JP6137726B2 - 人造大理石、浴槽、および人造大理石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、浴槽、洗面ボウル、キッチン用シンクなどに利用可能な不飽和ポリエステル樹脂製の人造大理石、及びその人造大理石製の浴槽に関する発明である。
従来、浴槽、洗面カウンター・ボウル、キッチンカウンター・シンク、トイレ用部材などのいわゆる「水回り」製品などには、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を主とする組成物を硬化・成形して製造している。上記のような用途では、使用と共に汚れが付着し、染みついて汚れが除去しにくい場合がある。そこで、不飽和ポリエステル樹脂組成物などの熱硬化性樹脂製浴槽の表面の親水性を高めることにより汚れの付着を防止し、付いた汚れを清掃し易くすることで結果として易清掃性を確保することが求められている。
浴槽の汚れには主に浴槽リム部に付着する水垢汚れと浴槽喫水部に付着する人体由来の皮脂汚れがある。特に浴槽喫水部に付着する人体由来の皮脂汚れは清掃頻度が高く(ほぼ毎日清掃)、清掃方法も腰を屈めたりと窮屈な姿勢で清掃するなど浴槽の清掃負荷は軽くない。また、浴槽の大型化や使用者の高齢化、共働き世帯の増加などによる家事軽減などにより浴槽の易清掃性の向上の要望は強まっている。浴槽の易清掃性を考えると、シャワー洗浄だけで日頃の清掃が出来れば浴槽の清掃負荷は大幅に軽減することができる。
特許文献1には、硬化した不飽和ポリエステル樹脂硬化体にポリエチレングリコール又はそのアルキルエーテルを塗布又は浸漬して窒素気流化でグラフト重合して、樹脂組成物の表面に親水化を施してなる防汚性建築用不飽和ポリエステル硬化体が開示されている。
この場合、不飽和ポリエステル樹脂を硬化させて成形体を得た後に、さらに硬化体の表面にポリエチレングリコールをグラフト重合するので、2度の工程が必要となり手間であるうえ特別な設備が必要となるという題あった
また、特許文献2には、不飽和ポリエステルに対し、超微粒子状無水シリカ、重量平均分子量1,000〜5,000,000のポリエチレングリコール又はポリエチレンオキサイドが特定量添加された親水化剤を用いた樹脂体が開示されている。
しかし、この場合、親水性が不十分であり、親水性を向上させるため、不飽和ポリエステル樹脂に不相溶である親水化剤の添加量を多くすると、得られた硬化体の硬化性が低下し、硬化体表面にべとつきが発生したり、親水性機能を長期間維持することができないなどの問題があった。
また、特許文献3には、防汚性プラスチック品として非官能性モノマーと親水基をもつ官能性モノマーとを付加重合させてプラスチックを生成し、このプラスチックを型成形により硬化及び成形する技術が開示されている。
しかし、本技術は熱可塑性のアクリル樹脂に親水基を付加する技術であり、熱硬化性の不飽和ポリエステル樹脂に応用するのは難しい。
特開2006−298985号公報 特開2005−29586号公報 特開平10−87856号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、人造大理石の表面の清掃を容易化するのに好適とするために、不飽和ポリエステル樹脂人造大理石の表面を親水性に表面改質することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明は、不飽和ポリエステル樹脂組成物を成型して得られる人造大理石であって、前記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和二塩基酸(A成分)、飽和二塩基酸(B成分)、下記化学式(1)で表されるジオール(C成分)および下記化学式(2)で表されるジオール(D成分)を含む原料組成物を重縮合反応させて得られる親水化剤と、不飽和ポリエステル樹脂とを含むことを特徴とする。
[化学式(1)] HO-R1-OH
[化学式(2)] H-(-O-CH2-CH2-)-O-R2-O-(-CH2-CH2-O-)-H
(但し、化学式(1)中のR1は、炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。また、化学式(2)中のR2は、炭素数5以上22以下の炭化水素であり、nとmはそれぞれ1以上99以下の整数であり、且つn+mは10以上100以下である。)
上記不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる人造大理石は易清掃性の浴槽に好適な不飽和ポリエステル樹脂表面を親水性に表面改質することを可能とした。人造大理石の表面の水に対する接触角を従来よりも小さくして、高い親水性を持たせることができるので、人造大理石の表面に付着した人体由来の油脂汚れや油汚れを日頃の清掃はシャワー洗浄だけでの清掃も可能となる。
一般的な、不飽和ポリエステル系の人造大理石の製造設備を用いて製造することができるので、製造コストの増大を防げる。
また、請求項2記載の発明によれば、前記不飽和ポリエステル樹脂組成物中の親水化剤の配合量が、5〜50質量%であることを特徴とすることにより、易清掃性の浴槽に好適な不飽和ポリエステル樹脂表面を親水性に表面改質することを可能とした。不飽和ポリエステル樹脂組成物中の親水化剤の配合量を5〜50質量%とすることにより、不飽和ポリエステル樹脂人造大理石を親水性に表面改質し、人造大理石の表面に付着した人体由来の油脂汚れや油汚れを従来より簡単に落とすことが可能となる。
