JP6160815B2 - レーザ加工方法およびレーザ加工システム - Google Patents
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Description
この時、樹脂のように金属に較べて溶融後の固化が遅い材料の場合、上記切断面同士が接触して溶着し、製品の切断面に溶融痕やバリが発生していたことから、従来では上記製品からこれらを除去する仕上げ作業が必要となっていた。
このような問題に鑑み、本発明は上記仕上げ作業を行うことなく製品を切断分離させることが可能なレーザ加工方法およびレーザ加工システムを提供するものである。
上記製品の周囲の残材部に、当該製品を所定の幅で囲繞する仕上げ代と、当該仕上げ代の周囲を囲繞する複数の切断除去部と、隣接する切断除去部と切断除去部との間に形成されて上記仕上げ代と切断除去部の外側の残材部とを接続する複数のジョイント部とを設定し、
最初に上記切断除去部を切断除去して、上記製品および仕上げ代が上記ジョイント部によって上記残材部に連結保持されるようにし、その後、上記仕上げ代とともに上記ジョイント部を上記製品より除去することを特徴としている。
上記加工データ作成手段は、上記製品の周囲の残材部に、当該製品を所定の幅で囲繞する仕上げ代と、当該仕上げ代の周囲を囲繞する複数の切断除去部と、隣接する切断除去部と切断除去部との間に形成されて上記仕上げ代と切断除去部の外側の残材部とを接続する複数のジョイント部とを設定し、
さらに、最初に上記切断除去部を切断除去して、上記製品および仕上げ代が上記ジョイント部によって上記残材部に連結保持されるようにし、その状態で上記仕上げ代とともに上記ジョイント部を上記製品より除去するよう、上記加工データを作成することを特徴としている。
その際、当該切断除去部の切断面が仕上げ代の切断面と接触しても、当該仕上げ代に溶融痕やバリが発生するだけであり、その後上記仕上げ代を製品より除去する際に溶融痕やバリが除去されることから、後工程での仕上げ作業が不要となる。
また切断除去部を切断除去すると、上記製品および仕上げ代は上記ジョイント部によって上記残材部に連結保持されていることから、上記仕上げ代の除去を行う際に改めて位置決めを行う必要がなく、速やかな仕上げ代の除去を行うことができる。
本実施例において加工する被加工物1は、板厚20mmのアクリル板となっており、当該被加工物1から図2に示す「株」の文字からなる製品2を切り出すようになっている。
ここで、本発明に好適な被加工物1は、板厚5mm以上の板状の樹脂材料となっており、上記樹脂材料としては、上記アクリルの他、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンのように、レーザ光Lによって切断された際に、その溶融した切断面が速やかに固化しない材料となっている。
なお、上記被加工物1としては、表面に凹凸が形成された板状の材料であってもよく、例えば製品2の部分だけが表面側に突出したエンボス状に加工されていても、本実施例のレーザ加工システム3によれば当該突出した製品2の外周に沿って当該被加工物1を製品2と残材部1aとに切断分離することが可能となっている。また、被加工物1の素材は金属材料であってもよい。
また上記レーザ加工システム3は、上記製品2の図面データを作成するCAD8と、CAD8で作成した製品2の図面データを基に、被加工物1から製品2を切り出すために必要な加工データを作成する加工データ作成手段としてのCAM9とを備えている。
上記加工テーブル4は、駆動手段によってその上面に載置した被加工物1を当該X方向に移動させるようになっており、また上記加工テーブル4の上面には無数のピン11およびクランプ12が設けられている。
上記加工テーブル4では、上記被加工物1を複数のピン11によって下方から支持するとともに、上記クランプ12によって被加工物1の一側を把持して加工テーブル4の所定位置に位置決めするようになっている。
このように被加工物1を複数のピン11によって下方から支持することで、レーザ光Lにより被加工物1から所要の形状が切断分離されると、当該切断分離された部分がピン11とピン11との間に落下するようになっている。
