以下に添付図面を参照して、この発明にかかる表示制御装置、表示装置、表示制御方法、表示制御プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
はじめに、位置エネルギーと、運動エネルギーについて説明する。
(1)位置エネルギーについて
上り坂を走行する際、移動体は、駆動源を駆動させるためのエネルギーを位置エネルギーに変換する。すなわち、移動体は、位置エネルギーが増加するとともに、駆動源を駆動させるためのエネルギーを消費する。この移動体が消費するエネルギーを「位置消費エネルギー」と称する。
下り坂を走行する際、移動体は、位置エネルギーを運動エネルギーに変換する。そして、その運動エネルギーを回生エネルギーに変換することで、移動体の速度を一定に維持しながら駆動源を駆動させるためのエネルギーを得る。すなわち、移動体は、下り坂を一定速度で走行する場合、位置エネルギーが減少するとともに、駆動源を駆動させるためのエネルギーを生産する。この移動体が生産するエネルギーを「位置生産エネルギー」と称する。
このように、移動体の位置エネルギーの変化に伴って増減される移動体の駆動源を駆動させるためのエネルギー、すなわち、位置消費エネルギー、位置生産エネルギーを合わせて「位置増減エネルギー」と称する。
(2)運動エネルギーについて
移動体は、加速時に、駆動源を駆動させるためのエネルギーを運動エネルギーに変換する。すなわち、移動体は、運動エネルギーが増加するとともに、駆動源を駆動させるためのエネルギーを消費する。この際に移動体が消費するエネルギーを「運動消費エネルギー」と称する。
移動体は、減速時に、運動エネルギーを回生エネルギーに変換する。この回生エネルギーは、移動体の駆動源を駆動させるためのエネルギーである。すなわち、移動体は、運動エネルギーが減少するとともに、駆動源を駆動させるためのエネルギーを生産する。この移動体が生産するエネルギーを「運動生産エネルギー」と称する。
このように、移動体の運動エネルギーの変化(加減速)に伴って増減される移動体の駆動源を駆動させるためのエネルギー、すなわち、運動消費エネルギー、運動生産エネルギーを合わせて「運動増減エネルギー」と称する。
(実施の形態1)
(表示制御装置の構成)
図1は、実施の形態1にかかる表示制御装置の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態1にかかる表示制御装置100は、車両のエネルギーを要因別に分け、ユーザに判りやすい形として表示する。この表示制御装置100は、取得部101、算出部102、判断部103、判定部104、表示制御部105、表示部110によって構成される。
ここで、エネルギーとは、たとえば、EV車、HV車、PHV車など(以下、単に「EV車」という)の場合、たとえば、電気などに基づくエネルギーである。また、エネルギーとは、たとえば、ガソリン車、ディーゼル車など(以下、単に「ガソリン車」という)の場合、たとえば、ガソリンや軽油、ガスなどに基づくエネルギーである。
取得部101は、移動体のエネルギー算出にかかる情報を取得する。この情報としては、移動体の速度に関する情報等のデータである。算出部102は、取得部101により取得された情報に基づいて、移動体の稼動により消費するエネルギー消費量を要因別に算出する。具体的には、所定の消費エネルギー推定式に、取得部101で取得した情報を変数として代入してエネルギー消費量を要因別に算出する。判断部103は、取得部101により取得された情報を判断し、エネルギーの生産あるいは消費の判定に必要な情報を出力する。具体的には、移動体が現在傾斜を上昇しているか下降しているか、および移動体が現在加速しているか減速しているかを判断し、この判断結果を判定部104に出力する。
判定部104は、算出部102および判断部103の出力に基づき、要因別のエネルギー各々について、エネルギーが全て消費されているか一部生産されているものがあるかを判定する。この判定には、判断部103により移動体が上昇/下降であるか、および移動体が加速/減速であるかの判断結果を用いる。また、この判定部104は、移動体が所定の区間を走行した際に、この所定の区間の走行に際して必要なエネルギーの累積が生産されているか消費されたかを判定できる。
表示制御部105は、要因別のエネルギーの表示に関する表示データを生成する。この表示データは、判定部104の判定により、要因別のエネルギーが全て消費されていると判定された場合と、要因別のエネルギーのうち生産されているエネルギーがあると判定された場合とで異なる表示形態の表示データとする。
表示制御部105は、判定部104により、要因別のエネルギーが全て消費されていると判定された場合には、表示データ上の画面上の所定の位置(基準位置)を始点とし、所定の方向に沿ってエネルギー消費量を要因別に累積した表示データを生成する。
一方、判定部104により、要因別のエネルギーのうち生産されているエネルギーがあると判定された場合には、表示データ上の座標上の所定の位置(基準位置)から所定の方向に沿って累積した方向とは逆方向に生産されているエネルギー量だけ推移させた位置を始点として、他のエネルギー消費量を要因別に累積した表示データを生成する。
他の表示形態としては、他の表示データの座標上の所定の位置(基準位置)から所定の方向に累積した方向とは逆方向に生産されているエネルギー量だけ推移させた位置を始点として他のエネルギー消費量を要因別に上記の所定の方向に累積した表示データを生成することもできる。
上記の表示データの所定の方向とは、たとえば、基準位置から上下、あるいは左右の方向にバーグラフ、円グラフなどが延びる如く表示される。円グラフの場合には、基準位置に対してそれぞれ逆(プラス、マイナス)の方向に延びることが明示できればよい。このほか、基準位置を容易に視認できるように補助の表示データを表示させてもよい。そして、複数の要因別のエネルギー消費量は、表示が延びる一方向に沿って各要因別に区切られ、この要因が延びる方向に一列に整列させる。さらに、視認を容易化するために各要因別に異なる表示色としたり、濃淡をつけてもよい。
表示部110は、表示制御部105によって生成された表示データを表示する。これにより、表示部110上には、分類された要因別にエネルギー消費量に関する情報が表示される。この際、表示部110は、地図データとともに表示してもよい。また、表示部110は、算出部102によって算出された走行可能距離で到達することができる経路、エリアなどを地図データに表示することもできる。
なお、取得部101で取得する移動体の速度に関する情報とは、たとえば、移動体の速度、加速度である。また、算出部102で用いる消費エネルギー推定式とは、移動体のエネルギー消費量を推定する式である。具体的には、消費エネルギー推定式は、エネルギー消費量を増減させる要因の異なる第一情報、第二情報および第三情報、第四情報からなる多項式である。消費エネルギー推定式の詳細については、後述する。
第一情報は、駆動源が稼動した状態における移動体の停止時に消費されるエネルギーに関する情報である。駆動源が稼動した状態における移動体の停止時とは、移動体のエンジンに負荷がかからない程度に、エンジンを低速で空回りさせた状態である。具体的には、駆動源が稼動した状態における移動体の停止時とは、アイドリング時である。
