JP6161356B2 - 減圧弁 - Google Patents

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Description

本発明は、減圧室の圧力に応じてピストンが変位する減圧弁に関する。
減圧弁は、周知の通り、高圧の流体を所定の圧力まで減圧する機能を営む。この種の減圧弁に関し、本出願人は、特許文献1にてダイヤフラム式のものを提案している。
特許文献1記載の減圧弁では、弁棒に対して弁体部材が外嵌され、この弁体部材が弁座に対して着座又は離間する。これに伴って減圧弁が閉止状態又は開放状態となる。
ここで、弁棒と弁体部材との間に高圧の流体が進入すると、弁体部材が内部から流体に押圧されることで弁棒から離脱したり、変形したりする一因となる。これを回避するべく、弁棒と弁体部材との間にシール部材(Oリング等)を介装し、両部材の間をシールするようにしている。
特開2005−227860号公報
シール部材によって弁棒と弁体部材との間のシールがなされるものの、例えば、通過を遮断すべき流体が水素等のように透過し易いものである場合には、シール部材を設けているにも関わらず、両部材の間に流体が進入する可能性がある。このような場合であっても弁体部材の弁棒からの離脱や変形を回避するべく、強固な保持構造を設けたり、弁体部材として大型のものを用いたりするようにしている。
すなわち、この場合、弁体部材の大型化を余儀なくされる。また、部品点数が増加したり、このために減圧弁の部品コストが高騰したりするという不具合がある。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、弁体部材として小型のものを採用し得、しかも、部品点数が増加することを回避することが可能であることから部品コストを低廉化し得る減圧弁を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る減圧弁は、流体を導入するための導入流路と、
前記導入流路に連通する弁室と、
前記弁室に設けられて弁体部材が着座又は離間する弁座と、
前記弁体部材が外嵌された弁棒が通される弁孔と、
前記弁孔を介して前記弁室に連通する減圧室と、
前記流体を前記減圧室から導出するための導出流路と、
が形成されたボディを備え、
前記ボディに、前記弁棒に連結されて前記減圧室内の圧力の変化に応じて変位するピストンが収容され、
さらに、前記弁棒を前記弁座側に指向して弾発付勢する第1弾発部材と、前記ピストンを前記弁座側に指向して弾発付勢する第2弾発部材とを有し、
前記弁棒の外壁、又は、前記弁棒の前記外壁を囲繞した前記弁体部材の内壁のいずれかに、前記弁室から前記弁棒と前記弁体部材の間に進入した流体を前記弁孔に排出するための流体排出構造が設けられ
前記弁棒と前記弁体部材との間に介在し、前記弁室に導入された前記流体の前記流体排出構造側への流通を遮るためのシール部材が設けられていることを特徴とする。
本発明においては、流体排出構造が存在するため、仮に弁棒と弁体部材との間に流体が進入したとしても、該流体が前記流体排出構造を介して弁棒と弁体部材との間から速やかに排出される。このため、弁体部材が内部から流体によって押圧されることが防止されるので、弁体部材として大型のものを用いたり、保持構造を設けたりすることなく、弁体部材が弁棒から離脱したり、変形したりすることを回避することができる。
従って、弁体部材として小型のものを採用することができるとともに、保持構造を割愛することができる。これにより部品点数が増加することを回避することができるので、減圧弁の部品コストの低廉化を図ることができる。
流体排出構造は、例えば、溝として設けることができる。溝が形成されていない部位は弁孔を閉塞するので、弁体部材のシート性が十分に確保される。
本発明によれば、弁棒と弁体部材との間から流体を排出し得る流体排出構造を設けるようにしているので、仮に弁棒と弁体部材との間に流体が進入したとしても、該流体が前記流体排出構造を介して弁棒と弁体部材との間から速やかに排出される。このため、弁体部材が内部から流体によって押圧されることが防止されるので、弁体部材として大型のものを用いたり、保持構造を設けたりすることなく、弁体部材が弁棒から離脱したり、変形したりすることを回避することができる。
