JP7032777B2 - 電気化学計測装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば生体試料を含む試料電解液を電気化学的方法により分析するバイオセンサに好適に用いることができる電気化学計測装置に関する。
近年の医療分野においては、試料電解液を分析するために、種々の方法が提案されており、その中で例えば酵素分析法を利用するバイオセンサは、測定感度が優秀であり、迅速に結果を得ることができるために、病院等の医療機関を含めて広く利用されている。
この酵素分析法は、大きく分けて光学式計測によるものと、電気化学計測によるものとに区分することができる。そして、電気化学計測装置にはさらに電気化学セルの作用極に流れる電流を計測する電流計測装置と、作用極と参照極の間に生ずる電位差を計測する電位計測装置が提案されている。
図14は、電気化学計測装置の基本構成を説明するものであり、ブロック1で示す参照極電位制御回路により生成される参照電位が、試料電解液が充填される電気化学セル2に供給される。この電気化学セル2には参照極電位制御回路1からの電位を受ける参照極に加えて、対極と作用極が備えられる。
そして、前記した電流計測装置の場合には、電気化学セル2における前記作用極で受ける電流信号は、フロントエンド回路3において、電流/電圧変換・インピーダンス変換・増幅が行なわれ、アナログ/デジタル変換回路4を通してデジタルデータとして収集される。
また、前記した電位計測装置の場合には、電気化学セル2における参照極に対する作用極の電位信号が、フロントエンド回路3によってインピーダンス変換・増幅が行なわれ、アナログ/デジタル変換回路4を通してデジタルデータとして収集される。
従来の電気化学計測装置における前記した参照極電位制御回路1およびフロントエンド回路3には、一般に差動増幅器として機能するオペアンプ(Operational Amplifier)が用いられている。
図15は、従来の電気化学計測装置における電流計測の例を示したものであり、オペアンプOp1とオペアンプOp2、および電圧源E1により、参照極電位制御回路1が構成されている。オペアンプOp1の非反転入力端子には、電気化学セル2の参照極Rが接続され、オペアンプOp2の出力端子には、電気化学セル2の対極Cが接続されている。この構成により参照極Rの電位が、電圧源E1の電位と一致するように制御される。
また、オペアンプOp3によりフロントエンド回路3が構成され、電気化学セル2の作用極WがオペアンプOp3の反転入力端子に接続され、オペアンプOp3の非反転入力端子は接地されている。この構成により作用極Wの電位は接地電位と一致するよう制御される。
そして、電気化学セル2の作用極Wに流れる電流値は、フロントエンド回路3を構成するオペアンプOp3によって電圧変換され、アナログ/デジタル変換回路4を通してデジタルデータとして収集される。
なお、図15に示す電流計測による電気化学計測装置は、例えば特許文献1に開示されている。
一方、図16は従来の電気化学計測装置における電位計測の例を示している。この例においては、参照極電位制御回路1は電気化学セル2の参照極Rが接地されることで構成されており、参照極Rに対する作用極Wの電位差は、フロントエンド回路3を構成するオペアンプOp4によって電圧増幅され、アナログ/デジタル変換回路4を通してデジタルデータとして収集される。
なお、図16に示す電位計測による電気化学計測装置は、例えば特許文献2に開示されている。
特表2005-531759号公報 特開2013-66176号公報
ところで、これらの電気化学計測装置は、人の健康状態のモニタリングに加えて、精神ストレスなどをモニタリングするためにも利用することができる。この場合、例えば絆創膏のように人体の一部に貼り付けて使用できるウェアラブル電子デバイスに電気化学計測装置を搭載すれば、その利用範囲をさらに大幅に広げることができる。そのためには、電気化学計測装置は小型かつ低コストで、柔軟性を有することが望ましい。
しかしながら、前記した特許文献1および2に開示された電気化学計測装置によると、その電子デバイスとして差動増幅器を構成するオペアンプが用いられており、これによると回路が比較的複雑であり、小型化・低コスト化に不利である。
また電子デバイスとして、柔軟性を持たせるためには有機半導体からなる有機電界効果トランジスタを用いることが有効であるが、有機電界効果トランジスタからなる差動増幅器は、現状においては必要な動作電源の電圧が高く、また入力オフセット電圧が大きく、利得が低いなどの課題がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、前記した電子デバイスに差動増幅器を用いる代わりに、任意の閾値電圧をもつ単一入力型インバータを用い、小型化・低コスト化およびフレキシブル化に適した簡便な回路構成を備えた電気化学計測装置を提供することにある。
