JP6154991B2 - 記録保存方法 - Google Patents

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Description

最近の50年間で、コンピューターシステムおよび情報の自動化は、作業過程および記録を電子記憶装置のためのデジタルフォーマットに変えてしまった。しかし、電子記録は、物理的な書類と同じように長持ちする性質はなく、多くの問題が残っている(例えば、大惨事が起こったときのシステム障害およびサイト障害)。そこで、長期にわたって特定の記録を保持し、視認性、解明性、利用可能性、証明可能な信憑性を確保できるようにすることが重要である。
個人的な記録および業務記録の望ましい寿命は、数週間から数ヶ月、はては数年までの範囲であり、ある場合には、数十年、数世紀の範囲である。したがって、この時間間隔で予測可能な事象から記録を守ることが重要である。しかし、数世紀または数千年の間情報を保存することを想像するのは困難な場合があり(例えば、限定されないが、政府の活動記録、軍事に関連する書類、特定の建築物、機械、構造物のデザインおよび設計図などの書類)、このような長期間にわたって情報を保存するための方法およびシステムを開発する必要がある。
本開示は、特に、書類の形態で記録を長期間にわたって保存するための材料および方法を記載し、ここで、このような記録は、5年間、10年間、30年間、50年間またはそれ以上の期間にわたって保存されることが必要である。開示されているような材料および方法は、金属インクまたは金属ナノ粒子インクを利用し、耐久性のある媒体の永久的な書類または上述のような期間にわたって保存することができる書類の上に印刷し、これらの方法によって作られた書類は、物理的および化学的な損傷に耐性が与えられる。
耐久性のある媒体の1つ以上の表面にインクを接触させ、触って判別できる模様、文字、数字、またはこれらの組み合わせを含む記号、言葉、トレース図、設計図、図表、図形、グリフ、点、式、画像、ピクセル、コード、図、模様で構成される記録を作成することを含み、ここで、インクは、限定されないが、貴金属、遷移金属、半金属、金属アロイおよびこれらの組み合わせを含む金属コアを含有する1つ以上の金属ナノ粒子と、1つ以上の溶媒、第1の溶媒、任意要素の第2の溶媒とを含んでいてもよく、この溶媒が、焼結温度または融点よりも低い温度で蒸気になる媒剤と、任意要素の接着剤とを含むことと;上の媒体の1つ以上の接触表面で上述の金属ナノ粒子を焼結させることと;場合により、上述の1つ以上の表面で、焼結した金属を覆うようにコーティングを塗布することとを含む、記録を保存するための方法および材料が開示されている。得られた焼結した金属を、ある模様または形態になるように意図的に堆積させ、物理的および化学的な損傷からこの記録の完全性を守る。
貴金属としては、Ag、Au、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、およびこれらの組み合わせが挙げられる。遷移金属としては、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、W、Re、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
アロイは、貴金属および遷移金属を含む。貴金属は、Agであってもよい。
媒剤は、第1の溶媒と、任意要素の第2の溶媒とを含む。溶媒は、約7〜約18個の炭素原子を含む芳香族炭化水素、約8〜約28個の炭素原子を含む直鎖または分岐の脂肪族炭化水素、または脂環式炭化水素を含んでいてもよい。溶媒は、単環炭化水素または多環炭化水素であってもよい。単環炭化水素としては、環状テルペン、環状テルピネン、置換シクロヘキサンが挙げられる。多環炭化水素としては、別個の環系をもつもの、環系が組み合わさったもの、縮合環系をもつもの、架橋した環系をもつものが挙げられる。第1の溶媒および任意要素の第2の溶媒としては、ビシクロプロピル、ビシクロペンチル、ビシクロヘキシル、シクロペンチルシクロヘキサン、スピロ[2,2]ヘプタン、スピロ[2,3]ヘキサン、スピロ[2,4]ヘプタン、スピロ[3,3]ヘプタン、スピロ[3,4]オクタン、ビシクロ[4,2,0]オクタンヒドロインダン、デカヒドロナフタレン、ペルヒドロフェナントロリン、ペルヒドロアントラセン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,1]オクタンが挙げられる。
第1の脂肪族多環炭素溶媒は、デカヒドロナフタレンであってもよく、任意要素の第2の脂肪族多環炭素溶媒は、ビシクロヘキシルであってもよい。
任意要素の接着剤としては、テルペン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸ターポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリブテン、ポリアミド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
媒体は、耐久性のある媒体であり、金属、金属箔(金属は、モリブデン、アルミニウム、ベリリウム、カドミウム、セリウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、金、鉛、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、銀、ステンレス鋼、鋼鉄、鉄、ストロンチウム、スズ、チタン、タングステン、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、金属アロイ、真鍮または青銅であってもよい)、金属ケイ化物、金属炭化物、ポリマー、プラスチック、導電性ポリマー、コポリマー、ポリマーブレンド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステル膜、マイラー、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、耐久性のある紙、コーティングされた紙、ポゾラン、クレー、砂、砂利、パーライト、バーミキュライト、鉱滓綿、グラファイト、アルミノシリケート、マイカ、ケイ素、ガラス、サファイア、有機金属、セルロース、木材、繊維、樹皮、果実の殻、皮膚、セラミック、およびこれらの組み合わせが挙げられる。媒体は、任意の形態または形状であってもよく、例えば、平坦なもの、曲がったものなどであってもよく、なめらかであってもよく、織り目加工されていてもよく、曲げたり、しならせたりできるものであってもよく、そうでなくてもよい。