従って、弁体部材として小型のものを採用することができるとともに、保持構造を割愛することができる。これにより部品点数が増加することを回避することができるので、減圧弁の部品コストの低廉化を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る減圧弁が開放状態にあるときの全体概略縦断面図である。 図1の減圧弁を構成する弁棒の要部拡大正面図である。 図1の減圧弁を構成するピストンの要部拡大縦断面図である。 図1の減圧弁が閉止している状態を示す全体概略縦断面図である。
以下、本発明に係る減圧弁につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における「下方」、「上方」、「左方」及び「右方」は、図1中の下方、上方、左方及び右方を指称するものとする。「下端部」や「上端部」等も同様である。
図1は、本実施の形態に係る減圧弁10が開放状態にあるときの全体概略縦断面図である。この減圧弁10は、下方及び上方が開口したボディ12と、該ボディ12の下方に冠着される下カバー14と、上方に冠着される上カバー16とを有する。
ボディ12には、流体が導入される入口ポート18と、導入流路20を介して前記入口ポート18に連通する収容孔22と、上方に開口したピストン摺動孔24と、後述する減圧室26内の流体を導出するための導出流路28と、該導出流路28に連通する出口ポート30とが形成される。
収容孔22は、下方から、内径が最大であり開口した大径孔32、該大径孔32から若干縮径されて等径な中径孔34、上方に向かうに従ってテーパー状に縮径するテーパー孔36、内径が最小で且つ等径な小径孔38からなる。前記下カバー14は、ボディ12の下端部に螺合されることにより、大径孔32を閉塞する。
中径孔34には、略円柱体形状の第1押さえ部材40が圧入される。該第1押さえ部材40の径方向略中心部には、下方から上方に指向して延在する挿入孔42が貫通形成されている。この挿入孔42には、カラー部材44が変位可能に挿入される。該カラー部材44は下カバー14で押圧されており、これにより該カラー部材44の挿入孔42からの抜け止めがなされている。カラー部材44の上端面には、環状凹部46が陥没形成される。
挿入孔42内には段部48が形成され、この段部48により、第2押さえ部材50が係止される。第2押さえ部材50の外周壁の一部は、小径孔38の内周壁に当接する。
第2押さえ部材50には、上方に向かうにつれて段階的に縮径される第1挿通孔52が貫通形成される。第1挿通孔52の幅広な下方には、リテーナ押さえ部材54と、第1リテーナ56とが収容される。すなわち、リテーナ押さえ部材54はカップ形状に形成されるとともに、下方から上方に向かうに従って縮径する第2挿通孔58が形成される。第1リテーナ56は、この第2挿通孔58の幅広で且つ等径な下方に圧入されている。
前記カラー部材44と第1リテーナ56との間には、第1コイルスプリング(第1弾発部材)60が介在する。すなわち、第1リテーナ56の上端部には、直径方向外方に突出するようにしてフランジ部62が設けられる。第1コイルスプリング60の下端部は前記カラー部材44に形成された前記環状凹部46の底面に着座し、上端部は第1リテーナ56のフランジ部62の下端面に着座する。
小径孔38には、さらに、略円筒形状のガイド部材64が収容される。ガイド部材64には、外周壁から内周壁まで貫通した流通孔66が放射状に複数形成される。このため、入口ポート18から導入されて小径孔38(収容孔22)に到達した流体は、流通孔66を通過してガイド部材64の内部、具体的には、後述する弁体68(弁体部)の外壁と、ガイド部材64の内壁とで形成される弁室70に進入することが可能である。
ガイド部材64の天井壁には、弁孔72が貫通形成される。弁孔72の弁室70側の開口近傍は、下方から上方に向かうに従ってテーパー状に収縮している。この開口には、弁体68が離間又は着座する。すなわち、該開口は弁座74である。
ボディ12には、収容孔22とピストン摺動孔24を区画するための区画壁76が直径方向内方に向かうようにして環状に突出形成される。区画壁76には、収容孔22とピストン摺動孔24を連通する連通孔78が形成される。なお、区画壁76の下端面には、ガイド部材64の上端面が当接する。
