JP6138563B2 - オキシムエステル開始剤、硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents

オキシムエステル開始剤、硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、長波長の光に対して高い反応性を有し、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどないオキシムエステル開始剤に関する。また、本発明は、該オキシムエステル開始剤を含有する硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物からなる液晶表示素子用シール剤、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような、硬化性樹脂と光重合開始剤と熱硬化剤とを含有する光熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
ところで、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。装置の小型化の手法としては、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。
しかしながら、狭額縁設計ではシール剤がブラックマトリックスの直下に配置されるため、滴下工法を行うと、シール剤を光硬化させる際に照射した光が遮られ、シール剤の内部まで光が到達せず硬化が不充分となるという問題があった。このようにシール剤の硬化が不充分となると、未硬化のシール剤成分が液晶中に溶出して液晶汚染を発生させやすくなるという問題があった。
遮光部におけるシール剤を硬化させる方法としては、長波長側に吸収波長を有する光重合開始剤をシール剤に配合し、長波長の光を照射して遮光部のシール剤に光を届かせる方法が考えられる。このような長波長側に吸収波長を有する光重合開始剤として、例えば、特許文献3、4には、オキシムエステル化合物が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示されたオキシムエステル化合物は、長波長側に吸収波長を有するものの感度が充分でなく、得られるシール剤が遮光部における硬化性に劣るものとなるという問題があった。また、特許文献4に開示されたオキシムエステル化合物は、長波長の光に対して高い反応性を有するものの、液晶へ溶出しやすく、液晶汚染を引き起こすことがあるという問題があった。
特開2001−133794号公報 国際公開第02/092718号パンフレット 国際公開第12/002028号パンフレット 特開2000−80068号公報
本発明は、長波長の光に対して高い反応性を有し、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどないオキシムエステル開始剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該オキシムエステル開始剤を含有する硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物からなる液晶表示素子用シール剤、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、又は、(1−4)で表される化合物であるオキシムエステル開始剤である。
Figure 0006138563
式(1−1)〜(1−4)中、Rは、フェニル基(これは、無置換、又は、C1−C6アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、OR基、SR基、若しくは、NR1011基の1個以上により置換されている)、C1−C20アルキル基又はC2−C20アルキル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、極性基を有するC1−C20アルキル基、C5−C8シクロアルキル基、C2−C20アルカノイル基、ベンゾイル基(これは、無置換、又は、1個以上の、C1−C6アルキル基、フェニル基、OR基、SR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、C2−C12アルコキシカルボニル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、フェノキシカルボニル基(これは、無置換、又は、1個以上の、C1−C6アルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、OR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、−CONR1011基、CN基、NO基、C1−C4ハロアルキル基、S(O)C1−C6アルキル基、非置換若しくはC1−C12アルキル−置換S(O)−C6−C12アリール基、SOOC1−C6アルキル基、SOO−C6−C10アリール基、或いは、ジフェニル−ホスフィノイル基であり、mは、1又は2である。
’は、C1−C12アルキル基(これは、無置換、又は、1個以上の、ハロゲン原子、OH基、OR基、フェニル基、ハロゲン化フェニル基、若しくは、SR置換フェニル基により置換されており、かつ、場合により酸素原子又は−NH(CO)−により中断されている)である。
は、下記式(2−1)〜(2−11)のいずれかで表される基である。Xは、複素環であり、Yは、芳香環である。
、R 、R 、及び、Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基(これは、無置換、又は、1個以上の、OR基、SR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、ベンジル基、ベンゾイル基、C2−C12アルカノイル基、C2−C12アルコキシカルボニル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、フェノキシカルボニル基、OR基、SR基、SOR基、SO基、或いは、NR1011基(ここで、OR基、SR基、及び、NR1011基は、場合によりフェニル環の更なる置換基又はフェニル環の炭素原子の一つと、R、R、R10、及び/又は、R11を介して5員環又は6員環を形成する)である。
は、ベンゼンスルフェニル基である。
、及び、R’は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基(これは、無置換、又は、OR基、SR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、ベンジル基、ベンゾイル基、C2−C12アルカノイル基、C2−C12アルコキシカルボニル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、フェノキシカルボニル基、OR基、SR基、SOR基、SO基、或いは、NR1011基(ここで、OR基、SR基、及び、NR1011基は、場合によりフェニル環の更なる置換基又はフェニル環の炭素原子の一つと、R、R、R10、及び/又は、R11を介して5員環又は6員環を形成する)である。