コーティングは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリジシクロペンタジエン(PDCPD)、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン(PCP)、ポリブタジエン、ポリイソプレン(PI);天然ポリマー、セルロース、ラテックス、デンプン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、カチオン系高分子電解質、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルアミン(PAH)、アニオン系高分子電解質、ポリ−L−グルタミン酸(PGA)、ポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリケトン、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリロニトリル、ポリシアノアクリレート、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVAまたはPVAc)、架橋ポリマー、分岐ポリマー、星形のポリマー、コポリマー、デンドリマーおよびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。コーティングは、一般的に、無色透明または透明であるが、半透明であってもよく、光沢があってもよく、マット仕上げされていてもよい。
媒体の1つ以上の表面上にあるインクを接触させることと;記号、トレース図、設計図、図表、言葉、図形、グリフ、点、式、画像、ピクセル、コード、図、模様、文字、数字、またはこれらの組み合わせで構成される記録を作成し、インクが、金属ナノ粒子、銀ナノ粒子、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘキシル、任意要素の接着剤のうち複数を含むことと;媒体の1つ以上の接触表面に密着した銀の塊を作成するのに十分な時間、上の接触させたインクを加熱することと;前記1つ以上の表面の上にある銀の塊の上に任意要素のコーティングを塗布することとを含み、得られた模様の入った銀の塊は、この記録を長期間保存する、記録を保存する方法が開示されている。
接触させることは、インクジェットプリンタを用い、耐久性のある媒体の上にインクを印刷することによって行われてもよい。媒体は、プラスチック媒体であってもよく、インクは、200℃未満の温度で加熱されるか、または焼結される。インクは、約0.1秒〜約30分間加熱されてもよい。
媒体は、ポリカーボネート(PC)、PEEK、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PEN、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリウレタンなどであってもよい。
上述の方法によって作成されるプラスチック媒体の上に印刷された記録が開示されており、銀を含有するナノ粒子を含み、インクが塗布されている場所の、印刷され、焼結された記録の領域の金属含有量は、大部分は金属であり、例えば少なくとも50重量%、少なくとも80重量%、少なくとも約90重量%が金属である。
本開示は、金属ナノ粒子および耐久性のある受け入れ部材を用いて印刷書類を保存し、耐久性のある書類を作成するための材料および方法に関する。
(a)媒体の1つ以上の表面にインクを接触させ、記号、トレース図、設計図、図表、図形、グリフ、点、式、画像、ピクセル、コード、図、模様、文字、数字、またはこれらの組み合わせで構成される記録を作成し、ここで、このインクが、限定されないが、貴金属、遷移金属、半金属、金属アロイおよびこれらの組み合わせを含む金属コアと、媒剤と、任意要素の接着剤とを含む1つ以上の金属ナノ粒子を含むことと;
(b)前記媒体の1つ以上の接触表面でこの金属ナノ粒子を焼結させることと;場合により、
(c)前記1つ以上の表面の上で、焼結した金属を覆うようにコーティングを塗布することとを含み、得られた焼結した金属が、物理的および化学的な損傷に耐性の耐久性のある記録を与える、記録を保存するための方法が開示されている。
本開示の目的のために、「インク」、「現像剤」、「トナー組成物」および「インク溶液」は、相互に置き換え可能に使用され、任意の特定的または特殊な用途および意味は、その言葉または句があらわれる文章、章などの内容から明らかであろう。ある態様では、インクは、例えば、受け入れ媒体の表面に液体または固体として塗布され、画像または複写物を生成する顔料または染料を含む。したがって、本発明の目的のために、インクは、トナーを含む。また、目的のインクは、乾燥インクであってもよく、固体インクであってもよい。インクは、液体インクであってもよく、例えば、水系インクまたは溶媒系インクであってもよい。インクは、乾燥インクであってもよく、例えば、固体インクまたはトナーであってもよい。「媒剤」は、目的のインクの非着色剤部分を含む。したがって、媒剤は、樹脂、有機溶媒などを含んでいてもよい。本開示の目的のために、インクは、インクの金属含有量がかなり多い状態であれば、任意の数の添加剤を含有していてもよく、添加剤は、一般的に、耐久性のある表面にインクを焼結させることを妨げず、画像およびその耐久性に対し悪い影響を与えず、任意要素のコーティングに悪い影響を与えない。
