次に、種々の実施形態を詳細に参照し、これら実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が各図に示されている。各実施例は、本発明の説明のために提供されており、本発明を限定するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示され又は説明される特徴を他の実施形態において又はこれと関連して使用することができ、それにより更に別の実施形態を得ることができる。その意図は、本発明がかかる改造例及び変形例を含む、ということにある。
図面の以下の説明の範囲内において、同一の参照符号は、同一のコンポーネントを示している。個々の実施形態に関する相違点だけが説明される。図面に示されている構造は、必ずしも縮尺に忠実に示されていないが、その方が、本発明の良好な理解に役立つ。
本明細書で用いられる「試料」という用語は、半導体ウェハ、半導体加工物、及び他の加工物、例えばメモリディスク等を含むが、これらには限定されない。実施形態は、検査され或いは構造観察される物質が被着(堆積)されている、任意の加工物(ワーク)に適用できる。試料は、構造観察される、画像化される、或いは層が被着(堆積)されている表面を含むのが良い。本明細書で用いられる「荷電粒子」という用語は、電子、イオン、原子、又は他の荷電粒子を含み得る。「一次荷電粒子」という用語は、ビームエミッタにより放出されて試料に向けられる荷電粒子を意味している。「二次荷電粒子」という用語は、試料のところ又は試料内に作られる荷電粒子及び/又は後方散乱荷電粒子を意味している。例えば、「二次電子」という用語は、二次電子(SE)、後方散乱電子(BSE)及びオージェ電子を含むことができる。二次荷電粒子が電子である場合、二次荷電粒子は、例えば、オージェ電子及び後方散乱電子を含み得る。二次電子は、信号電子とも呼ばれ、二次荷電粒子は、信号荷電粒子とも呼ばれる。
公知の荷電粒子ビームシステム100の構成が図1に示されている。荷電粒子ビームシステム100は、荷電粒子を放出するビームエミッタ101を含む。ビームエミッタは、例えば、電子銃であり得る。ビームエミッタ101から放出された一次荷電粒子ビーム110は、ビームエミッタ101からビーム分離器130まで伝搬する。一次荷電粒子ビーム110は、ビーム分離器130内で偏向され、そして次にビーム分離器130から対物レンズ140まで伝搬する。対物レンズ140は、一次荷電粒子ビーム110を試料160上に集束させるようになっている。図1に示された例示のシステムでは、一次荷電粒子ビーム110は、ビーム分離器130から対物レンズ140を通って試料160まで伝搬する際、ビーム分離器130及び対物レンズ140の光軸150に沿って伝搬する。
試料160への一次荷電粒子ビーム110の衝突時、二次荷電粒子ビーム120が生じる。二次荷電粒子ビーム120は、試料160からビーム分離器130まで伝搬し、この場合、二次荷電粒子ビーム120は、一次荷電粒子ビーム110とは逆の方向に伝搬する。ビーム分離器130は、一次及び二次荷電粒子ビームに作用して、一次荷電粒子ビームを二次荷電粒子ビームから分離するようになっている。図示のように、二次荷電粒子ビーム120は、ビーム分離器130内で偏向され、この場合、当該偏向は、ビーム分離器を出た二次荷電粒子ビームが一次荷電粒子ビーム110から遠ざかる方向に差し向けられるようなものである。二次荷電粒子ビーム120は、ビーム分離器130から軸線181に沿って光学素子180まで伝搬することができる。図1に示された例示のシステムでは、光学素子180は、二次荷電粒子ビーム120を一次荷電粒子ビーム110から更に遠ざけるよう誘導するようになっているビーム曲げ器(ビームベンダ)である。二次荷電粒子ビーム120は、光学素子180を通過した後、二次荷電粒子光学部品(図示せず)によって影響を受けるのが良く、そしてこの二次荷電粒子ビームは、検出器190まで誘導される。
検出器190は、二次荷電粒子ビーム中に担持された情報を検出するために用いられる。例えば半導体プロセスの品質評価及び制御のために試料160に関する増大する量の情報を抽出するため、検出器190は、複雑且つ大型になる場合があり、それにより荷電粒子ビーム装置の荷電粒子ビームコラム内における制限されたスペースに起因する問題が生じる。
本明細書において説明する実施形態は、荷電粒子ビーム装置及び当該荷電粒子ビーム装置を作動させる方法に関する。以下に実施形態についての詳細な説明を提供する前に、前もって、図15に示されている実施形態に関して幾つかの観点を説明する。
図15は、例示の荷電粒子ビーム装置200を示している。荷電粒子ビーム装置200は、光軸490を定めたビーム分離ユニット230を有し、この場合、当該ビーム分離ユニットは、2次元ウィーンフィルタ型のものである。荷電粒子ビーム装置200は、分散補償ユニット1410を更に有し、この場合、分散補償ユニット1410も又、2次元ウィーンフィルタ型のものである。荷電粒子ビーム装置200は、ビーム分離ユニット230を出た二次荷電粒子ビーム120を異なる方向で検出するようになっている二次荷電粒子検出器710,720,740,750,760を含む検出器ドーム700を更に有している。図示の例示の実施形態では、5つの二次荷電粒子検出器が検出器ドーム700内に含まれている。しかしながら、検出器ドーム700は、以下に詳細に説明するように、これよりも少ない又はこれよりも多い二次荷電粒子検出器を含んでも良い。
図15に示されている二次荷電粒子検出器710,720,740,750,760は、試料160の上方に且つ対物レンズ140の上方に、しかもビーム分離ユニット230の上方に配置されている。検出器710,720,740,750,760の空間配置状態は、3次元配置状態であり、この場合、検出器710,720,740,750,760は、破線で示されているように、ビーム分離ユニット230の上方に光軸490に関して回転対称性を有する曲面701上、例えば半球面上、の異なる位置に配置されている。具体的に説明すると、検出器710,720,760は、第1の円1580上に配置されるのが良く、検出器740,750は、第1の円1580に平行な第2の円1590上に配置されるのが良い。2つの円1580,1590は、光軸490に対して曲面701上の互いに異なる緯線を表している。図示のように、第2の円1590は、第1の円1580と比較してビーム分離ユニット230の上方のより高い高さ位置に位置し、その結果、検出器740,750は、検出器710,720,760と比較してより高い高さ位置に配置されている。
図15に示されているビーム分離ユニット230は、当該ビーム分離ユニット230を通過する一次荷電粒子ビーム110及び二次荷電粒子ビーム120に作用する電界及び磁界を発生させるようになっている。ビーム分離ユニット230は、2次元ウィーンフィルタ型のものであるので、電界及び磁界は、例えば図11〜図13を参照して以下に詳細に説明するように、光軸490に垂直な平面内で任意所望の方向に発生されることができる。かくして、一次荷電粒子ビーム110及び二次荷電粒子ビーム120は、ビーム分離ユニット230内で生じる電界及び磁界の影響を受けて任意所望の方向に偏向されることができる。具体的に説明すると、ビーム分離ユニット230内で生じる電界及び磁界を適切に調節することによって、ビーム分離ユニット230を出る二次荷電粒子ビーム120をこれが検出器ドーム700に含まれる二次荷電粒子検出器のうちの任意の1つまで伝搬するよう偏向させることができる。図15では、電界及び磁界の構成は、二次荷電粒子ビーム120を偏向させてこれがビーム分離ユニット230から検出器720まで伝搬するようなものである。フィールド(電界及び/又は磁界)の構成を適切に調節することによって、二次荷電粒子ビーム120は又、これがビーム分離ユニット230から破線1510,1540,1550,1560でそれぞれ示されているように検出器ドーム700に含まれている検出器710,740,750,760のうちの任意の1つまで伝搬するよう偏向させることができる。
2次元ウィーンフィルタ型のビーム分離ユニット230内で生じる電界及び磁界は十分に多くの数の自由度を有するので、二次荷電粒子ビーム120の伝搬方向は一次荷電粒子ビーム110の伝搬方向とは独立して選択することができる。具体的に説明すると、ビーム分離ユニット230内で生じる電界及び磁界を適切に調節することによって、ビーム分離ユニット230を出る二次荷電粒子ビーム120を偏向させてこれが検出器ドーム700に含まれている二次荷電粒子検出器のうちの任意の1つまで伝搬することができるようにし、それと同時に、ビーム分離ユニット230を出る一次荷電粒子ビーム110の経路を固定状態に保つことができる。
本明細書において説明する実施形態としての荷電粒子ビーム装置及びこの作動方法は、二次荷電粒子検出組立体に関するスペース上の制約をなくす又は少なくとも軽減する。二次荷電粒子検出器及び他の光学コンポーネント例えば二次荷電粒子ビーム光学部品は、具体的に言えば互いに異なる高さ又は緯度(又は、以下に更に説明する極角)のところで且つ/或いは互いに異なる経度(又は、以下に更に説明する方位角)のところで、ビーム分離ユニットの上方の3次元半空間の全体に配置されるのが良い。例えば、一次荷電粒子ビーム及び二次荷電粒子ビームが単一平面内で伝搬するよう束縛されているシステム、例えば図1に示されている荷電粒子ビームシステム100、と比較し、本明細書において説明する実施形態は、かくして、荷電粒子ビーム装置内に多数の二次荷電粒子検出器を配置する上で追加の空間を提供する。検出器ドーム700は、二次荷電粒子ビームを検出するために、試料平面、対物レンズ140及びビーム分離ユニット230の上方に位置する3次元空間全体を用いる。したがって、二次荷電粒子ビームの向上した検出具合が得られ、多数の検出器を荷電粒子ビーム装置内に配置するのに十分な空間が提供される。検出器ドームに含まれる多数の検出器は、二次荷電粒子ビームの多くの特性を検出するために使用できる。
図15に示されている実施形態では、電界及び磁界の構成は、一次荷電粒子ビーム110を偏向させてこれがビーム分離ユニット230から光軸490に沿って対物レンズ140まで伝搬するようなものである。電界及び磁界の構成を適切に調節することによって、一次荷電粒子ビームは、二次荷電粒子ビームの偏向方向とは独立して任意のあらかじめ選択された標的軸線に沿ってビーム分離ユニットから遠ざかるように伝搬するようにされることができる。したがって、試料は互いに異なる方向から検査することができる。これにより、試料が単一の方向から検査される場合と比較して、試料表面に関してより多くの情報を提供することができる。例えば、鉛直の壁を有する試料表面内の構造、例えばトレンチ、は上から真っ直ぐに見たときにほぼ見えない場合があるが、一次荷電粒子ビームを傾斜させた状態で観察することによって、かかる構造を露呈させる(視認させる)ことができる。
ビーム分離ユニット230内で生じる電界及び磁界は、一次荷電粒子ビーム110中に分散を生じさせる場合がある。分散は、一次荷電粒子が互いに異なる個々のエネルギー又は運動量を有する場合に結果として生じ得て、従って、一次荷電粒子は、ビーム分離ユニット230内で同一の偏向を呈することがない。ビーム分離ユニット230により一次荷電粒子ビーム中に生じる分散を補償するため、図15に示されている荷電粒子ビーム装置200は、一次荷電粒子ビーム110に対してビーム分離ユニット230の上流側に配置された分散補償ユニット1410を有する。分散は、ビーム分離ユニット230によって2つの寸法方向において引き起こされるので、分散補償ユニット1410は、これ又2次元ウィーンフィルタ型のものである。特に、分散補償ユニット1410は、ビーム分離ユニット230により生じる電界及び磁界によってもたらされる分散を補償するために、光軸490に垂直な平面内において任意の方向に分散補償静電界及び分散補償磁界を発生させるようになっている。分散を補償した場合の利点は、かくして、高電流密度を有する小さな荷電粒子プローブを生成することができるということにある。
以下において、荷電粒子ビーム装置及び当該荷電粒子ビーム装置の作動方法の実施形態について詳細に説明する。
実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置が提供される。本明細書において説明する荷電粒子ビーム装置は、ビーム分離ユニットを有する。荷電粒子ビーム装置は、ビーム分離ユニットから距離を置いて位置する第1の光学コンポーネント、及び、ビーム分離ユニットから距離を置いて位置すると共に第1の光学コンポーネントから距離を置いて位置する第2の光学コンポーネント、を更に有するのが良い。
図2及び図3は、本明細書において説明する実施形態に従って、互いに異なる作動状態にある例示の荷電粒子ビーム装置の側面図である。図2及び図3に示されている荷電粒子ビーム装置200は、ビーム分離ユニット230、第1の光学コンポーネント210、及び、第2の光学コンポーネント220を有する。図示の例示の実施形態では、第1の光学コンポーネント210及び第2の光学コンポーネント220は、ビーム曲げ器である。
荷電粒子ビーム装置を作動させる方法は、一次荷電粒子ビームを発生させる工程を含む。一次荷電粒子ビームは、荷電粒子ビーム装置に含まれているビームエミッタによって放出されるのが良い。
この方法は、ビーム分離ユニット内に第1の電界及び第1の磁界を発生させる工程を更に含む。例えば、図2に示された実施形態では、ビーム分離ユニット230内に生じた第1の電界260及び第1の磁界270が示されている。
この方法は、一次荷電粒子ビームを第1の電界及び第1の磁界が生じているビーム分離ユニット中に誘導する工程であって、ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向が第1の電界及び第1の磁界の影響下で第1の標的軸線と整列される、という工程を更に含む。したがって、第1の荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットを出ると、第1の標的軸線に沿って伝搬することができる。
例えば、図2に示されている荷電粒子ビーム装置200では、一次荷電粒子ビーム110は、ビーム分離ユニット230を出ると、第1の標的軸線250に沿って伝搬する。図示の例示の実施形態では、第1の標的軸線250は、ビーム分離ユニット230の中央部分を通って鉛直に延びるビーム分離ユニット230の対称軸である。ビーム分離ユニット230を出る一次荷電粒子ビーム110は、第1の電界260及び第1の磁界270の影響下で第1の標的軸線250に沿って鉛直方向下方に伝搬する。第1の標的軸線は、対物レンズ140の対称軸と一致し得る。図2では、第1の標的軸線は、ビーム分離ユニット230及び対物レンズ140により定められた光軸である。
幾つかの実施形態では、第1の標的軸線は、ビーム分離ユニットを通って延びるのが良く、ビーム分離ユニットに対する第1の標的軸線の向きは、例えば試料を検査し又は構造観察する互いに異なるモードに応じて、可変である及び/または選択可能な向きであるのが良い。第1の標的軸線の向きは、試料に衝突する一次荷電粒子ビームの標的傾斜角度に影響を及ぼし又はこれを定める場合がある。
