JP2015063635A - カルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法 - Google Patents

カルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カルボキシル基含有ニトリルゴム(NBR)のラテックスから、カルボキシル基含有NBRを凝固させる際において、凝固時におけるpH調整を不要とすることができ、これにより、凝固操作を簡易なものとすることができ、含有するカルボキシル基を変成することなく、カルボキシル基含有NBR成分を高い凝固率で凝固させることのできるカルボキシル基含有NBRの製造方法を提供する。
【解決手段】カルボキシル基含有NBRのラテックス100重量部に対して、100〜500重量部のn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを混合することで、カルボキシル基含有NBR成分を凝固させる凝固工程を備えることを特徴とするカルボキシル基含有NBRの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスから、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させることにより、カルボキシル基含有ニトリルゴムを製造する方法に関する。
乳化重合で得られた重合体ラテックスから、重合体を製造する方法としては、重合体ラテックスに、無機塩の水溶液などの凝固剤を加え、撹拌しながらラテックスを凝固させる方法が一般的に用いられている。
たとえば、特許文献1では、乳化重合で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスから、カルボキシル基含有ニトリルゴムを凝固させる方法として、凝固剤として、無機塩の水溶液を用いる技術が開示されている。しかしながら、この特許文献1の技術のように、凝固剤として、無機塩の水溶液を用いた場合には、無機塩の影響により、カルボキシル基含有ニトリルゴムに含有されるカルボキシル基が変性してしまうことがある。そのため、この特許文献1の技術のように、凝固剤として、無機塩の水溶液を用いた場合には、このようなカルボキシル基の変性を避けるために、pHを低く調整した状態とし、これによりカルボキシル基が変性しない状態を維持して、凝固を行う必要があり、凝固操作が煩雑になるという課題があった。
特開2009−207272号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスから、カルボキシル基含有ニトリルゴムを凝固させる際において、凝固時におけるpH調整を不要とすることができ、これにより、凝固操作を簡易なものとすることができ、しかも、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を高い凝固率で凝固させることのできるカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスから、カルボキシル基含有ニトリルゴムを凝固させる際に、凝固剤として、所定量のn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを用いることで、凝固時におけるpH調整を不要とすることができ、これにより、凝固操作を簡易なものとすることができ、しかも、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を高い凝固率で凝固させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100重量部に対して、100〜500重量部のn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを混合することで、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる凝固工程を備えることを特徴とするカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法が提供される。
本発明においては、前記凝固工程が、前記カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100重量部と、前記n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノール100〜500重量部とを混合し、1〜60分間攪拌することで、前記カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる工程を含むことが好ましい。
また、本発明においては、前記凝固工程が、前記カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固を10〜50℃で行う工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、凝固剤として、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを用いて、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスから、カルボキシル基含有ニトリルゴムを凝固させるため、凝固剤として、無機塩の水溶液を用いた場合のように、凝固時にpH調整をする必要がなく、そのため、凝固操作を簡易なものとすることができる。また、本発明によれば、比較的少量のn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールにて、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を高い凝固率で凝固させることができるため、高い凝固率を達成しながら、凝固後における、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールの回収を容易なものとすることもできる。
図1は、実施例および比較例における、凝固剤の使用量と、凝固率との関係を示すグラフである。
<カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス>
まず、本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスについて説明する。
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを構成するカルボキシル基含有ニトリルゴムとしては、特に限定されず、乳化重合で製造され、フリーのカルボキシル基(金属塩などで置換されていないカルボキシル基)を含有するニトリルゴム(不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴム)でもよいし、あるいは、これを水素化したものであってもよいが、特に、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位およびα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単位を有するカルボキシル基含有ニトリルゴムが好ましい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位の含有量は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位の含有量が少なすぎると、架橋物とした場合に、耐油性が低下する場合があり、多すぎると、耐寒性が低下する場合がある。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単位を形成するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステル、等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましい。
炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