切断分離された部分が落下する際、図4に示すようにレーザ光Lによって加工された切断面が相互に接触することがあり、その際切断面がレーザ光Lの熱によって溶融した状態であると、接触によって切断面に溶融痕やバリが発生することとなる。
そして上記制御手段7は、上記加工テーブル4、レーザ発振器、加工ヘッド5、移動手段6をそれぞれ制御し、上記加工テーブル4により被加工物1をX方向に移動させ、上記移動手段6により加工ヘッド5をY方向およびZ方向に移動させることで、上記加工テーブル4上の被加工物1と加工ヘッド5とが相対的に移動し、これによりレーザ光Lを被加工物1に対して所要の移動経路に沿って移動させるようになっている。
この加工データは複数行の命令によって構成され、上記制御手段7ではこの加工データを最初の行から順に処理を行うことにより、上記加工ヘッド5より照射されたレーザ光Lを所要の切断経路で移動させるようになっている。
なお、上記CAD8、CAM9は従来公知であり、また上記加工データに基づいて上記制御手段7が上記加工テーブル4や移動手段6の移動を制御して、レーザ光Lを移動経路に沿って移動させることについても従来公知であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
また、上記CAD8、CAM9については、上記制御手段7と一体的に設けてこれらの機能を有する一つの手段によって構成してもよい。
最初に、CAM9は被加工物1の所要の位置に上記製品2のデータを配置する。このとき、1枚の被加工物1から複数の製品2を得るため、図2に示す製品2の上下左右にはこれと同様の製品2のデータが配置されている。
次に、CAM9は製品2の輪郭に沿って当該製品2を囲繞する、破線で示した製品線2aを作成する。
図3に示すように、上記レーザ光Lは所要のスポット径を有していることから、上記製品2の輪郭に沿ってレーザ光Lのスポット中心を移動させてしまうと、レーザ光Lにおけるスポット領域の半分が製品2のデータに重なってしまい、製品2がデータ通りに加工されないこととなる。
そこでCAM9は、上記製品線2aを製品2の輪郭に対してレーザ光Lのスポットの半径距離だけオフセットした位置に設定し、製品2がデータ通りに加工されるようにしている。
また本実施例の「株」のように、製品2のデータの内側にも当該製品2を構成しない残材部1aが存在する場合があり、その場合には当該製品2のデータの内側にも製品線2aを作成する。
具体的には、上記CAM9は上記製品2を囲繞する製品線2aを、上記残材部1aに向けてレーザ光Lのスポットの直径よりも狭い距離でオフセットして上記仕上げ代線21aを作成する。
より具体的には、図3に示すように上記製品線2aに対してレーザ光Lのスポットの半径距離だけオフセットした位置に作成し、これにより製品2から仕上げ代21を除去する際に、残材が発生しないようにしている。
また上記仕上げ代21は、上記製品線2aと同様、上記製品2の内側の製品線2aによって囲繞された部分にも作成され、さらに図2(a)のA部に示すような、製品2では重複していないものの、仕上げ代21が重複する部分については、CAM9が当該重複した部分で仕上げ代線21aを分けて作成するようになっている。
これら切断除去部22およびジョイント部23の作成手順を説明すると、最初に上記CAM9は上記仕上げ代21における上下左右の端部よりそれぞれ所定距離ずつ離隔した位置に、それぞれ上下左右に延びる直線状の外郭線24を設定し、製品2が略四角形の外郭線24によって囲繞されるようにする。
このとき仕上げ代21の端部と外郭線24との距離は、上記切断除去部22を被加工物1より切断分離させる際に、当該切断除去部22が被加工物1より容易に脱落させることができる程度の距離であって、また歩留まりを考慮した距離とすればよい。
なお、上記外郭線24の形状は必ずしも四角形に限定されるものではなく、製品2の形状に合わせてその他の形状を使用することができる。
上記ジョイント部23は、上記仕上げ代線21aと外郭線24とが相互に接近した位置に設定され、また上記ジョイント部23を構成する2本のジョイント線23aの間隔を極力狭くすることが望ましい。
