JP2012220264A - 評価試料片の作製方法、評価試料片封入体の作製方法及び多孔体中への細胞侵入性の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法、厚切りした前記評価試料片を用いた評価試料片封入体の作製方法及び厚切りした前記評価試料片を観察可能とする多孔体中への細胞侵入性の評価方法を提供することを課題とする。
【解決手段】多孔体中への細胞侵入性の評価を行うための評価試料片の作製方法であって、基板シート54の一面54aに細胞55を培養してから、基板シート54を、細胞55を培養させた面54aを多孔体13の一面13aに接触させて配置して、多孔体13中に細胞55を侵入させる評価試料片の作製方法を用いることによって前記課題を解決できる。
【選択図】図4
【解決手段】多孔体中への細胞侵入性の評価を行うための評価試料片の作製方法であって、基板シート54の一面54aに細胞55を培養してから、基板シート54を、細胞55を培養させた面54aを多孔体13の一面13aに接触させて配置して、多孔体13中に細胞55を侵入させる評価試料片の作製方法を用いることによって前記課題を解決できる。
【選択図】図4
Description
本発明は、評価試料片の作製方法、評価試料片封入体の作製方法及び多孔体中への細胞侵入性の評価方法に関する。
Ti等の金属からなる多孔体は、既に、人工関節の表面等に医療応用されている。細胞を多孔体の孔に速やかに侵入させることによって、多孔体と骨との接合を速め、その接合を強固にすることができる。
多孔体中への細胞侵入性の評価をどのような方法で行うかは、どのような多孔体材料が細胞を速やかに侵入させるかを知り、どのような材料が医療応用するのに適切な材料であるかを判断するために非常に重要な問題である。
しかし、現在、その評価方法は確立されていない。
多孔体中への細胞侵入性の評価をどのような方法で行うかは、どのような多孔体材料が細胞を速やかに侵入させるかを知り、どのような材料が医療応用するのに適切な材料であるかを判断するために非常に重要な問題である。
しかし、現在、その評価方法は確立されていない。
図19は、従来の多孔体内部への細胞侵入性の評価方法の一例を示す工程図である。
この評価方法は、多孔体上部から細胞懸濁液を少量(0.1mL程度)注ぎ数時間静置(図19(a))、さらに培養液を添加して一定期間培養後(図19(b))、細胞を多孔体内部表面に固定(図19(c))してから、脱水・溶媒置換・樹脂包埋・薄切(数十μm〜数μm)・染色して(図19(d))、評価試料片を作成した後、評価試料である多孔体内部の細胞を光学顕微鏡で観察する(図19(e))。例えば、非特許文献1では、コラーゲンスポンジ中への細胞侵入度合いをパラフィン包埋・薄切・染色後光学顕微鏡で観察している。
この評価方法は、多孔体上部から細胞懸濁液を少量(0.1mL程度)注ぎ数時間静置(図19(a))、さらに培養液を添加して一定期間培養後(図19(b))、細胞を多孔体内部表面に固定(図19(c))してから、脱水・溶媒置換・樹脂包埋・薄切(数十μm〜数μm)・染色して(図19(d))、評価試料片を作成した後、評価試料である多孔体内部の細胞を光学顕微鏡で観察する(図19(e))。例えば、非特許文献1では、コラーゲンスポンジ中への細胞侵入度合いをパラフィン包埋・薄切・染色後光学顕微鏡で観察している。
この評価試料の作製には、図19(c)〜図19(d)の固定から染色まで多くの行程を必要とするので、通常、数日以上の長時間を要し、評価試料の作製を迅速に、かつ容易に行うことができないという問題があった。脱パラ工程も含めると手間がかかり、一週間程度の期間を必要としている。
また、多孔体として硬度が大きい金属多孔体を用いた場合、細胞(生体組織)との間の力学的特性の差が大きくなるので、硬度の高い樹脂を用いた包埋を行わなければならないという問題を発生させた。また、この場合、薄切時に生体組織や樹脂に亀裂等の損傷が発生しやすくなる問題も発生させた。
更にまた、この評価方法では、図19(b)に示すように、多孔体上に細胞懸濁液を配置し、内部に染み込ませるので、多孔体内部に細胞が自発的に移動して侵入したのか、単に細胞懸濁液が重力に従い落下、あるいは多孔体内部に浸透する際に細胞も不随意的に移動したのか、わからないという問題もあった。
また、多孔体として硬度が大きい金属多孔体を用いた場合、細胞(生体組織)との間の力学的特性の差が大きくなるので、硬度の高い樹脂を用いた包埋を行わなければならないという問題を発生させた。また、この場合、薄切時に生体組織や樹脂に亀裂等の損傷が発生しやすくなる問題も発生させた。
更にまた、この評価方法では、図19(b)に示すように、多孔体上に細胞懸濁液を配置し、内部に染み込ませるので、多孔体内部に細胞が自発的に移動して侵入したのか、単に細胞懸濁液が重力に従い落下、あるいは多孔体内部に浸透する際に細胞も不随意的に移動したのか、わからないという問題もあった。
図20は、従来の観察用封入試料の一例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。
この観察用封入試料は、スライドグラス123上に評価試料121を載せ、リン酸緩衝液125などを滴下後、カバーガラス124を載せ、必要に応じて周囲を封入剤126で封入する。そのため、試料が厚過ぎる場合には、封入できず、顕微鏡観察を行うことができない場合があった。
この観察用封入試料は、スライドグラス123上に評価試料121を載せ、リン酸緩衝液125などを滴下後、カバーガラス124を載せ、必要に応じて周囲を封入剤126で封入する。そのため、試料が厚過ぎる場合には、封入できず、顕微鏡観察を行うことができない場合があった。
Biomaterials 23(2002)2855−2861
本発明は、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法、厚切りした前記評価試料片を用いた評価試料片封入体の作製方法及び厚切りした前記評価試料片を観察可能とする多孔体中への細胞侵入性の評価方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の構成を有する。
