JP6160488B2 - 高分子量ポリカーボネート樹脂の連続製造方法 - Google Patents

高分子量ポリカーボネート樹脂の連続製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応させる工程を含む高分子量ポリカーボネート樹脂の連続製造方法に関する。詳しくは、芳香族ポリカーボネートプレポリマーの製造工程と、得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーを脂肪族ジオール化合物からなる連結剤で連結して高分子量化する工程とを連続法で行うに際し、該プレポリマーと連結剤との連結高分子量化反応を速やかに行い、優れた性能の高分子量ポリカーボネート樹脂を得るための連続製造方法に関する。
ポリカーボネートは耐熱性、耐衝撃性、透明性に優れるため、近年、多くの分野において幅広く用いられている。このポリカーボネートの製造方法においては、従来多くの検討がなされている。その中で、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)から誘導されるポリカーボネートは、界面重合法或いは溶融重合法の両製造方法により工業化されている。
この界面重合法によれば、ポリカーボネートはビスフェノールAとホスゲンとから製造されるが、有毒なホスゲンを用いなければならない。また、副生する塩化水素や塩化ナトリウム及び溶媒として大量に使用する塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐食することや、ポリマー物性に影響を与える塩化ナトリウムなどの不純物や残留塩化メチレンの除去が困難なことなどが、課題として残る。
一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとからポリカーボネートを製造する方法としては、例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換反応により、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物(ビスフェノールAとジフェニルカーボネートの場合はフェノール)を除去しながら重合する溶融重合法が古くから知られている。溶融重合法は、界面重合法と異なり溶媒を使用しない等の利点を有しているが、重合が進行すると共に系内のポリマー粘度が急激に上昇し、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物を効率よく系外に除去することが困難になり、反応速度が極端に低下して重合度を上げにくくなるという本質的な問題点を有している。よって、溶融重合法を用いて高分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するための有効な方法が求められている。
上記課題を解決する方法として、例えば、高粘度状態のポリマーから芳香族モノヒドロキシ化合物を抜き出すための様々な工夫が提案されている(特許文献1;特公昭50−19600号公報、特許文献2;特開平2−153923号公報、特許文献3;米国特許第5,521,275号公報)。
しかしながら、これらに開示されている方法では、ポリカーボネートの分子量を十分に増加させることはできない。上記のような触媒量を大量に使用する方法(特許文献2、特許文献3)或いは高剪断を与えるような厳しい条件(特許文献1)により高分子量化を実施すると、樹脂の色相劣化あるいは架橋反応の進行など、樹脂の物性に与える悪影響が大きくなる。
また、溶融重合法において反応系に重合促進剤や連結剤等を添加することによってポリカーボネートの重合度を高める方法も提案されている(特許文献4;欧州特許第0595608号公報、特許文献5;米国特許第5,696,222号、特許文献6;特許第4112979号公報、特許文献7;特表2008−514754、特許文献8;特許第4286914号公報、特許文献9;特公平6−94501号公報、特許文献10;特開2009−102536号公報)。
また、目的は必ずしも同じではないが、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応系にジオール化合物を添加する方法はすでに提案されている(特許文献11;特許第3317555号公報、特許文献12;特許第3301453号公報)。
そのほかに、ポリカーボネートを高分子量化する方法として、低分子量ポリカーボネートをカーボネートモノマーで連結する方法(特許文献13;特許第2810548号公報)、環状カーボネート化合物を反応系に添加する方法(特許文献14;特許第3271353号公報)などが提案されている。
しかしながら、これらの方法でも重合度の上昇が不十分である、あるいは得られるポリカーボネート樹脂本来の物性(熱安定性、耐衝撃性、色相等)の低下を招く、などの問題点があった。
このように、従来の高分子量芳香族ポリカーボネートの製造方法は多くの課題を有しており、ポリカーボネート本来の良好な品質を保持し、かつ十分な高分子量化を達成しうる製造方法の開発への要望は強い。
本発明者らは先に、芳香族ポリカーボネート樹脂の良好な品質を保持し、かつ十分な高分子量化を達成しうる高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法を提案した(特許文献15;国際公開WO/2011/062220)。これは、末端水酸基濃度が極めて低い芳香族ポリカーボネートプレポリマーと特定の脂肪族ジオール化合物からなる連結剤とをエステル交換触媒の存在下、減圧条件で共重合反応させて連結し、高分子量化する方法であり、これによって芳香族ポリカーボネート樹脂本来の物性を備え、かつ十分に高分子量化されたポリカーボネート樹脂を得ることができる。脂肪族ジオール化合物による連結高分子量化反応を具体的な反応スキームで例示すると以下のとおりである。
Figure 0006160488
芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応させる工程は、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物との共重合体を製造する工程ということもできる。ここで、共重合成分同士を連続的に共重合反応させて共重合体を得る場合、通常、すべての材料(共重合成分あるいは反応成分)を予め混合器内で常圧にて比較的長時間をかけて十分に混合してから反応器へ移して共重合反応させる。特に通常の芳香族ポリカーボネート樹脂製造時のエステル交換反応においては、副生物であるフェノールの脱揮効果を高めて反応を促進させるために反応表面積の大きい横型攪拌反応器を用いることが多いが、横型攪拌反応器は混合能力が大きくないため、反応成分を予め十分混合したのち横型攪拌反応器へ導入するのが一般的である。
しかしながら、上記した芳香族ポリカーボネートプレポリマーと特定の脂肪族ジオール化合物とを連結反応させて高分子量化する場合、該プレポリマーと該脂肪族ジオール化合物との反応速度が高く連結反応が極めて迅速に進むため、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物の接触直後(すなわち両者の混合直後)から該連結反応が速やかに進行し、プレポリマー同士が連結し高分子量化するとともにフェノール等の副生物の生成が進む。
よって、上記した高分子量ポリカーボネート樹脂を大きなスケールで連続的に製造する場合、従来のように混合器内で常圧にて攪拌混合していると、その間に生成する副生物によって逆にプレポリマー主鎖の開裂反応が進行し分子量が低下してしまう。
バッチ式等で比較的小さなスケールにて製造する場合は、溶解・攪拌の時間が短くプレポリマー主鎖の開裂反応があまり進行しないまま製造物(高分子量ポリカーボネート樹脂)を回収できる場合もあるが、一般的に大きなスケールで工業的に実施する連続製造法においては、混合器で混合する間にもエステル交換反応が起こり、その結果、連結反応が進行する一方で、生成する副生物によってプレポリマー主鎖の開裂反応が進行する。
一度プレポリマー主鎖の開裂反応が進行してしまうと、分子量を上げるには低分子量化した芳香族ポリカーボネートプレポリマー同士を反応させなければならず、反応に長時間を要する。その結果、十分な高分子量化を達成するために、連結高分子量化反応器内で長時間反応混合物を滞留させる必要が生じる。反応混合物の反応器内での滞留時間が長くなると、分岐度が増加する(後記で定義する構造粘性指数であるN値が高くなる)、着色が強くなり色調が悪化する、異種構造が増大するといったように、得られる高分子量ポリカーボネート樹脂の品質が低下する傾向を招く。
よって、上記高分子量ポリカーボネート樹脂を大スケールで工業的に連続製造する方法では、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応させる工程において、開裂反応の進行を抑え、連結高分子量化反応器内での滞留時間を短くする工夫が求められる。
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法において複数基の重合槽を直列に配置した連続多段重合法は、従来公知である(特許文献16;特開2009−161745号公報、特許文献17;特開2010−150540号公報、特許文献18;特開2011−6553号公報)。しかしながら、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結反応させて高分子量化されたポリカーボネート樹脂の製造工程において連続多段重合法を採用し、かつ副生物による開裂反応の進行を抑えて連結高分子量化反応器内での反応混合物の滞留時間を短くするための工夫をした提案は見いだされていない。
特公昭50−19600号公報 特開平2−153923号公報 米国特許第5,521,275号公報 欧州特許第0595608号公報 米国特許第5,696,222号 特許第4112979号公報 特表2008−514754 特許第4286914号公報 特公平6−94501号公報 特開2009−102536号公報 特許第3317555号公報 特許第3301453号公報 特許第2810548号公報 特許第3271353号公報 国際公開WO/2011/062220 特開2009−161745号公報 特開2010−150540号公報 特開2011−006553号公報。
本発明が解決しようとする課題は、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応させる工程を含む高分子量ポリカーボネート樹脂の連続製造方法において、副生物によるプレポリマー主鎖の開裂反応の進行を抑制して連結高分子量化反応を促進させ、優れた品質の高分子量ポリカーボネート樹脂を製造しうる、改良された連続製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応させる工程において、脂肪族ジオール化合物の連続供給を極めて限定された減圧下で行うことにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下に示す高分子量ポリカーボネート樹脂の連続製造方法に関するものである。
1)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重縮合反応器内で重縮合反応させて芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する工程(A)と、前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応器内で連結高分子量化反応させる工程(B)とを順次行うことによって、高分子量ポリカーボネート樹脂を連続して製造する方法において、前記工程(B)において、前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連結高分子量化反応器に連続供給するとともに、脂肪族ジオール化合物を連結高分子量化反応器に10torr以下の減圧条件下で連続供給することを特徴とする、高分子量ポリカーボネート樹脂の連続製造方法。
2)前記連結高分子量化反応器内における反応混合物の滞留時間が60分以下である、(1)記載の連続製造方法。
3)前記脂肪族ジオール化合物が下記一般式(A)で表される化合物である、(1)記載の連続製造方法。
Figure 0006160488
(一般式(A)中、Qは異種原子を含んでも良い炭素数3以上の炭化水素基を表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選択される基を表す。n及びmはそれぞれ独立して0〜10の整数を表す。ただし、Qが末端OH残基に結合する脂肪族炭化水素基を含まない場合、nは及びmはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。また、R及びRの少なくとも一方と、R及びRの少なくとも一方は、各々水素原子及び脂肪族炭化水素基からなる群から選択される。)
4)前記脂肪族ジオール化合物が1級ジオール化合物である、(3)記載の連続製造方法。
5)前記脂肪族ジオール化合物の常圧における沸点が240℃以上である、(1)記載の連続製造方法。
