JP6137304B2 - エネルギー消費量予測装置およびエネルギー消費量予測方法 - Google Patents
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Description
本発明は、エネルギー消費量予測装置およびエネルギー消費量予測方法に関するものである。
本出願は、2013年4月11日に出願された日本国特許出願の特願2013−082823に基づく優先権を主張するものであり、文献の参照による組み込みが認められる指定国については、上記の出願に記載された内容を参照により本出願に組み込み、本出願の記載の一部とする。
本出願は、2013年4月11日に出願された日本国特許出願の特願2013−082823に基づく優先権を主張するものであり、文献の参照による組み込みが認められる指定国については、上記の出願に記載された内容を参照により本出願に組み込み、本出願の記載の一部とする。
従来より、車両が実際に走行している際の車速、加速度および空気抵抗などに基づいて、車両の燃料消費量を推定する技術が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、従来技術は、車両が実際に走行している際の車速、加速度などに基づいて、現時点のエネルギー消費量を推定するものであり、車両が走行する前に、走行予定経路におけるエネルギー消費量を予測することはできなかった。
本発明が解決しようとする課題は、エネルギー消費量を適切に予測することができるエネルギー消費量予測装置を提供することである。
本発明は、経路ごとに予め決られた所定の走行速度情報に基づいて、走行予定経路を走行した場合の空気抵抗を、所定の空気抵抗算出式により算出するとともに、走行予定経路における走行速度が遅いほど、走行予定経路を走行した場合の空気抵抗が大きくなるように、算出した空気抵抗を補正し、補正した空気抵抗に基づいて走行予定経路におけるエネルギー消費量を予測することで、上記課題を解決する。
本発明によれば、経路ごとに予め決られた所定の走行速度情報を用いて、走行予定経路を走行した場合の空気抵抗を算出することで、走行予定経路におけるエネルギー消費量を予測することができる。特に、本発明によれば、走行予定経路における走行速度が遅いほど、加速が高い頻度で行われる傾向にあることを考慮して、所定の空気抵抗算出式により算出した空気抵抗を補正することで、走行経路を走行した場合の空気抵抗を高い精度で予測することができ、その結果、補正した空気抵抗に基づいて、走行予定経路におけるエネルギー消費量を適切に予測することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下においては、電気自動車に搭載されたナビゲーション装置を例示して、本発明の実施形態を説明する。
《第1実施形態》
図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の構成図である。本実施形態に係るナビゲーション装置1は、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測することで、現在のバッテリ残量で、現在位置から目的地まで到達できるか否かを判断するものであり、目的地を入力するための入力部200と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出装置300と、道路情報を含む地図情報を記憶する地図データベース400と、目的地までのエネルギー消費量を予測する制御装置100と、予測結果を乗員に提示するディスプレイ500とを備える。以下において、各構成について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の構成図である。本実施形態に係るナビゲーション装置1は、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測することで、現在のバッテリ残量で、現在位置から目的地まで到達できるか否かを判断するものであり、目的地を入力するための入力部200と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出装置300と、道路情報を含む地図情報を記憶する地図データベース400と、目的地までのエネルギー消費量を予測する制御装置100と、予測結果を乗員に提示するディスプレイ500とを備える。以下において、各構成について詳しく説明する。
入力装置200は、たとえば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されたタッチパネルや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置である。入力装置200により入力された情報は、制御装置100に送信される。
自車位置検出装置300は、GPS(Global Positioning System)ユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどから構成されており、複数の衛星通信から送信される電波を検出して、自車両の位置情報を、周期的に取得するとともに、取得した自車両の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、自車両の現在位置を検出する。自車位置検出装置300により検出された自車両の位置情報は、制御装置100に送信される。
地図データベース400は、道路情報を含む地図情報を記憶している。具体的には、地図データベース400は、道路リンクなどの所定の走行区間ごとに、これら走行区間の走行距離、標高、勾配、および平均車速を含む道路情報を記憶している。なお、走行区間における平均車速とは、該走行区間を実際に走行した複数の車両から該走行区間における車速情報を収集し、収集した複数の車両の車速の平均値を求めたものである。地図データベース400に記憶されている地図情報は、制御装置100により参照され、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測するためなどに用いられる。
ディスプレイ500は、制御処理100から送信された提示情報を、ディスプレイ500が備える画面上に表示する。ディスプレイ500により提示される提示情報としては、自車周辺の地図や、現在位置から目的地までの推奨経路のほか、現在位置から目的地までのエネルギー消費量、充電が必要であるか否かの情報、および充電施設の位置情報などが含まれる。
制御装置100は、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備える。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
図2は、第1実施形態に係る制御装置100の機能を示す機能ブロック図である。第1実施形態において、制御装置100は、図2に示すように、地図情報取得部110と、推奨経路探索部120と、エネルギー消費量予測部130と、補正係数記憶部140と、補正係数算出部150と、充電必要性判断部160と、充電施設探索部170と、ディスプレイ表示部180とを備える。
地図情報取得部110は、地図データベース400から道路情報を含む地図情報を取得する。地図情報取得部110により取得された地図情報は、推奨経路探索部120、エネルギー消費量予測部130、および補正係数算出部150に送出される。
推奨経路探索部120は、地図情報取得部110から取得した地図情報と、入力装置200により入力された目的地と、自車位置検出装置300により検出された自車両の位置情報とに基づいて、現在位置から目的地までの推奨経路を探索する。
エネルギー消費量予測部130は、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測する。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、推奨経路における転がり抵抗、勾配抵抗、空気抵抗、および、モーターおよびギアなどの駆動系における損失を予測し、これらを合計することで、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測する。
ここで、車両が走行している際の空気抵抗Faは、たとえば走行時の車速をVcurとし、空気抵抗係数や車両の投影面積などの空気抵抗に関するパラメータをkとした場合に、下記式(1)に基づいて算出することができる。
このように、車両が走行している場合の空気抵抗Faは、車両が走行している際の車速Vcurに応じて変化する。そのため、たとえば推奨経路を複数の走行区間に分けた場合、各走行区間における空気抵抗の積算値は、下記式(2)に示すように、該走行区間における平均速度Vaveと、該走行区間における走行距離dとに基づいて算出することができる。そして、算出した各走行区間における空気抵抗の積算値を合計することで、目的地までの推奨経路における空気抵抗の積算値を予測することができる。
しかしながら、上記式(2)で算出した空気抵抗の積算値は、車両が一定の平均速度Vaveで走行した場合の空気抵抗であり、実際には、車両は加速および減速を繰り返して走行しているため、上記式(2)で求めた空気抵抗の積算値と、実際の空気抵抗の積算値とに誤差が生じる場合がある。すなわち、車両が一定速度で走行している場合の空気抵抗は、上記式(2)に示すように、速度の2乗に比例するが、車両が加速している場合の空気抵抗は、速度の3乗に比例するため、走行区間において加速が行われるほど、該走行区間における空気抵抗の積算値は大きくなり、これにより、上記式(2)で算出した空気抵抗の積算値と、実際の空気抵抗の積算値とに誤差が生じる場合がある。