さらに、ジョイント部23は図2(a)のB部に示すように、仕上げ代線21aと仕上げ代線21aとが交差する頂部に設け、いずれか一方のジョイント線23aを、交差している仕上げ代線21aのうちいずれか一方と同方向に作成することが望ましい。
このようにジョイント線23aを設定することで、上記切断除去部22を切断する際におけるレーザ光Lの移動経路を簡易にすることができ、加工時間を短縮することができる。
以上の結果、製品2の外側には、上記仕上げ代線21aと、外郭線24と、ジョイント線23aとによって無端状に囲繞された複数の切断除去部22が設定され、製品2の内側には上記仕上げ代線21aによって無端状に囲繞された切断除去部22が設定されることとなる。
まず上記製品2の外側の切断除去部22については、上記外郭線24の所要の位置を加工開始位置として、レーザ光Lによるピアッシングが終了してから、レーザ光Lの移動を開始するような移動経路を設定する。
また上記製品2の内側の切断除去部22については、図2(b)のC部に示すように、当該切断除去部22の内側に加工開始位置を設定し、当該加工開始位置でのピアッシングが終了してから、上記切断除去部22の外周縁を構成する上記仕上げ代線21aに沿ってレーザ光Lの移動経路を設定する。
またCAMは、これら切断除去部22を切断除去する順序として、先に上記製品2の内側に位置する切断除去部22を切断除去し、その後製品2の外側に位置する切断除去部22を切断除去するような加工データを作成する。
つまり、上記切断除去部22の全てが切断除去されると、上記製品2および仕上げ代21は上記ジョイント部23によって上記外郭線24の外側の残材部1aに連結保持された状態となるため、上記仕上げ代21とともに上記ジョイント部23を上記製品2より除去することで、製品2を残材部1aより切断分離することができる。
まずCAM9は、製品2の内側の仕上げ代21を除去するためのレーザ光Lの移動経路を作成し、その後製品2の外側の仕上げ代21を除去するためのレーザ光Lの移動経路を作成する。
このとき、CAM9は上記製品線2aに沿ってレーザ光Lの移動経路を設定し、具体的には図3に示すようにレーザ光Lのスポットの外周を製品の輪郭に沿って移動させることで、製品2の外側に設けられた上記仕上げ代21が除去されるようになっている。
そして製品2の外側の仕上げ代21を除去するためのレーザ光Lの移動経路を作成する際、レーザ光Lによる加工開始位置を、D部に示すような所要のジョイント部23の基部に隣接した位置に設定する。
このようにすることで、レーザ光Lが加工開始位置から移動を開始して当該加工開始位置と同じ加工終了位置に位置すると、上記製品2の外周の仕上げ代21がすべて除去されると同時に、上記ジョイント部23が切断されることとなり、仕上げ代21が完全に除去された製品2を残材部1aより離脱させることができる。
そしてこれらの加工データを作成したら、CAM9は当該加工データを上記制御手段7に送信し、制御手段7では上記加工データに登録された上記レーザ光Lの移動経路に基づいて、上記加工テーブル4や移動手段6を制御し、上記被加工物1と加工ヘッド5とを相対移動させて、上記被加工物1から製品2を切り出すようになっている。
このとき、上記切断除去部22をレーザ光Lが切断したら、必要に応じて人手や吸着ハンドを備えたロボット等により当該切断除去部22を強制的に被加工物1より離脱させる。
その際、レーザ光Lの移動経路の加工終了位置をジョイント部23とすることで、上記仕上げ代21が完全に除去されると同時に製品2を残材部1aより分離させることができる。
そして、製品2が残材部1aより切断分離される際、当該製品2の周囲には残材部1aが存在していないため、分離される製品2の切断面が残材部1aに接触することはなく、当該製品2の切断面に上記溶融痕やバリが発生することはない。
したがって、上記製品2に対して後工程での仕上げが不要となり、低コスト化並びに加工時間の短縮といった効果が得られる。
また、上記残材除去部22を切断分離した後も、上記製品2および仕上げ代21は上記ジョイント部23によって残材部1aに連結保持されているため、上記仕上げ代21を除去する際に、製品2の位置決めを改めて行う必要がない。
