本発明の特定の化合物は、1つまたは複数のオピオイド受容体(μ、δ、κ、ORL−1)の薬力学的反応を、中心からまたは末梢からのいずれかにより、またはこれら両方から調節するのに有用である。薬力学的反応は、化合物が、1つまたは複数の受容体に作用するまたは拮抗することのいずれかに起因し得る。本発明の特定の化合物は、1つまたは複数のオピオイド受容体を阻害する(または拮抗する)一方、1つまたは複数の他の受容体も刺激し得る(または作用する)。アゴニスト活性を有する本発明の化合物は、完全または部分アゴニストのいずれかであってよい。
本発明の一態様は、合成中間体としての本発明の特定の化合物の使用に基づく。
一実施形態では、本発明の化合物は、式I:
(式中、
Cyは、縮合した、飽和または部分的に不飽和の、3〜8員の炭素環であり、
R
1は、水素、OH、ハロ、シアノ、カルボキシ、もしくは−C(=O)NH
2であるか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、もしくはアルキニルオキシ(これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは、1、2、または3つの、独立して選択されるR
5基で場合によって置換されている)であるか、または−O−PG(式中、PGはヒドロキシル保護基である)であり、
R
2は、
(a)水素もしくはカルボキサミドであるか、または
(b)アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、(ヘテロシクロ)アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アリールアルコキシ)カルボニル、または(ヘテロアリールアルコキシ)カルボニルであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは、1、2、または3つの、独立して選択されるR
5基で場合によって置換されており、
R
3は、水素、OH、もしくはハロであるか、またはアルコキシ、アルキルアミノ、もしくはジアルキルアミノ(これらのうちのいずれかは、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは、1、2、または3つの、独立して選択されるR
5基で場合によって置換されている)であり、
R
4aは水素であり、
R
4bはOHであるか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、もしくはアルキニルオキシであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、およびアミノカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されているか、あるいは、
R
4aおよびR
4bは一緒になって、=Oまたは=CHR
4cを形成し、
R
4cは、水素またはC
1〜4アルキルであり、
各R
5は、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、およびアルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される。)
で表される化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式II:
(式中、Cy、R
1〜R
3、R
4aおよびR
4bは式Iに対して定義された通りである)で表される化合物ならびに薬学的に許容されるその塩、および溶媒和物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式III:
(式中、Cy、R
1〜R
3、R
4aおよびR
4bは式Iに対して定義された通りである)で表される化合物ならびに薬学的に許容されるその塩、および溶媒和物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式IV:
(式中、Cy、R
1〜R
3、R
4aおよびR
4bは式Iに対して定義された通りである)で表される化合物ならびに薬学的に許容されるその塩、および溶媒和物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式V:
(式中、Cy、R
1〜R
3、R
4aおよびR
4bは、式Iに対して定義された通りである)で表される化合物ならびに薬学的に許容されるその塩、および溶媒和物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式VI:
(式中、Cy、R
1〜R
3、R
4aおよびR
4bは、式Iに対して定義された通りである)で表される化合物ならびに薬学的に許容されるその塩、および溶媒和物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式VII:
(式中、Cy、R
1〜R
3、R
4aおよびR
4bは、式Iに対して定義された通りである)で表される化合物ならびに薬学的に許容されるその塩、および溶媒和物である。
Cy基は、縮合した、飽和または部分的に不飽和の、3〜8員の単環式または二環式炭素環である。有用なCy基として、縮合したシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル環が挙げられる。
別の実施形態では、本発明の化合物は、Cyが、二重結合を場合によって有する、3、4、5、または6員の単環式炭素環である、式I〜VIIのうちのいずれかで表される化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、Cyが、
からなる群から選択される、式I〜VIIのうちのいずれかで表される化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、Cyが、
からなる群から選択される、式I〜VIIのうちのいずれかで表される化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式VIII、式IX、または式X:
は単結合または二重結合である)のうちのいずれかで表される化合物である。一実施形態では、
別の実施形態では、本発明の化合物は、Cyが、二重結合を場合によって有する8員の二環式炭素環である、式I〜VIIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式XI:
は、単結合または二重結合である)で表される化合物である。一実施形態では、
別の実施形態では、本発明の化合物は、R1がH、OH、ハロ、シアノ、カルボキシ、またはアミノカルボニル(すなわち、−C(=O)NH2)である、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。一実施形態では、R1はOHである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R1が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、またはアルキニルオキシであり、これらのうちのいずれかが、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルが、1、2、または3つの、独立して選択されるR5基で場合によって置換されている、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。別の実施形態では、R1は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニルオキシ、またはC2〜6アルキニルオキシであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、C6〜10アリール、5または6員のヘテロアリール、5または6員のヘテロシクロ、C3〜7シクロアルキル、およびC3〜7シクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは、1、2、または3つの、独立して選択されるR5基で場合によって置換されている。有用なR5基として、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜6アルコキシ、およびC1〜6アルコキシカルボニル、好ましくはヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルが挙げられる。別の実施形態では、有用なR5基として、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜6アルコキシ、およびC1〜6アルコキシカルボニル、好ましくはヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルが挙げられる。別の実施形態では、R1は、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニルオキシ、またはC2〜6アルキニルオキシであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されている。別の実施形態では、R1は、非置換のC1〜6アルコキシ、非置換のC2〜6アルケニルオキシ、または非置換のC2〜6アルキニルオキシである。別の実施形態では、R1は、非置換のメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソ−ブトキシ、またはsec−ブトキシであり、有利にはR1は非置換のメトキシである。別の実施形態では、R1は、非置換のエテノキシ、プロペノキシ、イソプロペノキシ、ブテノキシ、またはsec−ブテノキシである。別の実施形態では、R1は、非置換のエチノキシ、プロピノキシ、ブチノキシ、または2−ブチノキシである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R1が非置換のC1〜6アルコキシまたはOHであり、好ましくは非置換のC1〜4アルコキシまたはOHである、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R2が水素またはカルボキサミドである式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。本発明のこの態様では、好ましくは、R2は水素、−CONH2、−CON(H)C1〜4アルキル、−CON(C1〜4アルキル)2、または−CON(H)Phであり、より好ましくは、R2は水素である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R2が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、(ヘテロシクロ)アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アリールアルコキシ)カルボニル、または(ヘテロアリールアルコキシ)カルボニルであり、これらのうちのいずれかが、ヒドロキシ、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルが、1、2、または3つの、独立して選択されるR5基で場合によって置換されている、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。一実施形態では、R2は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、5もしくは6員のヘテロシクロ、C6〜10アリール、5もしくは6員のヘテロアリール、C3〜7シクロアルキル(C1〜4)アルキル、C3〜7シクロアルケニル(C1〜4)アルキル、5もしくは6員のヘテロシクロ(C1〜4)アルキル、アリール(C1〜4)アルキル、5もしくは6員のヘテロアリール(C1〜4)アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルコキシカルボニル、C6〜10アリール(C1〜4)アルコキシカルボニル、または5もしくは6員のヘテロアリール(C1〜4)アルコキシカルボニルであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、C6〜10アリール、5または6員のヘテロアリール、5または6員のヘテロシクロ、C3〜7シクロアルキル、およびC3〜7シクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは、1、2、または3つの、独立して選択されるR5基で場合によって置換されている。有用なR5基は、R1に関連して上に記載されているものである。別の実施形態では、R2は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、5もしくは6員のヘテロシクロ、C6〜10アリール、5もしくは6員のヘテロアリール、C3〜7(シクロアルキル)(C1〜4)アルキル、C3〜7(シクロアルケニル)(C1〜4)アルキル、5もしくは6員のヘテロシクロ(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール(C1〜4)アルキル、5もしくは6員のヘテロアリール(C1〜4)アルキル、C1〜4アルキルカルボニル、C1〜4アルコキシカルボニル、C6〜10アリール(C1〜4)アルコキシカルボニル、または5もしくは6員のヘテロアリール(C1〜4)アルコキシカルボニルであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、好ましくは、ヒドロキシ、メチル、エチル、ハロ、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシ、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニル、およびエトキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1または2つの置換基で場合によって置換されている。
別の実施形態では、R2はC3〜7(シクロアルキル)(C1〜4)アルキルまたはC3〜7(シクロアルケニル)(C1〜4)アルキル、特にC3〜7(シクロアルキル)(C1〜4)アルキル、例えば、シクロプロピル(C1〜4)アルキル、シクロブチル(C1〜4)アルキル、シクロペンチル(C1〜4)アルキル、またはシクロヘキシル(C1〜4)アルキルであり、これらは、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されている。別の実施形態では、R2は、C3〜7(シクロアルキル)(C1〜4)アルキルまたはC3〜7(シクロアルケニル)(C1〜4)アルキルであり、特にC3〜7(シクロアルキル)(C1〜4)アルキル、例えば、シクロプロピル(C1〜4)アルキル、シクロブチル(C1〜4)アルキル、シクロペンチル(C1〜4)アルキル、またはシクロヘキシル(C1〜4)アルキルなどであり、これらのうちのいずれかは、非置換であるか、またはヒドロキシ、メチル、エチル、ハロ、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシ、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニル、およびエトキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている。好ましくは、R2は非置換のシクロプロピル(C1〜4)アルキルである。別の実施形態では、R2は、非置換の(シクロプロピル)メチル、2−(シクロプロピル)エチルまたは3−(シクロプロピル)プロピルである。別の実施形態では、R2は非置換の(シクロプロピル)メチルである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、各R5が、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、およびアルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、各R5が、ヒドロキシ、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、およびアルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R3が水素である、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R3がOHまたはハロである、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。別の実施形態では、R3はOHである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R3が、アルコキシ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは、1、2、または3つの、独立して選択されるR5基で場合によって置換されている、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。別の実施形態では、R3は、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルアミノ、またはジ(C1〜6)アルキルアミノであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、C6〜10アリール、5または6員のヘテロアリール、5または6員のヘテロシクロ、C3〜7シクロアルキル、およびC3〜7シクロアルケニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは、1、2、または3つの、独立して選択されるR5基で場合によって置換されている。有用なR5基は、R1に関連して上に記載されているものである。別の実施形態では、R3は、非置換のC1〜6アルコキシであるか、またはヒドロキシ、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、もしくは3つの置換基で置換されているC1〜6アルコキシである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R4aおよびR4bが一緒になって=Oを形成する、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R4aが水素であり、R4bがOHである、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R4aが水素であり、R4bが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、またはアルキニルオキシであり、これらのうちのいずれかが、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、およびアミノカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されている、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。別の実施形態では、R4は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニルオキシ、またはC2〜6アルキニルオキシであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、およびアミノカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されている。別の実施形態では、R4は、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルケニルオキシであり、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、およびアミノカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されている。別の実施形態では、R4は非置換のC2〜4アルケニル、例えば、エテニル、プロペニル、またはブテニルなどである。別の実施形態では、R4は非置換のC2〜4アルケニルオキシ、例えば、エテニルオキシ、プロペニルオキシ、およびブテニルオキシなどである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R4aおよびR4bが一緒になって、=CHR4c(式中、R4cは水素またはC1〜4アルキルである)を形成する、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。一実施形態では、R4cは水素(R4aおよびR4bが一緒になって、=CH2を形成する)である。別の実施形態では、R4cはC1〜4アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R4aおよびR4bが一緒になって、=Oもしくは=CH2を形成するか、またはR4aが水素であり、R4bがOHもしくは−O−CH2−CH=CH2である、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、
