JP6164878B2 - 有機性廃水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機性廃水処理方法及び装置に関する。特に、屎尿と浄化槽汚泥などの有機性汚泥を含有する有機性廃水の処理に関する。
屎尿及び家庭用浄化槽で発生する有機性汚泥を含む有機性廃水の生物処理が行われている。屎尿及び家庭用浄化槽由来の有機性廃水には、夾雑物が多量に含まれるため、夾雑物を除去して脱水処理を行い、分離液を生物処理に供する。脱水処理により多量の有機性汚泥の脱水ケーキが発生するため、脱水ケーキの減容化が種々検討されている。また、脱水ケーキを助燃剤や堆肥として再利用するために、含水率の低減化が必要とされている。このため、有機性廃水に凝集剤を添加して、凝集フロックとして凝集させた後に脱水処理が行われている。
また、生物処理に先立つ脱水処理において、屎尿及び有機性汚泥を含む有機性廃水は全量が凝集剤添加後に脱水されるため、有機性排水中に含まれている有機物も除去されてしまう。有機性排水中に含まれている有機物は、後続の生物処理において微生物の栄養素となる水素供与体である。有機性廃水の全量脱水処理により、有機物が不足すると、生物処理が不十分となるため、通常はメタノールなどの水素供与体を多量に添加することが必要となる。
したがって、現状の屎尿及び有機性汚泥を含む有機性廃水の処理では、脱水処理に必要な凝集剤及び生物処理に必要な栄養源を多量に添加しなければならず、維持管理費が高額になっている。
特開昭63-7900号公報 特開平6-226290号公報 特開平11-33591号公報
本発明は、脱水処理と生物処理とを組み合わせた有機性廃水の処理において、発生する脱水ケーキの低含水率化及び減容化を達成しながら、維持管理費を低額に抑えることができる処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、脱水ケーキの低含水率化及び減容化を達成しながら、凝集剤の添加量を削減すると同時に、後続の生物処理に必要な水素供与体の添加量を削減することができる処理方法を提供する。
具体的には、尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を脱水処理した後に、生物処理する有機性廃水処理方法であって、(1)屎尿及び/又は有機性汚泥に余剰汚泥と、凝集剤とを添加した汚泥Aを脱水処理する工程と、(2)余剰汚泥及び凝集剤を添加せずに、屎尿及び/又は有機性汚泥を含む有機性廃水B(以後「汚泥B」と略す)を直接脱水処理する工程と、を切り替えて行うことを特徴とする有機性廃水処理方法を提供する。
前記工程(1)(2)に加えて、(3)余剰汚泥を添加せずに、屎尿及び/又は有機性汚泥に凝集剤を添加した有機性廃水C(以後「汚泥C」と略す)を脱水処理する工程及び/又は(4)余剰汚泥に凝集剤を添加した汚泥Dを脱水処理する工程を切り替えて行うこともできる。
前記凝集剤を添加せずに脱水処理する工程(2)の総時間は、凝集剤を添加する工程と添加しない工程との合計時間の60%以下とすることが好ましい。
前記余剰汚泥を添加せずに脱水処理する工程(2)及び(3)の総時間は、余剰汚泥を添加する工程と添加しない工程との合計時間の60%以下とすることが好ましい。
前記凝集剤は、無機凝集剤及び高分子凝集剤から選択される1種以上である。前記凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、高分子凝集剤を添加した後に無機凝集剤を添加するか、又は無機凝集剤を添加した後に高分子凝集剤を添加することができる。
前記余剰汚泥と凝集剤とを添加してから脱水処理する工程において、余剰汚泥の添加は、凝集剤を添加する前に行われることが好ましい。
本発明においては、前記混合汚泥の脱水処理によって得られる分離液を生物処理することが好ましい。
また、本発明によれば、屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を脱水処理した後に得られる分離液を生物処理する本発明の方法を実施するための有機性廃水処理装置が提供される。
一側面において、本発明の有機性廃水処理装置は、屎尿及び/又は有機性汚泥に凝集剤を添加する凝集反応槽と、当該凝集反応槽の下流に位置づけられている脱水装置と、当該屎尿及び/又は有機性汚泥を当該凝集反応槽に送る配管と、当該屎尿及び/又は有機性汚泥を、凝集反応槽を経由せずに、当該脱水装置に送るバイパス配管と、当該脱水装置にて得られる分離液を生物処理する生物処理装置と、当該生物処理装置において発生する余剰汚泥を、凝集反応槽又は凝集反応槽の直前に送る余剰汚泥送液配管(A)と、を具備する。
別の一側面において、本発明の有機性廃水処理装置は、屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を混合する混合槽と、屎尿及び/又は有機性汚泥、又は屎尿及び/又は有機性汚泥と余剰汚泥との混合汚泥に凝集剤を添加する凝集反応槽と、当該凝集反応槽の下流に位置づけられている脱水装置と、当該屎尿及び/又は有機性汚泥を当該凝集反応槽に送る配管と、当該屎尿及び/又は有機性汚泥を、凝集反応槽を経由せずに、当該脱水装置に送るバイパス配管と、当該脱水装置にて得られる分離液を生物処理する生物処理装置と、当該生物処理装置において発生する余剰汚泥を当該混合槽又は混合槽の直前に送る余剰汚泥送液配管(B)と、を具備する。
前記バイパス配管に、自動切替弁が設けられていることが好ましい。
さらに別の一側面において、本発明の有機性廃水処理装置は、凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構が設けられている凝集反応槽と、当該屎尿及び/又は有機性汚泥を凝集反応槽に送る配管と、当該凝集反応槽の下流に位置づけられている脱水装置と、当該脱水装置にて得られる分離液を生物処理する生物処理装置と、当該生物処理装置において発生する余剰汚泥を、凝集反応槽又は凝集反応槽の直前に送る余剰汚泥送液配管(A)と、を具備する。
またさらに別の一側面において、本発明の有機性廃水処理装置は、屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を混合する混合槽と、凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構が設けられている凝集反応槽と、当該凝集反応槽の下流に位置づけられている脱水装置と、当該脱水装置にて得られる分離液を生物処理する生物処理装置と、当該生物処理装置において発生する余剰汚泥を当該混合槽又は混合槽の直前に送る余剰汚泥送液配管(B)と、を具備する。
前記混合槽はラインミキサであることが好ましい。
前記凝集反応槽にドレン配管を設け、当該ドレン配管にドレン弁を設けることが好ましい。
前記生物処理装置からの余剰汚泥を凝集反応槽又は混合槽へ送る前に貯留する余剰汚泥貯留槽をさらに具備することができる。
本発明の有機性廃水処理装置は、屎尿及び/又は有機性汚泥を破砕する破砕装置をさらに具備し、予め破砕された屎尿及び/又は有機性汚泥を含む有機性廃水を処理対象とすることができる。
前記脱水装置は、凝集剤を添加した混合汚泥に対しては濃縮機として作用し、凝集剤を添加していない混合汚泥に対してはしさ分離機として作用するスクリーンと、当該スクリーンの下流に位置づけられている脱水機と、を含むことが好ましい。