具体的には、第一情報は、たとえば、エンジンをかけたまま停車しているときや、信号などで停止しているときに消費されるエネルギー量(以下、「エネルギー消費量」という)である。つまり、第一情報は、移動体の走行に関係しない要因で消費されるエネルギー消費量である。より具体的には、第一情報は、移動体に備えられたエアコンやオーディオなどによるエネルギー消費量である。第一情報は、EV車の場合、ほぼゼロとしてもよい。
第二情報は、移動体の加減速時に消費および回収されるエネルギーに関する情報である。移動体の加減速時とは、移動体の速度が時間的に変化している走行状態である。具体的には、移動体の加減速時とは、所定の時間内において、移動体の速度が変化する走行状態である。所定の時間とは、一定間隔の時間の区切りであり、たとえば、単位時間あたりなどである。
また、第二情報は、EV車の場合、移動体の加速時に消費されるエネルギー量と、移動体の減速時に回収されるエネルギー量との割合(以下、「回収率」という)であってもよい。回収されるエネルギーとは、EV車の場合、移動体の加速時に生じた運動エネルギーが減速時に電気エネルギーに変換されて回収されるエネルギーである。回収率についての詳細な説明は、後述する。
また、回収されるエネルギーとは、ガソリン車の場合、必要以上にエネルギーを消費しないで節約することができるエネルギーである。詳細には、ガソリン車の場合、燃費を向上する運転方法として、アクセルを踏む時間を少なくする方法が知られている。つまり、ガソリン車では、移動体の加速時に生じる運動エネルギー(慣性力)によって移動体の走行を維持することで、燃料の消費を抑えることができる。また、移動体の減速時にエンジンブレーキを利用することで、ブレーキを踏むことによる燃料の消費を抑えることができる。つまり、ガソリン車の場合、消費される燃料を低減(燃料カット)して燃料を節約することであるが、ここではEV車と同様に回収されるエネルギーとする。
第三情報は、移動体の走行時に生じる抵抗により消費されるエネルギーに関する情報である。移動体の走行時とは、所定の時間内において、移動体の速度が一定である走行状態である。移動体の走行時に生じる抵抗とは、移動体の走行時に移動体の走行状態を変化させる要因である。具体的には、移動体の走行時に生じる抵抗とは、気象状況、道路状況、車両状況などにより移動体に生じる抵抗である。
気象状況により移動体に生じる抵抗とは、たとえば、雨、風などの気象変化による空気抵抗である。道路状況により移動体に生じる抵抗とは、道路勾配、路面の舗装状態などによる路面抵抗である。車両状況により移動体に生じる抵抗とは、タイヤの空気圧、乗車人数、積載重量などにより移動体にかかる負荷抵抗である。
具体的には、第三情報は、空気抵抗や路面抵抗、負荷抵抗を受けた状態で、移動体を一定速度で走行させたときのエネルギー消費量である。より具体的には、第三情報は、たとえば、向かい風により移動体に生じる空気抵抗や、舗装されていない道路から受ける路面抵抗などを、移動体が一定速度で走行するときに消費されるエネルギー消費量である。
第四情報は、移動体が位置する高度の変化により消費および回収されるエネルギーに関する情報である。移動体が位置する高度の変化とは、移動体の位置する高度が時間的に変化している状態である。具体的には、移動体が位置する高度の変化とは、所定の時間内において、移動体が勾配のある道路を走行することにより高度が変化する走行状態である。
また、第四情報は、道路の傾斜が不明な場合、または計算を簡略化する場合、移動体が位置する高度の変化はないものとして、後述するエネルギー推定式における道路勾配θ=0としてエネルギー消費量を推定することもできる。
取得部101は、たとえば、CAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルによって動作する車内通信ネットワーク(以下、単に「CAN」という)を介して、たとえば、エレクトロニックコントロールユニット(ECU:Electronic Control Unit)によって管理されている移動体の速度、加速度を取得し、第一情報、第二情報、第三情報および第四情報に関する変数として用いてもよい。
また、取得部101は、移動体の残存エネルギー量に関する情報や移動体の実エネルギー消費量を取得し、消費エネルギー推定式の変数として用いてもよい。ここで、残存エネルギー量とは、移動体の燃料タンクまたはバッテリーに残っているエネルギー量である。つまり、EV車の場合には、回収されたエネルギー量も残存エネルギー量に含まれる。具体的には、取得部101は、たとえば、CANなど通信プロトコルによって動作する車内通信ネットワークを介して、たとえば、ECUによって管理されている残存エネルギー量や実エネルギー消費量を取得する。
また、取得部101は、道路に関する情報を取得し、消費エネルギー推定式の変数として用いるが、不図示の記憶部に記憶された地図情報から道路に関する情報を取得してもよいし、傾斜センサなどから道路勾配などを取得してもよい。
ここで、道路に関する情報とは、たとえば、移動体の走行により消費または回収させるエネルギー量に変化を生じさせる道路情報である。具体的には、道路に関する情報とは、たとえば、道路種別や、道路勾配、路面状況などにより移動体に生じる走行抵抗である。走行抵抗は、たとえば、次の(1)式により算出することができる。一般的に、走行抵抗は、加速時や走行時に移動体に生じる。
算出部102は、第一情報と、第二情報と、第三情報と、第四情報と、からなる消費エネルギー推定式に基づいて、エネルギー消費量を算出する。具体的には、算出部102は、取得部101によって取得された移動体の速度に関する情報に基づいて、移動体のエネルギー消費量を推定する。
より詳細には、算出部102は、次の(2)式または(3)式に示す消費エネルギー推定式、もしくはその両方の式に基づいて、単位時間あたりのエネルギー消費量を推定する。加速時および走行時における単位時間あたりの移動体のエネルギー消費量は、走行抵抗と走行距離と正味モータ効率と伝達効率との積であり、次の(2)式で表される。(2)式に示す消費エネルギー推定式は、加速時および走行時における単位時間あたりのエネルギー消費量を推定する理論式である。
ここで、εは正味熱効率、ηは総伝達効率である。移動体の加速度αと道路勾配θから重力の加速度gとの合計を合成加速度|α|とすると、合成加速度|α|が負の場合の消費エネルギー推定式は、走行抵抗と走行距離と正味モータ効率と伝達効率の積であり、次の(3)式で表される。合成加速度|α|が負の場合とは、移動体の減速時である。(3)式に示す消費エネルギー推定式は、減速時における単位時間あたりのエネルギー消費量を推定する理論式である。
上記(2)式および(3)式において、右辺第1項は、アイドリング時のエネルギー消費量(第一情報)である。右辺第2項は、勾配成分によるエネルギー消費量(第四情報)および転がり抵抗成分によるエネルギー消費量(第三情報)である。右辺第3項は、空気抵抗成分によるエネルギー消費量(第三情報)である。また、(2)式の右辺第4項は、加速成分によるエネルギー消費量(第二情報)である。(3)式の右辺第4項は、減速成分によるエネルギー消費量(第二情報)である。その他の変数が示す情報は、上記(1)式と同様である。