(1)多孔体中への細胞侵入性の評価を行うための評価試料片の作製方法であって、基板シートの一面に細胞を培養してから、前記基板シートを、細胞を培養させた面を前記多孔体の一面に接触させて配置して、前記多孔体中に細胞を侵入させることを特徴とする評価試料片の作製方法。
(2)前記基板シートがシリコーンゴムシート、ポリ乳酸フィルム、ポリエチレンフィルム又はコラーゲンスポンジの群から選択される一の材料からなることを特徴とする(1)に記載の評価試料片の作製方法。
(3)前記多孔体の開孔径が50μm〜500μmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の評価試料片の作製方法。
(4)前記多孔体が金属、セラミック又は高分子からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の評価試料片の作製方法。
(5)前記金属がTi又はステンレス鋼であることを特徴とする(4)に記載の評価試料片の作製方法。
(6)多孔体13中に細胞55を侵入させた後、前記多孔体中に侵入した細胞を固定することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の評価試料片の作製方法。
(7)細胞を固定後、前記多孔体を1mm以上の幅で切断することを特徴とする請求項6に記載の評価試料片の作製方法。
(8)前記多孔体を切断後、前記多孔体中に固定した細胞を、染色することを特徴とする(7)に記載の評価試料片の作製方法。
(9)細胞培養前に、前記基板シート及び前記多孔体を滅菌処理することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の評価試料片の作製方法。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の評価試料片の作製方法を用いて作製した評価試料片を、窓部を有する封入容器の前記窓部上に配置してから、前記評価試料片上にガラスを配置することを特徴とする評価試料片封入体の作製方法。
(11)前記封入容器が凹部を有し、前記凹部の底面に窓部が設けられていることを特徴とする(10)に記載の評価試料片封入体の作製方法。
(12)(10)又は(11)に記載の評価試料片封入体を蛍光顕微鏡で観察することを特徴とする多孔体中への細胞侵入性の評価方法。
(1)多孔体中への細胞侵入性の評価を行うための評価試料片の作製方法であって、基板シートの一面に細胞を培養してから、前記基板シートを、細胞を培養させた面を前記多孔体の一面に接触させて配置して、前記多孔体中に細胞を侵入させることを特徴とする評価試料片の作製方法。
(2)前記基板シートがシリコーンゴムシート、ポリ乳酸フィルム、ポリエチレンフィルム又はコラーゲンスポンジの群から選択される一の材料からなることを特徴とする(1)に記載の評価試料片の作製方法。
(3)前記多孔体の開孔径が50μm〜500μmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の評価試料片の作製方法。
(4)前記多孔体が金属、セラミック又は高分子からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の評価試料片の作製方法。
(5)前記金属がTi又はステンレス鋼であることを特徴とする(4)に記載の評価試料片の作製方法。
(6)多孔体13中に細胞55を侵入させた後、前記多孔体中に侵入した細胞を固定することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の評価試料片の作製方法。
(7)細胞を固定後、前記多孔体を1mm以上の幅で切断することを特徴とする請求項6に記載の評価試料片の作製方法。
(8)前記多孔体を切断後、前記多孔体中に固定した細胞を、染色することを特徴とする(7)に記載の評価試料片の作製方法。
(9)細胞培養前に、前記基板シート及び前記多孔体を滅菌処理することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の評価試料片の作製方法。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の評価試料片の作製方法を用いて作製した評価試料片を、窓部を有する封入容器の前記窓部上に配置してから、前記評価試料片上にガラスを配置することを特徴とする評価試料片封入体の作製方法。
(11)前記封入容器が凹部を有し、前記凹部の底面に窓部が設けられていることを特徴とする(10)に記載の評価試料片封入体の作製方法。
(12)(10)又は(11)に記載の評価試料片封入体を蛍光顕微鏡で観察することを特徴とする多孔体中への細胞侵入性の評価方法。
本発明の評価試料片の作製方法は、多孔体中への細胞侵入性の評価を行うための評価試料片の作製方法であって、基板シートの一面に細胞を培養してから、前記基板シートを、細胞を培養させた面を前記多孔体の一面に接触させて配置して、前記多孔体中に細胞を侵入させる構成なので、細胞の多孔体内部への自発的な侵入挙動のみを正確に調べる方法を提供することができる。
本発明の評価試料片封入体の作製方法は、先に記載の評価試料片の作製方法を用いて作製した評価試料片を、窓部を有する封入容器の前記窓部上に配置してから、前記評価試料片上にガラスを配置する構成なので、厚切りした前記評価試料片を用いて、評価試料片封入体を、迅速、容易、かつ低コストに作製することができる。
本発明の多孔体中への細胞侵入性の評価方法は、評価試料片封入体を蛍光顕微鏡で観察する評価試料片評価工程と、を有する構成なので、厚切りした前記評価試料片を観察可能な多孔体中への細胞侵入性の評価方法を提供することができ、試料の薄切が不要になるため、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法の適用が可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態である評価試料片の作製方法、評価試料片封入体の作製方法及び多孔体中への細胞侵入性の評価方法について説明する。