’は、ベンゼンスルフェニル基である。
は、水素原子、C1−C12アルキル基、C2−C6アルキル基(これは、−OH基、−SH基、−CN基、C1−C4アルコキシ基、C3−C6アルケンオキシ基、−OCHCHCN基、−OCHCH(CO)O(C1−C4アルキル)基、−O(CO)−C1−C4アルキル基、−O(CO)−フェニル基、−(CO)OH基、又は、−(CO)O(C1−C4アルキル)基で置換されている)、C2−C6アルキル基(これは、1個以上の酸素原子により中断されている)、−(CHCHO)H基、C2−C8アルカノイル基、C3−C12アルケニル基、C3−C6アルケノイル基、シクロヘキシル基、フェニル基(これは、無置換、又は、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、若しくは、C1−C4アルコキシ基で置換されている)、フェニル−C1−C3アルキル基、Si(C1−C8アルキル)(フェニル)3−r基、或いは、下記式(3−1)又は(3−2)で表される基のいずれかである(式(3−1)、(3−2)中、R、R’、及び、Rは、式(1−1)〜(1−4)と同じものが挙げられる)。nは、1〜20であり、rは、1、2又は3である。
は、水素原子、C1−C12アルキル基、C3−C12アルケニル基、シクロヘキシル基、C2−C6アルキル基(これは、−OH基、−SH基、−CN基、C1−C4アルコキシ基、C3−C6アルケンオキシ基、−OCHCHCN基、−OCHCH(CO)O(C1−C4アルキル)基、−O(CO)−C1−C4アルキル基、−O(CO)−フェニル基、−(CO)OH基、又は、−(CO)O(C1−C4アルキル)基で置換されている)、C2−C12アルキル基(これは、1個以上の酸素原子又は硫黄原子により中断されている)、フェニル基(これは、無置換、又は、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、若しくは、C1−C4アルコキシ基で置換されている)、フェニル−C1−C3アルキル基、或いは、下記式(4−1)又は(4−2)で表される基のいずれかである(式(4−1)、(4−2)中、R、R’、及び、Rは、式(1−1)〜(1−4)と同じものが挙げられる)。
10及びR11は、互いに独立して、水素原子、C1−C12アルキル基、C2−C4ヒドロキシアルキル基、C2−C10アルコキシアルキル基、C3−C5アルケニル基、C5−C12シクロアルキル基、フェニル−C1−C3アルキル基、フェニル基(これは、無置換、又は、C1−C12アルキル基又はC1−C4アルコキシ基により置換されている)、C2−C3アルカノイル基、C3−C6アルケノイル基、ベンゾイル基、或いは、R10及びR11が一緒になったC2−C6アルキレン基(これは、場合により酸素原子若しくは−NR−により中断、及び/又は、場合によりヒドロキシル基、C1−C4アルコキシ基、C2−C4アルカノイルオキシ基、若しくは、ベンゾイルオキシ基で置換されている)である。R10が水素原子であるとき、R11は、下記式(5−1)又は(5−2)で表される基のいずれかであってもよい(式(5−1)、(5−2)中、R、R’、及び、Rは、式(1−1)〜(1−4)と同じものが挙げられる)。
Mは、C1−C12アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、−(CO)O−(C2−C12アルキレン)−O(CO)−、−(CO)O−(CHCHO)−(CO)−、又は、−(CO)−(C2−C12−アルキレン)−(CO)−である。
は、直接結合、或いは、C1−C12アルキレンオキシ基(これは、場合により、1〜5個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は、−NR10−により中断されている)である。
は、直接結合、或いは、C1−C12アルキレン−S−(これは、場合により、1〜5個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は、−NR10−により中断されている)である。
は、直接結合、ピペラジノ基、或いは、C1−C12アルキレン−NH−(これは、場合により、1〜5個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は、−NR10−により中断されている)である。
Figure 0006138563
Figure 0006138563
Figure 0006138563
Figure 0006138563
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、特定の構造を有する化合物が、オキシムエステル開始剤として、長波長の光に対して高い反応性を有し、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどないことを見出した。
更に本発明者は、硬化性樹脂と該オキシムエステル開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物を用いた液晶表示素子用シール剤は、硬化性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができるものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のオキシムエステル開始剤は、上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、又は、(1−4)で表される化合物である。
以下、置換基についての説明は、特に指定しない限り、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R’、R’、R’、及び、R’のそれぞれ該当するものに共通する事項についての説明である。
置換されたフェニル基は、1〜4個の置換基にて置換されており、1〜3個置換されていることが好ましく、2個置換されていることがより好ましい。フェニル環の置換基は、フェニル環の4−位、3,4−位、3,4,5−位、2,6−位、2,4−位、又は、2,4,6−位に位置することが好ましく、4−位又は3,4−位に位置することがより好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。
1個以上の酸素原子により中断されているC2−C20アルキル基としては、例えば、−CH−CH−O−CHCH、−〔CHCHO〕−CH(ここで、y=1〜9である)、−(CH−CHO)−CHCH、−CHCH(CH)−O−CHCHCH、−CHCH(CH)−O−CHCH、−CH−CH−O−CH−CH−O−CHCH又は−CH−CH−O−CHCHである。
