[第1の実施形態]
以下、車両用シートリフター装置に関する第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に対して傾動自在に設けられたシートバック3と、を備えている。
図2及び図3に示すように、本実施形態では、図示しない車両の床部には、ブラケット4上に支持された左右一対のロアレール5が設けられている。また、これらのロアレール5には、当該各ロアレール5上を相対移動するアッパレール6が装着されている。そして、シート1は、これら各アッパレール6上に支持されている。
即ち、本実施形態では、相対移動可能に設けられたこれらのロアレール5及びアッパレール6によってシートスライド装置7が形成されている。そして、車両の乗員は、このシートスライド装置7の機能を利用することにより、車両前後方向(図2中、左右方向)におけるシート1の位置調整を行うことができるようになっている。
また、本実施形態のシート1は、シートリフター装置10を介して各アッパレール6に固定されている。そして、車両の乗員は、このシートリフター装置10の機能を利用することにより、その上下方向におけるシート1の位置調整(シートクッション2の高さ調整)を行うことが可能となっている。
詳述すると、シートリフター装置10は、回動自在に設けられたリンク部材11を介して上方にシート1を支持するリンク機構12を備えている。具体的には、リンク機構12は、シートクッション2の骨格を構成するサイドフレーム13の前端部13a及びアッパレール6に設けられた支持部材8の前端部8aに対して回動可能に連結された前方リンク14と、サイドフレーム13の後端部13b及び支持部材8の後端部8bに対して回動可能に連結された後方リンク15と、を備えている。即ち、本実施形態のリンク機構12には、周知の平行リンク機構が用いられている。そして、これら各リンク部材11の回動に基づいて、その上方に支持するシート1を昇降動作させることが可能となっている。
尚、図2に示すように、本実施形態では、サイドフレーム13に対する前方リンク14及び後方リンク15の各連結点X1,X2は、支持部材8に対する前方リンク14及び後方リンク15の各連結点X3,X4よりも車両後方側に配置されている。即ち、リンク機構12の上方に支持されたシート1は、そのサイドフレーム13側の各連結点X1,X2が車両前方側に移動するように各リンク部材11が回動することによって、上方移動する。そして、各連結点X1,X2が車両後方側に移動するように各リンク部材11が回動することによって、下方移動するようになっている。
また、本実施形態では、上記リンク機構12を構成する上記各リンク部材11のうちの一つ、右側のサイドフレーム13に連結される後方リンク15には、その連結点X2を回動中心とするセクターギヤ16が形成されている。即ち、このセクターギヤ16は、後方リンク15と回動軸Lを共有して一体に回動する。尚、本実施形態では、左右のサイドフレーム13(の後端部13b)間を連結するトルクロッド17が後方リンク15の回動軸Lを構成する。そして、本実施形態のリンク機構12は、このセクターギヤ16を介して後方リンク15が駆動されることにより、その上方に支持されたシート1を昇降動作させることが可能となっている。
さらに詳述すると、図3及び図4に示すように、本実施形態では、サイドフレーム13の側方、シート幅方向外側(図3中、紙面手前側)には、シート1を昇降動作させるべく回動操作される操作ハンドル20が設けられている。また、図2に示すように、上記セクターギヤ16には、ピニオンギヤ18が噛合されている。そして、図2及び図4に示すように、これらのピニオンギヤ18と操作ハンドル20との間には、回転制御装置21が介在されている。
即ち、操作ハンドル20に入力される操作トルクは、回転制御装置21を介してピニオンギヤ18に伝達される。詳しくは、後述する操作ハンドル20の引き上げ動作に伴う操作トルクがピニオンギヤ18に伝達される。そして、本実施形態では、これにより、そのピニオンギヤ18の回転を制御することで、リンク機構12の上方に支持されたシート1の上下位置を調整することが可能となっている。
(回転制御装置)
次に、本実施形態のシートリフター装置10に設けられた回転制御装置21の構成について説明する。
図5〜図9に示すように、本実施形態の回転制御装置21は、ピニオンギヤ18の回転軸22を回転自在に支承するブラケット23を備えている。このブラケット23は、略板状の外形を有して略平行に配置された第1ベース23A及び第2ベース23Bを備えている。また、これらの第1ベース23A及び第2ベース23Bには、それぞれ、ピニオンギヤ18の回転軸22が挿通される挿通孔24,25が形成されている。そして、ピニオンギヤ18の回転軸22は、これにより、その第1ベース23A及び第2ベース23Bを貫通する態様でブラケット23に支持されている。
図2及び図4に示すように、本実施形態の回転制御装置21は、そのブラケット23を構成する第1ベース23Aがサイドフレーム13の外側面13sに固定されることにより、当該サイドフレーム13のシート幅方向外側に配置される。そして、ピニオンギヤ18は、サイドフレーム13に形成された貫通孔28に挿入されることにより、上記後方リンク15に設けられたセクターギヤ16に噛合されるようになっている。
また、図5〜図9に示すように、本実施形態の回転制御装置21は、ピニオンギヤ18と回転軸22を共有して一体に回転する爪車30と、この爪車30と同軸位置において回動自在に設けられた操作部材31と、を備えている。
具体的には、本実施形態の爪車30は、外周に複数の係合爪を形成してなる周知の構成を有している。そして、上記ブラケット23を構成する第1ベース23A及び第2ベース23Bは、その爪車30を軸方向に挟み込む態様で当該爪車30及びピニオンギヤ18の回転軸22を支承する構成となっている。
一方、操作部材31は、貫通孔33を有した略板状の外形を有している。そして、その貫通孔33に上記爪車30の回転軸22が挿通されることにより、当該爪車30との間に第2ベース23Bを挟む軸方向位置において、その貫通孔33に挿通された回転軸22周りに回動することが可能となっている。
尚、本実施形態では、第2ベース23Bは、第1ベース23Aに対して相対回転不能に固定される。また、第2ベース23Bは、略円板状の外形を有している。そして、操作部材31には、その周縁部から第2ベース23B側に向かって延設されることにより当該第2ベース23Bの径方向外側を囲む位置に配置される複数の突出部34が形成されている。
図4に示すように、本実施形態では、上記操作ハンドル20は、操作部材31に固定される。具体的には、図3に示すように、本実施形態の操作ハンドル20は、その基端部20aが操作部材31に固定されることにより、先端部20bが車両前方側に向かって突出するレバー形状を有している。即ち、上記操作部材31は、操作ハンドル20が回動操作されることにより、当該操作ハンドル20と一体に回動する。そして、本実施形態では、この操作ハンドル20には、その回動操作の基準となる中立位置P0が設定されている。
つまり、本実施形態の操作ハンドル20は、その先端部20bを上方に引き上げる方向(第1方向)、又は下方に押し下げる方向(第2方向)に操作される。そして、その操作入力が発生していない状態にある場合には、上記中立位置P0に復帰するように構成されている。
詳述すると、図5〜図7、及び図10に示すように、本実施形態では、第2ベース23Bの周縁部には、操作部材31側(図7中、上側)に向かって突出する折曲部35が形成されている。また、操作部材31の周縁部には、第2ベース23B側(図7中、下側)に向かって突出する折曲部36が形成されている。そして、本実施形態では、この折曲部36は、上記操作部材31側の折曲部35に対応する周方向位置において、その径方向内側に配置されるようになっている。
また、第2ベース23Bと操作部材31との間には、略C字状の外形を有したリングバネ37が設けられている。このリングバネ37は、第2ベース23B及び操作部材31の周縁に沿うように配置されるとともに、その両端部に形成された折曲部37a,37bが、第2ベース23B側の折曲部35及び操作部材31側の折曲部36を周方向から挟み込むように配置されている。尚、第2ベース23B側の折曲部35及び操作部材31側の折曲部36は、そのリングバネ37に挟み込まれる部分の周方向幅が略等しい値に設定されている。そして、本実施形態では、この弾性部材としてのリングバネ37の弾性力に基づいて、その回動操作された操作ハンドル20を中立位置P0に復帰させるハンドル戻し機構40が形成されている。
