系統的な置換(例えば、L−リジンに代えてD−リジン)は、ある特定の実施形態では、より安定なペプチドを作製するために使用し得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む拘束されたペプチドは、当技術分野で公知の方法によって、例えば、ペプチドを環状化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって作製され得る(Rizo and Gierasch,Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992)、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる)。
ポリペプチド、核酸、宿主細胞等の生物学的物質に関連して本明細書を通じて使用される「天然に存在する」という用語は、自然界で見出される物質または自然界で見出される物質の形態を指す。
本明細書で使用される「抗原結合タンパク質」(「ABP」)は、特定された標的抗原に結合するあらゆるタンパク質を意味する。本出願では、この特定された標的抗原は、PCSK9タンパク質またはその断片である。「抗原結合タンパク質」には、抗体および免疫学的に機能的な断片等のその結合部分が含まれるが、これらに限定されない。ペプチボディは、抗原結合タンパク質の別の例である。本明細書で使用される、抗体または免疫グロブリン鎖(重もしくは軽鎖)抗原結合タンパク質の「免疫学的に機能的な断片」(もしくは単に「断片」)は、完全長の鎖中に存在するアミノ酸の少なくとも一部を欠如するが、抗原になお特異的に結合することができる抗体の一部(その部分がどのようにして得られ、または合成されるかに関わらず)を含む抗原結合タンパク質の種である。そのような断片は、これらが標的抗原に結合し、所定のエピトープとの結合に関して無傷な抗体を含む他の抗原結合タンパク質と競合し得るという点で生物学的に活性である。幾つかの実施形態では、これらの断片は、中和断片である。幾つかの実施形態では、断片は、LDLRとPCSK9との間の相互作用の可能性を遮断するか、または減少させ得る。一態様では、このような断片は完全長の軽鎖または重鎖中に存在する少なくとも1つのCDRを保持しており、幾つかの実施形態では、単一の重鎖および/もしくは軽鎖またはその一部を含む。これらの生物学的に活性な断片は、組換えDNA技術によって生成させ得るか、または無傷な抗体を含む抗原結合タンパク質の酵素的または化学的切断によって生成させ得る。免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片としては、Fab、ダイアボディ(同一の鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎる短いペプチドリンカーを介して接続された、軽鎖可変ドメインと同一のポリペプチド上の重鎖可変ドメイン)、Fab′、F(ab′)2、Fv、ドメイン抗体、および一本鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ラクダ科の動物、またはウサギが挙げられるが、これらに限定されない、あらゆる哺乳動物源に由来し得る。本明細書に開示される抗原結合タンパク質の機能的部分は、例えば、1つ以上のCDRは、身体中の特定の標的に向けられ、二機能性の治療特性を保有する、または長期的な血清半減期を有する治療剤を作製するために、第2のタンパク質または小分子と共有結合させるできることがさらに企図される。当業者によって理解されるように、抗原結合タンパク質は、非タンパク質成分を含むことができる。本開示の幾つかの項において、ABPの例は、「数字/文字/数」(例えば25A7)の形式で本明細書中に記載されている。これらの場合、正確な名前は、特異的抗体を表す。すなわち、25A7という名前のABPは(本明細書中で、同じであることが明示的に教示されていなければ、例えば、25A7および25A7.3)、必ずしも25A7.1という名前の抗体と同じであるとは限らない。当業者によって理解されるように、幾つかの実施形態では、LDLRは抗原結合タンパク質ではない。幾つかの実施形態では、LDLRの結合サブセクションは、例えばEGFaのように、抗原結合タンパク質ではない。幾つかの実施形態では、PCSK9がそれを通じてインビボでシグナル伝達する他の分子は、抗原結合タンパク質ではない。したがって、このような実施形態は、明示的に特定されよう。
本明細書に記載されるある特定の抗原結合タンパク質は、抗体であるか、または抗体に由来する。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、モノクローナル抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では、「抗体模倣体」と称される場合がある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合体(本明細書では、「抗体複合体」と称される場合がある)、およびそれぞれ、それらの断片が挙げられるが、これらに限定されない、抗体に基づいている。幾つかの実施形態では、ABPは、アビマー(強固に結合するペプチド)を含むか、またはそれからなる。これらの様々な抗原結合タンパク質は、本明細書中にさらに記載されている。
「Fc」領域は、抗体のCH1およびCH2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合によって、およびCH3ドメインの疎水性相互作用によって一緒に結合される。
「Fab断片」は、1つの軽鎖ならびに1つの重鎖のCH1および可変領域を含む。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
「Fab′断片」は、1つの軽鎖と、VHドメインおよびCH1ドメインを含有し、ならびに鎖間ジスルフィド結合が2つのFab′断片の2つの重鎖間に形成され、F(ab′)2分子を形成することができるように、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域も含有する1つの重鎖の一部と、を含む。
「F(ab′)2断片」は、2つの軽鎖と、鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖間に形成されるように、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の一部を含有する2つの重鎖と、を含有する。したがって、F(ab′)2断片は、2つの重鎖間のジスルフィド結合によって一緒に結合されている2つのFab′断片からなる。
「Fv領域」は、重鎖および軽鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域を欠如する。
「一本鎖抗体」は、重および軽鎖可変領域が柔軟なリンカーによって接続されて、抗原結合領域を形成する単一のポリペプチド鎖を形成する、Fv分子である。一本鎖抗体は、国際特許出願公開第WO88/01649号および米国特許第4,946,778号および第5,260,203号詳述されており、これらの開示は、参照により組み込まれる。
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する、免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片である。場合によっては、2つ以上のVH領域がペプチドリンカーによって共有結合されて、二価ドメイン抗体を作製する。二価ドメイン抗体の2つのVH領域は、同じまたは異なる抗原を標的とし得る。
「二価抗原結合タンパク質」または「二価抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。場合によっては、2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。二価抗原結合タンパク質および二価抗体は、二重特異的であり得る。下記を参照。「多特異的」または「多機能的」抗体以外の二価抗体は、ある特定の実施形態では、典型的には、同一のそれぞれのその結合部位を有することが理解される。
「多特異的抗原結合タンパク質」または「多特異的抗体」は、1つを超える抗原またはエピトープを標的とするものである。
「二重特異的」、「デュアル特異的」、または「二官能性」抗原結合タンパク質または抗体はそれぞれ、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。二重特異的抗原結合タンパク質および抗体は、多特異的抗原結合タンパク質抗体の一種であり、ハイブリドーマの融合またはFab′断片の連結を含むが、これらに限定されない、様々な方法によって生成され得る。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315−321、Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547−1553を参照のこと。二重特異的抗原結合タンパク質または抗体の2つの結合部位は、同一または異なるタンパク質標的上に存在し得る2つの異なるエピトープに結合する。
抗原結合タンパク質は、解離定数(Kd)が10−7M以下である場合に、その標的抗原を「特異的に結合する」と称される。ABPは、Kdが5×10−9M以下である場合に、「高い親和性」を有する抗原を特異的に結合し、Kdが5×10−10M以下である場合に、「極めて高い親和性」を有する抗原を特異的に結合する。一実施形態では、ABPは、10−9M以下のKdを有する。一実施形態では、オフ速度は、1×10−5未満である。他の実施形態では、ABPは、約10−9M〜10−13MのKdを有するヒトPCSK9に結合し、さらに別の実施形態では、ABPは、5×10−10以下のKdで結合する。当業者によって理解されるように、幾つかの実施形態では、抗原結合断片のいずれかまたはすべてが、PCSK9に特異的に結合し得る。
抗原結合タンパク質が、第2の標的に結合するよりもさらに強固に1つの標的に結合する場合に、「選択的」である。
「抗原結合領域」は、特定された抗原(例えばパラトープ)を特異的に結合するタンパク質またはタンパク質の一部を意味する。例えば、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性および親和性を抗原結合タンパク質に対して付与するアミノ酸残基を含有する抗原結合タンパク質の一部が、「抗原結合領域」と称される。抗原結合領域は、典型的には、1つ以上の「相補性結合領域」(「CDR」)を含む。ある特定の抗原結合領域はまた、1つ以上の「フレームワーク」領域も含む。「CDR」は、抗原結合特異性および親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、抗原結合領域と抗原との間の結合を促進させるために、CDRの適切な立体構造を維持するために役立てることができる。構造的には、フレームワーク領域は、抗体中においてCDR間に位置することができる。フレームワークおよびCDR領域の例は、図2A〜3D、3CCC〜3JJJに示される。幾つかの実施形態では、抗体3B6の軽鎖に対するCDRの配列は、以下の通りである。CDR1 TLSSGYSSYEVD(配列番号279)、CDR2 VDTGGIVGSKGE(配列番号280)、CDR3 GADHGSGTNFVVV(配列番号281)、FRは、以下の通りである。FR1 QPVLTQPLFASASLGASVTLTC(配列番号282)、FR2 WYQQRPGKGPRFVMR(配列番号283)、FR3 GIPDRFSVLGSGLNRYLTIKNIQEEDESDYHC(配列番号284)、およびFR4 FGGGTKLTVL(配列番号285)。
ある特定の態様では、PCSK9、例えばヒトPCSK9に結合する組換え抗原結合タンパク質が提供される。この文脈において、「組換え抗原結合タンパク質」は、組換え技術を用いて、すなわち、本明細書に記載される組換え核酸の発現を通じて作製されたタンパク質である。組換えタンパク質の生成のための方法および技術は、当技術分野で公知である。
「抗体」という用語は、あらゆるイソタイプの無傷な免疫グロブリン、または標的抗原への特異的結合のために無傷の抗体と競合することができるその断片を指し、例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト、および二重特異的抗体を含む。「抗体」は、抗原結合タンパク質の一種である。無傷の抗体は、一般には、少なくとも2つの完全長の重鎖および2つの完全長の軽鎖を含むが、場合によっては、重鎖のみを含み得るラクダ科の動物において天然に存在する抗体等のより少ない鎖を含み得る。抗体は、単一の源からのみ得ることが可能であるか、または「キメラ」であり得る、すなわち、抗体の異なる部分が、以下にさらに記載される2つの異なる抗体から得られ得る。抗原結合タンパク質、抗体、または結合断片は、組換えDNA技術によって、または無傷な抗体の酵素的または化学的切断によってハイブリドーマ中で生成され得る。特に指定されない限り、「抗体」という用語には、2つの完全長の重鎖および2つの完全長の軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、変異体、断片、および突然変異タンパク質が含まれ、それらの例が以下に記載される。さらに、明示的に除外されていなければ、抗体には、モノクローナル抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では、「抗体模倣体」と称される場合がある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合体(本明細書では、「抗体複合体」と称される場合がある)、およびそれぞれ、それらの断片が含まれる。幾つかの実施形態では、この用語は、ペプチボディも包含する。
天然に存在する抗体構造単位は、典型的には、四量体を含む。それぞれのそのような四量体は、典型的には、ポリペプチド鎖の2つの同一対からなり、それぞれの対は、1つの完全長「軽」(ある特定の実施形態では、約25kDa)および1つの完全長「重」鎖(ある特定の実施形態では、約50〜70kDa)を有する。それぞれの鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識に関与する約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を典型的には含む。それぞれの鎖のカルボキシ末端部分は、典型的には、エフェクター機能に関与する定常領域を画定する。ヒト軽鎖は、典型的には、カッパおよびラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、典型的にはミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはエプシロンとして分類され、これらにより、抗体のイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして定義される。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が含まれるが、これらに限定されない、幾つかのサブクラスを有する。IgMは、IgM1およびIgM2が含まれるが、これらに限定されない、サブクラスを有する。IgAは、同様に、IgA1およびIgA2が含まれるが、これらに限定されない、サブクラスに細分される。完全長の軽鎖および重鎖内に、典型的には、可変および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって結合され、重鎖には、約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含まれる。例えば、Fundamental Immunology,Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(すべての目的のために、参照によりその全体が組み込まれる)を参照のこと。それぞれの軽/重鎖の対の可変領域は、典型的には抗原結合部位を形成する。
可変領域は、典型的には、相補性決定領域またはCDRとも称される3つの超可変領域によって結合された相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を呈する。それぞれの対の2つの鎖からのCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列され、これにより、特異的エピトープへの結合が可能となり得る。N末端からC末端に、軽および重鎖可変領域は共に、典型的には、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。それぞれのドメインへのアミノ酸の割り当ては、典型的には、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987および1991))、またはChothia & Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)、Chothia et al.,Nature,342:878−883(1989)の定義に従う。
ある特定の実施形態では、抗体重鎖は、抗体軽鎖の不在下で抗原に結合する。ある特定の実施形態では、抗体軽鎖は、抗体重鎖の不在下で抗原に結合する。ある特定の実施形態では、抗体結合領域は、抗体軽鎖の不在下で抗原に結合する。ある特定の実施形態では、抗体結合領域は、抗体重鎖の不在下で抗原に結合する。ある特定の実施形態では、個々の可変領域は、他の可変領域の不在下で抗原に特異的に結合する。
ある特定の実施形態では、CDRの確定的な描写および抗体の結合部位を含む残基の特定は、抗体の構造を解明し、および/または抗体−リガンド複合体の構造を解明することによって達成される。ある特定の実施形態では、それは、X線結晶学等、当業者に公知の様々な技術のいずれによっても達成することができる。ある特定の実施形態では、様々な分析の方法が、CDR領域を特定するまたは概測するために使用することができる。このような方法の例には、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、および接触定義が含まれるが、これらに限定されない。
Kabat定義は、抗体中の残基に付番するための標準であり、CDR領域を特定するために典型的に使用される。例えば、Johnson & Wu,Nucleic Acids Res.,28:214−8(2000)を参照のこと。Chothia定義は、Kabat定義に類似しているが、Chothia定義は、ある特定の構造的ループ領域の位置を考慮に入れている。例えば、Chothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901−17(1986)、Chothia et al.,Nature,342:877−83(1989)を参照のこと。AbM定義は、抗体構造をモデル化するOxford Molecular Groupによって作成されたコンピュータプログラムの一体化されたパッケージソフトを使用する。例えば、Martin et al.,Proc Natl Acad Sci(USA),86:9268−9272(1989)、“AbM(商標),A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies,”Oxford,UK;Oxford Molecular,Ltd.を参照のこと。AbM定義は、知識データベースと、PROTEINS,Structure,Function and Genetics Suppl.,3:194−198(1999)中のSamudrala et al.,“Ab Initio Protein Structure Prediction Using a Combined Hierarchical Approach,”によって記載されているもの等のアブイニシオ法の組み合わせを用いて、一次配列から抗体の四次構造をモデル化する。接触定義は、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づいている。例えば、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.,5:732−45(1996)を参照のこと。
慣例により、重鎖中のCDR領域は、通常は、H1、H2、およびH3と称され、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に順に付番される。軽鎖中のCDR領域は、通常は、L1、L2、およびL3と称され、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に順に付番される。
「軽鎖」という用語は、完全長の軽鎖および結合特異性を与えるのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長の軽鎖は、可変領域ドメインVLおよび定常領域ドメインCLを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖は、カッパ鎖およびラムダ鎖を含む。
「重鎖」という用語は、完全長の重鎖および結合特異性を与えるのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長の重鎖は、可変領域ドメインVH、ならびに3つの定常領域ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む。VHドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CHドメインは、カルボキシ末端にあり、CH3がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1およびIgA2サブタイプを含む)IgM、およびIgEを含むあらゆるイソタイプのものであり得る。
二重特異的および二官能性抗体は、典型的には、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab′断片の連結が挙げられるが、これらに限定されない、様々な方法によって生成され得る。例えば、Songsivilai et al.,Clin.Exp.Immunol.,79:315−321(1990)、Kostelny et al.,J.Immunol.,148:1547−1553(1992)を参照のこと。
哺乳動物の幾つかの種も、単一の重鎖のみを有する抗体を生成する。
それぞれの個々の免疫グロブリン鎖は、典型的には、それぞれが約90〜110個のアミノ酸からなり、特徴的な折り畳みパターンを有する、幾つかの「免疫グロブリンドメイン」からなる。これらのドメインが、抗体ポリペプチドが構成される基本単位である。ヒトでは、IgAおよびIgDイソタイプは、4つの重鎖および4つの軽鎖を含有し、IgGおよびIgEイソタイプは、2つの重鎖および2つの軽鎖を含有し、IgMイソタイプは、5つの重鎖および5つの軽鎖を含有する。重鎖C領域は、典型的には、エフェクター機能を担い得る1つ以上のドメインを含む。重鎖定常領域ドメインの数は、イソタイプに依存する。IgG重鎖は、例えば、CH1、CH2、およびCH3として知られる3つのC領域ドメインを含有する。提供される抗体は、これらのイソタイプおよびサブタイプのうちのいずれかを有することができる。本発明のある特定の実施形態では、抗PCSK9抗体は、IgG2またはIgG4サブタイプからなる。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、典型的には、重鎖中にアミノ末端の約120〜130個のアミノ酸および軽鎖中に約100〜110個のアミノ末端のアミノ酸を含む、抗体の軽および/または重鎖の一部を指す。ある特定の実施形態では、異なる抗体の可変領域は、同じ種の抗体間でさえ、アミノ酸配列が大幅に異なる。抗体の可変領域は、典型的には、特定の抗体の標的に対する特異性を決定する。
「中和抗原結合タンパク質」または「中和抗体」という用語はそれぞれ、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的効果を妨げるまたは減少させる、抗原結合タンパク質または抗体を指す。これは、例えば、リガンド上の結合部位を直接遮断することによって、またはリガンドに結合し、間接的な手段(リガンド中の構造的またはエネルギー的変化等)を通じて結合するリガンドの能力を変化させることによって行うことができる。幾つかの実施形態では、この用語は、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を発揮するのを妨げる抗原結合タンパク質も表し得る。抗原結合タンパク質、例えば抗体もしくはその免疫学的に機能的な断片の結合および/または特異性を評価する際に、抗体または断片は、過剰な抗体が、(インビトロ競合結合アッセイにおいて測定される場合に)少なくとも約1〜20、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜97%、97〜98%、98〜99%またはそれ以上、リガンドに結合された結合パートナーの量を減少させる場合に、リガンドとその結合パートナーとの結合を実質的に阻害することができる。幾つかの実施形態では、PCSK9抗原結合タンパク質の場合は、このような中和分子は、PCSK9がLDLRに結合する能力を低減させることができる。幾つかの実施形態では、中和能力は、競合アッセイを介して特徴付けられ、および/または記載されている。幾つかの実施形態では、中和能力は、IC50またはEC50値で説明される。幾つかの実施形態では、ABPs27B2、13H1、13B5、および3C4は、非中和ABPであり、3B6、9C9、および31A4は、弱い中和物質であり、表2中の残りのABPは、強い中和物質である。幾つかの実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質は、PCSK9に結合することによって、およびPCSK9がLDLRに結合するのを妨げる(またはPCSK9がLDLRに結合する能力を減少させる)ことによって中和する。幾つかの実施形態では、抗体またはABPは、PCSK9に結合することによって、およびPCSK9をLDLRにさらに結合させながら、LDLRのPCSK9媒介性分解を妨げ、または減少させることによって中和する。したがって、幾つかの実施形態では、中和ABPまたは抗体は、PCSK9/LDLR結合をなお可能にさせ得るが、PCSK9が関与するLDLRのその後の分解を妨げる(または減少させる)。
「標的」という用語は、抗原結合タンパク質によって結合されることができる分子または分子の一部を指す。ある特定の実施形態では、標的は、1つ以上のエピトープを有することができる。ある特定の実施形態では、標的は抗原である。「抗原結合タンパク質」という用語における「抗原」の使用は、抗原を含むタンパク質配列が抗体によって結合され得ることを単に表す。この文脈において、タンパク質が外来であること、または免疫応答を誘導可能であることは必要とされない。
同じエピトープに対して競合する抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質または中和抗体)の文脈において使用される場合の「競合」という用語は、試験された抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的な断片)が、共通抗原(例えば、PCSK9またはその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンドまたは参照抗体)の特異的結合を妨げ、または阻害する(例えば、減少させる)アッセイによって決定される抗原結合タンパク質間の競合を意味する。競合結合アッセイの多くの種類は、ある抗原結合タンパク質が別のものと競合するかどうかを決定するために、例えば、固相の直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相の直接または間接酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242−253を参照)、固相の直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614−3619を参照) 固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照)、I−125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7−15を参照)、固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546−552を参照)、ならびに直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77−82)を使用することができる。典型的には、このようなアッセイは、これらのうちのいずれかを保有する固体表面または細胞と結合した精製した抗原、未標識の試験抗原結合タンパク質、および標識した参照抗原結合タンパク質の使用を含む。競合的阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で固体表面または細胞と結合した標識の量を決定することによって測定される。通常、試験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって特定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)は、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質、および立体的妨害が生じるのに参照抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質を含む。競合的結合を決定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書中の実施例に提供される。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合には、少なくとも40〜45%、45〜50%、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%、または75%もしくはそれ以上、共通抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的結合を阻害する(例えば、減少させる)。場合によっては、少なくとも80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜97%、または97%もしくはそれ以上、結合が阻害される。
「抗原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的な断片を含む)等の選択的結合剤によって結合することができる分子または分子の一部を指す。幾つかの実施形態では、抗原は、その抗原に結合することが可能な抗体を生成するために、動物において使用することができる。抗原は、異なる抗原結合タンパク質、例えば抗体と相互作用することができる1つ以上のエピトープを有することができる。
「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体等の抗原結合タンパク質によって結合することが可能なあらゆる決定基を含む。エピトープは、その抗原を標的とする抗原結合タンパク質によって結合される抗原の領域であり、抗原がタンパク質である場合は、抗原結合タンパク質と直接接触する特異的なアミノ酸を含む。ほとんどの場合、エピトープはタンパク質上に存在するが、場合によっては、核酸等の他の種類の分子上に存在し得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、またはスルホニル基等の化学活性のある表面の分子の群が含まれる場合があり、特異的な三次元構造的特徴および/または特異的な荷電特徴を有し得る。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質および/または高分子の複雑な混合物中で標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。
本明細書で使用される「実質的に純粋」とは、記載された分子種が存在する優勢の種である、すなわち、モル濃度に基づいて、これが同じ混合物中の任意の他の個々の種よりも豊富であることを意味する。ある特定の実施形態では、実質的に純粋な分子とは、目的の種が、存在するすべての高分子種の少なくとも50%(モル濃度に基づいて)を構成する組成物である。他の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在するすべての高分子種の少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%を構成する。他の実施形態では、夾雑種が従来の検出方法によって組成物中に検出され得ず、したがって、組成物が単一の検出可能な高分子種からなるように、本質的に均質となるまで目的の種を精製する。
「剤」という用語は、本明細書において、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的高分子、または生物学的材料から作製された抽出物を表すために使用される。
本明細書で使用される、「標識する」または「標識された」という用語は、例えば、放射線標識されたアミノ酸の取り込み、または標識されたアビジン(例えば、蛍光マーカーまたは光学的もしくは色素測定法によって検出され得るストレプトアビジン)によって検出され得るビオチン部分のポリペプチドへの付着によって、検出可能なマーカーの取り込みを指す。ある特定の実施形態では、標識またはマーカーはまた、治療用でもあり得る。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法が、当技術分野で公知であり、使用することができる。ポリペプチドに対する標識の例としては、放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光性標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光物質)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、立体障害の可能性を低減するために、標識は、様々な長さのスペーサーアームによって付着される。
本明細書で使用される「生物学的試料」という用語には、生物または以前に生物であった物からの物質のあらゆる量が含まれるが、これらに限定されない。このような生物には、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギ、および他の動物が含まれるが、これらに限定されない。このような物質には、血液、血清、尿、細胞、臓器、組織、骨、骨髄、リンパ節、および皮膚が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「薬学的薬剤組成物」(または薬剤もしくは薬物)は、患者に適切に投与された場合に、所望の治療効果を誘導することができる、化学的化合物、組成物、薬剤、または薬物を指す。それは、1を超える種類の成分を必ずしも必要としない。
「治療上有効量」という用語は、哺乳動物において治療的応答を生じると決定された抗PCSK9高原結合タンパク質の量を指す。このような治療上有効量は、当業者によって容易に確認される。
本明細書で使用される「調節物質」という用語は、分子の活性または機能を変化または改変させる化合物である。例えば、調節物質は、調節物質の不在下で観察される活性または機能の規模と比較して、分子のある特定の活性または機能の規模の増加または減少を引き起こすことができる。ある特定の実施形態では、調節物質は、分子の少なくとも1つの活性または機能の規模を減少させる阻害剤である。分子のある特定の例となる活性または機能には、結合親和性、酵素活性、およびシグナル伝達が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の例となる阻害剤には、タンパク質、ペプチド、抗体、ペプチボディ、炭水化物、または小有機分子が含まれるが、これらに限定されない。ペプチボディは、例えば、米国特許第6,660,843号(PCT出願第WO01/83525号に対応する)に記載されている。
「患者」および「対象」という用語は互換的に使用され、ヒトおよび非ヒト動物対象、ならびに正式に診断された障害を有するもの、正式に認識された障害を持たないもの、医学的な治療を受けているもの、障害を発症するリスクを有するもの等が含まれる。
「治療する」および「治療」という用語は、治療的処置、予防的処置、および対象が障害または他の危険因子を発症する危険を低減する適用が含まれる。治療は、障害の完全な治癒を必要とするものではなく、症候または伏在する危険因子を低減させる実施形態を包含する。
「予防する」という用語は、事象の確率を100%除去することを必要とするものではない。むしろ、それは、化合物または方法の存在下で、事象の発生の確率が低下されることを表す。
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のための標準的な技術が使用され得る。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当技術分野で一般的に実施されるように、または本明細書中に記載されているように実施することができる。前記技術および手技は、当技術分野で公知の従来の方法に従って、ならびに本明細書を通じて引用および論述されている様々な一般的な、およびより具体的な参考文献に記載されているように、一般に実施することができる。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))を参照されたく、これは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。特定の定義が与えられていなければ、本明細書中に記載されている分析化学、合成有機化学、ならびに医学および薬剤化学に関連して使用される命名法ならびにこれらの研究手技および技術は、当技術分野で公知であり、一般的に使用されるものである。化学合成、化学分析、薬学的な調製、製剤化、および送達、ならびに患者の治療のための標準的な技術が使用され得る。
PCSK9に対する抗原結合タンパク質
前駆タンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9型(PCSK9)は、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)タンパク質のレベルの調節に関与しているセリンプロテアーゼである(Horton et al.,2007、Seidah and Prat,2007)。PCSK9は、セリンプロテアーゼのサブチリシン(S8)ファミリーのプロホルモン−前駆タンパク質転換酵素である(Seidah et al.,2003)。例となるヒトPCSK9アミノ酸配列が、図1A(下線が付されているタンパク質の「プロ」ドメインを示す)および図1B(太字のシグナル配列および下線が付されたプロドメインを示す)において、配列番号1および3として表される。例となるヒトPCSK9のコード配列が、配列番号2として表される(図1B)。本明細書に記載されるように、PCSK9タンパク質はまた、完全長PCSK9タンパク質の断片も含むことができる。PCSK9タンパク質の構造は、2つのグループによって解決され(Cunningham et al.,Nature Structural & Molecular Biology,2007およびPiper et al.,Structure,15:1−8,2007)、これらの両方の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。PCSK9は、シグナル配列、N末端プロドメイン、サブチリシン様触媒ドメイン、およびC末端ドメインを含む。
ヒトPCSK9を含むPCSK9に結合する抗原結合タンパク質(ABP)が本明細書に提供される。幾つかの実施形態では、提供される抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチドである。幾つかの抗原結合タンパク質において、CDRは、CDRの適切な抗原結合特性が達成されるようにCDRを方向付ける「フレームワーク」領域中に包埋されている。幾つかの実施形態では、本明細書に提供される抗原結合タンパク質は、PCSK9とLDLRとの間の相互作用を妨害し、遮断し、減少させ、または調節することができる。このような抗原結合タンパク質は、「中和」と表される。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質が中和し、PCSK9に結合されているにもかかわらず、PCSK9とLDLRとの間の結合は、なお起こり得る。例えば、幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9上のLDLR結合部位を遮断することなく、LDLRに対するPCSK9の悪影響を妨げ、または減少させる。したがって、幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9とLDLRとの間の結合相互作用を抑制する必要なしに、LDLRの分解をもたらすPCSK9の能力を調節し、または変化させる。このようなABPは、特定的に、「非競合的に中和する」ABPとして説明することができる。幾つかの実施形態では、中和ABPは、PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる位置および/または様式で、PCSK9に結合する。このようなABPは、特定的に、「競合的に中和する」ABPとして説明することができる。上記の中和剤の両方は、大きな量の対象中に存在する遊離LDLRのをもたらし得、これにより、より多くのLDLRがLDLに結合することをもたらす(それにより、対象中のLDLの量を減少させる)。続いて、これは、対象中に存在する血清コレステロールの量の減少をもたらす。
幾つかの実施形態では、本明細書に提供される抗原結合タンパク質は、PCSK9によって媒介される活性(結合を含む)を阻害することができる。幾つかの実施形態では、これらのエピトープに結合する抗原結合タンパク質は、とりわけ、PCSK9とLDLRとの間の相互作用およびPCSK9によって媒介される他の生理学的効果を阻害する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9に対する完全ヒト抗体等のヒトである。
幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9の触媒ドメインに結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9の成熟形態に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9のプロドメイン中に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9の成熟形態に選択的に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9がLDLRに結合することができない、または効率的には結合することができない様式で、触媒ドメインに結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのc末端に結合しない。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのn末端に結合しない。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9タンパク質のnまたはc末端に結合しない。幾つかの実施形態では、ABPは、本明細書に論述される抗体によって結合されるエピトープのうちのいずれか1つに結合する。幾つかの実施形態では、これは、本明細書に開示される抗体と他の抗体との間の競合アッセイによって決定することができる。幾つかの実施形態では、ABPは、表2中に記載される抗体のうちの1つによって結合されるエピトープに結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9がLDLRと相互作用するのを妨げるように、PCSK9の特異的な立体構造状態に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9のVドメインに結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9のVドメインに結合し、PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる(または減少させる)。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9のVドメインに結合し、LDLRへのPCSK9の結合を妨げずに(または減少させずに)、PCSK9を通じて媒介されるLDLRに対する有害な活性を妨げ、または減少させる。
本明細書に開示される抗原結合タンパク質は、様々な用途を有する。抗原結合タンパク質の幾つかは、例えば、特異的結合アッセイ、PCSK9、特に、ヒトPCSK9またはそのリガンドの親和性精製において、およびPCSK9活性の他のアンタゴニストを特定するためのスクリーニングアッセイにおいて有用である。抗原結合タンパク質の幾つかは、LDLRへのPCSK9の結合を阻害し、またはPCSK9によって媒介される活性を阻害するのに有用である。
抗原結合タンパク質は、本明細書中に説明されているように、様々な治療用途において使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、PCSK9抗原結合タンパク質は、本明細書にさらに記載されるように、高コレステロール血症等のコレステロール関連障害(または「血清コレステロール関連障害」)等のPCSK9と関連する症状を治療するのに有用である。抗原結合タンパク質に対する他の使用には、例えば、PCSK9関連疾患または症状の診断およびPCSK9の存在または不存在を決定するためのスクリーニングアッセイが含まれる。本明細書に記載される抗原結合タンパク質の幾つかは、PCSK9活性と関連する結果、症候、および/または病変を治療するのに有用である。
幾つかの実施形態では、提供される抗原結合タンパク質は、1つ以上のCDR(例えば、1、2、3、4、5、または6つのCDR)を含む。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、(a)ポリペプチド構造および(b)ポリペプチド構造に挿入および/または連結された1つ以上のCDRを含む。ポリペプチド構造は、様々な異なる形態をとることができる。例えば、それは、天然に存在する抗体のフレームワーク、またはその断片もしくは変異体であり得るか、もしくはそれらを含むことができ、または完全に合成の性質であり得る。様々なポリペプチド構造の例は、以下にさらに記載される。
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、抗体であるか、またはモノクローナル抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では、「抗体模倣体」と称される場合がある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合体(本明細書では、「抗体複合体」と称される場合がある)、およびそれぞれ、それらの一部もしくは断片を含むが、これらに限定されない抗体に由来する。場合によっては、抗原結合タンパク質は、抗体の免疫学的断片(例えば、Fab、Fab′、F(ab′)2、またはscFv)である。これらの様々な構造は、本明細書にさらに記載され、定義される。
本明細書に提供される抗原結合タンパク質の幾つかは、ヒトPCSK9に特異的におよび/または選択的に結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号3の残基153〜692を有するおよび/またはそれからなるヒトPCSK9に特異的におよび/または選択的に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、配列番号3の残基31〜152を有するおよび/またはそれからなるヒトPCSK9に特異的におよび/または選択的に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、図1Aに示されているヒトPCSK9タンパク質(配列番号1)に選択的に結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、シグナル配列ありもしくはなしで、PCSK9タンパク質の少なくとも断片および/または完全長PCSK9タンパク質に特異的に結合する。