R1が、OHまたは非置換のC1〜6アルコキシであり、
R2が、シクロプロピル(C1〜4)アルキル、シクロブチル(C1〜4)アルキル、シクロペンチル(C1〜4)アルキル、またはシクロヘキシル(C1〜4)アルキルであり、好ましくは、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されているシクロプロピルメチルであり、
R3が水素であり、
R4aが水素であり、R4bがOHもしくは−O−CH2−CH=CH2であるか、または
R4aおよびR4bが一緒になって、=Oもしくは=CH2を形成する、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R2が非置換のシクロプロピル(C1〜4)アルキルであり、好ましくは(シクロプロピル)メチルである、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R1がOHまたは非置換のC1〜6アルコキシであり、R2が、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、または3つの置換基で場合によって置換されているシクロプロピル(C1〜4)アルキル、シクロブチル(C1〜4)アルキル、シクロペンチル(C1〜4)アルキル、またはシクロヘキシル(C1〜4)アルキルであり、R3が水素またはOHである、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物、特に式IIIの化合物である。本実施形態では、R2は好ましくは非置換のシクロプロピル(C1〜4)アルキルである。
別の実施形態では、本発明の化合物は、
ならびに薬学的に許容されるその塩、および溶媒和物を含む。
別の実施形態では、本発明の化合物は、R1が−O−PGであり、PGがヒドロキシル保護基である、式I〜XIのうちのいずれか1つの化合物である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、式XII:
(式中、R
2、R
3、R
4a、R
4bおよびCyは式Iに対して定義された通りである)で表される式Iの化合物である。R
2、R
3、R
4a、R
4bおよびCyに対する適切なおよび好ましい定義は、式I〜XIのうちのいずれかに対して上に記載されているようなものなどである。
PGに対する適切なヒドロキシル保護基は周知であり、例えば、全体として本明細書中に参照により組み込まれている、Wuts, P. G. M. & Greene, T. W., Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 4rd Ed., pp. 16-430 (J. Wiley & Sons, 2007)で開示された任意の適切なヒドロキシル保護基を含む。「ヒドロキシル保護基」という用語は、本明細書で使用する場合、反応が分子の他の官能基または部分で行われている間、ヒドロキシ官能基を遮断する(すなわち、保護する)基を指す。当業者は、保護基の選択、結合、および切断に精通しており、多くの異なる保護基が当技術分野で公知であり、1つまたは別の保護基の適性は、計画された特定の合成スキームに依存することを理解されよう。適切なヒドロキシル保護基は一般的に、選択的に導入し、対象化合物の他の部分を妨げない穏やかな反応条件を使用して除去することができる。これらの保護基は、当技術分野で公知の方法を使用して、便利な段階で導入または除去することができる。このような基の化学的特性、これらの導入および除去のための方法は当技術分野で公知であり、例えば、上記のGreene, T.W. and Wuts, P.G.M.において見出すことができる。追加的なヒドロキシル保護基は、例えば、これら全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第5,952,495号、米国特許出願公開第2008/0312411号、WO2006/035195、およびWO98/02033に見出すことができる。適切なヒドロキシル保護基として、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、tert−ブチル、アリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、ベンジル(Bn)、およびp−メトキシベンジル基が挙げられる。
本開示を考慮すると、−O−PGの定義に含まれている特定の基は、R1に対する他の定義、例えば、メトキシ、tert−ブトキシなどと重複し、したがって、ヒドロキシル保護基として作用する基を含むR1基を有する本発明のある化合物は、本明細書中に記載されているように薬学的活性があってもよいことは当業者には明らかであろう。
一実施形態では、ヒドロキシル保護基PGは、アルキル、アリールアルキル、ヘテロシクロ、(ヘテロシクロ)アルキル、アシル、シリル、およびカーボネート(これらのいずれかは場合によって置換されている)からなる群から選択される。
別の実施形態では、ヒドロキシル保護基PGは、アルキル基、典型的には、場合によって置換されているC1〜6アルキル基、適切には、非置換のメチルまたはtert−ブチルである。
別の実施形態では、ヒドロキシル保護基PGはアリールアルキル基である。適切なアリールアルキル基として、例えば、非置換ベンジル基、置換ベンジル基、例えば、p−メトキシベンジル、およびナフチルメチルなどが挙げられる。
別の実施形態では、ヒドロキシル保護基PGはヘテロシクロ基、例えば、非置換テトラヒドロピラニルまたは場合によって置換されているテトラヒドロピラニルなどである。
別の実施形態では、ヒドロキシル保護基PGは(ヘテロシクロ)アルキル基である。適切な(ヘテロシクロ)アルキル基として、例えば、4−モルホリニル(C1〜4)アルキル基、例えば、2−(4−モルホリニル)エチルなどが挙げられる。
別の実施形態では、ヒドロキシル保護基PGはシリル基である。「シリル」という用語は、本明細書中で利用する場合以下の構造:
(式中、R
6、R
7、およびR
8は、アルキル、シクロアルキル、アリール、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、これらのいずれかは場合によって置換されている)を有する基を指す。一実施形態では、シリル基はトリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、またはトリ−イソプロピルシリルである。
別の実施形態では、ヒドロキシル保護基PGはアシル基である。「アシル」という用語は、本明細書中で利用する場合、以下の構造:
(式中、R
9は、アルキル、シクロアルキル、アリール、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールアルキルであり、これらのいずれかは場合によって置換されている)を指す。アシル基は、例えば、C
1〜4アルキルカルボニル(例えば、アセチルなど)、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイルなど)、レブリノイル、またはピバロイルであってよい。別の実施形態では、アシル基はベンゾイルである。
別の実施形態では、ヒドロキシル保護基はカーボネート基である。「カーボネート」という用語は本明細書中で利用する場合、以下の構造:
(式中、R
10はアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、(シクロアルキル)アルキル、またはアリールアルキルであり、これらのうちのいずれかは場合によって置換されている)を指す。典型的には、R
10は、C
1〜10アルキル(例えば、2,4−ジメチルペンタ−3−イル)、C
2〜6アルケニル(例えば、エテニルまたはプロパ−2−エニル、すなわち、アリル)、C
3〜12シクロアルキル(例えば、アダマンチル)、フェニル、またはベンジルである。本発明はまた、本発明の化合物を調製するための中間体の調製にも関連する。
したがって、本発明は、式XIIIの化合物およびこれらの薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、
(a)適切なモルフィナンケトン、例えば、式XVの化合物、
(式中、R
1およびR
2は上で定義された通りである)を、
酸の存在下で、ジオールHO−CH
2−(CH
2)
n−OH(式中、nは少なくとも1である)と反応させることによって、式XVIIの化合物
を得るステップと、
(b)式XVIIの化合物を、脱水剤と反応させることによって、式XVIIIの化合物
を得るステップと、
(c)式XVIIIの化合物を酸で処理することによって、式XIXの化合物
を得るステップと、
(d)式XIXの化合物を、適切なエノフィルまたはジエノフィル、例えば、ハロゲン化トリメチルスルホキソニウムまたはシクロヘキサジエンなどと反応させることによって、式XIIIの化合物
を得るステップとを含む方法を対象とする。上記反応に対して適切な例示的条件が実施例に記載されている。一実施形態では、nは1、2、または3である。ステップ(d)において、ハロゲン化トリメチルスルホキソニウム、例えば、ヨウ化トリメチルスルホキソニウムなどとの反応により、式XIVの化合物:
一実施形態では、R2は、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロ、ハロ(C1〜4)アルキル、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4)アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜4アルコキシ、およびC1〜4アルコキシカルボニルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2、もしくは3つの置換基で場合によって置換されているシクロプロピル(C1〜4)アルキル、シクロブチル(C1〜4)アルキル、シクロペンチル(C1〜4)アルキル、またはシクロヘキシル(C1〜4)アルキルである。別の実施形態では、R1はOHまたは非置換のC1〜4アルコキシである。
アリール、フェニルおよびヘテロアリール環に結合している任意選択の置換基は、さもなければアリール、フェニルまたはヘテロアリール環上の任意の位置に存在していたはずの水素原子にそれぞれ取って代わる。
有用なハロまたはハロゲン基として、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
有用なアルキル基は、直鎖および分枝鎖C1〜10アルキル基から選択される。典型的なC1〜10アルキル基として、中でもメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、およびn−デシル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソ−ブチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルヘキシル、1,3−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルヘキシル、1,2−ジメチルヘプチル、1,3−ジメチルヘプチル、および3,3−ジメチルヘプチルが挙げられる。一実施形態では、有用なアルキル基は、直鎖C1〜6アルキル基および分枝鎖C3〜6アルキル基から選択される。典型的なC1〜6アルキル基として、中でも、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソ−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシルが挙げられる。一実施形態では、有用なアルキル基は、直鎖C2〜6アルキル基および分枝鎖C3〜6アルキル基から選択される。典型的なC2〜6アルキル基として、中でも、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソ−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシルが挙げられる。一実施形態では、有用なアルキル基は、直鎖C1〜4アルキル基および分枝鎖C3〜4アルキル基から選択される。典型的なC1〜4アルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、およびイソ−ブチルが挙げられる。
有用なアルケニル基は、直鎖および分枝鎖C2〜6アルケニル基、好ましくはC2〜4アルケニルから選択される。典型的なC2〜6アルケニル基として、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec−ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルが挙げられる。典型的なC2〜4アルケニル基として、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、およびsec−ブテニルが挙げられる。
有用なアルキニル基は、直鎖および分枝鎖C2〜6アルキニル基、好ましくはC2〜4アルキニルから選択される。典型的なC2〜6アルキニル基として、エチニル、プロピニル、ブチニル、2−ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニル基が挙げられる。典型的なC2〜4アルキニル基として、エチニル、プロピニル、ブチニル、および2−ブチニル基が挙げられる。
有用なハロアルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくはC1〜6アルキル基、好ましくは、1個もしくは複数のフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子で置換されている、上述されたC1〜4アルキル基のうちのいずれか(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、およびトリクロロメチル基)が挙げられる。
有用なヒドロキシアルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれか、より好ましくは1つもしくは複数のヒドロキシ基で置換されている、上述されたC1〜4アルキル基のうちのいずれか、例えば、モノヒドロキシアルキルおよびジヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、およびヒドロキシヘキシル基、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロパ−2−イル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、および1,3−ジヒドロキシプロパ−2−イル)などが挙げられる。一実施形態では、モノヒドロキシアルキルはモノヒドロキシ(C1〜4)アルキルである。一実施形態では、ジヒドロキシアルキルはジヒドロキシ(C1〜4)アルキルである。
有用なシクロアルキル基は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子(すなわち、C3〜C12シクロアルキル)または指定された数の炭素を有する1、2、または3つの環を含有する飽和環式炭化水素基から選択される。一実施形態では、シクロアルキルは1つまたは2つの環を有する。別の実施形態では、シクロアルキルはC3〜C8シクロアルキルである。別の実施形態では、シクロアルキルはC3〜7シクロアルキルである。別の実施形態では、シクロアルキルはC3〜6シクロアルキルである。例示的シクロアルキル基として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、およびアダマンチルが挙げられる。
有用なシクロアルケニル基は、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子(すなわち、C4〜C12シクロアルケニル)または指定された数の炭素を有する1、2、または3つの環を含有する部分的に不飽和の(すなわち、1つまたは2つの二重結合を含有する)環式炭化水素基から選択される。一実施形態では、シクロアルケニルは1つまたは2つの環を有する。別の実施形態では、シクロアルケニルはC3〜C8シクロアルケニルである。別の実施形態では、シクロアルケニルはC3〜C7シクロアルケニルである。別の実施形態では、シクロアルケニルはC3〜C6シクロアルケニルである。一実施形態では、シクロアルケニル基は1つの二重結合を含有する。1つの二重結合を含有する例示的シクロアルケニル基として、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノネニル、およびシクロデセニルが挙げられる。別の実施形態では、シクロアルケニル基は2つの二重結合を含有する。好ましくは、2つの二重結合を含有するシクロアルケニル基は、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を有する(すなわち、C5〜C12シクロアルカジエニル)。2つの二重結合を有する例示的シクロアルケニル基として、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、およびシクロデカジエニルが挙げられる。
有用なアルコキシ基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちの1つで、好ましくはC1〜6アルキル基のうちの1つで、およびより好ましくはC1〜4アルキル基のうちの1つで、置換されている酸素(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシおよびデシルオキシ)が挙げられる。
有用なアルケニルオキシ基として、C2〜6アルケニル基のうちの1つ、好ましくは上述されたC2〜4アルケニル基で置換されている酸素(例えば、エテニルオキシ、プロペニルオキシ、イソプロペニルオキシ、ブテニルオキシ、sec−ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、およびヘキセニルオキシ)が挙げられる。
有用なアルキニルオキシ基として、C2〜6アルキニル基のうちの1つ、好ましくは上述されたC2〜4アルキニル基で置換されている酸素(例えば、エチニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ、2−ブチニルオキシ、ペンチニルオキシ、およびヘキシニルオキシ)が挙げられる。
有用なアルコキシアルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは上述されたアルコキシ基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれか(例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、プロポキシメチル、イソ−プロポキシメチル、2−プロポキシエチル、3−プロポキシプロピル、ブトキシメチル、tert−ブトキシメチル、イソブトキシメチル、sec−ブトキシメチル、およびペンチルオキシメチル)が挙げられる。
有用なハロアルコキシ基として、C1〜10ハロアルキル基のうちの1つ、好ましくは上述されたC1〜6ハロアルキル基のうちの1つで置換されている酸素(例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、および2,2,2−トリフルオロエトキシ)が挙げられる。
有用な(シクロアルキル)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは、上述されたシクロアルキル基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれか(例えば、(シクロプロピル)メチル、2−(シクロプロピル)エチル、(シクロプロピル)プロピル、(シクロブチル)メチル、(シクロペンチル)メチル、および(シクロヘキシル)メチル)が挙げられる。
有用な(シクロアルケニル)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは、上述されたシクロアルケニル基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれか(例えば、(シクロブテニル)メチル、2−(シクロブテニル)エチル、(シクロブテニル)プロピル、(シクロペンテニル)メチル、(シクロヘキセニル)メチル、および(シクロペンタジエニル)メチル)が挙げられる。
有用なアリール基はC6〜14アリール、特にC6〜10アリールである。典型的なC6〜14アリール基として、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニルエニル、およびフルオレニル基、より好ましくはフェニル、ナフチル、およびビフェニル基が挙げられる。
有用なアリールオキシ基として、上述されたアリール基のうちの1つで置換されている酸素(例えば、フェノキシ)が挙げられる。