本明細書で使用する場合、「焼結させること」は、この言葉の文法的な変形を含め、ある材料を溶融させつつ、または溶融させることなく加熱することによって、密着した塊を形成することを意味する。例えば、このような材料としては、限定されないが、金属性粉末が挙げられる。このような材料としては、貴金属、遷移金属、半金属、金属アロイ、またはこれらの組み合わせを含む金属コアを含有する金属ナノ粒子が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「記録」は、この言葉の文法的な変形を含め、過去の事象の永久的な証拠または過去の事象に関する情報を与える何らかのものを意味する。例えば、触って判別できる模様、文字、数字、またはこれらの組み合わせを含む記号、言葉、トレース図、設計図、図表、図形、グリフ、点、式、画像、ピクセル、コード、図、模様を含むか、またはこれらで構成される印刷した書類は、この用語に包含されるだろう。
用語「ナノ」は、「金属ナノ粒子」で使用される場合、粒径が約1000nm未満であることを示す。金属ナノ粒子は、粒径が約0.5nm〜約1000nm、約1nm〜約500nm、約1nm〜約100nm、約1nm〜約20nmであってもよい。粒径は、本明細書では、例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)で決定されるような金属ナノ粒子の平均径であると定義することができる。ナノ粒子は、金属の上に保有され、含有される任意の粒状物である。
本明細書で使用する場合、「大部分は」は、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%またはそれ以上を示す意味をもつ。媒体の上に堆積させたインクという観点で、金属含有量の決定は、所与の容積のインクが塗布される部位に対して相対的に行われ、この部位の面積に応じて決定される。金属含有量は、堆積させる前の液体配合物に応じて決定することができる。
本明細書で使用する場合、修飾語句「約」は、ある量とあわせて用いられ、記載されている値を含み、その内容によって示される意味をもつ(例えば、特定の量の測定に関連する少なくともある程度の誤差を含む)。ある範囲という観点で用いられる場合、修飾語句「約」は、2つの終点の絶対値によって定義される範囲も開示しているものと考えられるべきである。例えば、「約2〜約4」という範囲は、「2〜4」の範囲も開示している。
本明細書で使用する場合、「長期間」は、約5年〜約10年、約10〜約20年、約20〜約50年、約50〜約100年、または約100年を超える期間を含む。
本明細書で使用する場合、用語「保存」は、この言葉の文法的な変形を含め、記録の視認性、解明性、利用可能性、証明可能な信憑性が長時間にわたって維持されることを意味し、このような視認性、解明性、利用可能性,証明可能な信憑性は、目視によるヒトの試験、触知によるヒトの試験、および/または、耳、目、光、電気、化学物質、放射性物質、電磁気によって決定されてもよく、および/または機械および/またはコンピューターデバイスまたはこれらの組み合わせによる触知試験によって決定されてもよい。関連する態様では、記録は、ヒトの視覚による解読、ヒトの触覚による解読、および/または耳、目、光、電気、化学物質、放射性物質、電磁気による解読、および/または機械および/またはコンピューターデバイスまたはこれらの組み合わせによる触覚による解読によって読み取り可能であってもよい。
本明細書で使用する場合、用語「基材または媒体」は、相互に置き換え可能に用いられてもよく、第2の基板が塗布され、この第2の基板が接着する固体または半固体または過冷液体の基質を意味する。基材または媒体は、長期間の時間間隔に匹敵する寿命またはこれを超える寿命をもつか、本明細書に教示されているような長持ちする「耐久性のある」基材または媒体であり、特定の紙、プラスチック、金属、セラミック、ガラスなどが挙げられる。基材は、任意の形態、形状または見栄えであってもよい。その表面は、なめらかであってもよく、織り目加工されていてもよい。基材は、しならせたり、曲げたりできるものであってもよく、設計上の選択としてさまざまな剛性度をもっていてもよい。したがって、耐久性のある媒体は、本明細書に教示される望ましい期間(例えば、少なくとも5年、5年を超えて、またはこれより長い期間)にわたって望ましい機能を保持または維持する媒体である。
本明細書で使用する場合、用語「完全性」は、この言葉の文法的な変形を含め、欠損がなく、損なわれていない状態に近く、元々の状態に近く、初期の状態に近く、または完全な状態に近いことを意味する。
金属粒子を調製するための方法が提案されている。例えば、金属ナノ粒子は、光化学プロセスを用いて合成することができる。米国特許第7,789,935号は、安定化された金属性ナノ粒子を光化学的に製造することと、このナノ粒子をインクに配合することとを含む、インクを作成する方法を開示している。
米国特許第7,749,300号は、二元金属コア−シェルナノ粒子を光化学的に製造する方法を開示し、この粒子は、例えば、インク用途で使用することができる。
米国特許公開第20090142481号は、銅ナノ粒子インク製造中に安定化剤として置換ジチオカーボネートを用い、RFIDアンテナ用途のために紙基材にアニーリングすることができる低コスト銅ナノ粒子インクを開示する。
米国特許第7,494,608号は、液体および複数の銀含有ナノ粒子を安定化剤とともに含む組成物を開示し、銀含有ナノ粒子は、銀化合物、還元剤、安定化剤、有機溶媒を含む反応混合物中、熱によって除去可能な安定化剤存在下、銀化合物と、ヒドラジン化合物を含む還元剤との反応生成物であり、ヒドラジン化合物は、ヒドロカルビルヒドラジン、ヒドロカルビルヒドラジン塩、ヒドラジド、カルバジン酸塩、スルホノヒドラジド、またはこれらの混合物であり、安定化剤は有機アミンを含む。また、米国特許第7,270,694号を参照。
米国特許公開第20090148600号は、有機アミンおよび還元剤化合物が存在する状態で金属カルボキシレートを還元することによって作られるカルボン酸−アミンの安定化剤複合体をその表面に含む金属ナノ粒子を開示する。金属カルボキシレートは、少なくとも4個の炭素原子を含むカルボキシル基を含んでいてもよく、アミンは、1〜約20個の炭素原子を含む有機基を含んでいてもよい。
米国特許公開第20110048171号は、連続型流水式反応器で金属性ナノ粒子を製造する方法を開示する。
