JP5346114B1 - 音楽表現力の教育装置及び方法並びに音楽演奏評価装置 - Google Patents

音楽表現力の教育装置及び方法並びに音楽演奏評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】楽譜との差異をプラスに評価して、生徒の個性を発揮させるような音楽表現力の教育装置及びその装置を利用する教育方法を提供すること。更に、教育装置の実装によって、演奏の中で繰り返される部分について、その楽曲の中での変化を評価するものを提供すること。
【解決手段】ユーザ端末と音楽教育プログラムが動作するサーバとを接続した音楽表現力の教育装置であって、録音演奏の全部又は一部に含まれる要素を比較対象演奏に含まれる要素と照合して求められる1又は2以上の要素評価値を計算し、それに基づく総合評価値を計算してユーザ端末に表示させるものを提供する。要素は、(1)音量変化、(2)音符時間長、(3)特定周波数振動強度のうちの少なくとも1つを含む。要素評価値には、前記録音演奏の照合される一部とは別の一部を前記比較対象演奏とする同一演奏内比較要素評価値を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、生徒の長所を伸ばす音楽表現力の教育装置及びその装置を利用する教育方法に関するものである。
音楽の教育は、熟練したアーティストの演奏(本明細書においては、楽器の演奏、声楽の歌唱、その他の音楽表現を総称して「演奏」と言う。)を手本として生徒に聞かせ、それを参考にさせる(目標にさせる、模倣させる等)ことが多い。その際、参考にさせる演奏は、各アーティストの個性により、楽譜に忠実に従ったものではなく、楽譜との差異があり、その差異によって音楽を聴く者の心に訴えるようなものであることがある。このような「個性」は、作曲者の意図を超えた「表現力」を示していると考えられる。
生徒が手本に近い演奏をしているか否かを判断する手段としては、生徒の演奏と手本との音の高低や時間長を比較することが行われる。この手段は、カラオケの採点装置に広く用いられている。
しかし、「個性」を評価するという観点では、生徒の個性が手本よりも強い場合もあり得る。この場合に手本との相違のみによって評価を行うことは、個性(生徒の長所)を伸ばす教育としては必ずしも好ましくない。
音楽表現力の教育装置としては、特許文献1には、生徒の表現と楽譜との差を分析して生徒に伝達する無教室音楽教育システムが開示されている。このシステムは、生徒の表現を楽譜に近づけることを目的とするものである。楽譜との差異はそれをなくすように指導されることとなる。生徒の個性を伸ばすものではない。
カラオケの採点装置では、楽譜との差異をプラスに評価するものが存在する。特許文献2及び3には、ビブラート、しゃくりなどの歌唱要素を抽出し、所定の条件下でプラスに評価するカラオケの採点装置が開示されている。これらの装置は、個性をプラスに評価している。
しかし、これらの装置は、結果を評価するものであり、生徒の個性を伸ばすための教育効果を直接に有するものではない。
特許文献1〜3に開示されたものはいずれも、演奏の中の各部を独立して楽譜、手本等と比較して分析するものである。しかし、音楽を聴く者の心に訴えるような演奏の要素としては、各部のみの独立した個性ではなく、演奏の中で繰り返される部分の相違、特に楽曲の終わりに向けて盛り上げるような相違がある。例えば、ラヴェル作曲の「ボレロ」では、ほぼ同一のメロディーが繰り返されるが、楽曲の終わりに向けて盛り上がっていくような演奏が音楽を聴く者の心に訴える。特許文献1〜3に開示されたものはいずれも、このような同一演奏内での個性の現れ方の差異についての評価を行うことができない。
以上のとおり、楽譜との差異をプラスに評価して、生徒の個性を発揮させるような音楽表現力の教育装置及びその装置を利用する教育方法は知られていなかった。特に、演奏の中で繰り返される部分について、その楽曲の中での変化を評価するものは存在しなかった。
特開平10−063175号公報 特開2005−107337号公報 特開2010−237258号公報 特開2008−145940号公報
解決しようとする課題は、楽譜との差異をプラスに評価して、生徒の個性を発揮させるような音楽表現力の教育装置及びその装置を利用する教育方法を提供することである。
更に、教育装置の実装によって、演奏の中で繰り返される部分について、その楽曲の中での変化を評価するものを提供することである。
生徒の個性を発揮させることが音楽表現力の向上のために重要である。その際、いかなる個性を発揮することを目標とするかについて、生徒が意識し、納得することが必要である。音楽表現力は楽譜との差異として表され、音楽を聴く者の心に訴えるような差異としては各種のものが存在するので、生徒の長所、好み等によって目標設定を行い、その目標に合わせて練習させる教育方法によって課題を解決する。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
ユーザ端末と音楽教育プログラムが動作するサーバとを接続した音楽表現力の教育装置。であって、
前記音楽教育プログラムは、(1)録音された録音演奏を前記ユーザ端末から受信する受信手段と、(2)前記録音演奏の全部又は一部に含まれる要素を比較対象演奏に含まれる要素と照合して求められる1又は2以上の要素評価値を計算する要素評価手段と、(3)前記要素評価値に基づいて総合評価値を計算してそれを前記ユーザ端末に表示させる評価提示手段とを備え、
前記要素は、(1)音量変化、(2)音符時間長、(3)特定周波数振動強度のうちの少なくとも1つを含み、
前記要素評価値には、前記録音演奏の照合される一部とは別の一部を前記比較対象演奏とする同一演奏内比較要素評価値を含む
