JP6164860B2 - ポリマンデル酸 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の第一の態様は、重量平均分子量が20万以上のアイソタクチックポリマンデル酸、または、重量平均分子量が20万以上のアタクチックポリマンデル酸であるポリマンデル酸である。
本発明の好ましい第二の態様は、前記ポリマンデル酸を含む樹脂組成物である。
本発明の好ましい第三の態様は、前記ポリマンデル酸を含む樹脂組成物からなる成形体である。
本発明の好ましい第四の態様は、前記重量平均分子量が20万〜100万であるポリマンデル酸からなるフィルムである。
本発明の好ましい第五の態様は前記ポリマンデル酸フィルムを延伸してなるフィルムである。
[ポリマンデル酸]
本発明におけるポリマンデル酸とは、マンデル酸および/またはマンデル酸誘導体ユニットを90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上含むものとする。マンデル酸誘導体とは、マンデル酸のα位やフェニル基に置換基を有するものであり、例えば、2−メチルマンデル酸、3−メチルマンデル酸、4−メチルマンデル酸、4−メトキシマンデル酸、3−フェノキシマンデル酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、2−ブロモマンデル酸、4−ブロモマンデル酸、2−クロロマンデル酸、4−クロロマンデル酸、2−ヒドロキシ−2−フェニルプロピオン酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシマンデル酸、3−フルオロマンデル酸、4−フルオロマンデル酸、2,3−ジフルオロマンデル酸、2,4−ジフルオロマンデル酸、2,5−ジフルオロマンデル酸、2,6−ジフルオロマンデル酸、3,4−ジフルオロマンデル酸、4−(トリフルオロメチル)マンデル酸、α-シクロペンチルマンデル酸、3−(トリフルオロメチル)マンデル酸、ペンタフルオロマンデル酸、2,3,5,6−テトラフルオロマンデル酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)マンデル酸、4−ブロモ−2−フルオロマンデル酸、2−クロロ−4−フルオロマンデル酸、2−(2−ナフチル)グリコール酸等を挙げることができる。
本発明におけるアイソタクチックポリマンデル酸の重量平均分子量は、20万以上であり、より好ましくは20万〜100万、さらに好ましくは20万〜50万である。重量平均分子量が10,000より小さいと、例えば成形体にした場合非常に脆くなり、機械物性に劣るだけでなく、例えばフィルム化のような成形が困難となる。
本発明におけるポリマンデル酸は、他の樹脂、安定剤、強化剤等と共に用いることができる。共に用いる他の樹脂、安定剤、強化剤としては特に限定されるのではなく、目的に合わせ適宜混合して用いることができる。この場合他の樹脂、安定剤、強化剤等の含有量は特に限定されるものではなく、目的に合わせた量混合することが好ましい。
本発明のポリマンデル酸は種々の成形加工法で成形できるが、ポリマンデル酸およびこれらを含む組成物は成形性および機械物性に優れている。ここでいう成形体とは、フィルム、シート、繊維、射出成形体、押出成形体、真空成形体、発泡成形体等の各種成形体を意味する。
成形加工法は特に制限されないが、具体的には、射出成形、押出成形、インフレーション成形、押出中空成形、発泡成形、カレンダー成形、ブロー成形、バルーン成形、真空成形、紡糸等の成形加工法が挙げられる。
本発明におけるポリマンデル酸は、縮合剤を用いる方法により製造することが可能である。具体的には、重合溶媒中、マンデル酸、またはマンデル酸誘導体に対し、等モル量以上の縮合剤を反応させることにより合成することが可能である(例えばMacromolecules 1990, 23, 65.に記載された方法など)。このとき、前述した光学活性なマンデル酸、または光学活性なマンデル酸誘導体を用いることでアイソタクチックポリマンデル酸を製造することができる。縮合剤は特に限定はされないが、従来知られているようなカルボジイミド系の縮合剤がポリマンデル酸の製造に好適に用いることができる。具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N−シクロヘキシルーN'−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホン酸塩、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド=メチオジド、1,3−ジ−tert−ブチルカルボジイミド、N−tert−ブチル−N'−エチルカルボジイミド、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N'−(4−(ジメチルアミノ) ナフチル)カルボジイミド等を挙げることができる。
本発明における重量平均分子量20万〜100万のポリマンデル酸は、重量平均分子量が大きいためフィルム化が可能である。重量平均分子量が20万より小さいと、フィルムは非常に脆くなり、実用上フィルムとしての性能を有しない。一方100万より重量平均分子量が大きいと粘度が大きくなりすぎ成形性が悪くなる可能性がある。フィルムの製造方法としては、溶媒を用いた溶媒キャスト法、溶融キャスト法または溶融プレス法など適宜選択することが可能である。
本発明におけるポリマンデル酸フィルムは重量平均分子量が大きいため、延伸操作が可能であり、延伸フィルムとすることができる。延伸方法は特に制限されず、一軸延伸、二軸延伸、固相延伸などの種々の延伸方法を用いることができる。また、これらを多段階で行ったり、組み合わせて行うことも可能である。
