JP6149795B2 - 3級アミン抽出剤による溶媒抽出方法 - Google Patents

3級アミン抽出剤による溶媒抽出方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶媒抽出法を用いた塩化ニッケル水溶液からの金属イオンの分離回収に関するものであり、更に詳しくは有機抽出剤として用いる3級アミンの劣化を抑制し得る溶媒抽出方法に関する。
複数種の金属イオンを含む酸性水溶液から目的とする特定の金属を回収するために、金属を分離して回収あるいは除去することは、金属の精錬や精製を行う上での重要な要素技術である。その酸性水溶液に含まれる金属イオンの分離方法の一つとして、各種の有機抽出剤を用いた溶媒抽出法が知られている。
例えば、ニッケルとコバルトを分離するための溶媒抽出法では、有機抽出剤として、Di−(2−ethylhexyl)phosphoric acid(D2EHPA)等の燐酸エステル系酸性抽出剤や、Tri−n−octylamine(TNOA)等のアミン系抽出剤が使用されている。燐酸エステル系酸性抽出剤とアミン系抽出剤は両者ともに優れたニッケルとコバルトの分離性能を有するが、一般的にはアニオンが硫酸イオンの場合は燐酸エステル系酸性抽出剤が、アニオンが塩化物イオンの場合にはアミン系抽出剤が使用される。
アミン系抽出剤と燐酸エステル系酸性抽出剤を比較すると、水溶液中の塩化物イオン濃度が十分に高い場合、例えば塩化物イオン濃度が200g/l以上の塩化物水溶液の場合には、コバルトはクロロ錯イオンを形成するがニッケルはクロロ錯イオンを形成しないため、アミン系抽出剤の方が燐酸エステル系酸性抽出剤に比べてより高いコバルトとニッケルの分離係数を持つ。
また、燐酸エステル系酸性抽出剤では、金属イオンの抽出によって抽出剤からプロトンが放出されるので、その中和のためにコストを要する他、pHの変動によってクラッドが発生することが多い。クラッドとは金属の水酸化物等からなる固体であり、油水分離装置内で有機相と水相の中間に滞留・蓄積されるため、溶媒抽出の重要な単位操作の1つである油水分離を大きく阻害することが知られている。
このような事情から、コバルトを含有する塩化ニッケル水溶液からコバルトを分離回収する場合には、アミン系抽出剤を用いて抽出する方法が工業的に広く行われている。特に3級アミン抽出剤は、塩酸を付加されて活性化することにより金属クロロ錯イオンの抽出能力を保有し、優れたニッケルとコバルトの分離特性を有している。
上記ミン系抽出剤を用いた塩化ニッケル水溶液からのコバルトの溶媒抽出方法は、抽出段、洗浄段及び逆抽出段から構成される溶媒抽出法として工業化されている。抽出段では、Co、Cu、Zn、Fe等のクロロ錯イオンを形成する金属種が有機相中に抽出され、これら金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミンが生成される。尚、ニッケルはクロロ錯イオンを形成しないので、溶媒抽出後の塩化ニッケル水溶液である抽出残液(水相)に残留して分離される。
上記抽出後の有機相、即ちコバルト等のクロロ錯イオンを担持した3級アミンを含む有機溶媒は、一般的に洗浄段において、有機相中に懸濁する微細な水滴中に含まれている不純物が洗浄液により除去される。洗浄後の有機相は、逆抽出段において、弱酸性水溶液と接触させることによりコバルトを水相中に脱離する。得られた逆抽出液は、更にマンガン、銅、亜鉛等の不純物を除去した後、電解採取により電気コバルトとして製品化される。一方、上記抽出残液(水相)は、液中に極微量に残存する鉛、コバルト、亜鉛等の不純物を除去した後、電解採取により電気ニッケルとして製品化される。
上記3級アミン抽出剤による溶媒抽出工程を組み込んだニッケルの精製方法として、例えば特許文献1に開示された技術が工業化されている。即ち、このニッケルの精製方法は、鉄、銅、亜鉛及びコバルトを含有する塩化ニッケル水溶液(A)から、これら金属元素を除去して塩化ニッケル水溶液を精製する方法であって、下記第1〜4工程を含むことを特徴とする。
第1工程:塩化ニッケル水溶液(A)に酸化剤として塩素ガスを吹込み且つ中和剤として炭酸ニッケルを添加して酸化中和処理に付し、予備的に鉄を除去した塩化ニッケル水溶液(B)を得る。
第2工程:塩化ニッケル水溶液(B)からなる水相を抽出剤として3級アミンを含有する有機相と接触させて溶媒抽出処理に付し、鉄を除去し且つ予備的に銅、亜鉛及びコバルトを除去した塩化ニッケル水溶液(C)を得る。
第3工程:塩化ニッケル水溶液(C)を陰イオン交換樹脂と接触させてイオン交換処理に付し、亜鉛を除去した塩化ニッケル水溶液(D)を得る。
