JP6134194B2 - フィラメント、光源装置、および、フィラメントの製造方法 - Google Patents

フィラメント、光源装置、および、フィラメントの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エネルギー利用効率を改善したフィラメントに関する。
タングステン等のフィラメントに電流を流すことによりフィラメントを加熱し、光を放射させる光源(白熱電球)が広く用いられている。しかしながら、加熱されたフィラメントから放射される光は、赤外光成分が多く、可視光成分や近赤外光成分が少ない。そのため、可視光光源や近赤外光光源として用いた場合には、入力電力から可視光や近赤外光への変換効率が低い。
特許文献1および2には、フィラメントの基材の表面に金属酸化層や、金属や半導体を分散させた誘電体層を設け、フィラメントの表面の反射率を可視光や近赤外光の波長域で低く、赤外光の波長域で高くする構造が提案されている。この構造により、赤外光の放射を抑制し、可視光や近赤外光を効率よく放射させている。
特開2011−124206号公報 特開2011−222211号公報
可視光や近赤外光を放射する光源には、フィラメントを所定のピッチおよび径で巻き回した、巻き線構造のフィラメントが広く用いられている。巻き線構造にすることにより、長いフィラメントを小さな空間に配置することができ、輝度の大きな光源を得ることができる。
しかしながら、特許文献1または2のように放射特性を制御する層(以下、放射制御層と称す)を表面に備えたフィラメント基材を巻き回して、巻き線構造のフィラメントを製造した場合、巻き線構造の外周側の放射制御層から可視光や近赤外光が放射されるだけでなく、巻き線構造の内周側に位置する放射制御層からも可視光や近赤外光が放射される。巻き線構造の内周側の放射制御層から放射された可視光や近赤外光の多くは、巻き線構造のフィラメントに遮られて巻き線の外部に出射されない。したがって、巻き線構造の内周側で波長が短い可視光や近赤外光が放射されるとエネルギーの損失が大きく、フィラメントの電力を光に変換する効率が向上しない。
本発明の目的は、電力を可視光や近赤外光に変換する効率が高い、巻き線構造のフィラメント(放射体)を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のフィラメントでは、所定の形状に巻き回された巻き線構造の線状の基材の、巻き線構造の外周側に位置する基材表面にのみ放射制御層を配置する。放射制御層は、少なくとも所定の波長以下の光の放射率が基材よりも高い。
本発明によれば、巻き線構造の外周側にのみ放射制御層が配置されているため、巻き線構造の外周側から効率よく可視光や近赤外光が放射される。巻き線構造の内周側には放射制御層が配置されていないため、放射制御層よりも放射されるエネルギーが小さい。よって、外部に光を取り出しにくい内周側のエネルギー放射を抑制でき、電力を可視光に変換する効率が高い巻き線構造のフィラメント(放射体)を提供することができる。
本発明のフィラメントの(a)側面図、(b)A−A’断面図、(c)B−B’断面図。 図1のフィラメントの放射制御層12の成膜方法を示す説明図。 図1のフィラメントの放射制御層12の成膜方法の別の例を示す説明図。 図1のフィラメントの放射制御層12の成膜時の傾斜角θとピッチPと半径Rとの関係を示す説明図。 (a)実施形態1のフィラメント10の断面図、(b)実施形態1のフィラメントの放射制御層12が形成されている領域の反射率スペクトル(反射率の波長依存性)を示すグラフ。 (a)実施形態1のフィラメントの放射制御層12が形成されている領域の放射率スペクトル(放射率の波長依存性)を示すグラフ、(b)実施形態1のフィラメントの放射制御層12が形成されていない領域の基材11の放射率スペクトルを示すグラフ。 (a)実施形態2のフィラメント10の断面図、(b)実施形態2のフィラメントの反射防止層15が積層された放射制御層12の反射率スペクトルを示すグラフ。
