JP6130679B2 - 脆弱試料の引張特性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脆弱試料の引張特性評価方法および引張特性評価装置に関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、ES細胞等の利用が試みられている。
このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用などの検討が進められている。
このような細胞培養物を臨床応用する場合には、その適用可能性や有効性、安全性などを担保するため、製造方法を最適化する指標の設定や、品質管理の一環としてシート状細胞培養物の強度を測定することが必要である。特許文献1には、細胞培養物の培養基材からの脱着の容易性などから定性的・経験的にその強度を推定したことが記載されている。また、特許文献4には、シート状細胞培養物などの脆弱試料を、該試料が液中もしくは液面に位置する状態で、荷重測定装置に連結された固定表面に固定し、その引張特性を測定する方法および装置が記載されている。
特表2007−528755号公報 特開2010−81829号公報 特開2010−226991号公報 特開2012−159408号公報
本発明の目的は、脆弱なシート状細胞培養物、さらには脆弱な材料一般に広く適用可能で、簡便に実施できる引張特性評価方法、および、当該方法に用いる引張特性評価装置などを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を進める中、培養基材から遊離させた脆弱なシート状細胞培養物を、摩擦抵抗の高い疎水性表面に設置し、このシート状細胞培養物に糸を掛け、この糸を荷重測定器につなぐことにより、かかるシート状細胞培養物の引張特性を正確に測定できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)脆弱試料を固定表面に設置する工程と、前記脆弱試料に線条体を係止する工程とを含む、脆弱試料の引張特性評価方法。
(2)試料の破断荷重が1N未満である、上記(1)に記載の方法。
(3)試料がシート状細胞培養物である、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)脆弱試料を固定できる固定表面と、脆弱試料に係止された線条体が接続できる荷重測定装置とを備えた、脆弱試料の引張特性評価装置。
(5)荷重負荷装置をさらに備えた、上記(4)に記載の装置。
(6)自動線条体係止機構をさらに備えた、上記(4)または(5)に記載の装置。
本発明の引張特性評価方法および引張特性評価装置により、脆弱な材料の引張特性を簡単な操作で評価することが可能となり、シート状細胞培養物などの製造方法の最適化や品質管理の拡充に資することができる。
図1は、本発明の引張特性評価方法の概念図である。 図2は、実施態様1の引張特性評価装置の外観を示した図である。 図3は、実施態様1の引張特性評価装置の平面図である。 図4は、図3のA−Aの断面図である。 図5は、針刺入装置の背面図である。 図6は、針刺入装置の左側面図である。 図7は、図6のC−Cの断面図である。 図8は、図5のB−Bの断面図である。 図9は、針刺入装置により、試料に針部が刺入された状態を示した図である。 図10は、針受容装置が、針刺入装置から針部を受容した状態を示した図である。 図11は、針受容装置がアタッチメントの下部に移動した状態を示した図である。 図12は、針部をアタッチメントに吸着させた状態を示した図である。 図13は、試料に対する引張荷重の負荷の準備が完了した状態を示した図である。 図14は、試料に係止された線条体を介して、試料に引張荷重を負荷している状態を示した図である。 図15は、実施態様2の引張特性評価装置の外観を示した図である。 図16は、実施態様2の引張特性評価装置の平面図である。 図17は、図16のD−Dの断面図である。 図18は、試料に線条体が係止された状態を示した図である。 図19は、試料に係止された線条体を介して、試料に引張荷重を負荷している状態を示した図である。 図20は、スタンバイ状態に復帰している状態を示した図である。
以下、本発明の好適な実施態様に基づき、本発明を説明する。
[引張特性評価方法]
まず、本発明の脆弱試料の引張特性評価方法について説明する。
本発明の脆弱試料の引張特性評価方法は、脆弱試料を摩擦抵抗の高い疎水性表面に固定する工程(固定工程)と、前記脆弱試料に線条体を係止する工程(線条体係止工程)とを含む。
また、本実施態様の脆弱試料の引張特性評価方法は、固定工程と、線条体係止工程と、脆弱試料に係止された線条体を介して該脆弱試料に引張荷重を負荷し、引張特性を評価する工程(引張特性評価工程)とを有している。
<固定工程>
固定工程においては、脆弱試料(以下、単に試料ともいう)を摩擦抵抗の高い表面(以下、固定表面ともいう)に固定する。