以上の構成において、第1挿通孔52、第2挿通孔58、弁孔72及び連通孔78には、長尺な弁棒80が通される。弁棒80の下端部は、前記第1リテーナ56に支持される。従って、弁棒80は、第1リテーナ56のフランジ部62に着座した前記第1コイルスプリング60によって上方、換言すれば、弁座74側に弾発付勢される。
下カバー14をボディ12に装着する方向に螺回すると、カラー部材44が挿入孔42の上方に指向して変位し、その結果、第1コイルスプリング60が収縮する。逆に、下カバー14をボディ12から離脱する方向に螺回すると、カラー部材44が挿入孔42の下方に指向して変位することに伴って第1コイルスプリング60が伸張する。以上のようにして第1コイルスプリング60の圧縮・伸張の度合いを変更することにより、第1コイルスプリング60が弁棒80に付与する弾発付勢力が調整される。
弁棒80の高さ方向略中腹部には、肉薄な大径部82が直径方向外方に向かうようにして突出形成される。この大径部82から上方に若干離間した位置には、上方に向かうにつれてテーパー状に縮径する傘部84が設けられ、この傘部84の上端部には、等径部86が連なる。要部を拡大した図2に示すように、傘部84の下端から等径部86の上端にかけては、流体排出構造である複数個(例えば、4本)の逃がし溝88が互いに略等間隔で離間するように形成される。また、弁棒80において、大径部82と傘部84の間の小径な部位には、環状のシールリング90が装着される。
大径部82から等径部86に至るまでは、弁体部材としての弁体68が外嵌される。従って、弁体68は、弁棒80がその長手方向に沿って変位する際、弁棒80と一体的に変位する。また、弁体68と弁棒80の間には、前記シールリング90が介在する。
弁体68の上端部には、テーパー状に収縮する弁座74の形状に対応するべく、下方から上方に向かうにつれてテーパー状に緩やかに縮径した縮径部92と、該縮径部92の収斂した上端から円環状に突出した環状凸部94とが設けられる。弁体68が上方に変位したときには、該弁体68の縮径部92が弁座74に着座する(図4参照)。これにより、弁座74及び弁孔72が閉塞される。この際、環状凸部94は弁孔72に進入する。
なお、弁棒80の等径部86は、環状凸部94に形成された係合孔96に係合されている。減圧弁10が閉止状態にあるときには、上記したように環状凸部94が弁孔72に進入するため、弁棒80に形成された前記逃がし溝88は、弁孔72に臨む。
図1に示すように、ピストン摺動孔24には、略円盤形状のピストン100が収容される。ここで、ピストン摺動孔24の内周壁には環状ストッパ部102が直径方向内方に突出するように形成されており、ピストン100は、環状ストッパ部102によって堰止されることで下死点となる。
連通孔78と、下死点に位置するピストン100の下端面との間にはクリアランスが形成される。このクリアランスが、減圧室26となる。弁孔72と連通孔78が連通しているため、減圧室26は、弁孔72が開放されているときには弁孔72及び連通孔78を介して弁室70に連通する。また、前記導出流路28の一端は、この減圧室26内で開口している。
ピストン100の直径方向略中心には、係止孔104が厚み方向に沿って貫通形成される。前記係止孔104には係止部材106が嵌合され、弁棒80の上端部は、この係止部材106に係止されている。すなわち、係止部材106の下端部には挿入室108が形成され、弁棒80の上端部はこの挿入室108に挿入されている。さらに、弁棒80の上端部にはC字状クリップ110が外嵌され、このC字状クリップ110が、挿入室108の室内壁に形成された係合溝112に係合される。結局、弁棒80と係止部材106は、C字状クリップ110を介して連結される。
係止孔104から突出した係止部材106の上端には、ワッシャ114を介してナット116が螺合される。この螺合により係止部材106の係止孔104からの抜け止めがなされるとともに、係止部材106の幅広な下端部とナット116によってピストン100が挟持される。その結果、弁棒80が係止部材106を介してピストン100に堅牢に連結される。
このようにして弁棒80がピストン100に連結されたとき、弁棒80の幅広上端面118は、挿入室108の天井面に接触した状態で、ピストン100の厚み方向の略中腹、且つ直径方向の略中心に位置する。すなわち、弁棒80の上端部は、ピストン100の中心部まで進入している。
