JP6139871B2 - 血圧計用カフ - Google Patents

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Description

本発明は血圧計用カフに係り、特に上腕に一周以上巻きつけて装着する血圧計用カフに関する。
血圧計用カフ(以下、カフという)は、血圧計本体に接続され、血圧測定時に上腕等の被測定部に巻回される。カフの内部には空気袋が設けられており、この空気袋に流体を供給することによって空気袋が膨張し、動脈を圧迫できるようになっている。これにより、動脈の圧脈波を検出することができ、血圧を測定することができる。
カフは通常、帯状かつ袋状に形成された外装部材と、外装部材の内部に収納された空気袋と、外装部材の表面に設けられた一対の面ファスナとで構成されている。一対の面ファスナは、外装部材を巻回させた際に重ね合わされる部分に配置されており、具体的には面ファスナの一方が外装部材の外周側の基端部に設けられ、もう一方が内周側の中央から先端部にかけて配置されている。このように構成されたカフは、外装部材を被装着部位に一周させた後、面ファスナ同士を重ね合わさせることによって装着される。
ところで、家庭用の場合、被測定者は独りで血圧計用カフを装着しなければならず、カフを正しい位置・姿勢で装着することが困難であった。そこで、特許文献1のカフは、外装部材の内部に弾性変形可能な円弧状のカーラを設けており、外装部材の基端部が上腕に引っかかるようになっている。したがって、外装部材の先端側を片手で持って巻きつけるだけで血圧計用カフを装着することができる。
特許第4534583号
しかしながら、特許文献1のカフは、被測定者が細腕だった場合にカフが周方向に回転してしまい、正しい位置に装着できないという問題があった。すなわち、カフをしっかりと装着するためにカフの先端側を外側に引っ張りながら巻き付けることが必要であるが、被測定者が細腕の場合には外装部材の基端側の引っ掛かりが弱いため、カフが周方向にずれるという問題が発生する。その結果、空気袋の位置が動脈の位置からずれ、正確な計測を行うことができなくなる。これを防止するためには、外装部材の基端部を押さえ付けながら先端側を巻きつければよいが、被測定者が独りで装着する場合は片手しか使えないため、外装部材の基端部を押さえ付けることができない。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、装着時に周方向に回転することを防止でき、正確な位置に簡単に装着できる血圧計用カフを提供することを目的とする。
請求項1の発明は前記目的を達成するために、帯状かつ袋状に形成された外装部材と、
外装部材に収納され、流体の供給・排出によって膨張・収縮する空気袋と、前記空気袋
とともに前記外装部材に収納された湾曲形状の可撓板と、前記外装部材の外周面と内周面
にそれぞれ設けられ、前記外装部材を一周以上巻き付けた際に重ね合わされる一対の面フ
ァスナと、を備えた血圧計用カフにおいて、前記外装部材の外周面の基端部分には、一周
以上巻き付けた前記外装部材の内周面を押し付ける押付部が設けられ、前記押付部よりも
先端側に前記外周面側の面ファスナが配置されることを特徴とする。
本発明によれば、従来は基端近傍に配置されていた外周面側の面ファスナを先端側にずらして配置することにより、その面ファスナの基端側を押付部として利用できるようにした。したがって、外装部材を一周以上巻き付けた際、その内周面を外周面側の押付部に押し付けることができ、外装部材の基端部分を被測定部位に押し付けることができる。これにより、装着時に外装部材が回転することを防止できるので、カフを正確な位置に装着することができる。なお、本発明では外装部材の長手方向の両端部のうち、巻き付け時に被測定部位に引っ掛ける側の端部を基端とし、反対側を先端とする。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記外周面側の面ファスナは、前記空気袋の周方向の中心よりも先端側に配置されることを特徴とする。通常、カフは空気袋の中心を装着位置の基準としており、空気袋の中心が動脈の位置に配置されるようにしている。本発明によれば、面ファスナが空気袋の中心よりも先端側に配置されるので、外装部材の基端から空気袋の中心までを押付部として利用することができる。したがって、空気袋の中心を位置決めの基準として被測定部位に押し付けながら装着することができ、カフを正確な位置に装着することができる。