例えば、図2に示されている一次荷電粒子ビーム110は、ビーム分離ユニット230から第1の標的軸線250に沿って対物レンズ140まで伝搬する。第1の標的軸線250は、鉛直に差し向けられているので、一次荷電粒子ビーム110は、ビーム分離ユニット230から対物レンズ140まで鉛直方向下方に伝搬する。一次荷電粒子ビーム110は、試料160の表面に垂直に試料160に衝突する状態で示されており、このことは、図示の例示の実施形態では、試料160に対する一次荷電粒子ビーム110の傾斜角度が90°であることを意味している。当然のことながら、試料の表面全体にわたり一次荷電粒子ビームを例えば対応の偏向電極(図示せず)により走査しても良く、この場合、一次荷電粒子ビームは、全ての場所で試料に垂直に衝突するわけではない。
可変傾斜角度を提供する場合の利点は、試料を傾動ビームモードで分析することができるということにある。これは、試料が単一の方向から検査される場合と比較して、試料表面に関してより多くの情報を提供することができる。例えば、鉛直の壁を有する試料表面内の構造、例えばトレンチ、は上から真っ直ぐに見たときにほぼ見えない場合があるが、一次荷電粒子ビームを傾斜させた状態で観察することによって、かかる構造を露呈させる(視認させる)ことができる。
ビーム分離ユニットは、光軸を定めるのが良い。第1の標的軸線は、当該光軸と一致するのが良い。変形例として、第1の標的軸線は、当該光軸に対して傾けられていても良い。一次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットに入る際及び/またはビーム分離ユニットから出る際、光軸に沿って伝搬するのが良い。変形例として、一次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットに入る前に、ビーム分離ユニットの光軸に対して角度をなして伝搬しても良い。
光軸は、ビーム分離ユニットの対称軸、例えばビーム分離ユニットの鏡映軸、であるのが良い。光軸は、ビーム分離ユニットの中心を通って延びるのが良い。荷電粒子ビーム装置は、対物レンズを有するのが良い。光軸は、別法として又は共同して、対物レンズによって定められても良い。ビーム分離ユニット及び対物レンズは、各々、光軸を定めても良く、ビーム分離ユニットの光軸は、対物レンズの光軸に平行であっても良く又はこれと一致していても良い。
一次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットの互いに異なる側で、より具体的に言えばビーム分離ユニットの互いに反対側で、ビーム分離ユニットに入ってこれから出ることができる。例えば、図2に示されている荷電粒子ビーム装置では、一次荷電粒子ビーム110は、ビーム分離ユニット230の上側でビーム分離ユニットに入り、そして当該上側から見て反対側のビーム分離ユニット230の下側でビーム分離ユニット230を出る。
実施形態によれば、ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第1の電界及び/又は第1の磁界によって定められるのが良く、又は少なくとも第1の電界及び/又は第1の磁界に依存するのが良い。一次荷電粒子ビームは、第1の電界及び/又は第1の磁界の影響下でビーム分離ユニット内で偏向されることができる。したがって、ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向は、ビーム分離ユニットに入った一次荷電粒子ビームの伝搬方向とは異なり得る。
例えば、図2に示されている実施形態では、ビーム分離ユニット230に入った一次荷電粒子ビーム110は、第1の標的軸線250に対して傾けられる。次に、一次荷電粒子ビーム110は、第1の電界260及び第1の磁界270の影響を受けてビーム分離ユニット230内で偏向される。当該偏向は、一次荷電粒子ビーム110がビーム分離ユニット230を出ると第1の標的軸線250に沿って伝搬するようなものである。
他の実施形態によれば、第1の電界及び第1の磁界は、一次荷電粒子ビームがビーム分離ユニット内で偏向されないようなものであっても良い。したがって、ビーム分離ユニットに入る一次荷電粒子ビームの伝搬方向とビーム分離ユニットを出る一次荷電粒子ビームの伝搬方向は、互いに一致することができる。
一次荷電粒子ビームに対する第1の電界の影響は、一次荷電粒子ビームの静電偏向を含む場合がある。第1の電界は、電気力を発生させる。当該電気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している一次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、ビーム分離ユニット内の荷電粒子ビームの静電偏向が生じる。当該静電偏向は、第一次近似では、第1の電界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通って伝搬する一次荷電粒子ビームのエネルギーに反比例する。一次荷電粒子ビームの静電偏向は、1つの空間寸法方向における静電偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における静電偏向である場合がある。
一次荷電粒子ビームに対する第1の磁界の影響は、一次荷電粒子ビームの磁気偏向を含む場合がある。第1の磁界は、磁力を発生させる。当該磁気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している一次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、荷電粒子ビームの磁気偏向が生じる。磁気偏向は、第一次近似では、第1の磁界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通る一次荷電粒子ビームのエネルギーの平方根に反比例する。一次荷電粒子ビームの磁気偏向は、1つの空間寸法方向における磁気偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における磁気偏向である場合がある。
第1の電界が発生される方向及び/又は第1の磁界が発生される方向は、ビーム分離ユニットによって定められる光軸に垂直又は実質的に垂直であるのが良い。第1の電界は、少なくとも一次荷電粒子ビームが当該第1の電界を通過する領域では、均質の第1の電界であるのが良い。第1の磁界は、少なくとも一次荷電粒子ビームが当該第1の電界を通過する領域では、均質の第1の磁界であるのが良い。第1の電界は、少なくとも一次荷電粒子ビームが第1の電界を通過する領域では、第1の磁界に垂直又は実質的に垂直であるのが良い。ここで、「実質的に垂直」という表現は、±10°以内、特に±5°以内、の許容誤差を意味している。
本方法は、試料への一次荷電粒子ビームの衝突により二次荷電粒子ビームを発生させる工程を更に含む。試料は、一次荷電粒子ビームが当該ビーム分離ユニットを出るビーム分離ユニットの側上に配置されるのが良い。二次荷電粒子ビームは、一次荷電粒子ビームが当該試料に当たったところの試料の側又は試料の表面から試料を出るのが良い。二次荷電粒子ビームは、一次荷電粒子ビームが試料に衝突する前に直接伝搬する方向とは逆の方向で試料から遠ざかるように伝搬するのが良い。
例えば、図2に示されている荷電粒子ビーム装置200では、二次荷電粒子ビーム120は、試料160から鉛直方向上方に第1の標的軸線250に沿ってビーム分離ユニット230まで伝搬する。したがって、試料160から遠ざかって伝搬する二次荷電粒子ビーム120の伝搬方向は、試料160に向かって伝搬する一次荷電粒子ビーム110の伝搬方向とは逆である。
幾つかの実施形態によれば、本方法は、ビーム分離ユニットで二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程であって、二次荷電粒子ビームは第1の電界及び第1の磁界の影響下で偏向されてビーム分離ユニットから第1の光学コンポーネントまで伝搬する、という工程を更に含む。
二次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットを通って伝搬するのが良い。二次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットの互いに異なる側で、より具体的に言えばビーム分離ユニットの互いに反対側で、ビーム分離ユニットに入ってこれから出るのが良い。試料は、二次荷電粒子ビームが当該ビーム分離ユニットに入るビーム分離ユニットの側に配置されるのが良い。一次荷電粒子ビーム及び二次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットの互いに異なる側で、より具体的に言えばビーム分離ユニットの互いに反対側で、ビーム分離ユニットに入るのが良い。
二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程は、ビーム分離ユニットを出る二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームがビーム分離ユニットに入る前に伝搬する経路から遠ざかるように差し向ける工程を含むのが良い。
ビーム分離ユニットを出る二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第1の電界及び/又は第1の磁界によって定められるのが良く、又は、第1の電界及び/又は第1の磁界に依存しているのが良い。ビーム分離ユニットを出る二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、ビーム分離ユニットに入った二次荷電粒子ビームの伝搬方向とは異なるのが良い。
二次荷電粒子ビームに対する第1の電界の影響は、二次荷電粒子ビームの静電偏向を含む場合がある。第1の電界によって生じる電気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している二次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、ビーム分離ユニット内の荷電粒子ビームの静電偏向が生じる。二次荷電粒子ビームの静電偏向は、第一次近似では、第1の電界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通って伝搬する二次荷電粒子ビームのエネルギーに反比例する。二次荷電粒子ビームの静電偏向は、1つの空間寸法方向における静電偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における静電偏向である場合がある。
二次荷電粒子ビームに対する第1の磁界の影響は、二次荷電粒子ビームの磁気偏向を含む場合がある。第1の磁界によって生じる磁気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している二次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、二次荷電粒子ビームの磁気偏向が生じる。二次荷電粒子ビームの磁気偏向は、第一次近似では、第1の磁界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通って伝搬する二次荷電粒子ビームのエネルギーの平方根に反比例する。二次荷電粒子ビームの磁気偏向は、1つの空間寸法方向における磁気偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における磁気偏向である場合がある。
ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第1の電界及び第1の磁界の影響下で第2の標的軸線と整列されるのが良い。第2の標的軸線は、ビーム分離ユニットを通り、且つ、第1の光学コンポーネントを通って延びるのが良い。二次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットから第2の標的軸線に沿って第1の光学コンポーネントまで伝搬するのが良い。
第1の光学コンポーネントは、荷電粒子ビーム装置内に固定された位置で配置されるのが良い。ビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置は、固定されているのが良い。第2の標的軸線は、ビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置又は固定相対位置によって定められるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第1の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームを曲げるビーム曲げ器である。
例えば、図2及び図3に示されている第1の光学コンポーネント210は、ビーム曲げ器である。ビーム曲げ器は、例えば、半球形セクタであるのが良い。ビーム曲げ器は、二次荷電粒子ビームの方向を変化させるよう構成されるのが良く、その結果、ビーム曲げ器に入った二次荷電粒子ビームの伝搬方向がビーム曲げ器を出る二次荷電粒子ビームの伝搬方向と比較して異なるようになっている。具体的に説明すると、ビーム曲げ器は、二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから更に遠ざかるように差し向けるよう配置されているのが良い。
他の実施形態によれば、第1の光学コンポーネントは、二次粒子光学部品又は二次荷電粒子光学部品の一部、例えばレンズ又はアパーチュアである。
さらに別の実施形態によれば、第1の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームを検出する検出器であるのが良い。荷電粒子ビーム装置は、二次荷電粒子検出器を含む検出器ドームを有するのが良い。第1の光学素子は、本明細書の別の場所で更に説明するように、検出器ドームの二次荷電粒子検出器のうちの第1の検出器であるのが良い。
二次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットから第1の光路に沿って第1の光学コンポーネントまで伝搬するのが良い。第1の光路は、第2の標的軸線と一致するのが良く又は部分的に一致するのが良い。第1の光学コンポーネントは、例えば第1の光学コンポーネントがビーム曲げ器である場合、第1の光路に対してビーム分離ユニットのすぐ下流側に配置されるのが良い。第1の光学コンポーネントは、第1の光路に沿って二次荷電粒子ビームに影響を及ぼす次の光学素子であるのが良い。変形例として、第1の光学コンポーネントは、例えば第1の光学コンポーネントが二次粒子光学部品又は検出器(の一部)である場合、第1の光路に沿ってすぐ下流側に配置されなくても良い。二次荷電粒子ビームが第1の光学コンポーネントに到達する前に、ビーム分離ユニットと第1の光学コンポーネントとの間で、第1の光路上に二次荷電粒子ビームに影響を及ぼす別の光学素子、例えばビーム曲げ器、が設けられ得る。
図3は、荷電粒子ビーム装置200を示しており、この荷電粒子ビーム装置200では、第2の電界360及び第2の磁界370がビーム分離ユニット230内で生じさせられる。図示の実施形態では、第2の磁界370は、第1の磁界270とは異なっており、及び/または、第2の電界360は、第1の電界260とは異なっている。換言すると、図3に示されている実施形態では、ビーム分離ユニット230内で生じる電界及び磁界のうちの少なくとも一方が、図2に示されている実施形態と比較して異なっている。具体的に説明すると、第2の電界の電界強度は、第1の電界の電界強度とは異なり得て、追加的に又は代替的に、方向及び/又は電界の幾何学的形状も、互いに異なり得る。第2の磁界の磁界強度は、第1の磁界の磁界強度とは異なり得て、追加的に又は代替的に、方向及び/又は磁界の幾何学的形状も、互いに異なり得る。