本開示の場合、本明細書に教示される任意の方法によって製造され、本明細書に言及されているか、または当該技術分野で知られているような、保護されておらず、コーティングされていない金属性ナノ粒子は、例えば、表面電荷をもたらすために、当該技術分野で既知の任意の適切な手段によって官能基化されていてもよい。さらに、金属性ナノ粒子は、安定化されていてもよい。粒子の安定化は、ナノ粒子を含む水溶液に安定化分子を直接加えることによって達成されてもよい。または、ナノ粒子を、安定化分子を含む有機溶媒で抽出してもよい。例えば、銅ナノ粒子は、置換ジチオカーボネートで置換されていてもよい。銀ナノ粒子は、有機安定化剤で安定化されていてもよい。用語「有機」、「有機安定化剤」は、例えば、炭素原子が存在することを指すが、有機安定化剤は、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、ハロゲンなどのような1つ以上の非金属原子または炭素ではないヘテロ原子を含んでいてもよい。
有機安定化剤は、有機アミン(例えば、アルキルアミン、例えば、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノオクタン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミンなど)、またはこれらの組み合わせであってもよい。
金属ナノ粒子は、式(I):X−Yで構成される安定化剤で安定化されていてもよく、ここで、Xは、少なくとも約4個の炭素原子、少なくとも約8個の炭素原子、少なくとも約12個の炭素原子、約4〜約24個の炭素原子、約6〜約20個の炭素原子を含む炭化水素であり、Yは、金属ナノ粒子表面に接続する官能基である。官能基Yの例としては、例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、チオールおよび誘導体、−OC(=S)SH(キサントゲン酸)、ピリジン、ピロリドンなどが挙げられる。有機安定化剤としては、限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドンおよび他の有機界面活性剤が挙げられる。有機安定化剤としては、限定されないが、チオール、例えば、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール;ジチオール、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール;またはチオールとジチオールの混合物が挙げられる。有機安定化剤は、キサントゲン酸、例えば、キサントゲン酸 o−メチル、キサントゲン酸 o−エチル、o−プロピルキサントゲン酸、o−ブチルキサントゲン酸、o−ペンチルキサントゲン酸、o−ヘキシルキサントゲン酸、o−ヘプチルキサントゲン酸、o−オクチルキサントゲン酸、o−ノニルキサントゲン酸、o−デシルキサントゲン酸、o−ウンデシルキサントゲン酸、o−ドデシルキサントゲン酸が挙げられる。また、金属ナノ粒子を安定化させることが可能なピリジン誘導体(例えば、ドデシルピリジン)および/または有機ホスフィンを含む有機安定化剤も、本明細書で安定化剤として使用されてもよい。
有機物で安定化された金属ナノ粒子のさらなる例としては、米国特許公開第2009/0148600号に記載されているカルボン酸−有機アミン複合体で安定化された金属ナノ粒子;米国特許公開第2007/0099357 A1号に記載されているカルボン酸安定化剤金属ナノ粒子、米国特許公開第2009/0181183号に記載されている熱によって除去可能な安定化剤およびUVによって分解可能な安定化剤が挙げられる。
金属ナノ粒子表面にある安定化剤の被覆度は、さまざまであってもよく、例えば、安定化剤が金属ナノ粒子を安定化する能力、または設計上の選択に依存して、例えば、最終生成物の望ましい性質または見栄えに基づいて、部分的に覆われているものから完全に覆われているものまでさまざまであってもよい。もちろん、個々の金属ナノ粒子の中で安定化剤の被覆度も、同様に変動する。
金属ナノ粒子(金属粒子と安定化剤のみを含み、溶媒を除く)中の有機安定化剤の重量パーセントは、例えば、約3重量%(wt%)〜約60wt%、約5wt%〜約35wt%、約5wt%〜約20wt%、約5wt%〜約10wt%であってもよい。結果として、金属ナノ粒子中の金属の重量パーセントは、例えば、約40wt%〜約97wt%、約65wt%〜約95wt%、約80wt%〜約95wt%、約90wt%〜約95wt%であってもよい。
金属ナノ粒子は、銀元素または銀コンポジットで構成されていてもよい。銀コンポジットは、銀以外に、(i)1つ以上の他の金属および(ii)1つ以上の非金属のうちいずれか、または両方を含んでいてもよい。適切な他の金属としては、遷移金属(例えば、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、W、Re、およびこれらの組み合わせ)を含め、例えば、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、InおよびNiが挙げられる。アロイが開示されており、アロイは、例えば、ナノ粒子の少なくとも約20重量%またはナノ粒子の約50重量%よりも多い量で、貴金属(例えば、Ag、Au、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、およびこれらの組み合わせ)、遷移金属を含んでいてもよい。金属コンポジットの種々の要素は、例えば、約0.01重量%〜約99.9重量%、約10重量%〜約90重量%の量で存在していてもよい。使用される1種類以上の金属は、選択された媒体の上でインクを焼結させることができるのであれば、設計上の選択である。したがって、金属インクまたは焼結されたインクは、導電性である必要はなく、または、通常金属に帰する安定性以外の任意の他の特定の性質をもっている。
インク中のナノ粒子の重量パーセントは、例えば、約5重量%〜約80重量%、約10重量%〜約60重量%、約20重量%〜約60重量%であってもよい。