即ち、図11(a)(b)に示すように、本実施形態では、操作ハンドル20に入力される回動操作に基づき操作部材31が回動することによって、その第2ベース23Bに対する操作部材31の相対的な回動位置が変化する。このとき、操作部材31側の折曲部36は、第2ベース23B側の折曲部35に対して周方向に離間するように移動する。その結果、リングバネ37は、これら折曲部35,36によって、その両端部に形成された折曲部37a,37bが押し広げられるように拡開する。そして、本実施形態のハンドル戻し機構40は、この押し広げられたリングバネ37の復元力に基づいて、その回動操作された操作ハンドル20を中立位置P0に復帰させることが可能となっている。
図12に示すように、本実施形態の回転制御装置21は、爪車30に係合することによりシート1が上方移動する方向(同図中、反時計回り方向)におけるピニオンギヤ18の回転を規制可能な第1係止レバー41を備えている。また、回転制御装置21は、同じく爪車30に係合することによりシート1が下方移動する方向(同図中、時計回り方向)におけるピニオンギヤ18の回転を規制可能な第2係止レバー42を備えている。そして、本実施形態では、これにより、その操作ハンドル20が操作されていない場合におけるピニオンギヤ18の回転位置、即ちシート1の上下位置を保持することが可能となっている。
また、本実施形態の回転制御装置21は、爪車30に係合する状態で上記操作部材31と一体に回動することにより、その操作ハンドル20に入力された第1方向の回動操作に基づいてシート1が上方移動する方向にピニオンギヤ18を回転駆動することが可能な駆動レバー43を備えている。更に、回転制御装置21は、操作ハンドル20の回動操作に基づいて上記各レバー部材(41〜43)と爪車30との係合を解除させることが可能な複数の制御片(61〜63)を備えている。そして、本実施形態の回転制御装置21は、操作ハンドル20に入力された回動操作に基づいて、上記セクターギヤ16に噛合されたピニオンギヤ18の回転を制御することにより、そのリンク機構12の上方に支持されたシート1を昇降動作させることが可能となっている。
詳述すると、本実施形態では、爪車30の径方向外側には、当該爪車30を囲むように、その回転軸22に平行する三本の支軸51〜53が配置されている。
図7、図8及び図12に示すように、第1の支軸51及び第2の支軸52は、上記ブラケット23を構成する第1ベース23A及び第2ベース23Bを貫通する態様で設けられている。尚、本実施形態では、第1ベース23A及び第2ベース23Bは、当該第1ベース23A及び第2ベース23Bを貫通する第1の支軸51及び第2の支軸52の軸方向両端をかしめることにより、これら第1の支軸51及び第2の支軸52を介して連結されている。そして、上記第1係止レバー41及び第2係止レバー42は、それぞれ、そのブラケット23に設けられた第1の支軸51及び第2の支軸52に軸支されることにより、回動可能に爪車30の径方向外側に配置されている。
一方、図8に示すように、第3の支軸53は、上記操作部材31に固定されている。図5及び図8に示すように、本実施形態では、第2ベース23Bには、周方向に延びる円弧状の長孔54が形成されており、第3の支軸53は、この長孔54に挿通されることにより、操作部材31と一体回動可能に爪車30の径方向外側に配置されている。そして、図8及び図12に示すように、上記駆動レバー43は、この第3の支軸53に軸支されることにより、回動可能に爪車30の径方向外側に配置されている。
図12に示すように、本実施形態では、上記の各支軸51〜53には、それぞれ、付勢部材としての捩りコイルバネ55〜57が嵌装されている。そして、各レバー部材(41〜43)は、これら各捩りコイルバネ55〜57の弾性力に基づいて、その先端に設けられた係合爪60が爪車30(の係合爪)に係合する方向に回動付勢されている。
ここで、本実施形態では、第1係止レバー41の支軸51は、当該第1係止レバー41の係合爪60と爪車30(の係合爪)との係合面S1に交差する方向、詳しくは、その略法線方向、回転を規制する側に配置されている。そして、これにより、図12中、反時計回り方向における爪車30の回転、即ちシート1が上方移動する方向におけるピニオンギヤ18の回転を規制可能な圧力角が設定されている。
同様に、第2係止レバー42の支軸52もまた、当該第2係止レバー42の係合爪60と爪車30との係合面S2に交差する方向、詳しくは、その略法線方向、回転を規制する側に配置されている。そして、これにより、図12中、時計回り方向における爪車30の回転、即ちシート1が下方移動する方向におけるピニオンギヤ18の回転を規制可能な圧力角が設定されるようになっている。
また、本実施形態では、第2係止レバー42は、上記セクターギヤ16とピニオンギヤとの噛合位置αに対し、その回転軸22を挟んで反対側の位置において爪車30に係合するように構成されている。そして、第2係止レバー42は、更に、その爪車30の回転軸22よりも上方の位置において当該爪車30に係合するように構成されている。
本実施形態では、駆動レバー43の支軸53もまた、当該駆動レバーの係合爪60と爪車30との係合面S3に交差する方向、詳しくは、その略法線方向、回転を規制する側に配置されている。そして、これにより、図12中、反時計回り方向に爪車30を回転駆動することが可能な圧力角が設定されている。
即ち、図3、図6及び図12に示すように、本実施形態の操作部材31は、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作(図3中、反時計回り方向の回動操作)に基づいて、図6中、反時計回り方向に回動する。また、駆動レバー43は、このとき、操作部材31と一体に回動することにより、その支軸53とともに、爪車30の外周に沿って、図12中、反時計回りに周方向移動する。そして、本実施形態の駆動レバー43は、これにより、その係合状態にある爪車30を同図中、反時計回り方向、つまりシート1が上方移動する方向に回転駆動することが可能となっている。
更に、本実施形態では、第1係止レバー41及び第2係止レバー42は、上記規制方向とは逆向きに爪車30が回転した場合、その係合爪60が爪車30(の係合爪)との係合面S1,S2上を滑るように構成されている。また、駆動レバー43は、当該駆動レバー43が爪車30を回転駆動する方向とは逆向きに周方向移動した場合(図12中、時計回り方向)、その係合爪60が爪車30(の係合爪)との係合面S3上を滑るように構成されている。そして、本実施形態では、これにより、各レバー部材(41〜43)が爪車30から脱離可能となることで、その各レバー部材(41〜43)と爪車30との間で、それぞれ、ラチェット機構が形成されるようになっている。
また、図5、図7、図8及び図12に示すように、本実施形態の回転制御装置21は、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作に基づいて、爪車30との係合が解除される方向に第1係止レバー41を押圧する第1制御片61を備えている。更に、回転制御装置21は、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作に基づいて、爪車30との係合が解除される方向に第2係止レバー42を押圧する第2制御片62と、同じく爪車30との係合が解除される方向に駆動レバー43を押圧する第3制御片63と、を備えている。そして、本実施形態では、これらの各制御片(61〜63)の押圧力に基づいて、上記各捩りコイルバネ55〜57の付勢力に抗して各レバー部材(41〜43)が回動することにより、その操作ハンドル20に入力された回動操作に対応する各レバー部材(41〜43)と爪車30との係合が解除されるようになっている。
具体的には、第1制御片61及び第2制御片62は、操作部材31の周縁部をピニオンギヤ18側(図7及び図8中、下側)に折り曲げることにより形成されている。また、第3制御片63は、上記ブラケット23を構成する第1ベース23Aの一部分を第2ベース23B側に切り起こすことにより形成されている。更に、本実施形態では、第1ベース23Aには、周方向に延びる円弧状の長孔65a,65bが形成されている。そして、第1制御片61の先端61a及び第2制御片62の先端62aは、それぞれ、これらの長孔65a,65bに挿通されている。
