しかしながら、長手方向の長さの異なるパネルをその長辺同士で連結しようとすると、次に示すとおり、2つのパネルの長辺同士を十分に連結することができない事態が生じる。
図5は、長手方向の長さの異なるパネル(A)と(B)を連結しようとするときの模式図である。(ア)は短いパネルの連結、(イ)は同じ長さのパネルの連結、そして、(ウ)は短いパネルの連結を、それぞれ示す。
パネル(A)の長手方向の長さは3mであり、パネル(B)の長手方向の長さは4mである。なお、前述したとおり、パネルはチェーンで吊り下げられる。チェーンを通すパネル位置は、パネルの端部の短辺部材として用いられる丸パイプとすることができる。通常は、各パネル当たり2個所においてチェーンで吊り下げられる。チェーンを通す位置は、パネルの両端部の短辺部材の中央部がよいが、パネルの床面に設けてなる吊りフック9としてもよい。パネル(B)の床面には吊りフック9が設けられている。
(ア)設置済みの下方表示の短いパネル(A)に上方表示の長いパネル(B)を連結しようとする場合、上方表示の長いパネル(B)の右側の連結受け部12は下方表示の短いパネル(A)の連結部11に外挿できる(○印で示す)が、上方表示の長いパネル(B)の左側の連結受け部12は対応する位置に下方表示の短いパネル(A)の連結部11が存在しないので外挿することができない(×印で示す)。したがって、2つのパネルの長辺同士を十分に連結することができない。
(イ)設置済みの下方表示の長いパネル(B)に上方表示の長いパネル(B)を連結しようとする場合、上方表示の長いパネル(B)の右側の連結受け部12は下方表示の長いパネル(B)の連結部11に外挿できる(○印で示す)。そして、上方表示の長いパネル(B)の左側の連結受け部12は対応する位置に下方表示の長いパネル(B)の連結部11が存在するので外挿することができる(○印で示す)。したがって、2つのパネルの長辺同士を十分に連結することができる。
(ウ)設置済みの下方表示の長いパネル(B)に上方表示の短いパネル(A)を連結しようとする場合、上方表示の短いパネル(A)の右側の連結受け部12は下方表示の長いパネル(B)の連結部11に外挿できる(○印で示す)が、上方表示の短いパネル(A)の左側の連結受け部12は対応する位置に下方表示の長いパネル(B)の連結部11が存在しないので外挿することができない(×印で示す)。したがって、2つのパネルの長辺同士を十分に連結することができない。
このように、長手方向の長さの異なるパネルの長辺同士を連結しようとすると、十分に連結することができない事態が生じる結果、作業員がパネル上を歩く際に、パネル材が沈み込む可能性がある。短いパネルに長いパネルを連結する場合を例にとって、発生する問題を次に考察する。
図6および図7は、設置済みの2枚の短パネルに長パネルを連結したときの模式図である。図6(a)が平面図、そして、図6(b)がE−E矢視の長パネル上を作業員が歩くときの状況、図7(a)および図7(b)がF−F矢視の長パネル上を作業員が歩くときの状況をそれぞれ示す。
図6(a)において、◎印はパネル間の連結が十分な個所であり、反対に×印はパネル間の連結が不十分は個所であることを示している。すなわち、図6(a)の右側の連結部においては、パネル間は十分に連結されている。したがって、図6(b)に示すように、作業員が短パネルの右端から移動して長パネルの右端(E−E矢視部)に足を乗せても、連結された短パネルの重みにより、パネルが回転したり沈み込んだりすることはない。
しかし、図6(a)の左側の網掛け部分は隣接する短パネルとの間の連結が不十分である。したがって、各パネルがそれぞれ図示される吊り位置10においてチェーンで吊り下げられている状況で、作業員が短パネルからの左端から移動して長パネルの左端(F−F矢視部)の網掛け部分に足を乗せると、図7(a)にみるごとく、足を乗せた部分のパネルが沈み込み、パネル間が開いて隙間が生じるおそれがある。その結果、その隙間に作業員の足が落ち込む危険性がある。
さらに、作業員が長パネルの左端(F−F矢視部)の網掛け部分の先端部に足を乗せると、図7(b)にみるごとく、長パネルの中央位置の吊りチェーンを軸にしてパネル先端部が沈み込み、そして、その反対側が浮き上がる結果となり、作業員が足を滑らせるおそれがある。その結果、作業員がパネルの外側に転落する危険性がある。
