以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るトイレ装置の外観を例示する斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置10は、洋式腰掛便器800(以下、便器800と称す)と、その上に設けられた便座装置100と、を備える。
便器800は、ボウル部810を有する。ボウル部810は、便器800の上部に設けられる。ボウル部810は、便器800の上面800aよりも凹んだ凹状である。ボウル部810は、使用者から排泄された汚物や尿などを受ける。また、ボウル部810は、内部に水を貯留し、排水管から悪臭や害虫類などが室内に侵入することを防ぐ。
便座装置100は、本体部400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、本体部400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。図1は、便座200と便蓋300とが、開いた状態を表している。便蓋300は、閉じた状態において便座200の上方を覆う。なお、便蓋300は、必ずしも設けられていなくてもよい。
便座装置100は、衛生洗浄機能と、局部乾燥機能と、便座暖房機能と、を有する。衛生洗浄機能は、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄する洗浄動作を行う機能である。局部乾燥機能は、便座200に座った使用者の「おしり」などに温風を吹き付けることにより、衛生洗浄によって濡れた「おしり」などを乾燥させる乾燥動作を行う機能である。便座暖房機能は、便座200の着座面を適温に温める便座加熱動作を行う機能である。
衛生洗浄機能では、例えば、使用者のスイッチ操作などに応じて本体部400から洗浄水を局部に向けて噴射するためのノズル462(図5参照)を便器800のボウル部810内に進出させる。そして、ノズル462の先端付近に設けられた吐水口から洗浄水を噴射する。これにより、使用者の「おしり」などを洗浄することができる。また、衛生洗浄機能では、冷水のみならず、ヒータによって加熱した温水を洗浄水として吐水口から噴射することもできる。
ここで、本願明細書においては、便座200に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座200に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋300に背を向けて便座200に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座200に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、後方を向いて便器800の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、後方を向いて便器800の前に立った使用者からみて左側を「左側方」とする。
本体部400は、便器800の上部後方に設置される。本体部400の前面は、ボウル部810の開口端の形状に沿って凹状に湾曲した湾曲凹面402を有する。湾曲凹面402の左右には、ボウル部810の開口端に沿って前方に向けて延出した延出部404が設けられている。湾曲凹面402は、その中央付近が高く、左右の延出部404に近づくにしたがって次第に低くなる形状を有する。
湾曲凹面402の中央には、ノズルダンパー460と温風ダンパー470とが設けられている。ノズルダンパー460は、ノズル462を進出及び後退させる開口部を覆う閉止部材である。温風ダンパー470は、ノズルダンパー460の右側に並べて配置されている。温風ダンパー470は、局部乾燥用の温風の吹出口を覆う閉止部材である。ノズルダンパー460及び温風ダンパー470は、例えば、本体部400に回動自在に支持されている。
ノズルダンパー460は、例えば、支持軸を中心に回転することにより、開口部を覆う閉じ位置と、開口部を露出させる開き位置との間で移動する。ノズルダンパー460は、衛生洗浄機能を実行していない待機状態において、閉じ位置に保持される。そして、ノズルダンパー460は、衛生洗浄機能の実行によってノズル462が進出する際に、開き位置に移動する。
温風ダンパー470は、例えば、支持軸を中心に回転することにより、吹出口を覆う閉じ位置と、吹出口を露呈させる開き位置との間で移動する。温風ダンパー470は、局部乾燥機能を実行していない待機状態において、閉じ位置に保持される。そして、温風ダンパー470は、局部乾燥機能の実行によって使用者の「おしり」などに温風を吹き付ける際に、開き位置に移動する。
また、本体部400の上面には、凹設部410が形成され、この凹設部410に一部が埋め込まれるように人体検知センサ480が設けられている。人体検知センサ480は、人体の有無を検知する。人体検知センサ480は、例えば、使用者がいなくなったことを検知するために用いられる。人体検知センサ480は、便蓋300が閉じた状態においては、その基部付近に設けられた透過窓310を介して使用者の存在を検知する。人体検知センサ480としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
図2は、本実施形態に係る便座装置の電気的構成を例示する回路図である。
図2に表したように、便座装置100は、制御部500と、ヒータ回路部510と、制御系電源部520と、ヒータ系電源部530と、記憶部540と、電源端子550と、を有する。
制御部500は、記憶部540と電気的に接続されている。記憶部540には、例えば、便座装置100を制御するための各種のプログラムやデータが記憶されている。制御部500は、記憶部540からプログラムやデータを読み出し、逐次処理を行うことにより、便座装置100の各部を統括的に制御する。記憶部540には、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置が用いられる。また、制御部500は、人体検知センサ480と電気的に接続されている。制御部500は、人体検知センサ480の検知結果を基に、人体の有無を判定する。
電源端子550は、例えば、家庭用のコンセントに着脱自在に挿し込まれるプラグである。便座装置100には、電源端子550を介して商用電源CPS(供給電源)から交流の電力が供給される。商用電源CPSの電圧の実効値は、例えば、100Vや200Vなどである。なお、便座装置100に供給される交流電力は、例えば、自家発電機から供給される交流電力などでもよい。便座装置100の電源は、交流電力を出力可能な交流電源であればよい。