第4工程:塩化ニッケル水溶液(D)を水又は塩化ニッケル水溶液で希釈してCl濃度を調整した後、酸化剤として塩素ガスを吹込み且つ中和剤として炭酸ニッケルを添加して酸化中和処理に付し、銅及びコバルトを除去した塩化ニッケル水溶液(E)を得る。
しかし、上記したニッケルの精製方法における第2工程、即ち3級アミン抽出剤による溶媒抽出方法では、抽出剤である3級アミンの一部が劣化してしまうという問題があった。そのため従来の3級アミン抽出剤による溶媒抽出方法においては、3級アミンの劣化を補って抽出能力を維持するために、高価な抽出剤の頻繁な補充が必要であった。また、3級アミンの分解生成物がクラッドを形成して油水分離を阻害する場合もあった。
このような溶媒抽出法における抽出剤の劣化を防ぐ手段としては、例えば特許文献2に、金属イオンを含む酸性水溶液から抽出剤としてアルドオキシム化合物を含む有機溶媒を用いることにより金属成分を溶媒抽出し、更に該抽出剤から金属成分を逆抽出する方法において、逆抽出用抽出剤及び/又は逆抽出液中に予めヒドロキシルアミンを添加しておくことを特徴とする抽出剤の分解防止方法が記載されている。
しかし、上記特許文献2に記載の方法は、アルドオキシムの分解生成物の1つであるヒドロキシルアミンを予め添加しておくことによって、アルドオキシムの分解反応の平衡を生成系から反応系へ移動させ、アルドオキシムの分解を抑制することを意図したものである。従って、上記特許文献2に記載の方法は、アルドオキシム系の抽出剤を対象としたものであるから、3級アミン抽出剤に適用することはできない。
一般に、アミン系化合物は酸性条件下で加水分解を起こすことがあること、酸化によってヒドロキシルアミン等に分解されることがあることは知られている。しかしながら、コバルト等の複数の金属イオンを含む塩化ニッケル水溶液から3級アミン化合物を含む有機溶媒で金属イオンを抽出する溶媒抽出法において、抽出剤である3級アミン化合物が劣化することを抑制する方法は未だ提案されていない現状である。
特開2010−248043号公報 特開平07−150262号公報
本発明は、上記した塩化ニッケル水溶液から3級アミン化合物を含む有機溶媒によって金属イオンを抽出する溶媒抽出法における問題に鑑みてなされたものであり、塩化ニッケル水溶液から金属イオンを溶媒抽出する際に、抽出剤である3級アミン化合物の劣化を防止することが可能な溶媒抽出法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明者らは、従来の3級アミン抽出剤による塩化ニッケル水溶液からの金属イオンの溶媒抽出方法において、抽出始液である塩化ニッケル水溶液が3級アミン化合物の劣化に及ぼす影響に着目して鋭意検討を重ねた結果、塩化ニッケル水溶液の溶存塩素濃度あるいは酸化還元電位が高い場合に、即ち強酸化性雰囲気であるとき、3級アミン化合物の劣化が生じ易いことが分かった。
即ち、従来の3級アミン抽出剤による塩化ニッケル水溶液からの金属イオンの溶媒抽出方法、例えば上記特許文献1に記載されたニッケルの精製方法における第2工程の溶媒抽出法では、第1工程で得られる塩化ニッケル水溶液を抽出始液とする。しかし、その第1工程では酸化還元電位が900〜1000mV(Ag/AgCl電極基準)の酸化性条件下で酸化中和処理が行われるため、得られる塩化ニッケル水溶液(抽出始液)は強酸化性雰囲気の水溶液である。
このような強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液を抽出始液として溶媒抽出を行うと、抽出剤である3級アミン化合物が劣化することが分かった。そこで、本発明者らは、塩化ニッケル水溶液の強酸化性雰囲気を還元剤の添加等で弱めることによって、3級アミン化合物の劣化の抑制が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
即ち、本発明による溶媒抽出方法は、複数の金属イオンを含有する強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液から、塩酸の付加により活性化された3級アミン化合物を含む有機溶媒によって金属イオンを抽出する際に、該強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を還元剤により500mV(Ag/AgCl電極基準)以下に調整した後、溶媒抽出処理に付することを特徴とする。
