JP3174766U - 血圧計用カフ - Google Patents
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Abstract
【課題】血圧値の測定精度が向上する血圧計用カフ、を提供する。
【解決手段】血圧計用カフは、被験者の上腕に巻き付けられる外装カバー110と、長手方向における外装カバー110の一方端側に設けられ、外装カバー110が被験者の上腕に巻き回された時に、長手方向における外装カバー110の他方端側が挿通されるリング160と、外装カバー110の外表面110bに、外装カバー110の他方端側から一方端側に向けて帯状に設けられ、リング160を基点に折り返された外装カバー110の他方端側の部分を、被験者の上腕に巻き回された外装カバー110の部分に固定するための面ファスナ145と、面ファスナ145の表面を覆い、リング160に対する摩擦係数が、面ファスナ145とリング160との間の摩擦係数よりも大きくなる材料から形成されているグリップ部とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】血圧計用カフは、被験者の上腕に巻き付けられる外装カバー110と、長手方向における外装カバー110の一方端側に設けられ、外装カバー110が被験者の上腕に巻き回された時に、長手方向における外装カバー110の他方端側が挿通されるリング160と、外装カバー110の外表面110bに、外装カバー110の他方端側から一方端側に向けて帯状に設けられ、リング160を基点に折り返された外装カバー110の他方端側の部分を、被験者の上腕に巻き回された外装カバー110の部分に固定するための面ファスナ145と、面ファスナ145の表面を覆い、リング160に対する摩擦係数が、面ファスナ145とリング160との間の摩擦係数よりも大きくなる材料から形成されているグリップ部とを備える。
【選択図】図4
Description
この考案は、一般的には、血圧計用カフに関し、より特定的には、血圧計の構成部品であって、血圧測定時に被験者の被測定部位に装着される血圧計用カフに関する。
従来の血圧計用カフに関して、たとえば、特開2010−252836号公報には、生体への装着性を大幅に向上させることを目的とした生体圧迫装置および血圧測定装置が開示されている(特許文献1)。また、特開2007−275483号公報には、上腕に対する装着作業を容易化することを目的とした血圧計用カフが開示されている(特許文献2)。
一般的に、血圧計用カフの外装体には、カフが被験者の被測定部位に巻き付けられた状態を維持するための固定手段が設けられる。特許文献1および2に開示されるように、このような固定手段として、ループファスナおよびフックファスナからなる面ファスナを利用する構造が知られている。
その構造について、代表的に特許文献1に開示された生体圧迫装置に照らして説明すると、特許文献1に開示された生体圧迫装置は、自動血圧計用腕帯(カフ)として用いられる。カフは、流体袋を収納する帯状体(外装体)を備える。帯状体の長手方向の一方端には、長円形状に形成された丸鋼からなる留め金具が設けられている。カフは、さらに、留め金具に挿入され、留め金具を介して折り返された帯状体の他方端を固定する固定手段として、面ファスナを備える。面ファスナは、ループシートおよびフックシートからなる。帯状体の外面カバーは、ループシートから形成されている。フックシートは、そのループシートの他方端側に縫合されている。
上記の特許文献1に開示されるカフにおいては、その装着時、被験者の上腕に巻き回された帯状体が、留め金具により折り返されるとともに、上腕を締め付ける方向に引っ張られる。そして、帯状体の他方端側に設けられたフックシートが、帯状体の外面カバーとして設けられたループシートに接合することによって、カフが被験者の上腕に巻き付けられた状態が得られる。
しかしながら、このように装着されたカフにおいて流体袋への流体の給排出を実施すると、留め金具を境に内周側に位置する帯状体の部分と外周側に位置する帯状体の部分との間で、帯状体に作用する張力にばらつきが生じる場合がある。この場合、帯状体が上記内周側部分と外周側部分との間でずれを引き起こす懸念が生じる。その結果、これが振動となって流体袋の内圧に伝播することになり、ノイズとなって測定結果に重畳することで高精度の測定の妨げとなってしまう。
そこでこの考案の目的は、上記の課題を解決することであり、血圧値の測定精度が向上する血圧計用カフを提供することである。