また、上記(2)式および(3)式では、モータ効率と駆動効率は一定と見なしている。しかし、実際には、モータ効率および駆動効率はモータ回転数やトルクの影響により変動する。そこで、次の(4)式および(5)式に単位時間あたりの消費エネルギーを推定する実証式を示す。合成加速度|α+g・sinθ|が正の場合のエネルギー消費量を推定する実証式は、次の(4)式で表される。つまり、(4)式に示す消費エネルギー推定式は、加速時および走行時における単位時間あたりのエネルギー消費量を推定する実証式である。
また、合成加速度|α+g・sinθ|が負の場合のエネルギー消費量を推定する実証式は、次の(5)式で表される。つまり、(5)式に示す消費エネルギー推定式は、減速時における単位時間あたりのエネルギー消費量を推定する実証式である。
上記(4)式および(5)式において、係数a1,a2は、移動体の状況などに応じて設定される常数である。係数k1,k2,k3は、加速時におけるエネルギー消費量に基づく変数である。また、右辺第1項〜右辺第3項が示す情報は、上記(2)式および(3)式と同様である。
理論式である上記(2)式と、実証式である上記(4)式は類似した構造となっている。(2)式および(4)式の右辺第1項はともに速度に依存しない成分であり、ともに第一情報である。(4)式の右辺第2項は、勾配抵抗と加速抵抗分のエネルギー消費量である。つまり、(4)式の右辺第2項は、速度増加による運動増減エネルギー分を表す第二情報と、高度変化による位置増減エネルギー分を表す第四情報であり、(2)式の右辺第4項の加速成分と、(2)式の右辺第2項の勾配成分とに対応する。(4)式の右辺第3項は第三情報であり、(2)式の右辺第2項の転がり抵抗成分と、(2)式の右辺第3項の空気抵抗成分に対応する。
理論式である上記(3)式と、実証式である上記(5)式においても、上述した(2)式と(4)式の関係と同様に類似した構造となっている。(5)式の右辺第2項のβは、位置エネルギーと運動エネルギーの回収分(以下、「回収率」とする)である。
算出部102は、上記(4)式または(5)式に示す消費エネルギー推定式、もしくはその両方の式を用いて、単位時間ごとの走行速度Vと走行加速度αを入力することにより、走行速度および走行加速度が取得された瞬間の消費エネルギーを推定してもよい。しかし、上記(4)式または(5)式を用いて走行可能範囲を推定する場合、これから走行する全旅行区間行程における単位時間ごとの速度と加速度をたとえば1秒ごとに取得し、かつ1秒ごとにエネルギー消費量を推定しようとすると、計算量が膨大になってしまう恐れがある。
そこで、算出部102は、ある程度まとまった区間における走行速度の平均値、および走行加速度の平均値を用いて、この区間におけるエネルギー消費量を推定してもよい。区間におけるエネルギー消費量は、上記(4)式または(5)式に基づいて定義される消費エネルギー推定式を用いて得ることができる。具体的には、算出部102は、第二情報として、移動体の加速時に消費する単位時間あたりのエネルギー消費量と、移動体の減速時に回収される単位時間あたりのエネルギー消費量とを平均する推定式を用いる。
より具体的には、算出部102は、次の(6)式または(7)式に示す区間におけるエネルギー消費量の実証式、もしくはその両方の式を用いて、エネルギー消費量を推定してもよい。
次の(6)式に示す消費エネルギー推定式は、移動体が走行する区間の高度差Δhが正の場合の、区間における消費エネルギー推定式である。高度差Δhが正の場合とは、移動体が上り坂を走行している場合である。
一方、次の(7)式に示す消費エネルギー推定式は、移動体が走行する区間の高度差Δhが負の場合の、区間における消費エネルギー推定式である。高度差Δhが負の場合とは、移動体が下り坂を走行している場合である。
上記(6)式および(7)式において、右辺第1項は、アイドリング時のエネルギー消費量(第一情報)である。右辺第2項は、加速抵抗によるエネルギー消費量(第二情報)である。右辺第3項は、位置エネルギーとして消費されるエネルギー消費量である(第四情報)。右辺第4項は、単位面積あたりに受ける空気抵抗および転がり抵抗(以下、これらをまとめて「走行抵抗」と称する)によるエネルギー消費量(第三情報)である。
また、算出部102は、たとえば、メーカーによって提供された回収率βを取得してもよいし、取得部101によって取得された速度に関する情報に基づいて回収率βを算出してもよい。
次に、回収率βの算出方法について説明する。上記(6)式において、右辺第2項を旅行区間における加速成分のエネルギー消費量Paccとすると、加速成分のエネルギー消費量Paccは、旅行区間における全エネルギー消費量(左辺)から、アイドリング時のエネルギー消費量(右辺第1項)と走行抵抗によるエネルギー消費量(右辺第4項)を減じたものであり、次の(8)式で表される。
なお、上記(8)式では、移動体は道路勾配θの影響を受けていないこととしている(θ=0)。この場合、上記(6)式の右辺第3項をゼロとする。そして、上記(8)式を上記(6)式に代入することで、次の(9)式に示す回収率βの算出式を得ることができる。
回収率βは、EV車では0.7〜0.9程度であり、HV車では0.6〜0.8程度であり、ガソリン車では0.2〜0.3程度である。なお、ガソリン車の回収率とは、移動体の加速時におけるエネルギー消費量と、減速時に燃料カットされるエネルギー量との割合である。
また、算出部102は、上記(2)式〜(5)式に示す消費エネルギー推定式のいずれか一つ以上の式に基づいて、旅行区間を走行する際の単位時間あたりのエネルギー消費量を推定するとともに、これを旅行時間だけ積算して旅行区間を走行する際のエネルギー消費量を推定する。
具体的には、算出部102は、実際の速度に関する情報または旅行速度に関する情報を用いて、消費エネルギー推定式に基づいて単位時間あたりのエネルギー消費量を推定し、取得部101によって取得された旅行時間で積分することにより、旅行区間におけるエネルギー消費量を推定する。旅行区間を移動体が過去に実際に走行した際の旅行時間を用いて旅行区間におけるエネルギー消費量を推定するため、より実エネルギー消費量に近いエネルギー消費量を推定することができる。
(エネルギー表示処理について)
次に、表示制御装置100によるエネルギー表示処理について説明する。図2は、表示制御装置によるエネルギー表示処理の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、表示制御装置100は、取得部101によって、移動体のエネルギー算出にかかる情報を取得する(ステップS201)。次に、表示制御装置100は、算出部102によって、第一情報と、第二情報と、第三情報と、第四情報と、からなる消費エネルギー推定式を用いて、エネルギー消費量を要因別に算出する(ステップS202)。
次に、表示制御装置100の判定部104によって、エネルギーが全て消費されているか一部生産されているものがあるかを判定する(ステップS203)。この判定には、算出部102によって算出された、エネルギー消費量の値に基づき判定する。この判定には、判断部103の判断結果を加えてもよい。この場合、判定部104は、移動体が上昇/下降であるか、および移動体が加速/減速であるかの判断結果を判断部103から得て、エネルギーが全て消費されているか一部生産されているものがあるかを判定する。
そして、表示制御部105は、判定部104の判定により、要因別のエネルギーが全て消費されていると判定された場合(ステップS203:Yes)と、要因別のエネルギーのうち生産されているエネルギーがあると判定された場合(ステップS203:No)とで異なる表示形態の表示データを生成する。
