以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る乗員検出装置を、車室内監視システム1に適用した場合を例にして説明する。
図1は、本実施形態に係る乗員検出装置100を備える車室内監視システム1のブロック構成を示す図である。乗員検出装置100及びこれを含む車室内監視システム1は、車両に搭載されている。車室内監視システム1は、自車両の車室内の様子を監視し、ドライバに必要な情報を提供する。乗員検出装置100は、自車両の車室内の情報として、車室内に人員(乗員)が存在するか否かを検出する。
図1に示すように、車室内監視システム1は、乗員検出装置100と、車載装置200とを有する。車載装置200は、車両コントローラ50と、各種機器60と、ナビゲーション装置70とを備える。乗員検出装置100と各車載装置200とは、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
本実施形態の各種機器60は、シフトレバーの位置を検出するシフトレバー61と、自車両のヘッドライト点灯状態を検出して出力するヘッドライト62と、自車両のワイパーの操作状態を検出して出力するワイパー63と、車両の施錠状態を検出して出力する施錠装置64と、車載装置200内の時間を計時する時計65と、車両の速度を検出して出力する車速センサ66と、車両に付着した雨滴を検出して出力する雨滴センサ67と、車両周囲の明るさを検出して出力する照度計68と、車両の操舵量を検出して出力する操舵装置66と、を有する。これらの各種機器群60は、車両コントローラ50を介して又は直接に、検出された情報を乗員検出装置100へ出力する。
本実施形態のナビゲーション装置70は、位置検出装置71と、地図情報72とを備え、自車両の現在位置から目的地までの経路を示してドライバを誘導する。また、本実施形態のナビゲーション装置70は、外部との通信が可能であり、各地点の降雨情報を含む気象情報を取得し、乗員に提供する情報提供機能73を備える。ナビゲーション装置70は、取得した情報、演算した情報を、乗員検出装置100、ディスプレイ30、スピーカ74に出力する。
また、同図に示すように、本実施形態の乗員検出装置100は、制御装置10と、カメラ20と、ディスプレイ30とを備える。
本実施形態のカメラ20は、CCD等の撮像素子を用いたカメラであり、車室内の後席を撮像する。図2は、カメラ20の設置例を示す図である。図2(A)は車両Vを上方から見た場合のカメラ20の設置位置を示し、図2(B)は車両Vを側方から見た場合のカメラ20の設置位置を示す。カメラ20の数や配置場所は特に限定されず、本実施形態では、図2に示すように、車両Vの車室内天井付近に広角のカメラ20を一つ設置する。
図3は、カメラ20により撮像された後席映像の一例を示す。図3に示すように、カメラ20は、撮像領域Pの中に、カメラ20は前席の運転席STFRと助手席STFL、及び後席の右側座席STRRと左側座席STRLの像が含まれるように撮像する。この映像には、後席の左側座席STRLに着座する乗員(子供)PS1の像が含まれる。
本実施形態のディスプレイ30は、車両のドライバが視認可能なダッシュボード周囲に設置され、後席の撮像画像や案内情報などを提示する。
続いて、本実施形態の制御装置10について説明する。本実施形態の乗員検出装置100の制御装置10は、カメラ20の撮像画像に基づいて後席上の物体を検出し、その物体が人員であるか否かを判断し、その判断結果に基づいて車室内の監視を行うプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、乗員検出装置100と車室内監視システム1として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えるコンピュータである。
本実施形態に係る乗員検出装置100の制御装置10は、画像取得機能と、乗員検出機能とを有する。さらに、本実施形態の制御装置10は、実施態様に応じて、走行状態判断機能と、天候判断機能と、明度判断機能と、降車判断機能と、報知機能と、をさらに有する。本実施形態の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。
以下、本実施形態に係る乗員検出装置100の各機能について説明する。