この考案に従った血圧計用カフは、外装体と、その外装体に収容され、流体が供給される流体袋と、リング部材と、面ファスナと、被覆層とを備える。外装体は、帯状に延在する外観を有し、その帯状に延在する長手方向に沿って湾曲するように被験者の被測定部位に巻き付けられる。リング部材は、長手方向における外装体の一方端側に設けられる。リング部材には、外装体が被験者の被測定部位に巻き回された時に、長手方向における外装体の他方端側が挿通される。面ファスナは、外装体の外表面に、外装体の他方端側から一方端側に向けて帯状に設けられる。面ファスナは、リング部材に挿通され、リング部材を基点に折り返された外装体の他方端側の部分を、被験者の被測定部位に巻き回された外装体の部分に固定するためのものである。被覆層は、面ファスナの表面を覆うように設けられる。被覆層は、リング部材に対する摩擦係数が、面ファスナとリング部材との間の摩擦係数よりも大きくなる材料から形成されている。
このように構成された血圧計用カフによれば、外装体がリング部材によって折り返される位置で、リング部材と、面ファスナの表面を覆う被覆層とが接触する。この際、被覆層が、リング部材に対する摩擦係数が、面ファスナとリング部材との間の摩擦係数よりも大きくなる材料から形成されるため、外装体およびリング部材間の摩擦を積極的に増大させることができる。これにより、血圧測定時における外装体のずれを防ぎ、血圧値の測定精度を向上させることができる。
また好ましくは、面ファスナは、外装体の他方端側に設けられる第1係合部と、外装体の他方端側から一方端側に向けて帯状に延在し、圧接された第1係合部と係合する第2係合部とを有する。外装体の被測定部位への巻き付け時、第2係合部がリング部材により折り返される位置に配置される。被覆層は、第2係合部の表面を覆うように設けられる。
このように構成された血圧計用カフによれば、面ファスナの第2係合部がリング部材により折り返される位置に配置されるため、その第2係合部の表面を覆うように被覆層が設けられる。
以上に説明したように、この考案に従えば、血圧値の測定精度が向上する血圧計用カフを提供することができる。
この考案の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、この考案の実施の形態における血圧計用カフを備えた血圧計を示す斜視図である。図1を参照して、血圧計1は、本体10と、血圧計用カフ100Aと、エア管40とを有する。エア管40は、分離されて構成された本体10と血圧計用カフ100Aとを接続する。エア管40は、たとえば、可撓性を有する樹脂製のチューブから構成されている。
本体10は、箱状のケーシング11を有する。ケーシング11の上面には、表示部21および操作部23が設けられている。本体10は、測定時においてテーブルなどの載置面に載置されて使用される。血圧計用カフ100Aは、被測定部位としての上腕に巻き付け可能な帯状の形態を有する。血圧計用カフ100Aは、測定時において上腕に装着されて使用される。血圧計用カフ100Aは、上腕に巻き付けられた装着状態において環状の形態をとる。
図2は、図1中の血圧計用カフを外表面側から見た場合の展開図である。図3は、図2中のIII−III線上に沿った血圧計用カフを示す断面図である。
図1から図3を参照して、血圧計用カフ100Aは、その主要な構成として、外装カバー110と、空気袋150と、リング160と、面ファスナ145とを有する。
外装カバー110は、略矩形状の平面視を有する。外装カバー110は、図2中の一方端側と他方端側との間で帯状に延在する。すなわち、図2中の一方端側と他方端側とを結ぶ方向が、外装カバー110の長手方向である。外装カバー110は、血圧計用カフ100Aの装着時、外装カバー110の長手方向に沿って湾曲するように上腕に巻き付けられる。
外装カバー110は、内表面110aおよび外表面110bを有する。内表面110aは、血圧計用カフ100Aを被験者の上腕に巻き回した状態において内周側に配置され、被験者の上腕と接触する。外表面110bは、血圧計用カフ100Aを被験者の上腕に巻き回した状態において外周側に位置する。外表面110bは、内表面110aの裏側に配置されている。
外装カバー110は、外側カバー部材120、内側カバー部材130およびバイアステープ140から構成されている。