前記した課題を達成するためになされたこの発明に係る電気化学計測装置は、少なくとも参照極と作用極が備えられ、前記参照極と作用極との間に試料電解液が充填される電気化学セルと、インバータを用いて負帰還回路を構成し、前記インバータの閾値電圧を前記電気化学セルの参照極に供給する参照極電位制御回路と、前記インバータとは異なる少なくとも他の1つのインバータを用い、前記電気化学セルの作用極で受ける電圧値を、インバータの出力端子に電圧値としてもたらすフロントエンド回路とが備えられ、前記参照極電位制御回路に用いられるインバータと、フロントエンド回路に用いられるインバータは、それぞれの閾値電圧が等しくなされると共に、フロントエンド回路に用いられる前記インバータは、負帰還回路を形成することでインバータの入力端子がインバータの閾値電圧に設定されていることを特徴とする。
この場合、前記フロントエンド回路には、望ましくは前記インバータの出力端子電圧をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路が接続される。
そして、好ましい一つの形態においては、前記参照極電位制御回路に用いられるインバータは、インバータの出力端子が入力端子に接続されて負帰還回路を構成し、前記入力端子に生成されるインバータの閾値電圧が、前記参照極に供給されるように構成される。
また、好ましい他の一つの形態においては、前記電気化学セルにはさらに対極が備えられ、前記参照極電位制御回路に用いられるインバータの出力端子が前記対極に接続されると共に、インバータの入力端子が参照極に接続されることで負帰還回路を構成し、前記入力端子に生成されるインバータの閾値電圧が、前記参照極に供給されるように構成される。
さらにまた、前記フロントエンド回路の好ましい他の一つの形態においては、インバータの出力端子と入力端子との間に負帰還抵抗を備えると共に、前記作用極とインバータ入力端子との間に入力抵抗が備えられ、前記作用極とインバータ入力端子との間に生ずる電位差をインバータの出力端子に電圧値として増幅する電位計測機能が備えられる。
加えて、前記参照極電位制御回路およびフロントエンド回路に用いられるそれぞれのインバータは、有機薄膜トランジスタにより構成されていることが望ましい。
前記したこの発明に係る電気化学計測装置によると、電子デバイスに差動増幅器を使用することなく、インバータを用いることで、インバータをその閾値電圧VMを基準電圧として動作させるものとなる。
そして、前記フロントエンド回路として電流計測機能を採用した場合においては、電気化学セルの参照極電位および作用極電位は、それぞれのインバータの閾値電圧VMと一致した状態になされる。さらに、電流計測部として機能するインバータは作用極が受ける微小な入力電流を高感度で電圧変換することができ、インバータの特質を生かしたダイナミックレンジの広い検出能力を持った電気化学計測装置を提供することができる。
一方、前記フロントエンド回路として電位計測機能を採用した場合においては、電気化学セルの作用極電位と、電位計測部を構成するインバータの閾値電圧VMの差分、すなわち、インバータの入力抵抗に生ずる電位差が増幅されて出力されることになる。
前記したフロントエンド回路として電流計測機能または電位計測機能のいずれを採用するにしても、より簡便な回路で構成可能なインバータを用いることで、より小型化に適した電気化学計測装置を低コストで実現することができる。
この発明に係る電気化学計測装置の実施の形態を示したブロック図である。 同じく他の実施の形態を示したブロック図である。 インバータの閾値電圧を計測する例を示したブロック図である。 インバータの入出力特性と閾値電圧の例を示した線図である。 図1に示す電気化学計測装置における電流計測部の入出力特性の例を示した線図である。 図1に示す電気化学計測装置における電位計測部の入出力特性の例を示した線図である。 相補型回路によるインバータの例を示した結線図である。 Pチャンネル型有機TFTの積層構成例を示した模式図である。 Nチャンネル型有機TFTの積層構成例を示した模式図である。 Pチャンネル型有機TFTのみを用いたインバータの第1の例を示した結線図である。 同じく第2の例を示した結線図である。 同じく第3の例を示した結線図である。 同じく第4の例を示した結線図である。 電気化学計測装置の基本構成を示したブロック図である。 従来の電気化学計測装置における電流計測部の例を示したブロック図である。 従来の電気化学計測装置における電位計測部の例を示したブロック図である。
