JP6162291B2 - 裏込材注入装置 - Google Patents

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本発明は、シールド工法における裏込材注入装置に関する。
従来、シールド機による掘削では、その先端のカッターにより掘削された掘削孔の内周面と、設置されるセグメントの外周面との間の環状の間隙(テールボイド)に、裏込材が充填され、湧水のセグメント内への侵入や、地盤沈下などの不具合を防止するようにしている。
裏込材を注入する方法として、テールボイドの発生とほぼ同時に裏込材を注入する同時裏込材注入方法や、シールド機の後胴部の後方に離れた箇所に位置するセグメントの裏込材注入孔から裏込材を注入する即時裏込材注入方法などが知られている。
なかでも同時裏込材注入方法は、進行毎に裏込材注入孔への注入ノゾルの脱着作業を要しないことから、即時裏込材注入方法に比べ、作業効率を高めトンネル工事のコストダウンを図る上で有利となる。
特開2010−59607 特開2000−170495
一方、同時裏込材注入方法では、シールド機の後胴部の外周面に裏込材注入装置の裏込材注入部を取り付けた構造となっており、裏込材注入部が取り付けられた後胴部の部分は、後胴部の半径方向外側に突出する。
そのため、柔らかい地盤を掘進する場合には問題がないものの、掘進の途中で岩盤などの硬い地盤に進行しなくてはならない場合、裏込材注入部が掘削した孔の内周部に当たり、裏込材注入部が破損するなどしてシールド機による掘進が円滑に行なえなくなるという不具合が生じる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、後胴部の外周面に裏込材注入部が取り付けられたシールド機が、柔らかい地盤から硬い地盤に進行する場合であっても、シールド機を円滑に進行させる上で有利な裏込材注入装置を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明は、先端にカッターを有するシールドの後胴部の内部に配置された裏込材供給部と、前記後胴部に貫通形成された開口部と、前記開口部から前記後胴部の半径方向外側に突出しテールボイドへの裏込材の注入を可能とした注入位置と、前記開口部から前記後胴部の内部に収納され前記開口部を閉塞する収納位置との間で前記開口部の縁部と接触しつつ移動可能に設けられ、柔らかい地盤の掘進時に前記裏込材供給部に接続され硬い地盤の掘進時に前記裏込材供給部から切り離される第1の裏込材注入部と、前記第1の裏込材注入部を、柔らかい地盤の掘進時に前記注入位置に移動させ、硬い地盤の掘進時に前記収納位置に移動させるアクチュエータと、硬い地盤の掘進時に前記裏込材供給部に接続され柔らかい地盤の掘進時に前記裏込材供給部から切り離され前記後胴部の後方に離れた箇所に位置するセグメントの裏込材注入孔に接続可能な第2の裏込材注入部とを備えることを特徴とする。
本発明では、シードル機が柔らかい地盤を掘進する場合、第1の裏込材注入部を注入位置とし、第1の裏込材注入部からテールボイドに裏込材を注入し、同時裏込材注入方法を実施する。
シードル機が硬い地盤を掘進する場合、第1の裏込材注入部を後胴部に収納した収納位置とし、後胴部の外周面から突起物をなくす。
そして、第2の裏込材注入部から、後胴部の後方に離れたセグメントの裏込材注入孔を介してテールボイドに裏込材を注入し、即時裏込材注入方法を実施する。
したがって、柔らかい地盤および硬い地盤でのシールド機による掘進が円滑に効率良く行われる。
(A)は同時裏込材注入方法を行ないつつシールド機が掘進している状態の側面図、(B)は後胴部の後方からシールド機を見た図である。 (A)は即時裏込材注入方法を行ないつつシールド機が掘進している状態の側面図、(B)は後胴部の後方からシールド機を見た図である。 注入位置に位置する第1の裏込材注入部の説明図で、(A)は平面図、(B)は(A)のBB断面図、(C)は(A)のCC矢視図である。 収納位置に位置する第1の裏込材注入部の説明図で、(A)は平面図、(B)は(A)のBB断面図、(C)は(A)のCC矢視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すようにシールド機10は、前端にカッター1202を有する前胴部12と、前胴部12に対して屈曲可能に連結された後胴部14を備えている。