ことを特徴とする。
音楽教育プログラムにより、ユーザ端末を使用する生徒への指導を行う音楽表現力の教育装置である。音楽表現力の教育装置は先生が生徒に指導するためにメッセージを伝達することができるものであってもよいが、本発明の音楽表現力の教育装置は、録音された録音演奏をユーザ端末から受信してその録音演奏に係る総合評価値を計算してそれをユーザ端末に表示させることにより、先生が不在であっても生徒が自主的に学習することを可能にしている。
ここで、総合評価値は、(1)音量変化、(2)音符時間長、(3)特定周波数振動強度のうちの少なくとも1つを含む要素に係る要素評価値に基づいて計算される。要素評価値は、必ずしも演奏が楽譜のとおりである場合に高い値にするものでなくてもよい。音量変化、音符時間長及び特定周波数振動強度は、以下に述べるように、演奏に含まれる個性の表れる要素であり、楽譜との相違によって個性を評価することができる。例えば、必ずしも楽譜の通りに演奏されてはいない比較対象演奏に近い場合(比較対象演奏と同様の個性の場合)に高い値とすることが考えられる。また、音量変化、音符時間長及び特定周波数振動強度は、いずれも定量化されるものであるので、個性が比較対象演奏よりも強いか弱いかを判定することもできる。個性が比較対象演奏よりも強い場合には、必ずしも減点せずに加点することとしてもよい。
なお、録音演奏を目標演奏又は楽譜データと照合して音量変化及び音符時間長に係る要素評価値を求めることは、DPマッチング(録音演奏と目標演奏との対応付け)等の既知の手法によって実行可能であり、本明細書における説明は省略する。
音量変化については、演奏の中の特定の部分、特にフォルテのついている「さび」の部分をどれだけ強調するかの尺度となる。このためには、音量の絶対値の大小でなく、特定の部分の他の部分に対する強弱、すなわち「音量変化」を見ることが好ましい。
音符時間長については、演奏の中の特定の部分について、音量を上げるのでなく長く演奏することによる強調を見るための尺度となる。ここで「特定の部分」としては、いわゆる「さび」部分の1又は2以上の小節であってもよく、特定の1つの音符であってもよい。特定の1つの音符の時間長を見ることでわかる個性としては、ブレスの位置(ブレスの直前の音符の時間長が短くなる)、スラーで結ばれた音符の歌唱法(スラーで結ばれた一連の音符のうちの最初のものを他のものよりも長時間とする歌唱法がある。逆に、最初のものを他のものよりも短時間とすると不自然な歌唱となる。)、装飾音符の有無(強調したい部分には装飾音符をつけることがある。この場合には、装飾音符の前後の音符の時間長が短くなる。)が挙げられる。
特定周波数振動強度は、声楽及び管楽器の演奏において用いられるものである。
以下、声楽を例に説明する。人間の発する声は、声帯を音の高低に合わせた周波数(基本周波数)で振動させて得られる空気の疎密波が、口蓋、鼻腔、歯、唇等によって構成される擬似的なパイプを通過して得られるものである。擬似的なパイプの共鳴周波数に依存する音質(例えば「ア」の音と「イ」の音の相違)はあるが、声のスペクトラムには基本周波数の音及びその倍音が強く表れる。すなわち、基本周波数及びその整数倍の周波数のところでピークをもつ。かかるピークがスペクトラム内で(スペクトラム全体の平均に対して)どれだけ強いかを「特定周波数振動強度」とする。例えば、基本周波数の強さをスペクトラム全体の平均の強さで除した値を用いる。または、ケプストラム分析によって特定周波数振動強度を求めることもできる。結局、特定周波数振動強度は、「声帯をどのように振動させているか」を表す指標となる。特許文献4には、基本周波数の強さをスペクトラム全体の平均の強さで除した値ではないが、同様の考えに基づいて、スペクトラムの山と谷の高さの比をもって声の「明瞭度」を示す指標が開示されている。特許文献4に開示された指標を「特定周波数振動強度」としてもよい。
管楽器の演奏の場合にも、声楽における声帯の振動と同様に、楽器に触れている唇の振動によって基本周波数がある。声楽と同様に「特定周波数振動強度」を用いることができる。
比較対象演奏として、録音演奏とは別の手本ではなく、録音演奏の中の照合される一部とは別の一部を用いて求めた要素評価値を、少なくとも1つ使用する。このようにして求める「同一演奏内比較評価値」は、以下の意義を有する。
録音演奏の中の一部同士を比較する。ここで、比較される一部同士が聞く者によって対比される場合(特に、演奏の中で繰り返される一部同士である場合)、2又は3以上の比較される一部がどのように変化しているかが個性となる。音量変化、音符時間長又は特定周波数振動強度の変化によって、比較される一部のうちの1つ又は2つ以上を強調したり、感情を込めて歌唱したりしていると考えられるからである。
以下、歌謡曲「いとしのエリー」を例に説明する。この曲の最後の部分には、Ellie my love so sweet. Ellie my love, Ellie. という歌詞がある。ここで、Ellieの語が3回表れるが、2回目は1回目より大きな音量とし、3回目はリタルダンドがあるかの如くに音符時間長を長くするような歌い方が(少なくともカラオケにおいては)多い。また、3回目の発声(声帯の振動のさせ方)を他とは異なるものとすることも多い。楽譜においては、1回目と2回目のEllieは同じ音符であり、かかる変化が個性である。また、どれだけ変化させるかも個性である。そこで、2回目のEllieの部分(一部)については1回目のEllieの部分(一部)を比較対象演奏とし、3回目のEllieの部分(一部)については2回目のEllieの部分(一部)を比較対象演奏とすることが考えられる。このように、個性を評価するために、録音演奏の中の一部同士を比較することが有用である。