外側カバー部材120は、血圧計用カフ100Aを被験者の上腕に巻き回した状態において外周側に配置される。上記の外表面110bは、外側カバー部材120に形成されている。内側カバー部材130は、血圧計用カフ100Aを被験者の上腕に巻き回した状態において内周側に配置される。上記の内表面110aは、内側カバー部材130に形成されている。外側カバー部材120と内側カバー部材130とが重ね合わされ、それらの周縁がバイアステープ140によって覆われた状態で接合(たとえば、縫合や溶着等)されることによって、外装カバー110が袋状に形成されている。
外側カバー部材120としては、空気袋150が被験者の上腕の周上で径方向外側に向かって膨張することを抑制するために、内側カバー部材130に比して伸縮性に乏しい部材が利用されている。一方、内側カバー部材130としては、空気袋150の膨張によって上腕に加えられる圧迫力が当該内側カバー部材130によって阻害されないように、十分に伸縮性に富んだ部材が好適に利用されている。このような観点から、外装カバー110としては、伸縮性の大小を比較的容易に調整することができるポリアミド、ポリエステル等の合成繊維からなる布地等が利用されている。
外側カバー部材120および内側カバー部材130によって規定される外装カバー110の内部の空間には、空気袋150が収容されている。空気袋150は、略矩形状の平面視を有する。空気袋150は、その長手方向が血圧計用カフ100Aの長手方向に沿って配置されるように外装カバー110に内包されている。空気袋150は、外装カバー110の長手方向の一端端側(図2を参照のこと)に偏って配置されている。空気袋150は、好適には樹脂シートを用いて形成された袋状の部材にて構成され、その内部に膨縮空間を有する。
空気袋150には、ニップル151が取り付けられている。ニップル151は、血圧計用カフ100Aを被験者の上腕に巻き回した状態において外周側に位置することとなる空気袋150の外表面に取り付けられている。ニップル151は、外側カバー部材120を貫通し、外装カバー110の外側に引き出されている。ニップル151には、エア管40が接続されている。これにより、エア管40を通じて膨縮空間に空気が供給されることにより空気袋150が膨張し、エア管40を通じて膨縮空間から空気が排出されることにより空気袋150が収縮する。
空気袋150を構成する樹脂シートの材質としては、伸縮性に富んでおり上述した膨縮空間からの漏気がないものであればどのようなものでも利用可能である。このような観点から、樹脂シートの好適な材質としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド等が挙げられる。
図4は、図1中の血圧計用カフの装着状態を示す断面図である。図1から図4を参照して、外装カバー110の長手方向の一方端側には、リング160が設けられている。
より具体的には、リング160は、リング固定布143を用いて外装カバー110の外側カバー部材120(外表面110b)に取り付けられている。リング固定布143は、リング160の一部を覆うように巻き付けられた状態で、その一部が外側カバー部材120に接合(たとえば、縫合や溶着等)されることによって、リング160を外装カバー110に固定している。
リング160は、ニッケルメッキされた丸鋼から形成されている。リング160は、リング形状の外観を有する。リング160は、長径と短径とを有する長円形状を有し、その短径が延びる方向と外装カバー110の長手方向とが一致し、その長径が延びる方向と外装カバー110の短手方向とが一致するように設けられている。なお、リング160は、周方向に途切れた不完全なリング形状を有してもよい。この場合、リング160は、その途切れた部分がリング固定布143によって覆われるように設けられる。
リング160は、血圧計用カフ100Aの上腕への巻き付け固定の際に補助具として機能する。外装カバー110が被験者の上腕に巻き回された時に、外装カバー110の他方端側が、リング160に挿通され、さらにリング160を基点に折り返される。
面ファスナ145は、面的に着脱可能なファスナ(留め具)である。面ファスナ145は、上腕に巻き回された外装カバー110を固定することで血圧計用カフ100Aが上腕に対して巻き付けられた状態を維持するための固定手段として設けられている。面ファスナ145は、外装カバー110の外側カバー部材120(外表面110b)に設けられている。面ファスナ145は、全体的に、外装カバー110の一方端側から他方端側に向けて帯状に延びる形状を有する。