即ち、上記のように、本実施形態の回転制御装置21では、操作ハンドル20に入力される回動操作に基づいて、その操作部材31とブラケット23との間の相対的な回動位置が変化する。そして、本実施形態では、これにより、その各制御片(61〜63)と各レバー部材(41〜43)とが接離するように構成されている。
また、第1制御片61及び第2制御片62は、それぞれ、その先端61a、62aが挿通された各長孔65a,65bに案内された状態で、第1係止レバー41及び第2係止レバー42を押圧する。そして、本実施形態では、これにより、各第1制御片61及び第2制御片62の強度を高めることで、より確実に、第1係止レバー41及び第2係止レバー42を動作させることが可能となっている。
さらに詳述すると、図12に示すように、本実施形態では、第1係止レバー41及び第2係止レバー42は、それぞれ、その回動中心となる支軸51,52を挟んで係合爪60の反対側に延びる押圧部64を有している。また、第1制御片61及び第2制御片62は、相対回動可能に設けられた操作部材31及びブラケット23の回動中心に位置する爪車30の径方向外側において、それぞれ、その対応する第1係止レバー41の支軸51及び第2係止レバー42の支軸52よりも外側の位置に配置されている。そして、これにより、操作部材31とブラケット23との相対回動に基づいて、それぞれ、その対応する第1係止レバー41及び第2係止レバー42の押圧部64を押圧するように構成されている。
また、第3制御片63は、同じく爪車30の径方向外側において、駆動レバー43の支軸53と爪車30との間の位置に配置されている。そして、これにより、操作部材31とブラケット23との相対回動に基づいて、その支軸53よりも径方向内側の位置において駆動レバー43を押圧するように構成されている。
即ち、図3、図6及び図12に示すように、シート1のサイドフレーム13に固定されたブラケット23に対し、操作部材31は、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作(図3中、反時計回り方向の回動操作)に基づいて、図6中、反時計回り方向に回動する。本実施形態の第1制御片61は、このとき、操作部材31と一体に回動することにより、図12中、反時計回りに周方向移動して第1係止レバー41の押圧部64に当接する位置に配置されている。そして、その押圧部64を押圧して、図12中、反時計回り方向に第1係止レバー41を回動させることにより、当該第1係止レバー41と爪車30との係合を解除させることが可能となっている。
また、操作部材31は、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作(図3中、時計回り方向の回動操作)に基づいて、図6中、時計回り方向に回動する。本実施形態の第2制御片62は、このとき、操作部材31と一体に回動することにより、図12中、時計回りに周方向移動して第2係止レバー42の押圧部64に当接する位置に配置されている。そして、その押圧部64を押圧して、図12中、時計回り方向に第2係止レバー42を回動させることにより、当該第2係止レバー42と爪車30との係合を解除させることが可能となっている。
更に、駆動レバー43の支軸53もまた、上記第2方向の回動操作に基づき操作部材31と一体に回動することで、図12中、時計回りに周方向移動する。本実施形態の第3制御片63は、この時計回りに周方向移動する駆動レバー43に対して当接する位置に配置されている。そして、本実施形態では、これにより、第3制御片63が駆動レバー43を押圧して、図12中、時計回り方向に当該駆動レバー43を回動させることで、その爪車30との係合を解除させることが可能となっている。
また、図5及び図12に示すように、本実施形態では、爪車30の回転軸22には、捩りコイルバネ66が嵌装されている。図13(a)〜(c)に示すように、この捩りコイルバネ66は、その両端部66a,66bを拡開することにより、そのコイル部66cの内径Dが変化するようになっている(D0<D1<D2)。そして、本実施形態の回転制御装置21は、この捩りコイルバネ66の内径変化を利用して、当該捩りコイルバネ66を回転軸22に摺接させることにより、その操作ハンドル20の回動操作に所謂節度感を付与する構成となっている。
詳述すると、図5、図9及び図12に示すように、本実施形態では、爪車30の径方向外側には、ブラケット23を構成する第1ベース23A及び第2ベース23Bを貫通する態様で係合軸67が設けられている。尚、本実施形態では、この係合軸67もまた、上記第1の支軸51及び第2の支軸52と同様に、その第1ベース23A及び第2ベース23Bを貫通する軸方向両端がかしめられることにより、これら第1ベース23Aと第2ベース23Bとの間を連結する構成となっている。そして、捩りコイルバネ66の第1端部66aは、この係合軸67に係止されるようになっている。
また、操作部材31には、ピニオンギヤ18側(図8中、下側)に向かって突出する押圧軸68が設けられている。尚、本実施形態では、第2ベース23Bには、周方向に延びる円弧状の長孔69が形成されている(図5参照)。そして、押圧軸68は、この長孔69に挿通されることにより、捩りコイルバネ66の第2端部66bに係合可能な回転軸22の径方向外側の位置に配置されている。
さらに詳述すると、図12に示すように、本実施形態の回転制御装置21は、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合(図3参照)、上記押圧軸68が捩りコイルバネ66の第2端部66bに係合するように構成されている。また、図13(a)〜(c)に示すように、捩りコイルバネ66は、このとき、その第1端部66aと第2端部66bとの間が押し広げられた状態となっている。更に、本実施形態では、この状態における内径Dの値「D1」が、回転軸22における捩りコイルバネ66が嵌装された部分の直径Rと略等しく(僅かに大きく)なるように設定されている(図13(b)参照、D=D1(R))。そして、本実施形態では、これにより、その操作ハンドル20に入力される回動操作に基づいて、捩りコイルバネ66の内径Dが変化するように構成されている。
即ち、図3、図6及び図12に示すように、上記押圧軸68は、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作(図3中、反時計回り方向の回動操作)に基づいて、操作部材31と一体に、図12中、反時計回り方向に回動する。本実施形態の回転制御装置21は、このとき、その押圧軸68が捩りコイルバネ66の第2端部66bから離間することにように構成されている。そして、これにより、捩りコイルバネ66の両端部66a,66b間が狭まることで、その内径Dもまた収縮するように構成されている(図13(a)参照、D=D0<R)。
また、押圧軸68は、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作(図3中、時計回り方向の回動操作)に基づいて、操作部材31と一体に、図12中、時計回り方向に回動する。そして、本実施形態では、これにより、捩りコイルバネ66が更に拡開することで、その内径Dが拡大するように構成されている(図13(c)参照、D=D2>R)。
次に、上記のように構成された回転制御装置21を有するシートリフター装置10の作用について説明する。
図14に示すように、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合(図3参照)、回転制御装置21においては、その爪車30に対して、第1係止レバー41及び第2係止レバー42が係合した状態になっている。そして、これにより、その爪車30と回転軸22を共有するピニオンギヤ18の回転が規制されることで、リンク機構12に支持されたシート1の上下位置が保持されるようになっている。
