以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
<定義>
本明細書において、以下のように用語を定義する。
「通信端末」:スマートフォン、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ、ウェアラブル端末等の携帯型情報通信機器をいう。特に本実施形態では、カメラを含む撮影部を備え、アプリケーションソフトウェアを内蔵メモリにダウンロードして実行することが可能なものをいう。
「発注者」:通信端末の一方の使用者であり、本実施形態では商品を注文するユーザ(観客など)をいう。本発明に係る「訪問先」に相当する。
「受注者」:通信端末の他方の使用者であり、本実施形態では顧客に商品を配送する売り子をいう。本発明に係るプログラムを実行させるための通信端末を保有する者である。
「取得」:外部から通信端末に情報を取り込むことをいい、自ら積極的に取りに行く場合と外部からプッシュ配信される場合とを含む。
「提供」:通信端末から外部に情報を送信することをいう。
「提示」:使用者に認知可能に情報を提供することをいい、例えば表示部に情報に関する画像を表示することを含む。
「報知」:新たな事象が発生したことを使用者に認識させることをいい、例えば表示部に画像を提示すること、インディケータを駆動制御すること、音響を発生すること、バイブレーションを駆動することを含む。
<システム全体構成>
図1に本実施形態に係るシステム図を示す。図1に示すように、本実施形態に係る会場注文システム1は、例示的に、野球場Fにおける観客(ユーザ)である発注者が使用する通信端末10、および売り子である受注者が使用する通信端末20A/20Bを備える。通信端末20Aおよび20Bは異なる受注者が使用するもので、同一の機能を有する。以下、特に通信端末を区別しない場合には単に「通信端末20」と称する。
通信端末を有する観客全てが発注者となりうるため、野球場F内には複数の通信端末10が存在することになるが、本実施形態では代表して一人の発注者が使用する一つの通信端末10についての動作を説明する。また商品の売り子も複数(大きな会場であれば数十人から百人程度)働いておりいずれも受注者となるため、売り子の数だけ通信端末が存在するが、本実施形態では代表して一人の受注者が使用する一つの通信端末20についての動作を主として説明する。
図1において、発注者の使用する通信端末10と受注者の使用する通信端末20とは、通信端末同士が直接通信するアドホック(Ad hoc)通信により相互に接続することも、移動体通信基盤設備2を介する移動体通信により相互に接続することも可能になっている。通信端末10および20の詳細な機能ブロックの説明については後述する。
アドホック通信とは、Wi−Fi(Wireless Fidelity)等の無線LAN(Local Area Network)規格、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)、Zigbee(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)、近距離無線通信(NFC:Near Field radio Communication)等の無線PAN(Personal Area Network)規格を用いて、通信端末同士が直接的に、または、ビーコン(Beacon)といった無線標識を介して間接的に接続することをいう。アドホック通信で直接的に接続可能な距離は、具体的な無線通信の規格に則るが、本実施形態で好適な範囲としては1メートルから百メートル程度の範囲である。アドホック通信には、二つの通信端末同士が直接接続する場合(単ホップ通信)の他、中継装置として機能する1以上の通信端末(ビーコンを含む)を介して二つの通信端末同士が接続する場合(マルチホップ通信)を含む。図1におけるアドホック通信領域A1〜A3は、それぞれの通信端末においてアドホック通信が可能な領域を模式的に示したものである。具体的には、通信端末10と通信端末20Aとは、各々のアドホック通信領域A1およびA2が重なっているので、直接的にアドホック通信で接続することが可能となっている(単ホップ通信)が、通信端末10と通信端末20Bとは、アドホック通信領域A1およびA3が重なっていないので、直接的にアドホック通信で接続することができない。通信端末10と通信端末20Bとの間に他の通信端末が中継装置として介在することによりアドホック通信(マルチホップ通信)が可能となる。
移動体通信とは、3G(3rd Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の移動体無線通信規格に則った無線通信で移動体通信基盤設備2に接続し、通信端末同士の音声通信およびデータ通信をすることをいう。移動体通信には、Wi−Fi等の無線LAN接続を提供するルータやアクセスポイント、ビーコンを介して移動体通信基盤設備2に接続する場合を含む。
移動体通信基盤設備2としては、図1に示すように、基地局B、無線ネットワーク制御局RC、コアネットワークCN、ゲートウェイGW、インターネット網INと、および決済機関システムCSを備える。
基地局Bは、通信可能範囲内に位置する通信端末10や通信端末20との間で、音声やデータを無線通信により送受信し、コアネットワークCNに中継するように構成されている。無線ネットワーク制御局RCは、コアネットワークCNに接続するとともに基地局Bに接続し、基地局Bを介する無線通信を制御するように構成されている。例えば、通信端末10および通信端末20の発着信や回線接続、位置登録やハンドオーバーの制御などを行う。コアネットワークCNは、例えば、移動通信事業者が管理、運用するネットワークである。コアネットワークCNは、ゲートウェイGWを介して他の通信網、例えばインターネット網IN等の広域ネットワークに接続している。ゲートウェイGWは、インターネット網INからのアクセス制限などを行うように、構成されている。ゲートウェイGWは、プロキシサーバやファイアーウォールなどの機能を備えていてもよい。