さらに図3に示されているように、二次荷電粒子ビーム120は、第2の電界360及び第2の磁界370が発生されているビーム分離ユニット230を通過する。第2の電界360及び第2の磁界370の影響の結果として、二次荷電粒子ビーム120が偏向する。ビーム分離ユニット230内で生じる電界及び/又は磁界は、図2に示されている実施形態と比較して互いに異なっているので、図3に示されている二次荷電粒子ビーム120は、図2に示されている二次荷電粒子ビームと比較して異なる方向に偏向される。具体的に言えば、図3に示されている二次荷電粒子ビーム120は、ビーム分離ユニット230から第2の光学コンポーネント220まで伝搬するよう偏向される。さらに、ビーム分離ユニット内で生じる電界及び/又は磁界がたとえ調節されている場合でも、フィールド構成は、ビーム分離ユニット230を出た一次荷電粒子ビーム110が図2の場合と同様に第1の標的軸線250に沿って依然として伝搬する、というものである。
実施形態によれば、本方法は、ビーム分離ユニット内に第2の電界及び第2の磁界を発生させる工程を更に含む。第2の電界は、第1の電界とは異なっているのが良く、且つ/或いは、第2の磁界は、第1の磁界とは異なっているのが良い。より具体的に言えば、第2の電界の大きさは、第1の電界の大きさとは異なっているのが良く、且つ/或いは、第2の磁界の大きさは、第1の磁界の大きさとは異なっているのが良い。代替的に又は追加的に、第2の電界の発生方向は、第1の電界の発生方向とは異なっているのが良く、且つ/或いは、第2の磁界の発生方向は、第1の磁界の発生方向とは異なっているのが良い。
本方法は、一次荷電粒子ビームを第2の電界及び第2の磁界が生じているビーム分離ユニット中に誘導する工程であって、ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向が第1の電界及び第1の磁界の影響を受けて第1の標的軸線と整列される、という工程を更に備え、一次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットを出ると、第1の標的軸線に沿って伝搬する。ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第2の電界及び/又は第2の磁界によって定められるのが良く、且つ/或いは、第2の電界及び/又は第2の磁界に依存するのが良い。
一次荷電粒子ビームは、第2の電界及び/又は第2の磁界の影響を受けてビーム分離ユニット内で偏向されるのが良い。したがって、ビーム分離ユニットを出る一次荷電粒子ビームの伝搬方向とビーム分離ユニットに入る一次荷電粒子ビームの伝搬方向は、互いに異なるのが良い。変形例として、第2の電界及び第2の磁界は、一次荷電粒子ビームがビーム分離ユニット内で偏向されることがないようなものであっても良い。したがって、ビーム分離ユニットを出る一次荷電粒子ビームの伝搬方向とビーム分離ユニットに入る一次荷電粒子ビームの伝搬方向は、互いに一致することができる。
一次荷電粒子ビームに対する第2の電界の影響は、一次荷電粒子ビームの静電偏向を含む場合がある。第2の電界は、電気力を発生させる。当該電気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している一次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、ビーム分離ユニット内の荷電粒子ビームの静電偏向が生じる。一次荷電粒子ビームの静電偏向は、第一次近似では、第2の電界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通って伝搬する一次荷電粒子ビームのエネルギーに反比例する。一次荷電粒子ビームの静電偏向は、1つの空間寸法方向における静電偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における静電偏向である場合がある。
一次荷電粒子ビームに対する第2の磁界の影響は、一次荷電粒子ビームの磁気偏向を含む場合がある。第2の磁界は、磁力を発生させる。当該磁気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している一次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、荷電粒子ビームの磁気偏向が生じる。一次荷電粒子ビームの磁気偏向は、第一次近似では、第2の磁界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通って伝搬する一次荷電粒子ビームのエネルギーの平方根に反比例する。一次荷電粒子ビームの磁気偏向は、1つの空間寸法方向における磁気偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における磁気偏向である場合がある。
第2の電界が発生される方向及び/又は第2の磁界が発生される方向は、少なくとも一次荷電粒子ビームが当該第1の電界を通過する領域では、ビーム分離ユニットによって定められる光軸に垂直又は実質的に垂直であるのが良い。第2の電界は、均質の第2の電界であるのが良い。第2の磁界は、少なくとも一次荷電粒子ビームが当該第1の電界を通過する領域では、均質又は実質的に均質の第2の磁界であるのが良い。第2の電界は、第2の磁界に垂直又は実質的に垂直であるのが良い。ここで、「実質的に垂直」という表現は、±10°以内、特に±5°以内、の許容誤差を意味している。
本方法は、ビーム分離ユニットで二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程であって、二次荷電粒子ビームが第2の電界及び第2の磁界の影響下で偏向されてビーム分離ユニットから第2の光学コンポーネントまで伝搬する、という工程を更に含む。ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第2の電界及び/又は第2の磁界で定められるのが良く、又は、第2の電界及び/又は第2の磁界に依存するのが良い。ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、ビーム分離ユニットに入る二次荷電粒子ビームの伝搬方向とは異なるのが良い。第2の電界及び第2の磁界が生じているビーム分離ユニットを出る二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第1の電界及び第1の磁界が生じているビーム分離ユニットを出る二次荷電粒子ビームの伝搬方向と異なっている。
二次荷電粒子ビームに対する第2の電界の影響は、二次荷電粒子ビームの静電偏向を含む場合がある。第2の電界によって生じる電気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している二次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、ビーム分離ユニット内の二次荷電粒子ビームの静電偏向が生じる。二次荷電粒子ビームの静電偏向は、第一次近似では、第2の電界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通って伝搬する二次荷電粒子ビームのエネルギーに反比例する。二次荷電粒子ビームの静電偏向は、1つの空間寸法方向における静電偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における静電偏向である場合がある。
二次荷電粒子ビームに対する第2の磁界の影響は、二次荷電粒子ビームの磁気偏向を含む場合がある。第2の磁界によって生じる磁気力は、ビーム分離ユニットを通って伝搬している二次荷電粒子ビームに作用することができ、それにより、二次荷電粒子ビームの磁気偏向が生じる。二次荷電粒子ビームの磁気偏向は、第一次近似では、第2の磁界の強度に比例し、且つ、ビーム分離ユニットを通過する二次荷電粒子ビームのエネルギーの平方根に反比例する。二次荷電粒子ビームの磁気偏向は、1つの空間寸法方向における磁気偏向である場合があり、又は、2つの空間寸法方向における磁気偏向である場合がある。
ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第2の電界及び第2の磁界の影響下で第3の標的軸線と整列されるのが良い。第3の標的軸線は、第2の標的軸線と異なり得る。第3の標的軸線は、ビーム分離ユニットを通り、且つ、第2の光学コンポーネントを通って延びるのが良い。二次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットから第3の標的軸線に沿って第2の光学コンポーネントまで伝搬するのが良い。
第2の光学コンポーネントは、荷電粒子ビーム装置内に固定された位置で配置されるのが良い。ビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置は、固定されているのが良い。第3の標的軸線は、ビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置又は固定相対位置によって定められるのが良い。
当該光軸に垂直な方向において第1の光学コンポーネントからビーム分離ユニットにより定められた光軸までの距離は、当該光軸に垂直な方向において第2の光学コンポーネントから光軸までの距離と同一であるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第2の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームを曲げるビーム曲げ器である。
例えば、図2及び図3に示されている第2の光学コンポーネント220は、ビーム曲げ器である。他の実施形態によれば、第2の光学コンポーネントは、二次粒子光学部品又は二次荷電粒子光学部品の一部、例えばレンズ又はアパーチュアである。さらに別の実施形態によれば、第2の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームを検出する検出器であるのが良い。具体的に言えば、第2の光学コンポーネントは、検出器ドームの二次荷電粒子検出器のうちの第2の検出器であるのが良い。
二次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットから第2の光路に沿って第2の光学コンポーネントまで伝搬するのが良い。第2の光路は、第2の標的軸線と一致するのが良く又は部分的に一致するのが良い。第2の光路は、第1の光路とは異なるのが良く又は第1の光路からずれて位置するのが良い。第2の光路は、第1の光路から距離を置いて位置するのが良い。第2の光学コンポーネントは、例えば第2の光学コンポーネントがビーム曲げ器である場合、第2の光路に対してビーム分離ユニットのすぐ下流側に配置されるのが良い。第2の光学コンポーネントは、第2の光路に沿って二次荷電粒子ビームに影響を及ぼす次の光学素子であるのが良い。変形例として、第2の光学コンポーネントは、例えば第2の光学コンポーネントが二次粒子光学部品又は検出器(の一部)である場合、第2の光路に沿ってすぐ下流側に配置されなくても良い。二次荷電粒子ビームが第2の光学コンポーネントに到達する前に、ビーム分離ユニットと第2の光学コンポーネントとの間で、第2の光路上に二次荷電粒子ビームに影響を及ぼす別の光学素子、例えばビーム曲げ器、が設けられ得る。
ビーム分離ユニット及び第1の光学コンポーネントに対する第2の光学コンポーネントの相対位置は、第1の光学コンポーネント、第2の光学コンポーネント及びビーム分離ユニットが三角形のコーナー(角)を形成する、及び/または、同一直線上にはない、というものであり得る。第2の光学コンポーネントは、ビーム分離ユニット、第1の光学コンポーネント、及び、荷電粒子ビーム装置に含まれるビームエミッタ、を通って延びる平面から距離を置いて位置するのが良い。
第1の電界、第2の電界、第1の磁界及び/又は第2の磁界は、双極フィールドであるのが良い。双極フィールドは、1つ又は2つ以上の双極素子により作られても良く、1つ又は2つ以上の四極素子により作られても良く、且つ/或いは、1つ又は2つ以上のn次多極素子により作られても良く、この場合、n≧8である。
かくして、本明細書において説明する実施形態は、ビーム分離ユニット内で生じさせる電界及び/又は磁界を調節することによって、ビーム分離ユニット内で二次荷電粒子ビームを偏向させる方向の変化を可能にする。したがって、二次荷電粒子ビームを例えば第1の時点においてこれがビーム分離ユニットから第1の光学コンポーネントまで伝搬し、そして例えば次の時点でビーム分離ユニットから第1の光学コンポーネントから距離を置いたところに位置する第2の光学コンポーネントまで伝搬するよう方向付けることができる。したがって、第1の光学コンポーネント及び第2の光学コンポーネントを荷電粒子ビーム装置内に配置するスペースが利用可能になる。
さらに、ビーム分離ユニット内で生じる電界及び磁界を適切に調節することによって、ビーム分離ユニットを出る一次荷電粒子ビームの伝搬方向を一定に保つことができ、その結果、一次荷電粒子ビームは、二次荷電粒子ビームの偏向方向とは独立して、第1の標的軸線と整列した状態でビーム分離ユニットから伝搬するようになる。第1の標的軸線は、例えば、試料に対する一次荷電粒子ビームの標的傾斜角度に依存して、あらかじめ選択されているのが良い。
図4及び図5は、本明細書において説明する実施形態に従って互いに異なる作動状態にある荷電粒子ビーム装置の平面図である。図4及び図5並びに更に以下に説明する図7及び図8に示されているフィールド260,270,360,370は、実際のフィールド構成を表すことは意図していない略図である。
図4及び図5に示されているビーム分離ユニット230は、光軸490を定めており、この光軸は、指示されているように第1の標的軸線250と一致している。光軸490は、図面の平面に垂直に延び、従って、光軸490は、ドットで表されている。第1の平面410は、光軸490を含み、第1の光学コンポーネント210を通って延びている。第2の平面420は、光軸490を含み、第2の光学コンポーネント220を通って延びている。図4及び図5では、第1の平面410は、第1の光学コンポーネント210の中心、例えば、第1の光学コンポーネントの対称軸又は対称面を通って延び、第2の平面420は、第2の光学コンポーネント220の中心、例えば第2の光学コンポーネントの対称軸又は対称面を通って延びている。図4及び図5の平面図では、図面の平面に垂直に延びている第1の平面410は、第1の線として表されている。同様に、第2の平面420は、図面の平面に垂直に延びており、第2の線として表されている。第2の平面420と第1の平面410は、互いに交差し、交線は、光軸490によって形成されている。第1の平面410と第2の平面420との間には、方位角430が存在している。
