JP6135229B2 - 歌唱評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、歌唱を評価する技術に関する。
楽曲を歌唱した音声(以下「歌唱音声」という)を解析することで歌唱の巧拙を評価する各種の歌唱評価技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、利用者が発音した歌唱音声の音高と楽曲の旋律(歌唱パート)の音高との音高比に応じて歌唱音声を評価する技術が開示されている。
特開2007−033471号公報
ところで、例えば楽曲のサビの区間ではハスキーな音声で歌唱して他区間ではクリアな音声で歌唱するという具合に歌唱音声の声質を楽曲内で変動させる歌唱技法がある。楽曲内で声質が多様に変動する歌唱は、表現力が豊かで技巧的な歌唱と知覚される。しかし、特許文献1の技術では歌唱音声の音高を評価するに過ぎないから、歌唱音声の声質を積極的に変動させる歌唱技法による表現力を適切に評価できない。以上の事情を考慮して、本発明は、歌唱音声の声質を変動させる歌唱技法の巧拙を適切に評価することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の歌唱評価装置は、歌唱音声の声質に関する特徴量を順次に算定する特徴量算定部と、特徴量算定部が算定した複数の特徴量の数値範囲の広狭に応じて、歌唱音声の歌唱の評価を示す歌唱評価値を算定する評価処理部とを具備する。以上の構成においては、歌唱音声の声質に関する特徴量の数値範囲の広狭に応じて歌詞評価値が算定されるから、楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙(表現力の豊かさ)を適切に評価することが可能である。
本発明の好適な態様において、評価処理部は、特徴量算定部が算定した複数の特徴量の数値範囲を音高毎に特定し、複数の数値範囲から選択された数値範囲(1個以上の数値範囲)の広狭に応じて歌唱評価値を算定する。以上の構成では、相異なる音高に対応する複数の数値範囲から選択された数値範囲の広狭に応じて歌唱評価値が算定されるから、例えば利用者が発音し易い音域内での声質の変動を適切に評価できるという利点がある。また、相異なる音高に対応する複数の数値範囲のうち分布幅が最大である数値範囲の広狭に応じて評価処理部が歌唱評価値を算定する構成によれば、楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙を適切に評価できるという前述の効果は格別に顕著である。
本発明の好適な態様において、評価処理部は、歌唱評価値と歌唱音声の複数の特徴量の代表値(例えば複数の特徴量の最大値や最頻値)とに応じて、歌唱音声の声質の評価を示す声質評価値を算定する。例えば、評価処理部は、歌唱評価値と代表値との加重和を声質評価値として算定する。以上の態様では、声質に関する特徴量の変動を評価した歌唱評価値と複数の特徴量の代表値とに応じて声質評価値が算定されるから、声質の特徴が目立たない区間の存在により声質の特徴が顕著な区間が際立つという聴感上の傾向を加味した歌唱音声の声質を評価することが可能である。
本発明の好適な態様において、評価処理部は、複数の音域の各々について、当該音域内の各音高に対応する特徴量の数値範囲に応じた歌唱評価値を算定する。以上の態様では、特徴量の数値範囲に応じた歌唱評価値が複数の音域の各々について個別に算定されるから、歌唱音声の声質を変動させる歌唱技法の巧拙を音域毎に適切に評価することが可能である。
なお、特徴量算定部が算定する特徴量の種類は本発明において任意であるが、例えば倍音比率、シンギングフォルマント比、包絡近似勾配、歌唱SN比または倍音最大周波数が特徴量として好適である。倍音比率は、歌唱音声の基音成分の強度と複数の倍音成分の合計強度との強度比に応じた指標である。また、シンギングフォルマント比は、歌唱音声のうちシンギングフォルマントの周波数を含む第1帯域の成分と第1帯域を包含する第2帯域(例えば全帯域)の成分との強度比に応じた指標である。包絡近似勾配は、歌唱音声のうち特定の周波数帯域内のスペクトルを近似する直線の勾配に応じた指標である。以上に例示した3種類の指標(倍音比率、シンギングフォルマント比、包絡近似勾配)を特徴量として算定する構成では、歌唱音声の聴感的な響きという観点から歌唱音声を評価することが可能である。また、歌唱SN比は、歌唱音声の調波成分と非調波成分との強度比に応じた指標である。歌唱SN比を特徴量として算定する構成では、歌唱音声の気息性(ハスキー度)という観点から歌唱音声を評価することが可能である。また、倍音最大周波数は、歌唱音声の複数の倍音成分の各々を低次側から順番に選択したときに強度が所定値を下回る倍音成分の周波数の最大値に応じた指標である。倍音最大周波数を特徴量として算定する構成では、歌唱音声の聴感的な厚みという観点から歌唱音声を評価することが可能である。
本発明の他の態様に係る歌唱評価装置は、歌唱音声の声質に関する相異なる種類の特徴量に各々が対応し、歌唱音声の歌唱の評価を示す歌唱評価値を当該特徴量に応じて算定する複数の歌唱評価部と、複数の歌唱評価部の各々が算定した歌唱評価値の加重和に応じて声質表現力評価値を算定する評価値合計部とを具備し、複数の歌唱評価部の各々は、当該歌唱評価部に対応する特徴量を順次に算定する特徴量算定部と、特徴量算定部が算定した複数の特徴量の数値範囲の広狭に応じて歌唱評価値を算定する評価処理部とを含む。以上の態様では、歌唱音声の声質に関する特徴量の数値範囲の広狭に応じて歌詞評価値が算定されるから、楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙を適切に評価することが可能である。また、相異なる種類の特徴量に応じた複数の歌唱評価値の加重和に応じて声質表現力評価値が算定されるから、多様な観点から歌唱音声を総合的に評価することが可能である。