インターネット網INは、TCP/IPプロトコルに準拠した広域ネットワークである。インターネット網INには、決済機関システムCSが接続されている。決済機関システムCSは、インターネット網INを介して送信される与信照会や決済処理の要求(リクエスト)を受信して与信照会処理や決済処理を行うように構成されている。決済機関システムCSは、与信照会や決済処理の要求元へインターネット網INを介して与信照会や決済処理の結果を送信する。
<発注者の通信端末10の構成>
図2に発注者の使用する通信端末10における機能ブロック図を示す。図2に示すように、通信端末10は、例示的に、制御部100、通信部120、操作部122、表示部124、撮影部126、アンテナ128およびアンテナ129、並びに記憶部130を備える。これらの構成は主としてハードウェアであるが一部ソフトウェアで実現するものであってもよい。
通信端末10は、図2に示していないその他の構成・機能として、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機や方位センサ、重力センサ、温度センサ、加速度センサなどの各種のセンサ、マイク、スピーカ、バイブレーション装置、インディケータ、電源部等をさらに備えていてもよい。
アンテナ128は、移動体無線通信規格に準拠した周波数帯、例えば2.1[GHz]帯や900[MHz]帯の周波数帯で電波(電磁波)を放射(輻射)および受波できるように構成されている。アンテナ129は、アドホック通信規格に準拠した周波数帯、例えば2.4[GHz]帯や5[GHz]帯の周波数帯で電波(電磁波)を放射(輻射)および受波できるように構成されている。
通信部120は、アンテナ128に接続しており、移動体無線通信規格に基づいた移動体通信をすることが可能に構成されている。具体的には、通信部120は、図1に示す基地局Bとの間で移動体通信路(回線)を確立して通信を行い、コアネットワークCNに接続するように構成されている。コアネットワークCNに接続すると、通信部120は、コアネットワークCNに接続している通信端末20や他の通信機器、例えばゲートウェイGWおよびインターネット網INを介してコアネットワークCNに接続する決済機関システムCSとの間で、データ(情報)を通信(送信および受信)することが可能になる。
通信部120は、アンテナ129にも接続しており、アドホック通信規格に基づいたアドホック通信をすることが可能に構成されている。具体的には、通信部120は、通信端末20との間でアドホック通信を確立して通信するように構成されている。
操作部122は、利用者(発注者)の操作により情報を入力できるように構成されている。操作部122は、例えば、タッチパネル、ボタン、キーボード、キーパッドなどを含んで構成される。利用者がタッチパネルに接触した場合には接触した位置が検出され、制御部100に入力される。利用者がボタン、キーボード、キーパッド等を操作した場合には、接触したボタンに割り付けられたコードが生成され、制御部100に入力される。
表示部124は、画像情報を利用者に認識可能に出力するように構成されている。表示部124は、例えば、液晶方式、EL(Electro Luminescence)方式、プラズマ方式のディスプレイ装置である。
撮影部126は、カメラ等の撮像手段を含み、静止画像または動画像を画像データとして取り込み、制御部100の制御に従って記憶部130に記憶させたり表示部124に出力して表示させたりすることが可能となっている。撮影部126は、撮影手段を複数備えてよく、少なくとも利用者の容姿、例えば通信端末10を操作している利用者の顔を撮像することが可能となっている。撮像手段の種類に限定はない。画像データは、静止画像であっても動画像であってもよく、画像データのフォーマットにも限定はない。
記憶部130は、所定のソフトウェアプログラムやデータを記憶することが可能な記憶手段であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶手段の総称である。ソフトウェアプログラムとしては、オペレーションシステム、各種アプリケーションソフトウェア(アプリ)が含まれる。特に本実施形態では、発注者のための注文用プログラムに相当するアプリを含むものとする。データとしては、識別情報132および個人情報134を含む。記憶部130には、前提として、当該通信端末10を制御するためのファームウェアプログラムが格納されているものとする。また記憶部130には、前提として、発注者のための注文用プログラムに係るアプリケーションソフトウェア(アプリ)がダウンロードされて保存されているものとする。
識別情報132は、一意的に当該通信端末10を特定可能なUUID(Universally Unique Identifier)であり、例えば、ネットワーク内の各ノードを識別するために多用されているMAC(Media Access Control)アドレスである。