1個以上のヒドロキシル基により置換されているC2−C20アルキル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2,4−ジヒドロキシブチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。なかでも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イコサノイル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。なかでも、アセチル基が好ましい。
アルカノイルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、イソブタノイルオキシ基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。なかでも、アセチルオキシ基が好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシオカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチルプロポキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、デオシルオキシカルボニル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。なかでも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基がより好ましい。
置換されたフェノキシカルボニル基は、1〜4個の置換基にて置換されており、1〜3個置換されていることが好ましく、2個置換されていることがより好ましい。フェニル環の置換基は、フェニル環の4−位、3,4−位、3,4,5−位、2,6−位、2,4−位、又は、2,4,6−位に位置することが好ましく、4−位又は3,4−位に位置することがより好ましい。
フェニル−C1−C3アルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。なかでも、ベンジル基が好ましい。
アルケニル基としては、例えば、アリル基、メタリル基、1,1−ジメチルアリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ペンタジエニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、ドデシル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。なかでも、アリル基が好ましい。
アルケンオキシ基としては、例えば、アリルオキシ基、メタリルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテンオキシ基、1,3−ペンタジエニルオキシ基、5−ヘキセニルオキシ基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。
アルケノイル基としては、例えば、プロペノイル基、2−メチル−プロペノイル基、ブテノイル基、ペンテノイル基、1,3−ペンタジエノイル基、5−ヘキセノイル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子がより好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のうち、炭素原子の相当する数のものが挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
本発明のオキシムエステル開始剤は、上記式(1−1)で表される化合物が好ましい。
又はR’は、極性基を有することが好ましく、極性基を有するC1−C20アルキル基であることがより好ましい。R又はR’を、極性基を有するものとすることにより、例えば、本発明のオキシムエステル開始剤を液晶表示素子用シール剤に用いた場合に、より液晶汚染を抑制することができる。
上記極性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ウレタニル基等が挙げられる。なかでも、硬化性樹脂組成物中の保管安定性や耐湿性の点からことから、ヒドロキシル基が好ましい。
上記式(1−1)、(1−2)において、R、R、R、及び、Rは、水素原子であり、かつ、Rは、ベンゼンスルフェニル基であることが好ましい。
また、上記式(1−3)、(1−4)において、R’及びR’は、水素原子であり、かつ、R は、ベンゼンスルフェニル基であることが好ましい。
は、上記式(2−2)又は(2−3)で表される基であることが好ましい。Rを、上記式(2−2)又は(2−3)で表される基とすることにより、得られるオキシムエステル開始剤が、長波長の光に対してより高い反応性を有するものとなる。
上記式(2−1)及び(2−2)において、Xで表される複素環としては、ピリジン環、チオフェン環が好ましい。
上記式(2−3)において、Yで表される複素環としては、ベンゼン環が好ましい。
本発明のオキシムエステル開始剤としては、長波長の光に対する反応性に特に優れ、かつ、例えば、液晶表示素子用シール剤に用いた場合に、より液晶汚染を抑制することができることから、下記式(6)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006138563
本発明のオキシムエステル開始剤を製造する方法としては、例えば、上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、又は、(1−4)におけるRが水素であるオキシム化合物を製造し、該オキシム化合物と、Rを有するアシルクロリド又はRを有する酸無水物とを反応させる方法等が挙げられる。
具体的には例えば、アシル化合物を、テトラヒドロフラン等の不活性溶媒に溶解し、アミルナイトライトを加えて反応を進行させ、アシル化合物をオキシム化した後、得られたオキシム化合物とヒドロキシル基を有するニトロベンゾイルクロリドとを、不活性溶媒中で、トリエチルアミン等の塩基の存在下において反応させる方法により、製造することができる。
硬化性樹脂と、本発明のオキシムエステル開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明のオキシムエステル開始剤を含有する。
本発明のオキシムエステル開始剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、液晶表示素子用シール剤として用いた場合に、長波長の光に対する光硬化性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができるものとなる。