ヒータ回路部510は、温水ヒータ511と、温風ヒータ512と、便座ヒータ513と、温水用スイッチング素子514と、温風用スイッチング素子515と、便座用スイッチング素子516と、温水用サーミスタ517と、温風用サーミスタ518と、便座用サーミスタ519と、を有する。
温水ヒータ511は、衛生洗浄の際に用いられる温水を生成するためのヒータである。温水ヒータ511は、例えば、タンクに一時的に貯留された洗浄水を加熱することにより、衛生洗浄用の温水を生成する。温水ヒータ511には、例えば、セラミックヒータやシーズヒータなどが用いられる。温水ヒータ511の容量は、例えば、1200Wである。
温風ヒータ512は、局部乾燥の際に用いられる温風を生成するためのヒータである。温風ヒータ512は、例えば、ファンと吹出口との間に配置され、ファンから吹き出された風を加熱することにより、局部乾燥用の温風を生成する。温風ヒータ512には、例えば、ニクロム線ヒータなどが用いられる。温風ヒータ512の容量は、例えば、350Wである。
便座ヒータ513は、便座200を加熱して便座暖房機能を実現するためのヒータである。便座ヒータ513には、例えば、チュービングヒータや面状ヒータなどが用いられる。便座ヒータ513の容量は、例えば、500Wである。
このように、便座装置100(トイレ装置10)には、被加熱物を加熱するための複数のヒータ511〜513が設けられる。被加熱物とは、例えば、衛生洗浄用の洗浄水、局部乾燥用の風、及び、便座200などである。便座装置100に設けられるヒータは、上記に限らない。例えば、室温調節用の温風を生成するためのヒータを設けてもよい。また、便座暖房機能を実現するためのヒータにおいて、便座200の着座面の温度を連続的に上昇させる急速加熱用のヒータと、便座200の着座面の温度を所定の温度範囲内に保つ保温加熱用のヒータと、を設けてもよい。
温水用スイッチング素子514は、温水ヒータ511に対して直列に接続される。温水用スイッチング素子514は、温水ヒータ511に対して電力を供給する供給状態(オン状態)と、電力を供給しない非供給状態(オフ状態)と、の切り替えに用いられる。換言すると、供給状態は、通電状態であり、非供給状態は、非通電状態である。
温風用スイッチング素子515は、温風ヒータ512に対して直列に接続される。温風用スイッチング素子515は、温風ヒータ512に対して電力を供給している供給状態と、電力を供給していない非供給状態と、の切り替えに用いられる。
便座用スイッチング素子516は、便座ヒータ513に対して直列に接続される。便座用スイッチング素子516は、便座ヒータ513に対して電力を供給している供給状態と、電力を供給していない非供給状態と、の切り替えに用いられる。
各スイッチング素子514〜516(複数のヒータ用スイッチング素子)は、制御部500と電気的に接続されている。各スイッチング素子514〜516の供給状態と非供給状態との間の切り替えは、制御部500によって制御される。各スイッチング素子514〜516は、制御部500から入力される制御信号に基づいて供給状態と非供給状態とを切り替える。各スイッチング素子514〜516には、例えば、機械式のリレーや半導体スイッチなどが用いられる。
各ヒータ511〜513及び各スイッチング素子514〜516は、例えば、交流100V(実効値)の商用電源CPSに応じた仕様で設計される。
温水用サーミスタ517は、温水ヒータ511によって加熱された温水の温度を検出する。温風用サーミスタ518は、温風ヒータ512によって加熱された温風の温度を検出する。便座用サーミスタ519は、便座200の温度を検出する。各サーミスタ517〜519は、各ヒータ511〜513の被加熱物の温度を検出するための温度検出部である。各サーミスタ517〜519は、制御部500と電気的に接続されている。各サーミスタ517〜519は、被加熱物の温度の検出信号を制御部500に出力する。制御部500は、入力された検出信号に基づいて、各被加熱物の温度を判定する。これにより、制御部500が、各被加熱物の温度の情報を得ることができる。なお、各被加熱部の温度の検出は、サーミスタに限ることなく、例えば、熱電対や放射温度計などの他の温度センサでもよい。
制御系電源部520は、フィルタ回路521と、整流回路522と、24V電源回路523と、5V電源回路524と、を有する。
フィルタ回路521は、電源端子550と電気的に接続されている。フィルタ回路521は、商用電源CPSから供給される交流電圧に含まれるノイズを除去し、ノイズ除去後の交流電流を整流回路522に出力する。
整流回路522は、例えば、全波整流回路である。整流回路522は、フィルタ回路521から出力された交流電圧を全波整流し、全波整流後の電圧を24V電源回路523に出力する。なお、整流回路522は、例えば、半波整流回路などでもよい。
24V電源回路523は、整流回路522から出力された電圧の平滑と、降圧と、を行うことにより、全波整流後の電力から24Vの絶対値の直流電力を生成する。
5V電源回路524は、24V電源回路523に電気的に接続されている。5V電源回路524は、24V電源回路523から出力された直流電力を降圧し、5Vの絶対値の直流電力を生成する。5V電源回路524は、例えば、制御部500及び記憶部540と電気的に接続されている。制御部500及び記憶部540は、例えば、5V電源回路524から供給される5Vの直流電圧で駆動される。
24V電源回路523には、24Vの直流電圧で駆動される24V負荷525が電気的に接続されている。24V負荷525は、例えば、衛生洗浄用のノズル462を進退させるためのノズルモータ466(図5参照)や、ノズル462などを除菌洗浄するための電解除菌水を生成する電解除菌水生成ユニット604(図5参照)などである。
ヒータ系電源部530は、フィルタ回路531と、整流部532と、降圧部533と、を有する。
フィルタ回路531は、電源端子550と電気的に接続されている。フィルタ回路531は、例えば、制御系電源部520のフィルタ回路521と並列に接続される。フィルタ回路531は、商用電源CPSから供給される交流電圧に含まれるノイズを除去し、ノイズ除去後の交流電圧を整流部532に出力する。
整流部532は、例えば、全波整流回路である。整流部532は、フィルタ回路531から出力された交流電圧を全波整流し、全波整流後の電圧を降圧部533に出力する。なお、整流部532は、例えば、半波整流回路などでもよい。