本発明のフィラメント10は、図1(a)〜(c)に側面図および断面図を示すように、所定の形状に巻き回された巻き線構造の基材11と、その表面に配置された、少なくとも所定の波長以下の光の放射率が基材11よりも高い放射制御層12とを備えて構成される。線状の基材11は、金属材料により構成されている。図1(b)、(c)のように、放射制御層12は、巻き線構造の外周側の基材11の表面にのみ備えられ、巻き線構造の内周11a側の基材11の表面には放射制御層12が配置されていない。これにより、巻き線構造のフィラメント10の外周側は、放射率の高い放射制御層12から、所定の波長以下の光が放射される。巻き線構造のフィラメント10の内周11a側には、放射制御層12は配置されていないので、基材11の表面から光が放射される。このとき、基材11の表面は、少なくとも所定の波長以下の光の放射率が放射制御層12よりも低いため、可視光や近赤外光の放射割合は放射制御層12が配置されている場合よりも低い。よって、内周11a側から放射されるエネルギーは、外周側の放射制御層12から放射されるエネルギーよりも小さくなる。すなわち、放射制御層12が、巻き線構造の内周側の基材11にも配置されている場合と比較して、本発明のフィラメント10は、巻き線構造の内周11a側からのエネルギーの大きな可視光や赤外光が放射されるのを低減することができるため、フィラメント10に供給された電力エネルギーを、巻き線構造の外周側の放射制御層12から効率よく光に変換して放射することができる。よって、フィラメントのエネルギーの変換効率を高めることができる。
上記放射制御層12は、基材11の表面の放射率を制御できるものであればどのようなものであっても構わない。例えば、放射制御層12としては、所定の波長λ以下の光の反射率が、所定の波長λよりも長波長の光に対する反射率よりも低いものを用いることができる。キルヒホッフの法則より放射率とε(λ)と反射率R(λ)との間には、式(1)の関係がある。
(数1)
ε(λ)=1−R(λ) ・・・(1)
したがって、放射制御層12は、所定の波長λよりも短波長の光を多く放射するため、少なくとも所定の波長λ以下の光の放射率が基材11よりも高くなる。
所定の波長λは、1μm以上5μm以下であることが好ましく、特に、3μm以上4μm以下であることが好ましい。これにより、可視光から近赤外光を高効率で放射するフィラメント10が提供できる。
基材11は、W、Mo、Ta、Au、Cu、Cr、Ni、Fe、Pt、Zr、Ti、Hf、Re、Os、Th、TaC、HfC、WC、ZrC、ZrN、TiN、Ir,Ru、Nb,V,Rh,C,BC,SiC,ZrC,NbC,ThC,TiC,AlN,BN,HfN,LaB,ZrB,HfB,TaB,および、TiBのうちのいずれか、または、いずれかを含有する合金を用いることができる。
放射制御層12について詳しく説明する。放射制御層12としては、金属膜,金属の酸化物膜、窒化物膜,ホウ化物膜、珪化物膜、フッ化物、硫化物、リン化物、および、炭化物膜、のいずれかを用いることが可能である。例えば、Ta,Os,Ir,Mo,Re,W,Ru、Nb,Cr,Zr,V,Rh,C,BC,SiC,ZrC,TaC,HfC,NbC,ThC,TiC,WC,AlN,BN,ZrN,TiN,HfN,LaB,ZrB,HfB,TaB,TiB,CaO,CeO,MgO,ZrO、Y、HfO、Lu2O、Yb、および、ThO,のいずれかの単層膜、もしくは、これらの材料の単層膜を複数種類積層した多層膜、またはこれらの複合材料で形成された単層膜並びに多層膜を含む構成を用いることができる。これらの膜の融点は、フィラメント10が高温になることを考慮し、例えば2000K以上であることが好ましい。
また、放射制御層12としては、所定の体積比で金属および/または半導体が分散された誘電体層を用いることができる。例えば、放射制御層12は、サーメット膜を用いることができる。
また、放射制御層12としては、可視光領域の光を吸収する可視光吸収材が添加された白色散乱体層を用いることもできる。このような白色散乱体層は、フィラメントの反射率を赤外光領域を含め広い波長範囲で高め、かつ、可視光領域の反射率を低下させることができるため、可視光領域の放射率を向上させることができる。
白色散乱体としては、例えば、イットリア(Y)、ハフニア(HfO)、ルテチア(Lu)、トリア(ThO)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO)、イッテルビア(Yb)、ストロンチア(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化ホルミウム(Ho)、窒化ジルコニア(ZrN)、窒化チタン(TiN)、および、窒化ホウ素(BN)、のうちのいずれかを含有するものを用いることができる。これらの白色散乱体は、赤外から可視領域にわたって非常に高い反射特性を示す。白色散乱体の粒子は、粒径が50nm以上50μm以下であることが望ましい。白色散乱体は、表面のダングリングボンドの除去処理および表面の結晶欠陥回復処理のうちの少なくとも一方が施されているとさらに好ましい。