請求項3に記載の発明は請求項2の発明において、前記外装部材の外周面には、前記空気袋の周方向の中心に指標が設けられることを特徴とする。本発明によれば、空気袋の中心に指標が設けられているので、その指標を目印として装着を行うことができる。
請求項4に記載の発明は請求項2または3の発明において、前記押付部には、該押付部を示す表記があることを特徴とする。本発明によれば、押付部の表記があるので、使用者は押付部を正しく利用することができる。なお、押付部の表記としては、「押付部」の文字を表記したり、押付部の使用方法を表記したり、様々な態様が可能である。
本発明によれば、外周面側の面ファスナを先端側にずらして配置することにより、その面ファスナの基端部分を押付部として利用できるようにしたので、外装部材を一周以上巻き付けて押付部に押し付けながら巻き付けることができ、カフを正確な位置に装着することができる。
本発明に係るカフが適用された血圧測定装置の概略構成を示す図 カフの外周面側を示す平面展開図 カフの内周面側を示す平面展開図 組立後のカフの側面図 カフの作用を説明する説明図
以下、添付図面に従って、本発明に係る血圧計用カフの好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の血圧計用カフ(以下、カフ)が適用された血圧測定装置の概略構成を示している。
同図に示す血圧測定装置14は、被測定部12に装着したカフ10によって阻血をしながら血圧を自動的に計測する装置である。カフ10の構成は後で詳説するが、カフ10にはコネクタ16が設けられ、このコネクタ16に主配管18が接続されている。主配管18には空気ポンプ20と排気制御弁22が接続されており、空気ポンプ20によって空気を供給したり、排気制御弁22から空気を排出したりすることができる。
また、主配管18は圧力センサ24に接続されており、この圧力センサ24によってカフ10内の空気袋52(図2参照)の圧力値が検出される。圧力センサ24はローパスフィルタ26とバンドパスフィルタ28に接続されており、圧力センサ24から圧力信号SPが出力される。ローパスフィルタ26は圧力信号SPに基づいてカフ10の圧迫圧を表すカフ圧信号SKを生成し、バンドパスフィルタ28は生体の心拍に同期して発生する圧力振動の脈波信号SMを生成する。これらの信号SK、SMは、A/D変換器30を介して電子制御装置32に出力される。
電子制御装置32は、所謂マイクロコンピュータであり、CPU34、RAM36、ROM38を備えており、CPU34がRAM36の記憶機能を利用しつつ、予めROM38に記憶されたプログラムに従って入力信号を処理するようになっている。この制御装置32によれば、空気ポンプ20、排気制御弁22をそれぞれ制御することができる。なお、電子制御装置32には、起動押釦スイッチ40が接続されており、この起動押釦スイッチ40から起動信号SSが出力される。また、電子制御装置32には表示部42が接続され、この表示部42に測定結果などが表示される。
以上のように構成された血圧測定装置14によれば、起動押釦スイッチ40が操作されると、空気ポンプ20からカフ10に圧縮空気(気体)が供給される。これにより、カフ10内の空気袋52(図2参照)が膨張し、空気袋52内の圧力が急速昇圧する。そして、空気袋52内の圧力値が目標昇圧値(予め最高血圧値よりも十分に高く設定された値)に到達した後、空気袋52への供給が停止され、空気袋52内の空気が徐々に排気される。その間、脈波信号SMの大きさの変化に基づいて最高血圧値および最低血圧値が決定され、表示部42に表示される。最後に空気袋52内の空気が急速排気され、血圧測定が終了する。
次に本実施の形態のカフ10について図2、図3に基づいて説明する。図2は平面展開したカフ10の外周面を示しており、図3は平面展開したカフ10の内周面を示している。