また、本実施形態では、図15に示すように、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作(図3中、反時計回り方向の回動操作)によって、操作部材31と一体に設けられた駆動レバー43、第1制御片61及び第2制御片62は、爪車30の径方向外側を同図中、反時計回りに周方向移動する。
このとき、第1制御片61が第1係止レバー41の押圧部64を押圧することで、当該第1係止レバー41と爪車30との係合が解除される。そして、本実施形態の駆動レバー43は、この第1係止レバー41と爪車30との係合が解除された位置N0(回動角度θ1)において、その爪車30に係合するように構成されている。
換言すると、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合には、駆動レバー43の係合爪60と爪車30(の係合爪)との間に所定の隙間(あそび)が設定されている。そして、操作ハンドル20を引き上げる回動操作の発生時には、その駆動レバー43による爪車30の回動に先立って、第1係止レバー41と爪車30との係合が解除されるようになっている。
また、第2係止レバー42は、その係合する爪車30との間でラチェット機構を形成することにより、シート1が下方移動する方向における当該爪車30及びピニオンギヤ18の回転(同図中、時計回り方向の回転)を規制する。従って、図16に示すように、上記のような回転駆動時には、その係合する爪車30からの脱離と再係合とを繰り返すことで、そのシート1を上方移動させる方向(同図中、反時計回り方向の回転)における当該爪車30の回転を許容する。そして、本実施形態では、これにより、その駆動レバー43による円滑な爪車30(ピニオンギヤ18)の回転駆動が担保されている。
図17に示すように、本実施形態の回転制御装置21は、上記中立位置P0に対応する位置を基準として、操作ハンドル20が所定の回動角度θ2、第1方向に回動操作されることにより、上記駆動レバー43が爪車30に係合した位置N0から、その一歯分(回転角Θ1)、爪車30が回転駆動されるように構成されている。また、図3に示すように、本実施形態のシートリフター装置10において、操作ハンドル20は、その中立位置P0から当該操作ハンドル20を第1方向に所定の回動角度θ4まで引き上げることが可能となっている。そして、図18及び図19に示すように、回転制御装置21は、この引き上げ位置P1まで操作ハンドル20を回動操作することにより、上記駆動レバー43が爪車30に係合した位置N0から、その二歯分(回転角Θ2)、爪車30が回転駆動されるように構成されている。
尚、本実施形態では、上記操作ハンドル20の引き上げ位置P1に対応する所定の回動角度θ4は、図18に示されるような爪車30が二歯分進んだ位置N1まで回転駆動される回動角度θ3よりも大きな値に設定されている。このため、操作ハンドル20を第1方向へ引き上げる操作(図3に回動角度θ4として示す角度だけ回動させる操作)が一回行われることによって、回転制御装置21は、ピニオンギヤ18を爪車30の二歯分ずつ確実に回転駆動する。
図20に示すように、上記引き上げ位置P1から中立位置P0に戻すべく第2方向に操作ハンドル20を回動させる際、爪車30は、当該爪車30に係合する第2係止レバー42によって、同図中、時計回り方向の回転が規制される。尚、この操作ハンドル20を中立位置P0に復帰させる第2方向の回動操作は、上記ハンドル戻し機構40の機能を利用することができる。また、このとき、爪車30との間でラチェット機構を形成する駆動レバー43は、その係合する爪車30からの脱離と再係合とを繰り返しつつ、爪車30の径方向外側を同図中、時計回りに周方向移動する。つまり、操作ハンドル20を中立位置P0に戻すことで、当該操作ハンドル20を引き上げることにより回転駆動されたピニオンギヤ18の回転位置、即ち二歯分進んだ爪車30の位置N1を保持したままの状態で、駆動レバー43が、その中立位置P0に対応する位置に復帰する。そして、本実施形態のシートリフター装置10は、これにより、その中立位置P0にある操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作、及び当該操作ハンドル20を中立位置P0に戻す第2方向の回動操作を繰り返すことで、そのリンク機構12に支持されたシート1を上方移動させることが可能となっている。
一方、図21に示すように、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作(図3中、時計回り方向の回動操作)によって、駆動レバー43、第1制御片61及び第2制御片62は、その爪車30の径方向外側を、上記中立位置P0に対応する位置から、同図中、時計回りに周方向移動する。
このとき、第2制御片62が第2係止レバー42の押圧部64を押圧することで、当該第2係止レバー42と爪車30との係合が解除される。また、駆動レバー43は、当該駆動レバー43に当接する第3制御片63を押圧しつつ周方向移動することにより、その爪車30との係合が解除される方向(同図中、時計回り方向)に回動する。尚、図3に示すように、本実施形態のシートリフター装置10において、操作ハンドル20は、その中立位置P0から当該操作ハンドル20を第2方向に所定の回動角度θ5まで押し下げることが可能となっている。そして、この押し下げ位置P2においては、確実に、その駆動レバー43と爪車30との係合が解除されるように構成されている。
また、上記のように、第1係止レバー41は、その係合する爪車30との間でラチェット機構を形成することにより、シート1が上方移動する方向における当該爪車30及びピニオンギヤ18の回転(同図中、反時計回り方向の回転)を規制する。従って、この場合には、その係合する爪車30からの脱離と再係合とを繰り返すことで、同図中、時計回りの回転を許容する。そして、本実施形態では、これにより、そのリンク機構12に支持されたシート1を下方移動させることが可能となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)回転制御装置21は、ピニオンギヤ18と回転軸22を共有して一体に回転する爪車30と、当該爪車30と同軸位置において操作ハンドル20に対する回動操作に基づき回動する操作部材31とを備える。また、回転制御装置21は、それぞれ、爪車30に係合することによりシート1が上方移動する方向及び下方移動する方向におけるピニオンギヤ18の回転を規制可能な第1係止レバー41及び第2係止レバー42を備える。更に、回転制御装置21は、爪車30に係合する状態で上記操作部材31と一体に回動することにより操作ハンドル20に入力された第1方向の回動操作に基づいてシート1が上方移動する方向にピニオンギヤ18を回転駆動することが可能な駆動レバー43を備える。そして、回転制御装置21は、操作ハンドル20の回動操作に基づいて上記各レバー部材(41〜43)と爪車30との係合を解除させる複数の制御片(61〜63)を備える。
上記構成によれば、簡素な構成にて、爪車30と回転軸22を共有するピニオンギヤ18の回転を制御することができる。具体的には、中立位置P0にある操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作、及び当該操作ハンドル20を中立位置P0に戻す第2方向の回動操作を繰り返すことで、そのリンク機構12に支持されたシート1を上方移動させることができる。また、操作ハンドル20を中立位置P0から第2方向に回動操作し、その回動位置(P2)を保持するだけで、シート1を下方移動させることができる。そして、その爪車30の回転を制御するための各レバー部材(41〜43)及び各制御片(61〜63)を爪車30の径方向外側に配置することにより、そのピニオンギヤ18の回転軸22に沿う方向の寸法を短縮することができる。その結果、回転制御装置21を小型化して、そのシート側方への搭載性を向上させることができる。更に、その良好な搭載性を活かして、操作ハンドル20に大きな回動ストロークを設定することが可能になる。そして、これにより、その操作性を向上させることができる。加えて、その爪車30と各レバー部材(41〜43)とが独立した複数のラチェット機構を形成することで、例えば、シート1に外力が作用する等によって、ピニオンギヤ18の回転軸22が傾動した場合であっても、安定的に、その回転位置を保持することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(2)第2係止レバー42は、上記セクターギヤ16とピニオンギヤ18との噛合位置αに対し、その回転軸22を挟んで反対側の位置において爪車30に係合するように構成される。