上記本発明による溶媒抽出方法においては、強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液に還元剤水溶液を添加することにより、該塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を調整することが好ましい。また、上記還元剤水溶液は、複数の金属イオンを含有する強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液若しくは金属イオンを溶媒抽出した後の該塩化ニッケル水溶液に、還元剤を溶解して調製したものであることが好ましい。
本発明によれば、簡単な方法で、抽出剤である3級アミン化合物の劣化を抑制することができる。従って、抽出剤の劣化を補って抽出能力を維持するために補充する高価な3級アミン化合物の補充量を削減することができ、更には抽出剤の劣化による分解生成物がクラッドを形成して油水分離を阻害することを防ぐことができるため、低コストで安定した3級アミン化合物による溶媒抽出操業を実現することが可能となった。
3級アミン化合物の溶存塩素曝露試験結果を示すグラフである。 塩化ニッケル水溶液への還元剤の添加量と溶存塩素濃度の変化の関係を示すグラフである。 還元剤水溶液における還元剤添加量と酸化還元電位の関係を、溶媒の種類及び還元剤の濃度ごとに示したグラフである。
本発明の溶媒抽出方法においては、金属イオンを含有する強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液から、抽出剤の3級アミン化合物を含む有機溶媒によって金属イオンを抽出する際に、強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(ORP)を予め還元剤により500mV以下(Ag/AgCl電極基準:以降、酸化還元電位は全てAg/AgCl電極基準である)に調整する。その後、この酸化還元電位を500mV以下に調整した塩化ニッケル水溶液を抽出始液として、溶媒抽出処理に付することを特徴とするものである。
上記強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液とは、酸化還元電位が500mVを超えるものであり、例えば上記特許文献1に記載された第1工程〜第4工程を具えるニッケルの精製方法における第1工程で得られる塩化ニッケル水溶液などがある。この第1工程の酸化中和処理では酸化還元電位900〜1000mVの酸化性条件下で中和反応が行われるため、得られる塩化ニッケル水溶液は多くの遊離塩素が溶存し、酸化還元電位が600〜1000mVの強酸化性雰囲気となっている。
そこで、本発明においては、上記強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を、還元剤を用いて500mV以下に低下させる。このとき、塩化ニッケル水溶液中の遊離塩素は1mg/l以下の濃度にまで取り除かれる。例えば還元剤としてチオ硫酸ナトリウム(Na)を用いた場合、下記化学式1に代表されるような反応に従って、塩化ニッケル水溶液中の遊離塩素が取り除かれる。
[化学式1]
Na+4Cl+5HO→2NaCl+2HSO+6HCl
上記還元剤としては、特に限定されるものではなく、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等を用いることができる。その中でも、脱ハロゲン剤として一般的に用いられており、硫酸根(SO 2−イオン)の生成が少ないチオ硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。尚、SO 2−イオンが生成すると、溶媒抽出後の塩化ニッケル水溶液(抽出残液)中に分配されるため、その後の浄液を経て電解採取工程へ電解液として供給され、電解槽電圧の上昇による電力コストの増加や、陽極からの酸素ガスの発生による塩素回収率低下等の問題を引き起こす可能性がある。
上記強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を調整する場合、還元剤を水系の溶媒に溶解して水溶液とし、この還元剤水溶液を強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液に添加することが好ましい。ただし、還元剤水溶液を調製する際に、還元剤を溶解する溶媒として純水あるいは新水を用いると、還元剤水溶液を添加した後の塩化物イオン濃度やニッケル濃度が低下するため好ましくない。