抗原結合タンパク質が治療用途のために使用される実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9の1つ以上の生物学的活性を阻害し、妨害し、または調節することができる。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトPCSK9に特異的に結合し、および/または(例えば、インビトロ競合結合アッセイにおいて結合を測定することによって)少なくとも約20%〜40%、40〜60%、60〜80%、80〜85%、またはそれ以上、LDLRへのヒトPCSK9の結合を実質的に阻害する。本明細書に提供される抗原結合タンパク質の幾つかは、抗体である。幾つかの実施形態では、ABPは、10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13Mよりも小さいKdを有する(より強固に結合する)。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9(D374Y、高親和性変異体)へのLDLRの結合を遮断するために、1ミクロM未満、1000nM〜100nM、100nM〜10nM、10nM〜1nM、1000pM〜500pM、500pM〜200pM、200pM未満、200pM〜150pM、200pM〜100pM、100pM〜10pM、10pM〜1pMのIC50を有する。
本発明の抗PCSK9抗体のIgG2重鎖定常ドメインの一例は、図3KKの配列番号154に示されるアミノ酸配列を有する。
本発明の抗PCSK9抗体のIgG4重鎖定常ドメインの一例は、図3KKの配列番号155に示されるアミノ酸配列を有する。
抗PCSK9抗体のカッパ軽鎖定常ドメインの一例は、図3KKの配列番号157に示されるアミノ酸配列を有する。
抗PCSK9抗体のラムダ軽鎖定常ドメインの一例は、図3KKの配列番号156に示されるアミノ酸配列を有する。
免疫グロブリン鎖の可変領域は、一般に同じ全体的な構造を示し、より頻繁には「相補性決定領域」またはCDRと称される3つの超可変領域によって連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を含む。上述のそれぞれの重鎖/軽鎖の対の2つの鎖からのCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列されて、標的タンパク質上の特異的エピトープ(例えばPCSK9)と特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端に、天然に存在する軽および重鎖可変領域は両方とも、これらの要素、すなわちFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の順序に従う。これらのドメインのそれぞれ中の位置を占めるアミノ酸に数字を割り当てるために、付番方式がが考案されている。この付番方式は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987 and 1991,NIH,Bethesda,MD)、またはChothia & Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901−917、Chothia et al.,1989,Nature 342:878−883において定義されている。
様々な重鎖および軽鎖可変領域が本明細書に提供され、図2A〜3JJおよび3LL〜3BBBに示される。幾つかの実施形態では、これらの可変領域のそれぞれは、上記の重および軽鎖定常領域に付着させ、それぞれ、完全な抗体重鎖および軽鎖を形成することができる。さらに、このようにして作製された重および軽鎖配列のそれぞれは、完全な抗体構造を形成するために組み合わせることができる。
提供される抗体の軽および重鎖の可変領域の幾つかの具体例およびそれらの対応するアミノ酸配列を、表2中に要約する。
ここでも、表2中に列記される例となる可変重鎖のそれぞれは、抗体を形成するために、表2中に示される例となる可変軽鎖のうちのいずれかと組み合わせることができる。表2は、本明細書に開示される抗体の幾つかの中に見出される軽および重鎖の対を示す。場合によっては、抗体は、表2中に列記されるものからの少なくとも1つの可変重鎖および1つの可変軽鎖を含む。他の例では、抗体は、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含有する。一例として、抗体または抗原結合タンパク質は、1つの重鎖および1つの軽鎖、2つの重鎖、または2つの軽鎖を含むことができる。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、表2中に列記される配列の少なくとも1つからの1つ、2つ、および/または3つの重および/または軽CDR(この配列に対するCDRは、図2A〜3D中に、ならびに図3CCC〜3JJJおよび15A〜15D中の他の実施形態に概説されている)を含む(および/またはそれからなる)。幾つかの実施形態では、すべて6つのCDR(軽(CDRL1、CDRL2、CDRL3)からのCDR1〜3および重(CDRH1、CDRH2、およびCDRH3)からのCDR1〜3)がABPの一部である。幾つかの実施形態では、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のCDRは、ABP中に含まれる。幾つかの実施形態では、表2中の配列中のCDRからの1つの重および1つの軽CDRは、ABP中に含まれる(表2中の配列に対するCDRは、図2A〜3D中に概説される)。幾つかの実施形態では、さらなる区画(例えば、図2A〜2D、3A〜3D中、ならびに3CCC〜3JJJおよび15A〜15D中の他の実施形態に示される)も、ABP中に含まれる。表2中に記載される重および軽鎖に対するCDRおよびFRの例は、図2A〜3D中(ならびに図3CCC〜3JJJおよび15A〜15D中の他の実施形態)に概説される。任意の軽鎖可変配列(CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3、およびFR4を含む)は、5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、46、421、425、429、433、437、441、445、449、453、457、461、465、469、473、477、481、および485から選択され得る。任意の重鎖可変配列(CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3、およびFR4を含む)は、74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、60、419、423、427、431、435、439、443、447、451、455、459、463、467、471、475、479、および483から選択され得る。図2A〜3D中の項目の幾つかでは、配列の変形またはCDRおよびFRの代替の境界が特定される。これらの代替物は、ABP名の後の「v1」によって特定される。これらの代替物のほとんどが自然界では稀であるため、相違を有する区画のみが表中に示される。軽または重鎖の残りの区画は、他のパネル中の基本ABPに対して示されるものと同じであることが理解される。したがって、相違のみが図2C中に記載されるため、例えば、図2C中の19H9v1は、図2A中の19H9と同じFR1、CDR1、およびFR2を有する。核酸配列の3つ(ABP26E10、30B9、および31B12)に関しては、さらなる別の核酸配列が図中に提供される。当業者によって理解されるように、抗体またはABPの作製において、実際には、1つのこのような配列を使用する必要がある。実際に、幾つかの実施形態では、特異的な重または軽鎖核酸の1つのみが存在する必要があるか、またはそれらのいずれも存在する必要がない。
幾つかの実施形態では、ABPは、表2中のタンパク質配列のいずれかをコードすることができる核酸配列によってコードされる。
幾つかの実施形態では、ABPは、LDLRに結合するPCSK9の形態(例えば、分子の自己触媒された形態)に選択的に結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのc末端(例えば、c末端中の5.5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜40の多くのアミノ酸)に結合しない。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのn末端(例えば、n末端中の5.5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜40の多くのアミノ酸)に結合しない。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9の成熟形態のアミノ酸1〜100内のアミノ酸に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、アミノ酸31〜100、100〜200、31〜152、153〜692、200〜300、300〜400、452〜683、400〜500、500〜600、31〜692、31〜449、および/または600〜692内のアミノ酸(および/またはそれらからなるアミノ酸配列)に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、触媒ドメインに結合する。幾つかの実施形態では、中和および/または非中和ABPは、プロドメインに結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、触媒およびプロドメインの両方に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、プロドメインと相互作用する触媒ドメイン上の領域を塞ぐように、触媒ドメインに結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、Piperら(Structure 15:1〜8(2007)、その中の立体表示を含めて、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に概説されるように、プロドメインが相互作用する位置または表面で触媒ドメインに結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、触媒ドメインに結合し、プロドメインの移動性を制限する。幾つかの実施形態では、ABPは、プロドメインに結合することなく、触媒ドメインに結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9をLDLRに結合させるようにプロドメインが再配向するのを妨げながら、プロドメインに結合することなく、触媒ドメインに結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、Piperら中のプロドメインの周囲の残基149〜152と同じエピトープ中に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、Vドメイン上の(Piperら中に概説されるような)溝に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、Vドメイン上の溝に近いヒスチジンに富むパッチに結合する。幾つかの実施形態では、(Vドメインに結合する)このような抗体は、中和でない。幾つかの実施形態では、Vドメインに結合する抗体は、中和である。幾つかの実施形態では、中和ABPは、LDLRへのPCSK9の結合を妨げる。幾つかの実施形態では、LDLRのPCSK9分解を妨げながら、中和ABPは、LDLRへのPCSK9の結合を妨げない(例えばABP31A4)。幾つかの実施形態では、ABPは、Piperらの論文の図4に示されるヒスチジンの少なくとも1つに結合するか、または遮断する。幾つかの実施形態では、ABPは、PCSK9中の触媒三連構造を遮断する。
幾つかの実施形態では、抗体は、野生型PCSK9を上回って、変異体PCSK9タンパク質、例えば、D374Yに選択的に結合する。幾つかの実施形態では、これらの抗体は、(Kdによって測定して)野生型よりも少なくとも2倍強く変異体に結合し、好ましくは、野生型よりも2〜5、5〜10、10〜100、100〜1000、1000〜10,000倍またはそれ以上、変異体に強く結合する。幾つかの実施形態では、抗体は、LDLRと相互作用する野生型PCSK9の能力を上回って、変異体D374Y PCSK9がLDLRと相互作用することを選択的に阻害する。幾つかの実施形態では、これらの抗体は、(IC50によって測定して)野生型の能力よりも強く、例えば、野生型よりも少なくとも2倍強く、好ましくは、野生型よりも2〜5、5〜10、10〜100、100〜1000倍またはそれ以上、変異体に強く、LDLRに結合する変異体の能力を遮断する。幾つかの実施形態では、抗体は、野生型PCSK9およびD374Y等のPCSK9の変異体の形態の両方に同様のレベルで結合し、中和する。幾つかの実施形態では、抗体は、PCSK9に結合して、LDLRの変異体がPCSK9に結合するのを妨げる。幾つかの実施形態では、LDLRの変異体は、ヒトLDLRと少なくとも50%同一である。LDLRの変異体は、当業者に公知であることを留意する(例えば、Brown MS et al,“Calcium cages,acid baths and recycling receptors” Nature 388:629−630,1997)。幾つかの実施形態では、ABPは、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(LDLRの機能喪失変異体が存在する)中の有効なLDLRのレベルを上昇させることができる。
幾つかの実施形態では、ABPは、図1Aおよび/または図1Bに示されるPCSK9の形態に対して少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の%同一性であるPCSK9の変異体に結合する(が、遮断しない)。幾つかの実施形態では、ABPは、図1Aおよび/または図1Bに示されるPCSK9の成熟形態に対して少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の同一性パーセントであるPCSK9の変異体に結合する(が、遮断しない)。幾つかの実施形態では、ABPは、図1Aおよび/または図1Bに示されるPCSK9の形態に対して少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の同一性パーセントであるPCSK9の変異体に結合し、LDLRと相互作用するのを妨げる。幾つかの実施形態では、ABPは、図1Bに示されるPCSK9の成熟形態に対して少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の同一性パーセントであるPCSK9の変異体に結合し、LDLRと相互作用するのを妨げる。幾つかの実施形態では、PCSK9の変異体は、474位における変異体、E620G、および/またはE670G等のヒト変異体である。幾つかの実施形態では、474位のアミノ酸は、バリン(他のヒトの場合)またはスレオニン(カニクイザルおよびマウスの場合)である。本明細書に示される交叉反応性データに鑑みれば、本抗体は、上記の変異体に容易に結合するものと考えられる。
幾つかの実施形態では、ABPは、表2中に記載される抗体のうちの1つによって結合されるエピトープに結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK9がLDLRと相互作用するのを妨げるために、PCSK9の特異的な立体構造状態に結合する。
ヒト化抗原結合タンパク質(例えば、抗体)
本明細書に記載されるように、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、ヒト化抗体および/またはその一部を含むことができる。このような戦略の重要な実用的用途は、マウス液性免疫系の「ヒト化」である。
ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、実質的には、ヒトにおいて非免疫原性である。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、実質的には、ヒト化抗体がそこから誘導される別の種からの抗体と、標的に対して同じ親和性を有する。例えば、米国特許第5,530,101号、米国特許第5,693,761号、米国特許第5,693,762号、米国特許第5,585,089号を参照のこと。
ある特定の実施形態では、その免疫原性を減少させながら、抗原結合ドメインの固有親和性を減弱させずに修飾可能な抗体可変ドメインのアミノ酸が特定される。例えば、米国特許第5,766,886号および第5,869,619号を参照のこと。
ある特定の実施形態では、当技術分野で周知の方法による抗体の修飾は、標的に対する増加された結合親和性を達成するように、および/または受容者中での抗体の免疫原性を減少させるように典型的に設計される。ある特定の実施形態では、その同属抗原に対する抗体の親和性を増加させるために、グリコシル化部位を除去するように、ヒト化抗体が修飾される。例えば、Co et al.,Mol.Immunol.,30:1361−1367(1993)を参照のこと。ある特定の実施形態では、「再形成(reshaping)」、「超キメラ化」、または「ベニアリング/リサーフェシング」等の技術は、ヒト化抗体を作製するために使用される。例えば、Vaswami et al.,Annals of Allergy,Asthma,& Immunol. 81:105(1998)、Roguska et al.,Prot.Engineer.,9:895−904(1996)、および米国特許第6,072,035号を参照のこと。ある特定のこのような実施形態では、このような技術は、外来残基の数を減少させることによって、抗体の免疫原性を典型的には減少させるが、抗体の複数回投与後における抗イディオタイプ応答および抗アロタイプ応答を妨げない。免疫原性を減少させるためのある特定の他の方法が、例えば、Gilliland et al.,J.Immunol.,62(6):3663−71(1999)に記載されている。
ある特定の事例では、ヒト化抗体は、抗原結合能の低下をもたらす。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、「逆変異」される。ある特定のこのような実施形態では、ヒト化抗体は、ドナー抗体中に見出されるアミノ酸残基の1つ以上を含むように変異される。例えば、Saldanha et al.,Mol Immunol 36:709−19(1999)を参照のこと。
ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗体の軽および重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)は、同じ、または別の種からのフレームワーク領域(FR)に移植することができる。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗体の軽および重鎖可変領域のCDRは、コンセンサスヒトFRに移植することができる。コンセンサスヒトFRを作製するために、ある特定の実施形態では、コンセンサスアミノ酸配列を特定するために、幾つかのヒト重鎖または軽鎖アミノ酸配列からのFRが、アラインメントされる。ある特定の実施形態では、PCSK9重鎖または軽鎖に対する抗体のFRは、異なる重鎖または軽鎖からのFRと置換される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗体の重および軽鎖のFR中の稀なアミノ酸は置換されないが、FRアミノ酸の残りは置換される。稀なアミノ酸は、FR中に通常見出されない位置に存在する特定のアミノ酸である。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗体から移植された可変領域は、PCSK9に対する抗体の定常領域とは異なる定常領域とともに使用することができる。ある特定の実施形態では、移植された可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部である。CDR移植は、例えば、米国特許第6,180,370号、第6,054,297号、第5,693,762号、第5,859,205号、第5,693,761号、第5,565,332号、第5,585,089号、および第5,530,101号、ならびにJones et al.,Nature,321:522−525(1986)、Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988)、Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988),Winter,FEBS Letts.,430:92−94(1998)において記載されており、これらは、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
ヒト抗原結合タンパク質(例えば、抗体)
本明細書に記載されるように、PCSK9に結合する抗原結合タンパク質は、ヒト(すなわち、完全ヒト)抗体および/またはその一部を含むことができる。ある特定の実施形態では、重および軽鎖免疫グロブリン分子をコードするヌクレオチド配列、ならびに重および軽鎖免疫グロブリン分子を含むアミノ酸配列、特に、可変領域に対応する配列が提供される。ある特定の実施形態では、相補性決定領域(CDR)、特に、CDR1からCDR3に対応する配列が提供される。ある特定の実施形態によれば、このような免疫グロブリン分子を発現するハイブリドーマ細胞株が提供される。ある特定の実施形態によれば、このようなモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞株が提供される。ある特定の実施形態では、ハイブリドーマ細胞株は、表2中に記載される細胞株のうちの少なくとも1つ、例えば、21B12、16F12、および31H4から選択される。ある特定の実施形態では、ヒトPCSK9に対する精製されたヒトモノクローナル抗体が提供される。
ヒトIg遺伝子座の大きな断片を用いて、マウス抗体の生成が欠損するマウス株を、マウス抗体の不存在下でそのようなマウスがヒト抗体を生成することを予想して改変することができる。大きなヒトIg断片は、大きな可変遺伝子多様性ならびに抗体の生成および発現の適切な調節を保存することができる。抗体の多様化および選択ならびにヒトタンパク質に対する免疫学的寛容性の欠如のためのマウスの機構を活用することによって、これらのマウス系統中のヒト抗体レパートリー再生は、ヒト抗原を含む対象となる任意の抗原に対して、高親和性完全ヒト抗体を与えることができる。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを作製し、選択することができる。ある特定の例となる方法は、第WO98/24893号、米国特許第5,545,807号、欧州特許第546073号、および欧州特許第546073号に記載されている。
ある特定の実施形態では、ヒト化可変領域(複数可)とともに、ヒト以外の種から定常領域を使用することができる。
酵母人工染色体(YAC)中でメガ塩基サイズのヒト遺伝子座をクローニングおよび再構築する能力、ならびにマウス生殖細胞系列中にそれらを導入する能力によって、極めて大きなまたは大まかにマッピングされた遺伝子座の機能的成分を解明し、およびヒト疾病の有用なモデルを作製するためのアプローチが与えられる。さらに、マウス遺伝子座をそれらのヒト均等物で置換するためのこのような技術の使用によって、発達中のヒト遺伝子産物の発現および調節、他の系とのそれらのやり取りならびに疾病の誘導および進行におけるそれらの関与に対する洞察が与えられ得る。
ヒト抗体は、マウスまたはラットの可変および/または定常領域を有する抗体に伴う問題の幾つかを回避する。このようなマウスまたはラット由来のタンパク質の存在は、抗体の迅速な排除をもたらし得、または患者による抗体に対する免疫応答の生成をもたらし得る。マウスまたはラットに由来する抗体の使用を回避するために、げっ歯類、他の哺乳動物、または動物が完全ヒト抗体を生成するように、げっ歯類、他の哺乳動物、または動物中に機能的なヒト抗体遺伝子座の導入を通じて、完全ヒト抗体が作製され得る。
ヒト化抗体は、まずヒトでない抗体アミノ酸配列を含有することから開始しながら、ヒト抗体配列で置換されたこれらの非ヒト抗体アミノ酸配列の少なくとも幾つかを有する抗体である。これは、ヒトを有する遺伝子によって抗体がコードされる(またはコードされることができる)ヒト抗体とは対照的である。
抗原結合タンパク質の変異体
提供される他の抗体は、表2中に示されている可変重鎖および可変軽鎖の組み合わせまたはサブパートによって形成され、表2中の配列(配列全体または配列のサブパート(例えば、1つ以上のCDR))のアミノ酸配列に対して、それぞれ、少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜97%、97〜99%、または99%超の同一性を有する可変軽鎖および/または可変重鎖を含む上記に掲載されたABP変異体である。場合によっては、このような抗体は、少なくとも1つの重鎖および1つの軽鎖を含むが、他の例では、その変異型は、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖(またはそのサブパート)を含有する。幾つかの実施形態では、結合に影響を及ぼす変動および結合に影響を及ぼさないと思われる変動を観察することによって修飾することが可能な抗体の区画を特定するために、図2A〜3D中(ならびに13A〜13Jおよび他の実施形態では15A〜15Dおよび図48Aおよび48B中)の配列比較を使用することができる。例えば、類似の配列を比較することによって、修飾可能な区画(例えば、特定のアミノ酸)を特定し、ABPの機能性をなお保持しながら(または改善しながら)、それらをどのようにして修飾することができるかを特定することができる。幾つかの実施形態では、ABPの変異体は、図13A、13C、13F、13G、13H、13I、13J、ならびに/または48Aおよび48Bに図示されているコンセンサス基および配列を含み、変動は、図中に可変として特定される位置において可能である。図13A、13C、13F、13G、48A、および48Bに示されているCDRは、Chothia法(構造ループ領域の位置に基づく、例えば、“Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins,” Bissan Al−Lazikani,Arthur M.Lesk and Cyrus Chothia,Journal of Molecular Biology,273(4):927−948,7 November(1997)を参照)とKabat法(配列変動性に基づく、例えば、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition. NIH Publication No.91−3242,Kabat et al.,(1991)を参照)のハイブリッド組み合わせに基づいて定義された。いずれかの方法によって決定されたそれぞれの残基は、CDR残基の最終リスト中に含められた(そして、図13A、13C、13F、13G、48A、および48Bに示されている)。図13H、13I、および13J中のCDRは、Kabat法のみによって得られた。特に特定されない限り、図13H〜13J中の定義されたコンセンサス配列、CDR、およびFRは、図13中において参照されているABPに対する表記CDRおよびFRを定義し、制御する。
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、および60のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、および60のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、および60のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、および60の配列のうちの少なくとも1つのCDRからの1つ以上のCDRに対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である配列を含む。幾つかの実施形態では、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR(それぞれが、上記の配列に対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である)が存在する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、および60の配列のうちの少なくとも1つのFRからの1つ以上のFRに対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である配列を含む。幾つかの実施形態では、1つ、2つ、3つ、または4つのFR(それぞれが、上記の配列に対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である)が存在する。
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、および46の配列のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、および46のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、および46の配列のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、および46の配列のうちの少なくとも1つのCDRからの1つ以上のCDRに対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である配列を含む。幾つかの実施形態では、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR(それぞれが、上記の配列に対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である)が存在する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、および46の配列のうちの少なくとも1つのFRからの1つ以上のFRに対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である配列を含む。幾つかの実施形態では、1つ、2つ、3つ、または4つのFR(それぞれが、上記の配列に対して少なくとも90%、90〜95%、および/または95〜99%同一である)が存在する。
本開示に照らして、当業者は、公知の技術を用いて、本明細書中に記載されるように、ABPの適切な変異体を決定することができる。ある特定の実施形態では、当業者は、活性に重要ではないと考えられる領域を標的とすることにより、活性を破壊することなく変化させ得る分子の適切な領域を特定することができる。ある特定の実施形態では、類似のポリペプチド間で保存されている分子の残基および部分を特定することができる。ある特定の実施形態では、生物学的活性にとって、または構造にとって重要であり得る領域でさえも、生物学的活性を破壊することなく、あるいは、ポリペプチド構造に有害な影響を及ぼすことなく、保存的アミノ酸置換に供することができる。
さらに、当業者は、活性または構造にとって重要である類似のポリペプチドにおける残基を特定する構造−機能研究を検討することができる。このような比較を考慮して、類似のタンパク質における活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応するタンパク質におけるアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、このような予測された重要なアミノ酸残基に対する化学的に類似のアミノ酸の置換を選択することができる。
当業者はまた、類似のABPにおける構造との関連で三次元構造およびアミノ酸配列を分析することもできる。このような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に関して抗体のアミノ酸残基のアラインメントを予測することができる。ある特定の実施形態では、タンパク質の表面上にあると予想されるアミノ酸残基は、他の分子との重要な相互作用に関連し得るので、当業者は、このような残基に対して急激な変化を生じさせることがないように選択することができる。さらに、当業者は、それぞれの所望のアミノ酸残基に単一のアミノ酸置換を含有する試験変異体を作製することができる。次いで、変異体は、当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングすることができる。このような変異体は、適切な変異体についての情報を収集するために使用することができる。例えば、特定のアミノ酸残基への変化が、破壊された、望ましくないように低下された活性、または不適切な活性をもたらすことを発見した場合には、このような変化を有する変異体は避けることができる。換言すれば、このような日常の実験から収集された情報に基づいて、当業者は、単独で、または他の突然変異と組み合わせて、さらなる置換を避けるべきアミノ酸を容易に決定することができる。
多くの科学刊行物が、二次構造の予測に充てられている。Moult J.,Curr.Op.in Biotech.,7(4):422−427(1996)、Chou et al.,Biochemistry,13(2):222−245(1974)、Chou et al.,Biochemistry,113(2):211−222(1974)、Chou et al.,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.,47:45−148(1978)、Chou et al.,Ann.Rev.Biochem.,47:251−276、およびChou et al.,Biophys.J.,26:367−384(1979)を参照のこと。さらに、二次構造の予測を補助するために、現在、コンピュータプログラムが利用可能である。二次構造を予測する1つの方法は、相同性モデリングに基づいている。例えば、30%超の配列同一性、または40%超の類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、類似の構造トポロジーを有することが多い。タンパク質構造データベース(PDB)の最近の発展は、ポリペプチド構造またはタンパク質構造内の可能な折り畳み数を含む二次構造の増大した予測可能性をもたらした。Holm et al.,Nucl.Acid.Res.,27(1):244−247(1999)を参照のこと。所与のポリペプチドまたはタンパク質における折り畳み数には制限があり、一旦、構造の限界数が決まれば、構造的な予測は、劇的により正確になることが示唆されている(Brenner et al.,Curr.Op.Struct.Biol.7(3):369−376(1997))。
二次構造を予測するさらなる方法には、「スレディング(threading)」(Jones,D.,Curr.Opin.Struct.Biol.,7(3):377−87(1997)、Sippl et al.,Structure,4(1):15−19(1996))、「プロファイル分析」(Bowie et al.,Science,253:164−170(1991)、Gribskov et al.,Meth.Enzym.,183:146−159(1990)、Gribskov et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,84(13):4355−4358(1987))、および「進化的連結(evolutionary linkage)」(Holm,上記参照(1999)、およびBrenner,上記参照(1997)を参照)が含まれる。
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質変異体には、親ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、グリコシル化部位の数および/または種類が変化しているグリコシル化変異体が含まれる。ある特定の実施形態では、タンパク質変異体は、天然タンパク質より多数または少数のN結合型グリコシル化部位を含む。N結合型グリコシル化部位は、配列:Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrによって特徴付けられ、Xと表記されているアミノ酸残基は、プロリンを除くあらゆるアミノ酸残基であり得る。この配列を作製するためのアミノ酸残基の置換は、N結合型炭水化物鎖の付加のための潜在的な新しい部位を提供する。あるいは、この配列を除去する置換は、既存のN結合型炭水化物鎖を除去する。1つ以上のN結合型グリコシル化部位(典型的には、天然に存在するもの)が除去され、1つ以上の新しいN結合型部位が作製されるN結合型炭水化物鎖の再構成も提供される。さらなる好ましい抗体変異体には、親アミノ酸配列と比較して、1つ以上のシステイン残基が欠失されているか、または別のアミノ酸(例えば、セリン)で置換されている、システイン変異体が含まれる。不溶性封入体の単離後等、抗体が生物学的に活性な立体構造へ再折り畳みされなければならない場合には、システイン変異体は有用であり得る。システイン変異体は、天然タンパク質より少ないシステイン残基を一般に有し、典型的には、対を形成していないシステインから生じる相互作用を最小限に抑えるために、偶数を有する。
ある特定の実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させる、(2)酸化に対する感受性を減少させる、(3)タンパク質複合体の形成に関する結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、および/または(4)このようなポリペプチドに関する他の物理化学的または機能的特性を付与もしくは修飾するものである。ある特定の実施形態によれば、単一または複数のアミノ酸置換(ある特定の実施形態では、保存的なアミノ酸置換)が、天然に存在する配列中に(ある特定の実施形態では、分子間接触を形成するドメイン(複数可)外のポリペプチドの部分中に)作製され得る。ある特定の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を典型的には実質的に変化させ得ない(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に生じるヘリックスを切断する傾向がないはずであり、または親配列を特徴付ける二次構造の他の種類を乱す傾向がないはずである)。当技術分野で認められるポリペプチド二次および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984))、Introduction to Protein Structure(C.Branden & J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991))、およびThornton et al.,Nature,354:105(1991)中に記載されており、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態では、変異体は、本明細書に開示されるABPの核酸配列の変異体である。当業者は、ABPタンパク質変異体を特定し、評価し、および/作製するために、また、これらのタンパク質変異体をコードし得る核酸配列に対して、上記考察を使用することができることを理解されよう。したがって、これらのタンパク質変異体をコードする核酸配列(ならびに表2中のABPをコードするが、本明細書に明示的に開示されるものとは異なる核酸配列)が企図される。例えば、ABP変異体は、配列番号152、153、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151に記載される少なくとも1つの核酸配列、または配列番号152、153、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、および151中の核酸配列によってコードされるCDR(複数可)のうちの少なくとも1つ〜6つ(およびその様々な組み合わせ)に対して少なくとも80、80〜85、85〜90、90〜95、95〜97、97〜99、もしくはそれ以上の同一性を有することができる。
幾つかの実施形態では、ストリンジェントな条件下で、特定のABPをコードする核酸配列(または核酸配列そのもの)が表2中のタンパク質をコードする核酸配列のいずれか(例えば、配列番号152、153、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、および151等であるが、これらに限定されない)に選択的にハイブリダイズすることができるのであれば、抗体(または抗体をコードする核酸配列)は変異体である。一実施形態では、適切な中度にストリンジェントな条件は、5×SSC;0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8:0)の溶液中での事前洗浄、50℃、−65℃、5×SSC、一晩でのハイブリダイズ、または種間相同性の場合には、0.5×SSCでの45℃のハイブリダイズ、次いで、0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いて、20分間、65℃で2回の洗浄を含む。このようなハイブリダイズするDNA配列も、コード縮重のために、ハイブリダイズするDNA配列によってコードされる抗体ポリペプチドおよびこれらの核酸配列によってコードされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と同様に、本発明の範囲に属する。幾つかの実施形態では、CDRの変異体は、上述の配列内のCDRの1つ以上(図2A〜3D、ならびに図3CCC〜3JJJおよび15A〜15D中の他の実施形態を考慮すると、個々のCDRは、容易に決定することができる)にハイブリダイズする核酸配列およびこれらの配列によってコードされるアミノ酸配列が含まれる。この文脈において参照される「選択的にハイブリダイズする」という用語は、検出可能におよび選択的に結合することを意味する。本発明によるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびその断片は、非特異的な核酸に対する検出可能な結合の認識量を最小限に抑えるハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下で、核酸鎖に選択的にハイブリダイズする。高ストリンジェンシー条件は、当技術分野で公知であり、そして本明細書に論述される選択的ハイブリダイゼーション条件を達成するために使用することができる。一般に、本発明のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、および断片と対象となる核酸配列との間の核酸配列の相同性は、少なくとも80%であり、より典型的には少なくとも85%、90%、95%、99%、および100%の相同性の増加が好ましい。それらの配列間に部分的または完全な同一性が存在する場合、2つのアミノ酸配列は相同である。例えば、85%の相同性とは、2つの配列が最大に合致するようにアラインメントされた場合にアミノ酸の85%が同一であることを意味する。合致を最大化する上で(合致されている2つの配列のいずれかの中に)ギャップが許容され、5以下のギャップ長が好ましく、2以下がより好ましい。あるいはおよび好ましくは、この用語が本明細書で使用される場合には、変異データマトリックスおよび6以上のギャップペナルティーを使用してALIGNプログラムを用いて、(標準偏差の単位で)5より多くのアラインメントスコアを有すれば、2つのタンパク質配列(または少なくとも30アミノ酸長の、それらに由来するポリペプチド配列)は相同である。Dayhoff,M.O.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,pp.101−110(Volume 5,National Biomedical Research Foundation(1972))およびこの巻の補遺2、pp.1−10を参照のこと。2つの配列またはその一部は、より好ましくは、ALIGNプログラムを用いて最適にアラインメントされる場合に、それらのアミノ酸が50%以上同一であれば、相同である。「と対応する」という用語は、本明細書において、ポリヌクレオチド配列が参照ポリヌクレオチド配列のすべてもしくは一部と相同である(すなわち、同一であり、厳格に進化的に関連していない)、またはポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列と同一であることを意味するために使用される。対照的に、「に対して相補的である」という用語は、本明細書において、相補的配列が参照ポリヌクレオチド配列のすべてまたは一部と相同であることを意味するために使用される。例として、ヌクレオチド配列「TATAC」は参照配列「TATAC」に対応し、参照配列「GTATA」に対して相補的である。
抗原結合タンパク質(例えば、抗体)の調製
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質(抗体等)は、抗原(例えば、PCSK9)を用いた免疫化によって生成される。ある特定の実施形態では、抗体は、完全長PCSK9、PCSK9の可溶性形態、触媒ドメインのみ、図1A中に示されているPCSK9の成熟形態、PCSK9のスプライス変異形態、またはこれらの断片を用いた免疫化によって作製することができる。ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、ポリクローナルもしくはモノクローナルであり得、および/または組換え抗体であり得る。ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、例えば、ヒト抗体を生成することができるトランスジェニック動物の免疫化によって調製されたヒト抗体である(例えば、PCT公開出願第W093/12227号を参照)。
ある特定の実施形態では、ある特定の戦略を、その標的に対する抗体の親和性等の抗体の本来の特性を操作するために使用することができる。そのような戦略には、抗体変異体を生成するために抗体をコードするポリヌクレオチド分子の部位特異的またはランダム変異導入法の使用が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、このような生成の後には、所望の変化、例えば親和性の増加または減少を示す抗体変異体のためのスクリーニングを行う。
ある特定の実施形態では、突然変異導入の戦略中で標的とされるアミノ酸残基は、CDR中のものである。ある特定の実施形態では、可変ドメインのフレームワーク領域中のアミノ酸が標的とされる。ある特定の実施形態では、このようなフレームワーク領域は、ある特定の抗体の標的結合特性に寄与することが示されている。例えば、Hudson,Curr.Opin.Biotech.,9:395−402(1999)およびその中の参考文献を参照のこと。
ある特定の実施形態では、抗体変異体のより小さく、より効果的にスクリーニングされるライブラリーは、無作為のまたは部位特異的突然変異誘発を体細胞親和性成熟プロセス中に突然変異しやすい領域に対応する部位であるCDR中の高頻度変異部位に制限することによって作製される。例えば、Chowdhury & Pastan,Nature Biotech.,17:568−572(1999)およびその中の参考文献を参照のこと。ある特定の実施形態では、ある種類のDNA要素が、ある特定の直接および反転反復、ある特定のコンセンサス配列、ある特定の二次構造、およびある特定のパリンドロームが含まれるが、これらに限定されない、高頻度変異部位を特定するために使用することができる。例えば、高頻度変異部位を特定するために使用することができるこのようなDNA要素には、プリン(AまたはG)、続いて、グアニン(G)、続いて、ピリミジン(CまたはT)、続いて、アデノシンまたはチミジン(AまたはT)のいずれかを含む四塩基配列(すなわち、A/G−G−C/T−A/T)が含まれるが、これらに限定されない。高頻度変異部位を特定するために使用することができるDNA要素の別の例は、セリンコドン、A−G−C/Tである。
完全ヒトABP(例えば、抗体)の調製
ある特定の実施形態では、ファージディスプレイ技術が、モノクローナル抗体を作製するために使用される。ある特定の実施形態では、このような技術は、完全ヒトモノクローナル抗体を生成する。ある特定の実施形態では、単一のFabまたはFv抗体断片をコードするポリヌクレオチドが、ファージ粒子の表面上に発現される。例えば、Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marks et al.,J Mol Biol 222:581(1991)、米国特許第5,885,793号を参照のこと。ある特定の実施形態では、標的に対する親和性を有する抗体断片を特定するために、ファージが「スクリーニング」される。したがって、ある特定のそのようなプロセスは、糸状バクテリオファージの表面上への抗体断片レパートリーのディスプレイおよび標的へのそれらの結合によってファージのその後の選択を通じて免疫選択を模倣する。ある特定のそのような手法では、高親和性機能的中和抗体断片が単離される。(以下により詳しく論述されている)ある特定のそのような実施形態において、ヒト抗体遺伝子の完全なレパートリーは、末梢血リンパ球から天然に再配置されたヒトV遺伝子をクローニングすることによって作製される。例えば、Mullinax et al.,Proc Natl Acad Sci(USA),87:8095−8099(1990)を参照のこと。