本発明において、脆弱試料とは、液体外で試料のつかみ具への固定がなされる従来の引張試験機(例えば、JIS K 7161等に記載のもの)での引張特性の評価が、その脆弱性のために困難であるか、実質的に不可能である試料を指す。かかる試料としては、例えば、引張特性の各数値が小さく、従来の引張試験機では正確に測定することが困難な試料などが挙げられる。かかる脆弱試料としては、引張試験において、例えば、10N(ニュートン)未満、5N未満、2N未満、1N未満、0.5N未満、0.1N未満、0.05N未満の破断荷重を示すものが挙げられる。また、従来の引張試験の測定限界は、破断荷重として一般に1N程度であるため、本発明の一態様においては、これを下回る破断荷重(例えば、0.5N未満)を示すものが脆弱試料として好ましい。
本発明における脆弱試料には、シート状細胞培養物や、プラスチック、紙、織布、不織布、金属、高分子、脂質といった種々の材質のフィルム等が含まれる。脆弱試料は、シート状、柱状、線状、管状などいずれの形状であってもよいが、固定のしやすさなどの観点からシート状であることが好ましい。したがって、本発明における好ましい脆弱試料としては、限定されずに、シート状細胞培養物や、種々の材質のフィルムなどが挙げられる。脆弱試料は、1枚のみを単層の状態で引張試験に供してもよいし、2枚以上を重ねた積層の状態で引張試験に供してもよい。後者の場合、積層の各層は互いに連結していても、連結していなくてもよく、連結している場合は、重なり合っている部分が全て連結していても、部分的に連結していてもよい。積層状態のシート状細胞培養物は、例えば、単層もしくは多層のシート状細胞培養物上に、別の単層もしくは多層のシート状培養物を重ね、所定の時間培養することにより作製することができる。
本発明における脆弱試料は、幅や直径が全長にわたって一様であってもなくてもよい。試料に引張荷重をかけると、試料を固定している部分に応力が集中する傾向があるため、例えば、固定表面に固定される試料の部分の幅や直径および/または線条体が係止される試料の部分の幅や直径を、試料の中央部分に比べて大きい形状とすることで、引張試験時に試料固定部分および/または線条体係止部分に負荷される応力を軽減することができる。かかる形状としては、例えば、限定されずに、JIS K7127に記載の試験片タイプ1B、4、5などのようなダンベル形状が挙げられる。試料を成形する場合は、端が滑らかでノッチがないようにすることが好ましい。試料の成形は、例えば切断や打抜きなどによって行うことができる(例えば、JIS K7127、「6.2 試験片の調整」の項を参照)。また、試料が細胞培養物である場合、所望の形状の培養面を有する細胞培養容器で培養することにより、切断や打抜きを行うことなく所望の形状の細胞培養物試料を得ることができる。細胞培養物試料の引張特性測定部分を、培養面の形状以外は、同ロットの他の細胞培養物と同じ培養条件で培養すれば、上記のようにして得た細胞培養物試料を同ロットの細胞培養物を代表する標本として用いることができる。細胞の培養条件や、培養容器は当業者に周知のものを適宜採用することができる。
本発明において、「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいい、典型的には1の細胞層からなるものであるが、2以上の細胞層から構成されるものも含む。細胞同士は、直接および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。
シート状細胞培養物は、上記の構造を形成し得る任意の細胞から構成される。かかる細胞の例としては、限定されずに、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞)、心筋細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、滑膜細胞、上皮細胞(例えば、角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞)、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、歯根膜細胞、皮膚細胞などが挙げられる。本発明においては、単層の細胞培養物を形成するもの、例えば、筋芽細胞などが好ましい。細胞は、細胞培養物による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物には、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。また、シート状細胞培養物の形成に用いる細胞は1種類のみであってもよいが、2種類以上の細胞を用いることもできる。本発明の好ましい態様において、細胞培養物を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の比率(純度)は、細胞培養物製造終了時において、65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
また、本発明において、シート状細胞培養物は、好ましくは、細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。シート状細胞培養物は、同一条件で作製された複数のシート状細胞培養物からなるシート状細胞培養物のロットを代表するものであってもよい。この場合、本方法によりかかるシート状細胞培養物に対してなされた引張特性の評価結果を、同培養物が属するロット全体に適用することができる。
シート状細胞培養物は、任意の既知の手法によって製造されたものであってよい。シート状細胞培養物の製造方法は、例えば特許文献1〜3等に記載されている。