このような危険性のあるパネルをその上面から見ても判別は困難である。そして、パネルは常に十分に連結されているとの思いこみがあることや、吊り足場の設置作業者と設置後の吊り足場での作業者とは異なることが多いことから、次に示すように、パネル間の連結の補強がなされている。
図8は、吊り下げるチェーン数を増やすことで、パネルを安定化した例である。(a)が平面図、そして、(b)がG−G矢視の長パネル上を作業員が歩くときの状況を示す。
ここでは、設置済みの短パネルの左端の短辺部材と、連結すべき長パネルの左端で吊り下げるチェーン数をそれぞれ2個所に増やし、かつ、それらの吊り位置をいずれもパネル短辺の両端部に寄せることでもパネルを安定化させている。その他、単管等を使用して連結具の代用・補強をすることもできる。しかし、その分、施工の手間が増え、コストもアップする。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、長手方向の長さの異なるパネルをその長辺同士で連結する場合であっても、2つのパネル同士を十分に連結することができる吊り足場用パネルおよびその連結方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、長手方向の長さの異なる吊り足場用パネルをその長辺同士で連結する場合であっても、2つのパネル同士を十分に連結することが可能な吊り足場用パネルについて、検討を重ねた。その結果、次に示す(a)〜(g)の知見を得た。
(a) 2つのパネルをその長辺同士で十分に連結するためには、各パネル当たり2個所においてチェーンで吊り下げられている場合には、少なくとも2個所の連結個所で連結する必要がある。1個所だけでは、作業員がパネルの端部に足を乗せたときに、足を乗せた部分のパネルが沈み込み、パネル間が開いて隙間が生じて、その隙間に作業員の足が落ち込む危険性があるからである。さらに、作業員がパネルの端部に体重をかけたときに、パネル先端部が沈み込み、そして、その反対側が浮き上がって、作業員が足を滑らせて、作業員がパネルの外側に転落する危険性があるからである。
(b) 2つのパネルをその長辺同士で連結する手法としては、図4に示したように、長辺間連結金具として、一方の長辺から突出した連結具と、他方の長辺に設けられかつその突出した連結具の先端を差し込むことのできる孔を有する連結受け部との組合せを採用することができる。この連結具と連結受け部の組み合わせによる連結手法に基づいて、図4に示した設置済みの吊り足場用パネルに長手方向の長さの異なるパネルを連結することについて、考察してみる。
(c) まずは、吊り足場の横幅を広げる場合を考えてみると、設置済みのパネルは図4に示すパネル、すなわち、長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部にそれぞれ1個設けられてなるパネルが使われている。したがって、連結すべきパネルは、図4に示す設置済みのパネル(短パネル)よりも長い長辺を有する長パネルとなるから、この長パネルにおける長辺間連結金具の位置を考えればよいことになる。
この長パネルの長辺部を短パネルの長辺部に連結するためには、長辺部連結金具を少なくとも2個所で連結できればよいことになる。短パネルの長辺間連結金具はその両端部にそれぞれ1個設けられているから、長パネルには短パネルの長辺間連結金具の位置に対応して、長辺間連結金具を設ければよいことになる。すなわち、長パネルの長辺間連結金具は、長パネルの一端部に1個と非端部に1個設けられていればよい。このとき、長短パネルの長辺部同士の連結は、一方が長短パネルのそれぞれの一端の設けられた長辺間連結金具によって、そして、他方が長パネルの非端部に設けられた長辺間連結金具と短パネルの他端に設けられた長辺間連結金具によって、なされることになる。よって、長パネルの他端には長辺間連結金具を設ける必要はないが、あっても邪魔にはならない。
ただし、図4に示す設置済みの短パネルに長パネルを連結する作業をする際には、設置済みの短パネル上に連結すべき長パネルを縦に載置し、長パネルの両端部の短辺部材のそれぞれの中央部にチェーンを通した後に、長パネルをチェーンで吊り下げて長パネルの両端部のチェーンに作業員が手を添えて長パネルを所定位置まで移動させてから、2個所の長辺間連結金具をそれぞれ連結することになる。ところが、連結すべき長パネルの他端部が設置済みの短パネルの端部よりも1m以上離れていると、設置済みのパネルの端部で作業する作業員は連結すべき長パネルの端部のチェーンに手が届かなくなるおそれがある。したがって、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は長パネルの最も近い端部との間の距離が1m以内になるように配置することが望ましい。