ある特定の実施形態によれば、本発明の抗体は、挿入されたヒト抗体生成ゲノムのかなりの部分を有するが、内在性マウス抗体の生成が欠失しているトランスジェニックマウスの使用を通じて調製される。そこでは、そのようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を生成することができ、マウス免疫グロブリン分子および抗体の生成を欠失している。この結果を達成するために使用される技術は、本明細書中に開示されている特許、出願、および参考文献中に開示されている。ある特定の実施形態では、PCT公開出願第WO98/24893号またはMendez et al.,Nature Genetics,15:146−156(1997)に開示されるもの等の方法を使用することができ、これらは、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
一般に、PCSK9に対して特異的な完全ヒトモノクローナルABP(例えば、抗体)は、以下の通りに生成することができる。ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するトランスジェニックマウスが、対象となる抗原、例えば、PCSK9で免疫化され、抗体を発現するマウスからのリンパ細胞(B細胞等)が得られる。そのような回収された細胞は、不死化ハイブリドーマ細胞株を調製するために、骨髄型細胞株と融合され、対象となる抗原に対して特異的な抗体を生成するハイブリドーマ細胞株を特定するために、このようなハイブリドーマ細胞株が、スクリーニングされ、選択される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対して特異的な抗体を生成するハイブリドーマ細胞株の生成が提供される。
ある特定の実施形態では、完全ヒト抗体は、ヒト脾細胞(BまたはT細胞)をインビトロで抗原に曝露させ、次いで、免疫不全化されたマウス、例えば、SCIDまたはnod/SCID中で曝露された細胞を再構成させることによって生成される。例えば、Brams et al.,J.Immunol.160:2051−2058(1998)、Carballido et al.,Nat.Med.,6:103−106(2000)を参照のこと。ある特定のそのようなアプローチにおいて、SCIDマウス(SCID−hu)中へのヒト胎児組織の移植は、長期造血およびヒトT細胞の成長をもたらす。例えば、McCune et al.,Science,241:1532−1639(1988)、Ifversen et al.,Sem.Immunol.,8:243−248(1996)を参照のこと。ある特定の事例では、そのようなキメラマウス中での液性免疫応答は、動物内でのヒトT細胞の同時成長に依存する。例えば、Martensson et al.,Immunol.,83:1271−179(1994)を参照のこと。ある特定のアプローチにおいて、ヒト末梢血液リンパ球がSCIDマウス中に移植される。例えば、Mosier et al.,Nature,335:256−259(1988)を参照のこと。ある特定のこのような実施形態において、ブドウ球菌のエンテロトキシンA(SEA)等の刺激剤で、または抗ヒトCD40モノクローナル抗体のいずれかで、このような移植された細胞が処理されると、より高いレベルのB細胞生成が検出される。例えば、Martensson et al.,Immunol.,84:224−230(1995)、Murphy et al.,Blood,86:1946−1953(1995)を参照のこと。
したがって、ある特定の実施形態では、完全ヒト抗体は、宿主細胞中での組換えDNAの発現によって、またはハイブリドーマ細胞中での発現によって生成され得る。他の実施形態では、抗体は、本明細書に記載されるファージディスプレイ技術を用いて生成され得る。
本明細書に記載される抗体は、本明細書に記載されるXenoMouse(登録商標)技術の使用を通じて調製された。そこで、そのようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を生成することができ、マウス免疫グロブリン分子および抗体の生成を欠失している。それを達成するために使用される技術は、本明細書の背景技術の項に開示されている特許、出願、および参考文献中に開示されている。しかしながら、特に、マウスのトランスジェニック生成およびそこから得られる抗体の好ましい実施形態が、1996年12月3日に出願された米国特許出願第08/759,620号および1998年6月11日に公開された国際特許公開第WO98/24893号および2000年12月21日に公開された第WO00/76310号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、Mendez et al.,Nature Genetics,15:146−156(1997)も参照されたく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
そのような技術の使用を通じて、様々な抗原に対する完全ヒトモノクローナル抗体が生成されている。本質的には、マウスのXenoMouse(登録商標)株が、対象となる抗原(例えば、PCSK9)で免疫化され、リンパ細胞(B細胞等)が超免疫化されたマウスから回収され、回収されたリンパ球は、不死化ハイブリドーマ細胞株を調製するために、骨髄型細胞株と融合される。対象となる抗原に対して特異的な抗体を生成したハイブリドーマ細胞株を特定するために、これらのハイブリドーマ細胞株が、スクリーニングされ、選択される。PCSK9に対して特異的な抗体を生成する複数のハイブリドーマ細胞株を生成するための方法が本明細書において提供される。さらに、このような抗体の重鎖および軽鎖のヌクレオチドおよびアミノ酸配列分析を含む、このような細胞株によって生成される抗体の特徴付けが本明細書に提供される。
マウスのXenoMouse(登録商標)株の生成は、1990年1月12日に出願された米国特許出願第07/466,008号、1990年11月8日に出願された第07/610,515号、1992年7月24日に出願された第07/919,297号、1992年7月30日に出願された第07/922,649号、1993年3月15日に出願された第08/031,801号、1993年8月27日に出願された第08/112,848号、1994年4月28日に出願された第08/234,145号、1995年1月20日に出願された第08/376,279号、1995年4月27日に出願された第08/430,938号、1995年6月5日に出願された第08/464,584号、1995年6月5日に出願された第08/464,582号、1995年6月5日に出願された第08/463,191号、1995年6月5日に出願された第08/462,837号、1995年6月5日に出願された第08/486,853号、1995年6月5日に出願された第08/486,857号、1995年6月5日に出願された第08/486,859号、1995年6月5日に出願された第08/462,513号、1996年10月2日に出願された第08/724,752号、1996年12月3に出願された第08/759,620号、2001年11月30日に出願された米国公開第2003/0093820号、ならびに米国特許第6,162,963号、同第6,150,584号、同第6,114,598号、同第6,075,181号、および同第5,939,598号、ならびに日本国特許第3 068 180 B2号、同第3 068 506 B2号、および同第3 068 507 B2号においてさらに論述され、説明される。1996年6月12日に許諾公表された欧州特許第EP0 463 151 B1号、1994年2月3日に公開された国際特許出願第WO94/02602号、1996年10月31日に公開された国際特許出願第WO96/34096号、1998年6月11日に公開された第WO98/24893号、2000年12月21日に公開された第WO00/76310号も参照のこと。上記特許、出願、および参考文献のそれぞれの開示は、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
代替のアプローチにおいて、GenPharm International,Inc.を含む他のものは、「ミニローカス」アプローチを使用している。ミニローカスアプローチでは、Ig遺伝子座からの片(個々の遺伝子)を含めることを通じて、外来Ig遺伝子座が模倣される。したがって、1つ以上のVH遺伝子、1つ以上のDH遺伝子、1つ以上のJH遺伝子、ミュー定常領域、および通常第2の定常領域(好ましくは、ガンマ定常領域)が、動物中に挿入するための構築物中に形成される。このアプローチは、Suraniらの米国特許第5,545,807号、ならびにそれぞれLonberg & Kayの米国特許第5,545,806号、同第5,625,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、同第5,770,429号、同第5,789,650号、同第5,814,318号、同第5,877,397号、同第5,874,299号、同第6,255,458号、Krimpenfort & Bernsの米国特許第5,591,669号および同第6,023.010号、Bernsらの米国特許第5,612,205号、同第5,721,367号、同第5,789,215号、ならびにChoi & DunnおよびGenPharm Internationalの米国特許第5,643,763号、1990年8月29日に出願された米国特許出願第07/574,748号、1990年8月31日出願された第07/575,962号、1991年12月17日出願された第07/810,279号、1992年3月18日出願された第07/853,408号、1992年6月23日出願された第07/904,068号、1992年12月16日出願された第07/990,860号、1993年4月26日出願された第08/053,131号、1993年7月22日出願された第08/096,762号、1993年11月18日出願された第08/155,301号、1993年12月3日出願された第08/161,739号、1993年12月10日出願された第08/165,699号、1994年3月9日出願された第08/209,741号において開示され、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。欧州特許第0 546 073 B1号、国際特許出願第WO92/03918号、同第WO92/22645号、同第WO92/22647号、同第WO92/22670号、同第WO93/12227号、同第WO94/00569号、同第WO94/25585号、同第WO96/14436号、同第WO97/13852号、および同第WO98/24884号、ならびに米国特許第5,981,175号も参照されたく、これらの開示は、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、Taylor et al.,1992、Chen et al.,1993、Tuaillon et al.,1993、Choi et al.,1993、Lonberg et al.,(1994)、Taylor et al.,(1994)、およびTuaillon et al.,(1995)、Fishwild et al.,(1996)を参照されたく、これらの開示は、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
Kirinは、微小細胞融合を通じて、染色体の大きな片または染色体全体が導入されているマウスからのヒト抗体の生成も立証した。欧州特許出願第773288号および同第843961号を参照されたく、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、KirinのTcマウスとMedarexのミニローカス(Humab)マウスとの交雑の結果であるKM(商標)マウスが生成されている。これらのマウスは、KirinマウスのヒトIgHトランス染色体およびGenpharmマウスのカッパ鎖トランス遺伝子を有する(Ishida et al.,Cloning Stem Cells,(2002)4:91−102)。
ヒト抗体はまた、インビトロ法によっても誘導され得る。適切な例としては、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(旧Proliferon)、Affimed)リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイ等が含まれるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒトIgG4重鎖およびIgG2重鎖を有する。抗体はまた、IgG1を含む他のヒトイソタイプのものであり得る。様々な技術によって測定された場合に、抗体は、高い親和性を有しており、典型的には、約10−6〜約10−13Mまたはそれ以下のKdを有する。
理解されるように、抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株中で発現させることができる。特定の抗体をコードする配列は、適切な哺乳動物宿主細胞を形質転換するために使用することができる。形質転換は、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号、および同第4,959,455号(これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる)によって例示されるように、例えば、ポリヌクレオチドをウイルス中に(またはウイルスベクター中に)パッケージングし、ウイルス(またはベクター)で宿主細胞を形質導入することを含む、ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための任意の既知の方法によって、または 当技術分野で既知の形質移入手順によるものであり得る。使用される形質転換手順は、形質転換されるべき宿主に依存する。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞内に導入するための方法は、当技術分野で公知であり、デキストラン媒介性形質移入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性形質移入、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソーム中へのポリヌクレオチドのカプセル封入、およびDNAの核内への直接微量注入が含まれるが、これらに限定されない。
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞系は当技術分野で公知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、ヒト上皮腎臓293細胞、および多くの他の細胞株が含まれるが、これらに限定されない、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株が含まれる。特に好ましい細胞株が、どの細胞株が高い発現レベルを有し、構造的なPCSK9結合特性を有する抗体を生成するかの決定を通じて選択される。
ある特定の実施形態では、抗体および/またはABPは、21B12、31H4、16F12、表2中に列記されるまたは実施例に開示される他のハイブリドーマのうちの少なくとも1つによって生成される。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、約1nM未満、例えば、1000pM〜100pM、100pM〜10pM、10pM〜1pM、および/または1pM〜0.1pMまたはそれ以下の解離定数(KD)でPCSK9に結合する。
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、およびIgMイソタイプのうちの少なくとも1つの免疫グロブリン分子を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトカッパ軽鎖および/またはヒト重鎖を含む。ある特定の実施形態では、重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、またはIgMイソタイプのものである。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、哺乳動物細胞中での発現のためにクローニングされている。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、およびIgMイソタイプの定常領域のいずれか以外の定常領域を含む。
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトラムダ軽鎖およびヒトIgG2重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトラムダ軽鎖およびヒトIgG4重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトラムダ軽鎖およびヒトIgG1、IgG3、IgE、IgA、IgD、またはIgM重鎖を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトカッパ軽鎖およびヒトIgG2重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトカッパ軽鎖およびヒトIgG4重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトカッパ軽鎖およびヒトIgG1、IgG3、IgE、IgA、IgD、またはIgM重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、IgG2イソタイプに対する定常領域でも、IgG4イソタイプに対する定常領域でもない定常領域に連結された抗体の可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、哺乳動物細胞中での発現のためにクローニングされている。
ある特定の実施形態では、ハイブリドーマ株:21B12、31H4、および16F12のうちの少なくとも1つからの抗体の重および軽鎖に対する保存的修飾(ならびにコードするヌクレオチドに対する対応する修飾)は、ハイブリドーマ株:21B12、31H4、および16F12からの抗体のものと同様の機能的および化学的特徴を有するPCSK9に対する抗体を生成する。対照的に、ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗体の機能的および/または化学的特徴における実質的修飾は、(a)例えば、シートまたはヘリックス立体構造として、置換の領域中の分子骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさの維持におけるそれらの効果が大幅に異なる重および軽鎖のアミノ酸配列中の置換を選択することによって達成され得る。
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、自然のアミノ酸残基を、その位置でのアミノ酸残基の極性または電荷に与える効果がわずかまたは存在しない、非自然の残基で置換することを含み得る。さらに、アラニン走査突然変異誘発によって以前に記載されているように、ポリペプチド中の任意の自然の残基をアラニンで置換することができる。
所望のアミノ酸置換(保存的であろうと非保存的であろうと)は、このような置換が所望される時点で、当業者によって決定することができる。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、本明細書に記載されるように、PCSK9に対する抗体の重要な残基を特定する、またはPCSK9に対する抗体の親和性を増加もしくは減少させるために使用することができる。
ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株中で発現させることができる。ある特定の実施形態では、特定の抗体をコードする配列は、適切な哺乳動物宿主細胞を形質転換するために使用することができる。ある特定の実施形態によれば、形質転換は、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号、および同第4,959,455号(これらの特許は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)によって例示されるように、例えば、ポリヌクレオチドをウイルス中に(またはウイルスベクター中に)パッケージングし、ウイルス(またはベクター)で宿主細胞を形質導入することを含む、ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための任意の既知の方法によって、または当技術分野で既知の形質移入手順によるものであり得る。ある特定の実施形態では、形質転換手順は、形質転換されるべき宿主に依存し得る。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞内に導入する方法は、当技術分野で公知であり、デキストラン媒介性形質移入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性形質移入、プロトプラスト融合、およびDNAの核内への直接微量注入が含まれるが、これらに限定されない。
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当技術分野で公知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHep G2)、および多くの他の細胞株を含むが、これらに限定されない、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞系が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、構造的なHGF結合特性を有する抗体を生成するかの決定を通じて選択され得る。哺乳動物宿主細胞に対する適切な発現ベクターは、公知である。
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、1つ以上のポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を発現させるために、様々な発現ベクター/宿主系のいずれかを使用することができる。このような系には、組換えバクテリオファージ、プラスミド、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌等の微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザイクウイルス、TMV)で形質移入された、もしくは細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;または動物細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドは、酵母中で組換え的に発現される。ある特定のこのような実施形態は、製造業者の説明書に従って、市販の発現系、例えば、Pichia Expression System(Invitrogen,San Diego,CA)を使用する。ある特定の実施形態では、このような系は、分泌を誘導するためにプレプロα配列に依存する。ある特定の実施形態では、挿入物の転写は、メタノールによる誘導時に、アルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターによって駆動される。
ある特定の実施形態では、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含む分泌されたポリペプチドは、酵母増殖培地から精製される。ある特定の実施形態では、酵母増殖培地からポリペプチドを精製するために使用される方法は、細菌および哺乳動物細胞上清からポリペプチドを精製するために使用されるものと同じである。
ある特定の実施形態では、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドをコードする核酸は、pVL1393(PharMingen,San Diego,CA)等のバキュロウイルス発現ベクター中にクローニングされる。ある特定の実施形態では、このようなベクターは、sF9無タンパク質培地中でスポドプテラフルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞を感染させ、組換えポリペプチドを生成するために、製造業者の指示(PharMingen)に従って使用することができる。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、ヘパリン−セファロースカラム(Pharmacia)を用いて、このような培地から精製および濃縮される。
ある特定の実施形態では、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドは、昆虫系内で発現される。ポリペプチド発現のためのある特定の昆虫系は、当業者には公知である。あるこのような系において、スポドプテラフルギペルダ細胞中またはトリコプルシア(Trichoplusia)の幼虫内で外来遺伝子を発現させるためのベクターとして、オートグラファカリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が使用される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドをコードする核酸分子は、ウイルスの非必須遺伝子中に、例えば、ポリヘドリン遺伝子内に挿入し、その遺伝子に対するプロモーターの制御下に置くことができる。ある特定の実施形態では、核酸分子の首尾よい挿入は、非必須遺伝子を不活性にする。ある特定の実施形態では、その不活化は検出可能な特徴をもたらす。例えば、ポリヘドリン遺伝子の不活化は、外被タンパク質を欠如したウイルスの生成をもたらす。
ある特定の実施形態では、組換えウイルスは、Sフルギペルダ細胞またはトリコプルシアの幼虫を感染させるために使用することができる。例えば、Smith et al.,J.Virol.,46:584(1983)、Engelhard et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.(USA),91:3224−7(1994)を参照のこと。
ある特定の実施形態では、細菌細胞中で作製された1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドは、細菌中で、不溶性封入体として生成される。ある特定の実施形態では、このような封入体を含む宿主細胞は、遠心分離によって採取され、0.15MのNaCl、10mMのTris、pH8、1mMのEDTAで洗浄され、室温で15分間0.1mg/mLのリゾチーム(Sigma,St.Louis,MO)中で処理される。ある特定の実施形態では、可溶化液は音波処理によって清澄化され、細胞片は、12,000×gで10分間の遠心分離によってペレット化される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを含有するペレットは、50mMのTris、pH8、および10mMのEDTA中に再懸濁され、50%のグリセロールに重層され、6000×gで30分間遠心分離される。ある特定の実施形態では、そのペレットは、Mg++およびCa++を含んでいない標準的なリン酸緩衝化生理的食塩水溶液(PBS)中に再懸濁され得る。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、変性SDSポリアクリルアミドゲル中に再懸濁されたペレットを分画することによって、さらに精製される(例えば、Sambrook et al.,上記)。ある特定の実施形態では、このようなゲルは、タンパク質を可視化するために、0.4MのKCl中に浸漬させることが可能であり、これを切り出して、SDSを欠くゲル走行緩衝液中で電気溶出することができる。ある特定の実施形態によれば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質は、可溶性タンパク質として細菌中に生成される。ある特定の実施形態では、このようなGST融合タンパク質は、GST精製分子(Pharmacia)を用いて精製される。
ある特定の実施形態では、ある特定のポリペプチド、例えば、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドを「再折り畳みする」ことが望ましい。ある特定の実施形態では、このようなポリペプチドは、本明細書で論述されるある特定の組換え系を用いて生成される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、所望の三次構造を形成し、および/またはジスルフィド結合を生成するために、「再折り畳みされる」および/または酸化される。ある特定の実施形態では、このような構造および/または結合は、ポリペプチドのある特定の生物学的活性に関連している。ある特定の実施形態では、再折り畳みは、当技術分野で公知の多数の手法のいずれを用いても達成される。例となる方法には、カオトロピック剤の存在下で、典型的には7を上回るpHに、可溶化されたポリペプチド剤を曝露させることが含まれるがこれに限定されない。例となるカオトロピック剤は、グアニジンである。ある特定の実施形態では、再折り畳み/酸化溶液はまた、還元剤およびその還元剤の酸化された形態も含有する。ある特定の実施形態では、還元剤およびその酸化された形態は、ジスルフィドシャフリングの発生を可能にする特定の酸化還元電位を生じ得る比で存在する。ある特定の実施形態では、このようなシャフリングは、システイン架橋の形成を可能にする。例となる還元対には、システイン/シスタミン、グルタチオン/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオスレイトールDTT/ジチアンDTT、および2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−bMEが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、再折り畳みの効率を増加させるために、共溶媒が使用される。例となる共溶媒には、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンが含まれるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドを実質的に精製する。ある特定のタンパク質精製技術が、当業者に公知である。ある特定の実施形態では、タンパク質精製は、非ポリペプチド画分からポリペプチド分画を粗分画することを含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、クロマトグラフィーおよび/または電気泳動技術を用いて精製される。例となる精製法には、硫酸アンモニウムを用いた沈殿;PEGを用いた沈殿;免疫沈降;熱変性後の遠心;親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインA−セファロース)、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーが含まれるがこれらに限定されない、クロマトグラフィー;ゲル濾過;ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー;等電点電気泳動;ポリアクリルアミドゲル電気泳動;ならびにこのような技術および他の技術の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、高速タンパク質液体クロマトグラフィーまたは高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製される。ある特定の実施形態では、精製ステップは変化させることができ、またはある特定のステップを省略することができるが、実質的に精製されたポリペプチドの調製に適した方法をなおもたらす。
ある特定の実施形態では、ポリペプチド調製物の精製度を定量する。精製度を定量するためのある特定の方法は、当業者に公知である。ある特定の例となる方法は、調製物の特異的結合活性を測定すること、およびSDS/PAGE分析によって調製物内のポリペプチドの量を評価することを含むが、これらに限定されない。ポリペプチド調製物の精製の量を評価するためのある特定の例となる方法は、調製物の結合活性を計算すること、およびこれを最初の抽出物の結合活性と比較することを含む。ある特定の実施形態では、このような計算の結果は、「精製倍数」として表される。結合活性の量を表すために使用される単位は、実施されている特定のアッセイに依存する。
ある特定の実施形態では、1つ以上のABP成分またはABPそのものを含むポリペプチドが、部分的に精製される。ある特定の実施形態では、部分精製は、より少ない精製ステップを使用することによって、または同じ一般的な精製スキームの異なる形態を用いることによって達成することができる。例えば、ある特定の実施形態では、HPLC装置を用いて行われる陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、一般的には、低圧クロマトグラフィー系を用いる同じ技術よりも大きな「精製倍数」をもたらし得る。ある特定の実施形態では、より低い精製度をもたらす方法は、ポリペプチドの総回収率の上で、またはポリペプチドの生物学的活性を維持する上で利点を有し得る。
ある特定の事例では、ポリペプチドの電気泳動は、SDS/PAGEの異なる条件によって時に著しく変動し得る。例えば、Capaldi et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,76:425(1977)を参照のこと。異なる電気泳動条件下において、精製されたまたは部分的に精製されたポリペプチドの見かけの分子量は異なり得ることが理解されよう。
例となるエピトープ
抗PCSK9抗体が結合するエピトープが提供される。幾つかの実施形態では、本明細書に開示されている抗体によって結合されるエピトープが、特に有用である。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される抗体によって結合されるエピトープのいずれかに結合する抗原結合タンパク質が有用である。幾つかの実施形態では、表2ならびに図2および3に列記される抗体のいずれかによって結合されるエピトープが、特に有用である。幾つかの実施形態では、エピトープは、触媒ドメインPCSK9上にある。
ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープは、抗PCSK9抗体またはPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合を妨げる(例えば、減少させる)ために用いることができる。ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープは、抗PCSK9抗体またはPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合を減少させるために用いることができる。ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープは、抗PCSK9抗体またはPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合を実質的に阻害するために用いることができる。
ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープは、PCSK9に結合する抗体または抗原結合タンパク質を単離するために用いることができる。ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープは、PCSK9に結合する抗体または抗原結合タンパク質を生成するために用いることができる。ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープまたはPCSK9エピトープを含む配列は、PCSK9に結合する抗体または抗原結合タンパク質を生成するための免疫原として用いることができる。ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープは、動物に投与することができ、その後、PCSK9に結合する抗体を、動物から取得することができる。ある特定の実施形態では、PCSK9エピトープまたはPCSK9エピトープを含む配列は、LDLRとのPCSK9の会合等の正常なPCSK9によって媒介される活性を妨害するために用いることができる。
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される抗原結合タンパク質は、N末端プロドメイン、サブチリシン様触媒ドメイン、および/またはC末端ドメインに特異的に結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、PCSK−9の基質結合溝に結合する(Cunninghamらに記載されており、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)。
幾つかの実施形態では、抗体と接触し、または抗体によって埋没される残基を含有するドメイン(複数可)/領域(複数可)は、PCSK9(例えば、野生型抗原)中の特異的な残基を変異させ、抗原結合タンパク質が突然変異されたまたは変異PCSK9タンパク質と結合することができるかどうかを決定することによって特定され得る。多数の個別の突然変異体を作製することによって、突然変異体が抗原結合タンパク質と抗原との間の結合に影響を及ぼし得るように、結合に直接的な役割を果たしているまたは抗体と十分に近接している残基を特定することができる。これらのアミノ酸の知識から、抗原結合タンパク質と接触するか、または抗体によって被覆されている残基を含有する抗原のドメイン(複数可)または領域(複数可)が解明され得る。このようなドメインは、抗原結合タンパク質の結合エピトープを含むことができる。この一般的なアプローチの1つの具体例は、アルギニン/グルタミン酸スキャニングプロトコルを使用する(例えば、Nanevicz,T.,et al.,1995,J.Biol.Chem.,270:37,21619−21625およびZupnick,A.,et al.,2006,J.Biol.Chem.,281:29,20464−20473を参照のこと)。一般に、アルギニンおよびグルタミン酸は、帯電しており、嵩が大きく、したがって、突然変異が導入されている抗原の領域中での抗原結合タンパク質と抗原との間の結合を乱す可能性を有するため、野生型ポリペプチド中のアミノ酸と(典型的には、個別に)置換される。野生型抗原中に存在するアルギニンは、グルタミン酸と置換される。このような様々な個別の突然変異体が得られ、どの残基が結合に影響を及ぼすかを決定するために、収集された結合結果が分析される。
抗原結合タンパク質と本明細書で使用される変異PCSK9との間の結合の変化(例えば、減少または増加)は、(例えば、実施例中で以下に記載されるBiacore検査またはビーズをベースとしたアッセイ等の公知の方法によって測定した場合に)結合親和性、EC50の変化、および/または(例えば、抗原結合タンパク質濃度対抗原濃度のプロットにおけるBmaxの減少によって明らかとなる)抗原結合タンパク質の総結合能力の変化(例えば、減少)が存在することを意味する。結合の著しい変化は、突然変異した残基が抗原結合タンパク質への結合に直接関与しており、または結合タンパク質が抗原に結合されたときに、結合タンパク質に近接していることを示す。
幾つかの実施形態では、結合の著しい減少は、抗原結合タンパク質と変異体PCSK9抗原との間での結合親和性、EC50、および/または能力が、抗原結合タンパク質と野生型PCSK9(例えば、配列番号1および/または配列番号303に示されている)との間での結合と比較して、10%超、20%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、または95%超減少していることを意味する。ある特定の実施形態では、結合は、検出可能な限界値を下回って減少する。幾つかの実施形態では、変異PCSK9タンパク質への抗原結合タンパク質の結合が、抗原結合タンパク質と野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1および/または配列番号303のタンパク質)との間で観察される結合の50%未満(例えば、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%未満)である場合に、結合の著しい減少が証明される。このような結合の測定は、当技術分野で公知の様々な結合アッセイを用いて実施され得る。
幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)中の残基がアルギニンまたはグルタミン酸と置換される変異PCSK9タンパク質に対して著しくより低い結合を示す抗原結合タンパク質が提供される。幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比較して、突然変異:R207E、D208R、R185E、R439E、E513R、V538R、E539R、T132R、S351R、A390R、A413R、E582R、D162R、R164E、E167R、S123R、E129R、A311R、D313R、D337R、R519E、H521R、およびQ554Rのうちのいずれか1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または244)を有する変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が著しく減少または増加する。本明細書において使用される省略型表記において、形式は、野生型残基:ポリペプチド中の位置:配列番号1または配列番号303に示されているように残基の付番がなされている。
幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比較して、配列番号1に示されるような位置:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、および554で、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)の突然変異を有する突然変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が著しく減少または増加する。幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比較して、配列番号1に示されるような位置:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、および554で、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)の突然変異を有する突然変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が減少または増加する。幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比較して、配列番号1内の位置:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、および554で、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)の突然変異を有する突然変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が実質的に減少または増加する。
幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比較して、配列番号1または配列番号303内の突然変異:R207E、D208R、R185E、R439E、E513R、V538R、E539R、T132R、S351R、A390R、A413R、E582R、D162R、R164E、E167R、S123R、E129R、A311R、D313R、D337R、R519E、H521R、およびQ554Rのうちの1つ以上(例えば、1、2、3、4、5等)を有する突然変異体PCSK9タンパク質に対して、ABPの結合が著しく減少または増加する。
幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比較して、配列番号1または配列番号303内の突然変異:R207E、D208R、R185E、R439E、E513R、V538R、E539R、T132R、S351R、A390R、A413R、およびE582Rのうちの1つ以上(例えば、1、2、3、4、5等)を有する突然変異体PCSK9タンパク質に対して、ABPの結合が著しく減少または増加する。幾つかの実施形態では、この結合は、減少する。幾つかの実施形態では、結合の減少は、EC50の変化として観察される。幾つかの実施形態では、EC50の変化は、EC50の数値の増加(したがって、結合の減少)である。
幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比較して、配列番号1内の突然変異:D162R、R164E、E167R、S123R、E129R、A311R、D313R、D337R、R519E、H521R、およびQ554Rのうちの1つ以上(例えば、1、2、3、4、5等)を有する突然変異体PCSK9タンパク質に対して、ABPの結合が著しく減少または増加する。幾つかの実施形態では、この結合は減少する。幾つかの実施形態では、結合の減少は、Bmaxの変化として観察される。幾つかの実施形態では、Bmaxのシフトは、ABPによって生じた最大シグナルの減少である。幾つかの実施形態では、エピトープの一部であるアミノ酸に関して、Bmaxは、少なくとも10%減少し、例えば、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99、または100%の少なくともいずれかの量の減少は、幾つかの実施形態では、残基がエピトープの一部であることを示し得る。
直前に列記されている変異形態は、配列番号1または配列番号303に示される野生型配列に関して引用されているが、PCSK9の対立遺伝子変異体において、表記位置のアミノ酸が異なり得ることが理解されよう。PCSK9のこのような対立遺伝子形態に対して著しく低い結合を示す抗原結合タンパク質も企図される。したがって、幾つかの実施形態では、上記実施形態のいずれも、図1Aに示される純粋に野生型配列ではなく、対立遺伝子配列と比較され得る。
幾つかの実施形態では、野生型PCSK9タンパク質中に選択された位置における残基が他のいずれかの残基に突然変異されている変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が著しく減少する。幾つかの実施形態では、特定される位置に対して、本明細書に記載されるアルギニン/グルタミン酸置換が使用される。幾つかの実施形態では、アラニンは、特定される位置に対して使用される。
上述のように、結合に直接関与するまたは抗原結合タンパク質によって包含される残基は、スキャニングの結果から特定され得る。したがって、これらの残基は、抗原結合タンパク質が結合する結合領域(複数可)を含有する配列番号1(または配列番号303もしくは配列番号3)のドメインまたは領域の指標を提供し得る。実施例39に要約されている結果から見られ得るように、幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、および554のうちの少なくとも1つを含有するドメインに結合する。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、および554のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:162、164、167、207、および/または208のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。幾つかの実施形態では、1つを超える(例えば、2、3、4、または5)特定された残基は、ABPによって結合される領域の一部である。幾つかの実施形態では、ABPは、ABP21B12と競合する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:185の少なくとも1つを含有する領域に結合する。幾つかの実施形態では、ABPは、ABP31H4と競合する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:439、513、538、および/または539のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。幾つかの実施形態では、1つを超える(例えば、2、3、または4)特定された残基は、ABPによって結合される領域の一部である。幾つかの実施形態では、ABPは、ABP31A4と競合する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:123、129、311、313、337、132、351、390、および/または413のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。幾つかの実施形態では、1つを超える(例えば、2、3、4、5、6、7、8、または9)特定された残基は、ABPによって結合される領域の一部である。幾つかの実施形態では、ABPは、ABP12H11と競合する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸582、519、521、および/または554のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。幾つかの実施形態では、1つを超える(例えば、2、3、または4)特定された残基は、ABPによって結合される領域の一部である。幾つかの実施形態では、ABPは、ABP3C4と競合する。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303の断片または完全長配列内の前述領域に結合する。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、これらの領域からなるポリペプチドに結合する。「配列番号1または配列番号303」という表記は、これらの配列の一方または両方が使用され得ること、または関連し得ることを表す。この用語は、1つのみが使用されるべきことを表さない。
