内視鏡は、細長い挿入部を被検体内に挿入することによって、挿入部の先端に設けられた観察用レンズを用いて被検体内を観察することができる。
また、挿入部の先端に送気送水ノズルが設けられた構成も周知である。送気送水ノズルは、観察用レンズに流体を供給することによって観察用レンズの汚れを除去したり、例えば医療用の内視鏡であれば、体腔内に気体を供給することによって体腔内を膨張させて体腔内の観察視野を確保したりするものである。
送気送水ノズルは、挿入部内に設けられた送気送水管路の先端に接続されている。送気送水管路は、例えば挿入部内において送気管路と送水管路とに分岐され、送気管路は、気体供給源及び液体供給源にそれぞれ接続されている。さらに、送水管路は、液体供給源に接続されている。
また、内視鏡の挿入部の基端に連設された操作部に、管路切換ピストンが設けられている構成が周知である。
管路切換ピストンは、送気送水ノズルから供給される流体を気体と液体とにおいて切り換えるとともに、送気送水ノズルからの流体の供給状態と遮断状態とを切り換える。
また、管路切換ピストンは、操作部内において、送気管路及び送水管路の中途位置に接続されたシリンダに対して進退自体に嵌挿される。
シリンダには、送気管路の上流側と下流側とがそれぞれ接続されているとともに、送水管路の上流側と下流側とがそれぞれ接続されている。
管路切換ピストンは、送気管路の上流側と下流側との連通状態を連通と遮断との間で切り換えるとともに、送水管路の上流側と下流側との連通状態を連通と遮断との間で切り換える。
具体的には、管路切換ピストンは、軸部材と、該軸部材の外周面に被覆されるとともにシリンダの内周面に水密気密に当接する複数のシール部とから構成されている。
管路切換ピストンは、既知のように、シリンダに対して軸部材を進退移動させることによって、シリンダの内周面に対する複数のシール部の当接位置を変化させる。
このことにより、送気管路の上流側と下流側との連通状態を連通と遮断との間で切り換えるとともに、送水管路の上流側と下流側との連通状態を連通と遮断との間で切り換える構成を有している。
より具体的には、軸部材には、径方向に貫通孔が形成されている。また、軸部材には、該貫通孔に連通するとともに軸部材上部に設けられたリーク孔に連通する連通路が軸部材の延在方向に沿って形成されている。
複数のシール部により送気管路及び送水管路の連通状態が遮断されている流体遮断状態においては、送気管路の上流側からシリンダに供給された気体は、貫通孔、連通路、リーク孔を介して大気開放されることから、送気送水ノズルからの流体の供給が遮断される。
流体遮断状態からリーク孔が操作者により塞がれているリーク孔閉塞状態においては、シリンダ内において送気管路の上流側と下流側との連通を塞ぐシール部が送気管路の上流側からシリンダ内に供給された気体により変形する。
その結果、送気管路の上流側と下流側とを塞ぐシール部がシリンダ内周面に非当接となることから、送気管路の上流側と下流側とが連通するため、送気送水ノズルから気体が吐出される。
リーク孔閉塞状態からシリンダ内において軸部材が移動された状態においては、複数のシール部のシリンダ内周面に対する当接位置が変化する。
このため、シリンダ内において送水管路の上流側と下流側とを塞ぐシール部がシリンダ内周面から離間することにより、送水管路の上流側と下流側とが連通する。
さらに、シリンダ内において、送気管路の上流側と下流側とを塞ぐシール部により、送気管路の上流側と下流側との連通が遮断される。
その結果、気体は、液体供給源に供給されることから、気体により液体供給源から押し出された液体が、連通された送水管路を介して送気送水ノズルから吐出される。
ここで、シール部は、ステンレス等の軸部材の外周面に被覆されるOリング等から構成されているのが一般的である。
ところが、軸部材の移動に伴ってOリングがシリンダの内周面を摺動移動することから、軸部材の外周面に対するOリングの位置がずれやすい。
よって、軸部材の外周面に、Oリングの取り付け強度補強部が設けられた構成が周知である。
しかしながら、この構成では、部品点数が増えてしまい、管路切換ピストンの構成が複雑になってしまうといった問題があった。