6)前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーの末端水酸基濃度が1,500ppm以下である、(1)記載の連続製造方法。
7)前記高分子量ポリカーボネート樹脂の、下記数式(I)で表されるN値(構造粘性指数)が1.30以下である、(1)記載の連続製造方法。
[数1]
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160―log10) ・・・(I)
(数式(I)中、Q160値は280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)を表し、Q10値は280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)を表す。)
8)前記高分子量ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mwhp)と、前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量(MwPP)と、前記連結高分子量化反応器内における反応混合物の滞留時間(RT;分)とを下記数式(IV)で表したとき、k’(単位;Mw上昇量/分)が500以上であることを特徴とする、(1)記載の連続製造方法。
[数2]
k’ =(Mwhp−MwPP)/RT ・・・(IV)
9)前記連結高分子量化反応器が、撹拌軸を複数有する多軸の横型攪拌反応器であって、前記撹拌軸の少なくとも一つが水平回転軸と該水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼とを有し、かつ水平回転軸の長さをLとし攪拌翼の回転直径をDとしたときのL/Dが1〜15であり、前記芳香族ポリカーボネートプレポリマーの供給口と反対側に生成する高分子量ポリカーボネート樹脂の抜き出し口を有することを特徴とする、(1)記載の連続製造方法。
10)前記連結高分子量化反応器が、連続スクリュ型の撹拌軸を複数有する多軸の横型混練反応器であって、かつ攪拌軸の長さをLとしスクリュ直径をDとしたときのL/Dが20〜100であり、前記芳香族ポリカーボネートプレポリマーの供給口と反対側に生成する高分子量ポリカーボネート樹脂の抜き出し口を有することを特徴とする、(1)記載の連続製造方法。
11)前記連結高分子量化反応器へ連続供給するときの脂肪族ジオール化合物の粘度が0.1〜10000poiseであることを特徴とする、(1)記載の連続製造方法。
12)前記連結高分子量化反応器に連続供給する脂肪族ジオール化合物が、水分含有量が3重量%以下となるようにあらかじめ脱水処理したものであることを特徴とする、(1)記載の連続製造方法。
13)前記連結高分子量化反応器に連続供給する脂肪族ジオール化合物の単位時間当たりの供給量が、該連結高分子量化反応器に連続供給する芳香族ポリカーボネートプレポリマー単位時間当たりの供給量の全末端基量に対して0.01〜1.0倍(モル比)であることを特徴とする、(1)記載の連続製造方法。
本発明における芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物との反応は迅速に進むため、通常の方法ではフェノール等の副生物の脱揮が不十分となり、副生物によるプレポリマー主鎖の開裂反応が進行してしまう。よって、高分子量化するためには反応混合物の反応器内での滞留時間を長くせざるを得なくなるが、本発明では、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを反応させる連結高分子量化反応工程において、脂肪族ジオール化合物を直接連結高分子量化反応器に、10torr以下の減圧条件という極めて高真空の条件下で連続供給することにより、フェノール等の副生物を速やかに脱揮して副生物によるプレポリマー主鎖の開裂反応の進行を抑えつつ連結反応を速やかに進行させ、連結高分子量化反応器内での反応混合物の滞留時間を短くすることができる。
比較的沸点の高い脂肪族ジオール化合物は、揮発性が比較的低い。このため、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とから高分子量ポリカーボネートを製造する工程において、比較的高沸点の脂肪族ジオール化合物を採用することで、脂肪族ジオール化合物の揮発が最小限に抑えられ、過剰に使用する必要性がなくなるため、工業的に連続製造する場合に経済的に有利である。
このように本発明の方法によれば、十分に高分子量であり、且つN値が低く、色相に優れ、さらに異種構造の少ない高品質の高分子量ポリカーボネート樹脂が、経済的に優れた方法で得られる。
本発明の製造方法で用いる製造装置の一例(実施例1で用いる製造装置)を示す概略図である。 本発明の比較例1で用いる製造装置を示す概略図である。 本発明の実施例1,3,6及び比較例1,5,6における滞留時間とMwとの関係を表すグラフである。 本発明の実施例1,3,6及び比較例1,5,6における滞留時間とN値の関係を表すグラフである。 本発明の実施例1,3,6及び比較例1,5,6における滞留時間とYI値との関係を表すグラフである。
本発明の製造方法は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主原料とし、これらを重縮合反応(エステル交換反応)させて芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する重縮合工程(A)と、前記重縮合工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応させる工程(B)とを含む。工程(B)は、芳香族ポリカーボネートプレポリマーを脂肪族ジオール化合物で連結して高分子量化する工程であるとともに、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを共重合成分とする共重合化工程でもある。
本発明ではその他に、主原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを調整する主原料調整工程や、前記工程(A)及び/又は工程(B)の終了後に反応混合物中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程、熱安定剤、離型剤、色剤等の添加剤を添加する工程、得られる高分子量ポリカーボネート樹脂を所定の粒径のペレットに形成するペレット化工程など、従来公知の工程を組み合わせることができる。また、連結高分子量化反応器内で脂肪族ジオール化合物(連結剤)を迅速かつ均一に混合させるため、脂肪族ジオール化合物を予め溶融・脱水処理する連結剤調整工程を含んでいても良い。
本発明を実施するための形態を、図面に基づいてより具体的に説明すると、図1(本発明の方法で用いる製造装置の一例を具体的に示す概略図)に示すように、本発明の製造方法の一例においては、まず主原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを調整する主原料調整工程、及び、これらの原料を溶融状態で重縮合反応させ芳香族ポリカーボネートプレポリマーを生成する重縮合工程(A)の後、前記工程(A)で生成した芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物(連結剤)とを反応させる工程(B)(連結高分子量化工程)を経ることによって、本発明の高分子量ポリカーボネート樹脂が製造される。
その後、反応を停止させ、重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程(図示せず)や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程(図示せず)、ポリカーボネートを所定の粒径のペレットに形成する工程(図示せず)を経て、高分子量ポリカーボネート樹脂のペレットが成形される。
本発明においては、工程(A)と工程(B)とを別々の反応器を用いて実施する多段反応工程を採用する。工程(A)を実施する重縮合反応器と、工程(B)を実施する連結高分子量化反応器とは直列に連結される。
工程(A)の重縮合反応器は、単一の反応器であっても、複数の反応器が直列に連結されていても良い。好ましくは2器以上、より好ましくは2〜6器の反応器が直列に連結される。
一方、工程(B)の連結高分子量化反応器は、単一の反応器であっても、複数の反応器が直列に連結されていてもよいが、好ましくは1器(単一の反応器)である。
1.主原料調整工程
主原料調整工程では、本発明の製造方法に使用する主原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを調整する。
(1)装置
主原料調整工程において使用する装置としては、原料混合槽(図1中、1R)と、調整した原料を重縮合工程(工程(A))に供給するための原料供給ポンプ(図1中、1P)とが設けられている。原料混合槽1Rには、供給口1Mから、窒素ガス雰囲気下、主原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルが溶融状態で連続的に供給される。
原料混合槽1Rでは、窒素ガス雰囲気下、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとが、所定のモル比(好ましくは炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物=1.0〜1.3(モル比))で混合及び溶融され、原料混合溶融液が調整される。原料混合槽1Rの仕様は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、マックスブレンド攪拌翼(図1中、1Y)を設けたものを使用することができる。
なお、連続製造するためには、図1に示すように、主原料調整工程に混合槽を2つ設けることが好ましい。混合槽を2つ設けることによって、混合及び溶融を交互に行い、バルブ1Bpを切り替えて反応釜3Rへ連続供給することができる。
(2)芳香族ジヒドロキシ化合物
主原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006160488
一般式(1)中、2つのフェニレン基は、両方ともp-フェニレン基、m-フェニレン基またはo-フェニレン基であってもよく、さらには各々異なる置換位置でも良いが、両方ともp-フェニレン基であるのが好ましい
一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立にハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基及び炭素数6〜20のアラルキル基を表す。
及びRの好ましい具体例は、フッ素、アミノ基、メトキシ基、メチル基、シクロヘキシル基、フェニル基である。
p及びqは、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数を表す。Xは単なる結合又は下記一般式(2)で表される二価の有機基群から選択される基を表す。一般式(2)のR及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは1〜6)、炭素数6〜10のアリール基、又はRとRが結合した脂肪族環を表す。
Figure 0006160488
このような芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、および1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA又はBPA)がモノマーとしての安定性、更にはそれに含まれる不純物の量が少ないものの入手が容易である点等の理由により好ましいものとして挙げられる。上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、複数種が必要に応じて組み合わされていてもよい。
本発明においては、必要に応じて、上記芳香族ジヒドロキシ化合物とともに、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸化合物を併用し、ポリエステルカーボネートとしても構わない。
また、一分子中に3個以上、好ましくは3〜6の官能基を有する多官能化合物を併用することもできる。このような多官能化合物としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基を有する化合物などが好ましく用いられ、特に好ましくは1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが用いられる。
(3)炭酸ジエステル
本発明で用いられる炭酸ジエステルしては、下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0006160488
ここで、一般式(3)中におけるAは、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状の1価の炭化水素基である。2つのAは、同一でも相互に異なるものでもよい。