本発明において、固定表面は引張特性を評価する試料を固定し、これに引張荷重を負荷する表面を指す。固定表面は、所望の引張荷重を負荷しても試料を保持していることができるものであれば特に限定されず、種々の材質および形状のものを用いることができる。したがって、引張荷重を負荷したときに試料と固定表面との間に作用する固定力、すなわち、試料が引張荷重と同方向に移動することを阻止する力が、試料の引張特性の評価に必要な荷重より大きくなるよう、固定表面を構成しなければならない。かかる固定力は、実際に測定するのと同種の試料を固定表面に固定し、これに、引張特性評価時と同条件で引張荷重を負荷してその荷重を測定することにより適宜決定することができる。かかる固定力の測定に用いる試料は、実際に測定する試料と同じ大きさおよび形状のものであってもよいが、固定表面に固定する部分の形状および面積は実際に測定する試料と同じだが、それ以外の部分の断面積が実際に測定する試料より大きくなるよう成形したものであってもよい。このようにすることにより、実際の引張特性評価時に負荷する引張荷重より大きな荷重を負荷して固定力を測定することができ、固定力が実際の引張特性評価時に負荷する引張荷重より大きいことを確認することが可能となる。固定力の測定は、後述のような荷重測定装置により行うことができる。
固定表面の材質としては、限定されずに、例えば、ステンレスなどの金属、ポリプロピレンなどのプラスチック、メッシュ、ガーゼなどが含まれる。固定表面は疎水性であっても親水性であってもよいが、水分を含む試料(例えば、シート状細胞培養物など)に対しては疎水性のものが一般的に固定力が高く、好ましい。固定表面の材質は、固定する試料に対して摩擦抵抗の高いものが好ましい。試料がシート状細胞培養物である場合、摩擦抵抗の高い材質としては、例えば、ステンレスなどの金属やポリプロピレンなどのプラスチックなどが挙げられる。固定表面の表面は平滑でもよいが、固定力を増大させるために、凹凸、湾曲、溝、突起、試料貫通機構(例えば針など)、細孔、吸盤、吸引孔などの固定力増大構造を設けることもできる。この場合、固定力増大構造と試料との接触面積を大きくしたり、固定力増大構造を固定表面に偏りなく配置したりすることで、応力集中による試料の損傷を防ぐことができる。
固定表面の大きさは、試料を設置した場合に十分な固定力が得られるように設定する。一般に試料との接触面積が大きい程大きな固定力が得られるため、固定表面が、試料が固定表面と接触する部分より大きいことが好ましい。
固定表面は、試料の1つの面のみを固定するものであっても、2つ以上の面を固定するものであってもよい。前者の場合、試料は、その1つの面のみで固定表面に固定される。この場合、典型的には、試料は、固定表面の上部に固定される(図1など参照)。固定表面が、試料の2つ以上の面を固定するものである場合、試料は、例えば、2部材構造の固定表面の部材間に固定することができ、これにより、固定表面は試料の上面および底面の2つの面を固定することになる。
本発明において、脆弱試料の固定表面への固定は、典型的には試料を固定表面上に載せることによって行われる。液中で形成され、液体外に取出した際に、自重で破断したり、亀裂を生じたり、折れて皺になったり、丸まってしまう可能性のある試料(例えば、一部のシート状細胞培養物)の場合は、試料を液中に遊離させ、液中に入れた固定表面で試料を下からすくい上げたり、固定表面を試料の下面に接触させた状態にして液面を低下させたりすることなどにより、試料を固定表面上に載せることができる。また、シート状細胞培養物については、既知の種々の移送デバイス(例えば、特開2010−220488、特開2011−110367、特開2012−029909、特開2012−039906など)を利用して、シート状細胞培養物を培養容器から固定表面に移送することができる。移送に際しては、特開2011−172925に記載されているように、シート状細胞培養物を、ゼラチン、フィブリン糊(フィブリノーゲンとトロンビンとを反応させて得られる)などの、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する組成物で被覆することもできる。
固定表面上の試料の固定位置は、十分な固定力が得られれば特に限定されず、試料における固定表面と接触し得る面(以下、接触可能面ともいう。典型的には試料の底面)が固定表面からはみ出さない位置であっても、接触可能面の一部が固定表面からはみ出すような位置であってもよい。接触可能面の一部が固定表面からはみ出ていると、線条体係止操作をより容易に行なうことができる。
固定表面に吸盤や吸引孔などの吸着機構が設けられている態様においては、液中または液面に存在する試料の1面に固定表面を接触させ、吸着機構により吸着させることで、試料を固定することができる。
固定表面が互いに対向する2つの部材を含む構造からなる態様においては、試料を当該2つの部材間に挟むことによって試料を固定することができる。この場合、固定表面に、その2つの部材を互いに接近させる機構が設けられていてもよい。かかる機構としては、限定されずに、例えば、磁力によるもの、機械的結合、例えば嵌合、係合、係止などによるもの、部材間をつなぐ弾性構造によるもの、両部材を外側から圧迫する締付け部材によるもの等が挙げられる。試料は、2つの部材で同時に挟んでもよいし、まず一方の部材に設置してから、他方の部材を接触させてもよい。例えば、2つの部材が上下に配置されている場合、まず下側の部材を試料の底面と接触させた後に、上側の部材を試料の上面に被せるようにして試料を固定してもよい。