図4に示されている二次荷電粒子ビーム120は、これが第1の電界260及び第1の磁界270の影響を受けてビーム分離ユニット230から第1の光学コンポーネント210まで伝搬するよう、ビーム分離ユニット230内で偏向される。図示の例示の実施形態では、第1の電界260は、2つの空間成分、即ち、基準としてのx方向450に対して定められたx成分261及び基準としてのy方向460に対して定められたy成分262、を有する。第1の電界260は、x成分261とy成分262との重ね合わせ、より具体的に言えばこれらのベクトル和である。x方向450は、y方向460に垂直であり、x方向450とy方向460の両方は、光軸490に垂直である。第1の磁界270は、同様に、2つの空間成分、即ち、x成分271及びy成分272を有する。第1の磁界270は、x成分271とy成分272との重ね合わせ、より具体的に言えばベクトル和である。両方ともx成分及びy成分を有する第1の電界260及び第1の磁界270は、x方向450とy方向460の両方に関して、一次荷電粒子ビームの伝搬方向及び二次荷電粒子ビームの伝搬方向に影響を及ぼすことができる。第1の電界260及び第1の磁界270のフィールド構成は、二次荷電粒子ビーム120が良好に整列した態様でビーム分離ユニット230から第1の光学コンポーネント210まで伝搬するよう二次荷電粒子ビーム120が偏向される、というものである。具体的に言えば、図示の例示の実施形態では、二次荷電粒子ビーム120は、第1の平面410内で第1の光学コンポーネント210まで伝搬する。それと同時に、第1の電界260及び第1の磁界270のフィールド構成は、一次荷電粒子ビーム110がビーム分離ユニット230を出るとき第1の標的軸線250に沿って伝搬する、というものである。この場合、一次荷電粒子ビームは、x方向には偏向されず、yz平面内に位置したままである。
図5に示されている二次荷電粒子ビーム120は、これが第2の電界360及び第2の磁界370の影響を受けてビーム分離ユニット230から第2の光学コンポーネント220まで伝搬するよう、ビーム分離ユニット230内で偏向される。第2の電界360は、2つの空間成分、即ち、x成分361及びy成分362を有する。第2の電界360は、x成分361とy成分362との重ね合わせ、より具体的に言えばこれらのベクトル和である。第2の磁界370は、同様に、2つの空間成分、即ち、x成分371及びy成分372を有する。第2の磁界370は、x成分371とy成分372との重ね合わせ、より具体的に言えばこれらのベクトル和である。第2の電界360及び第2の磁界370のフィールド構成は、二次荷電粒子ビーム120が良好に整列した態様でビーム分離ユニット230から第2の光学コンポーネント220まで伝搬するよう二次荷電粒子ビーム120が偏向される、というものである。具体的に言えば、図示の例示の実施形態では、二次荷電粒子ビーム120は、第2の平面420内で第2の光学コンポーネント220まで伝搬する。それと同時に、第2の電界360及び第2の磁界370のフィールド構成は、一次荷電粒子ビーム110がビーム分離ユニット230を出るとき依然として第1の標的軸線250に沿って伝搬する、というものである。この場合も又、一次荷電粒子ビームは、この実施形態では、x方向には偏向されず、yz平面内に位置したままである。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、ビーム分離ユニットは、光軸を定め、第1の平面と第2の平面との間には方位角が存在する。当該第1の平面は、光軸を含み、第1の光学コンポーネントを通って延びるのが良く、当該第2の平面は、光軸を含み、第2の光学コンポーネントを通って延びるのが良い。第1の光学コンポーネントは、第2の平面から距離を置いて位置するのが良く、且つ/或いは、第2の光学コンポーネントは、第1の平面から距離を置いて位置するのが良い。第1の平面は、第2の平面とは異なり得る。第1の平面は、第1の光学コンポーネントの中心を通って延びるのが良く、例えば、第1の光学コンポーネントの対称軸又は対称面を含むのが良い。第2の平面は、第2の光学コンポーネントの中心を通って延びるのが良く、例えば、第2の光学コンポーネントの対称軸又は対称面を含むのが良い。方位角は、5°から145°までの範囲、より好適には10°から100°までの範囲、更により好適には25°から60°までの範囲、にあるのが良い。方位角は、例えば、約45°であるのが良い。方位角は、第1の光学コンポーネントと第2の光学コンポーネントとの間、例えば第1のビーム曲げ器と第2のビーム曲げ器との間、及び更に次の二次荷電粒子光学部品とそれぞれの検出器との間、に十分な距離をもたらすことができる。
本明細書において説明する実施形態は、かくして、二次荷電粒子ビームが互いに異なる平面内においてビーム分離ユニットから遠ざかるように伝搬することができる、という荷電粒子ビーム装置を提供する。一次荷電粒子ビーム及び二次荷電粒子ビームが単一平面内で伝搬するよう束縛されているシステムと比較して、本明細書において説明する実施形態は、かくして、荷電粒子ビーム装置内に二次荷電粒子光学部品及び/又は検出器を配置する上で追加のスペースを提供する。事実、試料又は対物レンズの上方に位置する3次元領域が、かくして、多数の二次荷電粒子光学部品及び/又は検出器を配置するのに利用可能となり、検出器は検出器ドームを形成するよう配置され得る。
第1の電界は、2つの調節可能な自由度、特に2つの調節可能な空間成分、を有するのが良い。第1の電界は、第1の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図4に示されているx方向450に対して定められたx成分261、を有するのが良い。第1の基準方向は、ビーム分離ユニットにより定められた光軸に垂直であるのが良い。第1の電界は、第2の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図4に示されているy方向460に対して定められたy成分262、を有するのが良い。第2の基準方向は、ビーム分離ユニットにより定められた光軸及び/又は第1の基準方向に垂直であるのが良い。
第1の磁界は、2つの調節可能な自由度、特に2つの調節可能な空間成分、を有するのが良い。第1の磁界は、第3の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図4に示されているx方向450に対して定められたx成分271、を有するのが良い。第3の基準方向は、第1の基準方向と同一であるのが良い。例えば図4及び図5に示された実施形態では、第3の基準方向と第1の基準方向の両方が、x方向450と一致しているのが良い。第3の基準方向は、ビーム分離ユニットにより定められた光軸に垂直であるのが良い。第1の磁界は、第4の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図4に示されているy方向460に対して定められたy成分272、を有するのが良い。第4の基準方向は、第2の基準方向と同一であるのが良い。例えば図4及び図5に示された実施形態では、第4の基準方向と第2の基準方向の両方が、y方向460と一致しているのが良い。第4の基準方向は、ビーム分離ユニットにより定められた光軸及び/又は第3の基準方向に垂直であるのが良い。
第2の電界は、2つの調節可能な自由度、特に2つの調節可能な空間成分、を有するのが良い。第2の電界は、第1の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図5に示されているx方向450に対して定められたx成分361、を有するのが良い。第2の電界は、第2の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図5に示されたy方向460に対して定められたy成分362、を有するのが良い。
第2の磁界は、2つの調節可能な自由度、特に2つの調節可能な空間成分、を有するのが良い。第2の磁界は、第3の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図5に示されているx方向450に対して定められたx成分371、を有するのが良い。第2の磁界は、第4の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分、例えば図5に示されたy方向460に対して定められたy成分372、を有するのが良い。
第1の電界、第2の電界、第1の磁界、第2の磁界、並びに以下に説明する実施形態による第3の電界及び第3の磁界は、2次元ウィーンフィルタ型のビーム分離ユニットによって生じさせることができる。2次元ウィーンフィルタ型のビーム分離ユニットは、当該ビーム分離ユニットにより定められた光軸に垂直な平面内で任意の向きを有することができる電界及び磁界を発生させるよう構成されており、この場合、電界と磁界とは互いに垂直であるのが良い。所与の座標系、例えば図4及び図5に示されたx軸450及びy軸460を含む座標系に対し、2次元ウィーンフィルタ型のビーム分離ユニットによって生じた第1の電界、第2の電界、第1の磁界、第2の磁界、第3の電界、及び第3の磁界は、2つの空間成分、即ち、y方向における空間成分及びx方向における空間成分を有する。ウィーンフィルタ型のビーム分離ユニットの実施例について、図12及び図13を参照して説明する。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第1の光学コンポーネントは、試料平面に垂直な方向において第1の距離だけ試料平面から距離を置いて位置し、第2の光学コンポーネントは、試料平面に垂直な方向において第2の距離だけ試料平面から距離を置いて位置している。第2の距離は、第1の距離とは異なり得る。
図6は、荷電粒子ビーム装置の一実施形態の側面図であり、この場合、第1の光学コンポーネント210は、試料平面600に垂直な方向において第1の距離610だけ試料平面600から距離を置いたところに位置し、第2の光学コンポーネント220は、試料平面に垂直な方向において第2の距離620だけ試料平面から距離を置いたところに位置している。試料平面は、試料160を通って延び又は少なくとも試料160に平行である。試料平面は、試料ホルダ(図示せず)によって定められるのが良く、試料ホルダは、例えば当該試料ホルダの上面によって試料160を保持する。図6に示されている試料平面600は、光軸490に垂直である。第1の距離610は、第2の距離620とは異なっている。したがって、第1の光学コンポーネント210は、第2の光学コンポーネント220と比べて、試料160の上方の異なる高さ位置のところ、特にはより高い高さ位置のところ、に配置されている。換言すると、ビーム分離ユニット230の中心のところの光軸490上の点Oを極(球面)座標系の原点とみなすと、光軸490と点Oを第1の光学コンポーネント210に結ぶ線とのなす極角611は、光軸490と点Oを第2の光学コンポーネント220に結ぶ線とのなす極角621とは、異なっている。この極座標系における第1の光学コンポーネント210及び第2の光学コンポーネント220の方位角は、図6の側面図では見ることができない。当該方位角は、同一であっても良く(第1の光学コンポーネント210と第2の光学コンポーネント220は、一平面内にある)、或いは、例えば方位角430として示されているゼロよりも大きい相対的方位角が第1の光学コンポーネント210と第2の光学コンポーネント220との間に存在する図4及び図5に示されている実施形態のように、異なっていても良い。
幾つかの実施形態では、試料平面は、試料を通って延びるのが良く、且つ/或いは、ビーム分離ユニットによって定められた光軸に垂直であるのが良い。試料平面は、試料の表面、特に荷電粒子ビーム装置によって検査されると共に/或いは構造観察される(structured)表面、に平行であるのが良い。試料平面は、試料支持体によって、特に試料を支持している試料支持体の表面例えばその上面によって、定められるのが良い。試料平面は、試料を荷電粒子ビーム装置中に運び込むと共に/或いはこれから運び出す平面と一致するのが良く、又は、これと平行であるのが良い。第1の光学コンポーネントは、第2の光学コンポーネントと、試料平面の同一の側に配置されるのが良い。試料平面に垂直な方向は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸に平行であるのが良い。第1の距離は、鉛直距離であるのが良く、且つ/或いは、第2の距離は、鉛直距離であるのが良い。第1の距離は、試料又は試料平面の上方の第1の高さであるのが良い。第2の距離は、試料又は試料平面の上方の第2の高さであるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第1の電界は、ビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置に依存して、第1の距離に依存して、及び/または、第1の平面とビーム分離ユニットによって定められた光軸を含むゼロ平面とがなす方位角に依存して、発生させることができる。ゼロ平面は、座標系を固定するために任意に選択される。図4を参照すると、ゼロ平面は、例えば、ゼロ平面440を意味している。図示のように、ゼロ平面440は、光軸490を含み、一次荷電粒子ビーム110は、ビーム分離ユニット230に入ると、ゼロ平面440内を伝搬する。図4に示されている実施形態では、第1の平面410とゼロ平面440とがなす方位角は、例えば、角度441であり得る。
第1の電界の大きさ及び/又は第1の電界が発生される方向は、ビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置、第1の距離、及び/又は、第1の平面とゼロ平面とがなす方位角、に依存するのが良く、又は、これらによって定められるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第1の磁界は、ビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置に依存して、第1の距離に依存して、及び/または、第1の平面とゼロ平面とがなす方位角に依存して、発生させることができる。第1の磁界の大きさ及び/又は第1の磁界が発生される方向は、ビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置、第1の距離、及び/又は、第1の平面とゼロ平面とがなす方位角、に依存するのが良く、又は、これらによって定められるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第2の電界は、ビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置に依存して、第2の距離に依存して、及び/または、第2の平面とゼロ平面とがなす方位角に依存して、発生させることができる。図5に示されている実施形態では、第2の平面420とゼロ平面440とがなす方位角は、例えば、角度442であり得る。