かかる個性の評価のためには、比較する録音演奏が比較対象演奏と同一であることをもって高得点とすることは必ずしも好ましくない。むしろ、音量、音符時間長又は特定周波数振動強度が比較対象演奏に対してどれだけ増加しているかの比率を尺度とする(例えば、その比率が手本と同じ比率であるものを高得点とする)ことが好ましい。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
同一演奏内におけるn(n≧2)以上の区間を相互に照合して、(n−1)以上の同一演奏内比較要素評価値を求めることを特徴とする。
上述のように、同一演奏内における2以上の区間を相互に照合して比較要素評価値を求める。少なくともかかる区間の数より1だけ小さい数の比較要素評価値を求めることができる。
なお、相互に照合する区間は、異なる楽器の演奏であってもよい。
以下、チャイコフスキー作曲のピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出のために」を例に説明する。この曲では、1つのメロディーがバイオリン、チェロ、ピアノのいずれかによって演奏された直後に、同一のメロディーを他の楽器が演奏する部分が多い。例えば、第一楽章の始めにチェロで演奏されたメロディーが、音程を上げてバイオリンによって繰り返される。かかる場合に、繰り返される演奏の音量やテンポが同一であることによって、聞く者が芸術性(個性)を感じ取る。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
前記同一演奏内比較要素評価値を、前記n以上の区間を前記演奏において出現する順番に並べたときに、前記要素の大きさが順次に増加するものが、より大きな総合評価値であることを特徴とする。
演奏の終わりに向けて徐々に盛り上がるような演奏に高い評価を与えるものである。例えば、ラヴェル作曲の「ボレロ」では、ほぼ同一のメロディーが繰り返されるが、楽曲の終わりに向けて盛り上がっていくような演奏が音楽を聴く者の心に訴える。繰り返される各々の区間における音量又は音符時間長が徐々に増大している演奏が好ましい。ここで、音量又は音符時間長のいずれか一方に限定して評価をする必要はなく、音量と音符時間長とにウエイトをつけて求めた総合点が順次に増加するものであってもよい。すなわち、「要素の大きさが順次に増加する」ことには、いずれか1つの要素が単調に増加することのみではなく、要素にウエイトをつける方法その他の方法によって求めた総合点が増加することをも含む。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
前記n以上の区間を検出する類似区間検出手段を備え、
前記要素評価手段は、前記類似区間検出手段によって検出された前記n以上の区間を相互に照合して前記同一演奏内比較要素評価値を求めることを特徴とする。
同一演奏内で相互に比較されるべき区間同士は、メロディー、歌詞、音符の長短(連続する各々の音符の時間長)のいずれかにおいて同一又は類似のものであると考えられる。同一又は類似でない場合には、その変化を知るために相互に比較する必要性に乏しいためである。このような区間は音楽表現力の教育装置(コンピュータ)によって発見可能である。例えば、楽譜のデータを保持していればそこから同一又は類似の区間を発見することは容易である。楽譜のデータを保持していなくても、音の高低によってメロディーが同一または類似の区間を発見する、音声認識を用いて歌詞が同一又は類似の区間を発見する、その他既知の手法によって発見可能である。本明細書においては、かかる既知の手法についての説明は省略する。
いずれの区間を比較対象とするかは、先生が指定(音楽表現力の教育装置向けてデータを入力)してもよく、音楽表現力の教育装置が発見した区間をそのまま用いてもよい。音楽表現力の教育装置が発見した区間を先生に提示し、その中から先生が選択することも考えられる。
また、比較対象の区間同士で音量、音符時間長又は特定周波数振動強度がどのように変化することが好ましいかについても、音楽表現力の教育装置(コンピュータ)が手本となる演奏(目標演奏)を分析して求めることができる。かかる分析も既知の手法であり、本明細書における説明は省略する。
むろん、目標演奏が存在しない場合には、先生が指定すればよい。また、目標演奏が存在する場合であっても先生による指定は可能である。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
前記類似区間検出手段は、各区間に含まれる音符の長短のみに基づいて前記n以上の区間を検出することを特徴とする。
メロディー又は歌詞が同一又は類似である区間については、比較すべき対象となり得ることが理解しやすい。一方、音符の長短のみが同一又は類似でメロディー及び歌詞が相違する区間が比較すべき対象となり得ることは、あまり知られていなかった。しかし、かかる区間を比較することによって、個性を評価することが可能である。
以下、シューベルト作曲の「菩提樹」を例に説明する。この曲の最初の部分の歌詞は、以下のものである。((1)〜(4)の符号は、説明のために付したものである。また、ドイツ語のウムラウト記号は省略し、エスツェット文字は「ss」と表記する。)
(1)Am Brunnen vor dem Tore. Da steht ein Lindenbaum.
(2)Ich traumt in seinem Schatten. So manchen sussen Traum.
(3)Ich schnitt in seine Rinde. So manches liebe Wort.
(4)Es zog in Freud und Leide. Zu ihm mich immer fort.