前記脱水装置は、スクリーンとして機能する濃縮部と、当該濃縮部の後段に圧搾部と、を具備することが好ましい。
前記混合槽には、凝集剤を添加する凝集剤添加配管が接続されていることが好ましい。
本発明の有機性廃水処理方法によれば、発生する脱水ケーキの低含水率化及び減容化を達成しながら、脱水処理に必要な凝集剤添加量及び生物処理に必要な水素供与体としての薬品添加量を削減することができるので、維持管理費を削減できる。また、屎尿及び/又は有機性汚泥のみに凝集剤を添加した汚泥Cを脱水処理する工程、もしくは余剰汚泥のみに凝集剤を添加した汚泥Dを脱水処理する工程との切替を行う場合には、薬剤の添加量をさらに制御できるので、無駄がなく、維持管理費をさらに削減することができる。
本発明の一実施形態に係る有機性廃水の処理装置及び当該処理装置を用いた有機性廃水処理方法のフローの説明図である。 本発明の別の実施形態に係る有機性廃水の処理装置及び当該処理装置を用いた有機性廃水処理方法のフローの説明図である。 本発明の更に別の実施形態にかかる有機性廃水の処理装置及び当該処理装置を用いた有機性廃水処理方法のフローの説明図である。 本発明の更に別の実施形態にかかる有機性廃水の処理装置及び当該処理装置を用いた有機性廃水処理方法のフローの説明図である。 混合汚泥A及び汚泥Bの切り替え例を示す説明図である。 混合汚泥A、汚泥B及び汚泥Cの切り替え例を示す説明図である。 混合汚泥A、汚泥B及び汚泥Dの切り替え例を示す説明図である。 混合汚泥A、汚泥B、汚泥C及び汚泥Dの切り替え例を示す説明図である。
好ましい実施形態
図1〜4に、本発明の有機性廃水の処理装置の概略と当該処理装置を用いた処理フローの概略を示す。図1〜4において共通する構成要素には同じ符号を付し、類似する構成要素には添え字Aを付した。また、図1〜4は、本発明の有機性廃水処理装置の代表的な基本構成を示したものであり、相互に置換可能な構成要素を含む。以下の説明では、図1〜4に特有な構成を説明した後、共通する構成と、相違するが置換可能な構成とを説明する。
図1に示す屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を脱水処理した後に得られる分離液を生物処理するための有機性廃水処理装置は、屎尿受入槽及び浄化槽汚泥受入槽からの屎尿及び浄化槽汚泥(有機性汚泥)を一時貯留するための中継槽80と、屎尿及び/又は有機性汚泥に凝集剤を添加する凝集反応槽20と、凝集反応槽20の下流に位置づけられている脱水装置40と、屎尿及び/又は有機性汚泥を凝集反応槽20に送る配管30と、凝集反応槽20を経由せずに屎尿及び/又は有機性汚泥を脱水装置40に送るバイパス配管30Aと、脱水装置40の下流に位置づけられ、脱水装置40からの分離液を貯留する分離液貯留槽50と、分離液貯留槽50の下流に位置づけられ、分離液を生物処理する生物処理槽60と、生物処理槽60の下流に位置づけられている固液分離槽61と、固液分離槽61において発生する余剰汚泥を一時貯留するための余剰汚泥貯留槽65と、余剰汚泥を凝集反応槽20又は凝集反応槽20の直前に送る余剰汚泥送液配管(A)62−63と、を具備する。さらに、固液分離槽61からの汚泥を生物処理槽60に戻す汚泥戻し配管62A、及び、屎尿及び/又は有機性汚泥を中継槽80にて貯留する前に屎尿及び/又は有機性汚泥を予め破砕する破砕装置Cが設けられている。
図2に示す屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を脱水処理した後に得られる分離液を生物処理するための有機性廃水処理装置は、屎尿受入槽及び浄化槽汚泥受入槽からの屎尿及び浄化槽汚泥(有機性汚泥)を一時貯留するための中継槽80と、屎尿及び/又は有機性汚泥に凝集剤を添加する凝集反応槽20と、凝集反応槽20の下流に位置づけられている脱水装置40と、屎尿及び/又は有機性汚泥を凝集反応槽20に送る配管30と、凝集反応槽20を経由せずに屎尿及び/又は有機性汚泥を脱水装置40に送るバイパス配管30Aと、脱水装置40の下流に位置づけられ、脱水装置40からの分離液を貯留する分離液貯留槽50と、分離液貯留槽50の下流に位置づけられ、分離液を生物処理する生物処理槽60と、生物処理槽60の下流に位置づけられている固液分離槽61と、固液分離槽61において発生する余剰汚泥を、屎尿及び/又は有機性汚泥と混合する混合槽10と、固液分離槽61から余剰汚泥を混合槽10又は混合槽10の直前に送る余剰汚泥送液配管(B)62−64と、を具備する。さらに、固液分離槽61からの汚泥を生物処理槽60に戻す汚泥戻し配管62A、及び、屎尿及び/又は有機性汚泥を中継槽80にて貯留する前に屎尿及び/又は有機性汚泥を予め破砕する破砕装置Cが設けられている。混合槽10又はその直前の配管には、凝集剤を添加する凝集剤添加配管が接続されている。
図2に示す実施形態において、混合槽10は屎尿及び/又は有機性汚泥と余剰汚泥とを混合できるものであれば特に限定されず通常の混合槽を用いることができるが、装置構成が容易であるためラインミキサとすることが特に好ましい。ラインミキサとしては通常のラインミキサを制限なく用いることができるが、外部のモーターで駆動される撹拌翼を配管内に設けたラインミキサが好ましい。また、設置するラインミキサの数は、屎尿及び/又は有機性汚泥並びに余剰汚泥の処理量に応じて単数でも複数でもよい。
図1及び図2に示す装置において、配管30及びバイパス配管30Aには、切替弁V1及びV2がそれぞれ設けられており、屎尿及び/又は有機性汚泥の経路を切り替える。切替弁V1及びV2としては、公知の自動切替弁を用いることができ、例えば、空気作動弁、電磁弁、電動弁などを用いることができる。しかし、図1及び図2において、凝集反応槽として、凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構が設けられている凝集反応槽20Aを用いる場合には、凝集剤の添加の有無を凝集剤反応槽20Aにて制御することができるため、バイパス配管30A及び切替弁V1、V2を省略してもよい(図3及び図4参照)。また、図1及び図2において、配管30は中継槽80と接続しており、バイパス配管30Aは配管30から分岐しているが、配管30及びバイパス配管30Aを個別に中継槽80に接続させてもよい。この場合、切替弁V1、V2に代えて、配管30及びバイパス配管30Aに専用のポンプ又は破砕機を設けて、流れを切り替えてもよい。
図3に示す屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を脱水処理した後に得られる分離液を生物処理するための有機性廃水処理装置は、屎尿受入槽及び浄化槽汚泥受入槽からの屎尿及び浄化槽汚泥(有機性汚泥)を一時貯留するための中継槽80と、凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構が設けられている凝集反応槽20Aと、屎尿及び/又は有機性汚泥を凝集反応槽20Aに送る配管30と、凝集反応槽20Aの下流に位置づけられている脱水装置40と、脱水装置40の下流に位置づけられ、脱水装置40からの分離液を貯留する分離液貯留槽50と、分離液貯留槽50の下流に位置づけられ、分離液を生物処理する生物処理槽60と、生物処理槽60の下流に位置づけられている固液分離槽61と、固液分離槽61から余剰汚泥を凝集反応槽20A又は凝集反応槽20Aの直前に送る余剰汚泥送液配管(A)62−63と、を具備する。さらに、固液分離槽61からの汚泥を生物処理槽60に戻す汚泥戻し配管62A、及び、屎尿及び/又は有機性汚泥を中継槽80にて貯留する前に屎尿及び/又は有機性汚泥を予め破砕する破砕装置Cも設けられている。また、凝集剤反応槽20Aには、ドレン配管21が接続されている。ドレン配管21にはドレン弁V3が設けられている。ドレン配管21は、中継槽80に接続されている。