第2の電界の大きさ及び/又は第2の電界が発生される方向は、ビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置、第2の距離、及び/又は、第2の平面とゼロ平面とのなす方位角、に依存するのが良く、又は、これらによって定められるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第2の磁界は、ビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置に依存して、第2の距離に依存して、及び/または、第2の平面とゼロ平面とがなす方位角に依存して、発生させることができる。第2の磁界の大きさ及び/又は第2の磁界が発生される方向は、ビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置、第2の距離、及び/又は、第2の平面とゼロ平面とがなす方位角、に依存するのが良く、又は、これらによって定められるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置は、二次荷電粒子検出器を含む検出器ドームを有する。二次荷電粒子検出器は、二次荷電粒子ビームを検出するようになっている。二次荷電粒子ビームが、ビーム分離ユニットのフィールド構成に応じて、異なる伝搬方向で当該ビーム分離ユニットを出ると、当該二次荷電粒子ビームは、異なる時点で異なる二次荷電粒子検出器に差し向けられてこれら検出器で検出され得る。検出器ドームに含まれる二次荷電粒子検出器は、複数の二次荷電粒子検出器、例えば2〜20個の二次荷電粒子検出器、例えば2個、3個、4個、6個、8個、12個又は16個の二次荷電粒子検出器、であるのが良い。二次荷電粒子検出器は、第1の検出器及び第2の検出器を含む。第2の検出器は、第1の検出器から距離を置いて位置している。第1の検出器は、光軸から第2の検出器と同一の距離のところに配置されても良いし、或いは、異なる距離のところに配置されても良い。検出器ドームに属する別の検出器は、それぞれの他の検出器から距離を置いて位置し、光軸に対して同一の距離のところに、或いは、互いに異なる距離のところに配置され得る。
図7及び図8は、荷電粒子ビーム装置の一実施形態の平面図である。荷電粒子ビーム装置200は、検出器ドーム700を有する。検出器ドーム700は、第1の検出器710及び第2の検出器720を含む。図示の例示の実施形態では、第1の平面410は、光軸490を含み、第1の検出器710を通って延びると共に第1の光学コンポーネント210を通って延びている。第2の平面420は、光軸490を含み、第2の検出器720を通って延びると共に第2の光学コンポーネント220を通って延びている。検出器ドーム700は、別の検出器を含むことができる。例えば、検出器ドーム700は、破線で示されている第3の検出器740を含むことができる。光軸490を含む第3の平面735が、第3の検出器740を通ると共に第3の光学コンポーネント730を通って延びている。第3の平面735は、第1の平面410に対してゼロよりも大きな方位角(相対方位角)をなし、且つ、第2の平面420に対してゼロよりも大きい方位角(相対方位角)をなしている。
図7に示されているように、二次荷電粒子ビーム120は、第1の電界260及び第1の磁界270の影響を受けてビーム分離ユニット230内で偏向される。偏向された二次荷電粒子ビーム120は、ビーム分離ユニット230から第1の光学コンポーネント210を経て第1の検出器710まで伝搬し、この場合、二次荷電粒子ビーム120は、第1の平面410内で伝搬する。二次荷電粒子ビーム120は、検出器ドーム700の検出側705のところで第1の検出器710によって検出される。
図8に示されているように、二次荷電粒子ビーム120は、第2の電界360及び第2の磁界370の影響を受けてビーム分離ユニット230内で偏向される。偏向された二次荷電粒子ビーム120は、ビーム分離ユニット230から第2の光学コンポーネント220を経て第2の検出器720まで伝搬し、この場合、二次荷電粒子ビーム120は、第2の平面420内で伝搬する。二次荷電粒子ビーム120は、検出器ドーム700の検出側705のところで第2の検出器720によって検出される。
ビーム分離ユニット230は、第3の電界及び第3の磁界を発生させることができると共に、二次荷電粒子ビーム120を偏向させることができ、その結果、二次荷電粒子ビーム120は、第3の光学コンポーネント730を経て第3の検出器740まで伝搬し、この場合、二次荷電粒子ビーム120は、第3の平面735内で伝搬する。ビーム分離ユニット内の電界及び磁界のフィールド構成は、二次荷電粒子ビーム120がそれぞれの光学コンポーネント及び/又は検出器に向かって偏向されるときに一次荷電粒子ビームの経路が影響を受けない、というように形成され得る。かくして、図7及び図8に示されている検出器ドーム700は、異なる方向、特に異なる方位角方向、にビーム分離ユニット230から遠ざかるように伝搬する二次荷電粒子ビーム120を検出することを可能にする。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、本方法は、二次荷電粒子ビームを第1の光学コンポーネントから第1の検出器まで誘導する工程と、当該二次荷電粒子ビームを当該第1の検出器で検出する工程と、を更に含む。第1の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームの第1の光路に関して、ビーム分離ユニットの下流側で且つ第1の検出器の上流側に配置され得る。二次荷電粒子ビームは、直線に沿って第1の光学コンポーネントから第1の検出器まで伝搬することができるが、レンズ又はアパーチュアによって整形されても良い。第1の平面は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸を含むのが良く、第1の光学コンポーネントを通って延びるのが良く、且つ/或いは、第1の検出器を通って延びるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、本方法は、二次荷電粒子ビームを第2の光学コンポーネントから第2の検出器まで誘導する工程と、当該二次荷電粒子ビームを当該第2の検出器で検出する工程と、を更に含む。第2の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームの第2の光路に関して、ビーム分離ユニットの下流側で且つ第2の検出器の上流側に配置され得る。二次荷電粒子ビームは、直線に沿って第2の光学コンポーネントから第2の検出器まで伝搬することができるが、レンズ又はアパーチュアによって整形されても良い。第2の平面は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸を含むのが良く、第2の光学コンポーネントを通って延びるのが良く、且つ/或いは、第2の検出器を通って延びるのが良い。
検出器ドームの二次荷電粒子検出器は、二次荷電粒子検出器のアレイ、特に二次荷電粒子検出器の2次元アレイ、であるのが良い。二次荷電粒子検出器のアレイは、曲面上、特に球面上、に配置されるのが良い。複数の二次荷電粒子検出器は、ビーム分離ユニットから実質的に等距離を置いたところに配置されるのが良い。第1の検出器及び第2の検出器は、ビーム分離ユニットから実質的に等距離のところに配置されるのが良い。したがって、ビーム分離ユニットから第1の検出器までの二次荷電粒子ビームの伝搬距離は、ビーム分離ユニットから第2の検出器までの二次荷電粒子ビームの伝搬距離と、実質的に同一であるのが良い。ここで、「実質的に等距離のところ」又は「実質的に同一の距離」という表現は、比較される2つの距離の比が0.95から1.05までの範囲にあることを意味している。
第1の検出器、第2の検出器及び/又は検出器ドームの二次荷電粒子検出器は、荷電粒子ビーム装置に含まれるビームエミッタから距離を置いたところに位置するのが良い。第1の検出器、第2の検出器及び/又は検出器ドームは、荷電粒子ビーム装置に含まれる対物レンズの上方に配置されるのが良い。第1の検出器、第2の検出器及び/又は検出器ドームは、対物レンズの試料側の反対側に配置されるのが良い。第1の検出器、第2の検出器及び/又は検出器ドームは、ビーム分離ユニットの上方に、即ち、試料平面が存在する側とは反対のビーム分離ユニットの側に配置されるのが良い。
荷電粒子ビーム装置内における検出器ドームの空間配置状態は、固定されるのが良い。第1の検出器、第2の検出器及び/又は検出器ドームの二次荷電粒子検出器の空間配置状態は、固定されるのが良い。第1の検出器は、第2の検出器から離隔されるのが良い。
第1の検出器と第2の検出器とは、独立した検出器であるのが良い。第1の検出器は、二次荷電粒子ビームの第1の特性を検出するようになっているのが良い。第2の検出器は、二次荷電粒子ビームの第2の特性を検出するようになっているのが良い。この場合、第2の特性は、第1の特性とは異なる。更に別の検出器が、更に別の異なる特性を検出するようになっているのが良い。換言すると、第1の検出器、第2の検出器及び任意の別の検出器は、設けられている場合、互いに異なる形式の検出器であるのが良く、且つ/或いは、互いに異なる目的に用いられるのが良い。第1の検出器、第2の検出器及び検出器ドームに属する任意の別の検出器は、シンチレータ型検出器、ピンダイオード利用型検出器、アレイ検出器集成体、エネルギー分析のための検出器集成体、減速電界型分析装置、又はエネルギー分散型分析装置、を含み又はこれらから成る群から選択された形式のものであるのが良い。第1の検出器、第2の検出器及び検出器ドームの任意の別の検出器は、各々、小プローブ電流用の専用二次電子検出器、大プローブ電流用の専用二次電子検出器、後方散乱電子検出器及びエネルギーフィルタ型検出器、のうちの1つとして構成されるのが良い。例えば、第1の検出器は、二次電子の小プローブ電流検出専用のシンチレータ型検出器であるのが良く、第2の検出器は、二次電子の大プローブ電流を検出するピンダイオード利用型検出器であるのが良い。別の一例として、第3の検出器は、エネルギー分析、SE分析、BSE分析又はオージェ電子分析専用の減速電界型分析装置であるのが良く、この場合、BSEエネルギー分析は、例えば、材料特性決定のために使用できる。
かくして、本明細書において説明する実施形態により、多数の二次荷電粒子検出器の組立体を荷電粒子ビーム装置に含めることができる。多数の検出器を設けることにより、二次荷電粒子ビームの多数の互いに異なる特性を検出することができるという利点をもたらす。高性能ツール、特にウェハ及び/又はマスク検査、欠陥調査又は計測学(メトロロジー)用に設計されたツールでは、多数の検出器、例えば小プローブ電流用の専用SE‐検出器としてのシンチレータ型検出器、大プローブ電流用のピンダイオード利用型検出器並びにBSE‐検出器及びエネルギーフィルタ型検出器、が特に有利である。
図9は、荷電粒子ビーム装置の一実施形態の平面図である。荷電粒子ビーム装置200は、ビームエミッタ101、ビーム分離ユニット230及び二次荷電粒子検出器を含む検出器ドーム700を有し、二次荷電粒子検出器は、第1の検出器710及び第2の検出器720を含む。第1の検出器710は、第1の光路910に関して、ビーム分離ユニット230の下流側に配置されている。第1の光路910は、例えば本明細書において説明する実施形態に従って第1の電界及び第1の磁界がビーム分離ユニット230内に発生される場合、二次荷電粒子ビームの伝搬経路であるのが良い。第2の光路920は、例えば本明細書において説明する実施形態に従って第2の電界及び第2の磁界がビーム分離ユニット230内に発生される場合、二次荷電粒子ビームの伝搬経路であるのが良い。図9に示されている例示の実施形態では、第1の光路910は、第1の平面410内に含まれ、第2の光路920は、第2の平面420内に含まれ、第1の平面410と第2の平面420との間には方位角430が存在する。したがって、第1の光路910は、第2の光路920から離れて位置している。
図10は、別の実施形態としての荷電粒子ビーム装置を示している。第1の基準軸1010が、ビーム分離ユニット230を通ると共に第1の検出器710を通って延びている。第1の基準軸1010は、第1の平面410に含まれている。光軸490と第1の基準軸1010との間には、第1の極角1011が存在する。図10は、ビーム分離ユニット230を通ると共に第2の検出器720を通って延びる第2の基準軸1020を更に示している。第2の基準軸1020は、第2の平面420に含まれている。光軸490と第2の基準軸1020との間には、第2の極角1021が存在する。図10に示されている実施形態では、第2の極角1021は、第1の極角1011と同一である。かくして第1の検出器710と第2の検出器720は、光軸490に対して等しい極角をなしてビーム分離ユニット230に関して対称に配置されている。変形例として、第1の極角と第2の極角は、互いに異なっていても良い。
検出器ドーム700は、第1の検出器710及び第2の検出器720に加えて第3の検出器740を含むのが良い。第3の基準軸1060が、ビーム分離ユニット230を通ると共に第3の検出器740を通って延びている。第3の基準軸1060は、第2の平面420と一致した第3の平面内に含まれている。光軸490と第3の基準軸1060との間には、第3の極角1061が存在する。第3の極角1061は、第2の極角1021とは異なっている。同様に、第4の検出器(図示せず)が第1の平面内に配置されても良く、第4の検出器を通ると共にビーム分離ユニットを通る基準軸は、光軸490に対して第4の極角をなし、第4の極角は、第1の極角1011とは異なっている。
図10に示されている例示の実施形態では、第1の光路910は、ビーム分離ユニット230と第1の検出器710との間に位置する第1の基準軸1010のセグメントと一致した直線であるのが良い。したがって、通常の作動条件下においては、ビーム分離ユニット230から第1の検出器710まで伝搬する二次荷電粒子ビームは、第1の基準軸1010に沿って伝搬する。変形例として、特に第1の検出器710とビーム分離ユニット230との間に別の光学コンポーネント、例えばビーム曲げ器及び/又は二次荷電粒子光学部品、が存在する場合、第1の光路は、少なくとも部分的に湾曲するのが良く、第1の基準軸1010と一致しない。同様に、図10に示されている第2の光路920は、ビーム分離ユニット230と第2の検出器720との間に位置する第2の基準軸1020のセグメントと一致した直線であるのが良い。したがって、通常の作動条件下においては、ビーム分離ユニット230から第2の検出器720まで伝搬する二次荷電粒子ビームは、第2の基準軸1020に沿って伝搬する。変形例として、特に第2の検出器720とビーム分離ユニット230との間に別の光学コンポーネント、例えばビーム曲げ器及び/又は二次荷電粒子光学部品、が存在する場合、第2の光路は、少なくとも部分的に湾曲するのが良く、第1の基準軸1010と一致しない。同様の特性が、第3、第4又は任意の別の検出器に当てはまると言える。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、ビーム分離ユニットにより定められる光軸と第1の基準軸との間に、第1の極角が存在し、第1の基準軸は、第1の平面内に含まれた状態で、ビーム分離ユニットを通ると共に第1の検出器を通って延びている。第1の極角は、0°から45°までの範囲、好ましくは0°から30°までの範囲、より好ましくは0°から20°までの範囲、にあるのが良い。実施形態によれば、光軸と第2の基準軸との間に、第2の極角が存在し、第2の基準軸は、第2の平面内に含まれた状態で、ビーム分離ユニットを通ると共に第2の検出器を通って延びている。第2の極角は、0°から45°までの範囲、好ましくは0°から30°までの範囲、より好ましくは0°から20°までの範囲、にあるのが良い。
第2の極角は、第1の極角と同一であるのが良い。特に、第1の極角の大きさは、第2の極角の大きさに等しいのが良い。変形例として、第2の極角は、第1の極角とは異なっていても良い。第1の極角と第2の極角との差は、0°から45°までの範囲、好ましくは0°から30°までの範囲、より好ましくは0°から20°までの範囲、にあるのが良い。