白色散乱体に添加する可視光吸収材としては、例えば、不純物元素であるCe、Eu、Mn、Ti、Sn、Tb、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Pb、As、Tm、Ho、Er、Dy、Pr等を用いることができる。添加濃度は、例えば、0.0001重量%〜10重量%に設定する。可視光吸収材としては、金属粒子であるW、Ta、Mo、Au、Ag、Cu、Al、Ti、Ni、Co、Cr、Si、V、Mn、Fe、Nb、Ru、Pt、Pd、Hf、Y、Zr、Re、Os、Ir等の粒子を用いることもできる。この場合、金属粒子の粒径は、2nm以上5μm以下であることが好ましい。白色散乱体への金属粒子の添加濃度は、例えば、0.0001重量%〜10重量%に設定する。
また、放射制御層12として基材表面の可視光反射率を低下させる膜(可視光反射率低下膜と称す)を用いることもできる。可視光反射率低下膜は、可視光に対して透明で、可視光反射率低下膜の表面で反射される可視光と、可視光反射率低下膜を透過して基体表面で反射される可視光とを打ち消し合わせることにより、フィラメントの可視光反射率を低下させる。例えば、2000K以上の融点を有する金属の酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜、および、ホウ化物膜のいずれかを用いる。具体的には、MgO,ZrO、Y、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN,3C−SiC(立方晶のSiC)、HfO、Lu、Yb、グラファイト、ダイヤモンド、CrZrB、MoB、MoBC、MoTiB、MoTiB、MoZrB、MoZr、NbB、Nb、NbTiB、NdB、SiB、Ta、TiWB、WB、WB、WB、YB4、ZrB12、C,BC,ZrC,TaC,HfC,NbC,ThC,TiC,WC,AlN,BN,ZrN,TiN,HfN,LaB,ZrB,HfB,TaB,TiB,CaO,CeO,およびThO,のうちのいずれかの単層膜、もしくは、これらの材料の単層膜を複数種類積層した多層膜、またはこれらの複合材料で形成された単層膜並びに多層膜を用いることができる。
上記可視光反射率低下膜の膜厚は、その屈折率に応じて計算により、または実験またはシミュレーションにより、適切な値に設計されている。計算により設計する場合には、例えば、可視光に対する光学的光路長(λ/n0、ただし、nは屈折率)が1/4波長程度になるように膜厚を設計する。
また、上記所定の波長λ以下の光の反射率が所定の波長λよりも長波長の光に対する反射率よりも低い放射制御層12の上に、さらに、上記可視光反射率低下膜を配置することも可能である。
また、放射制御層12として、赤外光領域では透明で、可視光を吸収する膜(可視光吸収膜と称する)を用いることができる。可視光吸収膜は、赤外光領域に透明な材料に金属微粒子または不純物を添加した材料によって形成することができる。金属微粒子としては、W、Ta、Mo、Au、Ag、Cu、Al、Ti、Ni、Co、Cr、Si、V、Mn、Fe、Nb、Ru、Pt、Pd、Hf、Y、Zr、Re、OsおよびIrのうちのいずれかを含有する金属の微粒子を用いることができる。金属微粒子の粒径は、2nm以上5μm以下であることが望ましい。また、不純物は、Ce、Eu、Mn、Ti、Sn、Tb、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Pb、As、Tm、Ho、Er、DyおよびPrのうちのいずれかを用いることができる。可視光吸収膜を構成する赤外光領域に透明な材料は、SiO、MgO、ZrO、Y、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN、3C−SiC(立方晶のSiC)、HfO、Lu、Yb、グラファイト、ダイヤモンド、CrZrB、MoB、MoBC、MoTiB、MoTiB、MoZrB、MoZr、NbB、Nb、NbTiB、NdB、SiB、Ta、TiWB、WB、WB、WB、YBおよびZrB12のうちのいずれかを含有する材料を用いることができる。
放射制御層12として、赤外光反射膜を用いることも可能である。赤外光反射膜は、単独で放射制御層12として用いることも可能であるが、上記可視光吸収膜と基材11との間に配置することも可能である。この赤外光反射膜は、赤外光を透過する材料でそれぞれ構成され、かつ、積層された第1および第2の層の組を含む干渉膜の構造にすることができる。第1の層が、屈折率n、厚さd、第2の層が、屈折率n、厚さdである場合、赤外光の所定の波長λに対して
・d=n・d=λ/4