また、請求項3記載の発明によれば、前記不飽和ポリエステル樹脂組成物中の親水化剤の配合量が、10〜40質量%であることにより、易清掃性の浴槽にさらに好適な不飽和ポリエステル樹脂表面を親水性に表面改質することを可能とした。不飽和ポリエステル樹脂組成物中の親水化剤の配合量を10〜40質量%とすることにより、不飽和ポリエステル樹脂人造大理石を親水性に表面改質し、人造大理石の表面に付着した人体由来の油脂汚れや油汚れを従来より簡単に落とすことが可能となり、また、人造大理石浴槽として耐水性、耐熱水性などを長期にわたって損なうことなく、さらに不飽和ポリエステル樹脂に比べて比較的高価な親水化剤の配合を最適化でき、製造コストの大幅な増大を防げる。
また、請求項4記載の発明によれば、前記人造大理石は、前記親水化剤を含まない不飽和ポリエステル樹脂組成物からなる基部と、前記親水化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物からなり前記基部の表面を覆う表面層と、を備えることにより、人造大理石表面のみに親水化剤を含むので、コストを抑えることができる。
また、請求項5記載の発明によれば、浴槽を、請求項1〜4のいずれかに記載の人造大理石により形成するので、入浴するたびに浴槽の表面に残る人体由来の油脂汚れを従来よりも簡単に落とすことができるので、清掃性が向上する。
また、請求項6記載の発明は、不飽和二塩基酸(A成分)、飽和二塩基酸(B成分)、下記化学式(1)で表されるジオール(C成分)および下記化学式(2)で表されるジオール(D成分)を含む原料組成物を重縮合反応させて得られる親水化剤と、不飽和ポリエステル樹脂と含む不飽和ポリエステル樹脂組成物を注型成形することを特徴とする人造大理石の製造方法である。
[化学式(1)] HO-R1-OH
[化学式(2)] H-(-O-CH2-CH2-)-O-R2-O-(-CH2-CH2-O-)-H
(但し、化学式(1)中のR1は、炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。また、化学式(2)中のR2は、炭素数5以上22以下の炭化水素であり、nとmはそれぞれ1以上99以下の整数であり、且つn+mは10以上100以下である。)
これにより、一般的な、不飽和ポリエステル系の人造大理石の製造設備を用いて、従来よりも親水性に優れ防汚性の高い人造大理石を製造することができる。
また、請求項7記載の発明は、不飽和二塩基酸(A成分)、飽和二塩基酸(B成分)、下記化学式(1)で表されるジオール(C成分)および下記化学式(2)で表されるジオール(D成分)を含む原料組成物を重縮合反応させて得られる親水化剤と、不飽和ポリエステル樹脂と含む不飽和ポリエステル樹脂組成物を型の表面に塗布し、前記親水化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物が塗布された型内に前記親水化剤を含まない不飽和ポリエステル樹脂組成物を注入して人造大理石を成形することを特徴とする人造大理石の製造方法である。
[化学式(1)] HO-R1-OH
[化学式(2)] H-(-O-CH2-CH2-)-O-R2-O-(-CH2-CH2-O-)-H
(但し、化学式(1)中のR1は、炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。また、化学式(2)中のR2は、炭素数5以上22以下の炭化水素であり、nとmはそれぞれ1以上99以下の整数であり、且つn+mは10以上100以下である。)
これにより、一般的な、不飽和ポリエステル系の人造大理石の製造設備や製造方法を用いて、従来よりも親水性に優れ防汚性の高い人造大理石を製造することができる。
さらに、人造大理石表面のみに親水化剤を含むので、コストを抑えることができる。
本発明によれば、不飽和ポリエステル樹脂人造大理石の表面を親水性に表面改質することが可能となり、人造大理石の表面に付着した人体由来の油脂汚れや油汚れを従来より簡単に落とすことができ、使用者の清掃負荷を軽減することが可能となる。
本発明の一態様である不飽和ポリエステル樹脂浴槽の構造を示す図である。 本発明の一態様である不飽和ポリエステル樹脂浴槽の構造を示す図である。
まず、本発明にかかる人造大理石(不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体)を構成する成分について説明する。
この人造大理石は、親水化剤を配合した不飽和ポリエステル樹脂で成形されている。親水化剤は、不飽和二塩基酸(A成分)、飽和二塩基酸(B成分)、後述するジオール(C成分)およびジオール(D成分)を含む不飽和ポリエステルからなるものである。
本発明に用いる不飽和二塩基酸(A成分)は、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体を指し、具体的には、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、ハロマレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ハロマレイン酸などが挙げられ、好ましくはマレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸である。これら不飽和二塩基酸は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる飽和二塩基酸(B成分)は、飽和ジカルボン酸およびその誘導体を指し、具体的には、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、無水フタル酸、無水コハク酸などが挙げられ、好ましくは無水フタル酸、イソフタル酸である。これら飽和二塩基酸は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いるジオール(C成分)は、下記化学式(1)で表され、式中のR1は炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。上記R1としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、イソペンテン、ネオペンテンなどが挙げられる。