金属コンポジットの種々の要素は、例えば、約0.01重量%〜約99.9重量%、約10重量%〜約90重量%の範囲の量で存在していてもよい。
安定化された金属ナノ粒子は、銀元素で構成されていてもよい。安定化されたナノ粒子は、銀含有量が約70%以上であってもよい(約70重量%〜約90重量%、約75重量%〜約85重量%を含む)。この含有量は、従来のプロセスで製造されるものよりも高くてもよい。含有量は、任意の適切な方法で分析することができる。例えば、銀含有量は、熱重量分析または灰化法によって得ることができる。
銀ナノ粒子を媒剤に溶解または分散させてもよく、媒剤は、第1の溶媒と任意要素の第2の溶媒の混合物を含んでいてもよい。配合物は、媒体に塗布され、化学的または物理的/機械的な損傷(限定されないが、水、有機溶媒にさらされること、プラズマ処置、UV照射、曲げおよび/または折り曲げなどを含む)に耐性があり、金属含有量がかなり多い書類または記録を製造するような、焼結可能なインクを提供する。それに加えて、本開示の液体インク配合物は、異なる表面エネルギーをもつさまざまな基材表面に吐出させ、印刷された特徴物を得ることができる。
「かなり多い金属含有量」またはその等価表現である「実質的に金属で」またはこれらの形態は、所与の面積または空間(例えば、1mm)が、空間全体を本質的に満たすように目的のインクの均一できわめて薄い層で全体的に覆われており、焼結させた後に、残りのインク材料の四角形の金属含有量が、重量基準で、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%であることを意味する。目的のインクの金属含有量は、約30重量%より多くてもよく、約40重量%より多くてもよく、約50重量%より多くてもよく、約60重量%より多くてもよく、約70重量%より多くてもよく、約80重量%より多くてもよく、それ以上であってもよい。
溶媒系インクの場合、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、ヘテロ原子を含有する芳香族などを含め、任意の適切な溶媒を使用してもよい。例示的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノールなどが挙げられる。例示的なケトンとしては、アセトン、アセトフェノン、ブタノン、エチルイソプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、3−ペンタノン、メシチルオキシドなどが挙げられる。例示的なエステルとしては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、炭酸ジエチル、テレフタル酸ジオクチルなどが挙げられる。例示的なエーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリン、ジオキサン、ジメトキシエタン、メトキシエタンなどが挙げられる。例示的なヘテロ原子を含有する芳香族としては、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、ニトロトルエン、ピリジンなどが挙げられる。他の適切な溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。第1の溶媒および任意要素の第2の溶媒は、約7〜約18個の炭素原子を含む芳香族炭化水素、約8〜約28個の炭素原子を含む直鎖または分岐の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素などから選択されてもよい。溶媒は、単環または多環の炭化水素であってもよい。単環溶媒としては、環状テルペン、環状テルピネン、置換シクロヘキサンなどが挙げられる。多環溶媒としては、別個の環系、組み合わさった環系、縮合環系、架橋した環系が挙げられる。第1の多環炭素溶媒および任意要素の第2の多環炭素溶媒としては、ビシクロプロピル、ビシクロペンチル、ビシクロヘキシル、シクロペンチルシクロヘキサン、スピロ[2,2]ヘプタン、スピロ[2,3]ヘキサン、スピロ[2,4]ヘプタン、スピロ[3,3]ヘプタン、スピロ[3,4]オクタン、ビシクロ[4,2,0]オクタンヒドロインダン、デカヒドロナフタレン(ビシクロ[4.4.0]デカンまたはデカリン)、ペルヒドロフェナントロリン、ペルヒドロアントラセン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,1]オクタンなどが挙げられ、ここで、インクは、プリンタヘッド内での乾燥時間が、約1時間〜約2ヵ月、約5時間〜約1ヵ月、約5時間〜1週間である。第1の溶媒および任意要素の第2の溶媒は、飽和および不飽和の炭化水素環を含んでいてもよく、限定されないが、テトラリン、ヘキサリン、二環状モノテルペン、環状テルピネンとともに単環モノテルペン(例えば、リモネンおよびセリネン)を含む環状テルペン、例えば、シクロデセン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、1−tert−ブチル−1−シクロヘキセン、テルピノレン、γ−テルピネン、α−テルピネン、α−ピネン、テルピネオール、メチルナフタレンおよびこれらの混合物であってもよい。一般的に、溶媒は、インクに使用される焼結温度よりも低い温度で揮発性である溶媒である。
第1の溶媒は、縮合環系であってもよく、任意要素の第2の溶媒は、別個の環系であってもよい。溶媒は、飽和炭化水素であってもよい。したがって、第1の飽和溶媒は、デカヒドロナフタレンであってもよく、任意要素の第2の飽和溶媒は、ビシクロヘキシルであってもよい。溶媒は、約10重量%〜約90重量%、約20重量%〜約25重量%、約30重量%〜約35重量%、約35重量%〜約40重量%、約20重量%〜約70重量%の範囲で使用されてもよい。デカヒドロナフタレンは、約20重量%〜約60重量%存在していてもよく、ビシクロヘキシルは、約5重量%〜約30重量%存在していてもよい。デカヒドロナフタレンは、約30〜約35重量%存在していてもよく、ビシクロヘキシルは、約13〜約18重量%存在していてもよい。