降圧部533は、整流部532から出力された脈流の電圧を降圧する。降圧部533は、例えば、整流部532から入力された脈流の電圧の実効値を低下させる。そして、降圧部533は、降圧後の電力をヒータ回路部510に供給する。また、降圧部533は、信号線534を介して制御部500と電気的に接続されている。降圧部533は、制御部500から入力される制御信号に基づいて降圧を行う。降圧部533は、例えば、整流部532から入力された電圧を制御信号に応じた実効値の電圧に降圧する。
制御部500は、例えば、整流部532から出力される電圧を、各ヒータ511〜513及び各スイッチング素子514〜516の仕様に応じた電圧に降圧させる。例えば、交流200V(実効値)の商用電源CPSである場合、制御部500は、整流部532から出力される200Vの電圧の脈流を、100Vの脈流に降圧させる制御信号を降圧部533に入力する。これにより、例えば、商用電源CPSの電圧によらず、ヒータ回路部510の仕様を交流100Vの仕様に統一することができる。例えば、交流100V系の商用電源CPSの国や地域で販売される製品と、交流200V系の商用電源CPSの国や地域で販売される製品と、の間で、ヒータ回路部510の仕様を共通化することができる。
ヒータ系電源部530と電源端子550との間には、コネクタ535及びコネクタ536が設けられている。コネクタ536は、コネクタ535に着脱自在に取り付けられる。そして、コネクタ536は、コネクタ535に取り付けられた状態において、コネクタ535と電気的に接続される。フィルタ回路531は、コネクタ535及びコネクタ536を介して電源端子550と電気的に接続される。ヒータ系電源部530とヒータ回路部510との間には、コネクタ537及びコネクタ538が設けられている。コネクタ538は、コネクタ537に着脱自在に取り付けられる。そして、コネクタ538は、コネクタ537に取り付けられた状態において、コネクタ537と電気的に接続される。降圧部533は、コネクタ537及びコネクタ538を介して各ヒータ511〜513と電気的に接続される。また、コネクタ538は、コネクタ535に着脱自在に取り付けられる。コネクタ538は、コネクタ535に取り付けられた状態において、コネクタ535と電気的に接続される。この場合、ヒータ回路部510が、電源端子550と直接電気的に接続される。
ヒータ系電源部530は、例えば、ユニット化され、各コネクタ535〜538の接続により、便座装置100に対して容易に着脱できるように構成される。交流100V系の商用電源CPSの国や地域で販売される製品において、ヒータ系電源部530は、必ずしも必要ではない。そこで、100V系の商品においては、ヒータ系電源部530を省略する。これにより、ヒータ回路部510の仕様を共通化しつつ、100V系の商品における製造工程の増加やコストアップを抑えることができる。
図3は、本実施形態に係る降圧部の電気的構成を例示する回路図である。
図3に表したように、降圧部533は、例えば、降圧用スイッチング素子560と、ダイオード561と、インダクタ562と、コンデンサ563と、を有する。
降圧用スイッチング素子560は、整流部532と電気的に接続される。整流部532は、例えば、ブリッジダイオード532dを含む。この例において、整流部532は、4つのダイオードを組み合わせて構成されるブリッジ回路である。降圧用スイッチング素子560には、例えば、IGBTやパワーMOSFETなどが用いられる。以下、この例では、降圧用スイッチング素子560をIGBTとして説明を行う。
降圧用スイッチング素子560のコレクタ端子は、整流部532の出力端と電気的に接続される。降圧用スイッチング素子560のエミッタ端子は、ダイオード561と電気的に接続される。ダイオード561は、降圧用スイッチング素子560のエミッタ端子に直列に接続される。降圧用スイッチング素子560のゲート端子は、信号線534と電気的に接続される。
インダクタ562は、ダイオード561に対して並列に接続される。インダクタ562は、いわゆるチョークコイルである。コンデンサ563は、インダクタ562に直列に接続される。
この降圧部533では、信号線534を介して降圧用スイッチング素子560のゲート端子に制御信号(電圧パルス信号)を印加し、降圧用スイッチング素子560のオン・オフを切り替える。これにより、整流部532からの入力電圧よりも低い電圧の脈流が、コンデンサ563の両端に表れる。すなわち、この例において、降圧部533は、いわゆる降圧チョッパ回路である。このように、降圧部533は、降圧用スイッチング素子560のオン・オフにより、整流部532の整流出力を降圧して各ヒータ511〜513に供給する。降圧部533の回路構成は、これに限定されない。降圧部533は、例えば、降圧用スイッチング素子560のオン・オフによって電圧を低下させることが可能な任意の回路を採用することができる。
制御部500は、例えば、50Hzまたは60Hzの交流の商用電源CPSから生成される全波整流波に対し、25kHzのパルス信号を制御信号として降圧用スイッチング素子560のゲート端子に入力し、降圧用スイッチング素子560をスイッチングさせる。そして、制御部500は、制御信号のデューティ比を制御する。これにより、降圧部533から出力される脈流の電圧を制御信号に応じた値に制御することができる。なお、制御信号の周波数は、商用電源CPSの周波数よりも高い任意の値でよい。
前述のように、各ヒータ511〜513及び各スイッチング素子514〜516は、100V系の仕様に設計される。このため、制御部500は、例えば、降圧部533から出力される脈流の電圧の実効値を100V以下に制御する。
各ヒータ511〜513は、例えば、降圧部533のコンデンサ563に対して並列に接続される。温水用スイッチング素子514は、温水ヒータ511と降圧部533との間に設けられる。温風用スイッチング素子515は、温風ヒータ512と降圧部533との間に設けられる。便座用スイッチング素子516は、便座ヒータ513と降圧部533との間に設けられる。これにより、各スイッチング素子514〜516のオン・オフを切り替えることで、各ヒータ511〜513への電力の供給及び供給の停止を制御することができる。
制御部500は、例えば、電源投入時(イニシャル時)または待機中において、商用電源CPSの電圧を判別する電源電圧判別動作を実行する。電源電圧判別動作において、制御部500は、所定のデューティ比の制御信号を降圧用スイッチング素子560に出力するとともに、各スイッチング素子514〜516の少なくともいずれか1つをオンにすることにより、所定の判別期間の間、各ヒータ511〜513の少なくともいずれか1つに対して通電を行う。
