JP6134125B2 - 逆転写酵素阻害剤およびキット - Google Patents

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Description

本発明は、ニレの花部に由来する成分と生ウルシの由来する成分とオウセイに由来する成分を含むことを特徴とする組成物に関する。
自然界に生育している植物から得られる成分を利用して健康飲料や医薬組成物を開発する研究が従来から活発に行われている。自然界に存在する植物の中でも、動物やヒトが食材として口にしているものは、毒性が低く入手が容易であることから特に活発な研究対象とされている。これまでにも、種々の医薬組成物が開発されるに至っており、その種類は極めて多い。
本発明者が着目したニレやウルシも、自然界に豊富に生育している植物であり、その入手は容易である。しかしながら、ニレについては、これまで医薬品としてほとんど研究の対象とされていなかった。また、ウルシについては、毒性があり皮膚に付着すると皮膚炎を起こすウルシオールを有することが広く知られており、人体に悪い作用があるとの印象が強い。このため、ニレもウルシも他の植物に比べると医薬として利用する試みは少なかった。そのような中で、ニレとウルシを選択して組み合わせた組成物が、高コレステロール症、動脈硬化、肝機能障害、癌の予防または治療に有用であることが見出された(特許文献1および特許文献2参照)。
特開2001−354581号公報(0045〜0053参照) WO2009/63576号公報
従来提供されているニレとウルシを組みあわせた組成物は、好ましい生理活性を示すものであるが、さらに活性が高い組成物を提供することができれば有益である。そこで本発明者らは、ニレとウルシを組み合わせた組成物をさらに改良して一段と生理活性が高い組成物を開発することを目的として鋭意検討を進めた。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の3成分を組みあわせることにより特に優れた生理活性を有する組成物が得られることを見出して、本発明を提供するに至った。
すなわち本発明は、ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物とを含むことを特徴とする組成物を提供する。本発明の組成物はウルシオールを含んでいてもよい。本発明の組成物に用いるニレは、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属するものが好ましく、中でもウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)、グロネフェト(Groenveid)、ベルギカ(Belgica)、クルシウス(Clusius)、コルメラ(Columella)、ドドエンス(Dodoens)およびホメステッド(Homestead)からなる群から選択されるものが好ましく、特にウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)およびグロネフェト(Groenveid)からなる群から選択されるものが好ましい。本発明の組成物は、生ウルシを乾燥した後にアルコール・水混合溶媒で抽出した抽出物を含むものであることが好ましい。また、本発明の組成物を製造する際に用いるアルコール・水混合溶媒のアルコール濃度は50〜80重量%であることが好ましい。
本発明の組成物は、医薬組成物として有用であり、特に細胞増殖抑制剤、抗癌剤、逆転写酵素阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤として有用である。また、本発明は、(1)ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と(2)生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、(3)オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物が、それぞれキットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていることを特徴とする抗癌医薬キットも提供する。
ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物とを含む本発明の組成物は、高い生理活性を示す。また、本発明の組成物は、毒性が低いことから、少量で強い活性を示す医薬品のみならず、食品や飲料としても有用である。
本発明の組成物のD−17細胞に対する用量依存性を示すグラフである。
以下において、本発明の組成物について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の組成物は、ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物とを含むことを特徴とする。
本発明の組成物に使用するニレの種類は特に制限されない。好ましいのは、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属するニレを使用する態様である。ウルムスホランディカは、ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)とウルムスグラブラ(Ulmus glabra)の交雑品種を含むものであり、比較的大型のものが多い。また、小枝表面が平滑であり、翼片の中央に実がつかないのが一般的である。ウルムスホランディカは、欧州において街路樹や公園樹として植えられており、園芸品種もある。