本実施の形態では、ピストン100の中心部を重心に一致させている。従って、弁棒80の上端部は、ピストン100の重心に位置する。
ピストン100の側壁中、ピストン摺動孔24の内壁に摺接する摺接部位119には、第1環状溝120、第2環状溝122、第3環状溝124が下方からこの順序で、且つ互いに若干離間した位置に形成される。第1環状溝120及び第3環状溝124は、それぞれ、摺接部位119の下端、上端に位置する。
図1及び図3に示すように、第2環状溝122にはシール部材としてのOリング126が収容され、第1環状溝120及び第3環状溝124には、第1リング体128、第2リング体130がそれぞれ収容される。すなわち、Oリング126は、第1リング体128と第2リング体130の間で且つこれら第1リング体128及び第2リング体130から離間した位置に設けられ、一方、第1リング体128、第2リング体130は、それぞれ、摺接部位119の下端、上端に位置する。
第1リング体128、Oリング126及び第2リング体130の各外周壁は、第1環状溝120、第2環状溝122、第3環状溝124から若干突出する。この突出した部位が、ピストン100が変位する際にピストン摺動孔24の内壁に摺接する(図3参照)。
弁棒80の幅広上端面118の高さ位置は、Oリング126の高さ位置に略一致するように設定されている。従って、弁棒80の上端部は、摺接部位119の直径方向内方に位置する。このため、本実施の形態では、弁棒80と係止部材106との接触箇所(弁棒80とピストン100との連結箇所)は、ピストン100の重心であり、且つ摺接部位119の直径方向内方である。また、上記から諒解されるように、Oリング126は、その中心がピストン100の重心を通るようにして第2環状溝122に装着されている。
ピストン100の側壁(摺接部位119)とピストン摺動孔24の内周壁との間のシールは、主にOリング126によってなされるが、第1リング体128及び第2リング体130もまたシール機能を営む。
この場合、Oリング126は合成ゴム(弾性体)からなり、従って、該Oリング126は、ピストン摺動孔24の内壁に対して弾発的に摺接する。一方、第1リング体128及び第2リング体130は、Oリング126に比して摩擦係数が小さな樹脂からなる。
合成ゴム及び樹脂は、摩擦係数の大小が上記した関係を満たす組み合わせであればよく、特に限定されるものではないが、Oリング126がウレタンゴムからなる場合、第1リング体128及び第2リング体130の素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又はポリエーテルエーテルケトン樹脂等を選定すればよい。第1リング体128及び第2リング体130がこのように摩擦抵抗が小さい樹脂からなる場合、後述するように、ピストン100が変位する際の摺動抵抗が上昇することを回避することができる。
出口ポート30の近傍には、ガス出口側継手132が連結される。減圧室26及び導出流路28を経由して出口ポート30に到達したガスは、ガス出口側継手132内に形成された出口流路134を流通して減圧弁10の外部に導出される。
図1から諒解されるように、ピストン摺動孔24は、中空の上カバー16がボディ12に螺合されることによって閉塞される。上カバー16内には、下端部がピストン100に着座し、且つ上端部が第2リテーナ136の鍔部138に着座した第2コイルスプリング140(第2弾発部材)が収容される。ピストン100は、この第2コイルスプリング140により、弁座74側に指向して弾発付勢されている。
上カバー16の天井面から内部に垂下するように設けられた円柱状突出部142には、その長手方向に沿って調整孔144が貫通形成される。調整孔144には調整ネジ146が螺回可能に挿入されており、この調整ネジ146が螺回されることに伴って第2リテーナ136の位置が変化する。これにより第2コイルスプリング140の圧縮・伸張の度合いを変更することができ、その結果として、第2コイルスプリング140がピストン100に付与する弾発付勢力を調整できるようになっている。
本実施の形態に係る減圧弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、該減圧弁10の動作との関係で説明する。