図4に示す屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を脱水処理した後に得られる分離液を生物処理するための有機性廃水処理装置は、屎尿受入槽及び浄化槽汚泥受入槽からの屎尿及び浄化槽汚泥(有機性汚泥)を一時貯留するための中継槽80と、凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構が設けられている凝集反応槽20Aと、凝集反応槽20Aの下流に位置づけられている脱水装置40と、脱水装置40の下流に位置づけられ、脱水装置からの分離液を貯留する分離液貯留槽50と、分離液貯留槽50の下流に位置づけられ、分離液を生物処理する生物処理槽60と、生物処理槽60の下流に位置づけられている固液分離槽61と、固液分離槽61からの余剰汚泥を屎尿及び/又は有機性汚泥と混合する混合槽10と、生物処理槽60及び固液分離槽61から余剰汚泥を混合槽10又は混合槽10の直前に送る余剰汚泥送液配管(B)62−64と、を具備する。さらに、固液分離槽61からの汚泥を生物処理槽60に戻す汚泥戻し配管62Aも設けられている。混合槽10又はその直前には、凝集剤を添加する凝集剤添加配管が接続されている。また、凝集剤反応槽20Aには、ドレン配管21が接続されている。ドレン配管21にはドレン弁V3が設けられている。ドレン配管21は、中継槽80に接続されている。
図4に示す実施形態において、混合槽10は屎尿及び/又は有機性汚泥と余剰汚泥とを混合できるものであれば特に限定されず通常の混合槽を用いることができるが、装置構成が容易であるためラインミキサとすることが特に好ましい。ラインミキサとしては通常のラインミキサを制限なく用いることができるが、外部のモーターで駆動される撹拌翼を配管内に設けたラインミキサが好ましい。また、設置するラインミキサの数は、屎尿及び/又は有機性汚泥並びに余剰汚泥の処理量に応じて単数でも複数でもよい。
図1〜4において、凝集反応槽20及び20Aは、屎尿及び/又は有機性汚泥と、添加した余剰汚泥及び凝集剤と、を撹拌混合して、凝集フロックを形成できればよく、公知の撹拌装置を具備する槽を用いることもできる。汚泥と凝集剤との混合は、汚泥の細部にまで凝集剤を均一に分散させるために、撹拌することが好ましい。これにより、凝集剤の添加量を削減でき、凝集汚泥が緻密になるため脱水処理後の脱水ケーキの含水率を低減できる。撹拌する手段としては、撹拌翼、シャフト、モーターから構成される通常の撹拌機を好適に挙げることができる。図1及び2においては、凝集剤添加制御機構を有していない凝集反応槽20としたが、凝集剤添加制御機構を有する凝集反応槽20Aとしてもよい。
図1〜4において、脱水装置40は、凝集剤を添加した汚泥A、C及びDに対しては濃縮機として作用し、凝集剤を添加していない汚泥Bに対してはしさ分離機として作用するスクリーン41と、スクリーン41の下流に位置づけられている脱水機42と、を含む。スクリーン41は、目幅0.7〜6mmを有することが好ましい。目幅が広すぎると、小さな夾雑物を除去できないため、しさ分離機として機能しない。目幅が狭すぎると、目詰まりにより流量負荷が過剰になる。スクリーン41は、回転式、重力式、加圧式のいずれの型式でもよい。脱水機42は、通常の脱水機、たとえば遠心脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリュープレス型脱水機、ロータリープレス型脱水機、電気浸透式脱水機などを用いることができる。特に、スクリュープレス脱水機は、低動力で低含水率を達成することができるので好ましい。スクリュープレス脱水機は、円筒形外筒の内部に、円筒形外筒と同心のスクリュー軸及びスクリュー羽根を備え、混合汚泥供給側の濃縮部と、円筒形外筒とスクリュー軸との間の空間が混合汚泥の進行方向に向かって次第に狭くなる脱水ケーキ排出側の圧搾部と、が形成されており、円筒形外筒に分離液排出用の複数の開孔を備える。軸摺動型スクリュープレス脱水機は、脱水汚泥出口方向と並行にスクリュー軸が移動し、脱水汚泥を強制排出する機構を有する。これらのスクリュープレス脱水機を用いることで、脱水ケーキの含水率を大幅に低下させることができる。また、独立したスクリーンと脱水機とを組み合わせてなる脱水装置だけでなく、スクリーン機能を奏する濃縮部を前段に含み、後段に圧搾部を含む、スクリーンと脱水機とが一体化されている脱水装置は、スクリーンを別途設ける必要がなく装置構成が簡易になるので好ましい。
図1〜4において、脱水装置40にて分離された分離液を貯留する分離液貯留槽50並びに生物処理槽60及び固液分離槽61は、通常の有機性廃水処理で用いられる装置でよい。固液分離槽61は固液分離機能を有するものであればよく、例えば、膜分離設備、遠心濃縮機、ベルト濃縮機に代えてもよい。また、固液分離槽61を設ける代わりに、生物処理槽に分離膜を設けてもよい。分離液貯留槽50は、分離液の組成変動を緩和するために、分離液を少なくとも0.5日間貯留できる容量を有することが好ましい。生物処理槽60は、脱窒素処理、嫌気性処理又は好気性処理を行う装置であることが好ましい。また、脱水装置40にて得られる含水率70%以下の脱水ケーキは、堆肥及び助燃剤として再利用できるため、用途に応じて適宜振り分ける脱水汚泥振分コンベア70を設けてもよい。
図1〜4に示す装置では、破砕後の屎尿及び/又は有機性汚泥を一時的に貯留する中継槽80、及び余剰汚泥送液配管(A)62−63又は余剰汚泥送液配管(B)62−64に余剰汚泥を一時貯留する余剰汚泥貯留槽65を設けているが、これらの槽は省略してもよい。
なお、本発明の処理装置の構成は上述の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限りにおいて種々変更してもよい。たとえば、凝集剤として高分子凝集剤を添加する場合には後段にリン回収装置を設けてもよい。図2及び4において、凝集反応槽20又は20Aの上流側に混合槽10を複数設けてもよい。図3及び4において、凝集反応槽20Aからのドレン配管21の接続先は、中継槽80として示しているが、前段にある屎尿及び浄化槽汚泥の受入槽でも、余剰汚泥貯留槽65でもよく、ドレン配管21及びドレン弁V3を設けなくてもよい。また、図1及び2において、バイパス経路30Aと切替弁V1及びV2を設けているが、バイパス経路30Aを中継槽80に接続させて、切替弁V1及びV2の代わりに専用のポンプや破砕装置を設けて切り替えるようにしてもよい。
次に、本発明の有機性廃水の処理方法を説明する。