ウルムスホランディカに属する具体的な植物種として、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)、グロネフェト(Groenveid)、ベルギカ(Belgica)、クルシウス(Clusius)、コルメラ(Columella)、ドドエンス(Dodoens)およびホメステッド(Homestead)をはじめとするニレを例示することができる。これらの中でも、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)およびグロネフェト(Groenveid)が特に好ましい。
ウェガタア(Vegeta)は、複数の主枝からなり、非常に頑丈なニレである。若木の主枝は斜めに伸びようとするが、生長するにつれて横に広がって垂れてくるのが一般的である。このため、枝はまとまりがなく勝手な方向に伸びているものが多い。幹には長い裂けめが多く見受けられ、灰色をしている。ウェガタア(Vegeta)の葉は、後述するベルギカ(Belgica)の葉よりも大きく、コメリン(Commelin)の葉より平たい。葉の根元は幅広であり、形状は逆卵型や楕円形など様々である。また、芽は一般に大きくて光沢のある赤茶色をしている。ウェガタア(Vegeta)には、ハンティンドン(Huntingdon)ニレも含まれる。
コメリン(Commelin)は、樹冠が開いた頑丈なニレである。幹はやや螺旋状になりながら比較的まっすぐに伸びているものが多い。ウェガタア(Vegeta)に比べると枝はまばらで細い。枝の色は赤味を帯びた茶色であるのが一般的である。樹冠は下から透けて見えることが多い。また、葉は薄緑色で小さく、葉脈は明るい色を呈しているのが一般的である。葉序はまばらであり、ウェガタア(Vegeta)よりもかなり後に落葉する。葉は楕円形で先端が短くて尖っているものが多い。コメリン(Commelin)は、一般に風に強くて落葉が遅い。
グロネフェト(Groenveid)は、大型で風に強いニレである。樹高は約15〜20mで頂点が複数に分かれており、樹冠が細くて整った形をしているのが一般的である。葉は小さくて非常に密であり、濃緑色をしているが秋には完全に黄色になる。葉の裏面には産毛があり、少し鈍い色をしている。生長が遅いために、花と実が比較的多くつく。このため、本発明で必要な花部を1本のニレから多量に取得することができるという利点がある。
クルシウス(Clusius)は、形が整った樹冠を有しており、風に強い特徴を有するニレである。コルメラ(Columella)は、樹体が小さなニレである。ドドエンス(Dodoens)は、葉が艶のある濃緑色であって、太枝が上に伸びている頑丈なニレである。ホメステッド(Homestead)は、米国において栽培されているニレである。ドドエンス(Dodoens)とホメステッド(Homestead)は、ともにウェガタア(Vegeta)に似ている点が多い。
本発明で使用するウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)の中には、ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)とウルムスグラブラ(Ulmus glabra)の交雑品種が含まれる。
ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)は、樹高が約25〜30mで、幅広で楕円状の樹形をしているのが一般的である。樹齢を重ねるに従って樹肌は荒くなる。小枝は比較的細くて、毛は生えていないものが多い。また、種によっては、生長の早い若枝にコルク層が明瞭に形成されることがある。葉は、逆卵型をしていて、8cm未満の小さいものが多い。左右には12組前後の葉脈がある。
ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)に属するニレの種類は豊富であり、例えば、ダンピエリ(Dampieri)、ホエルショルミエンシス(Hoersholmiensis)、サルニエンシス(Sarniensis)、ウレデイ(Wredei)を例示することができる。
一方、ウルムスグラブラ(Ulmus glabra)は、幅広で丸い樹冠を有する大型のニレである。根はあまり発達しておらず、樹皮は灰色ではじめは平滑であるが後に浅い溝ができる。一般に、厚ぼったい茶色の太枝が密に生えており、冠部分の皮は桃色を呈している。葉は8〜16cmであり、ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)よりも荒いものが多い。葉柄は短く、斜めになった葉脚が全体を覆っているのが一般的である。左右に伸びる葉脈は12〜18組であり、花序は大きめである。また、種子を飛ばすための翼片は逆卵型をしており、実は中央についている。
ウルムスグラブラ(Ulmus glabra)に属するニレの具体例として、カンペルドウニ(Camperdownii)、エキソニエンシス(Exoniensis)、ホリゾンタリス(Horizontalis)を例示することができる。
本発明では、これらの具体例以外のウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属する植物種やニレ種を使用することもできる。
また、本発明では、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属する植物種やその他のニレ種を他の植物種と交配させた植物種も好ましく使用することもできる。交配させる他の植物種は、他のニレ種であってもよいし、ニレ以外の植物種であってもよい。また、交配させる植物種は、1種類のみであってもよいし、複数種であってもよい。さらに、交配させて得た品種をさらに交配させて得た品種であってもよい。このように、本発明の組成物には、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)をはじめとするニレに由来する植物種を利用したものがすべて包含される。