(本発明の実施形態)
図1は、本発明の実施形態である多孔体中への細胞侵入性の評価方法の一例を示すフローチャートである。
図1に示すように、本発明の実施形態である多孔体中への細胞侵入性の評価方法は、評価試料片作製工程S1と、評価試料片封入体作製工程S2と、評価試料片評価工程S3と、を有する。
図1は、本発明の実施形態である多孔体中への細胞侵入性の評価方法の一例を示すフローチャートである。
図1に示すように、本発明の実施形態である多孔体中への細胞侵入性の評価方法は、評価試料片作製工程S1と、評価試料片封入体作製工程S2と、評価試料片評価工程S3と、を有する。
<評価試料片作製工程>
図2は、評価試料片作製工程S1の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、評価試料片作製工程S1は、前処理工程S11、培養工程S12、固定工程S13、切断工程S14、染色工程S15と、を有する。
図2は、評価試料片作製工程S1の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、評価試料片作製工程S1は、前処理工程S11、培養工程S12、固定工程S13、切断工程S14、染色工程S15と、を有する。
<前処理工程S11>
まず、基体シート及びサポートシートを準備する。
基体シートとしては、滅菌が可能で細胞が順調に増殖し、また試料表面に細胞接着面を接触させることができるものが好ましい。例えば、基体シートとして、シリコーンゴムシート、ポリ乳酸フィルム、ポリエチレンフィルム又はコラーゲンスポンジの群から選択される一の材料を挙げることができる。
まず、基体シート及びサポートシートを準備する。
基体シートとしては、滅菌が可能で細胞が順調に増殖し、また試料表面に細胞接着面を接触させることができるものが好ましい。例えば、基体シートとして、シリコーンゴムシート、ポリ乳酸フィルム、ポリエチレンフィルム又はコラーゲンスポンジの群から選択される一の材料を挙げることができる。
基体シートの膜厚は、0.1mm以下が好ましく、0.08mm以下がより好ましく、0.05mm以下が更に好ましい。基体シートとして、厚さが0.1mm以下の柔らかい材料を用いることにより、微細な凹凸のある試料表面への細胞の接触を確実にすることができる。
基体シートの膜厚が、0.1mm超の場合には、試料表面が細胞レベルで平滑とは限らないので、試料表面に添わせることが困難となる。基体シート等の平面に接着したときの細胞の厚さは、薄い部分では1μm以下であり、厚い部分は細胞の種類によるが、数μm〜10μm以下である。細胞の大きさは10−100μm程度であるので、0.1mm程度の空隙が細胞と試料の間にあると、細胞は試料表面へ移動することはできない。
基体シートの膜厚が、0.1mm超の場合には、試料表面が細胞レベルで平滑とは限らないので、試料表面に添わせることが困難となる。基体シート等の平面に接着したときの細胞の厚さは、薄い部分では1μm以下であり、厚い部分は細胞の種類によるが、数μm〜10μm以下である。細胞の大きさは10−100μm程度であるので、0.1mm程度の空隙が細胞と試料の間にあると、細胞は試料表面へ移動することはできない。
サポートシートとしては、例えば、テフロン(登録商標)メッシュ、ステンレスメッシュ、アルミニウムメッシュ、ナイロンメッシュ等を用いる。
サポートシートを用いるのは、シリコーンゴムシート等はほぼ透明であり、培養液中で観察が難しいこと、また、しばしば細胞培養用ディスポーザブルディッシュ底面に吸着してしまい、一定期間前培養後に取り外すことが難しいためである。しかし、滅菌可能であり、シリコーンゴムシート等の取り扱いを容易にするものであれば、テフロンメッシュ、ステンレスメッシュ、アルミニウムメッシュ、ナイロンメッシュ等に限ることはない。
サポートシートを用いるのは、シリコーンゴムシート等はほぼ透明であり、培養液中で観察が難しいこと、また、しばしば細胞培養用ディスポーザブルディッシュ底面に吸着してしまい、一定期間前培養後に取り外すことが難しいためである。しかし、滅菌可能であり、シリコーンゴムシート等の取り扱いを容易にするものであれば、テフロンメッシュ、ステンレスメッシュ、アルミニウムメッシュ、ナイロンメッシュ等に限ることはない。
次に、基体シート及びサポートシートを滅菌処理する。例えば、オートクレーブ(高圧蒸気)滅菌処理する。しかし、EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌や、ガンマ線照射による滅菌等の他の滅菌処理法を用いてもよい。EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌や、ガンマ線照射による滅菌を用いることにより、高圧蒸気滅菌では変形してしまう高分子材料でも、変形させずに滅菌することができる。
次に、基体シートのプラズマ表面処理を行う。これにより、表面を親水化処理することができる。親水化処理により、表面を細胞が接着しやすいようにすることができ、基体シート表面がほぼ細胞で覆われる状態になるように前培養できる。
<培養工程S12>
本実施形態では、培養工程S12は前培養工程と本培養工程とからなる。
(前培養工程)
次に、図3(a)に示すように、培養用容器51内にサポートシート56を配置してから、基体シート54をその上に置き、基体シート54を浸漬するように培養液53を入れる。培養用容器51としては、例えば、細胞培養用ディスポーザブルディッシュを用いる。これにより、図3(b)に示すように、基体シート54上で細胞55がほぼシートを覆う状態になるよう前培養することができる。細胞がほぼシートを覆う状態にすることより、次工程において、多孔体内部へ細胞を効率的に侵入させることができる。
本実施形態では、培養工程S12は前培養工程と本培養工程とからなる。