判別期間は、予め設定される任意の時間である。判別期間は、例えば、数十秒程度である。電源電圧判別動作において降圧用スイッチング素子560に出力される制御信号のデューティ比は、例えば、50%以下であることが好ましい。これにより、例えば、100V用の各ヒータ511〜513に200Vなどの過大な電圧が印加され、過電流が流れてしまうことなどを抑えることができる。便座ヒータ513は、比較的容量が小さく、駆動時の動作音も小さい。このため、電源電圧判別動作には、便座ヒータ513を用いることが好ましい。以下では、電源電圧判別動作に用いるヒータを便座ヒータ513として説明を行う。
制御部500は、便座ヒータ513に対して通電を行う際に、便座用サーミスタ519からの検出信号を基に、便座200の温度の情報を取得する。便座200の温度情報は、例えば、判別期間におおける温度変化の履歴を連続的に取得してもよいし、通電開始時の温度と通電終了時の温度のみを取得してもよい。すなわち、便座200の温度情報は、開始時と終了時との温度変化の傾きが少なくとも把握できればよい。
制御部500は、記憶部540にアクセスし、記憶部540に予め記憶されている昇温データ542(図2参照)を読み出す。昇温データ542は、例えば、便座ヒータ513(電源電圧判別動作に用いられるヒータ)の昇温特性を表す。昇温データ542には、例えば、便座ヒータ513に対して判別期間と同じ時間だけ通電を行ったときの、便座200の温度と便座ヒータ513の消費電力とが関連付けられている。制御部500は、例えば、便座用サーミスタ519から取得した便座200の温度の情報を基に昇温データ542を参照することにより、判別期間において便座ヒータ513で消費された電力(所定期間消費電力)の情報を検出する。
制御部500は、例えば、記憶部540に予め記憶されている便座ヒータ513の抵抗値の情報を読み出す。そして、制御部500は、消費電力の情報と抵抗値の情報とを基に、P=V2/Rの関係式から、判別期間において便座ヒータ513に入力された電圧値を求める。便座ヒータ513に入力された電圧は、降圧部533からの出力電圧と等しい。そこで、制御部500は、便座ヒータ513に入力された電圧値の情報と、判別動作時のデューティ比と、を基に、Vin=Vout/α(αはデューティ比)の降圧回路の原理式から商用電源CPSの電圧値を求める。これにより、商用電源CPSの電圧を検出することができる。すなわち、この例においては、制御部500が、商用電源CPSの電圧を検出する電圧検出手段として機能する。
制御部500は、各ヒータ511〜513に対して通電を行う際に、電源電圧判別動作で判別した商用電源CPSの電圧の情報を基に、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に入力する制御信号のデューティ比を決定する。これにより、降圧部533から出力される脈流の電圧の実効値を100V以下に制御することができる。なお、商用電源CPSの電圧を検出する電圧検出手段は、上記に限ることなく、例えば、電圧を検出する専用の回路などでもよい。
図4(a)〜図4(f)は、本実施形態に係る制御部の制御態様を例示するタイミングチャート図である。
図4(a)の縦軸は、降圧部533に入力される電流(A)である。
図4(b)の縦軸は、ヒータ回路部510に流れる電流(A)である。
図4(c)の縦軸は、便座ヒータ513に流れる電流(A)である。
図4(d)の縦軸は、温風ヒータ512に流れる電流(A)である。
図4(e)の縦軸は、温水ヒータ511に流れる電流(A)である。
図4(f)の縦軸は、電圧(V)である。
図4(f)において、実線は、降圧部533に入力される入力電圧であり、破線は、降圧部533から出力される出力電圧である。
図4(a)〜図4(f)の横軸は、時間(秒)である。
図4(a)〜図4(f)に表したように、制御部500は、各ヒータ511〜513を同時に駆動することを要求された場合、商用電源CPSの半波期間HWP毎に各スイッチング素子514〜516をオン・オフし、半波期間HWPにおける電力が所定値を超えないようにパターン制御を行う。制御部500は、例えば、1つの半波期間HWPにおいて各ヒータ511〜513によって消費される電力の和を1500W以下に抑える。この例では、1つの半波期間HWPにおいて、各スイッチング素子514〜516のうちのいずれか1つをオンにし、残りをオフにする。そして、例えば、温水用スイッチング素子514、温風用スイッチング素子515、便座用スイッチング素子516の順にオンし、これを順次繰り返すように制御を行う。
このように、制御部500は、降圧用スイッチング素子560を所定のデューティ比でオン・オフさせるとともに、所定のオン・オフ単位毎に各スイッチング素子514〜516をオン・オフさせることにより、各ヒータ511〜513へ供給する電力を制御する。この例では、半波期間HWPが、各スイッチング素子514〜516のオン・オフ単位である。オン・オフ単位は、これに限ることなく、任意の期間でよい。オン・オフ単位は、例えば、商用電源CPSの1周期(全波)としてもよい。
上記のようにパターン制御を行うことにより、各ヒータ511〜513による加熱を同時に行うことができ、かつ降圧部533の仕様を1500W以下に抑えることができる。例えば、降圧用スイッチング素子560の耐圧を1500Wを出力するために必要とされる耐圧以下に抑えることができる。この例では、1つの半波期間HWPにおいて消費される電力の最大値は、温水ヒータ511を駆動したときの1200Wである。従って、この例では、降圧用スイッチング素子560の耐圧を1200Wを出力するために必要とされる耐圧以下に抑えることができる。
また、上記のパターン制御では、1つの降圧部533を設ければよく、かつ降圧部533の仕様も1500W以下に抑えることができる。これにより、降圧部533の大型化を抑えることができる。従って、降圧部533を設け、ヒータ回路部510の仕様の共通化を図る場合においても、降圧部533の追加にともなうトイレ装置10の大型化やコストアップを抑えることができる。さらには、コンセントから供給できる出力定格の規格にも適合できる。