まず、本実施形態の制御装置10の画像像取得機能について説明する。制御装置10は、カメラ20が撮像した自車両周囲の撮像画像を取得する。取得した撮像画像は、後席の乗員の検出処理に利用されるとともに、後席の映像としてディスプレイ30に提示される画像として利用される。
本実施形態の制御装置10の乗員検出機能について説明する。制御装置10は、カメラ20により連続して撮像された撮像画像について差分比較を行い、乗員検出領域と外縁部領域の2つの領域について、連続して出力される差分値より領域内の動き情報を検出する。
本実施形態の制御装置10は、カメラ20の撮像領域Pに、車室内の座席に対応する乗員検出領域Xと、乗員検出領域Xの外側に位置する外縁部領域Y(Ys,Yb)とを設定し、その乗員検出領域Xと外縁部領域Yにおける特徴をそれぞれ経時的に抽出し、乗員検出領域Xにおける経時的な特徴と外縁部領域Yにおける経時的な特徴とを比較し、当該比較の結果に基づいて車室内に存在する物体が乗員であるか否かを判断し、乗員を検出する。
本実施形態の制御装置10は、撮像領域P内に乗員検出領域Xと外縁部領域Yとを設定する。図4A,図4Bは乗員検出領域Xと外縁部領域Yの設定例を示す図である。本実施形態において、外縁部領域Yは破線で示す乗員検出領域Xの外縁の外側に設定することができる。本実施形態では、図4Aに示す例のように、外縁部領域Ysを、乗員検出領域Xの外縁のうち車両のサイドドア側に設定する。特に、本実施形態では、外縁部領域Yを、乗員検出領域Xに対して車両の窓の像が映り込む領域側に設定する。ここで車両の窓には、サイドドアのサイドウィンドウ、バックドアのバックドアウィンドウ又は車両後方のリヤウィンドウを含む。
つまり、本実施形態では、後席の左右の座席から近い窓側に外縁部領域Yを設定する。具体的に、図4Aに示す例のように、乗員検出領域Xが車両進行方向の左側の後席の位置に設定された場合には、外縁部領域Ysを車両進行方向の左側のサイドドア側(矢印DL側:図中右側)に設定する。他方、乗員検出領域Xが車両進行方向の右側の後席の位置に設定された場合には、外縁部領域Ysを車両進行方向の右側のサイドドア側(矢印DR側:図中左側)に設定する。
また、本実施形態では、図4Bに示す例のように、外縁部領域Ybを、乗員検出領域Xの外縁のうち車両の天井側(矢印UP側:図中上側)に配置する。本例では、乗員検出領域Xの車両のサイドドア側に設定された外縁部領域Ysと、乗員検出領域Xの車両の天井側に設定された外縁部領域Ybとを含む外縁部領域Yを設定する。図4Bに示す例のように、乗員検出領域Xが車両進行方向の左側の後席の位置に設定された場合には、外縁部領域Ybを車両進行方向の左側であって、その天井側(矢印UP側:図中上側)に設定する。他方、乗員検出領域Xが車両進行方向の右側の後席の位置に設定された場合には、外縁部領域Ybを車両進行方向の右側であって、その天井側(矢印UP側)に設定する。
次に、制御装置10は、乗員検出領域Xと外縁部領域Yにおける特徴をそれぞれ経時的に抽出する。撮像画像の画像情報における特徴点の抽出手法は、本願出願時に知られている手法を適宜に用いることができる。
そして、制御装置10は、乗員検出領域Xにおける経時的な特徴と外縁部領域Yにおける経時的な特徴とを比較し、その比較の結果に基づいて車室内に存在する物体が乗員であるか否かを判断する。具体的に制御装置10は、乗員検出領域Xにおいて特徴が検出された時間帯に、外縁部領域Y(Ys,Yb)において特徴が検出された場合には、検出された物体は乗員ではないと判断する。他方、制御装置10は、乗員検出領域Xにおいて特徴が検出された時間帯に、外縁部領域Yにおいて特徴が検出されなかった場合には、検出された物体は乗員であると判断する。
具体的に、図5A,図5Bに基づいて、乗員であるか否かの判断手法を説明する。図5Aに示すように、乗員検出領域Xにおいて、画像(特徴点)の動きがタイミング(a)の期間中に検出された場合を想定する。図5Aにおいて、乗員検出領域Xにおける物体の検出結果を図中上側に実線で示し、外縁部領域Yにおける物体の検出結果を図中下側に破線で示す。同図に示すように、このタイミング(a)において、外縁部領域Yに動きが検出されなかった場合には、車室内に存在するとして検出された物体は乗員であると判断し、「乗員存在」の結論を出力する。他方、乗員検出領域Xにおいて、画像(特徴点)の動きがタイミング(b)(c)(d)(e)の期間中に検出されたとしても、外縁部領域Yにおいて、同じタイミング(b)(c)(d)(e)の期間中に検出された場合には、乗員検出領域Xにおいて検出された物体は、車両外部から差し込む外乱光又は車両運動による誤検出であり、乗員(人員)ではないと判断する。