の関係を満たすように設計する。これにより、所定の波長λの赤外光を反射することができる。赤外光反射膜は、第1および第2の層の組を複数組積層した構造であり、各組は、反射する赤外光の所定の波長が異なるように構成することもできる。
赤外光反射膜の第1および第2の層は、それぞれ、SiO、MgO、ZrO、Y、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN、3C−SiC(立方晶のSiC)、HfO、Lu、Yb、グラファイト、ダイヤモンド、CrZrB、MoB、MoBC、MoTiB、MoTiB、MoZrB、MoZr、NbB、Nb、NbTiB、NdB、SiB、Ta、TiWB、WB、WB、WB、YBおよびZrB12のうちのいずれかを含有する材料により構成することができる。
また、放射制御層12としては、基材11を構成する第1の金属よりも融点が低い第2の金属の膜を用いることも可能である。第2の金属は、電流の供給を受けた基材11が光を放射する温度で、軟化することが好ましい。これにより、放射制御層12は、基体と同じ温度で軟化状態(溶融状態または液体状態)に近い状態になるため、放射制御層12を構成する第2の金属の原子は、基材11の第1の金属の原子よりも結晶格子の位置からずれて大きく動くことができるようになる。このため、放射制御層12は、基材11よりも高いエネルギーの光を放出することができるようになり、高エネルギー(可視光成分)の光を高効率で放射することができる。
この場合、基材11を構成する第1の金属としては、例えば、HfC(融点4160K),TaC(融点4150K),ZrC(融点3810K),C(融点3800K),W(融点3680K)、Re(融点3453K),Os(融点3327K),Ta(融点3269K),Mo(融点2890K),Nb(融点2741K),Ir(融点2683K),Ru(融点2583K),Rh(融点2239K),V(融点2160K),Cr(融点2130K),および、Zr(融点2125K)、のうちのいずれか、もしくは、これらのうちのいずれか少なくとも1つを含有する合金を用いることができる。融点は、2500K以上であることがフィラメント10として好ましい。一方、放射制御層12を構成する第2の金属としては、上記第1の金属として列記した金属のうちのいずれか、もしくは、これらのうちのいずれかを少なくとも1つを含有する合金であって、第1の金属よりも融点が低いものを用いることができる。例えば、一般的にフィラメント材料として用いられているWを基材11を構成する第1の金属として用いる場合、放射制御層12を構成する第2の金属として、Re,Os,Ta,Mo,Nb,Ir,Ru,Rh,V,Cr,およびZrのうちのいずれかを用いることができる。また、例えば、第1の金属がReである場合、第2の金属として、Os,Ta,Mo,Nb,Ir,Ru,Rh,V,Cr,およびZrのうちのいずれかを用いることができる。
なお、上述してきた放射制御層12の上には、反射防止層を配置してもよい。
また、基材11の表面層に形成されたフォトニック結晶構造(微細構造)層を放射制御層12として用いることも可能である。
ここで、フィラメント10の製造方法について説明する。
上述の各種放射制御層12は、可視光吸収材が添加された白色散乱体層を除き、蒸着法やスパッタリング法等の気相成長法により形成できる。この場合、以下のように成膜することにより、巻き線構造の外周側にのみ放射制御層12を形成することができる。
まず、線状の基材11を予め所定の形状に巻き回し、所望の巻き線構造のフィラメント(基材11)を製造しておく。次に、図2または図3のように巻き線構造のフィラメント10の中心軸aを、蒸着源14に対し、所定の角度θで相対的に傾斜させて支持する。すなわち、図2のように、フィラメント10の中心軸aに対して蒸着源14を傾斜させてもよいし、図3のように、蒸着源14に対してフィラメント10の中心軸aを傾斜させてもよい。この状態で蒸着源14を加熱して、フィラメント10の外周側の表面に蒸着源14の蒸着物13を付着させて放射制御層12を成膜する。
図4に示すように、所定の角度θは下記式(2)を満たすように設定する。
(数2)
θ=arccos(R/(P−R)) ・・・(2)
(ただし、P:フィラメント10の巻き回しのピッチ、R:線状の基材11の半径)
基材11は、ピッチPで巻かれているため、巻き線11−1の内周側は、蒸着源14に対して、隣の巻き線11−2の影になり、巻き線11−1の内周側の表面に蒸着物13が付着しない。よって、巻き線構造の基材11の外周側の表面にのみ放射制御層12を成膜することができる。