以上の各態様に係る音声処理装置は、歌唱音声の処理に専用されるDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア(電子回路)によって実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)等の汎用の演算処理装置とプログラムとの協働によっても実現される。具体的には、本発明のプログラムは、歌唱音声の声質に関する特徴量を順次に算定する特徴量算定部、および、特徴量算定部が算定した複数の特徴量の数値範囲の広狭に応じて、歌唱音声の歌唱の評価を示す歌唱評価値を算定する評価処理部としてコンピュータを機能させる。本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。また、例えば、本発明のプログラムは、通信網を介した配信の形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。
本発明の第1実施形態に係る歌唱評価装置のブロック図である。 歌唱評価装置の機能的な構成のブロック図である。 歌唱評価部のブロック図である。 特徴量の度数分布および歌唱評価値の説明図である。 第2実施形態に係る歌唱評価装置のブロック図である。 第3実施形態の歌唱評価部の動作のフローチャートである。 第3実施形態における音域毎の歌唱評価値の説明図である。 履歴データの説明図である。 履歴データを利用した評価結果の表示例である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る歌唱評価装置100のブロック図である。図1に示すように、歌唱評価装置100は、利用者の歌唱を評価する装置であり、演算処理装置10と記憶装置12と収音装置14と表示装置16とを具備するコンピュータシステムで実現される。
記憶装置12は、演算処理装置10が実行するプログラムおよび演算処理装置10が使用する各種のデータを記憶する。半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体または複数種の記録媒体の組合せが記憶装置12として任意に採用される。
収音装置14は、周囲の音響を収音する装置(マイクロホン)である。第1実施形態の収音装置14は、歌唱者が楽曲を歌唱した歌唱音声を収音することで音声信号Vを生成する。表示装置16(例えば液晶表示パネル)は、演算処理装置10から指示された画像を表示する。例えば歌唱音声の評価結果が表示装置16に表示される。
演算処理装置10は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで歌唱評価装置100の各要素を統括的に制御する。具体的には、演算処理装置10は、図2に示すように、収音装置14が生成した音声信号Vが示す歌唱音声を評価するための複数の機能(音声解析部22,歌唱評価部24,表示処理部26)を実現する。なお、演算処理装置10の各機能を複数の装置に分散した構成や、演算処理装置10の機能の一部を専用の電子回路(例えばDSP)が実現する構成も採用され得る。
図2の音声解析部22は、音声信号Vを時間軸上で所定の時間長毎に区分した複数の単位期間の各々について歌唱音声の音高(基本周波数)Pを特定する。歌唱音声の音高Pの検出には公知のピッチ検出技術が任意に採用される。
歌唱評価部24は、歌唱音声の評価(歌唱の巧拙)を示す歌唱評価値Xを算定する。第1実施形態の歌唱評価値Xは、楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙という観点から歌唱音声を評価した結果である。歌唱評価値Xの算定は、例えば楽曲のうち評価対象となる区間(以下「評価区間」という)の歌唱が終了した段階で実行される。評価区間は、例えば、楽曲の一部の区間(例えばサビ区間)や楽曲の全部の区間である。図2に示すように、第1実施形態の歌唱評価部24は、特徴量算定部32と評価処理部34とを含んで構成される。
特徴量算定部32は、歌唱音声の声質(典型的には音声信号Vのスペクトルの形状)に関する特徴量Fを単位期間毎に順次に算定する。第1実施形態の特徴量算定部32は、歌唱音声の基音成分の強度(振幅やパワー)EA1と複数の倍音成分の強度を合計した合計強度EA2との強度比に応じた倍音比率を算定する。具体的には、基音成分の強度EA1に対する複数の倍音成分の合計強度EA2の強度比(EA2/EA1)が倍音比率として算定される。したがって、歌唱成分の各倍音成分の強度が基音成分の強度に対して大きいほど、倍音比率は大きい数値に設定される。倍音比率が大きい歌唱音声(すなわち各倍音成分の強度が基音成分の強度に対して相対的に大きい歌唱音声)は受聴者により「響く声」「通る声」「豊かな声」と知覚される。すなわち、倍音比率は、歌唱音声の聴感的な響きの度合の指標として利用される。
図2の評価処理部34は、特徴量算定部32が順次に算定する複数の特徴量F(倍音比率)の数値範囲の広狭に応じて歌唱評価値Xを算定する。図3は、評価処理部34のブロック図である。図2に示すように、第1実施形態の評価処理部34は、度数計数部342と異常値除去部344と評価値算定部346とを含んで構成される。
度数計数部342は、特徴量算定部32が算定した複数の特徴量Fの数値毎(階級毎)の度数を、音声解析部22が特定する音高Pの数値毎(階級毎)に計数する。すなわち、図4に例示される通り、音高Pと特徴量Fとを変数とする2次元(2変数)の度数分布Hが生成される。図4では、度数が多い地点ほど低階調(黒色に近い階調)で表現されている。任意の1個の音高Pと任意の1個の特徴量Fとの組合せに対応する度数は、当該音高Pおよび当該特徴量Fが歌唱音声にて観測された度数を意味する。音声解析部22による音高Pの特定と特徴量算定部32による特徴量Fの算定との実行毎(すなわち単位期間毎)に度数が累積的に更新される。すなわち、楽曲内の任意の1個の単位期間にて音高Pと特徴量Fとが算定されると、当該音高Pと当該特徴量Fとに対応した度数が1だけ増加する。以上の処理が楽曲内の複数の単位期間にわたり累積的に反復される結果、歌唱音声の特徴量Fの度数分布HFが歌唱音声の音高P毎に個別に生成される。すなわち、各音高Pの度数分布HFは、歌唱音声が当該音高Pで発音された各単位期間について算定された複数の特徴量Fの度数分布を意味する。
図3の異常値除去部344は、度数計数部342が生成した度数分布Hから異常値(外れ値)を除去する処理(以下「異常値除去処理」という)を実行する。具体的には、第1実施形態の異常値除去部344は、所定の閾値を下回る度数を度数分布Hから除去する。
評価値算定部346は、異常値除去部344による異常値除去処理後の度数分布Hから歌唱評価値Xを算定する。具体的には、評価値算定部346は、図4から理解される通り、度数分布Hにおける音高P毎の度数分布HFから特徴量Fの数値範囲RFを音高P毎に特定し、相異なる音高Pに対応する複数の数値範囲RFから所定の条件で選択した1個の数値範囲RFに応じて歌唱評価値Xを算定する。第1実施形態の評価値算定部346は、度数分布Hの各度数分布HFに対応する複数の数値範囲RFのうち分布幅(度数分布HFにおける最大値と最小値との差分)が最大である1個の数値範囲Rmaxを選択し、数値範囲Rmaxの分布幅を歌唱評価値Xとして設定する。したがって、楽曲内で特定の音高Pの歌唱時の歌唱音声の各特徴量F(倍音比率)の変動が大きい(数値範囲Rmaxの分布幅が大きい)ほど、歌唱評価値Xは大きい数値に設定される。
楽曲内で声質を多様に変動する歌唱は表現力が豊かで技巧的な歌唱と知覚されるという傾向があるから、楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙という観点から歌唱音声を評価した指標として歌唱評価値Xは好適に利用される。以上の説明から理解される通り、図2の評価処理部34は、歌唱音声の複数の特徴量Fの数値範囲RFの広狭に応じて歌唱音声を評価する要素として包括的に表現される。
図2の表示処理部26は、歌唱評価部24(評価処理部34)が算定した歌唱評価値Xに応じた評価結果を表示装置16に表示させる。例えば、表示処理部26は、歌唱評価値Xの数値を表示装置16に表示させる。また、歌唱評価値Xに応じたメッセージを表示装置16に表示させる構成も好適である。例えば、表示処理部26は、歌唱評価値Xが所定値を上回る場合に、倍音比率が大きいことを意味するメッセージ(例えば「よく響く歌声です」という文字列)や歌唱の表現力が豊かであることを意味するメッセージ(例えば「表現力が豊かです」という文字列)を表示装置16に表示させる。なお、表示処理部26による評価結果の表示は、例えば楽曲内の評価区間の歌唱が終了した時点で実行される。したがって、評価区間が楽曲の一部の区間であれば楽曲の歌唱中に評価結果が表示され、評価区間が楽曲の全部の区間であれば楽曲の歌唱後に評価結果が表示される。また、表示処理部26が表示装置16に表示させる事項は、歌唱評価値Xに応じたメッセージに限定されない。例えば、歌唱評価値Xの数値や特徴量Fの数値を表示装置16に表示させる構成も採用される。
以上に説明した通り、第1実施形態では、歌唱音声の声質に関する特徴量Fの数値範囲RFの広狭に応じて歌唱評価値Xが算定されるから、楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙(表現力の豊かさ)を適切に評価することが可能である。第1実施形態では特に、倍音比率が特徴量Fとして算定されるから、歌唱音声の聴感的な響きの度合を変動させる歌唱技法の巧拙を評価できるという利点がある。
また、第1実施形態では、特徴量Fの数値範囲RFが音高P毎に特定され、相異なる音高Pに対応する複数の数値範囲RFから選択された数値範囲RF(数値範囲Rmax)の広狭に応じて歌唱評価値Xが算定される。したがって、例えば利用者が発音し易い音域内での声質の変動を適切に評価できるという利点がある。第1実施形態では特に、相異なる音高Pに対応する複数の数値範囲RFのうち分布幅が最大である数値範囲Rmaxに応じて歌唱評価値Xが算定されるから、以上の効果は格別に顕著である。
<特徴量Fの他例>
以上の説明では倍音比率を特徴量Fとして例示したが、倍音比率以外の指標を特徴量Fとして利用することも可能である。特徴量Fの具体例を以下に列挙する。前掲の倍音比率や以下に例示する各指標は、歌唱音声の声質に関する特徴量Fとして包括的に表現される。なお、以下に例示する各特徴量Fを利用して歌唱評価値Xを算定する構成や方法は第1実施形態と同様である。
<シンギングフォルマント比>
特徴量算定部32は、歌唱音声のうちシンギングフォルマントの周波数を含む周波数帯域WB1の成分の強度EB1と周波数帯域WB1を包含する周波数帯域WB2の成分の強度EB2との強度比に応じた指標(以下「シンギングフォルマント比」という)を特徴量Fとして単位期間毎に算定する。具体的には、周波数帯域WB2内の強度EB2に対する周波数帯域WB1内の強度EB1の強度比(EB1/EB2)がシンギングフォルマント比として算定される。
シンギングフォルマントは、歌唱音声に特有のフォルマントであり、例えば2.8kHz程度の特定の周波数に観測される。周波数帯域WB1は、シンギングフォルマントの周波数を中央値とする所定幅の帯域であり、周波数帯域WB2は、例えば周波数軸上の全帯域である。シンギングフォルマント比が大きい歌唱音声(すなわち周波数帯域WB1内の強度EB1が周波数帯域WB2内の強度EB2に対して相対的に大きい歌唱音声)は受聴者により「響く声」「通る声」「豊かな声」と知覚される。すなわち、シンギングフォルマント比は、前掲の倍音比率と同様に、歌唱音声の聴感的な響きの度合の指標として利用される。したがって、表示処理部26は、倍音比率について前述した例示と同様のメッセージ(例えば「よく響く歌声です」という文字列)を歌唱評価値Xに応じて表示装置16に表示させる。
<包絡近似勾配>
特徴量算定部32は、歌唱音声のスペクトルを近似する直線の勾配(以下「包絡近似勾配」という)を特徴量Fとして単位期間毎に算定する。具体的には、歌唱音声の特定の周波数帯域内のスペクトルのうち歌唱音声の各倍音成分に対応するピークの頂点を相互に連結した包絡線を近似する直線の勾配が包絡近似勾配として算定される。包絡近似勾配が大きい歌唱音声(すなわち、低音側から高音側までの広範囲にわたり倍音成分の強度が維持された歌唱音声)は受聴者により「響く声」「通る声」「豊かな声」と知覚される。すなわち、包絡近似勾配は、前掲の倍音比率やシンギングフォルマント比と同様に、歌唱音声の聴感的な響きの度合の指標として利用される。したがって、表示処理部26は、倍音比率について前述した例示と同様のメッセージ(例えば「よく響く歌声です」という文字列)を歌唱評価値Xに応じて表示装置16に表示させる。
<歌唱SN(Signal-to-Noise)比>
特徴量算定部32は、歌唱音声の調波成分の強度ED1と非調波成分の強度ED2との強度比に応じた指標(以下「歌唱SN比」という)を特徴量Fとして単位期間毎に算定する。具体的には、非調波成分(雑音成分)の強度ED2に対する調波成分(信号成分)の強度ED1の強度比(ED1/ED2)が歌唱SN比として算定される。調波成分は、音高Pに対応する間隔で基音成分と複数の倍音成分とを周波数軸上に配列した系列(倍音構造)であり、非調波成分は、歌唱音声のうち調波成分以外の成分(例えば聴感的に気息音と知覚される音響成分)である。歌唱SN比が小さい歌唱音声(すなわち、非調波成分が調波成分に対して優勢である歌唱音声)は受聴者により「ハスキーな声」「ダミ声」「ブレッシー(breathy)な声」と知覚される。すなわち、歌唱SN比は、歌唱音声の気息性(ハスキー声,嗄れ声)の度合の指標として利用される。表示処理部26は、歌唱SN比の大小を示すメッセージ(例えば「ハスキーな歌声です」という文字列)を歌唱評価値Xに応じて表示装置16に表示させる。
<倍音最大周波数>
特徴量算定部32は、歌唱音声から特定される複数の倍音成分の各々を低次側から順番に選択したときに強度が所定値を下回る倍音成分の周波数の最大値(以下「倍音最大周波数」という)を特徴量Fとして単位期間毎に算定する。倍音最大周波数が大きい歌唱音声は受聴者により「厚い声」「重厚な声」と知覚される。すなわち、倍音最大周波数は、歌唱音声の聴感的な厚みの度合の指標として利用される。表示処理部26は、倍音最大周波数の大小を示すメッセージ(例えば「厚みのある歌声です」という文字列)を歌唱評価値Xに応じて表示装置16に表示させる。
なお、特徴量Fの種類は以上の例示に限定されない。例えば、周波数軸上の全帯域にわたる強度EF1と高音域(例えば15kHzから20kHzの帯域)の強度EF2との強度比を特徴量Fとして算定することも可能である。例えば強度EF1に対する強度EF2の相対比(EF2/EF1)は、倍音最大周波数と同様に、歌唱音声の聴感的な厚みの度合の指標として利用され、収録レベルが低い場合でも信頼性の高い数値を取得できるという利点がある。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図5は、第2実施形態の歌唱評価装置100の機能的な構成のブロック図である。第2実施形態の歌唱評価装置100は、楽曲の伴奏音を再生するカラオケ装置として好適に利用される。図5に示すように、記憶装置12は楽曲データDを楽曲毎に記憶する。楽曲データDは、模範歌唱データDAと伴奏データDBとを含んで構成される。模範歌唱データDAは、楽曲の歌唱パート(以下「基準歌唱」という)の各音符の音高と音量とを時系列に指定し、伴奏データDBは、楽曲の伴奏パートの各音符の音高を時系列に指定する。
第2実施形態の歌唱評価装置100の演算処理装置10は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで、音声解析部22と複数の歌唱評価部24(24[1]〜24[5])と表示処理部26と再生処理部52と基礎評価部54と評価値合計部56とを実現する。音声解析部22は、第1実施形態と同様に音声信号Vの歌唱音声の音高Pを単位期間毎に順次に特定するほか、歌唱音声の強度(音量)Aを単位期間毎に順次に特定する。再生処理部52は、楽曲データDの伴奏データDBが指定する伴奏音の音響信号を生成し、収音装置14が生成する音声信号Vと伴奏音の音響信号とを混合して再生装置18(例えばスピーカ)から再生させる。
基礎評価部54は、収音装置14が生成する音声信号Vの歌唱音声と楽曲データDの模範歌唱データDAが指定する基準歌唱とを対比することで基礎評価値SBを算定する。基礎評価値SBは、音高および音量(抑揚)という歌唱の基礎的な観点から歌唱音声を評価した結果に相当する。具体的には、基礎評価部54は、音声解析部22が歌唱音声から特定する音高Pおよび音量Aと模範歌唱データDAが指定する基準歌唱の音高および音量とを対比し、両者間の類似度(相関または距離)に応じた基礎評価値SBを算定する。なお、歌唱音声の評価(基礎評価値SBの算定)には公知の技術(例えば特開2008−268358号公報や特開2005−107335号公報等に開示された技術)が任意に採用される。また、ビブラートやしゃくり,こぶし,フォールといった各種の歌唱技法の巧拙や回数を公知の技術(例えば特開2008−268370号公報や特開2005−107336号公報等に開示された技術)で評価して基礎評価値SBに反映させることも可能である。
複数の歌唱評価部24(24[1]〜24[5])の各々は、第1実施形態(図2)と同様に特徴量算定部32と評価処理部34とを含んで構成され、相異なる種類の特徴量Fに応じた歌唱評価値X(X1〜X5)を算定する。具体的には、歌唱評価部24[1]は、倍音比率を特徴量Fとして歌唱評価値X1を算定し、歌唱評価部24[2]は、シンギングフォルマント比を特徴量Fとして歌唱評価値X2を算定し、歌唱評価部24[3]は、包絡近似勾配を特徴量Fとして歌唱評価値X3を算定する。また、歌唱評価部24[4]は、歌唱SN比を特徴量Fとして歌唱評価値X4を算定し、歌唱評価部24[5]は、倍音最大周波数を特徴量Fとして歌唱評価値X5を算定する。
評価値合計部56は、各歌唱評価部24が算定した複数の歌唱評価値X(X1〜X5)に応じた評価指標(響き評価値XH,声質表現力評価値SE,総合評価値ST)を算定する。図5に示すように、第2実施形態の評価値合計部56は、第1演算部562と第2演算部564と第3演算部566とを含んで構成される。
第1演算部562は、歌唱音声の響きの度合に関する複数の歌唱評価値X(X1〜X3)に応じた響き評価値XHを算定する。具体的には、以下の数式(1)で表現される通り、歌唱評価部24[1]が倍音比率に応じて算定した歌唱評価値X1と、歌唱評価部24[2]がシンギングフォルマント比に応じて算定した歌唱評価値X2と、歌唱評価部24[3]が包絡近似勾配に応じて算定した歌唱評価値X3との加重和が響き評価値XHとして算定される。
XH=λ1・X1+λ2・X2+λ3・X3 ……(1)
歌唱評価値X1の加重値λ1と歌唱評価値X2の加重値λ2と歌唱評価値X3の加重値λ3との各々は、可変値(例えば利用者からの指示に応じた数値)または所定の固定値に設定される。以上の説明から理解される通り、響き評価値XHは、歌唱音声の響きの度合を複数の観点(倍音比率,シンギングフォルマント比,包絡近似勾配)から総合的に評価した指標に相当する。なお、響き評価値XHの算定方法は適宜に変更される。例えば、歌唱評価値X1と歌唱評価値X2と歌唱評価値X3との代表値(例えば最大値や平均値)を響き評価値XHとして算定することも可能である。
第2演算部564は、第1演算部562が算定した響き評価値XHと、歌唱評価部24[4]が歌唱SN比に応じて算定した歌唱評価値X4と、歌唱評価部24[5]が倍音最大周波数に応じて算定した歌唱評価値X5とに応じた声質表現力評価値SEを算定する。具体的には、以下の数式(2)で表現される通り、響き評価値XHと歌唱評価値X4と歌唱評価値X5との加重和が声質表現力評価値SEとして算定される。
S=αA・XH+αB・X4+αC・X5 ……(2)
響き評価値XHの加重値αAと歌唱評価値X4の加重値αBと歌唱評価値X5の加重値αCとの各々は、可変値(例えば利用者からの指示に応じた数値)または所定の固定値に設定される。なお、歌唱音声の気息性(ハスキー声の度合)は音声の響きや厚み等と比較して聴感的に知覚され易いという傾向がある。したがって、気息性の度合の指標である歌唱評価値X4の加重値αBを、歌唱音声の響きの度合を示す響き評価値XHの加重値αAや歌唱音声の厚みの度合を示す歌唱評価値X5の加重値αCと比較して大きい数値に設定した構成(αB>αA,αC)が好適である。以上の説明から理解される通り、第2実施形態の評価値合計部56は、複数の歌唱評価値Xの加重和に応じて声質表現力評価値SEを算定する。なお、声質表現力評価値SEの算定方法は適宜に変更される。例えば、響き評価値XHと歌唱評価値X4と歌唱評価値X5との代表値(例えば最大値や平均値)を声質表現力評価値SEとして算定することも可能である。
第3演算部566は、第2演算部564が算定した声質表現力評価値SEと基礎評価部54が算定した基礎評価値SBとに応じた総合評価値STを算定する。総合評価値STは、歌唱の基礎的な要素(音高や音高)と歌唱音声の表現力とを総合的に加味して歌唱音声を評価した結果に相当する。具体的には、第3演算部566は、声質表現力評価値SEと基礎評価値SBとの加重和を総合評価値STとして算定する。また、基礎評価値SBに対して声質表現力評価値SEを加算または減算することで総合評価値STを算定することも可能である。
図5の表示処理部26は、第1演算部562が算定した響き評価値XHと第2演算部564が算定した声質表現力評価値SEと第3演算部566が算定した総合評価値STとに応じた評価結果を表示装置16に表示させる。例えば、表示処理部26は、響き評価値XHと声質表現力評価値SEと総合評価値STとの各数値を表示装置16に表示させる。また、響き評価値XHや声質表現力評価値SEや総合評価値STに応じたメッセージを表示処理部26が表示装置16に表示させる構成も採用される。例えば、響き評価値XHが所定値を上回る場合には、歌唱音声の響きの度合が高いことを意味するメッセージ(例えば「よく響く歌声です」という文字列)が表示装置16に表示され、声質表現力評価値SEが所定値を上回る場合には、歌唱の表現力が豊かであることを意味するメッセージ(例えば「表現力が豊かです」という文字列)が表示装置16に表示される。なお、最大値が所定値(例えば100点)となるように正規化された各歌唱評価値X(例えば歌唱評価値X4や歌唱評価値X[5])の数値を表示装置16に表示することも可能である。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、相異なる種類の特徴量Fに対応する複数の歌唱評価値X(X1〜X5)に応じた声質表現力評価値SEが算定および提示されるから、歌唱音声を複数の観点(倍音比率,シンギングフォルマント比,包絡近似勾配,歌唱SN比,倍音最大周波数)から総合的に評価することが可能である。なお、前述の基礎評価部54や再生処理部52は第2実施形態から省略され得る。
<第3実施形態>
第1実施形態では、歌唱音声の複数の特徴量Fの数値範囲RFの広狭に応じて歌唱評価部24の評価処理部34が歌唱評価値Xを算定した。第3実施形態では、評価処理部34(評価値算定部346)の動作が第1実施形態とは相違する。なお、第3実施形態の特徴量Fは、例えば前掲の複数種の指標(倍音比率,シンギングフォルマント比,包絡近似勾配,歌唱SN比,倍音最大周波数)から選択された任意の1種類である。
図6は、第3実施形態の評価処理部34の動作のフローチャートである。図6の処理は、例えば利用者が楽曲の評価区間の歌唱を終了した段階で実行される。評価処理部34は、第1実施形態と同様に、特徴量算定部32が順次に算定する複数の特徴量Fの数値範囲RFの広狭に応じて歌唱評価値Xを算定する(S1)。
評価処理部34は、ステップS1で算定した歌唱評価値Xと歌唱音声の複数の特徴量Fの代表値Mとに応じた声質評価値Yを算定する(S2)。声質評価値Yは、歌唱音声の声質の評価を示す指標である。具体的には、以下の数式(3)で表現される通り、歌唱評価値Xと代表値Mとの加重和が声質評価値Yとして算定される。
Y=γ1・X+γ2・M ……(3)
歌唱評価値Xの加重値γ1と代表値Mの加重値γ2との各々は、可変値(例えば利用者からの指示に応じた数値)または所定の固定値に設定される。代表値Mは、図7から理解される通り、楽曲内の複数の特徴量Fの最大値である。ただし、複数の特徴量Fの最頻値(度数が最多である数値)や中央値(大小順で中央の数値),複数の特徴量Fの最小値を代表値Mとして利用することも可能である。例えば、歌唱SN比を特徴量Fとした構成では、最大値以外の代表値(例えば平均値や最小値)Mが好適である。
数式(3)から理解される通り、複数の特徴量Fの代表値Mが大きい(すなわち歌唱音声の声質の特徴が顕著である)ほど声質評価値Yは大きい数値に設定される。例えば、歌唱音声の響きの指標(倍音比率,シンギングフォルマント比,包絡近似勾配)を特徴量Fとして算定する構成では、歌唱音声の響きが顕著であるほど声質評価値Yは大きい数値に設定される。また、歌唱音声の気息性の指標(歌唱SN比)を特徴量Fとして算定する構成では、歌唱音声の気息性が顕著であるほど声質評価値Yは大きい数値に設定され、歌唱音声の聴感的な厚みの指標(倍音最大周波数)を特徴量Fとして算定する構成では、歌唱音声の聴感的な厚みが顕著であるほど声質評価値Yは大きい数値に設定される。
ところで、声質の特徴が目立たない区間が歌唱音声に存在する場合には、歌唱音声の声質の特徴が顕著な区間が聴感的に際立つ(より顕著に知覚される)という傾向がある。数式(3)から理解される通り、第1実施形態では、歌唱評価値Xが大きい(すなわち歌唱音声の各特徴量Fの変動が大きい)ほど声質評価値Yは大きい数値に設定される。すなわち、歌唱音声の声質の特徴が聴感的に顕著に知覚される場合ほど声質評価値Yは大きい数値となる。以上の説明から理解される通り、声質評価値Yは、聴感上の傾向を加味して歌唱音声の声質(声質の特徴の顕著性)を評価した指標として利用され得る。
評価処理部34は、図7に示すように、音高Pの範囲を区分(第1実施形態では3等分)した3個の音域G[1]〜G[3]の各々について歌唱評価値Z[n](Z[1]〜Z[3])を個別に算定する(S3)。歌唱評価値Z[n](n=1〜3)は、楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙という観点から音域G[n]内の各音高の歌唱を評価した結果である。音域G[1]は低音域であり、音域G[2]は中音域であり、音域G[3]は高音域である。
具体的には、評価処理部34は、3個の音域G[1]〜G[3]の各々について、当該音域G[n]内の各音高Pに対応する特徴量Fの数値範囲RFに応じた歌唱評価値Z[n]を算定する。すなわち、評価処理部34は、1個の音域G[n]内の各音高Pの度数分布HFから特徴量Fの数値範囲RFを音高P毎に特定し、音域G[n]内の相異なる音高Pに対応する複数の数値範囲RFから所定の条件で選択した1個の数値範囲RFに応じて歌唱評価値Z[n]を算定する。例えば、音域G[n]内の各音高Pに対応する複数の数値範囲RFのうち最大の数値範囲Rmaxの分布幅が歌唱評価値Z[n]として算定される。したがって、各音域G[n]内の各音高Pの歌唱時の歌唱音声の特徴量Fの変動が大きい(数値範囲Rmaxの分布幅が大きい)ほど、歌唱評価値Z[n]は大きい数値に設定される。
以上に説明した通り、第3実施形態の評価処理部34は、第1実施形態と同様の歌唱評価値Xに加えて、歌唱音声の声質の評価を示す声質評価値Yと、相異なる音域G[n]に対応する3個の歌唱評価値Z[1]〜Z[3]とを算定する。第3実施形態の表示処理部26は、評価処理部34が算定した各指標に応じた評価結果を表示装置16に表示させる。歌唱評価値Xに応じた表示内容は第1実施形態と同様であるから説明を省略し、声質評価値Yおよび各歌唱評価値Z[n]に応じた表示内容を以下に例示する。
表示処理部26は、声質評価値Yの数値を表示装置16に表示させる。また、声質評価値Yに応じたメッセージを表示装置16に表示させる構成も好適である。例えば、表示処理部26は、声質評価値Yが所定値を上回る場合に、声質の特徴が顕著であることを意味するメッセージ(例えば「声質の表現力が豊かです」という文字列)を表示装置16に表示させる。
また、表示処理部26は、音域G[n]毎の歌唱評価値Z[n]に応じたメッセージを表示装置16に表示させる。具体的には、歌唱音声の響きの指標(倍音比率,シンギングフォルマント比,包絡近似勾配)を特徴量Fとして算定する構成において、例えば高音側の音域G[3]の歌唱評価値Z[3]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して大きい場合には、「高音域の表情が豊かです」というメッセージが表示される。また、高音側の音域G[3]の歌唱評価値Z[3]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して小さい場合には「高音域の歌声が細くなっています。苦しくないですか?」というメッセージが表示され、低音側の音域G[1]の歌唱評価値Z[1]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して大きい場合には「単調になりがちな低音域を表情豊かに歌い上げています」というメッセージが表示される。
歌唱音声の気息性の指標(歌唱SN比)を特徴量Fとして算定する構成において、例えば高音側の音域G[3]の歌唱評価値Z[3]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して小さい場合、「高音域が透き通った歌声で素敵です」というメッセージが表示される。
歌唱音声の厚みの指標(倍音最大周波数)を特徴量Fとして算定する構成において、例えば高音側の音域G[3]の歌唱評価値Z[3]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して大きい場合には、「高音域に重厚感を感じます」というメッセージが表示される。また、高音側の音域G[3]の歌唱評価値Z[3]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して小さい場合には「高音域が単調になりがちです。キーを下げてみては?」というメッセージが表示され、低音側の音域G[1]の歌唱評価値Z[1]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して大きい場合には「単調になりがちな低音域を表情豊かに歌い上げています」というメッセージが表示される。なお、以上に例示したメッセージは適宜に変更され得る。
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態では、歌唱評価値Xと歌唱音声の複数の特徴量Fの代表値Mとの双方に応じて声質評価値Yが算定されるから、聴感上の傾向を加味して歌唱音声の声質(声質の特徴の顕著性)を適切に評価できるという利点がある。また、第3実施形態では、特徴量Fの数値範囲RFに応じた歌唱評価値Z[n]が音域G[n]毎に個別に算定されるから、歌唱音声の楽曲内で声質を変動させる歌唱技法の巧拙(表現力の豊かさ)を音域G[n]毎に適切に評価することが可能である。
<変形例>
前述の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
(1)歌唱音声の評価結果(歌唱評価値X,声質評価値Y,歌唱評価値Z[n])を利用者に報知する方法は、前述の各形態の例示(数値やメッセージの表示)には限定されない。例えば、評価結果の時間遷移(歌唱練習記録)を利用者に提示することも可能である。
具体的には、各利用者の履歴データQが楽曲毎に記憶装置12に記憶される。図8に例示される通り、履歴データQは、利用者が過去に複数回にわたり楽曲を歌唱した歌唱音声の評価結果q(q[1],q[2],……)の時系列である。例えば歌唱評価値Xと声質評価値Yと各歌唱評価値Z[n]との何れかが評価結果qとして履歴データQに登録される。表示処理部26は、履歴データQを表象するグラフを表示装置16に表示させる。例えば、図9に例示される通り、評価結果qの時間遷移を表象する折線グラフが表示装置16に表示される。以上の構成によれば、歌唱の上達の度合を利用者が視覚的および直観的に把握できるから、歌唱練習を継続する誘因を利用者に付与することが可能である。なお、相異なる楽曲に対応する評価結果qの複数の時間遷移を表示装置16に並列に表示させることも可能である。
(2)複数の特徴量Fの度数分布Hから異常値を除去する異常値除去部344(図3)は省略され得る。また、前述の各形態では、度数計数部342による度数分布Hの生成後に異常値を除去したが、度数計数部342による度数の計数時に異常値除去処理を実行する構成(すなわち、度数計数部342が異常値を計数しない構成)も採用され得る。
また、異常値除去処理の具体的な内容は任意である。例えば、楽曲データDの模範歌唱データDAが基準歌唱の音符毎に指定する音高と歌唱音声の音高Pとの差異が所定値を上回る単位期間の特徴量Fを除去する構成や、楽曲データDの模範歌唱データDAが指定する基準歌唱の音域(楽曲の全区間にわたる音高の分布範囲)から歌唱音声の音高Pが乖離する単位期間の特徴量Fを除去する構成が採用される。なお、模範歌唱データDAを利用する構成では、楽曲のうち模範歌唱データDAが基準歌唱を指定する区間(すなわち基準歌唱が存在する歌唱区間)を対象として異常値除去処理が実行される。また、各音符(音名)に対応する離散的な音高と歌唱音声の音高Pとの差異が所定値を上回る単位期間の特徴量Fを除去する構成や、音高(基本周波数)Pを特定できない単位期間(例えば無声子音が発音された単位期間)の特徴量Fを除去する構成も好適である。
(3)楽曲内の複数の評価区間の各々について順次に歌唱音声を評価することも可能である。また、例えば各評価区間の評価結果(歌唱評価値X,声質評価値Y,歌唱評価値Z[n])を評価区間毎に個別に設定された加重値で加重して総合的な評価結果を算定することも可能である。各評価区間の加重値は、楽曲における当該評価区間の音楽的な位置付けに応じて選定される。例えばサビやCメロに相当する評価区間の加重値は、AメロやCメロに相当する評価区間の加重値を上回るように選定される。
(4)前述の第3実施形態では、音高Pの数値範囲を複数の音域G[1]〜G[3]に等分したが、音域G[n]の区分方法は任意である。例えば、特徴量Fの度数が各音域G[n]で均等となるように音高Pの数値範囲を区分する方法(したがって各音域の分布幅は相違する)も採用される。また、楽曲データDの模範歌唱データDAを参照することで複数の音域G[1]〜G[3]を画定することも可能である。例えば、模範歌唱データDAが指定する楽曲内の複数の音符のうち最低音を下限値とする所定幅の範囲を音域G[1]に設定し、楽曲内の最高音を上限値とする所定幅の範囲を音域G[3]に設定し、音域G[1]と音域G[3]との間の範囲を音域G[2]に設定することが可能である。また、音域G[n]の個数は3個に限定されない。すなわち、音高Pの範囲を2個の音域に区分する構成や、音高Pの範囲を4個以上の音域に区分する構成も採用される。
(5)評価結果(歌唱評価値X,声質評価値Y,歌唱評価値Z[n])の算定方法は前述の各形態の例示に限定されない。例えば、声質評価値Yを音域G[n]毎に算定することも可能である。例えば、音域G[n]内の各音高Pに対応する複数の特徴量Fの代表値(例えば最大値や最頻値や中央値)M[n]を算定し、以下の数式(3A)で表現されるように、音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と音域G[n]の代表値M[n]との加重和を声質評価値Y[n](Y[1]〜Y[3])として音域G[n]毎に個別に算定することも可能である。
Y[n]=γ1・Z[n]+γ2・M[n] ……(3A)
また、前述の第3実施形態では歌唱評価値Z[n]を音域G[n]毎に個別に算定したが、各音域G[n]の複数の歌唱評価値Z[1]〜Z[3]に応じて総合的な歌唱評価値Zを算定することも可能である。具体的には、例えば以下の数式(4)で表現されるように、音域G[n]毎に別個に設定された加重値(η1,η2,η3)を適用した複数の歌唱評価値Z[1]〜Z[3]の加重和が歌唱評価値Zとして算定される。