炭酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、m−クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(4−フェニルフェニル)カーボネート等の芳香族炭酸ジエステルが挙げられる。その他、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等も所望により使用することができる。これらのうち、ジフェニルカーボネートが、反応性、得られる樹脂の着色に対する安定性、更にはコストの点より、好ましい。
(4)仕込み比
本発明においては、芳香族ポリカーボネートプレポリマーの製造時に封止末端基を導入するため、炭酸ジエステルを芳香族ジヒドロキシ化合物に対して過剰に使用することが好ましい。より好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの仕込み比を、炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物=1.0〜1.3(モル比)の割合とする。すなわち、炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して1.0〜1.3モルの比率で用いることが好ましく、更に好ましくは1.02〜1.20モルの比率で用いる。
(5)触媒
芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物との連結高分子量化反応に使用される触媒としては、通常のポリカーボネート製造用触媒として用いられる塩基性化合物触媒などのエステル交換触媒を用いることができる。
塩基性化合物触媒としては、特にアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、含窒素化合物等があげられる。
アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、テトラフェニルホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
アルカリ土類金属化合物の具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
含窒素化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル基および/またはアリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
その他のエステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。
エステル交換触媒としては、具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が用いられる。
本発明の製造方法においては、炭酸セシウム(CsCO)の水溶液を用いるのが好ましい。
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、1×10−9〜1×10−3モルの比率で、好ましくは1×10−7〜1×10−5モルの比率で用いられる。
2.工程(A)(重縮合工程)
工程(A)では、主原料の芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、重縮合反応器内で重縮合反応させることによって芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する。この重縮合反応は、エステル交換反応に基づく溶融重縮合反応である。
(1)装置
工程(A)を実施する重縮合反応器としては、1又は2以上の反応器が用いられる。2以上の反応器を用いる場合は直列に接続する。好ましくは2器以上、より好ましくは2〜6器、特に好ましくは3〜5器の反応器を直列に連結して用いる。重縮合反応器は縦型及び横型のいずれであっても良いが、好ましくは縦型である。
例えば、図1においては、工程(A)の重縮合反応器として第1縦型攪拌反応器3R、第2縦型攪拌反応器4R、第3縦型攪拌反応器5R、及び第4縦型攪拌反応器6Rが設けられている。
それぞれの重縮合反応器には、従来公知の攪拌翼などの攪拌装置を設けることができる。攪拌翼の具体例としては、錨型攪拌翼、マックスブレンド翼、ダブルヘリカルリボン翼等が挙げられる。
例えば、図1の第1縦型攪拌反応器3R、第2縦型攪拌反応器4R、第3縦型攪拌反応器5Rには、マックスブレンド翼3Y,4Y,5Y及び、第4縦型攪拌反応器6Rにはダブルヘリカルリボン翼6Yがそれぞれ設けられている。
またそれぞれの反応器には予熱器、ギヤポンプ、重縮合反応により生成する副生物等を排出するための留出管、コンデンサー、ドライアイストラップ等の凝縮器及びリカバリータンク等の受器、所定の減圧状態に保つための減圧装置等を設けることができる。
なお、一連の連続製造方法で用いられる反応器はすべて、予め設定された範囲の内温と圧力に達するよう調整が開始される。
図1に示す製造装置を用いた連続製造方法の例では、先ず直列に接続された5器の反応器(工程(A);第1縦型攪拌反応器3R、第2縦型攪拌反応器4R、第3縦型攪拌反応器5R、第4縦型攪拌反応器6R、工程(B);第5横型攪拌反応器7R)を、予めそれぞれの反応(溶融重縮合反応及び連結高分子量化反応)に応じた内温と圧力に設定する。
例えば、図1の装置では、3H、4H、5H、6Hの予熱器と3P、4P、5P、6Pのギヤポンプが設けられている。また4器の反応器には、留出管3F,4F,5F,6Fが取り付けられている。留出管3F,4F,5F,6Fは、それぞれ凝縮器3C,4C,5C,6Cに接続し、また各反応器は、減圧装置3V,4V,5V,6Vにより、所定の減圧状態に保たれる。
(2)重縮合反応
重縮合反応器における反応条件は、重縮合反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度となるようにそれぞれ設定される。重縮合反応の間、各反応器における平均滞留時間は、例えば連結剤添加前の反応器では30〜120分程度になるように液面レベルを制御する。また各反応器において、溶融重縮合反応と同時に副生するフェノールは、各反応器に取り付けられた留出管3F,4F,5F,6Fにより系外に留出される。工程(A)における減圧度は、好ましくは100〜0.0075torr(13.3kPa〜1Pa)であり、反応器の内温は好ましくは140〜300℃である。
より具体的には、図1に示す方法では工程(A)を4器の反応器(第1〜第4縦型攪拌反応器)で行い、通常は以下のような温度及び圧力に設定する。なお、以下には工程(A)の4器の反応器に直列に連結された工程(B)の連結高分子量化反応器(第5横型攪拌反応器)についても併記する。
(予熱器1H)180℃〜230℃
(第1縦型攪拌反応器3R)
内温:150℃〜250℃、圧力:常圧〜100torr(13.3kPa)、加熱媒体の温度220℃〜280℃
(予熱器3H)200℃〜250℃
(第2縦型攪拌反応器4R)
内温:180℃〜250℃、圧力:100torr(13.3kPa)〜75torr(10kPa)、加熱媒体の温度220℃〜280℃
(予熱器4H)230℃〜270℃
(第3縦型攪拌反応器5R)
内温:220℃〜270℃、圧力:75torr(10kPa)〜1torr(133Pa)、加熱媒体の温度220℃〜280℃
(予熱器5H)230℃〜270℃
(第4縦型攪拌反応器6R)
内温:220℃〜280℃、圧力:1torr(133Pa)〜0.0075torr(1Pa)、加熱媒体の温度220℃〜300℃
(予熱器6H)270℃〜340℃
(第5横型攪拌反応器7R)
内温:260℃〜340℃、圧力:10torr以下(1333Pa以下)、加熱媒体の温度260〜340℃
次いで、本発明の連続製造方法で使用されるすべての反応器の内温と圧力がそれぞれの設定値の−5%〜+5%の範囲内に達した後に、別途、原料混合槽1Rで調整した原料混合溶融液が、原料供給ポンプ1P、予熱器1Hを経由して第1縦型攪拌反応器3R内に連続供給される。また、原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1縦型攪拌反応器3R内に触媒(水溶液状の炭酸セシウム)が原料混合溶融液の移送配管途中の触媒供給口1Catから連続的に供給され、エステル交換反応に基づく溶融重縮合が開始される。
反応器の攪拌翼の回転数は特に制限されないが、好ましくは200〜10rpmに保持される。反応の進行に伴い副生したフェノールを、留出管から留出させながら、所定の平均滞留時間になるように、液面レベルを一定に保ち、重縮合反応が行われる。各反応器における平均滞留時間は特に限定されないが、通常30分〜120分である。
例えば図1の製造装置では、第1縦型攪拌反応器3R内で、窒素雰囲気下、例えば温度200℃、圧力200torr(27kPa)とし、マックスブレンド翼3Yの回転数を160rpmに保持し、溶融重縮合が行われる。そして、副生したフェノールを留出管3Fから留出させながら平均滞留時間60分になるように液面レベルを一定に保ち、重縮合反応が行われる。
続いて、重合反応液は、第1縦型攪拌反応器3Rの槽底からギヤポンプ3Pにより排出され、予熱器3Hを通り第2縦型攪拌反応器4Rへ、次いでギヤポンプ4Pにより予熱器4Hを通り第3縦型攪拌反応器5Rへ、さらにギヤポンプ5Pにより予熱器5Hを通り、第4縦型攪拌反応器6Rへと順次連続供給され、重縮合反応が進行し芳香族ポリカーボネートプレポリマーが生成する。
(3)芳香族ポリカーボネートプレポリマー
工程(A)の最後の重縮合反応器で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは10000〜50000、より好ましくは15000〜35000(GPCによるポリスチレン換算値)であり、このプレポリマーが工程(B)の連結高分子量化反応器に連続供給される。
また、前記工程(A)の最後の重縮合反応器で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、その全末端に占める芳香族モノヒドロキシ化合物由来の封止末端量の割合が60モル%以上であることが好ましい。ポリマーの全末端量に対する封止末端量の割合は、ポリマーのH−NMR解析により分析することができる。またTi複合体による分光測定によって水酸基濃度を測定することも可能であり、同評価による水酸基濃度としては1,500ppm以下が好ましく、さらに好ましくは1,000ppm以下、特に好ましくは750ppm以下が好適である。この範囲を超える水酸基末端或いはこの範囲未満の封止末端量では、十分に高分子量のポリカーボネート樹脂が得られない場合がある。
ここでいう「芳香族ポリカーボネートプレポリマーの全末端基量」は、例えば分岐の無いポリカーボネート(または直鎖状ポリカーボネート)0.5モルがあれば、全末端基量は1モルであるとして計算される。
封止末端基の具体例としては、フェニル末端、クレジル末端、o−トリル末端、p−トリル末端、p−t−ブチルフェニル末端、ビフェニル末端、o−メトキシカルボニルフェニル末端、p−クミルフェニル末端などの末端基を挙げることができるが、これらの中では、脂肪族ジオール化合物との連結高分子量化反応で反応系より除去されやすい低沸点の芳香族モノヒドロキシ化合物で構成される末端基が好ましく、フェニル末端、p−tert−ブチルフェニル末端などが特に好ましい。
溶融法においては、芳香族ポリカーボネートプレポリマー製造時に炭酸ジエステルを芳香族ジヒドロキシ化合物に対して過剰に使用することにより、封止末端基を導入することができる。反応に用いる装置及び反応条件にもよるが、具体的には芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して炭酸ジエステルを1.00〜1.30モル、より好ましくは1.02〜1.20モル、特に好ましくは1.02〜1.15モル使用する。これにより、上記末端封止量を満たす芳香族ポリカーボネートプレポリマーが得られる。
3.工程(B)(連結高分子量化工程)
工程(B)では、前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーと連結剤である脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応させて高分子量ポリカーボネート樹脂を製造する。
(1)脂肪族ジオール化合物(連結剤)
本発明の連続製造方法に用いられる脂肪族ジオール化合物は、末端水酸基に結合する脂肪族炭化水素基を有する化合物である。末端水酸基とは、エステル交換反応により芳香族ポリカーボネートプレポリマーとの間のカーボネート結合の形成に寄与する水酸基を意味する。脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基及びシクロアルキレン基が挙げられるが、これらは一部が芳香族基、複素環含有基等で置換されていても良い。より具体的には下記一般式(A)で表される2価のアルコール性水酸基を有する化合物が挙げられる。
Figure 0006160488
