以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の布類捌き装置の上記実施態様に対応する一実施例の構成を透視して示す側面図、図2(a),(b)および(c)は、上記実施例の布類捌き装置における布類摘み上げ機構の動作を順次に示す正面図、図3(a),(b)および(c)は、上記実施例の布類捌き装置の動作を順次に示す説明図、そして図4(a),(b)および(c)は、上記実施例の布類捌き装置のさらなる動作を順次に示す説明図であり、図中符号1は筐体、2は漏斗状のホッパ、3,4および5は落下する布類を案内するガイド板をそれぞれ示す。
この実施例の布類捌き装置も、布類洗濯工場等において、洗濯された布類をアイロンローラに投入するために仕上げ投入機等に一枚ずつ供給する際に用いられ、互いに絡まりあった複数枚の布類からなる布類塊を解きほぐすもので、ここにおける筐体1は、図1では上下および左右方向へ延在する概略直方体の枠状をなすフレーム1aと、そのフレーム1aの図では左端に結合された同様のフレーム1cと、それらフレーム1a,1cの図1では前後方向の側部をそれぞれ全体的に塞ぐ側板1bとを有しており、ホッパ2は、その筐体1の上端部に配置されてフレーム1a,1cに固設されている。
ガイド板3は、その筐体1の上部の、ホッパ2の図1では左端部の下方で、フレーム1cの開口部を塞ぐとともに、鉛直に延在するようにフレーム1cおよび側板1bに固設され、ガイド板4は、そのガイド板3の下方で、下方へ行くにつれて中央へ寄るように傾斜してフレーム1cおよび側板1bに固設され、そしてガイド板5は、その筐体1の上部から下部にかけて、図1では右端部でフレーム1aの開口部を塞ぐとともに、下方へ行くにつれて中央へ寄るように傾斜してフレーム1aおよび側板1bに固設されている。
ホッパ2の上方には、図3(a)に示すように、図示しない搬送システムにより搬送バッグBが搬送されて停止され、この搬送バッグB内には、連続洗濯機で洗濯されて脱水機で脱水され、乾燥機で半乾燥状態まで乾燥されたシーツ等の布類が多数枚、例えば80枚程度、互いに絡み合って塊状に収納されており、搬送バッグBの下端部は、通常は紐で絞られて閉じていて、作業者等の操作でその紐が緩められると開放し、搬送バッグB内の塊状の布類Fを図示の如くホッパ2内に落下させる。
筐体1内の上部には、主ほぐし用コンベヤ6と予備ほぐし用コンベヤ7との2台のベルトコンベヤが配設されており、主ほぐし用コンベヤ6は、その左端部がホッパ2の下方に位置するとともに、その右端部が左端部より高く位置して、筐体1内の中央部で傾斜して延在し、図3(a)に示すように、布類塊Fをその左端部に掛かるようにホッパ2から投入されて、その布類塊Fを右端部へ向けて図1では右方へ持ち上げ搬送し、後述のように布類塊Fをその自重によって崩してほぐす主ほぐしを行う。
一方、予備ほぐし用コンベヤ7は、主ほぐし用コンベヤ6より短尺で、その右端部がホッパ2の下方かつ主ほぐし用コンベヤ6の左端部に隣接してその斜め上方に位置するように、筐体1内の図1では左端部で略水平に延在しており、布類塊Fをその一部が右端部に掛かるようにホッパ2から投入されて、その布類塊Fとの衝突により予備ほぐしを行う予備ほぐし部材として機能するとともに、予備ほぐしの際にその予備ほぐし用コンベヤ7上に乗った布類塊Fの一部を図1では右方へ搬送して主ほぐし用コンベヤ6上へ移す機能も果たす。そして、この予備ほぐし用コンベヤ7の右端部と主ほぐし用コンベヤ6の左端部との間には水平方向に、落下当初の布類塊F全体よりも小さいがある程度の量の布類が通れる隙間Gが開けられている。
筐体1内の下部には、主ほぐし用コンベヤ6の図では右端部から落下する、落下当初の布類塊Fからほぐれた布類Pを図1では左方へ搬送するベルトコンベヤからなる布類搬送用コンベヤ8が、略水平に延在して配設され、また、筐体1内には、図1では左端部が上記隙間Gの下方に位置し、落下当初の布類塊Fからほぐれて隙間Gから落下した布類Pを図1では右方へ搬送して布類搬送用コンベヤ8に供給するベルトコンベヤからなる中間コンベヤ9が、略水平に延在して配設され、また、フレーム1cの左端部には布類Pを図1では左方へ搬送するベルトコンベヤからなる布類搬出用コンベヤ10が、その左端部が右端部より高く位置してフレーム1a外まで突出するように、傾斜して延在しており、この布類搬出用コンベヤ10の搬送方向手前に、布類搬送用コンベヤ8に接続されてその布類搬送用コンベヤ8から受け取った布類Pを図1では左方へ搬送するこれもベルトコンベヤからなるもう一つの布類搬送用コンベヤ14が、略水平に延在して配設され、その布類搬送用コンベヤ14の図1では左端部に、仕切り板15が立設されている。
さらに、この実施例の布類捌き装置では、フレーム1aの上端中央部と、フレーム1cの下部右端部とに、過大な布類塊Fの通過を制限する制限ローラ11が、図1では前後方向へ水平に延在して回転自在に配設されている。また、ここにおける主ほぐし用コンベヤ6は、その左端部をフレーム1aに軸支されて上下方向へ搖動可能とされるとともに、その右端部とフレーム1aとの間に通常のロードセル12を介挿されている。そして、筐体1の図1では右側の下部には、通常のコンピュータを持つ図示しないコントローラを具えた制御盤13が設けられており、そのコントローラは、あらかじめ与えられたプログラムに基づき作動して、主ほぐし用コンベヤ6上の布類塊Fの重さを継続的に示すロードセル12からの信号を入力するとともに、上記各コンベヤ6〜10の図示しない駆動モータの作動を制御するのに加えて、後述する他のコンベヤやクランプ等の作動も制御する。
フレーム1c内にはまた、布類摘み上げ機構16が設けられており、布類摘み上げ機構16は、図2(a)〜(c)に示すように、布類搬送用コンベヤ14の幅方向に並ぶとともに各々下端部の銜え部を例えばエアシリンダで開閉駆動され、布類Pの一部をその銜え部の開閉で把持および解放する複数、例えば図では三個のクランプ17(すなわちクランプ17a,17b,17c)と、それらのクランプ17を斜め上下方向へ昇降移動させるスライド機構18とを具えている。
ここで、スライド機構18は、図2(a)〜(c)では左右方向へ延在して三個のクランプ17を支持するとともに左右端部にそれぞれスライダを有する移動部材としての支持板18aと、図2(a)〜(c)では布類搬送用コンベヤ14を間に挟んで左右方向へ並んで互いに平行に位置して、図1に示すように斜め上下方向へ延在する二本のガイドレール18bとを具え、支持板18aの左右端部のスライダはローラで昇降移動可能にガイドレール18bと嵌合し、ガイドレール18bはそのスライダを介して支持板18aの斜め上下方向への昇降移動を案内する。スライド機構18はまた、その支持板18aの斜め上下方向への昇降移動を駆動するモータ18cと、モータ18cの駆動力をその支持板18aに伝達する例えばベルト式の伝動機構18dと、を有しており、これにより、図2(a)に示す待機状態から、三個のクランプ17を支持する支持板18aをスライド機構18で斜め下方へ下降移動させて、図2(b)に示すように、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部を三個のクランプ17の何れかで把持し、それらのクランプ17を支持する支持板18aをスライド機構18で斜め上方へ上昇移動させることで、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pを垂れた状態で斜め上方へ摘み上げることができる。
またここで、上記複数すなわち図では三個のクランプ17(すなわちクランプ17a,17b,17c)は各々、支持板18aに設けられたさらなるガイドレール17dおよびそこに嵌合するスライダを介して昇降移動可能に支持板18aに支持されるとともに、自重より僅かに弱い附勢力の例えばガススプリング17eによって上向きに附勢されており、これにより、図2(a),(c)に示すように支持板18aが上昇している際は、支持板18aに対し相対的にガイドレール17dに沿ったスライダの下降移動限位置にそれぞれ位置しているが、図2(b)に示すように支持板18aが下降して布類搬送用コンベヤ14上の布類Pに当該クランプ17の銜え部が当接した状態でさらに支持板18aが下降すると、当該クランプ17の下方の布類Pの山の高さに応じて支持板18aに対し相対的に上昇移動する。従って、複数のクランプ17の下方の布類Pの高さに差があっても、複数のクランプ17は各々一定の力で布類Pの一部に当接し、その銜え部の開閉でその布類Pの一部を把持および解放することができる。なお、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pにクランプ17の銜え部が当接したことは、例えば下降移動時のスライド機構18のモータ18cの負荷の増大や、支持板18aに対する各クランプ17の移動を検出するリミットスイッチの作動等から検知することができる。
フレーム1c内にはさらに、それぞれベルトコンベヤである圧迫コンベヤ19,20が設けられており、ここで、下側の圧迫コンベヤ19は、三本のローラに掛けられたコンベヤベルト19aが図1では右端部である入口側端部から出口側端部へ向けてやや下るように傾斜する一方、上側の圧迫コンベヤ20は、三本のローラに掛けられたコンベヤベルト20aが図1では右端部である入口側端部から出口側端部へ向けて大きく下るように傾斜し、これにより、垂れた状態で摘み上げられた布類Pの中間部に対向して入口側端部が位置するとともに、その入口側端部から出口側端部に向かって互いの間隔が狭まっている。また、上側の圧迫コンベヤ20の一番下のローラは斜め上下方向に揺動可能に支持されるとともに例えばエアシリンダ20bで下向きに附勢され、これにより圧迫コンベヤ19,20は、それらの間に押し込まれた布類Pをその量の多少にかかわらず所定の押圧力で挟圧しつつ出口側端部へ送り出すことができる。なお、下側の圧迫コンベヤ19の一番下のローラと上側の圧迫コンベヤ20の一番前のローラとは各々、移動可能に支持されるとともにテンショナスプリング19b,20cで引っ張られて、コンベヤベルト19a,20aに所定の張力を与える。
フレーム1c内にはさらに、布類押し込み機構21が設けられており、この布類押し込み機構21は、図1では前後方向へ水平に延在する回転自在な押し込みローラ21aを、上方の支持軸21b周りに揺動可能な支持腕21cで支持するとともに例えばエアシリンダ21dにより押し引きし、二本のガイドレール18bの間を通して支持軸21b周りに揺動させて、布類Pの垂れた状態の中間部を圧迫コンベヤ19,20の入口に押し込むことができる。
そして圧迫コンベヤ19,20の入口と仕切り板15の上端部との間には、布類後端部引き上げ機構22が設けられており、この布類後端部引き上げ機構22は、図1では前後方向へ水平に延在する引き上げローラ22aを図示しないモータにより図1では反時計回りに回転させることで、布類摘み上げ機構16により垂れた状態で摘み上げられた布類Pのその引き上げローラ22a上に乗った後端部を引き上げてその引き上げローラ22aの図1では左側へ落下させ、布類摘み上げ機構16から離間させることができる。また、布類搬送用コンベヤ14の両側部には、図2に示すように側板14aが設けられ、支持板18aの両側部は、それらの側板14aに形成されたスリットを通って側板14aの外側に突出し、その突出部分に上記スライダを有しており、それらの側板14aの一方の外側にはその側板14aに設けられた開口部を介して布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの存在を検出する光センサ23が設けられている。
この実施例の布類捌き装置にあっては、図3(a)に示すように、搬送バッグBからホッパ2を通って布類塊Fが落下投入されると、先ず、布類塊Fの一部が予備ほぐし用コンベヤ7の右端部に掛かり、その後、制御盤13のコントローラが行う制御に基づき、予備ほぐし用コンベヤ7が、その布類塊Fとの衝突により予備ほぐしを行うとともに、その予備ほぐし用コンベヤ7上に乗った布類塊Fの一部を同図では右方へゆっくりと搬送して主ほぐし用コンベヤ6上へ移す。また、布類塊Fの一部が予備ほぐし用コンベヤ7の右端部に掛かった直後に、布類塊Fの大部分が主ほぐし用コンベヤ6の左端部上に落下し、布類塊Fの残る一部である布類Pが布類塊Fの落下の勢いで隙間Gから中間コンベヤ9上に落下する。
次いでここでは、図3(b)に示すように、主ほぐし用コンベヤ6が、そのコンベヤベルト上の布類塊Fをゆっくりと斜め上方へ持ち上げ搬送し、その搬送の間に、落下当初の布類塊Fは同図中矢印で示す如く自重で左方へ回転しながらほぐれてゆく。そして布類塊Fからほぐれて分離した布類Pは、図2(b)に示すように、主ほぐし用コンベヤ6の右端部から布類搬送用コンベヤ8上に少しずつ落下し、布類搬送用コンベヤ8によって固まらないように均されて搬送され、主ほぐし用コンベヤ6のコンベヤベルト上の布類塊Fが未だ大きすぎる場合は、制限ローラ11がその布類塊Fの上部に係合して通過を制限するとともにほぐれを促す。また、制御盤13のコントローラは、主ほぐし用コンベヤ6上の布類塊Fの重さを継続的に示すロードセル12からの信号に基づき、主ほぐし用コンベヤ6上の布類塊Fの重さが少しずつ減少するように、主ほぐし用コンベヤ6の作動速度を遅らせたり、作動の停止と開始を繰り返したりして布類塊Fの自重によるほぐれの進行を促すようにする。
中間コンベヤ9の右端部付近にも、制御盤13のコントローラに接続された図示しない光センサが配設されており、この光センサからの信号によって中間コンベヤ9上に布類Pがあることを検知すると、コントローラは、図3(c)に示すように、主ほぐし用コンベヤ6のコンベヤベルト上の布類塊Fから布類搬送用コンベヤ8上への布類Pの落下の間のタイミングで、中間コンベヤ9上の布類Pが布類搬送用コンベヤ8上に落下するように、中間コンベヤ9の作動速度を遅らせたり、作動の停止と開始を繰り返したりするように制御する。これにより、布類搬送用コンベヤ8上に均されて落下した布類Pが、布類搬送用コンベヤ14のコンベヤベルト上に略均一に、あるいは10枚程度ずつ纏めて引き渡される。
そしてこの実施例の布類捌き装置にあっては、制御盤13のコントローラが光センサ23からの信号によって布類搬送用コンベヤ14上に布類Pがあることを検知すると、そのコントローラが布類摘み上げ制御手段として行う制御に基づき、布類摘み上げ機構16が、図2(b)に示すようにスライド機構18で支持板18aおよび三個のクランプ17(すなわちクランプ17a,17b,17c)を斜め下方へ下降移動させて三個のクランプ17を布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの三箇所にそれぞれ当接させ、次いで図4(a)に示すように、その布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部(1〜3枚程度)を、三個のクランプ17のうち前回の下降移動時に布類Pを把持したものと異なる一個または、前回の下降移動時に布類Pを把持したものと異なる組み合わせの二個のクランプ17で把持し、次いで支持板18aおよび三個のクランプ17をスライド機構18で斜め上方へ上昇移動させて、図2(c)および図4(a)に示すように、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部を垂れ下がった状態で斜め上方へ摘み上げ、さらに布類押し込み機構21が、図4(b)に示すように、二本のガイドレール18bの間を通して押し込みローラ21aを図では左方へ揺動させて、その押し込みローラ21aで布類Pの、一個または二個のクランプ17から垂れ下がった状態の中間部を圧迫コンベヤ19,20の入口に押し込む。
なお、制御盤13のコントローラは、支持板18aおよび三個のクランプ17の下降移動に伴って、三個のクランプ17のうち前回の下降移動時に布類Pを把持したものと異なる一部すなわち一個または二個のクランプ17の銜え部を開閉させるに際し、ランダムに定めた一個または二個のクランプ17の銜え部を開閉させてもよく、あるいは所定の順に定めた一個または二個のクランプ17の銜え部を開閉させてもよい。
次いでここでは、圧迫コンベヤ19,20が、入口に押し込まれた布類Pを間に挟圧して図4(b)では左方の出口に送り、その際、布類後端部引き上げ機構22が、引き上げローラ22aで布類Pの後端部すなわち下端部を引き上げて布類摘み上げ機構16から離間させ、これにより図4(c)に示すように、その圧迫コンベヤ19,20の出口から布類Pが布類搬出用コンベヤ10上に落下して、その布類搬出用コンベヤ10で搬出される。そしてコントローラは、この布類搬出用コンベヤ10での布類Pの搬出を行う一方で、光センサ23からの信号によって布類搬送用コンベヤ14上に布類Pがあることを検知している限り、スライド機構18で支持板18aおよび三個のクランプ17を斜め下方へ下降移動させて次の布類Pの把持を行わせ、また布類押し込み機構21で押し込みローラ21aを図では右方へ揺動させて元の位置へ復帰させる。
従って、この実施例の布類捌き装置によれば、主ほぐし用コンベヤ6により、互いに絡まりあった複数枚の布類からなる布類塊Fを自動的に解きほぐして略均一に、あるいは10枚程度ずつ、布類搬送用コンベヤ8を経て布類搬送用コンベヤ14で搬送することができるので、布類塊を事前に手作業である程度解きほぐしておくための手間と人手を削減することができ、また、主ほぐし用コンベヤ6の一端部に隣接して位置し、布類塊Fをその一部が掛かるように投入されてその布類塊との衝突により予備ほぐしを行う予備ほぐし用コンベヤ7を具えていることから、予備ほぐし用コンベヤ7との衝突による予備ほぐしの衝撃で布類塊Fがほぐれ易くなるので、その後の主ほぐしを容易かつ確実に行うことができ、その予備ほぐし用コンベヤ7は、主ほぐし用コンベヤ6の一端部へ向けて布類塊Fを搬送するものであることから、予備ほぐしの際に予備ほぐし用コンベヤ7上に乗った布類塊Fを、主ほぐし用コンベヤ6へ移すことができる。
さらに、この実施例の布類捌き装置によれば、主ほぐし用コンベヤ6の右端部の下方に位置し、その主ほぐし用コンベヤ6の右端部から落下する、布類塊Fからほぐれた布類Pを搬送する布類搬送用コンベヤ8と、予備ほぐし用コンベヤ7と主ほぐし用コンベヤ6との間に水平方向に空けられた隙間Gの下方に位置し、布類塊Fからほぐれてその隙間Gから落下した布類Pを布類搬送用コンベヤ8に供給する中間コンベヤ9とを具えていることから、隙間Gから落下した布類Pを中間コンベヤ9でタイミングを取って布類搬送用コンベヤ8に供給することで、主ほぐし用コンベヤ6から布類搬送用コンベヤ8に落下する、布類塊Fからほぐれた布類Pと、隙間Gから落下した布類Pとを、一箇所にかたまらないように均して、布類搬送用コンベヤ8および布類搬送用コンベヤ14で搬送することができる。
そして、この実施例の布類捌き装置によれば、布類摘み上げ機構16が、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部を把持してその布類Pを垂れた状態で斜め上方へ摘み上げ、布類押し込み機構21が、その垂れた状態で摘み上げられた布類Pの中間部に対向して入口が位置するとともにその入口から出口に向かって互いの間隔が狭まる上下一対の圧迫コンベヤ19,20の入口にその布類Pの中間部を押し込み、布類搬出用コンベヤ10が、圧迫コンベヤ19,20の出口から排出されたその布類Pを順次に搬出するので、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pをさらにほぐして1〜3枚程度ずつ、あるいは10枚程度ずつ纏めて布類搬出用コンベヤ10で搬出することができ、しかも布類摘み上げ機構16が布類Pを垂れた状態で斜め上方へ摘み上げるので、圧迫コンベヤ19,20の入口に垂れた布類Pが残っていてもそれに干渉せずに、布類摘み上げ機構16が次の布類Pの摘み上げのために下降することができ、それゆえ摘み上げのタクトタイムを短くすることができる。
さらに、この実施例の布類捌き装置によれば、制御盤13のコントローラが、支持板18aの下降移動に伴って三個のクランプ17のうち前回の下降移動の際と異なる一個または前回の下降移動の際と異なる組み合わせの二個のクランプ17の銜え部を開閉させることから、前回の下降移動の際と異なる一個または二個のクランプ17が布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの前回の摘み上げの際と異なる部分を摘み上げるので、布類搬送用コンベヤ14上の布類P同士の絡まりがひどくても、絡み合いが解きほぐされながら布類Pが摘み上げられて圧迫コンベヤ19,20に引き渡されることになるため、この点からも布類塊Fを事前に手作業である程度解きほぐしておく必要がないので、その解きほぐしの手間と人手を削減することができる。しかも布類Pを絡まり合ったままの大きな塊で摘み上げることがないので、圧迫コンベヤ19,20の過負荷での停止による作業効率の低下も防止することができる。
さらに、この実施例の布類捌き装置によれば、布類後端部引き上げ機構22が、垂れた状態で摘み上げられた布類Pの後端部すなわち下端部を引き上げて布類摘み上げ機構16から離間させるので、圧迫コンベヤ19,20の入口に垂れた布類Pが残っていてもそれとの干渉をより確実に回避して、布類摘み上げ機構16のクランプ17が次の布類Pの摘み上げのために下降することができ、それゆえ摘み上げのタクトタイムをさらに短くすることができる。
図5(a),(b)および(c)は、この発明の布類捌き装置の上記参考態様に対応する一参考例における布類摘み上げ機構の動作を順次に示す正面図であり、図中、先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。この実施例の布類捌き装置は、布類摘み上げ機構16のみが先の実施例と異なっていて、他の部分は先の実施例と同様に構成されているので、ここでは主に布類摘み上げ機構16の説明のみを行い、他の部分の説明は省略する。
すなわち、この参考例の布類捌き装置は、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部を把持してその布類Pを垂れた状態で斜め上方へ摘み上げる布類摘み上げ機構16と、その布類摘み上げ機構16の作動を制御する布類摘み上げ制御手段としての上記制御盤13のコントローラとを具え、その布類摘み上げ機構16が、各々銜え部を開閉させる図5では一個のクランプ17と、そのクランプ17を図5中に矢印で示すように布類搬送用コンベヤ14の幅方向に横移動させるクランプ横移動機構としての例えばロッドレスエアシリンダ24と、上記クランプ17を搭載した移動部材としての支持板18aを斜め上下方向へ昇降移動させるスライド機構18とを有しており、ここで、制御盤13のコントローラは、支持板18aおよびクランプ17の下降移動に伴ってロッドレスエアシリンダ24でクランプ17を前回の下降移動の際と異なる位置へ横移動させ、その横移動させた位置でクランプ17の銜え部を布類搬送用コンベヤ14上の布類Pに当接させて開閉させる。
なお、制御盤13のコントローラは、支持板18aおよびクランプ17の下降移動に伴ってクランプ17を前回の下降移動時に布類Pを把持した位置と異なる位置に位置するように横移動させるに際し、ランダムに定めた位置に横移動させてもよく、あるいは所定の順に定めた位置に横移動させてもよい。また、下降移動した位置でクランプ17が布類Pの把持に失敗したことを、例えばクランプ17の上昇移動時のスライド機構18のモータ18cの負荷の少なさ等から検知した場合には、一旦支持板18aおよびクランプ17をある程度上昇移動させてクランプ17を横移動させてから再度支持板18aおよびクランプ17を下降移動させて銜え部を開閉させるという動作を、布類Pを把持するまで繰返すようにしてもよい。
この参考例の布類捌き装置によれば、先の実施例の装置と同様の作用効果を奏することができ、それに加えて、クランプ17の数が少なくて済むので装置をより安価に構成できるという利点がある。
図6(a),(b)および(c)は、上記実施例の布類捌き装置の一変形例の動作を順次に示す説明図、また図7(a),(b)および(c)は、上記変形例の布類捌き装置のさらなる動作を順次に示す説明図であり、図中、先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。この変形例の布類捌き装置は、布類摘み上げ機構16が先の実施例と異なるとともに、圧迫コンベヤ19,20に代えて受取りコンベヤ25および受取りコンベヤ揺動機構26が設けられていて、他の部分は先の実施例と同様に構成されているので、ここでは主に布類摘み上げ機構16と受取りコンベヤ25および受取りコンベヤ揺動機構26との説明のみを行い、他の部分の説明は省略する。
すなわち、この変形例の布類捌き装置は、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部を把持してその布類Pを垂れた状態で鉛直上方へ摘み上げる布類摘み上げ機構16と、その布類摘み上げ機構16の作動を制御する布類摘み上げ制御手段としての上記制御盤13のコントローラとを具え、その布類摘み上げ機構16が、布類搬送用コンベヤ14の幅方向に並ぶとともに各々銜え部を開閉させる、上記実施例におけると同様の複数、例えば三個のクランプ17と、それらのクランプ17を直接搭載した移動部材としての支持板18aを鉛直方向に延在するガイドレール18bに沿って鉛直上下方向へ昇降移動させるクランプ昇降機構18とを有しており、ここで、制御盤13のコントローラは、支持板18aおよびクランプ17の下降移動に伴って上記複数のクランプ17のうち前回の下降移動の際と異なる一部のクランプ17の銜え部を布類搬送用コンベヤ14上の布類Pへの当接状態で開閉させる。
ベルトコンベヤからなる受取りコンベヤ25は、受取りコンベヤ揺動機構26の、下端部を水平な支持線回りに揺動可能に支持された略逆三角形状の揺動フレーム26aの上辺部に設けられており、二個のローラに掛け渡されたコンベヤベルト25aをモータ25bで駆動して、図7(b)に示すようにコンベヤベルト25a上に乗った布類Pを、同図では左方へ搬送して布類搬出用コンベヤ10上に落下させる。また、受取りコンベヤ揺動機構26は、揺動フレーム26aを例えばエアシリンダ26bにより押し引きして上記支持軸周りに揺動させて、受取りコンベヤ25を、図7に示す、布類Pの垂れた状態の中間部に押し込まれる受取り位置と、図6に示す、昇降移動するクランプ17と干渉しない待機位置との間で進退移動させることができる。
この変形例の布類捌き装置にあっては、図6(a)に示すように、先の実施例におけると同様にして布類搬送用コンベヤ14上に布類Pが搬送されてきて、制御盤13のコントローラが光センサ23からの信号によって布類搬送用コンベヤ14上に布類Pがあることを検知すると、そのコントローラが布類摘み上げ制御手段として行う制御に基づき、受取りコンベヤ揺動機構26が受取りコンベヤ25を待機位置へ後退移動させた状態で、布類摘み上げ機構16が、図6(b)に示すようにスライド機構18で支持板18aおよび三個のクランプ17を鉛直下方へ下降移動させて三個のクランプ17を布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの三箇所にそれぞれ当接させ、次いでその布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部(1〜3枚程度)を、三個のクランプ17のうち前回の下降移動時に布類Pを把持したものと異なる一個または、前回の下降移動時に布類Pを把持したものと異なる組み合わせの二個のクランプ17で把持し、次いで図6(c)に示すように、支持板18aおよび三個のクランプ17をスライド機構18で鉛直上方へ上昇移動させて、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部を垂れ下がった状態で鉛直上方へ摘み上げる。
なお、制御盤13のコントローラは、支持板18aおよび三個のクランプ17の下降移動に伴って、三個のクランプ17のうち前回の下降移動時に布類Pを把持したものと異なる一部すなわち一個または二個のクランプ17の銜え部を開閉させるに際し、ランダムに定めた一個または二個のクランプ17の銜え部を開閉させてもよく、あるいは所定の順に定めた一個または二個のクランプ17の銜え部を開閉させてもよい。
次いでここでは図7(a)に示すように、受取りコンベヤ揺動機構26が受取りコンベヤ25を受取り位置へ前進移動させて、クランプ17から垂れ下がった状態の布類Pの中間部に押し込み、その状態で、図7(b)に示すように、クランプ17が銜え部を開いて布類Pの把持部を解放し、これにより受取りコンベヤ25上に落下した布類Pを受取りコンベヤ25が引き上げて、図7(c)に示すように、布類搬送用コンベヤ14上の布類Pの一部を布類搬出用コンベヤ10上に落下させ、布類搬出用コンベヤ10がこの布類Pを搬出する。そしてコントローラは、この布類搬出用コンベヤ10での布類Pの搬出を行う一方で、光センサ23からの信号によって布類搬送用コンベヤ14上に布類Pがあることを検知している限り、受取りコンベヤ揺動機構26で受取りコンベヤ25を待機位置へ後退移動させてからスライド機構18で支持板18aおよび三個のクランプ17を鉛直下方へ下降移動させて次の布類Pの把持を行わせる。
従って、この変形例の布類捌き装置によっても、先の実施例の装置と同様の作用効果を奏することができる。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば上記実施例では三個のクランプ17を布類搬送用コンベヤ14の幅方向に並べて配置したが、クランプ17の数はこれに限られず適宜増減することができる。また、上記参考例では一個のクランプ17を布類搬送用コンベヤ14の幅方向に横移動させたが、クランプ17の数はこれに限られず、横移動可能な範囲で二個あるいはそれ以上に適宜増加させることができる。
さらに、上記変形例は実施例に適用したが、同様の構成を参考例に適用して、そこにおける布類摘み上げ機構16のスライド機構18を、支持板18aを斜め上下方向へ昇降移動させるものから支持板18aを鉛直上下方向へ移動させるものに変更してもよい。
そして、上記実施例、参考例および変形例では、布類搬送用コンベヤ14への布類Pの供給のために、主ほぐし用コンベヤ6と予備ほぐし用コンベヤ7と布類搬送用コンベヤ8と中間コンベヤ9とを設けているが、これらの何れか1つ以上を省略することもでき、また、各コンベヤを何れもベルトコンベヤで構成したが、それらのコンベヤの何れか1台以上もしくは全てを他の形式のコンベヤで構成してもよい。
さらに、上記実施例、参考例および変形例では、解きほぐした布類Pの搬出に布類搬出用コンベヤ10を設けているが、これに代えて他の搬送手段、例えばケージ付きの台車等を用いてもよく、あるいは仕上げ投入機(あるいは展張機)等の次工程の装置の搬入手段を接続してもよい。さらに、上記実施例では搬送バッグBから布類捌き装置に布類塊Fを投入したが、他の搬送システム例えばベルトコンベヤから布類捌き装置に布類塊Fを投入してもよい。