このような問題に鑑み、米国特許第9,161,680号公報では、軸部材が樹脂等から射出成形されるとともに、軸部材の外周面において軸部材に沿って溝部が形成され、該溝部に金型を用いて樹脂等のシールユニットが射出成形された管路切換ピストンの構成が開示されている。
尚、シールユニットは、複数のシール部と該シール部間を延在方向に沿って連結する連結部とから構成されている。
シールユニットは、軸部材の溝部に射出成形されることにより軸部材と一体的に形成されるため、強度補強部を用いなくとも軸部材の外周面に対する固定強度が向上されている。
しかしながら米国特許第9,161,680号公報に開示された管路切換ピストンにおいては、軸部材の外周面に、軸部材の延在方向に沿ってシールユニットが射出成形される溝部が形成されている。
このため、シールユニットを射出成形する際に用いる金型の形状が複雑になってしまい、製造コストが増大してしまうといった問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、軸部材の外周面に対し複数のシール部が、安価に固定強度が向上されて一体成形された構成を具備する管路切換ピストン、内視鏡を提供することを目的とする。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
図1は、本実施の形態の管路切換ピストンが設けられた内視鏡を具備する内視鏡装置を概略的に示す図、図2は、図1の内視鏡における送気送水ノズルに連通する管路構成を、送気送水切換装置及び送水タンクとともに概略的に示す図である。
図1に示すように、内視鏡装置101は、内視鏡102と周辺装置100を具備して主要部が構成されている。
周辺装置100は、架台130に載置された、光源装置133と、ビデオプロセッサ134と、モニタ136と、送水タンク137とを具備している。
尚、光源装置133内に、気体供給ポンプ133p(図2参照)が設けられている。
内視鏡102は、被検体内に挿入される挿入部104と、該挿入部104の基端に連設された操作部103と、該操作部103から延出されたユニバーサルコード105と、該ユニバーサルコード105の延出端に設けられたコネクタ132とを具備して主要部が構成されている。コネクタ132は、光源装置133に対して着脱自在となっている。
尚、コネクタ132とビデオプロセッサ134とは、接続ケーブル135によって電気的に接続される。
また、コネクタ132の口金132k(図2参照)を介して、送水タンク137から延出されたチューブ138がコネクタ132内に挿通されている。
挿入部104は、該挿入部104の先端側に位置する先端部106と、操作部103に設けられた湾曲操作ノブ109により、例えば上下左右の4方向に湾曲操作される湾曲部107と、該湾曲部107の基端に連設された可撓管部108とにより構成されている。
先端部106の先端面106sに、内視鏡102内に設けられた図示しない処置具挿通用管路の開口110と、観察用レンズ121と、送気送水ノズル123と、照明窓125等が設けられている。
送気送水ノズル123は、操作部3に設けられた送気送水釦63が操作されることにより、観察用レンズ121に向けて液体を供給することによって観察用レンズ121に付着した汚れを除去するものである。
さらに、送気送水ノズル123は、被検体内に気体を供給して被検体内を膨張させ観察用レンズ121の観察視野を確保するものである。
照明窓125は、被検体内に照明光を供給するものである。尚、照明窓125の代わりに、先端面106sにLED等の発光素子が設けられていても構わない。
図2に示すように、送気送水ノズル123に、送気送水管路30の先端が接続されている。
送気送水管路30は、挿入部104内において、下流側送気管路(以下、単に送気管路と称す)36と下流側送水管路(以下、単に送水管路と称す)38とに分岐されている。
また、各管路36、38の基端は、操作部3に設けられた管路切換装置13におけるシリンダ35に接続されている。
また、シリンダ35には、上流側送気管路(以下、単に送気管路と称す)37及び下流側送水管路(以下、単に送水管路と称す)39の先端が接続されている。
送気管路37の基端は、コネクタ132が光源装置133に装着された際、光源装置133内に設けられた気体供給ポンプ133pに接続される。