そこで、エネルギー消費量予測部130は、各走行区間における空気抵抗の積算値を予測する際に、各走行区間における加速の影響を考慮して、上記式(2)に基づいて算出した空気抵抗の積算値を補正する。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、後述する補正係数算出部150により算出された空気抵抗補正係数を用いて、上記式(2)に基づいて算出した空気抵抗を補正する。なお、走行区間における空気抵抗の積算値の補正方法については、後述する。
また、本実施形態に係るエネルギー消費量予測130は、モーターやギアなどの駆動系で生じた損失の積算値に基づいて、目的地までのエネルギー消費量を予測する。ここで、所定の走行区間において車両が一定の速度で走行している場合、該走行区間における駆動系での損失Lは、転がり抵抗や空気抵抗などの走行抵抗に対する損失となり、たとえば下記式(3)に基づいて算出することができる。
しかしながら、上記式(3)で算出した駆動系での損失の積算値は、車両が一定の速度で走行している場合のものであり、実際には、車両は加速および減速を繰り返して走行しているため、上記式(3)で求めた駆動系での損失の積算値と、実際の駆動系での損失の積算値とに誤差が生じる場合がある。すなわち、車両が加速している場合は、モーターやギアなどの駆動系での損失Lには、走行抵抗に対する駆動系での損失の他に、慣性モーメントに対する駆動系での損失が加わることとなるため、上記式(3)で算出した駆動系での損失と、駆動系での実際の損失とに誤差が生じる場合がある。そこで、エネルギー消費量予測部130は、走行区間における駆動系での損失の積算値を予測する際に、走行区間における加速の影響を考慮して、上記式(3)で算出した駆動系での損失を補正する。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、後述する補正係数算出部150により算出された損失補正係数を用いて、上記式(3)で算出した駆動系での損失を補正する。
補正係数記憶部140は、推奨経路における空気抵抗を補正するための空気抵抗補正係数と、推奨経路におけるモーターやギアなどの駆動系での損失を補正するための損失補正係数とを記憶している。以下に、空気抵抗補正係数と損失補正係数とについて説明する。
図3は、所定の走行区間における実際の空気抵抗の積算値と、上記式(2)により算出した空気抵抗の積算値との一例を示すグラフである。なお、図3中、実際の空気抵抗の積算値を白塗りで表し、上記式(2)で算出した空気抵抗の積算値を斜線のハッチングで表している。また、図3においては、上記式(2)で算出した空気抵抗の積算値を、実際の空気抵抗の積算値を100%とした場合の割合(%)で表している。なお、図3における実際の空気抵抗の積算値は、実験により、実際に該走行区間を走行した車両の走行車速のプロフィールから求めた空気抵抗の積算値である。
図3に示す例では、車速が低速である場合に、上記式(2)で求めた空気抵抗の積算値はおおよそ40%となり、実際の空気抵抗との間で大きな誤差が生じた。また、車両の速度が中速である場合にも、上記式(2)で求めた空気抵抗の積算値はおおよそ60%となり、実際の空気抵抗との間で誤差が生じた。なお、車両の速度が高速の場合には、上記式(2)で求めた空気抵抗の積算値は、実際の空気抵抗の積算値に近い、おおよそ100%となった。このように、走行区間における車速が低速であるほど、実際の空気抵抗の積算値と、上記式(2)で算出した空気抵抗の積算値との誤差は大きくなる傾向にある。
本実施形態では、このような加速に伴う空気抵抗の誤差を補正するための空気抵抗補正係数が、補正係数記憶部140に予め記憶されている。以下に、補正係数記憶部140に記憶されている空気抵抗補正係数について具体的に説明する。
補正係数記憶部140に記憶されている空気抵抗補正係数は、実験により予め求めた実際の空気抵抗の積算値と、上記式(2)により予め算出した空気抵抗の積算値とに基づいて、予め決定されたものである。たとえば、走行区間における平均車速Vaveごとに、上記式(2)に基づいて算出した空気抵抗の積算値と、実験により求めた実際の空気抵抗の積算値との比(実際の空気抵抗の積算値/上記式(2)に基づいて算出した空気抵抗の積算値)を、空気抵抗係数実験値として予め算出し、算出した空気抵抗係数実験値を、図4(A)に示すように、走行区間における平均車速Vaveごとにプロットする。なお、図4(A)は、空気抵抗係数実験値の一例を示す図である。
そして、本実施形態では、たとえば、図4(B)に示すように、プロットされた空気抵抗実験値の回帰直線を算出し、算出した回帰直線を、空気抵抗補正係数を算出するための関数f1(以下、空気抵抗算出関数f1という。)として、補正係数記憶部140に予め記憶しておく。このように、本実施形態においては、走行区間における平均車速Vaveごとの空気抵抗補正係数が、空気抵抗算出関数f1として、補正係数記憶部140に記憶されている。なお、図4(B)は、空気抵抗算出関数f1の一例を示す図である。
また、走行区間が勾配している場合には、走行区間が平坦な場合と比べて、走行区間における加速の頻度が小さくなる傾向にある。そこで、本実施形態では、図5に示すように、走行区間が勾配している場合の空気抵抗算関数f2を、走行区間が勾配していない場合の空気抵抗算出関数f1とは別に、補正係数記憶部140に予め記憶している。なお、図5は、走行区間が勾配している場合の空気抵抗補正関数f2の一例を示す図であり、勾配している走行区間において実験により求めた空気抵抗係数実験値を白塗りの四角で表した。また、説明の便宜のために、走行区間が勾配していない場合の空気抵抗算出関数f1を破線で併せて記載した。
図5に示すように、走行区間における平均速度Vaveが遅い場合(たとえば40km/h未満である場合)には、走行区間が勾配している場合の空気抵抗算出関数f2で算出される空気抵抗補正係数は、走行区間が勾配していない場合の空気抵抗算出関数f1で算出される空気抵抗補正係数よりも、空気抵抗補正係数の値は小さくなる。このように、走行区間が勾配している場合の空気抵抗算出関数f2で算出される空気抵抗補正係数を、走行区間が勾配していない場合の空気抵抗算出関数f1で算出される空気抵抗補正係数よりも小さい値で記憶しておくことで、走行区間が勾配しており、走行区間における加速の頻度が少ない場合でも、走行区間における空気抵抗の積算値を適切に補正することができる。
また、走行区間が勾配している場合の空気抵抗算出関数f2は、走行区間の勾配の大きさに応じて、空気抵抗補正係数を算出することができるように定められている。すなわち、図5に示す空気抵抗算出関数f2は、所定の勾配における空気抵抗算出関数f2を例示したものであり、補正係数記憶部140に記憶されている空気抵抗算出関数f2は、走行区間の勾配と平均車速Vaveとに応じて、一の空気抵抗補正係数を算出することができるようになっている。なお、本実施形態において、空気抵抗算出関数f2を、走行区間における勾配が大きいほど、空気抵抗補正係数が小さくなるようにすることができる。
また、図6は、所定の走行区間における実際の駆動系での損失の積算値と、上記式(3)に基づいて算出した駆動系での損失の積算値との一例を示すグラフである。なお、図6において、駆動系での実際の損失の積算値を白塗りで表し、上記式(3)に基づいて算出した駆動系での損失の積算値を斜線のハッチングで表している。また、図6においては、上記式(3)に基づいて算出した駆動系での損失の積算値を、駆動系での実際の損失の積算値を100%とした場合の割合(%)で表している。なお、駆動系での実際の損失は、実験により、該走行区間を実際に走行した際の走行車速のプロフィールから求めた、モーターやギアなどの駆動系での損失である。
図6に示す例では、車速が低速である場合に、上記式(3)により算出した駆動系での損失の積算値はおおよそ30%となり、実際の損失の積算値との間で大きな誤差が生じた。また、車速が中速である場合や車速が高速である場合も、車速が低いほど、上記式(3)により算出した駆動系での損失と実際の損失の積算値との間で誤差が生じた。このように、走行区間における平均車速Vaveが低速であるほど、駆動系での実際の損失の積算値と、上記式(3)で求めた駆動系での損失の積算値との誤差は大きくなる傾向にある。
本実施形態では、このようなモーターやギアなどの駆動系における損失の誤差を補正するための損失補正係数が、補正係数記憶部140に予め記憶されている。以下に、補正係数記憶部140に記憶されている損失補正係数について具体的に説明する。
補正係数記憶部140に記憶されている損失補正係数は、上記式(3)に基づいて予め算出した走行抵抗に対する駆動系での損失の積算値と、実際に走行区間を走行した際の速度情報に基づいて予め算出した慣性モーメントに対する駆動系での損失の積算値とに基づいて、予め決定されたものである。たとえば、走行区間における平均車速Vaveごとに、上記式(3)に基づいて算出した走行抵抗に対する駆動系での損失の積算値と、実験により求めた慣性モーメントに対する駆動系での損失の積算値との比({走行抵抗に対する駆動系での損失の積算値+慣性モーメントに対する駆動系での損失の積算値}/走行抵抗に対する駆動系での損失の積算値)を、損失係数実験値として予め算出し、算出した損失係数実験値を、図7(A)に示すように、走行区間における平均車速Vaveごとにプロットする。なお、図7(A)は、損失係数実験値の一例を示す図である。