<線条体係止工程>
次に、線条体係止工程(線条体が糸の場合は糸掛け工程ともいう)では、試料に線条体を係止する。線条体を係止するとは、すなわち、試料の厚みを有する部分の一部位から他部位にかけて厚み部分を線条体が貫通した状態を供することである。試料が膜状である場合、試料の厚み部分の一面から他面にかけて線条体が貫通した状態を供することである。
線条体は、試料に係止したときに、試料に過度の損傷を与えない線状の物体であれば特に限定されず、例えば、既知の任意の糸、細径の線材などを用いることができる。線条体は、天然素材(例えば、絹、綿、金属など)でできていても、合成素材(例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、炭素繊維など)でできていてもよく、軟性であっても、硬性であってもよい。
線条体として糸を用いる場合、それは編み糸(撚り糸)であってもモノフィラメントであってもよい。試料の損傷を軽減するために、針付きの糸、例えば、針付き縫合糸を用いることもできる。また、試料内を通過する際の摩擦が少ないもの、例えば構造的にはモノフィラメント糸、材質的には合成糸や、金属製のワイヤなどが好ましい。糸の太さは、例えば、縫合糸の公称号数として、10−0〜1−0の範囲、すなわち、直径0.020〜0.399mmの範囲であってもよいが、測定に過度の悪影響を与えなければ、この範囲に含まれない太さの糸も使用できる。
糸は、針を介して試料に通すことができる。針は、丸針、角針、直針、曲針など既知の任意のものを用いることができる。このうち、試料への損傷が少ない丸針が好ましい。糸を試料に通す手法は、試料に過度の損傷を与えないものであれば特に限定されず、例えば、試料の一部をピンセットなどで持ち上げて、試料の固定表面から離れた部分に糸を通してもよいし、針を固定表面と試料との間に挿入し、下から上へ糸を通してもよい。また、糸が試料を貫通しても曲がらない程度の剛性を有している場合は、針を介さず、糸を直接試料に通してもよい。この場合、糸の先端を、角度をつけて切断するなどして尖らせると、試料への刺入を容易にすることができる。
線条体の係止を容易にするために、固定表面に、荷重負荷方向と平行な1本または2本以上のスリットを設けることができる。これにより、例えば、試料を固定表面から持ち上げたり、針を固定表面と試料との間に挿入したりすることなく、針をスリットを介して試料に刺入し、試料の下側にある糸を、スリットを通して荷重測定器に接続できるようにすることが可能となる。
線条体が試料を通過する箇所は1箇所または2箇所以上であってもよいが、荷重負荷時に応力集中が起こらないよう、2箇所以上とすることが好ましい。この場合、使用する線条体は1本であっても、複数本であってもよい。
<引張特性評価工程>
荷重負荷工程では、脆弱試料に係止した線条体を介して該脆弱試料に引張荷重を負荷し、引張特性を評価する。
引張特性は、引張試験により評価できる種々の特性を意味し、例えば、限定されずに、引張強度(強さ)、引張破断(破壊)応力、引張破断(破壊)荷重、引張降伏応力、x%ひずみ時引張応力、引張ひずみ、引張降伏ひずみ、引張破断(破壊)ひずみ、引張強度(強さ)時ひずみ、引張呼びひずみ、引張破壊(破断)時呼びひずみ、引張強度(強さ)時呼びひずみ等が挙げられる。これら各特性の定義は、例えば、JIS K7161、ISO 527-1などの規格に記載され、当業者に周知であるため、ここで詳細には記載しない。本発明の一態様において、評価する引張特性は、引張強さ、引張破断応力および引張破断荷重からなる群から選択される。
引張特性は、荷重測定装置で評価することができる。荷重測定装置としては、10N未満の低い荷重を測定できるものであれば特に限定されず、任意の市販製品(例えば、フォースゲージ、プッシュプルゲージ、ロードセル、引張試験機、摩擦係数測定機、摩擦角測定機等)を用いても、本発明の方法を行うために特別に作製してもよい。本方法で測定する荷重は極めて小さいため、0Nから測定可能で、分解能が0.01N以下のもの、例えば、限定されずに、分解能が0.01N、0.005N、0.001N、0.0005N、0.0001Nのもの等が好ましい。荷重測定装置は、独立して存在しても、固定表面と連結されていても、固定表面と一体化されていてもよい。また、荷重測定装置は、試料に引張荷重を負荷する手段として機能することもできる。この場合、荷重測定装置は、これを引っ張る牽引手段などに連結されていてもよい。
引張特性の評価は、固定表面に固定した試料に、同試料に係止された線条体を介して引張荷重を負荷することにより行う。引張荷重の負荷は、例えば、試料の伸び率が一定になるように負荷荷重の変更を行うものであってもよいし、負荷荷重の増大率が一定になるように行うものであってもよいし、その他の方法により負荷荷重の大きさを適宜変更するものであってもよい。試料の伸び率が一定になる場合(引張速度を一定とする場合)、例えば、JIS K7161、ISO 527-1などに記載される各種引張特性を容易に適用することができるが、予め、試料の伸び率と負荷荷重の大きさとの関係を大まかに把握しておく必要がある。この場合の引張速度としては、限定されずに、例えば、0.1〜500mm/分、1〜200mm/分、2〜100mm/分、5〜50mm/分、10〜30mm/分、より特定的には、1mm/分、2mm/分、5mm/分、10mmm/分、20mm/分、50mm/分、100mm/分、200mm/分、500mm/分などとすることができる。一方で、負荷荷重の増大率が一定になるように行う場合、上記のような関係を把握しておく必要がないため、簡便な試験が実現される。引張荷重の負荷は、手動で行っても、機械的に行ってもよい。