上述のように、上記記述は、配列番号1を参照して特定のアミノ酸位置を引用する。しかしながら、本明細書を通じて、一般に、配列番号3に提供される31位で始まるPro/Catドメインが参照される。以下に記載されているように、配列番号1および配列番号303はPCSK9のシグナル配列を欠如する。したがって、これらの様々な開示の間でのいずれの比較も、付番におけるこの差を考慮すべきである。特に、配列番号1中のいずれのアミノ酸位置も、配列番号3のタンパク質中の30位のアミノ酸に対応する。例えば、配列番号1の207位、配列番号3の237位に対応する(完全長配列、および一般に本明細書中で使用されている付番系)。表39.6は、配列番号1(および/または配列番号303)を参照する上記位置が、配列番号3(シグナル配列を含む)にどのように対応するかを要約する。したがって、配列番号1(および/または配列番号303)に関して記載される上記実施形態のいずれもが、記載される対応する位置によって、配列番号3を参照して記載されている。
幾つかの実施形態では、ABP21B12は、残基162〜167(例えば、配列番号1の残基D162〜E167)を含むエピトープに結合する。幾つかの実施形態では、ABP12H11は、残基123〜132(例えば、配列番号1の残基S123〜T132)を含むエピトープに結合する。幾つかの実施形態では、ABP12H11は、残基311〜313(例えば、配列番号1の残基A311〜D313)を含むエピトープに結合する。幾つかの実施形態において、ABPは、配列のこれらの鎖のいずれか1つを含むエピトープに結合し得る。
競合する抗原結合タンパク質
別の態様では、PCSK9への特異的結合に対して、本明細書に記載されるエピトープに結合する例となる抗体または機能的断片のうちの1つと競合する抗原結合タンパク質が提供される。そのような抗原結合タンパク質はまた、本明細書に例示される抗原結合タンパク質のうちの1つと同じエピトープまたは重複するエピトープにも結合し得る。例示される抗原結合タンパク質と同じエピトープと競合し、または結合する抗原結合タンパク質および断片は、同様な機能的特性を示すと予想される。例示される抗原結合タンパク質および断片には、表2および/または図2〜3に含まれる重および軽鎖可変、領域ドメイン、ならびにCDRを有するもの等、上述されるものが含まれる。したがって、具体例として、提供される抗原結合タンパク質には、以下を有する抗体または抗原結合タンパク質と競合するものが含まれる:
(a)図2〜3に列記される抗体に対して列記されるCDRの6つすべて、
(b)表2に列記される抗体に対して列記されるVHおよびVL、または
(c)表2に列記される抗体に対して特定される2つの軽鎖および2つの重鎖。
治療的薬学的製剤および投与
本発明は、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含有する薬学的製剤を提供する。本明細書で使用される「薬学的製剤」は、非経口投与(静脈内、筋肉内、皮下、噴霧、肺内、鼻腔内、または髄腔内等であるが、これらに限定されない)に適している、それを必要とする患者への薬学的に活性な薬物、すなわち、PCSK9に対する少なくとも1つの抗原結合タンパク質の無菌組成物であり、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、および連邦薬物管理機関または他の外国当局によって安全であると見なされる他の添加剤のみを含む。薬学的製剤には、液体、例えば、直接投与され得る水性溶液、および投与前に希釈剤を添加することによって溶液に再構成され得る凍結乾燥粉末を含む。患者への局所投与用の組成物、経口摂取用の組成物、および非経口的栄養補給用の組成物は、「薬学的製剤」という用語の範囲から特定的に除外される。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、安定な薬学的製剤である。本明細書で使用される「安定な薬学的製剤」、「安定な製剤」、または「薬学的製剤が安定している」という語句は、対照製剤試料と比較して、少なくとも1ヶ月間、または2ヶ月間、または3ヶ月間、または6ヶ月間、または1年間もしくは2年間、2〜8℃で保存される場合に、5%を超えない凝集の増加および/または生物学的活性の喪失の減少を示す生物学的に活性なタンパク質の薬学的製剤を指す。製剤の安定性は、サイズ排除HPLC(「SEC−HPLC」)、陽イオンHPLC(CEX−HPLC)、光不明瞭化による不可視粒子検出(Subvisible Particle Detection by Light Obscuration)(「HIAC」)、および/または目視検査が含まれるが、これらに限定されない、多数の標準的なアッセイを用いて当業者により容易に決定され得る。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、表2ならびに図2および/または3ならびに図48Aおよび48Bに示されるPCSK9に対する抗原結合タンパク質のいずれかを含む。ある特定の他の実施形態では、薬学的製剤は、PCSK9に対する他の抗原結合タンパク質、すなわち、配列番号588の軽鎖可変ドメインおよび配列番号589の重鎖可変ドメインからなる抗体を含み得る。幾つかの実施形態では、薬学的製剤は、21B12、26H5、31H4、8A3、11F1、または8A1のうちのいずれか1つを含む。
幾つかの実施形態では、薬学的製剤は、PCSK9に対する1つを超える異なる抗原結合タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、1つを超えるエピトープに結合するPCSK9に対する1つを超える抗原結合タンパク質を含む。幾つかの実施形態では、様々な抗原結合タンパク質は、PCSK9に結合するために互いに競合しない。幾つかの実施形態では、表2ならびに図2および/または3に示される抗原結合タンパク質は、薬学的製剤中に一緒に組み合わせることができる。
ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質および/または治療的分子は、当技術分野で公知の半減期を延長するビヒクルに結合する。このようなビヒクルには、ポリエチレングリコール、グリコーゲン(例えば、ABPのグリコシル化)、およびデキストランが含まれるが、これらに限定されない。このようなビヒクルは、例えば、米国出願第09/428,082号、現在、米国特許第6,660,843号に記載され、PCT出願第WO99/25044号に公開されており、これらは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
ある特定の実施形態では、許容される製剤材料は、使用される投薬量および濃度において、受容者に対して非毒性である。幾つかの実施形態では、製剤材料は、皮下注射および/または静脈内投与用である。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、例えば、pH、オスモル濃度、粘度、透明度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解または放出の速度、組成物の吸着または浸透を改変し、維持し、または保持するための製剤材料を含む。
ある特定の実施形態では、適切な製剤材料には、アミノ酸(プロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、タウリン、グリシン、グルタミン、またはアスパラギン);抗菌剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム)、緩衝剤(ボラート、バイカーボナート、リン酸ナトリウム(「NaOAC」)、トリスHCl、トリス緩衝液、シトラート、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(すなわち、PBS緩衝液)、または他の有機酸);増量剤(マニトールまたはグリシン等);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン等);充填剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、マンノース、トレハロース、またはデキストリン等);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等);着色剤、着香剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン等);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウム等);防腐剤(ベンズアルコニウムクロリド、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、スルビン酸、または過酸化水素等);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール等);糖アルコール(マニトールまたはソルビトール等);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80等のポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパール等);安定性増強剤(スクロースまたはソルビトール等);等張性増強剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムまたはカリウム、マニトールソルビトール等);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的アジュバントが含まれるが、これらに限定されない。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Company(1995)。
ある特定の実施形態では、最適な薬学的製剤は、例えば、意図される投与経路、送達様式、および所望の投薬量に応じて、当業者によって決定されよう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記を参照のこと。ある特定の実施形態では、このような製剤は、本発明の抗体の物理的状態、安定性、インビボ放出の速度、およびインビボ除去の速度に影響を及ぼし得る。
一態様では、薬学的製剤は、PCSK9に対する高濃度の抗原結合タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、ABP濃度は、約70mg/mL〜約250mg/mLの範囲であり、例えば、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、約210mg/mL、約220mg/mL、約230mg/mL、約240mg/mL、または約250mg/mL、およびその間のすべての値を含む。幾つかの実施形態では、21B12、26H5、または31H4の濃度は、約100mg/mL〜約150mg/mLの範囲であり、例えば、100mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、または約150mg/mLである。幾つかの実施形態では、8A3、11F1、または8A1の濃度は、約140mg/mL〜約220mg/mLの範囲であり、例えば、140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、約210mg/mL、約220mg/mL、または約250mg/mLである。
別の態様では、薬学的製剤は、例えば、pH約7.0〜8.5の酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホスフェート、リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)、および/またはトリス緩衝液等の少なくとも1つの緩衝剤を含む。緩衝剤は、生理学的に適切なpHを維持する役割を果たす。加えて、緩衝剤は、薬学的製剤の等張性および化学的安定性を増強する役割を果たし得る。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、約0.05mM〜約40mMの範囲であり、例えば、約0.05mM、約0.1mM、約0.5mM、約1.0mM、約5.0mM、約10mM、約15mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、または約100nMの緩衝剤であり、およびその間のすべての値を含む。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、NaOACである。薬学的製剤の例となるpHは、約4〜約6、または約4.8〜約5.8、または約5.0〜約5.2、または約5、または約5.2を含む。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、オスモル濃度が約250〜約350ミリオスモル/kgの範囲であり、例えば、約250mOsm/kg、約260mOsm/kg、約270mOsm/kg、約280mOsm/kg、約290mOsm/kg、約300mOsm/kg、約310mOsm/kg、約320mOsm/kg、約330mOsm/kg、約340mOsm/kg、または約350mOsm/kgで等張性であり、その間のすべての値を含む。本明細書で使用される「オスモル濃度」は、液体の体積に対する溶質の比の尺度である。すなわち、溶液のキログラム当たりの分子およびイオン(または分子)の数である。オスモル濃度は、Advanced Instruments 2020マルチサンプル浸透圧計,Norwood,MA等の浸透圧計と呼ばれる分析機器において測定され得る。Advanced Instrumetns 2020マルチサンプル浸透圧計は、氷点降下法を用いることによってオスモル濃度を測定する。溶液中の浸透圧調節物質(osmolyte)が高いほど、それが凍結する温度が下がる。オスモル濃度はまた、あらゆる他の方法を用いて、そして線形外挿法等の当技術分野で公知のいずれかの他の単位において測定され得る。
さらに別の態様では、薬学的製剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、およびポリソルベート20が含まれるが、これらに限定されない、少なくとも1つの界面活性剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、製剤の約0.004%〜約10%重量/体積(「w/v」)の範囲である濃度の界面活性剤、例えば、製剤の約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、または約10%w/vの界面活性剤である。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、製剤の約0.004%〜約0.1%w/vの範囲である濃度のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、製剤の約0.004%〜約0.1%w/vの範囲である濃度のポリソルベート20を含む。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、少なくとも1つの安定剤、例えば、ポリヒドロキシ炭化水素(ソルビトール、マンニトール、グリセロール、およびズルシトールが含まれるが、これらに限定されない)、ならびに/または二糖類(スクロース、ラクトース、マルトース、およびトレハロースが含まれるが、これらに限定されない)、ならびに/またはアミノ酸(プロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、およびタウリンが含まれるが、これらに限定されない)、ならびにまたはベンジルアルコールを含み、そのポリヒドロキシ炭化水素および/または二糖類および/またはアミノ酸および/またはベンジルアルコールの合計が、製剤の約0.5%〜約10%w/vである。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の濃度のスクロースの安定剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約5%の濃度のスクロースの安定剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の濃度のソルビトールの安定剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約9%の濃度のソルビトールの安定剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%の濃度のプロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、および/またはタウリンの安定剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約2〜3%の濃度のプロリンの安定剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%の濃度のベンジルアルコールの安定剤を含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約1〜2%の濃度のベンジルアルコールの安定剤を含む。
一態様では、薬学的製剤は、室温(すなわち、25℃)で測定される場合に、約30センチポアズ(cP)未満の粘度レベルを有する。本明細書で使用される「粘度」は、流れに対する流体抵抗であり、センチポアズ(cP)またはミリパスカル秒(mPa−s)の単位で測定され得、所与のせん断速度で1cP=1mPa−sである。粘度は、粘度計、例えば、Brookfield Engineering Dial Reading Viscometer、モデルLVTを用いることによって測定され得る。粘度はまた、当技術分野で公知のあらゆる他の方法を用いて、あらゆる他の単位(例えば、絶対、運動学的、もしくは動的粘度または絶対粘度)で測定することもできる。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、約25cP、約20cP、約18cP、約15cP、約12cP、約10cP;約8cP、約6cP、約4cP;約2cP;または約1cP未満の粘度レベルを有する。
一態様では、生物学的に活性なタンパク質の生物物理学的または生化学的特徴を時間とともに調べるアッセイ等の当業者には公知の少なくとも1つの安定性のアッセイによって測定される場合に、薬学的製剤が安定している。上述のように、本発明の安定な薬学的製剤は、対照製剤試料と比較して、少なくとも1ヶ月間、または2ヶ月間、または3ヶ月間、または6ヶ月間、または1年間もしくは2年間、2〜8℃で保存される場合に、5%を超えない凝集の増加および/または生物学的活性の喪失の減少を示す生物学的に活性なタンパク質の薬学的製剤である。ある特定の実施形態では、薬学的製剤の安定性は、サイズ排除HPLC(「SEC−HPLC」)を用いて測定される。SEC−HPLCは、それらの流体力学的体積の差に基づいてタンパク質を分離する。より大きな流体力学的体積のタンパク質を有する分子は、より小さい体積を有する分子よりも早く溶出する。SEC−HPLCの場合、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、高分子量種の約5%を超えない増加を示すべきである。ある特定の他の実施形態では、薬学的製剤は、対照試料と比較して、高分子量種の約4%を超えない、約3%を超えない、約2%を超えない、約1%を超えない、約0.5%を超えない増加を示すべきである。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤の安定性は、陽イオン交換HPLC(CEX−HPLC)を用いて測定される。CEX−HPLCは、それらの表面電荷の差に基づいてタンパク質を分離する。設定されたpHで、抗PCSK9 ABPの荷電されたアイソフォームが、陽イオン交換カラム上で分離され、塩勾配を用いて溶離される。この溶離は、紫外吸光度によってモニターされる。荷電されたアイソフォームの分布は、総ピーク面積の割合としてそれぞれのアイソフォームのピーク面積を決定することによって評価される。CEX−HPLCの場合、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、主要アイソフォームのピークの約5%を超えない減少を示すべきである。ある特定の他の実施形態では、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、主要アイソフォームのピークの約3%〜約5%を超えない減少を示すべきである。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、対照試料と比較して、主要アイソフォームのピークの約4%を超えない減少、約3%以下を超えない、約2%を超えない減少、約1%を超えない減少、約0.5%を超えない減少を示すべきである。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤の安定性は、光不明瞭化による不可視粒子検出(Subvisible Particle Detection by Light Obscuration)(「HIAC」)を用いて測定される。液体試料採取装置を有する光不明瞭化センサー(HIAC/Royco HRLD−150または同等物)を含む電気液体伝達(liquid−borne)粒子計数システム(HIAC/Royco 9703または同等物)が、所与の試験試料中の粒子数およびそれらのサイズ範囲を定量化する。液体中の粒子が光源と検出器との間を通過する際、それらは、検出器上に位置する光線を減退させるか、または「不明瞭化する」。粒子の濃度がセンサーの正常な範囲内にある場合に、これらの粒子は、1つずつ検出される。それぞれの粒子の検出ゾーンの通過は、光検出器上の入射光を減少させ、光検出器の電圧出力が一過的に減少する。電圧の変化は、存在する粒子数に機器によって変換される電気パルスとして登録する。この方法は、非特異性であり、それらの起源に関わらず粒子を測定する。モニターされる粒径は、通常、10μmおよび25μmである。HIACの場合、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、1容器(またはユニット)当たり6000個を超えない10μm粒子を示すべきである。ある特定の実施形態では、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、1容器(またはユニット)当たり5000個を超えない、4000個を超えない、3000個を超えない、2000個を超えない、1000個を超えない10μm粒子を示すべきである。 さらに他の実施形態では、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、1容器(またはユニット)当たり600個を超えない25μm粒子を示すべきである。ある特定の実施形態では、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、1容器(またはユニット)当たり500個を超えない、400個を超えない、300個を超えない、200個を超えない、100個を超えない、50個を超えない25μm粒子を示すべきである。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤の安定性は、視覚的評価を用いて測定される。視覚的評価は、試料の可視的な物理的特徴を説明するために使用される定性的方法である。試料は、評価されるべき特徴(例えば、色、透明度、粒子または異物の存在)に応じて検査ブースの黒色および/または白色の背景に対して視察される。試料はまた、乳白色の参照基準および色の参照基準に対しても視察される。視覚的評価の場合、安定な薬学的製剤は、対照試料と比較して、著しい色、透明度の変化、粒子または異物の存在がないことを示すべきである。
本発明の一態様は、(i)約70mg/mL〜約250mg/mLのPCSK9に対する抗原結合タンパク質と、(ii)約0.05mM〜約40mMの緩衝剤、例えば緩衝剤としての役割を果たす酢酸ナトリウム(「NaOAC」)と、(iii)約1%〜約5%のプロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、もしくはタウリン(2−アミノエタンスルホン酸としても知られている)、および/または0.5%〜約5%の安定剤としての役割を果たすベンジルアルコールと、(iv)製剤の約0.004%〜約10%w/vの非イオン界面活性剤(ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、およびポリソルベート20が含まれるが、これらに限定されない)とを含み、約4.0〜6.0の範囲内のpHを有する、薬学的製剤である。ある特定の他の実施形態では、本発明の薬学的製剤は、(i)少なくとも約70mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mLの抗PCSK9抗体と、(ii)約10mMのNAOACと、(iii)約0.01%のポリソルベート80と、(iv)約2%〜3%のプロリン(または約250mM〜約270mMのプロリン)とを含み、約5のpHを有する。ある特定の他の実施形態では、本発明の薬学的製剤は、(i)少なくとも約70mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約140mg/mLの抗PCSK9抗体、21B12、26H5、および/または31H4と、(ii)約10mMのNAOACと、(iii)約0.01%のポリソルベート80と、(iv)約2%〜3%のプロリン(または約250mM〜約270mMのプロリン)とを含み、約5のpHを有する。ある特定の他の実施形態では、本発明の薬学的製剤は、(i)少なくとも約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mLの抗PCSK9抗体、8A3、11F1、および/または8A1と、(ii)約10mMのNAOACと、(iii)約0.01%のポリソルベート80と、(iv)約2%〜3%のプロリン(または約250mM〜約270mMのプロリン)とを含み、約5のpHを有する。
本発明の一態様は、(i)少なくとも約70mg/mL〜約250mg/mLの抗PCSK9抗体と、(ii)約5mM〜約20mMのNAOAC等の緩衝剤と、(iii)製剤の約1%〜約10%w/vがソルビトール等のポリヒドロキシ炭化水素、またはスクロース等の二糖類を含み、(iv)製剤の約0.004%〜約10%w/vのポリソルベート20もしくはポリソルベート80等の界面活性剤とを含み、約4.8〜5.8の範囲内のpHを有する、薬学的製剤であり、この薬学的製剤は、約80mM〜約300mMのプロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、もしくはタウリン、および/または0.5%〜約5%の粘度を減少させる役割を果たすベンジルアルコールを任意に含む。ある特定の他の実施形態では、本発明の薬学的製剤は、(i)少なくとも約70mg/mL〜約250mg/mLの抗PCSK9抗体と、(ii)約10mMのNAOACと、(iii)約9%のスクロースと、(iv)約0.004%のポリソルベート20とを含み、約5.2のpHを有する。ある特定の他の実施形態では、本発明の薬学的製剤は、(i)少なくとも約70mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約140mg/mL、約160mg/mL、約180mg/mL、約200mg/mLの抗PCSK9抗体と、(ii)約15mMのNAOACと、(iii)約9%のスクロースと、(iv)約0.01%のポリソルベート20とを含み、約5.2のpHを有する。ある特定の他の実施形態では、本発明の薬学的製剤は、(i)少なくとも約70mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約140mg/mL、約160mg/mL、約180mg/mL、約200mg/mLの抗PCSK9抗体と、(ii)約20mMのNAOACと、(iii)約9%のスクロースと、(iv)約0.01%のポリソルベート20とを含み、約5.2のpHを有する。ある特定の他の実施形態では、本発明の薬学的製剤は、(i)少なくとも約70mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約140mg/mL、約160mg/mL、約180mg/mL、約200mg/mLの抗PCSK9抗体と、(ii)約10mMのNAOACと、(iii)約9%のスクロースと、(iv)約0.01%のポリソルベート80と、(v)約250mMのプロリンとを含み、約5のpHを有する。
本発明の薬学的製剤は、併用療法、すなわち、他の薬剤と組み合わせて投与することができる。ある特定の実施形態では、併用療法は、少なくとも1つの抗コレステロール剤と組み合わせて、PCSK9に結合することができる抗原結合タンパク質を含む。薬剤には、インビトロで合成的に調製された化学的製剤、抗体、抗原結合領域、ならびにその組み合わせおよび複合体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、または毒素としての役割を果たし得る。ある特定の実施形態では、薬剤は、その標的(例えば、受容体または酵素の活性化または阻害)を阻害または刺激する作用をし、それによってLDLRの発現の増加、または血清コレステロールレベルの減少を促進することができる。
ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、コレステロール低下(血清および/または総コレステロール)剤による治療前、それと同時に、およびその後に投与することができる。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、高コレステロール血症、心臓病、糖尿病、および/またはコレステロール関連障害のうちのいずれかの発症を予防するまたは軽減するために予防的に投与することができる。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、既存の高コレステロール血症の状態の治療のために投与することができる。幾つかの実施形態では、ABPは、障害および/または障害と関連する症状の発症を遅延させる。幾つかの実施形態では、ABPは、コレステロール関連障害またはそのサブセットのうちのいずれか1つの任意の症状がない対象に提供される。
ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、高コレステロール血症等の様々なコレステロール関連障害を治療するために特定の治療剤とともに使用される。ある特定の実施形態では、治療の状態および所望のレベルを考慮して、2つ、3つ、またはそれ以上の薬剤が投与され得る。ある特定の実施形態では、このような薬剤は、同じ製剤中に包含することにより一緒に提供され得る。ある特定の実施形態では、このような薬剤(複数可)およびPCSK9に対する抗原結合タンパク質は、同じ製剤中に包含することにより一緒に提供され得る。ある特定の実施形態では、このような薬剤は、別々に製剤化され、治療キット中に包含することにより一緒に提供され得る。ある特定の実施形態では、このような薬剤およびPCSK9に対する抗原結合タンパク質は、別々に製剤化され、治療キット中に包含することにより一緒に提供され得る。ある特定の実施形態では、このような薬剤は、別々に提供され得る。
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む製剤は、所望の純度を持つ選択された製剤を凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で、任意の製剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記参照)と混合することによって保存用に調製され得る。さらに、ある特定の実施形態では、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む製剤は、適切な賦形剤を用いて凍結乾燥体として製剤化され得る。
ある特定の実施形態では、非経口投与が企図される場合には、治療製剤は、薬学的に許容されるビヒクル中にさらなる治療剤を含むまたは含まない、PCSK9に対する所望の抗原結合タンパク質を含むピロゲンを含まない非経口で許容される水溶液の形態であり得る。ある特定の実施形態では、非経口注射用ビヒクルは、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、適切に保存される滅菌等張溶液として製剤化される滅菌蒸留水である。ある特定の実施形態では、調製物は、生成物の制御放出または持続放出を提供し得、その後、デポー注射を介して送達され得る、注射用ミクロスフェア、生体内分解性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸等)、ビーズ、またはリポソーム等の薬剤との所望の分子の製剤を含み得る。ある特定の実施形態では、ヒアルロン酸を使用することも可能であり、循環中での持続的な期間を促進する効果を有し得る。ある特定の実施形態では、所望の分子を導入するために、インプラント可能な薬物送達デバイスを使用することができる。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、吸入用に製剤化することができる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、吸入用の乾燥粉末として製剤化することができる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む吸入溶液は、エアロゾル送達用の噴射剤とともに製剤化することができる。ある特定の実施形態では、溶液は噴霧され得る。経肺投与は、化学的に修飾されたタンパク質の経肺送達を記載するPCT出願第PCT/US94/001875号にさらに記載されている。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、錠剤の製造に適している非毒性の賦形剤との混合物中に、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、有効量のPCSK9に対する抗原結合タンパク質を含むことができる。ある特定の実施形態では、滅菌水または別の適切なビヒクル中に錠剤を溶解させることによって、溶液は、単位投薬形態で調製され得る。ある特定の実施形態では、好適な賦形剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、またはリン酸カルシウム等の不活性材料;またはデンプン、ゼラチン、もしくはアラビアゴム等の結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルク等の潤滑剤が含まれるが、これらに限定されない。
持続的または制御送達製剤中に、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む製剤等のさらなる薬学的製剤が、当業者には明らかであろう。ある特定の実施形態では、リポソーム担体、生体内分解性微粒子、または多孔性ビーズおよびデポー注射等の種々の他の持続的または制御送達手段を製剤化する技術も当業者に公知である。例えば、薬学的組成物の送達用の多孔性ポリマー微粒子の制御放出を記載しているPCT出願第PCT/US93/00829号を参照のこと。ある特定の実施形態では、持続放出調製物は、成型された物品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態の半透過性ポリマーマトリックスを含み得る。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号および欧州特許第058,481号)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸の共重合体(Sidman et al.,Biopolymers,22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981)およびLanger,Chem.Tech.,12:98−105(1982))、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,上記)、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号)が含まれ得る。ある特定の実施形態では、持続放出製剤はまた、リポソームも含み得、これは当技術分野で公知の幾つかの方法のいずれかによって調製され得る。例えば、Eppstein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688−3692(1985)、欧州特許第036,676号、欧州特許第088,046号、および欧州特許第143,949号を参照のこと。
インビボ投与のために使用されるべき薬学的製剤は、一般的には、滅菌である。ある特定の実施形態では、これは、滅菌濾過膜を通じた濾過によって達成することができる。ある特定の実施形態では、製剤が凍結乾燥される場合には、この方法を用いた滅菌化は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれかにおいて実施し得る。ある特定の実施形態では、非経口投与用製剤は、凍結乾燥された形態で、または溶液中に保存され得る。ある特定の実施形態では、非経口製剤は、一般的に、滅菌アクセスポートを有する容器中に、例えば、皮下注射針によって突き刺すことが可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に入れられる。
ある特定の実施形態では、一旦薬学的製剤が製剤化されると、それは、溶液、懸濁液、ゲル、乳濁液、固体として、または脱水もしくは凍結乾燥された粉末として、滅菌バイアル中に保存され得る。ある特定の実施形態では、このような製剤は、即時使用できる形態で、または投与前に再構成される(例えば、凍結乾燥された)形態のいずれかで保存され得る。
ある特定の実施形態では、一旦薬学的製剤が製剤化されると、それは、即時使用できる形態で、溶液または懸濁液として事前に充填されたシリンジ中に保存され得る。
ある特定の実施形態では、単回投薬投与単位を生成するためのキットが提供される。ある特定の実施形態では、キットは、乾燥されたタンパク質を有する第1の容器と、水性製剤を有する第2の容器の両方を含有し得る。ある特定の実施形態では、単一および/または複数のチャンバーの事前に充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジおよびリオシリンジ(lyosyringe))を含有するキットが含まれる。
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、治療に使用されるべきPCSK9に対する抗原結合タンパク質の有効量は、例えば、治療の状況および目的に依存するであろう。したがって、当業者は、ある特定の実施形態によれば、治療のための適切な投与量レベルが、部分的に、送達される分子、少なくとも1つのさらなる治療剤とともに、またはそれを伴わずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質が用いられる適応症、投与経路、および患者のサイズ(体重、体表面、または臓器サイズ)および/または状態(年齢および全体的な健康)に依存して、変動することを認識するであろう。ある特定の実施形態では、医師は、最適な治療効果を得るために、投薬量を滴定し、投与経路を修正することができる。
ある特定の実施形態では、製剤は、所望の分子が吸収されているか、またはカプセル化されている膜、スポンジ、または別の適切な材料の埋め込みを介して局所的に投与することができる。ある特定の実施形態では、埋め込みデバイスが用いられる場合、デバイスは、いずれかの適切な組織または臓器中に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、持続放出型ボーラス、または連続放出を介して行われ得る。
投薬量および投与レジメン
表2ならびに図2および/または3および/または図48Aおよび48B中に示されるPCSK9に対する抗原結合タンパク質のいずれかを、本発明の方法に従って患者に投与することができる。幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、21B12、26H5、31H4、8A3、11F1、または8A1を含む。
本発明の方法に従って、患者に投与されるPCSK9に対する抗原結合タンパク質(例えば、抗PCSK9抗体)の量は、一般に、治療的有効量である。ABPの量は、抗体のミリグラム(すなわち、mg)または患者の体重1キログラム当たりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)で表され得る。ある特定の実施形態では、PCSK9の抗原結合タンパク質の通常の投薬量は、約0.1μg/kg〜最大約100mg/kgのPCSK9に対する抗原結合タンパク質またはそれ以上の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、投薬量は、0.1μg/kg〜最大約100mg/kg、もしくは1μg/kg〜最大約100mg/kg、もしくは5μg/kg〜最大約100mg/kgのPCSK9に対する抗原結合タンパク質;または1mg/kg〜約50mg/kgのPCSK9に対する抗原結合タンパク質;2mg/kg〜約20mg/kgのPCSK9に対する抗原結合タンパク質;2mg/kg〜約10mg/kgのPCSK9に対する抗原結合タンパク質の範囲であり得る。
ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質の量(または用量)は、少なくとも約10mg〜約1400mg、または約14mg〜約1200mg、または約14mg〜約1000mg、または約14mg〜約800mg、または約14mg〜約700mg、または約14mg〜約480mg、または約20mg〜最大約480mg、または約70mg〜最大約480mg、または約80mg〜約480mg、または約90mg〜約480mg、または約100mg〜約480mgもしくは約105mg〜約480mg、または約110mg〜約480mg、または約115mg〜約480mg、または約120mg〜約480mg、または約125mg〜約480mg、または約130mg〜約480mg、または約135mg〜約480mg、または約140mg〜約480mg、または約145mg〜約480mg、または約150mg〜約480mg、または約160mg〜約480mg、または約170mg〜約480mg、または約180mg〜約480mgもしくは約190mg〜約480mgもしくは約200mg〜約480mg、または約210mg〜約480mg、または約220mg〜約480mg、または約230mg〜約480mg、または約240mg〜約480mg、または約250mg〜約480mg、または約260mg〜約480mg、または約270mg〜約480mg、または約280mg〜約480mg、または約290mg〜約480mg、または約300mg〜約480mg、または約310mg〜約480mg、または約320mg〜約480mg、または約330mg〜約480mg、または約340mg〜約480mg、または約350mg〜約480mg、または約360mg〜約480mg、または約370mg〜約480mg、または約380mg〜約480mg、または約390mg〜約480mg、または約400mg〜約480mg、または約410mg〜約480mg、または約420mg〜約480mg、または約430mg〜約480mg、または約440mg〜約480mg、または約450mg〜約480mg、または約460mg〜約480mg、または約470mg〜約480mgのPCSK9に対する抗原結合タンパク質の範囲であり得る。
ある特定の実施形態では、投薬の頻度は、使用される製剤中のPCSK9に対する抗原結合タンパク質および/またはさらなる治療剤の薬物動態パラメータを考慮に入れる。ある特定の実施形態では、医師は、所望の効果を達成する投薬量に到達するまで製剤を投与するであろう。ある特定の実施形態では、製剤は、したがって、単回用量として、または経時的に2回、3回、4回またはそれ以上の用量(所望の分子の同一量を含有しても、含有しなくてもよい)として、または埋め込みデバイスまたはカテーテルを介した連続輸液として投与することができる。製剤はまた、標準的な針およびシリンジを用いて、皮下または静脈内に送達させることができる。加えて、皮下送達に関して、ペン送達デバイスおよび自己注射送達デバイスは、本発明の薬学的製剤の送達に適用性を有する。適切な投与量のさらなる精緻化は、当業者により日常的に行われ、彼らにより日常的に行われる業務の範囲内である。ある特定の実施形態では、適切な投与量は、適切な用量応答データの使用により確認され得る。幾つかの実施形態では、投与の量および頻度は、得られるべき所望のコレステロールレベル(血清および/または総)、ならびに対象の現在のコレステロールレベル、LDLレベル、および/またはLDLRレベルを考慮に入れ、これらのすべては、当業者に公知である方法によって得ることができる。
ある特定の実施形態では、少なくとも約10mg、または最大約14mg、または最大約20mg、または最大約35mg、または最大約40mg、または最大約45mg、または最大約50mg、または最大約70mgの用量のPCSK9に対する抗原結合タンパク質が、それを必要とする患者に週1回(QW)投与される。
幾つかの他の実施形態では、少なくとも約70mg、または最大約100m、または最大約105mg、または最大約110mg、または最大約115mg、または最大約120mg、または最大約140mg、または最大約160mg、または最大約200mg、または最大約250mg、または最大280mg、または最大300mg、または最大350mg、または最大400mg、または最大420mgの用量のPCSK9に対する抗原結合タンパク質が、それを必要とする患者に隔週1回(または2週間ごと)(Q2W)投与される。