本発明では、これらのニレ種を1種類だけ使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、ニレの花部を利用する。例えば、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に由来する植物種は、冬から初春にかけて莟をつけ、春に花を咲かせる。花芽の大きさは小さくてもよい。このため本発明では、莟の段階から花が散るまでの間に花部を取得して利用するのが好ましい。
ニレの花部は、抽出しやすい状態にして利用することができる。例えば、細片状または粉末状にしたうえで抽出してもよい。
花部を細片状または粉末状にするときには、採取した花部をそのままカッター、細断機、コロイドミルなどを用いて処理してもよいが、いったん乾燥してから細断、粉末化処理を行うのが好ましい。花部の乾燥は、水分含量が10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満になるまで行うのが一般的である。乾燥は、自然乾燥でも機械乾燥でもよい。また、乾燥を行う場合は、花部採取から30分以内に行うのが好ましい。
花部の乾燥温度は特に制限されない。このため、加圧式ドラム加熱装置や電磁波などを用いて急速加熱乾燥してもよい。加圧式ドラム加熱装置を用いる場合は、80〜140℃の範囲内で加熱乾燥するのが好ましい。乾燥時間は、通常2分以内にし、好ましくは1分以内、より好ましくは40〜50秒程度にする。また、電子レンジなどの電磁波を使用する場合には、例えば600Wで20〜50秒程度加熱乾燥することができる。このような条件下で加熱乾燥することによって、花部原料中に含まれている望ましくない酵素の活性を抑制または失活させ、生理活性成分の分解をある程度防ぐことができる。
急速加熱乾燥したものは、そのまま使用してもよいし、さらに低温乾燥させてから使用してもよい。低温乾燥を行う場合には、−5℃〜10℃の範囲内で行うのが好ましい。低温乾燥は、遠赤外線乾燥装置などの熱風乾燥装置、通風乾燥装置、氷温乾燥装置などを単独または組み合わせて用いることによって行うことができる。例えば、遠赤外線乾燥を行った後に氷温乾燥することができる。このような低温乾燥を行えば、生理活性成分の分解を防止することができる。
花部の細断や粉末化は、目的にあった装置や道具を用いて行うことができる。例えば、コロイドミルを用いて50〜100μmの粉末にすることができる。このような細断や粉末化は、乾燥前、高温乾燥後、低温乾燥後のいずれであってもよい。
抽出対象となる花部は、このようにして細片状または粉末状にした花部だけでなく、採取した花部そのもの、高温乾燥したもの、低温乾燥したものなどのいずれであってもよい。抽出効率を上げるために、花部はある程度細片化しておくのが好ましい。
抽出溶媒は、アルコールと水の混合溶媒である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノールなどを例示することができ、メタノール、エタノール、プロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。アルコールはいずれか1種だけを使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。抽出溶媒のアルコール濃度は、50重量%以上であることが好ましく、55重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。また、抽出溶媒のアルコール濃度は、80重量%以下であることが好ましく、75重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましい。
抽出は、常温で行っても還流下で行ってもよい。また、ソックスレー抽出器などの抽出装置を使用してもよい。抽出温度は、例えば40℃以上であることが好ましく、45℃以上であることがより好ましい。また、例えば70℃以下に設定することができる。
抽出した抽出液は、そのまま組成物として使用に供してもよいが、効果を高めるために濃縮して使用するのが好ましい。濃縮の程度は使用環境によって異なる。また、粉末状になるまで溶媒を除去してもよく、粉末にした後にさらに生理食塩水などに溶解して濃度調整を行ってもよい。
本発明の組成物は、生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物も含有する。生ウルシは、ウルシの樹液であり、いわゆる荒味を濾過または遠心分離したものを好ましく用いることができる。濾過または遠心分離を行うことによって、樹皮や固形物を除去することができる。遠心分離を行う際には、あらかじめ綿を加えてから行ってもよい。また、本発明で用いる生ウルシは、水分を蒸発させて濃縮したものであってもよい。水分の蒸発は天日で行ってもよい。また、本発明で用いる生ウルシは、攪拌することによって粒状物の粒径を小さくしたものであっても構わない。本発明では、生ウルシとして販売されているものを使用することも可能である。
本発明で使用する生ウルシを得るための植物は、ウルシ科に属するものの中から選択することができる。特に好ましいのは、ウルシ科ウルシ属に属する植物種の葉部である。例えば、ウルシ(Rhus vernicitlua)、ヤマウルシ(Rhus trichocarpa)、シタウルシ(Rhus ambigna)、ヌルデ(Rhus javanica)、ヤマハゼ(Rhus sylvestris)を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