また、設置済みの短パネルに長パネルを連結した後であっても、長パネルの他端部は長辺間連結金具が設けられていたとしても、短パネルと直接に連結されているわけではなく、短パネルよりも長い分だけ外側に跳ね出していることになる。したがって、長パネルの他端部が設置済みの短パネルの他端部よりも1m以上離れていると、長パネルの他端部の上では作業員の荷重でパネルが撓んで作業員がバランスを崩すおそれがある。したがって、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は長パネルの最も近い端部との間の距離が1m以内になるように配置することが望ましい。
以上の理由から、吊り足場の横幅を広げる場合に、図4に示す設置済みのパネル(短パネル)に連結する長パネルとしては、「長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部にそれぞれ1個と非端部に1個設けられており、かつ、非端部に設けられる長辺間連結金具に最も近い端部との間の距離が1m以内」であればよいことが分かった。このとき、長パネルの他端に長辺間連結金具があっても構わない。また、長パネルの非端部に設けられる長辺間連結金具としては、非端部に最も近い端部との間の距離が1m以内であれば、非端部に別の長辺間連結金具が設けられていても構わない。なお、不要な長辺間連結金具がある場合には、取り外してもよいし、邪魔にならなければそのままにしておいてもよい。また、長辺間連結金具を必要な位置へ長辺部上で移動可能に設けるようにしてもよい。
なお、吊り足場の幅を変更するに当たって上方から吊り足場を見たとき、右に拡幅する場合と左に拡幅する場合がある。長パネルを右拡幅用と左拡幅用に分ければ、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は1個で済む。これに対して1個の長パネルを右拡幅用と左拡幅用の両方に使えるようにするためには、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は少なくとも2個必要となる。
(d) 次に、吊り足場の横幅を狭める場合を考えてみると、一旦広げた吊り足場を狭めて元の幅に戻す場合には、設置済みの長パネルに、図4に示すパネル(短パネル)、すなわち、長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部にそれぞれ1個設けられてなるパネルを連結すればよい。このとき、設置済みの長パネルの非端部には短パネルの長辺間連結金具の位置に対応して、長辺間連結金具が設けられているので、長短パネルの長辺部同士を2個所で十分に連結することができる。
一旦広げた吊り足場を狭めて元の幅に戻す場合に、図4に示すパネル(短パネル)を設置済みの長パネルに連結した場合には、長辺間連結金具が両端部にしかないため、それ以上に幅を狭めることはできない。
しかしながら、吊り足場の横幅を狭める場合であっても、設置済みの長パネルに連結する短パネルとして、「長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部にそれぞれ1個と非端部に1個設けられており、かつ、非端部に設けられる長辺間連結金具に最も近い端部との間の距離が1m以内」のパネルを使うことができる。長辺間連結金具が非端部にもあるから、その長辺間連結金具を使えば、長短パネルの長辺部同士を2個所で十分に連結することができる。
(e) 2つのパネルをその長辺同士で連結する別の手法としては、長辺間連結金具として、一方の長辺に設けられた連結受け部内の突出した預け金具と、他方の長辺に設けられた連結受け部内の突出した受け金具の組合せを採用することもできる。連結受け部内の突出した預け金具と連結受け部内の突出した受け金具の組合せによる連結手法に基づいて、長手方向の長さの異なるパネルを連結することについて、考察してみる。
図9は、連結受け部内の突出した預け金具と連結受け部内の突出した受け金具の組合せを採用してなる吊り足場用パネルの一例である。(a)は平面図、(b)はI部の詳細図、そして、(c)はI部の裏面図を示す。