有用なアリールアルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは上述されたアリール基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれか(例えば、ベンジルおよびフェネチル)が挙げられる。
有用なアリールアルケニル基として、上述されたアリール基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC2〜6アルケニル基のうちのいずれか(例えば、フェニルエテニル)が挙げられる。
有用なアリールアルキニル基として、上述されたアリール基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC2〜6アルキニル基のうちのいずれか(例えば、フェニルエチニル)が挙げられる。
有用なアラルキルオキシまたはアリールアルコキシ基として、上述のアリールアルキル基のうちの1つで置換されている酸素(例えば、ベンジルオキシ)が挙げられる。
有用な(アリールアルコキシ)カルボニル基として、上述のアリールアルコキシ基のうちのいずれかで置換されているカルボニル基(例えば、(ベンジルオキシ)カルボニル)が挙げられる。
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」という用語は、本明細書中で利用する場合、5から14個の環原子を有し、環式の配置において共有する6、10または14個のπ電子を有し、炭素原子と、1、2、もしくは3個の酸素、窒素もしくは硫黄ヘテロ原子、または4個の窒素原子とを含有する基を指す。一実施形態では、ヘテロアリール基は5〜10員のヘテロアリール基である。ヘテロアリール基の例として、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾニル、クロメニル、キサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、およびフェノキサジニルが挙げられる。典型的なヘテロアリール基として、チエニル(例えば、チエン−2−イルおよびチエン−3−イル)、フリル(例えば、2−フリルおよび3−フリル)、ピロリル(例えば、ピロール−1−イル、1H−ピロール−2−イルおよび1H−ピロール−3−イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、1H−イミダゾール−2−イルおよび1H−イミダゾール−4−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−1−イルおよびテトラゾール−5−イル)、ピラゾリル(例えば、1H−ピラゾール−3−イル、1H−ピラゾール−4−イル、および1H−ピラゾール−5−イル)、ピリジル(例えば、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、およびピリジン−4−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、およびピリミジン−5−イル)、チアゾリル(例えば、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、およびチアゾール−5−イル)、イソチアゾリル(例えば、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、およびイソチアゾール−5−イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、およびオキサゾール−5−イル)およびイソオキサゾリル(例えば、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、およびイソオキサゾール−5−イル)が挙げられる。5員のヘテロアリールは、4個までのヘテロ原子を含有することができる。6員のヘテロアリールは、3個までのヘテロ原子を含有することができる。各ヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される。
有用なヘテロアリールアルキル基として、上述のヘテロアリール基のうちのいずれかで置換されている上述のC1〜10アルキル基のうちのいずれか(例えば、(チエン−2−イル)メチル、2−フリルメチル、(ピロール−1−イル)メチル、および2−(1H−ピロール−2−イル)エチル)が挙げられる。
有用なヘテロアリールアルコキシ基として、上述のヘテロアリール基のうちの1つで置換されている酸素が挙げられる。
有用な(ヘテロアリールアルコキシ)カルボニル基として、上述のヘテロアリールアルコキシ基のうちのいずれかで置換されているカルボニル基が挙げられる。
「複素環式」および「ヘテロシクロ」という用語は、飽和または部分的に不飽和の3〜7員の単環系、または7〜10員の二環系を意味するように本明細書で使用されており、これらは、炭素原子と、O、N、およびSからなる群から独立して選択される1から4個のヘテロ原子とからなり、この窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合によって酸化されていてもよく、この窒素は、場合によって四級化されていてもよく、これらは、上記に定義された複素環式環のいずれかがベンゼン環に縮合し、得られた化合物が安定している場合、この複素環式環が炭素原子または窒素原子上で置換されていてもよい、任意の二環式の基を含む。一実施形態では、3から7員の単環式の複素環式環は、飽和した、または不飽和の非芳香族環のいずれかである。3員のヘテロシクロは1個までのヘテロ原子を含有することができ、4員のヘテロシクロは2個までのヘテロ原子を含有することができ、5員のヘテロシクロは4個までのヘテロ原子を含有することができ、6員のヘテロシクロは4個までのヘテロ原子を含有することができ、7員のヘテロシクロは5個までのヘテロ原子を含有することができる。各ヘテロ原子は、独立して、窒素(この窒素は四級化されていてもよい);酸素;および硫黄(スルホキシドおよびスルホンを含む)から選択される。3から7員のヘテロシクロは、窒素または炭素原子を介して結合することができる。7から10員の二環式ヘテロシクロは、窒素(四級化されていてもよい);酸素;および硫黄(スルホキシドおよびスルホンを含む)から独立して選択される1から4個のヘテロ原子を含有する。7から10員の二環式ヘテロシクロは、窒素または炭素原子を介して結合することができる。複素環式環の例として、これらに限定されないが、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリジノニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリジニル、2−オキソオキサゾリジニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、2,3−ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、およびベンゾジアゼピンが挙げられる。有用な(ヘテロシクロ)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは、上述されたヘテロ環式基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれか(例えば、(ピロリジン−2−イル)メチル、(ピロリジン−1−イル)メチル、(ピペリジン−1−イル)メチル、(モルホリン−4−イル)メチル、(2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル、2−(2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル、(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)メチル、(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)エチル、および(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)プロピル)が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「アミノ」または「アミノ基」という用語は−NH2を指す。
有用なアミノアルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは1つまたは複数のアミノ基で置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
有用なアルキルアミノおよびジアルキルアミノ基は、それぞれ−NHR11および−NR11R12であり、R11およびR12はC1〜10アルキル基からそれぞれ独立して選択される。
本明細書で使用する場合、「アミノカルボニル」という用語は、−C(=O)NH2を指す。
有用な(アミノカルボニル)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは、1種または複数のアミノカルボニル基で置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
有用なアルキルカルボニル基として、上述のC1〜10アルキル基のうちのいずれかで置換されているカルボニル基、すなわち、−C(=O)−が挙げられる。
有用なアルコキシカルボニル基として、上述のアルコキシ基のうちのいずれかで置換されているカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソ−プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、イソ−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、およびペンチルオキシカルボニル)が挙げられる。
有用な(アルコキシカルボニル)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは、上述されたアルコキシカルボニル基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
有用なアリールカルボニル基として、上述のアリール基のうちのいずれかで置換されているカルボニル基(例えば、ベンゾイル)が挙げられる。
有用なアルキルカルボニルオキシまたはアシルオキシ基として、上述のアルキルカルボニル基のうちの1つで置換されている酸素が挙げられる。
有用なアルキルカルボニルアミノまたはアシルアミノ基として、アミノ窒素に結合している上述のアルキルカルボニル基のうちのいずれか、例えば、メチルカルボニルアミノなどが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「カルボキサミド」という用語は、式−C(=O)NR13R14(式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、場合によって置換されているC1〜10アルキル、または場合によって置換されているアリールである)の基を指す。例示的カルボキサミド基として、−CONH2、−CON(H)CH3、−CON(CH3)2、および−CON(H)Phが挙げられる。
有用な(カルボキサミド)アルキル基は、上述されたC1〜10基のうちのいずれか、好ましくは、上述されたカルボキサミド基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかである。
有用なアルキルアミノカルボニルおよびジアルキルアミノカルボニル基は、それぞれ上述のカルボキサミド基のうちのいずれか(式中、R13はHであり、R14はC1〜10アルキルであるか、またはR13およびR14は、それぞれ独立してC1〜10アルキル基から選択される)である。
有用な(アルキルアミノカルボニル)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは、上述されたアルキルアミノカルボニル基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
有用な(ジアルキルアミノカルボニル)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは、上述されたジアルキルアミノカルボニル基のうちのいずれかで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「スルホンアミド」という用語は、式−SO2NR15R16(式中、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、場合によって置換されているC1〜10アルキル、または場合によって置換されているアリールである)の基を指す。例示的スルホンアミド基として、−SO2NH2、−SO2N(H)CH3、および−SO2N(H)Phが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「チオール」という用語は−SHを指す。
有用なメルカプトアルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは−SH基で置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
有用なアルキルチオ基として、上述されたC1〜10アルキル基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソ−プロピルチオ、ブチルチオ、tert−ブチルチオ、イソ−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオおよびデシルチオ)のうちの1つ、好ましくはC1〜6アルキル基のうちの1つで置換されている硫黄が挙げられる。
有用な(アルキルチオ)アルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは上述されたアルキルチオ基(例えば、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオブチル、エチルチオメチル、2−エチルチオエチル、3−エチルチオプロピル、4−エチルチオブチル、プロピルチオメチル、イソ−プロピルチオメチル、2−プロピルチオエチル、3−プロピルチオプロピル、ブチルチオメチル、tert−ブチルチオメチル、イソブチルチオメチル、sec−ブチルチオメチル、およびペンチルチオメチル)のうちのもう1つの基で置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「カルボキシ」という用語は、−COOHを指す。
有用なカルボキシアルキル基として、上述されたC1〜10アルキル基のうちのいずれか、好ましくは−COOHで置換されている、上述されたC1〜6アルキル基のうちのいずれかが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」という用語は、−OHを指す。
本明細書で使用する場合、「シアノ」という用語は、−CNを指す。
本明細書で使用する場合、「ニトロ」という用語は−NO2を指す。
本明細書で使用する場合、「ウレイド」という用語は、−NH−C(=O)−NH2を指す。
本明細書で使用する場合、「アジド」という用語は、−N3を指す。
本明細書で使用する場合、「3〜8員の炭素環」という用語は、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を示し、飽和または部分的に不飽和のいずれかである単環式または二環式炭素環系を指す。一実施形態では、この3〜8員の炭素環系は部分的に不飽和であり、1、2、または3つの二重結合を含有していてもよい。一実施形態では、この3〜8員の炭素環は飽和している。有用な3〜8員の炭素環系として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル(cyclohedadienyl)、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル(cyclohepadienyl)、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル(ocyl)、ビシクロ[3.2.1]オクテニルが挙げられ、これらのうちのいずれかは場合によって置換されていてもよい。
Cy基と関連して本明細書で使用する場合、3〜8員の炭素環は、モルフィナンスキャフォールドに縮合している、すなわち3〜8員の炭素環系の1つの結合は、以下に例示されているようにモルフィナンスキャフォールドの7,8−結合により共有されている。
「周囲温度」という用語は、本明細書で使用する場合、周辺温度を意味する。屋内の周囲温度は、室温と同一であり、約20℃から約25℃である。
「約」という用語は、測定された量に関連して本明細書で使用する場合、測定を行い、測定の目的および測定装置の正確さとの釣り合いがとれるレベルの注意を払う当業者により予期されるような、その測定された量の正常なばらつきを指す。典型的には、「約」という用語は、列挙された数の±10%を含む。したがって、「約10」は9から11を意味する。
本明細書で使用する場合、「場合によって置換されている」という用語は、非置換または置換であってよい基を指す。
場合によって置換されている基上の任意選択の置換基は、別途示されていない場合、上述されたハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、アリール、複素環、シクロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール(C1〜6)アルキル、アリール(C2〜6)アルケニル、アリール(C2〜6)アルキニル、シクロアルキル(C1〜6)アルキル、ヘテロシクロ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、カルボキシ(C1〜6)アルキル、アルコキシ(C1〜6)アルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシ、チオール、アルキルカルボニルオキシ、アリールオキシ、ar(C1〜6)アルキルオキシ、カルボキサミド、スルホンアミド、アジド、C1〜6アルコキシ、ハロ(C1〜6)アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、(=O)、およびメルカプト(C1〜6)アルキル基からなる群から独立して選択される1つまたは複数の基、典型的には、1、2、または3つの基を含む。好ましい任意選択の置換基として、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ(C1〜6)アルコキシ、およびアミノが挙げられる。
本発明の化合物は、式I〜XIVの開示化合物のすべての塩を包含する。本発明は、開示化合物のすべての無毒性、薬学的に許容されるその塩を含むことが好ましい。薬学的に許容される付加塩の例として、無機酸および有機酸の付加塩ならびに塩基性の塩が挙げられる。薬学的に許容される塩として、金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩など、アルカリ土類金属、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩など、有機アミン塩、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など、無機の酸性塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩など、有機酸塩、例えばクエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩など、スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩など、およびアミノ酸塩、例えばアルギニン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられるが、これらに限らない。
酸付加塩は、本発明の特定の化合物の溶液と、薬学的に許容される無毒性の酸、例えば塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、シュウ酸、またはジクロロ酢酸などの溶液とを混合することによって形成することができる。塩基性塩は、本発明の化合物の溶液と、薬学的に許容される無毒性の塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、および炭酸ナトリウムなどの溶液とを混合することによって形成することができる。