処理対象となる有機性廃水は、屎尿及び/又は浄化槽汚泥(有機性汚泥)を含む。通常、屎尿及び浄化槽汚泥は、トイレットペーパーなどの夾雑物を含有しており、まず破砕処理が行われる。従来は、破砕後の夾雑物を除去する前処理が行われていたが、最近では前処理を行わず夾雑物を含有したままの屎尿及び浄化槽汚泥を処理することも行われている。本発明では、夾雑物の含有の有無にかかわらず、また、屎尿と浄化槽汚泥との混合比率にかかわらず、破砕の程度及び有無にかかわらず、屎尿及び/又は浄化槽汚泥を含む有機性廃水を処理対象とすることができる。
本発明の有機性廃水の処理方法は、(1)屎尿及び/又は有機性汚泥に、余剰汚泥と、凝集剤とを添加した汚泥Aを脱水処理する工程と、(2)余剰汚泥及び凝集剤を添加せずに、屎尿及び/又は有機性汚泥を含む汚泥Bを直接脱水処理する工程とを切り替えて行うことを特徴とする。汚泥Aと汚泥Bとの切り替えは、切替弁V1及びV2の開閉作動又は凝集反応槽20Aへの凝集剤の添加の有無によって行われる(図5参照)。
図1に示す処理装置でのフローを説明する。汚泥A及び汚泥Bの切り替えは、図5(a)〜(c)に示す。
屎尿及び/又は浄化槽汚泥(有機性汚泥)は受入槽から中継槽80に送られ、貯留される。切替弁V1を開放し、切替弁V2を閉鎖すると、屎尿及び/又は有機性汚泥(以下「有機性廃水」という)は、中継槽80から経路30を通って凝集反応槽20に送られる。凝集反応槽20には、余剰汚泥送配管63を通して余剰汚泥貯留槽65から生物処理において発生した余剰汚泥も送られる。凝集反応槽20にて、屎尿及び/又は有機性汚泥、及び余剰汚泥に凝集剤が添加され、汚泥Aが形成される。凝集フロックを含む汚泥Aは、脱水装置40に送られ、脱水処理されて、分離液と脱水ケーキとに分けられる。分離液は、分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
次に、切替弁V1を閉鎖して、切替弁V2を開放すると、有機性汚泥は、中継槽80からバイパス経路30Aを通って脱水装置40に直接送られる。余剰汚泥及び凝集剤が添加されていない汚泥Bは、脱水装置40のスクリーン41にて、しさ分が除去され、脱水機42にて脱水処理される。しさ分が除去された汚泥Bは、分離液として分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
図2に示す処理装置は、図1に示す処理装置に加えて、配管30において凝集反応槽20の上流側に、有機性廃水に、余剰汚泥貯留槽65からの余剰汚泥を混合する混合槽10を設けている。混合槽10には、高分子凝集剤を添加する凝集剤添加配管が接続されている。混合槽10では、高分子凝集剤の凝集力を低下させることなく、混合汚泥に均一に分散させ、混合汚泥の細部にまで浸透させ、混合汚泥の表面電荷の中和と、高分子の吸着又は架橋作用による凝集とを同時に行わせるため、混合汚泥と凝集剤とを1000回転/分以上の撹拌翼の回転数で撹拌することが好ましい。
図2に示す処理装置でのフローでは、切替弁V1を開放し、切替弁V2を閉鎖すると、中継槽80からの有機性廃水は、中継槽80から経路30を通って混合槽10に送られる。混合槽10には、余剰汚泥貯留槽65からの余剰汚泥も送られ、さらに凝集剤添加配管から高分子凝集剤が添加されて、有機性廃水と混合され、汚泥Aとなる。汚泥Aには、凝集反応槽20にてさらに凝集剤が添加され、凝集フロックが形成される。凝集フロックを含む汚泥Aは、脱水装置40に送られ、脱水処理されて、分離液と脱水ケーキとに分けられる。分離液は、分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
次に、切替弁V1を閉鎖して、切替弁V2を開放すると、有機性汚泥は、中継槽80からバイパス経路30Aを通って脱水装置40に直接送られる。余剰汚泥及び凝集剤が添加されていない汚泥Bは、脱水装置40のスクリーン41にて、しさ分が除去され、脱水機42にて脱水処理される。しさ分が除去された汚泥Bは、分離液として分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
バイパス配管30A及び切替弁V1,V2の切り替えではなく、凝集剤の添加のタイミングを制御する場合の汚泥A及びBの切り替え例を図5(d)〜(f)に示す。
図3に示す処理装置でのフローでは、中継槽80からの有機性廃水は、凝集反応槽20Aに送られる。凝集反応槽20Aには、余剰汚泥貯留槽65からの余剰汚泥も送られ、さらに凝集剤が添加されて、有機性廃水と余剰汚泥と凝集剤とが混合した汚泥Aとなる。凝集フロックを含む汚泥Aは、脱水装置40に送られ、脱水処理されて、分離液と脱水ケーキとに分けられる。分離液は、分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
次に、中継槽80からの有機性廃水は、凝集反応槽20Aに送られるが、余剰汚泥及び凝集剤の添加無しに、汚泥Bとして脱水装置40に送られる。汚泥Bは、脱水装置40のスクリーン41にて、しさ分が除去され、脱水機42にて脱水処理される。しさ分が除去された汚泥Bは、分離液として分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
次に、凝集反応槽20Aに接続されているドレン配管21に設けられているドレン弁V3を開放し、凝集反応槽20Aに残留している有機性廃水を中継槽80に戻す(図5(d)〜(f)において汚泥の欄が空白で示される)。その後、ドレンV3を閉鎖して、汚泥Aの処理に戻る。
図4に示す処理装置でのフローでは、中継槽80からの有機性廃水は、混合槽10に送られる。混合槽10には、余剰汚泥貯留槽65からの余剰汚泥も送られ、さらに凝集剤添加配管から高分子凝集剤が添加されて、有機性廃水と混合され、汚泥Aとなる。汚泥Aには、凝集反応槽20Aにてさらに凝集剤が添加され、凝集フロックが形成される。凝集フロックを含む汚泥Aは、脱水装置40に送られ、脱水処理されて、分離液と脱水ケーキとに分けられる。分離液は、分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
次に、中継槽80からの有機性廃水は、混合槽10を経由して凝集反応槽20Aに送られるが、余剰汚泥及び凝集剤の添加無しに、汚泥Bとして脱水装置40に送られる。汚泥Bは、脱水装置40のスクリーン41にて、しさ分が除去され、脱水機42にて脱水処理される。しさ分が除去された汚泥Bは、分離液として分離液貯留槽50に送られ、所定時間貯留された後、生物処理槽60にて生物処理され、固液分離槽61にて固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として汚泥戻し配管62Aを通って生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は余剰汚泥送配管62を通って余剰汚泥貯留槽65に送られる。
次に、凝集反応槽20Aに接続されているドレン配管21に設けられているドレン弁V3を開放し、凝集反応槽20Aに残留している有機性廃水を中継槽80に戻す(図5(d)〜(f)において汚泥の欄が空白で示される)。その後、ドレン弁V3を閉鎖して、汚泥Aの処理に戻る。
本発明においては、汚泥A及び汚泥Bの切り替えに加えて、余剰汚泥を添加せずに屎尿及び/又は有機性汚泥に凝集剤を添加した汚泥C、及び/又は余剰汚泥に凝集剤を添加した汚泥Dの切り替えを行うこともできる。