上記一般式(A)中、Qは異種原子を含んでも良い炭素数3以上の炭化水素基を表している。この炭化水素基の炭素数の下限は3、好ましくは6、より好ましくは10であり、上限は好ましくは40、より好ましくは30、さらに好ましくは25である。
該異種原子としては、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、フッ素原子(F)及びケイ素原子(Si)が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは酸素原子(O)及び硫黄原子(S)である。
該炭化水素基は直鎖状であっても分岐状であっても、環状構造であってもよい。またQは芳香環、複素環等の環状構造を含んでいてもよい。
上記一般式(A)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、及び炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選択される基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、具体的には直鎖又は分岐のアルキル基、シクロヘキシル基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
ただし、R及びRの少なくとも一方と、R及びRの少なくとも一方は、各々水素原子及び脂肪族炭化水素基からなる群から選択される。
なお、R〜Rはいずれも水素原子であることが好ましい。すなわち、本発明で用いられる脂肪族ジオール化合物は、好ましくは1級ジオール化合物であり、さらに好ましくは直鎖状脂肪族ジオールを除く1級ジオール化合物である。
n及びmはそれぞれ独立して0〜10、好ましくは1〜4の整数を表す。ただし、Qが末端水酸基に結合する脂肪族炭化水素基を含まない場合、n及びmはそれぞれ独立して1〜10、好ましくは1〜4の整数を表す。
脂肪族ジオール化合物として、より好ましくは下記一般式(i)〜(iii)のいずれかで表される2価のアルコール性水酸基を有する化合物が挙げられる。
Figure 0006160488
上記一般式(i)中、Qは芳香環を含む炭素数6〜40の炭化水素基、好ましくは芳香環を含む炭素数6〜30の炭化水素基を表す。また、Qは酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、フッ素原子(F)及びケイ素原子(Si)からなる群から選択される少なくとも一種の異種原子を含んでいてもよい。
n1、m1は1〜10の整数を表し、好ましくは1〜4の整数である。芳香環としては、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記一般式(ii)中、Qは複素環を含んでも良い直鎖状又は分岐状の炭素数3〜40の炭化水素基、好ましくは複素環を含んでも良い直鎖状又は分岐状の炭素数3〜30の炭化水素基を表す。また、Qは酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、フッ素原子(F)及びケイ素原子(Si)からなる群から選択される少なくとも一種の異種原子を含んでいてもよい。n2、m2は1〜10の整数を表し、好ましくは1〜4の整数である。
上記一般式(iii)中、Qは炭素数6〜40の環状炭化水素基(シクロアルキレン基)、好ましくは炭素数6〜30の環状炭化水素基を含む基を表す。n3は0〜10、好ましくは1〜4の整数を表す。シクロアルキレン基としては、シクロヘキシル基、ビシクロデカニル、トリシクロデカニル等が挙げられる。
上記一般式(i)〜(iii)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、及び炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選択される基を表す。その具体例は上記一般式(I)におけるのと同様である。
上記一般式(i)〜(iii)のいずれかで表される化合物のうち、より好ましいものは、一般式(i)及び(iii)で表される化合物であり、特に好ましいものは一般式(i)で表される化合物である。
また、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物との反応に伴って副生される芳香族モノヒドロキシ化合物を留去することを考慮すると、使用する脂肪族ジオール化合物は、該芳香族モノヒドロキシ化合物よりも高い沸点を有するものであることが好ましい。また一定の温度及び圧力の下で揮発させずに確実に反応を進行させる必要があるため、より高い沸点を有する脂肪族ジオール化合物を使用することが望ましい。よって、本発明で使用する脂肪族ジオールとして具体的には、常圧における沸点が240℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上、特に好ましくは350℃以上のものが用いられる。上限については特に制限されないが、500℃以下で十分である。
沸点の比較的高い脂肪族ジオール化合物を用いることは、本発明の方法(すなわち脂肪族ジオール化合物を連結高分子量化反応器に10torr以下の減圧条件下で連続供給する工程を含む方法)を採用することに加え、さらに製造工程中の脂肪族ジオール化合物の揮発を抑制することを可能にする。これにより、連結高分子量化反応に寄与する脂肪族ジオール化合物の割合を更に高め、実質添加量を少なくして経済性を高めることができる。
本発明の脂肪族ジオール化合物として使用可能なものの具体例としては、以下に示す構造の化合物が挙げられる。
(i)1級ジオール:2−ヒドロキシエトキシ基含有化合物
本発明の脂肪族ジオール化合物として好ましくは、「HO-(CH2)2-O-Y-O-(CH2)2-OH」で表される2−ヒドロキシエトキシ基含有化合物が挙げられる。ここで、Yとしては、以下に示す構造を有する有機基(A)、有機基(B)、二価のフェニレン基もしくはナフチレン基から選択される有機基(C)、又は下記構造式から選択されるシクロアルキレン基(D)が挙げられる。
Figure 0006160488
ここで、Xは単結合又は下記構造の基を表す。R及びRは各々独立して炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基又はシクロヘキシル基を表し、それらはフッ素原子を含んでも良い。R及びRは好ましくは水素原子又はメチル基である。p及びqは各々独立して0〜4(好ましくは0〜3)の整数を表す。
Figure 0006160488
上記構造中、Ra及びRbは各々独立して、水素原子、炭素数1〜30,好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、もしくは炭素数6〜12のシクロアルキル基を表すか、又は相互に結合して環を形成してもよい。環としては、芳香環、脂環、複素環(O及び/又はSを含む)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。Ra、Rbがアルキル基又は相互に環を形成している場合、それらはフッ素原子を含んでも良い。Rc及びRdは各々独立して炭素数1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4のアルキル基(特に好ましくはメチル基又はエチル基)を表し、それらはフッ素原子を含んでも良い。eは1〜20、好ましくは1〜12の整数を表す。
より具体的な脂肪族ジオール化合物の例を以下に示す。下記式中、n及びmは各々独立して0〜4の整数を表す。R及びRは各々独立して水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基を表す。
<Yが有機基(A)の場合>
Figure 0006160488
<Yが有機基(B)の場合>
Yが有機基(B)の場合、Xは好ましくは−CRaRb−(Ra及びRbは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基である)を表す。具体的には以下に示す化合物が挙げられる。
Figure 0006160488
<Yが有機基(C)の場合>
好ましい化合物を以下に示す。
Figure 0006160488
上記2−ヒドロキシエトキシ基含有化合物のうちで、特に好ましいものを以下に示す。
Figure 0006160488
(ii)1級ジオール:ヒドロキシアルキル基含有化合物
本発明の脂肪族ジオール化合物として好ましくは、「HO-(CH2)-Z-(CH2)-OH」で表されるヒドロキシアルキル基含有化合物が挙げられる。ここで、rは1又は2である。すなわち、ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基である。
Zとしては、以下に示す有機基が挙げられる。
Figure 0006160488
好ましいヒドロキシアルキル基含有化合物を以下に示す。下記式中、n及びmは各々独立して0〜4の整数を表す。
Figure 0006160488
(iii)1級ジオール:カーボネートジオール系化合物
本発明の脂肪族ジオール化合物の好ましいものとして、下記式で表されるカーボネートジオール系化合物が挙げられる。ここで、Rとしては、以下に示す構造を有する有機基が挙げられる。下記式中、nは1〜20、好ましくは1〜2の整数である。mは3〜20、好ましくは3〜10の整数である。
Figure 0006160488
上記ポリカーボネートジオール系化合物として、好ましくは以下に示すジオール(シクロヘキサンジメタノール又はネオペンチルグリコールのダイマー)又はこれらを主成分とするものが挙げられる。
Figure 0006160488
本発明の脂肪族ジオール化合物としては、上記の(i)2−ヒドロキシエトキシ基含有化合物、(ii)ヒドロキシアルキル基含有化合物、及び(iii)カーボネートジオール系化合物から選択される1級ジオールを用いることが好ましい。
なお、本発明の脂肪族ジオール化合物は、上述した特定の1級ジオールに特に限定されるものではなく、上記1級ジオール以外の1級ジオール化合物、あるいは2級ジオール化合物のなかにも使用可能なものが存在する。使用可能なその他の1級ジオール化合物又は2級ジオール化合物の例を以下に示す。
なお、下記式においてR及びRは、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシル基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、好ましくは、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、シクロヘシル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシ基、又はエトキシ基である。
、R、R、Rは水素原子、または炭素数1〜10の1価のアルキル基である。R及びR10は、各々独立して炭素数1〜8、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基である。
Ra及びRbは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30のシクロアルキル基含有基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又はハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表し、Ra及びRbは相互に結合して環を形成していてもよい。
R’は炭素数1〜10,好ましくは1〜8のアルキレン基である。Re及びRfは各々独立して水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はフェニル基である。m’は4〜20、好ましくは4〜12の整数である。m”は1〜10、好ましくは1〜5の整数である。eは1〜10の整数である。
<その他の1級ジオール>
Figure 0006160488
Figure 0006160488
<2級ジオール>
Figure 0006160488
上記脂肪族ジオール化合物は、単独または二種以上の組み合わせにて用いても構わない。なお、実際に用いる脂肪族ジオール化合物は、反応条件等により使用可能な化合物種が異なる場合があり、採用する反応条件等によって適宜選択することができる。
脂肪族ジオール化合物の使用量としては、芳香族ポリカーボネートプレポリマーの全末端基量1モルに対して0.01〜1.0モルであるのが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0モルであり、さらに好ましくは0.1〜0.5モル、特に好ましくは0.2〜0.4モルである。
すなわち、本発明の連続製造方法においては、前記連結高分子量化反応器に連続供給する脂肪族ジオール化合物の単位時間当たりの供給量が、該連結高分子量化反応器に連続供給する芳香族ポリカーボネートプレポリマー単位時間当たりの供給量の全末端基量に対して0.01〜1.0倍(モル比)であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0倍モルであり、さらに好ましくは0.1〜0.5倍モル、特に好ましくは0.2〜0.4倍モルである。