引張特性の評価に、応力−ひずみ曲線などのグラフを利用することができる。引張応力σ(MPa)は、引張荷重F(N)を試料の初期断面積A(mm)で除したもの(σ=F/A)であり、引張ひずみは、試料に付した標線間距離の増加を初期標線間距離で除したものであり、引張呼びひずみは、固定表面間距離の増加を初期固定表面間距離で除したものであるため、これらのパラメータを測定することにより、応力−ひずみ曲線を作成することができる。
最も単純な引張特性の評価は、引張破断荷重を指標とするものであり、この場合は、試料が破断した際の引張荷重を測定すれば足りる。
[引張特性評価装置]
次に、脆弱試料の引張特性評価装置について説明する。
本発明の引張特性評価装置は、脆弱試料を固定できる固定表面と、荷重測定装置とを備えている。
また、本実施態様の脆弱試料の引張特性評価装置は、脆弱試料を固定できる固定表面と、荷重測定装置と、自動線条体係止機構とを備えている。自動線条体係止機構は、線条体の係止を自動的に行なうものであり、この機構により、線条体係止時の針の刺入位置や刺入速度などが均一化され、測定の再現性を向上させることができる。脆弱試料、固定表面および荷重測定装置については、本発明の引張特性評価方法について説明したものと同様であるため、以下では、図2〜20を参照して、主に本実施態様の自動線条体係止機構について説明する。
<自動線条体係止機構>
(実施態様1)
実施態様1の引張特性評価装置10Aにおいては、針付き糸20Aを線条体として用い、試料5の上部に配置された針刺入装置61で線条体20Aの針部21を試料5に刺入し、試料5を貫通した針部21を、試料5の下部に配置された針受容装置62で保持し、針部21を保持した針受容装置62がロードセル30Aのアタッチメント31まで移動して針部21をアタッチメント31に取り付けることにより、線条体20Aが試料5に自動的に係止される。以下、図2〜14を参照して、より具体的に説明する。
まず、各部の構造を説明する。図2にスタンバイ状態の引張特性評価装置10Aの外観を、図3に試料を設置する前の引張特性評価装置10Aの平面図を、図4に針刺入準備状態の引張特性評価装置10Aの断面図をそれぞれ示す。
固定表面41Aは、クロスヘッド44Aに取り付けられた試料台40Aの上面の、ロードセル30Aとは反対側の部分に設けられている。試料台40A上面の残りの部分には、固定表面41Aに接して低摩擦表面42Aが設けられており、引張荷重が負荷された試料5が伸展できるようになっている。低摩擦表面42Aには針部21の刺入位置を含むようにして、引張荷重の負荷方向に水平の、ロードセル30A側に開口するスリット43Aが設けられており、試料5を貫通した線条体20Aがスリット43Aに沿って移動し、試料台40Aから離れることができるようになっている。クロスヘッド44Aは、フレーム11Aに取り付けられたねじ棹45A上を、ねじ棹45Aの回転に従って、引張荷重負荷方向と水平に移動することができるようになっており、これにより試料5に引張荷重を負荷することができる。
荷重の負荷は、例えば、試料5の伸び率が一定になるように負荷荷重の変更を行うものであってもよいし、負荷荷重の増大率が一定になるように行うものであってもよいし、その他の方法により負荷荷重の大きさを適宜変更するものであってもよい。試料5の伸び率が一定になる場合(引張速度を一定とする場合)、例えば、JIS K7161、ISO 527-1などに記載される各種引張特性を容易に適用することができ、引張速度としては、限定されずに、例えば、0.1〜500mm/分、1〜200mm/分、2〜100mm/分、5〜50mm/分、10〜30mm/分、より特定的には、1mm/分、2mm/分、5mm/分、10mmm/分、20mm/分、50mm/分、100mm/分、200mm/分、500mm/分などとすることができる。
荷重測定装置は、ロードセル30Aとアタッチメント31とを備え、アタッチメント31には、線条体20Aの、針が取り付けられていない側の端部が固定されている。アタッチメント31には、針受容装置62により移送されてきた針部21を受け取り、そのまま測定期間中保持するための針収容溝311が設けられている。針収容溝311は磁性体となっており、スチールなどの強磁性体でできた針部21を吸着することができるようになっている。これにより、試料5と、ロードセル30Aのアタッチメント31とが、線条体20Aを介して連結することとなり、その状態で試料5に負荷される引張荷重の測定を行う。