炭素数4〜12のα,β−不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸またはマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;などが挙げられる。これらのなかでも、イタコン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチルおよびマレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単位の含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは1.5〜10重量%である。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単位の含有量が、少なすぎると、架橋物とした場合における架橋が不十分となり、引裂強さおよび引張強さが低下する場合がある。一方、多すぎると耐屈曲疲労性が低下する可能性がある。
カルボキシル基含有ニトリルゴムは、上記のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位およびα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単位の他に、架橋物がゴム弾性を保有するために、通常、ジエン単位および/またはα−オレフィン単位をも有する。
ジエン単位を形成するジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの好ましくは炭素数が5〜12の非共役ジエン;が挙げられる。これらの中でも、炭素数が4以上の共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。α−オレフィン単位を形成するα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。ジエン単位および/またはα−オレフィン単位の含有量は、好ましくは25〜85重量%、より好ましくは35〜80重量%、さらに好ましくは45〜75重量%である。ジエン単位またはα−オレフィン単位の含有量が少なすぎると、架橋物とした場合に、ゴム弾性が低下する場合があり、多すぎると耐熱性や耐化学的安定性が損なわれる場合がある。
また、カルボキシル基含有ニトリルゴムは、上記各単量体と共重合可能な他の単量体の単位を有していてもよい。このような他の単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル、芳香族ビニル、フッ素含有ビニル、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物、共重合性老化防止剤などが挙げられる。これら他の単量体の単位の含有量は、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムにおけるカルボキシル基の含有量は、カルボキシル基含有ニトリルゴム100g当たりのカルボキシル基数で、好ましくは5×10−4〜5×10−1ephr、より好ましくは1×10−3〜1×10−1ephr、さらに好ましくは5×10−3〜6×10−2ephrである。カルボキシル基含有量が少なすぎると、架橋物とした場合における架橋が不十分となり、引裂強さおよび引張強さが低下する場合がある。一方、多すぎると耐屈曲疲労性が低下する可能性がある。
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムは、ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕が、好ましくは15〜200、より好ましくは30〜100、さらに好ましくは45〜90である。
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスは、たとえば重合タンク等を用いて、乳化重合法により、上記した単量体を共重合することにより調製することができる。また、必要に応じて、共重合して得られた共重合体のヨウ素価が、好ましくは120以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは25以下となるように、共重合体の水素化(水素添加反応)を行ってもよい。
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス中における、固形分濃度(カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の濃度)は、特に限定されないが、好ましくは、3〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス中における固形分濃度が上記範囲内にあると、処理するラテックスあたりのカルボキシル基含有ニトリルゴムの回収量が適切な範囲となり生産効率が良く、また、ラテックスの粘度が適切な範囲となり攪拌効率が良いため、ラテックスとn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールとの均質な混合が可能となる。
<カルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法>
本発明のカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法は、上述したカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100重量部に対して、100〜500重量部のn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを混合することで、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる凝固工程を備えることを特徴とする。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスと、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールとを混合する方法としては、特に限定されないが、たとえば、混合タンクなどの混合設備に、凝固剤としてのn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを予め入れておき、撹拌下において、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを添加していく方法や、混合タンクなどの混合設備に、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを予め入れておき、撹拌下において、凝固剤としてのn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを添加していく方法などが挙げられる。あるいは、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスと、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールとを、押出機や破砕機能付きのポンプなどの凝固設備に連続的に供給することで、これらを混合させ、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる方法などであってもよい。
本発明の製造方法において、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固を行う際における、凝固剤としてのn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールの使用量は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100重量部に対して、100〜500重量部であり、好ましくは125〜300重量部、より好ましくは150〜250重量部、更に好ましくは150〜200重量部である。本発明の製造方法によれば、凝固剤として、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを用いることにより、上記のように比較的少量の使用量で、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を高い凝固率で凝固させることができるものである。そして、本発明の製造方法によれば、このように比較的少量の使用量で凝固させることができることにより、凝固後における、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールの回収を容易なものとすることができ、結果として、生産性の向上を図ることができるものである。凝固剤としてのn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールの使用量が少なすぎると、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固が不十分となり、一方、使用量が多すぎると、生産性が低下してしまうこととなる。
また、本発明の製造方法においては、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスと、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールとを混合した後、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固を促進させるために、これらの混合液について撹拌を行うことが好ましい。なお、混合液の撹拌は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスと、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールとを混合させる際に用いた混合設備や凝固設備を用いて行ってもよいし、あるいは、混合設備や凝固設備とは別の撹拌設備(たとえば、撹拌タンク等)を用いて行ってもよい。撹拌時間は、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固の進行速度に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは1〜60分であり、より好ましくは3〜40分であり、更に好ましくは5〜30分であり、特に好ましくは5〜15分である。撹拌時間が短すぎると、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固が不十分となるおそれがあり、一方、撹拌時間が長すぎると、生産性が低下してしまうおそれがある。
本発明の製造方法において、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固を行う際の温度、すなわち、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスと、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールとを混合する際の混合温度は、特に限定されないが、好ましくは10〜50℃の範囲であり、より好ましくは10〜40℃の範囲であり、更に好ましくは15〜30℃の範囲である。混合温度を上記範囲とすることにより、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールの揮発による異臭の問題が発生しにくくなり、また混合系が凍結することもないため、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固をより適切に行うことができる。
そして、本発明の製造方法においては、このような凝固工程を経て得られる凝固後のカルボキシル基含有ニトリルゴムは、通常、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを含むクラムスラリーの形態で得られることとなる。
次いで、本発明の製造方法においては、このようにして得られたクラムスラリーについて、必要に応じて水などを用いて洗浄を行った後、水分(水、および凝固剤としてのn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノール)と、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムとを分離することで、含水状態のクラムを得る。そして、このようにして得られた含水状態のクラムについて、スクイザーなどを用いて含水状態のクラムの脱水を行い、バンドドライヤーなどにより加熱乾燥を行うことで、実質的に水分をほとんど含まない状態(水分含有量は0.5重量%以下)のクラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを得ることができる。なお、クラムを乾燥する際の温度は、通常、40〜100℃程度である。
そして、このようにして得られたクラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムは、たとえば、フレーク状に排出された後、ベーラー(図示省略)に導入されて圧縮され、適当な大きさとされて製品(ベール)化される。
本発明の製造方法においては、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスから、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させるための凝固剤として、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを用いるものであり、これにより、凝固時におけるpH調整を不要とすることができ、これにより、凝固操作を簡易なものとすることができる。特に、特許文献1(特開2009−207272号公報)などのように、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスから、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させるための凝固剤として、無機塩の水溶液を用いた場合には、無機塩の影響により、カルボキシル基含有ニトリルゴムに含有されるカルボキシル基が変性してしまうことがあり、そのため、凝固剤として、無機塩の水溶液を用いた場合には、このようなカルボキシル基の変性を避けるために、pHを低く調整した状態とし、これによりカルボキシル基が変性しない状態を維持して、凝固を行う必要があった。これに対し、本発明の製造方法によれば、このような凝固時におけるpH調整を不要とすることができ、これにより、凝固操作を簡易なものとすることができるものである。
加えて、本発明の製造方法によれば、凝固剤として、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを用いることにより、比較的少ない使用量で、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を高い凝固率にて凝固させることができるため、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固を良好なものとしながら、凝固後における、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールの回収を容易なものとすることもできる。
なお、本発明における凝固剤として、上述したn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを所定量用いればよいが、発明の効果を損ねない範囲において、その他の凝固剤、特に、n−ブタノールおよびiso−ブタノール以外のアルコール類を併用してもよい。
本発明における凝固剤として、n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールのみを用いることが好ましい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
[合成例1]
金属製容器に、イオン交換水180部、濃度10%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液5部、アクリロニトリル37部、メタクリル酸4部、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン59部を仕込んだ。そして、金属製容器を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、金属製容器内を攪拌させながら16時間重合反応した。そして、16時間の重合反応後、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去することにより、アクリロニトリル単位36.2%、ブタジエン単位60.2%、メタクリル酸単位3.6%の重合体ラテックス(固形分濃度30%)を得た。なお、重合体組成は、H−NMRにより測定した。
次いで、上記にて得られたラテックスに含有されるゴムの乾燥重量に対するパラジウム含有量が1,000ppm になるように、オートクレーブ中に、上記にて製造したラテックスおよびパラジウム触媒(1重量% 酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスを得た。その後、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの固形分濃度が10%となるように、適宜、ラテックス中にイオン交換水を添加し、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックスのゴム固形分濃度を調整した。
[実施例1]
傾斜パドル型の攪拌翼を備えた、ガラス製混合槽中に、n−ブタノール125部を入れ、温度20℃、攪拌回転数500rpmの条件にて攪拌した。そして、攪拌下にあるn−ブタノール中に、合成例1で得られた固形分濃度10%のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムのラテックス100部を徐々に添加し、添加終了後さらに10分間攪拌混合を継続することにより、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムを凝固させ、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを含有するクラムスラリーを得た。
次いで、得られたクラムスラリーから、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収するために、得られたクラムスラリーを、100メッシュの金網に全量通し、固形分のみを捕捉させる方法にてクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムを回収した。
そして、回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムを、60℃、真空下において、24時間真空乾燥させた後、重量測定を実施したところ、回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は9.27部であり、凝固率は92.7%であった。
[実施例2]
凝固剤としてのn−ブタノールの使用量を125部から、150部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行い、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収した。回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は9.75部であり、凝固率は97.5%であった。
[実施例3]
凝固剤としてのn−ブタノールの使用量を125部から、200部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行い、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収した。回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は9.84部であり、凝固率は98.4%であった。
[実施例4]
凝固剤として、n−ブタノール125部に代えて、iso−ブタノール200部を使用した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行い、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収した。回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は9.81部であり、凝固率は98.1%であった。
[比較例1]
凝固剤として、n−ブタノール125部に代えて、iso−プロパノール300部を使用した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行い、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収した。回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は5.87部であり、凝固率は58.7%であった。
[比較例2]
凝固剤として、n−ブタノール125部に代えて、iso−プロパノール500部を使用した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行い、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収した。回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は7.92部であり、凝固率は79.2%であった。
[比較例3]
凝固剤として、n−ブタノール125部に代えて、iso−プロパノール700部を使用した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行い、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収した。回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は8.89部であり、凝固率は88.9%であった。
[比較例4]
凝固剤として、n−ブタノール125部に代えて、n−ペンタノール200部を使用した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行い、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを回収した。回収したクラム状のカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの重量は1.90部であり、凝固率は19.0%であった。
Figure 2015063635
表1に、実施例1〜4、比較例1〜4の結果のまとめを、また、図1に、実施例1〜4、比較例1〜4における、凝固剤の使用量と凝固率の関係を示すグラフをそれぞれ示す。
表1および図1に示すように、凝固剤として、n−ブタノールまたはiso−ブタノールを用いて、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴムの凝固を行った場合には、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100部に対して、100〜250部と比較的少ない使用量にて、高い凝固率で凝固を行うことが可能であった(実施例1〜4)。
一方、凝固剤として、iso−プロパノールを使用した場合には、その使用量を、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100部に対して、300部とした場合には、凝固率が低くなる結果となり、また、使用量を500部および700部と増加させた場合でも、凝固率が90%未満となり、凝固率が低くなる結果となった(比較例1〜3)。
また、凝固剤として、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100部に対して、200部のn−ペンタノールを使用した場合には、凝固率が著しく低くなる結果となった(比較例4)。

Claims (3)

  1. カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100重量部に対して、100〜500重量部のn−ブタノールおよび/またはiso−ブタノールを混合することで、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる凝固工程を備えることを特徴とするカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法。
  2. 前記凝固工程が、前記カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス100重量部と、前記n−ブタノールおよび/またはiso−ブタノール100〜500重量部とを混合し、1〜60分間攪拌することで、前記カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる工程を含む、請求項1に記載のカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法。
  3. 前記凝固工程が、前記カルボキシル基含有ニトリルゴム成分の凝固を10〜50℃で行う工程を含む、請求項1または2に記載のカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法。
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