これらの図に示すように、カフ10は主として、外装部材50、空気袋52、可撓板54で構成される。
外装部材50は、図2の外布56と、図3の内布58、内布60、縁布62とを縫い合わせることによって帯状且つ袋状に形成されている。外布56は、比較的伸縮不能な合成繊維(たとえばナイロン素材)から成り、長手方向の一方側(図2の左側)が一定幅で形成され、他方側(図2の右側)は徐々に幅が狭くなるように形成されている。ここで、一定幅側(図2の左側)の端部を基端、徐々に狭くなる側(図2の右側)の端部を先端とする。
内布58は、比較的伸縮可能な素材(外布とは異なるナイロン素材)から成り、一定幅で形成される。一方、内布60は、表面がループ状繊維になっており、面ファスナとして機能するようになっている。内布60は幅が徐々に狭くなるように形成されており、この内布60を一定幅の内布58に縫合することによって、外布56と略同じ形状になっている。
内布58、60と外布56は重ね合わされた後、その周囲が縁布62で縫製される。これにより、帯状且つ袋状の外装部材50が形成される。なお、外装部材50の構成、形状、素材等は、上述したものに限定されるものではなく、たとえば不織布などを用いて外装部材50を構成してもよい。また、本実施の形態では、内布60が面ファスナとして機能するようにしたが、これに限定するものではなく、たとえば内布58を外布56と同じ形状にして、その表面に別の面ファスナを縫い付けてもよい。
外装部材50の先端部分には、チューブ64が設けられる。チューブ64は、外布56と内布60との間に配置されており、外布56と内布60を縫製することにより形成された袋状の収納空間の内部に配置されている。また、チューブ64は、ゴム等の弾性体で構成され、適度な剛性を備えており、チューブ64によって外装部材50の先端を容易に把持できるようになっている。
外装部材50の中央から基端部分(すなわち一定幅の部分)には、空気袋52が収納されている。空気袋52の構成は図示しないが、たとえば相互に重ねられた外側シートと内側シートをその周縁部で高周波溶着や超音波溶着等によって気密に固着することによって構成される。また、空気袋52の材質は特に限定するものではないが、軟質で可撓性を有するもの、例えば軟質ポリ塩化ビニルシートや天然或いは合成ゴムシート等で構成される。
外装部材50の内部には、空気袋52と同じ位置に可撓板54が配置されている。可撓板54は、可撓性を有する素材(たとえばプラスチック)から成り、空気袋52と略同じ大きさの矩形状に形成され、空気袋52の外周側に配置されている。また、可撓板54は、自然状態で円状に湾曲しており、組立後のカフ10は図4に示すように基端側の部分が可撓板54の形状に倣って円状に湾曲している。
外装部材50の外周面には、面ファスナ66が設けられる。面ファスナ66の表面には弾性変形可能な合成樹脂製の多数の鉤状突起が設けられており、前述の内布60に重ね合わせることによって、内布60に着脱自在に係合される。この面ファスナ66は、基端から所定の間隔をおいて配置されており、空気袋52の中心位置52Aよりも先端側(図2の右側)に配置されている。なお、空気袋52の中心位置52Aには、バーや矢印などが指標70として印刷されている。
面ファスナ66の基端側には、押付部68が設けられている。押付部68は、外装部材50の外周面のうち、その基端から面ファスナ66の基端側の縁までであり、空気袋52の中心位置52Aを含むように配置されている。この押付部68には面ファスナ66がないので、一周巻きつけた外装部材50の内周面を押し付けることができる。
押付部68には「押付部68であることを示す」表記72が成されている。「押付部68であることを示す」表記72とは、たとえば押付部68の使用方法の説明図であり、一周巻き付けた外装部材50を押付部68に押し付けながら巻き付けることが示されている。なお、表記72はこれに限定されるものではなく、たとえば「押付部」という文字の表記であってもよい。
次に上記の如く構成されたカフ10の作用について図5に基づいて説明する。図5はカフ10の作用を説明する説明図であり、カフ10を被測定部(上腕)12に装着する様子を模式的に示している。