そして、本実施形態では、たとえば、図7(B)に示すように、プロットされた損失係数実験値の回帰直線を算出し、算出した回帰直線を、損失補正係数を算出するための関数f3(以下、損失算出関数f3ともいう。)として、補正係数記憶部140に予め記憶しておく。なお、図7(B)は、損失算出関数f3の一例を示す図である。
また、走行区間が勾配している場合には、走行区間が平坦な場合と比べて、モーターやギアなどの仕事量が大きくなる。そのため、本実施形態では、図8に示すように、走行区間が勾配している場合の損失算出関数f4を、走行区間が勾配していない場合の損失算出関数f3とは別に、補正係数記憶部140に予め記憶している。なお、図8は、走行区間が勾配している場合の損失算出関数f4の一例を示す図であり、勾配している走行区間において実験により求めた損失係数実験値を白塗りの四角で表した。また、説明の便宜のために、走行区間が勾配していない場合の損失算出関数f3も併せて記載した。
図8に示すように、走行区間における平均速度Vaveが遅い場合(たとえば35km/h未満である場合)には、走行区間が勾配している場合の損失算出関数f4で算出される損失補正係数は、走行区間が勾配していない場合の損失算出関数f3で算出される損失補正係数よりも、損失補正係数の値が大きくなる。このように、損失算出関数f4で算出される損失補正係数が、損失算出関数f3で算出される損失補正係数よりも大きい値で記憶されているため、走行区間が勾配しており、走行区間におけるモーターやギアなどの仕事量が大きくなる場合にも、該走行区間における駆動系での損失の積算値を適切に補正することができる。
また、走行区間が勾配している場合の損失算出関数f4は、走行区間の勾配に応じて、損失補正係数を算出することができるように定められている。すなわち、図8に示す損失算出関数f4は、所定の勾配における損失算出関数f4を例示したものであり、補正係数記憶部140に記憶されている損失補正係数f4は、走行区間の勾配と平均車速Vaveとに応じて、一の損失補正係数を算出することができるように定められている。なお、本実施形態において、損失算出関数f4を、走行区間における勾配が大きいほど、損失補正係数が大きくなるようにすることができる。
補正係数算出部150は、補正係数記憶部140に記憶されている空気抵抗算出関数を用いて、走行区間における空気抵抗の積算値を補正するための空気抵抗補正係数を算出する。また、補正係数算出部150は、補正係数記憶部140に記憶されている損失算出関数を用いて、走行区間における駆動系での損失の積算値を補正するための損失補正係数を算出する。補正係数算出部150により算出された空気抵抗補正係数および損失補正係数は、エネルギー消費量予測部130により、目的地までのエネルギー消費量を予測する際に用いられる。
充電必要性判断部160は、エネルギー消費量予測部130の予測結果に基づいて、充電を行う必要があるか否かを判断する。具体的には、充電必要性判断部160は、現在のバッテリのエネルギー残量と、エネルギー消費量予測部130により予測された目的地までのエネルギー消費量とを比較し、現在のバッテリのエネルギー残量よりも目的地までのエネルギー消費量が大きい場合に、バッテリの充電を行う必要性があると判断する。充電必要性判断部160による判断結果は、充電施設探索部170およびディスプレイ表示部180に送信される。
充電施設探索部170は、充電必要性判断部160により充電を行う必要があると判断された場合に、現在のバッテリのエネルギー残量で到着できる充電施設を探索する。充電施設探索部170による探索結果は、ディスプレイ表示部180に送信される。
ディスプレイ表示部180は、エネルギー消費量予測部130により予測された目的地までのエネルギー消費量、充電必要性判断部160による判断結果、充電施設探索部170により探索された充電施設の情報を、自車両の乗員に提示する提示情報として、ディスプレイ500に表示させる。
続いて、図9を参照して、第1実施形態に係るエネルギー消費量予測処理について説明する。図9は、第1実施形態に係るエネルギー消費量予測処理を示すフローチャートである。このエネルギー消費量予測処理は、たとえば、入力装置200を介して乗員により目的地が入力されることで実行される。
ステップS101では、推奨経路探索部120により、現在位置から目的地までの推奨経路の探索が行われる。具体的には、推奨経路探索部120は、地図情報取得部110により取得された地図情報と、入力装置200により入力された目的地と、自車位置検出部300により検出された自車両の現在位置とに基づいて、現在位置から目的地までの推奨経路を探索する。
ステップS102では、地図情報取得部110により、ステップS101で探索した推奨経路についての道路情報が取得される。具体的には、地図情報取得部110は、推奨経路における所定の走行区間(たとえば道路リンクなど)ごとに、該走行区間における走行距離情報、標高情報、および該走行区分における車両の平均車速情報を含む道路情報を取得する。たとえば、推奨経路において走行区間が5つに分割されている場合、地図情報取得部110は、これら5つの走行区間のそれぞれについて、走行距離情報、標高情報、および該走行区間における車両の平均車速情報を含む道路情報を取得する。
ここで、図10は、地図情報取得部110により取得される道路情報の一例を示す図であり、図10(A)は、推奨経路の各走行区間における車両の平均車速Vaveを示しており、図10(B)は、推奨経路の各走行区間における標高を示している。また、図10(A)では、横軸に推奨経路における走行距離を示しており、車両の平均車速Vaveを示す折れ線上の点と点との間の区間(たとえば図10(A)中のa1,a2)が、1つの走行区間における車両の平均車速Vaveを示している。同様に、図10(B)も横軸に推奨経路における走行距離を示しており、標高を示す折れ線上の点と点との間の区間(たとえば図10(B)中のa1,a2)が1つの走行区間における標高を示している。このように、地図情報取得部110は、各走行区間における走行距離、標高、および該走行区分における車両の平均車速の情報を含む道路情報を取得する。
続くステップS103〜S116の処理は、推奨経路における各走行区間ごとに実行される。以下においては、ステップS103〜S116の処理の対象となる走行区間を、処理対象区間として説明する。
まず、ステップS103では、エネルギー消費量予測部130により、処理対象区間が勾配しているか否かの判断が行われる。たとえば、エネルギー消費量予測部130は、ステップS102で取得した、処理対象区間の標高情報と走行距離情報とに基づいて、下記式(4)に示すように、処理対象区間の勾配を算出し、算出した処理対象区間の勾配に基づいて、処理対象区間が勾配しているか否かを判断する。
処理対象区間の勾配(%)=100×処理対象区間の標高差(m)/処理対象区間の走行距離(m) ・・・(4)
処理対象区間が勾配していない場合には、ステップS104に進み、一方、処理対象区間が勾配している場合には、ステップS106に進む。なお、エネルギー消費量予測部130は、たとえば、処理対象区間の勾配が1%以上、または、−1%以下である場合に、処理対象区間が勾配していると判断してもよい。
処理対象区間の勾配(%)=100×処理対象区間の標高差(m)/処理対象区間の走行距離(m) ・・・(4)
処理対象区間が勾配していない場合には、ステップS104に進み、一方、処理対象区間が勾配している場合には、ステップS106に進む。なお、エネルギー消費量予測部130は、たとえば、処理対象区間の勾配が1%以上、または、−1%以下である場合に、処理対象区間が勾配していると判断してもよい。
ステップS104では、エネルギー消費量予測部130により、処理対象区間における転がり抵抗の積算値の算出が行われる。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、下記式(5)に示すように、ステップS102で取得した処理対象区間の走行距離情報に基づいて、処理対象区間における転がり抵抗Frの積算値を算出する。
なお、上記式(5)において、μは転がり抵抗係数、Wは車両重量、gは重力加速度、dは処理対象区分における走行距離である。
なお、上記式(5)において、μは転がり抵抗係数、Wは車両重量、gは重力加速度、dは処理対象区分における走行距離である。
また、ステップS105では、補正係数算出部150により、処理対象区間における空気抵抗補正係数の算出が行われる。具体的には、補正係数算出部150は、下記式(6)に示すように、補正係数記憶部140に記憶されている走行区間が勾配していない場合の補正係数算出関数f1と、処理対象区間における平均車速Vaveとに基づいて、処理対象区間の空気抵抗補正係数αを算出する。
一方、ステップS103において、処理対象区間が勾配していると判断された場合には、ステップS106に進む。ステップS106では、処理対象区間が勾配していると判断されているため、エネルギー消費量予測部130により、処理対象区間における勾配抵抗の算出が行われる。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、下記式(7)に基づいて、処理対象区間における勾配抵抗Fiの積算値を算出する。
なお、上記式(7)において、Wは車両重量、gは重力加速度、θは処理対象区分の勾配、dは処理対象区分の走行距離である。
なお、上記式(7)において、Wは車両重量、gは重力加速度、θは処理対象区分の勾配、dは処理対象区分の走行距離である。
ステップS107では、ステップS104と同様に、処理対象区間における転がり抵抗Frの積算値が算出される。