個人情報134は、発注者、すなわち通信端末10の所有者に関する情報である。個人情報134は、特に決済処理において必要とされる決済信用情報、例えば、通信端末に結び付けられたクレジットカード情報その他の発注者へ課金する際の担保を特定可能な情報を含む。決済信用情報としては、クレジットカード情報の他、通信端末10のキャリアや決済専門業者により提供される決済サービスの識別情報が挙げられる。個人情報134は、その他、発注者を特定可能な情報、例えば、氏名、年齢、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、画像(写真)、個人識別情報(ID)、パスワード等の情報を含んでいてもよい。
制御部100は、図示しない例示の構成として、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、インターフェース回路等のハードウェア構成を含んで構成されている。制御部100は、記憶部130に格納された上記ファームウェアプログラムを図示しないプロセッサが実行することにより、前述した通信部120、操作部122、表示部124、撮影部126等の各部の動作を制御するように構成されている。
また制御部100は、記憶部130に格納された上記アプリ(発注者のための注文用プログラム)を図示しないプロセッサが実行することにより、図2に示すような機能ブロックを実現する。具体的には、制御部100は、通信路確立部102、位置提示部104、受注者選択部106、商品選択部108、注文情報提供部110、オンサイト表示部112、および決済処理部114を機能的に備える。これら機能ブロックは、ソフトウェアのみならず、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現してもよい。
通信路確立部102は、アドホック通信または移動体通信により通信端末20との通信路を一時的に確立する機能ブロックである。通信路確立部102は、アドホック通信を実行して、当該通信端末10と通信端末20との間に直接的に音声およびデータの送受信を可能とするアドホック通信路を確立する。また通信路確立部102は、移動体通信を実行して、当該通信端末10と通信端末20との間に移動体通信基盤設備2を介して音声およびデータの送受信を可能とする移動体通信路を確立する。さらに通信路確立部102は、決済処理時に移動体通信基盤設備2に接続する決済機関システムCSとのデータの送受信も可能とする。
位置提示部104は、当該通信端末10および通信端末20の位置を地図上で発注者に認識可能に提示する機能ブロックである。具体的に、位置提示部104は、無線LANや無線PANを利用して接続する無線標識(ビーコン)から取得される相対位置情報や、図示しないGPS機能で測定される緯度・経度・高度情報を利用して自らの通信端末10の位置情報を取得する。また位置提示部104は、所定条件を満たす1以上の受注者の通信端末20の位置情報を取得する。所定条件とは、例えば、アドホック通信により中継器を介することなく通信端末20が当該通信端末10と直接通信可能な圏(「単ホップ圏」という)内に在圏していること、または、通信端末10の現在位置と通信端末20の現在位置とが所定距離以内であること等である。そしてアプリに含まれる野球場F(図1)の座席についての地図画像データを参照して当該通信端末10および通信端末20の位置情報に対応する位置が適切に表示される範囲の地図に重ねあわせて、当該通信端末10と1以上の通信端末20の位置をアイコンで表示する。
受注者選択部106は、通信端末20を使用する1以上の受注者識別情報を発注者に認識可能に提示する機能ブロックである。具体的に、受注者選択部106は、受注者識別情報をアドホック通信または移動体通信により各端末装置20から収集する。受注者識別情報の収集対象とするのは、登録されている全ての通信端末20であっても地図表示される範囲の通信端末20であってもよい。受注者識別情報としては、非限定の例示として、受注者(売り子)の顔画像データ、識別番号、ニックネーム、取扱銘柄、待ち人数情報等である。顔画像データは各受注者の顔を認識可能な程度の解像度で含む画像である。識別番号は各通信端末20にユニークな番号(UUID)である。ニックネームは受注者の略称である。取得銘柄は各受注者が取り扱っている商品の銘柄であり、特に本実施形態では特定商品(ビール)の銘柄をいう。待ち人数情報は各受注者が既に受け付けて商品配送を待っている他の発注者の累計人数である。待ち人数情報以外の情報は、恒常的にほぼ変更がないものであれば、予めアプリに登録されていてもよい。
受注者選択部106は、複数の受注者選択モードで受注者識別情報を提示する。複数の受注者選択モードは例えば以下のものであり、詳しくは動作の説明にて後述する。
(1)「近くから選択」モード:当該通信端末10の近くに存在する通信端末20、例えば、単ホップ圏内に在圏する通信端末20または当該通信端末10から所定距離以内に存在する通信端末20についての受注者識別情報を提示するモードである。
(2)「全てから選択」モード:登録されている全ての通信端末20についての受注者識別情報を提示するモードである。
(3)「銘柄選択」モード:銘柄情報に基づき各銘柄に関する情報を提示し、銘柄が選択されたら選択された銘柄を取り扱う受注者識別情報を提示するモードである。
商品選択部108は、受注者選択部106により選択された受注者の通信端末20から取得した取扱商品情報を参照し、発注者に選択可能なように表示部124に表示する機能ブロックである。そして商品選択部108は、発注者が操作部122を操作することにより選択した商品を商品情報として一時記憶する。また商品選択部108は、決済方法選択画面も提示して、発注者からの決済方法の選択を受け付ける。決済方法としては「現金決済」および「電子決済」がある。商品選択部108は、事後的に商品の変更やキャンセルも受け付ける。