本発明の硬化性樹脂組成物における本発明のオキシムエステル開始剤の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5.0重量部である。本発明のオキシムエステル開始剤の含有量が0.1重量部未満であると、得られる硬化性樹脂組成物の光重合が充分に進行しないことがある。上記本発明のオキシムエステル開始剤の含有量が5.0重量部を超えると、未反応のオキシムエステル開始剤が多く残り、得られる硬化性樹脂組成物の耐候性が悪くなったり、得られる硬化性樹脂組成物が保存安定性に劣るものとなったり、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤に用いた場合に液晶汚染が生じたりすることがある。本発明のオキシムエステル開始剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は3.0重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル樹脂を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル樹脂」とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基(以下、併せて「(メタ)アクリロイルオキシ基」ともいう)を有する樹脂を意味する。また、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。更に、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ樹脂中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
上記エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
また、上記エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるもの等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれも三菱化学社製)、エピクロン850(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコート806、エピコート4004(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコートYX−4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−50TE(新日鐵化学社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−80DE(新日鐵化学社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−670−EXP−S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN−165S(新日鐵化学社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコート630(三菱化学社製)、エピクロン430(DIC社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX−1542(新日鐵化学社製)、エピクロン726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR−450、YR−207(いずれも新日鐵化学社製)、エポリードPB(ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも新日鐵化学社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれも三菱化学社製)、EXA−7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、具体的には例えば、レゾルシノール型エポキシアクリレートは、レゾルシノール型エポキシ樹脂(EX−201、ナガセケムテックス社製)360重量部と、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部と、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部と、アクリル酸210重量部とを、空気を送り込んで還流攪拌しながら、90℃で5時間反応させることによって製造することができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYLRDX63182(いずれもダイセル・サイテック社製)、EA−1010、EA−1020、EA−5323、EA−5520、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品やエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、具体的には例えば、トリメチロールプロパン134重量部、重合禁止剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート51重量部を加え、空気を送り込んで還流攪拌しながら90℃で2時間反応させることにより得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL8804、EBECRYL8803、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL1290、EBECRYL5129、EBECRYL4842、EBECRYL210、EBECRYL4827、EBECRYL6700、EBECRYL220、EBECRYL2220(いずれもダイセル・サイテック社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(いずれも共栄社化学社製)等が挙げられる。
上記硬化性樹脂は、得られる硬化性樹脂組成物の接着性を向上させることを目的として、更に、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。上記エポキシ樹脂としては、例えば、上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ樹脂や、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂とは、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とをそれぞれ1つ以上有する樹脂を意味し、例えば、2つ以上のエポキシ樹脂の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、UVACURE1561(ダイセル・サイテック社製)が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が上記エポキシ樹脂を含有する場合、(メタ)アクリロイルオキシ基とエポキシ基との比が50:50〜95:5になるように上記(メタ)アクリル樹脂と上記エポキシ樹脂とを配合することが好ましい。(メタ)アクリロイルオキシ基の比率が50%未満であると、重合が完了しても未硬化のエポキシ樹脂成分が多く存在するため、本発明の硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤に用いた場合、液晶汚染が発生することがある。(メタ)アクリロイルオキシ基の比率が95%を超えると、得られる硬化性樹脂組成物が接着性に劣るものとなることがある。