以下、この発明に係る電気化学計測装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1は、電流計測部および電位計測部の2つのフロントエンド回路を備えた実施の形態を示している。すなわち、この実施の形態における電気化学セル2には、参照極Rと対極C、および2つの作用極W1,W2が備えられている。
そして、第1の作用極W1には電流計測部3Aによるフロントエンド回路3が接続され、第2の作用極W2には電位計測部3Bによるフロントエンド回路3が接続されている。
また、参照極電位制御回路1には、インバータIn1が備えられ、インバータIn1の入力端子に参照極Rに接続され、インバータIn1の出力端子は、対極Cに接続されている。すなわち、インバータIn1には、対極Cと参照極Rを介して負帰還回路が形成されており、したがって、インバータIn1の入力端子電圧は、インバータIn1の閾値電圧VMに固定される。これにより電気化学セル2の参照極Rには、インバータIn1の閾値電圧VMが印加されることになる。
ここで、閾値電圧VMとは、図4に示すように、インバータの入力電圧(横軸に示す入力電圧〔V〕)と、出力電圧(縦軸に示す出力電圧〔V〕)が一致する点における入力電圧の値を指すものとなる。
一方、電気化学セル2の第1の作用極W1には、前記したとおり電流計測部3Aによるフロントエンド回路3が接続されており、この電流計測部3AはインバータIn2と、このインバータIn2の出力端子と入力端子間に接続された負帰還抵抗R1により構成されている。
この電流計測部3Aに用いられるインバータIn2は、参照極電位制御回路1に用いられたインバータIn1と、概ね等しい閾値電圧を有するインバータが用いられており、第1の作用極W1がインバータIn1の入力端子に接続されている。そして、インバータIn2の出力端子は、アナログ/デジタル変換器4に接続され、その出力端子Outよりデジタルデータが出力される。
また、電気化学セル2の第2の作用極W2には、電位計測部3Bによるフロントエンド回路3が接続されており、この電位計測部3BはインバータIn3と、このインバータIn3の出力端子と入力端子間に接続された負帰還抵抗R2、およびインバータIn3の入力端子に接続された入力抵抗R3により構成されている。
この電位計測部3Bに用いられるインバータIn3は、参照極電位制御回路1に用いられたインバータIn1と、概ね等しい閾値電圧を有するインバータが用いられており、第2の作用極W2が、前記入力抵抗R3を介してインバータIn3の入力端子に接続されている。そして、インバータIn3の出力端子は、アナログ/デジタル変換器4に接続され、その出力端子Outよりデジタルデータが出力される。
前記した電流計測部3Aによると、インバータIn2には、抵抗R1により負帰還が加えられているので、インバータIn2の入力端子電圧は、インバータIn2の閾値電圧VMに固定される。これにより、作用極W1の電位はインバータIn2の閾値電圧VMと一致するよう制御され、参照極Rと作用極W1の間の電位差はゼロに保たれる。
ここで、作用極W1に流れ込む電流をIとしたとき、インバータIn2の出力端子には、閾値電圧VMに負帰還抵抗R1での電位差分(-I*R1)を加算した電圧Voutが出力される。
すなわち、前記電流値Iを変換比(-R1)で電流/電圧変換し、閾値電圧VMだけオフセットさせた信号が得られる。したがって、インバータIn2の出力端子電圧Voutを計測し、そこから閾値電圧VMを差し引いた後、-R1で除算することによって電流値Iを得ることができる。
このときに必要な前記VMの値を得るには、参照極Rの電位を直接計測するか、もしくは図3に示すように閾値電圧VMを出力する回路を別途用意して、これを利用することもできる。すなわち、図3に示す構成によると前記したインバータIn1およびIn2と、概ね等しい閾値電圧を有するインバータIn4を用いて、その入出力間が短絡されており、その出力端子にアナログ/デジタル変換器5が接続された構成が採用されている。
図5は、電流計測部3Aにおいて利用されるインバータIn2による電流/電圧変換特性の例を示すものであり、横軸に入力電流〔nA〕を、縦軸に出力電圧〔V〕の特性を示しており、基準電圧(入力電流Iが“0”の時の出力電圧)は、インバータIn2の閾値電圧VMと一致する。
加えて、例えばPチャンネル型およびNチャンネル型のトランジスタによる相補型インバータを用いる場合には、閾値電圧VM付近における出力電圧の変化特性は急峻であり、その電流/電圧変換特性は、図5に示すように、107V/A程度の高感度な特性を得ることができる。これにより、相補型インバータの特質を生かしたダイナミックレンジの広い検出能力を持った電気化学計測装置を提供することができる。