即ち、シート1がリンク部材11(後方リンク部材15)を下方に押し下げる力は、そのリンク部材11に設けられたセクターギヤ16と当該セクターギヤ16に噛合するピニオンギヤ18とを離間させる方向に作用する。つまり、上記構成によれば、そのシート荷重によって、ピニオンギヤ18と同軸に設けられた爪車30が、当該爪車30に係合する第2係止レバー42に対して押し付けられることになる。そして、これにより、両者の係合状態が強化されることで、より確実に、そのピニオンギヤ18の回転位置、即ちシート1の上下位置を保持することができる。
(3)回転制御装置21は、爪車30の回転軸22を支承するブラケット23を備える。第1係止レバー41及び第2係止レバー42は、ブラケット23に設けられた支軸51,52に軸支されることにより回動可能に爪車30の径方向外側に配置され、駆動レバー43は、操作部材31に設けられた支軸53に軸支されることにより回動可能に爪車30の径方向外側に配置される。また、各支軸51〜53には、それぞれ、レバー部材(41〜43)を付勢して爪車30に係合させる捩りコイルバネ55〜57が嵌装される。更に、第1制御片61及び第2制御片62は、操作部材31に設けられ、第3制御片63は、ブラケット23に設けられる。そして、これらの各制御片(61〜63)は、操作ハンドル20の回動操作に基づき操作部材31とブラケット23とが相対回動することにより各レバー部材(41〜43)を押圧して爪車30との係合を解除させる方向に回動させるように配置される。
上記構成によれば、簡素な構成にて、確実に、その操作ハンドル20に入力される回動操作に基づいて爪車30が回転可能な方向を切り替えることができる。そして、これにより、高い信頼性を担保しつつ、回転制御装置21の小型化を図ることができる。
(4)爪車30を挟んで操作部材31と軸方向に対向する対向部としての第1ベース23Aには、周方向に延びる円弧状の長孔65a,65bが形成される。そして、第1制御片61の先端61a及び第2制御片62の先端62aは、それぞれ、これらの長孔65a,65bに挿通される。
上記構成によれば、第1制御片61及び第2制御片62の強度を高めることができる。そして、これにより、より確実に、第1係止レバー41及び第2係止レバー42を押圧することができる。
(5)各レバー部材(41〜43)の支軸51〜53は、それぞれ、各レバー部材(41〜43)の係合爪60と爪車30(の係合爪)との係合面S1〜S3に対して交差する方向に配置される。このような構成とすることで、その各レバー部材(41〜43)と爪車30との間でラチェット機構を形成することができる。
(6)第2係止レバー42は、爪車30の回転軸22よりも上方の位置において当該爪車30に係合する。このような構成とすることで、第2係止レバー42を付勢して爪車30に係合させる捩りコイルバネ56に故障が生じた場合であっても、その自重を利用して第2係止レバー42を爪車30に係合させることができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(7)駆動レバー43は、操作ハンドル20が第1方向に回動操作されることにより第1係止レバー41と爪車30との係合が解除された位置において爪車30に係合する。即ち、第1方向の回動操作が発生した場合には、駆動レバー43が爪車30に係合する前に、第1係止レバー41と爪車30との係合が解除される。そして、これにより、より円滑にピニオンギヤ18を回転駆動することができる。
(8)爪車30の回転軸22には、操作ハンドル20に入力される回動操作に基づいて内径Dが変化する捩りコイルバネ66が嵌装される。即ち、その内径変化を利用して捩りコイルバネ66を回転軸22に摺接させることで、その操作ハンドル20の回動操作に所謂節度感を付与することができる。そして、これにより、その操作感を向上させることができる。
(9)第1制御片61及び第2制御片62は、操作部材31の周縁部をピニオンギヤ18側に折り曲げることにより形成される。これにより、容易に、各制御片を形成することができる。
[第2の実施形態]
以下、車両用シートリフター装置に関する第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
図22〜図27に示すように、本実施形態の回転制御装置71は、ピニオンギヤ18及び爪車30と同軸位置において相対回動可能に並置された第1操作部材31A及び第2操作部材31Bを備えている。
本実施形態では、第1操作部材31Aは、操作ハンドル20の基端部20aが固定されることにより、当該操作ハンドル20と一体に回動する(図4参照)。また、本実施形態では、第1制御片61及び第2制御片72は、第1操作部材31Aに設けられ、駆動レバー73の支軸53は、第2操作部材31Bに設けられている。そして、第2操作部材31Bは、上記のように中立位置P0にある操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作時(図3参照)、第1操作部材31Aから遅れた位相で回動するように構成されている。
即ち、本実施形態の回転制御装置71は、シート1を上方移動させるべく行われる操作ハンドル20の引き上げ操作時、その駆動レバー73(の支軸53)が、第1制御片61(及び第2制御片72)に遅れて爪車30の径方向外側を周方向移動するように構成されている。そして、これにより爪車30と第1係止レバー41との係合が解除された後、駆動レバー73が爪車30を回転駆動することで、その円滑な動き出しを担保する構成となっている。
詳述すると、第1操作部材31Aは、上記第1の実施形態における操作部材31と同様、爪車30の回転軸22が挿通される貫通孔33を有した略板状の外形を有している。また、第1操作部材31Aは、上記貫通孔33の周縁部が第2ベース23B側に突出する凸形状を有している。そして、第1操作部材31Aには、その周縁部から第2ベース23B側(図24中、下側)に向かって突出する各突出部34及び折曲部36が設けられている。
尚、図22及び図26に示すように、本実施形態では、第2制御片72は、第1操作部材31Aに対して軸状部材74を固定することにより形成されている。また、第2制御片72は、第2ベース23Bに形成された長孔69に挿通される。そして、第2制御片72の先端72aは、第1ベース23Aに形成された円弧状の長孔75bに挿通されるようになっている。
一方、図22〜図27に示すように、第2操作部材31Bは、上記のような第1操作部材31Aの凸形状を内側に配置可能な円孔76を有した略平板状に形成されている。そして、第2操作部材31Bは、その径方向外側を第1操作部材31Aの各突出部34に囲まれる態様で、当該第1操作部材31Aと第2ベース23Bとの間、詳しくは、この第2ベース23Bとの間に上記ハンドル戻し機構40を構成するリングバネ37を挟む位置に配置されている。
本実施形態では、第2操作部材31Bには、周方向に延びる複数の長孔77が形成されている。また、第1操作部材31Aには、これらの各長孔77内に挿入される短軸部材78が設けられている。そして、本実施形態では、上記のように第2制御片72を構成する軸状部材74もまた、これらの長孔77内に挿入されるようになっている。
具体的には、本実施形態の第2操作部材31Bは、上記第2制御片72が挿入されるものを含め、3つの長孔77を有している。そして、第1操作部材31Aには、その残る二つの長孔77内に挿入される二本の短軸部材78が設けられている。
また、本実施形態では、各短軸部材78は、上記第2操作部材31B側の各長孔77に対応して設けられた貫通孔79に対して上記操作ハンドル20との固定面31s側から挿入されることにより、周方向移動不能に第1操作部材31Aに固定されている。更に、各短軸部材78は、第2操作部材31Bの各長孔77を貫通する態様で当該各長孔77内に挿入されている。そして、各短軸部材78は、その第2ベース23B側に突出する先端部がかしめられることにより、軸方向移動不能に第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとを連結する構成となっている。
