JP6150539B2 - 断熱構造 - Google Patents
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Description
軟質面材は、板状面材に比べ、シート状なので取り扱いが容易であり、施工性は向上するものの、このような軟質面材に直接硬質ポリウレタンフォーム原液を吹き付ける場合、独立気泡率の高いフォームであると、フォーム形成時の発泡圧又は成形されたフォームの収縮応力によって当該軟質系面材が波打つなど変形してしまい、通気路が塞がれ、通気性が確保できなくなるという問題があった。
定かではないが、透湿防水性を有する軟質面材の表面は、疎水性を有するものが一般的であるため、界面活性能を有する添加剤が当該軟質面材と接触すると、疎水性が損なわれ、しいては防水性が損なわれる可能性が指摘されている。
なお、各シート材間は接着されていないとは、接着剤や加熱によるラミネートなどで積層一体化した多層のシート材ではなく、各シート材を重ねただけの状態であって、各シート材の層間に、隙間が存在することを意味しており、そうすれば、硬質ポリウレタンフォームから排出された添加剤が一方の層に浸透したとしても、他層に移行することが防止できる。
なお、本発明の硬質ポリウレタンフォームの密度は、JIS A 9526に準拠して測定したものである。また、独立気泡率は、ASTM D 2856に準拠して測定したものである。
シート材の透湿抵抗が0.19m2・s・Pa/μg以下であれば、室内で発生した湿気を容易に外部へ排出することができる。しかも、断熱層と接するシート材以外の少なくとも1層が透湿防水性を有するシート材とすることによって、外部からの水の浸入を遮断しつつも、湿気を容易に外部へ排出することができるので、湿気が壁面に滞留し、結露することを抑え、壁面にカビが発生することを防止できる。
また、微多孔が形成させた合成樹脂フィルムとしては、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられる。
また、当該不織布と合成樹脂フィルム、或いは、当該不織布又は合成樹脂フィルムに、他のシート材を接着剤、又は加熱によって積層一体化したものであっても、透湿抵抗が0.19m2・s・Pa/μg以下のシート材であれば使用できる。なお、接着剤、又は加熱によって積層一体化したシート材については、本発明では一層としてみなす。
透湿防水性を有するシート材とは、例えば、不織布の繊維同士の隙間、又は合成樹脂フィルムに形成された微多孔から、湿気は通過するが、水は遮断できる層を含むシート材であって、JIS A 6111に規定された透湿防水シートAに相当するものであればよい。
具体的には、デュポン社製「タイベック」、セーレン社製「ラミテクト」等が挙げられる。
後述する断熱層を構成する硬質ポリウレタンフォーム中には、界面活性能を有する添加剤が含有していることが多く、そのため、当該シート材と界面活性能を有する添加剤とが接触すると、シート材の疎水性が損なわれ、強いては防水性が損なわれる可能性が指摘されている。
各シート材間は接着されていないとは、接着剤や加熱によるラミネートなどで積層一体化したシート材ではなく、各シート材を重ねただけの状態であることを意味している。
各シート材が接着されていなければ、時間経過とともに硬質ポリウレタンフォームから排出された添加剤が、一方のシート材に接触或いは浸透しても、隣接するシート材との間は接着されていないため、各シート材の層間に隙間が存在することによって、当該添加剤が他のシート材に移行することを防止できる。
その結果、断熱層の硬質ポリウレタンフォームと接する側のシート材に、防水性が無くても、或いは、硬質ポリウレタンフォームから排出された添加剤が接触或いは浸透して防水性が損なわれたとしても、外壁側のシート材の透湿防水性が維持されているため、透湿防水性が維持できる断熱構造を得ることができる。
各シート材を接着剤などでラミネートして積層一体化したものを使用した場合では、接着剤に透湿性がないと効果が得られないし、接着剤に透湿性があったとしても、時間経過とともに、一方のシート材に接触或いは浸透した添加剤が他方のシート材に浸透してしまうため、結局は添加剤によって両方のシート材の防水性が損なわれることとなる。
また、本発明の構造であれば、軟質面材を構成する2層、またはそれ以上のシート材のすべてが、透湿防水性を有するものであってもよい。
他の要因として、施工時に透湿防水性を有するシート材に傷が付いたりすることによって、防水性が損なわれる場合などが考えられる。
そのような場合には、軟質面材が、透湿抵抗が0.19m2・s・Pa/μg以下のシート材が3層以上積層してなり、前記シート材のうち、断熱層と接するシート材以外の少なくとも1層が透湿防水性を有するものとすればよい。好ましくは、中間層に透湿防水性を有するシート材を配置することで、透湿防水性が維持しやすくなる。
なお、本発明の硬質ポリウレタンフォームの密度は、JIS A 9526に準拠して測定したものである。また、独立気泡率は、ASTM D 2856に準拠して測定したものである。
一般的に、ポリオール成分には、ポリオール、発泡剤、触媒が含まれ、必要に応じて、界面活性剤などの整泡剤、難燃剤、相溶化剤などの各種添加剤が含有されている。なお、ポリイソシアネート成分に、これらの添加剤が含まれていてもよい。
水の添加量としては、ポリオール合計100重量部に対して、10〜40重量部が好ましい。この範囲であれば、フォーム密度を5〜25kg/m3とすることができる。