自動線条体係止機構60Aは、固定表面41Aを含む水平面より上側に配置された針刺入装置61と、試料台40A下面を含む水平面より下側に配置された針受容装置62とを含む。針刺入装置61の外観を図5および6に示す。針刺入装置61は外筒611と内筒612とを備え、内筒612は外筒611に摺動可能に取り付けられている。内筒612には、背面から下面にかけて、線条体20Aの進入を可能にするスリット6125が開口している。針刺入装置61の断面を図7および8に示す。外筒611内部には、内筒612の上面に当接するバネ6113と、内筒612の上面に取り付けられた牽引ワイヤ6112の長さを制御するサーボモータ6111が備えられており、外筒611から突出する内筒612の長さを自在に調節できるようになっている。内筒612内部には、線条体20Aを支持する上部ガイドローラ6121、上部ガイドローラ6121を収容する空洞(上部ガイドローラ収容スペース6123)、上部ガイドローラ6121を支持するシャフト6122、該シャフトに接続されたサーボモータ6124(上部ガイドローラシャフト用サーボモータともいう)、および、針部21を吸着する電磁石6126が備えられている。上部ガイドローラ6121は、サーボモータ6124の回転軸を中心にして、図7の矢印が示すように円弧状に回動することができる。これにより、線条体20Aを引っ掛けたり、リリースしたりすることが可能となる。
針受容装置62は、フレーム11Aに設けられたガイドレール63に摺動可能に取り付けられており、駆動ベルト64によって、針刺入装置61の下からロードセル30Aのアタッチメント31まで自在に移動することができる。針受容装置62も、針刺入装置61と同様、外筒621と、これに摺動可能に取り付けられた内筒622とを備え、外筒621内部に備えられた、内筒622の下面に当接するバネ6213と、内筒622の下面に取り付けられた牽引ワイヤ6212の長さを制御するサーボモータ6211とにより、外筒621から突出する内筒622の長さを自在に調節できるようになっている。内筒622の上面には、針部21を受容する針受容孔6221が開口しており、この孔に近接して内筒内部に設けられた電磁石6222の作用により、針受容孔6221に挿入された針部21を保持することができる。
フレーム11Aにはさらに、試料台40A下面を含む水平面の直下の、針刺入装置61により刺入される針部21にロードセル30A側から接する位置に、下部ガイドローラ65が設けられている。下部ガイドローラ65は、逆L字型のシャフト66を介してフレーム11A底部に取り付けられており、このシャフト66を中心に、フレーム11A底面と平行な水平面を円弧状に回動することができる。これにより、上部ガイドローラ6121と同様に、線条体20Aを引っ掛けたり、リリースしたりすることが可能となる。
次に、引張特性評価装置10Aの作動方式を説明する。測定開始前のスタンバイ状態では、試料台40Aは、試料5を針刺入装置61に阻害されずに配置できるよう、ロードセル30Aとは反対側の、針刺入装置61から離れた位置にあり、針刺入装置61には線条体20Aの針部21が設置されている。また、針受容装置62の内筒622は、外筒621から突出した状態にある(図2)。試料5を、固定表面41Aによって十分固定されるよう試料台40Aに配置した後、試料台40Aは、針刺入位置までロードセル30A側に移動する(図4)。試料台40Aが所定の位置で停止すると、サーボモータ6111とバネ6113の作用で、針刺入装置61の内筒612が下方にスライドし、これにより線条体20Aの針部21が試料5を貫通し、針受容装置62の針受容孔6221に挿入される(図9)。針部21が針受容孔6221に挿入されると、針受容装置62の電磁石6222が作動して針部21を吸着する一方、針刺入装置61の電磁石6126がオフになり、針部21が針刺入装置61から離れる。次いで、針受容装置62のサーボモータ6211が作動し、内筒622が外筒621に引き込まれ、針部21が試料5を完全に通過し、線条体20Aの柔軟な糸部22が試料5に接するようになる(図10)。その後、下部ガイドローラ65が糸部支持位置に回動し、針受容装置62はロードセル30Aのアタッチメント31の下部に移動し(図11)、内筒622と共にそこに保持されている針部21を押し上げ、アタッチメント31の針収容溝311に吸着させる(図12)。
この過程で、線条体20Aの糸部22が試料5を通して移動することになるが、糸部22は上部ガイドローラ6121と、その鉛直下方に位置する下部ガイドローラ65とに支持され、試料5に対して絶えず垂直に移動するため、糸部22が試料5を通して移動しても、実質的に試料5に水平方向の力がかかることはない。針部21がアタッチメント31に取り付けられると、針受容装置62の電磁石6222がオフになると共に、内筒622が下がり、針部21が針受容装置62から離れ、また、各ガイドローラ(6121および65)がリリース方向に回動し、線条体20Aから離れる(図13)。こうして線条体20Aが試料5に係止されると、クロスヘッド44Aがロードセル30Aと反対側に移動を開始し、引張荷重の測定が行われる。測定が終了すると、針受容装置62の内筒622が上昇し、アタッチメント31に取り付けられた針部21を針収容孔6221に収め、電磁石6222が作動して針部21を吸着する。内筒622が下がると、電磁石6222の吸着力がアタッチメント31の磁性体の吸着力に勝るため、針部21がアタッチメント31から外れる。次いで、針受容装置62は針刺入装置61の下に移動し、内筒622を上昇させ、針部21を針刺入装置61のスリット6125に挿入する。そして、針刺入装置61の電磁石6126が作動する一方、針受容装置62の電磁石6222がオフになり、針部21が針刺入装置61に装着され、スタンバイ状態に復帰する。