歌詞は、(1)〜(4)で全て相違する。また、メロディーは、(1)と(2)が同一であり、(3)と(4)が類似であるが、(1)及び(2)と(3)及び(4)とは相違する。すなわち、メロディー及び歌詞によっては、(3)又は(4)を(1)又は(2)と比較することが導けない。一方、歌唱において感情を込めた個性が表れるのは、(3)の部分である。(1)及び(2)においては((2)におけるsusenの語を除けば)事実を淡々と述べている歌詞であるのに対し、(3)において主人公が愛を表現している(liebe Wort)からである。してみれば、(3)を(2)と比較して歌唱の変化を見ることが、個性を評価するために重要である。(3)は(2)と音符の長短が同一であるので、比較すべき対象となり得ることがわかる。
クラシック音楽においては、音符の長短を同一としたままでメロディーを変化させている曲も多く、音符の長短が同一であることを比較対象選定の際に考慮する必要がある。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
前記要素評価手段が用いる比較対象演奏である目標演奏を前記サーバに以上保持し、
前記受信手段は前記録音演奏がいずれの目標演奏に対応するものであるかを指定する目標データを受信し、
前記目標データは、前記録音演奏と同一の楽曲の目標演奏を指定するものであり、
前記要素評価手段は前記目標データによって指定された目標演奏を用いて前記要素評価値を計算することを特徴とする。
音楽の学習を始めたばかりの生徒は、自分がどういう点に強みを持つか、どういう個性を身につけるべきか、について理解していない場合が多い。先生としても、最初の段階では生徒の個性が見極められていないと考えられる。
したがって、最初の段階では、2以上の異なる個性の学習を試みて生徒の適性を見極めることが好ましい。このため、目標演奏をサーバに2以上保持して活用する。ここで、「目標演奏」は、生徒の演奏の全体をカバーする1つの比較対象演奏があればその比較対象演奏が目標演奏であり、生徒の演奏の全体をカバーするために2つ以上の比較対象演奏を用いるならばその2つ以上の集合が目標演奏である。
生徒は、自分の録音演奏を送信する際に、いずれの目標演奏に対応するものであるかを指定して、音楽表現力の教育装置がどの比較対象演奏を使用すべきであるかを伝える。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
前記要素評価値及び前記総合評価値を前記目標演奏に対応付けて保持する記録手段と、
前記受信手段によって受信された2以上の録音演奏に基づいて、前記目標演奏毎の前記総合評価値の時間推移を求め、前記時間推移に基づいて演奏者の上達度合いを判定し演奏者に適した目標演奏を選択する適性判定手段とを備え、
前記評価提示手段は、前記時間推移及び前期選択された目標演奏を前記ユーザ端末に表示させることを特徴とする。
2以上の異なる個性の学習を試みている生徒は、自分が目標とする個性を早期に確定したいと考える。これを補助するために、音楽表現力の教育装置が目標演奏毎の上達度合いを判定して生徒に提示する。むろん、先生が手助けして確定させてあげることが好ましいが、音楽表現力の教育装置が上達度合いに基づいて補助することが有用である。
なお、生徒及び/又は先生の判断によって適正判定手段の結果と異なる個性を目標とすることを妨げるものではない。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
前記音楽教育プログラムは、前記ユーザ端末に前記目標演奏を再生させる再生手段を備えることを特徴とする。
生徒が目標演奏を再生して聞くことを可能にするものである。
本発明の音楽表現力の教育装置は、
前記音楽教育プログラムは、前記サーバに保持された3以上の前記目標演奏について、前期要素を相互に照合して、選定された前記要素相互の前記要素の相違を最大とするような2以上の所定の数の目標演奏を選定する目標演奏選定手段を備えることを特徴とする。
最初の段階で生徒が学習を試みる目標演奏として、あまり多数のものは使用できない。一方、サーバには、いろいろな個性の生徒に対応するために多数の目標演奏を保持しておくことが好ましい。
そうすると、サーバに保持された目標演奏から、生徒が学習を試みる目標演奏を選定することが必要となる。むろん、先生が選定するなどのことは可能であるが、先生が不在であっても音楽表現力の教育装置が選定することができると便利である。
生徒の目標等が最初は不明であるとして、できるだけ個性の幅を広く選択する。このためには、要素の相違を最大とするように選択すればよい。なお、かかる選択は既知の手法によって実行可能であり(有限の数の目標演奏から、有限の数のものを選択するのであるから全部の組合せについて要素の相違を計算することでもよい)、本明細書における説明は省略する。
本発明の音楽表現力の教育方法は、
音楽表現力の教育装置を活用して前記ユーザ端末を使用する生徒を教育する音楽表現力の教育方法であって、
前記目標演奏選定手段によって目標演奏を選定する第1のステップと、
前記再生手段によって選定された前記目標演奏を再生させて生徒に視聴させる第2のステップと、
前記受信手段によって生徒が選定された目標演奏に近づけたと考える録音演奏を受信し、前記評価提示手段によってその録音演奏の総合評価を生徒に通知する第3のステップと、
前記評価提示手段によって前期選択された目標演奏を前記ユーザ端末に表示させて生徒に自己の適性の理解を促す第4のステップとを含むことを特徴とする。
音楽表現力の教育装置を活用した教育方法である。全てのステップが音楽表現力の教育装置と生徒とによって実施可能となっており、先生が不在でも教育を行うことができる。
むろん、先生が随時に介入して生徒にアドバイスし、教育効果を高めることができる。