この判断において、タイミング(d)のように、乗員検出領域Xにおいて画像(特徴点)の動きが検出されたタイミングの期間(始点と終点の間の時間)と、外縁部領域Yにおいて画像(特徴点)の動きが検出されたタイミングの期間(始点と終点の間の時間)とのずれ量が所定値未満である場合には、検出結果は車両運動によるものであると判断する。
また、図5Bに示すように、乗員検出領域Xにおいて、画像(特徴点)の動きがタイミング(A)〜(D)に検出された場合を想定する。図5Bにおいて、乗員検出領域Xにおける物体の検出結果を図中上側に実線で示し、外縁部領域Yにおける物体の検出結果を図中下側に破線で示す。本処理例では、外縁部領域Yにおいて動き情報が検出された場合に、その後に一定期間を付加する監視期間を設け、外縁部領域Yにて動き情報が検出された期間および監視期間中に、タイミング(A)(B)(D)に示すように、乗員検出領域Xにおいて動きが一定期間検出された場合には、外乱光または車両運動による誤検出であるとして、検出された動きを乗員以外として判断する。そして乗員無しの検出結果を出力する。一方、図5Bに示すように、乗員検出領域Xにおいて動きが一定期間検出されたタイミング(C)内に、外縁部領域Yにおいて動きが検出されず、さらにタイミング(C)がいずれの監視期間(外縁部領域Yにおいて動き情報が検出された場合に、それ以降の一定期間)とも重複していない場合には、検出した動きが乗員(人員)によるものであると判断し、乗車乗員ありの検出結果を出力する。このように、外縁部領域Yにおいて特徴が検出された時間帯と、その時間帯の後に付加される監視期間との間、つまり、外縁部領域Yにおいて特徴が検出された時間帯と監視期間とを合わせた時間帯に、乗員検出領域Xにおいて特徴が検出された場合には、検出された物体は乗員ではないと判断する。
そして、制御装置10は、車室内の物体が荷物であれば、荷物として検出し、物体が人員であれば乗員として検出し、その結果を出力する。これにより、車室内監視システム1は、検出結果における物体の属性(荷物か人員か)に応じて監視処理を行うことができる。
さらに、本実施形態の制御装置10は、走行状態判断機能により車両が高速道路を含む自動車専用道路を走行していると判断された場合には、乗員検出領域Xから抽出された経時的な特徴と外縁部領域Yから抽出された経時的な特徴とから、予め設定された所定の周波数成分を除去する。
ここで走行状態判断機能について説明する。走行状態判断機能は、車両から取得した車両情報に基づいて車両の走行状態を判断する。走行情報は各種機器60から直接に取得してもよいし、各種機器から車両コントローラ50を介して取得してもよい。車両情報としては、車速センサ66から取得する自車両の車速、操舵装置69から取得する操舵角などを例示することができる。制御装置10は、車両の車速が所定値以上であること、車両の操舵角の変化量が所定量以下であることなどの条件に基づいて、自車両が自動車専用道路を走行しているか否かを判断する。
そして、制御装置10は、自車両が自動車専用道路を走行していると判断した場合には、乗員検出領域Xから抽出された経時的な特徴と外縁部領域Yから抽出された経時的な特徴とから、予め設定された所定の周波数成分を除去する。特に限定されないが、本実施形態において、所定の周波数成分は、乗員検出領域Xと外縁部領域Yの2つの領域の動き情報の値に対して周波数解析を行い、最大の周波数成分を除去する。また、この所定の周波数成分は、自車両の振動成分に対応づけてもよい。この周波数成分はカメラ20の振動、撮像画像のぶれなどに対応すると考えられる。車両の振動は、車体の構造、タイヤの性能、車両の大きさ・重さなどに応じて異なるので、予め、実験的に又はシミュレーションによって自車両の振動成分を算出し、それに対応する周波数成分を算出しておいてもよい。
また、本実施形態の制御装置10は、天候判断機能が車両の走行地点の天候が雨天であると判断した場合には、外縁部領域Yの設定位置を乗員検出領域Xの車両の天井側に配置する。具体的に、制御装置10は、先述した図4Bに示す外縁部領域Ybを含む外縁部領域Y(Ys+Yb)を設定する。