図11は、実施形態による2次元ウィーンフィルタ型のビーム分離ユニットの例示の実施形態の側面図である。図11に示されているビーム分離ユニット230は、第1のE×B集成体1110及び第2のE×B集成体1120を含む。第1のE×B集成体1110及び第2のE×B集成体1120は、各々、1次元ウィーンフィルタ型のものであり、互いに垂直の電界と磁界を作る。第1のE×B集成体1110と第2のE×B集成体1120は、同一又は類似の構成のものであるが、互いに対して異なる向きに設定され、即ち、90°の角度をなして差し向けられている。第1のE×B集成体1110及び第2のE×B集成体1120は、光軸490に沿う同一の位置に配置されている。第1のE×B集成体1110及び第2のE×B集成体1120は、同一の空間領域内にこれらのそれぞれの電界及び磁界成分を作る。鉛直に差し向けられた光軸490は、ビーム分離ユニット230の対称軸であるのが良く、具体的に言えば、90°の回転対称軸である。
図11に示されているビーム分離ユニット230は、電界及び磁界を発生させるようになっている。ビーム分離ユニット230により生じる電界は、第1のE×B集成体1110により生じる電界成分と第2のE×B集成体1120により生じる電界成分との重ね合わせである。ビーム分離ユニット230により生じる磁界は、第1のE×B集成体1110により生じる磁界成分と第2のE×B集成体1120により生じる磁界成分との重ね合わせである。
変形例として、第1のE×B集成体1110及び第2のE×B集成体1120は、光軸に沿って順次配置されても良い。例えば、第1のE×B集成体1110は、第2のE×B集成体1120の上方に配置されるのが良い。さらに別の変形実施形態では、各々が2つの空間成分を有する第1の電界及び第1の磁界が、光軸490に沿って異なる位置で発生されても良く、或いは、第1の電界及び第1の磁界の個々の成分の各々が光軸490に沿って異なる位置で発生されても良く、即ち、第1の電界成分、当該第1の電界成分に垂直な第2の電界成分、第1の磁界成分、及び、当該第1の磁界成分に垂直な第2の磁界成分が光軸490に沿う異なる位置で発生されても良い。
図12は、一例としての第1のE×B集成体1110の平面図である。第1のE×B集成体1110は、光軸490の互いに反対側で互いに平行に配置された2枚の電極プレート1211,1212を含む第1の静電ビーム分離部分1210を含む。電極プレート1211,1212は、図面の平面に垂直に配置されている。電極プレート1211,1212は、y方向460に沿って第1の電界成分を発生させるようになっている。第1のE×B集成体1110は、第1の磁気ビーム分離部分1220を更に含む。第1の磁気ビーム分離部分1220は、互いに平行に配置されたコイル1221,1223の形態をした電磁石を含む。コイル1221,1223は、図面の平面に垂直に配置されている。コイル1221,1223は、x方向450に沿って第1の磁界成分を発生させるようになっている。荷電粒子ビーム、例えば一次荷電粒子ビーム又は二次荷電粒子ビームが光軸490に沿って第1のE×B集成体1110に入った場合、当該荷電粒子ビームは、第1のE×B集成体1110により生じた第1の電界成分及び第1の磁界成分の影響を受ける。したがって、電磁力がy方向に沿って荷電粒子ビームに作用し、この場合、電磁力は、例えば、第1の電界成分により生じる第1の電気力1260及び第1の磁界成分により生じる第1の磁気力1270を含むのが良い。第1の電気力1260及び第1の磁気力1270は、荷電粒子ビームの電荷及び伝搬方向に応じて、図12に示されているように互いに逆の向きを有しても良く、或いは、同一の向きを有しても良い。第1のE×B集成体1110により生じる第1の電界成分及び第1の磁界成分を適切に調節することによって、y方向に沿う電磁力を調節することができる。
図13は、一例としての第2のE×B集成体1120の平面図である。第2のE×B集成体1120は、2枚の電極プレート1311,1312を含む第2の静電ビーム分離部分1310を含む。電極プレート1311,1312は、x方向450に沿って第2の電界成分を発生させるようになっている。第2のE×B集成体1120は、コイルの形態をした電磁石1321,1323を有する第2の磁気ビーム分離部分1320を更に含む。電磁石1321,1323は、y方向460に沿って第2の磁界成分を発生させるようになっている。荷電粒子ビーム、例えば一次荷電粒子ビーム又は二次荷電粒子ビームが光軸490に沿って第2のE×B集成体1120に入った場合、当該荷電粒子ビームは、第2のE×B集成体1120により生じた第2の電界成分及び第2の磁界成分の影響を受ける。したがって、電磁力がx方向に沿って荷電粒子ビームに作用し、この場合、電磁力は、第2の電界成分により生じる第2の電気力1360及び第2の磁界成分により生じる第2の磁気力1370を含むのが良い。第2の電気力1360及び第2の磁気力1370は、荷電粒子ビームの電荷及び伝搬方向に応じて、図13に示されているように互いに逆の向きを有しても良く、或いは、同一の向きを有しても良い。第2のE×B集成体1120により生じる第2の電界成分及び第2の磁界成分を適切に調節することによって、x方向に沿う電磁力を調節することができる。
ビーム分離ユニット230に生じる電界は、y方向460に沿う第1のE×B集成体1110により生じる第1の電界成分と、x方向450に沿う第2のE×B集成体1120により生じる第2の電界成分と、の重ね合わせである。ビーム分離ユニット230に生じる磁界は、x方向450に沿う第1のE×B集成体1110により生じる第1の磁界成分と、y方向460に沿う第2のE×B集成体1120により生じる第2の磁界成分と、の重ね合わせである。かくして第1のE×B集成体1110及び第2のE×B集成体1120は、ビーム分離ユニット230により生じる電界の2つの空間成分の調節及びビーム分離ユニット230により生じる磁界の2つの空間成分の調節を可能にする。一次荷電粒子ビームが一方向においてビーム分離ユニット230を通って伝搬すると共に二次荷電粒子ビームが逆方向にビーム分離ユニット230を通って伝搬した場合、ビーム分離ユニット230は、x方向450において荷電粒子ビームに作用する電磁力及びy方向460において荷電粒子ビームに作用する電磁力の調節を可能にする。これら電界及び磁界並びに結果として生じる力を調節するのに足るほどの十分な自由度が存在し、その結果、一次荷電粒子ビームの特定の経路を維持することができ、他方、二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離することができ、二次荷電粒子ビームは異なる二次荷電粒子ビーム経路に沿って、例えば荷電粒子ビーム装置の光学コンポーネント及び/又は検出器ドームの検出器に向かって伝搬することができる。二次荷電粒子ビーム経路は、xy平面中への投影像で見て任意の方向を辿るようになることができる。換言すると、二次荷電粒子ビームは、xy平面中への投影像で見て、360°旋回させることができる。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、ビーム分離ユニットは、2次元ウィーンフィルタ型のものである。ビーム分離ユニットは、電界、特に調節可能な電界、を発生させると共に/或いは磁界、特に調節可能な磁界、を発生させるようになっているのが良い。ビーム分離ユニットは、本明細書において説明する実施形態に従って、第1の電界、第1の磁界、第2の電界、第2の磁界、第3の電界及び第3の磁界を発生させるようになっているのが良い。第1の電界、第2の電界及び第3の電界の各々は、それぞれの基準方向に対して定められた2つの空間成分、例えばx成分及びy成分を有するのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、ビーム分離ユニットは、当該ビーム分離ユニットによって生じた電界の第1の空間成分を調節するための第1の静電ビーム分離部分を含むのが良い。第1の静電ビーム分離部分は、第1の電界の第1の空間成分、例えば図4に示されている第1の電界260のx成分261、を調節すると共に/或いは第2の電界の第1の空間成分、例えば図5に示されている第2の電界360のx成分361、を調節するようになっているのが良い。第1の静電ビーム分離部分は、電界を発生させる電極、例えば1対の電極、を含むのが良い。電極は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸に平行な方向に配置された電極プレートを有するのが良い。光軸は、電極の間を延びるのが良い。光軸は、第1の静電ビーム分離部分の対称軸であるのが良い。第1の静電ビーム分離部分は、静電双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第1の静電ビーム分離部分は、静電双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。
ビーム分離ユニットは、当該ビーム分離ユニットによって生じた電界の第2の空間成分を調節するための第2の静電ビーム分離部分を更に含むのが良い。第2の静電ビーム分離部分は、第1の電界の第2の空間成分、例えば図4に示されている第1の電界260のy成分262、を調節すると共に/或いは第2の電界の第2の空間成分、例えば図5に示されている第2の電界360のy成分362、を調節するようになっているのが良い。第2の静電ビーム分離部分は、電界を発生させる電極、例えば1対の電極を含むのが良い。電極は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸に平行な方向に配置された電極プレートを有するのが良い。光軸は、電極相互間を延びるのが良い。光軸は、第2の静電ビーム分離部分の対称軸であるのが良い。第2の静電ビーム分離部分は、静電双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第2の静電ビーム分離部分は、静電双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。
ビーム分離ユニットは、当該ビーム分離ユニットによって生じた磁界の第1の空間成分を調節するための第1の磁気ビーム分離部分を更に含むのが良い。第1の磁気ビーム分離部分は、第1の磁界の第1の空間成分、例えば図4に示されている第1の磁界270のx成分271、を調節すると共に/或いは第2の磁界の第1の空間成分、例えば図5に示されている第2の磁界370のx成分371、を調節するようになっているのが良い。第1の磁気ビーム分離部分は、電磁石を含むのが良い。この電磁石は、磁界を発生させるために電流を通すことができる1つ又は2つ以上のコイルを含むのが良い。第1の磁気ビーム分離部分は、磁気双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第1の磁気ビーム分離部分は、磁気双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。光軸は、第1の磁気ビーム分離部分の対称軸であるのが良い。
ビーム分離ユニットは、当該ビーム分離ユニットによって生じた磁界の第2の空間成分を調節するための第2の磁気ビーム分離部分を更に含むのが良い。第2の磁気ビーム分離部分は、第1の磁界の第2の空間成分、例えば図4に示されている第1の磁界270のy成分272、を調節すると共に/或いは第2の磁界の第2の空間成分、例えば図5に示されている第2の磁界370のy成分372、を調節するようになっているのが良い。第2の磁気ビーム分離部分は、電磁石を含むのが良い。この電磁石は、磁界を発生させるために電流を通すことができる1つ又は2つ以上のコイルを含むのが良い。第2の磁気ビーム分離部分は、磁気双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第2の磁気ビーム分離部分は、磁気双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。光軸は、第2の磁気ビーム分離部分の対称軸であるのが良い。
ビーム分離ユニットは、第1のE×B集成体を含むのが良く、第1のE×B集成体は、第1の磁気ビーム分離部分及び第1の静電ビーム分離部分を含むのが良い。ビーム分離ユニットは、第2のE×B集成体を含むのが良く、第2のE×B集成体は、第2の磁気ビーム分離部分及び第2の静電ビーム分離部分を含むのが良い。第1のE×B集成体及び/又は第2のE×B集成体は、1次元ウィーンフィルタ型のものであるのが良い。ビーム分離ユニットによって定められた光軸は、第1のE×B集成体により定められた光軸と一致するのが良く、且つ/或いは、第2のE×B集成体より定められた光軸と一致するのが良い。ビーム分離ユニットによって定められた光軸は、第1のE×B集成体の対称軸であるのが良く、且つ/或いは、第2のE×B集成体の対称軸であるのが良い。第1のE×B集成体及び第2のE×B集成体は、光軸に沿う同一の位置に配置されるのが良い。変形例として、第1のE×B集成体及び第2のE×B集成体は、光軸に沿って順次配置されても良い。光軸は、試料の平面に対して鉛直に延びるのが良く、この場合、第1のE×B集成体及び第2のE×B集成体は、光軸に沿って配置されるのが良い。この場合、第1のE×B集成体は、第2のE×B集成体の上方に、第2のE×B集成体の下方に、又は、同一の場所に、配置され得る。第1のE×B集成体は、第2のE×B集成体の近くに配置されても良く、この場合特に、これら2つの集成体間に荷電粒子ビーム装置の他のコンポーネントは存在しない。
光軸を含むと共に第1の静電ビーム分離部分を通って延び、特に第1の静電ビーム分離部分に含まれている電極を通って延びる平面が、光軸を含むと共に第2の静電ビーム分離部分を通って延び、特に第2の静電ビーム分離部分に含まれている電極を通って延びる平面に対して、垂直であるのが良い。光軸を含み且つ第1の磁気ビーム分離部分を通って延びる平面は、光軸を含み且つ第2の磁気ビーム分離部分を通って延びる平面に対して、垂直であるのが良い。
図14は、2次元ウィーンフィルタ型の分散補償ユニット1410を含む荷電粒子ビーム装置の一実施形態の側面図である。分散補償ユニット1410は、一次荷電粒子ビーム110に対してビーム分離ユニット230の上流側に配置されている。一次荷電粒子ビーム110は、分散補償ユニット1410を通って伝搬する。分散補償ユニット1410に入った一次荷電粒子ビーム110は、分散補償ユニット1410によって定められた光軸1420に沿って伝搬する。光軸1420は、ビームエミッタ101が一次荷電粒子ビーム110を放出する軸線と一致している。分散補償ユニット1410の光軸1420は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸490に平行である。光軸1420は、光軸490に対してオフセットした状態で位置している。二次荷電粒子は、分散補償ユニット1410に到達せず、換言すると、分散補償ユニットは、荷電粒子ビーム装置の二次荷電粒子ビーム経路の外側に配置されており、その結果、分散補償ユニットは、一次荷電粒子ビームにしか影響を及ぼさず、二次荷電粒子ビームには直接的には影響を及ぼさないようになっている。図14に示されている荷電粒子ビーム装置は、対物レンズ140を更に有する。対物レンズ140によって定められた光軸150は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸490と一致している。
