JP6134511B2 - 直膨コイルを使用した空気調和機 - Google Patents
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Description
従来、クリーンルームでは厳格な空調管理が要求されているが、通常、設定温度・湿度の許容範囲は、温度では±3℃以内、湿度では10%以内の制御が求められている。
ところで、水コイルを使用する空気調和機の熱媒は冷水、温水、蒸気などであり、直膨コイルの空気調和機の冷媒コイルの熱媒は冷媒であるが、以下に述べるように、それぞれに利点や欠点がある。
この場合の空気の状態変化を、図2の空気線図を参照して図1のシステムを説明すると、外気OAが図2でのA点の状態であると、水コイルaは冷凍機hやチラーから冷水(温水、蒸気)が供給されていて、バルブiを制御することにより、コイル出口空気温度を設定した露点温度、実際は、露点温度の設定値は余裕をみて目標絶対湿度より低い露点温度まで(図2の目標絶対湿度線以下)温度をさげ、B点に移行する。
その後、ボイラeにより高温の温水或いは蒸気をバルブdにより制御して再加熱コイルbに供給し、露点温度から加湿可能温度まで再熱し、空気温度を図2のC点まで上昇させる。 更に、ボイラeからの蒸気を加湿器cから噴霧して、最終目標の湿度にして図2のD点まで上昇させている。
例えば、クリーンルームでの直膨コイル使用の基本的な空調システムは、図3に示すようなものであるが、図1の水コイルaの使用と異なるのは、水コイルaの変わりに、3台の直膨コイルg1,g2,g3を並列配置した構成である。直膨コイルで広範囲な空調制御が難しく、そこで、直膨コイルを3台並列にして、低負荷の場合は1台稼働にし、高負荷の場合には全台を稼働して、広範囲の空調制御を可能としている。
その後は、水コイルの空調機と同様に、ボイラeにより高温の温水或いは蒸気をバルブfにより制御して再加熱コイルbに供給し、露点温度から加湿可能温度まで再熱し、空気温度を図2のC点まで上昇させる。更に、ボイラeからの蒸気を加湿器cから噴霧して、最終目標の湿度にして図2のD点まで上昇させている。
また、(2)直膨コイル出口温度を目標露点温度以下にするため、常時すべての室外機が運転が必要となり、低負荷時はコイル出口空気温湿度は目標値よりもかなり低くなる。そのため、B→Cの再熱能力及びC→Dの加湿能力が大きくなる為、結果として、省エネルギー運転とならない。
前記第1直膨コイル群の複数の直膨コイル、及び、前記第2直膨コイル群の複数の直膨コイルはそれぞれ独立して制御可能とし、
前記第2直膨コイルの下流には再熱コイル及び加湿器を配置し、
前記再熱コイルは上流に第1再熱コイルと下流の第2再熱コイルとを設け、前記第1再熱コイルは、前記第2直膨コイル群の冷凍サイクルにおいて凝縮器と直列に設けられ、前記第1再熱コイルを使用しない場合に該第1再熱コイルをバイパスする機構を備えることを特徴する直膨コイルを使用した空気調和機である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の直膨コイルを使用した空気調和機において、前記第1直膨コイル群は2台の直膨コイルを並列に配置したことを特徴する。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の直膨コイルを使用した空気調和機において、前記第2直膨コイル群は4台の直膨コイルを並列に配置したことを特徴する。
また、並列配置の直膨コイル群と並列配置の直膨コイル群を2段の直列設置の組み合わせにより、ローテーション運転を可能として、1部の直膨コイル群や室外機等の運転を休ませることにより装置の長寿命化が可能となり、更に、一部の直膨コイルの故障時のバックアップ運転が容易に対応できる。