本実施形態の天候判断機能は、車両から取得した車両情報又は外部から取得した気象情報に基づいて、車両の走行地点の天候を判断する。本実施形態の制御装置10は、車両のワイパー63の動作信号に基づいて降雨(雨天)を判断してもよいし、雨滴センサ67の雨滴検出信号に基づいて降雨(雨天)を判断してもよい。また、制御装置10は、ナビゲーション装置70の情報提供機能73が取得した現在位置における天候情報に基づいて天候を判断する。情報提供機能73は、位置検出装置71が検出した現在位置における天候の情報を提供する。
さらに、本実施形態の制御装置10は、明度判断機能が車両の走行時における明度が所定値未満であると判断した場合には、外縁部領域Yの設定位置を乗員検出領域Xの車両の天井側に配置する。制御装置10は、先述した図4Bに示す外縁部領域Ybを含む外縁部領域Y(Ys+Yb)を設定する。
本実施形態の明度判断機能は、車両から取得した車両情報又は外部から取得した時刻情報に基づいて、車両の走行時における明度を判断する。本実施形態の制御装置10は、車両からヘッドライト62の点灯情報を取得した場合には明度が所定値未満(周囲は暗い)と判断してもよいし、車両の時計65の示す時刻に基づいてアクセス可能な暦情報を参照して時刻が日没時刻以降である場合には明度が所定値未満(周囲は暗い)と判断してもよいし、照度計68から取得した照度が所定値未満であるか否かにより明度を判断してもよい。本実施形態の制御装置10は、ナビゲーション装置70から自車両がトンネル内を走行しているとの情報を取得した場合に、車両の走行時における明度が低い(周囲は暗い)と判断してもよい。ナビゲーション装置70は、トンネルの位置を含む地図情報を参照し、位置検出装置71が検出した現在位置に基づいて、自車両がトンネル内を走行しえいるか否かを判断する。
このように、昼間・晴天時には、外縁部領域Yは乗員検出領域Xに対して側方窓側Ysに設定されている(図4A参照)。これは、サイドドアの窓から差し込む太陽光による外乱光による誤検知を排除するためである。他方、夜間・雨天時においては、太陽光による外乱光ではなく、後続車や対向車のヘッドランプによる外乱光の影響が大きくなる。そこで、夜間・雨天時には、乗員検知領域Xに対して側方窓側の外縁部領域Ysだけでなく、後方窓側の外縁部領域Ybも含む領域に外縁部領域Yを設定する。このようにすることで雨天・夜間時における後続車や対向車のヘッドラップによる外乱光による誤検知を抑制することができる。
次に、降車判断機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、車両から取得した車両情報に基づいて、前記車両のドライバの降車を判断する。制御装置10は、シフトレバー61のシフトレバー情報、車速センサ66の車速信号、施錠装置64の施錠信号から現在の車両の状態を取得し、自車両が走行中、降車準備時、施錠時のいずれの状態であるかを判断する。具体的には、シフトレバー情報がパーキング位置以外であり、車速信号が0km/hではない場合には、自車両が走行中であると判断する。車速信号が0km/hであり、シフトレバー情報がパーキング位置となった場合に降車準備中と判断する。さらに、施錠信号に基づいて施錠時と判断する。
最後に報知機能について説明する。降車判断機能によりドライバの降車後に乗員であると判断された物体が車内に存在している場合には、ドライバにその旨を報知する。報知機能は、降車判断機能と、乗員検出機能の処理結果に基づいてドライバが降車時に車両内に物体が置き去りにされていることを報知する。第1の報知態様としては、降車判断機能により降車準備中と判断されたタイミングにおいて、乗員検出機能が車室内の物体が乗員であると判断しているときには、ドライバに置き去りを報知する。第2の報知態様としては、降車状態判断機能が施錠時と判断されたタイミングにおいて、乗員検出機能が乗員と判断した物体が車室内に置去りにされていると判断しているときには、ドライバに置き去りを報知する。本実施形態の車室内監視システム1は、出力装置としてディスプレイ30、スピーカ40(ブザー機能を備える)を備え、報知機能の指令に呼応してテキストによる報知情報をディスプレイ30に表示し、又は音声による報知情報をスピーカ40により出力する。
