JP6162542B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
そこでガスシール部材の摩耗の原因について調査・検討したところ、次のような結論に至った。
一方、燃料電池を停止すると温度が下がるため、ガスシール部材を逆向きに擦り動かしながら燃料電池スタックと補助器が元の状態に戻る。
このように燃料電池の作動と停止を繰り返すと、その熱サイクルによりガスシール部材が摩耗して徐々にダメージを受けるため、最終的に破損に至るものと考えられる。
燃料電池セルを複数積層してなる燃料電池スタックと、
上面と下面と側面を有し、前記燃料電池スタックの少なくとも一方の端面側に配置されて、少なくとも該燃料電池スタックから排出される未反応ガスを燃焼させる補助器と、
該補助器の前記側面に配置され、前記燃料電池スタックと該補助器とを結合する複数の締結部と、
前記燃料電池スタックと前記補助器の前記締結部との間にガスシール部材を挟んで共締めしてこの両者を積層方向に連結する複数の第1締め部材と、
前記燃料電池スタックと前記補助器の締結部との間にガスシール部材を挟んで共締めしてこの両者を積層方向に連結する複数の第2締め部材と、
前記燃料電池スタックを積層方向に貫くと共に前記第1締め部材の内側又は外側に形成されたガス供給路と、
前記燃料電池スタックを積層方向に貫くと共に前記第2締め部材の内側又は外側に形成されたガス排出路と、を有し、
前記補助器の前記締結部の何れか一つを選択したとき、その一つの締結部以外の全ての締結部は、前記側面に変位吸収部を介して取り付けられている燃料電池を提供する。
前記変位吸収部は、
前記補助器側に連結された上下方向の補助器側軸部と、
前記締結部に連結された上下方向の締結部側軸部と、
該締結部側軸部と補助器側軸部とを連結する連絡部と、を備えており、
加熱に伴う補助器と燃料電池スタック間に発生する熱膨張差を、主として前記補助器側軸部と前記締結部側軸部の捩れもしくは撓みによる変形で吸収し得るようにしてなる請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池を提供する。
請求項2の燃料電池のように、選択した一つの締結部を補助器の側面に固定的に取り付けることにより、変位吸収部を設ける場合に比べてコストが抑制できる。もちろん補助器の側面に固定的に取り付けた締結部は補助器と一体であるが、それ以外の締結部の全てに変位吸収部が設けられていれば、相対的に熱膨張差の吸収は可能であり、上記効果は問題なく享受できる。
一方、請求項3の燃料電池は、全ての締結部が補助器の側面に変位吸収部を介して取り付けられているため、比較的大きな熱膨張差に対応させることが可能である。
実施形態の燃料電池1は、例えばZrO2系セラミックを電解質2とするSOFCであり、図1〜図3に示したように、燃料電池スタック3と補助器4とから概略構成される。
燃料電池スタック3は、図1〜図10に示したように、発電の最小単位である平面視正方形の燃料電池セル3a,3a…を、複数セット直列状態に積層して連結したものであり、該燃料電池セル3a,3a…の積層体を固定する2組の第1締め部材5,6と、同じく2組の第2締め部材7,8と、同じく4組のコーナー締め部材9,9…と、を有する。
また、燃料電池スタック3は、積層された各燃料電池セル3aに酸化剤ガスたる空気を供給する空気用のガス供給路10と、その空気を燃料電池セル3aから排出する空気用のガス排出路11と、燃料電池セル3aに燃料ガスを供給する燃料用のガス供給路12と、その燃料ガスを燃料電池セル3aから排出する燃料用のガス排出路13と、を備えている。
燃料電池セル3aは、平面視正方形であり、図5の分解斜視図に示したように上下両面に位置する一対のインターコネクタ14,15と、上下のインターコネクタ14,15のほぼ中間に位置すると共に上のインターコネクタ14の内面(下面)に対向する面に空気極16を形成し且つ下のインターコネクタ15の内面(上面)に対向する面に燃料極17を形成した電解質2と、上のインターコネクタ14と空気極16との間に形成された空気室18と、下のインターコネクタ15と燃料極17との間に形成された燃料室19と、空気室18の内部に配置され空気極16と上のインターコネクタ14とを電気的に接続する空気極集電体20と、前記燃料室19の内部に配置され燃料極17と下のインターコネクタ15とを電気的に接続する燃料極集電体21と、を有し、さらに方形のコーナー部分に貫通状態のコーナー通孔22,22…を有するものである。