この吊り足場用パネルは、2つの長辺用部材35と2つの短辺用部材36からなる長方形を有している。そして、2つの長辺用部材35の間にはこれらをつなぐ角管形状の連結受け部12が短辺用部材36と平行に2本設けられ、いずれの連結受け部12も長辺用部材35の両側面に開口部を有している。そして、連結受け部12の一方の開口部内には長辺用部材35に対して直角に突出する形で預け金具25が設けられ、そして、連結受け部12の他方の開口部内には長辺用部材35に対して直角に突出する形で受け金具26が設けられている。ここで、預け金具25と受け金具26はそれぞれ固定ボルト40によって連結受け部12の上面及び下面に固定されている。また、長辺用部材35の上面には2つのパネルを連結するための連結用ボルト(図示せず)を差し込むための連結用孔50が穿たれている。なお、パネルの上面には床材8が張られていて、作業員がその上で作業をすることができる。
図10は、図9に示す吊り足場用パネルの受け金具の詳細図である。(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)はM−M矢視図、そして、(e)はN−N矢視図を示す。
図11は、図10に示す受け金具を吊り足場用パネルの連結受け部に固定したときの図を示す。(a)は図9(b)のJ部の詳細図、(b)は図9(b)のJ部の裏面図、そして、(c)は図11(a)のL−L矢視図を示す。
この受け金具26は山形鋼からなり、その断面は上向きに開放されたV形状を有する。ここでは、底面ウェブとその両側面からなる、上向きに開放された断面コの字形状の鋼材27で断面V形状の山形鋼を下から支えており、閉塞断面形状を形成している。したがって、剛性が高く、受け金具が地面等にぶつかることがあっても曲がりにくい。なお、断面V形状の山形鋼と断面コの字形状の鋼材27は隅肉溶接によって接合されている。そして、この受け金具26は連結受け部12から受け金具26が直角に突出する形で連結受け部12内に固定されている。連結受け部12の下面およびこの受け金具26を支える断面コの字形状の鋼材27の底面のウェブには、この底面のウェブを固定するための固定用ボルト40を通すための固定用孔41が穿たれている。また、連結受け部12の位置する吊り足場用パネルの長辺用部材35の上面には、対峙する預け金具をこの連結受け部12内に収容した後、連結用ボルト(図示せず)を差し込むための連結用孔50が形成されている。なお、ここでは、断面コの字形状の鋼材27を用いることで、閉塞断面形状を有する受け金具としているが、格別に高い剛性を必要としない場合には山形鋼のみで受け金具を形成してもよい。
図12は、図9に示す吊り足場用パネルの預け金具の詳細図であり、図10で示した受け金具と組み合わせて用いる。(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)はP−P矢視図、そして、(e)はQ−Q矢視図を示す。
図13は、図12に示す預け金具を吊り足場用パネルの連結受け部に固定したときの図を示す。(a)は図9(b)のK部の詳細図、(b)は図9(b)のK部の裏面図、そして、(c)は図13(a)のO−O矢視図を示す。
この預け金具25は山形鋼からなり、その断面は上向きに開放されたV形状を有する。ここでは、断面V形状の山形鋼の上に平板28を隅肉溶接して蓋をすることによって、閉塞断面形状を形成している。したがって、剛性が高く、預け金具が地面等にぶつかることがあっても曲がりにくい。そして、この預け金具25は連結受け部12から直角に突出する形で連結受け部12内に固定されている。連結受け部12の上面には、預け金具25を固定するための固定用ボルト40を通すための固定用孔41が穿たれているが、その形状を長円形とするのは、吊り足場用パネルの設置を平面上でカーブさせることができるようにするためである。また、預け金具25を設置済みのパネルの連結受け部内に収容した後、連結受け部の位置する吊り足場用パネルの長辺用部材35に穿たれた連結用孔(図示せず)に差し込まれる連結用ボルト(図示せず)をねじ込むことができる連結用ナット52が預け金具25の上面の下に接して取り付けられている。なお、ここでは、平板28を用いることで、閉塞断面形状を有する預け金具としているが、格別に高い剛性を必要としない場合には山形鋼のみで預け金具を形成してもよい。