[化学式(1)] HO-R1-OH
(但し、化学式(1)中のR1は、炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。)
C成分としては、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、好ましくはプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールである。
上記R1の炭素数が6以上の場合、重縮合の反応性が低下してポリエステル化が困難となる場合がある。
本発明に用いるジオール(D成分)は、下記の化学式(2)で表され、式中のR2は炭素数5以上22以下の炭化水素である。
式中のnおよびmは1以上99以下の整数であり、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜25である。式中のn+mは10以上100以下であり、好ましくは10〜80、より好ましくは10〜50である。nおよびmが上記範囲より大きい場合は、重縮合の反応性が低下し、ポリエステル化が困難となる場合がある。また、nおよびmの和が、上記範囲より小さい場合は十分な親水性が発現できない場合があり、上記範囲より大きい場合は、重縮合の反応性が低下し、ポリエステル化が困難となる場合がある。
[化学式(2)] H-(-O-CH2-CH2-)n-O-R2-O-(-CH2-CH2-O-)m-H
(但し、化学式(2)中のR2は、炭素数5以上22以下の炭化水素であり、nとmはそれぞれ1以上99以下の整数であり、且つn+mは10以上100以下である。)
上記R2は炭素数5以上22以下のアルカン類、アルケン類、アルキン類、シクロアルカン類、シクロアルケン類、アレーン類などの炭化水素である。本発明に用いることができるR2としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ヘンイコサン、ドコサンなどのアルカン類、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デケン、ウンデケン、ドデケン、トリデケン、テトラデケン、ペンタデケン、ヘキサデケン、ヘプタデケン、オクタデケン、ノナデケン、イコセン、ヘンイコセン、ドコセン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘンイコサジエン、ドコサジエン、ヘキサトリエン、ヘプタトリエン、オクタトリエン、ノナトリエン、デカトリエン、ウンデカトリエン、ドデカトリエン、テトラデカトリエン、ペンタデカトリエン、ヘキサデカトリエン、ヘプタデカトリエン、オクタデカトリエン、ノナデカトリエン、イコサトリエン、ヘンイコサトリエン、ドコサトリエン、オクタテトラエン、ノナテトラエン、デカテトラエン、ウンデカテトラエン、ドデカテトラエン、トリデカテトラエン、テトラデカテトラエン、ペンタデカテトラエン、ヘキサデカテトラエン、ヘプタデカテトラエン、オクタデカテトラエン、ノナデカテトラエン、イコサデカテトラエン、ヘンイコサデカテトラエン、ドコサテトラエン、デカペンタエン、ウンデカペンタエン、ドデカペンタエン、テトラデカペンタエン、ペンタデカペンタエン、ヘキサデカペンタエン、ヘプタデカペンタエン、オクタデカペンタエン、ノナデカペンタエン、イコサペンタエン、ヘンイコサペンタエン、ドコサペンタエン、ドデカヘキサエン、トリデカヘキサエン、テトラデカヘキサエン、ペンタデカヘキサエン、ヘキサデカヘキサエン、ヘプタデカヘキサエン、オクタデカヘキサエン、ノナデカヘキサエン、イコサヘキサエン、ヘンイコサヘキサエン、ドコサヘキサエンなどのアルケン類、ペンチン、ヘキシン、ヘプチン、オクチン、ノニン、デキン、ウンデキン、ドデキン、トリデキン、テトラデキン、ペンタデキン、ヘキサデキン、ヘプタデキン、オクタデキン、ノナデキン、イコシン、ヘンイコシン、ドコシンなどのアルキン類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロヘキサデカン、シクロヘプタデカン、シクロオクタデカン、シクロノナデカン、シクロイコサン、シクロヘンイコサン、シクロドコサン、ビスシクロヘキシルメタン、ビスシクロヘキシルエタン、ビスシクロヘキシルプロパン、ビスシクロヘキシルブタン、ビスシクロヘキシルペンタン、ビスシクロヘキシルヘキサン、トリシクロヘキシルメタン、トリシクロヘキシルエタン、ノルボルナン、デカリンなどのシクロアルカン類、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデケン、シクロウンデシレン、シクロドデシレン、シクロトリデシレン、シクロテトラデシレン、シクロペンタデシレン、シクロヘキサデシレン、シクロヘプタデシレン、シクロオクタデシレン、シクロノナデシレン、シクロイコセン、シクロヘンイコセン、シクロドコセン、ビスシクロヘキセニルメタン、ビスシクロヘキセニルエタン、ビスシクロヘキセニルプロパン、ビスシクロヘキセニルブタン、ビスシクロヘキセニルペンタン、ビスシクロヘキセニルヘキサン、トリシクロヘキセニルメタン、トリシクロヘキセニルエタン、ノルボルネンなどのシクロアルケン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、スチレン、ナフタレン、ビフェニル、アズレン、アントラセン、フルオレン、トリフェニレン、ピレン、テトラセン、クリセン、ビスフェニルメタン、ビスフェニルエタン、ビスフェニルプロパン、ビスフェニルブタン、ビスフェニルペンタン、ビスフェニルヘキサン、トリフェニルメタン、トリフェニルエタンなどのアレーン類が挙げられる。