ここで、脂肪族ジオール化合物の単位時間当たりの供給量をM1(mol)、芳香族ポリカーボネートプレポリマー単位時間当たりの供給量の全末端基量をM2(mol)とし、下記式で表されるM(=M2/M1)(M;脂肪族ジオール化合物1molに対する芳香族ポリカーボネートプレポリマーの末端基のmol数を表す)を考慮すると、好ましくはM=100〜1.0、より好ましくはM=10〜1.0、さらに好ましくはM=10〜2.0、特に好ましくはM=5.0〜2.5である。本発明の連続製造方法においては、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物との供給割合(モル比)がこの範囲内で、ある程度安定していることが好ましい。
[数3]
M=M2/M1
脂肪族ジオール化合物の使用量が上記範囲を超えて多いと、脂肪族ジオール化合物が共重合成分として芳香族ポリカーボネート樹脂の主鎖中へ挿入される挿入反応が発生し、共重合割合が上昇するため共重合の物性影響が大きくなる。これにより物性改良を行うことは可能であるが、芳香族ポリカーボネートの高分子量化としての効果としては好ましくない。またこの範囲以下の使用量では高分子量化の効果が少なく、好ましくない。
(2)脂肪族ジオール化合物の調整
脂肪族ジオール化合物を連結高分子量化反応器に供給(送液)する際には、予め連結剤溶融装置において脂肪族ジオール化合物を溶融し液状とすることが好ましい。このとき、脂肪族ジオール化合物の粘度を好ましくは0.1〜10000poise、より好ましくは1〜100poiseとするのが望ましい。脂肪族ジオール化合物の粘度をこの範囲内とすることにより、連結高分子量化反応器への供給を安定的かつ定量的に行うことができ、芳香族ポリカーボネートプレポリマーとの反応を均一且つ迅速に行わせることができる。
また、脂肪族ジオール化合物は、連結高分子量化反応器に供給する前にあらかじめ溶融状態で脱水を行うことが好ましい。脱水は、連結高分子量化反応に影響がない程度に脱水するため、好ましくは0.01torr(1.3Pa)以上300torr(40kPa)以下の減圧下、前記脂肪族ジオール化合物の融点+50℃の温度範囲で行われる。脱水の目安に特に制限はないが、好ましくは脱水後の脂肪族ジオール化合物中の水分含有量が3重量%以下、より好ましくは1重量%以下とすることが望ましい。
(3)工程(B)の装置
工程(B)においては、工程(A)の重縮合反応器(工程(A)で複数の反応器を用いる場合は、その最後の重縮合反応器)に直列に接続して連結高分子量化反応器が設けられる。工程(B)で用いられる連結高分子量化反応器としては、1又は2以上の反応器を用いることができるが、好ましくは1器(単一の反応器)である。
具体的には、図1の装置において、第4縦型攪拌反応器6Rの後段に直列に接続した第5横型攪拌反応器7Rが1器設けられ、第5横型攪拌反応器7Rには連結剤溶融装置2Rから脂肪族ジオール化合物(連結剤)が供給される。第5横型攪拌反応器7Rの温度・圧力等の具体的条件は、上述したとおり以下のように設定される。
(予熱器6H)270℃〜340℃
(第5横型攪拌反応器7R)
内温:260℃〜340℃、圧力:10torr以下(1333Pa以下)、加熱媒体の温度260〜340℃
連結高分子量化反応器への脂肪族ジオール化合物の供給は、定量性良く行うため、定量ポンプを用いることが好ましい。定量ポンプとしては、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、ギヤポンプ、ベーンポンプ、ネジポンプなどが挙げられる。
さらに、連結高分子量化反応器内は減圧されていることから、減圧系内に連結剤をフィード(供給)するために定量ポンプから連結高分子量化反応器へ供給(送液)する配管において、連結剤供給装置より連結高分子量化反応器に近い位置、好ましくは連結高分子量化反応器の50cm以内に背圧弁を設けることが好ましい。例えば図1の装置では、前記定量ポンプ2Pから第5横型攪拌反応器7Rに供給する配管において、連結剤供給装置より反応器に近い位置に背圧弁が設けられている。
また、脂肪族ジオール化合物の酸化劣化を防止するため、連結高分子量化反応器内の酸素濃度を0.0001〜10vol%とするのが好ましく、より好ましくは0.0001〜5vol%とする。この酸素濃度条件を得るため、酸素濃度10vol%以下のガスで反応器内のガスを置換し、更に脱揮することが望ましい。
前記工程(B)に用いられる連結高分子量化反応器としては、横型撹拌反応器が用いられる。好ましくは、撹拌軸を複数有する多軸の横型攪拌反応器であって、前記撹拌軸の少なくとも一つが水平回転軸と該水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼とを有し、かつ水平回転軸の長さをLとし攪拌翼の回転直径をDとしたときのL/Dが1〜15、好ましくは2〜10であるものが用いられる。
また、押出機に代表される連続スクリュ型の撹拌軸を複数有する多軸の横型混練反応器であって、かつ攪拌軸の長さをLとしスクリュ直径をDとしたときのL/Dが20〜100、より好ましくは40〜80であるものを用いることもできる。
これらの横型攪拌反応器は、いずれも芳香族ポリカーボネートプレポリマーの供給口と反対側に生成する高分子量ポリカーボネート樹脂の抜き出し口を有することが好ましい。
これにより、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物を均一に反応させることができる。
連結高分子量化反応器には、従来公知の攪拌翼などの攪拌装置を設けることができる。攪拌翼の具体例としては、2軸タイプの攪拌翼、パドル翼、格子翼、メガネ翼、スクリュを装備した押出機型等が挙げられる。
また、前記連結高分子量化反応器には、抜き出し機を設けることができる。前記連結高分子量化反応器で得られる高分子量ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネート共重合体)は流動性が280℃において2500poise程度(あるいはJIS K 6719に基づくメルトフローレートで2.5g/10分程度)の高粘度樹脂であり、連結高分子量化反応器から抜き出すことが困難な場合があるため抜き出し装置を使用することが好ましい。抜き出し機の具体例としてはギヤポンプ、スクリュ引き抜き機などが挙げられ、好ましくはスクリュ引き抜き機が用いられる。
例えば、図1の第5横型攪拌反応器7Rには、2軸タイプの攪拌翼7Y、スクリュ引き抜き機7Pが設けられている。
またそれぞれの反応器には反応により生成する副生物等を排出するための留出管、コンデンサー、ドライアイストラップ等の凝縮器及びリカバリータンク等の受器、所定の減圧状態に保つための減圧装置等を設けることができる。
例えば、図1の第5横型攪拌反応器7Rには、留出管7Fが取り付けられている。留出管7Fは凝縮器7Cに接続し、また反応器は、減圧装置7Vにより、所定の減圧状態に保たれる。
また、前記横型攪拌反応器においては、芳香族ポリカーボネートプレポリマーの供給口と反対側に、得られるポリカーボネート樹脂の抜き出し機を有することが好ましい。抜き出し機としては、ギヤポンプ又はスクリュ引き抜き機が好ましく、特に好ましくはスクリュ引き抜き機が用いられる。
さらに、前記回転軸の軸シールとしては、メカニカルシールを含むシール機構を採用することが好ましい。
副生する芳香族ヒドロキシ化合物を効率良く除去する為に、前記工程(B)に用いられる連結高分子量化反応器の表面更新性は特に制限されないが、下記数式(II)で表される表面更新効果が好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.01〜50、特に好ましくは0.01〜10の範囲であることが望ましい。
[数4]
表面更新効果=A×Re0.5×n÷V ・・・(II)
A:表面積(m
n:回転数/s
V:液容量(m
Re(レイノルズ数):Re=ρ×n×r÷μ
ρ:液密度(kg/m
r:撹拌機の径(m)
μ:液粘度(kg/m・s)
本発明の製造方法で用いられる反応器の材質は、その原料モノマーまたは反応混合物に接する部分(以下、「接液部」と称する)の全表面積の少なくとも90%を占める領域において、(a)鉄の含有率が1重量%以下の金属、(b)Mo、Ti、Zr、及びNbからなる群から選択される金属を1重量%以上含むステンレス綱、及び(c)ガラスからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記材質がガラスである場合、更に好ましくは50℃の純水へ120時間浸漬した際のアルカリ金属の溶出量が15ppb/cm以下のガラスである。
本発明では、本発明の製造方法で用いられる全反応器の接液部が上記材質からなることが最も好ましいが、必ずしも全反応器の接液部が上記材質からなる必要はなく、少なくとも前記工程(B)で用いられる連結高分子量化反応器の接液部が上記材質からなることが好ましい。
また、本発明の製造方法で用いられる反応器は、その接液部の全表面積の少なくとも90%を占める領域において、電解研磨されていることが好ましい。
本発明の製造方法で用いられる全反応器の接液部が電解研磨されていることが最も好ましいが、必ずしも全反応器の接液部が電解研磨されている必要はなく、少なくとも前記工程(B)で用いられる連結高分子量化反応器の接液部が電解研磨されていることが好ましい。
5.連続製造方法
本発明の連続製造方法の一例を図1に基づいて、より具体的に説明する。
工程(A)の重縮合反応器(工程(A)で複数の反応器を用いる場合は、そのうちの最後の反応器)で得られた芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、工程(B)の連結高分子量化反応器へ供給される。一方、連結剤溶融装置で溶融され、減圧下で脱水処理された連結剤(脂肪族ジオール化合物)は、連結剤供給装置から連結高分子量化反応器へ直接供給(送液)される。
例えば、図1に示す製造装置において、第4縦型攪拌反応器6Rより排出されたプレポリマーがギヤポンプ6Pにより、予熱器6Hを通り、第5横型攪拌反応器7Rに順次連続供給される。一方、連結剤は供給口2Mから、連結剤溶融槽2Rに連続的に供給され、次いで溶融した連結剤は減圧装置2Vにより減圧下で脱水された後、連結剤定量供給ポンプ2Pを経由して第5横型攪拌反応器7Rに連続的に供給され、第5横型攪拌反応器7R内で連結高分子量化反応を行なうに適した温度・圧力条件下で、連結剤とプレポリマーの連結高分子量化反応が進行する。副生するフェノールおよび一部未反応モノマーは、ベント用導管7Fを介して系外に除去される。
前記脂肪族ジオール化合物は、減圧度10torr(1333Pa以下)以下の高真空下で、直接連結高分子量化反応器へ供給することが必要である。好ましくは、減圧度2.0torr以下(267Pa以下)、より好ましくは0.01〜1torr(1.3〜133Pa以下)である。脂肪族ジオール化合物を連結高分子量化反応器へ供給する際の減圧度が不十分であると、副生物(フェノール)によるプレポリマー主鎖の開裂反応が進行してしまい、高分子量化するためには反応混合物の滞留時間を長くせざるを得なくなる。
脂肪族ジオール化合物の連結高分子量化反応器への供給の際には、連結高分子量化反応器内に添加管を突き出し、樹脂(反応混合物)中に注入あるいは樹脂(反応混合物)の液面の上から滴下あるいはスプレー(噴霧散布)することが好ましい。これにより、脂肪族ジオール化合物を均一に連結高分子量化反応器へ供給することができる。なお、前記連結高分子量化反応器としては、脂肪族ジオール化合物を供給するための添加管を複数有していることが、均一な定量供給の上で好ましい。
脂肪族ジオール化合物のフィードライン(送液配管)、バルブ及びポンプなどの機器は、上述したように脂肪族ジオール化合物の固化を防止するため、内側が脂肪族ジオール化合物、外側が熱媒の流れる二重管及びジャケット式、更に好ましくはフルジャケット式のバルブ及びポンプなどの機器を用いることができる。
工程(B)において、連結高分子量化反応器中での反応混合物の滞留時間(脂肪族ジオール化合物を供給し芳香族ポリカーボネートプレポリマーと反応させてから、得られる高分子量ポリカーボネート樹脂が抜き出されるまでの時間)は、使用する反応装置(反応器)に依存する傾向があるため一概には規定できないが、好ましくは60分以下であり、より好ましくは1〜60分、さらに好ましくは5〜60分、最も好ましくは10〜45分である。
本発明の方法によれば、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応器へ連続供給して連結高分子量化反応させることにより高分子量ポリカーボネート樹脂を連続的に製造する方法において、脂肪族ジオール化合物を減圧度10torr以下(1333Pa以下)という極めて高真空条件下で直接連結高分子量化反応器へ供給することにより、連結高分子量化反応器内での反応混合物の滞留時間を短くすることが可能となる。反応混合物の滞留時間が長すぎると、着色が起こり色相が低下する、分岐構造が増大しN値が高くなったりゲル化が進行したりする、異種構造が増加する、といった不具合が生じ、得られる高分子量ポリカーボネート樹脂の品質低下を招く場合がある。