図14に示されている一次荷電粒子ビーム110は、分散補償ユニット1410内で偏向される。一次荷電粒子ビームを分散補償ユニット内で偏向させる場合の利点は、一次荷電粒子ビームコラムの幾何学的レイアウトをより一層柔軟性(融通性)をもって設計できるということにある。一次荷電粒子ビームコラムの上方部分内の光軸と一次荷電粒子ビームコラムの下方部分内の光軸とのオフセットは、本明細書において説明する実施形態に従って、二次荷電粒子ビーム要素、例えば第1の光学コンポーネント、第2の光学コンポーネント、検出器ドーム、第1の検出器及び/又は第2の検出器、のためにより広いスペースを与えることができる。
分散補償ユニット1410内における一次荷電粒子ビーム110の偏向は、ビーム分離ユニット230に入った一次荷電粒子ビーム110の伝搬方向が光軸490に対して傾けられる、というようなものである。一次荷電粒子ビーム110は、分散補償ユニット1410からビーム分離ユニット230まで真っ直ぐに、即ち、分散補償ユニット1410とビーム分離ユニット230との間でその方向を変えないで、伝搬する。図14に示されているように、一次荷電粒子ビーム110は、分散補償ユニット1410とビーム分離ユニット230との間の領域内を除き、互いに平行な光軸1420,490に沿って伝播する。
ビーム分離ユニット230は、一次荷電粒子ビーム中に分散を生じさせる場合がある。分散は、一次荷電粒子が互いに異なる個々のエネルギー又は運動量を有する場合に結果として生じ得て、従って、一次荷電粒子は、ビーム分離ユニット内で同一の偏向を呈することがない。図14に示されている分散補償ユニット1410は、ビーム分離ユニット230によってもたらされる分散を補償するための調節可能な分散を有するのが良い。ビーム分離ユニットによってもたらされた分散を補償する場合の利点は、かくして高電流密度を有する小さな荷電粒子プローブを生成することができる、ということにある。さらに、分散補償ユニット1410は、一次荷電粒子ビームの経路とは独立して、例えば分散補償ユニットの上流側及び/又は下流側に位置する一次荷電粒子ビームの傾斜角とは独立して、且つビーム分離ユニットの上流側及び/又は下流側に位置した一次荷電粒子ビームの傾斜角とは独立して、分散を調節するようになっているのが良い。
図14に示された分散補償ユニット1410は、2次元ウィーンフィルタ型のものである。したがって、分散補償ユニット1410は、光軸1420と直交した平面内における任意の方向に分散補償静電界及び分散補償磁界を発生させるようになっているのが良い。分散補償静電界及び分散補償磁界は、各々、x成分及びy成分を有するのが良い。それぞれが上述したようにx成分及びy成分を有するビーム分離ユニットによって生じる電界及び磁界によりもたらされる分散は、分散補償静電界及び分散補償磁界のx成分及びy成分を適切に調節することによって補償されるのが良い。
便宜上、本明細書において用いられる「分散補償静電界」という表現は、分散補償静電界単独でビーム分離ユニットの分散を完全に補償するようになっているべきである、ということを示唆するものではない。上述したように、分散は、分散補償静電界と分散補償磁界との影響の協同によって補償されるのが良い。同様な考え方は、本明細書において説明する「分散補償磁界」という用語に当てはまる。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置は、分散補償ユニット、例えば図14に示された分散補償ユニット1410、を有する。分散補償ユニットは、一次荷電粒子ビームに対してビーム分離ユニットの上流側に配置されるのが良い。分散補償ユニットは、ビーム分離ユニットの分散を補償するための調節可能な分散を有するのが良い。
一次荷電粒子ビームは、ビーム分離ユニットの光軸に平行に分散補償ユニットに入るのが良い。分散補償ユニットは、一次荷電粒子ビームを偏向させるようになっているのが良い。変形例として、一次荷電粒子ビームは、その方向を変えることなく分散補償ユニットを通過するのが良い。分散補償ユニットの分散は、当該分散補償ユニット内における一次荷電粒子ビームの偏向量とは独立して、調節可能であるのが良い。
分散補償ユニットは、光軸、例えば図14に示されている光軸1420を定めることができる。分散補償ユニットによって定められた光軸は、ビーム分離ユニットにより定められた光軸に平行であるのが良い。変形例として、分散補償ユニットにより定められる光軸は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸に対して傾けられるのが良い。分散補償ユニットにより定められる光軸は、ビーム分離ユニットにより定められる光軸に対してオフセット状態に位置しても良い。当該オフセットは、1mmから15mmまでの範囲にあるのが良い。変形例として、分散補償ユニットにより定められる光軸は、ビーム分離ユニットによって定められる光軸と一致しても良い。したがって、一次荷電粒子ビームは、直線経路に沿って分散補償ユニットを経てビームエミッタからビーム分離ユニットまで伝搬するのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、分散補償ユニットは、2次元ウィーンフィルタ型のものである。分散補償ユニットは、ビーム分離ユニットの分散を補償するための分散補償静電界、特に調節可能な分散補償静電界、を発生させるようになっているのが良い。分散補償ユニットは、ビーム分離ユニットの分散を補償するための分散補償磁界、特に調節可能な分散補償磁界、を発生させるようになっているのが良い。分散補償電界及び/又は分散補償磁界は、ビーム分離ユニットの分散を補償するために特に特定の分散量をもたらすことによって一次荷電粒子ビームに影響を及ぼすようになっているのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、分散補償ユニットは、分散補償静電界の第1の空間成分を調節するための第1の静電分散補償部分を含むのが良い。分散補償静電界の第1の空間成分は、例えば、x方向450に対して定められた分散補償静電界のx成分であるのが良い。第1の静電分散補償部分は、電界を発生させるための電極、例えば1対の電極、を含むのが良い。第1の静電分散補償部分は、静電双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第1の静電分散補償部分は、静電双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。
分散補償ユニットは、分散補償静電界の第2の空間成分を調節するための第2の静電分散補償部分を更に含むのが良い。分散補償静電界の第2の空間成分は、例えば、y方向460に対して定められた分散補償静電界のy成分であるのが良い。第2の静電分散補償部分は、電界を発生させるための電極、例えば1対の電極、を含むのが良い。第2の静電分散補償部分は、静電双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第2の静電分散補償部分は、静電双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。
分散補償ユニットは、分散補償磁界の第1の空間成分を調節するための第1の磁気分散補償部分を更に含むのが良い。分散補償磁界の第1の空間成分は、例えば、x方向450に対して定められた分散補償磁界のx成分であるのが良い。第1の磁気分散補償部分は、電磁石を含むのが良い。この電磁石は、磁界を発生させるために電流を通すことができるコイルを含むのが良い。第1の磁気分散補償部分は、磁気双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第1の磁気分散補償部分は、磁気双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。
分散補償ユニットは、分散補償磁界の第2の空間成分を調節するための第2の磁気分散補償部分を含むのが良い。分散補償磁界の第2の空間成分は、例えば、y方向460に対して定められた分散補償磁界のy成分であるのが良い。第2の磁気分散補償部分は、電磁石を含むのが良い。この電磁石は、磁界を発生させるために電流を通すことができるコイルを含むのが良い。第2の磁気分散補償部分は、磁気双極素子、四極素子又はn次多極素子(n≧8)を含むのが良く、この場合、第2の磁気分散補償部分は、磁気双極フィールドを発生させるようになっているのが良い。
分散補償ユニットは、第1の分散補償E×B集成体を含むのが良く、第1の分散補償E×B集成体は、第1の磁気分散補償部分及び第1の静電分散補償部分を含むのが良い。分散補償ユニットは、第2の分散補償E×B集成体を含むのが良く、第2の分散補償E×B集成体は、第2の磁気分散補償部分及び第2の静電分散補償部分を含むのが良い。第1の分散補償E×B集成体及び/または第2の分散補償E×B集成体は、1次元ウィーンフィルタ型のものであるのが良い。
他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、本明細書において説明する方法は、ビーム分離ユニットが一次荷電粒子ビーム中にもたらす分散を分散補償ユニットによって補償する工程を更に含むのが良い。ビーム分離ユニットによりもたらされる分散は、一次荷電粒子ビームのエネルギー幅により生じる少なくとも一次ビーム広がりを減少させるように、分散補償ユニットによって補償されるのが良い。
ビーム分離ユニットによりもたらされた分散を補償する工程は、分散補償ユニットの分散を調節する工程を含むのが良い。ビーム分離ユニットによりもたらされた分散を補償する工程は、分散補償静電界及び/又は分散補償磁界を発生させる工程を含むのが良い。ビーム分離ユニットによってもたらされた分散を補償する工程は、分散補償静電界の第1の空間成分を調節する工程(この場合、分散補償静電界の第1の空間成分を第1の静電分散補償部分によって調節するのが良い)、分散補償静電界の第2の空間成分を調節する工程(この場合、分散補償静電界の第2の空間成分を第2の静電分散補償部分によって調節するのが良い)、分散補償磁界の第1の空間成分を調節する工程(この場合、分散補償磁界の第1の空間成分を第1の磁気分散補償部分によって調節するのが良い)、分散補償磁界の第2の空間成分を調節する工程(この場合、分散補償磁界の第2の空間成分を第2の磁気分散補償部分によって調節するのが良い)、のうちの少なくとも1つの工程を含むのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置は、制御ユニットを有するのが良い。制御ユニットは、データを計算するよう構成されているのが良く、この場合、データは、標的電界及び/又は標的磁界の大きさ及び/又は方向を含むのが良い。制御ユニットは、更に、計算したデータをビーム分離ユニットに提供するよう構成されているのが良い。ビーム分離ユニットは、制御ユニットからの計算されたデータの受け取りに応じて標的電界及び標的磁界を発生させるよう構成されているのが良い。
標的電界は、本明細書において説明したように、ビーム分離ユニット内で生じる第1の電界、第2の電界又は任意他の電界形態であり得る。標的磁界は、本明細書において説明したように、ビーム分離ユニット内で生じる第1の磁界、第2の磁界又は任意他の磁界形態であり得る。
例えば、標的電界が第1の電界であり且つ標的磁界が第1の磁界である場合、制御ユニットにより計算されるデータは、第1の標的軸線の配向方向及びビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置から計算することができる。換言すると、第1の電界及び第1の磁界の大きさ及び方向は、一次荷電粒子ビーム及び二次荷電粒子ビームが第1の電界及び第1の磁界の影響を受けてビーム分離ユニット内で偏向されるべき方向に基づいて、計算される。別の例として、標的電界が第2の電界であり且つ標的磁界が第2の磁界である場合、制御ユニットにより計算されるデータは、第1の標的軸線の配向方向及びビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置から計算することができる。
実施形態によれば、制御ユニットにより計算されるデータは、以下の事項、即ち、第1の標的軸線の配向方向、ビーム分離ユニットに対する第1の光学コンポーネントの相対位置、特に第1の平面とゼロ平面との間の第1の距離及び/又は方位角、ビーム分離ユニットに対する第2の光学コンポーネントの相対位置、特に第2の平面とゼロ平面との間の第2の距離及び/又は方位角、ビーム分離ユニットに対する第1の検出器の相対位置、特に第1の平面とゼロ平面との間の第1の極角及び/又は方位角、ビーム分離ユニットに対する第2の検出器の相対位置、特に第2の平面とゼロ平面との間の第2の極角及び/又は方位角、のうちの少なくとも1つから計算されるのが良い。
制御ユニットは、計算されたデータから別のデータを計算するよう構成されているのが良い。別のデータは、標的分散補償静電界及び標的分散補償磁界の大きさ及び/又は方向を含むのが良い。
制御ユニットは、当該別の計算されたデータを分散補償ユニットに提供するよう構成されているのが良い。分散補償ユニットは、当該別の計算されたデータの受け取りに応じて標的分散補償静電界及び/又は標的分散補償磁界を発生させるよう構成されているのが良い。標的分散補償静電界及び/又は標的分散補償磁界は、標的電界及び標的磁界が生じているビーム分離ユニットによって一次荷電粒子ビーム中にもたらされた分散を補償するようになっているのが良い。
この方法は、一次荷電粒子ビームを分散補償ユニット内で偏向させる工程を更に含むのが良い。偏向は、静電偏向及び/又は磁気偏光を含むのが良い。一次荷電粒子ビームを、第1の静電分散補償部分、第2の静電分散補償部分、第1の磁気分散補償部分及び/又は第2の磁気分散補償部分によって、分散補償ユニット内で偏向させるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置は、第3の光学コンポーネントを含む。
第3の光学コンポーネントは、試料平面に垂直な方向において第3の距離だけ試料平面から距離を置いて位置するのが良い。第3の光学コンポーネントは、第2の光学コンポーネントと試料平面の同一側に、且つ/或いは、第1の光学コンポーネントと試料平面の同一の側に配置されるのが良い。第3の距離は、鉛直距離であるのが良い。第3の距離は、試料又は試料平面上方の第3の高さであるのが良い。第3の光学コンポーネントは、荷電粒子ビーム装置内の固定された位置に配置されるのが良い。ビーム分離ユニットに対する第3の光学コンポーネントの相対位置は、固定されるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第3の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームを曲げるビーム曲げ器である。他の実施形態によれば、第3の光学コンポーネントは、二次荷電粒子光学部品又は二次荷電粒子光学部品の一部、例えばレンズ又はアパーチュアである。さらに別の実施形態によれば、第3の光学コンポーネントは、二次荷電粒子ビームを検出するための検出器であるのが良い。具体的に言えば、第3の光学コンポーネントは、検出器ドームに含まれる第3の検出器であるのが良い。
二次荷電粒子ビームは、第3の光路に沿ってビーム分離ユニットから第3の光学コンポーネントまで伝搬するのが良い。第3光学コンポーネントは、例えば第3の光学コンポーネントがビーム曲げ器である場合、第3の光路に対してビーム分離ユニットのすぐ下流側に配置されるのが良い。第3の光学コンポーネントは、第3の光路に沿って二次荷電粒子ビームに影響を及ぼす次の光学素子であるのが良い。変形例として、第3の光学コンポーネントは、例えば第3の光学コンポーネントが二次荷電粒子光学部品(の一部)又は検出器である場合、第3の光路に沿ってすぐ下流側に配置されなくても良い。二次荷電粒子ビームが第3の光学コンポーネントに到達する前に、ビーム分離ユニットと第3の光学コンポーネントとの間で、第3の光路上に二次荷電粒子ビームに影響を及ぼす別の光学素子、例えばビーム曲げ器、が設けられ得る。