本発明の化合物はまた、式I〜XIVの開示化合物のうちのいずれかの溶媒和物も包含する。溶媒和物は通常、化合物の生理学的活性または毒性を有意に変化させず、よって薬理学的同等物として機能し得る。「溶媒和物」という用語は、本明細書で使用する場合、本発明の化合物と、溶媒分子との組合せ、物理的結合および/または溶媒和、例えば二溶媒和物、一溶媒和物または半溶媒和物などであり、この中で、溶媒分子の本発明の化合物に対する割合は、それぞれ約2:1、約1:1または約1:2である。この物理的結合には、水素結合を含めた、異なる程度のイオン結合および共有結合が含まれる。特定の場合、溶媒和物は、例えば1つまたは複数の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子に取り込まれる場合などに単離することができる。したがって、「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。本発明の化合物は、薬学的に許容される溶媒、例えば水、メタノール、エタノールなどとの溶媒和した形態として存在することができ、本発明は、式I〜XIVのうちのいずれかの化合物の溶媒和した形態および溶媒和されていない形態の両方を含むことを意図する。溶媒和物の1つの種類が水和物である。「水和物」は、溶媒分子が水である溶媒和物のある特定のサブグループに関する。溶媒和物は通常、薬理学的同等物として作用することができる。溶媒和物の調製は、当分野で知られている。例えば、フルコナゾールと酢酸エチルおよび水との溶媒和物の調製について記載されている、M.Cairaら、J.Pharmaceut.Sci.、93(3):601-611(2004年)を参照されたい。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製が、E.C.van Tonderら、AAPSPharm.Sci.Tech.、5(1):Article 12(2004年)、およびA.L.Binghamら、Chem.Commun.、603-604(2001年)に記載されている。溶媒和物を調製する、典型的、非限定的方法であれば、約20℃から約25℃を超える温度で式I〜XIVのうちのいずれかの化合物を所望の溶媒(有機物、水、またはこれらの混合物)に溶解するステップと、次いで結晶を形成するのに十分な速度でこの溶液を冷却するステップと、既知の方法、例えば、濾過などで結晶を単離するステップとを含むことになる。赤外分光法などの分析技術を使用することによって、溶媒和物の結晶内の溶媒の存在を確認することができる。
本発明の化合物は、同位体標識(すなわち、放射標識)されていてもよい。開示化合物へ取り込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、亜リン酸、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clなどが挙げられ、3R、11Cおよび14Cが好ましい。同位体標識された本発明の化合物は、本開示を考慮して、当分野で知られている方法で調製することができる。例えば、トリチウム標識した本発明の化合物は、トリチウムでの触媒の脱ハロゲン化により、特定の化合物にトリチウムを導入することによって調製することができる。この方法は、塩基の存在下、Pd/Cなどの適切な触媒の存在下で、本発明の化合物の適切なハロゲン置換前駆体をトリチウム気体と反応させることを含み得る。トリチウム標識した化合物を調製するための他の適切な方法は、Filer、Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences、Vol.1、Labeled Compounds (Part A)、第6章(1987年)に見出すことができる。14C標識化合物は、14C炭素を有する出発物質を使用することによって調製できる。
同位体により標識された本発明の化合物、ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物は、化合物のオピオイド受容体への結合について試験するための放射リガンドとして使用することができる。例えば、放射標識された本発明の化合物は、試験化合物または候補化合物の受容体への特異結合を特徴づけるために使用することができる。このような放射標識した化合物を利用した結合実験は、化学構造と活性の関係を評価するための動物試験のインビトロ代替になり得る。例えば、受容体アッセイは、競合アッセイにおいて、放射標識した本発明の化合物の固定濃度で、および試験化合物の濃度を次第に増加させて実施することができる。非限定的な実施形態では、本発明は、オピオイド受容体への結合能力について候補化合物をスクリーニングするための方法であって、a)放射標識した化合物の受容体への結合を可能にする条件下で、固定濃度の放射標識した本発明の化合物を受容体に導入することによって錯体を形成するステップと、b)候補化合物を用いてこの錯体を滴定するステップと、c)候補化合物の前記受容体への結合を測定するステップとを含む方法を提供する。
本明細書で開示されている化合物のうちのいくつかは、1つまたは複数の不斉中心を含有し得るので、したがってエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性形態、例えば、エピマーなどが生じ得る。本発明は、すべてのこのような可能な形態、ならびにこれらのラセミおよび分離された形態およびこれらの混合物の使用を包含することを意図する。本開示を考慮して、個々の鏡像異性体を、当業者に知られた方法に従って分離してもよい。本明細書中に記載されている化合物が、オレフィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含有する場合、特に指定のない限り、これら化合物は、EとZの両幾何異性体を含むことを意図する。すべての互変異性体もまた、本発明に包含されることを意図する。
本明細書で使用する場合、「立体異性体」という用語は、空間においてこれらの原子の幾何学的配置のみが異なる個々の分子のすべての異性体に対する一般的用語である。立体異性体は、互いにミラーイメージではない2つ以上のキラル中心を有する化合物の鏡像異性体および異性体を含む(ジアステレオマー)。
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合している炭素原子を指す。
「エピマー」という用語は、それぞれの分子実体に存在する2つ以上の四面体の立体中心のうちの1つのみにおいて反対の配置を有するジアステレオマーを指す。
「立体中心」という用語は、任意の2つの基を交換すると立体異性体がもたらされるような基を有する原子である。
「鏡像異性体」および「鏡像異性の」という用語は、ミラーイメージ上に重ね合わせることができず、それ故、鏡像異性体が偏光面を一方向に回転させ、そのミラーイメージの化合物が、偏光面を反対方向に回転させる、光学活性がある分子を指す。
「ラセミ」という用語は、鏡像異性体の等しい部分の混合物であり、光学的に不活性である混合物を指す。
「分割」という用語は、1つの分子の2つの鏡像異性形態のうちの1つの分離または集中または除去を指す。
「a」および「an」という用語は、1つまたは複数を指す。
「治療する」または「治療」という用語は、統計学的に有意な程度または当業者が検出可能な程度のいずれかに、障害に関連する状態、症状、またはパラメーターを改善する、または障害の進行を予防するのに有効な量、方式、または様式で療法を施すことを指す。有効量、方式、または様式は、対象に応じて変えることができ、患者に合わせることができる。
開かれた意味の用語、例えば、「含む(include)」「含んでいる(including)」、「含有する」「含有している」などは、「含む(comprising)」を意味する。
本明細書で使用する場合、受容体に結合し、内因性リガンドの制御効果を模倣する化合物は、「アゴニスト」として定義される。受容体に結合し、アゴニストとして部分的にしか有効でない化合物は、「部分的アゴニスト」として定義される。受容体に結合するが、制御効果は発揮せず、むしろリガンドの受容体への結合を遮断する化合物は、「アンタゴニスト」として定義される(Ross and Kenakin、「Ch.2:Pharmacodynamics:Mechanisms of Drug Action and the Relationship Between Drug Concentration and Effect」、pp.31-32、in Goodman & Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版(J.G.Hardman、L.E.Limbird and A.Goodman-Gilman編、2001年)。
特定の実施形態では、本発明の化合物は、μ、δおよび/またはκオピオイド受容体のうちの1つまたは複数におけるアゴニストである。特定の非限定的実施形態では、本発明の化合物は、同等レベルの無痛および/または抗痛覚過敏性を生成する用量で投与された場合、現在利用可能な鎮痛剤オピオイド化合物よりも低い副作用および/または低い重度の副作用しか起こさない。特定の実施形態では、本発明の化合物はORL−1オピオイド受容体におけるアゴニストである。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、少なくとも1種の他の治療薬と組み合わせて使用することができる。もう一方の治療薬は、μ−オピオイドアゴニスト、非オピオイド鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、Cox−II阻害剤、抗催吐剤、β−アドレナリン遮断剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、Ca2+チャネル遮断剤、抗癌剤、またはこれらの混合物であってよいが、これらに限らない。
本発明の化合物は、μおよび/またはκおよび/またはδおよび/またはORL−1オピオイド受容体と強力に結合する。本発明の化合物は、μおよび/またはκおよび/またはδおよび/またはORL−1オピオイド受容体におけるモジュレーターとなり得るので、したがって本発明の化合物は、疼痛の治療、改善のため、または予防のために使用/投与することができる。
一部の実施形態では、本発明の化合物は1種または複数のオピオイド受容体のアンタゴニストである。別の実施形態では、本発明の化合物はμおよび/またはκオピオイド受容体のアンタゴニストである。
一部の実施形態では、本発明の化合物は1種または複数のオピオイド受容体の部分アゴニストである。別の実施形態では、本発明の化合物はμおよび/またはκオピオイド受容体の部分アゴニストである。
別の実施形態では、本発明の化合物は1種または複数のオピオイド受容体のアゴニストである。別の実施形態では、本発明の化合物はμおよび/またはκオピオイド受容体のアゴニストである。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、(i)ORL−1受容体におけるアンタゴニスト活性と、(ii)μ、δおよび/またはκ受容体のうちの1種または複数におけるアゴニスト活性との両方を有する。別の実施形態では、本発明の化合物は、(i)ORL−1受容体におけるアンタゴニスト活性と、(ii)μ受容体におけるアゴニスト活性との両方を有する。別の実施形態では、本発明の化合物は、(i)μ受容体におけるアンタゴニスト活性と、(ii)κ受容体におけるアゴニスト活性との両方を有する。別の実施形態では、本発明の化合物は、(i)ORL−1受容体におけるアンタゴニスト活性と、(ii)μ受容体におけるアンタゴニスト活性と、(iii)κ受容体におけるアゴニスト活性とを有する。別の実施形態では、本発明の化合物は、(i)μ受容体におけるアンタゴニスト活性と、(ii)κ受容体におけるアゴニスト活性と、(iii)δ受容体におけるアンタゴニスト活性とを有する。
μ−オピオイド受容体のアンタゴニストもしくはκ−オピオイド受容体のアゴニスト、またはこの両方である本発明の化合物は、便秘を治療または回復させるために使用/投与することができる。μオピオイド受容体のアゴニストである本発明の化合物は、下痢を治療または改善させるために使用/投与することができる。
本発明の化合物は、急性疼痛、慢性疼痛(これらに限定されないが、神経障害性疼痛、術後疼痛、および炎症性疼痛を含む)、または外科疼痛を治療または予防するために使用することができる。本発明の化合物を使用して治療または予防することができる疼痛の例として、これらに限定されないが、がん性疼痛、神経障害性疼痛、陣痛、心筋梗塞疼痛、膵臓の疼痛、大腸の疼痛、術後疼痛、頭痛、筋痛、関節炎疼痛、ならびに歯肉炎および歯周炎を含めた歯周病に伴う疼痛が挙げられる。
急性疼痛として、これらに制限されないが、周術期の疼痛、術後疼痛、外傷後疼痛、急性疾患関連の疼痛、および診断手順、整形外科的手術、および心筋梗塞に関連した疼痛が挙げられる。周術期における急性疼痛として、予め存在する疾患が原因の疼痛、例えば、排液管、胸腔チューブもしくは経鼻胃チューブの外科手術に伴うもの、または合併症、または疾患関連および手順関連の原因の組合せが挙げられる。
慢性疼痛として、これらに制限されないが、炎症性疼痛、術後疼痛、癌性疼痛、転移性癌に関連する骨関節炎疼痛、三叉神経痛、急性ヘルペス性およびヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、カウザルギー、腕神経叢裂離、後頭部神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛、痛風、幻肢痛、火傷痛、および他の形態の神経痛、神経障害性疼痛、および特発性疼痛症候群が挙げられる。
本発明の化合物は、患者における炎症または炎症性疾患に伴う疼痛を治療または予防するために使用することができる。このような疼痛は、局所的炎症反応または全身性炎症である可能性のある体組織の炎症が存在する箇所に生じ得る。例えば、本発明の化合物は、これらに限定されないが、臓器移植拒否反応を含めた炎症性疾患に伴う疼痛;これらに限定されないが、心臓、肺、肝臓、または腎臓の移植を含めた臓器移植から生じる再酸素化損傷(Grupp et al., J. Mol. Cell Cardiol. 31:297-303 (1999)を参照されたい);関節炎、関節リウマチ、骨関節炎および骨吸収の増加に伴う骨疾患を含めた関節の慢性的炎症性疾患;炎症性腸疾患、例えば、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、およびクローン病など;炎症性肺疾患、例えば、喘息、成人呼吸促拍症候群、および慢性的閉塞性気道疾患など;角膜のジストロフィー、トラコーマ、糸状虫症、ブドウ膜炎、交感性眼炎および眼内炎を含めた眼の炎症性疾患;歯肉炎および歯周炎を含めた歯ぐきの慢性的炎症性疾患;結核;ハンセン病;尿毒合併症、糸球体腎炎およびネフローゼを含めた腎臓の炎症性疾患;硬化性皮膚炎、乾癬および湿疹を含めた皮膚の炎症性疾患;神経系の慢性的脱髄性疾患、多発性硬化症、AIDS関連の神経変性およびアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症およびウイルス性または自己免疫性脳炎を含めた中枢神経系の炎症性疾患;I型真性糖尿病およびII型真性糖尿病を含めた自己免疫性疾患;これらに限定されないが、例えば、糖尿病性白内障、緑内障、網膜症、腎症(例えば、微量アルブミン尿症(microaluminuria)および進行性糖尿病性腎症など)、足の壊疽、アテローム硬化型冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、非ケトン性高血糖性高浸透圧性昏睡、足部潰瘍、関節障害、および皮膚または粘膜の合併症(例えば、感染症、シンスポット、カンジダ感染症または糖尿病性リポイド類壊死症など)を含めた糖尿病合併症、免疫複合体血管炎、および全身性エリテマトーデス(SLE);心臓の炎症性疾患、例えば、心筋症、虚血性心疾患高コレステロール血症、およびアテローム性動脈硬化症(artherosclerosis)など;ならびに子癇前症、慢性肝不全、脳および脊髄外傷、およびがんを含めた有意な炎症成分を有し得る様々な他の疾患を治療または予防するために使用することができる。本発明の化合物はまた、例えば、グラム陽性もしくはグラム陰性ショック、出血性ショックもしくはアナフィラキシーショック、または炎症誘発性サイトカインに応答して、がん化学療法により誘発されるショック、例えば、炎症誘発性サイトカインに伴うショックなどに例示される、身体の全身性炎症である可能性のある炎症性疾患に伴う疼痛を治療または予防するために使用することができる。このようなショックは、例えば、がんのための治療として投与される化学療法剤により誘発され得る。
本発明の化合物は、神経損傷に伴う疼痛(すなわち、神経障害性疼痛)を治療または予防するために使用することができる。慢性神経障害性疼痛は、原因が不明である異種起源の疾患状態である。慢性疼痛では、疼痛は、複数の機序により媒介し得る。このタイプの疼痛は、末梢神経組織または中枢神経組織の損傷から一般的に生じる。症候群には、脊椎損傷、多発性硬化症、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、幻想痛、カウザルギー、および反射性交感神経性ジストロフィーに関連する疼痛ならびに腰痛が含まれる。慢性疼痛は、慢性神経障害性疼痛の患者は、自発痛、表面が焼けるような痛みの持続および/または深部痛のような疼痛として描写することができる異常な痛覚を患うという点で急性疼痛とは異なる。疼痛は、熱的、冷的、および機械的痛覚過敏、または熱的、冷的、もしくは機械的異痛症により誘起される可能性がある。
慢性神経障害性疼痛は、末梢感覚神経の損傷または感染症により引き起こされる可能性がある。これには、末梢神経の外傷、ヘルペスウイルス感染症、真性糖尿病、カウザルギー、神経叢剥離、神経腫、肢の切断、および血管炎による疼痛が含まれるが、これらに限定されない。神経障害性疼痛はまた、慢性アルコール中毒、ヒト免疫不全ウイルス感染症、甲状腺機能低下症、尿毒症、またはビタミン欠乏症による神経損傷により引き起こされ得る。脳卒中(脊髄または脳)および脊椎損傷もまた神経障害性疼痛を誘発し得る。がん関連の神経障害性疼痛は、隣接する神経、脳、または脊髄の腫瘍増殖圧に起因する。加えて、化学療法および放射線療法を含めたがん治療は、神経損傷を引き起こす可能性がある。神経障害性疼痛として、神経損傷により引き起こされる疼痛、例えば、糖尿病患者が患う疼痛などが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の化合物は、これらに限定されないが、前兆を伴わない片頭痛(「普通型片頭痛」)、前兆を伴う片頭痛(「古典型片頭痛」)、頭痛を伴わない片頭痛、脳底動脈片頭痛、家族性片麻痺性片頭痛、片頭痛性脳梗塞、および前兆遷延型片頭痛を含めた片頭痛に伴う疼痛を治療または予防するために使用することができる。
本発明の化合物はまた、アルコール中毒または薬物中毒の禁断症状を治療する薬剤として、嗜癖障害を治療または予防する薬剤として、掻痒状態を治療する薬剤として、ならびに便秘および下痢の治療または改善において使用することもできる。
本発明はまた、定義された式I〜XI、XIIIまたはXIVのいずれかで表される化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を、1種または複数のオピオイド受容体(例えば、上記に列挙された障害のいずれか)の調節に応答する障害を、前記障害に罹患した患者において治療するための医薬品の製造において使用することを対象とする。
さらに、本発明は、それを必要とする患者において1種または複数のオピオイド受容体を調節する、特に活性化する方法であって、この患者に、定義された式I〜XI、XIIIまたはXIVのいずれかで表される少なくとも1種の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法を対象とする。
本発明はまた、定義された式I〜XI、XIIIまたはXIVのうちのいずれかで表される化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を、医薬品、特に、それを必要とする患者において、1種または複数のオピオイド受容体を調節する、特に活性化するための医薬品の製造において使用することを対象とする。
化合物の合成
本発明の化合物は、本開示を考慮して当業者に公知の方法を使用して、または以下のスキームに示されている例示的方法により調製することができる。合成の追加的方法は、以下に記述されている実施例において記載および例示されている。
スキーム1において、R1およびR2は式Iに対して定義された通りである。モルフィナンXVIのケトンは、アセタールAとして保護することができ、その後脱水して、アルケンBを生成する。Bを酸性条件に付すことによって、不飽和のケトンCを生成するために、アセタール脱保護とアルケン異性化を同時に行うことができる。
出発化合物XVIは、例えば、Hupp C. D., et al., Tetrahedron Letters 51:2359-2361 (2010)およびIda Y., et al., Bioorganic & Medical Chemistry 20:949-961 (2012)に記載されているように調製することができる。
式IVの化合物は、R3に対して上記の化合物XVIと反対の異性体から出発して同様に調製することができ、この化合物XVIは、例えば、Polazzi J. O., et al., J. Med. Chem. 23:174-179 (1980)に記載されているように調製することができる。
スキーム1に記載されている化合物の反対の異性体は、ケトンXVI’
ケトンXVI’は、当技術分野で、例えば、US2009/0156818、US2009/0156820、およびHupp C. D., et al.(上記)などにおいて記載されている方法に従い調製することができる。したがって、例えば、R1がOMeであり、R2がシクロプロピルメチルであるケトンXVI’は、CAS#6080−33−7:
から出発してスキーム2に記載の通り調製することができる。
エノンCは、臭化トリメチルスルホキソニウムおよび水素化ナトリウムなどの適切な塩基との反応を介して対応するビシクロ[4.1.0]ヘプタニル系に変換することができる。生成したケトンDは、水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤を用いて還元することによって、アルコールEを生成することができ、その後これを水素化ナトリウムなどの適当な塩基の存在下、適切なアルキルまたは臭化アリルなどのハロゲン化アルケニルを用いてアルキル化することによって、エーテルFを生成することができる。代わりに、メチルトリフェニルホスホニウムブロミドなどの適当なホスホニウム塩またはホスホネート由来のイリド、およびカリウムtert−ブトキシドなどの適切な有機塩基とのウィッティヒまたはホーナーワズワースエモンス反応を介してケトンDをオレフィンGに変換することができる。
エノンCを使用して、AlCl3などのルイス酸の存在下、シクロヘキサジエンなどのジエンとディールスアルダー反応させて、アルケンHを生成することができる。パラジウム触媒した水素化などの方法を使用して、このアルケンの還元を使用することによって、アルカンJを得ることができる。
インビトロアッセイプロトコル
μ−オピオイド受容体結合実験の手順:μ−オピオイド受容体に対する放射リガンド投与置換結合実験では、最終容量500μlの結合緩衝液(10mM MgCl2、1mM EDTA、5%DMSO、50mM HEPES、pH7.4)中の5mg膜タンパク質/穴と共に、0.3nM[3H]−ジプレノルフィン(Perkin Elmer、Shelton、CT)を使用した。反応は、非標識ナロキソンの不在下または増加濃度での非標識ナロキソンの存在下で行った。すべての反応は、96穴深底ポリプロピレンプレートの中で、室温で2時間行った。96穴組織ハーベスター(Perkin Elmer、Shelton、CT)を用いて0.5%ポリエチレンイミン中に予浸させておいた、96穴Unifilter GF/C濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)への急速濾過により結合反応を終了させ、続いて500μlの氷冷した結合緩衝液で3回濾過洗浄を実施した。濾過プレートを、続いて50℃で2〜3時間乾燥させた。BetaScintシンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え(50μl/穴)、Packard Top−Countを用いて、1分/穴の間、プレートをカウントした。GraphPad PRISM(商標)v.3.0以上(San Diego、Calif.)の、ワンサイト競合カーブフィッティング機能を用いて、またはワンサイト競合カーブフィッティング用の自社機能を用いて、データを解析した。
μ−オピオイド受容体結合データ:一般的に、Ki値が低いほど、本発明の化合物は、疼痛または別の状態を治療または予防するのに有効となる。通常は、本発明の化合物は、μ−オピオイド受容体への結合に対して約1000以下のKi(nM)を示す。一実施形態では、本発明の化合物は、μ−オピオイド受容体への結合に対して約300以下のKi(nM)を示す。別の実施形態では、本発明の化合物は、μ−オピオイド受容体への結合に対して約100以下のKi(nM)を示す。別の実施形態では、本発明の化合物は、μ−オピオイド受容体への結合に対して約10以下のKi(nM)示す。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、μ−オピオイド受容体への結合に対して約1以下のKi(nM)を示す。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、μ−オピオイド受容体への結合に対して約0.1以下のKi(nM)を示す。
μ−オピオイド受容体機能アッセイ手順:HEK293またはU−2 OS細胞内で組換え型μオピオイド受容体をバックグラウンド発現した細胞株から社内で調製した、または販売元(Perkin Elmer、Shelton、CT)から購入したμ−受容体膜を新たに解凍して使用し、[35S]GTPγS機能的アッセイを行った。以下の試薬:膜タンパク質(0.026mg/mL)、サポニン(10mg/mL)、GDP(3mM)および[35S]GTPγS(0.20nM、Perkin Elmer、Shelton、CT)を、結合緩衝液(100mM NaCl、10mM MgCl2、20mM HEPES、pH7.4)に、氷上で逐次添加することによって、アッセイ反応物を調製した(最終濃度を示す)。調製した膜溶液(190μl/穴)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製したアゴニスト[D−Ala2、N−メチル−Phe4Gly−ol5]−エンケファリン(DAMGO)の20×濃縮保存液10μlを含有する96穴浅底ポリプロピレンプレートに移した。プレートを振盪しながら約25℃で30分間インキュベートした。96穴組織ハーベスター(Perkin Elmer、Shelton、CT)を用いて、96穴Unifilter GF/B濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)への急速な濾過により反応を終了させ、続いて200μlの氷冷洗浄緩衝液(10mM NaH2PO4、10mM Na2HPO4、pH7.4)で3回濾過洗浄した。続いて濾過プレートを50℃で2〜3時間乾燥させた。BetaScintシンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え(50μl/穴)、Packard Top−Countを用いて、1分/穴の間、プレートをカウントした。GraphPad PRISM v.3.0のシグモイド用量反応曲線フィッティング機能を用いて、または非線形シグモイド用量反応曲線フィッティング用の自社機能を用いて、データを解析した。
μ−オピオイド受容体機能データ:μGTP EC50は、μ−オピオイド受容体において、化合物に対して50%の最大反応をもたらす化合物の濃度である。本発明のある化合物は、約20,000以下または約10,000以下のμGTP EC50(nM)を示すことができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、約5000以下のμGTP EC50(nM)を示す。特定の実施形態において、本発明の化合物は、約2000以下、または約1000以下、または約100以下、または約10以下、または約1以下、または約0.1以下のμGTP EC50(nM)を示す。
μGTP Emax(%)は、標準的なμアゴニストであるDAMGOにより誘発される効果と比較して、化合物により誘発される最大の効果である。一般的に、μGTP Emax(%)は、疼痛または他の状態を治療または予防するための化合物の効力を測定する。通常、本発明の化合物は、約10%を超える、または約20%を超えるμGTP Emax(%)を示す。特定の実施形態において、本発明の化合物は、約50%を超える、または約65%を超える、または約75%を超える、または約85%を超える、または約100%を超える、μGTP Emax(%)を示す。
κ−オピオイド受容体結合実験の手順:氷冷した低浸透圧性緩衝液(2.5mM MgCl2、50mM HEPES、pH7.4)(10mL/10cmシャーレ)中に細胞を溶解し、続いて組織粉砕機/テフロン乳棒で均質化することによって、ヒトカッパオピオイド受容体(κ)(社内でクローン化)をバックグラウンド発現する組換え型HEK−293細胞またはU−2 OS細胞から得た膜を調製した。30,000×gで、4℃で15分間遠心分離することにより膜を収集し、1〜3mg/mLの最終濃度へと、ペレットを低浸透圧性緩衝液中に再懸濁させた。ウシ血清卵白を有するBioRadタンパク質アッセイ試薬を標準として用いて、タンパク質濃度を測定した。κ受容体膜のアリコートを−80℃で保存した。
放射リガンド投与置換アッセイでは、0.4nM[3H]−U69,593(GE Healthcare、Piscataway、NJ、40Ci/mmole)を、最終容量200μlの結合緩衝液(5%DMSO、50mM Trizma塩基、pH7.4)中の15μgの膜タンパク質(HEK293細胞内で発現する組換え型κオピオイド受容体、自社で調製)と共に使用した。10μM非標識ナロキソンまたはU69,593の存在下で非特異的結合を測定した。すべての反応は、約25℃の温度で、1時間96穴ポリプロピレンプレート内で実施した。0.5%ポリエチレンイミン(Sigma)中に予浸させた96穴Unifilter GF/C濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)上での急速濾過によって、結合反応を終了させた。96穴組織ハーベスター(Perkin Elmer、Shelton、CT)を用いて収集を実施し、続いて200μlの氷冷した結合緩衝液で5回濾過洗浄した。続いて濾過プレートを50℃で1〜2時間乾燥させた。50μl/穴のシンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え、1分/穴の間、Packard Top−Count内でプレートをカウントした。
κ−オピオイド受容体結合データ:特定の実施形態において、本発明の化合物は、κ受容体に対して約10,000以上のKi(nM)を示す(これは、本発明の目的においては、κ受容体への結合はないと解釈される)。本発明の特定の化合物は、κ受容体に対して約20,000以下のKi(nM)を示す。特定の実施形態において、本発明の化合物は、κ受容体に対して約10,000以下、または約5000以下、または約1000以下、または約500以下、または約450以下、または約350以下、または約200以下、または約100以下、または約50以下、または約10以下、または約1以下、または約0.1以下、のKi(nM)を示す。
κ−オピオイド受容体機能アッセイ手順:機能的[35S]GTPγS結合実験を以下の通り行った。最終濃度0.026μg/μlのκ膜タンパク質(自社で生成)、10μg/mLサポニン、3μM GDPおよび0.20nM[35S]GTPγSを、氷上で、結合緩衝液(100mM NaCl、10mM MgCl2、20mM HEPES、pH7.4)に順次添加することにより、κオピオイド受容体の膜溶液を調製した。この調製した膜溶液(190μl/穴)を、DMSO中で調製したアゴニストの20×濃縮保存液10μlを含有する96穴浅底ポリプロピレンプレートに移した。プレートを、振盪しながら、30分間約25℃の温度でインキュベートした。96穴組織ハーベスター(Packard)を用いて、96穴Unifilter GF/B濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)上での急速濾過によって反応を終了させ、続いて200μlの氷冷した結合緩衝液(10mM NaH2PO4、10mM Na2HPO4、pH7.4)を用いて、3回濾過洗浄した。続いて濾過プレートを50℃で2〜3時間乾燥させた。50μl/穴のシンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え、1分/穴の間、Packard Top−Count内でプレートをカウントした。
κ−オピオイド受容体機能データ:κGTP EC50は、κ受容体において化合物に対して50%の最大反応をもたらす化合物の濃度である。本発明の特定の化合物は、κオピオイド受容体機能を刺激するために約20,000以下のκGTP EC50(nM)を示す。特定の実施形態において、本発明の化合物は、約10,000以下、または約5000以下、または約2000以下、または約1500以下、または約1000以下、または約600以下、または約100以下、または約50以下、または約25以下、または約10以下、または約1以下、または約0.1以下のκGTP EC50(nM)を示す。
κGTP Emax(%)は、U69,593により誘発される効果と比較して、化合物により誘発される最大の効果である。本発明の特定の化合物は、約1%を超える、または約5%を超える、または約10%を超える、または約20%を超える、κGTP Em3x(%)を示す。特定の実施形態において、本発明の化合物は、約50%を超える、または約75%を超える、または約90%を超える、または約100%を超えるκGTP Emax(%)を示す。
δ−オピオイド受容体結合実験手順:δ−オピオイド受容体結合実験手順を以下の通り行うことができる。放射リガンド投与置換アッセイでは、0.3nM [3H]−ナルトリンドール(Perkin Elmer、Shelton、CT、33.0Ci/mmole)は、最終容量500μlの結合緩衝液(5mM MgCl2、5%DMSO、50mM Trizma塩基、pH7.4)中の5μg膜タンパク質(Perkin Elmer、Shelton、CT)と共に使用する。25μM非標識ナロキソンの存在下、非特異的結合を測定する。すべての反応は、約25℃の温度で1時間、96穴深底ポリプロピレンプレート内で実施する。0.5%ポリエチレンイミン(Sigma)中に予浸させた96穴Unifilter GF/C濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)上での急速濾過によって、結合反応を終了させる。96穴組織ハーベスター(Perkin Elmer、Shelton、CT)を用いて収集を実施し、続いて500μlの氷冷した結合緩衝液で5回濾過洗浄した。続いて濾過プレートを50℃で1〜2時間乾燥させる。50μl/穴シンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え、1分/穴の間、Packard Top−Count内でプレートをカウントする。
δ−オピオイド受容体結合データ:特定の実施形態において、本発明の化合物は、δ受容体に対して約10,000以上のKi(nM)を示すことができる(これは、本発明の目的において、δ受容体への結合はないと解釈される)。本発明の特定の化合物は、δ受容体に対して、約20,000以下のKi(nM)を示すことができる。一実施形態では、本発明の化合物は、δ受容体に対して約10,000以下、または約9000以下のKi(nM)を示すことができる。別の実施形態において、本発明の化合物は、δ受容体に対して約7500以下、または約6500以下、または約5000以下、または約3000以下、または約2500以下のKi(nM)を示すことができる。別の実施形態において、本発明の化合物は、δ受容体に対して約1000以下、または約500以下、または約350以下、または約250以下、または約100以下、または約10以下のKi(nM)を示すことができる。
δ−オピオイド受容体機能アッセイ手順:機能的[35S]GTPγS結合実験を以下の通り行う。最終濃度0.026μg/μlのδ膜タンパク質(Perkin Elmer、Shelton、CT)、10μg/mLサポニン、3μM GDPおよび0.20nM[35S]GTPγSを、氷上で、結合緩衝液(100mM NaCl、10mM MgCl2、20mM HEPES、pH7.4)に順次添加することによって、δオピオイド受容体膜溶液を調製する。この調製した膜溶液(190μl/穴)を、DMSO中で調製したアゴニストの20×濃縮保存液10μlを含有する96穴浅底ポリプロピレンプレートに移す。プレートを、振盪しながら約25℃の温度で30分間、インキュベートする。96穴組織ハーベスター(Packard)を用いて、96穴Unifilter GF/B濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)上での急速濾過によって反応を終了させ、続いて、200μlの氷冷した結合緩衝液(10mM NaH2PO4、10mM Na2HPO4、pH7.4)で3回濾過洗浄する。続いて濾過プレートを50℃で1〜2時間乾燥させる。50μl/穴シンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え、プレートを、1分/穴の間、Packard Top−Count内でプレートをカウントする。
δ−オピオイド受容体機能データ:δGTP EC50は、δ受容体において化合物に対して50%の最大反応をもたらす化合物の濃度である。本発明の特定の化合物は、約20,000以下、または約10,000以下のδGTP EC50(nM)を示すことができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、約3500以下、または約1000以下、または約500以下、または約100以下、または約90以下、または約50以下、または約25以下、または約10以下のδGTP EC50(nM)を示すことができる。
δGTP Emax(%)は、met−エンケファリンにより誘発される効果と比較して、化合物により誘発される最大効果である。本発明の特定の化合物は、約1%を超える、または約5%を超える、または約10%を超えるδGTP Emax(%)を示すことができる。一実施形態では、本発明の化合物は、約30%を超えるδGTP Emax(%)を示すことができる。他の実施形態では、本発明の化合物は、約50%を超える、または約75%を超える、または約90%を超える、δGTP Emax(%)を示すことができる。別の実施形態において、本発明の化合物は、約100%を超えるδGTP Emax(%)を示すことができる。
ORL−1受容体結合アッセイ手順:ヒトオピオイド受容体様受容体(ORL−1)(Perkin Elmer、Shelton、CT)を発現する組換え型HEK−293細胞からの膜を、氷冷した低浸透圧性緩衝液(2.5mM MgCl2、50mM HEPES、pH7.4)(10ml/10cmシャーレ)に細胞を溶解することにより調製し、続いて組織粉砕機/テフロン乳棒で均質化する。30,000×g、4℃で15分間遠心分離することにより膜を収集し、1〜3mg/mlの最終濃度へと、ペレットを低浸透圧性緩衝液中に再懸濁させる。ウシ血清卵白を有するBioRadタンパク質アッセイ試薬を標準として用いて、タンパク質濃度を測定する。ORL−1受容体のアリコートを−80℃で保存する。
放射リガンド結合実験(スクリーニングおよび投与置換)では、0.1nM[3H]−ノシセプチン(Perkin Elmer、Shelton、CT、87.7Ci/mmole)を、最終容量500μlの結合緩衝液(10mM MgCl2、1mM EDTA、5%DMSO、50mM HEPES、pH7.4)中の12μgの膜タンパク質と共に使用する。10nM非標識ノシセプチン(American Peptide Company)の存在下、非特異的結合を測定する。すべての反応は、室温で1時間、96穴深底ポリプロピレンプレート内で実施する。0.5%ポリエチレンイミン(Sigma)中に予浸させた96穴Unifilter GF/C濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)上での急速濾過によって、結合反応を終了させる。96穴組織ハーベスター(Perkin Elmer、Shelton、CT)を用いて収集を実施し、続いて500μlの氷冷した結合緩衝液で3回濾過洗浄する。続いて濾過プレートを50℃で2〜3時間乾燥させる。50μl/穴のシンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え、1分/穴の間、Packard Top−Count内でプレートをカウントする。Microsoft ExcelおよびGraphPad PRISM(商標)、v.3.0以上、カーブフィッティング機能をそれぞれ用いて、またはワンサイト競合カーブフィッティング用の自社機能を用いて、スクリーニングおよび投与置換実験からのデータを解析する。
ORL−1受容体結合データ:本発明の特定の化合物は、約5000以下のKi(nM)を有することができる。一実施形態では、本発明の特定の化合物は、約1000以下のKi(nM)を有することができる。ある実施形態において、本発明の化合物は、約500以下のKi(nM)を有することができる。他の実施形態では、本発明の化合物は、約300以下、または約100以下、または約50以下、または約20以下のKi(nM)を有することができる。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、約10以下、または約1以下、または約0.1以下のKi(nM)を有することができる。
ORL−1受容体機能アッセイ手順:ヒトオピオイド受容体様(ORL−1)(Perkin Elmer、Shelton、CT)を発現する組換え型HEK−293細胞からの膜を、氷冷した低浸透圧性緩衝液(2.5mM MgCl2、50mM HEPES、pH7.4)(10ml/10cmシャーレ)に細胞を溶解することにより調製することができ、続いて組織粉砕機/テフロン乳棒で均質化することができる。30,000×gで、4℃で15分間遠心分離することにより膜を収集し、1〜3mg/mlの最終濃度へと、ペレットを低浸透圧性緩衝液中に再懸濁させる。ウシ血清卵白を有するBioRadタンパク質アッセイ試薬を標準として用いて、タンパク質濃度を測定する。ORL−1受容体膜のアリコートを−80℃で保存する。