(f) 図9〜図13に示す吊り足場用パネルを用いて、吊り足場の横幅を広げる場合を考えてみると、設置済みのパネルは、角管形状の長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部の近傍にそれぞれ1個設けられてなるパネルが使われている。したがって、連結すべきパネルは、図9に示す設置済みのパネル(短パネル)よりも長い長辺を有する長パネルとなるから、この長パネルにおける長辺間連結金具の位置を考えればよいことになる。
この長パネルの長辺部を短パネルの長辺部に連結するためには、長辺部連結金具を少なくとも2個所で連結できればよいことになる。短パネルの長辺間連結金具はその両端部の近傍にそれぞれ1個設けられているから、長パネルには短パネルの長辺間連結金具の位置に対応して、長辺間連結金具を設ければよいことになる。すなわち、長パネルの長辺間連結金具は、長パネルの一端部の近傍に1個と非端部に1個設けられていればよい。このとき、長短パネルの長辺部同士の連結は、一方が長短パネルのそれぞれの一端の近傍に設けられた長辺間連結金具によって、そして、他方が長パネルの非端部に設けられた長辺間連結金具と短パネルの他端の近傍に設けられた長辺間連結金具によって、なされることになる。よって、長パネルの他端の近傍には長辺間連結金具を設ける必要はないが、あっても邪魔にはならない。
ただし、図9に示す設置済みの短パネルに長パネルを連結する作業をする際には、設置済みの短パネル上に連結すべき長パネルを縦に載置し、長パネルの両端部の短辺部材のそれぞれの中央部にチェーンを通した後に、長パネルをチェーンで吊り下げて長パネルの両端部のチェーンに作業員が手を添えて長パネルを所定位置まで移動させてから、2個所の長辺間連結金具をそれぞれ連結することになる。ところが、連結すべき長パネルの他端部が設置済みの短パネルの端部よりも1m以上離れていると、設置済みのパネルの端部で作業する作業員は連結すべき長パネルの端部のチェーンに手が届かなくなるおそれがある。したがって、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は長パネルの最も近い端部との間の距離が1m以内になるように配置することが望ましい。
また、設置済みの短パネルに長パネルを連結した後であっても、長パネルの他端部の近傍に長辺間連結金具が設けられていたとしても、短パネルと直接に連結されているわけではなく、短パネルよりも長い分だけ外側に跳ね出していることになる。したがって、長パネルの他端部が設置済みの短パネルの他端部よりも1m以上離れていると、長パネルの他端部の上では作業員の荷重でパネルが撓んで作業員がバランスを崩すおそれがある。したがって、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は長パネルの最も近い端部との間の距離が1m以内になるように配置することが望ましい。
以上の理由から、吊り足場の横幅を広げる場合に、図9に示す設置済みのパネル(短パネル)に連結する長パネルとしては、「長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部の近傍にそれぞれ1個と非端部に1個設けられており、かつ、非端部に設けられる長辺間連結金具に最も近い端部との間の距離が1m以内」であればよいことが分かった。このとき、長パネルの他端の近傍に長辺間連結金具があっても構わない。また、長パネルの非端部に設けられる長辺間連結金具としては、非端部に最も近い端部との間の距離が1m以内であれば、非端部に別の長辺間連結金具が設けられていても構わない。なお、不要な長辺間連結金具がある場合には、取り外してもよいし、邪魔にならなければそのままにしておいてもよい。また、長辺間連結金具を必要な位置へ長辺部上で移動可能に設けるようにしてもよい。
なお、吊り足場の幅を変更するに当たって上方から吊り足場を見たとき、右に拡幅する場合と左に拡幅する場合がある。長パネルを右拡幅用と左拡幅用に分ければ、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は1個で済む。これに対して1個の長パネルを右拡幅用と左拡幅用の両方に使えるようにするためには、長パネルの非端部に設ける長辺間連結金具は少なくとも2個必要となる。