ジルコニア系材料ではイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、及びカルシア安定化ジルコニア(CaSZ)を挙げることができ、一般的にはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)が使用される。セリア系材料ではいわゆる希土類元素添加セリアが、ペロブスカイト系材料ではランタン元素を含有するペロブスカイト型複酸化物が使われる。
前記空気用のガス供給路10は、図3に示したように、燃料電池スタック3の一辺寄りのほぼ中央を縦貫するものであって、燃料電池スタック3の上面に突設された空気供給口27を始端とし、前記補助器4の後述する締結部100に及んで該締結部100の底を終端とする。
また、空気用のガス排出路11は、燃料電池スタック3の前記空気用のガス供給路10とは反対側の一辺寄りのほぼ中央を縦貫するものであって、補助器4の後述する締結部110にまで及んでいる。
また、燃料ガス用のガス供給路12は、燃料電池スタック3の残り二辺のうちの一辺寄りのほぼ中央を縦貫するものであって、補助器4の後述する締結部120にまで及んでいる。
そしてさらに、燃料ガス用のガス排出路13は、燃料電池スタック3の前記燃料ガス用のガス供給路12とは反対側の一辺寄りのほぼ中央を縦貫するものであって、補助器4の後述する締結部130にまで及んでいる。
第1締め部材5,6は、構成要素たるボルトBで前記ガス供給路10,12の中心を貫いて、つまり燃料電池スタック3の上面から補助器4の後述する締結部100,120を貫いて該締結部100,120の底をナットNで締め、そうして該締結部100,120と燃料電池スタック3の燃料電池セル3aとを共締めして固定するものである。
この第1締め部材5,6のボルトBは、ガス供給路10,12の径より小径であり、したがってガス供給路10,12は、実質的に第1締め部材5,6の外側に形成されている。なお、締結部100,120の上面と燃料電池スタック3の下面との間には、ガスシール性と電気絶縁性と耐熱性を備えた例えばマイカ製のガスシール部材Gが介装されており、また、ガス供給路10,12の底は、第1締め部材5,6の前記ナットN(適宜ガスシール部材を含む。)でガス漏れしない状態に塞がれている。
第2締め部材7,8は、構成要素たるボルトBで前記ガス排出路11,13の中心を貫いて、つまり燃料電池スタック3の上面から補助器4の後述する締結部110,130を貫いて該締結部110,130の底をナットNで締め、そうして該締結部110,130と燃料電池スタック3の燃料電池セル3aとを共締めして固定するものである。この第2締め部材7,8のボルトBは、ガス排出路11,13の径より小径であり、したがってガス排出路11,13は、実質的に第2締め部材7,8の外側に形成されている。なお、締結部110,130の上面と燃料電池スタック3の下面との間には、前記ガスシール部材Gが介装されており、また、ガス排出路11,13の底は、第2締め部材7,8の前記ナットN(適宜ガスシール部材を含む。)でガス漏れしない状態に塞がれている。
コーナー締め部材9,9…は、構成要素たるボルトBで前記コーナー通孔22,22…の中心を貫いてナットNで締め、そうして燃料電池スタック3の四隅を積層方向に固定するものである。このコーナー締め部材9のボルトBは、コーナー通孔22,22…の径より小径にしてコーナー通孔22,22…の内面に接触しないようになっており、そうして電気的な絶縁が保たれるようになっている。
前記補助器4は、図1〜図3に示したように、燃料電池スタック3の下方の端面側に配置されている。該補助器4は、高耐熱・高強度な金属材料、例えばSUS310Sのようなオーステナイト系ステンレスを四角い箱形に形成したものであり、前記燃料電池セル3aより一回り小さい正方形の上面4eと下面4f並びに横長長方形の側面4a〜4dを有し、さらに側面4a〜4dのそれぞれに補助器4の上面4eと略同一平面となるように自己の上面を揃えた状態にして前記締結部100,110,120,130が配置されている。ここで「略同一平面」としたのは、実際には締結部100,110,120,130の上面の方が補助器4より僅かに高く、その分だけ補助器4と燃料電池スタック3の間に隙間が形成されるようになっているため、厳密には同一平面とは言えないものの、その高さの差はxy軸方向の広さに比べて無視できるほど僅かであることによる。
補助器4の前記第一層41は、燃料電池スタック3から排出される未反応の空気と未反応の燃料ガスを混合して燃焼させる部分になっており、そのため2つの側面4c,4dに燃料電池スタック3側から未反応の空気を導入する残余空気導入口32と、同じく未反応の燃料ガスを導入する残余燃料導入口33が開設されている。