続いて、本実施形態の車室内監視システム1の監視制御手順を、図7のフローチャートに基づいて説明する。図7には、車室内の乗員が置き去られていることを監視する処理を示す。本発明の乗員の検知処理については、後に詳述する。なお。図7に示す処理内容は、所定周期で連続的に行われる。
図7に示すように、ステップS1において、以降の処理の実行に使用するタイマーやカウンタ、フラグを初期設定する初期化の処理を実行する。次にステップS2において、制御装置10は、車載装置200から車両情報を取得する。車両情報は、シフトレバー情報、ヘッドライト動作情報、ワイパー動作情報、施錠情報、時間情報、車速情報、雨滴検知情報、照度、操舵情報、ナビゲーション装置70の案内情報又は外部から取得した情報を含む。
続くS3において、制御装置10は、ドライバの降車動作(又は運転動作)を判断する。本実施形態では、走行中(非降車)、降車準備時、施錠時のいずれの状態であるかを判断する。具体的に、制御装置10は、シフトレバー61がパーキング位置以外であり、車速信号が0km/hでない場合には自車両は走行中であると判断し、ステップS4へ進む。制御装置10は、車速信号が0km/hであり、シフトレバー61がパーキング位置となった場合には降車準備中と判断し、ステップS5へ進む。さらに、制御装置10は、施錠信号に基づいて施錠時と判断し、ステップS6へ進む。
ステップS4において、制御装置10は、自車両の現在の走行状態は走行中であると保持し、S7へ進む。そしてステップS5では、現在の車両状態を降車準備時であると保持し、S8へ進む。そしてステップS6では、現在の車両状態を施錠時であると保持し、S11へ進む。
ステップ4に続くステップS7において、制御装置10は乗車検出処理を行う。本実施形態の制御装置10は、乗員検出領域Xと外縁部領域Yにおける特徴をそれぞれ経時的に抽出し、乗員検出領域Xにおける経時的な特徴と外縁部領域Yにおける経時的な特徴とを比較し、当該比較の結果に基づいて車室内に存在する物体が乗員であるか否かを判断して乗員を検出し、ステップS2へ戻る。
ステップS5に続くステップS8において、前回処理のステップS7で判断した乗員検出処理に基づいて分岐処理を行う。ステップS7において、乗車乗員が存在すると判断されている場合、ステップS9へ進み、そうでなければ処理を終了する。
ステップS9において、制御装置10は、物体の置去りを検知する処理のためにカメラ20に後席を撮像させ、その撮像画像を格納する。
ステップS10において、制御装置10は、降車準備中のドライバに、乗員がいることを報知するための一次報知処理を行う。一次報知処理は、ディスプレイ30に、ステップS9においてカメラ12で撮像された画像を表示し、ドライバに乗員の存在を思い出させ、乗員の置忘れを防止させる。一次報知処理終了後、ステップ2へ戻る。
ステップS6に続くステップS11において、前回処理のステップS7で判断した乗員検出処理に基づいて分岐処理を行う。ステップS7において、乗車乗員が存在すると判断されている場合、ステップS12へ進み、そうでなければ処理を終了する。
続くステップS12において、置去り検知処理を行う。置去り検知処理は、カメラ20で現在の車室内画像を撮像し、前回処理のS9で取得し格納された画像と差分比較を行う。差分比較の結果、差分が存在しない場合、乗員は依然乗車中であり、車両から降りていないと考えられるので置去りされていると判断する。また、差分が存在する場合、乗車した乗員は降車していると判断する。
ステップS13において、ステップS12で判断した置去り検知処理に基づいて分岐処理を行う。ステップS12において、乗員の置去りがされていると判断されている場合、ステップS14へ進み、そうでなければ処理を終了する。
ステップS14において、乗員の置き忘れをドライバに報知するための二次報知処理を行う。二次報知処理は、スピーカ30により乗員の置忘れをドライバに警報する。そして、全体の処理を終了する。
なお、本実施形態では置忘れを警報して直ぐ終了するようにしているが、置忘れが解消されるまで、または、ドライバの意思(例えば再度の施錠動作)を確認できるまで警報を継続するようにしても良い。ドライバに物体の乗車を思い出させ、物体の置忘れを防止させる。2次報知処理終了後、処理を終了する。