(前培養工程)
次に、図3(a)に示すように、培養用容器51内にサポートシート56を配置してから、基体シート54をその上に置き、基体シート54を浸漬するように培養液53を入れる。培養用容器51としては、例えば、細胞培養用ディスポーザブルディッシュを用いる。これにより、図3(b)に示すように、基体シート54上で細胞55がほぼシートを覆う状態になるよう前培養することができる。細胞がほぼシートを覆う状態にすることより、次工程において、多孔体内部へ細胞を効率的に侵入させることができる。
なお、細胞55の種類は、目的に応じて変更可能である。
また、培養日数(基体シート上での前培養期間および多孔体試料上での培養期間)は、細胞55の種類や観察の目的に合わせて変更可能である。
また、培養日数(基体シート上での前培養期間および多孔体試料上での培養期間)は、細胞55の種類や観察の目的に合わせて変更可能である。
(本培養工程)
次に、別の培養用容器52内に、滅菌処理した多孔体13を配置する。滅菌処理は、オートクレーブ滅菌、EOG滅菌、ガンマ線滅菌等を用いる。
次に、図4(a)に示すように、前培養させた基体シート54を、細胞55を培養させた面を多孔体13側にして、多孔体13に密着させるように載せる。
次に、別の培養用容器52内に、滅菌処理した多孔体13を配置する。滅菌処理は、オートクレーブ滅菌、EOG滅菌、ガンマ線滅菌等を用いる。
次に、図4(a)に示すように、前培養させた基体シート54を、細胞55を培養させた面を多孔体13側にして、多孔体13に密着させるように載せる。
細胞55を多孔体13の一面13aと密着性高く接触させた場合、基体シート54上は細胞でほぼ覆われている状態なため、図4(b)に示すように、細胞55は多孔体13の内部へ自発的に効率よく侵入し、そこで増殖する。これにより、多孔体13の一面13a側に、細胞55の侵入領域11cが形成される。
細胞55は増殖するためにある程度の空間を必要とし、細胞55の侵入に適した構造の多孔体では、細胞55の侵入に適していない構造の多孔体よりも細胞13の侵入量や侵入距離を大きくすることができる。
細胞55は増殖するためにある程度の空間を必要とし、細胞55の侵入に適した構造の多孔体では、細胞55の侵入に適していない構造の多孔体よりも細胞13の侵入量や侵入距離を大きくすることができる。
多孔体13の材料としては、樹脂包埋等せずに試料そのものの状態で切断が可能な材料であればよい。金属又は合金材料が好ましいが、他の素材、例えば、セラミック、高分子等を用いてもよい。
また、孔構造も、細胞55の侵入が可能な孔構造であればよい。
また、孔構造も、細胞55の侵入が可能な孔構造であればよい。
開孔径は、50μm〜500μmが好ましく、100μm〜400μmがより好ましい。開孔径は50μm以上であれば、細胞および光学的手法に対して十分大きいので、後の切断工程で薄切しなくても顕微鏡観察できる。逆に、50μm未満の場合には、細胞および光学的手法に対して小さいので、後の切断工程で薄切しなくては、顕微鏡観察できない。また、500μm超の場合には、原理的には多孔体内部に侵入した細胞を観察することは可能だが、細胞が多孔体内に侵入するための足場が少ないため、効率よく細胞を観察することが難しいという問題が発生する。
多孔体13として、例えば、開孔径50μm〜500μmの純Tiあるいはステンレス鋼製多孔体を用いることができる。
多孔体13として、例えば、開孔径50μm〜500μmの純Tiあるいはステンレス鋼製多孔体を用いることができる。
<固定工程S13>
図5は、固定工程図である。
細胞培養期間終了後、図5(a)に示すように、細胞及び試料をリン酸緩衝液等で洗浄後、固定液57に浸す。これにより、細胞55を侵入領域11c内に固定できる。図5(b)では、固定した細胞55の侵入領域11dを示している。
多孔体試料中の細胞の固定液57としては、ホルムアルデヒド溶液を挙げることができる。市販の固定液を用いてもよく、細胞の種類や観察目的に応じて様々な固定液を選択できる。
図5は、固定工程図である。
細胞培養期間終了後、図5(a)に示すように、細胞及び試料をリン酸緩衝液等で洗浄後、固定液57に浸す。これにより、細胞55を侵入領域11c内に固定できる。図5(b)では、固定した細胞55の侵入領域11dを示している。
多孔体試料中の細胞の固定液57としては、ホルムアルデヒド溶液を挙げることができる。市販の固定液を用いてもよく、細胞の種類や観察目的に応じて様々な固定液を選択できる。
<切断工程S14>
図6は、切断工程図であって、切断の一例を示す斜視図である。
図6に示すように、多孔体13を、切断線14a〜14dに沿って、一定の幅で切断する。1mm以上の幅で切断することが好ましく、2mm以上3mm以下の幅で切断することがより好ましい。多孔体試料に適当な強度があれば1mm以下の幅に切断することも可能だが、通常、1mm以下の幅では、多孔体試料の形状を保つことができず、樹脂包埋や、そのために必要な脱水・溶媒置換等の行程が必要になる。しかし、1mm以上の幅にすることにより、上記行程が不要になり、評価試料片を技術的にはるかに容易に作製することができ、そのための製造時間も短縮できる。
なお、多孔体13の一面13a側には、固定した細胞55の侵入領域11dが形成されており、他面13b側には形成されていない。
図6は、切断工程図であって、切断の一例を示す斜視図である。
図6に示すように、多孔体13を、切断線14a〜14dに沿って、一定の幅で切断する。1mm以上の幅で切断することが好ましく、2mm以上3mm以下の幅で切断することがより好ましい。多孔体試料に適当な強度があれば1mm以下の幅に切断することも可能だが、通常、1mm以下の幅では、多孔体試料の形状を保つことができず、樹脂包埋や、そのために必要な脱水・溶媒置換等の行程が必要になる。しかし、1mm以上の幅にすることにより、上記行程が不要になり、評価試料片を技術的にはるかに容易に作製することができ、そのための製造時間も短縮できる。
なお、多孔体13の一面13a側には、固定した細胞55の侵入領域11dが形成されており、他面13b側には形成されていない。