この減圧弁10は、例えば、燃料電池を運転するための反応ガス(例えば、水素含有ガス)の流通ラインに組み込まれる。流通ラインは、燃料電池に反応ガスを供給する供給ラインであってもよいし、燃料電池から反応ガスを排出する排出ラインであってもよい。
以下、流体が反応ガスである場合を例示して説明すると、反応ガスは、入口ポート18から導入されて導入流路20を通過し、収容孔22(小径孔38)内に到達する。反応ガスは、さらに、ガイド部材64に形成された流通孔66を介してガイド部材64の内部、すなわち、弁室70に進入する。弁棒80が図1に示す初期位置にあり、弁体68が弁座74に着座していないときには、反応ガスは、弁室70から弁孔72及び連通孔78を経て減圧室26に至る。
減圧室26内の反応ガスが所定の圧力以下であり、反応ガスのピストン100に対する押圧力と、第コイルスプリング60による第1リテーナ56を介しての弁棒80に対する弾発付勢力の合計が、第コイルスプリング140によるピストン100に対する弾発付勢力よりも小さいときには、ピストン100が変位することはない。この場合、反応ガスは、減圧室26から導出経路に向かい、出口ポート30から、ガス出口側継手132内の出口流路134を流通して減圧弁10の外部に導出される。
これに対し、減圧室26内の反応ガスが十分に高圧であり、このために減圧室26に到達した反応ガスのピストン100に対する押圧力と、第コイルスプリング60による第1リテーナ56を介しての弁棒80に対する弾発付勢力の合計が、第コイルスプリング140によるピストン100に対する弾発付勢力を上回ると、ピストン100が上方に変位する。上記したようにピストン100には係止部材106を介して弁棒80が連結されているため、弁棒80もピストン100に追従して上方に変位する。この際、弁棒80の側周壁が、主には第2挿通孔58の内周壁に摺接する。また、第コイルスプリング60が伸張する一方で、第コイルスプリング140が収縮する。
その結果、図4に示すように、弁棒80に外嵌された弁体68の縮径部92が弁座74に着座し、これにより弁座74が閉塞される。従って、弁室70と減圧室26が互いに遮断され、結局、減圧弁10が閉止状態となる。このため、減圧弁10の外部に導出される反応ガスは、減圧室26に既に進入した分のみである。なお、弁体68の環状凸部94は、上記したように弁孔72に進入する。
減圧室26に進入した反応ガスが導出流路28、出口ポート30及び出口流路134を介して減圧弁10の外部に導出されると、減圧室26の圧力(換言すれば、ピストン100に対する押圧力)が低下する。そして、第コイルスプリング140による弾発付勢力が、減圧室26内の反応ガスのピストン100に対する押圧力と、第コイルスプリング60による弁棒80に対する弾発付勢力の合計を上回ると、ピストン100が下方に変位する。これに追従し、該ピストン100に連結された弁棒80も下方に変位するとともに、第コイルスプリング60が収縮する。さらに、第コイルスプリング140が伸張する。
これにより弁体68の縮径部92が弁座74から離間し、図1に示す状態に戻る。すなわち、弁室70と減圧室26が連通して減圧弁10が開放状態となる。
必要に応じて以上の動作が繰り返されることにより、導入流路20では高圧であった反応ガスが減圧された状態で導出流路28から導出される。すなわち、反応ガスが高圧である場合、減圧弁10内を通過させることでその圧力を低減することができる。
ピストン100が上記のようにして変位を繰り返す過程では、その側壁中の摺接部位119が、ピストン摺動孔24の内周壁に継続して摺接する。このため、摺接部位119の側壁又はピストン摺動孔24の内周壁の少なくともいずれかが摩耗し、摩耗粉が発生する懸念がある。
ここで、本実施の形態では、ピストン100の側壁中の摺接部位119に、Oリング126を挟むようにして第1リング体128、第2リング体130を配設している。従って、第1リング体128及び第2リング体130は、Oリング126に対し、変位方向の上流側又は下流側に位置する。
このため、例えば、ピストン100が上方に変位するときに第2リング体130よりも上方で摩耗粉が発生した場合、この摩耗粉は、第2リング体130によって掃拭される。逆に、ピストン100が下方に変位するときに第1リング体128よりも下方で摩耗粉が発生した場合、この摩耗粉は、第1リング体128によって掃拭される。