尚、コネクタ132内において、送気管路37に、送水タンク137から延出されたチューブ138が接続されている。即ち、送気管路37は、チューブ138を介して送水タンク137に接続されている。
送水管路39は、基端側がチューブ138内に挿通されることにより、基端が送水タンク137内に位置している。
管路切換装置13は、シリンダ35と、該シリンダ35に進退自在に嵌挿される管路切換ピストン10とを具備して主要部が構成されている。
また、管路切換装置13は、送気管路37と送気管路36との連通状態を、連通と遮断とに切り換えるとともに、送水管路38と送水管路39との連通状態を、連通と遮断とに切り換える。
次に、図2の管路切換装置13の構成を、図3〜図5を用いて説明する。図3は、図2の管路切換装置の構成を概略的に示す部分断面図、図4は、図3の送気送水釦のリーク孔が塞がれ、シリンダ内において下流側送気管路と上流側送気管路とが連通された状態を概略的に示す部分断面図、図5は、図3の送気送水釦が押下され、シリンダ内において下流側送気管路と上流側送気管路との連通が遮断されるとともに、下流側送水管路と上流側送水管路とが連通された状態を概略的に示す部分断面図である。
図3〜図5に示すように、操作部103を構成する外装部材33に、取り付け孔34が外装部材33を後述する延在方向Eに貫通するよう形成されており、取り付け孔34に、シリンダ35が固定されている。
シリンダ35は、例えば金属から段差のある略円筒状に形成されている。また、シリンダ35の側壁に、上述した送気管路37、送水管路39、送気管路36、送水管路38が、図3中上側から下側に向かって送気管路36、送気管路37、送水管路38、送水管路39の順に、シリンダ35内に連通するよう接続されている。
シリンダ35の開口部の外周面に、ネジ部が形成されている。シリンダ35は、該シリンダ35のネジ部に、外装部材33の外側から口金41をねじ込むことにより、外装部材33を内外側から挟み込むよう外装部材33に固定されている。
尚、口金41の外周には、口金41をシリンダ35のネジ部に取り付ける際、口金41を回転させるための治具が嵌入される治具穴42が設けられている。
口金41は、上部フランジ41aと下部フランジ41bとを有している。口金41は、下部フランジ41bによって取り付け孔34の内周面に形成された環状溝43内のOリング44が圧縮されることにより、取り付け孔34が封止された状態で、シリンダ35に固定されている。このことにより、操作部103内への気体及び液体の進入が防がれている。
管路切換ピストン10は、例えば樹脂から構成された軸部材であるピストン本体45を具備している。尚、ピストン本体45は、例えば射出成形により形成されている。
ピストン本体45の内部に、ピストン本体45の延在方向Eに沿って連通路46が形成されている。
また、ピストン本体45の連通路46の延在方向Eの下端(以下、単に下端と称す)に、該連通路46に連通するとともにピストン本体45を該ピストン本体45の径方向Kに貫通する貫通孔47が形成されている。
ピストン本体45の外周面45g上において、貫通孔47の延在方向Eの上部(以下、単に上部と称す)近傍に、シールユニット50(図6参照)のリング状のシール部54が、射出成形によりピストン本体45に一体形成されている。シール部54は、例えば樹脂から構成されるとともにシリンダ35の内周面35nに弾性的に接触する。
また、ピストン本体45の外周面45gにおいて、シール部54よりも延在方向Eの上方(以下、単に上方と称す)に、内周面35nに当接する面を有するスライダ45wがピストン本体45と一体的に形成されている。
尚、スライダ45wは、内周面35nに当接することにより、シリンダ35に対してピストン本体45が軸ずれしてしまうことを防ぐ部材である。
さらに、外周面45gにおいて、スライダ45wの上部に、例えば樹脂から構成されるとともにシリンダ35の内周面35nに弾性的に接触するシールユニット50(図6参照)のリング状のシール部53が、射出成形によりピストン本体45に一体形成されている。即ち、シール部53は、延在方向Eにおいて、シール部54から設定間隔E1(図6参照)だけ上方に離間して位置している。