切断方法としては、金属多孔体の場合には、ダイヤモンド砥石を用いる精密カッターによる切断方法を用いることができる。また、高分子製多孔体などの軟らかい材料の場合には、カッターで容易に切断することができる。これらの方法に限定されず、別の切断方法を用いてもよい。
<染色工程S15>
図7は染色工程図であって、(a)は染色前の側面図であり、(b)は染色後の側面図である。図7(b)に示すように、蛍光試薬を用いて染色することによって、細胞55の固定された侵入領域11dを、染色され、固定された細胞55の侵入領域11eとすることができる。
細胞の染色のための蛍光色素としては、テキサスレッド(Texas red)を挙げることができる。市販の他の染色剤を用いてもよく、細胞の種類や観察目的に応じて様々な染色剤を選択できる。
以上の工程により、評価試料片21を作製することができる。
評価試料片21の作製に必要な時間は、評価試料片の種類にもよるが、数十分〜数時間程度である。
図7は染色工程図であって、(a)は染色前の側面図であり、(b)は染色後の側面図である。図7(b)に示すように、蛍光試薬を用いて染色することによって、細胞55の固定された侵入領域11dを、染色され、固定された細胞55の侵入領域11eとすることができる。
細胞の染色のための蛍光色素としては、テキサスレッド(Texas red)を挙げることができる。市販の他の染色剤を用いてもよく、細胞の種類や観察目的に応じて様々な染色剤を選択できる。
以上の工程により、評価試料片21を作製することができる。
評価試料片21の作製に必要な時間は、評価試料片の種類にもよるが、数十分〜数時間程度である。
図8は、本発明の評価試料片の作製方法によって作成された評価試料片の一例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
図8に示すように、評価試料片21は、略板状の多孔体であって、一面側に染色され、固定された細胞55の侵入領域11eが設けられて構成されている。
なお、染色され、固定された細胞55の侵入領域11eの大きさは、培養時間、細胞の種類等により決定されるものであり、これに限られるものではない。図8に示す厚さよりも薄い場合や、多孔体全域となる場合もある。また、均一の厚さとなるとは限らず、不均一の厚さで形成される場合もある。
図8に示すように、評価試料片21は、略板状の多孔体であって、一面側に染色され、固定された細胞55の侵入領域11eが設けられて構成されている。
なお、染色され、固定された細胞55の侵入領域11eの大きさは、培養時間、細胞の種類等により決定されるものであり、これに限られるものではない。図8に示す厚さよりも薄い場合や、多孔体全域となる場合もある。また、均一の厚さとなるとは限らず、不均一の厚さで形成される場合もある。
<評価試料片封入体作製工程>
次に、評価試料片21を用いて、評価試料片封入体を作製する。
図9は、評価試料片封入体の一例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
図9に示すように、評価試料片封入体31は、評価試料片21と、ガラス23、24と、緩衝液25と、接着剤26と、封入容器27と、を有して構成されている。
なお、ガラス24の外縁部を封入剤で封入してもよい。
次に、評価試料片21を用いて、評価試料片封入体を作製する。
図9は、評価試料片封入体の一例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
図9に示すように、評価試料片封入体31は、評価試料片21と、ガラス23、24と、緩衝液25と、接着剤26と、封入容器27と、を有して構成されている。
なお、ガラス24の外縁部を封入剤で封入してもよい。
封入容器27は、凹部27dを有し、凹部27dの底面には開口部27eが設けられ、開口部27eを覆うようにガラス23が接着剤26により固定されている。これにより、窓部28が形成されている。
封入容器27の凹部27dの深さは、試料の厚さに応じた深さとすればよく、例えば、数mmとする。これにより、評価試料片21を数mm程度の厚切にしても、容易に、配置・固定できる。
封入容器27は、金属、ガラス又はプラスチックの材料を用いることができる。
封入容器27の凹部27dの深さは、試料の厚さに応じた深さとすればよく、例えば、数mmとする。これにより、評価試料片21を数mm程度の厚切にしても、容易に、配置・固定できる。
封入容器27は、金属、ガラス又はプラスチックの材料を用いることができる。
具体的には、封入容器27としては、底面にカバーガラスを設置したガラスボトムディッシュを用いることができる。この場合、試料観察には、倒立型の顕微鏡を用いる。
なお、正立型の顕微鏡を用いる場合には、対物レンズが試料表面に接近するため、径の大きな封入容器27を用いるか、壁面の低い封入容器27を用いることが好ましい。
なお、正立型の顕微鏡を用いる場合には、対物レンズが試料表面に接近するため、径の大きな封入容器27を用いるか、壁面の低い封入容器27を用いることが好ましい。
緩衝液25としては、例えば、リン酸緩衝液とグリセリンの混液を用いる。
緩衝液25として、リン酸緩衝液のみを用いても、市販の緩衝液を用いてもよく、細胞の種類や観察目的に応じて様々な緩衝液を選択できる。蛍光色素の退色防止剤を含有させてもよい。
緩衝液25として、リン酸緩衝液のみを用いても、市販の緩衝液を用いてもよく、細胞の種類や観察目的に応じて様々な緩衝液を選択できる。蛍光色素の退色防止剤を含有させてもよい。
評価試料片封入体31の作製方法について説明する。
まず、底面の開口部を覆うようにガラス23が接着剤26により固定された封入容器27のガラス23上に評価試料片21を配置する。図9では、断面を上にして置き、染色され、固定された細胞55の侵入領域11eを一側面側として配置しているが、断面を下にして配置してもよい。
次に、リン酸緩衝液等の緩衝液25を滴下する。
次に、ガラス24を配置することにより、評価試料片封入体31を作製できる。