上記硬化性樹脂は、例えば、液晶表示素子用シール剤に用いた場合の液晶汚染を抑える点で、−OH基、−NH−基、−NH基等の水素結合性のユニットを有するものが好ましく、合成の容易さ等からエポキシ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル基を有する樹脂は、反応性の高さから分子中に(メタ)アク
リル基を2〜3個有するものが好ましい。
上記硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化剤を含有することが好ましい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記有機酸ヒドラジドとしては、例えば、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、SDH、ADH(いずれも大塚化学社製)、アミキュアVDH、アミキュアVDH−J、アミキュアUDH(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量が1重量部未満であると、得られる硬化性樹脂組成物を充分に熱硬化させることができないことがある。上記熱硬化剤の含有量が50重量部を超えると、得られる硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、塗布性が悪くなることがある。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、粘度の向上、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善、硬化物の耐湿性の更なる向上等を目的として充填剤を含有することが好ましい。
上記充填剤としては、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト活性白土、窒化アルミニウム等の無機充填剤や、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記充填剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物全体100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が70重量部である。上記充填剤の含有量が10重量部未満であると、接着性の改善等の効果が充分に発揮されないことがある。上記充填剤の含有量が70重量部を超えると、得られる硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、塗布性が悪くなることがある。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は60重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主に硬化性樹脂組成物と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
上記シランカップリング剤としては、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができることから、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、本発明のオキシムエステル開始剤と、必要に応じて添加するシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物における、E型粘度計を用いて25℃、1rpmの条件で測定した粘度の好ましい下限は5万Pa・s、好ましい上限は50万Pa・sである。上記粘度が5万Pa・s未満であったり、50万Pa・sを超えたりすると、硬化性樹脂組成物を基板等に塗布する際の作業性が悪くなることがある。上記粘度のより好ましい上限は40万Pa・sである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、液晶表示素子用シール剤、可視光硬化ペースト等に好適に用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物からなる液晶表示素子用シール剤もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような本発明の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子としては、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶表示素子用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、例えば、ITO薄膜等の電極付きのガラス基板やポリエチレンテレフタレート基板等の2枚の透明基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤等をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する工程、本発明の液晶表示素子用シール剤等が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに別の基板を重ね合わせる工程、及び、本発明の液晶表示素子用シール剤等のシールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化させたシール剤を加熱して本硬化させる工程を有する方法等が挙げられる。
本発明によれば、長波長の光に対して高い反応性を有し、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどないオキシムエステル開始剤を提供することができる。また、本発明によれば、該オキシムエステル開始剤を含有する硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物からなる液晶表示素子用シール剤、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