また、ピストン本体45の外周面45g上において、貫通孔47の延在方向Eの下部(以下、単に下部と称す)近傍に、シールユニット50(図6参照)のリング状のシール部55が、射出成形によりピストン本体45に一体形成されている。
シール部55は、例えば樹脂から構成されるとともにシリンダ35の内周面35nに弾性的に接触する。即ち、シール部55は、延在方向Eにおいて、シール部54から設定間隔E2(図6参照)だけ延在方向Eの下方(以下、単に下方と称す)に離間して位置している。
また、ピストン本体45の外周面45gにおいて、シール部55の下部近傍に、内周面35nに当接する面を有するスライダ45vがピストン本体45と一体的に形成されている。
尚、スライダ45vは、内周面35nに当接することにより、シリンダ35に対してピストン本体45が軸ずれしてしまうことを防ぐ部材である。
さらに、ピストン本体45の外周面45g上において、スライダ45vよりも下方に、シールユニット50(図6参照)のリング状のシール部56が、射出成形によりピストン本体45に一体形成されている。
シール部56は、例えば樹脂から構成されるとともにシリンダ35の内周面35nに弾性的に接触する。即ち、シール部56は、延在方向Eにおいて、シール部55から設定間隔E3(図6参照)だけ下方に離間して位置している。
また、ピストン本体45の上部側の外周に、例えば硬質な部材から構成された円筒状のピストンストッパ60が設けられている。
ピストンストッパ60は、内向フランジ部60aを有し、該内向フランジ部60aに、ピストン本体45の外周面45gにおいて、シール部53よりも上部に設けられた外向フランジ部45aが当接自在となっている。
また、内向フランジ部60aの延在方向Eにおける上面(以下、単に上面と称す)と、ピストン本体45の延在方向Eの上端(以下、単に上端と称す)にネジ止め接着された送気送水釦63の延在方向Eにおける底面(以下、単に底面と称す)との間に、コイルスプリングから構成された付勢バネ61が介装されている。
付勢バネ61の付勢力により、送気送水釦63は上方に付勢されるとともに、ピストンストッパ60は下方に付勢されている。
また、図3に示すように、自然状態においては、外向フランジ部45aの上面が内向フランジ部60aの底面に当接されることにより、ピストン本体45が係止されている。
さらに、ピストンストッパ60の外周に、例えばゴムから構成された囲い部材62が、ピストンストッパ60と一体的に設けられている。
囲い部材62は、下端に設けられた内向突出部62aが、口金41における上部フランジ41aの底面に係合されている。また、送気送水釦63の中央部に、連通路46と連通するリーク孔64が形成されている。
次に、このように構成された管路切換装置13を用いた送気管路の連通状態の切換動作、送水管路の連通状態の切換動作を簡単に説明する。
先ず、図3に示すように、自然状態においては、ピストン本体45は、付勢バネ61の付勢力によって延在方向Eの上方に押し上げられている。この際、外向フランジ部45aの上面が内向フランジ部60aの底面に当接されていることにより、ピストン本体45の上方位置が規定されている。
また、シール部56により、シリンダ35内における送水管路39と送水管路38との連通が遮断されている。
さらに、シール部54、55により、シリンダ35内における送気管路37と送気管路36との連通が遮断されている。
このことから、気体供給ポンプ133pから送気管路37を介してシリンダ35内に供給された気体は、貫通孔47に流入し、連通路46を通過してリーク孔64から大気に流出されている。
次に、図4に示すように、操作者の指Fにより、リーク孔64が塞がれると、シール部54がシリンダ35内に供給された気体により折り曲げられ、シール部54は、シリンダ35の内周面35nから離間する。
その結果、送気管路37と送気管路36とが連通することから、気体は、送気管路37からシリンダ35を介して送気管路36に流入し、その後、送気管路36から送気送水管路30に流入した後、送気送水ノズル123から吐出される。
尚、この図4の状態においては、シール部56により、シリンダ35内における送水管路39と送水管路38との連通は、遮断されたままである。