この方法では、スライドグラス上に試料を載せ、リン酸緩衝液などを滴下後、カバーガラスを載せ、必要に応じて周囲を封入剤で封入する通常の方法ではなく、試料の大きさくらいの容器で、試料の厚さ程度の深さのある容器を用いる構成なので、通常の方法では試料が厚過ぎるため封入できない試料であっても、適切なマウント剤を用い、その上にカバーガラスを載せ、その上から顕微鏡観察を行うことができ、厚切(数mm程度)の試料の蛍光顕微鏡観察をスムーズに行うことができる。
まず、底面の開口部を覆うようにガラス23が接着剤26により固定された封入容器27のガラス23上に評価試料片21を配置する。図9では、断面を上にして置き、染色され、固定された細胞55の侵入領域11eを一側面側として配置しているが、断面を下にして配置してもよい。
次に、リン酸緩衝液等の緩衝液25を滴下する。
次に、ガラス24を配置することにより、評価試料片封入体31を作製できる。
この方法では、スライドグラス上に試料を載せ、リン酸緩衝液などを滴下後、カバーガラスを載せ、必要に応じて周囲を封入剤で封入する通常の方法ではなく、試料の大きさくらいの容器で、試料の厚さ程度の深さのある容器を用いる構成なので、通常の方法では試料が厚過ぎるため封入できない試料であっても、適切なマウント剤を用い、その上にカバーガラスを載せ、その上から顕微鏡観察を行うことができ、厚切(数mm程度)の試料の蛍光顕微鏡観察をスムーズに行うことができる。
<評価試料片評価工程>
次に、評価試料片封入体を用いて、多孔体内部での細胞の状態を観察する。
細胞の観察には、蛍光顕微鏡を用いることができる。
次に、評価試料片封入体を用いて、多孔体内部での細胞の状態を観察する。
細胞の観察には、蛍光顕微鏡を用いることができる。
本実施形態の評価方法では、多孔体内部への細胞侵入性だけでなく、通常の播種方法で培養した細胞の状態を簡便に観察することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、多孔体13中への細胞侵入性の評価を行うための評価試料片の作製方法であって、基板シート54の一面54aに細胞55を培養してから、基板シート54を、細胞55を培養させた面を多孔体13の一面13aに接触させて配置して、多孔体13中に細胞55を侵入させる構成なので、基板シート54の細胞55を培養させた面を多孔体13の一面13aに密着性高く接触させることができ、効率よく多孔体13中に細胞55を侵入させることができ、かつ多孔体試料内部への細胞の自発的な侵入のみを正確に評価することができる評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、基板シート54がシリコーンゴムシート、ポリ乳酸フィルム、ポリエチレンフィルム又はコラーゲンスポンジの群から選択される一の材料からなる構成なので、基板シート54の細胞55を培養させた面を多孔体13の一面13aに密着性高く接触させることができ、効率よく多孔体13中に細胞55を侵入させることができ、かつ多孔体試料内部への細胞の自発的な侵入のみを正確に評価することができる評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、多孔体13の開孔径が50μm〜500μmである構成なので、試料を薄切する必要がなく、材料内への細胞侵入状態を観察でき、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、多孔体13が金属、セラミック又は高分子からなる構成なので、いずれの材料製の多孔体試料中への細胞侵入性も評価でき、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、前記金属がTi又はステンレス鋼である構成なので、医用材料として用いられている金属材料についても細胞侵入性を評価でき、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、多孔体13中に細胞55を侵入させた後、多孔体13中に侵入した細胞を固定する構成なので、多孔体内部に侵入した細胞の状態を観察でき、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、細胞55を固定後、多孔体13を1mm以上の幅で切断する構成なので、1mm以上の厚切の試料を作製することができ、試料を薄切する必要がなく、材料内への細胞侵入状態を観察することができ、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、多孔体13を切断後、多孔体13中に固定した細胞55を、染色する構成なので、多孔体内部に侵入した細胞の状態を適切に観察することができ、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法は、細胞培養前に、基板シート54及び多孔体13を滅菌処理する構成なので、細菌等が混入することなく、多孔体内部に侵入した細胞の状態を正確に観察でき、迅速、容易、かつ低コストの評価試料片の作製方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片封入体の作製方法は、評価試料片21を、窓部28を有する封入容器27の窓部28上に配置してから、評価試料片21上にガラス24を配置する構成なので、迅速、容易、かつ低コストに厚切りした前記評価試料片を用いて評価試料片封入体を作製できる。
本発明の実施形態である評価試料片封入体の作製方法は、封入容器27が凹部27dを有し、凹部27dの底面に窓部28が設けられている構成なので、迅速、容易、かつ低コストに評価試料片封入体を作製できる。
本発明の実施形態である多孔体中への細胞侵入性の評価方法は、評価試料片封入体31を蛍光顕微鏡で観察する評価試料片評価工程S3と、を有する構成なので、厚い試料についても正立/倒立型蛍光顕微鏡を用いて一定時間安定に蛍光観察ができ、厚切りした前記評価試料片を観察可能な多孔体中への細胞侵入性の評価方法を提供することができる。