次に、乗員検出処理を、図7のフローチャートに基づいて説明する。本実施形態の乗員検出処理は、図6に示す車室内監視処理のフロー中におけるステップS7に位置づけられる。
図7に示すように、ステップS701において、前回の処理の乗員検出処理の結果に基づいて分岐処理を行う。過去の乗員検出処理における結果が「乗車乗員が有る」という判断である場合には、処理を終了し、そうでなければS702以降の処理を行う。
ステップS702において、制御装置10は、各種車両情報を取得する。ステップS703において、ステップS702において取得した車両情報に基づいて現在の環境が雨天であるか、又は夜間であるかどうかの判断を行う。判断の手法は先述したいずれかの手法を用いることができるが、本処理例では、ワイパー63が動作中であれば雨天時であると判断し、ヘッドライト62が動作中であれば夜間時(周囲は暗い)と判断する。雨天又は夜間(明度が低い)と判断された場合にはS704へ進み、そうでない場合はS705へ進む。
S704において、制御装置10は、外縁部領域Yの設定位置を変更する。具体的に、制御装置10は、外縁部領域Yの設定位置を乗員検出領域Xの車両の天井側に配置する。具体的には図4Bのように領域Ybを含む外縁部領域Yを設定する。
ステップS705において、制御装置10は、車室内の物体の動きを判断する。具体的にはカメラ20にて撮影される乗員検出領域Xと外縁部領域Yの2つの領域において、逐次差分処理のよる変化情報を計算し、物体の動き情報を記憶する。
ステップS706において、ステップS702にて取得された車両情報から、現在、自車両が高速道路など自動車専用道を走行中であるかどうかの判断を行い、処理を分岐する。具体的には、ナビゲーション装置70から取得した走行情報(現在位置と走行中の道路の属性を含む)に基づいて、現在、自車両が高速道路など自動車専用道を走行しているかを判断する。自車両が高速道路など自動車専用道を通行していると判断されたら、ステップS707へ進み、そうでない場合はS708へ進む。
次にS707では、S705にて取得された物体の動き情報のうち、周波数成分の除去を行う。本実施形態では、制御装置10が記憶する乗員検出領域Xと外縁部領域Yの2つの領域の動き情報の値に対して周波数解析を行い、最大の周波数成分を除去する。周波数成分の除去が完了したら、S708へ進む。
ステップS708において、S705にて取得された動き情報より判断処理を行い、処理を分岐する。S705の結果、乗員検出領域Xにて動き情報が検出されたならば、ステップS709へ進み、そうでない場合はS712へ進む。
次に、S709において、S705にて検出された物体の動きが乗員によるものかそうでないかの判断処理を行う。S705にて検出処理を行った乗員検出領域Xと外縁部領域Yの2つの領域のうち、乗員検出領域Xのみに動きが検出された場合には、S705で検出された物体の動き情報は人員(乗員)によるものであると判断し、2つの領域の両方で動きが検出された場合には、S705で検出された物体の動き情報は人員(乗員)によるものでないと判断し、ステップS710へ進む。
ステップS710では、ステップS709の判断結果に基づいて分岐処理を行う。ステップS709の判断処理の結果、ステップS705で検出された動き情報が乗車乗員によるものであると判断された場合にはステップS711へ進み、そうでない場合にはステップS712へ進む。
ステップS711において、制御装置10は乗員検出結果として、運転手以外の乗車乗員が存在するという情報を保持し、処理を終了する。ステップS712において、制御装置10は乗員検出結果として、運転手以外の乗車乗員が存在しないという情報を保持し、処理を終了する。
本実施形態の乗員検出装置100によれば、以下の効果を奏する。
[1]本実施形態の乗員検出装置100によれば、乗員検出領域Xと、乗員検出領域Xの外側に位置する外縁部領域Yとの特徴の時間的な変化に基づいて、車室内の物体が乗員であるか又は外乱による虚像であるかを判別できるので、車室内の乗員を精度よく検知することができる。つまり、外乱光や車両運動によるノイズを除外するので、乗員乗車の誤検出を低減することができる。
[2]本実施形態の乗員検出装置100によれば、乗員検出領域Xにおいて特徴が検出された時間帯に、外縁部領域Yにおいて特徴が検出された場合には、検出された物体は乗員ではないと判断するので、外乱によって乗員検出領域Xに特徴が生じた場合でも、これを排除することができる。この結果、乗員を高い精度で検出することができる。