制御部500は、上記のパターン制御を行う際に、各ヒータ511〜513への供給電圧が所定値以下になるように、降圧用スイッチング素子560のスイッチングを制御する。制御部500は、例えば、各ヒータ511〜513への供給電圧が所定値以下で一定になるように、降圧用スイッチング素子560のスイッチングを制御する。例えば、50V(実効値)や100V(実効値)で一定になるように、制御を行う。このように、目標値(センター値)を設定することにより、パターン制御をし易くすることができる。なお、目標値は、各ヒータ511〜513の駆動条件などに応じて変更できるようにしてもよい。
制御部500は、例えば、各ヒータ511〜513が必要とする電力の値と、電源電圧判別動作で判別した商用電源CPSの電圧の値と、に応じて、降圧用スイッチング素子560のデューティ比を決定する。各ヒータ511〜513が必要とする電力値の情報は、例えば、記憶部540に予め記憶させておけばよい。制御部500は、決定したデューティ比の制御信号を生成し、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に出力する。これにより、各ヒータ511〜513への供給電圧を所定値以下で一定に保つことができる。
図5は、本実施形態に係る便座装置の水路系の構成を例示するブロック図である。
図5に表したように、便座装置100は、水道や貯水タンクなどの給水源WSSから供給された水をノズル462の吐水口に導くための通水配管600を有する。通水配管600の経路上には、電磁弁602が設けられている。電磁弁602は、開閉可能な電磁バルブである。電磁弁602は、制御部500と電気的に接続されている。電磁弁602は、制御部500からの指示に基づいて水の供給を制御する。
電磁弁602の下流には、温水ヒータ511が設けられている。温水ヒータ511は、電磁弁602を介して供給された水を加熱し、所定の温度の温水にする。なお、温水温度については、例えば、使用者が操作部などを操作することにより設定することができる。
温水ヒータ511の下流には、電解除菌水を生成するための電解除菌水生成ユニット604が設けられている。電解除菌水生成ユニット604は、例えば、陽極板と陰極板とを有し、内部に流入した水を陽極板と陰極板とで電気分解することにより、給水源WSSから供給された水道水などから電解除菌水を生成する。なお、電解除菌水とは、例えば、次亜塩素酸を含む溶液、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液、電解塩素やオゾンなどを含む溶液、酸性水、または、アルカリ水などである。
電解除菌水生成ユニット604の下流には、水勢(流量)の調整を行う流量切替弁606と、ノズル462やノズル洗浄室464への給水の開閉や切替を行う流路切替弁608と、が設けられている。なお、流量切替弁606及び流路切替弁608は、1つのユニットとして設けられていてもよい。
流量切替弁606及び流路切替弁608の下流には、ノズル462が設けられている。これにより、給水源WSSから供給された水、温水ヒータ511によって加熱された温水、または、電解除菌水生成ユニット604によって生成された電解除菌水が、ノズル462の吐水口から噴射される。このように、通水配管600は、洗浄水となる水の通水、及び、電解除菌水となる水の通水を行う。
ノズル462には、ノズル462に対して駆動力を伝達するノズルモータ466が機械的に接続されている。ノズル462は、ノズルモータ466からの駆動力を受け、便器800のボウル部810内に進出するとともに、ボウル部810内から後退する。ノズルモータ466は、例えば、制御部500と電気的に接続されている。ノズルモータ466は、制御部500からの指示に基づいてノズル462を進退させる。
また、流量切替弁606及び流路切替弁608の下流には、ノズル462の洗浄を行うためのノズル洗浄室464が設けられている。流路切替弁608は、ノズル462に向かう流路と、ノズル洗浄室464に向かう流路と、の切り替えを行う。ノズル洗浄室464は、例えば、その内部に設けられた吐水部から電解除菌水または水を噴射することにより、ノズル462の外周表面(胴体)の除菌または洗浄を行う。
図6は、本実施形態に係る便座装置の本体部の内部構造を例示する模式図である。
図6は、本体部400の一部を上方から眺めたときの模式図である。また、図6では、本体部400の内部構造を表すために、本体部400の筐体420の一部を切り欠いて図示している。
図6に表したように、本体部400の内部には、局部乾燥機能の実行の際に局部を乾燥するための空気を供給する送風ファン472と、送風ファン472から供給された空気を吹出口(温風ダンパー470)に導くためのダクト474と、が設けられている。
送風ファン472は、例えば、制御部500と電気的に接続されており、制御部500からの指示に応じて空気の供給と供給の停止とを行う。また、ダクト474の内部には、温風ヒータ512が、設けられている。これにより、温風ヒータ512の動作中において、送風ファン472から空気を供給することで、ボウル部810内に温風を吹き出すことができる。また、温風ヒータ512を動作させていないときに、送風ファン472から空気を供給することにより、ボウル部810内に冷風を吹き出すこともできる。なお、本願明細書において、「冷風」とは、温風ヒータ512の動作中に送風される温風よりも低い温度の風をいうものとする。すなわち、「冷風」は、温風ヒータ512の動作中に送風される温風よりも低い温度であれば、人が冷感を感じる風でなくてもよい。
また、ダクト474の内部には、ヒータ系電源部530が設けられている。これにより、本実施形態に係る便座装置100では、送風ファン472から供給される空気によって、整流部532や降圧部533を冷却することができる。
ダクト474は、ヒータ系電源部530を収納するハウジング部475と、ハウジング部475と吹出口との間を連結する連結部476と、を有する。ダクト474は、ハウジング部475において送風ファン472と連結されている。温風ヒータ512は、連結部476の内部に配置されている。すなわち、ヒータ系電源部530(降圧部533)は、ダクト474内において、送風ファン472と温風ヒータ512との間に配置されている。換言すれば、ヒータ系電源部530は、送風ファン472から吹出口へと至る送風経路上において、送風ファン472と温風ヒータ512との間に配置されている。
こうすれば、送風ファン472から供給された空気を、温風ヒータ512で加熱する前に、降圧部533などの熱で温めることができる。すなわち、降圧部533などで生じる熱の一部を、局部乾燥用の空気の加熱に還元することができる。これにより、例えば、温風ヒータ512での加熱量を減らし、便座装置100の低消費電力化が可能となる。