機能的[35S]GTPγS結合実験を以下の通り行う。氷上で、最終濃度0.026μg/μlのORL−1膜タンパク質、10μg/mlサポニン、3μM GDPおよび0.20nM[35S]GTPγSを、結合緩衝液(100mM NaCl、10mM MgCl2、20mM HEPES、pH7.4)に順次添加することによって、ORL−1膜溶液を調製する。この調製した膜溶液(190μl/穴)を、DMSO中で調製したアゴニスト/ノシセプチンの20×濃縮保存液10μlを含有する96穴浅底ポリプロピレンプレートに移す。プレートを、振盪しながら室温で30分間インキュベートする。96穴組織ハーベスター(Packard)を用いて、96穴Unifilter GF/B濾過プレート(Perkin Elmer、Shelton、CT)上での急速濾過によって反応を終了させ、続いて200μlの氷冷した結合緩衝液(10mM NaH2PO4、10mM Na2HPO4、pH7.4)で3回濾過洗浄する。続いて濾過プレートを50℃で2〜3時間乾燥させる。50μl/穴シンチレーション反応混液(Perkin Elmer、Shelton、CT)を加え、1分/穴の間、Packard Top−Count内でプレートをカウントする。GraphPad PRISM v.3.0以上のシグモイド用量反応曲線フィッティング機能、または非線形シグモイド用量反応曲線フィッティング用の自社機能を用いて、データを解析する。
ORL−1受容体機能データ:ORL−1 GTP EC50は、ORL−1受容体において化合物に対して50%の最大反応をもたらす化合物の濃度である。特定の実施形態において、高い結合親和性(すなわち低いKi値)を有する本発明の化合物は、約10,000を超えるORL−1 GTP EC50(nM)を有することができる(すなわち、治療濃度では刺激しない)。特定の実施形態において、本発明の化合物は、約20,000以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することができる。一実施形態では、本発明の化合物は、約10,000以下の、または約5000以下の、または約1000以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することができる。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、約100以下の、または約10以下の、または約1以下の、または約0.1以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することができる。
ORL−1 GTP Emax%は、標準的ORL−1アゴニストであるノシセプチンにより誘発される効果と比較して、化合物により誘発される最大効果である。ある実施形態において、本発明の化合物は、10%未満のORL−1 GTP Emaxを有することができる(これは、本発明の目的においては、ORL−1受容体でアンタゴニスト活性を有すると解釈される)。本発明の特定の化合物は、1%を超える、または5%を超える、または10%を超えるORL−1 GTP Emax(%)を有することができる。他の実施形態において、本発明の化合物は、20%を超える、または50%を超える、または75%を超える、または88%を超える、または100%を超えるORL−1 GTP Emaxを有することができる。
疼痛に関するインビボアッセイ
試験動物:各実験では、実験の開始時に体重が200〜260gのラットを用いる。これらのラットは、群で収容し、投薬より約16時間前に飼料を撤去する本発明の化合物の経口投与前を除いては、飼料および水を常時自由摂取させる。対照群は、本発明の化合物で治療したラットとの比較の役割を果たす。対照群には、本発明の化合物用の担体を投与する。対照群に投与した担体の量は、試験群に投与した担体と本発明の化合物の量と同じである。
急性疼痛:急性疼痛を治療または予防するための本発明の化合物の作用を評価するため、ラットテールフリック試験を使用し得る。ラットを手で穏やかに拘束し、テールフリックユニット(Model7360、イタリアのUgo Basileより市販)を用いて、先端部から5cmの点で尾を放射熱の集束ビームに曝露する。テールフリック反応潜時とは、熱的刺激の開始から尾を振るまでの間の間隔として定義する。20秒以内に反応しない動物は、テールフリックユニットから除外され、足引っ込め反応潜時20秒が割り当てられる。テールフリック反応潜時は、本発明の化合物の投与の直前(治療前)ならびに本発明の化合物の投与から1、3および5時間後に測定する。データは、テールフリック反応潜時(複数可)として表され、最大可能な効果(%MPE)、すなわち20秒のパーセンテージを以下の通り計算する:
ラットのテールフリック試験は、F.E.D’Amourら、「A Method for Determining Loss of Pain Sensation」、J.Pharmacol.Exp.Ther.72:74-79(1941年)に記載されている。
急性疼痛の治療または予防に対する本発明の化合物の作用を評価するために、ラットのホットプレート試験も使用し得る。48〜52℃の温度で維持された加熱した金属床を有する透明なプレキシグラスシリンダーからなるホットプレート装置(モデル7280、イタリアのUgo Basileから市販)を使用してラットを試験する。ラットをホットプレート装置上のシリンダーに置き、最大30秒が経過したら、またはラットが生体防御行動を示した時点で(挙動エンドポイント)、ホットプレートから取り出し、反応潜時を記録する。ホットプレート反応潜時は、直前に(予備処置)および本発明の化合物の投与から1、3、および5時間後に測定する。生体防御行動エンドポイントは、以下のうちのいずれかとして定義される:1)足を引っ込める、持続して持ち上げるか、または身震いしながらまたはなめながら、2)足を交互に持ち上げる、3)試験デバイスから脱出または脱出しようと試みる、または4)声を出す。データは、反応潜時(秒)として表現され、テールフリック試験に対して上に記載のように、最大可能な効果のパーセンテージを計算する。このホットプレート試験は、G. Woolfe and A.D. MacDonald, J. Pharmacol. Exp. Ther. 80:300-307 (1944)に記載されている。
炎症性疼痛:炎症性疼痛の治療または予防に対する、本発明の化合物の作用を評価するため、Freund’s complete adjuvant(「FCA」)の炎症性疼痛モデルを使用することができる。FCA誘導による、ラット後足の炎症は、持続的な炎症性の機械的痛覚過敏の発生に伴うもので、これにより臨床的に有用な鎮痛剤の抗痛覚過敏作用の信頼できる予測が得られる(L.Barthoら、「Involvement of Capsaicin-sensitive Neurones in Hyperalgesia and Enhanced Opioid Antinociception in Inflammation」、Naunyn-Schmiedeberg’s Archives of Pharmacol. 342:666-670(1990年))。各動物の左後足に、50μLの50%FCAを足底内注射により投与する。FCAの注入前(ベースライン)および注射から24時間後、以下に記載の通りPWTを測定することにより、侵害性の機械的刺激に対する反応について動物を評価する。次いでラットに、1、3または10mg/kgの本発明の化合物、Celebrex、インドメタシンもしくはナプロキセンから選択される30mg/kgの対照薬剤、または担体のいずれかの単回投与を行う。侵害性の機械的刺激に対する反応を投与から1、3、5および24時間後に測定する。各動物に対する痛覚過敏の逆転のパーセントを以下のように定義する。
神経障害性疼痛:神経障害性疼痛の治療または予防のための本発明の化合物の作用を評価するため、SeltzerモデルまたはChungモデルのいずれかを使用することができる。
Seltzerモデルにおいて、神経障害性疼痛の部分的な坐骨神経結紮モデルを使用することによって、ラットにおいて神経因性痛覚過敏を発生させる(Z.Seltzerら、「A Novel Behavioral Model of Neuropathic Pain Disorders Produced in Rats by Partial Sciatic Nerve Injury」、Pain 43:205-218(1990年))。左坐骨神経の部分的結紮をイソフルラン/O2吸入麻酔下で実施する。麻酔の誘導後、ラットの左大腿部を剪毛し、小さな切り込みを介して大腿部の上部に坐骨神経を露出させ、後部二頭筋半腱様筋神経が、共通の坐骨神経から分岐する点からちょうど遠位の転子付近の部位を取り囲む結合組織を慎重に除去する。7−0絹縫合糸を、湾曲した、逆カッティングの3/8ミニニードルで神経に挿入し、背側から神経厚さの1/3から1/2が結紮内に保持されるよう強く結紮する。一重の筋肉縫合糸(4−0ナイロン(Vicryl))およびvetbond組織接着剤を用いてこの創傷を閉じる。術後、創傷部位に抗生物質の散剤を振りかける。偽処置のラットには、坐骨神経を操作しないこと以外は、同一の外科手術を施す。術後、動物を秤量し、麻酔から回復するまで加温パッド上に置く。次いで動物を挙動試験が開始するまでホームケージに戻す。以下に記載の通り、手術前(ベースライン)、次いで薬剤投与直前、ならびに薬剤投与から1、3および5時間後のPWTを測定することにより動物の侵害性の機械的刺激に対する反応を評価する。神経因性痛覚過敏の逆転のパーセンテージは、以下の通り定義される:
Chungモデルでは、神経障害性疼痛の脊髄神経結紮モデルを使用して、ラットにおける機械的痛覚過敏、温熱性痛覚過敏および触覚異痛症を引き起こす。イソフルラン/O2吸入麻酔下で手術を実施する。麻酔誘導後、3cm切開し、L4−S2のレベルで、棘突起から左のパラ棘筋を分離する。1対の小さな骨鉗子を用いてL6横突起を慎重に取り除くことによって、L4−L6脊髄神経を視覚的に確認する。左のL5(またはL5およびL6)脊髄神経(複数可)を単離し、絹針できつく結紮する。完全にうっ血したことを確認し、非吸収性の縫合糸、例えばナイロン縫合糸など、またはステンレススチールステープルを用いて創傷を縫合する。偽処置のラットには、脊髄神経(複数可)を操作しないこと以外は、同一の外科手術を施す。術後、動物を秤量し、生理食塩水またはリンガー乳酸溶液を皮下(s.c.)注射で投与し、創傷部位に抗生物質の散剤を振りかけ、麻酔から回復するまで加温パッド上に保持する。次いで動物を挙動試験が開始するまでホームケージに戻す。以下に記載の通り、手術前(ベースライン)、次いで本発明の化合物の投与直前、ならびに本発明の化合物の投与から1、3および5時間後のPWTを測定することによって、動物の侵害性の機械的刺激に対する反応を評価する。以下に記載の通り、動物の侵害性の熱的刺激または触覚異痛症に対する反応を評価することもできる。神経障害性疼痛のためのChungモデルは、S.H.Kim、「An Experimental Model for Peripheral Neuropathy Produced by Segmental Spinal Nerve Ligation in the Rat」、Pain 50(3):355-363(1992年)に記載されている。
機械的痛覚過敏の評価としての機械的刺激に対する反応:
足圧力アッセイを使用して、機械的痛覚過敏を評価することができる。このアッセイでは、C.Stein、「Unilateral Inflammation of the Hindpaw in Rats as a Model of Prolonged Noxious Stimulation:Alterations in Behavior and Nociceptive Thresholds」、Pharmacol.Biochem.and Behavior 31:451-455(1988年)に記載の通り、アナルゲシメーター(モデル7200、イタリアのUgo Basileから市販)を用いて、侵害性の機械的刺激に対する後足引っ込め閾値(PWT)を測定する。ラットを穏やかに拘束し、その後足を小さな丸いプラットフォーム上に置き、段階的な方式で後足の背側の表面に点状の圧力を加える。後足にかかる最大重量を250gに設定し、足の完全な引っ込みとしてエンドポイントを取る。各時間点で、各ラットに対して一度ずつPWTを測定し、影響のあった(同側、つまり傷と同じ側)後足のみを試験するか、または同側と反対側(非傷害の、つまり傷の反対側)の両方の後足を試験する。
温熱性痛覚過敏の評価としての熱的刺激に対する反応:足底試験を使用して、温熱性痛覚過敏を評価することができる。この試験に対して、後足の足底表面に加えた侵害性の熱の刺激に対する後足引っ込め反応潜時を、K. Hargreaves et al., "A New and Sensitive Method for Measuring Thermal Nociception in Cutaneous Hyperalgesia," Pain 32(1):77-88 (1988)に記載されている技法に従い、足底の試験装置(Ugo Basile of Italyから市販)を使用して測定する。最大曝露時間を32秒に設定することによって、組織の損傷を回避し、あらゆる意図された、熱源からの足の引っ込めをエンドポイントとして取る。各時間点で、3つの反応潜時を測定し、平均する。影響のあった(同側の)足のみを試験するか、または同側と反対側の(非傷害の)の両方の足を試験する。
触覚異痛症の評価:触覚異痛症を評価するため、ワイヤーメッシュフロアの透明なプレキシグラス隔室にラットを配置し、少なくとも15分間の間慣らした。慣らした後、各ラットの影響のあった(同側の)足の足底表面に向けて、一連のvon Freyモノフィラメントを差し出す。この一連のvon Freyモノフィラメントは、直径が増加する6つのモノフィラメントからなり、一番小さい直径の繊維を最初に差し出す。各フィラメントを用いて、5回の試験を行うが、各試験は、約2分間離す。各差出しは、4〜8秒の間または侵害受容の引っ込め挙動が観察されるまで続ける。尻込みする、足を引っ込める、または足をなめることは、侵害受容の挙動反応と考えられる。
呼吸抑制の評価:呼吸抑制を評価するため、大腿動脈カニューレを移植することによってラットを準備することができ、カニューレを介して血液試料を取る。薬剤投与前、次いで治療から1、3、5および24時間後、血液試料を取る。動脈血液ガス分析装置(例えば、Respiratory/Blood Gas試験カートリッジ付きのIDEXX VetStat)を用いて、血液試料を処理する。同等のデバイスは、血液ガス分析の標準的装置(例えば、D.Torbatiら、Intensive Care Med.(26):585〜591(2000)である。
胃の運動性の評価:10mL/kgの容量のビヒクル、対照化合物または被験物質を、強制経口投与で動物に与える。投与から1時間後、10mL/kgの容量のcharcoal meal溶液(水中の1%カルボキシメチルセルロース溶液中の5%非活性炭粉末)をすべての動物に与える。投与から2時間後(炭末摂取から1時間後)、二酸化炭素吸入またはイソフルランの過剰摂取により動物を屠殺し、charcoal mealの通過を確認する。胃および小腸を慎重に取り除き、生理食塩水を浸漬させた吸収剤表面上に、それぞれを置く。幽門とcharcoal mealが最も遠くに進行した位置との間の距離を測定し、幽門と回盲接合点との間の距離と比較する。charcoal mealの通過を、移動した小腸の長さのパーセンテージとして表す。
医薬組成物
本発明の化合物は、その活性により、ヒトのおよび獣医薬において好都合に有用である。上述のように、本発明の化合物は、それを必要とする患者において、ある状態を治療または予防するために有用である。本発明の化合物は、オピオイド受容体の調節を必要とする任意の患者に投与することができる。「患者」という用語は、本明細書で使用する場合、本発明の化合物の有利な作用を経験し得る任意の動物を指す。一番のこのような動物は、哺乳動物、例えば、ヒトおよび伴侶動物であるが、ただし、本発明は、これらに限定されることを意図していない。
患者に投与する場合、本発明の化合物は、薬学的に許容される担体または添加剤を含む組成物の成分として投与することができる。本発明の化合物は、医者によって決定された通りの任意の適切な経路により投与することができる。投与の方法として、皮内、筋肉内、腹腔内、非経口、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、口腔内、脳内、膣内、経皮、経粘膜、直腸、吸入による投与、または局所(特に、耳、鼻、眼または皮膚)投与を挙げることができる。送達は、局部または全身のいずれかであってよい。特定の実施形態において、投与により、本発明の化合物は血流へと放出されることになる。
本発明の医薬組成物は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット、散剤、多重顆粒剤、カプセル剤、液体を含有するカプセル剤、粉末を含有するカプセル剤、多重顆粒剤を含有するカプセル剤、ロゼンジ、徐放性製剤、坐剤、経皮パッチ、経粘膜フィルム、舌下錠剤またはタブ、エアゾール剤、スプレー剤の形態、または使用に適した任意の他の形態を取ることができる。一実施形態では、本組成物は錠剤の形態である。別の実施形態では、組成物は、カプセル剤の形態である(例えば、米国特許第5,698,155号を参照)。適切な薬学的添加剤の他の例は、本明細書に参照により組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、1447-1676(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)に記載されている。
本発明の医薬組成物は、適切な量の薬学的に許容される添加剤を含むことによって、動物への適切な投与のための形態を提供することが好ましい。このような薬学的添加剤は、賦形剤、懸濁剤、可溶化剤、結合剤、崩壊剤、保存剤、着色剤、滑沢剤などであってよい。薬学的添加剤は、水または油などの液体であってよく、これには、石油、動物、植物もしくは合成由来のもの、例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などが含まれる。薬学的添加剤は、生理食塩水、ゴムアカシア、ゼラチン、デンプンのり、タルク、ケラチン、コロイド性シリカ、ウレアなどであってよい。加えて、助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤および着色剤を使用することができる。一実施形態では、患者に投与する場合、薬学的に許容される添加剤は、無菌である。本発明の化合物が静脈内に投与される場合、水は、特に有用な添加剤である。生理食塩水溶液ならびにブドウ糖およびグリセロール水溶液も、液体の添加剤、特に注射用溶液剤に使用することができる。適切な薬学的添加剤はまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなども含む。本発明の組成物は、必要に応じて、微量な量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。経口単位剤形を配合するために使用することができる薬学的に許容される担体および添加剤の特定の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical Association (1986年)に記載されている。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、経口投与用に配合される。経口的に送達される本発明の化合物は、例えば、錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ、カプレット、ロゼンジ、水性または油性溶液剤、懸濁剤、顆粒剤、散剤、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤の形態であってよい。本発明の化合物が経口の錠剤に取り込まれる場合、このような錠剤は、圧縮する、錠剤粉末にする、腸溶性にする、糖コーティングする、薄膜コーティングする、多重圧縮するまたは多層状にすることができる。
本発明の経口投与された化合物は、1種または複数の追加の薬剤、例えば、甘味剤、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなど、香味剤、例えばハッカ、冬緑油、またはサクランボなど、着色剤および保存料、ならびに安定剤などを含有することによって、安定した、医薬として味のよい剤形を提供することができる。固体経口剤形を作製するための技法および組成物が、Marcel Dekker,Inc.から出版されているPharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Lieberman、LachmanおよびSchwartz編、第2版)に記載されている。錠剤(圧縮および成型されたもの)、カプセル剤(硬質ゼラチンおよび軟質ゼラチン)および丸剤を作製するための技法および組成物はまた、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1553-1593(Arthur Osol編、第16版、Mack Publishing、Easton、PA 1980年)にも記載されている。液体経口剤形として、水性および非水性の溶液剤、乳剤、懸濁剤および溶液剤、ならびに/または非発泡性顆粒剤から再構成された懸濁剤が挙げられ、これらは場合によって1種または複数の適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁剤、賦形剤、甘味料、着色剤、香味剤などを含有する。液体経口剤形を作製するための技法および組成物は、Marcel Dekker,Inc.から出版されているPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、(Lieberman、RiegerおよびBanker編)に記載されている。