面ファスナ145の具体的な構造について説明すると、面ファスナ145は、第1係合部としてのフックファスナ142と、第2係合部としてのループファスナ141とから構成されている。フックファスナ142には、微細なフック構造が設けられ、ループファスナ141には、微細なループ構造が設けられている。フックファスナ142およびループファスナ141を互いに圧接させ、フックファスナ142に設けられたフック構造がループファスナ141に設けられたループ構造に引っ掛かることによって、フックファスナ142とループファスナ141とが面的に接合される。
ループファスナ141およびフックファスナ142は、いずれも、略矩形状の平面視を有する。ループファスナ141とフックファスナ142とは、外装カバー110の長手方向に沿って並んで設けられている。フックファスナ142は、外装カバー110の他方端側に設けられている。フックファスナ142は、外装カバー110の長手方向において、リング160が設けられた端部とは反対側の端部に設けられている。
ループファスナ141は、外装カバー110の他方端側から一方端側に向けて帯状に延在している。ループファスナ141は、外装カバー110の他方端側においてフックファスナ142に隣り合う位置と、外装カバー110の一方端側においてリング160と隣り合う位置との間で帯状に延在している。外装カバー110の長手方向におけるループファスナ141の長さは、外装カバー110の長手方向におけるフックファスナ142の長さよりも大きい。
なお、本実施の形態では、外装カバー110とは別体に設けられたループファスナ141が、外装カバー110の外側カバー部材120に接合されている場合を説明したが、これに限られず、外装カバー110の外側カバー部材自身がループファスナにより形成されてもよい。
図4を参照して、外装カバー110の他方端側が、リング160に挿通され、さらにリング160を基点に折り返されることにより、ループファスナ141およびフックファスナ142が対面する。このため、当該状態において、これらループファスナ141およびフックファスナ142を互いに接合することにより、血圧計用カフ100Aの環状の形態が維持されて血圧計用カフ100Aが上腕に対して固定されることになる。
この際、ループファスナ141は、外装カバー110の長手方向に帯状に延びる形状を有するため、被験者は、自らの上腕の周長にかかわらず、フックファスナ142をループファスナ141のいずれかの位置に接合することができる。一例として、血圧計用カフ100Aが適応する被験者の腕周は、22cm以上42cm以下の範囲である。
図4中に示す血圧計用カフ100Aの装着状態において、外装カバー110は、内周側部分111および外周側部分112を有する。内周側部分111は、外装カバー110の一方端側とリング160との間に規定され、被験者の上腕に巻き回されて環状をなす。外周側部分112は、リング160と外装カバー110の他方端側との間に規定され、内周側部分111の外表面110bに重ね合わされる。ループファスナ141が設けられた領域は、内周側部分111から外周側部分112の一部に渡り、フックファスナ142が設けられた領域は、外周側部分112に含まれる。このような構成により、ループファスナ141は、外装カバー110とともに、リング160によって折り返されている。
図5は、図1中の外装カバーに設けられたループファスナを示す断面図である。図中には、図3中の2点鎖線Vで囲まれた範囲が拡大して示されている。図6は、図5中の2点鎖線VIで囲まれた範囲を示す断面図である。
図5および図6を参照して、ループファスナ141は、基部52および布部51から構成されている。基部52は、外装カバー110の外表面110bに貼り付けられている。基部52は、ループファスナ141の土台をなす部分であり、たとえば、塩化ビニル樹脂製のシート材から形成されている。布部51は、基部52に接合されている。布部51は、微細なループ構造をなす部分であり、たとえば、ループ状の起毛を有するナイロン製の生地により形成されている。
本実施の形態における血圧計用カフ100Aは、グリップ部61をさらに有する。グリップ部61は、面ファスナ145の表面を覆うように設けられている。グリップ部61は、ループファスナ141の表面を覆うように設けられている。グリップ部61は、少なくとも布部51を覆うように設けられている。