ヒータ系電源部530には、ヒートシンク620が取り付けられている。ヒートシンク620は、ヒータ系電源部530の放熱効率を高め、整流部532や降圧部533を冷却する。ヒートシンク620の一部は、ハウジング部475に設けられた開口を介してハウジング部475の外部に延びている。ヒートシンク620のハウジング部475の外部に延びた部分には、通水配管600の一部を構成する接続管622が取り付けられている。
接続管622は、例えば、通水配管600の通水経路上において、電磁弁602と温水ヒータ511との間に設けられる。接続管622には、2つの接続口622a、622bが設けられている。接続口622aには、電磁弁602と接続管622との間をつなぐ配管624が接続されている。接続口622bには、温水ヒータ511と接続管622との間をつなぐ配管626が接続されている。給水源WSSから供給された水は、電磁弁602、配管624、接続管622、及び、配管626を経由して、温水ヒータ511へと至る。配管624、626には、例えば、可撓性を有するチューブなどが用いられる。
図7(a)及び図7(b)は、本実施形態に係る便座装置のヒータ系電源部の外観を例示する模式的斜視図である。
図7(b)では、便宜的に、ハウジング部475の一部を省略して図示している。
図7(a)に表したように、ヒータ系電源部530は、基板570を有している。ヒータ系電源部530は、フィルタ回路531、整流部532及び降圧部533の各部品を基板570上に実装して構成されている。
ヒートシンク620には、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い金属材料が用いられる。この例において、ヒートシンク620は、例えば、L字状に屈曲した金属板であり、ヒータ系電源部530と熱的に接触する回路側接触部620aと、接続管622と熱的に接触する配管側接触部620bと、を有している。ヒートシンク620において、ハウジング部475の外部に延びる一部は、配管側接触部620bである。
ヒートシンク620は、例えば、ヒータ系電源部530に含まれる発熱部品にネジ止めされることによって、ヒータ系電源部530に取り付けられる。これにより、ヒートシンク620が、ヒータ系電源部530と熱的に接触する。ヒートシンク620は、発熱部品と直接接触してもよいし、放熱グリスや放熱シートなどを介して接触してもよい。このように、本願明細書において、「熱的に接触する」には、直接接触する場合の他、熱伝導性の部材を挟んで接触する場合も含むものとする。
この例において、発熱部品は、整流部532のブリッジダイオード532d、降圧部533の降圧用スイッチング素子560、及び、降圧部533の降圧チョッパ回路用のダイオード561である。すなわち、ヒートシンク620は、整流部532及び降圧部533と熱的に接触する。発熱部品は、上記に限ることなく、ヒータ系電源部530に含まれる任意の部品でよい。
図7(b)に表したように、接続管622は、ヒートシンク620の配管側接触部620bに当接する当接面622cを有する。当接面622cには、内部の管路の一部を露呈させる開口622dが設けられている。接続管622は、例えば、当接面622cをヒートシンク620の配管側接触部620bに当接させた状態で、配管側接触部620bにネジ止めされる。これにより、接続管622が、ヒートシンク620に取り付けられる。また、この際、接続管622の開口622dが、ヒートシンク620によって塞がれる。接続管622とヒートシンク620との間には、開口622dからの水漏れを防止するためのパッキン628が設けられる。
上記のように、接続管622をヒートシンク620に取り付けることにより、接続管622とヒートシンク620とを介して、通水配管600が、ヒータ系電源部530と熱的に接続される。通水配管600が、整流部532の発熱部品や降圧部533の発熱部品と熱的に接続される。これにより、本実施形態に係る便座装置100では、通水配管600に通水される水によって、整流部532や降圧部533を冷却することができる。また、この例では、開口622dを介して通水配管600に通水される水が、ヒートシンク620に直接接触する。これにより、整流部532や降圧部533の冷却をより効率よく行うことができる。
また、前述のように、接続管622は、通水配管600の通水経路上において、電磁弁602と温水ヒータ511との間に設けられる。これにより、給水源WSSから供給された水を、温水ヒータ511で加熱する前に、降圧部533などの熱で温めることができる。すなわち、降圧部533などで生じる熱の一部を、衛生洗浄用の水の加熱に還元することができる。これにより、例えば、温水ヒータ511での加熱量を減らし、便座装置100の低消費電力化が可能となる。
なお、通水配管600とヒータ系電源部530との熱的な接続の方法は、上記に限定されるものではない。例えば、ヒートシンク620と接続管622とを省略し、通水配管600の少なくとも一部に金属製の配管を用い、その金属製配管をヒータ系電源部530の発熱部品に当接させてもよい。
図8(a)及び図8(b)は、本実施形態に係る制御部の制御態様を例示するタイミングチャート図である。
図8(a)に表したように、制御部500は、人体検知センサ480によって人体が検知されると、所定のデューティ比の制御信号を降圧用スイッチング素子560のゲート端子に出力し、降圧部533を駆動する。この際、制御信号のデューティ比は、前述のように、電源電圧判別動作の判別結果などに基づいて決定される。
制御部500は、降圧部533を駆動した後、便座用スイッチング素子516をオンにし、便座ヒータ513を駆動する。これにより、制御部500は、便座200の着座面の温度を所定の設定温度まで連続的に上昇させる便座加熱動作(急速加熱)を実行する。制御部500は、急速加熱では、例えば、500Wの出力で、便座ヒータ513を駆動する。また、制御部500は、便座ヒータ513を駆動するとともに、送風ファン472を駆動する(図8(a)の区間T1)。これにより、送風ファン472から供給される空気によって、整流部532や降圧部533が冷却される。
なお、図8(a)及び図8(b)では、各ヒータ511〜513のオン・オフの駆動タイミングを模式的に表している。各ヒータ511〜513のオン・オフは、実際には、上述のように、半波期間HWP毎にパターン制御される。