たとえば、要因別のエネルギーが全て消費されていると判定された場合(ステップS203:Yes)には、表示制御部105は、消費時の表示形態で要因別のエネルギーを累積した表示データを生成する(ステップS204)。一方、要因別のエネルギーのうち生産されているエネルギーがあると判定された場合(ステップS203:No)には、表示制御部105は、一部生産時の表示形態で要因別のエネルギーを累積した表示データを生成する(ステップS205)。
次に、表示制御装置100の表示部110は、表示制御部105により生成された表示データを表示し(ステップS206)、本フローチャートによる処理を終了する。上記の処理は、所定の時間間隔で継続的に処理される。
そして、移動体の走行状況の変化により、要因別のエネルギーが全て消費されている場合と、要因別のエネルギーのうち生産されているエネルギーがある場合とにおいて、表示部110上の表示画面は、基準位置を中心として表示形態が変更される。また、走行状況の変化に伴って各要因のエネルギー量が異なると、対応して各要因そのものの表示の長さも変更されることになる。
たとえば、上り坂の場合、位置エネルギーの始点を原点として、この原点を表示画面上の基準位置とし、各要因別のエネルギーを位置エネルギー分(第四情報)、アイドリング消費分(第一情報)、走行抵抗分(第三情報)、加速損失分(第二情報)の順で積み上げて表示する。一方、下り坂の場合、位置エネルギーの終点(マイナスの座標)を原点として基準位置からアイドリング消費分、走行抵抗分、加速損失分の順で積み上げて表示する。他の表示形態としては、他の表示データの座標上の所定の位置(基準位置)から所定の方向に累積した方向とは逆方向に生産されているエネルギー量だけ推移させた位置を始点として他のエネルギー消費量を要因別に上記の所定の方向に累積した表示データを表示する。
以上説明したように、実施の形態にかかる表示制御装置100は、移動体のエネルギー消費量を要因別に算出し、要因別のエネルギーが全て消費されている場合と、要因別のエネルギーのうち生産されているエネルギーがある場合とにおいて、表示画面は、基準位置を中心として表示形態が変更される。これにより、要因別のエネルギーが全て消費されている場合と、要因別のエネルギーのうち生産されているエネルギーがある場合とで適切な表示をおこなうことができる。すなわち、一部生産するエネルギーがある場合でも、実際の消費分がどの程度なのか容易に把握できる表示をおこなうことができる。
(実施例1)
以下に、本発明の実施例1について説明する。本実施例1では、車両に搭載されるナビゲーション装置300を表示制御装置100として、本発明を適用した場合の一例について説明する。
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
次に、ナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、カメラ314、通信I/F315、GPSユニット316、各種センサ317を備えている。各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、走行距離推定プログラム、データ更新プログラム、地図データ表示プログラムなどのプログラムを記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データ、車両情報、道路情報、走行履歴などが挙げられる。地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて走行可能距離に関する情報を表示する際に用いられ、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)を表す背景データ、道路の形状をリンクやノードなどで表す道路形状データなどを含んでいる。ここで、車両情報、道路情報および走行履歴とは、上記(2)式〜(7)式に示す消費エネルギー推定式に変数として用いる道路に関するデータである。
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、たとえば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか一つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313としては、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
カメラ314は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ314によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU301において画像解析したり、映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力したりする。
通信I/F315は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F315は、たとえば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System(登録商標))/ビーコンレシーバなどである。
GPSユニット316は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット316の出力情報は、後述する各種センサ317の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば、緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
各種センサ317は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ317の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
図1に示した表示制御装置100の取得部101、算出部102、判断部103、判定部104、表示制御部105は、上述したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
(ナビゲーション装置300による消費エネルギー推定の概要)
本実施例のナビゲーション装置300は、車両の自装置が搭載された車両の走行中におけるエネルギー消費量を推定する。具体的には、ナビゲーション装置300は、たとえば、速度、加速度、車両の勾配に基づいて、次の(2)式〜(7)式に示す消費エネルギー推定式のいずれか一つ以上の式を用いて、車両のエネルギー消費量を推定する。
上記(2)式に示す消費エネルギー推定式は、加速時および走行時における単位時間あたりの消費エネルギーを推定する理論式である。上記(3)式に示す消費エネルギー推定式は、減速時における単位時間あたりの消費エネルギーを推定する理論式である。
また、上記(2)式および(3)式において、右辺第1項は、アイドリング時のエネルギー消費量(第一情報)である。右辺第2項は、勾配成分によるエネルギー消費量(第四情報)および転がり抵抗成分によるエネルギー消費量(第三情報)である。右辺第3項は、空気抵抗成分によるエネルギー消費量(第三情報)である。また、(2)式の右辺第4項は、加速成分によるエネルギー消費量(第二情報)である。(3)式の右辺第4項は、減速成分によるエネルギー消費量(第二情報)である。