注文情報提供部110は、選択された商品を示す注文情報を選択された受注者が使用する通信端末20に提供する機能ブロックである。具体的に、注文情報提供部110は、後述する発注者の操作に基づき取扱商品のうち1以上の商品が選択されたら、選択された商品を特定する情報と注文個数を含む注文情報を受注者選択部106で選択された受注者の通信端末20に提供する。
オンサイト表示部112は、面会相手確認用プログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。具体的に、オンサイト表示部112は、発注者を撮影した画像を通信相手となる通信端末20に提供し、実際の発注者と見比べることにより、当該発注者の本人確認を行う。
「現金決済」が選択されている場合、決済処理部114は、注文情報に基づき精算される決済金額情報、および、発注者から受け取った商品の支払金額を受注者が確認して問題が無かった旨を示す決済完了情報を通信端末20から取得し、表示部124に決済完了の旨を表示する。
「電子決済」が選択されている場合、決済処理部114は、移動体通信基盤設備2を介して決済機関システムCSに、個人情報134に含まれる決済信用情報および通信端末20から取得した決済金額情報を提供し、与信照会を要求する。そして、決済機関システムCSから取得した与信照会の照会結果が与信可能である場合には、決済処理部114は、決済機関システムCSにさらに決済処理を要求する。そして決済処理が終了したら、通信端末20に処理結果を提供する。一方、与信照会の照会結果が与信不可能である場合には、決済処理部114は、通信端末20に照会結果を転送し、表示部124に電子決済が行えない旨の文字表示をして、現金決済に移行する。
<受注者の通信端末20の構成>
図3に受注者の使用する通信端末20における機能ブロック図を示す。図3に示すように、通信端末20は、例示的に、制御部200、通信部220、操作部222、表示部224、撮影部226、アンテナ228およびアンテナ229、並びに記憶部230を備える。これらの構成は主としてハードウェアであるが一部ソフトウェアで実現するものであってもよい。
通信端末20は、図3に示していないその他の構成・機能として、例えば、GPS受信機や方位センサ、重力センサ、温度センサ、加速度センサなどの各種のセンサ、マイク、スピーカ、バイブレーション装置、インディケータ、電源部等をさらに備えていてもよい。
アンテナ228および229については、通信端末10のアンテナ128および129にそれぞれ対応しており同様であるため説明を省略する。
通信部220については、通信端末10の通信部120に対応しており同様であるため説明を省略する。ただし、当該通信部220の通信相手は発注者の使用する通信端末10となる。
表示部224、撮影部226、記憶部230については、通信端末10の表示部124、撮影部126、記憶部130にそれぞれ対応しており同様であるため説明を省略する。ただし、記憶部230には、ソフトウェアプログラムとして、オペレーションシステムの他、本発明に係る受注者のための経路探索プログラムや会場注文用プログラムに相当するアプリを含むものとする。データとしては、識別情報232、取扱商品情報234、および注文情報236を含む。記憶部230には、前提として、当該通信端末20を制御するためのファームウェアプログラムが格納されているものとする。また記憶部230には、前提として、受注者のための本発明に係る受注者のための経路探索プログラムや会場注文用プログラムのアプリケーションソフトウェア(アプリ)がダウンロードされて保存されているものとする。
識別情報232は、一意的に当該通信端末20を特定可能なUUIDであり、例えば、ネットワーク内の各ノードを識別するために多用されているMACアドレスである。
取扱商品情報234は、当該受注者が取扱い可能な商品に関する情報である。取扱商品情報234は、全ての受注者が同一の商品を取り扱う運用であれば、予めアプリに登録されていればよい。また受注者が個別に取扱商品の内容を変更可能とする運用であれば、変更の都度更新される情報として格納されていればよい。前者の運用の場合には、取扱商品情報234を通信端末10にダウンロードされるアプリに含めておくことで、事後的に通信端末20から通信端末10に提供する費用がない。後者の運用の場合には、通信端末10からの要求に応じて通信端末20から個別の取扱商品情報234が読み出され、通信端末10に提供される。
注文情報236は、通信端末10において発注者が取扱商品から選択した商品に関する情報であり、通信端末10から取得した情報である。注文情報236は、商品種別を特定する情報と注文個数を含む。
制御部200は、図示しない例示の構成として、CPU等のプロセッサ、インターフェース回路等のハードウェア構成を含んで構成されている。制御部200は、記憶部230に格納された上記ファームウェアプログラムを図示しないプロセッサが実行することにより、通信部220、操作部222、表示部224、撮影部226等の各部の動作を制御するように構成されている。
制御部200は、記憶部230に格納された上記アプリ(受注者のための会場注文用プログラム)を図示しないプロセッサが実行することにより、図3に示すような機能ブロックを実現する。具体的には、制御部200は、通信路確立部202、位置提示部204、取扱商品提供部206、注文情報取得部208、注文情報提示部210、最適ルート検索部212、オンサイト表示部214、および注文確定部216を機能的に備える。これら機能ブロックは、ソフトウェアのみならず、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現してもよい。
