JP6141244B2 - 空気清浄機、および空気清浄機能を備えた空気調和機 - Google Patents

Description

本発明は、空気清浄機、および空気清浄機能を備えた空気調和機に関するものである。

近年、大気汚染の原因物質としてＰＭ２．５などの微粒子によって引き起こされる環境汚染、大気汚染、および人体への悪影響が問題となっており、その問題の対策として室内に空気清浄機を設置して室内の微粒子を捕集することが行われている。

従来の空気清浄機として、吸込口に微粒子を捕集するＨＥＰＡフィルターなどを配置しているものがあるが、吸込口から吸い込んだ空気に含まれる粗塵がそのフィルターに捕集されるとすぐに目詰まりしてしまい、それによって頻繁に空調性能が低下してしまっていた。そのため、目詰まりを解消させるため掃除や交換などのメンテナンスを頻繁に行う必要があった。また、目詰まりしにくくするため微粒子を選択的に吸着できる帯電フィルターなどが使用されることもあるが、その表面に微粒子以外が付着すると帯電による吸引力が及ばず、微粒子を捕集できなくなるという課題があった。

そこで、以上のような課題を解決した技術が提案されている（たとえば、特許文献１参照）。
特許文献１は、空気を循環させる送風機と、前記空気の循環気流中に配置され、垂直な塵埃捕捉面で空気中の塵埃を捕捉するフィルターユニットと、このフィルターユニットに空気を誘導する誘導路と、を備えた空気清浄機において、前記誘導路に連続して、気流の急転回部と、急転回した気流より分離された粗塵を受ける粗塵集積部と、を設けたことを特徴としている。

特許文献１に記載の空気清浄機によれば、気流を急転回させて細塵（微粒子）と粗塵とを分離するという分離メカニズムを有しているため、空気中の粗塵を捕集するのに十分な性能を得ることができる。また、サイクロン装置のように空気を旋回させ続けないので騒音レベルが低く、室内での使用に適している。

特開２００６−２６３４９２号公報（たとえば、［０００５］、［０００６］、図４参照）

しかし、特許文献１に記載のような従来の空気清浄機では、ダストボックス、ネットフィルター、集塵フィルターの３か所に塵埃が溜まる構成となっているため、構造が複雑であったり、メンテナンスの手間がかかったりするという課題があった。

本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、シンプルな構造でメンテナンスの手間が容易な空気清浄機、および空気清浄機能を備えた空気調和機を提供することを目的としている。

本発明に係る空気清浄機は、外郭を構成し、前面の少なくとも左側および右側のいずれかに凸曲面である吸込風路内周面が形成されたシャーシと、前記シャーシ内に設けられた送風機と、前記送風機の前面側に設けられたフィルターと、前記シャーシの前面に着脱自在に取り付けられ、背面の少なくとも左側および右側のいずれかに凹曲面である吸込風路外周面が形成された前面パネルと、を備え、少なくとも左右いずれかの側面に空気の吸込口が形成された空気清浄機であって、前記吸込風路内周面と前記吸込風路外周面との間には、前記吸込口と前記フィルターとを連通させ、吸い込んだ空気が流れる吸込風路が形成され、前記吸込風路内周面および前記吸込風路外周面は左右方向に曲率がついており、前記吸込風路内周面の方が前記吸込風路外周面に比べて曲率が大きくなっており、前記フィルターはそれぞれ捕集対象の異なる中央フィルターと側面フィルターとからなり、前記側面フィルターは前記中央フィルターの側面、かつ前記中央フィルターよりも前記吸込風路内周面に近い側に配置されているものである。

本発明に係る空気清浄機によれば、送風機の前面側にそれぞれ捕集対象の異なる中央フィルターと側面フィルターとからなるフィルターを設けており、その１か所に塵埃が溜まる構成となっているため、構造がシンプルである。
また、吸込風路を形成する吸込風路内周面と吸込風路外周面とで曲率を変えており、凸曲面である吸込風路内周面の方が凹曲面である吸込風路外周面に比べて曲率が大きくなっているため、中央フィルターと側面フィルターとで重さの異なる粒子が捕集されるようになっている。そのため、フィルターがすぐに目詰まりするのを抑制することができ、メンテナンスの手間が容易である。

本発明の実施の形態に係る空気清浄機の斜視図である。 図１のＸ−Ｘ断面の矢視図である。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。

実施の形態．
図１は、本発明の実施の形態に係る空気清浄機１００の斜視図、図２は、図１のＸ−Ｘ断面の矢視図である。
まず、本実施の形態に係る空気清浄機１００の構造について説明する。
本実施の形態に係る空気清浄機１００の外郭部分は、図１に示すように略直方体形状のシャーシ１と、シャーシ１の前面に着脱自在に取り付けられる前面パネル２とを主たる構成要素としている。