実施例1で製造した式(6)で表される化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例2で製造した式(7)で表される化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例3で製造した式(8)で表される化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例4で製造した式(9)で表される化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例5で製造した式(10)で表される化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例6で製造した式(11)で表される化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例7で製造した式(12)で表される化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例及び比較例で得られたシール剤を用いて遮光部なしの状態で作製した液晶表示素子を模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例で得られたシール剤を用いて遮光部ありの状態で作製した液晶表示素子を模式的に示す断面図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(アシル化合物の製造)
ジクロロエタン100mLと塩化アルミ8.2g(61.7mmol)からなる溶液に、ジフェニルスルフィド10g(53.7mmol)を加え、次いで、10℃でオクタノイルクロライド9.6g(59.1mmol)を15分かけて滴下した。室温下で撹拌して反応を進行させた後、反応液を氷水に注ぎ、油水分離し、有機層を水で洗浄した。ジクロロメタンを加えてオクタノイルクロライド残渣を取り除いた後に、1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で二度有機層を洗浄し13.6gのアシル化合物Aを得た。
(アシル化合物のオキシム化)
上記「(アシル化合物の製造)」で得られたアシル化合物A5.0g(16mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、36%の塩酸3.6g(20mL)を加え、アミルナイトライト3.0g(25.6mmol)を室温下で加えた。2時間撹拌して反応を進行させた後、反応液を油水分離し、シリカゲルカラムで濾過し、4.9gのオキシム化合物Bを得た。
(オキシム化合物オキシムエステル化)
上記「(アシル化合物のオキシム化)」で得られたオキシム化合物B1等量とトリエチルアミン2.5等量のテトラヒドロフラン溶解液(50mL)へ、p−ニトロ−m−ヒドロキシベンゾイルクロリド1.5〜2等量を0〜10℃の温度下で滴下し、18時間撹拌した。温度を室温まで上げ、100mLのジエチルエーテルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、1mol/L硫酸水素カリウム溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、最後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を減圧除去し上記式(6)で表される化合物を得た。得られた式(6)で表される化合物のH−NMRスペクトルを図1に示す。
(液晶表示素子用シール剤の調製)
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより液晶表示素子用シール剤を調製した。
(実施例2)
実施例1と同様にして得られたオキシム化合物B1等量とトリエチルアミン1.5等量のテトラヒドロフラン溶解液(16mL/mg基質)へ、p−ニトロベンゾイルクロリドを0〜5℃の温度下で滴下し、16時間撹拌した。温度を室温まで上げ、100mLのジエチルエーテルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、1mol/L硫酸水素カリウム溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、最後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を減圧除去し下記式(7)で表される化合物を得た。得られた式(7)で表される化合物のH−NMRスペクトルを図2に示す。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより液晶表示素子用シール剤を調製した。
Figure 0006138563
(実施例3)
「(オキシム化合物オキシムエステル化)」において、p−ニトロベンゾイルクロリドに代えてピリジルベンゾイルクロリドを用いたこと以外は、実施例2と同様にして下記式(8)で表される化合物を得た。得られた式(8)で表される化合物のH−NMRスペクトルを図3に示す。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより液晶表示素子用シール剤を調製した。
Figure 0006138563
(実施例4)
「(オキシム化合物のオキシムエステル化)」において、p−ニトロベンゾイルクロリドに代えてチエニルベンゾイルクロリドを用いたこと以外は、実施例2と同様にして下記式(9)で表される化合物を得た。得られた式(9)で表される化合物のH−NMRスペクトルを図4に示す。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより液晶表示素子用シール剤を調製した。
Figure 0006138563
(実施例5)
p−ニトロ−m−ヒドロキシベンゾイルクロリドに代えて、m−ジニトロベンゾイルクロリドを用いたこと以外は、実施例1と同様にして下記式(10)で表される化合物を得た。得られた式(10)で表される化合物のH−NMRスペクトルを図5に示す。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより液晶表示素子用シール剤を調製した。
Figure 0006138563
(実施例6)
p−ニトロ−m−ヒドロキシベンゾイルクロリドに代えて、p−ヒドロキシ−m−ニトロベンゾイルクロリドを用いたこと以外は、実施例1と同様にして下記式(11)で表される化合物を得た。得られた式(11)で表される化合物のH−NMRスペクトルを図6に示す。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより液晶表示素子用シール剤を調製した。
Figure 0006138563
(実施例7)
p−ニトロ−m−ヒドロキシベンゾイルクロリドに代えて、p−ヒドロキシ−m−ジニトロベンゾイルクロリドを用いたこと以外は、実施例1と同様にして下記式(12)で表される化合物を得た。得られた式(12)で表される化合物のH−NMRスペクトルを図7に示す。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより液晶表示素子用シール剤を調製した。