なお、反応器内での反応混合物の好適な滞留時間は、反応器に依存する傾向があり、特に反応器の表面更新効果に依存する傾向がある。本発明の方法では、特に上述した表面更新効果が10以下の反応器において、滞留時間を60分以下、より好ましくは1〜60分、さらに好ましくは5〜60分、最も好ましくは10〜45分とすることができる。よって、最も好ましくは、表面更新効果が10以下の反応器を用いて本発明の方法を実施することが望ましい。
本発明の方法のより具体的な好適条件としては、反応温度280℃のときは減圧度1torr以下且つ滞留時間10〜60分、反応温度300℃のときは減圧度2.5torr以下且つ滞留時間5〜30分、反応温度320℃のときは減圧度3.0torr以下且つ滞留時間1〜20分である。
滞留時間は、芳香族ポリカーボネートプレポリマー及び脂肪族ジオール化合物の供給量及び得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の抜き出し量を調整することによって制御することができる。
工程(B)における反応条件は、高温、高真空で、適当な重合装置及び撹拌翼の選定により高い表面更新性が確保できるように設定される。
工程(B)における連結高分子量化反応器内の反応温度は、通常270〜340℃、好ましくは280〜320℃の範囲であり、反応圧力は10torr以下(1333Pa以下)、好ましくは2.0torr以下(267Pa以下)、より好ましくは0.01〜1.5torr(1.3〜200Pa)、さらに好ましくは0.01〜1.0torr(1.3〜133Pa)である。このため、撹拌軸のシールにはメカニカルシールを含むシール機構を用いるのが好ましい。
工程(B)においては、連結高分子量化反応の反応混合物の平均滞留時間が好ましくは60分以下、より好ましくは5〜60分、さらに好ましくは10〜45分程度になるように、液面レベルを制御する。また反応器においては、副生するフェノールを留出管から留出させる。
なお、図1に示す製造装置においては、第1縦型攪拌反応器3Rと第2縦型攪拌反応器4Rとにそれぞれ取り付けられた凝縮器3C,4Cから、フェノール等の副生物が連続的に液化回収される。3C、4Cは、それぞれ2つ以上の凝縮器に分け、反応器に一番近い凝縮器で凝縮した留出物の一部または全部を、第1縦型攪拌反応器3R、第2縦型攪拌反応器4Rに還流させると、原料モル比の制御が容易になるため好ましい。また、第3縦型攪拌反応器5R、第4縦型攪拌反応器6Rと第5横型攪拌反応器7Rとに、それぞれ取り付けられた凝縮器5C,6C,7Cの下流側にはコールドトラップ(図示せず)が設けられ、副生物が連続的に固化回収される。
このように、図1に示す連続製造装置においては、5器の反応器の内温と圧力が所定の数値に達した後に、原料混合溶融液と触媒とが予熱器を介して連続供給され、エステル交換反応に基づく溶融重縮合が開始される。このため、各反応器における重合反応液の平均滞留時間は、溶融重縮合の開始直後から定常運転時と同等となる。さらに、エステル交換反応速度の速い脂肪族ジオール化合物で、低分子量のプレポリマー同士を連結し、短時間で高分子量化するため、必要以上な熱履歴を受けることがなく、分岐化が起きにくい。また色調も良好となる。
本発明の方法の特徴の一つとして、工程(B)における脂肪族ジオール化合物との反応の開始から短時間で高分子量化を達成することができる点が挙げられる。例えば、本発明の短い滞留時間において、該滞留時間1分当たりに重量平均分子量(Mw)を500以上、好ましくは600以上、より好ましくは700以上増加させることができる。
より具体的には、本発明の方法によれば、工程(B)で得られる高分子量ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mwhp)と、工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量(MwPP)と、前記連結高分子量化反応器内における反応混合物の滞留時間(分)とを下記数式(IV)で表したとき、k’(単位;Mw上昇量/分)が500以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは700以上、特に好ましくは800以上となる。
[数5]
k’ =(Mwhp−MwPP)/滞留時間(分) ・・・(IV)
本発明の方法によれば、上記数式(IV)における定数k’を500以上、好ましくは600以上、より好ましくは700以上とすることができる。すなわち、工程(B)における反応開始から短時間で分子量が増加して所定の高分子量を達成することができる。
本発明の連続製造方法で得られる高分子量ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30,000〜100,000、より好ましくは30,000〜80,000、特に好ましくは35,000〜75,000、最も好ましくは40,000〜65,000である。
高い分子量を持つポリカーボネート樹脂は、溶融張力が高くドローダウンを生じにくいのでブロー成形、押出成形等の用途に好適である。また、射出成形に用いた場合でも、糸引き等がなく成形性が良好である。さらに得られる成形品は機械的物性、耐熱性、耐有機溶剤性等の物性に優れている。
また、本発明の高分子量ポリカーボネート樹脂は、高分子量でありながら高い流動性をも併せ持ち、流動性の指標であるQ値(280℃、160kg荷重)が好ましくは0.02〜1.0ml/sec、より好ましくは0.03〜0.5ml/sである。一般に、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、Q=K・Pにより表示することができる。ここで、式中のQ値は溶融樹脂の流出量(ml/sec)、Kは回帰式の切片で独立変数(ポリカーボネート樹脂の分子量や構造に由来する)、Pは高化式フローテスターを用い280℃で測定した圧力(荷重:10〜160kgf)(kg/cm)、Nは構造粘性指数を表す。Q値が高く流動性が高いと、精密部品や薄物の射出成形に対する成形性が良好となる。
また、本発明の高分子量ポリカーボネート樹脂においては、下記数式(I)で表されるN値(構造粘性指数)が、好ましくは1.30以下、より好ましくは1.28以下、さらに好ましくは1.25以下、特に好ましくは1.23以下である。
[数6]
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160―log10) ・・・(I)
上記数式(I)中、Q160値は280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)((株)島津製作所製:CFT-500D型を用いて測定(以下同様)し、ストローク=7.0〜10.0mmより算出)を表し、Q10値は280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)(ストローク=7.0〜10.0mmより算出)を表す。(なお、ノズル径1mm×ノズル長10mm)
構造粘性指数「N値」は、芳香族ポリカーボネート樹脂の分岐化度の指標とされる。本発明の高分子量ポリカーボネート樹脂におけるN値は低く、分岐構造の含有割合が少なく直鎖構造の割合が高い。ポリカーボネート樹脂は一般に、同じMwに於いては分岐構造の割合を多くすると流動性が高くなる(Q値が高くなる)傾向にあるが、本発明の連続製造方法で得られる高分子量ポリカーボネート樹脂は、N値を低く保ったまま高い流動性(高いQ値)を達成している。
本発明によれば、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応器へ連続供給して連結高分子量化反応させることにより高分子量ポリカーボネート樹脂を連続的に製造する方法において、脂肪族ジオール化合物を減圧度10torr以下(1333Pa以下)という極めて高真空条件下で連結高分子量化反応器へ供給することにより、連結高分子量化反応器内での反応混合物の滞留時間を短くすることが可能となり、効率よく高分子量化が達成され、N値が低く、色調が良好で、且つ異種構造の少ない高分子量のポリカーボネート樹脂を得ることができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。なお、実施例中の測定値は、以下の方法あるいは装置を用いて測定した。
1)ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw):GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒として、既知の分子量(分子量分布=1)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。測定した標準ポリスチレンから各ピークの溶出時間と分子量値をプロットし、3次式による近似を行い、較正曲線とした。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下の計算式より求めた。
[数7]
Mw=ΣP÷ΣP
Mn=ΣP÷ΣP
ここで、Pは「RI検出器の信号の強度」を表し、Pは「RI検出器の信号の強度×分子量」を表し、Pは「RI検出器の信号の強度÷分子量」を表す。また分子量とは、較正曲線の同溶出時間でのポリスチレン分子量値を表す。
[測定条件]
装置;東ソー株式会社製、HLC−8320GPC
カラム;ガードカラム:TSKguardcolumn SuperMPHZ-M×1本
分析カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ-M×3本
溶媒;HPLCグレードクロロホルム
注入量;10μL
試料濃度;0.2w/v%HPLCグレードクロロホルム溶液
溶媒流速;0.35ml/min
測定温度;40℃
検出器;RI
2)ポリマーの全末端基量(モル数):樹脂サンプル0.25gを、5mlの重水素置換クロロホルムに溶解し、23℃で核磁気共鳴分析装置H−NMR(日本電子社製、商品名「LA−500」)を用いて末端基を測定し、ポリマー1ton当たりのモル数で表わした。
3)末端水酸基濃度(ppm):塩化メチレン溶液中でポリマーと四塩化チタンとから形成される複合体のUV/可視分光分析(546nm)によって測定した。または、H−NMRの解析結果から末端水酸基を観測することによって測定した。
4)末端フェニル基濃度(末端Ph濃度;モル%):H−NMRの解析結果から、下記数式により求めた。
Figure 0006160488
5)樹脂色相(YI値):樹脂サンプル6gを60mlの塩化メチレンに溶解し、光路長5cmのセルにて、分光式色差計(日本電色工業社製、商品名「SE−2000」)を用いてYI値を測定した。
6)N値:高化式フローテスターCFT-500D(島津製作所(株)製)を用いて、130℃で5時間乾燥した芳香族ポリカーボネート(試料)について、280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ160値とし、同様に280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ10値として、これらを用いて下式(I)により求めた。
[数8]
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160―log10) ・・・(I)
[実施例1]
図1に示す主原料調整槽1器、連結剤調整槽2器、縦型攪拌反応器4器及び横型攪拌反応器1器を有する連続製造装置により、以下の条件でポリカーボネート樹脂を製造した。
先ず、各反応器及び各予熱器を、予め表1に示す反応条件に応じた内温・圧力に設定した。
窒素ガス雰囲気下、主原料調整槽1Rにおいて原料モル比(ジフェニルカーボネート/ビスフェノールA(BPA))が1.12となるように、ジフェニルカーボネート及びBPAを随時混合調整した溶融混合物を91kg/hrの流量で、第1縦型攪拌重合槽3R(反応条件:100torr(13kPa)、180℃、攪拌速度160rpm、容量130L)に連続的に供給し、第1縦型攪拌重合槽3Rでの平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。この時、触媒として0.2w/v%の炭酸セシウム(CsCO)水溶液をBPAの1モルに対し、0.5μmolの割合(15.8ml/hr)で、1Catより添加した。
第1縦型攪拌反応器3Rの槽底から排出された重合反応液は、引き続き、第2縦型攪拌反応器4R、第3縦型攪拌反応器5R、第4縦型攪拌反応器6R、第5横型攪拌反応器7Rに連続供給された。
第5横型攪拌反応器7Rには、第4縦型攪拌反応器6Rからプレポリマー(以下、「PP」という場合がある)が流速50kg/hrで供給されると同時に、脂肪族ジオール化合物(9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン;BPEF)が連結剤調整槽(2Ra、2Rb)から定量ポンプにて1597g/hr(PPの全末端量1モルに対し0.25モル)の流量で連続供給された。このときの第5横型攪拌反応器7Rの器内圧力は0.5torrであり、脂肪族ジオール化合物は、0.5torrの減圧条件下で連結高分子量化反応器に連続供給された。