上記(4)式に示す消費エネルギー推定式は、加速時および走行時における単位時間あたりのエネルギー消費量を推定する実証式である。上記(5)式に示す消費エネルギー推定式は、減速時における単位時間あたりのエネルギー消費量を推定する実証式である。
また、上記(4)式および(5)式において、係数a1,a2は、車両状況などに応じて設定される常数である。係数k1,k2,k3は、加速時におけるエネルギー消費量に基づく変数である。また、速度V、加速度Aとしており、その他の変数および右辺第1項〜右辺第3項にあたる部分が示す情報は、上記(2)式および(3)式と同様である。
また、ナビゲーション装置300は、ある程度まとまった区間における車両の平均速度および平均加速度を用いて、次の(6)式または(7)式に示す消費エネルギー推定式に基づいて、車両の走行する区間におけるエネルギー消費量を推定してもよい。
上記(6)式に示す消費エネルギー推定式は、移動体が走行する区間の高度差Δhが正の場合の、区間におけるエネルギー消費量を推定する理論式である。上記(7)式に示す消費エネルギー推定式は、移動体が走行する区間の高度差Δhが負の場合の、区間におけるエネルギー消費量を推定する理論式である。
また、上記(6)式および(7)式において、右辺第1項は、アイドリング時のエネルギー消費量(第一情報)である。右辺第2項は、加速抵抗によるエネルギー消費量(第二情報)である。右辺第3項は、位置エネルギーとして消費されるエネルギー消費量である(第四情報)。右辺第4項は、単位面積あたりに受ける空気抵抗および転がり抵抗(走行抵抗)によるエネルギー消費量(第三情報)である。
また、ナビゲーション装置300は、上記(4)式または(5)式に示す消費エネルギー推定式、もしくはその両方の式を用いて、重回帰分析法や回帰分析法により、1秒ごとに第一情報Pidle、効率εη、移動体の重量M、などを算出し、上記(2)式〜(7)式に示す消費エネルギー推定式の変数を補正してもよい。
(走行抵抗について)
つづいて、車両に生じる走行抵抗について説明する。ナビゲーション装置300は、たとえば、次の(1)式により走行抵抗を算出する。一般的に、走行抵抗は、道路種別や、道路勾配、路面状況などにより、加速時や走行時に移動体に生じる。
(回収率βの定義)
つづいて、EV車の回収率の概念について説明する。車両が走行するにあたり、出発地点から加速した後、一定の速度で走行し、その後減速して停止すると仮定した場合を例に、次の(10)式〜(13)式を用いて、回収率βを定義する。また、車両が実際に走行した際に計測されるエネルギー消費量(実エネルギー消費量)Ptとする。なお、旅行区間における道路勾配θ=0とする。
加速時のエネルギー消費量は、次の(10)式に示すように、走行抵抗によるエネルギー消費量Psと、加速抵抗によるエネルギー消費量Paとの和である。ここで、エネルギー消費量Ps、Paは、理論的に算出されたデータである。
Pt=Ps+Pa ・・・(10)
ここで、さらに、次のように仮定する。車両に生じる走行抵抗は、加速から減速に至る間に等しい。また、加速抵抗により生じる運動エネルギーは減速時に一部が電力に変換されて、回収されるエネルギー量として蓄えられる。つまり、車両の減速時、走行抵抗によりエネルギーが消費されるが、加速抵抗により生じる運動エネルギーが回収されるため、実際に消費されるエネルギー量は、走行抵抗によるエネルギー量から回収されるエネルギー量を引いた値となる。
このため、加速抵抗による運動エネルギー量の、減速時に回収される割合(回収率)βとすると、減速時のエネルギー消費量は、次の(11)式に示すように、走行抵抗によるエネルギー消費量Psと回収されるエネルギー量β・Paの差となる。
Pt=Ps−β・Pa ・・・(11)
実エネルギー消費量Ptは、次の(12)式に示すように、上記(10)式および(11)式の総和となる。
Pt=Ps+(1−β)・Pa ・・・(12)
ここで、実エネルギー消費量Pt、走行抵抗によるエネルギー消費量Ps、加速抵抗によるエネルギー消費量Paは既知の値であるため、回収率βは、次の(13)式を用いて算出することができる。
β=1−(Pt−Ps)/(Pa) ・・・(13)
つづいて、車両の実際の走行に基づいて、回収率βを算出する方法について説明する。まず、車両の、速度、エネルギー消費量(出力)、加減以外の走行抵抗によるエネルギー量を所定の時間ごとに測定した結果、車両が加速しているとき、速度、出力、走行抵抗全て上昇している。そして、車両が一定の速度で走行しているとき、出力、走行抵抗ともに一定の値となる。また、車両が減速しているとき、出力は減少して負の領域に至り、走行抵抗は正の領域を減少する。
つまり、出力は、減速時に、運動生産エネルギーが生じ、エネルギーが回収される。一方、加速以外の走行抵抗では、エネルギー消費量のみが発生する。
加速時のエネルギー消費量E13は、次の(14)式に示すように、加速抵抗によるエネルギー消費量E11と、加減速以外の走行抵抗によるエネルギー消費量E12の和となる。加減速以外の走行抵抗によるエネルギー消費量とは、走行を維持するために消費されるエネルギー消費量である。
E13=E11+E12 ・・・(14)
また、一定速度(巡航)での走行時のエネルギー消費量E23は、次の(15)式に示すように、加減速以外の走行抵抗によるエネルギー消費量E22となる。
E23=E22 ・・・(15)
また、減速時のエネルギー消費量E33は、次の(16)式に示すように、減速時に回収されるエネルギー量E31と、加減速以外の走行抵抗によるエネルギー消費量E32の和となる。
E33=E31+E32=E32−β×E11 ・・・(16)
つまり、加速抵抗によるエネルギー消費量E11と、減速時に回収されるエネルギー量E31との割合である回収率βは、次の(17)式を用いて算出することができる。
β=E33/E11 ・・・(17)
つまり、上記(17)式は、次の(9)式に相当する。詳細には、次の(9)式に示す回収率の算出式は、次のように導き出される。上記(6)式において、右辺第2項を所定の区間における加速成分のエネルギー消費量Paccとすると、加速成分のエネルギー消費量Paccは、所定の区間における全エネルギー消費量(左辺)から、アイドリング時のエネルギー消費量(右辺第1項)と走行抵抗によるエネルギー消費量(右辺第4項)を減じたものであり、次の(8)式で表される。
上記(8)式では、車両は道路勾配θの影響を受けていないこととする(θ=0)。そして、上記(8)式を上記(6)式に代入することで、次の(9)式に示す回収率βの算出式を得ることができる。
回収率βは、EV車では0.7〜0.9程度であり、HV車では0.6〜0.8程度であり、ガソリン車では0.2〜0.3程度である。なお、ガソリン車の回収率とは、移動体の加速時におけるエネルギー消費量と、減速時に燃料カットされるエネルギー量との割合である。
(エネルギー表示例)
図4は、実施例1によるエネルギー表示処理の手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、ナビゲーション装置300の各部が動作実行するものとして記載してある。まず、ナビゲーション装置300は、消費エネルギーの算出に必要なデータを収集する(ステップS401)。次に、ナビゲーション装置300は、第一情報と、第二情報と、第三情報と、第四情報と、からなる消費エネルギー推定式を用いて、エネルギー消費量を要因別に算出する(ステップS402)。