本発明の化合物が、注射(例えば、連続した点滴または大量瞬時投与)による非経口投与用に配合される場合、製剤は、油性または水性の媒体中の懸濁剤、溶液剤、または乳剤の形態であってよく、そのような製剤は、薬学的に必要な添加剤、例えば1種または複数の安定化剤、懸濁剤、分散剤などをさらに含むことができる。本発明の化合物が、非経口的に注射される場合、これは、例えば、等圧の無菌の溶液剤の形態であってよい。本発明の化合物はまた、注射用製剤として再構成するための散剤の形態であってもよい。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、静脈内投与のための医薬組成物に配合される。通常は、このような組成物は、無菌、等圧の水性緩衝液を含む。必要な場合、この組成物は、可溶化剤も含むことができる。静脈内投与用の本発明の化合物は、ベンゾカインまたはプリロカインなどの局所麻酔薬を場合によって含むことによって、注射部位の疼痛を和らげることができる。一般的に、これら成分は、例えば、活性薬剤の含量を示したアンプルまたはサシェなどの密閉した容器内の凍結乾燥した乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、単位剤形内に別々または一緒に混合して供給される。本発明の化合物を点滴で投与する場合、これは、例えば、無菌の医薬品グレードの水または生理食塩水を含有する点滴ビンを用いて投薬することができる。本発明の化合物を注射で投与する場合、投与前に成分が混合できるように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
本発明の化合物が吸入により投与される場合、これは、乾性煙霧剤、または水性または部分的に水性の溶液剤に配合することができる。
別の実施形態において、本発明の化合物は、ベシクル、特にリポソームに入れて送達することができる(Langer、Science、249:1527-1533(1990年)、およびTreatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer、317-327および353-365(1989年)を参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、局所投与される。これは、例えば、手術中の局所注入により、局所への塗布により(例えば、手術後の創傷包帯と関連させて)、注射により、カテーテルを用いて、坐剤または浣腸を用いて、またはインプラントを用いて達成することができ、前記インプラントとして、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状物質、例えば膜、例えばシアラスティック膜など、または繊維のものが挙げられる。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、即放性の形態で送達することができる。他の実施形態では、本発明の化合物は、徐放性のシステムまたは持続放出性のシステムで送達することができる。徐放性または持続放出性の医薬組成物は、これらの非徐放性または非持続放出性の対応物により達成される結果よりも、さらに良い薬物治療を達成するという共通の目的を有することができる。一実施形態では、徐放性または持続放出性の組成物は、最短の時間で、状態(またはその症状)を治療または予防するための本発明の化合物の最小量を含む。徐放性または持続放出性の組成物の利点として、薬剤活性の延長、投与回数の削減、およびコンプライアンスの増加が挙げられる。加えて、徐放性または持続放出性の組成物は、作用の開始時間または他の特徴、例えば、本発明の化合物の血中濃度に有利な影響を与えることができ、したがって、有害な副作用の発生を低下させることができる。
徐放性または持続放出性の組成物は、所望の治療効果または予防効果を迅速に生じる本発明の化合物の量を最初に直前に放出し、治療効果または予防効果のレベルを長時間に亘り維持する本発明の化合物の他の量を徐々におよび継続的に放出することができる。本発明の化合物は、体内で本発明の化合物の一定の濃度を維持するよう、代謝され、体から排泄される本発明の化合物の量に取って代わるような速度で、剤形から放出されることが可能である。有効成分の徐放または持続放出は、これだけに限らないが、pHの変化、温度の変化、酵素の濃度もしくは利用可能性、水の濃度もしくは利用可能性、または他の生理的状態もしくは化合物などを含めた様々な状態により刺激される可能性がある。
本発明による使用のための徐放性または持続放出性の手段は、当分野で知られているものから選択し得る。例として、それぞれが本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号および第5,733,566号に記載のものが挙げられるがこれらに限らない。このような剤形を使用することによって、異なる割合で所望の放出プロファイルを得るために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、浸透性膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、多重顆粒剤、リポソーム、ミクロスフェアまたはこれらの組合せを使用して、徐放性または持続放出性の、1種または複数の有効成分を提供することができる。当分野で知られている、適切な徐放性または持続放出性の製剤は、本明細書中に記載されているものを含めて、本開示を考慮して、本発明の有効成分と共に使用するために容易に選択することができる。Medical Applications of Controlled Release、Vol.2、Applications and Evaluation、R.S.LangerおよびD.L.Wise編、CRC Press(1984年)のGoodson、「Dental Applications」(pp.115-138)も参照されたい。Langer、Science 249:1527-1533(1990年)による概説で考察されている他の徐放性または持続放出性のシステムを、本発明による使用のために選択することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Langer、Science 249:1527-1533(1990年)、Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987年)、Buchwaldら、Surgery 88:507(1980年)およびSaudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989年))。別の実施形態では、ポリマー性物質を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise編、1974年)、Controlled Drug Bioavailability、Drug Product Design and Performance(SmolenおよびBall編、1984年)、RangerおよびPeppas、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983年)、Levyら、Science 228:190(1985年)、Duringら、Ann.Neurol.25:351(1989年)およびHowardら、J.Neurosurg.71:105(1989年))。さらに別の実施形態において、徐放性または持続放出性のシステムは、本発明の化合物の標的、例えば、脊柱、脳または消化管の近くに配置することもでき、したがって全身投与量のほんの一部しか必要としない。
錠剤または丸剤の形態の場合、本発明の医薬組成物を、消化管での分解および吸収を遅らせるようにコーティングを行うことによって、長時間に亘る持続作用を提供することができる。浸透圧活性推進化合物(osmotically active driving compound)を包み込んでいる選択的透過膜もまた、経口投与の組成物に適切である。これら最近のプラットフォームでは、カプセル剤を取り囲む環境からの流体をこの推進化合物が吸収し、膨潤して開口から薬剤または薬剤組成物を押し出す。これらの送達プラットフォームは、即放性製剤のスパイク型プロファイルに対して、基本的に0次の送達プロファイルを提供することができる。時間遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなども使用することができる。経口用の組成物は、標準的添加剤、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロースおよび炭酸マグネシウムなどを含むことができる。一実施形態では、これらの添加剤は、医薬品のグレードである。
本発明の医薬組成物は、経口投与に適した単一の単位剤形、例えば、これだけに限らないが、徐放性または持続放出性に適応させた錠剤、カプセル剤、ゲルキャップおよびカプレット剤などを含む。
状態の治療または予防に有効な本発明の化合物の量は、標準的な臨床上の技法により決定することができる。加えて、インビトロおよび/またはインビボのアッセイを場合によって使用することにより、最適な投与量の範囲の特定に役立つことができる。使用する正確な投与量はまた、例えば、投与経路および治療する状態の程度に応じて決まることになり、医師の判断および/または各患者の状況に従い決定することができる。典型的な要素、例えば、中でも、治療している患者の体重、年齢、性別および健康状態(例えば、肝臓および腎機能)、治療すべき苦痛、症状の重症度、投与間隔の頻度、任意の有害な副作用の存在および使用している特定の化合物などに応じて、投与は変わり得る。
適切な有効投与量は、一日につき患者の体重1kgあたり約0.01mgから約3000mgの範囲とすることができるが、これらは通常、一日につき患者の体重1kgあたり約0.01mgから約2500mg、または一日につき患者の体重1kgあたり約0.01mgから約1000mgである。一実施形態では、有効投与量は、一日につき患者の体重1kgあたり約100mg以下である。別の実施形態では、有効投与量は、一日につき患者の体重1kgあたり約0.01mgから約100mgの本発明の化合物の範囲であり、別の実施形態では、一日につき患者の体重1kgあたり約0.02mgから約50mgであり、別の実施形態では、一日につき患者の体重1kgあたり約0.025mgから約20mgである。
投与は、単一用量または分割した用量とすることができる。一実施形態では、状態が寛解するまで、約24時間おきに有効投与量を投与する。別の実施形態では、状態が寛解まで約12時間おきに有効投与量を投与する。別の実施形態では、状態が寛解するまで、約8時間おきに有効投与量を投与する。別の実施形態では、状態が寛解するまで、約6時間おきに有効投与量を投与する。別の実施形態では、状態が寛解するまで、約4時間おきに有効投与量を投与する。本明細書中に記載されている有効投与量は、投与される総量を指し、すなわち、2つ以上の本発明の化合物が投与される場合、有効投与量は、投与される総量に相当する。
μ−オピオイド受容体を発現することが可能な細胞を、本発明の化合物とインビトロで接触させる場合、細胞内のμ−オピオイド受容体機能を阻害または活性化するために有効な量は通常、薬学的に許容される担体または添加剤中の本発明の化合物の溶液剤または懸濁剤、約10−12モル/Lから約10−4モル/L、または約10−12モル/Lから約10−5モル/L、または約10−12モル/Lから約10−6モル/L、または約10−12モル/Lから約10−9モル/Lの範囲とすることができる。一実施形態では、本発明の化合物を含む溶液剤または懸濁剤の容量は、約0.01μLから約1mLとすることができる。別の実施形態では、溶液剤または懸濁剤の容量は、約200μLとすることができる。
δ−オピオイド受容体を発現することが可能な細胞を、本発明の化合物とインビトロで接触させる場合、細胞内のδ−オピオイド受容体機能を阻害または活性化するために有効な量は通常、薬学的に許容される担体または添加剤中の本発明の化合物の溶液剤または懸濁剤、約10−12モル/Lから約10−4モル/L、または約10−12モル/Lから約10−5モル/L、または約10−12モル/Lから約10−6モル/L、または約10−12モル/Lから約10−9モル/Lの範囲とすることができる。一実施形態では、本発明の化合物を含む溶液剤または懸濁剤の容量は、約0.01μLから約1mLとすることができる。別の実施形態では、溶液剤または懸濁剤の容量は、約200μLとすることができる。
κ−オピオイド受容体を発現することが可能な細胞を、本発明の化合物とインビトロで接触させる場合、細胞内のκ−オピオイド受容体機能を阻害または活性化するために有効な量は通常、薬学的に許容される担体または添加剤中の本発明の化合物の溶液剤または懸濁剤、約10−12モル/Lから約10−4モル/L、または約10−12モル/Lから約10−5モル/L、または約10−12モル/Lから約10−6モル/L、または約10−12モル/Lから約10−9モル/Lの範囲とすることができる。一実施形態では、本発明の化合物を含む溶液剤または懸濁剤の容量は、約0.01μLから約1mLとすることができる。別の実施形態では、溶液剤または懸濁剤の容量は、約200μLとすることができる。
ORL−1受容体を発現することが可能な細胞を、本発明の化合物とインビトロで接触させる場合、細胞内のORL−1受容体機能を阻害または活性化するために有効な量は通常、薬学的に許容される担体または添加剤中の化合物の溶液剤または懸濁剤、約10−12モル/Lから約10−4モル/L、または約10−12モル/Lから約10−5モル/L、または約10−12モル/Lから約10−6モル/L、または約10−12モル/Lから約10−9モル/Lの範囲とすることができる。一実施形態では、本発明の化合物を含む溶液剤または懸濁剤の容量は、約0.01μLから約1mLとすることができる。別の実施形態では、溶液剤または懸濁剤の容量は、約200μLとすることができる。
本発明の化合物は、ヒトで使用する前に、所望の治療または予防のための活性について、インビトロまたはインビボでアッセイすることができる。動物モデル系を使用することによって、安全性および効力を実証することができる。本発明の特定の化合物は、約0.5mg/kgから約20mg/kgの範囲の、炎症性疼痛の治療のためのED50を有することが予期される。本発明の特定の化合物は、呼吸抑制を誘発しない用量で、有意な鎮痛性および/または抗痛覚過敏を生じることが予期される。対照的に、モルヒネなどの従来のオピオイドの有効量を与えたラットからの血液試料では、酸素圧、酸素飽和およびpHが有意に減少する一方、二酸化炭素が有意に増加する。
本発明によると、それを必要とする患者において状態を治療または予防するための方法は、本発明の化合物(すなわち、第1の治療薬)に加えて第2の治療薬の有効量を患者に同時投与することをさらに含む。第2の治療薬の有効量は、既知であり得るか、または本開示および出版されている臨床研究を考慮して開業医により決定され得る。本発明の一実施形態において、状態(例えば、疼痛)の治療のために第2治療薬が患者に投与される場合、本発明の化合物(すなわち、第1治療薬)の最小有効量は、第2の治療薬が投与されない状況での最小有効量よりも少ないことになる。この実施形態では、本発明の化合物および第2の治療薬は、追加的または相乗的に作用することによって、状態を治療または予防することができる。あるいは、第2の治療薬を使用することによって、第1の治療薬の投与の対象の状態とは異なる障害を治療または予防することができ、この障害は、本明細書中の上記に定義された状態であってもなくてもよい。一実施形態では、本発明の化合物は、本発明の化合物の有効量と、第2の治療薬の有効量とを含む単一組成物として、第2の治療薬と共に同時に投与される。あるいは、本発明の化合物の有効量を含む組成物および第2の治療薬の有効量を含む第2の組成物が同時に投与される。別の実施形態では、本発明の化合物の有効量は、第2の治療薬の有効量の投与の前または後に投与される。この実施形態では、第2の治療薬がその治療効果を発揮している間に、本発明の化合物が投与され、または本発明の化合物が、状態を治療または予防するためにその治療効果を発揮している間に、第2の治療薬が投与される。
第2の治療薬は、これらに限定されないが、オピオイドアゴニスト、非オピオイド鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗片頭痛剤、Cox−II阻害剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、抗催吐剤、β−アドレナリン遮断薬、抗痙攣剤、抗うつ剤、Ca2+チャネル遮断剤、抗癌剤、UIを治療もしくは予防するための薬剤、不安を治療もしくは予防するための薬剤、記憶障害を治療もしくは予防するための薬剤、肥満を治療もしくは予防するための薬剤、便秘を治療もしくは予防するための薬剤、咳を治療もしくは予防するための薬剤、下痢を治療もしくは予防するための薬剤、高血圧を治療もしくは予防するための薬剤、てんかんを治療もしくは予防するための薬剤、食欲不振症/悪液質を治療もしくは予防するための薬剤、薬物乱用を治療もしくは予防するための薬剤、潰瘍を治療もしくは予防するための薬剤、IBDを治療もしくは予防するための薬剤、IBSを治療もしくは予防するための薬剤、嗜癖障害を治療もしくは予防するための薬剤、パーキンソン病およびパーキンソニズムを治療もしくは予防するための薬剤、脳卒中を治療もしくは予防するための薬剤、てんかんを治療もしくは予防するための薬剤、掻痒状態を治療もしくは予防するための薬剤、精神病を治療もしくは予防するための薬剤、ハンチントン舞踏病を治療もしくは予防するための薬剤、ALSを治療もしくは予防するための薬剤、認知障害を治療もしくは予防するための薬剤、片頭痛を治療もしくは予防するための薬剤、嘔吐を治療、予防もしくは阻害するための薬剤、ジスキネジーを治療もしくは予防するための薬剤、うつ病を治療もしくは予防するための薬剤、またはこれらの任意の混合物であってよい。
本発明の組成物は、本発明の化合物を、薬学的に許容される担体または添加剤と混和するステップを含む方法により調製される。混和は、化合物(または誘導体)と薬学的に許容される担体または添加剤を混和するための既知の方法を用いて達成することができる。一実施形態では、本発明の化合物は、有効量で組成物中に存在する。
本発明はまた、本発明の化合物の有効量を含有する滅菌容器と、療法的使用のための使用説明書とを含むキットにも関する。
以下の実施例は例示的であり、本発明の化合物、組成物および方法を限定するものではない。臨床療法において通常、遭遇し、本開示を考慮して当業者には明らかである様々な条件およびパラメーターの適切な修正および適合は、本発明の趣旨および範囲内である。
(実施例)
(1bR,2R,7bS)−12−(シクロプロピルメチル)−6−メトキシ−1,1b,2,3,8,9a−ヘキサヒドロ−2,7b−(エピミノエタノ)シクロプロパ[a]フェナントレン−9(1aH)−オン(1)
スクリュートップセプタムを備えた50mlバイアルに、60%NaH(161mgs、4.02mmol)の乾燥DMSO(5ml)中懸濁液を入れた。懸濁液に、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(885mg、4.02mmol)を一度に加えた。懸濁液を室温で15分間撹拌した。次いで、化合物AA(1000mg、3.09mmol)の乾燥DMSO(2ml)中溶液を懸濁液に滴加した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで50℃に2時間加熱した。混合物を氷浴内で冷却し、浴内でバイアルを回転させながら少しずつ加えた10mlの水でクエンチした。混合物を100mlの水で希釈し、2×100mlのEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、表題化合物1を得た。
1H NMR δ
H (400 MHz, CD
3OD): 7.24-7.13 (m, 1H), 6.89-6.81 (m, 1H), 6.80-6.75 (m, 1H), 4.42-4.27 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.54-3.33 (m, 3H), 3.26-2.89 (m, 3H), 2.70-2.39 (m, 3H), 2.09-1.97 (m, 1H), 1.78-1.10 (m, 6H), 0.87-0.75 (m, 2H), 0.56-0.42 (m, 2H).