具体的には、第1操作部材31A及び第2操作部材31Bは、各短軸部材78の基端に設けられたフランジ部78aと各短軸部材78の先端に形成された「かしめ部78b」との間に挟み込まれることにより、その軸方向における相対移動が規制されている。そして、第1操作部材31A及び第2操作部材31Bは、これらの各短軸部材78が各長孔77内を移動可能な範囲において、その周方向における相対移動、即ち相対回動が許容されている。
即ち、本実施形態では、各長孔77が周方向に延びる係合孔81を構成し、軸状部材74及び各短軸部材78が、その係合孔81に挿入される係合突部82を構成する。また、各長孔77が形成された第2操作部材31Bが第1係合体83を構成し、軸状部材74及び各短軸部材78を有する第1操作部材31Aが第2係合体84を構成する。そして、本実施形態では、これにより、第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとの間をトルク伝達可能に連結するとともに第1操作部材31Aから遅れた位相で第2操作部材31Bを回動させることが可能な連結機構85が形成されている。
さらに詳述すると、図24及び図27に示すように、本実施形態の第2操作部材31Bは、第1操作部材31Aの折曲部36と同様、その周縁部から第2ベース23B側(図24中、下側)に向かって突出する折曲部86を備えている。また、この折曲部86は、上記ハンドル戻し機構40を構成する第2ベース23B及び第1操作部材31Aの各折曲部35,36とともに、略C字状をなすリングバネ37(の折曲部37a,37b)によって周方向両側から挟み込まれるようになっている。そして、本実施形態では、これにより、その操作ハンドル20が中立位置P0にある場合における第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとの間の相対的な回動位置が規定されるようになっている。
具体的には、図27に示すように、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合、第2ベース23B、第1操作部材31A及び第2操作部材31Bの各折曲部35,36,86は、当該各折曲部35,36,86を挟み込む上記リングバネ37の弾性力に基づいて、径方向に並んで配置されるようになっている。
また、図28(a)(b)及び図29(a)(b)に示すように、本実施形態の第1操作部材31Aは、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作時には、各図中、反時計回りに回動し、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作時には、各図中、時計回りに回動する。そして、図27に示すように、第2操作部材31Bは、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合、各長孔77内に挿入された軸状部材74及び各短軸部材78が、同図中、時計回り方向側の周方向端部77aに当接するように、その第1操作部材31Aに対する相対的な回動位置が規定されている。
即ち、図27及び図28(a)(b)に示すように、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作時、第1操作部材31Aに設けられた軸状部材74及び各短軸部材78は、第1操作部材31Aと一体に回動することにより、それぞれ、その挿入された各長孔77内を反時計回り方向に移動する。そして、第2操作部材31Bは、これらの軸状部材74及び各短軸部材78が、各図中、反時計回り方向に位置する各長孔77の周方向端部77bに当接することにより、これらの軸状部材74及び各短軸部材78に押圧されるかたちで、第1操作部材31Aと一体に回動するようになっている。
つまり、本実施形態の連結機構85は、その係合突部82を構成する軸状部材74及び各短軸部材78が係合孔81としての各長孔77内を周方向移動する間、その回動操作に基づく第1操作部材31Aの回動トルクを第2操作部材31Bに伝達しない。そして、本実施形態では、これにより生ずるトルク伝達の遅延を利用することで、その第2操作部材31Bを第1操作部材31Aから遅れた位相で回動させることが可能となっている。
図28(a)(b)に示すように、本実施形態の第1操作部材31Aは、操作ハンドル20の引き上げ操作時、上記軸状部材74及び各短軸部材78が各長孔77の周方向端部77bに当接するまでの間、同図中、反時計回りに所定の回動角度θ6、単独で回動する。また、その後は、上記引き上げ位置P1(回動角度θ7)まで、第2操作部材31Bと一体に回動するように構成されている。そして、これらの回動角度θ6,θ7は、それぞれ、上記第1実施形態における回動角度θ1,θ4と略等しい値となっている(図3及び図15参照)。
また、本実施形態では、第1操作部材31A及び第2操作部材31Bは、それぞれ、その折曲部36,86、及び第2ベース23Bの折曲部35を周方向に挟み込むリングバネ37の弾性力に基づいて、図27に示されるような各長孔77内における一方の周方向端部77aに軸状部材74及び各短軸部材78が当接する回動位置に復帰する。そして、図29(a)(b)に示すように、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作時には、上記引き上げ操作時のような位相遅れを伴うことなく、その第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとが一体に回動するように構成されている。
具体的には、第1操作部材31A及び第2操作部材31Bは、同図中、時計回りに上記押し下げ位置P2(回動角度θ8)まで、一体に回動するように構成されている。そして、この回動角度θ8は、上記第1実施形態における回動角度θ5と略等しい値となっている(図3参照)。
さらに詳述すると、図30に示すように、本実施形態の第2制御片72は、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合、爪車30に係合する第2係止レバー92に当接して当該第2係止レバー92の回動を規制するように構成されている。そして、本実施形態では、これにより、その爪車30と第2係止レバー92との係合状態を強化することで、より確実に、そのピニオンギヤ18の回転位置、即ちシート1の上下位置を保持することが可能となっている。
具体的には、本実施形態の第2係止レバー92は、その爪車30との係合状態において当該爪車30の径方向外側に向かって突出する規制突部94を備えている。そして、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合には、その規制突部94の先端94aに対して第2制御片72が当接するように構成されている。
即ち、図31に示すように、第2制御片72は、操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作時、第1操作部材31Aと一体に回動することにより、爪車30の径方向外側を、同図中、反時計回り方向に周方向移動する。そして、その規制突部94の先端94aから第2制御片72が離間することにより、第2係止レバー92の回動が許容される。
また、このとき、第1操作部材31Aが第2操作部材31Bに先行して回動することで、駆動レバー73の周方向位置は変化しない。即ち、上記のように駆動レバー73が設けられた第2操作部材31Bは、第1制御片61及び第2制御片62を有する第1操作部材31Aが所定の回動角度θ6まで回動し、その回動トルクが伝達される状態となることで当該第1操作部材31Aと一体に回動する(図28(a)参照)。
本実施形態の回転制御装置71は、このように第1操作部材31A(第2制御片72)が所定の回動角度θ6まで回動したとき、当該第1操作部材31Aに設けられた第1制御片61によって、その第1係止レバー41と爪車30との係合が解除された状態となっている。そして、本実施形態では、これにより、駆動レバー73に駆動された爪車30が動き出す際、その第1係止レバー41との干渉が回避されるようになっている。