Figure 0006138563
(比較例1)
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより比較例1、2の液晶表示素子用シール剤を調製した。
なお、比較例1で用いた「IRGACURE 651」は、下記式(13)で表される化合物である。
Figure 0006138563
<評価>
各実施例及び各比較例で得られた液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(長波長光硬化性)
各実施例及び各比較例で得られた液晶表示素子用シール剤をガラス基板上に約5μm塗布し、その基板に同サイズのガラス基板を重ね合わせ、次に、405nm、100mW/cmの光を30秒照射した。赤外分光装置(BIORAD社製、「FTS3000」)を用い、アクリロイル基由来ピークの光照射前後での変化量を測定することで光硬化性の評価を行った。光照射後にアクリロイル基由来のピークが93%以上減少した場合を「◎」、光照射後にアクリロイル基由来のピークが85%以上93%未満減少した場合を「○」、光照射後にアクリロイル基由来のピークが75%以上85%未満減少した場合を「△」、光照射後のアクリロイル基由来のピークの減少が75%未満であった場合を「×」として長波長光硬化性を評価した。
(液晶汚染性)
各実施例及び各比較例で得られた液晶表示素子用シール剤100重量部にスペーサ微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI−H050」)1重量部を分散させ、液晶表示素子用シール剤として、2枚のラビング済み配向膜及び透明電極付き基板の一方にシール剤の線幅が1mmになるようにディスペンサーで塗布した。
続いて液晶(チッソ社製、「JC−5004LA」)の微小滴を透明電極付き基板のシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方の透明電極付きカラーフィルター基板を貼り合わせ、シール剤部分にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒照射して硬化させ、更に、120℃で1時間加熱して液晶表示素子を得た。
液晶表示素子は、ディスペンサーでシール剤の塗布位置をコントロールし、シール剤に完全に光が当たる液晶表示素子(遮光部なし)と、シール剤がカラーフィルター基板のブラックマトリックスに線幅の50%がかかるように塗布した液晶表示素子(遮光部あり)の2種類を作製した。図8に示すように、シール剤1に遮光部がないものは完全にシール剤1が光に当たる状態であり、一方、シール剤1に遮光部がある液晶表示素子は、図9に示すように、液晶3と接する部分のシール剤1は、ブラックマトリックス2で遮蔽されて全く光が当たらない。
得られた液晶表示素子について、作製直後、及び、85℃、85%RHの条件下で50時間動作試験を行った後、80℃で1000時間電圧印加状態とした後のシール剤付近の液晶配向乱れを目視によって確認した。
配向乱れは表示部の色むらより判断しており、色むらの程度に応じて、色むらが全くなかった場合を「◎」、色むらが微かにあった場合を「○」、色むらが少しあった場合を「△」、色むらがかなりあった場合を「×」として液晶汚染性を評価した。
なお、評価が「◎」、「○」の液晶表示素子は実用に全く問題のないレベルである。
Figure 0006138563
本発明によれば、長波長の光に対して高い反応性を有し、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどないオキシムエステル開始剤を提供することができる。また、本発明によれば、該オキシムエステル開始剤を含有する硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物からなる液晶表示素子用シール剤、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
1 シール剤
2 ブラックマトリックス
3 液晶

Claims (8)

  1. 下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、又は、(1−4)で表される化合物であることを特徴とするオキシムエステル開始剤。
    Figure 0006138563
    式(1−1)〜(1−4)中、Rは、フェニル基(これは、無置換、又は、C1−C6アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、OR基、SR基、若しくは、NR1011基の1個以上により置換されている)、C1−C20アルキル基又はC2−C20アルキル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、極性基を有するC1−C20アルキル基、C5−C8シクロアルキル基、C2−C20アルカノイル基、ベンゾイル基(これは、無置換、又は、1個以上の、C1−C6アルキル基、フェニル基、OR基、SR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、C2−C12アルコキシカルボニル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、フェノキシカルボニル基(これは、無置換、又は、1個以上の、C1−C6アルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、OR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、−CONR1011基、CN基、NO基、C1−C4ハロアルキル基、S(O)C1−C6アルキル基、非置換若しくはC1−C12アルキル−置換S(O)−C6−C12アリール基、SOOC1−C6アルキル基、SOO−C6−C10アリール基、或いは、ジフェニル−ホスフィノイル基であり、mは、1又は2である。
    ’は、C1−C12アルキル基(これは、無置換、又は、1個以上の、ハロゲン原子、OH基、OR基、フェニル基、ハロゲン化フェニル基、若しくは、SR置換フェニル基により置換されており、かつ、場合により酸素原子又は−NH(CO)−により中断されている)である。
    は、下記式(2−1)〜(2−11)のいずれかで表される基である。Xは、複素環であり、Yは、芳香環である。
    、R 、R 、及び、Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基(これは、無置換、又は、1個以上の、OR基、SR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、ベンジル基、ベンゾイル基、C2−C12アルカノイル基、C2−C12アルコキシカルボニル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、フェノキシカルボニル基、OR基、SR基、SOR基、SO基、或いは、NR1011基(ここで、OR基、SR基、及び、NR1011基は、場合によりフェニル環の更なる置換基又はフェニル環の炭素原子の一つと、R、R、R10、及び/又は、R11を介して5員環又は6員環を形成する)である。