前胴部12の内部には、カッター1202を回転駆動するモータや、掘削した土砂を排出するコンベア装置が配置され、また、後胴部14の内部にはセグメントCを組み立てるエレクタや、掘進用ジャッキが配置されている。
なお、セグメントCには、その使用の有無に拘らず裏込材注入孔が設けられ、この裏込材注入孔は栓で閉塞されている。
後胴部14の前部かつ上部に前後に長い矩形状の開口部16が設けられている。
開口部16は、図3に示すように、後胴部14の矩形状の切り欠きに取着された矩形枠状のパッキン18の内周部で形成されている。
さらに、図1に示すように、後胴部14の後端の内周面にワイヤブラシ20が設けられている。
ワイヤブラシ20は、掘削孔19の内周面と、セグメントCの外周面との間の環状の空間であるテールボイド22に対して、後胴部14の内部を水密に保持し、地下水の後胴部14内への侵入を阻止するものである。
裏込材注入装置24は、テールボイド22に裏込材を充填し、湧水のセグメントC内への侵入や地盤沈下などを防止するものである。
裏込材注入装置24は、裏込材供給部26と、裏込材供給部26に接続分離可能な同時裏込材注入方法実施用の第1の裏込材注入部30と、図2に示す即時裏込材注入方法実施用の第2の裏込材注入部32とを備えている。
裏込材には、モルタルのように予め材料が混合されているものや、注入直前に主剤に対して硬化剤を混合するものなど、従来公知の様々な材料が使用可能である。
また、第1の裏込材注入部30の注入路などの内部構造には、裏込材に対応した従来公知の同時裏込材注入方法実施用の様々な構成の注入部が採用可能である。
さらに、第2の裏込材注入部32には、裏込材に対応した従来公知の即時裏込材注入方法実施用の様々な構成の注入部が採用可能である。
裏込材供給部26は、後胴部14の内部に配置されている。
裏込材供給部26は、裏込材の収容タンク2602、収容タンク2602と第1、第2の裏込材注入部30、32とを分離可能に接続する配管2604、収容タンク2602内の裏込材を配管2604を介して第1、第2の裏込材注入部30,32の注入路に圧送するポンプ2606、配管2604や注入路を洗浄するための洗浄水の洗浄水タンク2608、このタンク2608内の洗浄水を第1、第2の裏込材注入部30,32に圧送するポンプ2610や配管2612を含んで構成されている。
それらの配管2604、2612の先部は、ジョイント34を介して第1、第2の裏込材注入部30,32に対して接続分離可能である。より詳細には、第1、第2の裏込材注入部30,32側の配管の先部にボール弁(開閉弁)36が設けられ、裏込材供給部26側の配管の先部にボール弁(開閉弁)38、ジョイント34が設けられ、第1、第2の裏込材注入部30,32側の配管の先部のボール弁36がジョイント34に係脱可能に結合される。
第1の裏込材注入部30は、裏込材の注入路が設けられたフレーム(シリンダブロック)を有し、フレームは開口部16に配置されている。
フレームは図4(A)に示すように4つの側面がパッキン18の内周部に弾接する平面視矩形の板状を呈し、図3(B)、図4(B)に示すように、前端から後端に至るにつれて次第に厚さが大きくなるように形成され、図3(C)、図4(C)に示すように、裏込材が吐出される吐出口3002は、テールボイド22に対向するフレームの後側面に形成されている。
フレームの前端側の両側面に支軸40が突設され、支軸40はパッキン18を挿通し、支軸40の端部は、後胴部14に設けられた軸受部42で回転可能に支持されている。したがって、第1の裏込材注入部30は、開口部16内において、前端を支点とし後端が後胴部14の半径方向に変位可能に配置され、すなわち、揺動可能に配置されている。