また、音楽表現力の教育装置を利用せずに一部のステップを先生が実施することも可能ではあるが、本発明は、かかる人為的な取り決めを含まないものである。
なお、音楽表現力の教育装置を利用せずに一部又は全部のステップを先生が実施することとしても、生徒は教育効果を得ることができる。
本発明の音楽演奏評価装置は、
音響信号伝送装置と、
マイクロフォンと、
スピーカーと、
音響信号処理器と、
表示装置とからなる音楽演奏評価装置であって、
前記音響信号伝送装置は、前記マイクロフォンから入力された音楽演奏をデジタル化して前記音響信号処理器に伝送し、前記音響信号処理器から伝送された音楽演奏を前記スピーカーに出力するものであり、
前記音響信号処理器は、前記音響信号伝送装置との間で音楽演奏を相互に伝達し、前記音響信号伝送装置から受信された音響信号に含まれる2以上の区間の音楽要素を相互に比較してその相違を数値化し、その数値を前記表示手段に伝送するものであり、
前記音楽要素は、(1)音量変化、(2)音符時間長、(3)特定周波数振動強度のうちの少なくとも1つを含み、
前記表示装置は伝送された数値をディスプレイに表示するものであることを特徴とする。
音楽表現力の教育装置の機能は、コンピュータシステムでなく、専用のハードウェアによる装置としての実装も可能である。この場合、生徒を教育するために用いる「音楽演奏評価装置」と呼ぶことが適切である。生徒の演奏を評価してその評価結果を生徒に伝える装置となるからである。
楽譜との差異をプラスに評価して、生徒の個性を発揮させるような音楽表現力の教育装置及びその装置を利用する教育方法を提供することができる。
更に、教育装置の実装によって、演奏の中で繰り返される部分について、その楽曲の中での変化を評価するものを提供することができる。
図1は、音楽表現力の教育装置の構成の例を示す図である。 図2は、ユーザ端末の画面の例を示す図である。 図3は、要素評価指定データの例を示す図である。 図4は、音符時間長の評価方法の例を示す図である。 図5は、練習対象楽曲の楽譜を示す図である。
(装置の構成)
図1は、音楽表現力の教育装置の構成の例を示す図である。
音楽教育プログラム1が、ネットワーク5を介してユーザ端末3および先生用端末4に接続されている。ここで、ユーザ端末3は、1台にみでなく2台以上であってもよい。1つの音楽教育プログラム1によって、ユーザ端末3を使用する多くの生徒に対応することが可能である。
音楽教育プログラム1は、目標演奏データ11、楽譜データ12及び要素評価指定データ13を備えている。
目標演奏データ11は、アーティストによる演奏を録音したものであり、1つの楽曲について、さまざまな個性を持った多数のアーティストによる目標演奏を持つことが好ましい。また、先生が手本を録音して目標演奏とすることもできる。
楽譜データ12は、類似区間検出手段22が楽曲の中の類似区間を検出する際に用いるものである。楽譜データが存在しない場合であっても目標演奏データ11を分析して類似区間を検出することが可能であるので、必ずしも必要なものではない。
要素評価指定データ13は、楽曲の中のどの部分をどう評価するかを表すものである。
音楽教育プログラム1においては、その利用によって録音演奏データ14及び評価値データ15が追加され、保存される。
音楽教育プログラム1は、目標演奏選定手段21、類似区間検出手段22、再生手段23、受信手段24、要素評価手段25、評価提示手段26及び適正判定手段27を備えている。
(生徒の行動)
図2は、ユーザ端末の画面の例を示す図である。生徒がユーザ端末を使用して音楽の練習を行う。生徒は、自分が練習で目標とする目標演奏を知っているものとする。また、ユーザ端末3にはマイク及びスピーカ(図示しない)が接続されている。
生徒は、目標演奏指定エリア31に自分が練習する目標演奏を入力する。なお、この入力はキーボードからの入力であってもリストからの選択であってもよい。また、1つの目標演奏が定まった後では、その目標演奏であることとして入力を省略させてもよい。
目標再生ボタン32を押すことにより、生徒は目標演奏を聴くことができる。目標再生ボタン32が押される都度に再生手段23が起動されて目標演奏がネットワークを介して配信(例えばストリーミング)されるとしても、最初に再生手段23が起動されて目標演奏がダウンロードされており、それをユーザ端末3上で再生するものでもよい。
生徒は、録音ボタン33を押して自分の演奏をマイクから録音することができる。録音された演奏は、録音再生ボタン34を押すことによってスピーカから再生される。
生徒は、自分の演奏の評価を受けるために送信ボタン35を押す。これにより、受信手段24が起動されて音楽教育プログラム1が録音演奏を受信して録音演奏データ14として保存する。
その後、要素評価手段25及び評価提示手段26が起動され、評価値データ15が作成(追加)され、総合評価値を含むデータが音楽教育プログラム1からユーザ端末3に送信され、評価表示エリア36に表示される。
(要素の評価)
図3は、要素評価指定データの例を示す図である。図は、1つの楽曲の全ての目標演奏について示している。要素の評価は、対応する目標演奏について図に示された各行ごとに行われる。
例えば図において一番上にある行は、楽曲の第7〜8小節を第5〜6小節との相違のないように演奏することが好ましいことを示している。音量変化、音符時間長及び特定周波数振動強度の特徴について評価するが、音量変化を他の特徴よりも2倍重視することを示している。音量変化、音符時間長及び特定周波数振動強度の特徴は数値化されるので、この行については、数値化された値が大きいものほど要素評価値が小さくなるようにすればよい。