生ウルシは、乾燥、粉末化、細片化してから、抽出してもよい。乾燥、粉末化、細片化の詳細や、抽出の詳細については、上のニレに関する記載を参照することができる。ウルシオールを含む本発明の組成物は、骨肉腫などの癌に対する作用が高くなるため好ましい。本発明の組成物がウルシオールを含有する場合の含有量は0.01〜5重量%であることが好ましく、1〜4.5重量%であることがより好ましく、2〜4重量%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物は、オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物も含有する。オウセイ(黄精)は、ユリ科アマドコロ属の多年草根茎である(Polygonati rhzoma)。根茎は、乾燥、粉末化、細片化してから、抽出することが好ましい。また、本発明では、市販されている粉末状のオウセイを入手してもよい。オウセイは、アルコール・水混合溶媒で抽出してから用いる。乾燥、粉末化、細片化の詳細や、抽出の詳細については、上のニレに関する記載を参照することができる。
本発明の組成物を製造する際には、ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物を、それぞれ個別に取得してから混合してもよいし、3種を一緒に抽出してもよい。また、いずれか2種を一緒に抽出して、残り1種の抽出物と混合してもよい。好ましいのは、3種を一緒に抽出する場合である。その際は、ニレの花部、生ウルシ、オウセイの各乾燥粉末を混合して、得られた混合粉末に対してアルコール・水混合溶媒で抽出するのが好ましい。
本発明の組成物における各成分の配合割合は、広い範囲で調整することが可能である。上記各3成分は、本発明の組成物の全固形分量のそれぞれ3重量%以上で含まれていることが好ましく、それぞれ6重量%以上で含まれていることがより好ましく、10重量%以上で含まれていることがさらに好ましい。また、生ウルシ100重量部に対して、ニレの花部は10重量部以上であることが好ましく、15重量部以上であることがより好ましく、20重量部以上であることがさらに好ましく、また、200重量部以下であることが好ましく、100重量部以下であることがより好ましく、50重量部以下であることがさらに好ましい。さらに、生ウルシ100重量部に対して、オウセイは5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましく、15重量部以上であることがさらに好ましく、また、100重量部以下であることが好ましく、50重量部以下であることがより好ましく、30重量部以下であることがさらに好ましい。また、ニレの花部100重量部に対して、オウセイは10重量部以上であることが好ましく、30重量部以上であることがより好ましく、60重量部以上であることがさらに好ましく、また、200重量部以下であることが好ましく、150重量部以下であることがより好ましく、100重量部以下であることがさらに好ましい。
本発明の組成物を液剤として用いる場合は、固形分濃度が0.01重量%であることが好ましく、0.1重量%であることがより好ましく、1重量%であることがさらに好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、15重量%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物は生理活性を有することから、医薬組成物や健康飲料として有用である。このため、本発明の組成物の予防または治療有効量を、ヒトを含む哺乳動物に投与することによって疾患を予防または治療するために使用することができる。ここでいう予防とは、疾患の発生・転移・着床の防止を含む概念であり、ここでいう治療とは、例えば抗癌剤であれば癌細胞増殖抑制・癌縮小などの癌進行阻止や、症状改善を含む概念である。
本発明の組成物は細胞増殖抑制剤として用いることができる。このため、本発明の細胞増殖抑制剤の有効量を、生体外に存在する細胞に適用することにより、その細胞の増殖を抑制することができる。また、本発明の細胞増殖抑制剤の有効量を、ヒトを含む哺乳動物に投与することによって細胞増殖を抑制するために使用することができる。
本発明の細胞増殖抑制剤は、ウイルス性癌細胞と非ウイルス性癌細胞のいずれに対しても増殖抑制剤として用いうる。ここでいうウイルス性癌細胞とはウイルスに起因する癌細胞を意味し、非ウイルス性癌細胞とはウイルスに起因するものを除く癌細胞を意味する。非ウイルス性癌細胞は、ウイルス以外の様々な要因により生じるものと考えられており、例えば、発癌性物質の摂取、紫外線照射、細胞をとりまく環境の変化(pH低下、酸素濃度低下など)などが要因となりうる。これらの要因により、例えばDNAのメチル化や酸化、その他の遺伝子変異などが引き起こされ、非ウイルス性癌細胞が生じる。非ウイルス性癌細胞としては、脳腫瘍細胞、スキルス性胃癌細胞、肺癌細胞、皮膚癌細胞、膵臓癌細胞、腎臓癌細胞、大腸癌細胞、肝臓癌細胞、乳癌細胞、子宮頸癌細胞等のうち、ウイルス抗原またはウイルス遺伝子を有しないものが挙げられる。
本発明の細胞増殖抑制剤は、例えばヒト細胞増殖抑制剤として有用であり、癌細胞増殖抑制剤として有用であり、非レトロウイルス性癌細胞増殖抑制剤として有用であり、具体的には子宮頸癌細胞増殖抑制剤、乳癌細胞増殖抑制剤、大腸癌細胞増殖抑制剤などとして有用である。また、本発明の細胞増殖抑制剤は、細胞の異常な増殖を伴う疾患の治療剤として有用であり、例えばヒト細胞の異常な増殖を伴う疾患の治療剤として有用であり、癌細胞の異常な増殖を伴う疾患の治療剤として有用であり、非レトロウイルス性癌細胞の異常な増殖を伴う疾患の治療剤として有用であり、具体的には子宮頸癌細胞、乳癌細胞、大腸癌細胞の異常な増殖を伴う疾患の治療剤として有用である。
本発明の組成物は、特に抗癌剤として用いることができる。本発明の組成物の適用対象となる癌として、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、尿管腫瘍、肺癌、胆嚢癌、胆管癌、胆道癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌、睾丸腫瘍、上顎癌、舌癌、口唇癌、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、甲状腺癌、脳腫瘍、カポジ肉腫、血管腫、白血病、真性多血症、神経芽細胞腫、網膜芽腫、骨髄腫、膀胱腫、肉腫、骨肉腫、筋肉腫、皮膚癌、基底細胞癌、皮膚付属器癌、皮膚転移癌、皮膚黒色腫、間葉系腫瘍および軟部肉種などを具体例として挙げることができるが、本発明の組成物の適用対象はこれらに限定されるものではない。特に、悪性肉腫、悪性腺腫、血管肉腫、非ホジピンリンパ腫、間葉系腫瘍および軟部肉種に対して有用である。なかでもウルシオールを含む本発明の組成物は抗癌剤としての有用性が高い。
本発明の組成物は、特に逆転写酵素阻害剤として用いることができる。本発明の逆転写酵素阻害剤は、HIVなどのレトロウィルスが関与する疾患の治療や予防に有効に用いることができる。また、本発明の逆転写酵素阻害剤は、レトロウィルス感染後の発病を抑制または遅延するための医薬として用いることもできる。
本発明の組成物は、特にα−グルコシダーゼ阻害剤として用いることができる。α−グルコシダーゼは、二糖類を単糖類へ分解する酵素であり、分解された単糖類は小腸壁から吸収されて血糖値が上昇する。このため、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を服用すれば、食後の血糖値の上昇を抑えて、適正な範囲を維持することができる。このため、本発明の組成物は、糖尿病治療・予防剤としても用いることが可能である。
本発明の組成物は、その使用目的に応じて様々な形態で使用することができる。
たとえば、本発明の組成物を医薬品として使用する場合には、その投与経路によって様々な剤型を選択することができる。本発明の組成物は、経口的または非経口的に投与することができる。例えば、直腸投与、鼻内投与、頬側投与、舌下投与、膣内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与を行なうことが可能である。中でも、本発明の組成物は、経口投与、皮下投与または経皮投与するのが好ましく、経口投与することが特に好ましい。
経口投与に適した製剤として、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤などを挙げることができ、非経口投与に適した製剤として、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤などを挙げることができる。注射剤は、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、点滴などのいずれに用いるものであってもよい。本発明の組成物は、特に経口用製剤、注射剤、貼付剤のいずれかであるのが好ましい。
本発明の組成物には、必要に応じて薬理学的および製剤学的に許容しうる添加物を添加することができる。例えば、賦形剤、崩壊剤または崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤または溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤、湿潤剤などを使用することができる。また、他の生理活性成分(例えば、ボタン皮、オウセイ、ニンジン、レイシ、クコなど)を添加してもよい。これらの添加剤を適宜組み合わせて使用することによって、本発明の組成物にさまざまな付加的機能を持たせることができる。
上記賦形剤としては、デンプン、コーンスターチ、白糖、乳糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、無機塩類等が具体例として挙げられる。
上記崩壊剤または崩壊補助剤としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガント、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウムが具体例として挙げられる。
上記結合剤としては、寒天、ゼラチン、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが具体例として挙げられる。
上記滑沢剤としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ロウ類、水素添加油、ポリエチレングリコールが具体例として挙げられる。
上記界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、大豆レシチン、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが具体例として挙げられる。
また、本発明の組成物は、必要に応じて活性成分が徐放されるように設計することができる。また、体内の必要な個所において活性成分が集中的に放出されるように設計することもできる。このような徐放性製剤やドラッグデリバリーシステムは、製剤業界において周知の方法にしたがって設計のうえ製造することができる。
また、本発明の組成物には、有機物または無機物の担体を使用することができる。そのような担体として、乳糖、でんぷん、植物性および動物性脂肪や油脂を例示することができる。本発明の組成物には、ニレの花部とウルシの葉部に由来する活性物質を0.01〜100重量%の範囲内で使用することができる。