還元剤水溶液を調製する際に還元剤を溶解する溶媒としては、金属イオンを含有する塩化ニッケル水溶液が好ましい。例えば、コバルトを含有する塩化ニッケル水溶液、具体的には上記特許文献1に記載のニッケルの精製方法における第1工程の抽出始液若しくは特定の金属イオンを溶媒抽出した後の抽出残液を用いることが好ましい。これらの塩化ニッケル水溶液を使用した場合、還元剤水溶液添加後の塩化物イオン濃度やニッケル濃度が低下しないため好都合である。
上記還元剤水溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、チオ硫酸ナトリウム水溶液の場合には1〜10g/lの範囲の濃度が好ましい。チオ硫酸ナトリウム水溶液の濃度が1g/l未満では還元剤水溶液の添加量が増加するため、抽出段での滞留時間の減少や希釈による塩化物イオン濃度の低下によって、コバルト抽出率の低下が引き起こされる。また、濃度が10g/lを超えると、抽出始液中に単体硫黄や硫化ニッケルが発生し、発生した微細な固形物が抽出反応や油水分離に悪影響を及ぼす恐れがある。
上記のごとく酸化還元電位が500mV以下に調整された塩化ニッケル水溶液は、抽出始液として溶媒抽出処理に付され、抽出剤として3級アミン化合物を含む有機溶媒によって、金属イオンが抽出される。この3級アミン化合物を含む有機溶媒による溶媒抽出処理は、抽出剤の3級アミン化合物の種類を含め従来から一般的に行われている手法により実施することができ、例えば上記特許文献1に記載されたニッケルの精製方法における第2工程の溶媒抽出法であってもよい。
[参考例]
抽出剤である3級アミン化合物に強酸化性雰囲気が与える影響を調べるため、3級アミン化合物のトリノルマルオクチルアミン(TNOA)について以下の溶存塩素曝露試験を実施した。
次亜塩素酸ナトリウム(試薬)を、有効塩素濃度が36mg/l、360mg/l、720mg/l、及び1500mg/lとなるように純水にそれぞれ溶解し、硫酸でpH1に調整して、上記4種の有効塩素濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液各300mlを調製した。また、ブランク液として、純水を硫酸でpH1に調整したものを300ml用意した。
一方、抽出剤として3級アミン化合物であるトリノルマルオクチルアミン(TNOA)20体積%と、希釈剤の芳香族炭化水素(丸善石油化学製:商品名スワゾール1800)80体積%とを含有する有機溶媒を調製した。
次に、300mlの分液漏斗5本のそれぞれに、有効塩素濃度が0mg/lの上記ブランク液100ml、有効塩素濃度が36mg/l、360mg/l、720mg/l、及び1500mg/lの上記4種の各次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mlを入れ、更に上記TNOAを含む有機溶媒100mlを混合して5分間振盪した。
最後に、振盪後の各有機溶媒について、TNOA濃度を中和滴定法により測定し、ジノルマルオクチルアミン(DNOA)濃度をガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)法により分析した。得られた結果を図1に示した。
図1に示すTNOAの溶存塩素曝露試験の結果から、溶液中の有効塩素濃度が上昇すると、TNOAの分解が促進されてTNOA濃度が低下することが分かる。一方、DNOA濃度は上昇していないが、溶液中のTOC濃度等を調査した結果、TNOAはDNOAに止まることなく水溶性の化合物にまで分解されていることが分かった。
尚、塩素の代わりに1N塩酸や1N苛性ソーダを用いて上記と同じ実験を試みたが、TNOA濃度は減少しないことが分かった。以上の結果から、3級アミン化合物のTNOAは、溶存塩素によって水溶性の化合物にまで分解されるが、酸やアルカリによる分解は認められなかった。
[実施例1]
抽出3段、洗浄3段、逆抽出3段からなる向流多段方式のミキサーセトラーで構成された溶媒抽出装置を備えた工業規模の実操業プラントから、抽出始液(コバルト等の金属イオンを含有する塩化ニッケル水溶液)をサンプリングした。この抽出始液の組成はニッケル濃度198g/l、コバルト濃度7g/l、銅濃度0.02g/l、亜鉛濃度0.03g/l、及び鉄濃度12mg/lであり、酸化還元電位(ORP)は1050mVであった。
尚、上記溶媒抽出装置では、抽出剤として3級アミン化合物のトリノルマルオクチルアミン(TNOA)20体積%と、希釈剤として芳香族炭化水素(丸善石油化学製:商品名スワゾール1800)80体積%と含有する有機溶媒を1100〜1200リットル/分、抽出始液を900〜1000リットル/分の流量で流すことで溶媒抽出の操業を行っている。
