JP7032777B2 - 電気化学計測装置 - Google Patents
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Description
この酵素分析法は、大きく分けて光学式計測によるものと、電気化学計測によるものとに区分することができる。そして、電気化学計測装置にはさらに電気化学セルの作用極に流れる電流を計測する電流計測装置と、作用極と参照極の間に生ずる電位差を計測する電位計測装置が提案されている。
そして、前記した電流計測装置の場合には、電気化学セル2における前記作用極で受ける電流信号は、フロントエンド回路3において、電流/電圧変換・インピーダンス変換・増幅が行なわれ、アナログ/デジタル変換回路4を通してデジタルデータとして収集される。
また、前記した電位計測装置の場合には、電気化学セル2における参照極に対する作用極の電位信号が、フロントエンド回路3によってインピーダンス変換・増幅が行なわれ、アナログ/デジタル変換回路4を通してデジタルデータとして収集される。
図15は、従来の電気化学計測装置における電流計測の例を示したものであり、オペアンプOp1とオペアンプOp2、および電圧源E1により、参照極電位制御回路1が構成されている。オペアンプOp1の非反転入力端子には、電気化学セル2の参照極Rが接続され、オペアンプOp2の出力端子には、電気化学セル2の対極Cが接続されている。この構成により参照極Rの電位が、電圧源E1の電位と一致するように制御される。
そして、電気化学セル2の作用極Wに流れる電流値は、フロントエンド回路3を構成するオペアンプOp3によって電圧変換され、アナログ/デジタル変換回路4を通してデジタルデータとして収集される。
なお、図15に示す電流計測による電気化学計測装置は、例えば特許文献1に開示されている。
なお、図16に示す電位計測による電気化学計測装置は、例えば特許文献2に開示されている。
また電子デバイスとして、柔軟性を持たせるためには有機半導体からなる有機電界効果トランジスタを用いることが有効であるが、有機電界効果トランジスタからなる差動増幅器は、現状においては必要な動作電源の電圧が高く、また入力オフセット電圧が大きく、利得が低いなどの課題がある。
そして、前記フロントエンド回路として電流計測機能を採用した場合においては、電気化学セルの参照極電位および作用極電位は、それぞれのインバータの閾値電圧VMと一致した状態になされる。さらに、電流計測部として機能するインバータは作用極が受ける微小な入力電流を高感度で電圧変換することができ、インバータの特質を生かしたダイナミックレンジの広い検出能力を持った電気化学計測装置を提供することができる。
前記したフロントエンド回路として電流計測機能または電位計測機能のいずれを採用するにしても、より簡便な回路で構成可能なインバータを用いることで、より小型化に適した電気化学計測装置を低コストで実現することができる。
図1は、電流計測部および電位計測部の2つのフロントエンド回路を備えた実施の形態を示している。すなわち、この実施の形態における電気化学セル2には、参照極Rと対極C、および2つの作用極W1,W2が備えられている。
そして、第1の作用極W1には電流計測部3Aによるフロントエンド回路3が接続され、第2の作用極W2には電位計測部3Bによるフロントエンド回路3が接続されている。
ここで、閾値電圧VMとは、図4に示すように、インバータの入力電圧(横軸に示す入力電圧〔V〕)と、出力電圧(縦軸に示す出力電圧〔V〕)が一致する点における入力電圧の値を指すものとなる。
この電流計測部3Aに用いられるインバータIn2は、参照極電位制御回路1に用いられたインバータIn1と、概ね等しい閾値電圧を有するインバータが用いられており、第1の作用極W1がインバータIn1の入力端子に接続されている。そして、インバータIn2の出力端子は、アナログ/デジタル変換器4に接続され、その出力端子Outよりデジタルデータが出力される。
この電位計測部3Bに用いられるインバータIn3は、参照極電位制御回路1に用いられたインバータIn1と、概ね等しい閾値電圧を有するインバータが用いられており、第2の作用極W2が、前記入力抵抗R3を介してインバータIn3の入力端子に接続されている。そして、インバータIn3の出力端子は、アナログ/デジタル変換器4に接続され、その出力端子Outよりデジタルデータが出力される。
ここで、作用極W1に流れ込む電流をIとしたとき、インバータIn2の出力端子には、閾値電圧VMに負帰還抵抗R1での電位差分(-I*R1)を加算した電圧Voutが出力される。
このときに必要な前記VMの値を得るには、参照極Rの電位を直接計測するか、もしくは図3に示すように閾値電圧VMを出力する回路を別途用意して、これを利用することもできる。すなわち、図3に示す構成によると前記したインバータIn1およびIn2と、概ね等しい閾値電圧を有するインバータIn4を用いて、その入出力間が短絡されており、その出力端子にアナログ/デジタル変換器5が接続された構成が採用されている。
加えて、例えばPチャンネル型およびNチャンネル型のトランジスタによる相補型インバータを用いる場合には、閾値電圧VM付近における出力電圧の変化特性は急峻であり、その電流/電圧変換特性は、図5に示すように、107V/A程度の高感度な特性を得ることができる。これにより、相補型インバータの特質を生かしたダイナミックレンジの広い検出能力を持った電気化学計測装置を提供することができる。
ここで、インバータIn3の単体の入力抵抗は通常は非常に大きいために無視することができ、この電位計測部3Bの入力抵抗は、2つの抵抗R2とR3によって定められる。したがって、抵抗R2とR3の値を大きく設計することにより、電位計測部3Bの入力抵抗を大きくすることができる。
Vout=VM-(R2/R3)(VW2-VM) …… 式1
このときに必要な前記VMの値を得るには、参照極Rの電位を直接計測するか、もしくは図1に基づいて説明したとおり、図3に示す回路構成を利用することができる。
この場合には、電気化学セル2の対極Cを省略することができる。そして、参照極電位制御回路1を構成するインバータIn1は、その入出力間が短絡され、インバータIn1の入力端子が電気化学セル2の参照極Rに接続される。この構成により、参照極RにはインバータIn1による閾値電圧VMが印加される。
なお、図2に示す電気化学計測装置においても、インバータIn1およびIn3は、概ね等しい閾値電圧VMを有するものを用いることが望ましい。