そして、ステップS108では、補正係数算出部150により、処理対象区間における空気抵抗補正係数の算出が行われる。ステップS108では、処理対象区間が勾配していると判断されているため、補正係数算出部150は、下記式(8)に示すように、走行区間が勾配している場合の補正係数算出関数f2と、処理対象区間における車両の平均車速Vaveと、処理対象区間における勾配θとに基づいて、処理対象区間における空気抵抗補正係数αを算出する。
続いて、ステップS109では、エネルギー消費量予測部130により、処理対象区間における空気抵抗Faの積算値が算出される。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、下記式(9)に示すように、ステップS102で取得された処理対象区間における車両の平均速度Vaveと、処理対象区間の走行距離dとに基づいて、処理対象区間における空気抵抗Faの積算値を算出する。
なお、上記式(9)中、kは、空気抵抗係数や車両の投影面積などの空気抵抗に関するパラメータである。
なお、上記式(9)中、kは、空気抵抗係数や車両の投影面積などの空気抵抗に関するパラメータである。
ステップS110では、エネルギー消費量予測部130により、ステップS109で算出した空気抵抗の積算値が補正される。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、下記式(10)に示すように、ステップS105またはステップS108で算出した空気抵抗補正係数αと、ステップS109で算出した空気抵抗Faの積算値とに基づいて、処理対象区間における空気抵抗Faの積算値を補正する。なお、以下においては、補正された空気抵抗Faの積算値を、空気抵抗補正値Fa’の積算値として説明する。
次いで、ステップS111では、ステップS103と同様に、処理対象区間が勾配しているか否かの判断が行われる。処理対象区間が勾配していない場合には、ステップS112に進み、一方、処理対象区間が勾配している場合には、ステップS113に進む。
ステップS112では、補正係数算出部150により、処理対象区間における損失補正係数の算出が行われる。具体的には、処理対象区間が勾配していないと判断されているため、補正係数算出部150は、補正係数記憶部140に記憶されている走行区間が勾配していない場合の損失算出関数f3と、ステップS102で取得した処理対象区間における車両の平均速度Vaveとに基づいて、下記式(11)に示すように、処理対象区間における損失補正係数βを算出する。
一方、ステップ111において、処理対象区間が勾配していると判断された場合には、ステップS113に進む。ステップS113では、処理対象区間が勾配していると判断されているため、補正係数算出部150は、補正係数記憶部140に記憶されている走行区間が勾配している場合の損失算出関数f4と、ステップS102で取得した処理対象区間における車両の平均速度Vaveとに基づいて、下記式(12)に示すように、処理対象区間における損失補正係数βを算出する。
そして、ステップS114では、エネルギー消費量予測部130により、処理対象区間における駆動系での損失の積算値が算出される。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、下記式(13)に示すように、ステップS104またはステップS107で算出した転がり抵抗Frの積算値と、ステップS110で算出した空気抵抗補正値Fa’の積算値とに基づいて、処理対象区間における、モーターやギアなどの駆動系での損失Lの積算値を算出する。
ステップS115では、エネルギー消費量予測部130により、ステップS114で算出した処理対象区間における駆動系での損失Lの積算値が補正される。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、下記式(14)に示すように、ステップS112またはステップS113で算出した損失補正係数βと、ステップS114で算出した駆動系での損失Lの積算値とに基づいて、処理対象区間における駆動系での損失Lを補正する。なお、以下においては、補正した駆動系での損失Lの積算値を、損失補正値L’の積算値として説明する。
ステップS116では、エネルギー消費量予測部130により、推奨経路の全ての走行区間について、ステップS103〜S115までの処理が行われたか否かが判断される。推奨経路の全ての走行区間について、ステップS103〜S115までの処理が行われた場合は、ステップS117に進み、一方、ステップS103〜S115までの処理が行われていない走行区間がある場合には、ステップS103に戻り、処理が行われていない走行区間について、ステップS103〜S115の処理が行われる。
次いで、ステップS117では、エネルギー消費量予測部130により、現在位置から目的地までのエネルギー消費量の予測が行われる。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、推奨経路の走行区間ごとに、転がり抵抗Frの積算値、勾配抵抗Fiの積算値、空気抵抗補正値Fa’の積算値、および損失補正値L’の積算値を合計することで、走行区間ごとのエネルギー消費量を算出する。さらに、エネルギー消費量予測部130は、算出した走行区間ごとのエネルギー消費量を合計することで、推奨経路におけるエネルギー消費量を算出する。具体的には、エネルギー消費量予測部130は、下記式(15)に基づいて、推奨経路におけるエネルギー消費量を算出する。なお、エネルギー消費量予測部130により予測されたエネルギー消費量の情報は、ディスプレイ表示部180に送信される。
ステップS118では、充電必要性判断部160により、ステップS117で予測した目的地までのエネルギー消費量に基づいて、目的地に到着するまでの間に充電を行う必要があるか否かの判断が行われる。具体的には、充電必要性判断部160は、目的地までのエネルギー消費量がバッテリのエネルギー残量よりも大きい場合には、充電が必要と判断し、目的地までのエネルギー消費量がバッテリのエネルギー残量以下である場合には、充電は不要と判断する。なお、充電必要性判断部160による充電が必要か否かの判断の結果は、ディスプレイ表示部180に送信される。
ステップS118において、充電が必要と判断された場合には、ステップS119に進む。ステップS119では、充電施設探索部170により、車両周辺の充電施設の探索が行われる。具体的には、充電施設探索部170は、地図データベース400から取得した地図情報と、車両位置検出装置300により検出した車両の現在位置とに基づいて、現在のバッテリのエネルギー残量で到着可能な充電施設を探索する。そして、充電施設探索部170により探索された充電施設の情報は、ディスプレイ表示部180に送信される。
ステップS120では、ディスプレイ表示部180により、目的地までのエネルギー消費量を含む提示情報が、ディスプレイ500を介して、乗員に表示される。具体的には、ディスプレイ表示部180は、ステップS117で予測した目的地までのエネルギー消費量、ステップS118で判断した充電が必要か否かの判断結果、ステップS119で探索した充電施設の位置情報を、ディスプレイ500が備える画面上に表示することで、これらの情報を乗員に提示する。
以上のように、第1実施形態では、目的地までのエネルギー消費量を予測する際に、車両の加速に伴う空気抵抗を考慮して、目的地までの空気抵抗の積算値を補正するとともに、車両の加速に伴うモーターやギアなどの駆動系での損失を考慮して、目的地までの駆動系での損失の積算値を補正する。これにより、本実施形態では、目的地までの空気抵抗の積算値および駆動系での損失の積算値を高い精度で予測することができ、その結果、目的地までのエネルギー消費量を適切に予測することができる。特に、電気自動車では、バッテリの重量が重く、エンジン自動車に比べて走行距離が短いため、予め、目的地にたどり着けるか否かを高い精度で判断することが望まれており、本実施形態では、このような場合に、目的地までのエネルギー消費量を高い精度で予測することができ、車両が目的地までたどり着ける否かを高い精度で判断することができる。
ここで、図11は、所定の走行区間における実際の車速、平均車速、実際の空気抵抗の積算値、上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗の積算値、および、上記式(10)に基づいて予測した空気抵抗の積算値の時間推移の一例を示すグラフである。なお、図11中、走行区間における実際の車速および平均車速を破線で表し、実際の空気抵抗の積算値、上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗の積算値、および、上記式(10)に基づいて予測した空気抵抗の積算値を実線で表す。また、図11における実際の車速および平均車速は、グラフ左側の車速(km/h)に対応し、実際の空気抵抗の積算値、上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗の積算値、および、上記式(10)に基づいて予測した空気抵抗の積算値は、グラフの右側の空気抵抗の積算量(kJ)に対応する。なお、実際の空気抵抗は、実験により、実際に車両が走行区間を走行した際の走行車速のプロフィールから求めた空気抵抗である(後述する図12,13においても同じ。)。