図1及び図3に示す処理装置でのフローにおいては、中継槽80からの有機性廃水を凝集反応槽20又は20Aに送り、凝集反応槽20又は20Aに凝集剤を添加するが、余剰汚泥を凝集反応槽20又は20Aに送らないことにより、汚泥Cが形成される。汚泥Dは、中継槽80から有機性廃水を送らずに、余剰汚泥貯留槽65からの余剰汚泥を凝集反応槽20又は20Aに送り、凝集剤を添加することにより形成される。
図2及び図4に示す処理装置でのフローにおいては、中継槽80からの有機性廃水を混合槽10を経由して凝集反応槽20又は20Aに送り、混合槽10にて余剰汚泥及び高分子凝集剤を添加せず、凝集反応槽20又は20Aにて有機性廃水に凝集剤を添加することにより、汚泥Cが形成される。汚泥Dは、中継槽80から有機性廃水を送らずに、余剰汚泥貯留槽65からの余剰汚泥を混合槽10に送り高分子凝集剤を添加した後、凝集反応槽20又は20Aに送り、凝集剤を添加することにより形成される。
汚泥A、B及びCの切り替えについて、図6を参照しながら説明する。図6(1)〜(3)は図1及び図2に示す処理装置における切り替えの一例であり、図6(4)〜(6)は図3及び図4に示す処理装置における切り替えの一例である。汚泥A、B及びCの切り替えは、余剰汚泥の発生量が少ない場合に行うことができる。
図1及び図2に示す処理装置でのフローは、汚泥A及びBの切り替えに関して上述した汚泥Aの処理の後、切替弁V1を開放し且つV2を閉鎖したまま、凝集反応槽20又は混合槽10への余剰汚泥の送液を止めて、凝集反応槽20(及び図2においては混合槽10)にて有機性廃水に凝集剤を添加し汚泥Cを形成して処理する。次いで、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように切替弁V1を閉鎖し且つV2を開放して、汚泥Bを形成して処理する。
図3及び図4に示す処理装置でのフローは、汚泥A及びBの切り替えに関して上述した汚泥Aの処理の後、凝集反応槽20A又は混合槽10への余剰汚泥の送液を止め、凝集反応槽20A(及び図4においては混合槽10)にて有機性廃水に凝集剤を添加して汚泥Cを形成して処理する。次いで、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように、凝集反応槽20Aにおける凝集剤の添加を止め汚泥Bを形成して処理する。さらに、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように、ドレン弁V3を開放して、凝集反応槽20Aに残留している有機性廃水を中継槽80に戻し(図6(4)〜(6)において汚泥の欄が空白で示される)、その後、ドレン弁V3を閉鎖して、汚泥Aの処理に戻る。
汚泥A、B及びDの切り替えについて、図7を参照しながら説明する。図7(1)〜(3)は図1及び図2に示す処理装置における切り替えの一例であり、図7(4)〜(6)は図3及び図4に示す処理装置における切り替えの一例である。汚泥A、B及びDの切り替えは、余剰汚泥の発生量が多い場合に行うことができる。
図1及び図2に示す処理装置でのフローは、汚泥A及びBの切り替えに関して上述した汚泥Aの処理の後、切替弁V1及びV2を閉鎖して有機性廃水の供給を止め、凝集反応槽20又は混合槽10へ余剰汚泥を送り、凝集反応槽20(及び図2においては混合槽10)にて余剰汚泥に凝集剤を添加し汚泥Dを形成して処理する。次いで、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように切替弁V1を閉鎖し且つV2を開放して、汚泥Bを形成して処理する。
図3及び図4に示す処理装置でのフローは、汚泥A及びBの切り替えに関して上述した汚泥Aの処理の後、有機性廃水の供給を止め、凝集反応槽20A又は混合槽10へ余剰汚泥を送り、凝集反応槽20A(及び図4においては混合槽10)にて余剰汚泥に凝集剤を添加して汚泥Dを形成して処理する。次いで、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように、凝集反応槽20A(及び図4においては混合槽10)における凝集剤の添加を止め汚泥Bを形成して処理する。さらに、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように、ドレン弁V3を開放して、凝集反応槽20Aに残留している有機性廃水を中継槽80に戻し(図7(4)〜(6)において汚泥の欄が空白で示される)、その後、ドレン弁V3を閉鎖して、汚泥Aの処理に戻る。
汚泥A、B、C及びDの切り替えについて、図8を参照しながら説明する。図8(1)〜(3)は図1及び図2に示す処理装置における切り替えの一例であり、図8(4)〜(6)は図3及び図4に示す処理装置における切り替えの一例である。汚泥A、B、C及びDの切り替えは、屎尿及び有機性汚泥の搬入量が多く余剰汚泥よりも多量の有機性廃水を処理する時間帯と、余剰汚泥の量が多い時間帯とが混在する場合に行うことができる。
図1及び図2に示す処理装置でのフローは、汚泥A及びBの切り替えに関して上述した汚泥Aの処理の後、切替弁V1及びV2を閉鎖して有機性廃水の供給を止め、凝集反応槽20又は混合槽10へ余剰汚泥を送り、凝集反応槽20(及び図2においては混合槽10)にて余剰汚泥に凝集剤を添加し汚泥Dを形成して処理する。次いで、切替弁V1を開放し且つV2を閉鎖したまま、凝集反応槽20又は混合槽10への余剰汚泥の送液を止めて、凝集反応槽20(及び図2においては混合槽10)にて有機性廃水に凝集剤を添加し汚泥Cを形成して処理する。次いで、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように切替弁V1を閉鎖し且つV2を開放して、汚泥Bを形成して処理する。
図3及び図4に示す処理装置でのフローは、汚泥A及びBの切り替えに関して上述した汚泥Aの処理の後、有機性廃水の供給を止め、凝集反応槽20A又は混合槽10へ余剰汚泥を送り、凝集反応槽20A(及び図4においては混合槽10)にて余剰汚泥に凝集剤を添加して汚泥Dを形成して処理する。凝集反応槽20A又は混合槽10への余剰汚泥の送液を止め、凝集反応槽20A(及び図4においては混合槽10)にて有機性廃水に凝集剤を添加して汚泥Cを形成して処理する。次いで、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように、凝集反応槽20A(及び図4においては混合槽10)における凝集剤の添加を止め汚泥Bを形成して処理する。さらに、汚泥A及びBの切り替えについて上述したように、ドレン弁V3を開放して、凝集反応槽20Aに残留している有機性廃水を中継槽80に戻し(図8(4)〜(6)において汚泥の欄が空白で示される)、その後、ドレン弁V3を閉鎖して、汚泥Aの処理に戻る。
なお、ドレン管21及びドレン弁V3は、凝集反応槽20又は20A内に残留している凝集剤を添加していない汚泥を中継槽80に戻すために設けられている。凝集剤を添加していない汚泥が残留していても、その後に凝集剤が添加されるため、ドレンは必ずしも必要ではなく、ドレン管21及びドレン弁V3を省略してもよい。ドレン弁V3を具備しない装置の場合には、図5〜図8に示すドレン弁開閉は除かれる。