(g) 次に、吊り足場の横幅を狭める場合を考えてみると、一旦広げた吊り足場を狭めて元の幅に戻す場合には、設置済みの長パネルに、図9に示すパネル(短パネル)、すなわち、長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部の近傍にそれぞれ1個設けられてなるパネルを連結すればよい。このとき、設置済みの長パネルの非端部には短パネルの長辺間連結金具の位置に対応して、長辺間連結金具が設けられているので、長短パネルの長辺部同士を2個所で十分に連結することができる。
一旦広げた吊り足場を狭めて元の幅に戻す場合に、図9に示すパネル(短パネル)を設置済みの長パネルに連結した場合には、長辺間連結金具が両端部の近傍にしかないため、それ以上に幅を狭めることはできない。
しかしながら、吊り足場の横幅を狭める場合であっても、設置済みの長パネルに連結する短パネルとして、「長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部の近傍にそれぞれ1個と非端部に1個設けられており、かつ、非端部に設けられる長辺間連結金具に最も近い端部との間の距離が1m以内」のパネルを使うことができる。長辺間連結金具が非端部にもあるから、その長辺間連結金具を使えば、長短パネルの長辺部同士を2個所で十分に連結することができる。
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、その要旨は下記の(1)〜(7)の吊り足場用パネルおよびその連結方法にある。以下、総称して、本発明という。
(1) 縦横に連結させ水平方向に構築していく長方形の吊り足場用パネルであって、長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部またはその近傍にそれぞれ1個と非端部に少なくとも1個設けられており、かつ、非端部に設けられる長辺間連結金具に最も近い端部との間の距離が1m以内であることを特徴とする吊り足場用パネル。
(2) 縦横に連結させ水平方向に構築していく長方形の吊り足場用パネルであって、長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、一方の端部またはその近傍に1個と非端部に1個以上設けられており、かつ、非端部に設けられる長辺間連結金具と他方の端部との間の距離が1m以内であることを特徴とする吊り足場用パネル。
(3) 長辺間連結金具が長辺部上で移動可能であることを特徴とする、上記(1)または(2)の吊り足場用パネル。
(4) 長辺間連結金具が、一方の長辺から突出した連結具と、他方の長辺に設けられかつその突出した連結具の先端を差し込むことのできる孔を有する連結受け部との組合せからなることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの吊り足場用パネル。
(5) 長辺間連結金具が、一方の長辺に設けられた連結受け部内の突出した預け金具と、他方の長辺に設けられた連結受け部内の突出した受け金具の組合せからなることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの吊り足場用パネル。
(6) 縦横に連結させ水平方向に構築していく吊り足場用パネルの連結方法であって、長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部またはその近傍にそれぞれ1個設けられてなるパネルに、このパネルよりも長い長辺を有する上記(1)〜(5)のいずれかのパネルを長辺同士で連結する際に、両パネルの一方の端部またはその近傍に設けられた長辺間連結金具同士を連結し、そして、前者のパネルの他方の端部またはその近傍に設けられた長辺間連結金具に、後者のパネルの非端部に設けられた長辺間連結金具のうち他方の端部との間の距離が1m以内にある長辺間連結金具を連結することを特徴とする吊り足場用パネルの連結方法。
(7) 縦横に連結させ水平方向に構築していく吊り足場用パネルの連結方法であって、上記(1)〜(5)のいずれかのパネルに、このパネルよりも短い長辺を有し、かつ長辺間連結金具が、1つの長辺当たり、両端部またはその近傍にそれぞれ1個設けられてなるパネルを長辺同士で連結する際に、両パネルの一方の端部またはその近傍に設けられた長辺間連結金具同士を連結し、そして、前者のパネルの非端部に設けられた長辺間連結金具のうち他方の端部との間の距離が1m以内にある長辺間連結金具に、後者のパネルの他方の端部またはその近傍に設けられた長辺間連結金具を連結することを特徴とする吊り足場用パネルの連結方法。