空気抵抗は、車両が一定の車速で走行している場合には、車速の2乗に比例するのに対し、車両が加速している場合には、車速の3乗に比例する。そのため、図12に示すように、車両が加速した分だけ、上記式(2)に示すように一定の平均車速Vaveに基づいて予測した空気抵抗(図12中、斜線のハッチングで表す。)と、実際の空気抵抗(図12中、白塗りで表す。)とに誤差が生じた。たとえば、図12に示す例では、上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗が、実際の空気抵抗に比べて、最大でおおよそ4分の1となった。これに対して、上記式(10)に示すように、空気抵抗補正係数αを用いて予測した空気抵抗(図12中、グレーで表す。)は、車両の加速を考慮して空気抵抗を補正しているため、実際の空気抵抗とほぼ同じ値となった。
なお、図12は、所定の走行区間における実際の空気抵抗の積算値(図12中、白塗りで表す。)と、上記式(2)に基づいて走行区間の平均車速Vaveから予測した空気抵抗の積算値(図12中、斜線のハッチングで表す。)と、上記式(10)に基づいて空気抵抗補正係数αを用いて予測した空気抵抗(図12中、グレーで表す。)の一例を示すグラフである。なお、図12においては、実験による実際の空気抵抗を100%として、上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗と、上記式(10)に基づいて予測した空気抵抗とを表した。
より具体的には、図12に示すように、車速が低速である場合には、実際の空気抵抗と上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗との誤差はおおよそ60%となったのに対して、実際の空気抵抗と上記式(10)に基づいて予測した空気抵抗との誤差はおおよそ5%となり、上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗よりも、上記式(10)に基づいて予測した空気抵抗の方が、実際の空気抵抗との誤差は小さくなった。同様に、車速が中速である場合も、上記式(2)に基づいて予測した空気抵抗よりも、上記式(10)に基づいて予測した空気抵抗の方が、実際の空気抵抗との誤差は小さくなった。
このように、本実施形態では、加速によって空気抵抗が増大することを考慮して、上記式(10)に示すように、一定の平均車速Vaveに基づいて算出した空気抵抗の積算値を補正することで、走行区間における空気抵抗の積算値を、実際の空気抵抗の積算値よりも小さく予測してしまうことを有効に防止することができる。また、本実施形態では、走行区間における平均車速Vaveが低いほど、走行区間における空気抵抗の積算値が大きくなるように、空気抵抗補正係数αを算出し、算出した空気抵抗補正係数αに基づいて、一定の平均車速Vaveに基づいて算出した空気抵抗の積算値を補正することで、平均車速Vaveが低く、加速の頻度が大きい走行区間においても、空気抵抗の積算値を適切に予測することができる。
さらに、本実施形態では、走行区間が勾配している場合には、加速を行う頻度が小さくなる傾向にあることを考慮し、走行区間が勾配している場合には、走行区間が勾配していない場合と比べて、走行区間における空気抵抗の積算値が小さくなるように、空気抵抗補正係数αを算出する。これにより、走行区間が勾配している場合でも、該走行区間における空気抵抗を適切に予測することができる。
ここで、図13は、走行区間が勾配している場合における実際の空気抵抗の積算値(図13中、白塗りで表す。)と、走行区間が平坦である場合の空気抵抗補正係数αを用いて予測した空気抵抗の積算値(図13中、グレーで表す。)と、走行区間が勾配している場合の空気抵抗補正係数αを用いて予測した空気抵抗の積算値(図13中、横線のハッチングで表す。)との一例を示すグラフである。
図13に示すように、走行区間が所定の勾配の下り坂である場合、走行区間が平坦である場合の空気抵抗補正係数αを用いて空気抵抗の積算値を予測した場合には、予測した空気抵抗の積算値は実際の空気抵抗の積算値よりもおおよそ30%大きくなった。これに対して、走行区間が勾配である場合の空気抵抗補正係数αを用いて空気抵抗の積算値を予測した場合には、予測した空気抵抗の積算値は実際の空気抵抗の積算値よりもおおよそ10%大きくなった。すなわち、走行区間が勾配である場合の空気抵抗補正係数αを用いて空気抵抗の積算値を予測した場合には、走行区間を平坦である場合の空気抵抗補正係数αを用いた場合と比べて、実際の空気抵抗により近い値を予測することができた。同様に、所定の走行区間が上り坂である場合も、走行区間が勾配である場合の空気抵抗補正係数αを用いて空気抵抗の積算値を予測した場合は、走行区間を平坦である場合の空気抵抗補正係数αを用いた場合と比べて、実際の空気抵抗により近い値を予測することができた。このように、本実施形態では、走行区間の勾配を考慮し、走行区間が勾配している場合には、走行区間が勾配している場合の空気抵抗補正係数αを用いることで、目的地までの空気抵抗の積算値を実際の空気抵抗の積算値よりも大きく予測してしまうことを有効に防止することができる。
さらに、本実施形態では、車両が加速した際に、モーターやギアなどの駆動系での損失が増大することを考慮して、上記式(3)に示すように、走行区間における平均車速に基づいて算出した駆動系での損失の積算値を補正する。
ここで、図14は、所定の走行区間における実際の車速、平均車速、駆動系での実際の損失の積算値、上記式(3)に示すように、走行区間における平均車速Vaveに基づいて予測した駆動系での損失の積算値、および上記式(14)に示すように、損失補正係数βを用いて予測した駆動系での損失の積算値の時間推移の一例を示すグラフである。なお、図14中、走行区間における実際の車速および平均車速を破線で表し、駆動系での実際の損失の積算値、上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値、および、上記式(10)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値を実線で表す。また、図16において、走行区間における実際の車速および平均車速Vaveは、グラフ左側の車速(km/h)に対応し、走行区間における駆動系での実際の損失の積算値、上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値、および、上記式(14)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値は、グラフの右側の駆動系での損失の積算量(kJ)に対応する。なお、駆動系での実際の損失は、実験により、実際に車両が走行区間を走行した際の走行車速のプロフィールから求めた損失である(後述する図15,16においても同じ。)。
車両が加速している場合、駆動系での損失には、走行抵抗に対する損失の他に、慣性モーメントに対する損失が加わる。そのため、図14に示すように、車両が加速した分だけ、上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値と、実際の駆動系での損失の積算値とに誤差が生じた。たとえば、図14に示す例では、上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値は、駆動系での実際の損失に比べて、最大でおおよそ6分の1となった。これに対して、上記式(14)に示すように、損失補正係数βを用いて予測した駆動系での損失の積算値は、車両の加速を考慮して駆動系での損失を補正しているため、駆動系での実際の損失とほぼ同じ値となった。
ここで、図15は、所定の走行区間における駆動系での実際の損失の積算値(図15中、白塗りで表す。)と、上記式(3)に基づいて平均車速Vaveを用いて予測した駆動系での損失の積算値(図15中、斜線のハッチングで表す。)と、上記式(14)に基づいて損失補正係数βを用いて予測した駆動系での損失の積算値(図中、白塗りで表す。)との一例を示すグラフである。なお、図15においては、実験による駆動系での実際の損失の積算値を100%として、上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値と、上記式(14)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値とを表した。
図15に示すように、車速が低速である場合には、実際の駆動系での損失の積算値と上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値との誤差は70%であったのに対して、実際の駆動系での損失の積算値と上記式(14)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値との誤差は5%となり、上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値よりも、上記式(14)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値との方が、実際の駆動系での損失の積算値との誤差が小さくなった。同様に、車速が中速および高速である場合も、上記式(3)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値よりも、上記式(14)に基づいて予測した駆動系での損失の積算値の方が、実際の駆動系での損失の積算値との誤差が小さくなった。