まず、本実施例における各測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)]
重量平均分子量(Mw)は、Waters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(RI検出器:Waters社製2414、カラム:SHODEX社製LF−GおよびLF−804、カラム温度:40℃、流速:1mL/min、溶離液:クロロホルム)により、ポリスチレン標準サンプルにより作成した検量線との比較により重量平均分子量を算出した。
タクチシチーは重クロロホルムに溶解したポリマンデル酸の核磁気共鳴分析(日本電子製 核磁気共鳴装置 ECA500)により、1H−NMRから算出する。ポリマンデル酸のタクチシチーに関するスペクトルデータによる評価方法はこれまで知られていない。1H−NMRスペクトルにより得られるマンデル酸ユニットのメチンプロトンのピークに由来するシングレットは図に見られるように10本存在することから、ペンタドシーケンスまで読み取ることができる。マンデル酸の不斉炭素をDL標記し、DDやLLのようなメソダイアドを“m”、DLやLDのようなラセモダイアドを“r”とし、mおよびrをポリマンデル酸中に見出す存在確率をそれぞれPmおよびPrとすると、ポリマンデル酸において出現するペンタッドがベルヌーイ統計に従うと仮定した場合、Pr=1―Pmであるから、Pr 4=(1−Pm)4である。ここで、全メチンプロトンが検出される5.91ppm〜6.08ppmの積分強度の総和をItotalとした場合、[rrrr]が見出される6.08ppmの積分強度Irrrrとすると、これらの関係式は(1)のように表記可能であり、以下の式(2)によりPmの値を算出することができる。
(Irrrr/Itotal)×100=(1−Pm)4・・・・式(1)
Pm = 1−{(Irrrr/Itotal)×100}0.25・・・・式(2)
全自動旋光計 AUTOPOL V (Rudolph Reserch Analytical)を用いた。試料を、試料濃度0.500g/dLとなるようクロロホルムに溶解し、波長589nm(タングステンハロゲンランプ、波長フィルター)、25℃、セル長100mmで測定した。旋光度αを5回測定し、その平均値を以下の式を用いて比旋光度の値とした。
比旋光度[α] = (100 × α)/(c × l)
c:試料濃度(g/dL)、l:セル長(100mm)
TG−DTA(島津製作所社製)により算出した。アルミパンに試料を約10mg秤量し、空気下において10℃/minの昇温速度で450℃まで昇温したときの重量減少温度を測定した。
DSC(島津製作所社製 D50)により算出した。アルミパンに試料を秤量しシールした。窒素下、10℃/minの昇温速度で260℃まで昇温した後、室温まで急冷し、再び10℃/minで280℃まで昇温したときのガラス転移の中間点の温度をガラス転移温度とした。
大塚電子(株)製測定装置RETS−100を用いて、23℃、相対湿度50%にて波長550nmにおける位相差を測定した。
攪拌装置、冷却管および滴下ロートを備え付けた500mLのセパラブルフラスコに、DL−マンデル酸(和光純薬工業社製)43.7g(0.287mol)、ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業社製)とp−トルエンスルホン酸(和光純薬工業社製)との1:1混合物をトルエンにより共沸脱水して調整したジメチルアミノピリジン・p−トルエンスルホン酸塩18.6g(0.0632mol、22mol%)および脱水ジクロロメタン(和光純薬工業社製)100mLを装入した。窒素雰囲気下、混合した溶液を−5℃に冷却した後、ジイソプロピルカルボジイミド(東京化成工業社製)47.12g(0.3734mol、1.3当量)を滴下ロートから系内にゆっくり滴下した。滴下終了後、滴下ロート内を脱水ジクロロメタン30mLで洗浄した。滴下終了後、30分攪拌した時点で反応液の粘度が上昇したため脱水ジクロロメタン70mL追加添加した。反応開始4時間後、反応液をクロロホルム100mLで希釈した後、激しく攪拌したメタノール700mL中へ排出した。得られた白色沈殿をろ過、メタノール洗浄し、さらにメタノール中でホモミキサーにより攪拌することで福生成物を除去した後、ろ過し、減圧乾燥した。得られた白色粉末をジメチルホルムへ溶解し、ろ過した溶液を蒸留水中へ再沈殿させることでポリマーを精製した。
DL−マンデル酸の代わりにD−マンデル酸(和光純薬工業社製)24.7g(0.1624mol)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマンデル酸の収量は19.0g、収率は87.2%であった。得られたポリマンデル酸の1H−NMRのスペクトルを図1の(c)に示した。1H−NMRのスペクトルから、Pm=1.0であり、アイソタクチックポリマンデル酸が得られていることを確認した。クロロホルム中での比旋光度は−142°、重量平均分子量は35.6万、ガラス転移温度は109℃、5%重量減少温度は299℃であった。
実施例2と同様に反応を行った後、メタノール中におけるメタノリシスにより重量平均分子量を調節した。得られたポリマンデル酸の重量平均分子量は10.5万、ガラス転移温度は105℃、5%重量減少温度は299℃であった。1H−NMRのスペクトルから、アイソタクチックポリマンデル酸が得られていることを確認した。