次に、前記した電位計測部3Bによると、インバータIn3には、抵抗R2により負帰還回路が加えられているので、インバータIn3の入力端子電圧は、インバータIn3の閾値電圧VMに固定される。そして、第2の作用極W2は一定値の抵抗R3を介してインバータIn3の入力端子に接続されている。
ここで、インバータIn3の単体の入力抵抗は通常は非常に大きいために無視することができ、この電位計測部3Bの入力抵抗は、2つの抵抗R2とR3によって定められる。したがって、抵抗R2とR3の値を大きく設計することにより、電位計測部3Bの入力抵抗を大きくすることができる。
前記したとおり、抵抗R2による負帰還回路により、インバータIn3の入力端子電圧は閾値電圧VMと一致するよう制御される。また、インバータIn3の単体の入力抵抗は非常に大きいために、キルヒホッフの法則により、抵抗R2とR3には等しい電流が流れる。この結果、作用極W2の電位をVW2としたとき、インバータTn3の出力端子の電位Voutは、次の式1に示すとおりとなる。
Vout=VM-(R2/R3)(VW2-VM) …… 式1
すなわち、作用極W2と参照極Rの電位差を、利得-(R2/R3)で増幅し、VMだけオフセットさせた信号が得られる。したがって、インバータIn3の出力端子の電位Voutを計測し、そこから閾値電圧VMを差し引いた後、-(R2/R3)で除算することによって電位差VW2-VMを得ることができる。
このときに必要な前記VMの値を得るには、参照極Rの電位を直接計測するか、もしくは図1に基づいて説明したとおり、図3に示す回路構成を利用することができる。
図6は、電位計測部3Bにおいて利用されるインバータIn3による電圧増幅特性の例を示すものであり、横軸に入力電圧〔V〕を、縦軸に出力電圧〔V〕を示しており、基準電圧(入力電圧が“0”の時の出力電圧)は、インバータIn3の閾値電圧VMと一致する。そして図6に示す例においては、インバータIn3の帰還抵抗R2と入力抵抗R3の比率で定められる利得が、約5倍になされた例が示されている。
図2は、フロントエンド回路3として電位計測部3Bのみを備えた場合の電気化学計測装置の形態を示している。
この場合には、電気化学セル2の対極Cを省略することができる。そして、参照極電位制御回路1を構成するインバータIn1は、その入出力間が短絡され、インバータIn1の入力端子が電気化学セル2の参照極Rに接続される。この構成により、参照極RにはインバータIn1による閾値電圧VMが印加される。
そして、フロントエンド回路3には、図1に示した電位計測部3Bと同様の構成が採用されている。したがって、その作用については図1に基づいて説明したとおりであり、重複する説明は省略する。
なお、図2に示す電気化学計測装置においても、インバータIn1およびIn3は、概ね等しい閾値電圧VMを有するものを用いることが望ましい。
図7は、インバータとして相補型回路を構成した例を示しており、第1のトランジスタTr1としてPチャンネル型有機薄膜トランジスタ(以下、単にP型有機TFTとも言う。)が用いられ、第2のトランジスタTr2としてNチャンネル型有機薄膜トランジスタ(以下、単にN型有機TFTとも言う。)が用いられている。
すなわち、第1トランジスタTr1および第2トランジスタTr2のゲート電極は共通接続されて、電圧入力端子Vinを構成しており、第1トランジスタTr1のソース電極と第2トランジスタTr2のドレイン電極とは共通接続されて相補型回路の電圧出力端子Voutを構成している。
また、第1トランジスタTr1のドレイン電極には、動作電源+Vddが加えられると共に、第2トランジスタTr2のソース電極は、基準電位点(グランド)に接続される。
図7に示す相補型回路は、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、出力端子Voutにもたらされる出力電圧は、前記動作電源Vddの範囲で変化が可能であり、図4に示したとおり、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧の値が閾値電圧VMを境にして反転動作がなされるように作用する。
図8は、前記した第1トランジスタTr1としてのP型有機TFTの積層構成例を示している。この例は電界効果型の有機トランジスタの一般的な構成であり、このトランジスタを作製するには、例えばガラス板に耐熱性の両面テープを用いて125μmの厚さのPENフィルムを貼り合せ、デバイスを作製するための基板11とする。