LC/MS、m/z=338[M+H]
+(計算値:337)。
出発化合物AAを以下の通り調製した:
(a)化合物CCの調製:
化合物BB(ナロキソン塩酸塩二水和物)(150g、375mmol)をDMF(500ml)中に溶解した。炭酸カリウム(156g、1125mmol)を溶液に加え、20分間撹拌した。次いで、ヨウ化メチル(53.2g、23.35ml、375mmol)をDMF(20ml)中に溶解し、滴下漏斗を使用して滴加した。混合物を18時間撹拌し、この時点で反応は完了した。反応混合物を、撹拌しながら水(2リットル)中にゆっくりと滴下すると、沈殿物が形成した。白色の沈殿物を真空濾過し、2×500mlの水で洗浄した。フィルターケーキを真空オーブン内で乾燥させることによって、白色の固体として生成物を得た。
LC/MS、m/z=342[M+H]
+(計算値:341)。
(b)化合物DDの調製:
化合物CC(100g、293mmol)をDCM(400ml)中に溶解した。溶液に、N、N’−ジメチルバルビツル酸(137.2g、880mmol)およびテトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)(10.15g、8.80mmol)を加えた。混合物を10分間撹拌し、次いで40度に2時間加熱した。加温のスイッチを切り、混合物を撹拌し、室温に18時間冷却した。混合物を200mlの水でクエンチし、さらに750mlの水で希釈し、抽出漏斗内で振盪した。層が分離したら、水層を1Nの水性HClで酸性化した。漏斗を再度振盪し、有機層を廃棄した。水層を2Nの水性NaOHで塩基性化し、次いで生成物を10%メタノールのジクロロメタン(500ml)中溶液を用いて分配した。新鮮なメタノール/DCMを用いて抽出を繰り返した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮してペーストにした。このペーストを500mlのメタノールで再スラリー化し、濾過した。フィルターケーキを500mlの10%DCM/ヘキサンで洗浄した。ケーキを真空オーブン内で乾燥させることによって、化合物DDを得た。
LC/MS、m/z=302[M+H]
+(計算値:301)。
(c)化合物EEの調製:
化合物DD(55g、182mmol)をアセトニトリル(300ml)中に溶解した。溶液に炭酸カリウム(63g、455mmol)を加えた。混合物を約20分間撹拌した。次いで、シリンジを用いてシクロプロピルメチルブロミド(32g、23ml、237mmol)をフラスコに滴加した。混合物を85℃に16時間加熱し、この時点でアルキル化が完了した。混合物を冷却し、濾過した。ケーキを200mlのアセトニトリルで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、500mlのDCM中で溶解した。溶液を2×300mlの水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮することによって、化合物EEを得た。
LC/MS、m/z=356[M+H]
+(計算値:355)。
(d)化合物FFの調製:
化合物EE(64g、180mmol)をアセトン(400ml)中に溶解した。溶液に飽和水性NH
4Cl(70ml)を加えた。懸濁液に、粉末状の亜鉛(59g、900mmol)を加えた。混合物を70℃で3時間撹拌し、この時点で反応が完了した。セライトのパッドを介して反応混合物を濾過した。濾液を600mlのDCMおよび1リットルの水で希釈し、分配した。水層を2Nの水性NaOHで塩基性化し、再度分配した。水層をもう600mlのDCMで洗浄し、元の有機層を1Nの水性NaOHおよびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。残渣をアセトン中に溶解し、750グラムのカラムおよびヘキサン中アセトンの勾配(最大30%)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーでクロマトグラフを行うことによって、化合物FFを得た。
LC/MS、m/z=358[M+H]
+(計算値:357)。
(e)化合物GGの調製:
化合物FF(12g、33.6mmol)、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)(14.39g、40.3mmol)、および炭酸セシウム(14.22g、43.6mmol)をTHF(60ml)中に溶解した。混合物を65℃に加熱し、18時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、DCM(2×200ml)およびブライン(200ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮することによって、化合物GGを得た。
LC/MS、m/z=490[M+H]
+(計算値:489)。
(f)化合物HHの調製:
化合物GG(14g、28.6mmol)を乾燥DMF(100ml)中に溶解した。溶液に、酢酸パラジウム(642mg、2.86mmol)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)(1.18mg、2.86mmol)を加えた。懸濁液を20分間撹拌した。次いで、トリエチルシラン(8.31g、11.42ml、71.5mmol)を一度に加えた。混合物を70℃に30分間加熱した。DMFの約半分をロータバップで除去した。濃縮した混合物を500mlの水および250mlのDCMで希釈した。水層を1Nの水性HClで約pH2に酸性化し、混合物を振盪し、分配した。有機層を廃棄した。水層を2Nの水性NaOHで塩基性化し、500mlのDCMで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、暗色の液体に濃縮した。330gのカラムおよびヘキサン中EtOAcの勾配(最大100%)を使用するコンビフラッシュ(登録商標)で残渣をクロマトグラフにかけることによって、化合物HHを得た。
LC/MS、m/z=342[M+H]
+(計算値:341)。
(g)化合物JJの調製:
化合物HH(3g、8.79mmol)を10mlのトルエン中に溶解した。次いでエチレングリコール(1.636g、1.5ml、26.4mmol)を加え、続いてトス酸(1.67g、8.79mmol)を加えた。混合物を18時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却した後、EtOAc(200ml)をフラスコに加え、溶液を2×200mlの飽和水性NaHCO
3で洗浄した。合わせた水層を200mlのEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮乾燥させることによって、化合物JJを得た。
LC/MS、m/z=386[M+H]
+(計算値:385)。
(h)化合物KKの調製:
化合物JJ(3.2g、8.3mmol)をピリジン(20ml)中に溶解し、氷浴内で20分間冷却した。次いで、塩化チオニル(2.2ml、30mmol)を滴加した。氷浴を除去し、反応物を室温で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、DCM中メタノールの勾配(最大40%)を溶出液として有する80グラムのカラムを使用するコンビフラッシュによるクロマトグラフを行うことによって、化合物KKを得た。
LC/MS、m/z=368[M+H]
+(計算値:367)。
(i)化合物AAの調製:
化合物KK(3g、8.16mmol)を3Nの水性HCl(15ml)中に溶解/懸濁させた。混合物を18時間加熱還流した。次いで、反応混合物を氷/ブライン浴内で20分間冷却し、次いで2Nの水性NaOHでpH11に塩基性化した。混合物を2×250mlのDCMで抽出し、合わせた有機層を200mlのブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。80グラムのシリカカラムおよびDCM中MeOHの勾配(最大40%)を溶出液として使用するコンビフラッシュで残渣をクロマトグラフにかけることによって、異性体の混合物として化合物AAを得た。
LC/MS、m/z=324[M+H]
+(計算値:323)。
(1bR,2R,7bS)−12−(シクロプロピルメチル)−6−メトキシ−1,1a,1b,2,3,8,9,9a−オクタヒドロ−2,7b−(エピミノエタノ)シクロプロパ[a]フェナントレン−9−オール(2)
化合物1(186mg、0.55mmol)を4mlのメタノール中に溶解し、氷浴内で15分間冷却した。次いで、NaBH
4(233mg、6.16mmol)を溶液に少しずつ加えた。浴を直ちに除去し、混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、4グラムのシリカカラムおよびDCM中メタノールの勾配(最大40%)を溶出液として使用するコンビフラッシュ(登録商標)で残渣をクロマトグラフにかけることによって、透明な残渣を得て、次いでこれをEtOAcおよびヘキサンから結晶化することによって、表題化合物2を得た。
1H NMR δ
H (400 MHz, CD
3OD): 7.15-7.08 (m, 1H), 7.06-7.00 (m, 1H), 6.84-6.76 (m, 1H), 4.23-4.05 (m, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.55-3.39 (m, 1H), 3.22-2.94 (m, 2H), 2.62-2.46 (m, 2H), 1.90-1.59 (m, 4H), 1.20-1.06 (m, 1H), 0.98-0.72 (m, 5H), 0.52-0.41 (m, 2H), 0.27-0.17 (m, 1H).
LC/MS:m/z=340[M+H]
+(計算値:339)。
(2R,7bS)−9−(アリルオキシ)−12−(シクロプロピルメチル)−6−メトキシ−1,1a,1b,2,3,8,9,9a−オクタヒドロ−2,7b−(エピミノエタノ)シクロプロパ[a]フェナントレン(3)
スクリュートップセプタムを備えた50mlバイアルに、60%NaH(177mg、4.42mmol)の乾燥THF(5ml)中懸濁液を入れた。懸濁液に、化合物2(250mg、0.736mmol)のTHF溶液5mlを一度に加えた。懸濁液を室温で2時間撹拌した。次いで、バイアルを70℃に加熱した。加熱した懸濁液に、シリンジを介してヨウ化アリル(136mg、0.810mmol)を加えた。混合物を70℃で4時間撹拌し、次いで5mlの水で希釈した。混合物を10mlのEtOAcで抽出した。有機層を5mlの水で洗浄し、続いて5mlのブラインで洗浄した。乾燥剤を使用せずに有機層を濃縮し、40グラムのシリカカラムおよびDCM中メタノールの勾配(最大5%)を溶出液として使用するコンビフラッシュ(登録商標)でクロマトグラフを行った。材料を分取HPLCでさらに精製することによって、表題化合物3を得た。
1H NMR δ
H (400 MHz, CD
3OD): 7.14-7.05 (m, 1H), 7.00-6.91 (m, 1H), 6.83-6.72 (m, 1H), 5.92-5.76 (m, 1H), 5.22-5.12 (m, 1H), 5.11-5.02 (m, 1H), 4.23-3.95 (m, 3H), 3.51-3.39 (m, 1H), 3.23-3.09 (m, 1H), 3.04-2.93 (m, 1H), 2.68-2.47 (m, 2H), 1.98-1.47 (m, 4H), 1.20-1.05 (m, 1H), 0.98-0.70 (m, 5H), 0.52-0.39 (m, 2H), 0.26-0.13 (m, 1H).
LC/MS:m/z=380[M+H]
+(計算値:379)。
(2R,7bS)−12−(シクロプロピルメチル)−6−メトキシ−9−メチレン−1,1a,1b,2,3,8,9,9a−オクタヒドロ−2,7b−(エピミノエタノ)シクロプロパ[a]フェナントレン(4)
化合物1(355mg、1.052mmol)をTHF(5ml)中に溶解した。溶液に、臭化メチルトリフェニルホスフィン(451mgs、1.262mmol)を加えた。混合物を氷浴内で15分間冷却した。次いで、カリウムtert−ブトキシド(1.262ml、THF中1M)をシリンジで滴加した。浴を除去し、混合物を室温で72時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、10mlの水で希釈し、2×10mlのDCMで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。40グラムのシリカカラムおよびDCM中MeOHの勾配(最大40%)を使用して、残渣をクロマトグラフにかけ、次いで分取HPLCでさらに精製することによって、表題化合物4を得た。
1H NMR δ
H (400 MHz, CD
3OD): 7.15-7.07 (m, 1H), 6.85-6.73 (m, 2H), 5.00-4.88 (m, 2H), 4.25-4.11 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.44-3.33 (m, 3H), 3.23-2.82 (m, 3H), 2.69-2.57 (m, 1H), 2.27-2.01 (m, 2H), 2.01-1.81 (m, 1H), 1.69-1.60 (m, 1H), 1.52-1.32 (m, 1H), 1.23-0.72 (m, 5H), 0.57-0.42 (m, 3H).
LC/MS、m/z=336[M+H]
+(計算値:335)。
(4aR,4bR,5R,10bS,12aR)−15−(シクロプロピルメチル)−9−メトキシ−2,3,4,4a,5,6,11,12a−オクタヒドロ−1H−5,10b−(エピミノエタノ)−1,4−エタノクリセン−12(4bH)−オン(5)
(a)化合物MMの調製:無水の塩化アルミニウム(12mg、0.09mmol、Aldrich)、化合物1(60mg、0.18mmol)、および乾燥トルエン(1mL、6mLバイアル)の懸濁液を、窒素下、室温で40分間撹拌し、次いで1,3−シクロヘキサジエン(LL)(100mg、1mLの乾燥トルエン中)溶液を加えた。反応混合物を80℃で12時間加熱した。室温に冷却した後、反応を水(1mL、および0.5mLの2Nの水性NaOH)でクエンチし、CHCl
3(2×6mL)で抽出した。合わせたCHCl
3層を濃縮し、逆相分取HPLC(C18、0〜100%、水中0.1%TFA/ACN中0.1%TFA)で精製することによって、白色の固体のTFA塩として化合物MMを得た(15mg、20%)。
1H NMR δ
H (400 MHz, CD
3OD): 7.09 (d, 1H, J = 9.2Hz), 6.76 (dd, 1H, J = 2.2 & 8.1Hz), 6.6 (d, 1H, J = 2.6Hz), 6.2 - 6.32 (m, 2H), 4.03 - 4.07 (m, 1H), 3.64 (s, 3H, -OCH
3), 3.56 - 3.6 (m, 1H), 3.44 - 3.48 (m, 1H), 3.32 - 3.4 (m, 1H), 3.0 - 3.08 (m, 2H), 2.56 - 2.82 (m, 4H), 1.8 - 2.04 (m, 5H), 1.64 - 1.72 (m, 1H), 1.36 - 1.44 (m, 2H), 1.04 - 1.24 (m, 3H), 0.68 - 0.72 (m, 2H), 0.36 - 0.42 (m, 2H);LC/MS:m/z=404.2[M+H]
+(計算値:403.6)。
(b)化合物MM(10mg)のMeOH(10mL)中溶液を、H−Cube(登録商標)(1バール、1mL/分、10%Pd/C)に2時間通した。溶媒を除去し、残渣を逆相分取HPLC(C18、0〜100%、水中0.1%TFA/ACN中0.1%TFA)で精製することによって、白色の固体のTFA塩として表題化合物5を得た(5mg、46%)。
1H NMR δH (400 MHz, CD3OD): 7.1 (d, 1H, J = 8.5Hz), 6.74 -6.78 (m, 1H), 6.66 (s, 1H), 4.0 - 4.04 (m, 1H), 3.64 (s, 3H, -OCH3), 3.26 - 3.56 (m, 4H), 3.0 - 3.1 (m, 2H), 2.32 - 2.68 (m, 3H), 1.3 - 2.08 (m, 14H), 1.02 - 1.08 (m, 1H), 0.65 - 0.72 (m, 2H), 0.36 - 0.42 (m, 2H).
LC/MS、m/z=406.4[M+H]+(計算値:405.6)。
以下の表は、μ−およびκ−オピオイド受容体における本発明の例示的化合物の結合および活性応答の効力についての結果を提供している。
表1において、本発明のある化合物のμ−およびκ−オピオイド受容体への結合親和力は、上に記載のように決定した。
表2において、本発明のある化合物のμ−およびκ−オピオイド受容体に対する活性応答は、HEK−293細胞を使用して、機能アッセイに対して上に記載されているように決定された。
表3において、本発明のある化合物のμオピオイド受容体およびκオピオイド受容体に対する活性応答は、U−2 OS細胞を使用して、機能アッセイに対して上に記載されているように決定された。
表1、2および3のインビトロ試験結果は、本発明の代表的化合物がオピオイド受容体に対して高い結合親和力を一般的に有し、これらの化合物は、部分的アゴニストからフルアゴニストまでのアゴニストとしてこれらの受容体を活性化することを示している。したがって、本発明の化合物は、1種または複数のオピオイド受容体の活性化に応答する状態、特に疼痛を治療するのに有用であることが予期される。
ここまで本発明を完全に記載してきたが、当業者であれば、本発明は、本発明またはその任意の実施形態の範囲に影響を及ぼすことなく、広い、および同等の範囲の条件、配合および他のパラメーターで実施することができることを理解されたい。
本発明の他の実施形態は、本明細書中に開示されている本発明の明細および実施を考察することによって、当業者には明白となろう。本明細書および実施例は、例示的なものにすぎないとみなし、本発明の実際の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲により示されるものとする。
本明細書中に引用されたすべての特許、特許出願および出版物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれている。