JP6135900B2 - 車高調整システム - Google Patents

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本発明は、好適に車高を調整するための技術に関する。
従来、例えばばね式や空気圧式などの車高調整用のサスペンションを利用した各種の車高調整システムが提供されている。しかし、この車高調整用サスペンションを車両に取り付けるには、すでに取り付けられているサスペンションと交換するなどの必要があり、手間と技術を要する。
そこで特許文献1には、ハブにボルト止めするフランジとディスタンスピースを利用して、本来の車輪の外側に径のより大きな後付け車輪を簡単に装着することができるよう構成された技術が開示されている。
そしてこの簡単に着脱可能な後付け車輪機構によって、各種大きさの径の車輪を車両に装着できるので、その車高を容易に調整することができる。また走行路面の条件に適した径の後付け車輪を選択に装着することで、農道から田圃や畑への乗り入れも容易とし、労力の軽減をはかることもできる。
特開2001−018601号公報
しかし上記従来の技術では、車軸を延伸する形となる一本のディスタンスピースによって後付けの車輪が取り付けられるため、図6に示すように、当該ディスタンスピースが車両の自重などで走行中に撓んでしまう可能性がある、といった課題がある。
また、特にこの車両が地中や壁内などをセンシングする機能を備えた非破壊検査用車両である場合、上記のようにディスタンスピースが撓むことで、車両内部に設けられたセンサと検査対象との距離が当初の想定値と異なってしまったり、撓み具合の逐次変化によってセンサ位置ごとの測定距離が一定ではなくなったりするため、正確な検査を行うことができなくなってしまう、といった課題がある。
以上の課題を解決するために、本発明は、車軸が撓まないように後付けの車輪を元の車輪と固定接続するために、面又は複数の支持位置で両車輪のホイールを固定する接続機構を有する車高調整システムを提供する。具体的には、第一ホイールを車輪に備えた車体と、前記第一ホイールよりも径大の第二ホイールを備えた車輪と、からなる車高調整システムであって、第一ホイールと第二ホイールとは、両者のホイール面どうしが面又は複数の支持位置で固定関係となりうる接続機構を有する車高調整システムを提供する。
また前述の通り、特に地中や壁内などの非破壊検査用のセンサ付車両に車高調整システムを適用する場合、車輪の車軸の撓みが生じてしまうと正確な検査を行うことが難しくなる。そこで上記構成を備え、さらにその車体が、車輪の回転による対象物上での移動にともない対象物をセンシングする非接触型のセンサ機構を有する車高調整システムも提供する。
また上記構成を備え、さらにその接続機構が、ホイール面に設けられた複数の舌片とそれに対応するホイール面に設けられた複数の溝の係り合いによって前記固定関係とすることを特徴とする車高調整システムも提供する。
また上記構成を備え、さらにその接続機構が、ホイール面に設けられた複数のねじ止め機構によって前記固定関係とすることを特徴とする車高調整システムも提供する。
以上のような構成をとる本発明によって、第二の車輪を容易に車両に後付けして車高を調整することができるとともに、後付けされた車輪のホイールは面又は複数の支持位置で第一ホイールに固定されるので後付け車輪の車軸が走行中でも撓まないようにすることができる。
また、特に車両が車輪の回転による対象物上での移動にともない対象物をセンシングする非破壊検査用のものであれば、後付け車輪の車軸が走行中でも撓むことなくセンサと対象物との間の距離を一定に保ちことができるので、正確な検査を行うことができる。
実施例1の車高調整システムによる車輪の後付けの様子を説明するための図 実施例1の車高調整システムの接続機構の一例を表す概略図 実施例1の車高調整システムの接続機構の別の一例を表す概略図 実施例1の車高調整システムによって車高調整がなされた車両の利用例について説明するための図 実施例1の車高調整システムによって車高調整がなされ、センサ機構を備える車両による検査結果画面の一例を表す図 従来の車高調整システムにおいてディスタンスピースが撓む様を表す概念図
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
なお、実施例1は、主に請求項1から5について説明する。
≪実施例1≫
<概要>
図1は、本実施例の車高調整システムによる車輪の後付けの様子を説明するための図である。この図1にあるように、後付けの車輪の第二ホイールは、元の車両の車輪の第一ホイールに対して複数箇所を支点として接続されている。したがって、車両の走行中でも車軸が撓んだりすることなく、車両と、地面との間の高さhを一定とすることができる、という具合である。
<構成>
以下、図1を用いて、本実施例の車高調整システムにおける構成の一例について説明する。この図にあるように、本実施例の車高調整システムは、「第一ホイール」(0101)を「車輪」(0102)に備えた「車体」(0103)と、前記第一ホイールよりも径大の「第二ホイール」(0104)を備えた「車輪」(0105)と、からなる車高調整システムである。
なお、「車両」の種類などについては特に限定しない。例えば人や荷物を載せて走行する一般車両であってもよいし、いわゆるラジコン操作されるような小型の車両であってもよい。また車輪により走行するものであれば、機械駆動するものであっても良いし、台車などのように手押しなど人力で駆動するものであっても良い。
また、車体内部に非接触型のセンサ機構を有し、車輪の回転による対象物上での移動にともない対象物をセンシングするよう構成された車両であっても良い。
また、本実施例における「第一ホイール」や「第二ホイール」、これらホイールを備えるそれぞれの「車輪」について、その材質などは特に限定しない。例えばホイールであればABS樹脂やAS樹脂、アクリル樹脂などの汎用プラスチックや、ポリカーボネートやポリフェニレンスルファイドなどのエンジニアリングプラスチック、あるいはアルミニウムやステンレス、チタン、鉄などの金属などが挙げられる。
また車輪についても、例えば上記のような汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチック、各種金属で構成されるものを素材としても良いし、ある程度の緩衝性能を提供するためにゴムなどの樹脂を素材としても良い。ただし、前述のように車両がセンサ機構を備える非破壊検査用装置であれば、正確なセンサ結果を取得するために車輪の接地面の凹凸状況を吸収しない程度の硬度を有する材料で構成されていることが望ましい。
また車輪はホイールの周囲をゴム材などの別の材料で覆うことで構成されていても良いし、ホイールの材料と一体、すなわちホイールと車輪とが等しい構造であっても良い。
また、第二ホイールは車高調整のため第一ホイールよりも径大であることを特徴とするが、どの程度径大であるかは特に限定しない。各種車高に調整できるよう、第二ホイールを有する車輪は各種大きさのものが複数用意され、接地面の状況などに応じてその中から好適な径大の第二ホイールを有する車輪を選択可能としても良い。
そして、上記のような構成を有する本実施例の車高調整システムの第一ホイールと第二ホイールとは、その両者のホイール面どうしが面又は複数の支持位置で固定関係となりうる「接続機構」(0106)を有する点を特徴とする。
図2は、この接続機構の一例を説明するための概略図である。この図2(a)にあるように、接続機構として第二ホイールに断面がL字型の3つの「舌片」(0201)が設けられ、第一ホイールにその位置、形状及び数が舌片に対応するように構成された「溝」(0202)が設けられている。そして両ホイールの接続固定の際には、図2(b)に示すように、第二ホイール(0200)の各舌片を第一ホイール(0210)の各溝(破線で示す)に挿入し、所定角度分回転させることで、その挿入部分と回転後の配置部分の溝の大きさの違いや、舌片の先のでっぱり形状によって第一ホイールと第二ホイールが固定的に接続される、という具合である。
あるいは、図に示す各舌片は、例えば樹脂素材のように比較的変形弾力性のある素材で形成され、L字型の舌片を対応する溝に合わせた状態で第二ホイールを第一ホイール側に押し込むことで舌片と溝が噛み合うよう構成され、それによって第一ホイールと第二ホイールが複数箇所で固定的に接続されても良い。
また第二ホイールは、「押さえ付け部材」(0203)を備える「ロック機構」(0204)を有し、その押さえ付け部材が第一ホイール側に可動後固定(ロック)されることで第一ホイールを圧迫し、さらにその接続固定力を高めるよう構成されていても良い。
このように接続機構をホイール面に設けられた複数の舌片とそれに対応するホイール面に設けられた複数の溝の係り合いによって両ホイールを固定関係とする機構とすることで、第二ホイールを容易に着脱可能とすることができる。
そしてさらに、両ホイールは図では3点で固定されているため、本実施例の車高調整システムでは走行中でも車輪の車軸が撓むことがなく、車体と車輪接地面との高さを一定とすることができる。
なお、この図2では第二ホイールに複数の舌片が備えられ、第一ホイールに対応する複数の溝が備えられる例を示しているが、もちろん第二ホイールに複数の溝が備えられ、第一ホイールに複数の舌片が備えられる構成としても良い。また舌片や溝の形状や数なども図に示すものに限定されない。
図3は、本実施例の車高調整システムの接続機構の別の一例を説明するための概略図である。この図3(a)にあるように、第一ホイールには3か所の「ねじ止め用の穴」(0301)が設けられており、第二ホイールにもその第一ホイールのねじ穴の位置及び大きさに合わせた「穴」(0302)が設けられている。そして図3(b)に示すように、本例では第一ホイール(0210)と第二ホイール(0200)の穴の位置を合わせて外側からねじ(0220)止めをすることで、両ホイールを接続固定するという具合である。
このように接続機構をホイール面に設けられた複数のねじ止め機構とすることで、ドライバーなどの道具を必要とするものの、やはり容易に第二ホイールを着脱可能とすることができる。そして本例でも両ホイールは複数点で固定されているため、やはり走行中でも車輪の車軸が撓むことがなく、車体と車輪接地面との高さを一定とすることができる。
また接続機構のその他の例としては、例えば第二ホイールにおいて第一ホイールと密着する面には複数の穴が設けられ、さらに第二ホイールの内部には小型の真空ポンプが備えられている。そして接続固定時には、位置固定用の爪と溝を合わせたうえで第一ホイールと第二ホイールの面の一部を接触させ、その状態で真空ポンプを作動させる。するとその真空吸着力によって第一ホイールと第二ホイールとが面で固定接続される、という具合である。
このように接続機構を面接触での真空接続固定とすることで、やはり容易に第二ホイールを着脱可能とすることができる。そして本例でも両ホイールは面で固定されているため、やはり走行中でも車輪の車軸が撓むことがなく、車体と車輪接地面との高さを一定とすることができる。
なお上記接続機構は一例であって、両者のホイール面どうしが面又は複数の支持位置で固定関係となりうる構造であれば特に限定しない。
<利用例>
以下、本実施例の車高調整システムによって車高調整がなされた車両の利用例について説明する。なお本例では、その車体に非接触型のセンサ機構を備え、対象物状を車輪の回転で移動することで対象物をセンシングすることで非破壊型検査を行う利用形態を例に挙げて説明する。
図4に示すように、後付けの車輪が取り付けられた車両を地面や壁などの検査対象に車輪が接するように配置し、その検査対象上を車輪を回転させながら移動させる。このとき検査対象に突起物があっても、後付け車輪によって車高が適宜調整されているので、問題なく検査対象上を移動させることができる。
そしてさらに本実施例の車高調整システムでは後付け車輪が接続機構が撓むことなく固定されているので、センサ機構を備える車体と、検査対象との距離hを一定に維持したまま車両を検査対象上で移動させることができる。
したがって、図5に示すようにその検査結果画面における測定深度(検査対象までの距離)を正確な値として検査を行うことができる。
<効果の簡単な説明>
以上のように本実施例の車高調整システムでは、第二の車輪を容易に車両に後付けして車高を調整することができるとともに、後付けされた第二車輪のホイールは面又は複数の支持位置で第一ホイールに固定されるので第二車輪の車軸が走行中でも撓まないようにすることができる。
また、特に車両が、車輪の回転による対象物上での移動にともない対象物をセンシングする非接触、非破壊検査用のものであれば、センサと対象物との間の距離を一定に保ちことができるので、正確な検査を行うことができる。
0101 第一ホイール
0102 車輪
0103 車体
0104 第二ホイール
0105 車輪
0106 接続機構

Claims (5)

  1. 第一ホイールを車輪に備えた車体と、第二ホイールを備えた車輪と、からなる車高調整システムであって、
    前記第一ホイールよりも第二ホイールは径大であって、第一ホイールを備えた車輪は第二ホイールを備えた車輪よりも径小で、両者のホイール面どうしが面又は複数の支持位置で固定関係となりうる接続機構を有する車高調整システム。
  2. 前記車体は、車輪の回転による対象物上での移動にともない対象物をセンシングする非接触型のセンサ機構を有する請求項1に記載の車高調整システム。
  3. 前記接続機構は、ホイール面に設けられた複数の舌片とそれに対応するホイール面に設けられた複数の溝の係り合いによって前記固定関係とする請求項1または2に記載の車高調整システム。
  4. 前記接続機構は、ホイール面に設けられた複数のねじ止め機構によって前記固定関係とする請求項1または2に記載の車高調整システム。
  5. 第一ホイールを備える車輪と、第二ホイールを備えた車輪と、からなり、
    前記第一ホイールよりも第二ホイールは径大で、第一ホイールを備えた車輪は第二ホイールを備えた車輪よりも径小である車輪であって、第一ホイールと第二ホイールとは、両者のホイール面どうしが面又は複数の支持位置で固定関係となりうる接続機構を有する車輪。
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