次に、図5に示すように、操作者の指Fにより、リーク孔64が塞がれた状態において送気送水釦63が下方に押下操作されると、シリンダ35内において、ピストン本体45は、付勢バネ61の付勢力に抗して延在方向Eの下方に移動され、外向フランジ部45aは、内向フランジ部60aから下方に離間する。
その結果、シール部54は、シリンダ35の内周面35nに形成されたテーパ面35aに圧接され弾性変形して潰れることから、シリンダ35内における送気管路37と送気管路36との連通が遮断される。
さらに、シール部56は、ピストン本体45の下方への移動に伴い、シリンダ35の内周面35nから離間する。その結果、送水管路39と送水管路38とが連通する。
よって、気体供給ポンプ133pから供給された気体は、リーク孔64が塞がれているとともにシール部54により送気管路37と送気管路36との連通が遮断されていることから、図2に示すように、チューブ138を介して送水タンク137内に供給される。
その結果、送水タンク137内の液体は押し出され、送水管路39からシリンダ35内に流入された液体は、送水管路38に流入し、さらに送気送水管路30に流入した後、送気送水ノズル123から吐出される。
次に、図2〜図5に示した管路切換ピストン10の具体的な構成について、図6〜図19を用いて説明する。
図6は、図3の管路切換ピストンにおけるピストン本体とシールユニットとを示す斜視図、図7は、図6からシールユニットを取り除いてピストン本体のみを示す斜視図である。
また、図8は、図6の管路切換ピストンを、図6中のVIII方向からみた上面図、図9は、図6の管路切換ピストンを、図6中のIX方向からみた側面図、図10は、図8中のX-X線に沿う管路切換ピストンを、半分のみ断面にして示す図である。
さらに、図11は、図10中のXI-XI線に沿う管路切換ピストンの断面図、図12は、図10中のXII-XII線に沿う管路切換ピストンの断面図、図13は、図10中のXIII-XIII線に沿う管路切換ピストンの断面図、図14は、図10中のXIV-XIV線に沿う管路切換ピストンの断面図である。
また、図15は、図7のピストン本体を、図7中のXV方向からみた上面図、図16は、図7のピストン本体を、図7中のXVI方向からみた側面図、図17は、図15中のXVII-XVII線に沿うピストン本体を、半分のみ断面にして示す図である。
さらに、図18は、図17中のXVIII-XVIII線に沿うピストン本体の断面図、図19は、図17中のXIX-XIX線に沿うピストン本体の断面図である。
図7、図15〜図17に示すように、ピストン本体45の外周面45gに、平面部20が形成されている。
平面部20は、外面面45g上において互いに対向するとともに延在方向Eに沿って伸びる2つの縁部21、22を有するとともに、延在方向Eに沿って、外向フランジ部45aからピストン本体45の下端まで形成されている。
具体的には、平面部20は、図7、図15〜図19に示すように、径方向Kの断面が略円形に形成されたピストン本体45の外周面45gの一部が、貫通孔47の貫通方向Tと平行となるよう切り欠かれることによりピストン本体45の外周面45gに対し形成されている。
また、平面部20は、貫通孔47からピストン本体45の周方向に、略90°ずれた外周面45gの位置に形成されている。
尚、平面部20は、必ずしも貫通孔47から周方向に90°ずれた位置に形成されている必要は無い。しかしながら、90°ずれた位置に形成されている方が、後述するように、ピストン本体45の外周面45gにシールユニット50が、金型が用いられて射出成形された際、金型からシールユニット50が一体成形されたピストン本体45が取り出しやすくなるため好ましい。
また、平面部20は、シリンダ35の内周面35nに当接するスライダ45w、45vの上述した位置にも形成されるが、当然ながら、スライダ45w、45vに内周面35nに当接する面よりも径方向Kの内側に形成されている。即ち、スライダ45w、45vの平面部20が形成された領域は、内周面35nには当接しない。
また、図16〜図19に示すように、平面部20は、ピストン本体45の外周面45gに対し、ピストン本体45の延在方向Eに沿った中心軸Jを挟んだ両側に形成されている。