第2の平面と第3の平面との間には、方位角が存在するのが良く、この場合、第3の平面は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸を含み、第3の光学コンポーネントを通って延びるのが良い。第3の平面は、特に、第3の光学コンポーネントの中央部分を通って延びるのが良い。第3の光学コンポーネントは、第2の平面から距離を置いて位置するのが良い。第2の光学コンポーネントは、第3の平面から距離を置いて位置するのが良い。第3の平面は、第2の平面とは異なり得る。第3の平面と第2の平面とのなす方位角は、5°から145°までの範囲、好ましくは10°から100°までの範囲、より好ましくは25°から60°までの範囲、にあるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第1の平面と第3の平面との間には方位角が存在するのが良い。第3の平面は、第1の平面とは異なるのが良い。第3の光学コンポーネントは、第1の平面から距離を置いて位置するのが良い。第1の光学コンポーネントは、第3の平面から距離を置いて位置するのが良い。第3の平面と第1の平面とのなす方位角は、5°から145°までの範囲、好ましくは10°から100°までの範囲、より好ましくは25°から60°までの範囲、にあるのが良い。
本明細書において説明する実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第2の平面は、第3の平面と一致しているのが良い。第2の距離は、特に第2の平面が第3の平面と一致している場合、第3の距離とは異なるのが良い。本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な他の実施形態によれば、第2の距離は、特に第2の平面と第3の平面との間に方位角が存在している場合、第3の距離と同一であるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、検出器ドームの二次荷電粒子検出器は、第1の検出器から距離を置くと共に第2の検出器から距離を置いて位置する第3の検出器を含む。第3の検出器は、二次荷電粒子ビームの第3の光路に関して、ビーム分離ユニットの下流側に配置されるのが良い。
第3の検出器は、ビームエミッタから距離を置いて位置するのが良い。第3の検出器は、荷電粒子ビーム装置に含まれる対物レンズの上方に配置されるのが良い。第3の検出器は、対物レンズの試料側と逆の側に配置されるのが良い。
第2の平面と第3の平面との間には方位角が存在するのが良く、この場合、第3の平面は、ビーム分離ユニットによって定められた光軸を含み、第3の検出器を通って延びるのが良い。第3の平面は、特に、第3の検出器の中央部分を通って延びるのが良い。第3の検出器は、第2の平面及び/又は第1の平面から距離を置いて位置するのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、ビーム分離ユニットによって定められた光軸と第3の基準軸との間に第3の極角が存在し、当該第3の基準軸は、第3の平面に含まれると共にビーム分離ユニット及び第3の検出器を通って延びるのが良い。第3の極角は、0°から45°までの範囲、好ましくは0°から30°までの範囲、より好ましくは0°から20°までの範囲、にあるのが良い。
本明細書において説明する実施形態と組み合わせ可能な実施形態によれば、第2の平面は、第3の平面と一致しているのが良い。第2の極角は、特に第2の平面が第3の平面と一致している場合、第3の極角とは異なるのが良い。第2の極角と第3の極角の差は、0°から45°までの範囲、好ましくは0°から30°までの範囲、より好ましくは0°から20°までの範囲、にあるのが良い。本明細書において説明する実施形態と組み合わせ可能な他の実施形態によれば、第2の極角は、特に第2の平面と第3の平面との間に方位角が存在する場合、第3の極角と同一であるのが良い。第2の極角の大きさは、第3の極角の大きさと同じであるのが良く、且つ/或いは、第2の極角の向きは、第3の極角の向きと同一であるのが良い。
本明細書において説明する方法の実施形態は、ビーム分離ユニット内に第3の電界及び第3の磁界を発生させる工程と、一次荷電粒子ビームを第3の電界及び第3の磁界が発生されているビーム分離ユニット中に誘導する工程であって、ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向が第3の電界及び第3の磁界の影響下で第1の標的軸線と整列される、という工程と、ビーム分離ユニット内で二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程と、を更に含み、二次荷電粒子ビームは第3の電界及び第3の磁界の影響下で偏向されてビーム分離ユニットから第3の光学コンポーネントまで伝搬する、というものである。
第3の電界が発生される方向及び/又は第3の磁界が発生される方向は、ビーム分離ユニットによって定められる光軸に垂直又は実質的に垂直であるのが良い。第3の電界は、少なくとも一次荷電粒子ビーム及び/又は二次荷電粒子ビームが当該第3の電界を通過する領域では、均質の第3の電界であるのが良い。第3の磁界は、均質の第3の磁界であるのが良い。第3の電界は、第3の磁界に垂直又は実質的に垂直であるのが良い。ここで、「実質的に垂直」という表現は、±10°以内、特に±5°以内、の許容誤差を意味している。
第3の電界は、第1の電界及び/又は第2の電界とは異なるのが良い。具体的に説明すると、第3の電界の大きさは、第1の電界の大きさ及び/又は第2の電界の大きさとは異なるのが良い。代替的に又は追加的に、第3の電界の発生方向は、第1の電界の発生方向及び/又は第2の電界の発生方向とは異なっているのが良い。
第3の磁界は、第1の磁界及び/又は第2の磁界とは異なるのが良い。具体的に説明すると、第3の磁界の大きさは、第1の磁界の大きさ及び/又は第2の磁界の大きさとは異なるのが良い。代替的に又は追加的に、第3の磁界の発生方向は、第1の磁界の発生方向及び/又は第2の磁界の発生方向とは異なっているのが良い。
第3の電界及び第3の磁界が印加されるビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第3の電界及び/又は第3の磁界によって定められるのが良く、且つ/或いは、第3の電界及び/又は第3の磁界に依存するのが良い。ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第3の電界及び/又は第3の磁界によって定められるのが良く、且つ/或いは、第3の電界及び/又は第3の磁界に依存するのが良い。ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、ビーム分離ユニットに入る二次荷電粒子ビームの伝搬方向とは異なるのが良い。第3の電界及び第3の磁界が生じているビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向は、第1の電界及び第1の磁界が生じているビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向とは異なるのが良く、且つ/或いは、第2の電界及び第2の磁界が生じているビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向とは異なるのが良い。
第3の電界は、2つの調節可能な自由度、特に2つの調節可能な空間成分、を有するのが良い。第3の電界は、第1の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分を有するのが良い。第1の基準方向は、例えば本明細書において説明したように、x方向450であるのが良い。第3の電界は、第2の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分を有するのが良い。第2の基準方向は、例えば、本明細書において説明したように、y方向460であるのが良い。第3の磁界は、2つの調節可能な自由度、特に2つの調節可能な空間成分、を有するのが良い。第3の磁界は、第3の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分を有するのが良い。第3の基準方向は、例えば、本明細書において説明したように、x方向450であるのが良い。第3の磁界は、第4の基準方向に対して定められた空間成分、特に調節可能な空間成分を有するのが良い。第4の基準方向は、例えば、本明細書において説明したように、y方向460であるのが良い。
本明細書において説明する他の実施形態と組み合わせ可能な幾つかの実施形態によれば、第3の電界は、ビーム分離ユニットに対する第3の光学コンポーネントの相対位置に依存して、第3の極角に依存して、且つ/或いは、第3の平面とゼロ平面とのなす方位角に依存して、発生させることができる。上述したように、ゼロ平面は、例えば、図4及び図5に示されたゼロ平面440であるのが良い。第3の磁界は、ビーム分離ユニットに対する第3の光学コンポーネントの相対位置に依存して、第3の極角に依存して、且つ/或いは、第3の平面とビーム分離ユニットによって定められる光軸を含むゼロ平面とのなす方位角に依存して、発生させることができる。
本方法は、二次荷電粒子ビームを第3の光学コンポーネントから検出器ドームの二次荷電粒子検出器に含まれる第3の検出器まで誘導する工程を更に含むのが良い。本方法は、第3の検出器で二次荷電粒子ビームを検出する工程を更に含むのが良い。二次荷電粒子ビームは、検出器ドームの検出側で第3の検出器によって検出することができる。第1の検出器、第2の検出器及び/又は第3の検出器は、ビーム分離ユニットから等距離を置いたところに配置されるのが良い。
別の実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置が提供される。当該荷電粒子ビーム装置は、本明細書において説明したように、ビームエミッタ、ビーム分離ユニット及び検出器ドームを有する。検出器ドームは、本明細書において説明したように、第1の検出器及び第2の検出器を含む二次荷電粒子検出器を含む。検出器ドームは、本明細書において説明したように、第3の検出器を更に含むのが良い。当該荷電粒子ビーム装置は、本明細書において説明したように、分散補償ユニット、第1の光学コンポーネント、第2の光学コンポーネント及び/又は第3の光学コンポーネントを更に含むのが良い。
別の実施形態によれば、別の荷電粒子ビーム装置が提供される。当該荷電粒子ビーム装置は、本明細書において説明したように、ビームエミッタ、ビーム分離ユニット、第1の光学コンポーネント及び第2の光学コンポーネントを有する。当該荷電粒子ビーム装置は、本明細書において説明したように、検出器ドームを更に有するのが良い。当該荷電粒子ビーム装置は、本明細書において説明したように、分散補償ユニット及び/又は第3の光学コンポーネントを更に含むのが良い。
図16及び図17は、実施形態による荷電粒子ビーム装置の作動方法を示している。当該荷電粒子ビーム装置は、ビーム分離ユニットを有する。当該荷電粒子ビーム装置は、第1の光学コンポーネント及び第2の光学コンポーネントを更に含むのが良い。
図16で、参照符号1601は、一次荷電粒子ビームを発生させる工程を示している。参照符号1602は、ビーム分離ユニット内に第1の電界及び第1の磁界を発生させる工程を示している。参照符号1603は、一次荷電粒子ビームを第1の電界及び第1の磁界が発生しているビーム分離ユニット中に誘導する工程であって、ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向が第1の電界及び第1の磁界の影響下において第1の標的軸線と整列される、という工程を示している。参照符号1604は、一次荷電粒子ビームを試料に衝突させることによって二次荷電粒子ビームを発生させる工程を示している。参照符号1605は、ビーム分離ユニット内で二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程であって、二次荷電粒子ビームが第1の電界及び第1の磁界の影響下で偏向されてビーム分離ユニットから第1の光学コンポーネントまで伝搬する、という工程を示している。参照符号1606は、ビーム分離ユニット内に第2の電界及び第2の磁界を発生させる工程を示している。参照符号1607は、一次荷電粒子ビームを第2の電界及び第2の磁界が発生しているビーム分離ユニット中に誘導する工程であって、ビーム分離ユニットを出た一次荷電粒子ビームの伝搬方向が第2の電界及び第2の磁界の影響下で第1の標的軸線と整列される、という工程を示している。参照符号1608は、ビーム分離ユニット内で二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程であって、二次荷電粒子ビームが第2の電界及び第2の磁界の影響下で偏向されてビーム分離ユニットから第2の光学コンポーネントまで伝搬する、という工程を示している。
図17で、参照符号1705は、二次荷電粒子ビームをビーム分離ユニット内で偏向させて二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程であって、ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向が第1の電界及び第1の磁界の影響下で第2の標的軸線と整列される、という工程を示している。参照符号1708は、二次荷電粒子ビームをビーム分離ユニット内で偏向させて二次荷電粒子ビームを一次荷電粒子ビームから分離する工程であって、ビーム分離ユニットを出た二次荷電粒子ビームの伝搬方向が第2の電界及び第2の磁界の影響下で第3の標的軸線と整列される、という工程を示している。第3の標的軸線は、第2の標的軸線とは異なっている。
以下の説明を考慮して、本明細書において説明した実施形態は、一次荷電粒子ビームの偏向角に影響を及ぼさないで、ビーム分離ユニットを出る二次荷電粒子ビームを、任意の方位角及び任意の極角で、標的軸線と整列させることができる。かくして、検出器ドームは、二次荷電粒子ビームを検出するために試料及び/又は対物レンズの上方に位置する3次元空間全体を使用することができる。したがって、二次荷電粒子ビームの向上した検出具合が提供され、すなわち、検出器ドームに含まれる多数の検出器を用いて二次荷電粒子ビームの多数の特性を検出することができ、荷電粒子ビーム装置内に当該多数の検出器を配置するのに十分な空間が提供される。加うるに、ビーム分離ユニットにより一次荷電粒子ビーム中にもたらされる分散を、分散補償ユニットによって補償することができる。特に、2次元ウィーンフィルタ型のビーム分離ユニットによりもたらされる分散を、2次元ウィーンフィルタ型の分散補償ユニットによって補償することができる。
上述した内容は、本発明の幾つかの実施形態に関するが、以下の特許請求の範囲の記載により定められる本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び別の実施形態を想到することができる。