ある特定の他の実施形態では、少なくとも約250mg、または最大約280mg、または最大約300mg、または最大約350mg、または最大約400mg、または最大約420mg、または最大約450mg、または最大480mgの用量のPCSK9に対する抗原結合タンパク質が、それを必要とする患者に4週間に1回(または月1回)投与される。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約15%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約20%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約25%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約30%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約40%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約50%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約55%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約60%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約65%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約70%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約75%低下する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約80%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約85%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約90%減少する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約15%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約20%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約25%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約30%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約35%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約40%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約45%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約50%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約55%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約60%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約65%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約70%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約75%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約80%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約85%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比較して、少なくとも約90%減少し、この減少は、投与前のレベルと比較して、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間持続する。
ある特定の治療的用途
当業者によって理解されるように、変動したコレステロール、LDL、LDLR、PCSK9、VLDL−C、アポタンパク質B(「ApoB」)、リポタンパク質A(「Lp(a)」)、トリグリセリド、HDL−C、非−HDL−C、および総コレステロールレベルと関連し、それらに伴い、またはそれらによって影響を受け得る障害は、本発明に記載されるPCSK9に対する抗原結合タンパク質によって対処することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、血清コレステロールレベルの上昇と関連する、または血清コレステロールレベルの上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、PCSK9値の上昇と関連する、またはPCSK9値の上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、総コレステロールレベルの上昇と関連する、または総コレステロールレベルの上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、非HDLコレステロールレベルの上昇と関連する、または非HDLコレステロールレベルの上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、ApoBレベルの上昇と関連する、またはApoBレベルの上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、Lp(a)レベルの上昇と関連する、またはLp(a)レベルの上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、トリグリセリドレベルの上昇と関連する、またはトリグリセリドレベルの上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、VLDL−Cレベルの上昇と関連する、またはVLDL−Cレベルの上昇が関連する障害を治療し、および/または予防し、および/または障害のリスクを減少させるための方法に使用することができる。
一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、患者における血清LDLコレステロールレベルを調節するために使用される。幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、異常に高いレベルからまたは正常なレベルでさえも血清LDLコレステロールの量を減少させるために使用される。ある特定の実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約30%減少する。ある特定の実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約35%減少する。ある特定の実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約40%減少する。ある特定の実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約45%減少する。ある特定の実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約50%減少する。ある特定の実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約55%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約60%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約65%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約70%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約75%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約80%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約85%減少する。幾つかの実施形態では、血清LDLコレステロールレベルは、少なくとも約90%減少する。
一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、患者における血清PCSK9値を調節するために使用される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和性である。幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、異常に高いレベルからまたは正常なレベルでさえもPCSK9値を減少させるために使用される。幾つかの実施形態では、血清PCSK9値は、少なくとも約60%減少する。幾つかの実施形態では、血清PCSK9値は、少なくとも約65%減少する。幾つかの実施形態では、血清PCSK9値は、少なくとも約70%減少する。幾つかの実施形態では、血清PCSK9値は、少なくとも約75%減少する。幾つかの実施形態では、血清PCSK9値は、少なくとも約80%減少する。幾つかの実施形態では、血清PCSK9値は、少なくとも約85%減少する。幾つかの実施形態では、血清PCSK9値は、少なくとも約90%減少する。
一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、患者における総コレステロールレベルを調節するために使用される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和性である。幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、異常に高いレベルからまたは正常なレベルでさえも総コレステロールの量を減少させるために使用される。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約20%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約25%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約30%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約35%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約40%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約45%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約50%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロールレベルは、少なくとも約55%減少する。幾つかの実施形態では、総コレステロール値は、少なくとも約60%まで減少する。
一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、患者における非HDLコレステロールレベルを調節するために使用される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和性である。幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、異常に高いレベルからまたは正常なレベルでさえも非HDLコレステロールを減少させるために使用される。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約30%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約35%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約40%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約50%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約55%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約60%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約65%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約70%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約75%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約80%減少する。幾つかの実施形態では、非HDLコレステロールレベルは、少なくとも約85%減少する。
一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、患者におけるApoBレベルを調節するために使用される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和性である。幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、異常に高いレベルからまたは正常なレベルでさえもApoBの量を減少させるために使用される。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約25%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約30%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約35%減少する。 幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約40%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約45%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約50%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約55%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約60%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約65%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約70%減少する。幾つかの実施形態では、ApoBレベルは、少なくとも約75%減少する。
一態様では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、患者におけるLp(a)レベルを調節するために使用される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和性である。幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、異常に高いレベルからまたは正常なレベルでさえもLp(a)の量を減少させるために使用される。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約5%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約10%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約15%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約20%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約25%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約30%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約35%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約40%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約45%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約50%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約55%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約60%減少する。幾つかの実施形態では、Lp(a)レベルは、少なくとも約65%減少する。
当業者によって理解されるように、本発明のPCSK9に対する抗原結合タンパク質は、コレステロール関連障害を治療し、および/または予防するのに治療的に有用であり得る。幾つかの実施形態では、「コレステロール関連障害」(「血清コレステロール関連障害」を含む)は、家族性高コレステロール血症、非家族性高コレステロール血症、高脂血症、心臓病、代謝症候群、糖尿病、冠状動脈性心臓病、脳卒中、心臓血管疾患、アルツハイマー病、ならび一般的な脂質異常症のうちのいずれか1つ以上を含み、これらは、例えば、血清総コレステロールの上昇、LDLの上昇、トリグリセリドの上昇、VLDLの上昇、および/または低HDLが認められ得る。単独で、または1つ以上の他の薬剤と組み合わせたABPを用いて治療され得る原発性および続発性脂質異常症の幾つかの非限定的な例には、代謝症候群、真性糖尿病、家族性複合型高脂血症、家族性高トリグリセリド血症、ヘテロ接合型高コレステロール血症、ホモ接合型高コレステロール血症を含む家族性高コレステロール血症、家族性欠陥アポリポタンパク質B−100;多遺伝子性高コレステロール血症;レムナント除去病(remnant removal disease)、肝リパーゼ欠乏症;暴食、甲状腺機能低下症、エストロゲンおよびプロゲスチン療法を含む薬物、β遮断薬およびチアジド利尿薬のうちのいずれかに続発する脂肪異常症;ネフローゼ症候群、慢性腎不全、クッシング症候群、原発性胆汁性肝硬変、糖原病、肝臓癌、胆汁鬱滞、末端肥大症、膵島細胞腫、成長ホルモン単独欠損症、ならびにアルコール誘発性高トリグリセリド血症が含まれる。ABPはまた、例えば、心血管系死亡、非心血管系死亡、または原因を問わない死亡、冠動脈性心臓病、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、卒中(虚血性および出血性)、狭心症、または脳血管疾患および急性冠症候群、心筋梗塞、および不安定狭心症(untable angina)等のアテローム性動脈硬化症を予防し、または治療するのに有用であり得る。幾つかの実施形態では、ABPは、致命的および非致命的心臓発作、致命的および非致命的脳卒中、ある特定の種類の心臓手術、心不全のための入院、心臓病に患っている患者における胸部痛、および/または以前の心臓発作、以前の心臓手術等の確立された心臓病による心血管事象、および/または閉塞した動脈の徴候を有する胸部痛、および/または移植関連血管疾患のリスクを減少させるのに有用である。幾つかの実施形態では、ABPは、CRPまたはhsCRPの増加による心血管のリスクを防止または減少させるのに有用である。幾つかの実施形態では、ABPおよび方法は、再発性の心血管事象のリスクを減少させるために使用することができる。
当業者に理解されるように、スタチンの使用を通じて一般に対処可能な(治療可能なまたは予防可能な)疾患または障害にも、本発明の抗原結合タンパク質の適用が有益であり得る。さらに、幾つかの実施形態では、コレステロール合成の防止またはLDLR発現の増加が有益であり得る障害または疾患も、抗原結合タンパク質の様々な実施形態によって治療することができる。さらに、当業者によって理解されるように、抗PCSK9抗体の使用は、糖尿病の治療に特に有用であり得る。糖尿病は、冠状動脈性心臓病に対するリスク因子であるのみならず、インシュリンはPCSK9の発現を増加させる。すなわち、糖尿病を患っている人々は、(高いPCSK9レベルと関連し得る)血漿脂質レベルの上昇を有し、これらのレベルを低下させることが有益であり得る。これは、一般に、Costet et al.(“Hepatic PCSK9 Expression is Regulated by Nutritional Status via Insulin and Sterol Regulatory Element−binding Protein 1C”,J.Biol.Chem.,281:6211−6218,2006)においてさらに詳しく論述されており、これらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、真性糖尿病、腹部大動脈瘤、アテローム性動脈硬化症、および/または末梢血管疾患を有する者に、その血清コレステロールレベルをより安全な範囲まで減少させるために投与される。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される障害のいずれかを発症するリスクを有する患者に投与される。幾つかの実施形態では、ABPは、喫煙し、または喫煙したことがある(すなわち、喫煙経験者)、高血圧、または若年心臓発作の家族歴を有する対象に投与される。
幾つかの実施形態では、対象が2004NCEP治療目標において中度のリスクまたはそれより高いリスクを有する場合に、対象にABPが投与される。幾つかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルが160mg/dLを上回る場合、ABPが対象に投与される。幾つかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルが130を上回る(および2004NCEP治療目標に従って、対象が、中度のリスクまたは中程度に高いリスクを有する)場合、ABPが投与される。幾つかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルが100を上回る(および2004NCEP治療目標に従って、対象が、高いリスクまたは極めて高いリスクを有する)場合、ABPが投与される。幾つかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルが80mg/dLを上回る場合、ABPが投与される。幾つかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルが70mg/dLを上回る場合、ABPが投与される。
特定の患者の個別のプロファイルに応じて、医師は、適切な治療適応および目標脂質レベルを選択することができる。高脂血症の治療に指針を与えるための十分に受け入れられている1つの基準は、「成人の高い血液コレステロールの検出、評価、および治療に関する全米コレステロール教育プログラム(NCEP)専門部会の第3次報告」(成人治療パネルIII)、最終報告、国立衛生研究所、NIH公開番号02−5215(2002)(Third Report of the National Cholesterol Education Program(NCEP) Expert Panel on Detection,Evaluation,and Treatment of the High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III) Final Report,National Institutes of Health,NIH Publication No.02−5215(2002)」であり、その印刷された刊行物の全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、高コレステロール血症、高脂血症、もしくは脂質異常症を治療または予防するために、ならびに/またはそれらのためおよび/もしくは他のコレステロール関連障害(本明細書に記載されているもの等)のための薬物の調製において使用される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、PCSK9活性が正常である高コレステロール血症等の状態を治療または予防するために使用される。このような状態では、例えば、正常を下回るPCSK9活性の減少は、治療効果を提供することができる。
併用療法
ある特定の実施形態では、治療的有効量の1つ以上のPCSK9に対する抗原結合タンパク質および別の治療剤を投与することを含む、高コレステロール血症、高脂血症、または脂質異常症等のコレステロール関連障害を治療する方法が提供される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの他の治療剤の投与前に投与される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの他の治療剤の投与と同時に投与される。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの他の治療剤の投与後に投与される。
治療剤(抗原結合タンパク質以外)には、少なくとも1つの他のコレステロール低下(血清および/または全身コレステロール)剤が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、LDLRの発現を増加させる薬剤は、血清HDLレベルを増加させ、LDLレベルを低下させ、またはトリグリセリドレベルを低下させることが観察されている。例となる薬剤には、スタチン(アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン)、ニコチン酸(ナイアシン)(NIACOR、NIASPAN(徐放性ナイアシン)、SLO−NIACIN(徐放性ナイアシン)、CORDAPTIVE(ラロピプラント))、フィブリン酸(LOPID(ゲムフィブロジル)、TRICOR(フェノフィブラート)、胆汁酸封鎖剤(QUESTRAN(コレスチラミン)、コレセベラム(WELCHOL)、COLESTID(コレスチポール))、コレステロール吸収阻害剤(ZETIA(エゼチミブ))、ニコチン酸とスタチンの組み合わせ(ADVICOR(LOVASTATINおよびNIASPAN)、スタチンと吸収阻害剤の組み合わせ(VYTORIN(ZOCORおよびZETIA)、ならびに/または脂質修飾剤が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、ABPは、PPARガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマアゴニスト、スクアレン合成阻害剤、CETP阻害剤、降圧剤、抗糖尿病薬(スルホニル尿素、インシュリン、GLP−1類似体、DDPIV阻害剤、例えばメトホルミン等)、ミポペルサン(mipomersan)等のApoB調節物質、MTP阻害剤(inhibitoris)および/または閉塞性動脈硬化症治療と組み合わされる。幾つかの実施形態では、ABPは、スタチン、オンコスタチンMのようなある特定のサイトカイン、エストロゲン、および/またはベルベリン等のある特定の植物成分のような、対象におけるLDLRタンパク質のレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。幾つかの実施形態では、ABPは、(ある特定の抗精神病薬、ある特定のHIVプロテアーゼ阻害剤、高フルクトース、スクロース、コレステロール、またはある特定の脂肪酸等の食事要因、ならびにRXR、RAR、LXR、FXRに対するある特定の核受容体アゴニストおよびアンタゴニスト等)、対象における血清コレステロールレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。幾つかの実施形態では、ABPは、スタチンおよび/またはインシュリン等の、対象におけるPCSK9のレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。2つの組み合わせは、他の薬剤の望ましくない副作用をABPによって軽減させることを可能とし得る。
ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの炎症用治療剤とともに使用することができる。ある特定の実施形態では、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの免疫障害用治療剤とともに使用することができる。例となる炎症および免疫障害用治療剤には、シクロオキシゲナーゼ1型(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ2型(COX−2)阻害剤 38kD分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(p38−MAPK)の小分子調節物質;炎症経路に関与している細胞内分子の小分子調節物質(このような細胞内分子には、jnk、IKK、NF−κB、ZAP70、およびlckが含まれるが、これらに限定されない)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の例となる炎症用治療剤は、例えば、C.A.Dinarello & L.L.Moldawer Proinflammatory and Anti−Inflammatory Cytokines in Rheumatoid Arthritis:A Primer for Clinicians Third Edition(2001) Amgen Inc.Thousand Oaks,CAに記載されている。
診断用途
幾つかの実施形態では、ABPは、診断用ツールとして使用される。ABPは、試料および/または対象中に存在するPCSK9の量をアッセイするために使用することができる。当業者によって理解されるように、このようなABPは中和ABPである必要はない。幾つかの実施形態では、診断用ABPは中和ABPではない。幾つかの実施形態では、診断用ABPは、中和ABPが結合するエピトープとは異なるエピトープに結合する。幾つかの実施形態では、2つのABPは互いに競合しない。
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるABPは、PCSK9のレベルの変化と関連する疾患または障害に対するスクリーニング/診断するために、哺乳動物組織または細胞中のPCSK9の検出用アッセイキットおよび/または方法において使用され、または提供される。キットは、PCSK9と結合するABP、存在する場合に、PCSK9とのABPの結合を示し、任意にPCSK9タンパク質レベルを示す手段を含む。ABPの存在を示すための様々な手段が使用され得る。例えば、蛍光色素、他の分子プローブ、または酵素をABPに連結することができ、ABPの存在は様々な方法で観察することができる。このような障害をスクリーニングするための方法は、キットの使用、または開示されているABPのうちの1つの単に使用すること、およびABPが試料中のPCSK9に結合するかどうかの測定を含み得る。当業者によって理解されるように、PCSK9の高いまたは上昇したレベルは、試料中のより多い量のPCSK9へのABP結合をもたらす。したがって、試料中にどの程度の量のPCSK9が存在するかを測定するために、ABP結合の程度を使用することができる。所定の量(例えば、PCSK9関連障害を持たない者が有する量または範囲)より多いPCSK9の量を有する対象または試料は、PCSK9によって媒介される障害を有するものとして特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、スタチンが対象中のPCSK9の量を増加させたかどうかを判定するために、スタチンを服用している対象にABPが投与される。
幾つかの実施形態では、ABPは、非中和ABPであり、ABPおよび/またはスタチン治療を受けている対象中のPCSK9の量を測定するために使用される。
実施される実験および達成された結果を含めて、以下の実施例は、例示の目的でのみ提供されるものであり、本発明を限定するものと解釈されるものではない。
実施例1
免疫化および力価測定
抗PCSK9抗体およびハイブリドーマの生成
PCSK9の成熟形態に対する抗体(図1A中の配列として示されており、プロドメインに下線が付されている)を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するマウスであるXenoMouse(登録商標)マウス(Abgenix,Fremont,CA)中で産生した。XenoMouse(登録商標)マウスの2つの群、群1および群2が、PCSK9に対する抗体を生成するために使用された。群1は、完全ヒトIgG2κおよびIgG2λ抗体を生成するXenoMouse(登録商標)株XMG2−KLのマウスを含んだ。群1のマウスを、ヒトPCSK9で免疫化した。参照としてのGenBank配列(NM_174936)を使用し、標準的組換え技術を用いてPCSK9を調製した。群2は、完全ヒトIgG4κおよびIgG4λ抗体を生成するXenoMouse(登録商標)株XMG4−KLのマウスを含んだ。群2のマウスも、ヒトPCSK9で免疫化した。
表3中のスケジュールに従って、両方の群のマウスに抗原を11回注射した。最初の免疫化において、腹部に腹腔内送達される合計10μgの抗原をそれぞれのマウスに注射した。その後の追加免疫は5μgの用量であり、注射法は、腹部への腹腔内注射と尾の基部への皮下注射との間で交互に行う。腹腔内注射のために、TiterMax(登録商標)Gold(Sigma、カタログ#T2684)を加えたエマルジョンとして抗原が調製され、皮下注射のために、抗原をAlum(リン酸アルミニウム)およびCpGオリゴと混合する。注射2から8および10において、アジュバントalumゲル中の合計5μgの抗原をそれぞれのマウスに注射した。マウス当たり5μgの抗原の最終注射をリン酸緩衝化された生理的食塩水中で送達し、50%の腹腔内投与および尾の基部に50%の皮下投与の2つの部位に送達する。免疫化プログラムは、以下に示される表3中に要約される。
XenoMouse動物を力価測定するために使用されるプロトコルは、以下の通りであった。Costar3368培地結合プレートを、8ug/mL(50μL/ウェル)のニュートラビジンで被覆し、1XXPBS/0.05%のアジ化物中において、4℃で一晩インキュベートした。RO水でのTiterTek3サイクル洗浄を用いて、それらを洗浄した。プレートを、250μLの1XPBS/1%ミルクを用いて遮断し、室温で少なくとも30分間インキュベートした。RO水でのTiterTek3サイクル洗浄を用いて、遮断物を洗浄除去した。次いで、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+(アッセイ希釈液)50μL/ウェル中に、bヒトPCSK9を2ug/mLで捕捉し、室温で1時間インキュベートした。次いで、RO水でのTiterTek3サイクル洗浄を用いて洗浄した。一次抗体に関しては、1:100から2重に、血清を1:3で滴定した。アッセイ希釈液50μL/ウェル中でこれを行い、室温で1時間インキュベートした。次いで、RO水でのTiterTek3サイクル洗浄を用いて洗浄した。二次抗体は、50μL/ウェルのアッセイ希釈液中の400ng/mLのヤギ抗ヒトIgG Fc HRPであった。これを室温で1時間インキュベートした。次いで、RO水でのTiterTek3サイクル洗浄を用いて、これを洗浄し、ペーパータオル上で軽く押さえて乾燥させた。基質に関しては、1ステップのTMB溶液(Neogen,Lexington,Kentucky)を使用し(50μL/ウェル)、室温で30分間展開させた。
ELISAアッセイにおいて従ったプロトコルは、以下の通りであった。V5Hisタグを持たないb−PCSK9を含む試料に関しては、以下のプロトコルを使用した。Costar3368培地結合プレート(Corning Life Sciences)を使用した。このプレートを、1XPBS/0.05%アジ化物(50μL/ウェル)中の8μg/mLのニュートラビジンで被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertek M384プレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。250μLの1XPBS/1%ミルクでプレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、M384プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。捕捉は、V5タグを持たないbヒトPCSK9であり、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+(40μL/ウェル)中に2μg/mLで添加された。次いで、プレートを、室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を行った。1:100から2重で、血清を1:3に滴定し、列Hは血清のためのブランクとした。滴定は、50μL/ウェルの体積で、アッセイ希釈液中において行った。プレートを、室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を行った。1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+(50μL/ウェル)中の100ng/mL(1:4000)のヤギ抗ヒトIgG Fc HRPをプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。次いで、ペーパータオルで軽く押さえてプレートを乾燥させた。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)(50μL/ウェル)をプレートに添加し、室温で30分後、1N 塩酸(50μL/ウェル)を用いて反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
PCSK9が結合したプレートを検出するための陽性対照は、アッセイ希釈液中の3μg/mLから2重で1:3に滴定された可溶性LDL受容体(R&D Systems、カタログ#2148LD/CF)およびポリクローナルウサギ抗PCSK9抗体(Caymen Chemical #10007185)であった。400ng/mLの濃度でヤギ抗LDLR(R&D Systems、カタログ#AF2148)およびウサギ抗ヤギIgGFc HRPを用いて、LDLRを検出し、アッセイ希釈液中の、400ng/mLの濃度で抗ウサギIgG Fcを用いて、ウサギポリクローナルを検出した。陰性対照は、アッセイ希釈液中の1:100から2重で1:3に滴定されたナイーブXMG2−KLおよびXMG4−KL血清であった。
V5Hisタグを持つb−PCSK9を含む試料に関しては、以下のプロトコルを使用した。Costar3368培地結合プレート(Corning Life Sciences)を使用した。このプレートを、1XPBS/0.05%アジ化物(50μL/ウェル)中の8μg/mLのニュートラビジンで被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertek M384プレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。250μLの1XPBS/1%ミルクでプレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、M384プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。捕捉は、V5タグを持つbヒトPCSK9であり、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+(40μL/ウェル)中に2μg/mLで添加された。次いで、プレートを、室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を行った。1:100から2重で、血清を1:3に滴定し、列Hは血清のためのブランクとした。滴定は、50μL/ウェルの体積で、アッセイ希釈液中において行った。プレートを、室温で1時間インキュベートした。次に、サイクル洗浄を用いて作動されるM384プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中の400ng/mLのヤギ抗ヒトIgG Fc HRPを50μL/ウェルでプレートに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。次いで、ペーパータオルで軽く押さえてプレートを乾燥させた。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)(50μL/ウェル)をプレートに添加し、室温で30分後に、1N 塩酸(50μL/ウェル)を用いて、プレートの反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
陽性対照は、LDLR、アッセイ希釈液中の3μg/mLから2重で1:3に滴定されたウサギ抗PCSK9であった。400ng/mLの濃度でヤギ抗LDLR(R&D Systems、カタログ#AF2148)およびウサギ抗ヤギIgG Fc HRPを用いてLDLRを検出し、アッセイ希釈液中の、400ng/mLの濃度でヤギ抗ウサギIgG Fcを用いてウサギポリを検出した。ヒト抗His1.2,3および抗V5 1.7.1は、アッセイ希釈液中の1μg/mLから2重で1:3に滴定され、両方とも、アッセイ希釈液中の400ng/mLの濃度でヤギ抗ヒトIgG Fc HRPで検出した。陰性対照は、アッセイ希釈液中の1:100から2重で1:3に滴定されたナイーブXMG2−KLおよびXMG4−KL血清であった。
ヒトPCSK9に対する抗体の力価は、記載される可溶性抗原を用いて免疫化されたマウスのELISAアッセイによって試験した。表4は、ELISAデータを要約し、PCSK9に対して特異的であるように見られる幾つかのマウスが存在したことを示す。例えば、表4を参照のこと。したがって、免疫化プログラムの終わりに、10匹のマウス(表4中の太字)を採集のために選択し、本明細書に記載されるように、それぞれ、脾臓およびリンパ節から脾細胞およびリンパ球を単離した。
実施例2
リンパ球の回収、B細胞の単離、融合、およびハイブリドーマの生成
この実施例は、免疫細胞がどのようにして回収され、ハイブリドーマがどのようにして生成されたかについて概説する。選択された免疫化マウスを頸椎脱臼によって殺処分し、それぞれのコホートから流入領域リンパ節を採集し、プールした。細胞を組織から放出させるために、DMEM中で磨り潰すことによって、リンパ系組織からB細胞を解離させ、細胞をDMEM中に懸濁した。細胞を計数し、穏やかに、但し、完全に細胞を再懸濁させるために、1億個のリンパ球につき0.9mLのDMEMを細胞沈降物に添加した。
1:4の比で、リンパ球をATCC、カタログ#CRL1580から購入した非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653細胞と混合した(Kearney et al.,(1979) J.Immunol.123,1548−1550)。400×gで4分間の遠心分離によって、細胞混合物を穏やかにペレット化した。上清をデカントした後、1mLピペットを用いて、細胞を穏やかに混合した。1分間にわたって、穏やかに撹拌しながら、Sigma(カタログ#P7306)からの事前加熱されたPEG/DMSO溶液(B細胞100万個当たり1mL)をゆっくり添加した後、1分間混合した。次いで、穏やかに撹拌しながら、2分間にわたって、事前加熱されたIDMEM(B細胞100万個当たり2mL)(グルタミン、L−グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、MEM非必須アミノ酸なしのDMEM)(すべて、Invitrogenから得た)を添加した。最後に、3分間にわたって、事前加熱されたIDMEM(106個のB細胞当たり8mL)を添加した。
400×gで6分間、融合された細胞を沈降させ、L−グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、MEM非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、2−メルカプトエタノール(すべて、Invitrogenから得た)、HA−アゼセリンヒポキサンチンおよびOPI(オキサロ酢酸、ピルビン酸塩、ウシインスリン)(両方ともSigmaから得た)、ならびにIL−6(Boehringer Mannheim))が補充された、B細胞100万個当たり20mLの選択培地(DMEM(Invitrogen)、15% FBS(Hyclone)中に再懸濁した。細胞は、37Cで20〜30分間インキュベートし、次いで、200mLの選択培地中で再懸濁し、96ウェルへの播種の前に、T175フラスコ中で3〜4日間培養した。このようにして、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を生成したハイブリドーマを生成した。
実施例3
PCSK9抗体の選択
本実施例は、様々なPCSK9抗原結合タンパク質がどのようにして特徴付けされ、選択されたかについて概説する。PCSK9に対する分泌された抗体の結合(実施例1および2において生成されたハイブリドーマから生成された)が評価された。抗体の選択は、結合データおよびLDLRへのPCSK9の結合の阻害および親和性に基づいた。以下に記載されるように、ELISAによって、可溶性PCSK9への結合を分析した。結合親和性を定量化するために、BIAcore(登録商標)(表面プラズモン共鳴)を使用した。
一次スクリーニング
野生型PCSK9に結合する抗体に対する一次スクリーニングを行った。2つの採集物に対して、一次スクリーニングを行った。一次スクリーニングは、ELISAアッセイを含み、以下のプロトコルを用いて行った。
Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。このプレートを、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/0.05%アジ化物中、4μg/mLの濃度のニュートラビジンで被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。90μLの1XPBS/1%ミルクで、プレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄した。再度、3サイクル洗浄を行った。捕捉試料は、V5タグを持たないビオチン化されたPCSK9であり、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に0.9μg/mLで添加された。次いで、プレートを、室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。10μLの上清を、40μLの1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に移し、室温で1.5時間インキュベートした。再度、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度の40μL/ウェルのヤギ抗ヒトIgG Fc PODをプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。最後に、40μL/ウェルの1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)をプレートに添加し、室温で30分後、40μL/ウェルの1N 塩酸を用いて反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
一次スクリーニングは、2つの採集物から特定された合計3104の抗原特異的ハイブリドーマを生じた。最高のELISA ODに基づいて、合計3000の陽性に対して、1採集物当たり1500のハイブリドーマを進行させた。
確認的スクリーニング
次いで、安定なハイブリドーマが確立されたことを確認するために、野生型PCSK9への結合に関して、3000の陽性を再スクリーニングした。スクリーニングは、以下のように行った。Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。このプレートを、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/0.05%アジ化物中、3μg/mLのニュートラビジンで被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。90μLの1XPBS/1%ミルクで、プレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、M384プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。捕捉試料は、V5タグを持たないb−PCSK9であり、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に0.9μg/mLで添加された。次いで、プレートを、室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて、プレートを洗浄した。10μLの上清を、40μLの1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に移し、室温で1.5時間インキュベートした。再度、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度の40μL/ウェルのヤギ抗ヒトIgG Fc PODをプレートに添加し、このプレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートをもう一度洗浄した。最後に、40μL/ウェルの1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)をプレートに添加し、室温で30分後、40μL/ウェルの1N 塩酸を用いて反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。合計2441の陽性を、第2のスクリーニングで反復した。次いで、これらの抗体は、その後のスクリーニングにおいて使用された。