ジオール(D成分)を表す化学式(2)はR2で表される炭化水素の異なる2ヶ所の水素原子がポリエトキシ基により置換されたジオールである。また、R2は本発明の効果を阻害しない範囲内で窒素、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいても良い。
D成分としては、具体的にはネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物が挙げられ、好ましくはビスフェノールAエチレンオキサイド付加物である。
親水化剤を構成する不飽和二塩基酸(A成分)と飽和二塩基酸(B成分)の配合モル比(A成分:B成分)は、好ましくは約2:8〜8:2であり、より好ましくは約3:7〜7:3である。上記範囲外であると不飽和ポリエステル樹脂に親水化剤を添加して硬化した不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の硬化性が保たれない場合があり、さらに十分な親水性が発現できなくなる場合がある。
親水化剤を構成する化学式(1)で表されるジオール(C成分)と化学式(2)で表されるジオール(D成分)の配合モル比(C成分:D成分)は、好ましくは約2:8〜8:2であり、より好ましくは約3:7〜7:3である。上記範囲外であると親水化剤作製時の重縮合反応が十分に進まない場合があり、また、十分な親水性が発現できなくなる場合がある。
親水化剤を構成する不飽和二塩基酸(A成分)および飽和二塩基酸(B成分)と、化学式(1)で表されるジオール(C成分)および化学式(2)で表されるジオール(D成分)の配合モル比(A成分+B成分:C成分+D成分)は、好ましくは約9:11〜11:9、より好ましくは約1:1である。上記範囲外であると、親水化剤作製時の重縮合反応が十分に進まない場合がある。
親水化剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の原料を重縮合することができる。例えば本発明で用いる化学式(1)または化学式(2)で表されるジオール(C成分およびD成分:二価アルコール)以外の多価アルコールなどが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ペンタエリスリトールなどの四価アルコールなどが挙げられる。
重縮合によって得られる親水化剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の原料を配合することができる。例えば、親水性モノマーなどが挙げられる。
上記親水性モノマーとしては、スチレンスルホン酸ナトリウム、イソプレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、高級アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビス(ポリエチレングリコール)マレート、ビス(メトキシポリエチレングリコール)マレート、ビス(ブトキシポリエチレングリコール)マレート、ビス(高級アルコキシポリエチレングリコール)マレート、ビス(ノニルフェニルポリエチレングリコール)マレート、ビス(ポリエチレングリコール)フマレート、ビス(メトキシポリエチレングリコール)フマレート、ビス(ブトキシポリエチレングリコール)フマレート、ビス(高級アルコキシポリエチレングリコール)フマレート、ビス(ノニルフェニルポリエチレングリコール)フマレート、ポリオキシエチレンアリルエーテルおよびそのエステル、ポリオキシエチレンペンテニルエーテルおよびそのエステル、ポリオキシエチレンウンデシレニルエーテルおよびそのエステルなどが挙げられる。
親水化剤は、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、化学式(1)で表されるジオールおよび化学式(2)で表されるジオールを公知の方法で重縮合することにより製造することができる。例えば、窒素気流下、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、化学式(1)で表されるジオールおよび化学式(2)で表されるジオールを撹拌しながら約120〜210℃になるように加熱し、脱水重縮合することにより得られる。
親水化剤は、平均分子量が約1500〜20000が好ましく、約2000〜10000がより好ましい。上記範囲外であると、不飽和ポリエステル樹脂に親水化剤を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が不適であり作業性が悪くなる場合があり、また該組成物を硬化・成形加工する際、不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の機械的強度が不適となる場合がある。