(実施態様2)
実施態様2の引張特性評価装置10Bにおいては、一端が針状に尖ったL字型の硬性の細径線材20Bを線条体として用い、これを試料5の下部から刺入することで、線条体20Bが試料5に自動的に係止される。以下、図15〜20を参照して、より具体的に説明する。
まず、各部の構造を説明する。図15に引張特性評価装置10Bの外観を、図16に試料を設置する前の引張特性評価装置10Bの平面図を、図17にスタンバイ状態の引張特性評価装置10Bの断面図をそれぞれ示す。
固定表面41Bは、クロスヘッド44Bに取り付けられた試料台40Bの上面の、ロードセル30Bとは反対側の部分に設けられている。試料台40B上面の残りの部分には、固定表面41Bに接して低摩擦表面42Bが設けられており、引張荷重が負荷された試料5が伸展できるようになっている。低摩擦表面42Bには線条体20Bの刺入端25の刺入位置を含むようにして、引張荷重の負荷方向に水平の、ロードセル30B側に開口するスリット43Bが設けられており、試料5を貫通した線条体20Bの立ち上がり部24がスリット43Bに沿って移動し、試料台40Bから離れることができるようになっている。試料台40Bは、下部に昇降装置46を備えており、試料5を線条体20Bおよび支持板32に対して上下させることができる。クロスヘッド44Bは、フレーム11Bに取り付けられたねじ棹45B上を、ねじ棹45Bの回転に従って、引張荷重負荷方向と水平に移動することができるようになっており、これにより試料5に引張荷重を負荷することができる。
荷重測定装置は、ロードセル30Bを備え、ロードセル30Bには、線条体20Bの非尖鋭端が取り付けられている。ロードセル30Bは、線条体20Bを支持する支持板32を備えており、線条体20Bの水平部23は支持板32上を摺動する。支持板32の線条体20Bと接する表面は、線条体20Bと支持板32との間の摩擦力が、線条体20Bの挙動に与える影響を最小化するために、摩擦抵抗が小さい素材で構成されているか、潤滑剤の塗布などによる摩擦低減処理が施されている。
線条体20Bは、一端が針状に尖った刺入端25を構成する、L字型の硬性の細径線材で構成され、刺入端25が試料5に対して垂直に配向するよう、ロードセル30Bに取り付けられている。刺入端25の向きを安定させるため、2本の線条体(20Baおよび20Bb)を、固定具などにより一定の間隔を開けて相互につないでもよい。また、L字の形状は直角であっても、刺入端25の試料5への刺入を妨げない範囲で、やや鋭角となっていてもよい。
自動線条体係止機構は、試料5に対して垂直に配置された、線条体20Bの立ち上がり部24および刺入端25を支持する支持板32と、昇降装置46を備えた、スリット入りの試料台40Bとを含む。
次に、引張特性評価装置10Bの作動方式を説明する。測定開始前のスタンバイ状態では、試料台40Bの下面は、線条体20Bの刺入端25より上に位置しており、線条体20Bの刺入端25は、刺入位置の垂直下方に位置している(図16)。試料5が設置されると、昇降装置46により試料台40Bが下降し、刺入端25がスリット43Bを通過して試料5を貫通し、線条体20Bが試料5に係止される(図18)。次いで、クロスヘッド44Bがロードセル30Bと反対側に移動を開始し、引張荷重の測定が行われる(図19)。測定が終了すると、試料台40Bは、スタンバイ状態の位置に戻る(図20)。
以上、本発明を好適な実施態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明においては、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
例えば、クロスヘッドなどの荷重負荷装置は、荷重測定装置に連結され、荷重測定装置を介して試料に引張荷重を負荷する構成とすることができる。
また、本発明の引張特性評価装置は、細胞培養用のインキュベーターや、シート状細胞培養物の剥離装置、ならびに解離された細胞の特性を解析する装置、例えば細胞数を測定する細胞計数装置(ベックマン社製コールターカウンターなど)、バイアビリティを測定する生死細胞自動測定装置、純度を測定するフローサイトメーター等と一体化または接続することにより、細胞の培養からシート状の細胞培養物の作製、その品質管理までを自動化することができる。
以下に、本発明を図面を参照してより詳細に説明するが、これは本発明の特定の具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 シート状細胞培養物の作製
引張特性を評価するための試料として、シート状骨格筋芽細胞培養物を作製した。骨格筋芽細胞としては、ヒト骨格筋試料より単離したヒト骨格筋芽細胞を、FBSを含むMCDB131培地(GIBCO製)で増殖させた後、回収し、DMSOを含む凍結保存液内で凍結保存し、凍結保存した細胞を約37℃に設定したウォーターバス内で解凍し、ヒト血清アルブミンを含む緩衝液で洗浄したものを用いた。
上記のヒト骨格筋芽細胞を、ヒト血清を含有するDMEM/F12培地(GIBCO製)を入れた温度応答性培養皿(UpCell(R)10cmディッシュ、セルシード製)に6×10個/cmの密度で播種し、37℃、5%COで24時間培養し、単層のシートを形成させた後、培養皿の温度を20℃に降下させてシート状細胞培養物を培養皿から剥離した。得られた細胞培養物の寸法は、43×41mm、厚さ73μmであった。
実施例2 シート状細胞培養物の引張破断荷重の測定
実施例1で作製したシート状細胞培養物を、液中で伸展させた状態で、ステンレス製の腸べら(固定表面、幅45mm)ですくい上げ、シート状細胞培養物が固定表面に付着した状態で液外に配置した。針付き縫合糸(6−0プロリン)を、シート状細胞培養物と固定表面との間に差し込み、シート状細胞培養物の下面から上面に貫通させた。こうして、図1に示すような状態で糸(線条体2)が試料5に係止された。糸の両端を結び合わせて環状にし、これをゲージ(汎用形デジタルフォースゲージ、FGC−1B、日本電産シンポ製)につないだ。シート状細胞培養物に係止した糸を、ゲージを介して水平方向に引っ張り、試料破断時までの最大荷重(引張破断荷重)を測定した。同様の測定を、シート状細胞培養物とほぼ同じサイズおよび形状に切り取った、湿らせたワイピングクロス(キムワイプ、日本製紙クレシア製)についても行なった。結果を下表に示す。なお、表中の引張破断荷重の数値は、同じ試料の異なる3箇所の測定値の平均値である。
Figure 0006130679
上記結果が示すとおり、本発明の方法により引張破断荷重が0.007Nという極めて脆弱な試料の測定が簡便な手法で実施できることが分かる。また、2枚重ねのワイピングクロスの引張破断荷重が、積層していない1枚のワイピングクロスのものの約2倍になっていることから、本発明の方法の測定値が信頼性の高いものであることが分かる。
10A、10B 引張特性評価装置
11A、11B フレーム
2 線条体
20A、20Aa、20Ab、20B、20Ba、20Bb 線条体
21、21a、21b 針部
22、22a、22b 糸部
23、23a、23b 水平部
24、24a、24b 立ち上がり部
25、25a、25b 刺入端
3 荷重測定器
30A、30B ロードセル
31 アタッチメント
311、311a、311b 針収容溝
32 支持板
4 固定表面
40A、40B 試料台
41A、41B 固定表面
42A、42B 低摩擦表面
43A、43Aa、43Ab、43B、43Ba、43Bb 試料台スリット
44A、44B クロスヘッド
45A、45Aa、45Ab、45B、45Ba、45Bb ねじ棹
46 昇降装置
5 試料
60A、60B 自動線条体係止機構
61 針刺入装置
611 針刺入装置外筒
6111 針刺入装置外筒サーボモータ
6112 針刺入装置外筒牽引ワイヤ
6113 針刺入装置外筒バネ
612 針刺入装置内筒
6121、6121a、6121b 上部ガイドローラ
6122、6122a、6122b 上部ガイドローラシャフト
6123、6123a、6123b 上部ガイドローラ収容スペース
6124、6124a、6124b 上部ガイドローラシャフト用サーボモータ
6125、6125a、6125b 針刺入装置内筒スリット
6126 針刺入装置内筒電磁石
62 針受容装置
621 針受容装置外筒
6211 針受容装置外筒サーボモータ
6212 針受容装置外筒牽引ワイヤ
6213 針受容装置外筒バネ
622 針受容装置内筒
6221、6221a、6221b 針受容孔
6222 針受容装置内筒電磁石
63、63a、63b ガイドレール
64 駆動ベルト
65 下部ガイドローラ
66 下部ガイドローラシャフト

Claims (8)

  1. 脆弱試料を固定表面に設置する工程と、前記脆弱試料の前記固定表面に設置した箇所と異なる箇所に線条体を貫通させる工程と、前記固定表面と前記線条体との相対移動を行わせる工程と、線条体にかかる引っ張り応力を測定する工程を含む、脆弱試料の引張特性評価方法。
  2. 試料の破断荷重が1N未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 試料がシート状細胞培養物である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 脆弱試料を固定できる固定表面と、脆弱試料を貫通して係止された線条体が接続できる荷重測定装置とを備え、固定表面と荷重測定装置との相対移動によって線条体にかかる応力を荷重測定装置により測定する、脆弱試料の引張特性評価装置。
  5. 荷重負荷装置をさらに備えた、請求項4に記載の装置。
  6. 自動線条体係止機構をさらに備えた、請求項4または5に記載の装置。
  7. 試料台上面の、試料固定表面よりも荷重測定装置側に低摩擦表面を設け、該低摩擦表面部分に、線条体の進入・移動を可能にするスリットを設けた請求項4〜6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 線条体を接続した針を固定・開放可能な、脆弱試料固定表面に垂直に、上下動可能な針刺クランプと、脆弱試料を貫通した針を固定・開放可能な、上下動可能な針受クランプと、針刺しクランプおよび針受クランプを、脆弱試料固定表面に相対的に水平移動させる移動装置と、線条体の両端を固定可能であって該線条体にかかる荷重を測定する荷重測定装置とを有する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の装置。
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