シールユニット50は、上述した複数のリング状のシール部53〜56と、該シール部53〜56と一体的に形成されるとともに延在方向Eに沿って隣接するシール部53、54間、シール部54、55間、シール部55、56間を連結する連結部59とから弾性力を有して構成されている。
尚、シールユニット50は、金型内に挿入された樹脂から構成されたピストン本体45に対して樹脂等を金型内に射出成形することにより、ピストン本体45の外周面45gに一体成形されている。
尚、シールユニット50を構成する材料としては、ピストン本体45に対して自己接着性を有する材料が好ましい。
例えば、ピストン本体45がポリカーボネートから構成されている場合は、シールユニット50は、ポリエステル系エラストマ樹脂から構成されていることが好ましい。
また、ピストン本体45がポリプロピレンから構成されている場合は、シールユニット50は、スチレン系熱可塑性エラストマ樹脂から構成されていることが好ましい。
さらに、ピストン本体45がポリサルフォンから構成されている場合は、シールユニット50は、シリコンから構成されていることが好ましいことが実験の結果、分かっている。
このことによれば、ピストン本体45の外周面45gに対するシールユニット50の形成に接着剤を用いなくて良いことから、管路切換ピストン10の成形費及び加工費を安くすることができる。
尚、シールユニット50を構成する材料としては、上述したものに限らず、ピストン本体45に対して自己接着性を有するとともに弾性力を有する材料であれば、どのようなものであっても構わない。
連結部59は、上述したように、シールユニット50において、複数のシール部53〜56間を連結する部位であり、図6、図8〜図14に示すように、平面部20に対して形成されている。
即ち、連結部59は、平面部20により、外周面45gに対する接触面積を大きくして外周面45gに形成されていることから、接着性が向上されている。
尚、図11〜図14に示すように、連結部59は、平面部20に対して、ピストン本体45の外周面45gの切り欠かれた領域L、M、N、O内に位置するよう形成されている。
また、連結部59は、平面部20に形成されていることにより、図9に示すように、シリンダ35の内周面35nとの間に間隙を有するよう形成されている。
尚、上述したように、ピストン本体45の外周面45gにおいて、スライダ45v、45wは、シリンダ35の内周面35nに当接する部材である。
しかしながら、スライダ45v、45wにも平面部20が形成されていることから、スライダ45v、45wの平面部20に形成された連結部59も、図9に示すように、内周面35nに対して、それぞれ間隙P、Qを有するよう平面部20に形成されている。
このことにより、連結部59が、内周面35nに対するスライダ45v、45wの摺動性を阻害してしまうことが防がれている。
また、図13、図14に示すように、スライダ45v、45wの平面部20に形成される連結部59の断面形状は、矩形状を有していることが好ましい。
これは、連結部59の断面形状が矩形状を有していると、図11、図12に示すように、断面形状が半円状に形成されている場合に比べ、平面部20に形成後の連結部59に、縁の薄箇所が出来なくなる。このことから、平面部20から連結部59が剥離し難くなるためである。
尚、スライダ45v、45w以外の平面部20に形成される連結部59の断面形状も、矩形状となるよう連結部59は形成されていても構わない。
また、上述したように、平面部20が、ピストン本体45の外周面45gにおいて、貫通孔47に対して周方向にずれた位置に形成されている。
その結果、平面部20に対して連結部59を射出成形した際、貫通孔47からシールユニット50を構成する材料が漏れ出てしまうことが防がれている他、金型の形状を、貫通孔47を避けた形状に形成する必要がないため簡単な形状にすることができる。
このことから、シールユニット50の成形不良やバリの発生が防がれている他、金型を安価に製造することができる。
さらに、平面部20は、ピストン本体45の外周面45gに対して中心軸Jを挟んだ両側に形成されていることから、連結部59も中心軸Jを挟んだ両側に形成されている。