通信路確立部202および位置提示部204については、通信端末10の通信路確立部102および位置提示部104にそれぞれ対応しており同様であるため説明を省略する。ただし、通信路確立部202の通信相手は発注者の使用する通信端末10となる。また、位置提示部204は当該受注者を選択した発注者の通信端末10の位置情報を取得して表示する。
取扱商品提供部206は、当該受注者が提供可能な商品に関する情報を提供する機能ブロックである。具体的に、取扱商品提供部206は、通信端末10から要求された場合に、記憶部230に格納されている取扱商品情報234を読み出して当該通信端末10に提供する。
注文情報取得部208は、通信端末10を使用する発注者が注文した商品を示す注文情報を取得する機能ブロックである。具体的に、注文情報取得部208は、通信端末10から注文情報を取得したら当該通信端末10と対応付けて記憶部230に注文情報236として記憶する。
注文情報提示部210は、注文情報236を受注者に認識可能に提示する機能ブロックである。具体的に、注文情報提示部210は、注文情報236を取得すると、当該注文情報に基づいて注文商品とその注文個数とを認識可能なように表示部224に提示する。また特定の発注者への商品配送に取り掛かる段階になると、当該発注者に対応づけられた注文情報236を記憶部230から読み出して注文に係る商品の種類とその注文個数とを認識可能なように表示部224に提示する。
最適ルート検索部212は、本発明に係り、通信端末10の位置に至る最適ルートを検索する機能ブロックである。具体的に、最適ルート検索部212は、当該通信端末20の位置から所定数の訪問先(発注者の通信端末10)までの最短経路を算出して受注者に認識可能なように表示部224に表示する。具体的に、本実施形態に係る経路探索方法は、受注者のための経路探索用プログラムをアプリとして通信端末20にダウンロードして実行される機能に基づく。経路探索方法は以下のステップを備える。
1)新たな訪問先(発注者)が生じる毎に訪問先情報を順番に登録していくステップ、
2)登録された訪問先が所定数に達した場合に当該通信端末の位置情報と所定数の訪問先の位置情報とに基づいて当該通信端末の位置を起点として所定数の訪問先を訪問するための複数の経路のそれぞれについて合計距離を算出するステップ、
3)合計距離が最も短い最短経路を提示するステップ。
すなわち、最適ルート検索部212は、経路探索用プログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。具体的に、経路探索用プログラムは、以下の機能を実行させる。
(1)新たな訪問先が生じる毎に訪問先情報を通信端末20に順番に登録していく機能。
(2)通信端末20に登録された訪問先が所定数に達した場合に当該通信端末20の位置情報と所定数の訪問先の位置情報とに基づいて当該通信端末の位置を起点として所定数の訪問先を訪問するための複数の経路のそれぞれについて合計距離を算出する機能。
(3)合計距離が最も短い最短経路を提示する機能。
上記機能(1)は、新たな訪問先が生じる毎に、アドホック通信または移動体通信により発注者たる通信端末10の位置情報から訪問先情報を取得し、順番に通信端末20に登録していく機能である。
上記機能(2)は、最短経路算出機能であり、以下の機能を含む。
(A)通信端末20の位置および所定数の訪問先(通信端末10)の位置をノードとして各ノード間の距離を算出する機能。
(B)通信端末20を起点とし全ての訪問先(通信端末10)を経由する複数の経路を設定する機能。
(C)算出された各ノード間の距離に基づいて複数の経路の各々について合計距離を算出する機能。
上記(A)の機能は、アドホック通信または移動体通信により通信端末20の位置情報および所定数の訪問先(発注者の通信端末10)の位置情報を取得し、無線標識への接続やGPS機能等を利用して通信端末10,20をノードとして各ノード間の距離を算出する機能である。
上記(B)の機能は、通信端末20,10の位置情報に基づいて、通信端末20を起点とし全ての訪問先(通信端末10)を経由する複数の経路を設定する機能である。
上記(C)の機能は、上記(A)の機能で算出された各ノード間の距離に基づいて、上記(B)の機能で設定された複数の経路の各々について合計距離を算出する機能である。
上記機能(3)は、上記機能(3)で算出した複数の経路の各々についての合計距離から最も短い最短経路を通信端末20の表示部224に提示する機能である。
また、本発明に係る経路探索用プログラムは、(4)所定の条件に合致した場合に所定数の訪問先情報を削除する機能を通信端末20に実行させる。ここで、「所定の条件」とは、例えば、所定数(本実施形態では5件)でグループ化した複数の注文グループが存在する場合に、訪問を終えたグループの訪問先情報を削除することをいう。
さらに、本発明に係る経路探索用プログラムは、通信端末20に以下の機能を実行させる。
(5)訪問先の取消が発生した場合に取り消しに係る当該訪問先の訪問先情報を削除する機能。
(6)取り消された当該訪問先を除く訪問先を訪問するための複数の経路を再算出する機能。
上記(5)の機能は、通信端末20に一旦登録された訪問先が何らかの理由で取り消された場合に、当該訪問先情報を削除する機能である。訪問先が取り消される場合としては、例えば、発注者による誤操作による場合や、発注者が受注者(売り子)の訪問を待つ間に近くを通り掛かった別の受注者(売り子)から商品を購入してしまったために注文を取り消す場合等が挙げられる。
上記(6)の機能は、受注者(売り子)の訪問途中で訪問先の取り消しが発生した場合に、取り消された当該訪問先を除く訪問先を訪問するための複数の経路を再算出する機能である。複数の経路の再算出は、最短経路の算出機能と同様に実行される。
オンサイト表示部214は、面会相手確認用プログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。面会相手確認用プログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。具体的に、オンサイト表示部112は、発注者を撮影した画像を通信相手となる通信端末20に提供し、実際の発注者と見比べることにより、当該発注者の本人確認を行う。
注文確定部216は、発注者のもとへ配送した商品を確定し、通信端末10の決済処理部114における決済処理を補佐する機能ブロックである。具体的に、注文確定部216は、受注者へ引き渡す商品を発注者が検品した検品結果に基づいた注文確定情報を通信端末10へ提供する。前もって取得した注文情報どおりの商品が引き渡される場合には引き渡し商品が確定した旨の注文確定情報を提供する。また注文者が商品の変更を希望した場合のように注文情報と異なる商品であったとき、注文情報の変更処理をした上で注文確定情報を提供する。さらに注文者が注文の取消しを希望した場合のように注文のキャンセルが発生した場合、注文情報の取消処理を実行する。
注文確定情報を提供したら、注文確定部216は、決済処理に必要な情報を通信端末10に提供する。具体的に、「現金決済」が選択されている場合、注文確定部216は、確定した注文情報に基づき精算される決済金額情報、および、発注者から受け取った商品の支払金額を受注者が確認して問題が無かった旨を示す決済完了情報を通信端末10に提供する。
「電子決済」が選択されている場合、注文確定部216は、決済機関システムCSにおける決済処理に必要な通信端末20の識別情報232を通信端末10に提供する。通信端末10から決済処理が完了した旨を示す承認処理結果を取得した場合には、決済が完了した旨を表示部224に提示して、当該注文者に対する商品配送処理を終了する。一方、万一通信端末10から与信不可能である旨を示す承認処理結果が送信された場合には上記「現金決済」に移行する。
<会場注文システムの処理手順>
次に本実施形態における会場注文システム1の動作を説明する。本会場注文システム1は大きく、第1の態様の会場注文方法と、第2の態様の会場注文方法とに分けられる。
(第1の態様の会場注文方法)
第1の態様の会場注文方法は、発注者のための会場注文用プログラムをアプリとして通信端末10にダウンロードして実行される機能に基づく。第1の態様の会場注文方法は以下のステップを備える。
1)通信端末10および通信端末20の位置を地図上で発注者に認識可能に提示するステップ、
2)通信端末20を使用する1以上の受注者識別情報を発注者に認識可能に提示するステップ、
3)1以上の受注者識別情報から1の受注者識別情報を選択させるステップと、商品を選択させるステップ、
4)選択された商品を示す注文情報を選択された受注者が使用する通信端末20に提供するステップ、
5)通信端末20と発注者が自ら使用する通信端末10との位置関係を取得するステップ、
6)上記位置関係が所定の条件に合致した場合に撮影部126を駆動させて発注者を撮影するステップ、
7)発注者を撮影した画像を通信端末20に提供するステップ、
8)通信端末20から提供された画像を発注者に認識可能に提示するステップ、
9)上記所定の条件に合致した場合に発注者に報知するステップ、および
10)商品の決済を処理するステップ。
(第2の態様の会場注文方法)
第2の態様の会場注文方法は、受注者のための会場注文用プログラムをアプリとして通信端末20にダウンロードして実行される機能に基づく。第2の態様の会場注文方法は以下のステップを備える。
1)通信端末10および通信端末20の位置を地図上で受注者に認識可能に提示するステップ、
2)通信端末10を使用する発注者が注文した商品を示す注文情報を取得するステップ、
3)通信端末10の位置に至る最適ルートを検索するステップ、
4)通信端末10と受注者が自ら使用する通信端末20との位置関係を取得するステップ、
5)位置関係が所定の条件に合致した場合に撮影部226を駆動させて受注者を撮影するステップ、
6)受注者を撮影した画像を通信端末10に提供するステップ、
7)通信端末10から提供された画像を受注者に認識可能に提示するステップ、および
8)商品の決済を処理するステップ。
(会場注文システムの動作フローチャート)
次に図4に基づいて、上記第1の態様および第2の態様の会場注文方法の具体的な適用例を説明する。図4は、会場注文システム1において実施される会場注文方法を説明するフローチャートである。
図4に示すように、100番台で示すステップ群は、発注者の使用する通信端末10で実行される第1の態様の会場注文方法に関する。200番台で示すステップ群は、受注者の使用する通信端末20で実行される第2の態様の会場注文方法に関する。以下順番に、通信端末10または20における画像表示例を参照しながら説明する。
(動作の前提)
前提として、発注者たる通信端末10の使用者は、第1の態様に係る会場注文方法を実行するためのソフトウェアプログラム(アプリ)を所定のサイトからダウンロードして通信端末10にインストールしておくものとする。また受注者たる売り子が使用する端末装置20には、第2の態様に係る会場注文方法を実行するためのソフトウェアプログラム(アプリ)が所定のサイトからダウンロードされてインストールされているものとする。特に、端末装置20にダウンロードされるソフトウェアプログラム(アプリ)には、本発明に係る経路探索用プログラムが含まれているものとする。
(起動から検索条件選択まで)