その基板11上にゲート電極12となるアルミニウムを膜厚3Onmで真空蒸着し、続いてその上に、ゲート絶縁膜13となる架橋性ポリビニルフェノ一ルを膜厚300nmとなるようにスピンコートにより成膜する。次に、金電極を全面に成膜した後、フォトリソグラフィを用いてソース電極14およびドレイン電極15の形状にパターン成形する。最後に、P型有機半導体層16として、ぺンタセンを50nmの膜厚で真空蒸着することで、P型有機TFTを得ることができる。
また図9は、前記した第2トランジスタTr2としてのN型有機TFTの積層構成例を示したものである。この例も電界効果型の有機トランジスタを構成しており、このN型有機TFTの作成においても、前記したP型有機TFTの作成とほぼ同様の手順が採用される。
すなわち、例えばガラス板に耐熱性の両面テープを用いて125μmの厚さのPENフィルムを貼り合せ、デバイスを作製するための基板21とする。
その基板21上にゲート電極22となるアルミニウムを膜厚30nmで真空蒸着し、続いてその上に、ゲート絶縁膜23となる架橋性ポリビニルフェノ一ルを膜厚300nmとなるようにスピンコートにより成膜する。
次に、金電極を全面に成膜した後、フォトリソグラフィを用いてソース電極24およびドレイン電極25の形状にパターン成形する。最後に、N型有機半導体層26として、FPTBBT(Chemical Communication,Vo1.46,Page 3265 )を50nmの膜厚で真空蒸着することで、N型有機TFTを得ることができる。
前記した有機薄膜トランジスタにより構成されるインバータによると、例えばプラスチックフィルムなどの可撓性の素材上に、室温の雰囲気下において形成することができ、軽量で柔軟性のある電子デバイスとして低コストで実現することができる。
ところで、現状におけるN型有機TFTは、P型有機TFTに比較すると、デバイスとしての安定性が悪く劣化し易いという問題を有している。このために、耐久性や信頼性を考慮するとP型有機TFTのみによりインバータを構成することが望ましい。
図10~図13は、P型有機TFTのみを用いてインバータを構成した具体例を示している。まず図10は、第1および第2トランジスタTr1,Tr2としてP型有機TFTが用いられ、第1トランジスタTr1のドレイン電極に、動作電源+Vddが加えられると共に、第1トランジスタTr1のゲート電極が電圧入力端子Vinを構成している。
また、第1トランジスタTr1のソース電極と第2トランジスタTr2のドレイン電極が接続されて電圧出力端子Voutを構成しており、第2トランジスタTr2のソース電極が基準電位点(グランド)に接続されると共に、第2トランジスタTr2のドレイン電極とゲート電極は、短絡されている。すなわち前記第2トランジスタTr2は、ゲート電極とソース電極間がダイオードとして利用されている。
この構成によると、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、その閾値電圧VMを境にして、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作されるように作用する。
図11に示すインバータの構成も、第1および第2トランジスタTr1,Tr2としてP型有機TFTが用いられており、その回路構成は図10に示したものと略同様である。
この図11に示す例は、第2トランジスタTr2のゲート電極とソース電極が短絡されており、前記第2トランジスタTr2は、ドレイン電極とゲート電極間がダイオードとして利用されている。
この構成においても、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、その閾値電圧VMを境にして、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作されるように作用する。
図12に示すインバータは、P型有機TFTによる第1トランジスタTr1と、抵抗R4とにより構成されており、第1トランジスタTr1のドレイン電極に、動作電源+Vddが加えられ、そのソース電極は電圧出力端子Voutを構成すると共に、抵抗R4を介して接地GNDされている。
この構成においても、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、第1トランジスタTr1が閾値電圧VMを境にしてスイッチング動作し、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作されるように作用する。
図13に示すインバータは、P型有機TFTによる第1~第4トランジスタTr1~Tr4を備えている。
第1および第2トランジスタTr1,Tr2のドレイン電極およびソース電極がそれぞれ動作電源VddとVss間において直列接続されると共に、第2トランジスタTr2のドレイン電極とゲート電極が短絡されている。また第3および第4トランジスタTr3,Tr4のドレイン電極およびソース電極がそれぞれ動作電源Vddと基準電位GND間において直列接続されると共に、第4トランジスタTr4のゲート電極に第2トランジスタTr2のドレイン電極が接続されている。