即ち、金型に対して連結部59を構成する材料を両側から充填できるため、充填性が向上される他、連結部59の成形不良が起こり難くなるため、管路切換ピストン10の製造歩留まりが向上する。
尚、このことを無視すれば、連結部59及び平面部20は、従来のように、ピストン本体45の外周面45gに対して、片方側のみの1箇所に形成されていても構わない。
尚、その他の管路切換装置13の構成は、従来の管路切換装置13と同じである。
このように、本実施の形態においては、管路切換ピストン10において、ピストン本体45の外周面45gに、延在方向Eに沿って平面部20が形成されていると示した。
また、外周面45gにシールユニット50が射出成形された後、複数のリング状のシール部53〜56を延在方向Eに沿って連結する連結部59は、平面部20に形成されていると示した。
このことによれば、従来のように、外周面45gに、シールユニット50が形成されるための溝部を形成する必要が無くなる。
このことから、シールユニット50を形成する際の金型の形状が簡単になり、安価に形成できる他、平面部20に対する連結部59の接着面積を大きく確保することができる。このため、シールユニット50が外周面45gに強固に接着されるようシールユニット50を射出成形することができる。
また、平面部20は、貫通孔47からピストン本体45の周方向にずれた外周面45gの位置に形成されていることから、シールユニット50を形成する金型の形状を簡単にすることができ、安価に形成することができる。
さらには、連結部59は、シリンダ35の内周面35nとの間に間隙を有するよう平面部20に形成されており、さらに、スライダ45v、45wの平面部20に形成される連結部の断面は矩形状に形成されていると示した。
このことによれば、連結部59は、内周面35nに非接触となることから、連結部59により、ピストン本体45の摺動抵抗が増えてしまうことがない。
以上から、ピストン本体45の外周面45gに対し複数のシール部53〜56が、安価に固定強度が向上されて一体成形された構成を具備する管路切換ピストン10、内視鏡102を提供することができる。
尚、以下、変形例を、図20を用いて示す。図20は、図10のピストン本体に形成される貫通孔の形状を楕円形状とした管路切換ピストンの変形例を、半分のみ断面にして示す図である。
図20に示すように、貫通孔47の形状を、円と同面積にするとともに長軸が延在方向Eに沿った楕円形状としても構わない。
このような構成によれば、貫通孔47を用いた送気量が同量のまま、図10、図20に示すように、ピストン本体45の貫通孔47が形成された領域の径方向Kの肉厚Y2を、円の肉厚Y1よりも大きく確保することができる(Y2>Y1)。このことから、ピストン本体45の強度をより向上させることができる。
また、以下、別の変形例を、図21を用いて示す。図21は、図3の管路切換ピストンのシールユニットが形成されたピストン本体、囲い部材、付勢バネ、送気送水釦の分解斜視図である。
上述した本実施の形態においては、送気送水釦63は、ピストン本体45の上端外周に対して、ネジ止め接着にて固定されていると示した。
これに限らず、図21に示すように、シールユニット50が形成されたピストン本体45、囲い部材62、付勢バネ61、送気送水釦63を組み立てた後、送気送水釦63を、ピストン本体45の上端に対して超音波溶着にて固定しても構わない。
このような構成によれば、送気送水釦63の固定に接着剤を用いなくても良いばかりか、ピストン本体45の上端に対して送気送水釦63を、図示しない複数の部品を介して固定する構造よりも部品点数を削減することができるため、製造コストを削減することができる。
尚、上述した本実施の形態においては、管路切換ピストン10は、送気管路及び送水管路の連通状態を切り換えると示した。
これに限らず、他の管路の連通状態を切り換える構成にも適用可能であることは云うまでもないし、さらに、3つ以上の管路の連通状態を切り換える構成においても適用可能であるということは勿論である。
本出願は、2016年2月24日に日本国に出願された特願2016−033400号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。