JP6131886B2 - ゴム状重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム状重合体のラテックスに凝固剤を加え、ゴム状重合体成分を凝固させることにより、ゴム状重合体を製造する方法に関する。
合成ゴムの製造工程においては、たとえば、大型の凝固タンクおよび洗浄タンクで構成される凝固・洗浄装置によりゴム状重合体成分を析出させ、洗浄を行い、次いで、スクイザーにより脱水を行い、その後、バンドドライヤー、気流乾燥機または押出乾燥機などの乾燥装置により乾燥状態のゴム状重合体を得ている。なお、乾燥装置の下流側には、通常ベーラーが接続してあり、乾燥後のゴム状重合体は最終的にはベール状に加工されて製品化されることが多い。
しかしながら、このような工程によりゴム状重合体を製造する場合には、大型の凝固タンクおよび洗浄タンクからなる凝固・洗浄装置を必要としていたため、操作が煩雑であり、操業性が悪く、しかも多大な設置スペースを必要とし、設備コストおよび製造コストを増大させていた。
これに対して、特許文献1では、破砕機能付きポンプを使用して、ゴム状重合体のラテックスと凝固液とを接触させて、ゴム状重合体を凝固させるとともに、凝固させたゴム状重合体を破砕し、適度な粘性を有するクラムを得て、これを乾燥させることで、ゴム状重合体を製造する方法が開示されている。
特開2009−203272号公報
しかしながら、この特許文献1に開示された方法では、ゴム状重合体のラテックスと凝固液とを共に、破砕翼の流れ方向手前の位置に供給するものであり、破砕翼の手前において、ゴム状重合体の凝固が起こってしまう場合がある。特に、このようにして形成される凝固物は、通常、比較的大きく、しかも表面は比較的十分に凝固しているものの、その内部については凝固の進行が不十分である場合が多く、そのため、破砕翼による破砕が困難であり、結果として、破砕機能付きポンプが詰まってしまう場合があった。また、これに対し、たとえば、供給する凝固剤の量を減らす方法も考えられるが、このような方法では、ゴム状重合体の凝固が不十分となってしまうという問題が起こってしまう。
本発明は、破砕機能付きポンプを使用して、ゴム状重合体のラテックスと凝固液とを接触させて、ゴム状重合体を凝固させる際に、破砕機能付きポンプ内における、凝固物の詰まりの発生を有効に防止し、これにより、ゴム状重合体の連続生産性を向上させることができるゴム状重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、破砕機能付きポンプを使用して、ゴム状重合体のラテックスと凝固液とを接触させて、ゴム状重合体を凝固させることによりゴム状重合体を製造する方法において、ゴム状重合体のラテックスを、破砕機能付きポンプの内部に備えられている回転翼に直接当たるような位置から供給することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、ゴム状重合体のラテックスと、凝固剤を含有する凝固液とを、内部に回転翼を有する破砕機能付きのポンプに供給し、前記ラテックスと前記凝固剤とを接触させることにより、ゴム状重合体を凝固させ、クラム状のゴム状重合体を含むクラムスラリーを得る工程を有するゴム状重合体の製造方法であって、前記ラテックスを、前記破砕機能付きのポンプに供給する際に、前記ラテックスを、回転している前記回転翼に直接当たる位置に供給することを特徴とするゴム状重合体の製造方法が提供される。
本発明においては、前記凝固液の単位時間あたりの供給流量R_coaと、前記ラテックスの単位時間あたりの供給流量R_Lxとを、「R_Lx/R_coa」の重量比で、0.01〜3.0とすることが好ましい。
また、本発明においては、前記ゴム状重合体が、カルボキシル基含有水素化ニトリルゴムであることが好ましい。
また、本発明においては、破砕機能付きのポンプが、前記回転翼として、第1翼と、前記第1翼の内周に設けられた第2翼とを備えるものとし、前記ラテックスを、前記破砕機能付きのポンプに供給する際に、前記ラテックスを、回転している前記第1翼に直接当たる位置に供給することが好ましい。
さらに、本発明においては前記破砕機能付きのポンプが、前記第1翼と前記第2翼との間に固定枠を有するものとすることが好ましい。
本発明によれば、ゴム状重合体のラテックスを、破砕機能付きポンプに対して、破砕機能付きポンプの内部に備えられている回転翼に直接当たるような位置から供給することにより、破砕機能付きポンプに導入されたゴム状重合体のラテックスを、回転翼により速やかに分散させることができるため、破砕機能付きポンプ内における、凝固物の詰まりの発生を有効に防止し、これにより、ゴム状重合体の連続生産性を向上させることができる。
図1は本発明の一実施形態に係るゴム状重合体の製造方法に用いる製造装置の概略図である。 図2は本発明の一実施形態に係る破砕機能付きポンプの要部断面図である。 図3は本発明の一実施形態に係るゴム状重合体の製造方法に用いる製造装置の一部を示す概略図である。 図4は従来例に係る破砕機能付きポンプの要部断面図である。
ゴム状重合体のラテックス
まず、本発明で用いるゴム状重合体のラテックスについて説明する。
本発明で用いるゴム状重合体のラテックスを構成するゴム状重合体としては、特に限定されず、ブタジエン重合体やイソプレン重合体などの共役ジエンのみで構成される単独重合体;エチルアクリレート重合体などのアクリレートのみで構成される単独重合体;などの各種単独重合体のラテックスの他、ブタジエン/イソプレン共重合体などの共役ジエンのみで構成される共重合体;アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/イソプレン共重合体、アクリロニトリル/イソプレン共重合体、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/スチレン/イソプレン共重合体などのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、共役ジエン単量体とを共重合することで得られる共重合体;スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体などの芳香族ビニルと共役ジエンとで構成される共重合体;エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体、エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/2−メトキシエチルアクリレート共重合体などのアクリレートのみで構成される共重合体;などの各種共重合体のラテックスが例示される。
これらのなかでも、本発明の製造方法を適用した場合における作用効果がより大きいという点より、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、共役ジエン単量体とを共重合することにより得られる共重合体、すなわち、ニトリルゴムのラテックスが好適であり、これを水素化してなる水素化ニトリルゴムも好適に用いることができる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられ、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体として、これらの複数種を併用してもよい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、全単量体単位100重量%中に、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%、特に好ましくは20〜50重量%の量である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると得られるゴム架橋物の耐油性が低下するおそれがあり、逆に、多すぎると耐寒性が低下する可能性がある。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンなどの炭素数4〜6の共役ジエン単量体が好ましく、1,3−ブタジエンおよびイソプレンがより好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
共役ジエン単量体単位の含有割合は、全単量体単位100重量%中に、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは45〜85重量%、特に好ましくは50〜80重量%の量である。共役ジエン単量体単位の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の弾性が低下するおそれがあり、多すぎると、ゴム架橋物の耐油性、耐熱老化性、耐化学的安定性などが損なわれる可能性がある。
なお、後述するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を共重合させる場合には、共役ジエン単量体単位の含有割合は、全単量体単位100重量%中に、好ましくは40〜89.9重量%、より好ましくは45〜84重量%、特に好ましくは50〜78.5重量%の量である。
また、本発明においては、本発明の製造方法を適用した場合における作用効果がより大きいという点より、ニトリルゴムとして、上述したα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、および共役ジエン単量体に加えて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を共重合させたものを用いることがより好ましい。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を共重合させることで、ニトリルゴムに、フリーのカルボキシル基(金属塩などで置換されていないカルボキシル基)を導入し、カルボキシル基含有ニトリルゴムとすることができ、また、これを水素化してなるカルボキシル基含有水素化ニトリルゴムも好適に用いることができる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、たとえば、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、炭素数3〜11のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルが挙げられる。
炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸またはマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などが挙げられる。
炭素数3〜11のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;などが挙げられる。これらのなかでも、イタコン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチルおよびマレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単位の含有割合は、全単量体単位100重量%中に、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは1.5〜10重量%である。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単位の含有量が、少なすぎると、架橋物とした場合における架橋が不十分となり、引裂強さおよび引張強さが低下する場合がある。一方、多すぎると疲労性が低下する可能性がある。
また、本発明で用いるニトリルゴムは、上述した各単量体と、共重合可能なその他の単量体とをさらに共重合したものであってもよい。このようなその他の単量体としては、エチレン、α−オレフィン単量体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸モノエステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが例示される。これらの他の単量体の単位の含有量は、全単量体単位100重量%中に、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは5重量%以下の量である。
本発明で用いるゴム状重合体のムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は、好ましくは15〜200、より好ましくは30〜100、さらに好ましくは45〜90である。ゴム状重合体のムーニー粘度は、連鎖移動剤の量、重合反応温度、重合開始剤濃度などの条件を適宜選定することにより調整することができる。
本発明で用いるゴム状重合体のラテックスは、たとえば重合タンク等を用いて、上述したニトリルゴムなどを、乳化重合法により、上記した単量体を共重合することにより調製することができる。
また、ゴム状重合体のラテックスについては、必要に応じて、共重合して得られた共重合体のヨウ素価が、好ましくは120以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは50以下となるように、共重合体の水素化(水素添加反応)を行ってもよい。
ゴム状重合体の製造方法
本発明のゴム状重合体の製造方法は、破砕機能付きポンプを使用して、ゴム状重合体のラテックスと凝固液とを接触させて、ゴム状重合体を凝固させることによりゴム状重合体を製造する際において、ゴム状重合体のラテックスを、破砕機能付きポンプに対して、破砕機能付きポンプの内部に備えられている回転翼に直接当たるようにして供給することを特徴とする。
まず、ゴム状重合体のラテックスから、ゴム状重合体を製造する方法について、説明する。図1は本発明の一実施形態に係るゴム状重合体の製造方法に用いる製造装置の概略図、図2は本発明の一実施形態に係る破砕機能付きポンプの要部断面図、図3は本発明の一実施形態に係るゴム状重合体の製造方法に用いる製造装置の一部を示す概略図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るゴム状重合体の製造装置は、破砕機能付きポンプ10と、撹拌装置12と、ロータリースクリーン14と、スクイザー16と、を有する。
破砕機能付きポンプ10は、図2に示すように、ラテックス吸い込み口25と凝固液吸込み口26と吐出口28とを有するポンプケーシング24内に、第1翼32および第2翼34を有する円形の回転体30が、回転自在に装着された構成となっている。回転体30は、回転軸36に接続されたモーター(図示省略)により、第1翼32および第2翼34と共に、回転駆動される。また、第1翼32と第2翼34との間には、第2翼34を覆うように、ステーター(固定枠)38が、配置されている。
第1翼32および第2翼34は、回転体30上に複数設けられており、回転体30と共に回転することにより、ラテックス吸い込み口25からゴム状重合体のラテックスを吸込むとともに、凝固液吸込み口26から凝固液を吸込み、これにより、破砕機能付きポンプ10内で、凝固液とゴム状重合体のラテックスとが接触することでゴム状重合体のクラムを形成させ、そして、形成されたゴム状重合体のクラムを、破砕・分散し、破砕したクラムを、吐出口28より排出させることができる。
第1翼32は、凝固液とゴム状重合体のラテックスとが接触することで形成されるゴム状重合体のクラムの分散を行うための回転翼である。本実施形態においては、ラテックス吸い込み口25から吸込まれたゴム状重合体のラテックスが、ポンプケーシング24内において、凝固液吸込み口26から吸込まれた凝固液と接触することでゴム状重合体のクラムが形成され、このクラムを、第1翼32が分散させる。また、本実施形態においては、図2に示すように、ラテックス吸い込み口25が、ここから吸込まれるゴム状重合体のラテックスが回転する第1翼32に直接当たるような位置に形成されているため、ラテックス吸い込み口25から吸込まれたゴム状重合体のラテックスは、第1翼32の回転により、速やかにポンプケーシング24内に分散するような構成となっている。なお、第1翼32は、ラテックス吸い込み口25から吸込まれたゴム状重合体のラテックスや、凝固により生成したクラムを分散させることができるような構造を有していればよいが、ステーター38とポンプケーシング24との隙間に、クラムの詰まりが発生しないような構造とすることが好ましい。
第2翼34は、第1翼32の内周に配置され、第1翼32により分散されたクラムを破砕するための回転翼である。第2翼34の構造は、特に限定されないが、ステーター38の内周を回転することにより、第1翼32により分散されたクラムを破砕できるような構造を有していればよいが、粉砕されるクラムに与える剪断速度(シェアレート)が、200[1/s]以上となるようにすることが好ましい。なお、剪断速度の上限は、2000[1/s]以下が好ましい。
本実施形態の破砕機能付きポンプ10では、第1翼32および第2翼34により分散および破砕されたクラムは、第1翼32によって、吐出口28から排出させられる。
ステーター38は、第1翼32と第2翼34との間に、第2翼34を覆うように配置されており、ステーター38は、凝固液吸込み口26側には吸込み孔38aを、側面部には通孔38bを有している。吸込み孔38aは、凝固液吸込み口26から吸込まれる凝固液を第2翼34方向へと送るための通り孔である。一方、通孔38bは、第1翼32により分散されたクラムを第1翼32から第2翼34方向へと送り出すための通り孔であり、また、第2翼34により破砕されたクラムを第2翼34から第1翼32方向へと送り出すための通り孔でもある。この通孔38bの大きさを調整することにより、吐出口28から排出されるクラムの大きさを、ある程度制御することができる。通孔38bの形状や、大きさは特に限定されないが、第2翼34により粉砕され、第1翼32方向へ排出されるクラムの最大幅が、3〜20mmとなるように調整することが好ましい。
ラテックス吸い込み口25は、ポンプケーシング24に設けられ、水分散液状態のゴム状重合体のラテックスが送り込まれるラテックス送り手段としてのラテックス輸送配管42が接続されている。上述したように、本実施形態では、ラテックス吸い込み口25は、ポンプケーシング24内に送り出すゴム状重合体のラテックスを、回転している第1翼32に直接当たるような位置に設けられている。
凝固液吸込み口26には、アダプタ40が装着されている。アダプタ40には、凝固剤を含有する凝固液が送り込まれる凝固液送り手段としての凝固液輸送配管44とが形成されている。
凝固液輸送配管44により輸送される凝固液は、凝固剤と水との混合液である。凝固剤としては、特に限定されず、たとえば硫酸、塩酸などの無機酸類;酢酸などの有機酸類;塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウムなどの無機塩類;およびこれらの混合物などが挙げられるが、重合体ラテックスに使用されている乳化剤の種類などにより適宜決定すればよい。これらのなかでも、無機塩類が好ましい。
なお、本実施形態においては、ゴム状重合体のラテックスとしては、固形分濃度が、2〜50重量%のものを用いることが好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。また、凝固液としては、凝固剤の濃度が、1〜30重量%のものを用いることが好ましく、より好ましくは2〜25重量%である。
アダプタ40は、凝固液輸送配管44により送られた凝固液が、第2翼34の内周部分に供給されるように、凝固液吸込み口26内に挿入されている。
本実施形態においては、図2に示すように、ゴム状重合体のラテックスを、ラテックス吸い込み口25から、ラテックス輸送配管42を介して、回転している第1翼32に直接当たるような位置から供給し、また、凝固液を、第1翼32の流れ方向手前に設けられた凝固液吸込み口26から、凝固液輸送配管44を介して、第2翼34の内周部分に供給するものである。そして、これにより、ポンプケーシング24内で、このゴム状重合体のラテックスと凝固液とが、第1翼32の回転領域、あるいは第2翼34の回転領域で接触するような構成とすることでき、これにより、第1翼32の回転領域、あるいは第2翼34の回転領域においてゴム状重合体を凝固させることができる。そして、凝固させたゴム状重合体が、第1翼32および第2翼34により破砕・分散され、輸送されるのに適当な大きさのゴム状重合体のクラムを含むスラリー(クラムスラリー)とし、第1翼32によって吐出口28から排出する。
なお、クラムスラリー中のクラム濃度(固形分濃度)は、1〜40重量%が好ましく、2〜20重量%が特に好ましい。
すなわち、本実施形態では、ゴム状重合体のラテックスを、回転している第1翼32に直接当たるような位置から、ポンプケーシング24内に供給することにより、第1翼32の回転により、ゴム状重合体のラテックスを、速やかにポンプケーシング24内に分散させることができ、これにより、第1翼32の回転領域、あるいは第2翼34の回転領域において、ゴム状重合体を凝固させることができ、これによりゴム状重合体の凝固、および凝固により生成したゴム状重合体のクラムの破砕を適切に行うことができるものである。特に、本実施形態によれば、ラテックス吸い込み口25から供給されるゴム状重合体のラテックスを、回転している第1翼32に当たるような位置から供給することにより、第1翼32の回転により、ゴム状重合体のラテックス、さらには、該ラテックスが凝固することにより生成したクラムを、速やかに分散させることができるため、ポンプケーシング24内における、凝固物の詰まりの発生を有効に防止することができるものである。
一方で、たとえば、従来のように、図4に示すような構成の破砕機能付きポンプ10aを用いて、ゴム状重合体のクラムを形成した場合には、破砕機能付きポンプ10aが、ゴム状重合体の凝固物で詰まってしまう場合があった。すなわち、図4に示す破砕機能付きポンプ10aでは、ラテックス輸送配管42aおよび凝固液輸送配管44が、いずれも、吸込み口27に接続するように設けられている。なお、吸込み口27は、図2に示す破砕機能付きポンプ10の凝固液吸込み口26と同一の形状である。そのため、ラテックス輸送配管42aから供給されるゴム状重合体のラテックスと、凝固液輸送配管44から供給される凝固液とが、吸込み口27近傍にて接触することで、第1翼32の流れ方向手前において、ゴム状重合体の凝固が過度に進行してしまう場合がある。特に、このようにして形成される凝固物は、通常、比較的大きく、しかも表面は比較的十分に凝固しているものの、その内部については凝固の進行が不十分である場合が多く、そのため、第2翼34による破砕が困難であり、結果として、破砕機能付きポンプ10aが詰まってしまう場合があった。
また、このような破砕機能付きポンプ10aにおいては、破砕機能付きポンプ10aの詰まりを防止するために、破砕機能付きポンプ10aに供給する凝固剤の量を減らす方法も考えられるが、この場合には、ゴム状重合体の凝固が不十分になってしまうという問題が起こってしまう。
これに対し、本実施形態によれば、ゴム状重合体のラテックスを、回転している第1翼32に直接当たるような位置から、ポンプケーシング24内に供給することにより、ゴム状重合体のラテックス、さらには、該ラテックスが凝固することにより生成したクラムを、速やかに分散させることができるため、破砕機能付きポンプ10内でクラムが詰まってしまうことを防止することができ、ゴム状重合体の連続生産性を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態においては、ラテックス吸い込み口25から送り込まれるゴム状重合体のラテックスの供給流量をR_Lx[kg/hr]とし、凝固液吸込み口26から送り込まれる凝固液の供給流量をR_coa[kg/hr]とした場合に、「R_Lx/R_coa」の比は、好ましくは0.01〜3.0、より好ましくは0.01〜1.6、さらに好ましくは0.1〜1.5、特に好ましくは0.3〜1.2とする。ゴム状重合体のラテックスおよび凝固液の供給流量を、上記範囲とすることにより、ゴム状重合体の連続生産性がより向上する。すなわち、破砕機能付きポンプ10内において、ラテックスの供給流量と、凝固液の供給流量とを上記範囲でバランスさせることにより、破砕機能付きポンプ10内における流体の流れを良好なものとすることができ、これにより、ラテックスおよび凝固液が、破砕機能付きポンプ10内で良好に拡散することで、大きな凝固物が形成され難くなり、破砕機能付きポンプ10内におけるクラムの詰まりを、より有効に防止することができ、ゴム状重合体の連続生産性がより向上する。
あるいは、ラテックス吸い込み口25から供給するゴム状重合体のラテックスに含有されるゴム状重合体の供給流量[kg/hr]と、凝固液吸込み口26から供給する凝固液に含有される凝固剤の供給流量[kg/hr]とが、「ゴム状重合体の供給流量/凝固剤の供給流量」の比で、好ましくは0.1〜15、より好ましくは0.2〜5.0、さらに好ましくは0.5〜1.0である。「ゴム状重合体の供給流量/凝固剤の供給流量」の比を、上記範囲とすることにより、破砕機能付きポンプ10内におけるクラムの詰まりを、さらに有効に防止することができ、ゴム状重合体の連続生産性がさらに向上する。
また、本実施形態では、ゴム状重合体のラテックスと凝固液とを接触させ、ゴム状重合体を凝固させる際における温度を、好ましくは40℃以上、より好ましくは50〜70℃とする。ゴム状重合体を凝固させる際における温度を、上記範囲に制御することにより、ゴム状重合体の、破砕機能付きポンプ10による凝固をより良好に行うことができ、より良好なクラムを得ることができる。特に、ゴム状重合体のラテックスとして、カルボキシル基含有水素化ニトリルゴムのラテックスなどの、得られるクラムの粘着性が高く、互着しやすいゴムのラテックスを用いる場合には、凝固させる際の温度を上記範囲とすることにより、このような互着の発生をより適切に防止することができる。
なお、ゴム状重合体を凝固させる際の温度を制御する方法としては、特に限定されないが、ゴム状重合体のラテックスと凝固液とを接触させる際における、ゴム状重合体のラテックスおよび凝固液の温度が上記範囲となるように調整すれば良い。凝固させる際の温度を制御する具体的な方法としては、たとえば、実際に凝固が行われる破砕機能付きポンプ10内部の温度を加温手段を用いて調整する方法の他、ゴム状重合体のラテックスおよび凝固液の温度を、予め上記範囲に調整した状態で、破砕機能付きポンプ10に供給する方法などが挙げられる。ゴム状重合体のラテックスおよび凝固液の温度を、予め上記範囲に調整する方法としては、ラテックス輸送配管42および凝固液輸送配管44に供給する前の原料タンクに入れた状態において、これらを加温しておく方法や、ラテックス輸送配管42および凝固液輸送配管44を加温しておき、これらを通過する間に、温度が上記範囲となるように調整する方法などが挙げられる。また、これらの方法は適宜組み合わせても良い。
さらに、本実施形態においては、重合体ラテックスおよび凝固液の他に、必要に応じての希釈水を使用することができ、希釈水としては、後に説明するタンク18からのオーバーフロー水、洗浄工程において回収される洗浄排水を使用することが好ましい。なお、希釈水は、予めゴム状重合体のラテックス、あるいは凝固液と混合された状態で破砕機能付きポンプ10に投入される。また、希釈水を使用する場合においては、ゴム状重合体を凝固させる際の温度が、上記範囲となるように調整すれば良い。
図2、図3に示すように、ポンプ10は、クラムスラリーを上方に排出するための吐出口28を有している。この吐出口28の内径(直径)Dは、50〜200mmであることが好ましい。また、図3に示すように、吐出口28には、スラリー供給配管46が接続されており、吐出口28から排出されるクラムスラリーは、スラリー供給配管46を通って、一度大気中に開放され、スラリー供給配管46と撹拌装置12との接続部に形成された側壁48に衝突させられ、落下し、タンク18内へと供給される。このスラリー供給配管46は、ポンプ10の吐出口28から開放部までの長さである配管長さLを有しており、この配管長さLは、図3に示すL1とL2との和(L=L1+L2)であり、L=200〜2000mm程度である。ただし、ポンプを横向きに設置できる場合や、ポンプの吐出口が、予めポンプケーシング横方向・横接線方向に取り付けられている場合等、その配置如何によっては、配管長さLが0、すなわち配管を介さずにポンプ吐出口がそのまま撹拌装置12に接続されていても良い。また、図3中のL1とL2との長さの比については、特に限定されず、設備の設置スペース等に応じて、適宜調整可能である。
本実施形態においては、吐出口28の内径Dと、スラリー供給配管46の長さLとの比(L/D)を20以下とすることが好ましく、より好ましくは18以下とする。吐出口28の内径Dと、スラリー供給配管46の長さLとの比(L/D)を上記範囲とすることにより、配管46内でのクラムの詰まりを有効に防止することができ、その結果、開放時におけるスラリー中のクラムの分散性を良好とすることができる。
次いで、スラリー供給配管46から大気中に開放されたクラムスラリーを、ハイシェアミキサー12で撹拌・滞留させる。ハイシェアミキサー12は、図3に示すように、タンク18と、タンク18の底部に回転刃および固定刃を備えた撹拌機20とを有しており、撹拌機20に形成された回転刃(図示省略)の攪拌効果により、スラリーに循環流を発生させることにより、スラリーを撹拌・滞留させる構造となっている。クラムスラリーを、ハイシェアミキサー12を使用し、撹拌・滞留させることにより、ゴム状重合体成分への凝固剤の付着を促進させ、ゴム状重合体成分の凝固を、ほぼ完全に進行させることができる。なお、クラムスラリーの撹拌・滞留は、1〜20分程度とすることが好ましい。また、撹拌機20としては、ゴム状重合体成分への凝固剤の接触を促進させるという観点より、撹拌動力(攪拌に消費した動力をクラムスラリーの体積で割り算して求めた値)は、好ましくは1kW/m以上、より好ましくは2kW/m以上、さらに好ましくは5kW/m以上、特に好ましくは15kW/m以上であるものを使用することが望ましい。クラムスラリーの撹拌・滞留を、ハイシェアミキサーを使用して行うことにより、クラムスラリー中のゴム状重合体成分への凝固剤の付着を効率的に行うことができ、短時間の撹拌・滞留で、クラムスラリー中のゴム状重合体成分の凝固を、ほぼ完全に進行させることができる。
なお、クラムスラリー中のクラム濃度(固形分濃度)は、1〜40重量%が好ましく、2〜20重量%が特に好ましい。
また、上記撹拌・滞留時の温度は、10〜50℃が好ましい。
次いで、ロータリースクリーン14を使用して、クラムスラリーの洗浄を行い、クラム状のゴム状重合体表面に付着した凝固剤を除去し、水分とクラム状のゴム状重合体とを分離し、含水状態のクラムを得る。
クラムスラリーの洗浄は、ロータリースクリーン14内に洗浄水を送り込み、スクリーンを回転させることにより行われ、洗浄により、凝固剤濃度が1000ppm程度以下に低減される。洗浄に供する水の量は、ゴム状重合体成分に対して、重量比で1〜10倍程度であることが好ましい。
なお、洗浄工程により発生する洗浄排水のうち、比較的凝固剤濃度の低い洗浄排水については回収を行い、希釈水として、再び破砕機能付きポンプ10に投入することが好ましい。
次いで、スクイザー16を使用して、洗浄された含水状態のクラムの脱水を行う。スクイザー16は、内部に回転自在なスクリュー22を有しており、このスクリュー22により、クラムから水分を絞り出すことにより脱水を行い、水分含有量が10重量%程度に調整されたクラムが得られる。
次いで、脱水されたクラムについて、バンドドライヤーにより、加熱乾燥を行い、実質的に水分をほとんど含まない状態(水分含有量は0.5重量%以下)のクラムを得る。クラムを乾燥する際の温度は、40〜100℃程度とする。
次いで、乾燥されたクラムは、たとえば、フレーク状で排出された後、ベーラー(図示省略)に導入されて圧縮され、適当な大きさとされて製品(ベール)化される。
本実施形態に係るゴム状重合体の製造方法においては、破砕機能付きポンプ10によりゴム状重合体の凝固を行う際に、ゴム状重合体のラテックスを、回転している第1翼32に直接当たるような位置から供給することにより、破砕機能付きポンプ10に導入されたゴム状重合体のラテックスを、第1翼32により速やかに分散させることができるため、破砕機能付きポンプ内における、凝固物の詰まりの発生を有効に防止し、これにより、ゴム状重合体の連続生産性を向上させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、破砕機能付きポンプ10により、ゴム状重合体成分を凝固させて得られたクラムスラリーを、ハイシェアミキサー12で撹拌・滞留させる工程を有するゴム状重合体の製造方法を例示したが、クラムスラリーを、撹拌・滞留させる工程を経ずに、ロータリースクリーンに投入するような工程を採用することも可能である。
さらに、上述した実施形態では、ロータリースクリーン14を使用して、クラムスラリーの洗浄を行ったが、クラムスラリーの洗浄は、ウエッジ型のスクリーンを使用して行うことも可能である。
以下、本発明を、さらに具体的な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
まず、金属製ボトル中に、イオン交換水225部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル4部、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、ブタジエン59部を仕込んだ。次いで、金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応を行った。そして、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止させた後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、アクリロニトリル単量体単位37重量%、ブタジエン単量体単位59重量%およびマレイン酸モノn−ブチル単量体単位4重量%を有するカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度30重量%)を得た。
そして、得られたラテックスに含有される乾燥ゴム重量に対して、パラジウム含有量が1,000重量ppmになるように、オートクレーブにパラジウム触媒溶液(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液に、等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、その後イオン交換水により固形分濃度を調整して、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックス(アクリロニトリル単量体単位:37重量%、ブタジエン単量体単位:59重量%、マレイン酸n−モノブチル単量体単位:4重量%、ヨウ素価:10、固形分濃度:12重量%)を得た。
そして、準備したカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスおよび塩化ナトリウム水溶液を使用して、図1〜図3に示す製造装置を用いて、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造を行った。
本実施例においては、破砕機能付きポンプとしては、ハイシェアポンプ(Silverson社製 型式275LS)をベースとして、図2に示すように、回転している第1翼32に直接当たるようにラテックスを供給できるような位置に、ラテックス吸い込み口25を設けるとともに、第1翼32の流れ方向手前に凝固液吸込み口26を設け、ステーター38については取り外した状態で使用した。カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造条件としては、ポンプ回転数を2000rpm、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスの供給流量を208kg/hr(カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの供給流量25.0kg/hr)、塩化ナトリウム水溶液の供給流量を417kg/hr(塩化ナトリウムの供給流量50.0kg/hr)とし、破砕機能付きポンプから吐出させるクラムスラリー中のクラム濃度を4.0重量%、破砕機能付きポンプ内の塩化ナトリウム濃度〔塩化ナトリウムの重量/(ラテックス中の水の重量+塩化ナトリウム水溶液の重量)〕を8.3重量%とした。
さらに、本実施例では、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固温度が50℃となるように、供給するカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスおよび塩化ナトリウム水溶液の温度、ならびに破砕機能付きポンプ内の温度を調整した。
そして、本実施例においては、上記条件にてカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造を行った際における、破砕機能付きポンプのOUT側排出性、破砕機能付きポンプのIN側排出性、およびクラムスラリーの凝固性の評価を、下記方法にしたがって行った。
破砕機能付きポンプのOUT側排出性
図1〜図3に示す製造装置により、1時間連続でカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのクラムスラリーの製造を行い、その後、破砕機能付きポンプのOUT側である、図2に示す吐出口28と、図3に示すスラリー供給配管46との接続部分について、その断面積に対する堆積したクラムスラリーの断面積の割合(堆積割合)を、目視にて確認することにより、破砕機能付きポンプのOUT側排出性を評価した。なお、評価基準は下記によった。結果を表1に示す。
A:吐出口28とスラリー供給配管46との接続部分における、上記堆積割合が10%未満であった。
B:吐出口28とスラリー供給配管46との接続部分における、上記堆積割合が10%以上、50%未満であった。
C:吐出口28とスラリー供給配管46との接続部分における、上記堆積割合が50%以上であるか、またはクラムスラリーによって閉塞していた。
破砕機能付きポンプのIN側排出性
図1〜図3に示す製造装置により、1時間連続でカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのクラムスラリーの製造を行い、その後、破砕機能付きポンプのIN側である、図2に示す凝固液吸込み口26近傍について、その断面積に対する堆積したクラムスラリーの断面積の割合(堆積割合)を、目視にて確認することにより、破砕機能付きポンプのIN側排出性を評価した。なお、評価基準は下記によった。結果を表1に示す。
A:凝固液吸込み口26近傍における、上記堆積割合が10%未満であった。
B:凝固液吸込み口26近傍における、上記堆積割合が10%以上、50%未満であった。
C:凝固液吸込み口26近傍における、上記堆積割合が50%以上であるか、またはクラムスラリーによって閉塞していた。
クラムスラリーの凝固性
破砕機能付きポンプの吐出口28から吐出された後のクラムスラリーを目視観察することにより、クラムスラリーの凝固性を評価した。なお、クラムスラリーの凝固性は、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固がほぼ完全に進行しているか否かを、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
A:吐出口28からは、クラムスラリーのみが吐出されていることが確認された。
B:吐出口28からは、クラムスラリーとともに、白濁液(未凝固のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックス)が吐出されていることが確認された。
実施例2〜5
カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスの供給流量、塩化ナトリウム濃度、塩化ナトリウム水溶液の供給流量、および、凝固温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
破砕機能付きポンプとして、ステーター38を取り付けた状態としたものを用いた以外は、実施例5と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
破砕機能付きポンプとして、図2に示す破砕機能付きポンプ10に代えて、図4に示す破砕機能付きポンプ10a、すなわち、ラテックス輸送配管42aおよび凝固液輸送配管44が、いずれも、吸込み口27に設けられた破砕機能付きポンプを準備し、ステーター38を取り外した状態としたものを用いた以外は、実施例5と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造を行い、同様に評価を行った。なお、比較例1および後述する比較例2〜7においては、上述した破砕機能付きポンプのIN側排出性の評価は、図4に示す吸込み口27近傍について、その断面積に対する堆積したクラムスラリーの断面積の割合(堆積割合)を、目視にて確認し、上記と同様の基準にて行った。結果を表1に示す。
比較例2
破砕機能付きポンプとして、ステーター38を取り付けた状態としたものを用いた以外は、比較例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3〜7
用いるカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスの固形分濃度、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスの供給流量、塩化ナトリウム濃度、塩化ナトリウム水溶液の供給流量、および、凝固温度を表1に示すように変更した以外は、比較例2と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006131886
表1に示すように、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスを、破砕機能付きポンプに供給する際に、ラテックスを、回転する第1翼32に直接当てることができるような位置から供給した場合には、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムを凝固させながら、破砕機能付きポンプ内におけるクラムスラリーの堆積を良好に抑制できたという結果となり、これにより、形成された凝固物を良好に分散および破砕することができ、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの連続生産性が向上したことが確認された(実施例1〜6)。なお、破砕機能付きポンプにおけるステーター38の有無の条件のみを変化させた実施例5,6を比較すると、ステーター38の有無にかかわらず、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの堆積を良好に抑制できたことが確認された。
これに対して、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスを、破砕機能付きポンプに供給する際に、ラテックスを、回転する第1翼32に直接当てることができない位置から供給した場合には、破砕機能付きポンプ内においてクラムスラリーが堆積してしまったという結果となり、これにより、形成された凝固物の分散および破砕が不十分であり、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの連続生産性が低下したということが確認された(比較例1〜7)。
10,10a…破砕機能付きポンプ
12…ハイシェアミキサー
14…ロータリースクリーン
16…スクイザー
18…タンク
20…撹拌機
22…スクリュー
24…ポンプケーシング
25…ラテックス吸い込み口
26…凝固液吸込み口
28…吐出口
30…回転体
32…第1翼
34…第2翼
36…回転軸
38…ステーター
40…アダプタ
42,42a…ラテックス輸送配管
44…凝固液輸送配管
46…スラリー供給配管
48…側壁

Claims (5)

  1. ゴム状重合体のラテックスと、凝固剤を含有する凝固液とを、内部に回転翼を有する破砕機能付きのポンプに供給し、前記ラテックスと前記凝固剤とを接触させることにより、ゴム状重合体を凝固させ、クラム状のゴム状重合体を含むクラムスラリーを得る工程を有するゴム状重合体の製造方法であって、
    前記ラテックスを、前記破砕機能付きのポンプに供給する際に、前記ラテックスを、回転している前記回転翼に直接当たる位置に供給することを特徴とするゴム状重合体の製造方法。
  2. 前記凝固液の単位時間あたりの供給流量R_coaと、前記ラテックスの単位時間あたりの供給流量R_Lxとを、「R_Lx/R_coa」の重量比で、0.01〜3.0とする請求項1に記載のゴム状重合体の製造方法。
  3. 前記ゴム状重合体が、カルボキシル基含有水素化ニトリルゴムである請求項1または2に記載のゴム状重合体の製造方法。
  4. 前記破砕機能付きのポンプが、前記回転翼として、第1翼と、前記第1翼の内周に設けられた第2翼とを備え、
    前記ラテックスを、前記破砕機能付きのポンプに供給する際に、前記ラテックスを、回転している前記第1翼に直接当たる位置に供給する請求項1〜3のいずれかに記載のゴム状重合体の製造方法。
  5. 前記破砕機能付きのポンプが、前記第1翼と前記第2翼との間に固定枠を有する請求項4に記載のゴム状重合体の製造方法。
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