インクは、任意要素の接着剤を含んでいてもよい。接着剤としては、限定されないが、ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、多糖、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、シリコーンおよびエポキシ化合物が挙げられる。接着剤は、インク組成物の合計重量の約0.05重量%〜約20重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%の量で存在していてもよい。接着剤は、インク組成物の合計重量の約0.1重量%〜約3重量%の量で存在していてもよい。
インクは、基材に対する接着性を高めるための樹脂を含んでいてもよい。樹脂としては、テルペン樹脂、スチレンブロックコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン/プロピレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸ターポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリブテン、ポリアミドなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。樹脂は、インク組成物の合計重量の約0.05重量%〜約20重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%の量で存在していてもよい。
基材または媒体は、金属、金属箔、例えば、モリブデン、アルミニウム、ベリリウム、カドミウム、セリウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、金、鉛、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、銀、ステンレス鋼、鋼鉄、鉄、ストロンチウム、スズ、チタン、タングステン、イットリウム、亜鉛またはジルコニウムの金属箔、金属アロイ、例えば、真鍮または青銅、金属ケイ化物、金属炭化物、ポリマー、プラスチック、導電性ポリマー、コポリマー、ポリマーブレンド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステル膜、マイラー、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、耐久性のある紙、コーティングされた紙、ポゾラン、クレー、砂、砂利、パーライト、バーミキュライト、鉱滓綿、グラファイト、アルミノシリケート、マイカ、ケイ素、ガラス、サファイア、有機金属、セルロース、木材、繊維、樹皮、果実の殻、皮膚、セラミックおよびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
基材または媒体は、例えば、インクを堆積させる前に、化学物質、電荷源、コーティングポリマーなどで処理されてもよく、目的のインクが塗布される媒体または基材の表面に対するインクの接着性を大きくすることができる。基材、媒体または受け入れ部材の形状および構造は、受け入れ部材にインクを塗布し、堆積させ、配置し、噴霧することなどができ、焼結温度にさらすことが可能な限り、限定されない。
開示されている方法によって作成される記録は、コーティングを含んでいてもよく、コーティングとしては、限定されないが、ポリマーが挙げられる。ポリマーは、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリメタクリレート、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニル(PVC);熱硬化性ポリマー、例えば、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリイミドまたはポリジシクロペンタジエン(PDCPD);エラストマー、例えば、シリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン(PCP)、ポリブタジエンまたはポリイソプレン(PI);天然ポリマー、例えば、セルロース、ラテックスまたはデンプン;ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET);カチオン系高分子電解質;アニオン系高分子電解質;ポリケトン、例えば、ポリ(アリールエーテルケトン);ポリアミド、例えば、ポリアラミド;ポリアクリロニトリル;ポリシアノアクリレート;ポリエーテルスルホン;ポリスチレン(PS);ポリエチレン;ポリビニルピロリドン(PVP);ポリ酢酸ビニル(PVAまたはPVAc);架橋ポリマー、分岐ポリマーまたは星形のポリマー;コポリマー;および種々のデンドリマーから選択されてもよい。
使用されるコーティングポリマーは、フルオロポリマーまたはフルオロコポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロプロピレン、ポリ(ヘプタフルオロブチルアセテート)、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとペルフルオロプロペンのコポリマー、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオールとアジピン酸のポリエステル、または3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシリコーンであってもよい。
ポリマーは、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはポリエチルメタクリレート(PEMA)、カチオン系高分子電解質、例えば、ポリ−L−リジン(PLL)またはポリアリルアミン(PAH)、アニオン系高分子電解質、例えば、ポリ−L−グルタミン酸(PGA)またはポリスチレンスルホネート(PSS)から選択されてもよい。
また、使用するポリマーは、本明細書に教示されるポリマーまたは当該技術分野で既知のポリマーの任意の組み合わせであってもよい。