ステップS100において、発注者がアプリを起動すると会場注文サービスのトップ画面が表示部124に表示される。ステップS102において、発注者はトップ画面より受注者の検索条件を入力する。
「近くから選択(近くの売り子選択)」モードが選択されるとステップS104に移行し、受注者選択部106は、当該通信端末10の近くに存在する通信端末20、例えば、単ホップ圏内に在圏する通信端末20または当該通信端末10から所定距離以内に存在する通信端末20についての受注者識別情報を取得する。具体的には、通信路確立部102がアドホック通信により単ホップ圏内に通信端末20が在圏するかを検索する。通信端末10からの現在位置の照会を受けた通信端末20は、アドホック通信で接続されている場合には、通信端末10のアドホック通信領域と通信端末20のアドホック通信領域とが直接的に重なっているか(図1参照)、すなわち単ホップ圏に在圏しているかを示す情報を提供する。移動体通信で接続されている場合には、自らの無線標識への接続やGPS機能等で取得した通信端末20の現在位置情報を提供する。検索の結果、1以上の通信端末20が単ホップ圏に在圏していた場合、または、通信端末10の現在位置と通信端末20の現在位置とが所定距離以内である場合には、それら通信端末20からさらに受注者識別情報を取得する。
「全てから選択(全ての売り子選択)」モードが選択されるとステップS106に移行し、受注者選択部106は、登録されている全ての通信端末20についての受注者識別情報を取得する。予めアプリに受注者識別情報が登録されている場合にはそれらを呼び出す。登録されていない場合には、通信路確立部102がアドホック通信および移動体通信により野球場F内に現時点で通信可能な通信端末20全てと通信し、通信が成功した通信端末20から受注者識別情報を取得する。
「銘柄選択」モードが選択されるとステップS108に移行し、受注者選択部106は、銘柄情報に基づき各銘柄に関する情報を提示する。銘柄情報は、予めアプリに登録されている。銘柄情報の提示の段階では受注者識別情報を取得しない。
次いでステップS110に移行し、受注者選択部106は受注者の選択画面を表示する。図5に「近くから選択」モードの受注者選択画面例を示す。図6に「全てから選択」モードの受注者選択画面例を示す。図7に「銘柄選択」モードの銘柄選択画面例を示す。
図5に示すように、「近くから選択」モードを選択した場合、通信端末10の表示部124には、当該通信端末10の現在位置をほぼ中心としてステップS104で検索された通信端末20の現在位置を表示するのに適切な縮尺で野球場Fの座席配置に関する地図画像データに基づく地図が表示される。そして自らの通信端末10と検索された通信端末20とが区別可能なように表示される。図5の例では、通信端末10の位置にアイコンPuが示され、検索された通信端末20の位置にアイコンPs1、Ps2が示されている。好ましくは、受注者選択部106は、受注者識別情報に基づいて、それぞれの通信端末20の受注者の顔画像Gs1、Gs2と待ち人数Ws1、Ws2とを表示する。発注者が所望のアイコンPs1またはPs2を選択することにより、いずれかの受注者が選択される。このような表示態様によれば、地図表示により発注者と受注者との物理的な距離は直感的に把握できる。また待ち人数の表示により、それぞれの受注者を選択して注文した場合にどのくらい待たされるかの目安を提供できる。発注者から相対的に近くに居るからといって、受注者の待ち人数が多ければすぐに注文に対応できるものではなく、逆に発注者から相対的に遠くに居るからといって、受注者の待ち人数が少なければ商品の配達が遅くなるものでもない。また受注者の顔画像を提示することによって、発注者は待ち時間の要素とは別に好みの受注者を選択することができる。各受注者の顔画像、各受注者までの距離、および待ち人数をともに表示することによって、発注者の考え方に応じた適切な受注者の選択環境を提供することができる。
図6に示すように、「全てから選択」モードを選択した場合、通信端末10の表示部124には、ステップS106で検索された受注者識別情報の数nだけ、各受注者の顔画像Gsnとそれぞれの受注者の待ち人数Wsnの組み合わせが整列表示される。発注者が所望の顔画像Gsを選択することにより、いずれかの一人の受注者が選択される。受注者識別情報の数が表示部124の1ページに入り切らないほど多い場合にはスクロールやページ切替等の公知の画像表示手段によって全ての受注者を表示させる。このような表示態様によれば、受注者の顔画像Gsと待ち人数Wsとが表示されるので、発注者に好みと待ち時間とに基づいた適切な選択環境を提供することができる。なお、当該「全てから選択」モードにおいて、各受注者の通信端末20からそれぞれの現在位置情報を取得して、極端に遠い場所に居る受注者や待ち人数が所定数以上の受注者を除外して表示するようにしてもよい。予め選択するのに不適当な受注者のみが提示されるので、発注者が極端に長く待たされることを防止可能である。
図7に示すように、「銘柄選択」モードを選択した場合、通信端末10の表示部124には、ステップS108で検索された銘柄が選択可能に整列表示される。発注者が所望の銘柄Bを選択すると、受注者識別情報が参照され、選択した銘柄を取り扱う受注者が抽出され、その中から一人の受注者が選択される。例えば、抽出された受注者の通信端末20から現在位置情報が収集され、発注者に最も近い受注者が選択される。また例えば、抽出された受注者の待ち人数情報が参照され、最も待ち人数の少ない受注者が選択される。最も待ち人数の少ない受注者が複数存在する場合には、例えば、さらに各受注者の通信端末20から現在位置情報が収集され、発注者に最も近い受注者が選択される。図7の例では、商品「ビール」の銘柄のアイコンB1〜B4が表示されている。銘柄の数が表示部124の1ページに入り切らないほど多い場合にはスクロールやページ切替等の公知の画像表示手段によって全ての銘柄を表示させる。このような表示態様によれば、銘柄Bが表示されるので、商品銘柄に関心の高い発注者に対して適切な選択環境を提供することができる。