しかも、従来の冷水コイルや並列配置の直膨コイルに代えて、複数の並列配置した直膨コイル群を2段に直列に配置して給気露点温度制御を行うので、上流の直膨コイル群で大まかな冷房制御を行った後、下流の直膨コイル群で温度・湿度をきめ細かく制御が可能で、かつ、広範囲の温度・湿度管理が可能であり、更に、風下に従来の水コイルの場合同様に再熱コイル・加湿器を設置し正確に恒温恒湿条件を満足する制御が可能となる。
さらに、再熱コイルの熱源として、直膨コイルの冷凍サイクルの排熱を再熱に用いているので、別途にボイラ等の熱源が不必要となるか、必要としても熱源の負荷を著しく軽減でき、より省エネが実現する。
[実施例1]
図5は、実施例1の直膨コイルを使用したクリーンルーム用の空気調和機1の全体の系統図で、外気OA(図5で右側から)を導入し、まず、上流側に冷媒により冷却する第1直膨コイル群2を配置し、下流に第2直膨コイル群3を配置し、更に、その下流に第1再熱コイル41と第2再熱コイル42、及び第1加湿器51と第2加湿器52を配置している。なお、本実施例の空気調和機1はクリーンルームに用いるが、通常、室内には加熱機器等が存在して室内温度を上昇させるので、冷却機能を使用した場合で説明する。なお、本発明で「外気」とは、戸外の空気のみを意味するものではなく、空調を対象の空気調和機の外から取り入れる空気のことである。
前記第1直膨コイル群2は、2台の直膨コイルである直膨コイル21と直膨コイル22を空気流の対して並列2段に配置したもので、この2台の直膨コイルにはそれぞれ膨張(制御)弁211と221を介して圧縮機231と凝縮器233及びファン232等からなる室外機23に接続され、それぞれ独立して制御される。
これらの第1直膨コイル群2と第2直膨コイル群3の間には、空気OAを給気SAとして送風する送風機(ファン)7が配置され、この送風機7は第1直膨コイル群2の一部が運転停止しても、吸気した空気を攪拌し冷却を均一にして、下流の複数の第2直膨コイル群3に送風するものである。
第2直膨コイル群3の4台の直膨コイル31乃至34は独立して運転・制御され、第2直膨コイル群3の下流には 空調状態を微調整して目標の温度・湿度にするために、第1再熱コイル41と第2再熱コイル42及び第1加湿器51と第2加湿器52が配備される。
直膨コイル31で冷房を終えた冷媒は、圧縮機35、三方弁36、室外機371を構成する凝縮器37、ファン371に接続され、圧縮機35で圧縮され温度上昇した冷媒は三方弁36で、通常、上昇した熱の一部は第1再熱コイル41で使用され、残りは凝縮器37で排熱する。そして、凝縮器37で排熱された冷媒は、膨張弁38によって冷却され直膨コイル31に循環させ、送風機7からの攪拌された空気を冷房する。なお、第1再熱コイル41を使用しない場合は、圧縮機35で温度上昇した冷媒は、三方弁36でバイパスされされて全部凝縮器37に送られ排熱して、膨張弁38によって冷却され直膨コイル31に送られる。他の直膨コイル32、33、34も同様の構成であり、それぞれ独立して制御される。なお、圧力センサ311や温度センサ312は、圧縮機35の制御をするためのものである。
更に、ボイラ6の水を加熱した蒸気によって上流の第1加湿器51によって大まかな加湿を行い、下流の第2加湿器52で最終的な目標湿度に供給空気SAを加湿する。
図6の空気線図で、外気OAはj点から第1直膨コイル群2でk点まで冷やされ、更に、第2直膨コイル群3でl点まで冷やされ、次に、第1再熱コイル41でおよその室温にm点まで加熱され、さらに第2再熱コイル42で微調整されてn点まで再熱・加熱される。なお、第1、第2加湿器51,52は冬季に稼働するので、第2直膨コイル群3等が稼働する夏期の冷房時には稼働しない。この空気線図で必要エネルギーは、A1とB1よりは少ないα(n−mの加熱関与分)だけであるので、B1は第2直膨コイル群3で賄うので、従来のようにA1+B1とはならない。
運転実験例
設計風量:5000m3/h (外気取入量:20%)
給気目標:12.6℃
コイル組み合わせ:直列・・・2列
段数・・・ (風上側)室外機1台・2段
(風下側)室外機2台・4段
一般に、直膨コイルは、高温源と低温源の温度差が小さいほど理論上の効率は良くなるものであり、定格運転が効率がよい。
次に、外気OAが高温高湿のA領域よりも多少湿度が低いB領域の状態では、負荷が多少下がるので、6台のうちどれか1台を休ませることができ、本実施例では直膨コイル34を停止させることができる。
更に、外気OAがB領域よりも更に湿度が低いC領域の状態では、負荷が更に下がるので、6台のうちどれか2台を休ませることができ、本実施例では直膨コイル33,34を停止させることができる。なお、直膨コイル33,34を停止させるときは、当然のことながら空調空気の通過はダンパ等で停止することになる。
同様に、外気OAがD領域よりも更に湿度と温度が低いE領域の状態では、負荷も小さくなるので、6台のうちどれか4台を休ませることができ、本実施例では第2直膨コイル群3の直膨コイル31乃至34を停止させ、第1直膨コイル群2だけを稼働して、省エネを実現している。
先ず、湿度について説明すると、図9の上側(細線)は湿度の変化に関するグラフであり、空気調和機1への入口湿度:Vが90〜80%程度であって外気(入口)OAの状態がAからE領域に変化しても、直膨コイル群1,2をこれに対応した運転状態に切り換え、AからE領域に対応して直膨コイルの稼働台数を徐々に減らしていっても、出口湿度:Wは50〜60%を維持していることが判る。
このように、高温高湿のA領域以外では直膨コイルの1部を停止することができ、ローテンションを組めば効率的に直膨コイルや室外機等を休ませることができ、更に、計画的にローテーション運転を行って直膨コイルや室外機等の長寿命化を実現できる。
図10において、高温・高湿のA領域においては6台の全直膨コイルを稼働させるが、負荷が減少したC領域においては、各直膨コイル21,22,31,32,33,34は独立して制御可能であるので2台の直膨コイル及びこれらに付随する室外機等を休ませることができる。この場合、各直膨コイル21,22,31,32,33,34は独立して制御可能であるので、能力が同じ場合には2台の選択は任意であり、例えば、C領域運転1のように直膨コイル31,32を休ませることができ、また、C領域運転2のように直膨コイル33,34及びこれらに付随する室外機等を休ませることができ、次のC領域運転1と2を交互に稼働させるようにしてもよい。
同様に、図10のC領域運転1のように直膨コイル31,32を休ませている場合、図10の下段の(b)に示すように、直膨コイル33と34が故障或いは保守で停止せざるを得ない場合は、直膨コイル31、32、及び、直膨コイル21,22の4台を稼働させれば、通常通りの冷房能力を確保でき、また、図10の下段の(c)に示すように、直膨コイル21と22が故障或いは保守で停止せざるを得ない場合は、直膨コイル31乃至34の4台を稼働させれば、通常通りの冷房能力を確保できる。
次に、実施例2について説明する。実施例2と実施例1との違いは、図11〜13に示すように、第2直膨コイル群3に連なる第1再熱コイル41の構成・作用が異なり、第2直膨コイル群3及び第1再熱コイル41でのエネルギーが、実施例1に比べて更に省エネとなる。このことを以下に詳しく説明する。
図11において、ここで、第2直膨コイル群3の複数の直膨コイルのうち、直膨コイル31を例として冷房サイクルを説明する。