本発明の組成物を投与する際には、(1)ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、(2)生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、(3)オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物を必ずしも同時に投与しなくてもよい。例えば、3種を順次投与してもよいし、いずれか2種を先に同時投与してから残りを投与してもよいし、その逆でもよい。好ましいのは同時に投与する場合である。また、本発明の組成物は、(1)ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、(2)生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、(3)オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物が別個の容器に入れられており、使用時に組みあわせるタイプのものであっても構わない。このため、本発明には、(1)ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、(2)生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、(3)オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物が、キットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていることを特徴とする抗癌医薬キットが含まれる。
成分(1)と成分(2)と成分(3)は、本発明の医薬キットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていればよい。例えば、成分(1)を含む組成物と成分(2)を含む組成物と成分(3)を含む組成物がそれぞれ存在するキットであってもよいし、成分(1)と成分(2)と成分(3)の存在比が異なる複数の組成物からなるキットであってもよい。使用する際には、これらの組成物をそのまま投与してもよいし、適宜組み合わせて投与してもよい。
投与対象は、犬などのヒト以外の哺乳類やヒトとすることができる。本発明の組成物の投与量は、治療または予防の目的、患者の性別、体重、年齢、疾患の種類や程度、剤型、投与経路、投与回数などの種々の条件に応じて適宜決定する。例えば、経口投与する場合には、0.1μg〜100mg(活性成分乾燥重量)/kg体重/日で、一日一回から数回に分けて投与することができるが、投与量はこの範囲に限定されるものではない。
本発明の組成物は、必ずしも医薬品の形態をとる必要はない。例えば、本発明の組成物は各種食品や飲料に含ませることによって、機能性食品や機能性飲料としても安全かつ有効に使用することができる。特に、抗癌作用を有する旨を表示した食品や飲料として有効に使用することができる。
具体的には、紅茶、清涼飲料水、ジュース、あめ、澱粉質食品、各種加工食品等に使用することができるが、使用形態はこれらの具体例に限定されるものではない。(1)ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、(2)生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、(3)オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物の合計添加量(固形分)は、0.01〜99重量%の範囲内に設定することができる。また、必要に応じて、ゲル化剤などを添加して食感を改良してもよい。
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す成分、割合、操作順序等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例に示す具体例に制限されるものではない。
(実施例1)
本実施例において、本発明の組成物の具体例を例示する。
ウルムスホランディカ(ulmus hollandica)に属するウェガタア(Vegeta)、コメリン(commelin)およびグロネフェト(Groenveid)の花の莟を、オランダ国アムステルダム市内にて3月に採取した。採取した莟をそれぞれミキサーを用いて粉砕し、110〜120℃にて水分量1〜5%になるまで乾燥した。得られた乾燥粉末に脱酸素剤を入れて密封し、常温で保存した。
ウルシの樹液を中国にて採取し、濾過することにより生ウルシを得た。水分量が1〜5%になるまで乾燥して得られた乾燥粉末に脱酸素剤を入れて密封し、常温で保存した。
各乾燥粉末をそれぞれ1週間保存した後、ニレの乾燥粉末30gと生ウルシの乾燥粉末120gとオウセイの乾燥粉末25gをフラスコ内に入れ、さらに60%エタノール・40%水混合溶媒1500mlを入れた。ソックスレー抽出器により50℃±18℃で14時間抽出し、濃縮することにより固体状の組成物を得た。
(実施例2)
実施例1と同じ方法により得た各乾燥粉末を用いて、別の本発明の組成物を製造した。
フラスコ内にニレの乾燥粉末30gと生ウルシの乾燥粉末125gとオウセイの乾燥粉末25gを入れ、さらに70%エタノール・30%水混合溶媒1500mlを入れた。フラスコに冷却管を取り付けて120〜190℃に設定したマントルヒーターを用いて14時間加熱することにより直抽出した。その後、室温まで冷却して吸引ろ過することにより固体状の組成物を得た。