汚泥A〜Dの形成を制御する凝集剤の添加及び無添加並びに余剰汚泥の添加及び無添加は任意の長さの時間で交互に行われる。凝集剤の添加及び無添加の切り替えは、切替弁V1及びV2の開閉をタイマー設定により自動的に切り替えるか、凝集剤添加制御機構のタイマー設定により自動的に切り替えることができる。余剰汚泥の添加及び無添加の切り替えは、余剰汚泥貯留槽65からの送液の制御により行うことができる。有機性廃水の供給の切り替えは、切替弁V1の開閉の自動切り替え又は中継槽80からの送液の制御により行うことができる。
凝集剤の添加及び無添加の時間の長さ及び切り替えのタイミングは、生物処理の状態や混合汚泥の性状によって設定することができる。たとえば、屎尿及び/又は有機性汚泥中の水素供与体が多い場合は凝集剤の無添加時間を短くすることができる。
後続の脱水処理により含水率70%以下の脱水ケーキを得るためには、凝集剤を添加しない時間は、凝集剤を添加する時間と無添加の時間との合計の60%以下、好ましくは40%以下、特に好ましくは20%以下とする。60%を越えると、余剰汚泥発生量が多くなり、混合汚泥中の余剰汚泥の比率が多くなるため、脱水ケーキの低含水率化及び脱水ケーキの減容化が達成されない。凝集剤使用量の削減効果を得るためには、凝集剤無添加の総時間は1%以上とすることが好ましく、5%以上がより好ましい。凝集剤を添加しないことにより、有機性廃水中に含まれる有機成分(水素供与体)が脱水処理後の分離液に含まれるため、生物処理に必要な水素供与体(微生物の栄養源)の追加供給を削減することができる。凝集剤の添加と無添加とを交互に行うことにより生じる分離液中有機成分量の変動は、分離液貯留槽50での貯留時間を例えば0.5日以上と長期化することで、相殺することができる。
凝集反応槽20又は20Aもしくは混合槽10にて添加される凝集剤は、高分子凝集剤及び無機凝集剤から選択される1種以上とすることができる。特に、単独で使用する場合は高分子凝集剤が好ましい。高分子凝集剤と無機凝集剤とを併用する場合は、高分子凝集剤を添加した後に、無機凝集剤を添加することが好ましい。高分子凝集剤を先に添加して無機凝集剤を後で添加することにより、脱水性能が向上し、高分子凝集剤の添加量を削減することができる。
無機凝集剤としては、ポリ硫酸第二鉄、ポリ塩化第二鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムを好ましく用いることができる。中でもポリ硫酸第二鉄が特に好ましい。無機凝集剤の添加量は、混合汚泥の性状などによっても異なり、用いる無機凝集剤の種類によっても異なるが、汚泥中の固形物乾燥重量(DS)に対して0.5〜7.0wt%であることが好ましく、特に1.5〜5wt%程度であることがより好ましい。
高分子凝集剤としては、カチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられる。カチオン性高分子凝集剤としては、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などのアクリレート系高分子凝集剤;ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などのメタクリレート系高分子凝集剤;アミド基、ニトリル基、アミン塩酸塩、ホルムアミド基等を含むポリビニルアミジン;ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物などが挙げられ、例えば市販のエバグロース(水ing株式会社 登録商標)シリーズを用いることができる。両性高分子凝集剤としては、ジメチルアミノメチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物、ジメチルアミノメチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物などをあげることができる。高分子凝集剤の添加量は、混合汚泥の性状などによっても異なるが、汚泥中の固形物乾燥重量(DS)に対して0.5〜3.0wt%であることが好ましく、1.0〜2.5wt%であることがより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
破砕したままで夾雑物を除去していない屎尿及び浄化槽汚泥を含む有機性廃水に、生物処理において生じた余剰汚泥を混合して得た混合汚泥50kL/日を本発明の処理方法で処理する場合と、従来方法で処理する場合(比較例)を比較した。
[実施例1]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)及び汚泥B(T2)の切り替えは、図5(A)に従って行い、T1=48分、T2=12分と設定し、混合汚泥の約20%に対して凝集剤を添加しなかった。
無機凝集剤としてポリ硫酸第二鉄、高分子凝集剤としてエバグロースCS−320(水ing株式会社製カチオン系高分子凝集剤)を用いた。
本実施例では、後続の生物処理を脱窒素処理としたため、窒素(N)の分解を促進させるために、水素供与体としてメタノールを生物処理槽に添加した。
各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率、処理水の水質を表1及び表2に示す。
[実施例2]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)及び汚泥B(T2)の切り替えを図5(a)に従って、T1=39分、T2=21分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例3]
図3に示す装置を用いて、汚泥A(T1)及び汚泥B(T2)並びにドレン(T3)の切り替えを図5(d)に従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例4]
図4に示す装置を用いて、汚泥A(T1)及び汚泥B(T2)並びにドレン(T3)の切り替えを図5(d)に従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表1及び表2に示す。
各検査項目の検査方法は以下の通りである。
水素イオン濃度:JIS K 0102-12.1
生物化学的酸素要求量(BOD):JIS K-0102-21及び-32.1
化学的酸素要求量(CODMn):JIS K-0102-17
浮遊物質量(SS):昭和46年環境庁告示第59号付表8
全窒素:JIS K-0102-45.1
全リン:JIS K-0102-46.3.3
色度:平成4年厚生省令第69号 45
大腸菌群数:昭和37年厚生省・建設省令第1号
混合汚泥の20%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例1)の薬剤の添加量は、混合汚泥の全量に凝集剤を添加した場合に比較して、無機凝集剤を約23.8%、高分子凝集剤を約25.6%、メタノールを約49.6%削減できた。混合汚泥の35%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例2)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が約39.2%、高分子凝集剤が約44.2%、メタノールが約86.1%、混合槽(ラインミキサ)を用いて高分子凝集剤のみを添加した場合(実施例4)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が100%、高分子凝集剤が約32.6%、メタノールが約86.1%であった。各実施例とも脱水ケーキの含水率は70%以下を達成し、処理水は放流水質基準を達成した。