このように、本実施形態では、加速によって、モーターやギアなどの駆動系での損失が増大することを考慮し、上記式(14)に示すように、走行区間における平均車速Vaveに基づいて算出した駆動系での損失の積算値を補正することで、走行区間における駆動系での損失の積算値を、実際の空気抵抗の積算値よりも小さい値で予測してしまうことを有効に防止することができる。また、本実施形態では、走行区間における平均車速Vaveが低いほど、走行区間における駆動系での損失の積算値が大きくなるように、損失補正係数βを算出し、算出した損失補正係数βに基づいて、平均車速Vaveに基づいて算出した駆動系での損失の積算値を補正することで、平均車速Vaveが低く、加速の頻度が大きい走行区間においても、走行区間における駆動系での損失の積算値を適切に予測することができる。
さらに、本実施形態では、走行区間が勾配している場合には、走行区間での仕事量が大きくなることを考慮し、走行区間が勾配している場合には、走行区間が勾配していない場合と比べて、走行区間における駆動系での損失の積算値が大きくなるように、損失補正係数βを算出する。これにより、走行区間が勾配している場合でも、該走行区間における駆動系での損失を適切に予測することができる。
ここで、図16は、走行区間が勾配している場合における、駆動系での実際の損失の積算値(図16中、白塗りで表す。)と、走行区間が平坦である場合の損失補正係数βを用いて予測した駆動系での損失の積算値(図16中、グレーで表す。)と、走行区間が勾配している場合の損失補正係数βを用いて予測した駆動系での損失の積算値(図16中、横線で表す。)との一例を示すグラフである。
図16に示すように、走行区間が所定の勾配の下り坂である場合、走行区間が平坦である場合の損失補正係数βを用いて駆動系での損失の積算値を予測した場合には、予測した損失の積算値は実際の損失の積算値よりもおおよそ10%小さくなった。これに対して、走行区間が勾配である場合の損失補正係数βを用いて駆動系での損失の積算値を予測した場合には、予測した駆動系での損失の積算値は実際の損失の積算値よりもおおよそ5%大きくなった。すなわち、走行区間が勾配である場合の損失補正係数βを用いて駆動系での損失の積算値を予測した場合には、走行区間を平坦である場合の損失補正係数βを用いた場合と比べて、実際の駆動系での損失の積算値に近い値を予測することができた。
同様に、所定の走行区間が上り坂である場合も、走行区間が勾配である場合の損失補正係数βを用いて駆動系での損失の積算値を予測した場合には、走行区間を平坦である場合の損失補正係数βを用いた場合と比べて、実際の駆動系での損失に近い値を予測することができた。このように、本実施形態では、走行区間の勾配を考慮し、走行区間が勾配している場合には、走行区間が勾配している場合の損失補正係数βを用いることで、目的地までの駆動系での損失の積算値を実際よりも小さく予測してしまうことを有効に防止することができる。
《第2実施形態》
続いて、第2実施形態に係るナビゲーション装置について説明する。第2実施形態に係るナビゲーション装置1は、制御装置100が図17に示す機能を備え、以下に説明するように動作する点以外は、第1実施形態に係るナビゲーション装置1と同様である。なお、図17は、第2実施形態に係る制御装置100の機能を示す機能ブロック図である。
続いて、第2実施形態に係るナビゲーション装置について説明する。第2実施形態に係るナビゲーション装置1は、制御装置100が図17に示す機能を備え、以下に説明するように動作する点以外は、第1実施形態に係るナビゲーション装置1と同様である。なお、図17は、第2実施形態に係る制御装置100の機能を示す機能ブロック図である。
第2実施形態において、制御装置100は、図17に示すように、第1実施形態に係る機能に加えて、外気温を取得する外気温取得部210と、車両情報を取得する車両情報取得部220と、転がり抵抗係数を算出する転がり抵抗係数算出部230と、を備える。
外気温取得部210は、車両外部の外気温を取得する。たとえば、外気温取得部210は、車両が外気温計を備える場合には、外気温計から外気温の情報を取得することができる。また、外気温取得部210は、車両が外気温計を備えていない場合にも、以下に説明するように、車両の外気温を推測する。
すなわち、外気温取得部210は、季節、月、月日、走行区間の地域、走行区間の緯度・経度などに基づいて、外気温を推測することで、外気温を取得する構成とすることができる。たとえば、現在の季節、月、月日、地域、緯度・経度のうち1つ以上を組み合わせた条件と、その条件における外気温の予測値との対応関係を、ナビゲーション装置1に予め記憶しておき、あるいは、図示しないサーバから取得することで、車両外部の外気温を推測することができる。
なお、季節、月、月日、地域、緯度・経度などの組み合わせに基づいて外気温を推測する場合には、外気温が低くなる条件ほど、外気温の推測値が高い頻度(外気温の推測値が短い推測間隔)で推測される。たとえば、外気温取得部210は、推測される外気温が10℃以上である場合には、外気温が10℃以上の間隔で推測されるように、季節、月、月日、地域、緯度・経度などを1つ以上組み合わた条件と外気温の予測値との対応関係を記憶しており、一方、外気温が10℃未満である場合には、外気温が5℃未満の間隔で推測されるように、季節、月、月日、地域、緯度・経度などを1つ以上組み合わせた条件と外気温の予測値との対応関係を記憶している。これは、第2実施形態では、後述するように、外気温に基づいて車両の転がり抵抗を算出しており、外気温が低いほど転がり抵抗の変化度合は大きくなるため、外気温が低くなる条件ほど外気温を短い推測間隔で推測することで、車両の転がり抵抗を高い精度で算出することが可能となるためである。
車両情報取得部220は、車両重量(空車重量)、ブレーキ・ハブ引き摺り抵抗、空気抵抗係数、および投影面積を含む車両情報を取得する。なお、空車重量、ブレーキ・ハブ引き摺り抵抗、空気抵抗係数、および投影面積の値は、車種に応じて異なり、車種ごとの値が制御装置100のメモリに予め記憶されている。そのため、車両情報取得機能220は、制御装置100のメモリからこれらの車両情報を読み出すことができる。
転がり抵抗係数算出部230は、転がり抵抗を求めるための転がり抵抗係数を算出する。ここで、図18は、外気温と転がり抵抗係数との対応関係の一例を示す図である。図18に示すように、車両のタイヤは、外気温が低いほど転がり抵抗係数は大きくなり、外気温が高いほど転がり抵抗係数は小さくなる傾向にある。そのため、転がり抵抗係数算出部230は、たとえば、図18に示すような外気温と転がり抵抗係数との対応関係をテーブルとして記憶しておくことで、このテーブルを参照して、外気温から転がり抵抗係数を算出することができる。また、転がり抵抗係数算出部230は、外気温と転がり抵抗係数との対応関係を関数として記憶しておくことで、外気温から転がり抵抗係数を算出する構成としてもよい。あるいは、転がり抵抗係数算出部230は、外気温と転がり抵抗係数を補正するための転がり抵抗補正係数との対応関係に基づいて、外気温から転がり抵抗補正係数を算出し、この転がり抵抗補正係数を用いて転がり抵抗係数を補正することで、転がり抵抗係数を算出する構成としてもよい。
なお、車種や車両装備(たとえばドライブトレインの形態やタイヤ仕様)に応じて、外気温と転がり抵抗係数との対応関係が異なる場合があり、この場合、転がり抵抗係数算出部230は、車種ごと、車両装備ごとに、外気温と転がり抵抗係数との対応関係を参照して、外気温から転がり抵抗係数を算出することができる。また、車種や車両装備ごとに転がり抵抗補正係数を予め記憶しておき、車種や車両装備に応じた転がり抵抗補正係数を取得することで、この転がり抵抗補正係数に基づいて、転がり抵抗係数を算出する構成としてもよい。
また、第2実施形態に係る補正係数算出部150は、外気温取得部210により取得された外気温をさらに考慮して、損失補正係数を算出する。ここで、図19は、転がり抵抗と車両の平均車速と損失補正係数との対応関係の一例を示すグラフである。上述したように、転がり抵抗は外気温に応じて変化するため、補正係数算出部150は、外気温に応じて転がり抵抗を予測し、予測した転がり抵抗と車両の平均速度Vaveとに基づいて、損失補正係数を算出する。具体的には、補正係数算出部150は、車両の平均速度Vaveが同じ場合でも、転がり抵抗が大きいほど(または外気温が低いほど)損失補正係数を小さい値で算出する。
さらに、補正係数算出部150は、車両情報取得部220により取得された車両情報をさらに考慮して、損失補正係数を算出する。ここで、図20は車種ごとの損失補正係数の一例を示す図である。車両の車種ごとに、空車重量、ブレーキ・ハブ引き摺り抵抗、空気抵抗係数、および全面投影面積などの車両情報は異なるため、車両の車種ごとに走行抵抗は異なることとなる。そのため、補正係数算出部150は、図20に示すように、走行抵抗が大きい車種の車両ほど損失補正係数が大きくなるように、車両情報取得部220により取得された車両情報に基づいて、車種に応じた損失補正係数を算出する。たとえば、図20に示す例では、車両C、車両B、車両Aの順に走行抵抗が大きくなっており、この場合、図20に示すように、車両C、車両B、車両Aの順に損失補正係数が高い値で算出されることとなる。
さらに、第2実施形態に係るエネルギー消費量予測部130は、補正係数算出部150により算出された損失補正係数を用いて、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測する。また、第2実施形態において、エネルギー消費量予測部130は、外気温や車両情報などの車両の空気抵抗に関するパラメータを用いて空気抵抗Faを算出することで、算出した空気抵抗に基づいて、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測する。