グリップ部61は、ループファスナ141の全面を覆うように設けられてもよいし、ループファスナ141の表面において、血圧計用カフ100Aの装着時にリング160による折り返し位置と想定される範囲を覆うように設けられてもよい。また、ループファスナ141が設けられた範囲にフックファスナが設けられ、フックファスナ142が設けられた範囲にループファスナが設けられたカフも想定されるが、この場合には、グリップ部61はフックファスナの表面を覆うように設けられる。
グリップ部61は、リング160に対する摩擦係数が、面ファスナ145とリング160との間の摩擦係数よりも大きくなる材料から形成されている。より具体的には、グリップ部61は、面ファスナ145の布部51を形成する材料と比較して、リング160との間の摩擦係数が大きくなる材料から形成されている。
ここで比較する摩擦係数は、接触条件を等しくした状態で得られる摩擦係数である。すなわち、接触面の表面粗さや清浄度、温度や湿度を等しくし、その場合に得られる摩擦係数を比較する。なお、比較する摩擦係数は、動摩擦係数であってもよいし、静摩擦係数であってもよい。
本実施の形態では、グリップ部61が、酸化ケイ素を主成分として形成されている。このようなグリップ部61は、たとえば、ループファスナ141に酸化ケイ素を含む液体を付着させ、その後、その液体を乾燥させることによって得られる。
続いて、図1中の血圧計1の機能ブロックの構成について説明する。図7は、図1中の血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。
図7を参照して、本体10は、上述した表示部21および操作部23に加え、制御部20と、メモリ部22と、電源部24と、加圧ポンプ31と、排気弁32と、圧力センサ33と、加圧ポンプ駆動回路34と、排気弁駆動回路35と、発振回路36とを有する。加圧ポンプ31、排気弁32および圧力センサ33は、血圧計1に具備されるエア系コンポーネント30に相当し、上述したエア管40を介して空気袋150に接続されている。このうち、加圧ポンプ31および排気弁32は、空気袋150を加減圧するための加減圧機構に相当する。
制御部20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)にて構成され、血圧計1の全体を制御するための手段である。メモリ部22は、たとえば、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)にて構成され、血圧値測定のための処理手順を制御部20等に実行させるためのプログラムを記憶したり、測定結果等を記憶したりするための手段である。
表示部21は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)にて構成され、測定結果等を表示するための手段である。操作部23は、使用者等による操作を受付けてこの外部からの命令を制御部20や電源部24に入力するための手段である。電源部24は、制御部20に電力を供給するための手段である。
制御部20は、加圧ポンプ31および排気弁32を駆動するための制御信号を加圧ポンプ駆動回路34および排気弁駆動回路35にそれぞれ入力したり、測定結果としての血圧値をメモリ部22や表示部21に入力したりする。また、制御部20は、圧力センサ33によって検出された圧力値に基づいて被験者の血圧値を取得する血圧情報取得部(不図示)を含んでおり、この血圧情報取得部によって取得された血圧値が、測定結果として上述したメモリ部22や表示部21に入力される。
なお、血圧計1は、測定結果としての血圧値を外部の機器(たとえばPC(Personal Computer)やプリンタ等)に出力する出力部を別途有してもよい。出力部としては、たとえば、シリアル通信回線や各種の記録媒体への書き込み装置等が利用可能である。
加圧ポンプ駆動回路34は、制御部20から入力された制御信号に基づいて加圧ポンプ31の動作を制御する。加圧ポンプ31は、空気袋150の膨縮空間に空気を供給することにより空気袋150の内圧(以下、「カフ圧」とも称する)を加圧するためのものであり、その動作が上述した加圧ポンプ駆動回路34によって制御される。
排気弁駆動回路35は、制御部20から入力された制御信号に基づいて排気弁32の開閉動作を制御する。排気弁32は、空気袋150の内圧を維持したり、空気袋150の膨縮空間を外部に開放してカフ圧を減圧したりするためのものであり、その動作が上述した排気弁駆動回路35によって制御される。
圧力センサ33は、静電容量型のセンサであり、空気袋150の内圧に応じてその静電容量が変化する。発振回路36は、圧力センサ33の静電容量に応じた発振周波数の信号を生成し、生成した信号を制御部20に入力する。