なお、脂肪族ジオール化合物は連結剤調整槽において加熱溶融(190℃)及び脱水処理(水分含有量0.3重量%)を行ったものであり、第5横型攪拌反応器7Rに連続供給されるときの溶融粘度は40poiseであった。また、第5横型攪拌反応器7Rに連続供給されるときの手段は、飛沫導入によるものであった。
重合反応(高分子量化反応)の間、各縦型反応器の平均滞留時間が60分、第5横型攪拌反応器7Rの平均滞留時間が30分になるように液面レベルを制御し、また、重合反応と同時に副生するフェノールの留去を行った。第5横型攪拌反応器7Rの撹拌翼7Yは20rpmで撹拌した。
第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行う前の、第4縦型攪拌反応器6Rから得られた樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20200、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.06、末端フェニル濃度は7.1mol%、末端水酸基濃度は200ppmであった。
一方、第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行った後に得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は60000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は27000、分散度(Mw/Mn)は2.22であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は1327であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.21、YI値は1.0であった。また、連結高分子量化反応の際の第5横型攪拌反応器7Rでの表面更新効果は0.05〜0.8であった。
実施例1で使用した反応器は、以下の通りである。
第1〜第4縦型攪拌反応器
製造元;住友重機械工業株式会社
材質;SUS316L電解研磨
攪拌翼;第1〜第3縦型攪拌反応器はマックスブレンド翼
第4縦型攪拌反応器はダブルヘリカルリボン翼
第5横型攪拌反応器
製造元;株式会社日立プラントテクノロジー
材質;SUS316L電解研磨
攪拌軸の数及び種類;
L/D=780/236(L:槽長、水平回転軸の長さ78.0cm(接液部)、D:攪拌翼の回転直径23.6cm)、槽幅(M)=42.0cm、メガネ翼重合機96L
脂肪族ジオールの添加管の数;1本
脂肪族ジオールの送液ポンプ;富士テクノ工業株式会社製連続無脈動定量ポンプ
送液配管;二重管保温(メカニカルシール)
抜き出し機;スクリュ型引き抜き機
器内の酸素濃度の調整方法;窒素流通による置換
なお、反応混合物の滞留時間は、横型攪拌反応器の芳香族ポリカーボネートプレポリマーの供給口から、製造される高分子量ポリカーボネート樹脂の出口までの反応混合物の平均滞留時間である。
本実施例では、連続製造の開始前に、予め前記第5横型攪拌反応器へ25kgのプレポリマー(PP)を充填後、液面を一定に保持し、反応器内にPPが30分滞留する条件としてギヤポンプ6Pとスクリュ型引き抜き機7Pを50kg/hrの流速に設定し、トレーサにより滞留時間を実測、確認した。
[実施例2]
第5横型攪拌反応器7Rの撹拌翼7Yの撹拌数を10rpmに変えた以外は実施例1と同様に実験を行った。
第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行う前の、第4縦型攪拌反応器6Rから得られた樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20200、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.06、末端フェニル濃度は7.1mol%、末端水酸基濃度は200ppmであった。
一方、第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行った後に得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は57000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は25000、分散度(Mw/Mn)は2.28であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は1227であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.21、YI値は1.1であった。また、連結高分子量化反応の際の第5横型攪拌反応器7Rでの表面更新効果は0.01〜0.3であった。
[実施例3]
第5横型攪拌反応器7Rへの連結剤添加速度を変えて、該反応器内の平均滞留時間を15分に変えた以外は実施例1と同様に実験を行った。すなわち、連続製造の開始前に、予め前記第5横型攪拌反応器へ25kgのプレポリマー(PP)を充填後、液面を一定に保持し、反応器内にPPが15分滞留する条件としてギヤポンプ6Pとスクリュ型引き抜き機7Pを100kg/hrの流速に設定し、トレーサにより滞留時間を実測、確認した。
また、第4縦型攪拌反応器6RからPPを流速100kg/hrで供給すると同時に、脂肪族ジオール化合物(9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン;BPEF)を連結剤調整槽(2Ra、2Rb)から定量ポンプにて3194g/hr(PPの全末端量1モルに対し0.25モル)の流量で連続供給した。
第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行う前の、第4縦型攪拌反応器6Rから得られた樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20200、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.06、末端フェニル濃度は7.1mol%、末端水酸基濃度は200ppmであった。
一方、第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行った後に得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は45000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は20000、分散度(Mw/Mn)は2.29であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は1653であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.15、YI値は1.0であった。また、連結高分子量化反応の際の第5横型攪拌反応器7Rでの表面更新効果は0.05〜0.8であった。
[実施例4]
連結剤種を2,2’−ビス[(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(BPA-2EO)に変えた以外は実施例1と同様に実験を行った。
BPA-2EOの供給速度は1152g/hr(プレポリマーの全末端量1モルに対し0.25モル)であった。プレポリマーは50kg/hrの流速、第5横型攪拌反応器内のプレポリマー充填量は25kgであった。
第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行う前の、第4縦型攪拌反応器6Rから得られた樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20200、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.06、末端フェニル濃度は7.1mol%、末端水酸基濃度は200ppmであった。
一方、第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行った後に得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は61000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は27500、分散度(Mw/Mn)は2.22であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は1360であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.22、YI値は1.1であった。また、連結高分子量化反応の際の第5横型攪拌反応器7Rでの表面更新効果は0.05〜0.8であった。
[実施例5]
連結剤種をペンタシクロペンタデカンジメタノール(PCPDM)、添加量をPPの全末端量1モルに対し0.325モルに変えた以外は実施例1と同様に実験を行った。
PCPDMの供給速度は1243g/hr(PPの全末端量1モルに対し0.325モル)であった。
第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行う前の、第4縦型攪拌反応器6Rから得られた樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20200、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.06、末端フェニル濃度は7.1mol%、末端水酸基濃度は200ppmであった。
一方、第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行った後に得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は56000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は25000、分散度(Mw/Mn)は2.24であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は1193であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.21、YI値は1.2であった。また、連結高分子量化反応の際の第5横型攪拌反応器7Rでの表面更新効果は0.05〜0.8であった。
[比較例1]
予め芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオールとを、2軸スクリュ型押出装置(日本製鋼所製;商品名「TEX54」)を用いて常圧で10分間混合させたのち、当該混合物を第5横型攪拌反応器7Rへ供給する他は、実施例1と同様に行った。すなわち、図1に示す製造装置の代わりに図2に示す製造装置を用いてポリカーボネート樹脂を製造した。得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は23500、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.40であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は110であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.33、YI値は2.5であった。
[比較例2]
予め芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオールとを、2軸スクリュ型押出装置(日本製鋼所製;商品名「TEX54」)を用いて常圧で10分間混合させたのち、当該混合物を第5横型攪拌反応器7Rへ供給する他は、実施例4と同様に行った。すなわち、図1に示す製造装置の代わりに図2に示す製造装置を用いてポリカーボネート樹脂を製造した。得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は29000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は12000、分散度(Mw/Mn)は2.42であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は293であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.32、YI値は2.6であった。
[比較例3]
予め芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオールとを、2軸スクリュ型押出装置(日本製鋼所製;商品名「TEX54」)を用いて常圧で10分間混合させたのち、当該混合物を第5横型攪拌反応器7Rへ供給する他は、実施例5と同様に行った。すなわち、図1に示す製造装置の代わりに図2に示す製造装置を用いてポリカーボネート樹脂を製造した。得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は22500、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9200、分散度(Mw/Mn)は2.45であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は77であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.31、YI値は3.6であった。