マウス交差反応スクリーニング
次いで、抗体がヒトおよびマウスPCSK9の両方に結合できることを確認するために、マウスPCSK9に対する交差反応性に関して、ハイブリドーマのパネルをスクリーニングした。交差反応スクリーニングにおいて、以下のプロトコルを使用した。Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。このプレートを、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/0.05%アジ化物中、3μg/mLのニュートラビジンで被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。90μLの1XPBS/1%ミルクで、プレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。捕捉試料は、ビオチン化されたマウスPCSK9であり、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に1μg/mLで添加された。次いで、プレートを、室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。50μLの上清を、プレートに移し、室温で1時間インキュベートした。再度、3サイクル洗浄を用いて、プレートを洗浄した。1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度の40μL/ウェルのヤギ抗ヒトIgG Fc PODをプレートに添加し、このプレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。最後に、40μL/ウェルの1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)をプレートに添加し、室温で30分後、40μL/ウェルの1N 塩酸を用いて反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。579抗体は、マウスPCSK9と交差反応することが観察された。次いで、これらの抗体は、その後のスクリーニングにおいて使用された。
D374Y突然変異体結合スクリーニング
PCSK9中のD374Y突然変異体は、ヒト集団において文書で証明されている(例えば、Timms KM et al,“A mutation in PCSK9 causing autosomal−dominant hypercholesterolemia in a Utah pedigree”,Hum.Genet.114:349−353,2004)。抗体が野生型に対して特異的であり、またはPCSK9のD374Y形態に結合されているかどうかを決定するために、次いで、試料は、突然変異体D374Yを含む突然変異体PCSK9配列への結合に関して、スクリーニングされた。スクリーニングのためのプロトコルは、以下の通りであった。Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)をスクリーニングにおいて使用した。このプレートを、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/0.05%アジ化物中、4μg/mLのニュートラビジンで被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。90μLの1XPBS/1%ミルクで、プレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。1XPBS/1%ミルク/10mMCa2+中、1μg/mLの濃度のビオチン化されたヒトPCSK9 D374Yでプレートを被覆し、室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。後期枯渇ハイブリドーマ培養上清をPBS/ミルク/Ca2+中に1:5希釈し(10mL+40mL)、室温で1時間インキュベートした。次に、1XPBS/1%ミルク/10mMCa2+中、1μg/mLで、40μL/ウェルのウサギ抗ヒトPCSK9(Cayman Chemical)およびヒト抗His1.2.3を1:2でプレート上に滴定し、次いで、これを室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中の100ng/mLの濃度(1:4000)の40μL/ウェルのヤギ抗ヒトIgG Fc HRPをプレートに添加し、このプレートを室温で1時間インキュベートした。1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中の100ng/mLの濃度(1:4000)の40μL/ウェルのヤギ抗ウサギIgG Fc HRPをプレートに添加し、このプレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。最後に、40μL/ウェルの1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)をプレートに添加し、室温で30分後に、40μL/ウェルの1N 塩酸を用いて反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。野生型PCSK9に対する陽性ヒットの96%以上が、突然変異体PCSK9にも結合した。
大規模受容体リガンド遮断スクリーニング
LDLRへのPCSK9結合を遮断する抗体をスクリーニングするために、D374Y PCSK9突然変異体を用いたアッセイを開発した。LDLRに対してより高い結合親和性を有するので、このアッセイに対してこの突然変異体が使用され、より感度が高い受容体リガンド遮断アッセイの開発を可能とした。受容体リガンド遮断スクリーニングにおいて、以下のプロトコルを使用した。Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)をスクリーニングにおいて使用した。このプレートを、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/0.05%アジ化物中、2μg/mLのヤギ抗LDLR(R&D カタログ#AF2148)で被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。90μLの1XPBS/1%ミルクでプレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。捕捉試料は、LDLR(R&D、カタログ#2148LD/CF)であり、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に0.4μg/mLで添加された。次いで、プレートを、室温で1時間10分間インキュベートした。同時に、20ng/mLのビオチン化されたヒトD374Y PCSK9を、Nuncポリプロピレンプレート中の15μLのハイブリドーマ枯渇上清とともにインキュベートし、枯渇上清濃度を1:5希釈した。次いで、このプレートを室温で約1時間30分間事前にインキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。50μL/ウェルの事前にインキュベートした混合物を、LDLRで被覆されたELISAプレートに移し、室温で1時間インキュベートした。LDLRに結合されたb−PCSK9を検出するために、500ng/mLのアッセイ希釈液中の40μL/ウェルのストレプトアビジンHRPをプレートに添加した。プレートを、室温で1時間インキュベートした。再度、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。最後に、40μL/ウェルの1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)をプレートに添加し、室温で30分後に、40μL/ウェルの1N 塩酸を用いて反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。スクリーニングは、PCSK9とLDLRウェルとの間の相互作用を遮断した特定された384の抗体を特定し、100の抗体が、相互作用を強く遮断した(OD<0.3)。これらの抗体は、PCSK9とLDLRとの結合相互作用を90%超阻害した(90%超の阻害)。
遮断物質のサブセットに対する受容体リガンド結合アッセイ
次いで、第1の大規模受容体リガンド阻害アッセイにおいて特定された中和物質の384メンバーのサブセットに対して、突然変異体酵素を用いて受容体リガンドアッセイを反復した。384メンバーの遮断物質サブセットアッセイのスクリーニングにおいて、大規模受容体リガンド遮断スクリーニングにおいて行われたものと同じプロトコルを使用した。この反復スクリーニングは、初期のスクリーニングデータを確認した。
384メンバーのサブセットのこのスクリーニングは、PCSK9突然変異体酵素と90%超のLDLRとの間の相互作用を遮断する85の抗体が特定された。
野生型PCSK9に結合するが、D374Y突然変異体に結合しない遮断物質の受容体リガンド結合アッセイ
3000の上清の初期パネルでは、野生型PCSK9に特異的に結合するが、huPCSK9(D374Y)突然変異体に結合しないことが示される86の抗体が存在した。LDLR受容体への野生型PCSK9結合を遮断する能力について、これらの86の上清を試験した。以下のプロトコルを使用した。Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)をスクリーニングにおいて使用した。このプレートを、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/0.05%アジ化物中、10μg/mLの抗His1.2.3で被覆した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。90μLの1XPBS/1%ミルクで、プレートを遮断し、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。LDLR(R&D Systems,#2148LD/CFまたはR&D Systems,#2148LD)を、40μL/ウェルの体積で、1XPBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に5μg/mLで添加された。次いで、プレートを、室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。同時に、ビオチン化されたヒト野生型PCSK9を、Nuncポリプロピレンプレート中のハイブリドーマ枯渇上清とともに事前にインキュベートした。22μLのハイブリドーマ上清を、1XPBS/1%ミルク/10mMCa2+中、583ng/mLの濃度33uLのb−PCSK9に移し、最終のb−PCSK9濃度=350ng/mLおよび1:2.5の最終希釈で枯渇上清を得た。次いで、プレートを、室温で1時間30分間事前にインキュベートした。50μL/ウェルの事前にインキュベートされた混合物を、LDLRが捕捉されたELISAプレート上に移し、室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。500ng/mLのアッセイ希釈液中の40μL/ウェルのストレプトアビジンHRPをプレートに添加した。プレートを、室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。3サイクル洗浄を行った。最後に、40μL/ウェルの1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)をプレートに添加し、室温で30分後に、40μL/ウェルの1N 塩酸を用いて反応停止処理を行った。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
スクリーニングの結果
記載されるアッセイの結果に基づいて、PCSK9との所望の相互作用を有する抗体を生成するとして、幾つかのハイブリドーマ株が特定された。それぞれの株からの管理可能な数のクローンを単離するために、限外希釈を使用した。ハイブリドーマ株番号(例えば、21B12)およびクローン番号(例えば、21B12.1)によって、クローンを表記した。一般に、本明細書に記載されている機能的アッセイによって、特定の株の異なるクローン間には、差は検出されなかった。少数の例では、機能的アッセイにおいて異なる挙動を示した特定の株からクローンが特定され、例えば、25A7.1は、PCSK9/LDLRを遮断しないが、25A7.3(本明細書において、25A7と称される)は中和性であることが見出された。単離されたクローンはそれぞれ、50〜100mLのハイブリドーマ培地中で拡大させ、枯渇するまで(すなわち、約10%未満の細胞生存率)膨張させた。これらの培養物の上清中でのPCSK9に対する抗体の濃度および効力は、本明細書に記載されるようなELISAによって、およびインビトロ機能的試験によって決定された。本明細書に記載されるスクリーニングの結果として、PCSK9に対する抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマを特定した。選択されたハイブリドーマを、図2A〜3Dおよび表2に示す。
実施例4.1
ハイブリドーマからのヒト31H4 IgG4抗体の生成
この実施例は、一般に、抗原結合タンパク質のうちの1つがハイブリドーマ株からどのように生成されたかについて記載する。生成作業は、50mLの枯渇上清作製を使用した後、プロテインA精製を行った。Integra生成を大規模化し、その後実行した。ハイブリドーマ株31H4を、20mLの培地中のT75フラスコ中で増殖させた(Integra培地、表5)。ハイブリドーマがT75フラスコ中でほぼ集密状態になった時点で、Integraフラスコに移した(Integra Biosciences,Integra CL1000、カタログ#90 005)。
Integraフラスコは、2つのチャンバーである小チャンバーおよび大チャンバーへ膜によって分けられた細胞培養フラスコである。31H4ハイブリドーマ株からの1mL当たり1×106細胞の最小細胞密度の20〜30mLの体積のハイブリドーマ細胞を、Integra培地中のIntegraフラスコの小チャンバー中に配置した(Integra培地の成分に関しては、表5を参照)。Integra培地のみ(1L)を、Integraフラスコの大チャンバー中に配置した。2つのチャンバーを分割する膜は、小分子量の栄養素に対して透過性であるが、ハイブリドーマ細胞およびハイブリドーマ細胞によって生成された抗体に対して不透過性である。したがって、ハイブリドーマ細胞およびこれらのハイブリドーマ細胞によって生成された抗体は、小チャンバー中に保持された。
1週間後、Integraフラスコの両チャンバーから培地を除去し、新鮮なIntegra培地と交換した。小チャンバーから採取された培地は、別々に保持された。増殖から2週間後、小チャンバーからの培地を再度採取した。1週目にハイブリドーマ株から採取された培地を、2週目にハイブリドーマ株から採取された培地と合わせた。ハイブリドーマ株から得られた採取された培地試料を遠心分離して、細胞および細胞片を除去して(3000rpmで15分)、得られた上清を濾過した(0.22μm)。浄化された馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に装填した。任意に、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインA−セファロースカラム上に装填することができる。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質は、プロテインAカラムからの標準的な酸性抗体溶出(例えば、50mM クエン酸塩、pH3.0)によって回収された。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはQセファロース樹脂等の陰イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。31H4タンパク質に対して特異的なIEX条件は、pH7.8〜8.0でQ−セファロースHPである。25カラム体積の10mM〜500mMのNaCl勾配を用いて、抗体を溶出した。
実施例4.2
トランスフェクト細胞からの組換え31H4ヒトIgG2抗体の生成
本実施例は、31H4 IgG2抗体がトランスフェクト細胞からどのようにして生成されたかを概説している。一過性発現のために293細胞および安定な発現のためにCHO細胞が、31H4重および軽鎖をコードするプラスミドでトランスフェクトされた。細胞および細胞片を除去することによって、トランスフェクト細胞からの馴化培地を回収した。浄化された馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に装填した。任意に、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインA−セファロースカラム上に装填することができる。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質は、プロテインAカラムからの標準的な酸性抗体溶出(例えば、50mM クエン酸塩、pH3.0)によって回収された。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはQセファロース樹脂等の陰イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。31H4タンパク質に対して特異的なIEX条件は、pH7.8〜8.0でQ−セファロースHPである。25カラム体積の10mM〜500mMのNaCl勾配を用いて、抗体を溶出した。
実施例5
ハイブリドーマからのヒト21B12 IgG4抗体の生成
本実施例は、抗体21B12 IgG4がどのようにしてハイブリドーマから生成されたかを概説する。ハイブリドーマ株21B12を、培地中のT75フラスコ中で増殖させた(Integra培地、表5)。ハイブリドーマがT75フラスコ中でほぼ集密状態になった時点で、Integraフラスコに移した(Integra Biosciences,Integra CL1000、カタログ#90 005)。
Integraフラスコは、2つのチャンバーである小チャンバーおよび大チャンバーへ膜によって分けられた細胞培養フラスコである。31H4ハイブリドーマ株からの1mL当たり1×106細胞の最小細胞密度の20〜30mLの体積のハイブリドーマ細胞を、Integra培地中のIntegraフラスコの小チャンバー中に配置した(Integra培地の成分に関しては、表5を参照)。Integra培地のみ(1L)を、Integraフラスコの大チャンバー中に配置した。2つのチャンバーを分割する膜は、小分子量の栄養素に対して透過性であるが、ハイブリドーマ細胞およびハイブリドーマ細胞によって生成された抗体に対して不透過性である。このようにして、ハイブリドーマ細胞およびこれらのハイブリドーマ細胞によって生成された抗体が、小チャンバー中に保持された。
1週間後、Integraフラスコの両チャンバーから培地を除去し、新鮮なIntegra培地と交換した。小チャンバーから採取された培地は、別々に保持された。増殖から2週間後、小チャンバーからの培地を再度採取した。1週目にハイブリドーマ株から採取された培地を、2週目にハイブリドーマ株から採取された培地と合わせた。ハイブリドーマ株から得られた採取された培地試料を遠心分離して、細胞および細胞片を除去して(3000rpmで15分)、得られた上清を濾過した(0.22μm)。浄化された馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に装填した。任意に、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインA−セファロースカラム上に装填した。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質は、プロテインAカラムからの標準的な酸性抗体溶出(例えば、50mM クエン酸塩、pH3.0)によって回収された。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはQセファロース樹脂等の陰イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。21B12タンパク質に対して特異的なIEX条件は、pH7.8〜8.0でQ−セファロースHPである。25カラム体積の10mM〜500mMのNaCl勾配を用いて、抗体を溶出した。
実施例6
トランスフェクト細胞からのヒト21B12 IgG2抗体の生成
本実施例は、21B12 IgG2抗体がトランスフェクト細胞からどのようにして生成されたかを概説している。細胞(一過性発現のために293細胞および安定な発現のためにCHO細胞)が、21B12重および軽鎖をコードするプラスミドでトランスフェクトされた。細胞および細胞片を除去することによって、ハイブリドーマ細胞からの馴化培地を回収した。浄化された馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に装填した。任意に、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインA−セファロースカラム上に装填することができる。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質は、プロテインAカラムからの標準的な酸性抗体溶出(例えば、50mM クエン酸塩、pH3.0)によって回収された。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはSPセファロース樹脂等の陽イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。21B12タンパク質に対して特異的なIEX条件は、pH5.2でSP−セファロースHPである。20mM 酢酸ナトリウム緩衝剤中の10mM〜500mMのNaCl勾配を含有する緩衝液の25カラム体積で抗体を溶出した。
実施例7
抗体重鎖および軽鎖の配列分析
次いで、Sanger(ジデオキシ)ヌクレオチド配列決定によって、上記抗体の軽鎖および重鎖に対する核酸およびアミノ酸配列を決定した。次いで、核酸配列に対してアミノ酸配列を推定した。可変ドメインに対する核酸配列を図3E〜3JJに示す。
31H4、21B12、および16F12のラムダ軽鎖可変領域に対するcDNA配列が決定され、それぞれ、配列番号153、95、および105として開示される。
31H4、21B12、および16F12の重鎖可変領域に対するcDNA配列が決定され、それぞれ、配列番号152、94、および104として開示される。
ラムダ軽鎖定常領域(配列番号156)、ならびにIgG2およびIgG4重鎖定常領域(配列番号154および155)を図3KKに示す。
これらのcDNA配列のそれぞれから予想されたポリペプチド配列を決定した。31H4、21B12、および16F12のラムダ軽鎖可変領域に対して予測されたポリペプチドが予測され、それぞれ、配列番号12、23、および35として開示され、ラムダ軽鎖定常領域(配列番号156)、31H4、21B12、および16F12の重鎖可変領域が予測され、それぞれ、(配列番号67、49、および79として開示される。IgG2およびIgG4重鎖定常領域(配列番号154および155)。
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の分類を図2A〜3Dに示す。
配列データに基づいて、それぞれの重鎖または軽鎖可変領域が得られた生殖系列遺伝子が決定された。生殖系列遺伝子の特定は、図2A〜3D中において、対応するハイブリドーマ株の隣に示され、それぞれが、固有の配列番号によって表される。図2A〜3Dはまた、特徴付けられたさらなる抗体に対して決定されたアミノ酸配列も示す。
実施例8
PCSK9に対する抗体の結合の特徴付け
PCSK9に結合する多くの抗体が特定され、幾つかのアプローチが、結合の性質を定量化し、それをさらに特徴付けるために使用された。研究の一態様では、Biacore親和性分析が行われた。研究の別の態様では、KinExA(登録商標)親和性分析が行われた。これらの研究において使用された試料および緩衝剤を下の表6に示す。
BIAcore(登録商標)親和性測定
この実施例に記載されるPCSK9に対する21B12抗体のBIAcore(登録商標)(表面プラズモン共鳴装置、Biacore,Inc.,Piscataway,NJ)親和性分析は、製造業者の説明書に従って行われた。
簡潔に述べると、表面プラズモン共鳴実験は、Biacore2000光学的バイオセンサー(Biacore,GE Healthcare,Piscataway,NJ)を用いて行われた。それぞれの個別の抗PCSK9抗体は、200以下の共鳴単位(RU)の最大分析物結合応答(Rmax)を与えるレベルで、アミン結合によって研究等級のCM5バイオセンサーチップに固定化された。PCSK9タンパク質の濃度は、2倍間隔で変動させ(分析物)、(1.5分間、100μL/分の流速で)固定化された抗体表面上に注入した。0.01% BSAが補充された新鮮なHBS−P緩衝剤(pH7.4、0.01M Hepes、0.15M NaCl、0.005% 界面活性剤P−20、Biacore)が結合緩衝剤として使用された。それぞれの抗PCSK9抗体の結合親和性は、pH7.4で、ヒト、マウス、およびカニクイザルのPCSK9タンパク質のそれぞれに対する別々の実験において測定された(使用された濃度は、100、50、25、12.5、6.25、3.125、および0nMであった)。
さらに、ヒトPCSK9に対する抗体の結合親和性はまた、0.01% BSAが補充されたpH6.0のHBS−P緩衝剤(pH6.0、0.01M Hepes、0.15M NaCl、0.005% 界面活性剤P−20、Biacore)を用いて、pH6.0でも測定された。得られた結合シグナルは、溶液中の遊離PCSK9に比例した。解離平衡定数(KD)は、二重曲線一部位均一結合モデル(KinExA(登録商標)ソフトウェア、Sapidyne Instruments Inc.,Boise,ID)(6.0pHの実行に対して、n=1)を用いて、競合曲線の非線形回帰分析から得た。興味深いことに、抗体は、より低いpHで、より強固な結合親和性を示すように見受けられた(Kdはそれぞれ、31H4、21B12、および16F12に対して、12.5、7.3、および29pMであった)。
ka(会合速度定数)、kd(解離速度定数)、およびKD(解離平衡定数)を含む抗体結合の速度論的パラメータを、BIA評価3.1コンピュータプログラム(BIAcore,Inc.Piscataway,NJ)を用いて測定した。より低い解離平衡定数は、PCSK9に対する抗体のより大きな親和性を示す。BIAcore(登録商標)親和性分析によって測定されたKD値を、以下に示される表7.1に表す。
表7.2は、konおよびkoff速度を示す。
KinExA(登録商標)親和性測定
16F12および31H4のKinExA(登録商標)(Sapidyne Instruments,Inc.,Boise,ID)親和性分析が、製造業者の説明書に従って行われた。簡潔に述べると、Reacti−Gel(商標)(6x)(Pierce)を、ヒトV5タグ付加されたカニクイザルまたはHisタグ付加されたマウスPCSK9タンパク質のうちの1つを用いて事前に被覆し、BSAにより遮断した。次いで、10または100pMの抗体31H4およびPCSK9タンパク質のうちの1つを、PCSK9で被覆されたビーズを通過させる前に、室温で8時間、様々な濃度(0.1pM〜25nM)のPCSK9タンパク質とともにインキュベートした。ビーズが結合された31H4の量は、蛍光的に(Cy5)標識されたヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Jackson Immuno Research)によって定量化した。結合シグナルは、結合平衡で遊離31H4の濃度に比例する。平衡解離定数(KD)は、一部位均一結合モデルを用いて、競合曲線の2つの組の非線形回帰から得た。KinExA(登録商標)Proソフトウェアを分析において使用した。この分析において作製された結合曲線が、図4A〜4Fとして表されている。
16F12および31H4抗体はいずれも、ヒトおよびカニクイザルPCSK9に対して類似の親和性を示したが、マウスPCSK9に対して約10〜250倍低い親和性を示した。KinExA(登録商標)システムを用いて試験された2つの抗体のうち、抗体31H4はそれぞれ、3および2pMのKDで、ヒトおよびカニクイザルPCSK9の両方に対してより高い親和性を示した。16F12は、ヒトPCSK9に対して15pMのKDで、カニクイザルPCSK9に対して16pMのKDで、若干より弱い親和性を示した。
KinExA(登録商標)親和性分析の結果を、以下に示される表8.1に要約する。
さらに、試料の質および量を確認するために、SDS PAGEを実施し、図5Aに示す。cPCSK9は、ゲル上で約50%未満を示し、KinExA(登録商標)アッセイから計算された活性結合濃度からも示した。したがって、cPCSK9に対するのmAbのKDは、活性なcPCSK9の50%として存在するように調整された。
BIAcore溶液平衡結合アッセイは、ABP21B12に対するKd値を測定するために使用した。21B12.1は、KinExAアッセイを用いてほとんどシグナルを示さず、そのため、biacore溶液平衡結合アッセイを使用した。固定化されたPCSK9表面への抗体の結合に対して有意な結合が観察されなかったため、約7000RUの密度でアミン結合を用いて、CM5チップのフローセル4の上に21B12抗体を固定化した。フローセル3を、バックグラウンド対照として使用した。0.3、1、および3nMのヒトPCSK9またはカニクイザルPCSK9を、0.1mg/mLのBSA、0.005% P20を加えたPBS中の21B12.1抗体試料(0.001〜25nMの範囲)を段階希釈して混合した。混合された溶液中での遊離PCSK9の結合を、21B12.1抗体表面上に注入することによって測定した。21B12.1表面上の100% PCSK9結合シグナルを、溶液中のmAbの不在下で判定した。mAbの濃度の増加に伴うPCSK9結合応答の減少は、溶液中でのmAbへのPCSK9の結合が、固定化されたペプチボディ表面への結合からPCSK9を遮断したことを示した。mAb濃度に対してPCSK9結合シグナルをプロットして、KinExA Pro(商標)ソフトウェア中の一部位均一結合モデルを用いて3つの組の曲線(0.3、1、および3nMの固定されたPCSK9濃度)からKDを計算した。cPCSK9は、KinExAアッセイおよびSDS−ゲルから観察されたより低いタンパク質濃度を有するが、cPCSK9の濃度がKDの計算のために使用されなかったため、ここでは、その濃度は調整しなかった。これらの結果を以下の表8.2および図5B〜5D中に示す。図5Bは、hPCSK9に対する3つの異なるhPCSK9濃度での溶液平衡アッセイからの結果を示す。図5Cは、mPCSK9に対する一群の類似の結果を示す。図5Dは、上記biacore捕捉アッセイからの結果を示す。
実施例9
D374Y PCSK9/LDLR結合を遮断することについての31H4および21B12の有効性
この実施例は、PCSK9 D374YのLDLRに結合する能力を遮断する上での、抗体の2つに対するIC50値を提供する。透明な384ウェルプレート(Costar)を、緩衝剤A(100mM カコジル酸ナトリウム、pH7.4)中で希釈された2マイクログラム/mLのヤギ抗LDL受容体抗体(R&D Systems)で被覆した。プレートを緩衝剤Aで十分に洗浄し、次いで、緩衝剤B(緩衝剤A中の1%ミルク)で2時間遮断した。洗浄後、緩衝剤C(10mM CaCl2が補充された緩衝剤B)中で希釈された0.4マイクログラム/mLのLDL受容体(R&D Systems)を用いて、プレートを1.5時間インキュベートした。このインキュベーションと同時に、緩衝剤A中に希釈された様々な濃度の31H4 IgG2、31H4 IgG4、21B12 IgG2、または21B12 IgG4抗体、または緩衝剤Aのみ(対照)とともに、20ng/mLのビオチン化されたD374Y PCSK9をインキュベートした。LDL受容体を含有するプレートを洗浄し、ビオチン化されたD374Y PCSK9/抗体の混合物をそれらに移し、室温で1時間インキュベートした。LDL受容体へのビオチン化されたD374Yの結合を、緩衝剤C中の500ng/mLのストレプトアビジン−HRP(Biosource)とともにインキュベートし、続いて、TMB基質(KPL)とともにインキュベートすることによって検出した。1N HClを用いて、このシグナルを消光し、450nmで吸光度を読み取った。
この結合研究の結果を、図6A〜6Dに示す。要約すると、それぞれの抗体に対してIC50値を測定し、31H4 IgG2に対して199pM(図6A)、31H4 IgG4に対して156pM(図6B)、21B12 IgG2に対して170pM(図6C)、および21B12 IgG4に対して169pM(図6D)であることが見出された。
抗体はまた、このアッセイにおいて、LDLRへの野生型PCSK9の結合も遮断した。
実施例10
細胞LDL取り込みアッセイ
この実施例は、細胞によるLDL取り込みを減少させる様々な抗原結合タンパク質の能力を示す。10% FBSが補充されたDMEM培地(Mediatech,Inc)中の1ウェル当たり5×105細胞の濃度で、黒色透明底96ウェルプレート(Costar)中に、ヒトHepG2細胞を播種し、37℃(5% CO2)で一晩インキュベートした。PCSK9および抗体複合体を形成するために、取り込み緩衝剤(1% FBSを含むDMEM)中に希釈された様々な濃度の抗体または取り込み緩衝剤のみ(対照)とともに、室温で1時間、2μg/mLのD374YヒトPCSK9をインキュベートした。PBSで細胞を洗浄した後、D374Y PCSK9/抗体の混合物を細胞に移し、続いて、6μg/mLの最終濃度で、取り込み緩衝剤中にLDL−BODIPY(Invitrogen)を希釈した。37℃(5% CO2)で3時間のインキュベーション後、細胞をPBSで完全に洗浄し、480〜520nm(励起)および520〜600nm(発光)で、Safire(商標)(TECAN)によって、細胞蛍光シグナルを検出した。
細胞取り込みアッセイの結果を図7A〜7Dに示す。要約すると、それぞれの抗体に対してIC50値を測定し、31H4 IgG2に対して16.7nM(図7A)、31H4 IgG4に対して13.3nM(図7B)、21B12 IgG2に対して13.3nM(図7C)、および21B12 IgG4に対して18nM(図7D)であることが見出された。これらの結果は、適用された抗原結合タンパク質がPCSK9(D374Y)の効果を減少させて、細胞によるLDL取り込みを遮断することができることを示す。抗体はまた、このアッセイにおいて野生型PCSK9の効果も遮断した。
実施例11
6日間の研究における31H4抗体の血清コレステロール低下効果
PCSK9タンパク質に対する抗体療法を介した野生型(WT)マウスにおける総血清コレステロール(TC)低下を評価するために、以下の手順を行った。
Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から得られた雄の野生型マウス(C57BL/6系統、9〜10週齢、17〜27g)に、実験の期間を通じて、通常の食餌(Harland−Teklad,Diet 2918)を与えた。T=0において、マウスの尾静脈を通じて、10mg/kgのレベルで、抗PCSK9抗体31H4(PBS中2mg/mL)または対照IgG(PBS中2mg/mL)のいずれかをマウスに投与した。ナイーブマウスも、ナイーブ対照群として別に分けた。投与群および殺処分の時間を表9に示す。
表9に示される所定の時点でCO2窒息を用いて、マウスを殺処分した。大静脈を介して、エッペンドルフチューブの中に血液を採取し、室温で30分間凝固させた。次いで、血清を分離するために、10分間、12,000×gでの卓上遠心機中で、試料を遠心沈降させた。Hitachi912臨床分析装置およびRoche/Hitachi TCおよびHDL−Cキットを用いて、血清総コレステロールおよびHDL−Cを測定した。
実験の結果を図8A〜8Dに示す。要約すると、抗体31H4が投与されたマウスは、実験の間に、血清コレステロールレベルの減少を示した(図8Aおよび図8B)。さらに、マウスはHDLレベルの減少も示したことが注目される(図8Cおよび図8D)。図8Aおよび図8Cに関して、割合の変化は、同じ時点での対照IgGに関するものである(*P<0.01、#P<0.05)。図8Bおよび図8Dに関して、割合の変化は、t=0時間で、ナイーブ動物において測定された総血清コレステロールおよびHDLレベルに関するものである(*P<0.01、#P<0.05)。
HDLレベルの低下に関して、マウスにおけるHDLの減少はHDLの減少がヒトで起きることを示すものではなく、この生物における血清コレステロールが減少したことをさらに反映するに過ぎないことが当業者に理解されることが注目される。マウスは高密度リポタンパク質(HDL)粒子中に血清コレステロールの大部分を輸送し、これはLDL粒子上にほとんどの血清コレステロールを有するヒトとは異なることが注目される。マウスでは、総血清コレステロールの測定は、血清HDL−Cのレベルを最も近似する。マウスHDLは、LDL受容体(LDLR)に対するリガンドであるアポリポタンパク質E(apoE)を含有しており、LDLRによってそれが排除されることを可能とする。したがって、HDLを調べることは、マウスにおける、本実施例での適切な指標である(HDLの減少は、ヒトに対しては予測されないことが理解される)。例えば、対照的に、ヒトHDLは、apoEを含有せず、LDLRに対するリガンドではない。PCSK9抗体は、マウスにおけるLDLR発現を増加させると、肝臓は、より多くのHDLを排除させることができ、したがって、血清HDL−Cレベルを低下させる。
実施例12
6日間の研究におけるLDLRレベルに対する抗体31H4の効果
本実施例は、予測されるように、抗原結合タンパク質が時間とともに、対象におけるLDLRのレベルを変化させることを示す。LDLRレベルに対する抗体31H4の効果を確認するために、ウェスタンブロット分析を行った。実施例13に記載される殺処分したマウスから得られた50〜100mgの肝臓組織を、完全なプロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有する0.3mLのRIPA緩衝剤(Santa Cruz Biotechnology Inc.)中に均質化した。ホモゲネートを氷上で30分間インキュベートし、細胞片をペレット化させるために遠心分離した。BioRadタンパク質アッセイ試薬(BioRad laboratories)を用いて、上清中のタンパク質濃度を測定した。70℃で10分間、100μgのタンパク質を変性させ、4〜12%のBis−Tris SDS勾配ゲル(Invitrogen)上で分離した。タンパク質を0.45μm PVDF膜(Invitrogen)に移し、5% 無脂肪ミルクを含有する洗浄緩衝剤(50mM Tris PH7.5、150mM NaCL、2mM CaCl2、および0.05% Tween20)中で、室温で1時間遮断した。次いで、ヤギ抗マウスLDLR抗体(R&D system)1:2000または抗βアクチン(sigma)1:2000を用いて、室温で1時間、ブロットのプローブ検査を行った。ブロットを短時間洗浄し、ウシ抗ヤギIgG−HRP(Santa Cruz Biotechnology Inc.)1:2000またはヤギ抗マウスIgG−HRP(Upstate)1:2000とともにインキュベートした。室温で1時間のインキュベーション後、ブロットを完全に洗浄し、ECLプラスキット(Amersham biosciences)を用いて、免疫反応性バンドを検出した。ウェスタンブロットは、図9に示されるように、抗体31H4の存在下でLDLRタンパク質レベルの増加を示した。
実施例13
13日間の研究における抗体31H4の血清コレステロール低下効果
13日間の研究において、PCSK9タンパク質に対する抗体療法を介した野生型(WT)マウスにおける総血清コレステロール(TC)低下を評価するために、以下の手順を行った。
Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から得られた雄の野生型マウス(C57BL/6系統、9〜10週齢、17〜27g)に、実験の期間を通じて、通常の食餌(Harland−Teklad,Diet 2918)を与えた。T=0において、マウスの尾静脈を通じて、10mg/kgのレベルで、抗PCSK9抗体31H4(PBS中2mg/mL)または対照IgG(PBS中2mg/mL)のいずれかをマウスに投与した。ナイーブマウスも、ナイーブ対照群として別に分けた。
投与群および殺処分の時間を表10に示す。動物を殺処分し、肝臓を摘出し、実施例13の通りに調製した。
6日間の実験を13日間の研究に延長すると、6日間の研究において観察された同じ血清コレステロール低下効果が、13日間の研究においても観察された。より具体的には、10mg/kgで投与した動物は、3日目に血清コレステロールの31%の減少を示し、13日目までに投与前のレベルに徐々に戻った。図10Aは、この実験の結果を示す。図10Cは、31H4の10mg/kg用量を用いた、ならびに同様に10mg/kgの別の抗体16F12を用いた上記手順を反復した結果を示す。投与群および殺処分の時間を表11に示す。
図10Cに示されるように、16F12および31H4はいずれも、単回投薬のみの後に、総血清コレステロールの著しく、大幅な減少を生じ、1週以上にわたって(10日またはそれ以上)有益をもたらした。反復された13日間の研究の結果は、最初の13日間の研究の結果と合致しており、3日目における26%の血清コレステロールレベルの減少が観察される。図10Aおよび図10Bに関して、変化率は、同じ時点での対照IgGに関するものである(*P<0.01)。図10Cに関して、変化率は、同じ時点での対照IgGに関するものである(*P<0.05)。
実施例14
13日間の研究におけるHDLレベルに対する抗体31H4の効果
実施例15中の動物に対するHDLレベルも調べた。HDLレベルは、マウスにおいて減少した。より具体的には、10mg/kgで投与された動物は、3日目に、HDLレベルの33%の減少を示し、13日目までに、投与前レベルまで徐々に戻った。図10Bは、この実験の結果を示す。3日目に、34%のHDLレベルの減少があった。図10Bは、反復された13日の実験の結果を示す。
当業者に理解されるように、抗体はマウスHDLを低下させるが、ヒトおよび他の生物(マウス等)におけるHDLの差のため、これは、ヒトにおいて起こるとは予想されない。したがって、マウスHDLの減少はヒトHDLの減少を示すものではない。
実施例15
抗体の複数回投与は抗原結合ペプチドの継続的な利益をもたらす
追加の投与によるさらなる利益に関して、上記実施例において得られた結果を延長することができるかを確認するために、図11Aに示される投薬スケジュールを用いて実施例15および16の実験を反復した。結果を図11Bに示す。図11Bのグラフで見ることができるように、すべてのマウスが31H4抗原結合タンパク質の最初の注射を受けたので、マウスの両群は総血清コレステロールの著しい減少を示し、31H4 ABPのさらなる注射を受けたマウスは、総血清コレステロールの継続した減少を示したのに対して、対照注射を受けただけのマウスは、最終的には、総血清コレステロールの増加を示した。図11に関して、変化率は、t=0時間でのナイーブ動物に関するものである(*P<0.01、**P<0.001)。
この実施例からの結果は、対象中での生物学的調整のため、反復適用が効力の減少をもたらす他のコレステロール治療法とは異なり、本発明のアプローチには、検査した時間においては、この問題に悩まされないように見受けられることを示す。さらに、このことは、前実施例において観察された、ベースラインへの総血清コレステロールまたはHDLコレステロールレベルの復帰が、対象によって発達された治療に対する何らかの耐性によるものではなく、対象における利用可能な抗体の枯渇によるものであることを示唆している。
実施例16
コレステロール関連障害の治療のためのPCSK9抗体の使用
(コレステロール(血清コレステロール等)の減少が有益であり得る)コレステロール関連障害を示すヒト患者に、治療的有効量のPCSK9抗体31H4(または、例えば21B12)が投与される。治療中の定期的な時点で、障害の症候が沈静化したかどうかを判定するために、患者をモニターする。治療後に、PCSK9抗体を用いた治療を行っている患者は、治療されていない患者と比較して、血清コレステロールレベルの減少を有することが見出される。
実施例17
高コレステロール血症の治療のためのPCSK9抗体の使用
高コレステロール血症の症候を示すヒト患者に、31H4(または、例えば21B12)等の治療的有効量のPCSK9抗体を投与する。治療中の定期的な時点で、血清コレステロールレベルが低下したかどうかを判定するために、ヒト患者をモニターする。治療後に、PCSK9抗体を用いた治療を受けている患者は、治療を受けていない関節炎患者と比較して、血清コレステロールレベルが減少していることが見出される。
実施例18
冠状動脈性心臓病および/または再発性心血管事象の予防のためのPCSK9抗体の使用
冠状動脈性心臓病を発症するリスクを有するヒト患者を特定する。単独で、例えば、シンバスタチン等のスタチンと同時に、または順次に、31H4(または、例えば21B12)等の治療的有効量のPCSK9抗体を患者に投与する。治療中の定期的な時点で、患者の総血清コレステロールレベルが変化するかどうかを判定するために、ヒト患者をモニターする。予防的処置全体を通じて、PCSK9抗体を用いた治療を受けている患者は血清コレステロールが減少し、それによって、処置を受けていない患者と比較して、冠動脈性心臓病または再発性心血管事象に対するリスクを減少させることが見出される。
実施例19
高コレステロール血症の予防のためのPCSK9抗原結合タンパク質の使用
高コレステロール血症を発症するリスクを示すヒト患者が、家族歴分析および/または生活様式、および/または現在のコレステロールレベルによって特定される。対象は、治療的有効量のPCSK9抗体31H4(または、例えば21B12)を定期的に投与される(例えば週に1回)。治療中の定期的な時点で、血清コレステロールレベルが減少したかどうかを判定するために、患者をモニターする。治療後に、PCSK9抗体を用いた治療を行っている対象は、治療されていない対象と比較して、血清コレステロールレベルが低下していることが見出される。
実施例20
健常な対象におけるヒト抗PCSK9抗体の安全性、忍容性、薬物動態、および薬理学を評価するための第1相の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、上昇する単回投与研究
この研究は、健常な対象におけるヒト抗PCSK9抗体(モノクローナル抗体21B12)の安全性、忍容性、PK、および薬理学(PD)(LDL−C)を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、上昇する単回投与研究であった。対象は、7、21、70、210、もしくは420mgの用量での21B12の皮下投与、または対応するプラセボ;または21もしくは420mgの用量での21B12の静脈内投与、または対応するプラセボを受けるように、3:1の比率(21B12:プラセボ;7つのコホート中の合計56人の対象に対して1用量コホート当たり8人の対象)で無作為化された。
56人の対象が、無作為化され、治験薬を受け(42人の21B12、14人のプラセボ)、40人の対象(30人の21B12、10人のプラセボ)は皮下投与経路によって治験薬を受け、16人の対象(12人の21B12、4人のプラセボ)は静脈内経路によって治験薬を受けた。治験薬を受けた56人の対象のうちの53人(95%)が、この研究を完了した。21B12を受けた3人の対象は、完全な同意を取り下げ、この研究を完了しなかった。
研究集団は、主に、男性(54人[96%])からなり、平均年齢は31.2(範囲:20〜45)歳であった。86%の対象は、白人で、続いて、9%のヒスパニック系/ラテン系、4%の黒人、および1%のその他であった。平均ベースラインLDL−C値は、処置群間で類似しており、113〜143mg/dLの範囲であった。
この研究では、21B12は、70mg以上の単回皮下投与で、LDL−Cが平均55%〜60%減少し、効果持続期間が用量依存性であった。LDL−Cの最下点は、投与から2週間以内に観察された。PCSK9の完全抑制は、70mg以上の単回皮下投与で観察され、これは循環するLDL−Cにおいて見られる効果と関連した。
PK分析は、21B12が非線形(濃度依存性)消失を示すことを示した。平均tmaxは、4〜6日間であった。予想されたように、最高の中央最大値を観察した濃度(Cmax)および0時間から無限大時間までの濃度時間曲線下面積(AUC0−∞)が、420mgの静脈内投与群で生じ、それぞれ、139μg/mLおよび1550日・μg/mLであった。
治療中に発生した有害反応は、任意の用量で21B12を受けた42人の対象のうちの29人(69%)、およびプラセボを受けた14人の対象のうちの10人(71%)について報告された。対象への有害事象の発生と21B12の投与、または対象への有害事象の発生と21B12の投与経路(皮下投与対静脈内投与)との間で、いかなる関係も明らかではなかった。