    は、ベンゼンスルフェニル基である。
    、及び、R’は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基(これは、無置換、又は、OR基、SR基、若しくは、NR1011基により置換されている)、ベンジル基、ベンゾイル基、C2−C12アルカノイル基、C2−C12アルコキシカルボニル基(これは、場合により1個以上の酸素原子により中断、及び/又は、場合により1個以上のヒドロキシル基により置換されている)、フェノキシカルボニル基、OR基、SR基、SOR基、SO基、或いは、NR1011基(ここで、OR基、SR基、及び、NR1011基は、場合によりフェニル環の更なる置換基又はフェニル環の炭素原子の一つと、R、R、R10、及び/又は、R11を介して5員環又は6員環を形成する)である。
    ’は、ベンゼンスルフェニル基である。
    は、水素原子、C1−C12アルキル基、C2−C6アルキル基(これは、−OH基、−SH基、−CN基、C1−C4アルコキシ基、C3−C6アルケンオキシ基、−OCHCHCN基、−OCHCH(CO)O(C1−C4アルキル)基、−O(CO)−C1−C4アルキル基、−O(CO)−フェニル基、−(CO)OH基、又は、−(CO)O(C1−C4アルキル)基で置換されている)、C2−C6アルキル基(これは、1個以上の酸素原子により中断されている)、−(CHCHO)H基、C2−C8アルカノイル基、C3−C12アルケニル基、C3−C6アルケノイル基、シクロヘキシル基、フェニル基(これは、無置換、又は、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、若しくは、C1−C4アルコキシ基で置換されている)、フェニル−C1−C3アルキル基、Si(C1−C8アルキル)(フェニル)3−r基、或いは、下記式(3−1)又は(3−2)で表される基のいずれかである(式(3−1)、(3−2)中、R、R’、及び、Rは、式(1−1)〜(1−4)と同じものが挙げられる)。nは、1〜20であり、rは、1、2又は3である。
    は、水素原子、C1−C12アルキル基、C3−C12アルケニル基、シクロヘキシル基、C2−C6アルキル基(これは、−OH基、−SH基、−CN基、C1−C4アルコキシ基、C3−C6アルケンオキシ基、−OCHCHCN基、−OCHCH(CO)O(C1−C4アルキル)基、−O(CO)−C1−C4アルキル基、−O(CO)−フェニル基、−(CO)OH基、又は、−(CO)O(C1−C4アルキル)基で置換されている)、C2−C12アルキル基(これは、1個以上の酸素原子又は硫黄原子により中断されている)、フェニル基(これは、無置換、又は、ハロゲン原子、C1−C12アルキル基、若しくは、C1−C4アルコキシ基で置換されている)、フェニル−C1−C3アルキル基、或いは、下記式(4−1)又は(4−2)で表される基のいずれかである(式(4−1)、(4−2)中、R、R’、及び、Rは、式(1−1)〜(1−4)と同じものが挙げられる)。
    10及びR11は、互いに独立して、水素原子、C1−C12アルキル基、C2−C4ヒドロキシアルキル基、C2−C10アルコキシアルキル基、C3−C5アルケニル基、C5−C12シクロアルキル基、フェニル−C1−C3アルキル基、フェニル基(これは、無置換、又は、C1−C12アルキル基又はC1−C4アルコキシ基により置換されている)、C2−C3アルカノイル基、C3−C6アルケノイル基、ベンゾイル基、或いは、R10及びR11が一緒になったC2−C6アルキレン基(これは、場合により酸素原子若しくは−NR−により中断、及び/又は、場合によりヒドロキシル基、C1−C4アルコキシ基、C2−C4アルカノイルオキシ基、若しくは、ベンゾイルオキシ基で置換されている)である。R10が水素原子であるとき、R11は、下記式(5−1)又は(5−2)で表される基のいずれかであってもよい(式(5−1)、(5−2)中、R、R’、及び、Rは、式(1−1)〜(1−4)と同じものが挙げられる)。
    Mは、C1−C12アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、−(CO)O−(C2−C12アルキレン)−O(CO)−、−(CO)O−(CHCHO)−(CO)−、又は、−(CO)−(C2−C12−アルキレン)−(CO)−である。
    は、直接結合、或いは、C1−C12アルキレンオキシ基(これは、場合により、1〜5個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は、−NR10−により中断されている)である。
    は、直接結合、或いは、C1−C12アルキレン−S−(これは、場合により、1〜5個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は、−NR10−により中断されている)である。
    は、直接結合、ピペラジノ基、或いは、C1−C12アルキレン−NH−(これは、場合により、1〜5個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は、−NR10−により中断されている)である。
    Figure 0006138563
    Figure 0006138563
    Figure 0006138563
    Figure 0006138563
  2. は、式(2−2)又は(2−3)で表される基であることを特徴とする請求項1記載のオキシムエステル開始剤。
  3. 又はR’は、極性基を有することを特徴とする請求項1又は2記載のオキシムエステル開始剤。
  4. 下記式(6)で表される化合物であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のオキシムエステル開始剤。
    Figure 0006138563
  5. 硬化性樹脂と、請求項1、2、3又は4記載のオキシムエステル開始剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項5記載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
  7. 請求項6記載の液晶表示素子用シール剤と、導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
  8. 請求項6記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項7記載の上下導通材料を用いて製造されることを特徴とする液晶表示素子。
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