成膜中は、フィラメント10を中心軸aを中心に自転させることが好ましい。また、フィラメント10を蒸着源14を中心に公転させることがさらに好ましい。このようにフィラメント10を自転および/または公転させることにより、放射制御層12の膜厚を均一にすることができる。
また、放射制御層12として、可視光吸収材が添加された白色散乱体層を用いる場合には、巻き線構造の基材11を形成した後、巻き線構造の内周側の基材11の表面にのみをマスクを形成して、このマスクで覆われていない外周側の基材11の表面に白色散乱体層を付着させる方法を用いることができる。具体的には、樹脂層等のマスクとなる材料の層を巻き線構造の基材11の全周(内周側および外周側)に形成した後、巻き線構造の外周側のみ樹脂層を物理的または化学的に除去することにより、マスクを形成することができる。その後、基材11を白色散乱体が分散した溶液に浸漬し、基材11に電流を流すことにより、電気泳動法により、巻き線構造の外周側の基材11の表面にのみ白色散乱体層を付着させることができる。続いて内周側の基材11に残存する樹脂層を物理的または化学的に除去することで、外周側のみに白色散乱体層を付着させることができる。
上述してきた本発明のフィラメントは、透光性気密容器内に配置し、両端に電流を供給するためのリード線を接続することにより、白熱電球等の光源装置を得ることができる。
以下、本発明のさらに具体的な実施形態について説明する。
(実施形態1)
実施形態1として、図5(a)のように、基材11をWで構成し、放射制御層12として、厚さ約100nmのZrOとZrからなるサーメット膜を備えたフィラメント10について説明する。
ZrOとZrからなるサーメット膜は、ZrOとZrとを同時にスパッタリングする手法などにより成膜することができる。図2および図3に示すように、フィラメント10の中心軸aは、蒸着源(この場合スパッタターゲット)14に対し、相対的に角度θで傾斜させる。蒸着源14からスパッタされた蒸着物13は真空中では直進性を持つため、フィラメント10に対して角度θだけ傾いて入射し、巻き線構造の外周側の基材11の表面にのみ付着する。例えば、基材11の巻き線のピッチPが線半径Rの3倍の場合、蒸着源14の傾き角θは60度とする。成膜中は、フィラメント10を自転および公転させることが望ましい。
また、スパッタ法に限らず、イオンプレーティングを用いた場合には低温でも密着性の高い放射制御層12が得られる。また、分子線エピタキシ一法やパルスレーザ蒸着法などにより放射制御層12を形成してもよい。
本実施形態1のフィラメント10の放射制御層12が形成されている領域の反射率スペクトル(反射率の波長依存性)を図5(b)に示す。また、図6(a)はフィラメントの放射制御層12が形成されている領域の放射率スペクトル(放射率の波長依存性)である。フィラメント10の反射率は3.5μmよりも長波長側ではほとんど100%であるが、これより短波長側では急激に変化し1〜2μmでは10%程度まで低下する。このため、図6(a)のように、このフィラメントの放射制御層12が形成されている領域においては可視光及び近赤外光の放射率が高くなり、可視光および近赤外光の放射強度も強くなる。
これに対して、放射制御層12が形成されていない内周11a側の基材11の放射率スペクトルは図6(b)のとおりであり、可視光及び近赤外光の放射率は、放射制御層12が配置されている外周側よりも低い。これより、内周11a側からの無駄な可視光及び近赤外光の放射を抑制することができるため、電力を効率良く可視光及び近赤外光に変換して外周側から放射することができるフィラメントを得ることができる。
(実施形態2)
実施形態2のフィラメントは、図7(a)のように、W基材11の上に、放射制御層12として、厚さ約65nmのCrOとCrからなるサーメット膜と、その上に形成された厚さ約45nmのCr膜の積層膜を備えている。放射制御層12の上には、さらに反射防止層15として、厚さ約75nmAl膜が配置されている。
このフィラメント10の放射制御層12および反射防止層15が備えられた領域の反射率スペクトルは、図7(b)に示す通りである。フィラメント10の放射制御層12および反射防止層15が設けられた領域の反射率は、3.5μm付近で急激に変化しており、3.5μmよりも短波長側の反射率は20%以下であるのに対し、3.5μmよりも長波長側の反射率は、100%に近い。このため、本フィラメント10の放射制御層12および反射防止層15が形成れている領域では、3.5μmよりも長波長の光はほとんど放射されず、可視光および近赤外光が放射制御層12から放射される。放射制御層12が形成されていない、巻き線構造の内周側の基材11の放射率は、図6(b)と同様であるから、フィラメントの内周側からのエネルギー放射は抑制され、放射制御層12が配置されているフィラメント外周側から可視光および近赤外光が放射される。よって、電力を効率よく可視光および近赤外光に変換して放射することができる。