重篤であると報告された有害事象はなく、有害事象のため研究を中止した対象はいなかった。研究における死亡はなかった。
治療中に発生した有害反応は、21B12を受けた42人の対象のうちの18人の対象(43%)、およびプラセボを受けた14人の対象のうちの10人(71%)について報告された。対象の治療関連有害事象の発生と21B12の投与、または対象の治療関連有害事象の発生と21B12の投与経路(皮下投与対静脈内投与)との間で、いかなる関係も明らかではなかった。
選択された実験室での変動、心電図(ECG)、またはバイタルサインにおける21B12の臨床的に重要な効果を示す傾向はなかった。
この研究では、21B12は、最大420mgまでの単回皮下投与および静脈内投与で良好な耐容性を示すと見受けられた。
この研究に登録された対象からの血清試料は、抗21B12抗体の存在(ベースライン)または発現(治療後)について試験された。21B12を受けた42人すべての対象からの血清試料は、抗21B12抗体に対して陰性であった。
実施例21
安定なスタチンの投与時の高脂血症を患っている対象におけるヒト抗PCSK9抗体の安全性、忍容性、薬物動態、および薬理学を評価するための第1相の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、上昇する複数回投与研究
この研究は、現在、安定なスタチンの投与時の高脂血症の(例えば、高コレステロール血症の)対象における、ヒト抗PCSK9抗体(モノクローナル抗体21B12)を用いた、第1b相の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、上昇する複数回投与研究である。この研究は、7つのコホートを有した。すべてのコホートに対する目的は、21B12の安全性、忍容性、および免疫原性の特徴付け、ならびにPKおよびPD(LDL−CおよびPCSK9)の特徴付けが含まれた。研究のコホート1〜5は、安定な低度から中等度のスタチンの投与時の高コレステロール血症の対象における21B12の用量漸増部分を示した。1ヶ月以上、安定的に毎日ロスバスタチンを40mg未満、アトルバスタチンを80mg未満、またはシンバスタチンを20〜80mgを処方されているLDL−C(70〜200mg/dL)を有するコホート1〜5の対象(コホート当たりn=8)がそれぞれ、21B12の5つの皮下投与の投与量のうちの1つ(14もしくは35mgを週1回で6回;または140mgもしくは280mgを隔週1回で3回;または420mgを4週間に1回で2回)を受けるように、3:1の比率で無作為化された。コホート6は、高用量のスタチン(アトルバスタチン80mgまたはロスバスタチン40mg)を投与されている高コレステロール血症の対象において行われた。このコホート中の対象(n=12)は、ロスバスタチン40mgまたはアトルバスタチン80mgのいずれかを処方され、それぞれ、21B12(140mgの皮下投与を隔週1回で3回)または対応するプラセボを受けるように、3:1の比率で無作為化された。コホート7は、(WHO基準を用いて識別された)ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を患っている対象において行われ、このコホート中の対象(n=6)はそれぞれ、21B12(140mgの皮下投与を隔週1回で3回)または対応するプラセボを受けるように、2:1の比率で無作為化された。明確にするために、コホート1は、14mgの用量の21B12の皮下投与を週1回で6回受けた。コホート2は、35mgの用量の21B12の皮下投与を週1回、6回受けた。コホート3は、140mgの用量の21B12の皮下投与を隔週1回で3回受けた。コホート4は、280mgの用量の21B12の皮下投与を隔週1回で3回受けた。コホート5は、420mgの用量の21B12の皮下投与を4週間に1回で2回受けた。
予備的結果は、登録され、21B12またはプラセボに無作為化された40人の対象から得られた。これらの40人の対象のうち、28人の対象は、治験薬(21B12またはプラセボ)の1回以上の投与を受け、したがって、(治療に対して盲検化された)予備的な安全性分析セットを表した。予備的な盲検化された安全性データは、これらの28人の対象に利用でき、これらのすべては、コホート1〜4であった。有害事象による死亡、重篤な有害事象、または早期離脱は報告されなかった。概して、少なくとも1つの有害事象が、治験薬の1回以上の投与を受けた28人の対象のうちの15人(54%)に対して報告された。(治療に対して盲検化された)ほとんどの有害事象は、1人の対象に対して報告され、疲労、関節痛、便秘、およびウイルス性上気道感染を除いて、これらのそれぞれは、28人の対象のうちの2人(7%)に対して報告された。
(治療に対して盲検化された)予備的な薬理学的結果が、コホート1、2、および3に利用できた。安定な中等度のスタチンの投与時の対象において、循環するLDL−Cの21B12用量依存的な減少が観察された。LDL−Cの最下点が、初期投与から2週間以内に観察され、コホート3(140mgで2週間ごと皮下投与で3回)において60%〜80%の減少であった。PCSK9のほぼ完全な抑制が、コホート3において観察され、これは循環するLDL−Cに見られる効果と関連した。
最終結果では、コホート1〜6中の対象(N=51)が、21B12(N=39)またはプラセボ(N=12)を受けるように無作為化され、26人の対象(51%)が男性であり、平均(標準偏差)年齢は、58(7)歳であった。死亡または重篤な有害事象(AE)は報告されず、有害事象のため研究を中止した対象はいなかった。21B12に対する中和抗体は検出されなかった。
低用量から中等用量のスタチンに対するコホート1〜5中の対象は、最大限の減少のプラセボに対して最大81%、そして、21B12の3回の週2回皮下投与後の投与間隔の終了時で(すなわち、6週目で)プラセボに対して75%、および2回の4週間ごとの皮下投与後の投与間隔の終了時で(すなわち、8週目で)66%のLDL−Cの平均減少があった。低用量から中等用量のスタチンに対するコホート1〜5中の対象は、最大限の減少のプラセボに対して最大81%、そして、投与間隔の終了時でプラセボに対して75%のLDL−Cの平均減少があった(図14)。効果の大きさおよび持続時間は、用量依存的であった。血清PCSK9は、より高用量では検出できなかった。同様に、3回の週2回投与後の投与間隔の終了時に、高用量のスタチンに対する対象(コホート6)は、プラセボに対して63%のLDL−Cの平均減少、そして、プラセボに対して73%のLDL−Cの最大の減少があった(図15)。
これらのデータは、低用量から中等用量または高用量のスタチンのいずれかにおける対象において、投与レジメンに応じて、6週間にわたる21B12の複数回の皮下投与が、重篤な有害事象はなく、プラセボに対して最大81%の循環するLDL−Cを減少させたことを示す。21B12のLDL−C低下効果は、高用量のスタチンと低用量から中等用量のスタチンの投与群との間で同等であった。
低用量から中等用量のスタチンに対するコホート1〜5中の対象は、データは示されないが、投与間隔の終了時でプラセボに対して最大94%のPCSK9レベルの平均減少があった。低用量から中等用量のスタチンに対するコホート1〜5中の対象は、投与間隔の終了時でプラセボに対して最大54%のApoBの平均減少、そして、研究中、48%(35mgで週1回)〜59%(140mgおよび280mgで2週間ごと、ならびに420mgで4週間ごと)の範囲で最大の減少があった(p<0.001)(図16)。さらに、低用量から中等用量および高用量のスタチンに対するコホート1〜6中の対象は、投与間隔の終了時でプラセボに対して最大43%のLp(a)の平均減少があった(図17)。
heFHを患っているコホート7中の対象は、投与間隔の終了時で(すなわち、6週目、21B12の3回目の週2回皮下投与から2週間後)プラセボに対して65%のLDL−Cの平均減少、そして、プラセボに対して70%のLDL−Cの最大の減少があった(図18)。投与間隔時のLDL−Cの減少は、heFHを患っていない対象において観察されたものと同等であった。21B12での処置後、循環するPCSK9は、heFH対象において検出できなかった。
heFHを患っているコホート7中の対象は、投与間隔の終了時で(すなわち、6週目、21B12の3回目の週2回皮下投与から2週間後)プラセボに対して最大78%の血清PCSK9値の平均減少があった(図19)。heFHを患っているコホート7中の対象は、投与間隔の終了時で(すなわち、6週目、21B12の3回目の週2回皮下投与から2週間後)プラセボに対して最大42%の総コレステロールの平均減少、そして、プラセボに対して47%の総コレステロールの最大の減少があった(図20)。heFHを患っているコホート7中の対象は、投与間隔の終了時で(すなわち、6週目、21B12の3回目の週2回皮下投与から2週間後)プラセボに対して61%の非HDLコレステロールの平均減少、そして、プラセボに対して67%の非HDLコレステロールの最大の減少があった(図21)。heFHを患っているコホート7中の対象は、投与間隔の終了時で(すなわち、6週目、21B12の3回目の週2回皮下投与から2週間後)プラセボに対して47%のApoBレベルの平均減少、そして、プラセボに対して67%のApoBレベルの最大の減少があった(図22)。heFHを患っているコホート7中の対象は、投与間隔の終了時で(すなわち、6週目、21B12の3回目の週2回皮下投与から2週間後)プラセボに対して50%のリポタンパク質a(Lp(a))の平均減少があった(図23)。
コホート7では、21B12は、標準治療を受けていたheFHおよび高脂血症を患っている対象において、非結合PCSK9レベルを減少させ、実質的には、循環するLDL−Cレベルを低下させた。試験された週2回投与は、非heFH対象におけるものと同等のLDL−Cの減少を提供した。重篤な有害事象は報告されなかった。
実施例22
ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を患っている対象におけるヒト抗PCSK9抗体の忍容性および有効性を評価するための二重盲検、プラセボ対照研究
この研究の目的は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(HeFH)を患っている対象における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)のベースラインからのパーセント変化について、プラセボと比較したヒト抗PCSK9抗体(モノクローナル抗体21B12)の12週間の皮下投与(SC)の効果を評価することである。
この研究は、HeFHという診断が下されている対象におけるモノクローナル抗体21B12の安全性、忍容性、および有効性を評価するための二重盲検、無作為化、層別化、プラセボ対照臨床試験である。合計150人の対象の登録が計画されている。すべての試験対象患者基準/除外基準を満たす対象が、モノクローナル抗体21B12を350mgもしくは420mgで4週間ごと皮下投与(4週間に1回皮下投与)、またはプラセボを4週間ごと皮下投与の3つの処置群への均等な割り当てにより無作為化される。無作為化は、LDL−Cレベル(130mg/dL[3.4mmol/L]未満対130mg/dL以上)をスクリーニングし、ベースラインでエゼチミブの使用(はい対いいえ)により層別化される。無作為化は、適格性を判定するために使用されるスクリーニングLDL−C評価から5〜10日間以内になされるべきである。モノクローナル抗体21B12およびプラセボは、盲検化される。研究来院は、2、4、8、および12週目である。モノクローナル抗体21B12またはプラセボの最終投与は、8週目である。研究終了時(EOS)来院および脂質の最終評価は、12週目である。
Simon Broome Register Group(SBRG)の診断基準によりヘテロ接合型家族性高コレステロール血症と診断された18歳以上75歳以下の男性および女性が、この研究に適格である。登録のためには、対象は、LDL−Cスクリーニング前の少なくとも4週間、すべての許容される(例えば、エゼチミブ、胆汁酸封鎖樹脂、スタノール、または規制認可される市販のナイアシン(例えば、NiaspanもしくはNiacor))脂質規制薬物に対して安定な用量を有する、認可されたスタチンを常用していなければならず、
責任医師の意見では、
漸増(uptitration)を必要としない。スクリーニング時の中央実験室で、空腹時のLDL−Cは、100mg/dL(2.6mmol/L)以上であり、空腹時のトリグリセリドは、400mg/dL(4.5mmol/L)以下でなければならない。
予備的データ(データは示さず)は、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、38.46%のLDL−Cのベースラインからの最小二乗(LS)平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、45.68%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した。350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、21.69%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、28.23%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有した。350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、15.39%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有し、420mgの21B12で処置された対象が、6.77%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有した。350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、17.16%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、18.49%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有した。350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、17.24%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、4.56%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有した。350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、36.16%の非HDLコレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、41.81%の非HDLコレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有した。最後に、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、24.82%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、29.45%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有した。(データは示さず)
図24は、21B12の以下の投与:70mg、105mg、および140mg(2週間ごとまたは2週間に1回の投与)、ならびに280mg、350mg、および420(4週間ごとまたは月に1回の投与)に対する、LDL−Cの減少データを表すグラフである。このデータは、実施例22〜25に記載される研究からの集約データである)。簡潔に言えば、この集約データは、2週間ごとに140mgでは、12週目でLDL−Cのベースラインから約60%の減少をもたらし、LDL−Cの減少が滑らかに維持されることを示す。さらに、このデータは、4週間ごとに420mgでは、12週目でLDL−Cのベースラインから約56%の減少をもたらし、投与間隔の終了時に、LDL−Cの跳ね返りが少ないことを示す。
図25A〜25Dはそれぞれ、実施例22〜25に記載される研究からの集約データから得られる、Lp(a)、HDL−C、トリグリセリド、およびVLDL−Cに対する21B12の用量の有益な効果を示す棒グラフである。さらに、ベースラインからの用量依存性の減少は、総コレステロール(25〜37%、p値<0.001)、非HDL−C(36〜53%、p値<0.001)、およびApoB(36〜53%、p値<0.001)に対して観察された(データは示さず)。
実施例23
有効量のHMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤を忍容できない高コレステロール血症患者における、エゼチミブと比較したLDL−Cに対するヒト抗PCSK9抗体の忍容性および有効性を評価するための無作為化研究
この研究の目的は、有効量のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を忍容できない高コレステロール血症患者における、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)のベースラインからのパーセント変化について、エゼチミブと比較したヒト抗PCSK9抗体(モノクローナル抗体21B12)の12週間の皮下投与(SC)の効果を評価することである。
この研究は、ヒト抗PCSK9抗体、モノクローナル抗体21B12に対する無作為化、層別化、並列群臨床試験である。150人の対象を登録することが計画される。すべての試験対象患者基準/除外基準を満たす対象が、モノクローナル抗体21B12を280mg、350mg、もしくは420mgで4週間ごと皮下投与(4週間に1回、皮下投与)、モノクローナル抗体21B12を420mgで4週間ごと皮下投与とともにエゼチミブを10mgで毎日(QD)経口投与(PO)、またはプラセボを4週間ごと皮下投与とともにエゼチミブを10mgで毎日経口投与の5つの処置群への均等な割り当てにより無作為化される。無作為化は、LDL−Cレベル(130mg/dL[3.4mmol/L]未満対130mg/dL以上)をスクリーニングし、ベースラインでスタチンの使用(はい対いいえ)により層別化される。無作為化は、適格性を判定するために使用されるスクリーニングLDL−C評価から5〜10日間以内に行われるべきである。モノクローナル抗体21B12およびプラセボは、盲検化される。エゼチミブは、盲検化されない。研究来院は、2、4、8、および12週目である。モノクローナル抗体21B12またはプラセボの最終投与は、8週目である。研究終了時来院および脂質の最終評価は、12週目である。
18歳以上75歳以下の男性および女性が、この研究に適格である。対象は、少なくとも1つのスタチンを試行していなければならず、筋肉痛または筋障害のため、アトルバスタチン70mg以下、シンバスタチン140mg以下、プラバスタチン140mg以下、ロスバスタチン35mg以下、ロバスタチン140mg以下、フルバスタチン280mg以下のような、1週間の総最大用量を上回るいかなる用量またはスタチン投与の増加にも耐えられなくなっていなければならない。列記されていないスタチンについては、1週間の最大総用量は、最小の利用可能な錠剤サイズの7倍を超えるべきではない。スタチンが中止されたか、または用量が低減されたときに、症状は、消散されていなければならない。スタチン(上に定義された最大用量を超えない)、胆汁酸封鎖樹脂、および/またはスタノールでの治療を受けている場合、用量(複数可)は、LDL−Cスクリーニング前の少なくとも4週間安定していなければならない。対象は、スクリーニングの開始時に、エゼチミブを常用している場合、エゼチミブは、LDL−Cスクリーニング前の4週間以上中止しなくてはならない。それらのリスク分類に応じて(NCEP ATP IIIの治療目標に基づく)、対象は、スクリーニング時、以下の空腹時のLDL−C(中央検査室で)基準を満たさなければならない:冠状動脈性心臓病(CHD)であると診断されたもしくはCHDと同等の危険を有する対象については100mg/dL(2.6mmol/L)以上、CHDであると診断されないもしくは同等の危険を有さず、2つ以上の危険因子がない対象については130mg/dL(3.4mmol/L)以上、CHDであると診断されないもしくは同等の危険を有さず、1つの危険因子を有する、もしくは危険因子がない対象については160mg/dL(4.1mmol/L)以上。空腹時のトリグリセリドは、スクリーニング時、中央実験室分析で示されるように、400mg/dL(4.5mmol/L)以下でなければならない。
予備的データ(データは示さず)は、280mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、38.79%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、40.01%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少でを有し、420mgの21B12で処置された対象が、ベースラインからのLS平均パーセントのLDL−Cの減少で50.63%を有したことを示した。予備的データは、280mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、27.38%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、16.04%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、23.84%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した。予備的データは、280mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、8.62%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、4.62%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有し、420mgの21B12で処置された対象が、7.55%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有したことを示した。予備的データは、280mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、31.02%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、38.14%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、37.27%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した。予備的データは、280mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、15.35%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、19.22%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、19.55%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した。予備的データは、280mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、31.03%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、34.46%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、42.23%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した。予備的データは、280mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、39.92%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、42.86%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、53.49%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した。
実施例24
10年間のフラミンガムリスクスコアが10%以下の高コレステロール血症患者における、LDL−Cに対するヒト抗PCSK9抗体の忍容性および有効性を評価するための無作為化、プラセボおよびエゼチミブ対照化、投与量範囲研究
この研究の目的は、10年間のフラミンガムリスクスコアが10%以下の高コレステロール血症患者において単剤療法として使用されるとき、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)のベースラインからのパーセント変化に対してプラセボと比較した2週間ごと(Q2W)または4週間ごと(Q4W)のヒト抗PCSK9抗体(モノクローナル抗体21B12)の12週間の皮下投与(SC)の効果を評価することであった。
この研究は、ヒト抗PCSK9抗体、モノクローナル抗体21B12に対する無作為化、層別化、プラセボおよびエゼチミブ対照化、並列群用量範囲臨床試験であり、411人の対象を登録した。すべての試験対象患者基準/除外基準を満たす対象が、モノクローナル抗体21B12の6つの投与レジメン(70mg、105mg、もしくは140mgで2週間ごとに皮下投与、または280mg、350mg、もしくは420mgで4週間ごとに皮下投与(4週間に1回、皮下投与)のうちの1つ、2週間ごともしくは4週間ごとのいずれかでの皮下投与を伴うプラセボ、または毎日(QD)経口投与(PO)を伴うエゼチミブの9つの処置群への均等な割り当てにより無作為化された。無作為化は、LDL−Cレベル(130mg/dL[3.4mmol/L]未満対130mg/dL超)をスクリーニングすることによって層別化された。無作為化は、適格性を判定するために使用されるスクリーニングLDL−C評価から5〜10日間以内になされた。研究来院は、対象が、2週間ごとに皮下投与または4週間ごとの処置もしくはエゼチミブを受けるかどうかを問わず、2週間ごとであった。モノクローナル抗体21B12の3つの2週間ごとの投与群および1つの2週間ごとのプラセボ群が互いに対して盲検化され、3つの4週間ごとの投与群および1つの4週間ごとのプラセボ群が互いに対して盲検化された。エゼチミブは、盲検化されなかった。研究終了時来院および脂質の最終評価は、4週間ごとのIPスケジュールの対象については、12週目であり、2週間ごとのIPスケジュールの対象については、14週目であった。
18歳以上75歳以下の男性および女性が、この研究に適格であった。スクリーニング時の中央実験室で、空腹時のLDL−Cは100mg/dL(2.6mmol/L)以上で190mg/dL(4.9mmol/L)未満であり、空腹時のトリグリセリドは400mg/dL(4.5mmol/L)以下であった。対象は、全米コレステロール教育プログラムの成人治療パネルIII(National Cholesterol Education Panel Adult Treatment Panel III)(NCEP ATP III)の10%以下のフラミンガムリスクスコアを有した。
主要評価項目は、12週目でのLDL−Cのベースラインからのパーセント変化であった。副次的評価項目には、アポリポタンパク質B(ApoB)、リポタンパク質(a)(Lp(a))のパーセント変化、および総コレステロールの高密度リポタンパク質(HDL)−Cに対する比率のパーセント変化が含まれた。忍容性および安全性も評価された。
予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、41.21%のLDL−Cのベースラインからの平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、45.44%のLDL−Cのベースラインからの平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、51.56%のLDL−Cのベースラインからの平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。
予備的データは、280mgの21B12(4週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、37.53%のLDL−Cのベースラインからの平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、42.16%のLDL−Cのベースラインからの平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、47.52%のLDL−Cのベースラインからの平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。
最終データは、12週目で、21B12を受けている対象が、最大51%のLDL−Cのベースラインからの最小二乗(LS)平均パーセントの減少を有し(表12)、エゼチミブに対するベースラインからのパーセント変化が14%であったことを示した。12週目までのベースラインからの変化は、プラセボを用いたものよりも21B12を用いたものが最大72mg/dL多かった。21B12を受けている対象は、プラセボよりもベースラインからのLDL−Cの減少が37%〜53%多く、エゼチミブよりも37%多かった。ApoB(最大44%)、Lp(a)(最大29%)、および総コレステロール/HDLの比率(最大38%)に対するベースラインからの平均減少は、プラセボを用いたものより21B12を用いたものが多かった。
実施例25
高コレステロール血症患者における、HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤と組み合わせたLDL−Cに対するヒト抗PCSK9抗体の忍容性および有効性を評価するための二重盲検、無作為化、プラセボ対照、用量範囲研究
この研究の目的は、高コレステロール血症を患っている対象において、HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、スタチン)に加えて使用されるとき、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)のベースラインからのパーセント変化に対する、プラセボと比較したヒト抗PCSK9抗体(モノクローナル抗体21B12)の2週間ごと(Q2W)または4週間ごと(Q4W)の12週間の皮下投与(SC)の効果を評価することである。
この研究は、631人の対象を登録する、ヒト抗PCSK9抗体、モノクローナル抗体21B12に対するの二重盲検、無作為化、層別化、プラセボ対照、並列群用量範囲臨床試験である。エゼチミブを用いてまたは用いることなく、少なくとも4週間スタチンを安定な用量で常用し、すべての試験対象患者基準/除外基準を満たす対象が、モノクローナル抗体21B12の皮下投与(SC)(70mgで2週間ごと、105mgで2週間ごと、140mgで2週間ごと、280mgで4週間ごと、350mgで4週間ごと、420mgで4週間ごと、プラセボで2週間ごと皮下投与、またはプラセボで4週間ごと皮下投与)の8つの処置群への均等な割り当てにより無作為化される。無作為化は、LDL−Cレベル(130mg/dL[3.4mmol/L]未満対130mg/dL以上)をスクリーニングし、ベースラインでエゼチミブの使用(はい対いいえ)により層別化される。無作為化は、適格性を判定するために使用されるスクリーニングLDL−C評価から5〜10日間以内になされるべきである。研究来院は、対象が、2週間ごとに皮下投与または4週間ごとの処置を受けるかどうかを問わず、2週間ごとである。モノクローナル抗体21B12の3つの2週間ごとの投与群および1つの2週間ごとのプラセボ群が互いに対して盲検化され、3つの4週間ごとの投与群および1つの4週間ごとのプラセボ群が互いに対して盲検化される。研究終了時来院および脂質の最終評価は、4週間ごとのIPスケジュールの対象については、12週目で、2週間ごとのIPスケジュールの対象については、14週目である。
18歳以上80歳以下の男性および女性が、この研究に適格である。登録のためには、
対象は、エゼチミブを用いてまたは用いることなく、LDL−Cスクリーニング前の少なくとも4週間安定な用量で、漸増を必要とせず、スタチンを常用していなければならない。スクリーニング時、空腹時のLDL−Cは、85mg/dL(2.2mmol/L)以上でなければならない。85mg/dL(2.2mmol/L)以上で100mg/dL(2.6mmol/L)未満の空腹時のLDL−Cのスクリーニングを伴う対象の登録は、全体の計画された登録のうちの約20%以下に限定される。空腹時のトリグリセリドは、スクリーニング時、中央実験室分析で判定されるように、400mg/dL(4.5mmol/L)以下でなければならない。
予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、39.22%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、56.38%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、68.76%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、21.17%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、33.41%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、33.87%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、21.17%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、6.80%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、8.43%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、14.84%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、12.75%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、45.14%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、7.20%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、5.65%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、17.60%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、36.20%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、51.20%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、64.61%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、70mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、26.33%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、105mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、36.91%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、140mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、46.17%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。
予備的データは、280mgの21B12(4週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、42.62%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12で処置された対象が、投与間隔の終了時に、56.84%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12で処置された対象が、52.19%のLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、280mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、22.54%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、29.43%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、23.29%のLp(a)のベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、280mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、2.17%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有し、350mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、6.92%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有し、420mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、7.42%のHDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの増加を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、280mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、18.12%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、20.89%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、28.66%のVLDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、280mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、6.75%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、9.17%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、11.13%のトリグリセリドのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、280mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、38.89%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、50.83%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、48.54%の非HDL−CのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。予備的データは、280mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、28.08%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、350mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、投与間隔の終了時に、36.04%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有し、420mgの21B12(2週間ごと)で処置された対象が、42.76%の総コレステロールのベースラインからのLS平均パーセントの減少を有したことを示した(データは示さず)。
実施例26
PCSK9 ABPは、スタチンの存在下でLDLRをさらに上方制御した
この実施例は、スタチンの存在下で使用されるとき、PCSK9に対するABPは、LDLRの利用可能性のさらなる増加をもたらしたことを示し、2つの併用によりさらなる利益が達成され得ることを示す。
10%のウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM中でHepG2細胞を播種し、約90%の集密度になるまで増殖させた。3%のFBSを含むDMEM中で指示された量のメビノリン(スタチン、Sigma)およびPCSK9 ABP(図12A〜12C)で細胞を48時間処理した。全細胞溶解物を調製した。ゲル電気泳動によって50mgの総タンパク質を分離し、PVDF膜に転写した。ウサギ抗ヒトLDL受容体抗体(Fitzgerald)またはウサギ抗ヒトb−アクチン抗体を用いて、免疫ブロットを行った。増強された化学発光の結果を、図12A〜12Cの上部パネルに示す。ImageJソフトウェアによって、バンドの強度を定量化し、b−アクチンによって正規化した。LDLRの相対的レベルを、図12A〜12Cの下部パネルに示す。ABP21B12および31H4は、PCSK9中和抗体であるのに対して、25A7.1は非中和抗体である。
HepG2−PCSK9細胞も作製した。これらは、ヒトPCSK9でトランスフェクトされた安定なHepG2細胞株であった。10% ウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM中で細胞を播種し、約90%の集密度になるまで増殖させた。3%のFBSを含むDMEM中で指示された量のメビノリン(Sigma)およびPCSK9 ABP(図12D〜12F)で細胞を48時間処理した。全細胞溶解物を調製した。ゲル電気泳動によって50mgの総タンパク質を分離し、PVDF膜に転写した。ウサギ抗ヒトLDL受容体抗体(Fitzgerald)またはウサギ抗ヒトb−アクチン抗体を用いて、免疫ブロットを行った。増強された化学発光の結果を、上部パネルに示す。ImageJソフトウェアによって、バンドの強度を定量化し、b−アクチンによって正規化した。
図12A〜12Fに示される結果から見られ得るように、中和抗体の増加する量およびスタチンの増加する量は、LDLRのレベルの増加を一般にもたらした。ABPの増加するレベルの有効性のこの増加は、細胞がPCSK9でもトランスフェクトされており、ABPがより大きな程度までその有効性を示すことができる図12D〜12Fにおいて特に明瞭である。
興味深いことに、図12D〜12Fないし12A〜12Cの比較の結果によって示されるように、LDLRレベルに対するABP濃度の影響は、PCSK9が細胞によって産生された場合に劇的に増加した。さらに、中和ABP(21B12および31H4)が25A7.1 ABP(非中和物質)より、スタチンの存在下でさえ、LDLRレベルのより大きな増加をもたらしたことは明らかであり、スタチンおよびPCSK9に対するABPの両方を使用することによって、さらなる利益が達成され得ることを示す。
実施例27
コンセンサス配列
抗PCSK9 ABPのVHおよびVLに対応するCDRの標準的な系統発生学的分析を用いて、コンセンサス配列を決定した。VHまたはVLに対応する同じ配列内に隣接するCDRを保持することによって、コンセンサス配列を決定した。簡潔に言えば、比較アラインメントのプロセシングおよび系統発生の推論を容易にするために、VHまたはVLのいずれかの全可変ドメインに対応するアミノ酸配列をFASTAフォーマットに変換した。次に、VHまたはVLに対応する同じ配列内にCDRをなお隣接させながら、偶発的現象(例えば、共通の生殖系列フレームワークの継承を偶然共有する無関係の抗体等)に起因するアミノ酸位置重み付けバイアスを一切導入することなく、CDRのみの検査を行うことができるように、これらの配列のフレームワーク領域を、人工のリンカー配列(「bbbbbbbbbb」代用配列、非特異的な核酸構築物)と置き換えた。次いで、このフォーマットのVHまたはVL配列は、標準的なClutalW様アルゴリズムを使用するプログラム(Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Res.22:4673〜4680を参照)を用いて、配列相同性アラインメント検索に供された。8.0のギャップ生成ペナルティーが、2.0のギャップ伸長ペナルティーとともに使用された。同様に、このプログラムは、分岐長の比較およびグループ分けを介して配列群の相同性および相違を構築し、図解するために、UPGMA法(相加平均を用いた重み付けされていないペアグループ法)または隣接連結法(Saitou and Nei,1987,Molecular Biology and Evolution 4:406〜425を参照)のいずれかを用いて配列相同性アラインメントに基づいて系統樹(系統発生樹の図解)を作成した。いずれの方法も、類似の結果をもたらしたが、UPGMA法はより単純で、より保守的な一群の仮説を使用するので、UPGMAによって得られた系統樹が最終的に使用された。グループ内の個々の配列のうち、100残基当たり15未満の置換を有するとして、配列の類似のグループ(スケールに関しては、系統樹の図解中の注釈を参照)が定義された、UPGMAによって得られた系統樹を作成し、コンセンサス配列集合を定義するために使用した。比較の結果を図13A〜13Jおよび図48〜49に示す。図13Eでは、クレードを形成する軽鎖中の配列が、重鎖中でもクレードであり、15未満の置換を有するように、グループが選択された。
実施例28
PCSK9 ABP製剤の調製
UF/DF−限外濾過法/透析濾過法
薬物物質、例えば、抗体21B12および抗体11F1は、50cm2の大きさのMillipore Pellicon XLフィルター(再生セルロース、30,000分子量カットオフ)膜を使用して、ベンチスケールのMillipore TFF UF/DFシステムを用いて、安定剤を含む製剤緩衝液に緩衝液交換された。透析濾過ステップは、少なくとも10体積の透析濾過緩衝剤が交換されるまで行われた。一旦透析濾過ステップが完了すると、UF/DFシステムは、透析濾過モードに切り替えられ、それぞれの製剤は標的濃度レベルまで濃縮された。
UF/DFステップが完了した後、適切な量のポリソルベート20または80を1.0%(w/w)の新たに調製されたポリソルベート(「PS」)原液からそれぞれの製剤に添加し、所望のポリソルベート濃度を得た。
主要な容器に充填する前に、それぞれの製剤は、層流フード下で、0.2ミクロンのフィルターを用いて無菌濾過された。また、充填も無菌で行われ、適切な濾過器具を用いて手動または自動で行われた。
実施例29
低粘度を有する高濃度のPCSK9 ABP製剤
高濃度タンパク質の粘度に対する異なる賦形剤の効果を評価するために、粘度、安定性、および溶解性スクリーニングアッセイが、高濃度タンパク質製剤に対する賦形剤の粘度の調節物質を調べるために使用された。具体的には、例えば抗体21B12試料等のすべての試料の調製は、層流フード下で、無菌で行われた。試験されるべき試料の凍結乾燥により、高濃度タンパク質を達成するための簡易な方法を可能にした。1.5mLの70mg/mLのタンパク質(例えば21B12)を、3ccの凍結乾燥用ガラスバイアルに分注した。凍結乾燥は、VirTis実験室規模凍結乾燥機において一般的な凍結サイクルを用いて行われた。凍結乾燥緩衝剤は、1.0% スクロース、pH4.8を含む10mM L−グルタメートであった。凍結乾燥された試料(例えば、凍結乾燥された21B12試料)は、タンパク質の最終濃度が150〜200mg/mLになるまで、以下の表13に示される、約0.65mLの賦形剤緩衝剤を用いて個々に再構成された。再構成された試料は、溶解が完了するまで一晩放置した。次いで、以下に記載されるように、粘度を測定した。
粘度、安定性、溶解性のスクリーニングからの結果は、様々な賦形剤の添加後に21B12の粘度の変化を示した(図26)。スクリーニング目的のために使用されたすべての賦形剤が、溶液粘度を低下させたわけではなく、L−アラニン、グリセロール、硫酸ナトリウム、スクロース、および塩化亜鉛の添加は、対照試料と比較してはるかにより高い粘度をもたらした。例えば、L−アルギニン、カルニチン、クレアチニン、L−メチオニン、およびタウリン等のスクリーニングに使用された幾つかの賦形剤は、良好な粘度を調節する候補であると見受けられた。