DL−マンデル酸の代わりにL−マンデル酸(和光純薬工業社製)20.0g(0.13145mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマンデル酸の収量は15.8g、収率は89.8%であった。得られたポリマンデル酸の1H−NMRのスペクトルを図1の(d)に示した。1H−NMRのスペクトルから、Pm=1.0であり、アイソタクチックポリマンデル酸が得られていることを確認した。クロロホルム中での比旋光度は+132°、重量平均分子量は27.4万、ガラス転移温度は106℃であった。
DL−マンデル酸の代わりにL−マンデル酸(和光純薬工業社製)15.0gおよびD−マンデル酸(和光純薬工業社製)5.0g(マンデル酸として0.13145mol)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマンデル酸の収量は14.9g、収率は84.7%であった。得られたポリマンデル酸の1H−NMRのスペクトルを図1の(b)に示した。1H−NMRのスペクトルから、Pm=0.7でありアタクチックポリマンデル酸が得られていることを確認した。重量平均分子量は27.4万、ガラス転移温度は97℃であった。
DL−マンデル酸の代わりにD−マンデル酸(和光純薬工業社製)17.97g(0.118mol)およびピューラック社製90%乳酸を減圧脱水した脱水L−乳酸1.18g(0.0131mol)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られたL−乳酸ユニットが10モル%共重合されたポリマンデル酸の収量は14.99g、収率は89.3%であった。1H−NMRスペクトルから、目的物が得られていることを確認した。重量平均分子量は28.8万、ガラス転移温度は105℃であった。
DL−マンデル酸の代わりにDL−マンデル酸(和光純薬工業社製)17.97g(0.118mol)および脱水DL−乳酸1.18g(0.0131mol)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られたDL−乳酸ユニットが10モル%共重合されたポリマンデル酸の重量平均分子量は33.5万、ガラス転移温度は88℃であった。
実施例1で得られたアタクチックポリマンデル酸約3gを、厚み50μmのポリイミドフィルムを4枚重ねて作成した直径110mmの円形の型を用いてアルミニウム板に挟み、200℃で5分間予熱後、1分間2MPaで真空プレスした。室温で10MPaに急冷プレスし、厚み200μmの透明フィルムを得た。
得られたシートを50mm×100mmに切り出し、チャック幅10mm、チャック間距離30mm、幅100mmとなるように一軸延伸装置にセットし、130℃で5分間予熱後、10mm/分の延伸速度で5倍まで一軸延伸し、厚み50μmの一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムの位相差を上述した方法により分析したところ、Reは7nm、Rthは23nmであった。
実施例1で得られたアタクチックポリマンデル酸の代わりに実施例2で得られたアイソタクチックポリマンデル酸を用いた以外は実施例8と同様に厚み200μmの透明フィルムを調整した。さらに実施例8と同様に厚み50μmの一軸延伸フィルムを作成した。
得られた一軸延伸フィルムの位相差を上述した方法により分析したところ、Reは323nm、Rthは−163nmであった。
実施例1と同様に反応を行った後、メタノールによるメタノリシスにより重量平均分子量を調節した。得られたポリマンデル酸の重量平均分子量は13万、ガラス転移温度は100℃であった。1H−NMRのスペクトルから、アタクチックポリマンデル酸が得られていることを確認した。
得られたアタクチックポリマンデル酸約3gを、厚み50μmのポリイミドフィルムを4枚重ねて作成した直径110mmの円形の型を用いてアルミニウム板に挟み、200℃で5分間予熱後、1分間2MPaで真空プレスした。室温で10MPaに急冷プレスしたところ脆く、フィルム状にならなかった。
実施例1と同様に反応を行った後、メタノールによるメタノリシスにより重量平均分子量を調節した。得られたポリマンデル酸の重量平均分子量は2万であった。1H−NMRスペクトルから、アタクチックポリマンデル酸が得られていることを確認した。
得られたアタクチックポリマンデル酸約3gを、厚み50μmのポリイミドフィルムを4枚重ねて作成した直径110mmの円形の型を用いてアルミニウム板に挟み、200℃で5分間予熱後、1分間2MPaで真空プレスした。室温で10MPaに急冷プレスしたところ、非常に脆くフィルム状にならなかった。
(b):実施例5で得られたポリマンデル酸のスペクトル
(c):実施例2で得られたポリマンデル酸のスペクトル
(d):実施例4で得られたポリマンデル酸のスペクトル
Claims (7)
- 重量平均分子量が20万以上のアイソタクチックポリマンデル酸、または、重量平均分子量が20万以上のアタクチックポリマンデル酸であるポリマンデル酸。
- 重量平均分子量が20万〜100万である請求項1に記載のポリマンデル酸。
- アイソタクチックポリマンデル酸である請求項1または2に記載のポリマンデル酸。
- 請求項1〜3の何れかに記載のポリマンデル酸を含む樹脂組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載のポリマンデル酸を含む樹脂組成物からなる成形体。
- 請求項1〜3の何れかに記載のポリマンデル酸からなるフィルム。
- 延伸フィルムである請求項6に記載のフィルム。
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