サンプリングした酸化還元電位1050mVの上記抽出始液100mlに、還元剤として個体のチオ硫酸ナトリウムを断続的に添加して、抽出始液の溶存塩素濃度を測定した。得られた結果を図2に示した。この図2から、チオ硫酸ナトリウムを添加することによって、抽出始液中の溶存塩素濃度が1mg/l以下に低下することが分かる。
[実施例2]
上記実施例1と同じ溶媒抽出装置を備えた工業規模の実操業プラントから、抽出残液(抽出終液)をサンプリングした。この抽出残液は、組成がニッケル濃度194g/l、コバルト濃度0.005g/l、銅濃度0.01g/l、亜鉛濃度0.1mg/l、及び鉄濃度0.5mg/lであり、酸化還元電位はほぼ610〜620mVであった。
一方、還元剤水溶液として、チオ硫酸ナトリウムを濃度が0.1g/l、1g/l及び10g/lとなるように上記抽出残液にそれぞれ溶解した各チオ硫酸ナトリウム水溶液と、チオ硫酸ナトリウムを濃度が10g/lとなるように純水に溶解したチオ硫酸ナトリウム水溶液とを作製した。
これら4種類のチオ硫酸ナトリウムの還元剤水溶液を、上記実施例1と同様にサンプリングした抽出始液の1リットルにそれぞれ添加して、酸化還元電位の変化を測定した。得られたチオ硫酸ナトリウム添加量と酸化還元電位の関係を図3に示した。
図3から分かるように、いずれの濃度の還元剤水溶液を用いても、少なくとも60〜70mgのチオ硫酸ナトリウムを抽出始液に添加することによって、抽出始液の約620mVの酸化還元電位を500mV以下とすることができた。
[実施例3]
上記実施例1と同じ溶媒抽出装置を備えた工業規模の実操業プラントから、約8時間毎に抽出残液の一部を3mのポリエチレン槽に抜き取り、還元剤であるチオ硫酸ナトリウムを濃度10g/lとなるように溶解した。
尚、上記溶媒抽出装置における抽出始液の組成は、ニッケル濃度180〜200g/l、コバルト濃度3〜9g/l、銅濃度0.01〜0.02g/l、亜鉛濃度0.01〜0.03g/l、及び鉄濃度6〜12mg/lであった。また、抽出残液の組成は、ニッケル濃度180〜200g/l、コバルト濃度4〜6mg/l、銅濃度0.005〜0.01g/l、亜鉛濃度0.07〜0.1mg/l、及び鉄濃度0.3〜0.5mg/lであった。
得られたチオ硫酸ナトリウムの還元剤水溶液を、定量ポンプを用いて6リットル/分の流量で上記溶媒抽出装置の抽出始液に添加しながら、溶媒抽出を含む操業を28日間継続した。還元剤水溶液を添加した抽出始液の酸化還元電位は470〜500mVの範囲内であり、還元剤水溶液を添加した有機溶媒中のTNOA濃度を測定したところ19.6%であった。また、実操業プラントにおける全保有有機溶媒量は190mであり、28日間の操業中における有機溶媒の補充量は1mであった。
[比較例1]
上記実施例1と同じ溶媒抽出装置を備えた工業規模の実操業プラントにおいて、還元剤であるチオ硫酸ナトリウムを添加しない操業を30日間継続した。尚、抽出始液及び抽出残液の組成は、上記実施例3と同様であった。
この操業において、抽出始液の酸化還元電位は600〜1000mVであり、有機溶媒中のTNOA濃度を測定したところ18.9%であった。また、TNOAの劣化のため、操業中における有機溶媒の補充量は5mとなり、上記実施例3に比べて大幅に増加した。尚、実操業プラントにおける全保有有機溶媒量は190mである。

Claims (4)

  1. 複数の金属イオンを含有する強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液から、塩酸の付加により活性化された3級アミン化合物を含む有機溶媒によって金属イオンを抽出する際に、該強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を還元剤により500mV(Ag/AgCl電極基準)以下に調整した後、溶媒抽出処理に付することを特徴とする溶媒抽出方法。
  2. 前記強酸化性雰囲気の塩化ニッケル水溶液に還元剤水溶液を添加することにより、該塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を調整することを特徴とする、請求項1に記載の溶媒抽出方法。
  3. 前記還元剤水溶液は、複数の金属イオンを含有する塩化ニッケル水溶液若しくは金属イオンを溶媒抽出した後の該塩化ニッケル水溶液に、還元剤を溶解して調製することを特徴とする、請求項2に記載の溶媒抽出方法。
  4. 前記還元剤水溶液が、濃度1〜10g/lのチオ硫酸ナトリウム水溶液であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の溶媒抽出方法。
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