図32に示すように、本実施形態の駆動レバー73は、上記操作ハンドル20が中立位置P0から引き上げ位置P1まで回動操作されることにより(回動角度θ7)、同図中、その中立位置P0に対応する係合位置N3から引き上げ位置P1に対応する係合位置N4まで、所定の回動角度θ9、その係合する爪車30を反時計回りに回動させる。そして、本実施形態の回転制御装置71は、これにより、上記第1の実施形態と同様、その操作ハンドル20に対して使用者が行う一回の引き上げ操作によって、爪車30の二歯分、当該爪車30(及びピニオンギヤ18)を回転駆動することが可能となっている。
また、図30及び図33に示すように、本実施形態の第2係止レバー92は、上記規制突部94よりも爪車30の径方向外側に突出する押圧突部95を備えている。
即ち、上記のように爪車30の径方向外側に突出する規制突部94の先端94aに対して第2制御片72が当接することで、当該第2制御片72が特定の移動位置にある場合、つまりは操作ハンドル20が中立位置P0にある場合に限定して、第2制御片72を第2係止レバー92に当接させることができる。しかしながら、その反面、操作ハンドル20が中立位置P0ある場合以外は、第2制御片72が第2係止レバー92に当接し難くなるという問題がある。
この点を踏まえ、本実施形態の第2係止レバー92には、その爪車30の径方向外側を移動する第2制御片72の軌跡に交差するような押圧突部95が形成されている。そして、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作時には、この押圧突部95を第2制御片72が押圧することによって、確実に、その第2係止レバー92を爪車30から脱離させる方向(各図中、時計回り方向)に回動させることが可能となっている。
尚、本実施形態の第2係止レバー92には、上記規制突部94と押圧突部95との間に溝部96が形成されている。そして、第2制御片72は、操作ハンドル20の押し下げ操作時、その周方向移動によって、この溝部96内に侵入するように構成されている。
即ち、本実施形態の第2係止レバー92は、その溝部96に連続する押圧突部95の側壁95aを第2制御片72が押圧することにより回動する。そして、本実施形態の回転制御装置71は、これにより、その操作ハンドル20が中立位置P0から押し下げ位置P2まで回動操作される過程において(回動角度θ8)、第2係止レバー92と爪車30との係合が解除されるように構成されている。
また、本実施形態の駆動レバー73は、操作ハンドル20の押し下げ操作時、当該駆動レバー73を押圧する第3制御片63に係合することにより、その爪車30との係合が解除された状態を保持可能な保持係合部97を備えている。
即ち、本実施形態の駆動レバー73もまた、上記第1の実施形態における駆動レバー43と同様に、操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作に基づいて爪車30の径方向外側を回動することにより、ブラケット23を構成する第1ベース23Aに設けられた第3制御片63と当接するように構成されている。そして、駆動レバー73は、この第3制御片63に押圧されて、図33中、時計回りに回動することにより、上記操作ハンドル20が中立位置P0から押し下げ位置P2まで回動操作される過程において(回動角度θ8)、その爪車30との係合が解除されるように構成されている。
このとき、図34(a)(b)に示すように、駆動レバー73に当接した第3制御片63は、当該駆動レバー73を押圧しつつ、その当接面73s上を摺動する。尚、実際には、第2操作部材31Bと一体に回動する駆動レバー73の方が、各図中、右側から左側に向かって移動する。そして、これにより、第3制御片63は、見かけ上、当接面73s上を、各図中、左側から右側に向かって摺動することになる。
本実施形態の保持係合部97は、この当接面73s上に第3制御片63が乗り越え可能な段部98を形成する。そして、本実施形態では、その段部98を各図中、左側から右側に乗り越えた位置において第3制御片63が保持係合部97に係合することにより、その駆動レバー73と爪車30との係合が解除された状態が保持されるようになっている。
尚、このような第3制御片63と保持係合部97との係合状態は、操作ハンドル20が中立位置P0に復帰する過程において、その保持係合部97が形成する段部98を、各図中、第3制御片63が右側から左側に乗り越えることにより解消される。そして、これにより、駆動レバー73と爪車30とが係合する状態に移行する構成となっている。
以上、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(10)回転制御装置71は、第1制御片61及び第2制御片72が設けられた第1操作部材31Aと、駆動レバー73の支軸53が設けられた第2操作部材31Bと、を備える。そして、回転制御装置71は、更に、これら第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとの間をトルク伝達可能に連結するとともに、中立位置P0にある操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作時、第1操作部材31Aから遅れた位相で第2操作部材31Bを回動させることが可能な連結機構85を備える。
上記構成によれば、爪車30と第1係止レバー41との係合が解除された後に、その駆動レバー73によって爪車30を回転駆動することができる。そして、これにより、その第1係止レバー41と爪車30との干渉を回避することで、当該爪車30の円滑な動き出しを担保することができる。
(11)第2操作部材31Bには、周方向に延びる長孔77が形成される。また、第1操作部材31Aには、これらの各長孔77内に挿入される短軸部材78が設けられる。更に、第2制御片72を構成する軸状部材74もまた、長孔77内に挿入される。そして、係合孔81となる長孔77が設けられた第2操作部材31Bを第1係合体83とし、係合突部82となる軸状部材74及び各短軸部材78が設けられた第1操作部材31Aを第2係合体84とすることにより連結機構85が形成される。
上記構成によれば、係合突部82を構成する軸状部材74及び各短軸部材78が係合孔81としての各長孔77内を周方向移動する間、操作ハンドル20の回動操作に基づく第1操作部材31Aの回動トルクは第2操作部材31Bに伝達されない。即ち、その第1操作部材31Aの回動トルクは、軸状部材74及び各短軸部材78が各長孔77の周方向端部77a,77bに当接し、その第2係合体84としての第1操作部材31Aと第1係合体83としての第2操作部材31Bとが係合することにより、当該第2操作部材31Bに伝達される。そして、これにより、簡素な構成にて、第2操作部材31Bを第1操作部材31Aから遅れた位相で回動させることが可能な連結機構85を形成することができる。
(12)回転制御装置71は、リングバネ37の弾性力に基づき操作ハンドル20を中立位置P0に復帰させるハンドル戻し機構40を備える。そして、ハンドル戻し機構40は、係合孔81を構成する各長孔77における一方の周方向端部77aに係合突部82としての軸状部材74及び各短軸部材78が当接するように、その操作ハンドル20が中立位置P0にある場合における第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとの間の相対的な回動位置を規定する。
上記構成によれば、構成簡素、且つ確実に、その第2操作部材31Bが第1操作部材31Aから遅れた位相で回動する回動操作の方向を規定することができる。
(13)第2制御片72は、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合には、爪車30に係合する第2係止レバー92に当接して第2係止レバー92の回動を規制可能に構成される。
上記構成によれば、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合における爪車30と第2係止レバー92との係合状態を強化することができる。そして、これにより、より確実に、そのピニオンギヤ18の回転位置、即ちシート1の上下位置を保持することができる。
(14)第2係止レバー92は、爪車30との係合状態において当該爪車30の径方向外側に突出する規制突部94を備える。そして、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合には、その規制突部94の先端94aに第2制御片72が当接するように構成される。