続いて、図21および図22を参照して、第2実施形態に係るエネルギー消費量予測処理について説明する。図21および図22は、第2実施形態に係るエネルギー消費量予測処理を示すフローチャートである。このエネルギー消費量予測処理も、たとえば、入力装置200を介して乗員により目的地が入力されることで実行される。
ステップS201,S202では、第1実施形態のステップS101,S102と同様に、現在位置から目的地までの推奨経路の探索が行われ(ステップS201)、探索した推奨経路についての道路情報が取得される(ステップS202)。
ステップS203では、制御装置100の外気温取得部210により、車両外部の外気温の取得が行われる。たとえば、外気温取得部210は、車両が備える外気温計から外気温の情報を取得することで、あるいは、現在の季節、月、月日、走行区間の地域、走行区間の緯度・経度のうちいずれか1つ以上の組み合わせに基づいて車両外部の外気温を推測することで、車両外部の外気温を取得することができる。
ステップS204では、制御装置100の車両情報取得部220により、車両情報の取得が行われる。具体的には、車両情報取得部は、車両重量、ブレーキ・ハブ引き摺り抵抗、空気抵抗係数、および全面投影面積を含む車両情報を、制御装置100のメモリから取得する。
ステップS205では、制御装置100の転がり抵抗係数算出部230により、転がり抵抗係数の算出が行われる。たとえば、転がり抵抗係数算出部230は、図18に示すような転がり抵抗係数と外気温との対応関係を参照することで、ステップS203で取得した外気温に基づいて、転がり抵抗係数μを算出することができる。そして、続くステップS206では、第1実施形態のステップS104と同様に、ステップS204で算出した転がり抵抗係数μに基づいて、処理対象区間における転がり抵抗Frの積算値が算出される。上記式(4)に示すように、転がり抵抗Frは転がり抵抗係数μに比例しており、転がり抵抗係数μの値が大きいほど転がり抵抗Frの値も大きくなる。そのため、外気温が低いほど、転がり抵抗係数μは大きくなり、転がり抵抗Frも大きくなることとなる。
ステップS207では、第1実施形態のステップS103と同様に、処理対象区間が勾配しているか否かの判断が行われる。処理対象区間が勾配していない場合には、ステップS208に進み、第1実施形態のステップS105と同様に、走行区間が勾配していない場合の補正係数算出関数f1と、処理対象区間における平均車速Vaveとに基づいて、処理対象区間の空気抵抗補正係数αが算出される。一方、処理対象区間が勾配している場合には、ステップS209に進み、第1実施形態のステップS106と同様に、処理対象区間における勾配抵抗Fiの算出が行われ、続くステップS210では、第1実施形態のステップS108と同様に、走行区間が勾配している場合の補正係数算出関数f2と、処理対象区間における車両の平均車速Vaveと、処理対象区間における勾配θとに基づいて、処理対象区間における空気抵抗補正係数αが算出される。
ステップS211では、エネルギー消費量予測部130により、処理対象区間における空気抵抗Faの積算値が算出される。具体的には、第2実施形態において、エネルギー消費量予測部130は、下記式(16)に基づいて、処理対象区間における空気抵抗Faの積算値を算出する。
なお、上記式(16)において、k’は、空気抵抗に関するパラメータであり、ステップS203で取得した外気温や、ステップS204で取得した車両重量、ブレーキ・ハブ引き摺り抵抗、空気抵抗係数、および全面投影面積などの車両情報に対応するものである。また、上記式(16)中、VはステップS202で取得された処理対象区間における車両の平均速度であり、dは処理対象区間の走行距離である。
なお、上記式(16)において、k’は、空気抵抗に関するパラメータであり、ステップS203で取得した外気温や、ステップS204で取得した車両重量、ブレーキ・ハブ引き摺り抵抗、空気抵抗係数、および全面投影面積などの車両情報に対応するものである。また、上記式(16)中、VはステップS202で取得された処理対象区間における車両の平均速度であり、dは処理対象区間の走行距離である。
ステップS212では、第1実施形態のステップS110と同様に、ステップS208またはステップS210で算出した空気抵抗補正係数αと、ステップS211で算出した空気抵抗Faの積算値とに基づいて、処理対象区間における空気抵抗Faの積算値の補正が行われる。
そして、図22に進み、ステップS213では、ステップS207と同様に、処理対象区間が勾配しているか否かの判断が行われる。処理対象区間が勾配していない場合には、ステップS214に進み、一方、処理対象区間が勾配している場合には、ステップS215に進む。
ステップS214では、補正係数算出部150により、処理対象区間における損失補正係数の算出が行われる。第2実施形態において、補正係数算出部150は、ステップS203で取得した外気温と、ステップS204で取得した車両情報とを考慮して、処理対象区間における損失補正係数を算出する。具体的には、補正係数算出部150は、図19および図20に示すように、転がり抵抗および車種ごとに、車両の平均速度Vaveと損失補正係数βとの対応関係を示す、走行区間が勾配していない場合の関数f5を補正係数記憶部140に記憶しており、下記式(17)に示すように、処理対象区間における車両の平均速度Vaveと外気温tと車両情報k’’とに基づいて、現在の転がり抵抗、車種、および車両の平均速度Vaveに対応する、走行区間が勾配していない場合の損失補正係数βを算出する。
なお、損失補正係数βの算出方法は、上記式(17)に限定されず、たとえば、ステップS205で算出した転がり抵抗を用いて、損失補正係数βを算出する構成としてもよい。
なお、損失補正係数βの算出方法は、上記式(17)に限定されず、たとえば、ステップS205で算出した転がり抵抗を用いて、損失補正係数βを算出する構成としてもよい。
一方、ステップ213において、処理対象区間が勾配していると判断された場合には、ステップS215に進む。この場合も、補正係数算出部150は、ステップS203で取得した外気温と、ステップS204で取得した車両情報とを考慮して、処理対象区間における損失補正係数を算出する。具体的には、補正係数算出部150は、図19および図20に示すように、転がり抵抗および車種ごとに、車両の平均速度Vaveと損失補正係数βとの対応関係を示す、走行区間が勾配している場合の関数f6を補正係数記憶部140に記憶しており、下記式(18)に示すように、処理対象区間における車両の平均速度Vaveと勾配θと外気温tと車両情報k’’とに基づいて、現在の転がり抵抗、車種、勾配θ、および車両の平均速度Vaveに対応する、走行区間が勾配している場合の損失補正係数βを算出する。
ステップS216〜S222では、第1実施形態のステップS114〜S120と同様の処理が行われる。すなわち、ステップS206で算出した転がり抵抗と、ステップS212で補正した空気抵抗とに基づいて、処理対象区間における駆動系での損失の積算値が算出され(ステップS216)、ステップS214またはステップS215で算出した損失補正係数βと、ステップS216で算出した駆動系での損失Lの積算値とに基づいて、処理対象区間における駆動系での損失Lが補正される(ステップS217)。
そして、推奨経路の全ての走行区間について、ステップS203〜S217までの処理が行われた場合は(ステップS218=Yes)、現在位置から目的地までのエネルギー消費量の予測が行われ(ステップS219)、予測した目的地までのエネルギー消費量に基づいて、目的地に到着するまでの間に充電を行う必要があるか否かの判断が行われる(ステップS220)。充電が必要と判断された場合には、車両周辺の充電施設の探索が行われ(ステップS221)、その後、目的地までのエネルギー消費量を含む提示情報が、ディスプレイ500を介して乗員に表示される(ステップS222)。
以上のように、第2実施形態では、外気温や車両情報を取得し、取得した外気温や車両情報を考慮して、転がり抵抗係数および損失補正係数を算出し、現在位置から目的地までのエネルギー消費量を予測する。これにより、第2実施形態では、第1実施形態の効果に加え、外気温や車種(あるいは車両装置)を加味したエネルギー消費量を予測することができるため、エネルギー消費量を高い精度で予測することが可能となる。
ここで、図23は、複数の車両についての、車両の実際のエネルギー消費量と、外気温を考慮することなく予測したエネルギー消費量の予測値との一例を示す図である。なお、図23において、横軸は、実際のエネルギー消費量を示しており、縦軸は、実際のエネルギー消費量ごとの車両の台数(頻度)を示している。また、図23においては、複数の車両のエネルギー消費量の予測値の中央値と、その中央値から±10%となる予測範囲とを示している。図23に示すように、外気温を考慮することなくエネルギー消費量を予測した場合、実際のエネルギー消費量がエネルギー消費量の予測範囲となった車両は、全体の約67%であった。
これに対して、図24は、複数の車両の実際のエネルギー消費量と、外気温を考慮して予測したエネルギー消費量の予測値の一例を示す図である。なお、図24においても、図23と同様に、横軸は実際のエネルギー消費量を示しており、縦軸は実際のエネルギー消費量ごとの車両の台数(頻度)を示しており、エネルギー消費量の予測値の中央値と、その中央値から±10%となる予測範囲とを示している。図24に示すように、外気温を考慮してエネルギー消費量を予測した場合、春夏秋冬ともに、実際のエネルギー消費量がエネルギー消費量の予測範囲となった車両は全体の90%以上となり、図23に示す外気温を考慮しないでエネルギー消費量を予測した場合と比べて、エネルギー消費量を高い精度で予測することができる。