Z=η1・Z[1]+η2・Z[2]+η3・Z[3] ……(4)
低音側の音域G[1]および高音側の音域G[3]は中間の音域G[2]と比較して声質を変動させることが困難であるという傾向があるから、音域G[1]や音域G[3]内での特徴量Fの変動(歌唱評価値Z[1]や歌唱評価値Z[3])が音域G[2]内の変動と比較して大きい歌唱音声は、表現力が豊かな熟練した歌唱であると評価できる。以上の傾向を考慮すると、音域G[1]の加重値η1および音域G[3]の加重値η3が音域G[2]の加重値η2を上回る構成が好適である。
(6)前述の各形態では評価結果を表示装置16に表示したが、評価結果の利用方法は以上の例示に限定されない。例えば、第3実施形態において音域G[n]毎に算定された歌唱評価値Z[n]を利用者に対する楽曲の提案に利用することも可能である。例えば、高音側の音域G[3]の歌唱評価値Z[3]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して小さい場合(すなわち音域G[3]内の音高Pについては特徴量Fの変動が小さい場合)には、利用者が無理なく歌唱できる音域と比較して評価対象の楽曲の音域が高いと推定される。したがって、表示処理部26は、評価対象の楽曲と比較して低音域の音符が多い楽曲(すなわちキーが低い楽曲)を利用者に対して提示する。また、低音側の音域G[1]の歌唱評価値Z[1]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して小さい場合、表示処理部26は、評価対象の楽曲と比較して高音域の音符が多い楽曲(すなわちキーが高い楽曲)を利用者に対して提示する。
なお、以上の説明では各音域G[n]の歌唱評価値Z[n]に応じた楽曲の提案を例示したが、各音域G[n]の歌唱評価値Z[n]に応じて歌唱のキー(調の高低)を利用者に提案することも可能である。例えば、高音側の音域G[3]の歌唱評価値Z[3]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して小さい場合、表示処理部26は、歌唱のキーの低下を利用者に提案し、低音側の音域G[1]の歌唱評価値Z[1]が他の音域G[n]の歌唱評価値Z[n]と比較して小さい場合、表示処理部26は、歌唱のキーの上昇を利用者に提案する。以上の構成によれば、自身が無理なく歌唱できる楽曲やキーを利用者が知得できるという利点がある。
(7)前述の各形態では、特徴量Fの度数分布Hにおいて相異なる音高Pに対応する複数の数値範囲RFのうち1個の数値範囲RF(数値範囲Rmax)に応じて歌唱評価値Xを算定したが、複数の数値範囲RFから歌唱評価値Xを算定することも可能である。例えば、度数分布Hの音高P毎の数値範囲RFの分布幅の降順で上位に位置する所定個の数値範囲RFの平均や加重和を歌唱評価値Xとして算定する構成が採用される。
(8)前述の各形態では、音高Pの数値(階級)毎に特徴量Fの各数値の度数を計数した(音高P毎に度数分布HFを算定した)が、音高P毎の区分は省略され得る。すなわち、特徴量Fのみを変数とする1次元の度数分布H(すなわち、例えば図4の2次元の度数分布Hにおいて相異なる音高Pに対応する複数の度数分布HFを累算した度数分布)を度数計数部342が算定することも可能である。したがって、音声信号Vの音高Pを特定する音声解析部22は省略され得る。
(9)前述の各形態では、歌唱音声の評価結果を表示装置16に表示したが、評価結果の出力形式は任意である。例えば、評価結果を印刷装置で用紙に印刷する構成が採用される。また、通信網(例えばインターネット)を介して評価結果を他の通信装置に送信する構成や、記憶装置12または可搬型の記録媒体に評価結果を格納する構成も好適である。
100……歌唱評価装置、10……演算処理装置、12……記憶装置、14……収音装置、16……表示装置、22……音声解析部、24……歌唱評価部、26……表示処理部、32……特徴量算定部、34……評価処理部、342……度数計数部、344……異常値除去部、346……評価値算定部、52……再生処理部、54……基礎評価部、56……評価値合計部、562……第1演算部、564……第2演算部、566……第3演算部。

Claims (5)

  1. 歌唱音声の声質に関する特徴量を順次に算定する特徴量算定部と、
    前記特徴量算定部が算定した複数の特徴量の数値範囲を音高毎に特定し、複数の前記数値範囲のうち分布幅が最大である数値範囲の広狭に応じて、前記歌唱音声の歌唱の評価を示す歌唱評価値を算定する評価処理部と
    を具備する歌唱評価装置。
  2. 前記評価処理部は、前記歌唱評価値と前記歌唱音声の複数の特徴量の代表値とに応じて、前記歌唱音声の声質の評価を示す声質評価値を算定する
    請求項1の歌唱評価装置。
  3. 前記評価処理部は、前記特徴量の最大値または最頻値を前記代表値として、前記歌唱評価値と前記代表値との加重和に応じた前記声質評価値を算定する
    請求項2の歌唱評価装置。
  4. 前記評価処理部は、複数の音域の各々について、当該音域内の各音高に対応する特徴量の数値範囲に応じた歌唱評価値を算定する
    請求項1から請求項3の何れかの歌唱評価装置。
  5. 歌唱音声の声質に関する相異なる種類の特徴量に各々が対応し、歌唱音声の歌唱の評価を示す歌唱評価値を当該特徴量に応じて算定する複数の歌唱評価部と、
    前記複数の歌唱評価部の各々が算定した歌唱評価値の加重和に応じて声質表現力評価値を算定する評価値合計部とを具備し、
    前記複数の歌唱評価部の各々は、
    当該歌唱評価部に対応する特徴量を順次に算定する特徴量算定部と、
    前記特徴量算定部が算定した複数の特徴量の数値範囲を音高毎に特定し、複数の数値範囲のうち分布幅が最大である数値範囲の広狭に応じて、前記歌唱音声の歌唱の評価を示す歌唱評価値を算定する評価処理部とを含む
    歌唱評価装置。
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