例えば図において2行目では、音量変化は「1.3倍」、特定周波数振動強度は「強く」が好ましい状態であるとされている。この場合、数値化された値と要素評価値との関係は、以下のようにすればよい。音量変化については、評価部分の音量が比較対象演奏の音量の1.3倍である時に要素評価値が最大となるようにすればよい。特定周波数振動強度については、評価部分の数値を比較対象演奏の数値で除した値に対して単調に増加するような要素評価値とすればよい。要素評価値を計算する数式は各種考えられるが、どのようなものを用いてもよい。
音量変化、音符時間長及び特定周波数振動強度の特徴をいかに数値化するかが問題となるが、以下のような単純なものであってよい。
音量変化は、評価部分の音量の時間平均値を比較対象演奏の音量の時間平均値で除した値の対数値(いわゆるデシベル値の評価部分と比較対象演奏との差)を用いることができる。
音符時間長は、評価部分の時間長を比較対象演奏の時間長で除した値を用いることができる。評価部分の中に複数の音符があり各々の音符の長さを見たい場合も考えられるが、その場合には音符ごとに要素評価指定データの行を設けて複数の行を合わせて全体を評価することができる。
特定周波数振動強度は、上述した基本周波数の強さをスペクトラム全体の平均の強さで除した値又はスペクトラムの山と谷の高さの比を評価部分の各所について求め、その最大値又は平均値とすればよい。
なお、音符時間長については、以下のようにして要素評価指定データの1行のみによって各々の音符の長さを評価部分の全体に対して見ることも可能である。
図4は、音符時間長の評価方法の例を示す図である。評価部分と比較対象演奏との時間長が異なる場合には、その時間比率rで評価部分を一律に伸縮して比較対象演奏の時間長に合わせる。その後、評価部分と比較対象演奏との音符境界(音量が一時的に下がり、再び上がることで検出できる)を対応させる。この対応は、図において点線で示したように、音符の末尾と次の音符の先頭の組で時間的に最近のものを対応させる。この結果として、図に☆や★で示すように対応されない音符境界が出ることがある。各音符について評価部分における時間長をd、比較対象演奏における時間長をd0とし、☆の数をx、★の数をyとするとき、以下のz(音符時間長変化指標)が、評価部分と比較対象演奏との音符時間長の相違を示す指標となる。ここで、a、b及びcは、それぞれの要素のウエイトである。評価部分と比較対象演奏とを同じ時間長、同じテンポで演奏すれば、z=0となる。
Figure 0005346114
音符時間長変化指標によって、テンポの変化、装飾音符の有無、ブレスの長さ、スラーで結ばれた音符の歌唱法を評価することができる。このため、図3では評価部分を小節単位で指定しているが、音符単位、その他の単位で指定することも可能である。
図4に示した評価部分は、例えば、2つ目の音符と3つ目の音符の間でテンポが変化し、5つ目の音符に装飾音符がつき、7つ目の音符においては比較対象演奏では2つの音符であったところを1つの音符として(スラーを強調したように)演奏したものである。
(比較対象演奏の選定)
図3において、比較対象演奏として「目標演奏」が指定されている行については、目標演奏に近いか否かを判断するものである。この他に、比較対象演奏として楽曲中の小節が指定されている行もある。かかる行は、評価部分をその録音演奏の中の別の部分と比較する(同一要素内比較要素評価値を求める)ものである。同一要素内比較要素評価値を求めることは、本発明を特徴付けている。
(先生による要素評価の指定と変更)
先生用端末4からは、要素評価指定データ13を編集することができる。生徒の個性のうちの伸ばすべきポイントを先生が発見した場合に、そのポイントについての要素評価指定データ13を追加すること、要素評価指定データ13におけるウエイトを増すことを可能にする。また、そのポイント以外についての要素評価指定データ13を削除すること、要素評価指定データ13におけるウエイトを減らすことも可能である。
(実際の練習の場面)
以下、小学校高学年の生徒に対して、童謡「おもちゃのチャチャチャ」を練習させる場面を例として説明する。
(目標演奏の入手と要素評価指定)
練習のためには、目標演奏があり、手本として生徒に聴かせることが好ましい。そこで、有名なアーティストの演奏の録音として、あるいは、先生自身の演奏を録音して、目標演奏を入手し、目標演奏データ11として収納する。
各々の目標演奏の個性を示す要素評価指定データ13を作成する。目標演奏にいかなる個性が表れるかを示すデータである。要素評価指定データ13は先生用端末4から編集可能であるので、先生が目標演奏を聴いて要素評価指定データ13を作成すればよい。
類似区間検出手段22は、先生による要素評価指定データ13の作成を支援する。楽譜データ12に基づき、メロディー、歌詞、音符の長短が類似の箇所を検出するものである。メロディー、歌詞、音符の長短のいずれに重きを置くものであってもよいが、本実施例では、音符の長短のみに基づくものとする。
類似区間検出手段22は、楽譜データの類似の部分を発見するに当たり、いかなる単位で処理を行ってもよい。本実施例においては、原則として小節単位で処理するものとし、2小節以上にわたって継続した類似についても判断するものとする。
音符の長短のみに基づく判断であるので、音符時間長変化指標を用いることができる。すなわち、類似区間検出手段22は、楽譜の中の1又は2以上の小節からなる区間について、全ての組合せに係る音符時間長変化指標を求め、音符時間長変化指標が所定の値以下であるものを類似であると判断する。
類似区間検出手段22は、検出された類似区間を要素評価指定データ13(図3における1行分)として出力する。互いに類似する2つの区間のうち、先のほうを比較対象演奏とし、後のほうを評価部分とするものである。
なお、「目標演奏番号」及び「好ましい状態」は原則として空欄であるが、先生が目標演奏を指定し、その「目標演奏番号」及びその目標演奏における実際の値である「好ましい状態」を出力することもできる。先生としては、目標演奏の状態に合わせることができ、また、必要であれば目標演奏と異なる「好ましい状態」を指定することもできる。「ウエイト」については、先生の判断に委ねられる。