親水化剤は、不飽和ポリエステル樹脂に添加して用いられ、親水化剤を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物に硬化剤を添加し、硬化して得られる硬化体表面の親水性を改善することができる。詳しくは、本発明の親水化剤は、分岐状または直鎖状のアルカンを有する化学式(1)で表されるジオールおよびアルカン類、アルケン類、アルキン類、シクロアルカン類、シクロアルケン類、アレーン類などとポリエトキシレートを有する化学式(2)で表されるジオールが用いられているため、対象となる不飽和ポリエチレン樹脂と適度な相溶性を持ち、また、該樹脂が硬化する際、親水化剤が該樹脂と架橋することで対象となる不飽和ポリエステル樹脂の硬化体の特性である物性や耐水性を損なうことなく、長期にわたって親水性機能を維持することができる。
このような親水化剤を配合した不飽和ポリエステル樹脂を成型した不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中の親水化剤の配合量は、好ましくは約5〜50質量%、より好ましくは約10〜40質量%である。上記範囲外であると、本発明の目的が達成されない場合がある。
不飽和ポリエステル樹脂組成物に用いられる不飽和ポリエステルは、不飽和二塩基酸、所望によりその他の多塩基酸を含む酸成分と、アルコール成分とを公知の方法で重縮合反応して得られるものである。
上記不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水フマル酸などが挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
所望により用いられる他の多塩基酸は、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、コハク酸、アゼラインヘキサヒドロフタル酸、酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アントラセン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物、ヘット酸、無水ヘット酸、テトラクロロ無水フタル酸などの塩素化多塩基酸、テトラブロモフタル酸、テトラブモロ無水フタル酸などのハロゲン化多塩基酸などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ペンタエリスリトールなどの四価アルコールなどが用いられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記不飽和ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の原料を配合することができる。例えば、重合禁止剤(例えばハイドロキノン、ピロカテコール、2,6−ジ−ターシャリーブチルパラクレゾールなど。)、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、揺変剤(例えばシリカ粉、アスベスト粉、水素化ヒマシ油、脂肪酸アマイドなど。)、充填剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。
上記の不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させる硬化剤は有機過酸化物が挙げられる。具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの硬化触媒である。有機過酸化物は、不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して約0 .5 〜 3 .0質量%の割合で配合されることが好ましい。
有機過酸化物などの硬化剤の他に、所望により硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルトなどの金属石けん類、ジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、アセチルアセトンなどのβ − ジケトン類、ジメチルアニリン、N−エチル−メタトルイジン、トリエタノールアミンなどのアミン類などが挙げられる。この硬化促進剤の配合割合には特に制限はなく、要求される硬化性に応じて適宜決定される。
次に、本発明にかかる人造大理石の成形方法について説明する。
人造大理石の成形方法としては、BMCプレス成形方法、注入成形方法などが挙げられる。
BMCは、ラジカル硬化系成形材料を配合させて得られる塊状成形材料である。BMCの製造方法としては、例えば樹脂組成物はニーダーなどの混合装置を用いて樹脂(親水化剤含む)、充填剤(炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなど)、ガラス繊維、硬化剤、顔料などを混合することにより得ることができる。混合の順序、混合の方法等は、特に限定されるものではない。
樹脂組成物硬化体は、BMCをプレス機械で加熱、加圧成形することにより得ることができる。成形方法としては、例えば加熱圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の方法が挙げられる。
プレス成形の条件は、一般的なBMCのプレス成形条件と同様に、成形温度が好ましくは40〜180℃、成形圧力が好ましくは1〜20MPa、加圧時間が好ましくは1〜60分の範囲である。かかる範囲内で、使用するBMCの組成内容、樹脂組成物の形状や大きさ等により、適宜選択すればよい。このプレス成形操作により、平板形状はもとより三次元一体形状のものでも、簡単かつ安定的に商品価値の高い人造大理石の樹脂組成物硬化体を成形することができる。