上記構成によれば、操作ハンドル20が中立位置P0にある場合について、限定的に、第2制御片72を第2係止レバー92に当接させることができる。そして、これにより、操作ハンドル20の回動操作に基づいた爪車30の動き出しを妨げることなく、その爪車30と第2係止レバー92との係合状態を強化することができる。
(15)第2係止レバー92は、規制突部94よりも径方向外側に突出する押圧突部95を備える。そして、第2制御片72は、第2方向の回動操作に基づいて、その押圧突部95を押圧するように構成される。
上記構成によれば、上記規制突部94が設けられた構成であっても、確実に、その第2方向の回動操作に基づいて、第2制御片72が第2係止レバー92を押圧することができる。
(16)駆動レバー73は、当該駆動レバー73を押圧する第3制御片63に係合することにより爪車30との係合が解除された状態を保持可能な保持係合部97を備える。
上記構成によれば、駆動レバー73の動きに所謂「ため」をつくることができる。そして、これにより、その爪車30に駆動レバー73が係合する状態と、その係合が解除された状態とを明確に切り分けることができる。その結果、その係合状態及び非係合状態間の移行時における爪車30と駆動レバー73との干渉を低減して、より円滑な動作を確保することができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、右側のサイドフレーム13に連結される後方リンク15に対し、そのサイドフレーム13との連結点X2を回動中心とするセクターギヤ16を設けることとした。しかし、これに限らず、その他のリンク部材11にセクターギヤ16を設ける構成であってもよい。そして、そのリンク部材11と共有する回動中心についてもまた、シート側連結部材としてのサイドフレーム13との連結点(X1,X2)であっても、床側連結部材としての支持部材8との連結点(X3,X4)であってもよい。
・更に、上記各実施形態では、各リンク部材11が周知の平行リンク機構を形成することとした。しかし、これに限らず、各リンク部材11の回動に基づいて、その上方に支持するシート1を昇降動作させることが可能であれば、そのリンク機構の形式は、リンク部材11の数を含め、任意に変更してもよい。
・上記各実施形態では、操作ハンドル20は、操作部材31に固定される。そして、操作部材31は、その操作ハンドル20が回動操作されることにより、当該操作ハンドル20と一体に回動することとした。しかし、これに限らず、例えば、ギヤ等を介して操作ハンドル20と操作部材31とが連結される構成であってもよい。そして、操作ハンドル20と操作部材31とは、必ずしも同軸に配置されていなくともよい。
・更に、上記各実施形態では、操作ハンドル20を上方に引き上げる回動操作を第1方向の回動操作とし、下方に押し下げる回動操作を第2方向の回動操作とした。しかし、これに限らず、操作ハンドル20を下方に押し下げる回動操作を第1方向の回動操作とし、上方に引き上げる回動操作を第2方向の回動操作とする構成であってもよい。
・上記各実施形態では、ブラケット23は、略板状の外形を有して略平行に配置された第1ベース23A及び第2ベース23Bを備えることとしたが、ブラケット23の構成は任意に変更してもよい。例えば、その爪車30を挟んで操作部材31と軸方向に対向する対向部(第1ベース23A)に、第1制御片61の先端61a及び第2制御片62(72)の先端62aが挿通される円弧状の長孔65a,65b(75b)が形成されていない構成であってもよい。
・上記各実施形態では、第2係止レバー42(92)は、上記セクターギヤ16とピニオンギヤ18との噛合位置αに対し、その回転軸22を挟んで反対側の位置において爪車30に係合する。また、その位置は、回転軸22よりも上方の位置であることとした。しかし、これに限らず、第2係止レバー42が爪車30に係合する位置は任意に変更してもよい。そして、他のレバー部材(41,43(73))についてもまた、爪車30に係合する位置は任意に変更してもよい。
但し、各レバー部材(41,42(92),43(73))の支軸51〜53の配置については、その係合爪60と爪車30(の係合爪)との係合面S1〜S3に対して交差する方向が、より法線方向に近いことが望ましい。これにより、より確実に、爪車30の回転を規制し、及び回転駆動することができる。
・上記第2の実施形態では、中立位置P0にある操作ハンドル20を引き上げる第1方向の回動操作時、第1操作部材31Aから遅れた位相で第2操作部材31Bが回動することとした。しかし、これに限らず、中立位置P0にある操作ハンドル20を押し下げる第2方向の回動操作時についても第1操作部材31Aから遅れた位相で第2操作部材31Bが回動するようにしてもよい。そして、押し下げ操作時のみに第1操作部材31Aから遅れた位相で第2操作部材31Bが回動する構成についてもまた、これを排除しない。
・上記第2の実施形態では、係合孔81となる各長孔77が形成された第2操作部材31Bが第1係合体83を構成し、係合突部82となる軸状部材74及び各短軸部材78を有する第1操作部材31Aが第2係合体84を構成することした。しかし、これに限らず、第1操作部材31Aが係合孔81を有する第1係合体83を構成し、第2操作部材31Bが係合突部82を有する第2係合体84を構成するようにしてもよい。更に、第1操作部材31A及び第2操作部材31Bとは別体に形成された第1係合体83及び第2係合体84によって連結機構85が形成される構成であってもよい。また、係合孔81及び係合突部82の数や形状は、任意に変更してもよい。そして、第2操作部材31Bを第1操作部材31Aから遅れた位相で回動させることが可能であれば、係合孔81と当該係合孔81内に挿入された第2係合体84との係合以外の構成によって、その連結機構85を形成してもよい。
・上記各実施形態では、弾性部材としてのリングバネ37の弾性力に基づいて、その回動操作された操作ハンドル20を中立位置P0に復帰させるハンドル戻し機構40が形成されることとした。しかし、これに限らず、リングバネ37以外の弾性部材を用いる構成であってもよい。
・上記第2の実施形態では、ハンドル戻し機構40は、各長孔77における一方の周方向端部77aに軸状部材74及び各短軸部材78が当接するように、その操作ハンドル20が中立位置P0にある場合における第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとの間の相対的な回動位置を規定することした。しかし、これに限らず、中立位置P0における第1操作部材31Aと第2操作部材31Bとの間の相対的な回動位置については、任意に設定してもよい。例えば、必ずしも、その係合孔81の周方向端部に係合突部82が当接した状態に復帰するものでなくともよい。
・また、第2の実施形態における駆動レバー73に設けられた保持係合部97については、第1の実施形態の構成に適用してもよい。
・更に、第2係止レバー92に設けられた規制突部94及び押圧突部95の形状は任意に変更してもよい。そして、各制御片(61,62(72),63)の形状や形成方法についてもまた、任意に変更してもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記駆動レバーは、前記操作ハンドルが前記第1方向に回動操作されることにより前記第1係止レバーと前記爪車との係合が解除された位置において前記爪車に係合すること、を特徴とする車両用シートリフター装置。
即ち、第1方向の回動操作が発生した場合には、駆動レバーが爪車に係合する前に、第1係止レバーと爪車との係合が解除される。そして、これにより、より円滑にピニオンギヤを回転駆動することができる。
(ロ)前記回転軸には、前記回動操作に基づいて内径が変化する捩りコイルバネが嵌装されること、を特徴とする車両用シートリフター装置。
即ち、その内径変化を利用して捩りコイルバネを回転軸に摺接させることで、その操作ハンドルの回動操作に所謂節度感を付与することができる。そして、これにより、操作感を向上させることができる。
(ハ)前記第1制御片及び第2制御片の少なくとも何れか一方は、前記操作部材を折り曲げてなること、を特徴とする車両用シートリフター装置。これにより、容易に制御片を形成することができる。