(実施例3)
実施例1および実施例2で得られた各固体状の組成物をデンプンと以下の表に示す量で混合することによって粉剤を製造した。
Figure 0006134125
(実施例3)
実施例2で製造した粉剤を、ゼラチンカプセルに充填することによってカプセル剤を製造した。
(実施例4)
実施例1および実施例2で得られた各固体状の組成物を塩化ナトリウムとともに蒸留水に溶解した。乾燥粉末、塩化ナトリウムおよび蒸留水は、それぞれ以下の表に示す量で混合した。得られた水溶液を濾過することによって注射剤を製造した。
Figure 0006134125
(実施例5)
実施例1および実施例2で得られた各で得られた固体状の組成物を以下の成分と以下の表に示す割合で混合した。これによって、機能性飲料を製造した。
Figure 0006134125
(比較例1)
実施例1で得られた生ウルシの乾燥粉末そのものを用いて、実施例1と同様に60%エタノール・40%水混合溶媒1500mlを添加して50℃±18℃で抽出し、濃縮することにより比較例1の固体状の組成物を得た。
(比較例2)
実施例1で得られた生ウルシの乾燥粉末120gとニレの乾燥粉末30gを混合した混合物を用いて、実施例1と同様に60%エタノール・40%水混合溶媒1500mlを添加して50℃±18℃で抽出し、濃縮することにより比較例2の固体状の組成物を得た。
(比較例3)
実施例1で得られた生ウルシの乾燥粉末120gとオウセイの乾燥粉末25gを混合した混合物を用いて、実施例1と同様に60%エタノール・40%水混合溶媒1500mlを添加して50℃±18℃で抽出し、濃縮することにより比較例3の固体状の組成物を得た。
(比較例4)
ウルシ若葉を石川県にて3月に採取し、ミキサーを用いて粉砕した後、110〜120℃にて水分量が1〜5%になるまで乾燥した。得られた乾燥粉末に脱酸素剤を入れて密封し、常温で保存した。
上記のウルシ若葉由来の乾燥粉末と実施例1のニレ由来の乾燥粉末をそれぞれ1週間保存した後、ニレの乾燥粉末7.5gとウルシの乾燥粉末7.5gを混合した。混合粉末に70%エタノール・30%水混合溶媒100mlを添加して5時間撹拌し、濃縮することにより比較例4の個体状の組成物を得た。
実施例1と比較例1〜4の組成物には、いずれもウルシオールが含まれていないことがHPLC分析により確認された。一方、実施例2の組成物にはウルシオールが4.5重量%含まれていることが確認された。実施例1〜2と比較例1〜4の組成物は、いずれも60%エタノール・40%水混合溶媒に溶解し、不溶物は認められなかった。
(試験例1)
本試験例において、実施例1〜2および比較例1〜4の各組成物を用いてHeLa細胞増殖抑制作用を調べた。
10%牛胎仔血清を含むEagle’s MEM培地(0.1mM非必須アミノ酸添加)を用いて約1×10細胞/ウェル濃度のHeLa細胞懸濁液を調製し、96穴マルチウェルプレート(内径6mm)内に100μlずつ注入した。各組成物を60%エタノール・40%水混合溶媒に溶解した液剤を10μl添加して、37℃に維持したCOインキュベーター(5%CO)内にて2日間培養した。また、上記液剤を滴下せずに、同じ条件で2日間培養した試料も用意した(標準試料)。2日間培養後の各試料の位相差顕微鏡写真を撮影したところ、実施例と比較例の試料は細胞の増殖が阻害されており、標準試料は細胞の増殖が阻害されていないことが確認された。
また、上記の2日間培養後に培地をフェノールレッド不含培地に交換し、生細胞と反応して黄色に呈色する試薬を10μlずつ加えて、COインキュベーター(5%CO)内にておいて37℃で約3時間培養した。ここで用いた試薬は、WST−1[(株)同仁化学研究所製]0.65mgと1−メトキシPMS[(株)同仁化学研究所製]0.07mgを1mlのPBSに溶解することにより調製した。3時間培養後の呈色状況を観察したところ、実施例と比較例の試料は黄色に呈色しておらず、標準試料は黄色に呈色していることが確認された。この呈色状況は、450nmの吸光度を測定することにより数値化することができる。
上記試験手順において、上記液剤を10μl添加した後に倍々希釈した試料をそれぞれ調製し、後の手順は同様にして呈色試験を行ってIC50値を得た。結果を表4に示す。
(試験例2)
本試験例において、実施例1〜2および比較例1〜4の各組成物を用いてMCF−7細胞増殖抑制作用を調べた。
10%牛胎仔血清を含むEagle’s MEM培地(0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、10μg/mLインスリン添加)を用いて約1×10細胞/ウェル濃度のMCF−7細胞懸濁液を調製し、96穴マルチウェルプレート(内径6mm)内に100μlずつ注入した。各組成物を60%エタノール・40%水混合溶媒に溶解した液剤を10μl添加して、37℃に維持したCOインキュベーター(5%CO)内にて2日間培養した。また、上記液剤を滴下せずに、同じ条件で2日間培養した試料も用意した(標準試料)。2日間培養後の各試料の位相差顕微鏡写真を撮影したところ、実施例と比較例の試料は細胞の増殖が阻害されており、標準試料は細胞の増殖が阻害されていないことが確認された。
また、上記の2日間培養後に試験例1と同様にして呈色試験を行った。その結果、実施例と比較例の試料は黄色に呈色しておらず、標準試料は黄色に呈色していることが確認された。
さらに、試験例1と同様にして得られたIC50値を表4に示す。
(試験例3)
本試験例において、実施例1〜2および比較例1〜4の各組成物を用いてDLD−1細胞増殖抑制作用を調べた。
