JP6161027B2 - 有機薄膜トランジスタを用いたセンサーデバイス - Google Patents
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Description
また、有機トランジスタに物理的な変化を加えた場合や、特定の物質を吸着させた時に起こる有機トランジスタの特性の変化を、電気信号として出力する機能を利用して、センサーデバイスなどへの応用も検討されている。
特に、大面積を有するセンサーアレイや、曲面状に設置できるシート状のセンサーデバイスなど、樹脂フィルムを基板として用いたフレキシブルセンサーの検出部として用いること可能である。
特許文献1に開示されているように、ゲート絶縁膜や有機半導体に検出したい物質と結合や反応しやすい置換基を含有させ、検出したい物質が吸着した時に起こる有機トランジスタに流れる電流変化を指標として、物質の検出などを行っている。
また、この計測手法においては、桁で変わるような変化を検出することは難しく、信号のダイナミックレンジが狭いことが課題となる。すなわち前記センサーが、目的の物質を検出したかどうかについては識別できるものの、その量や程度などを定量的に検出することは難しい。
また、実用的な回路を考えた場合、センシングしたときの電気信号を電圧信号として検出した方が信号処理がし易く、S/Nを大きく高めることができる。さらにセンシング情報を電圧信号として検出できれば、情報を容易にデジタル処理することも可能となる。
前記センサー素子として利用される有機TFTは、目的の物理変化や特定の物質の吸着などにより電気特性が変化することでセンサーとしての機能を果たし、相補型回路の出力端子より電圧情報としてセンサー出力をもたらすことができる。
しかも、センサー出力情報は電圧値としてもたらされるので、センサー出力情報を即座にデジタル処理することも可能になるなど、外付けの回路構成を簡素化させることにも寄与できる。
図1は、この発明に係るセンサーデバイスおいて利用される相補型回路の第1の形態を示した回路構成図であり、第1ないし第4トランジスタTr1〜Tr4として、いずれもPチャンネル型有機TFT(以下、単にP型有機TFTとも言う。)を用いた例を示している。
したがって、この第2トランジスタTr2は、ドレインおよびゲート電極をアノード端子とし、ソース電極がカソード端子として機能するダイオードを構成している。
すなわち、第3トランジスタTr3のドレイン電極が前記動作電源Vddに接続され、第3トランジスタTr3のソース電極が第4トランジスタTr4のドレイン電極に接続されている。また、第4トランジスタTr4のソース電極は、基準電位点GNDに接続されている。さらに、前記第4トランジスタのゲート電極に前記第2トランジスタのドレイン電極が接続されている。
したがって、例えば第1トランジスタTr1として機能するP型有機TFTを、前記したセンサー素子として利用した場合、第1トランジスタとしてのP型有機TFTの電気特性の変化を、大きなダイナミックレンジをもって出力端子Voutにもたらすことができる。
また、センサー感度を持たないトランジスタには、酸化物半導体、シリコン半導体、カーボンナノチューブを用いたトランジスタを、有機トランジスタの代わりに使用することもできる。
なお、符号gで示す特性は、基板1に曲げ操作を与えない場合を示している。
この図3に示す検出手段を利用することで、基板1が特定な曲率で曲がっているか否かをデジタル検出することが可能となる。
図4は、4つのNチャンネル型有機TFT(N型有機TFT)を用いて疑似相補型回路を構成し、センサーデバイスとした第2の実施の形態を示すものである。
すなわち、第1トランジスタTr1のドレイン電極が基準電位点GNDに接続され、第1トランジスタTr1のソース電極が第2トランジスタTr2のドレイン電極に接続されている。また、第2トランジスタTr2のソース電極は、動作電源Vssに接続されており、第2トランジスタTr2のドレインおよびゲート電極が接続されて短絡されている。
したがって、この第2トランジスタTr2は、ドレインおよびゲート電極をアノード端子とし、ソース電極がカソード端子として機能するダイオードを構成している。
すなわち、第4トランジスタTr4のドレイン電極が前記動作電源Vddに接続され、第4トランジスタTr4のソース電極が第3トランジスタTr3のドレイン電極に接続されている。また第3トランジスタTr3のソース電極は、基準電位点GNDに接続されている。さらに、前記第4トランジスタのゲート電極に前記第2トランジスタのドレイン電極が接続されている。
したがって、例えば第1トランジスタTr1として機能するN型有機TFTを、前記したセンサー素子として利用した場合、第1トランジスタとしてのN型有機TFTの電気特性の変化を、大きなダイナミックレンジをもって出力端子Voutにもたらすことができる。
その基板11上にゲート電極12となるアルミニウムを膜厚30nmで真空蒸着し、続いてその上に、ゲート絶縁膜13となる架橋性ポリビニルフェノ一ルを膜厚300nmとなるようにスピンコートにより成膜する。
センサーとしての感度を必要としない各トランジスタについてはすでに説明したP型有機TFTと同様に、そのチャネル長、チャネル幅などのデバイス構造を最適化させることでこれを実現させることができる。
そして、特定の物質の吸着によって生ずる有機TFTの電気特性の変化が、相補型回路のVout端子よりもたらされ、これによりセンサー機能を果たすことができる。
また、有機トランジスタに用いる絶縁材料、電極、基材の種類についても格別なものは必要とせず、有機トランジスタに適した一般的な素材を用いることができる。
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 P型有機半導体層
11 基板
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁膜
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 N型有機半導体層
Tr1〜Tr4 トランジスタ
Claims (3)
- 第1ないし第4の同チャンネル型のトランジスタが備えられ、前記第1および第2トランジスタの各ドレインおよびソース電極が動作電源間に直列接続されると共に、前記第2トランジスタのドレインおよびゲート電極が接続されて短絡され、前記第3および第4トランジスタの各ドレインおよびソース電極が動作電源間に直列接続されると共に、前記第4トランジスタのゲート電極に前記第2トランジスタのドレイン電極が接続され、
かつ、前記第1および第3トランジスタの各ゲート電極が接続されて、掃引される電圧の入力電圧端子になされ、前記第3トランジスタのソース電極と前記第4トランジスタのドレイン電極との接続点が電圧出力端子になされることで相補型回路が構成され、
前記第1ないし第4のトランジスタのうちの少なくともいずれか一つが有機薄膜トランジスタにより構成してセンサー素子として利用され、前記入力電圧端子に供給される掃引される入力電圧に対する前記電圧出力端子にもたらされる出力電圧の変化を、センサー出力とすることを特徴とするセンサーデバイス。 - センサー素子として利用される有機薄膜トランジスタは、物理変化を受けてもしくは特定の物質の吸着により電気特性が変化する機能を果たし、相補型回路を構成する他のトランジスタは、センサー感度を持たないことを特徴とする請求項1に記載されたセンサーデバイス。
- 前記第1トランジスタをセンサー素子として用いたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたセンサーデバイス。
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