補助器4の第二層42は、縦の仕切板4iによって改質領域34と燃焼領域35に区画されており、燃焼領域35が前記第一層41並びに第三層43に連通している。一方、改質領域34は、例えば微粒の金属ニッケル又はルテニウムとセラミックス粉末とのプレス体や,アルミナなどの耐熱性の高い多孔体上に金属ニッケル又はルテニウムを担持した触媒を使って燃料ガスを水素リッチに改質するものである。そのため、この第二層42の改質領域34に、前記燃焼領域35を横断する状態で燃料ガス供給筒36と、改質後の燃料ガスを燃料電池スタック3に供給する改質ガス供給筒37が接続されている。
補助器4の第三層43は、第一層41で混合させた未反応の空気と燃料ガスをさらに燃焼させる部分であり、そのため第一層41から混合ガスが流入するように前記第二層42の燃焼領域35を介して第一層41に連通している。また、この第三層43には、燃焼後の混合ガスを外部に排出するための排気筒38が設けられている。
なお、実施形態では、未反応の空気と燃料ガスを燃焼させるための燃焼触媒が第一層41に配置されているが、該燃焼触媒を第三層43に配置するか、或は第一層41と第三層43の両方に配置しても良い。
補助器4の側面4a〜4dのそれぞれに配置され且つ前記第1締め部材5,6と第2締め部材7,8で燃料電池スタック3に共締めされた締結部100,110,120,130は、側面4cに対応する締結部110が該側面4cに固定的に取り付けられ、それ以外の締結部100,120,130が側面4a,4b,4dに変位吸収部101,121,131を介して取り付けられている。この変位吸収部101,121,131は、仮に燃料電池スタック3の積層方向をz軸方向とし、それと直交する方向をxy軸方向とすると、燃焼に伴う補助器4と燃料電池スタック3のxy軸方向の熱膨張差を自己の撓みで吸収し得るものであり、以下にこの変位吸収部101,121,131と、締結部100,110,120,130の具体的な構成について説明する。
締結部110は、上下端が開放された短円筒を基本形とするもので、その短円筒の側面に角筒形に延びる連絡部材110aを有しており、該連絡部材110aが、補助器4の第一層41に開設された前記残余空気導入口32に連通するよう側面4cに固定的に取り付けられている。
一方、上記のように締結部110は、空気用のガス排出路11の一部を構成するものであり、よって燃料電池スタック3の空気用のガス排出路11は、締結部110から連絡部材110aを介して補助器4の第一層41(燃焼部)に連通している。
締結部100は、上下端が開放された短円筒形であり、これを支える変位吸収部101は、湾曲アーム形状であってその一端が締結部100の周面に接続され、他端が補助器4の側面4aに固定されている。したがって締結部100は、変位吸収部101によって片持ち状態に支えられており、燃焼に伴う燃料電池スタック3と補助器4のxy軸方向への熱膨張差に対して変位吸収部101が湾曲方向に撓んで吸収し得る。
締結部120は、上下端が開放された短円筒を基本形とするもので、その短円筒の側面に四角い箱筒部120aを連通状態に延設してなる。
一方、この締結部120を支える変位吸収部120は、図11に示したように、補助器4の第二層42の前記改質ガス供給筒37につながる上向きパイプ状の補助器側軸部121aと、締結部120の前記箱筒部120aに連結され且つ前記補助器側軸部121aと平行な上向きパイプ状の締結部側軸部121bと、該締結部側軸部121bの上端と補助器側軸部121aの上端とを連通状態に連結する逆さU字パイプ状の連絡部121cと、を備えている。
したがって締結部120の変位吸収部121は、補助器4と燃料電池スタック3間に発生する加熱に伴う熱膨張差が、補助器側軸部121aと締結部側軸部121bの捩れもしくは撓みによる変形で吸収される。
また、上記のように締結部120は、燃料用のガス供給路12の一部を構成するものであり、よって燃料電池スタック3の燃料用のガス供給路12は、変位吸収部121と改質ガス供給筒37を介して補助器4の第二層42の改質領域34に連通している。
締結部130は、前記締結部120と同様であって、上下端が開放された短円筒を基本形とし、また、その短円筒の側面に四角い箱筒部130aを連通状態に延設してなる。
一方、この締結部130を支える変位吸収部131は、図11に示したように、補助器4の第一層41の前記残余燃料導入口33につながる下向きパイプ状の補助器側軸部131aと、締結部130の箱筒部130aに連結された下向きパイプ状の締結部側軸部131bと、該締結部側軸部131bの下端と補助器側軸部131aの下端とを連通状態に連結するU字パイプ状の連絡部131cと、を備えている。