特定のPCSK9 ABPの粘度に対する異なる製剤の効果を評価するために、21B12の組成物が、以下の表29.2に示される6つの異なる製剤中に製剤化された。すべての製剤中の21B12の濃度は、134mg/mLであった。組成物は、バイアル中に最終体積が1.0mLになるまで充填された。組成物は、室温(すなわち、25℃)でインキュベートされた。
21B12の透析および濃縮
もともと10mMの酢酸ナトリウム、9.0%(w/v) スクロース中の21B12からのスクロース除去は、約10mLの21B12をPierce Slide−A−Lyzer(Rockford,IL)透析カセットを加えて、完全な緩衝液交換のために4℃で3サイクル(2時間×2および16時間×1)、2Lの緩衝液に対して透析することによる透析を介して達成された。透析用緩衝液は、pH5.0で、(酢酸から作製された)10mM 酢酸ナトリウムを含有した。続いて、すべての試料は、Millipore Amicon UltraPrep Devices(Billerica,MA)を用いて濃縮され、試料体積が所望の濃度に必要とされる体積をわずかに下回るまで、Beckman Coulter Allegra 6R遠心分離機(Fullerton,California)中で、3000rpmで回転させた。
次いで、濃度決定は、Agilent8453分光光度計(Santa Clara,California)を用いて、A280で吸光度を測定することによって行われた。タンパク質濃度は、適切な減衰係数を用いて計算された。次いで、適切な量の緩衝液を試料に添加し、それが所望の濃度に下がるまで希釈し、別のA280を行って、この実験のための最終濃度を得た。
粘度を低下させる役割も果たし得る安定剤の添加:
プロリン、ベンジルアルコール、クレアチニン、メチオニン、タウリン等の賦形剤は、粘度を低下させるために試験された。これらの賦形剤は、高濃度原液からの21B12製剤試料に個々に添加された。
粘度の測定
粘度は、一定の25℃の循環水浴によって調節される試料カップの温度に合わさせながら、CPE−40スピンドルを備えるBrookfield LV−DVIIコーンおよびプレート粘度計(Middleboro,Massachusetts)を用いて測定された。500μLの試料を、ポジティブディスプレイスメントピペッターを用いて試料カップに加えた。試料カップを固定した後、スピンドルの回転速度を約80%のトルクが達成されるまで徐々に増加させた。この時点で、回転速度が停止し、粘度の読み出し、Rheocalcソフトウェアによって生成された。
これらの結果は、L−プロリン、ベンジルアルコール、クレアチニン、メチオニン、およびタウリンのすべてが、高濃度のPCSK9 ABP、21B12において有意な粘度を低下させる効果を有したことを示す(表14を参照)。
特定のPCSK9 ABPに対する異なる製剤の効果をさらに評価するために、21B12の組成物が、以下の表15に示される異なる製剤中で製剤化された。製剤は、以下の3つの群に分類される:(1)10mM 酢酸ナトリウム緩衝剤、pH5.2中の一連の様々な濃度の21B12、(2)それぞれの試料に添加される3%(約261mM) L−プロリンを含む、10mM 酢酸ナトリウム緩衝剤、pH5.2中の一連の様々な濃度の21B12、および(3)異なるpHレベル(4.0〜5.5)で、10mM 酢酸ナトリウム緩衝剤中の約117〜134mg/mLで濃縮された一連の21B12試料、さらに、NaClもしくはL−メチオニン/ベンジルアルコールの組み合わせのいずれかが添加された、10mM 酢酸ナトリウム緩衝剤、pH5.2中の2つの試料。
これらの結果は、L−プロリンが高濃度のPCSK9 ABP、21B12において有意な粘度を低下させる効果を有したことを示した(図27を参照)。
特定のPCSK9 ABPに対する異なる製剤の効果をなおさらに評価するために、21B12の組成物が、以下の表16に示される異なる製剤中で製剤化された。
これらの結果は、1.5%または2.0% プロリン(約131nM〜174mM プロリン)および1% ベンジルアルコールを用いて製剤化された21B12製剤が、高濃度のPCSK9 ABP、21B12において有意な粘度を低下させる効果を有したことを示す。
特定のPCSK9 ABPに対する異なる製剤の効果をなおさらに評価するために、21B12の組成物が、以下の表17に示される異なる製剤中で製剤化された。
これらの結果は、特定の安定剤/賦形剤を有する製剤を含む粘度を減少させる高濃度の21B12タンパク質を得る能力を示す(図28A〜28Dを参照)。具体的には、図28Aは、pH5.2で、25℃および40℃での、10mMの酢酸ナトリウム、9%のスクロースを含む製剤中の様々な濃度の抗PCSK9抗体、21B12の粘度を示すグラフである。
図28Bは、pH5.0で、25℃および40℃での、10mMの酢酸ナトリウム、125mMのアルギニン、および3%のスクロースを含む製剤と比較して、pH5.2で、25℃および40℃での、10mMの酢酸ナトリウムおよび9%のスクロースを含む製剤中の様々な濃度の抗PCSK9抗体、21B12の粘度を示すグラフである。
図28Cは、pH5.0で、25℃および40℃での、10mMの酢酸ナトリウム、100mMのメチオニン、および4%のスクロースを含む製剤と比較して、pH5.2で、25℃および40℃での、10mMの酢酸ナトリウムおよび9%のスクロースを含む製剤中の様々な濃度の抗PCSK9抗体、21B12の粘度を示すグラフである。
図28Dは、pH5.0で、25℃および40℃での、10mMの酢酸ナトリウムおよび250mMのプロリンを含む製剤と比較して、pH5.2で、25℃および40℃での、10mMの酢酸ナトリウムおよび9%のスクロースを含む製剤中の様々な濃度の抗PCSK9抗体、21B12の粘度を示すグラフである。
実施例30
高濃度11F1の粘度研究
表30は、25℃での様々な抗体濃度および様々な製剤中の11F1抗体の粘度を示す。
高濃度原液の11F1を、上の実施例29において21B12について記載されるように、同様に調製した。次いで、濃度決定は、Agilent8453分光光度計(Santa Clara,California)を用いて、A280で吸光度を測定することによって行われた。タンパク質濃度は、適切な減衰係数を用いて計算された。次いで、適切な量の緩衝剤を試料に添加し、それが所望の濃度に下がるまで希釈し、別のA280を行って、この実験のための最終濃度を得た。賦形剤を、高濃度原液から得られる11F1製剤に個々に加えた。
粘度は、一定の25℃の循環水浴によって調節される試料カップの温度に合わさせながら、CPE−40スピンドルを備えるBrookfield LV−DVIIコーンおよびプレート粘度計(Middleboro,Massachusetts)を用いて測定された。500μLの試料を、ポジティブディスプレイスメントピペッターを用いて試料カップに加えた。試料カップを固定した後、スピンドルの回転速度を約80%のトルクが達成されるまで徐々に増加させた。この時点で、回転速度が停止し、粘度の読み出しは、Rheocalcソフトウェアによって生成された。
高濃度タンパク質製剤は、時折、CP50−1スピンドルを備えた異なる種類の粘度計Anton Paar Physica Model MCR300を用いて測定された。この機器では、600μLの試料が使用され、Rheoplusソフトウェアバージョン3.4を使用して、溶液粘度を計算した。いずれの粘度計を使用しても測定には大きな差異がなかった。
表30中に示される結果は、特定の安定剤/賦形剤を有する製剤において比較的低い粘度を有する高濃度の11F1抗体を得る能力を示す。安定剤のメチオニン、プロリン、アルギニン、グリシン、セリン、およびアラニンを含む製剤は、特に低い粘度を示した。
実施例31
高濃度PCSK9 ABP製剤の安定性研究
高タンパク質PCSK9 ABP製剤に対する安定性の効果を評価するために、21B12の組成物が、以下の表31.1に示される異なる製剤中で製剤化された。製剤は、−30℃または4℃で、0週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、および1年間、指示された容器内でインキュベートされた。それぞれの製剤に関しては、それぞれの時点で、試料を、天然サイズ排除HPLC(SEC−HPLC)および光不明瞭化による不可視粒子検出(HIAC)によって抗体モノマーをモニタリングするためにそれぞれのパッケージから取り出した。
SEC−HPLC:
SEC−HPLCは、それらの流体力学的体積の差に基づいてタンパク質を分離する。より大きな流体力学的体積のタンパク質を有する分子は、より小さい体積を有する分子よりも早く溶出する。可変波長検出器を備えたAgilent HPLC上で、5μm 粒径を有するTSK−GEL G3000SWXL 7.8mm×300mmカラム(Tosoh Bioscience)を用いて、天然SEC−HPLCを行った。移動相は、100mM リン酸ナトリウム、250mM 塩化ナトリウム、pH6.8±0.1であった。流速は、0.5mL/分であった。カラム溶出液は、280nmでモニタリングされた。クロマトグラム内の積分ピーク面積を使用して、モノマーおよび高分子量種の分量を定量化した。
表31.2は、0週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、および6ヶ月間、X℃でインキュベートされた、表31.1中に列記される21B12製剤の天然SEC−HPLC分析の結果を示す。「高分子量(HMW)の割合(%)」は、試料中の高分子量21B12モノマーの分量を示す。これらの結果は、いかなる製剤の問題点も6ヶ月後に観察されなかったことを示すが、幾つかの高分子量種は、メチオニン製剤(すなわち、製剤2、5、および8)中で増加した。
不明瞭化による不可視粒子検出(HIAC):
液体試料採取装置を有する光不明瞭化センサー(HIAC/Royco HRLD−150または同等物)を含む電気液体伝達(liquid−borne)粒子計数システム(HIAC/Royco 9703または同等物)は、所与の試験試料中の粒子数およびそれらのサイズ範囲を定量化する。液体中の粒子が光源と検出器との間を通過する場合に、それらは、検出器上に位置する光線を減退させるか、または「不明瞭化する」。粒子の濃度がセンサーの正常な範囲内にある場合に、これらの粒子は、1つずつ検出される。それぞれの粒子の検出ゾーンの通過は、光検出器上の入射光を減少させ、光検出器の電圧出力が一過的に減少する。電圧の変化は、存在する粒子数に機器によって変換される電気パルスとして登録する。この方法は、非特異性であり、それらの起源に関わらず粒子を測定する。モニタリングされた粒径は、10μmおよび25μmであった。
この実施例では、HIAC分析が、4℃で保存された試料を用いて行われた。具体的には、表31.1中の21B12製剤の試料は、分子計数システムにおいて粒子として検出される可能性がある気泡を除去するために、真空処理に供された(「脱ガス」とも称される)。21B12試料に関しては、この方法は、この試料を75トール(約10kPa)で1〜2時間真空処理に供することであった。粒子計数は、脱ガスプロセスが完了してから2時間以内に行われた。
図29Aおよび29Bは、0週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、および6ヶ月間、容器内でインキュベートされた、上で特定された製剤についてのHIACアッセイの結果を示す。10μmおよび25μmの粒子が計数された。図29Aおよび29Bは、21B12の製剤のすべてがHIACで測定されるように安定していたことを示す。ガラスシリンジ内の製剤、すなわち、製剤4〜6が、タンパク質濃度および製剤にわたってより高いレベルの粒子を示したが、それらの粒子計数は、それぞれの粒径(10μmおよび25μm)に対してUSP限界値を下回る。10μm 粒子のUSP限界値は、1容器当たり6000であり、25μm 粒子では、1容器あたり600である。
実施例32
11F1の安定性研究
11F1の高濃度製剤(150mg/mL)を研究するために、幾つかの製剤が以下表32Aに示されるように、候補賦形剤を用いて作製された。製剤は、−30℃または4℃で、少なくとも6ヶ月間、指示された容器内で保存された。
高分子量種の割合(%)が、以下の表32Bに示される時点で、−30℃および4℃で保存後、サイズ排除HPLCによって評価された。簡潔に言えば、サイズ排除HPLCは、それらの流体力学的体積の差に基づいてタンパク質を分離する。より大きな流体力学的体積のタンパク質を有する分子は、より小さい体積を有する分子よりも早く溶出する。可変波長検出器を備えたAgilent HPLC上で、5μm 粒径を有するTSK−GEL G3000SWXL 7.8mm×30mmカラム(Tosoh Bioscience)を用いて、天然SEC−HPLCを行った。移動相は、100mM リン酸ナトリウム、250mM 塩化ナトリウム、pH6.8+/−0.1であった。流速は、0.5mL/分であった。カラム溶出液は、280nmでモニタリングされた。クロマトグラフ内の積分ピーク面積を使用して、モノマーおよび高分子量種の分量を定量化した
表32Bは、0週間、2ヶ月間、4ヶ月間、または6ヶ月間、4℃または−30℃でインキュベートした、表32A中に列記される11F1製剤の天然SEC−HPLC分析の結果を示す。「高分子量(HMW)の割合(%)」は、試料中の高分子量11F1モノマーの分量を示す。これらの結果は、いかなる製剤の問題点も最大6ヶ月までに観察されなかったことを示すが、幾つかの高分子量種は、−30℃で保存されたメチオニン製剤(すなわち、製剤3、および6)中で増加した。
さらなる高濃度11F1製剤の安定性は、下の表32Cに示されるように主要容器内で製剤を調製することによって評価された。
製剤は、4℃で1年間インキュベートされた。下の表32Dで示された時点で、試料は、それぞれの容器から取り出され、上の表32Bに記載されるように、SEC−HPLCによって分析された。
下の表32Eに示された時点で、試料はそれぞれの容器から取り出され、陽イオン交換HPLC(CEX−HPLC)によって分析された。陽イオン交換HPLCは、それらの表面電荷の差に基づいてタンパク質を分離する。設定されたpHで、11F1の荷電されたアイソフォームは、陽イオン交換カラム上で分離され、塩勾配を用いて溶出される。この溶離は、紫外吸光度によってモニターされる。荷電されたアイソフォームの分布は、総ピーク面積の割合(%)としてそれぞれのアイソフォームのピーク面積を決定することによって評価される。
可変波長検出器を備えたAgilent HPLC上で、10μm 粒径を有するDionex G3000SWXL 4.0mm ID×250mm カラム(Tosoh Bioscience)を用いて、天然CEX−HPLCを行った。移動相は、20mM MESの線形勾配、pH6.0+/−0.1、および500mM 塩化ナトリウムを含む同じ緩衝液であった。流速は、0.6mL/分であった。カラム溶出液は、280nmでモニタリングされた。クロマトグラフ内の積分ピーク面積を使用して、変化の異なるアイソフォームの分量を定量化した。
表32Dおよび32Eはいずれも、記載された11F1製剤が、4℃で最大1年間の保存で、高分子量の割合(%)の5%未満の増加(SEC−HPLC)または主要なアイソフォームピークの3〜5%未満の変動(陽イオンHPLC)を示したことを示す。つまり、両パラメータの変化は、非常に低く、このことは高度に安定した製剤であることを示す。
不明瞭化による不可視粒子検出(HIAC):
液体試料採取装置を有する光不明瞭化センサー(HIAC/Royco HRLD−150または同等物)を含む電気液体伝達(liquid−borne)粒子計数システム(HIAC/Royco 9703または同等物)は、所与の試験試料中の粒子数およびそれらのサイズ範囲を定量化する。液体中の粒子が光源と検出器との間を通過する場合に、それらは、検出器上に位置する光線を減退させるか、または「不明瞭化する」。粒子の濃度がセンサーの正常な範囲内にある場合に、これらの粒子は、1つずつ検出される。それぞれの粒子の検出ゾーンの通過は、光検出器上の入射光を減少させ、光検出器の電圧出力が一過的に減少する。電圧の変化は、存在する粒子数に機器によって変換される電気パルスとして登録する。この方法は、非特異性であり、それらの起源に関わらず粒子を測定する。モニタリングされた粒径は、10μmおよび25μmであった。
この実施例では、HIAC分析は、4℃で保存された試料を用いて行われた。具体的には、表32a中の11F1製剤の試料は、分子計数システムにおいて粒子として検出される可能性がある気泡を除去するために、真空処理に供された(「脱ガス」とも称される)。11F1試料に関しては、この方法は、この試料を75トール(約10kPa)で1〜2時間真空処理に供することであった。粒子計数は、脱ガスプロセスが完了してから2時間以内に行われた。
図30Aおよび30Bは、0週間および4ヶ月間、容器内でインキュベートされた上で特定された製剤についてのHIACアッセイの結果を示す。10μmおよび25μmの粒子が計数された。図30Aおよび30Bは、11F1の製剤のすべてがHIACで測定されるように安定していたことを示す。すべての製剤についての粒子計数は、それぞれの粒径(10μmおよび25μm)に対してUSP限界値を下回る。10μm粒子のUSP限界値は、1容器当たり6000であり、25μm粒子では、1容器あたり600である。
実施例33
11F1の結合特異性
このアッセイからの結果は、11F1がPCSK9に結合するが、PCSK1、PCSK2、PCSK7、またはフーリンには結合しないことを示し、このことはPCSK9に対する11F1の特異性を示す。
緩衝液A(25mM Tris、150mM NaCl、0.1% BSA、0.05% tween、pH7.5)中に希釈されたビオチン化されたPCSK9は、0.2μg/mLの濃度で、室温で1時間インキュベートされた、ニュートラアビジンで被覆された96ウェルプレートに結合された。別々に、(tweenを含まない緩衝液A中で希釈された)様々な濃度(0〜20μg/mLの範囲)のPCSK1、PCSK2、PCSK7、PCSK9、またはフーリン(R&D Systems,Minneapolis,MN)のいずれかを用いて、0.4μg/mLの11F1を、室温で1時間インキュベートした。4.5μg/mLのフーリン阻害剤は、すべてのフーリン含有反応物とともに含まれた。PCSK9で被覆されたストレプトアビジンプレートを、緩衝液Aで洗浄し、抗体/前駆タンパク質転換酵素の混合物を、プレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、ヤギαヒトFc−HRP(160ng/mL、緩衝液A中で希釈された)(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)によるインキュベーション、続いて、TMB基質によるインキュベーションによって、結合抗体を検出した。1N HClを用いて反応を停止させ、Spectramax Plus384分光光度計(Molecular Devices Inc.,Sunnyvale,CA)上で450nmの波長で吸光度を読み取った。
このアッセイは、溶液中の前駆タンパク質転換酵素の能力に依存して、プレートに捕捉されたPCSK9への11F1の結合に競合した。溶液中の11F1およびPCSK9の事前インキュベーションは、OD450の減少として検出された、プレートに捕捉されたPCSK9への11F1の結合の量を用量依存的かつ確実に減少させた(図31)。すべての結果は、前駆タンパク質転換酵素の濃度に対して平均OD450値±標準偏差として表された。溶液中のPCSK1、PCSK2、PCSK7、またはフーリンを用いた11F1の事前インキュベーションは、プレートに捕捉されたPCSK9への11F1の結合に著しい影響を受けなかった。したがって、研究されたタンパク質濃度で、11F1は、PCSK9にのみ結合し、試験された他の前駆タンパク質転換酵素ファミリーメンバーには結合しない。
実施例33
LDLR:PCSK9結合の11F1阻害の有効性
本実施例は、ナノモル濃度の11F1が、このアッセイの条件下でLDLRへのD374Yおよび野生型PCSK9の両方の結合を阻害することができることを示す。
簡潔に言えば、透明な384ウェルプレートを、4℃で一晩のインキュベーションによりPBS中で希釈された2μg/mLのヤギ抗LDL受容体抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN)で被覆した。緩衝液A(100mM カコジル酸ナトリウム pH7.5)を用いて、プレートを十分に洗浄し、室温で2時間、緩衝液B(緩衝液A中の1% 脱脂粉乳[Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA])で遮断した。洗浄後、緩衝液C(10mM CaCl2が補充された緩衝液B)中で希釈された0.4μg/mLのLDL受容体(R&D Systems,Minneapolis,MN)とともに、プレートを1.5時間室温でインキュベートした。このインキュベーションと同時に、20ng/mLのビオチン化されたD374Y PCSK9または100ng/mLのビオチン化された野生型PCSK9を、緩衝液A(D374Y PCSK9アッセイに対しては、6.0ng/mL〜200ug/mLの最終濃度または野生型PCSK9アッセイに対しては、3.1ng/mL〜25ug/mLの最終濃度)中で希釈された、様々な濃度の抗PCSK9抗体11F1とともにインキュベートした。LDLRで被覆したプレートを洗浄し、ビオチン化されたPCSK9/抗体の混合物を添加した。LDLRプレートを、室温で1時間インキュベートした。LDLRへのビオチン化されたPCSK9の結合を、ストレプトアビジン−HRP(緩衝液C中の500ng/mL)とともにインキュベートし、続いて、TMB基質とともにインキュベートすることによって検出した。1N HClを用いて反応を停止させ、SpectraMax Plus384分光光度計(Molecular Devices Inc.,Sunnyvale,CA)上で450nmの波長で吸光度を読み取った。GraphPad Prism(v4.01)ソフトウェアを用いて、OD450に対して抗体濃度のlogをプロットして、非線形回帰によるIC50値を決定した。
11F1は、LDLR:PCSK9結合を阻害した。D374Y PCSK9アッセイにおける11F1に対するIC50値は、7.3nM〜10.1nMの範囲であり、9.1nM±1.5nM(n=3)の平均(±標準偏差)を有した。野生型PCSK9アッセイにおける11F1に対するIC50値は、4.4nM〜8.1nMの範囲であり、5.9nM±1.9nM(n=3)の平均(±標準偏差)を有した。これらのIC50値は、結合アッセイに使用される組換えD374Y PCSK9または野生型PCSK9の量に依存していることに留意するべきである。D374Yおよび野生型アッセイの両方に対する代表的な用量反応曲線がそれぞれ、図32および図33に表される。
実施例34
細胞LDL取り込みを遮断する11F1の有効性
11F1は、インビトロでPCSK9とLDLRとの間の相互作用を遮断し、HepG2細胞中のPCSK9媒介によるLDL取り込みの減少を防ぐことができる。
簡潔に言えば、10% FBSおよび1%の抗生物質−抗真菌溶液(Mediatech Inc.,Herndon,VA)が補充されたDMEM(Mediatech Inc.,Herndon,VA)中の1ウェル当たり5×104細胞の濃度で、黒色透明底96ウェルプレート(Fisher Scientific CO LLC,Santa Clara,CA)中にヒトHepG2細胞を播種した。細胞を37℃(5% CO2)で一晩インキュベートした。D374Y PCSK9と抗体または野生型PCSK9と抗体との間で複合体を形成させるために、666.7nM〜0.7nM(D374Y PCSK9を遮断するため)または3.3μm〜3.3nM(野生型PCSK9を遮断するため)の11F1の段階希釈液(1:2)を、製剤緩衝剤(25mM HEPES、pH7.5、0.15M NaCL)中で調製した。D374Y PCSK9(2μg/mL)または野生型PCSK9(25μg/mL)のいずれかを、取り込み緩衝液(1% FBSを含有するDMEM)中で希釈し、様々な濃度の11F1または緩衝剤のみ(陰性対照)とともに、室温で1時間、振とうしながらインキュベートした。BODIPY−LDL(Invitrogen,Carlsbad,CA)を、12μg/mLの濃度になるまで取り込み緩衝液中で希釈した。一晩のインキュベーション後、HepG2細胞をDPBS(Mediatech Inc.,Herndon,VA)で2回すすいだ。25マイクロリットルのD374Y PCSK9または野生型PCSK9を、11F1と複合化し、25μLの希釈されたBODIPY−LDL(Invitrogen,Carlsbad,CA)を細胞に添加し、37℃(5% CO2)で3時間インキュベートした。細胞をDPBSで5回洗浄し、100μLのDPBS中に再懸濁した。480〜520nm(励起)および520〜600nm(発光)で、Safireプレートリーダー(Tecan Systems Inc.,San Jose,CA)を用いて、蛍光シグナルを検出し、相対蛍光単位(RFU)として表した。
GraphPad Prism(バージョン4.02、GraphPad Software Inc.,San Diego,CA)ソフトウェアを用いて、RFUに対して抗体濃度のlogをプロットし、シグモイド用量反応(可変勾配)の曲線適合プログラムを用いて非線形回帰によってEC50値を決定した。
この実施例は、11F1が、用量依存的様式において、HepG2細胞中のD374Y PCSK9または野生型PCSK9媒介によるLDL取り込みの減少を阻止したことを示す。HepG2細胞への組換え精製されたD374Y PCSK9(2μg/mL)または野生型PCSK9(25μg/mL)の添加はそれぞれ、未処理の細胞中で測定されたBODIPY−LDLの取り込みを約50〜60%および約40%のレベルまで減少させた。未処理の細胞中で観察されたレベルまで、抗体は、LDL取り込みを用量依存的に回復させた。D374Y PCSK9媒介によるLDL取り込みの減少を阻止するための11F1の能力に対する平均(±標準偏差)のEC50値は、35.3±9.1nMであった(n=6、図34)。野生型PCSK9媒介によるLDL取り込みの減少を阻止するための11F1の能力に対するEC50値は、124.2±28.5nMであった(n=3、図35)。これらのEC50値は、細胞アッセイに使用される組換えD374Y PCSK9または野生型PCSK9の量の関数であることに留意するべきである。野生型PCSK9(Cunningham et al,2007、Fisher et al,2007、Kwon et al,2008)のものよりもLDLRに対する結合親和性が5倍〜30倍高いため、このアッセイにおいてより少ないD374Y PCSK9が使用されたので、EC50値は、野生型PCSK9よりもD374Y PCSK9に対して低い。
ここで報告されたEC50値は、11F1に対する3〜6の別々の測定値から得られる平均値に対して代表的なものである。
実施例35
マウスモデルにおけるアデノ随伴ウイルスを介して発現されたヒトPCSK9を遮断する11F1および8A3の有効性
抗PCSK9抗体11F1または8A3の単回静脈内ボーラス投与は、AAVによりヒトPCSK9を発現するマウスにおける血清非HDL−CおよびTCの有意な減少をもたらす。この実施例は、インビボでのヒトPCSK9の機能を遮断する両方の抗PCSK9抗体の有効性を示す。
簡潔に言えば、ヒトPCSK9を発現する120匹のC57BL/6マウスが、ヒトPCSK9をコードする改変されたアデノ随伴ウイルス(AAV)の感染により生成され、上昇したレベルの循環する低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)をもたらした。血清コレステロール分析が、Cobas Integra 400 plus化学分析装置(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)を用いて行われた。動物が、同様レベルの非HDL−C(LDL−CおよびVLDL−C)、HDL−C、およびTCを有する処置群に無作為化された。処置0日目(T=0)において、一部のマウスを殺処分し、血清が回収され、その日のベースラインレベルを構築した。次いで、尾静脈投与を介して、11F1、8A3、または抗キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)IgG2対照抗体を30mg/kgで残りのマウスに投与した。注射後、1日〜5日目に、一部のマウスを殺処分し、大静脈から全血を回収し、室温で30分間凝固させた。卓上遠心分離機を用いて10分間12,000rpmで遠心分離後、血清を回収した。血清コレステロール分析は、Cobas Integra 400 plus化学分析装置を用いて行われた。
PCSK9の血清濃度を、サンドイッチELISAアッセイを用いて測定した。透明な96ウェルプレートを、1XPBS中で希釈された2μg/mLのモノクローナル抗PCSK9抗体(31H4)を用いて一晩被覆した。1XPBS/0.05% tweenを用いて、プレートを十分に洗浄し、3% BSA/1XPBSを用いて2時間遮断した。洗浄後、一般的なアッセイ希釈液(Immunochemistry Technologies,Bloomington,MN)中で希釈された血清とともに、プレートを2時間インキュベートした。組換えヒトPCSK9(1ng/mL〜500ng/mL)を同時にアッセイし、それぞれのELISAプレート上で標準曲線を生成するために使用した。ウサギポリクローナルビオチン化された抗PCSK9抗体(D8773,Amgen Inc,CA)を、1ug/mL(1% BSA/PBS中)で添加し、続いて、200ng/mL(1% BSA/PBS中)でニュートラアビジン−HRPを添加した。結合PCSK9を、TMB基質とともにインキュベートすることにより検出した。1N HClを用いて反応を停止させ、吸光度が、Spectra Max Plus 384分光光度計(Molecular Devices Inc,Sunnyvale,CA)上で、450nmで測定された。組換えヒトPCSK9を用いて生成された標準曲線(4−パラメータロジスティック適合)を使用して、血清試料中のPCSK9の対応する濃度を測定した。
抗体の血清濃度を、サンドイッチELISAアッセイを用いて測定した。ポリクローナルヤギ抗ヒトFc IgGおよびHRP標識ヤギ抗ヒトIgG Fcγポリクローナル試薬(ともに、Jackson ImmunoResearch Laboratories Incから市販、West Grove,PA)をそれぞれ、捕捉および検出抗体として使用した。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液を過酸化物と反応させ、西洋ワサビペロキシダーゼ(HRP)の存在下で、捕捉試薬によって結合された代表的な抗PCSK9抗体の量に比例した発色シグナルを生じさせた。色の強度(光学密度、OD)は、マイクロプレートリーダー(Spectra Max Plus 384)を用いて、450nm−650nmで測定された。別々に調製された標準曲線のロジスティック(自動推定)回帰を用いるWatson バージョン7.0.0.01(Thermo Scientific,Waltham,MA)データ整理パッケージを用いて、データを分析した。アッセイの定量下限(LLOQ)は、34.4ng/mLであった。
AAVマウスにおける薬物動態パラメータの算出
WinNonlin Enterprise,バージョン5.1.1(Pharsight,St.Louis,MO)を用い、それぞれの対象に対して事前に決定された公称時点(nominal time point)を用い、血清濃度に対する非コンパートメント分析(NCA)を行った。末端排出速度定数および半減期を推定するためのデータ点は、濃縮−時間プロファイルの目視検査により選択された。報告されたNCAパラメータには、見かけの半減期(t1/2)、時間ゼロから最後に測定された濃度(AUC0−t)までの血清濃度−時間曲線下面積、および見かけの血清クリアランス(CL0−t)が含まれる。AUC0−tは、線形対数線形台形法則を用いて決定され、CL0−tは、Dose/AUC0−tによって算出された。11F1、8A3、および31H4抗体については。研究後の用量溶液分析は、実際の用量が、30mg/kgの標的の20%以内であったことを示した。しかしながら、IgG2対照については、分析は、実際の用量が、意図された標的のわずか40%であったことを示した。したがって、12mg/kgの訂正された用量が、IgG2対照用のCL0−t算出のために使用された。パラメータは、2つの有意な統計に対して報告された半減期を除いては、3つの有意な統計に対して報告された。
統計分析
すべてのコレステロール結果は、平均±標準誤差として表された。すべての薬物動態学的データは、平均±標準偏差として表された。一元配置ANOVAによって決定された0.05のp値を閾値として使用して、同じ時点で、抗KLH IgG2対照抗体を注射された動物と抗PCSK9抗体を投与したものとの間の統計的優位性を決定した。
血清非HDL−C、HDL−C、およびTCに対する抗PCSK9抗体の効果
ベースラインを構築するために、ヒトPCSK9を発現する一部のマウスを抗体の注射前に殺処分し、血液を回収した。これらの動物における非HDL−C、HDL−C、およびTCレベルはそれぞれ、33±4、117±4、および183±9mg/dL(平均±平均誤差)であった。ナイーブ動物におけるPCSK9のレベルは、4921ng/mL±2044ng/mLであると判定された。
抗KLH IgG2対照抗体を注射されたマウス(対照動物)と比較して、11F1の注射は、注射してから1、2、および4日目に、非HDL−Cの有意な低下を生じ(59%の最大値を有する)、その一方で、TCは、4日目のみ(22%まで)有意に低下した(図36、図37)。いかなる時点でも、HDL−Cの有意な低下は観察されなかった(図38)。
対照動物と比較して、8A3の注射は、注射してから1、2、および4日目に、非HDL−Cの有意な低下を生じ(65%の最大値を有する)、その一方で、TCは、注射してから2日目に(24%の最大値を有する)有意に低下した(図36、図37)。いかなる時点でも、HDL−Cの有意な低下は観察されなかった(図38)。
薬物動態
30mg/kgの静脈内投与で、11F1および8A3は、非常に類似した薬物動態学的挙動を有した(図39)。これらの2つの分子については、AUC0−tの曝露量、推定されたCL0−t、および見かけの半減期が同等であった(図40の表)。抗KLH IgG2対照抗体は、11F1および8A3よりも予想外に低いAUC0−tの曝露量を有したが、これは、意図された用量よりも低い抗体が投与されたためである可能性が高い(30mg/kgとは対照的に12mg/kg、用量溶液分析は、抗体濃度が標的の40%であることを示した。抗KLH IgG2対照抗体CL0−tは、訂正された用量を用いて算出された場合、11F1および8A3のものと同様であり、120時間を超える抗KLH IgG2対照抗体の見かけの半減期が推定された。AAVモデルにおいて投与された他の抗体と比較した場合に、11F1および8A3のCL0−t値が抗KLH IgG2対照抗体に対してより類似しているため、抗体配置に対するPCSK9リガンドの影響が、11F1および8A3に対してあまり生じないことをこれらのデータは示唆した。
要約
マウスにおけるAAVによるヒトPCSK9の発現(約5μg/mL)は、約33mg/dLの血清非HDL−Cレベルにおいて生じた。30mg/kgの11F1の注射後、有意な血清非HDL−Cの低下が、注射から1、2、および4日目に観察された(対照動物と比較して、59%の最大値を有する)。TCの有意な低下は、4日目のみに見られた。8A3の注射は、対照動物と比較して、65%の最大値で非HDL−Cを低下させる類似パターンを生じた。しかしながら、8A3投与は、24%の最大値で、注射してから2日目のみ、有意なTC低下をもたらした。11F1または8A3のいずれを投与した動物においても、HDL−Cの有意な低下は観察されなかった。11F1および8A3の血清抗体レベルの分析は、抗KLH IgG2対照抗体に対して同様のプロファイルを示した。
実施例36
カニクイザルにおける血清脂質に対する11F1、21B12、および8A3の単回皮下投与の効果
カニクイザルに対する11F1、8A3、または21B12の単回皮下投与は、血清LDL−CおよびTCの有意な低下をもたらす。この研究は、非ヒト霊長類における血清コレステロールを低下させる抗PCSK9抗体の能力を示した。
簡潔に言えば、ナイーブ雄カニクイザルを、実験前の少なくとも2週間、それらの環境に順化させた。動物は、血清TC、HDL−C、LDL−C、トリグリセリドレベル、および体重の選別に基づいて処置群に無作為化された。1週間後、動物を一晩絶食させ、T=0の指定された時点でベースラインの血清脂質レベルの測定のために、末梢血管系(橈側皮または伏在静脈)から出血させた。次いで、動物に、0.5mg/kg(すべて、0.4mL/kg体重)で、抗KLH IgG2対照抗体、11F1、21B12、または8A3のいずれかを皮下投与した(すべて、10mM NaOAc pH5.2、9% スクロースの量で)。次いで、空腹時の血液試料を、45日間にわたって、指定された時点で動物から採取した。
指定の時点で、一晩の絶食条件下の動物から、末梢血管系(橈側皮または伏在静脈)から、血液を採取した。室温で30分間、全血を凝固させた。20分間3,000rpmで遠心分離した後、血清を採取した。直接血清コレステロール分析を、Cobas Integra 400分析装置(Roche Diagnostics Inc,Indianapolis,IN)を用いて行った。以下の手法を用いて、Anilytics,MDにより指定の時点(0、3、6、15、24、および33日目)で、アポリポタンパク質B血清レベルを決定した。17μLの試料のアリコート(調製なし)は、6点標準曲線を用い、Hitachi 717Analyzerを用いた分析用に使用した。試料の初期値が標準的な曲線の線形性よりも高かった場合、試料は、希釈され、適切な希釈係数によって乗じられた結果を反復した。アッセイ用の試薬(APO−B試薬キット#86071、抗体セット#86060、対照セット#86103)は、DiaSorin(Stillwater,MN)から得た。
34.4〜3000ng/mLのアッセイ範囲(34.4ng/mLが定量下限[LLOQ]である)を有する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、血清中の抗体濃度を決定した。
Watson(登録商標)LIMS,version7.0.0.01(Thermo Scientific,Waltham,MA)を用い、それぞれの対象に対して事前に決定された公称時点(nominal time point)を用いて、血清濃度に対する非コンパートメント分析(NCA)を行った。末端排出速度定数および半減期を推定するためのデータ点は、濃縮−時間プロファイルおよび最良線形当てはめの目視検査により選択された(一般には、360時間から抗体濃度が定量下限にまで下落するまで)。報告されたNCAパラメータには、末端半減期(t1/2,z)、最大血清濃度(Cmax)、時間ゼロから無限大までの血清濃度時間曲線下面積(AUC0−∞)、および見かけの血清クリアランス(CL/F)が含まれる。AUC0−∞は、線形の対数線形台形法を用いて算出した。すべてのパラメータは、2つの有意な統計に対して報告された半減期を除いては、3つの有意な統計に対してすべて報告された。
統計分析
ベースラインを共変量として見なし、処置群を母数効果として見なす統計的モデルを、LDL−C、HDL−C、TC、およびトリグリセリドに対するそれぞれの時点で対数変換した反応に当てはめた。Tukeyの多重比較補正は、それぞれの時点で、ペアワイズ比較(pair wise comparison)を調整するために適用した。統計的有意性は、調整したp値を用いて、α=0.05で評価された。
血清LDLコレステロールに対する11F1、21B12、および8A3の効果
11F1に対する最大のLDL−C低下が、注射してから9日間後に観察され、抗KLH IgG2対照抗体で処置したサル(対照動物)と比較して、LDL−Cが57%低下した。LDL−Cは、27日目に対照動物において観察されたものと同様のレベルまで戻った。21B12に対する最大のLDL−C低下が、注射してから3日後に観察され、対照動物と比較して、LDL−Cが64%低下した。LDL−Cは、6日目に対照動物と同様のレベルまで戻った。8A3に対する最大のLDL−C低下が、注射してから4日後に観察され、対照動物と比較して、LDL−Cが54%低下した。LDL−Cは、27日目に対照動物において観察されたものと同様のレベルまで戻った(図41)。
血清総コレステロールに対する11F1、21B12、および8A3の効果
11F1に対する最大のTC低下が、注射してから9日間後に観察され、抗KLH IgG2対照抗体で処置したサル(対照動物)と比較して、TCが27%低下した。TCは、27日目に対照動物において観察されたものと同様のレベルまで戻った。21B12に対する最大のTC低下が、注射してから3日間後に観察され、対照動物と比較して、TCが20%低下した。TCは、4日目にビヒクルで処置したサルにおいて観察されたものと同様のレベルまで一時的に戻ったが、14日目〜18日目(両端の日を含む)の間で著しく低下した。8A3に対する最大のTC低下が、注射してから9日間後に観察され、対照動物と比較して、TCが22%低下した。TCは、30日目に対照動物において観察されたものと同様のレベルまで戻った(図42)。
血清HDLコレステロールおよびトリグリセリドに対する11F1、21B12、および8A3の効果
平均して、それぞれの時点で、11F1または8A3で処置された動物に対するHDL−Cまたはトリグリセリドは、抗KLH IgG2対照抗体で処置したサルにおいて観察されたものと有意に異ならなかった(α=0.05の有意水準に基づく)。しかしながら、21B12は、単一の時点(注射してから18日目)でHDL−Cの統計的に有意な変化を引き起こした(図43および図45)。
アポリポタンパク質B(ApoB)に対する11F1、21B12、および8A3の効果
血清ApoBレベルが、注射後、3、6、15、24、および33日目に測定された。11F1および8A3は、抗KLH IgG2対照抗体で処置したサルと比較して、3日目〜24日目でのApoB低下と関連していた(図46)。21B12は、3日目のみ統計的に有意に低いApoBレベルと関連していた。
11F1、21B12、および8A3の薬物動態プロファイル
処置による平均濃度時間プロファイルの要約プロットを748に示す。11F1、21B12、8A3、および抗KLH IgG2対照抗体を受けている動物に対して推定された平均薬物動態パラメータを図47の表に示す。
すべての群における抗体吸収は、一貫しており、抗体の皮下投与の特徴であった。CL/F、Cmax、およびAUC0−∞に関する21B12の薬学動態学的挙動は、21B12が同じ用量で投与された以前の研究において観察されたものと一致していた。11F1および8A3の薬物動態は、21B12とは有意に異なり、CL/Fの低下が観察され(21B12のCL/Fの約15%)、より長い半減期が推定された(21B12の40時間と比較して約200時間)。とりわけ、11F1および8A3の薬物動態は、互いに、そして、抗KLH IgG2対照抗体といずれも区別できなかった。これらのデータは、11F1および8A3がPCSK9に対して親和性がない抗KLH IgG2対照抗体と同じ曝露プロファイルを有すると考えると、11F1および8A3の体内動態が、21B12よりもPCSK9の標的との関連によりはるかに少ない範囲まで影響を及ぼすことを示唆する。
結果の要約
45日間の研究にわたって、TCおよびLDL−Cの統計的に有意な低下が、抗KLH IgG2対照抗体と比較して、11F1、21B12、または8A3を投与した動物において観察された。11F1は、2日目〜24日目(両端の日を含む)で(抗KLH IgG2対照抗体に対して)統計的に有意なLDL−C低下と関連していた。21B12は、包括的には、1日目〜4日目で(抗KLH IgG2対照抗体に対して)統計的に有意なLDL−C低下を示した。8A3は、包括的には、1日目〜24日目で(抗KLH IgG2対照抗体に対して)統計的に有意なLDL−C低下を示した。TCおよびApoBの変化は、すべての群でのLDL−Cにおいて観察された変化を反映した。11F1は、注射してから9日後、(同じ時点で抗KLH IgG2対照抗体に対して)LDL−Cの最大の低下(−57%)を達成した。21B12は、注射してから3日後、(同じ時点で抗KLH IgG2対照抗体に対して)LDL−Cの最大の低下(−64%)を達成した。8A3は、注射してから4日後、(同じ時点で抗KLH IgG2対照抗体に対して)LDL−Cの最大の低下(−54%)を達成した。21B12は、注射してから18日後、単一の時点で、HDL−Cが低下した。11F1または8A3投与後のHDL−Cレベルにおいて、統計的に有意な変化は観察されなかった。11F1、21B12、または8A3投与後のトリグリセリドレベルにおいて、統計的に有意な変化は観察されなかった。
実施例37
ホモ接合型家族性高コレステロール血症を患っている対象におけるLDL−Cに対するヒト抗PCSK9抗体の安全性、忍容性、および有効性を評価するための二部研究
研究設計:これは2つの部分を含む研究である。パートAは、非盲検、単一アームの多施設試験的研究である。パートBは、広範な登録を有するが、その他は、パートAと同一の設計である、ヒト抗体21B12の二重盲検、無作為化、プラセボ対照、多施設研究である。試験対象患者基準/除外基準および評価スケジュールはいずれも、パートAおよびBに対して同じである。
試験対象患者基準には、以下が含まれる:
・12歳以上65歳以下の男性および女性
・ホモ接合型家族性高コレステロール血症の診断
・少なくとも4週間の安定した脂質低下療法
・130mg/dL(3.4mmol/L)超のLDLコレステロール
・400mg/dL(4.5mmol/L)未満のトリグリセリド
・スクリーニング時、40kg以上の体重。
除外基準には、以下が含まれる:
・無作為化する8週間以内にLDLまたは血漿吸着法
・ニューヨーク心臓病協会(NYHA)のクラスIIIもしくはIVまたは最新の左心室駆出分画率が30%未満
・無作為化する3ヶ月以内に心筋梗塞、不安定狭心症、経皮冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈バイパスグラフト(CABG)、または脳卒中
・心臓手術または血管再開通術が予定されている
・非制御の心不整脈
・非制御の高血圧症。
評価スケジュールには、有害事象(AE)および有意な有害事象(SAE)データ、バイタルサイン、併用薬、実験室での試験等の収集が含まれるが、これらに限定されない。
試験対象患者基準/除外基準を満たす対象は、NCEPの成人治療パネルTLC(または同等の)食生活に従うように指示され、研究の期間を通して現行の脂質低下療法を維持することが要求される。
21B12製剤は、滅菌の透明無色な冷凍液として示される。それぞれの滅菌バイアルは、10mM 酢酸ナトリウム、9%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート20、pH5.2とともに製剤化された、1mLの送達可能な体積の70mg/mL 21B12で充填される。それぞれのバイアルは、単回使用のみのものである。プラセボは、透明無色の滅菌した無タンパク質冷凍液として同一の容器内に示され、10mM 酢酸ナトリウム、9%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート20、pH5.2として製剤化される。
パートAでは、4〜16人の対象が登録され、非盲検の21B12製剤(420mgで4週間ごと)を受ける。研究来院は、4週間ごとである。これらの来院は、有害事象(AE)および有意な有害事象(SAE)データ、バイタルサイン、併用薬、実験室での試験等の収集を伴う。空腹時脂質パネルが、21B12製剤による処置に反応したLDL−Cレベルの最下点を評価するために、6週目に収集される。21B12製剤は、1日目、4週間目、および8週間目に投与される。研究終了時来院(EOS)および脂質の最終評価は12週間目である。
約51人の新しい対象が、パートBに登録される。登録された対象は、420mgで21B12を4週間ごとに皮下投与またはプラセボを4週間ごとに皮下投与の2つの処置群への2:1での割り当てに無作為化される。無作為化は、ベースラインのLDL−Cレベルによって層別化される。研究来院は、4週間ごとにあり、2回の任意の来院は、2週間目および10週間目である。来院は、AEおよびSAEデータ、バイタルサイン、併用薬、実験室での試験等の収集を伴う。空腹時脂質パネルは、21B12処置に反応したLDL−Cレベルの最下点を評価するために、6週目に収集される。21B12製剤は、1日目、4週間目、および8週間目に投与される。研究終了時来院(EOS)および脂質の最終評価はすべての対象に対して12週間目である。
参照による組込み
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均等物
前記明細書は、当業者が本発明の実施を可能にするのに十分であると考えられる。前述の記載および実施例は、本発明のある特定の好ましい実施形態を詳述し、本発明者らによって想定される最良の様式を記載する。しかしながら、前記述が本文中でどれほど詳細に記載されているとしても、本発明は、多くの様式で実施することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそのあらゆる均等物に従って解釈すべきであることが理解されよう。