このように、類似区間検出手段22は、目標演奏が収納される前に起動して楽譜データに基づく処理をすることも、目標演奏が収納された後に起動して目標演奏に表された実際の値を反映することもできる。
むろん、先生は、検出された類似区間が個性を表すものではないと判断する場合には、その行を削除することができる。
童謡「おもちゃのチャチャチャ」については、以下の部分が類似区間として検出される。図3は、検出された類似区間のうちで個性を表すものを先生が選択した結果のものである。
(1) 第1〜4小節:第13〜16小節
(2) 第3〜4小節:第11〜12小節
(3) 第11〜12小節:第15〜16小節
(4) 第5〜6小節:第7〜8小節
(5) 第5〜6小節:第9〜10小節
(6) 第7〜8小節:第9〜10小節
これらのうち、(1)〜(5)は、音符の長短が同一の区間である。(6)及び(7)は、音符の長短が同一ではないが音符時間長変化指標の値が小さなものである。
このように、音符の長短が同一でなくとも音符時間長変化指標の値が小さな区間が検出されて提示されることにより、先生は個性を表している区間を容易に発見できる。
(目標演奏の選定)
練習に先立って、生徒に聴かせる目標演奏を選定する。目標演奏データ11としては、「おもちゃのチャチャチャ」の演奏として3人のアーティストによる3つが収納されている。1つは、「そらにキラキラおほしさま」「みんなすやすやねむるころ」を平板に歌唱し、その後の「おもちゃははこをとびだして」を強調したものである。別の1つは、最後の「チャチャチャ」の部分を強く、かつ、長時間で歌唱したものである。残る一つは音符に忠実に歌唱しつつも、後半に向けて徐々に音量を上げるものである。これらを、この順に目標演奏1、2及び3とする。
先生は、新たな生徒に「おもちゃのチャチャチャ」を練習させることとし、先生用端末4から目標演奏選定手段21を起動して、2つの目標演奏を選定することとする。
目標演奏選定手段21は、収納されている3つの目標演奏について、要素の相違を計算する。例えば、目標演奏1と目標演奏2との要素の相違は、目標演奏1に係る要素評価指定データを用いて求めた目標演奏2の要素評価値と、目標演奏2に係る要素評価指定データを用いて求めた目標演奏1の要素評価値とから求めることができる。(要素評価値が各目標演奏に近いほど高い値であるならば、要素評価値が小さいものほど要素の相違が大きい。)目標演奏3は目標演奏1と2との中間的な演奏であるので、要素の相違が最大となるような2つの目標演奏として、目標演奏1及び2が選定される。
(評価の提示と練習の繰り返し)
生徒は、目標演奏1及び2について、それを参考にして自らの個性を伸ばす練習をする。上記(生徒の行動)に説明したことを繰り返すものである。その際、各回の録音演奏に対する要素評価値及び総合評価値が、評価値データ15として、録音演奏を受信した日時と共に記録され、保存される。
ここで、要素評価手段25による処理は、DPマッチング及びスペクトラム分析等の既知の手法による。
なお、目標演奏1については、2つの要素評価値が得られることとなり、総合評価値について2つの要素評価値をどのように扱うかが問題となる。本実施例においては、2つの要素評価値を単純に加算する。2つの要素評価値のいずれを重視するかについては、要素評価指定データ13のウエイトとして先生が指定できる。その指定を尊重するものである。
生徒は、録音演奏を送信することによって容易に総合評価値を得ることができ、自らの上達を認識することができ、個性を伸ばす意欲を持つ。また、目標演奏1と2との総合評価値の相違によって、自分に合った個性を判断することもできる。
(適性の判定)
生徒に合った個性は、統計的手法によってプログラムによる判断も可能である。評価提示手段26と合わせて適性判断手段27を起動し、適性判断手段27が特定の目標演奏に表された個性が生徒に合っていると判断した場合には、評価提示手段26がその旨をユーザ端末3に表示させる。
適性判断手段27は、例えば、総合評価値と録音演奏を受信した日時との回帰分析を行い、ある目標演奏に係る総合評価値が所定の期間(例えば3ヶ月)の間に他の目標演奏に係る総合評価値を下回る確率が十分に小さい(例えば1%未満)と判定した場合にその目標演奏に係る個性が生徒に合っているものと判断することができる。その他、総合評価値、録音演奏を受信した日時、個別評価値に関する任意の統計的分析を用いることができる。
本実施例では、適性判断手段27が目標演奏1が生徒の個性に合っていると判断し、評価提示手段26によってその旨を表示された生徒も納得し、生徒はその後目標演奏1のみの練習を行う。
先生用端末4では、各生徒の録音演奏データを聴くことができ、評価値データを見ることができる。
先生は、録音演奏1について、図3において2行ある要素評価指定のうち1行目の要素評価値が不安定であることに気づく。先生は、録音演奏データを聴き、生徒の演奏のうち5小節目の「きらきら」の部分と7小節目の「すやすや」の部分の音符時間長とが相違していることに気づく。「そらにきらきら」という言葉の語感と、「みんなすやすや」という言葉の語感との相違によって、5小節目の「きらきら」の部分はスタッカートがついたような歌唱となり、7小節目の「すやすや」の部分はスラーがついたような歌唱となっていたものである。かかる問題は、小学校高学年の生徒には頻出する。
そこで、先生は、生徒にその旨を伝え、要素評価指定データ13の2行目を削除すると共に1行目を以下のように修正する。(1)評価部分を第8小節とし比較対象演奏を第6小節とする。(2)音符時間長のウエイトを1.0とし、他のウエイトを0.2とする。この修正によって、「きらきら」の部分と「すやすや」の部分との音符時間長の相違を強く評価するようになる。
また、本実施例では示していないが、検出された類似区間ではない部分を評価することもできる。