本発明の実施形態である評価試料片の作製方法、評価試料片封入体の作製方法及び多孔体中への細胞侵入性の評価方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図10は、多孔体中への細胞侵入性の評価工程図である。
まず、テフロンシートメッシュ上に15mm角に切断した厚さ0.05mmのシリコーンゴムシートを置き、オートクレーブ滅菌した。
次に、前記シリコーンゴムシートをプラズマ処理した。
次に、プラズマ処理したシリコーンゴムシートを細胞培養用ディスポーザブルディッシュ内に静置した。
図10は、多孔体中への細胞侵入性の評価工程図である。
まず、テフロンシートメッシュ上に15mm角に切断した厚さ0.05mmのシリコーンゴムシートを置き、オートクレーブ滅菌した。
次に、前記シリコーンゴムシートをプラズマ処理した。
次に、プラズマ処理したシリコーンゴムシートを細胞培養用ディスポーザブルディッシュ内に静置した。
次に、図10(a)に示すように、シリコーンゴムシートに、ヒト骨肉腫由来細胞Saos−2を細胞培養液と共に適量播種し、細胞がほぼシート表面を覆う状態になるまで、3−5日間CO2インキュベータ内で培養した。
次に、図10(b)に示すように、別の新しい細胞培養用ディスポーザブルディッシュ内に滅菌した多孔体を置き、ヒト骨肉腫由来細胞Saos−2を培養したシリコーンゴムシートを、細胞が接着している面が多孔体表面と接触するように載せた。
なお、前記多孔体としては、11mm角、厚さ2mmに切断した、平均開孔径が181μmのチタン製多孔体であって、オートクレーブ滅菌したものを用いた。
なお、前記多孔体としては、11mm角、厚さ2mmに切断した、平均開孔径が181μmのチタン製多孔体であって、オートクレーブ滅菌したものを用いた。
次に、前記細胞培養用ディスポーザブルディッシュ内に細胞培養液を添加し、シリコーンゴムシート及び多孔体を浸漬させた状態で、CO2インキュベータ内に静置した。
その後、1日置きに培養液を交換して、7−21日間培養した。
次に、シリコーンゴムシートを取り除き、試料をリン酸緩衝液で洗浄した。
次に、図10(c)に示すように、ホルムアルデヒド溶液で処理して細胞を固定した。
その後、1日置きに培養液を交換して、7−21日間培養した。
次に、シリコーンゴムシートを取り除き、試料をリン酸緩衝液で洗浄した。
次に、図10(c)に示すように、ホルムアルデヒド溶液で処理して細胞を固定した。
次に、図10(d)に示すように、精密カッターで多孔体試料を幅約2mmに切断した。
次に、蛍光色素(テキサスレッド)で細胞を染色して、細胞侵入性評価試料片を作製した。
次に、蛍光色素(テキサスレッド)で細胞を染色して、細胞侵入性評価試料片を作製した。
次に、図10(e)に示すように、細胞侵入性評価試料片を用いて、評価試料片封入体を作製した。
評価試料片封入体は、ガラスボトムディッシュを用い、ガラスボトム部分に試料を載せ、蛍光色素の退色防止剤を含むリン酸緩衝液とグリセリン混液を滴下後、カバーガラスを試料上部に載せ、封入して、実施例1の評価試料片封入体を作製した。
評価試料片封入体は、ガラスボトムディッシュを用い、ガラスボトム部分に試料を載せ、蛍光色素の退色防止剤を含むリン酸緩衝液とグリセリン混液を滴下後、カバーガラスを試料上部に載せ、封入して、実施例1の評価試料片封入体を作製した。
(実施例2)
開孔径が325μmの多孔体を用いた他は実施例1と同様にして、実施例2の評価試料片封入体を作製した。
開孔径が325μmの多孔体を用いた他は実施例1と同様にして、実施例2の評価試料片封入体を作製した。
(実施例3)
開孔径が504μmの多孔体を用いた他は実施例1と同様にして、実施例3の評価試料片封入体を作製した。
開孔径が504μmの多孔体を用いた他は実施例1と同様にして、実施例3の評価試料片封入体を作製した。
<評価>
まず、図10(f)に示すように、蛍光観察装置を備えたズーム式実体顕微鏡(蛍光顕微鏡)および共焦点顕微鏡で観察した。
まず、図10(f)に示すように、蛍光観察装置を備えたズーム式実体顕微鏡(蛍光顕微鏡)および共焦点顕微鏡で観察した。
図11〜13は、実施例1の評価試料片封入体のズーム式実体顕微鏡による観察画像であって、それぞれ7日培養(図11)、14日培養(図12)、21日培養(図13)のものである。
また、図14は、実施例1の評価試料片封入体の共焦点顕微鏡による観察画像である。
いずれの観察法でも、切断面および多孔体孔部分を介して、多孔体内の細胞の位置、形態等の状態を容易かつ明確に観察することができた。
また、図14は、実施例1の評価試料片封入体の共焦点顕微鏡による観察画像である。
いずれの観察法でも、切断面および多孔体孔部分を介して、多孔体内の細胞の位置、形態等の状態を容易かつ明確に観察することができた。
図15は、実施例1〜3の評価試料片封入体の細胞の多孔体内部への侵入距離の測定結果である。この侵入距離は、最長到達距離であり、ズーム式実体顕微鏡画像を基に算出した。
開孔径の異なるいずれの多孔体試料も、培養期間の増加に伴い、細胞侵入距離が増加した。また、多孔体の孔構造(開孔径)により、同一の培養期間であっても、細胞の侵入距離が異なることが判った。
開孔径の異なるいずれの多孔体試料も、培養期間の増加に伴い、細胞侵入距離が増加した。また、多孔体の孔構造(開孔径)により、同一の培養期間であっても、細胞の侵入距離が異なることが判った。
<細胞侵入性評価に及ぼす前培養条件の影響の検討>
(比較例1)
テフロンシートメッシュおよびシリコーンゴムシートは用いず、細胞培養用ディスポーザブルディッシュ底面に直接Saos−2細胞を細胞培養液と共に適量播種し、細胞がほぼ底面を覆う状態になるまで、3−5日間CO2インキュベータ内で前培養した。その後、11mm角、厚さ2mmに切断した開孔径325μmのチタン製多孔体(オートクレーブ滅菌済み)を細胞の上に載せ、細胞培養液を添加し、1日置きに交換しながら5日間培養した。
その多孔体を、実施例1と同様の手法にて固定・切断・染色後、封入して、比較例1の評価試料片を作成した。