図8は、図1中の血圧計の測定動作の流れを示す図である。次に、この図8を参照して、本実施の形態における血圧計1の測定動作の流れについて説明する。なお、図8に示すフローチャートに従うプログラムは、上述したメモリ部22に予め記憶されており、制御部20がメモリ部22からこのプログラムを読み出して実行することにより、その処理が実行されるものである。
血圧値を測定するに際しては、血圧計用カフ100Aが予め被験者の上腕に巻き付けられて装着される。この状態において、本体10に設けられた操作部23が操作されて血圧計1の電源がオンにされると、制御部20に対して電源部24から電力が供給されて制御部20が駆動する。図8に示すように、制御部20は、その駆動後において、まず血圧計1の初期化を行なう(ステップS1)。
次に、制御部20は、測定開始の指示を待ち、操作部23が操作されて測定開始の指示が入力されると、排気弁32を閉塞させるとともに加圧ポンプ31の駆動を開始し、空気袋150のカフ圧を徐々に上昇させる(ステップS2)。
この空気袋150を加圧する過程において、制御部20は、公知の手順で最高血圧および最低血圧を算出する(ステップS3)。具体的には、制御部20は、空気袋150のカフ圧を上昇させる過程において発振回路36から得られる発振周波数よりカフ圧を取得し、取得したカフ圧に重畳した脈波情報を抽出する。そして、制御部20は、抽出された脈波情報に基づいて上記血圧値を算出する。
ステップS3において血圧値が算出されると、制御部20は、加圧ポンプ31の駆動を停止するとともに排気弁32を開放することで空気袋150内の空気を完全に排気し(ステップS4)、測定結果としての血圧値を表示部21に表示するとともに、当該血圧値をメモリ部22に格納する(ステップS5)。
その後、制御部20は、電源オフの指令を待ってその動作を終了する。なお、以上において説明した測定方式は、空気袋150の加圧時に脈波を検出するいわゆる加圧測定方式に基づいたものであるが、空気袋150の減圧時に脈波を検出するいわゆる減圧測定方式を採用することも当然に可能である。
続いて、本実施の形態における血圧計用カフ100Aによって奏される作用効果について説明する。
図4を参照して説明したように、本実施の形態における血圧計用カフ100Aにおいては、外装カバー110の他方端側の部分(外周側部分112)が、被験者の上腕に巻き回された外装カバー110の部分(内周側部分111)に重なった装着状態がとられる。このような装着方法を採用するカフにおいては、上記のステップS2にて空気袋150への空気の供給を開始すると、内周側部分111と外周側部分112との間で、外装カバー110に作用する張力に差が生じる場合がある(図4中において、F1>F2もしくはF1<F2)。この場合、空気袋150の膨張に伴って、外装カバー110の内周側部分111が他方端側に微小に引き出されたり、外装カバー110の外周側部分112が一方端側に微小に引き込まれたりする懸念がある。幅広い腕周に対応すべく外装カバー110の全長をより大きく設定した場合、内周側部分111と外周側部分112との重なりが長くなるケースが増えるため、このような懸念が増大する。
一方、本実施の形態では、外装カバー110がリング160によって折り返される位置でリング160と接触するループファスナ141の表面が、高摩擦係数を有する材料から形成されたグリップ部61によって覆われている。このような構成により、ループファスナ141およびリング160間の摩擦を積極的に増大させ、血圧測定時における外装カバー110のずれを防ぐことができる。
以上に説明した、この考案の実施の形態における血圧計用カフの構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における血圧計用カフ100Aは、帯状に延在する外観を有し、その帯状に延在する長手方向に沿って湾曲するように被験者の被測定部位としての上腕に巻き付けられる外装体としての外装カバー110と、外装カバー110に収容され、流体としての空気が供給される流体袋としての空気袋150と、長手方向における外装カバー110の一方端側に設けられ、外装カバー110が被験者の上腕に巻き回された時に、長手方向における外装カバー110の他方端側が挿通されるリング部材としてのリング160と、外装カバー110の外表面110bに、外装カバー110の他方端側から一方端側に向けて帯状に設けられ、リング160に挿通され、リング160を基点に折り返された外装カバー110の他方端側の部分を、被験者の上腕に巻き回された外装カバー110の部分に固定するための面ファスナ145と、面ファスナ145の表面を覆い、リング160に対する摩擦係数が、面ファスナ145とリング160との間の摩擦係数よりも大きくなる材料から形成されている被覆層としてのグリップ部61とを備える。