加えて、第1および第3トランジスタTr1,Tr3のゲート電極が接続されて入力電圧端子Vinになされ、第3および第4トランジスタTr3,Tr4のソース電極とドレイン電極の接続点が電圧出力端子Voutを構成している。
図13に示す回路構成によると、第1トランジスタTr1、ダイオードとして機能する第2トランジスタTr2、および第4トランジスタTr4の組み合わせによって、第4トランジスタTr4を実質的にN型TFTとして動作させており、これにより第3および第4トランジスタTr3,Tr4が相補型回路(CMOS)として動作する。したがって、図13に示す回路構成は、疑似相補型回路と呼ぶことができる。
この図13に示す構成においても、入力端子Vinに供給されるゲート入力電圧に応じて、出力端子Voutからもたらされる出力電圧が反転動作するインバータとしての機能を果たすことができる。
以上説明した有機薄膜トランジスタによるインバータは、すでに説明したとおり可撓性の素材上に形成することができるので、柔軟性のある電子デバイスの特質を生かして、例えば人体の一部に貼り付けて使用することが可能なウェアラブル電子デバイスとして活用することができる。これにより、前記した電気化学計測装置の利用範囲を大幅に広げることが可能となり、その実用化に貢献することができる。
1 参照極電位制御回路
2 電気化学セル
3 フロントエンド回路
3A 電流計測部
3B 電位計測部
4,5 アナログ/デジタル変換器
R 参照極
C 対極
W 作用極
W1 第1作用極
W2 第2作用極
E1 電圧源
In1~In4 インバータ
R1~R4 抵抗
Tr1~Tr4 有機薄膜トランジスタ
Vin インバータの入力端子
Vout インバータの出力端子
Op1~Op4 オペアンプ

Claims (6)

  1. 少なくとも参照極と作用極が備えられ、前記参照極と作用極との間に試料電解液が充填される電気化学セルと、
    インバータを用いて負帰還回路を構成し、前記インバータの閾値電圧を前記電気化学セルの参照極に供給する参照極電位制御回路と、
    前記インバータとは異なる少なくとも他の1つのインバータを用い、前記電気化学セルの作用極で受ける電圧値を、インバータの出力端子に電圧値としてもたらすフロントエンド回路とが備えられ、
    前記参照極電位制御回路に用いられるインバータと、フロントエンド回路に用いられるインバータは、それぞれの閾値電圧が等しくなされると共に、フロントエンド回路に用いられる前記インバータは、負帰還回路を形成することでインバータの入力端子がインバータの閾値電圧に設定されていることを特徴とする電気化学計測装置。
  2. 前記フロントエンド回路には、前記インバータの出力端子電圧をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学計測装置。
  3. 前記参照極電位制御回路に用いられるインバータは、インバータの出力端子が入力端子に接続されて負帰還回路を構成し、前記入力端子に生成されるインバータの閾値電圧が、前記参照極に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学計測装置。
  4. 前記電気化学セルにはさらに対極が備えられ、前記参照極電位制御回路に用いられるインバータの出力端子が前記対極に接続されると共に、インバータの入力端子が参照極に接続されることで負帰還回路を構成し、前記入力端子に生成されるインバータの閾値電圧が、前記参照極に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学計測装置。
  5. 前記フロントエンド回路は、前記インバータの出力端子と入力端子との間に負帰還抵抗R2を備えると共に、前記作用極Wとインバータ入力端子との間に入力抵抗R3が備えられ、前記作用極Wとインバータ入力端子との間に生ずる電位差をインバータの出力端子に電圧値として増幅する電位計測機能を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電気化学計測装置。
  6. 前記参照極電位制御回路およびフロントエンド回路に用いられるそれぞれのインバータは、有機薄膜トランジスタにより構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電気化学計測装置。
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