上述してきた本発明のフィラメントは、一般用照明の他、自動車用照明や加熱用赤外光源(プリンタやコピー機などのトナー定着用光源)として用いることができる。
10…フィラメント、11…基材、12…放射制御層、13…蒸着物、14…蒸着源、15…反射防止層

Claims (15)

  1. 金属材料により構成された線状の基材と、前記基材の表面に配置された、少なくとも所定の波長以下の光の放射率が基材よりも高い放射制御層とを有し、
    前記線状の基材は、所定の形状に巻き回された巻き線構造であり、
    前記放射制御層は、前記巻き線構造の外周側に位置する前記基材の表面にのみ備えられ、前記巻き線構造の内周側に位置する前記基材の表面には配置されていないことを特徴とするフィラメント。
  2. 請求項1に記載のフィラメントにおいて、前記放射制御層は、前記所定の波長以下の光の反射率が前記所定の波長よりも長波長の光に対する反射率よりも低いことを特徴とするフィラメント。
  3. 請求項1または2に記載のフィラメントにおいて、前記所定の波長は、1μm以上5μm以下であることを特徴とするフィラメント。
  4. 請求項3に記載のフィラメントにおいて、前記所定の波長は、3μm以上4μm以下であることを特徴とするフィラメント。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィラメントにおいて、前記放射制御層は、金属膜、金属の酸化物膜、金属の窒化物膜、金属のホウ化物膜、金属の珪化物膜、金属のフッ化物膜、金属の硫化物膜、および、金属のリン化物膜、のうちいずれかで構成された層を含むことを特徴とするフィラメント。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィラメントにおいて、前記放射制御層は、所定の体積比で金属および/または半導体が分散された誘電体層であることを特徴とするフィラメント。
  7. 請求項6に記載のフィラメントにおいて、前記放射制御層は、サーメット膜であることを特徴とするフィラメント。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のフィラメントにおいて、前記放射制御層の上には反射防止層が配置されていることを特徴とするフィラメント。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のフィラメントにおいて、前記基材は、W、Mo、Ta、Au、Cu、Cr、Ni、Fe、Pt、Zr、Ti、Hf、Re、Os、Th、TaC、HfC、WC、ZrC、ZrN、および、TiNのうちのいずれか、または、いずれかを含有する合金からなることを特徴とするフィラメント。
  10. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィラメントにおいて、前記放射制御層は、前記基材の表面層に形成されたフォトニック結晶構造層であることを特徴とするフィラメント。
  11. 透光性気密容器と、当該透光性気密容器内に配置されたフィラメントと、前記フィラメントに電流を供給するためのリード線とを有する光源装置であって、
    前記フィラメントは、請求項1ないし10のいずれか1項記載のフィラメントであることを特徴とする光源装置。
  12. 線状の基材を予め所定の形状の巻き回したフィラメントの中心軸を、蒸着源に対し、所定の角度で相対的に傾斜させて支持する工程と、
    前記蒸着源を加熱して、前記フィラメントの外周側の表面に前記蒸着源の蒸着物を付着させて放射制御層を成膜する工程とを有することを特徴とするフィラメントの製造方法。
  13. 請求項12に記載のフィラメントの製造方法において、前記所定の角度θは、
    θ=arccos(R/(P−R))
    (ただし、P:フィラメントの巻き回しのピッチ、R:線状の基材の半径)
    を満たすことを特徴とするフィラメントの製造方法。
  14. 請求項12または13に記載のフィラメントの製造方法において、前記フィラメントを前記中心軸を中心に自転させることを特徴とするフィラメントの製造方法。
  15. 請求項12ないし14のいずれか1項に記載のフィラメントの製造方法において、前記フィラメントを前記蒸着源を中心に公転させることを特徴とするフィラメントの製造方法。
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