第1の裏込材注入部30は、開口部16から後胴部14の半径方向外側に突出しテールボイド22への裏込材の注入を可能とした注入位置(イ)と、開口部16から後胴部14の内部に収納され前記開口部16を閉塞する収納位置(ロ)との間で、開口部16の縁部(パッキン18の内周部)と接触しつつ揺動可能に設けられている。
したがって、第1の裏込材注入部30は、開口部16の縁部(パッキン18の内周部)に対して常時接触し、第1の裏込材注入部30の位置の如何に拘らず、湧水や土砂などの開口部16から後胴部14の内部への侵入を防止している。
第1の裏込材注入部30のフレームは、後胴部14の内部に対向する内面と、図3、図4に示すように、その反対に位置する外面3010とを有している。
注入位置(イ)で外面3010は、図1および図3(B)に示すように、後胴部14の半径方向において、シールド機10の先端側に位置する箇所が後胴部14の外周面と同一の箇所に位置し、かつ、シールド機10の先端側に位置する箇所からシールド機10の後方側に位置する箇所に向かうにつれて次第に後胴部14の半径方向外側に変位するように傾斜する。
また、外面3010は、図4(C)で示すように、後胴部14の外周面と同一直径の円筒面で形成されている。
そして、収納位置(ロ)において、外面3010は後胴部14の外周面と同一面上に位置する。
注入位置(イ)と収納位置(ロ)への第1の裏込材注入部30の揺動は、アクチュエータ44の作動によりなされ、本実施の形態ではアクチュエータ44として油圧シリンダが用いられ、油圧シリンダの伸張状態で第1の裏込材注入部30は注入位置(イ)となり、油圧シリンダの縮小状態で第1の裏込材注入部30は収納位置(ロ)となる。
次に、裏込材注入装置24を用いた裏込材注入方法について説明する。
シールド機10で柔らかい地盤を掘進する場合、図1に示すように、アクチュエータ44により第1の裏込材注入部30を注入位置(イ)に突出させ、裏込材用配管2604で裏込材供給部26と第1の裏込材注入部30とを接続し、テールボイド22の発生とほぼ同時に第1の裏込材注入部30から裏込材を注入する同時裏込材注入方法を行なう。
本実施の形態では、注入位置(イ)において、第1の裏込材注入部30は、後方に至るにつれて次第に後胴部14の半径方向外側に変位するように傾斜しているので、掘削孔19の内周部に対する第1の裏込材注入部30の抵抗が小さくて済み、シールド機を円滑に掘進させる上で有利となる。
掘進の途中で柔らかい地盤から岩盤などの硬い地盤に進行しなくてはならない場合、ポンプ2606を停止し、第1の裏込材注入部30からテールボイド22への裏込材の注入を停止し、図2に示すように、アクチュエータ44により第1の裏込材注入部30を収納位置(ロ)とする。
また、それぞれボール弁36、38を閉じ、ジョイント34を介して裏込材用配管2604の先部を第1の裏込材注入部30から切り離す。
さらに、ジョイント34を介して裏込材用配管2604の先部を第2の裏込材注入部32のボール弁36に接続し、裏込材供給部26と第2の裏込材注入部32とを接続する。
そして、裏込材が注入されていない箇所に対応するセグメントCの裏込材注入孔の栓を取り外し、第2の裏込材注入部32からセグメントCの裏込材注入孔を介してテールボイド22に裏込材を注入する。
すなわち、図2に示すように、今度は、掘進しつつ、後胴部14の後方に離れたセグメントCの裏込材注入孔からテールボイド22に裏込材を注入する即時裏込材注入方法を行なう。
したがって、硬い岩盤を掘進する際、後胴部14の外周面に突起物がなくなり、シールド工法による掘進が円滑に行われることになる。
本実施の形態では、硬い岩盤を掘進する際、第1の裏込材注入部30を注入位置(イ)から収納位置(ロ)とし、収納位置(ロ)では、図4(C)に示すように、第1の裏込材注入部30の外面3010が、後胴部14の外周面と同一面上に位置するので、硬い岩盤を掘進する際、第1の裏込材注入部30が抵抗となることがなく、シールド工法による掘進が円滑に行われる。