次に、ナビゲーション装置300は、現在の移動体が上り坂であるか否かを判定する(ステップS403)。たとえば、上記(6)、(7)式における高度差Δhが正の場合、移動体が上り坂を走行していると判定し、高度差Δhが負の場合、移動体が下り坂を走行していると判定する。そして、移動体が上り坂である場合には(ステップS403:Yes)、移動体は、位置消費エネルギーを発生(エネルギー全てを消費)していると判断する。そして、基準位置を位置消費エネルギー分の表示の始点とする(ステップS404)。一方、移動体が下り坂である場合には(ステップS403:No)、位置生産エネルギーが発生(エネルギーの一部が生産)されていると判断する。そして、位置生産エネルギー分だけマイナス座標の位置を基準位置とする(ステップS405)。
この後、基準位置からアイドリング分、走行抵抗分、加速損失分を積み上げて表示する(ステップS406)。位置エネルギー分は、上り坂の場合にのみ位置消費エネルギーとして表示されることになる。上記の各処理は、たとえば、1msecごとに繰り返し実行され、常に表示が更新される。
図5は、実施例1によるエネルギー表示の概要を示す図である。図1の表示制御部105において生成する表示画面の例を示す。なお、図5では、EV車の走行中に消費または生産されるエネルギー量を要因別に表示する例であり、アイドリングによるエネルギーの消費はないものとする。図5において、(a)上り坂の場合には、位置消費エネルギーの始点を基準位置に合わせて、位置消費エネルギーP1と、走行抵抗(走行抵抗分、加速損失分)P2の順でプラス方向に積み上げて表示する。(b)平地走行の場合には、走行抵抗P2分だけを基準位置から表示する。(c)下り坂の場合には、位置生産エネルギーp1の終点(マイナスの座標)を基準位置として、走行抵抗(走行抵抗分、加速損失分)の順でプラス方向に積み上げて表示する。すなわち、基準位置は、位置生産エネルギー分p1だけマイナス座標に原点(0)の位置からシフトして表示される(位置L)。基準位置とは、各要因の消費エネルギーを積み重ねる始点となる位置である。
図6は、実施例1によるエネルギー表示の詳細を示す図である。図5に示した表示画面を移動体の状態、およびエネルギー消費の各項目別に表示した例である。判定部104は、移動体の状態に応じて表示する消費エネルギーの項目を判定し、表示制御部105に出力する。(a)平地で一定走行または減速の場合には、座標の原点(0)から実消費分のエネルギーであるアイドリング分p3、走行抵抗分p2をバーグラフで図中水平なプラス方向に積み重ねて表示する。(b)平地で加速の場合には、座標の原点からアイドリング分p3と、走行抵抗分p2と、加速損失分p4の順で積み上げて表示する。(c)上り坂で加速走行の場合には、座標の原点から位置消費エネルギー分p1と、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2と、加速損失分p4の順で積み上げて表示する。(d)上り坂で一定走行または減速の場合には、座標の原点から位置消費エネルギー分p1と、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2の順で積み上げて表示する。
一方、下り坂の場合には、上述したように、位置生産エネルギー分だけ基準位置がマイナス座標に原点(0)の位置からシフトさせる(位置L)。まず、(e)下り坂で加速の場合には、マイナス座標の基準位置(L)を始点として、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2と、加速損失分p4の順でプラス方向に積み上げて表示する。また、(f)下り坂で減速の場合には、マイナス座標の基準位置(L)を始点として、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2の順で積み上げて表示する。上記のように、表示画面上のプラスの領域は、移動体が(a)〜(f)のいずれの状態においても、実消費分のエネルギー分が表示されることになる。
上述したように、位置エネルギー分は、移動体の状態により、消費エネルギーで見て生産される位置生産エネルギー、あるいは消費される位置消費エネルギーのいずれの成分にもなり得る。このため、実施例1では、消費エネルギーを要因別に積み上げて表示する際の積み上げの基準位置を移動体の状態により位置エネルギー分だけシフト可能にする。これにより、移動体が下り坂の場合における実消費のエネルギー全体がどの程度なのかを表示画面上のプラス側の表示で容易に把握できるようになる。また、一つの表示(バーグラフ)を見るだけで、直感的に簡単に燃費構造(エネルギー内訳と燃費構成)を把握できるようになる。
図7は、実施例1の他のエネルギー表示例を示す図である。上述の表示例では、バーグラフを水平方向として消費エネルギーの各要因を積み重ねる表示としたが、図7に示すように上の方向に各要因を積み重ねて表示してもよい。この場合、原点の位置を判りやすくするために、バーグラフの側部に原点位置を判りやすくする補助表示部701を表示させる。補助表示部701は、山702と、川703であり、山702の麓を原点位置に合わせて表示させる。これにより、山702の高さ方向が実消費エネルギーであることを容易に把握できるようになる。なお、基準位置は下り坂の場合には、川703の下流である位置Lの方向にシフトして表示される。さらには、図7の例に限らず、たとえばバーグラフを山702の傾斜や川703の流れに沿って表示させてもよい。
また、上記の実施例では、リアルタイムに(たとえば1msecごと)に図4の処理が実行され、表示部110に表示される構成とした。これに限らず、算出部102は、所定の単位時間(たとえば10secや1min)あたりの消費エネルギーの各要因の平均値を算出し、この所定単位時間ごとに上記の表示例で示したエネルギー表示をおこなう構成としてもよい。これにより、消費エネルギーの推移を所定の単位時間ごとに表示でき、この所定時間単位内におけるエネルギー変動があってもこれを吸収して表示できる。特に、短時間でエネルギー消費が大きく変動した場合でも表示が大きく変動することを防ぐことができ、表示を見やすくできる。
図8は、実施例1の他のエネルギー表示例を示す図である。移動体が平地を走行中における運動エネルギーは、移動体の加速時にプラスとなり、減速時にはマイナスとなる。このため、(a)加速時の運動エネルギーは、運動消費エネルギー分(加速損失分)p4と走行抵抗分p2が消費される。そして、座標の原点(0)を基準位置として運動消費エネルギー分(加速損失分)p4と走行抵抗分p2をプラスの方向に積み上げて表示する。また、(b)平地で一定走行時には、原点の位置から走行抵抗分p2だけを表示させる。そして、(c)減速時には、減速によって回収した運動生産エネルギー分p4だけを原点(0)からマイナスし、このシフトした基準位置Lを始点として走行抵抗分p2をプラスの方向に表示させる。このように、上述した基準位置Lのシフトは、移動体の上り/下りに限らず、移動体の加速/減速によってもシフトして表示することができる。