注入成形方法は、型はFRP型、電鋳型があり、BMCプレス成形方法の金型に比べ、型のコストが安価である。数量が多く量産が必要な部材は通常、BMCプレス成形方法(型:金型)を用い、数量があまり多くない部材は通常、型のコストが安価な注入成形方法が用いられる。
注入成形方法もゲルコートの有るタイプと無いタイプがある。ゲルコートの有るタイプは先ず、型にゲルコート剤をスプレーなどで塗装し、乾燥させる。ゲルコート剤は不飽和ポリエステル樹脂(親水化剤含む)と硬化剤を混ぜるが、揺変剤なども添加する。樹脂組成物母材は樹脂、充填剤(炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなど)、ガラス繊維、硬化剤、顔料などを撹拌・混合し、型に注入し、約50℃で乾燥させる。その後脱型するが、この時点ではまだ、充分硬化しておらず、約90℃でアフターキュアし、ほぼ完全硬化させる。
ゲルコートの有るタイプは、図1に示すようにゲルコート層3が不飽和ポリエステル樹脂製の基部1の表面を形成する。すなわち、ゲルコート層3が樹脂組成物硬化体の最表面に出るのでゲルコート剤のみに親水化剤を混合する。なお、基部1の裏面には、FRPバックアップ層2が設けられている。
ゲルコートの無いタイプは注入成形する不飽和ポリエステル樹脂組成物母材に親水化剤を混合する。ゲルコートの無いタイプの成形方法は型内に樹脂組成物を注入成形し、約50℃で乾燥させる。樹脂組成物(親水化剤含む)は樹脂、充填剤(炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなど)、ガラス繊維、硬化剤、顔料などを撹拌・混合する。脱型後、この時点ではまだ、充分硬化しておらず、約90℃でアフターキュアし、ほぼ完全硬化させる。
ゲルコートの無いタイプは、図2に示すように基部1が樹脂組成物硬化体の最表面に出ることになる。
以上に説明した成形方法により、人造大理石製の浴槽、洗面カウンター、洗面ボウル、キッチンカウンター、キッチンシンク、トイレ用部材等を製造することができる。特に、使用するたびに、すなわち入浴するたびに、人体由来の油脂汚れが付着する浴槽を、本発明にかかる人造大理石で製造することにより、浴槽の表面の汚れを従来より簡単に落とすことができるので、腰を曲げて清掃する必要があるために大きな負荷がかかっていた浴槽の清掃を短時間で楽に行うことができ、清掃性が向上する。
また、手洗いする洗面ボウルや、洗いものを行うキッチンシンクでも、人体由来の油脂汚れが付着するので、本発明にかかる人造大理石で製造することにより、表面の汚れを従来より簡単に落とすことができるので、清掃を短時間で楽に行うことができ、清掃性が向上する。
以下に本発明にかかる人造大理石となる不飽和ポリエステル樹脂組成物を実施例で説明するが、これは本発明の一例を説明するものであって、本発明を限定するものではない。
<不飽和ポリエステル樹脂用親水化剤の作製>
(1)原材料
A成分:
無水マレイン酸(商品名:無水マレイン酸;和光純薬社製)
B成分:
無水フタル酸(商品名:無水フタル酸;和光純薬社製)
イソフタル酸(商品名:イソフタル酸;和光純薬社製)
無水コハク酸(商品名:リカシッドSA:新日本理化社製)
C成分:
ネオペンチルグリコール(商品名:ネオペンチルグリコール;三菱ガス化学社製 R1に該当する炭素数は5である。)
プロピレングリコール(商品名:プロピレングリコール;ADEKA社製 R1に該当する炭素数は3である。)
D成分の比較:
ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物(商品名:ビスオール4EN;東邦化学社製 R2に該当する炭素数は15であり、n+mは4である。)
D成分:
ビスフェノールAエチレンオキサイド18モル付加物(商品名:ビスオール18EN;東邦化学社製 R2に該当する炭素数は15であり、n+mは18である。)
ビスフェノールAエチレンオキサイド30モル付加物(商品名:ビスオール30EN;東邦化学社製 R2に該当する炭素数は15であり、n+mは30である。)
ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド20モル付加物(下記製造方法1にて作製
R2に該当する炭素数は5であり、n+mは20である。)
ビスフェノールSエチレンオキサイド20モル付加物(下記製造方法2にて作製 R2に該当する炭素数は12であり、n+mは20である。)
(2)ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド20モル付加物の作製
1リットルオートクレーブ中にネオペンチルグリコール52g(0.50モル)および水酸化カリウム0.5gを仕込み、オートクレーブ内を窒素パージして密封し、攪拌しながら150℃まで昇温した。次に、エチレンオキサイド458g(10モル)をオートクレーブ中に導入し、付加反応を行った。オートクレーブの圧力が一定になり反応が充分進んだところで、温度を120℃まで下げ、オートクレーブ中に窒素パージして常圧にした。リン酸を加えて触媒を中和した後、減圧濾過にて中和塩を除去して、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド20モル付加物500gを得た。
(3)ビスフェノールSエチレンオキサイド20モル付加物の作製