直膨コイル31で冷房を終えた冷媒は、圧縮機35、凝縮器37及びファン371からなる室外機371、三方弁36及び第1再熱コイル41とに接続される。先ず、圧縮機35で圧縮され温度上昇した冷媒は凝縮器37に送られ、凝縮器37では1部がファン371等で排熱され(冷やされ)、三方弁36の実線に沿って第1再熱コイル41に送られ、更に第1再熱コイル41で残りの熱を排熱し、膨張弁38で冷媒を冷却して直膨コイル31に循環させる。
なお、第1再熱コイル41を使用しない場合は、三方弁36でバイパスされされ凝縮器37で排熱して温度が低下した溶媒は、全部が膨張弁38によって冷却され直膨コイル31に送られる。他の直膨コイル32、33、34も同様の構成であり、それぞれ独立して制御される。また、他の構成・作用は、実施例1と同じなので、説明は省略する。
図12の空気線図で、外気OAはj点から第1直膨コイル群2でk点まで冷やされ、更に、第2直膨コイル群3でl点まで冷やされ、次に、第1再熱コイル41でおよその室温にm点まで加熱され、さらに第2再熱コイル42で微調整されてn点まで再熱・加熱される。なお、第1、第2加湿器51,52は冬季のみ稼働し第2直膨コイル群3等が稼働する夏期には稼働しない。この空気線図で必要エネルギーは、A1うちB1−α(α=n−mの加熱関与分)と同等のB2−αは結果として第2直膨コイル群3で賄うので、必要なエネルギーはC1+αであり、実施例1でのA1よりも更に少ないエネルギーで所定の冷房を達成することができる。
また、(7)再熱コイルの熱源として、直膨コイルの冷凍サイクルの排熱を再熱に用いているので、別途にボイラ等の熱源が不必要となか、必要としても熱源の負荷を著しく軽減でき、より省エネが実現する。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の各実施例に限定されるものでないことは勿論である。
e・・ボイラ、f・・バルブ、g1,g2,g3・・直膨コイル、
h・・冷凍機、i・・バルブ、k1,k2,k3・・室外機、
1・・空気調和機、
2・・第1の直膨コイル群、21,22・・直膨コイル、
211,221・・膨張(制御)弁、
23・・室外機、231・・圧縮機、232・・ファン、233・・凝縮器、
3・・第2の直膨コイル群、31,32,33,34・・直膨コイル、
311・・圧力センサ、312・・温度センサ、
35・・圧縮器、36・・三方弁、
37・・凝縮器、371・・室外機、
38,382,383,384・・膨張弁、
41・・第1再熱コイル、42・・第2再熱コイル、421・・制御弁(バルブ)、
51・・第1加湿器、511・・制御弁(バルブ)、
52・・第2加湿器、521・・制御弁(バルブ)、
6・・ボイラ、
7・・送風機(ファン)
Claims (3)
- 外気を導入して冷媒により冷却あるいは加熱する2群の直膨コイルを直列に配置し、上流の第1直膨コイル群はさらに複数並列に配列し、下流の第2直膨コイル群もさらに複数並列に配列した空気調和機において、
前記第1直膨コイル群の複数の直膨コイル、及び、前記第2直膨コイル群の複数の直膨コイルはそれぞれ独立して制御可能とし、
前記第2直膨コイルの下流には再熱コイル及び加湿器を配置し、
前記再熱コイルは上流に第1再熱コイルと下流の第2再熱コイルとを設け、
前記第1再熱コイルは、前記第2直膨コイル群の冷凍サイクルにおいて、凝縮器と直列に設けられ、前記第1再熱コイルを使用しない場合に該第1再熱コイルをバイパスする機構を備えることを特徴する直膨コイルを使用した空気調和機。 - 前記第1直膨コイル群は2台の直膨コイルを並列に配置したことを特徴する請求項1に記載の直膨コイルを使用した空気調和機。
- 前記第2直膨コイル群は4台の直膨コイルを並列に配置したことを特徴する請求項1又は2に記載の直膨コイルを使用した空気調和機。
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