図9は、実施例1の他のエネルギー表示例を示す図である。上り坂で減速時と、下り坂で加速時の状態について示した。(a)上り坂で減速時には、回収した運動生産エネルギー分p4だけを原点(0)からマイナスし、このシフトした基準位置Lを始点として位置消費エネルギー分p1と、走行抵抗分p2を積み上げプラスの方向に表示させる。また、(b)下り坂で加速時には、位置生産エネルギー分p1のマイナス分だけを原点(0)からマイナスし、このシフトした基準位置Lを始点として運動消費エネルギー分p4と、走行抵抗分p2を積み上げプラスの方向に表示させる。このように、基準位置Lの始点を求めるためのエネルギーは、移動体の上り/下りと、加速/減速の状態に応じて選択することができる。
図10は、実施例1の他のエネルギー表示例を示す図である。上述した表示例では、水平方向あるいは上下方向に延びる直線状のバーグラフとしたが、図10に示すように、直線状ではなく、曲がったグラフ表示としてもよい。また、円グラフとしてもよいが、この場合、上述したように、マイナスの消費エネルギー分だけ基準位置をシフトさせるための領域を確保しておけばよい。
また、上述した実施例1において、位置エネルギー(あるいは運動エネルギー)の項目については、移動体の状態が上り/下り、および加速/減速の状態で、位置増減エネルギーと、運動増減エネルギーがそれぞれ消費あるいは生産される組み合わせが生じるため、これら表示している位置エネルギー(あるいは運動エネルギー)の項目については、移動体の状態が上りと下りで異なる表示色(同様に加速/減速で異なる表示色)にしてもよい。この表示色を見て、移動体の状態が上り/下り、あるいは加速/減速であるかを容易に把握できるようになる。
以上説明したように、実施例1によれば、生産される消費エネルギー分だけ軸のマイナス位置にシフトさせ、シフトさせた位置を基準位置として消費エネルギーの各要因を積み上げて表示するようにした。これにより、移動体の現在の消費エネルギーを知りたい場合に、原点(0)の座標位置からプラス側の領域に、実際に消費しているエネルギー量が表示される。これにより、移動体の走行状態が変化しても、消費エネルギー全体の表示長さの変化を少なくすることができ、走行中のエネルギー消費量を容易に理解できるようになる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2は、実施例1と表示内容を変更させただけであり、図3のナビゲーション装置300が処理をおこなう点は同じである。また、実施例2では、基準位置は原点のままであり、実施例1のような原点のシフトはおこなわない。
図11は、実施例2によるエネルギー表示処理の手順を示すフローチャートである。まず、ナビゲーション装置300は、消費エネルギーの算出に必要なデータを収集する(ステップS1101)。次に、ナビゲーション装置300は、第一情報と、第二情報と、第三情報と、第四情報と、からなる消費エネルギー推定式を用いて、エネルギー消費量を要因別に算出する(ステップS1102)。
次に、ナビゲーション装置300は、現在の移動体が上り坂であるか否かを判定する(ステップS1103)。たとえば、上記(6)、(7)式における高度差Δhが正の場合、移動体が上り坂を走行していると判定し、高度差Δhが負の場合、移動体が下り坂を走行していると判定する。これに限らず、傾斜センサの検出値を用いても良い。そして、移動体が上り坂である場合には(ステップS1103:Yes)、位置消費エネルギーを発生(エネルギー全てを消費)していると判断する。そして、原点からプラス方向に位置消費エネルギー分を表示する。そして、位置消費エネルギーの終点からプラス方向に走行抵抗分を表示する(ステップS1104)。一方、移動体が下り坂である場合には(ステップS1103:No)、位置生産エネルギーが発生(エネルギーの一部が生産)されていると判断する。そして、原点からマイナス方向に位置生産エネルギー分を表示する。また、原点からプラス方向に走行抵抗分を表示する(ステップS1105)。
図12は、実施例2のエネルギー表示の概要を示す図である。図1の表示制御部105において生成する表示画面の例を示す。(a)上り坂の場合には、位置消費エネルギーの始点を原点(0)とし、この原点を基準位置とする。この原点から位置消費エネルギーP1と、走行抵抗(アイドリング消費分、走行抵抗分、加速損失分)P2の順でプラス方向に積み上げて表示する。(b)平地走行の場合には、走行抵抗P2分だけを基準位置から表示する。(c)下り坂の場合にも原点(0)を基準位置として、走行抵抗(アイドリング消費分、走行抵抗分、加速損失分)P2をプラス方向に表示する。一方、下り坂により、生産により回収された位置生産エネルギーp1は、原点(0)を基準位置として、マイナス方向に表示する。
上記の表示によれば、特に、移動体が(c)下り坂の状態のとき、走行抵抗P2と、位置生産エネルギーp1を軸のマイナス分として表示させることができるようになる。この点、従来ではこれらの差分である実消費エネルギー(図中lの部分)しか表示できず、位置消費エネルギーP1および位置生産エネルギーp1を知ることができなかったが、実施例1によればこれらをいずれも把握できるようになる。加えて、位置消費エネルギーP1分は、原点からプラスの領域だけを見ればよく、位置消費エネルギーP1を容易に把握できるようになる。加えて、位置生産エネルギーp1は原点からマイナスの座標側に表示させるため、原点からプラスの領域には位置消費エネルギーP1だけを表示できるため、プラス側の表示の領域における位置消費エネルギーP1の変動を従来に比して抑えることができ、視認性を向上できる。すなわち、従来では、全てのエネルギーが原点からプラス側に表示されていたため、合計のエネルギーの変化が激しくなる傾向があったのに比して、少なくとも位置生産エネルギーp1に関しては、マイナス側に表示させ、プラス側の位置消費のエネルギーP1の合計に影響を与えないから、位置消費エネルギーP1側の増減を従来に比して抑えることができ、視認性を向上できる。
図13は、実施例2の他のエネルギー表示例を示す図である。移動体が平地を走行中における運動エネルギーは、移動体の加速時にプラスとなり、減速時にはマイナスとなる。これに限らず、加速度センサの検出値を用いても良い。このため、(a)加速時の運動エネルギーは、運動消費エネルギー分(加速損失分)p4と走行抵抗分p2が消費される。そして、座標の原点(0)を基準位置として運動消費エネルギー分(加速損失分)p4と走行抵抗分p2をプラスの方向に積み上げて表示する。また、(b)平地で一定走行時には、原点の位置から走行抵抗分p2だけを表示させる。そして、(c)減速時には、減速によって回収した運動生産エネルギー分p4を原点(0)からマイナス方向に向かって表示させる。また、走行抵抗分p2については、原点(0)からプラス方向に向かって表示させる。このように、実施例2では、原点の位置をシフトさせず、常に原点(0)を基準位置として表示させる。これにより、原点位置からプラス側が運動消費エネルギー分であり、原点位置からマイナス側が生産により回収された運動生産エネルギー分であることを容易に把握することができる。
図14は、実施例2によるエネルギー表示の詳細を示す図である。図12に示した表示画面を移動体の状態、およびエネルギー消費の各項目別に表示した例である。判定部104は、移動体の状態に応じて表示する消費エネルギーの項目を判定し、表示制御部105に出力する。