このように構成された、この考案の実施の形態における血圧計用カフ100Aによれば、ループファスナ141の表面を、高摩擦係数を有する材料から形成されたグリップ部61により覆うことによって、血圧測定時における外装カバー110のずれを安価に防ぐことができる。これにより、外装カバー110のずれに起因する空気袋150内の圧力変動を抑制し、血圧値の測定精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、被測定部位として上腕が採用される血圧計用カフに本考案を適用した場合を説明したが、本考案は、被測定部位として手首や足首が採用される血圧計用カフにも適用が可能である。また、本実施の形態では、最高血圧および最低血圧が測定可能な血圧計に具備される血圧計用カフに本考案を適用した場合を説明したが、最高血圧および最低血圧以外の他の血圧情報(たとえば、平均血圧値、脈波、脈拍、AI(Augmentation Index)値等)が測定可能な血圧計に具備される血圧計用カフに本考案を適用することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の範囲は上記した説明ではなくて実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この考案は、被験者の血圧値を測定するための血圧計に適用される。
1 血圧計、10 本体、11 ケーシング、20 制御部、21 表示部、22 メモリ部、23 操作部、24 電源部、30 エア系コンポーネント、31 加圧ポンプ、32 排気弁、33 圧力センサ、34 加圧ポンプ駆動回路、35 排気弁駆動回路、36 発振回路、40 エア管、51 布部、52 基部、61 グリップ部、100A 血圧計用カフ、110a 内表面、110b 外表面、110 外装カバー、111内周側部分、112 外周側部分、120 外側カバー部材、130 内側カバー部材、130 当該内側カバー部材、141 ループファスナ、142 グリップファスナ、142 フックファスナ、143 リング固定布、145 面ファスナ、150 空気袋、151 ニップル、160 リング。
Claims (2)
- 帯状に延在する外観を有し、その帯状に延在する長手方向に沿って湾曲するように被験者の被測定部位に巻き付けられる外装体と、
前記外装体に収容され、流体が供給される流体袋と、
長手方向における前記外装体の一方端側に設けられ、前記外装体が被験者の被測定部位に巻き回された時に、長手方向における前記外装体の他方端側が挿通されるリング部材と、
前記外装体の外表面に、前記外装体の他方端側から一方端側に向けて帯状に設けられ、前記リング部材に挿通され、前記リング部材を基点に折り返された前記外装体の他方端側の部分を、被験者の被測定部位に巻き回された前記外装体の部分に固定するための面ファスナと、
前記面ファスナの表面を覆い、前記リング部材に対する摩擦係数が、前記面ファスナと前記リング部材との間の摩擦係数よりも大きくなる材料から形成されている被覆層とを備える、血圧計用カフ。 - 前記面ファスナは、前記外装体の他方端側に設けられる第1係合部と、前記外装体の他方端側から一方端側に向けて帯状に延在し、圧接された前記第1係合部と係合する第2係合部とを有し、
前記外装体の被測定部位への巻き付け時、前記第2係合部が前記リング部材により折り返される位置に配置され、
前記被覆層は、前記第2係合部の表面を覆うように設けられる、請求項1に記載の血圧計用カフ。
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-
2012
- 2012-01-25 JP JP2012000338U patent/JP3174766U/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2022024700A1 (ja) * | 2020-07-27 | 2022-02-03 | オムロンヘルスケア株式会社 | 血圧測定用カフ |
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