[3]本実施形態の乗員検出装置100によれば、乗員検出領域Xにおいて特徴が検出された時間帯に、外縁部領域Yにおいて特徴が検出されなかった場合には、前記検出された物体は乗員であると判断するので、外乱の無い環境で乗員検出領域Xに生じた特徴に基づいて乗員を正確に検出することができる。
[4]本実施形態の乗員検出装置100によれば、外縁部領域Yにおいて特徴が検出された時間帯と、その時間帯の後に付加される監視期間との間に、乗員検出領域Xにおいて検出された場合には、その検出された物体は乗員ではないと判断することにより、外乱光の影響を排除できる。すなわち、外乱が発生してからその影響が残る監視期間満了までは、検出された物体を乗員ではないと判断するので、外乱の影響で乗員検出領域Xに特徴が生じた場合でも、これを誤って乗員と判断することを抑制することができる。この結果、乗員を高い精度で検出することができる。
[5]本実施形態の乗員検出装置100によれば、外縁部領域Yを、乗員検出領域Xに対して車両の窓の像が映り込む領域側に設定するので、車両のサイドウィンドウやリヤウィンドウから差し込む光により生じる虚像を誤って乗員と判断することを抑制することができる。
[6]本実施形態の乗員検出装置100によれば、車両が高速道路を含む自動車専用道路を走行していると判断された場合には、乗員検出領域から抽出された経時的な特徴と外縁部領域から抽出された経時的な特徴とから、予め設定された所定の周波数成分を除去するので、高速道路など自動車専用道を通過するときに、車室内に侵入する外乱光のうち、防音壁の影などの影響を除外することができる。これにより、外乱光による誤検知の発生を抑制することができる。
[7]本実施形態の乗員検出装置100によれば、外縁部領域Yを、乗員検出領域Xの外縁の車両のサイドドア側に設定することにより、サイドドアウィンドウから差し込む外乱光の影響による誤検出を抑制することができる。
[8]本実施形態の乗員検出装置100によれば、車両の走行地点の天候が雨天であると判断した場合には、外縁部領域Yの設定位置を乗員検出領域の車両の天井側に配置するので、雨天時に後席に差し込む後方車両のヘッドライトや周辺街灯などの影響による誤検出を排除することができる。
[9]本実施形態の乗員検出装置100によれば、車両の走行時における明度が所定値未満であると判断した場合には、外縁部領域Yの設定位置を乗員検出領域Xの車両の天井側に配置するので、夜間などの周囲が暗いときに後席に差し込む後方車両のヘッドライトや周辺街灯などの影響による誤検出を排除することができる。
[10]本実施形態の乗員検出装置100によれば、ドライバの降車後に乗員の存在が判断された場合にはドライバにその旨を報知するので、上述のように高い精度で降車時における乗員の存在を判断し、その結果を乗員に伝達することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
すなわち、本明細書では、本発明に係る乗員検出装置100と車載装置200とを備える車室内監視システム1を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書では、本発明に係る乗員検出装置の一態様として、制御装置10と、カメラ20と、ディスプレイ30とを備える乗員検出装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
本明細書では、画像取得手段と、乗員検出手段と、を備える本発明に係る乗員検出装置の一例として、画像取得機能と、乗員検出機能とを実行する制御装置10を備える乗員検出装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
本明細書では、画像取得手段と、乗員検出手段と、走行状態判断手段と、天候判断手段と、明度判断手段と、降車判断手段と、報知手段とを備える本発明に係る乗員検出装置の一例として、画像取得機能と、乗員検出機能と、走行状態判断機能と、天候判断機能と、明度判断機能と、降車判断機能とを実行する制御装置と、ディスプレイ30/スピーカ40と、カメラ20とを備える乗員検出装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。