また、上記切断除去部22を切断した後、上記ジョイント部23によって製品2と残材部1aとが連結された状態の被加工物1を他のレーザ加工システム3に搬送し、当該他のレーザ加工システム3において上記製品線2aに沿って仕上げ代21を除去するようにしてもよい。
この場合、各製品2の位置は上記被加工物1に対して移動していないことから、被加工物1の位置決めだけを行えば、各製品2の位置を調整する必要はなく、仕上げ代21の除去を容易に行うことができる。
2 製品 2a 製品線
3 レーザ加工システム 4 加工テーブル
5 加工ヘッド 6 移動手段
7 制御手段 9 CAM
21 仕上げ代 21a 仕上げ代線
22 切断除去部 23 ジョイント部
23a ジョイント線 24 外郭線
Claims (8)
- レーザ光を照射する加工ヘッドと被加工物とを相対移動させて、当該被加工物を製品とその他の残材部とに切断分離するレーザ加工方法において、
上記製品の周囲の残材部に、当該製品を所定の幅で囲繞する仕上げ代と、当該仕上げ代の周囲を囲繞する複数の切断除去部と、隣接する切断除去部と切断除去部との間に形成されて上記仕上げ代と切断除去部の外側の残材部とを接続する複数のジョイント部とを設定し、
最初に上記切断除去部を切断除去して、上記製品および仕上げ代が上記ジョイント部によって上記残材部に連結保持されるようにし、その後、上記仕上げ代とともに上記ジョイント部を上記製品より除去することを特徴とするレーザ加工方法。
- 上記仕上げ代の幅を、レーザ光の直径よりも狭く設定したことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 上記仕上げ代における上下左右の端部よりそれぞれ所定距離ずつ離隔した位置に外郭線を設定して、上記製品が当該外郭線によって囲繞されるようにし、
当該外郭線が各切断除去部の一部を構成することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のレーザ加工方法。 - 上記被加工物は、厚みが5mm以上の樹脂材料からなる板状材料であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のレーザ加工方法。
- 被加工物を支持する加工テーブルと、レーザ光を照射する加工ヘッドと、これら加工テーブル上の被加工物と加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、これらを制御する制御手段と、上記被加工物を製品とその他の残材部とに切断分離するための加工データを作成してこれを上記制御手段に送信する加工データ作成手段とを備えたレーザ加工システムにおいて、
上記加工データ作成手段は、上記製品の周囲の残材部に、当該製品を所定の幅で囲繞する仕上げ代と、当該仕上げ代の周囲を囲繞する複数の切断除去部と、隣接する切断除去部と切断除去部との間に形成されて上記仕上げ代と切断除去部の外側の残材部とを接続する複数のジョイント部とを設定し、
さらに、最初に上記切断除去部を切断除去して、上記製品および仕上げ代が上記ジョイント部によって上記残材部に連結保持されるようにし、その状態で上記仕上げ代とともに上記ジョイント部を上記製品より除去するよう、上記加工データを作成することを特徴とするレーザ加工システム。 - 上記加工データ作成手段は、上記仕上げ代の幅をレーザ光の直径よりも狭く設定することを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工システム。
- 上記加工データ作成手段は、上記仕上げ代における上下左右の端部よりそれぞれ所定距離ずつ離隔した位置に外郭線を設定して、上記製品が当該外郭線によって囲繞されるようにし、
さらに当該外郭線を各切断除去部の一部として使用することを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかに記載のレーザ加工システム。 - 上記被加工物は、厚みが5mm以上の樹脂材料からなる板状材料であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載のレーザ加工システム。
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