したがって締結部130の変位吸収部131は、補助器4と燃料電池スタック3間に発生する加熱に伴う熱膨張差が、補助器側軸部131aと締結部側軸部131bの捩れもしくは撓みによる変形で吸収される。
また、上記のように締結部130は、燃料用のガス排出路13の一部を構成するものであり、よって燃料電池スタック3の燃料用のガス排出路13は、変位吸収部131と残余燃料導入口33を介して補助器4の第一層41に連通している。
次に、実施形態の燃料電池1の作動(発電)について説明する。
まず、図示しないが、補助器4の下面に例えば平面燃焼型ガスバーナー等の発熱体を別途装着しておき、そうして起動時に補助器4と燃料電池スタック3を加熱して所定の温度に昇温させる。
しかし、実施形態の燃料電池1は、空気用のガス排出路11の締結部110を補助器4に固定すると共に他の締結部100,120,130を変位吸収部101,121,131を介して補助器4に取り付けたため、前記のような熱膨張差をそれぞれの撓みで、すなわち締結部100の変位吸収部101は湾曲アームのさらなる曲がりで、また、締結部120,130は補助器側軸部121a,131aと締結部側軸部121b,131bの捩れもしくは撓みによる変形でそれぞれ吸収する。なお、補助器4に固定した締結部110は、他の締結部100,120,130の変位吸収部101,121,131が撓むことによって相対的に熱膨張差が吸収される。
また、実施形態では選択した一つの締結部110を補助器4に固定したが、図13に示したように、全ての締結部100,110,120,130に対して変位吸収部101,111,121,131を設けるようにしてもよい。なお、図示した変位吸収部111は、変位吸収部131と同じ構造である。
3 …燃料電池スタック
3a …燃料電池セル
4 …補助器
4a〜4d …側面
4e …上面
4f …下面
5,6 …第1締め部材
7,8 …第2締め部材
10,12 …ガス供給路
11,13 …ガス排出路
100,110,120,130 …締結部
101,111,121,131 …変位吸収部
121a,131a …補助器側軸部
121b,131b …締結部側軸部
121c,131c …連絡部
G …ガスシール部材
Claims (5)
- 燃料電池セルを複数積層してなる燃料電池スタックと、
上面と下面と側面を有し、前記燃料電池スタックの少なくとも一方の端面側に配置されて、少なくとも該燃料電池スタックから排出される未反応ガスを燃焼させる補助器と、
該補助器の前記側面に配置され、前記燃料電池スタックと該補助器とを結合する複数の締結部と、
前記燃料電池スタックと前記補助器の前記締結部との間にガスシール部材を挟んで共締めしてこの両者を積層方向に連結する複数の第1締め部材と、
前記燃料電池スタックと前記補助器の締結部との間にガスシール部材を挟んで共締めしてこの両者を積層方向に連結する複数の第2締め部材と、
前記燃料電池スタックを積層方向に貫くと共に前記第1締め部材の内側又は外側に形成されたガス供給路と、
前記燃料電池スタックを積層方向に貫くと共に前記第2締め部材の内側又は外側に形成されたガス排出路と、を有し、
前記補助器の前記締結部の何れか一つを選択したとき、その一つの締結部以外の全ての締結部は、前記側面に変位吸収部を介して取り付けられていることを特徴とする燃料電池。 - 前記締結部のうちの前記で選択した一つの該締結部は、前記補助器の前記側面に固定的に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記締結部のうちの前記で選択した一つの該締結部は、前記補助器の前記側面に変位吸収部を介して取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記補助器の上面と、前記締結部の上面とを略同一平面上に揃えて配置するようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池。
- 前記変位吸収部は、
前記補助器側に連結された上下方向の補助器側軸部と、
前記締結部に連結された上下方向の締結部側軸部と、
該締結部側軸部と補助器側軸部とを連結する連絡部と、を備えており、
加熱に伴う補助器と燃料電池スタック間に発生する熱膨張差を、主として前記補助器側軸部と前記締結部側軸部の捩れもしくは撓みによる変形で吸収し得るようにしてなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池。
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