[比較例4]
第5横型攪拌反応器7Rの圧力を20torr(2666Pa)に変えた以外は実施例1と同様に実験を行った。すなわち、脂肪族ジオール化合物は、20torrの減圧条件下で連結高分子量化反応器に連続供給された。
第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行う前の、第4縦型攪拌反応器6Rから得られた樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20200、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.06、末端フェニル濃度は7.1mol%、末端水酸基濃度は200ppmであった。
一方、第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行った後に得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20300、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9000、分散度(Mw/Mn)は2.26であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は3であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.21、YI値は1.0であった。また、連結高分子量化反応の際の第5横型攪拌反応器7Rでの表面更新効果は0.05〜0.8であった。
上記実施例1〜5及び比較例1〜4の結果を表1に示す。なお、表1中、「連結剤添加量」は、芳香族ポリカーボネートプレポリマー(PP)の全末端量1モルに対するモル数である。
Figure 0006160488
[実施例6]
第5横型攪拌反応器7Rへの連結剤添加速度を変えて、該反応器内の平均滞留時間を20分に変えた以外は実施例1と同様に実験を行った。すなわち、連続製造の開始前に、予め前記第5横型攪拌反応器へ25kgのプレポリマー(PP)を充填後、液面を一定に保持し、反応器内にPPが20分滞留する条件としてギヤポンプ6Pとスクリュ型引き抜き機7Pを75kg/hrの流速に設定し、トレーサにより滞留時間を実測、確認した。
また、第4縦型攪拌反応器6RからPPを流速75kg/hrで供給すると同時に、脂肪族ジオール化合物(9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン;BPEF)を連結剤調整槽(2Ra、2Rb)から定量ポンプにて2396g/hr(PPの全末端量1モルに対し0.25モル)の流量で連続供給した。
第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行う前の、第4縦型攪拌反応器6Rから得られた樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20200、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は9800、分散度(Mw/Mn)は2.06、末端フェニル濃度は7.1mol%、末端水酸基濃度は200ppmであった。
一方、第5横型攪拌反応器7Rで連結高分子量化反応を行った後に得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は55000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は24000、分散度(Mw/Mn)は2.29であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は1740であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.20、YI値は1.1であった。また、連結高分子量化反応の際の第5横型攪拌反応器7Rでの表面更新効果は0.05〜0.8であった。
[比較例5]
予め芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオールとを、2軸スクリュ型押出装置を用いて常圧で10分間混合させたのち、当該混合物を第5横型攪拌反応器7Rへ供給し、平均滞留時間を60分に設定して反応を行った他は、実施例1と同様に行った。すなわち、図1に示す製造装置の代わりに図2に示す製造装置を用いてポリカーボネート樹脂を製造した。得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は44000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は18000、分散度(Mw/Mn)は2.44であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は397であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.40、YI値は4.0であった。
[比較例6]
予め芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオールとを、2軸スクリュ型押出装置を用いて常圧で10分間混合させたのち、当該混合物を第5横型攪拌反応器7Rへ供給し、平均滞留時間を90分に設定して反応を行った他は、実施例1と同様に行った。すなわち、図1に示す製造装置の代わりに図2に示す製造装置を用いてポリカーボネート樹脂を製造した。得られたポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は57000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は22000、分散度(Mw/Mn)は2.59であり、滞留時間1分当たりのMw上昇量は409であった。また、得られたポリカーボネート樹脂のN値は1.45、YI値は6.0であった。
実施例1,3,6及び比較例1,5,6の結果を表2及び図3〜5に示す。図3は滞留時間とMwとの関係を表すグラフであり、図4は滞留時間とN値の関係を表すグラフであり、図5は滞留時間とYI値との関係を表すグラフである。
Figure 0006160488
表2及び図3〜5のグラフから分かるように、本発明の方法を採用した場合、短い滞留時間で所望の高分子量に到達することができ、その結果、得られた高分子量ポリカーボネート樹脂のN値は低く、かつYI値が低く色相に優れていた。
一方、予め芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオールとを常圧で長時間十分に混合させてから該混合物を連結高分子量化反応器へ供給して連結高分子量化反応を行った比較例1,5,6では、実施例1,3,6と同じ短い滞留時間では所望の高分子量へ到達しなかった。そして所望の高分子量へ到達するのに長時間かかった結果、得られた高分子量ポリカーボネート樹脂のN値は高く、かつYI値が高く色相に劣ったものであった。
本発明の製造方法によれば、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物との連結高分子量化反応の速度が低下することなく迅速かつ均一に進行し、その結果、N値が低く、色相に優れた高分子量のポリカーボネート樹脂が得られる。

Claims (12)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重縮合反応器内で重縮合反応させて芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する工程(A)と、前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーと脂肪族ジオール化合物とを連結高分子量化反応器内で連結高分子量化反応させる工程(B)とを順次行うことによって、高分子量ポリカーボネート樹脂を連続して製造する方法において、前記工程(B)において、前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連結高分子量化反応器に連続供給するとともに、脂肪族ジオール化合物を連結高分子量化反応器に10torr以下の減圧条件下で連続供給すること、及び前記脂肪族ジオール化合物の常圧における沸点が240℃以上であることを特徴とする、高分子量ポリカーボネート樹脂の連続製造方法。
  2. 前記連結高分子量化反応器内における反応混合物の滞留時間が60分以下である、請求項1記載の連続製造方法。
  3. 前記脂肪族ジオール化合物が下記一般式(A)で表される化合物である、請求項1記載の連続製造方法。
    Figure 0006160488

    (一般式(A)中、Qは異種原子を含んでも良い炭素数3以上の炭化水素基を表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選択される基を表す。n及びmはそれぞれ独立して0〜10の整数を表す。ただし、Qが末端OH残基に結合する脂肪族炭化水素基を含まない場合、n及びmはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。また、R及びRの少なくとも一方と、R及びRの少なくとも一方は、各々水素原子及び脂肪族炭化水素基からなる群から選択される。)
  4. 前記脂肪族ジオール化合物が1級ジオール化合物である、請求項3記載の連続製造方法。
  5. 前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーの末端水酸基濃度が1,500ppm以下である、請求項1記載の連続製造方法。
  6. 前記高分子量ポリカーボネート樹脂の、下記数式(I)で表されるN値(構造粘性指数)が1.30以下である、請求項1記載の連続製造方法。
    [数1]
    N値=(log(Q160値)−log(Q10値))/(log160―log10) ・・・(I)
    (数式(I)中、Q160値は280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)を表し、Q10値は280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)を表す。)
  7. 前記高分子量ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)と、前記工程(A)で得られる芳香族ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量(Mw PP )と、前記連結高分子量化反応器内における反応混合物の滞留時間(分)とを下記数式(IV)で表したとき、k’(単位;Mw上昇量/分)が500以上であることを特徴とする、請求項1記載の連続製造方法。
    [数2]
    k’=(Mw−Mw PP )/滞留時間(分)・・・(IV)
  8. 前記連結高分子量化反応器が、撹拌軸を複数有する多軸の横型攪拌反応器であって、前記撹拌軸の少なくとも一つが水平回転軸と該水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼とを有し、かつ水平回転軸の長さをLとし攪拌翼の回転直径をDとしたときのL/Dが1〜15であり、前記芳香族ポリカーボネートプレポリマーの供給口と反対側に生成する高分子量ポリカーボネート樹脂の抜き出し口を有することを特徴とする、請求項1記載の連続製造方法。
  9. 前記連結高分子量化反応器が、連続スクリュ型の撹拌軸を複数有する多軸の横型混練反応器であって、かつ攪拌軸の長さをLとしスクリュ直径をDとしたときのL/Dが20〜100であり、前記芳香族ポリカーボネートプレポリマーの供給口と反対側に生成する高分子量ポリカーボネート樹脂の抜き出し口を有することを特徴とする、請求項1記載の連続製造方法。
  10. 前記連結高分子量化反応器へ連続供給するときの脂肪族ジオール化合物の粘度が0.1〜10000poiseであることを特徴とする、請求項1記載の連続製造方法。
  11. 前記連結高分子量化反応器に連続供給する脂肪族ジオール化合物が、水分含有量が3重量%以下となるようにあらかじめ脱水処理したものであることを特徴とする、請求項1記載の連続製造方法。
  12. 前記連結高分子量化反応器に連続供給する脂肪族ジオール化合物の単位時間当たりの供給量が、該連結高分子量化反応器に連続供給する芳香族ポリカーボネートプレポリマー単位時間当たりの供給量の全末端基量に対して0.01〜1.0倍(モル比)であることを特徴とする、請求項1記載の連続製造方法。
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