例えば、第10小節と第11小節の間は息継ぎが難しく(第11小節先頭の8分休符の短時間で息継ぎをすることが要求される)、生徒の力量によっては、第10小節末尾の2分音符の時間が短くなってしまったり、第11小節先頭の音符の歌唱開始が遅れてしまったりすることがある。
かかる欠点を矯正したいと先生が考える場合には、評価部分を第10〜11小節とし、比較対象演奏を目標演奏とし、音符時間長のウエイトを1.0とし他のウエイトを0とした要素評価指定データ13を追加すればよい。
以上のように、本発明の音楽表現力の教育装置は、先生が不在でも生徒の個性を伸ばす音楽練習を可能にし、かつ、必要に応じて先生が生徒を助けることもできるものである。
なお、本発明の音楽表現力の教育装置の結果でなく先生自身の分析・判断に基づいて先生が生徒を指導することは、必ずしも否定されるものではない。先生による高度の判断と、本発明の音楽表現力の教育装置による客観的で公平な評価とを合わせて生徒を指導できる。この場合には、本発明の音楽表現力の教育装置は、先生の作業の手間を減少させている。
実施例1においては、複数の要素評価値から総合評価値を求める場合に、要素評価値を単純に加算していた。本実施例は、楽曲の後半に向けて盛り上げるような演奏を個性とする場合に、それに合わせて、要素評価値を単純に加算したものではない総合評価値を用いるものである。要素評価値から総合評価値を求める演算以外の部分は実施例1と同様であり、説明を省略する。
図3において2行目に示されたものと同様の、後の部分が前の部分よりも強調されるような要素評価指定データ13があり、かつ、その後の部分を前の部分として他の部分が更に強調されるような要素評価指定データ13が別途にあるものとする。
上記は3つの部分が徐々に強調されていくものであるが、同様にして4つ又は5つ以上の部分が徐々に強調されていくような要素評価指定データ13も考えられる。
総合評価値を求める際に、要素評価値を単純に加算せず、前記「徐々に強調されていく部分」については、それらのうちの最小値のn倍(nは対象となる要素評価値の数)とする。
徐々に強調される部分については、強調が一番弱いところで全体を判断していることに等しい。すなわち、最初と最後の(中間を捨象した)強調率が同じであっても、中間を同じ比率で強調したほうが総合評価値が高くなる。
楽譜との差異をプラスに評価して、生徒の個性を発揮させるような音楽表現力の教育装置及びその装置を利用する教育方法であり、多くの音楽教育機関による利用が考えられる。
1 音楽教育プログラム
11 目標演奏データ
12 楽譜データ
13 要素評価指定データ
14 録音演奏データ
15 評価値データ
21 目標演奏選定手段
22 類似区間検出手段
23 再生手段
24 受信手段
25 要素評価手段
26 評価提示手段
27 適正判定手段
3 ユーザ端末
4 先生用端末
5 ネットワーク

Claims (2)

  1. ユーザ端末と音楽教育プログラムが動作するサーバとを接続した音楽表現力の教育装置であって、
    前記音楽教育プログラムは、(1)録音された録音演奏を前記ユーザ端末から受信する受信手段と、(2)前記録音演奏の全部又は一部に含まれる要素を比較対象演奏に含まれる要素と照合して求められる1又は2以上の要素評価値を計算する要素評価手段と、(3)前記要素評価値に基づいて総合評価値を計算してそれを前記ユーザ端末に表示させる評価提示手段とを備え、
    前記要素は、(1)音量変化、(2)音符時間長、(3)特定周波数振動強度のうちの少なくとも1つを含み、
    前記要素評価値には、前記録音演奏の照合される一部とは別の一部を前記比較対象演奏とする同一演奏内比較要素評価値を含み、
    前記要素評価手段が用いる比較対象演奏である目標演奏を前記サーバに以上保持し、
    前記受信手段は前記録音演奏がいずれの目標演奏に対応するものであるかを指定する目標データを受信し、
    前記目標データは、前記録音演奏と同一の楽曲の目標演奏を指定するものであり、
    前記要素評価手段は前記目標データによって指定された目標演奏を用いて前記要素評価値を計算するものであり、
    前記要素評価値及び前記総合評価値を前記目標演奏に対応付けて保持する記録手段と、
    前記受信手段によって受信された2以上の録音演奏に基づいて、前記目標演奏毎の前記総合評価値の時間推移を求め、前記時間推移に基づいて演奏者の上達度合いを判定し演奏者に適した目標演奏を選択する適性判定手段とを、更に備え、
    前記評価提示手段は、前記時間推移及び前記選択された目標演奏を前記ユーザ端末に表示させ、前記音楽教育プログラムは、前記ユーザ端末に前記目標演奏を再生させる再生手段を備え、かつ、前記サーバに保持された3以上の前記目標演奏について前記要素を相互に照合して、選定された前記要素相互の前記要素の相違を最大とするような2以上の所定の数の目標演奏を選定する目標演奏選定手段を備えることを特徴とする、音楽表現力の教育装置。
  2. 請求項に記載の音楽表現力の教育装置を活用して前記ユーザ端末を使用する生徒を教育する音楽表現力の教育方法であって、
    前記目標演奏選定手段によって目標演奏を選定する第1のステップと、
    前記再生手段によって選定された前記目標演奏を再生させて生徒に視聴させる第2のステップと、
    前記受信手段によって生徒が選定された目標演奏に近づけたと考える録音演奏を受信し、前記評価提示手段によってその録音演奏の総合評価を生徒に通知する第3のステップと、
    前記評価提示手段によって前記選択された目標演奏を前記ユーザ端末に表示させて生徒に自己の適性の理解を促す第4のステップとを含むことを特徴とする、音楽表現力の教育方法。
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