制御部500は、便座200の着座面の温度を設定温度まで上昇させると、便座200の着座面の温度を所定の温度範囲内に保つ便座加熱動作(保温加熱)を実行する。制御部500は、保温加熱では、例えば、50Wの出力で、便座ヒータ513を駆動する。制御部500は、保温加熱を開始すると、送風ファン472の駆動を停止する。
制御部500は、保温加熱を開始すると、温水用スイッチング素子514をオンにし、温水ヒータ511を駆動することにより、洗浄動作の実行に備える。制御部500は、温水ヒータ511の駆動とともに、電磁弁602を駆動し、洗浄水となる水を通水配管600に通水する(図8(a)の区間T2)。これにより、通水配管600に通水される水によって、整流部532や降圧部533が冷却される。このように、制御部500は、温水ヒータ511の駆動中では、通水配管600に通水される水で降圧部533を冷却する。
制御部500は、使用者から洗浄動作の実行が指示されると、ノズルモータ466を駆動してノズル462をボウル部810内に進出させ、洗浄動作を実行する。
制御部500は、使用者から乾燥動作の実行が指示されると、温水ヒータ511の駆動、及び、電磁弁602の駆動を停止する。そして、送風ファン472及び温風ヒータ512を駆動することにより、乾燥動作を実行する(図8(a)の区間T3)。これにより、送風ファン472から供給される空気によって、整流部532や降圧部533が冷却される。このように、制御部500は、温水ヒータ511の停止中で、温風ヒータ512の駆動中及び便座ヒータ513の駆動中の少なくとも一方では、送風ファン472から供給される空気で降圧部533を冷却する。従って、通水配管600に通水していない場合でも、適切に降圧部533を冷却することができる。例えば、降圧部533の冷却のためだけに無駄に水を使用してしまうことを抑制することができる。
制御部500は、使用者から乾燥動作の停止が指示されると、送風ファン472の駆動及び温風ヒータ512の駆動を停止する。乾燥動作中に整流部532や降圧部533を冷却する方法として、制御部500は、次のような制御も可能である。すなわち、制御部500は、電解除菌水生成ユニット604を駆動するとともに、電磁弁602を駆動し、電解除菌水となる水を通水配管600に通水させて降圧部533を冷却する(図8(b)の区間T4)。これにより、ノズル462の除菌を行いつつ、降圧部533を冷却することができる。例えば、降圧部533の冷却のためだけの無駄な水の発生を抑えることができる。このとき、制御部500は、ボウル部810から後退させた状態でノズル462の除菌を行う。なお、この場合のノズル462の除菌は、ノズル462から電解除菌水を吐出させるセルフクリーニングでもよいし、ノズル洗浄室464から電解除菌水を吐出させる胴体洗浄でもよい。
制御部500は、使用者がいなくなったことが人体検知センサ480によって検知された後、送風ファン472及び温風ヒータ512の駆動、便座ヒータ513の駆動、及び、降圧用スイッチング素子560に対する制御信号の出力を停止する。そして、制御部500は、ノズル462の除菌を開始する。このとき、制御部500は、降圧部533の冷却にともなう電解除菌水生成ユニット604の駆動時間を、予め設定された洗浄時間から差し引いた時間で、ノズル462の除菌を行う(図8(b)の区間T5)。洗浄時間は、例えば、数十秒程度に設定される。例えば、設定された洗浄時間が20秒で、区間T4で動作させた電解除菌水生成ユニット604の駆動時間が7秒であった場合、駆動時間分を差し引いた13秒でノズル462の除菌を行う。
これにより、降圧部533の冷却のために通水した時間の分だけノズル462の除菌の時間を短縮することができ、電解除菌水生成ユニット604を効率良く駆動することができる。この場合のノズル462の除菌も、ノズル462から電解除菌水を吐出させるセルフクリーニングでもよいし、ノズル洗浄室464から電解除菌水を吐出させる胴体洗浄でもよい。
なお、洗浄時間は、例えば、記憶部540に予め記憶させておけばよい。また、区間T4の時間の計時は、例えば、内部クロックなどを用いて制御部500で行ってもよいし、専用のタイマなどを用意してもよい。
このように、本実施形態に係るトイレ装置10では、送風ファン472、通水配管600及びヒートシンク620が、降圧部533を冷却する冷却手段として機能する。これにより、発熱にともなう降圧部533の制御不良などを抑制することができる。また、通水配管600に通水される水や送風ファン472から供給される空気によって効率的に降圧部533を冷却することにより、過大な放熱器などを用意する必要がなくなる。例えば、ヒートシンク620のサイズを十分小さく済ませることができる。これにより、降圧部533を小型化できる。また、通水配管600や送風ファン472を用いることにより、降圧部533の冷却用に新たな部材などを設ける必要がなく、降圧部533の冷却にともなうトイレ装置10の大型化を抑えることもできる。
なお、図8(a)の例では、便座200の急速加熱の際に、送風ファン472で降圧部533を冷却するようにしているが、電解除菌水となる水を通水配管600に通水させて降圧部533を冷却してもよい。すなわち、電解除菌水となる水を通水配管600に通水させる降圧部533の冷却は、温水ヒータ511の停止中で、温風ヒータ512の駆動中及び便座ヒータ513の駆動中の少なくとも一方でよい。
従来のトイレ装置では、商用電源の電圧の異なる国や地域毎に、製品の仕様を変更していた。例えば、電源電圧が100Vの地域用に仕様を設定されているトイレ装置を、電源電圧が200Vの地域で使用した場合、ヒータには商用電源の半波長の電圧を印加する度に定格電力を超える電力が供給されることとなる。そのため、電源電圧が200Vの地域で使用しても定格を超えないヒータに取り替える必要性があり、使用する国や地域に応じてそれぞれ製品の仕様を変更しなければならなかった。
これは、電源電圧が異なる地域毎にヒータ部材を個別に管理することとなり、部材の管理の手間を要する。さらに、製品のモデルチェンジを行う度に、100V用及び200V用のヒータのユニット評価が必要となり、電源電圧が異なる国への出荷時期にタイムラグが発生してしまう。
また、洗浄水を加熱するヒータに関しては、水が直接使用者に触れることから感電に対する対応として、絶縁性に優れているセラミックヒータを一般的に用いる。その際、100V地域で使用するセラミックヒータに対し、200V地域で使用するセラミックヒータは通電中に流れる電流のピーク値を抑える必要がある。そこで、ヒータ抵抗値を100V用のヒータに比べ約2倍程度大きくする必要がある。セラミックヒータの抵抗値の調整は、例えば、セラミックヒータ内部にある発熱体の導電性部材上に形成するパターンの幅を変えて行う。しかし、抵抗値を大きくするためにはパターンの幅を狭く加工したり、パターン配線長を長くする必要があり、これは印刷加工上非常に歩留まりが良くない。そのため、100V用のヒータに比べ、200V用のヒータは部材コストが高くなってしまう。