図5(a)に示すように、まず、カフ10(外装部材50)の基端側を被測定部12に引っ掛ける。このとき、カフ10の基端側は可撓板54の形状に倣って湾曲しているので、可撓板54の弾性力に抗してカフ10の基端部を広げながら被測定部12に係合させる。
次にカフ10を被測定部12に馴染ませ、カフ10と被測定部12との間に隙間ができないようにする。同時にカフ10を正しい位置に配置する。カフ10の正しい位置とは、動脈13の位置に外装部材50の指標70が配置される位置である。
次に、カフ10の先端側を持ち、図5(b)に示すように、カフ10を被測定部12に一周以上巻き付ける。このとき、一周以上巻き付けた外装部材50の内周面を、基端側の外周面の押付部68に押し付けながら、カフ10の先端側を被測定部12の外側(矢印α方向に)引っ張る。これにより、押付部68が矢印βの如く被測定部12に押し付けられるので、外装部材50が被測定部12に対して回転することを防止でき、且つ、被測定部12と外装部材50との間に隙間なく巻きつけることが可能になる。
次に、図5(c)に示すように外装部材50を被測定部12に巻き付けることによって、面ファスナ66に外装部材50の内布60を重ね合わせる。これにより、面ファスナ66と内布60が係合されるので、カフ10が被測定部12に装着される。
以上説明したように本実施の形態によれば、面ファスナ66を外装部材50の基端から離して配置し、面ファスナ66の基端側に押付部68を設けたので、一周以上巻き付けた外装部材50の内周面によって押付部68を被測定部12に押し付けることができる。したがって、外装部材50の先端側を外側に引っ張りながら巻き付けた際に外装部材50が回転することがなく、外装部材50を被測定部12に締め付けながら巻き付けることができる。これにより、カフ10を被測定部12に対して隙間なく、且つ、正しい位置に装着することができる。
また、本実施の形態によれば、面ファスナ66が空気袋52の中心位置52Aよりも先端側に配置されているので、空気袋52の中心位置52Aを被測定部12に押し付けながら装着することができ、カフ10をより正しい位置に確実に装着することができる。すなわち、面ファスナ66が空気袋52の中心位置52Aを超えて配置されていた場合には、空気袋52の中心位置52Aを被測定部12に押し付けると面ファスナ66に係合してしまうため、中心位置52Aを押し付けることができない。したがって、中心位置52Aから離れた位置でしか押し付けることができず、巻き付け時にカフ10が正しい位置からずれて装着されるおそれがある。本実施の形態では、空気袋52の中心位置52Aを押し付けながら装着することができるので、カフ10をより正しい位置で確実に装着することができる。
10…血圧計用カフ、12…被測定部、14…血圧測定装置、20…空気ポンプ、50…外装部材、52…空気袋、54…可撓板、56…外布、58…内布、60…内布、62…縁布、64…チューブ、66…面ファスナ、68…押付部、70…指標、72…表記

Claims (4)

  1. 帯状かつ袋状に形成された外装部材と、該外装部材に収納され、流体の供給・排出によ
    って膨張・収縮する空気袋と、前記空気袋とともに前記外装部材に収納された湾曲形状の
    可撓板と、前記外装部材の外周面と内周面にそれぞれ設けられ、前記外装部材を一周以上
    巻き付けた際に重ね合わされる一対の面ファスナと、を備えた血圧計用カフにおいて、
    前記外装部材の外周面の基端部分には、一周以上巻き付けた前記外装部材の内周面を押
    し付ける押付部が設けられ、前記押付部よりも先端側に前記外周面側の面ファスナが配置
    されることを特徴とする血圧計用カフ。
  2. 前記外周面側の面ファスナは、前記空気袋の周方向の中心よりも先端側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフ。
  3. 前記外装部材の外周面には、前記空気袋の周方向の中心に指標が設けられることを特徴とする請求項2に記載の血圧計用カフ。
  4. 前記押付部には、該押付部を示す表記があることを特徴とする請求項2または3に記載の血圧計用カフ。
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