なお、注入位置(イ)と収納位置(ロ)との間の第1の裏込材注入部30の移動は、揺動に限定されず、直線運動であってもよい。ただし、実施の形態のように第1の裏込材注入部30を揺動させると、収納位置(ロ)において後胴部14の内部に突出する第1の裏込材注入部30の容積を減少でき、コンパクト化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、シールド機10が柔らかい地盤から硬い地盤に掘進する場合について説明した、柔らかい地盤では第1の裏込材注入部を注入位置(イ)として同時裏込材注入方法を行ない、硬い地盤では第1の裏込材注入部を収納位置(ロ)とし第2の裏込材注入部から即時裏込材注入方法を行なうことで、掘削中に柔らかい地盤と硬い地盤とが交互に出現する場合にもシールド工法による掘進を円滑に効率良く行なうことが可能となる。
10……シールド機、12……前胴部、14……後胴部、16……開口部、18……パッキン、22……テールボイド、24……裏込材注入装置、26……裏込材供給部、2602……裏込材の収容タンク、2604……裏込材用配管、2606……裏込材用ポンプ、2608……洗浄水タンク、2610……洗浄水用ポンプ、2612……洗浄水用配管、30……第1の裏込材注入部、32……第2の裏込材注入部、40……支軸、42……軸受け部、44……アクチュエータ、C……セグメント。

Claims (4)

  1. 先端にカッターを有するシールドの後胴部の内部に配置された裏込材供給部と、
    前記後胴部に貫通形成された開口部と、
    前記開口部から前記後胴部の半径方向外側に突出しテールボイドへの裏込材の注入を可能とした注入位置と、前記開口部から前記後胴部の内部に収納され前記開口部を閉塞する収納位置との間で前記開口部の縁部と接触しつつ移動可能に設けられ、柔らかい地盤の掘進時に前記裏込材供給部に接続され硬い地盤の掘進時に前記裏込材供給部から切り離される第1の裏込材注入部と、
    前記第1の裏込材注入部を、柔らかい地盤の掘進時に前記注入位置に移動させ、硬い地盤の掘進時に前記収納位置に移動させるアクチュエータと、
    硬い地盤の掘進時に前記裏込材供給部に接続され柔らかい地盤の掘進時に前記裏込材供給部から切り離され前記後胴部の後方に離れた箇所に位置するセグメントの裏込材注入孔に接続可能な第2の裏込材注入部と、
    を備えることを特徴とする裏込材注入装置。
  2. 前記裏込材供給部は、裏込材供給用の配管を含んで構成され、
    前記配管の先部は、第1の裏込材注入部および第2の裏込材注入部に対して係脱可能であり、
    前記裏込材供給部に対する前記第1の裏込材注入部および前記第2の裏込材注入部の接続分離は、前記配管の先部が第1の裏込材注入部および第2の裏込材注入部に対して係脱することでなされる、
    ことを特徴とする請求項記載の裏込材注入装置。
  3. 前記第1の裏込材注入部の前記注入位置と前記収納位置との間での移動は、前記シールド機の先端側に位置する前記第1の裏込材注入部の箇所を支点とし前記シールド機の後方側に位置する前記第1の裏込材注入部の箇所が前記後胴部の半径方向に変位する揺動であり、
    前記第1の裏込材注入部は、前記後胴部の内部に対向する内面と、その反対に位置する外面とを有し、
    前記注入位置において、前記外面の前記シールド機の先端側に位置する箇所は、前記後胴部の半径方向において同一の箇所に位置し、前記シールド機の後方側に位置する箇所に向かうにつれて次第に前記後胴部の半径方向外側に変位するように傾斜している、
    ことを特徴とする請求項または記載の裏込材注入装置。
  4. 前記外面は、前記後胴部の外周面と同一直径の円筒面で形成され、
    前記収納位置において、前記外面は前記後胴部の外周面と同一面上に位置する、
    ことを特徴とする請求項記載の裏込材注入装置。
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