また、第1トランジスタTr1のドレイン電極には、動作電源+Vddが加えられると共に、第2トランジスタTr2のソース電極は、基準電位点(グランド)に接続される。
その基板21上にゲート電極22となるアルミニウムを膜厚30nmで真空蒸着し、続いてその上に、ゲート絶縁膜23となる架橋性ポリビニルフェノ一ルを膜厚300nmとなるようにスピンコートにより成膜する。
ところで、現状におけるN型有機TFTは、P型有機TFTに比較すると、デバイスとしての安定性が悪く劣化し易いという問題を有している。このために、耐久性や信頼性を考慮するとP型有機TFTのみによりインバータを構成することが望ましい。
この構成によると、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、その閾値電圧VMを境にして、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作されるように作用する。
この図11に示す例は、第2トランジスタTr2のゲート電極とソース電極が短絡されており、前記第2トランジスタTr2は、ドレイン電極とゲート電極間がダイオードとして利用されている。
この構成においても、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、その閾値電圧VMを境にして、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作されるように作用する。
この構成においても、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、第1トランジスタTr1が閾値電圧VMを境にしてスイッチング動作し、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作されるように作用する。
第1および第2トランジスタTr1,Tr2のドレイン電極およびソース電極がそれぞれ動作電源VddとVss間において直列接続されると共に、第2トランジスタTr2のドレイン電極とゲート電極が短絡されている。また第3および第4トランジスタTr3,Tr4のドレイン電極およびソース電極がそれぞれ動作電源Vddと基準電位GND間において直列接続されると共に、第4トランジスタTr4のゲート電極に第2トランジスタTr2のドレイン電極が接続されている。
加えて、第1および第3トランジスタTr1,Tr3のゲート電極が接続されて入力電圧端子Vinになされ、第3および第4トランジスタTr3,Tr4のソース電極とドレイン電極の接続点が電圧出力端子Voutを構成している。
この図13に示す構成においても、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作するインバータとしての機能を果たすことができる。
2 電気化学セル
3 フロントエンド回路
3A 電流計測部
3B 電位計測部
4,5 アナログ/デジタル変換器
R 参照極
C 対極
W 作用極
W1 第1作用極
W2 第2作用極
E1 電圧源
In1~In4 インバータ
R1~R4 抵抗
Tr1~Tr4 有機薄膜トランジスタ
Vin インバータの入力端子
Vout インバータの出力端子
Op1~Op4 オペアンプ
Claims (6)
- 少なくとも参照極と作用極が備えられ、前記参照極と作用極との間に試料電解液が充填される電気化学セルと、
インバータを用いて負帰還回路を構成し、前記インバータの閾値電圧を前記電気化学セルの参照極に供給する参照極電位制御回路と、
前記インバータとは異なる少なくとも他の1つのインバータを用い、前記電気化学セルの作用極で受ける電圧値を、インバータの出力端子に電圧値としてもたらすフロントエンド回路とが備えられ、
前記参照極電位制御回路に用いられるインバータと、フロントエンド回路に用いられるインバータは、それぞれの閾値電圧が等しくなされると共に、フロントエンド回路に用いられる前記インバータは、負帰還回路を形成することでインバータの入力端子がインバータの閾値電圧に設定されていることを特徴とする電気化学計測装置。 - 前記フロントエンド回路には、前記インバータの出力端子電圧をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学計測装置。
- 前記参照極電位制御回路に用いられるインバータは、インバータの出力端子が入力端子に接続されて負帰還回路を構成し、前記入力端子に生成されるインバータの閾値電圧が、前記参照極に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学計測装置。
- 前記電気化学セルにはさらに対極が備えられ、前記参照極電位制御回路に用いられるインバータの出力端子が前記対極に接続されると共に、インバータの入力端子が参照極に接続されることで負帰還回路を構成し、前記入力端子に生成されるインバータの閾値電圧が、前記参照極に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学計測装置。
- 前記フロントエンド回路は、前記インバータの出力端子と入力端子との間に負帰還抵抗R2を備えると共に、前記作用極Wとインバータ入力端子との間に入力抵抗R3が備えられ、前記作用極Wとインバータ入力端子との間に生ずる電位差をインバータの出力端子に電圧値として増幅する電位計測機能を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電気化学計測装置。
- 前記参照極電位制御回路およびフロントエンド回路に用いられるそれぞれのインバータは、有機薄膜トランジスタにより構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電気化学計測装置。
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Non-Patent Citations (1)
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Al-Ahdal, A. et al.,High gain ISFET based νMOS chemical inverter,Sensors and Actuators B,2012年,Vol.171-172,p.110-117 |
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