本発明の処理方法によれば、有機性廃水に余剰汚泥と凝集剤を添加してなる汚泥A、有機性廃水のみの汚泥Bとを切り替えて、凝集剤無添加処理の総時間が凝集剤添加時と無添加時との合計時間の60%以下となるようにすることにより、脱水ケーキの含水率70%及び処理水の水質基準を達成しながら、メタノール、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれも添加量を削減できた。
[実施例5]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥C(T4)の切り替えは図6(1)に従って、T1=48分、T2=12分、T4=5分と設定し、混合汚泥の約20%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表3及び表4に示す。
[実施例6]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥C(T4)の切り替えは図6(1)に従って、T1=39分、T2=21分、T4=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表3及び表4に示す。
[実施例7]
図3に示す装置を用いて、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥C(T4)並びにドレン(T3)の切り替えは図6(1)に従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分、T4=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表3及び表4に示す。
[実施例8]
図4に示す装置を用いて、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥C(T4)並びにドレン(T3)の切り替えは図6(1)に従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分、T4=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表3及び表4に示す。
混合汚泥の20%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例5)の薬剤の添加量は、混合汚泥の全量に凝集剤を添加した場合に比較して、無機凝集剤を約16.9%、高分子凝集剤を約17.1%、メタノールを約49.6%削減できた。混合汚泥の35%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例6)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が約29.4%、高分子凝集剤が約27.9%、メタノールが約86.1%、混合槽(ラインミキサ)を用いて高分子凝集剤のみを添加した場合(実施例8)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が100%、高分子凝集剤が約23.3%、メタノールが約86.1%であった。各実施例とも脱水ケーキの含水率は70%以下を達成し、処理水は放流水質基準を達成した。
本発明の処理方法によれば、有機性廃水に余剰汚泥と凝集剤を添加してなる汚泥A、有機性廃水のみの汚泥B、余剰汚泥を添加せずに屎尿及び/又は有機性汚泥に凝集剤を添加した汚泥Cとを切り替えて、凝集剤無添加処理の総時間が凝集剤添加時と無添加時との合計時間の60%以下となるようにすることにより、脱水ケーキの含水率70%及び処理水の水質基準を達成しながら、メタノール、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれも添加量を削減できた。
[実施例9]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥D(T5)の切り替えは図7(1)に従って、T1=48分、T2=12分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約20%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表5及び表6に示す。
[実施例10]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥D(T5)の切り替えは図7(1)に従って、T1=48分、T2=12分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表5及び表6に示す。
[実施例11]
図3に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥D(T5)並びにドレン(T3)の切り替えは図7(4)に従って、T1=48分、T2=12分、T3=3分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表5及び表6に示す。
[実施例12]
図4に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)及び汚泥D(T5)並びにドレン(T3)の切り替えは図7(4)に従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表5及び表6に示す。
混合汚泥の20%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例9)の薬剤の添加量は、混合汚泥の全量に凝集剤を添加した場合に比較して、無機凝集剤を約14.2%、高分子凝集剤を約14.7%、メタノールを約49.6%削減できた。混合汚泥の35%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例10)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が約26.5%、高分子凝集剤が約25.6%、メタノールが約86.1%、混合槽(ラインミキサ)を用いて高分子凝集剤のみを添加した場合(実施例12)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が100%、高分子凝集剤が約18.6%、メタノールが約86.1%であった。各実施例とも脱水ケーキの含水率は70%以下を達成し、処理水は放流水質基準を達成した。
本発明の処理方法によれば、有機性廃水に余剰汚泥と凝集剤を添加してなる汚泥A、有機性廃水のみの汚泥B、余剰汚泥に凝集剤を添加した汚泥Dとを切り替えて、凝集剤無添加処理の総時間が凝集剤添加時と無添加時との合計時間の60%以下となるようにすることにより、脱水ケーキの含水率70%及び処理水の水質基準を達成しながら、メタノール、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれも添加量を削減できた。