なお、第1リング体128及び第2リング体130は、ゴムに比して剛性が高く弾性変形し難い樹脂からなる。従って、第1リング体128及び第2リング体130が摩耗粉に接触した際に弾性変形を起こして該摩耗粉に乗り上げること、換言すれば、摩耗粉が第1リング体128又は第2リング体130を通過することは困難である。
すなわち、摩耗粉は第1リング体128ないし第2リング体130によってブロックされ、Oリング126まで到達することが阻害される。このため、Oリング126とピストン摺動孔24の内壁との間に摩耗粉が進入することや、ピストン100が変位する際に摩耗粉によってOリング126に傷が付くことが回避される。これにより、Oリング126のシール性能が低下することを回避することができる。
加えて、第1リング体128及び第2リング体130の各々が摺接部位119の下端、上端に配設されてピストン摺動孔24の内周壁に接しているので、ピストン100の摺接部位119の下端及び上端と、ピストン摺動孔24の内壁との間に間隙が形成されることが回避される。このためにピストン100が傾くことが回避されるので、第1リング体128ないし第2リング体130、又は摺接部位119の一部がピストン摺動孔24の内周壁に必要以上に接近して該内周壁に押接したり、その結果としてピストン100の摺動抵抗が上昇したりすることを回避することができる。
しかも、第1リング体128及び第2リング体130は摩擦係数が小さい樹脂、好適には、ポリテトラフルオロエチレン樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂等からなるので、摩擦抵抗が十分に小さい。このため、ピストン100の摺動抵抗が大きくなることを回避することができるので、反応ガスからの押圧に対するピストン100の変位速度が確保される。従って、減圧弁10の応答速度も確保される。
また、摩擦抵抗が小さい第1リング体128及び第2リング体130は、ピストン100が変位する際のガイドとしても機能する。すなわち、第1リング体128及び第2リング体130を設けることにより潤滑性が向上し、ピストン100が変位することが一層容易となる。
さらに、第1リング体128及び第2リング体130はシール部材としても機能するので、摺動抵抗が上昇することを回避しながら、ピストン100の側壁(摺接部位119)とピストン摺動孔24の内壁との間のシール性を一層向上させることができる。
以上のようにしてピストン100が変位を繰り返す間、弁棒80の側周壁が第2挿通孔58の内周壁に繰り返し摺接する。
上記したように、弁棒80と係止部材106の接触箇所、換言すれば、弁棒80とピストン100との連結箇所がピストン100の中心、すなわち、摺接部位119の直径方向(変位方向に対して直交する方向)内方であるので、ピストン100に対して該ピストン100を傾けるような力が作用したとしても、弁棒80が当該力の影響を受け難い。このため、弁棒80とピストン100との間で芯ズレが生じ難い。本実施の形態では、弁棒80とピストン100との連結箇所がピストン100の重心に位置しているので、ピストン100がピストン摺動孔24内で仮に傾斜したとしても、芯ズレが起こることが一層困難である。
このため、芯ズレに起因して弁棒80の側周壁と第2挿通孔58の内周壁との間に荷重の偏りが生じることが回避される。従って、弁棒80の側周壁に偏摩耗が生じることが防止され、これにより弁棒80を長寿命化することができる。すなわち、弁棒80の耐久性が向上する。
なお、本実施の形態では、上記したようにピストン100の摺接部位119の下端、上端に第1リング体128、第2リング体130が設けられており、しかも、Oリング126の中心がピストン100の重心を通っているので、ピストン100が傾くこと自体が困難である。このことも相俟って、芯ズレが起こることが十分に抑制される。このため、弁棒80の耐久性を一層向上することができる。
ここで、弁室70に導入された反応ガスの圧力によっては、反応ガスがシールリング90を超え、弁棒80と弁体68の間に進入することがある。この反応ガスは、弁棒80の傘部84及び等径部86に形成された逃がし溝88を流通し、弁孔72から連通孔78、減圧室26、導出流路28、出口ポート30及び出口流路134を介して減圧弁10の外部に排出される。