また、第2実施形態においては、季節、月、月日、走行区間の地域、走行区間の緯度・経度などの組み合わせに基づいて外気温を推測する場合に、外気温が低くなる条件ほど外気温を短い数値間隔で推測する。ここで、図25は、図24に示すように、実際のエネルギー消費量の大部分がエネルギー消費量の予測範囲となるために必要な外気温の推測値の一例を示す図である。外気温は低いほど転がり抵抗の変化度合が大きくなるため、実際のエネルギー消費量がエネルギー消費量の予測範囲内とするためには、図25に示すように、外気温が低いほど外気温の推測頻度を高く(推測値の推測間隔を短く)する必要がある。本実施形態では、図25に示すように、外気温が低いほど外気温の推測頻度を高くしており、これにより、外気温に基づく転がり抵抗を高い精度で算出することができる。
さらに、第2実施形態では、図19に示すように、外気温に基づいて、転がり抵抗に応じた損失補正係数を算出する。ここで、転がり抵抗が大きくなると、転がり抵抗に対する加減速によるモーターの仕事の比率は小さくなる傾向にある。そのため、転がり抵抗が大きいほど損失補正係数を小さくすることで、処理対象区間における駆動系における損失をより高い精度で予測することができ、その結果、エネルギー消費量をより高い精度で予測することが可能となる。
また、本実施形態では、図20に示すように、車両情報に基づいて、車種に応じた損失補正係数を算出する。ここで、図26は、車種に応じたエネルギー消費量の差を説明するための図である。たとえば、車種によって、車両重量(空車重量)、ブレーキ・ハブ引き摺り抵抗、空気抵抗係数、および投影面積などが異なり、走行抵抗が異なる場合がある。そのため、同じ走行区間を走行した場合も、車両情報を考慮しないでエネルギー消費量を予測した場合には、図26に示すように、車種によっては±3%程度の誤差が生じてしまう場合がある。そこで、本実施形態では、車両情報を考慮して車種に応じた損失補正係数を算出することで、このような誤差を低減することができ、その結果、エネルギー消費量をより高い精度で予測することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態においては、電気自動車に搭載されたナビゲーション装置1を例示して説明したが、この構成に限定されず、たとえば、ハイブリッド自動車やエンジン自動車、あるいは車両以外のシステムに搭載する構成としてもよい。たとえば本発明をエンジン自動車に適用した場合、目的地までの空気抵抗の積算値、モーターやギアなどの駆動系での損失の積算値に基づいて、目的地までの燃料消費量を適切に予測することができる。
さらに、上述した実施形態では、走行区間における平均車速Vaveを用いて、空気抵抗の積算値や駆動系での損失の積算値を算出する構成を例示したが、走行区間における平均車速Vaveに代えて、たとえば走行区間における制限速度を用いる構成としてもよい。また、走行区間における車両の平均車速Vaveに代えて、走行区間と同じ種類(たとえば、市街路や郊外路など)の走行区間における車両の平均車速を用いる構成としてもよい。
なお、上述した実施形態の地図情報取得部110は本発明の取得手段に、補正係数算出部150およびエネルギー消費量予測部130は本発明の空気抵抗算出手段および損失算出手段に、エネルギー消費量予測部130は本発明のエネルギー消費量予測手段に、転がり抵抗係数算出部230は本発明の転がり抵抗算出手段に、それぞれ相当する。
1…ナビゲーション装置
100…制御装置
110…地図情報取得部
120…推奨経路探索部
130…エネルギー消費量予測部
140…補正係数記憶部
150…補正係数算出部
160…充電必要性判断部
170…充電施設探索部
180…ディスプレイ表示部
210…外気温取得部
220…車両情報取得部
230…転がり抵抗係数算出部
200…入力装置
300…車両位置検出装置
400…地図データベース
500…ディスプレイ
100…制御装置
110…地図情報取得部
120…推奨経路探索部
130…エネルギー消費量予測部
140…補正係数記憶部
150…補正係数算出部
160…充電必要性判断部
170…充電施設探索部
180…ディスプレイ表示部
210…外気温取得部
220…車両情報取得部
230…転がり抵抗係数算出部
200…入力装置
300…車両位置検出装置
400…地図データベース
500…ディスプレイ
Claims (11)
- 経路ごとに予め決められた走行速度情報を含む道路情報を取得する取得手段と、
走行予定経路の走行速度情報に基づいて、所定の空気抵抗算出式により、前記走行予定経路を走行した場合の空気抵抗を空気抵抗算出値として算出し、前記走行予定経路における走行速度が遅いほど、前記走行予定経路を走行した場合の空気抵抗が大きくなるように、算出した前記空気抵抗算出値を補正する空気抵抗算出手段と、
前記空気抵抗算出手段により補正された前記空気抵抗算出値に基づいて、前記走行予定経路におけるエネルギー消費量を予測するエネルギー消費量予測手段と、を備えることを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項1に記載のエネルギー消費量予測装置において、
前記道路情報は経路ごとの勾配情報を含み、
前記空気抵抗算出手段は、前記走行予定経路の勾配が大きいほど、前記走行予定経路を走行した場合の空気抵抗が小さくなるように、前記空気抵抗算出値を補正することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項1または2に記載のエネルギー消費量予測装置において、
前記走行予定経路の走行速度情報に基づいて、所定の損失算出式により、前記走行予定経路を走行した場合における駆動系での損失を損失算出値として算出し、前記走行予定経路における走行速度が遅いほど、前記走行予定経路を走行した場合における駆動系での損失が大きくなるように、算出した前記損失算出値を補正する損失算出手段をさらに備え、
前記エネルギー消費量予測手段は、前記損失算出手段により補正された前記損失算出値に基づいて、前記走行予定経路におけるエネルギー消費量を予測することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項3に記載のエネルギー消費量予測装置において、
前記道路情報は経路ごとの勾配情報を含み、
前記損失算出手段は、前記走行予定経路の勾配が大きいほど、前記走行予定経路を走行した場合における前記駆動系での損失が大きくなるように、前記損失算出値を補正することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のエネルギー消費量予測装置であって、
所定の転がり抵抗算出式により、前記走行予定経路を走行した場合の転がり抵抗を転がり抵抗算出値として算出する転がり抵抗算出手段をさらに備え、
前記転がり抵抗算出手段は、外気温を考慮して、前記転がり抵抗算出値を算出し、
前記エネルギー消費量予測手段は、前記空気抵抗算出手段により補正された前記空気抵抗算出値と、前記転がり抵抗算出手段により算出された前記転がり抵抗算出値とに基づいて、前記走行予定経路におけるエネルギー消費量を予測することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項5に記載のエネルギー消費量予測装置であって、
前記転がり抵抗算出手段は、前記外気温が低いほど、前記転がり抵抗算出値を大きい値で算出することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項5または6に記載のエネルギー消費量予測装置であって、
前記転がり抵抗算出手段は、外気温の情報を外部装置から取得し、または、季節、月、月日、前記走行予定経路の地域、および前記走行予定経路の緯度経度のうちいずれか1つ以上の条件に基づいて外気温を推測することで、前記外気温を取得することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項7に記載のエネルギー消費量予測装置であって、
前記転がり抵抗算出手段は、上記条件に基づいて前記外気温を推測する場合に、前記条件が前記外気温の低くなる条件となるほど、前記外気温の推測値の数値間隔を短くすることを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項3に記載のエネルギー消費量予測装置であって、
前記損失算出手段は、転がり抵抗が大きいほど、前記走行予定経路を走行した場合における駆動系での損失が小さくなるように、前記損失算出値を補正することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 請求項3に記載のエネルギー消費量予測装置であって、
前記損失算出手段は、車種に応じた係数を用いて、前記損失算出値を補正することを特徴とするエネルギー消費量予測装置。 - 走行予定経路における所定の走行速度情報に基づいて、所定の空気抵抗算出式により、前記走行予定経路を走行した場合の空気抵抗を空気抵抗算出値として算出し、前記走行予定経路における走行速度が遅いほど、前記走行予定経路を走行した場合の空気抵抗が大きくなるように、前記空気抵抗算出値を補正し、補正した前記空気抵抗算出値に基づいて、前記走行予定経路におけるエネルギー消費量を予測することを特徴とするエネルギー消費量予測方法。
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