芳香族ポリイソシアネーとしては、例えば2,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,6−ジメチルー1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、9,10−アントラセンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6’−ジメチル4,4’−ジフェニルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。更に、脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI(トルエンジイソシアネート)、水素添加MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)等が挙げられる。また、上記の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基の一部をウレタン及び/又はウレアに変性したものを用いてもよく、イソシアネート基の一部をビュウレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサジリドン、アシド、イミド等に変性したものを用いてもよい。
ポリイソシアネートの添加量としては、イソシアネートインデックス(=ポリイソシアネート成分のNCO基/ポリオール成分の活性水素[当量比]×100)が100以下となる量であればよい。
図1に示すように、本発明の断熱構造10は、柱1、間柱2などの骨組み、骨組みの外壁側に貼設された軟質面材3、及び軟質面材3に硬質ポリウレタンフォーム原料を室内側からスプレーガンで吹き付けて発泡・硬化させることで形成される断熱層4から構成されている。
そして、軟質面材3には、胴縁6を介して外壁材5が貼設されており、軟質面材3と外壁材5との間に、通気路7が形成され、建築物の壁部が構成されている。
この通気路7によって、室内で発生した湿気を容易に外部へ排出することができるので、湿気が壁面に滞留し、結露することを抑え、カビが発生することを防止できる。
軟質面材3を骨組みに貼設する方法としては、予めシート材3a,3bを2枚重ねた状態で、柱1又は間柱2の外壁側に貼設してもよく、或いは、シート材3bを柱1又は間柱2に貼設して、硬質ポリウレタンフォーム原液を吹き付けて断熱層を形成した後、又は胴縁6を介して外壁材5を貼設する直前に、シート材3aを柱1又は間柱2に固定してもよい。
後者の方法であれば、壁面の施工途中で、シート材3bが破損したりしても、後工程でシート材3aを貼設すれば、透湿防水性を有する断熱構造が得られる。
試験体1では、軟質面材として、透湿防水性を有するシート材を接着せずに2層重ねて積層したものを使用し、試験体2では、軟質面材として、透湿防水性を有するシート材1層のものを使用した。なお、透湿防水性を有するシート材としては、JIS A 6111で規定された透湿防水シートAに相当する、不織布タイプのものを用いた。
ポリエーテルポリオール1
グリセリン系ポリエーテルポリオール(水酸基価56mgKOH/g)
ポリエーテルポリオール2
エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(水酸基価760mgKOH/g)
ポリエーテルポリオオール3
トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール(水酸基価350mgKOH/g)
触媒1
東ソー株式会社製、製品名「TOYOCAT−RX5」
触媒2
東ソー株式会社製、製品名「TEDA−L33」
触媒3
日東化成株式会社製、製品名「ネオスタンU−28」
整泡剤
エボニックデグサジャパン株式会社製、製品名「B−8443」
難燃剤
大八化学工業株式会社製、製品名「TMCPP」
(トリス(クロロプロピル)フォスフェート)
ポリイソシアネート
日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名「MR−100」
条件1:試験体作成後
条件2:試験体作成してから、1ヶ月後
試験体1,2を設置面に対して垂直になるよう配置し、当該試験体1,2の透湿防水性を有するシート材の表面全体に、水をスプレーで散布した。次に、試験体から余分な水滴を落とし、試験体のぬれた状態を以下のように評価した。
○ 表面に湿潤及び水滴の付着がないもの
× 表面の一部に湿潤を示すもの
一方、試験体1は、作成直後、一ヶ月後とも、はっ水性があり、湿潤した箇所は発見されなかった。
以上のことから、本発明の断熱構造であれば、断熱層の硬質ポリウレタンフォームと接する側のシート材の防水性が損なわれたとしても、隣接するシート材の透湿防水性が維持されているため、透湿防水性が損なわれることのない断熱構造が得られることが確認できた。
1 柱
2 間柱
3 軟質面材
3a 外壁側のシート材
3b 硬質ポリウレタンフォーム側のシート材
3´ 面材
4 断熱層;硬質ポリウレタンフォーム
5 外壁材
6 胴縁
7 通気路
Claims (2)
- 建築物の骨組み、当該骨組みの外壁側に貼設された軟質面材、及び当該軟質面材に硬質ポリウレタンフォーム原液を室内側から吹き付けて発泡硬化させて形成される断熱層からなる建築物の断熱構造であって、
前記断熱層は、独立気泡率が10%以下の連続気泡構造で、かつ密度が5〜25kg/m3の硬質ポリウレタンフォームであり、
前記軟質面材は、透湿抵抗が0.19m2・s・Pa/μg以下のシート材が2層以上積層してなり、
前記シート材のうち、前記断熱層と接するシート材以外の少なくとも1層が透湿防水性を有し、
かつ各シート材間は接着されておらず、重ねられた状態であることを特徴とする断熱構造。 - 前記軟質面材が、透湿防水性を有するシート材が2層積層してなり、
かつ各シート材間は接着されておらず、重ねられた状態であることを特徴とする請求項1に記載の断熱構造。
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