[実施例13]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)、汚泥C(T4)、汚泥D(T5)の切り替えは図8(1)に従って、T1=48分、T2=12分、T4=5分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約20%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表7及び表8に示す。
[実施例14]
図1に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)、汚泥C(T4)、汚泥D(T5)の切り替えは図8(1)に従って、T1=39分、T2=21分、T4=5分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表7及び表8に示す。
[実施例15]
図3に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)、汚泥C(T4)、汚泥D(T5)並びにドレン(T3)の切り替えは図8(4)に従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分、T4=5分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表7及び表8に示す。
[実施例16]
図4に示す装置を用い、汚泥A(T1)、汚泥B(T2)、汚泥C(T4)、汚泥D(T5)並びにドレン(T3)の切り替えは図8(4)に従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分、T4=5分、T5=5分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表7及び表8に示す。
混合汚泥の20%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例13)の薬剤の添加量は、混合汚泥の全量に凝集剤を添加した場合に比較して、無機凝集剤を約10.2%、高分子凝集剤を約0.78%、メタノールを約49.6%削減できた。混合汚泥の35%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例14)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が約22.8%、高分子凝集剤が約17.1%、メタノールが約86.1%、混合槽(ラインミキサ)を用いて高分子凝集剤のみを添加した場合(実施例16)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が100%、高分子凝集剤が約15.5%、メタノールが約86.1%であった。各実施例とも脱水ケーキの含水率は70%以下を達成し、処理水は放流水質基準を達成した。
本発明の処理方法によれば、有機性廃水に余剰汚泥と凝集剤を添加してなる汚泥A、有機性廃水のみの汚泥B、余剰汚泥を添加せずに屎尿及び/又は有機性汚泥に凝集剤を添加した汚泥C、余剰汚泥に凝集剤を添加した汚泥Dとを切り替えて、凝集剤無添加処理の総時間が凝集剤添加時と無添加時との合計時間の60%以下となるようにすることにより、脱水ケーキの含水率70%及び処理水の水質基準を達成しながら、メタノール、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれも添加量を削減できた。
脱水処理と生物処理とを併用する屎尿及び浄化槽汚泥を含む有機性廃水の処理における凝集剤及び生物処理における栄養源となる薬剤の使用量を削減できる。

Claims (11)

  1. 屎尿及び/又は有機性汚泥、及び生物処理において発生する余剰汚泥を脱水処理した後に得られる分離液を生物処理する有機性廃水処理方法であって、
    工程(1):屎尿及び/又は有機性汚泥を含む有機性廃水に、生物処理において発生する余剰汚泥と、高分子凝集剤とを添加し、1000回転/分以上の回転数で撹拌して混合した汚泥Aを脱水処理する工程、及び
    工程(2):余剰汚泥及び凝集剤を添加せずに、屎尿及び/又は有機性汚泥を含む有機性廃水Bを直接脱水処理する工程
    を切り替えて行なうことを特徴とする有機性廃水処理方法。
  2. 前記工程(1)、
    工程(3):余剰汚泥を添加せずに、凝集剤を添加した屎尿及び/又は有機性汚泥を含む有機性廃水Cを脱水処理する工程、及び
    前記工程(2)の順番で切り替えを行う、請求項1に記載の有機性廃水処理方法。
  3. 前記工程(1)、
    工程(4):生物処理において発生する余剰汚泥に凝集剤を添加した汚泥Dを脱水処理する工程、及び
    前記工程(2)の順番で切り替えを行う、請求項1に記載の有機性廃水処理方法。
  4. 前記工程(1)、
    工程(4):生物処理において発生する余剰汚泥に凝集剤を添加した汚泥Dを脱水処理する工程、
    工程(3):余剰汚泥を添加せずに、凝集剤を添加した屎尿及び/又は有機性汚泥を含む有機性廃水Cを脱水処理する工程、及び
    前記工程(2)の順番で切り替えを行う、請求項1に記載の有機性廃水処理方法。
  5. 前記凝集剤を添加せずに脱水処理する工程(2)の総時間は、凝集剤を添加する工程と添加しない工程との合計時間の60%以下とする、請求項1〜4のいずれかに記載の有機性廃水処理方法。
  6. 前記余剰汚泥を添加せずに脱水処理する工程の総時間は、余剰汚泥を添加する工程と添加しない工程との合計時間の60%以下とする、請求項1〜5のいずれかに記載の有機性廃水処理方法。
  7. 前記凝集剤は、無機凝集剤及び高分子凝集剤から選択される1種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の有機性廃水処理方法。
  8. 前記凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、汚泥中の固形物乾燥重量に対して0.5〜3.0wt%の高分子凝集剤を添加した後に、汚泥中の固形物乾燥重量に対して0.5〜7.0wt%の無機凝集剤を添加する、請求項7に記載の有機性廃水処理方法。
  9. 前記凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、汚泥中の固形物乾燥重量に対して0.5〜7.0wt%の無機凝集剤を添加した後に、高分子凝集剤を添加し、高分子凝集剤の添加量の総量を汚泥中の固形物乾燥重量に対して0.5〜3.0wt%とする請求項7に記載の有機性廃水処理方法。
  10. 前記混合汚泥の脱水処理によって得られる分離液を生物処理する、請求項1〜9のいずれかに記載の有機性廃水処理方法。
  11. 前記生物処理において発生する余剰汚泥と凝集剤とを添加してから脱水処理する工程において、生物処理において発生する余剰汚泥の添加は、凝集剤を添加する前に行われる、請求項1〜10のいずれかに記載の有機性廃水処理方法。
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