(a)平地で一定走行または減速の場合には、座標の原点(0)から実消費分のエネルギーであるアイドリング分p3、走行抵抗分p2をバーグラフで図中水平なプラス方向に積み重ねて表示する。(b)平地で加速の場合には、座標の原点からアイドリング分p3と、走行抵抗分p2と、加速損失分p4の順で積み上げて表示する。(c)上り坂で加速走行の場合には、座標の原点から位置消費エネルギー分p1と、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2と、加速損失分p4の順で積み上げて表示する。(d)上り坂で一定走行または減速の場合には、座標の原点から位置消費エネルギー分p1と、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2の順で積み上げて表示する。
一方、下り坂の場合には、上述したように、生産(回収)される位置生産エネルギー分p1を原点(0)からマイナス方向に表示させる。まず、(e)下り坂で加速の場合には、位置生産エネルギー分p1を原点からマイナス方向に表示させる。また、原点からプラスの方向には、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2と、加速損失分p4の順で積み上げて表示する。また、(f)下り坂で減速の場合にも、同様に、位置生産エネルギー分p1を原点から軸のマイナス方向に表示させる。この場合、アイドリング分p3と、走行抵抗分p2の順で積み上げて表示する。上記のように、表示画面上のプラスの領域は、移動体が(a)〜(f)のいずれの状態においても、実消費分のエネルギー分が表示されることになる。
上述したように、位置エネルギー分は、移動体の状態により、消費エネルギーで見てプラスの位置生産エネルギー、あるいはマイナスの位置消費エネルギーのいずれの成分にもなり得る。このため、実施例2では、原点からプラス側に位置消費エネルギーを要因別に積み上げて表示させる一方、原点からマイナス側に生産(回収)した位置生産エネルギーを表示させる。これにより、移動体が下り坂の場合における実消費のエネルギー全体がどの程度なのかを表示画面上のプラス側の表示で容易に把握できるようになる。また、一つの表示(バーグラフ)を見るだけで、直感的に簡単に燃費構造(エネルギー内訳と燃費構成)を把握できるようになる。
また、実施例2においても、実施例1同様に、補助表示部701(図7参照)を設けて、原点位置を容易に把握できる表示にできる。また、算出部102は、図11の処理をリアルタイム(たとえば1msecごと)に実行するが、この算出部102は、所定の単位時間(たとえば10secや1min)あたりの消費エネルギーの各要因の平均値を算出し、この所定単位時間ごとに上記の表示例で示したエネルギー表示をおこなう構成としてもよい。これにより、消費エネルギーの推移を所定の単位時間ごとに表示でき、この所定単位時間内におけるエネルギー変動があってもこれを吸収して表示できる。特に、短時間でエネルギー消費が大きく変動した場合でも表示が大きく変動することを防ぐことができ、表示を見やすくできる。
さらに、エネルギーの表示についても、図10に示すように、曲がったグラフ表示としてもよい。また、位置エネルギー(あるいは運動エネルギー)の項目については、移動体の状態が上り/下り、および加速/減速の状態でエネルギーが消費あるいは生産されるため、これら表示している位置エネルギー(あるいは運動エネルギー)の項目については、移動体の状態が上りと下りで異なる表示色(同様に加速/減速で異なる表示色)にしてもよい。この表示色を見て、移動体の状態が上り/下り、あるいは加速/減速であるかを容易に把握できるようになる。
以上説明したように、実施例2によれば、プラスの消費エネルギー分だけ原点からマイナス方向に表示させ、原点からプラス側には消費エネルギーの各要因を積み上げて表示するようにした。これにより、移動体の現在の消費エネルギーを知りたい場合に、原点(0)の座標位置からプラス側の領域に、実際に消費しているエネルギー量が表示される。これにより、移動体の走行状態が変化しても、消費エネルギー全体の表示長さの変化を少なくすることができ、走行中のエネルギー消費量を容易に理解できるようになる。
(実施例3)
実施例3は、燃費(燃料消費率)を軸にしたエネルギー表示例である。図15は、実施例3によるエネルギー表示例を示す図である。燃料消費率km/L=走行距離/消費燃料である。算出部102は、これら燃料消費率、および消費燃料を演算に求める。そして、この実施例3では、消費燃料(単位時間あたりのエネルギー消費量)を要因別に分けて表示する。各要因は、P1が走行抵抗分、P2が加減速分、P3が高さ分である。判定部104は、移動体の状態に応じて表示する燃料消費率の項目を判定し、表示制御部105に出力する。
(a)平地で一定速度Vで走行している場合には、消費燃料P=P1、総合燃費M=V/P1であるため、図示のように、座標の原点から走行抵抗分p2(M=V/P1)を表示する。(b)速度Vで平地を走行し、加速している場合には、消費燃料P=P1+P2、総合燃費M=V/(P1+P2)である。この場合、図示のように、燃費バーの右端をMとする。また、右端からV/P1の長さをマイナス(左)の軸方向に移動した位置を燃費バーである走行抵抗分p2の左端にする。
(c)速度Vで平地を走行し、減速している場合には、消費燃料P=P1−P2、総合燃費M=V/(P1−P2)である。この場合、燃費バーの右端をMとする。また、右端からV/P1の長さをマイナスの軸方向に移動した位置を燃費バーである走行抵抗分p2の左端にする。(d)速度Vで上りを走行し、速度は変化しない場合には、消費燃料P=P1+P3、総合燃費M=V/(P1+P3)である。この場合、燃費バーの右端の位置をMとする。そして、右端からV/P1の長さをマイナスの軸方向に移動した位置を燃費バーである走行抵抗分p2の左端にする。(e)速度Vで下りを走行し、速度は変化しない場合には、消費燃料P=P1−P3、総合燃費M=V/(P1−P3)である。この場合、燃費バーの右端の位置をMとする。そして、右端からV/P1の長さをマイナスの軸方向に移動した位置を燃費バーの走行抵抗分p2の左端にする。
この実施例3の表示例によれば、走行抵抗分p2だけを表示することができ、併せて走行抵抗分p2のバーの位置に応じて燃料消費率を容易に知ることができる。
(実施の形態2)
図16は、実施の形態2にかかる表示制御システムの機能的構成を示すブロック図である。実施の形態2にかかる表示制御システム1600は、表示制御装置1601と、表示装置1602とに分離された構成である。
表示制御装置1601には、実施の形態1において説明した取得部101、算出部102、判断部103、判定部104、表示制御部105の各構成と、送信部1611を有する。送信部1611は、表示制御部105が生成するエネルギー消費量を要因別に累積した表示データを表示装置1602に送信する。
表示装置1602は、受信部1612と、表示部110によって構成される。受信部1612は、表示制御装置1601から送信される表示データを受信し、表示部110はこの表示データを画面上に表示出力する。この表示データは、上述した実施の形態1で説明した各種表示をおこなう。
実施の形態2によれば、表示制御装置1601の機能と表示装置1602の機能を分離することができ、各装置の処理を効率的に実行できるようになる。
なお、本実施の形態で説明した表示制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。