シャーシ１の内部には、図２に示すようにモータ４と、ファン５と、ベルマウス６とで構成され、空気を循環させる送風機３が設けられている。
モータ４は、その回転軸（図示せず）に取り付けられているファン５を回転駆動させるものである。ファン５は、モータ４によって回転駆動されることにより、空気の流れを発生させるものである。ベルマウス６は、ファン５の前面側（空気を吸い込む側）に設けられ、ファン５が有する羽根（図示せず）の回転方向に沿って、羽根の外周端よりも外側に環状の壁面を形成し、気体を整流するものである。

また、シャーシ１と前面パネル２との間には吸込口７と吸込風路９とが形成されている。
吸込口７は空気清浄機１００の左右両側面にそれぞれ形成され、そこから空気が吸い込まれる。
吸込風路９は、シャーシ１の前面の左側および右側に形成された凸曲面である吸込風路内周面１０と、前面パネル２の背面の左側および右側に形成された凹曲面である吸込風路外周面１１と、で挟まれた領域によって左右に形成されており、吸込口７から吸い込んだ空気が流れる風路である。
また、シャーシ１の前面の上側には、図１に示すように吸い込まれた空気が外部へ吹き出される吹出口８が形成されている。

なお、吸込風路内周面１０および吸込風路外周面１１は、図２に示すように略左右方向に曲率がついており、凸曲面である吸込風路内周面１０の方が凹曲面である吸込風路外周面１１に比べて曲率が大きくなっている。そのため、吸込風路内周面１０は、吸込口７から吸い込んだ空気が流れる吸込風路９の内周側を構成しており、吸込風路外周面１１は吸込風路９の外周側を構成している。

送風機３の前面側（空気を吸い込む側）には、中央フィルター１３と側面フィルター１４とからなるフィルター１２が設けられており、中央フィルター１３は左右方向における略中央に配置され、側面フィルター１４は中央フィルター１３の左右両側面、かつ中央フィルター１３よりも吸込風路内周面１０に近い側に配置されている。また、フィルター１２と吸込口７とは、吸込風路９によって連通している。

中央フィルター１３と側面フィルター１４とでは捕集対象が異なっており、中央フィルター１３は花粉などの重い粒子であり、側面フィルター１４は微粒子などの軽い粒子である。
ここで、捕集対象の違いから中央フィルター１３と側面フィルター１４とで空間率（メッシュの目の粗さ）を変える、つまり、側面フィルター１４では微粒子などの軽い粒子を捕集できるように中央フィルター１３よりも空間率を低くする（メッシュの目を細かくする）ことが考えられる。しかし、圧力損失はフィルターの空間率とフィルターを通過する風速とで決まるため、上記のように中央フィルター１３と側面フィルター１４とで空間率を変えると、両者の圧力損失が変わってしまい、風量の偏りが発生し、騒音が大きくなってしまう。

そこで、本実施の形態では、側面フィルター１４を帯電フィルターとする。帯電フィルターは微粒子などの軽い粒子を選択的に捕集することができ、初期の捕集効率を高くでき、かつ、捕集効率の低下を生じにくくすることができる。そして、側面フィルター１４を帯電フィルターとすることで、側面フィルター１４と中央フィルター１３とは同等の圧力損失となるような空間率を有するメッシュで構成することができる。つまり、側面フィルター１４を帯電フィルターとすることで、側面フィルター１４の空間率を中央フィルター１３より低くしなくても、微粒子などの軽い粒子を捕集できるようになるため、風量の偏りがなく、騒音が大きくなることなく風量を確保することができる。

次に、本実施の形態に係る空気清浄機１００の動作について説明する。
モータ４を駆動させてファン５が回転駆動されると、フィルター１２の背面側に負圧が生じる。これにより、空気清浄機１００の左右両側面の吸込口７から塵埃を含んだ空気が吸い込まれ、左右の吸込風路９をそれぞれ流れる。そして、塵埃中の軽い粒子は慣性力が小さく、曲率が大きい面に沿って方向転換できるため、吸込風路内周面１０に沿う空気の流れ１５に多く含まれるが、塵埃中の重い粒子は慣性力が大きく、曲率が大きい面に沿って方向転換できず、吸込風路外周面１１に沿う空気の流れ１６に多く含まれることになる。