1リットルオートクレーブ中にビスフェノールS 125g(0.50モル)および脂水酸化カリウム0.5gを仕込み、オートクレーブ内を窒素パージして密封し、攪拌しながら150℃まで昇温した。次に、エチレンオキサイド458g(10モル)をオートクレーブ中に導入し、付加反応を行った。オートクレーブの圧力が一定になり反応が充分進んだところで、温度を120℃まで下げ、オートクレーブ中に窒素パージして常圧にした。リン酸を加えて触媒を中和した後、減圧濾過にて中和塩を除去して、ビスフェノールSエチレンオキサイド20モル付加物565gを得た。
(4)原材料配合
上記原材料を用いて作製した親水化剤の配合組成を表1に示した。
Figure 0006137726
(5)親水化剤の作製
[実施例1]
表1に記載の原材料の1倍量を1リットル四つ口フラスコに投入し、ゆっくり攪拌しながらマントルヒーターにて1 時間をかけ210℃に昇温した。縮合水を除去しながら210℃を8時間維持し、常温まで冷却して親水化剤(実施例品1)を615g得た。下記方法で平均分子量を測定したところ、5000以上であった。
[親水化剤の平均分子量の測定方法]
平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記の測定条件で行ったポリスチン換算のピークトップ分子量である。
<測定条件>
カラム:shodex GPC KF−801+shodex GPC KF−802
カラム温度:400℃
検出器:RI
溶離液:THF
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:1mg/mL
注入量:0.02mL
換算標準:ポリスチレン
[実施例2〜6]
実施例1の親水化剤の作製において、原材料を表1の配合に替えた以外は同様に操作を行い、親水化剤(実施例品2〜6)を855g、601g、678g、880g、760g得た。平均分子量を測定したところ、何れも5000以上であった。
[比較例1〜5]
実施例1の親水化剤の作製において、原材料を表1の配合に替えた以外は同様に操作を行い、親水化剤(比較例品1〜5)を855g、815g、778g、180g、335g得た。平均分子量を測定したところ、5000以上、5000以上、2100、3500、4400であった。
<不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の作製>
得られた親水化剤(実施例品1〜6、比較例品1〜5)を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物の親水性を評価するために、不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体を下記方法で作製した。
(1)原材料
不飽和ポリエステル樹脂(商品名:トマテック3Z−006PI;東罐マテリアル・テクノロジー社製、ゲルコート)
硬化剤(商品名:パーメックN;日本油脂社製)
親水化剤(実施例品1〜6、比較例品1〜5)
(2)不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の配合
上記原材料を用いて作製した不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の配合を表2に示す。
Figure 0006137726
(3)不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の評価用サンプルの作製
[試作品1〜13]
表2に記載の1倍量の原材料を加えて撹拌し、PETフィルム(幅100mm×奥行100mm×厚み25μm)上に10gを刷毛で塗布し、常温で24時間硬化を行った後、60℃60分間の条件で乾燥し、90℃で1.5hrアフターキュアを行った後にPETフィルムを隔離して不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体(試作品1〜13)を得た。
<不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の評価>
(1)硬化性の評価
得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の表面を手で触れて硬化状態を評価した。評価は、下記評価基準で行った。結果を表3に示す。
(評価基準)
硬化体表面は、べたつきがなく、しっかりと硬化している。 : ○
硬化体表面は、ごくわずかにべたつきがあり、やや硬化が不十分である。: △
硬化体表面は、べたつきがあり、硬化が不十分である。 : ×
(2)相溶性の評価
得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の相溶性を外観目視で評価した。評価は、下記評価基準で行った。結果を表3に示す。
硬化体外観は、透明性が高い。 :○
硬化体外観は、やや白濁している。 :△
硬化体外観は、白濁している。 :×
(3)親水性の評価1:浸漬処理前の接触角の測定
得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体表面(PETフィルムを剥離した面)の接触角を、接触角計(型式:FACE接触角CA−X型;協和界面科学社製)を用いて測定した。接触角の数値が小さいほど親水性が良いことを示す。各不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の評価結果を表3に示す。
(4)親水性の評価2:浸漬処理後の接触角の測定