図1及び図4からも諒解されるように、逃がし溝88は、弁体68の縮径部92が弁座74に着座しているか否かに関わらず、弁孔72と連通状態にある。このため、弁棒80と弁体68の間に反応ガスが進入したときには、この反応ガスを、減圧弁10が開放状態であるか閉止状態であるかに関わらず、逃がし溝88及び弁孔72を介して減圧室26、さらには、減圧弁10の外部に排出することが可能である。
弁棒80と弁体68の間に進入した反応ガスをこのようにして排出することにより、弁棒80と弁体68の間の圧力が大きくなることを回避することができる。このため、弁体68がガスからの圧力を受けて変形することが回避される(換言すれば、弁体68の形状が維持される)。従って、例えば、弁体68の縮径部92が弁座74に着座する際、縮径部92と弁座74の間に隙間が生じることが回避される。すなわち、弁体68によるシール性能が保たれる。
加えて、弁体68が弁棒80から離脱することが回避される。従って、弁体68が離脱することを防止するべく、該弁体68として大重量で大型のものを用いたり、離脱防止のための部品を設けたりする必要がない。換言すれば、弁体68の軽量化・小型化や、減圧弁10の部品点数の低減を図ることができ、これにより減圧弁10の構成に要するコストの低減を図ることもできる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、この実施の形態では、逃がし溝88を弁棒80に形成するようにしているが、これに代替し、弁体68の内壁に逃し溝を形成するようにしてもよい。要するに、弁棒80の外壁と、これを囲繞する弁体68の内壁との間から流体を排出し得るような通路を、弁棒80の外壁か、又は、弁体68の内壁のいずれかに形成すればよい。
また、流体排出構造は逃がし溝88に特に限定されるものではなく、例えば、孔であってもよい。
さらに、反応ガス以外のガスや液体を流体として流通させるようにしてもよいことは勿論である。
10…減圧弁 12…ボディ
14…下カバー 16…上カバー
18…入口ポート 20…導入流路
22…収容孔 24…ピストン摺動孔
26…減圧室 28…導出流路
30…出口ポート 56…第1リテーナ
60…第1コイルスプリング 64…ガイド部材
66…流通孔 68…弁体
70…弁室 72…弁孔
74…弁座 76…区画壁
78…連通孔 80…弁棒
84…傘部 86…等径部
88…逃がし溝 90…シールリング
92…縮径部 94…環状凸部
100…ピストン 102…環状ストッパ部
104…係止孔 106…係止部材
108…挿入室 110…C字状クリップ
119…摺接部位 120…第1環状溝
122…第2環状溝 124…第3環状溝
126…Oリング 128…第1リング体
130…第2リング体 132…ガス出口側継手
134…出口流路 136…第2リテーナ
140…第2コイルスプリング 146…調整ネジ

Claims (2)

  1. 流体を導入するための導入流路と、
    前記導入流路に連通する弁室と、
    前記弁室に設けられて弁体部材が着座又は離間する弁座と、
    前記弁体部材が外嵌された弁棒が通される弁孔と、
    前記弁孔を介して前記弁室に連通する減圧室と、
    前記流体を前記減圧室から導出するための導出流路と、
    が形成されたボディを備え、
    前記ボディに、前記弁棒に連結されて前記減圧室内の圧力の変化に応じて変位するピストンが収容され、
    さらに、前記弁棒を前記弁座側に指向して弾発付勢する第1弾発部材と、前記ピストンを前記弁座側に指向して弾発付勢する第2弾発部材とを有し、
    前記弁棒の外壁、又は、前記弁棒の前記外壁を囲繞した前記弁体部材の内壁のいずれかに、前記弁室から前記弁棒と前記弁体部材の間に進入した流体を前記弁孔に排出するための流体排出構造が設けられ
    前記弁棒と前記弁体部材との間に介在し、前記弁室に導入された前記流体の前記流体排出構造側への流通を遮るためのシール部材が設けられていることを特徴とする減圧弁。
  2. 請求項1記載の減圧弁において、前記流体排出構造が溝であることを特徴とする減圧弁。
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