10%牛胎仔血清を含むRPMI1640培地を用いて約1×10細胞/ウェル濃度のDLD−1細胞懸濁液を調製し、96穴マルチウェルプレート(内径6mm)内に100μlずつ注入した。各組成物を60%エタノール・40%水混合溶媒に溶解した液剤を10μl添加して、37℃に維持したCOインキュベーター(5%CO)内にて2日間培養した。また、上記液剤を滴下せずに、同じ条件で2日間培養した試料も用意した(標準試料)。2日間培養後の各試料の位相差顕微鏡写真を撮影したところ、実施例と比較例の試料は細胞の増殖が阻害されており、標準試料は細胞の増殖が阻害されていないことが確認された。
また、上記の2日間培養後に試験例1と同様にして呈色試験を行った。その結果、実施例と比較例の試料は黄色に呈色しておらず、標準試料は黄色に呈色していることが確認された。
さらに、試験例1と同様にして得られたIC50値を表4に示す。
(試験例4)
本試験例において、実施例1〜2および比較例1〜4の各組成物を用いてイヌ骨肉腫の細胞株であるD−17細胞の増殖抑制作用を調べた。
10%牛胎仔血清を含む培地を用いて約1×10細胞/ウェル濃度のD−17細胞懸濁液を調製し、96穴マルチウェルプレート(内径6mm)内に100μlずつ注入した。各組成物を60%エタノール・40%水混合溶媒に溶解した液剤を10μl添加して、37℃に維持したCOインキュベーター(5%CO)内にて2日間培養した。また、上記液剤を滴下せずに、同じ条件で2日間培養した試料も用意した(標準試料)。2日間培養後の各試料の位相差顕微鏡写真を撮影したところ、実施例と比較例の試料は細胞の増殖が阻害されており、標準試料は細胞の増殖が阻害されていないことが確認された。
また、上記の2日間培養後に試験例1と同様にして呈色試験を行った。その結果、実施例と比較例の試料は黄色に呈色しておらず、標準試料は黄色に呈色していることが確認された。
さらに、試験例1と同様にして得られたIC50値を表4に示す。また、実施例2の組成物のD−17細胞に対する用量依存性を示すグラフを図1に示す。
(試験例5)
本試験例において、実施例1〜2および比較例1〜4の各組成物を用いて逆転写酵素阻害作用を調べた。
各組成物を60%エタノール・40%水混合溶媒に溶解した液剤30μlに、反応用混合液10μl(0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH8.0、0.01MDTT、0.1M塩化カリウム、0.006M塩化マグネシウム、2μg/mlPoly(A)p(dT)15、0.37μM3H−dTTP、10μMdTTP、グリセロール/水=25/16)、0.001U/mlのHIV−1逆転写酵素液10μl、緩衝液(50mMトリス−塩酸pH8.0、10mMDTT、200mM塩化カリウム、50v/v%グリセロール)10μlを添加して全量を50μlとした。攪拌して遠心分離した後、37℃で30分間インキュベートした。その後、氷冷しながらEDTA20μlを添加し、攪拌して遠心分離した。反応液50μlをイオン交換セルロースフィルターにスポットし、乾燥後に5%リン酸水素二ナトリウム(8回)、水(2回)、エタノール(2回)、ジエチルエーテル(2回)で洗浄した。イオン交換セルロースフィルターをシンチレーターに入れて、液体シンチレーションカウンターによって測定した。
反応液における試料濃度を変化させて、阻害率が50%のときの濃度をIC50とした。結果を表4に示す。
(試験例6)
同様にして、実施例1〜2および比較例1〜4の各組成物を用いてα−グルコシダーゼ阻害作用を調べた。用いたα−グルコシダーゼは、マルターゼ活性とスクラーゼ活性を有する。IC50値を表4に示す。
Figure 0006134125

Claims (8)

  1. ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物とを含む逆転写酵素阻害剤
  2. ウルシオールを含むことを特徴とする請求項1に記載の逆転写酵素阻害剤
  3. ニレがウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属することを特徴とする請求項1または2に記載の逆転写酵素阻害剤
  4. ニレが、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)、グロネフェト(Groenveid)、ベルギカ(Belgica)、クルシウス(Clusius)、コルメラ(Columella)、ドドエンス(Dodoens)およびホメステッド(Homestead)からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の逆転写酵素阻害剤
  5. ニレが、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)およびグロネフェト(Groenveid)からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の逆転写酵素阻害剤
  6. 生ウルシを乾燥した後にアルコール・水混合溶媒で抽出した抽出物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の逆転写酵素阻害剤
  7. アルコール・水混合溶媒のアルコール濃度が50〜80重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の逆転写酵素阻害剤
  8. (1)ニレの花部のアルコール・水混合溶媒抽出物と、(2)生ウルシのアルコール・水混合溶媒抽出物と、(3)オウセイのアルコール・水混合溶媒抽出物が、それぞれキットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていることを特徴とする逆転写酵素阻害キット。
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