(比較例1)
テフロンシートメッシュおよびシリコーンゴムシートは用いず、細胞培養用ディスポーザブルディッシュ底面に直接Saos−2細胞を細胞培養液と共に適量播種し、細胞がほぼ底面を覆う状態になるまで、3−5日間CO2インキュベータ内で前培養した。その後、11mm角、厚さ2mmに切断した開孔径325μmのチタン製多孔体(オートクレーブ滅菌済み)を細胞の上に載せ、細胞培養液を添加し、1日置きに交換しながら5日間培養した。
その多孔体を、実施例1と同様の手法にて固定・切断・染色後、封入して、比較例1の評価試料片を作成した。
(比較例2)
実施例1と同様に、しかしシリコーンゴムシートのプラズマ処理は行わず前培養を行った。その後、11mm角、厚さ2mmに切断した開孔径325μmのチタン製多孔体(オートクレーブ滅菌済み)の上にシリコーンゴムシートを載せ、1日置きに培養液交換を行いながら7日間培養した。
その多孔体を、固定・切断・染色・封入して、比較例2の評価試料片を作成した。
実施例1と同様に、しかしシリコーンゴムシートのプラズマ処理は行わず前培養を行った。その後、11mm角、厚さ2mmに切断した開孔径325μmのチタン製多孔体(オートクレーブ滅菌済み)の上にシリコーンゴムシートを載せ、1日置きに培養液交換を行いながら7日間培養した。
その多孔体を、固定・切断・染色・封入して、比較例2の評価試料片を作成した。
(実施例4)
実施例1と同様にシリコーンゴムシートにプラズマ処理を行い、前培養した。その後、11mm角、厚さ2mmに切断した開孔径325μmのチタン製多孔体(オートクレーブ滅菌済み)の上にシリコーンゴムシートを載せ、1日置きに培養液交換を行いながら7日間培養した。
その多孔体を、固定・切断・染色・封入して、実施例4の評価試料片を作成した。
実施例1と同様にシリコーンゴムシートにプラズマ処理を行い、前培養した。その後、11mm角、厚さ2mmに切断した開孔径325μmのチタン製多孔体(オートクレーブ滅菌済み)の上にシリコーンゴムシートを載せ、1日置きに培養液交換を行いながら7日間培養した。
その多孔体を、固定・切断・染色・封入して、実施例4の評価試料片を作成した。
図16〜18は、比較例1、2及び実施例4の評価試料片について、実体蛍光顕微鏡にて観察した像である。
図16〜18から明らかなように、実施例1の方法を用いた場合のみ、試料表面全面に均質に細胞が侵入していることが観察できた。
図16〜18から明らかなように、実施例1の方法を用いた場合のみ、試料表面全面に均質に細胞が侵入していることが観察できた。
本発明は評価試料片の作製方法及び多孔体中への細胞侵入性の評価方法に関するものであり、多孔体中への細胞侵入性の評価を行うことにより、骨に強固に接合する多孔体を見出すことができ、医療産業等において利用可能性がある。
11c…細胞の侵入領域、11d…固定された細胞の侵入領域、11e…染色され、固定された細胞の侵入領域、13…多孔体、13a…一面、13b…他面、14a、14b、14c、14d…切断線、21…評価試料片、23、24…ガラス、25…緩衝液、26…接着剤、27…封入容器、27d…凹部、27e…開口部、28…窓部、31…評価試料片封入体、51、52…培養用容器、53…培養液、54…基体シート、55…細胞、56…サポートシート、57…固定液、111…観察用封入試料、123…スライドグラス、124…カバーガラス、125…緩衝液、128…封入剤(接着剤)。
Claims (12)
- 多孔体中への細胞侵入性の評価を行うための評価試料片の作製方法であって、
基板シートの一面に細胞を培養してから、前記基板シートを、細胞を培養させた面を前記多孔体の一面に接触させて配置して、前記多孔体中に細胞を侵入させることを特徴とする評価試料片の作製方法。 - 前記基板シートがシリコーンゴムシート、ポリ乳酸フィルム、ポリエチレンフィルム又はコラーゲンスポンジの群から選択される一の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の評価試料片の作製方法。
- 前記多孔体の開孔径が50μm〜500μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価試料片の作製方法。
- 前記多孔体が金属、セラミック又は高分子からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価試料片の作製方法。
- 前記金属がTi又はステンレス鋼であることを特徴とする請求項4に記載の評価試料片の作製方法。
- 多孔体13中に細胞55を侵入させた後、前記多孔体中に侵入した細胞を固定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価試料片の作製方法。
- 細胞を固定後、前記多孔体を1mm以上の幅で切断することを特徴とする請求項6に記載の評価試料片の作製方法。
- 前記多孔体を切断後、前記多孔体中に固定した細胞を、染色することを特徴とする請求項7に記載の評価試料片の作製方法。
- 細胞培養前に、前記基板シート及び前記多孔体を滅菌処理することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の評価試料片の作製方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の評価試料片の作製方法を用いて作製した評価試料片を、窓部を有する封入容器の前記窓部上に配置してから、前記評価試料片上にガラスを配置することを特徴とする評価試料片封入体の作製方法。
- 前記封入容器が凹部を有し、前記凹部の底面に窓部が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の評価試料片封入体の作製方法。
- 請求項10又は11に記載の評価試料片封入体を蛍光顕微鏡で観察することを特徴とする多孔体中への細胞侵入性の評価方法。
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