得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の親水性機能を長期間維持することを確認するために、不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体を、90℃の温水中で24時間浸漬処理した後に乾燥してから、「親水性の評価1」と同じ方法で接触角を測定した。接触角の数値が、熱水中への浸漬処理前の接触角と大きな差がない場合、親水性機能を長く維持するといえる。各不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体の評価結果を表3に示す。
Figure 0006137726
これらの評価結果より、実施例品の親水化剤を用いた試作品1〜7は、硬化性が良く、且つ親水性は、親水化剤を無添加の試作品13より接触角が小さく親水性が改善されていた。また、浸漬処理した後も接触角が大きく変化せず、親水性機能を長く維持することができた。
一方、比較の親水化剤(比較例品1)を用いた試作品8は、硬化性に劣り、浸漬処理後の接触角が著しく悪化していた。また、親水化剤(比較例2)を用いた試作品9は、硬化性はよいが、親水性の改善が不十分であった。親水化剤(比較例品3)を用いた試作品10は、硬化性に劣り、浸漬処理後の接触角が著しく悪化していた。親水化剤(比較例品4)を用いた試作品11は、親水性の改善が全くみられなかった。親水化剤(比較例品5)を用いた試作品12は、ほとんど親水性の改善がみられなかった。
1…基部
2…FRPバックアップ層
3…ゲルコート層

Claims (7)

  1. 不飽和ポリエステル樹脂組成物を成型して得られる人造大理石であって、
    前記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和二塩基酸(A成分)、飽和二塩基酸(B成分)、下記化学式(1)で表されるジオール(C成分)および下記化学式(2)で表されるジオール(D成分)を含む原料組成物を重縮合反応させて得られる親水化剤と、不飽和ポリエステル樹脂とを含むことを特徴とする人造大理石。
    [化学式(1)] HO-R1-OH
    [化学式(2)] H-(-O-CH2-CH2-)-O-R2-O-(-CH2-CH2-O-)-H
    (但し、化学式(1)中のR1は、炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。また、化学式(2)中のR2は、炭素数5以上22以下の炭化水素であり、nとmはそれぞれ1以上99以下の整数であり、且つn+mは10以上100以下である。)
  2. 前記不飽和ポリエステル樹脂組成物中の親水化剤の配合量は、5〜50質量%であることを特徴とする請求項1記載の人造大理石。
  3. 前記不飽和ポリエステル樹脂組成物中の親水化剤の配合量は、10〜40質量%であることを特徴とする請求項1記載の人造大理石。
  4. 前記人造大理石は、前記親水化剤を含まない不飽和ポリエステル樹脂組成物からなる基部と、前記親水化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物からなり前記基部の表面を覆う表面層と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人造大理石。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の人造大理石により形成された浴槽。
  6. 不飽和二塩基酸(A成分)、飽和二塩基酸(B成分)、下記化学式(1)で表されるジオール(C成分)および下記化学式(2)で表されるジオール(D成分)を含む原料組成物を重縮合反応させて得られる親水化剤と、不飽和ポリエステル樹脂と含む不飽和ポリエステル樹脂組成物を注型成形することを特徴とする人造大理石の製造方法。
    [化学式(1)] HO-R1-OH
    [化学式(2)] H-(-O-CH2-CH2-)-O-R2-O-(-CH2-CH2-O-)-H
    (但し、化学式(1)中のR1は、炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。また、化学式(2)中のR2は、炭素数5以上22以下の炭化水素であり、nとmはそれぞれ1以上99以下の整数であり、且つn+mは10以上100以下である。)
  7. 不飽和二塩基酸(A成分)、飽和二塩基酸(B成分)、下記化学式(1)で表されるジオール(C成分)および下記化学式(2)で表されるジオール(D成分)を含む原料組成物を重縮合反応させて得られる親水化剤と、不飽和ポリエステル樹脂と含む不飽和ポリエステル樹脂組成物を型の表面に塗布し、前記親水化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物が塗布された型内に前記親水化剤を含まない不飽和ポリエステル樹脂組成物を注入して人造大理石を成形することを特徴とする人造大理石の製造方法。
    [化学式(1)] HO-R1-OH
    [化学式(2)] H-(-O-CH2-CH2-)-O-R2-O-(-CH2-CH2-O-)-H
    (但し、化学式(1)中のR1は、炭素数1以上5以下の分岐または直鎖状のアルカンである。また、化学式(2)中のR2は、炭素数5以上22以下の炭化水素であり、nとmはそれぞれ1以上99以下の整数であり、且つn+mは10以上100以下である。)
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