ポリマーコーティングは、設計上の選択として、溶融形態のポリマーから出発するか、または、適切な溶媒のポリマー溶液から出発し、当業者なら十分に知っているポリマー膜を堆積させる従来の方法によって堆積させてもよい。
限定されないが、遠心分離による堆積(従来から「スピンコーティング」として知られている)、浸漬による堆積(従来から「浸漬コーティング」として知られている)、液滴による堆積(従来から「キャスティング」として知られている)、層流による堆積または噴霧による堆積(従来から「エアロスプレー」として知られている)を含む、種々の堆積手段を使用してもよい。
目的のコーティングは、乾燥し、固定し、重合し、硬化などしたときに、焼結した目的のインク製品をその下に含む画像、絵、図表、レタリングなどの実質的に妨げられない視界を確保するために、無色透明または半透明であってもよい。コーティングは、光沢仕上げ、折り目加工仕上げ、マット仕上げなどがされていてもよい。コーティングは、除去可能であってもよい。
本明細書で与えられる場合、覆われるか、または場合によりインクが塗布される基材または媒体の表面を処理し(シラン処理、冷温プラズマ照射またはオゾン下でのUV露光のような処理)、基材に対するインク、金属ナノ粒子、ポリマーの接着性、または基材に対するコーティングの接着性を高めてもよい。異なる表面処理技術によって、基材または媒体の表面に特定の化学基(例えば、ヒドロキシル基)またはシラン機能を含む鎖をグラフト接合させることができ、例えば、基材または媒体に対するコーティングポリマー、インクおよび/または金属ナノ粒子、および/またはコーティングの接合性を促進するだろう。
目的のプロセスは、コーティングポリマーが堆積した後に、例えば、熱処置、例えば、コーティングポリマーをこのポリマーのガラス転移温度よりも高い温度などで後硬化させ、記録の耐久性を高めるようなさらなる処理工程を含んでいてもよい。
焼結工程および/または後硬化の加熱工程によって、インク配置部位に残存する粒子状物質を生じるようなインク溶媒をなくすことができ、本明細書で提供されるとおり、残渣は、大部分が金属であるか、または実質的に金属である。実質的に金属である、または大部分が金属であるとは、基材の上で焼結させたインクに残留する金属含有量は、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%などである。
インク組成物は、金属ナノ粒子と、任意要素の樹脂コーティングとを含んでいてもよく、目的のインク組成物を含む記録は、任意要素のコーティングを含んでいてもよい。金属ナノ粒子は、銀を含んでいてもよい。金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子コアと有機安定化剤シェル層とを備える安定化された金属ナノ粒子であってもよい。ナノ粒子は、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子であってもよい。金属ナノ粒子は、金属含有量が、少なくとも約65重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%であってもよい。
ナノ粒子は、インク組成物の合計重量の約10重量%〜約85重量%、約20重量%〜約60重量%の量で存在していてもよい。
金属ナノ粒子は、平均径が約100nm以下、約50nm以下であってもよい。ナノ粒子は、平均径が約1nm〜約15nm、約2nm〜約10nmであってもよい。粒度分布幅は、最も大きなナノ粒子の直径と最も小さなナノ粒子の直径の差、または最も小さなナノ粒子から最も大きなナノ粒子までの範囲を指す。ナノ粒子の粒度分布幅は、約10nm〜約50nm、約10nm〜約25nmであってもよい。金属ナノ粒子は、約1nm〜約50nmの小さな粒径をもち、約10nm〜約30nmの狭い粒度分布幅をもつ。狭い粒度分布をもち、粒径が小さいと、例えば、インクジェットノズルを介するインク中の分散および塗布が容易になる。
本開示のインク組成物からの導電性要素の製造は、所定粘度のインクを取り扱うことが可能な任意の方法を用いて行うことができる。インクジェット印刷を使用してもよい。任意の種類のインクジェットプリンタ(圧電式プリンタを含む)をインクジェット印刷に用いてもよい。
任意の適切な吐出条件を用い、インク組成物を塗布してもよい。プリンタヘッドの温度が約23℃〜約120℃または約23℃〜約65℃の圧電式プリンタヘッドを用い、インクを印刷してもよい。基材の温度は、約23℃〜約80℃、または約40℃〜約60℃であってもよい。液滴の間隔は、約20μm〜約80μm、約20μm〜約60μmであってもよい。基材温度は、約50℃〜約60℃であってもよく、液滴の間隔は、約40μmである。液滴の間隔と基材温度の組み合わせは、印刷される線の幅および平滑性に影響を与えることがある。
固体インクの場合、当該技術分野で知られるように、塗布されるインクは、一般的に実質的に液体であり、したがって、上に提供される条件または当該技術分野で知られているような条件をこれに適用する。トナーの場合、当該技術分野で知られているように、着色剤キャリア(例えば、樹脂およびトナーを含む他の要素)は、使用可能な構成であってもよく、本明細書に提供されるような塗布されるインクの性質をもっていてもよい。したがって、トナー組成物は、焼結されるものであろう。金属を含む目的のトナーの非着色剤要素は、焼結させると、コーティング機能を発揮してもよい。
印刷した材料を焼結するために、堆積させたナノ粒子の加熱を、約200℃未満、約150℃未満、約140℃未満の温度で行ってもよい。加熱は、例えば約0.1秒〜約10時間、約5分〜約1時間行われてもよい。加熱は、約80℃〜約200℃の温度で行われてもよい。加熱は、約130℃〜約150℃の温度で実施されてもよい。加熱は、約140℃で約10分間行われてもよい。
異なる金属の組み合わせ(例えば、金と銀)を用いることによって、必要な場合には記録に異なる色を導入してもよい。例えば、金、銀、銅は、すべて異なる色をもつ。設計の差は、異なる金属インクを用いた導電性の差にコード化されてもよい。例えば、ポリマー樹脂(例えば、金属インク組成物で使用される接着剤)の量を調節することによって、最終的な焼結された点または線の導電性を、全体的に絶縁性の状態から高度に導電性の状態まで調節することができる。