吸込風路外周面１１に沿って流れる空気は左右方向における略中央で合流後、中央フィルター１３を通過してファン５に吸い込まれる。このとき、吸込風路外周面１１に沿って流れる空気は重い粒子が多く含まれており、その重い粒子は中央フィルター１３によって捕集される。
一方、吸込風路内周面１０に沿って流れる空気は合流することなく、側面フィルター１４を通過してファン５に吸い込まれる。このとき、吸込風路内周面１０に沿って流れる空気は軽い粒子が多く含まれており、その軽い粒子は側面フィルター１４によって捕集される。

また、側面フィルター１４と中央フィルター１３とは同等の圧力損失となるような空間率を有するメッシュで構成されているため、風量の偏りがなく、騒音が大きくなることなく風量を確保することができる。

以上のように、本実施の形態に係る空気清浄機１００によれば、送風機３の前面側にそれぞれ捕集対象の異なる中央フィルター１３と側面フィルター１４とからなるフィルター１２を設けており、その１か所に塵埃が溜まる構成となっているため、構造がシンプルである。

また、吸込風路９を形成する吸込風路内周面１０と吸込風路外周面１１とで曲率を変えており、凸曲面である吸込風路内周面１０の方が凹曲面である吸込風路外周面１１に比べて曲率が大きくなっているため、軽い粒子は中央フィルター１３の側面に配置された側面フィルター１４によって捕集され、重い粒子は略中央に配置された中央フィルター１３によって捕集されるようになっている。そのため、すぐに目詰まりするのを抑制することができ、メンテナンスの手間が容易である。さらに、側面フィルター１４には軽い粒子が捕集されることになるため、軽い粒子以外が付着して微粒子の捕集能力が阻害されることを抑制でき、長寿命化することができる。

また、風量の偏りを少なくすることができるため、空気清浄機１００としての損失を低減することができ、省エネルギーに貢献することができる。

また、吸込口７が空気清浄機１００の正面ではなく側面に形成されているため、優れた意匠性を得ることができる。なお、本実施の形態では、吸込口７および吸込風路９が左右に形成されている構成としたが、それに限定されず、少なくとも左右のどちらか一方に形成されていればよい。

また、本発明は空気清浄機能を備えた空気調和機にも適用できる。なお、前記空気調和機は少なくとも熱交換器を備え、空調対象空間を冷房や暖房により空調するものである。

１ シャーシ、２ 前面パネル、３ 送風機、４ モータ、５ ファン、６ ベルマウス、７ 吸込口、８ 吹出口、９ 吸込風路、１０ 吸込風路内周面、１１ 吸込風路外周面、１２ フィルター、１３ 中央フィルター、１４ 側面フィルター、１５ （吸込風路内周面に沿う）空気の流れ、１６ （吸込風路外周面に沿う）空気の流れ、１００ 空気清浄機。

Claims (5)

1. 外郭を構成し、前面の少なくとも左側および右側のいずれかに凸曲面である吸込風路内周面が形成されたシャーシと、
   前記シャーシ内に設けられた送風機と、
   前記送風機の前面側に設けられたフィルターと、
   前記シャーシの前面に着脱自在に取り付けられ、背面の少なくとも左側および右側のいずれかに凹曲面である吸込風路外周面が形成された前面パネルと、を備え、
   少なくとも左右いずれかの側面に空気の吸込口が形成された空気清浄機であって、
   前記吸込風路内周面と前記吸込風路外周面との間には、前記吸込口と前記フィルターとを連通させ、吸い込んだ空気が流れる吸込風路が形成され、
   前記吸込風路内周面および前記吸込風路外周面は左右方向に曲率がついており、前記吸込風路内周面の方が前記吸込風路外周面に比べて曲率が大きくなっており、
   前記フィルターはそれぞれ捕集対象の異なる中央フィルターと側面フィルターとからなり、
   前記側面フィルターは前記中央フィルターの側面、かつ前記中央フィルターよりも前記吸込風路内周面に近い側に配置されている
   ことを特徴とする空気清浄機。
2. 前記吸込風路外周面に沿って流れる空気は前記中央フィルターを通過し、
   前記吸込風路内周面に沿って流れる空気は前記側面フィルターを通過する
   ことを特徴とする請求項１に記載の空気清浄機。
3. 前記側面フィルターは帯電フィルターである
   ことを特徴とする請求項１または２に記載の空気清浄機。
4. 前記側面フィルターと前記中央フィルターとは同じ圧力損失となる空間率を有するメッシュで構成されている
   ことを特徴とする請求項３に記載の空気清浄機。
5. 請求項１〜４のいずれか一項に記載の空気清浄機と、
   熱交換器と、を備えた
   ことを特徴とする空気調和機。

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