このような課題を解消するための手段として、電圧検出手段によって検出された電圧が所定値以上のときに、スイッチのオン及びオフを商用電源の半波単位で行う方法が考案されている(例えば、特開2007−31942号公報参照)。
しかし、上記方法は、ヒータの定格を超えない電力値で温度制御は行えるものの、ヒータに流れるピーク電流は100V相当時に流れる電流に比べると大きな電流値となり、ヒータの寿命劣化を縮めることに繋がる。
例えば、上記方法のように200V地域に100V用の抵抗値のヒータを使って100V用ヒータと同じ電力を確保したとする。通常、目標電力を1200Wとした時、100V地域で100V用ヒータを使用する場合であれば流れる電流ピークは17Aとなる(12Arms×√2=17A)。
しかし、200V地域で100V用ヒータを使って上記方法に従い1200Wを確保しようとすると、電流のピークは25A程度となってしまう。これは、ヒータの過渡的な異常発熱に繋がり断線に至る可能性がある。セラミックヒータに関しては、パターンの剥離やクラックにも繋がる可能性がある。また、100V地域と200V地域において制御パターンを変える必要があるため、ヒータの制御仕様も異なってしまう。
このように、上記の方法は、異なる電源電圧の国に出荷するトイレ装置において、ヒータの共通化及び、ヒータ制御仕様の共通化に向けた解決手段としては十分とはいえない。
これに対して、本実施形態に係るトイレ装置10では、例えば、整流部532から出力される200Vの電圧の脈流を、降圧部533によって100Vの脈流に降圧させることができる。従って、商用電源CPSの電圧によらず、ヒータ回路部510の仕様や制御仕様を交流100Vの仕様に統一することができる。製品の出荷時期に国や地域によってタイムラグが発生することを抑えることができる。また、100V用のヒータを用いることが可能となり、部材コストの増加や寿命の劣化などを抑えることもできる。
図9は、本実施形態に係る便座装置の他の動作を例示するフローチャートである。
図9は、温水ヒータ511の停止中で、温風ヒータ512及び便座ヒータ513の少なくとも一方が駆動されている状態における制御部500の他の動作を例示する。すなわち、図9は、例えば、図8の区間T1または区間T4における制御部500の他の動作を表すフローチャートである。
図9に表したように、制御部500は、温水ヒータ511の停止中で、温風ヒータ512の駆動中及び便座ヒータ513の駆動中の少なくとも一方の状態において、温風ヒータ512を駆動する前の温風用サーミスタ518の検知結果を基に、温風用サーミスタ518の検知温度が、所定値以上であるか否かを判定する(ステップS101)。このとき、温風ヒータ512は、停止中であるから、温風用サーミスタ518の検知結果は、温風ヒータ512によって加熱されていない状態の温風ヒータ512の周囲温度である。すなわち、制御部500は、温風用のダクト474の内部温度が、所定値以上であるか否かを判定する。
なお、温風ヒータ512の周囲温度を検知する温度センサは、サーミスタや熱電対など温度の検知可能な任意のセンサでよい。また、この例では、温風ヒータ512の周囲温度を検知しているが、検知する温度は、送風ファン472の周囲温度でもよい。温度センサは、例えば、ダクト474の内部温度を検知できればよい。
制御部500は、温風用サーミスタ518の検知温度が所定値未満であるときには、送風ファン472を駆動し、送風ファン472から供給される空気によって降圧部533を冷却する(ステップS102)。
一方、制御部500は、温風用サーミスタ518の検知温度が所定値以上であるときには、送風ファン472及び電解除菌水生成ユニット604を駆動するとともに、電磁弁602を駆動し、電解除菌水となる水を通水配管600に通水させて降圧部533を冷却する(ステップS103、ステップS104)。なお、例えば、便座ヒータ513のみを駆動している場合は、送風ファン472を停止してもよい。
これにより、例えば、夏場などのトイレの周囲温度やダクト474の内部温度の高い環境のときには、電解除菌水となる水によって降圧部533を効果的に冷却することができる。例えば、雑菌やバクテリアなどの活動が活発になる夏場などにおいて、早いタイミングで除菌を開始することで、雑菌やバクテリアなどの繁殖をより効率的に抑制できる。そして、冬場などのトイレの周囲温度やダクト474の内部温度の低い環境のときには、送風ファン472による空冷により、十分な冷却効果を得ることができる。従って、周囲温度、すなわちダクト474内の温度に応じてより適切に効率良く降圧部533を冷却することができる。
また、上記実施形態では、降圧部533を空冷するためのファンとして、局部乾燥に用いられる送風ファン472を示しているが、これに限ることなく、例えば、脱臭用のファンや換気用のファンなどを用いてもよい。
上記実施形態では、降圧用スイッチング素子560のオン・オフ制御として、デューティ比を変化させるPWM制御を示している。降圧用スイッチング素子560のオン・オフ制御は、これに限ることなく、例えば、周波数を変化させるPFM制御でもよい。または、デューティ比と周波数との双方を変化させてもよい。すなわち、制御部500は、降圧用スイッチング素子560のデューティ比及び周波数の少なくとも一方を制御すればよい。
また、上記実施形態では、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に対して、制御部500からパルス信号(制御信号)を入力している。これに限ることなく、例えば、降圧部533内でパルス信号を生成し、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に入力してもよい。この場合には、例えば、オン・オフの開始やデューティ比などを指示するためのデジタル信号などを制御信号として制御部500から降圧部533に入力すればよい。
上記実施形態では、便座装置100と便器800とが一体になった一体型のトイレ装置10を例示している。トイレ装置は、例えば、便器に対して着脱自在に取り付けられる便座装置(いわゆるシート型の便座装置)でもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。