銀含有量がほぼ90重量%の高スループット銀ナノ粒子をこの実施例で使用した。銀ナノ粒子の調製は、米国特許第7,494,608号にすでに開示されているように行い、ヘキサデシルアミンと酢酸銀のモル比は約5:1であった。
溶媒混合物中の銀ナノ粒子を50重量%保持させ、溶媒混合物中で銀ナノ粒子を一晩(約16時間)振り混ぜてインクを調製した。インクに使用される溶媒は、デカヒドロナフタレン/ビシクロヘキサンの混合物であった(重量比は約2:1)(Sigma−Aldrich製、セントルイス、ミズーリ)。インクを1μmフィルタに通した。
インクジェットプリンタを用いてインクを試験し(DMP−2800、10pLカートリッジを取り付け、液滴の間隔が約40μm)、プラスチック媒体(PETおよび/またはPC)に印刷した。自動車設計の設計図を、このインクを用いてPETシートに複写した。
140℃で10分間焼結させた後、画像を複製する銀のマークを媒体の上に固定した。
得られた印刷物を、水および有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、トルエン、アセトン)に一晩浸し、電磁照射される(例えば、UV照射、プラズマ処理、および折り曲げるおよび曲げるといった機械的な地力)ことを含む種々の化学的および物理的な障害を用い、画質に対しなんら見つけることが可能な損傷、悪化がなく、処理した。
このデータは、銀の優れた安定性を、プラスチック基材の頑健性との組み合わせと併用し、目的の記録の長期間保存に使用されてもよい。

Claims (9)

  1. 記録を保存するための方法であって、
    (a)媒体の1つ以上の表面にインクを接触させ、記号、トレース図、設計図、図表、図形、グリフ、点、式、画像、ピクセル、コード、図、模様、文字、数字、またはこれらの組み合わせで構成される記録を作成し、ここで、このインクが、貴金属、遷移金属、半金属、金属アロイおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属コアを含む1つ以上の金属ナノ粒子と、媒剤とを含むことと;
    (b)前記媒体の1つ以上の接触表面でこの金属ナノ粒子を焼結させることとを含み、
    前記記録は、過去の事象の永久的な証拠または過去の事象に関する情報を与えるものであり、
    前記インクにおける金属ナノ粒子の含有量は少なくとも50重量%であり、
    前記媒剤は、第1の溶媒および第2の溶媒を含み、
    前記第1の溶媒および前記第2の溶媒は、それぞれ独立して、多環の脂環式炭化水素であり、
    得られた焼結した金属が、物理的および化学的な損傷から前記記録の完全性を守る、方法。
  2. 前記第1の溶媒がデカヒドロナフタレンであり、前記第2の溶媒がビシクロヘキシルである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記記録が印刷された書類である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記貴金属が、Ag、Au、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記遷移金属が、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、W、Re、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記金属ナノ粒子が、その表面に安定化剤をさらに含み、前記安定化剤が式X−Yを有し、ここで、Xは、炭素原子を4個〜24個含む炭化水素基であり、Yは、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、チオール、チオール誘導体、キサントゲン酸、ピリジン、ピロリドン、カルバメート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、前記金属ナノ粒子の表面に接続した官能基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記インクが更に接着剤を含み、
    前記接着剤が、テルペン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン/プロピレンコポリマー、ポリオレフィン、ポリビニルブチラール、ポリブテン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記媒体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. (c)前記媒体の1つ以上の接触表面で、焼結した金属を覆うようにコーティングを塗布すること、を更に含み、
    前記コーティングが、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリジシクロペンタジエン、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン;天然ポリマー、セルロース、ラテックス、デンプン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、カチオン系高分子電解質、ポリ−L−リジン、ポリアリルアミン、アニオン系高分子電解質、ポリ−L−グルタミン酸、ポリスチレンスルホネート、ポリケトン、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリロニトリル、ポリシアノアクリレート、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、架橋ポリマー、分岐ポリマー、星形のポリマー、コポリマー、デンドリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
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