図4に戻り、一人の受注者が選択されると、ステップS112に移行する。発注者が受注者の選択をキャンセルした場合(S112:戻る)にはステップS102の検索条件選択に戻る。発注者が受注者の選択を承認した場合(S112:承認)には、受注者選択部106は選択された受注者の通信端末20に対して取扱商品情報の提供を要求する。
(取扱商品の提示から受注処理まで)
ステップS202において、選択された受注者の通信端末20の取扱商品提供部206は、ステップS112で発注者の通信端末10から提供された取扱商品情報の提供の要求に対応して、記憶部230に格納されている取扱商品情報234を読み出して当該通信端末10に提供する。
ステップS114において、通信端末10の商品選択部108は、通信端末20から取扱商品情報を取得し、発注者に選択可能なように表示部124に取扱商品一覧を含む発注画面を表示する(S116)。そしてステップS118に移行し、発注者による発注画面からの商品選択と発注を待ち受ける。
図8に発注者の通信端末10の表示部124に表示される取扱商品一覧を含む発注画面例を示す。図8に示すように、非限定の例示として、発注画面は、取扱商品一覧Pt、数量入力欄Pn、合計金額欄Ta、および発注ボタンBo/キャンセルボタンBcを含んでいる。発注者は取扱商品一覧Ptを見て注文したい商品の数量入力欄Pnに注文数に対応する数値を入力する。合計金額欄Taには数量入力欄Pnに入力した注文数に商品の単価をかけたものを全ての商品について合計した合計金額が演算されて表示される。発注者が発注ボタンBoを選択するとステップS120に移行し、キャンセルボタンBcを押下するとステップS112の受注者選択に戻る。
ステップS120において、商品選択部108は、図示しない決済方法選択画面を表示して、発注者に注文商品の決済方法を選択させる。当該注文の決済方法として発注者が「現金決済」ボタンを選択すると「現金決済」を示すフラグが登録され(S122)、「電子決済(Ad−Hoc決済)」ボタンを選択すると「電子決済」を示すフラグが登録される(S124)。ステップS126に移行し、商品選択部108は、図示しない最終確認画面を表示する。最終確認画面には、注文商品、注文数、合計金額、OKボタン、キャンセルボタン等が表示される。発注者がOKボタンを押下すると(S126:OK)、ステップS128に移行し、商品選択部108は発注情報を生成し、通信端末20に提供する。発注情報としては、識別情報132、注文商品、注文数、合計金額、決済方法、注文時刻等の情報を含む。
ステップS204において、通信端末20の注文情報取得部208は、通信端末10から注文情報を取得したら識別情報132に基づいて当該通信端末10と対応付けて記憶部230に注文情報236として記憶する。ステップS206に移行し、注文情報提示部210は、注文情報236を受注者に認識可能に提示する。具体的に、注文情報提示部210は、注文情報236を取得すると、当該注文情報に基づいて注文商品とその注文個数とを認識可能なように表示部224に提示する。注文情報提示部210は、注文情報が提供されたら所定の報知手段で受注者に注文情報の取得を報知することが好ましい。発注者が商品を注文した場合に受注者が迅速に受け入れの意思表示をすべきだからである。
図9に受注者の通信端末20の表示部224に表示される受注画面例を示す。図9に示すように、非限定の例示として、受注画面は、注文商品一覧Pt、商品数欄Pn、合計金額欄Ta、および受注ボタンBaを含んでいる。受注者は受注画面から注文内容を把握した上で受注ボタンBaを選択する(S208)。受注ボタンBaが選択されると、注文情報提示部210は、受注した旨を示す受注情報を通信端末10に提供し、ステップS210に移行する。
ステップS130において、通信端末20からの受注情報を取得した通信端末10は、表示部124に図示しない受付完了表示を提示し、ステップS132に移行する。発注者は、受付完了表示を確認したら、注文した商品の配送を待つことになる。
(受注後から発注待ち/誘導画面表示まで)
ステップS132において、通信端末10の位置提示部104は、注文待ち画面を生成して表示する。注文待ち画面は、自らの通信端末10の位置および選択した受注者の通信端末20の位置を地図上で発注者に認識可能に提示する画面である。位置提示部104は、無線標識への接続やGPS機能等を利用して自らの通信端末10の位置情報を取得する。また位置提示部104は、注文待ち期間において、定期的に当該通信端末20に現在位置を問い合わせて通信端末20の現在位置情報を取得する。そして両端末の位置を表示するのに適切な縮尺で座席配置の地図を表示するとともに、両端末を区別可能なように表示する。
図10に通信端末10における注文待ち画面例(配達フェーズ)を示す。図10の例は、図5で説明した「近くから選択」モードの選択画面から受注者Ps2を選択した場合に対応している。図10に示すように、通信端末10の現在位置がアイコンPuで示され、通信端末20の現在位置がアイコンPs2で示されている。アイコンPs2には受注者の顔画像Gs2と待ち人数Ws2も表示される。図10では、受注者の待ち人数Ws2は「0」となっていることから、当該発注者の商品配送に取り掛かっていることを示している。図10に示すように、発注者に間もなく配送される期待感を持たせるために、商品配送中である旨のメッセージM1を表示させることが好ましい。受注者が配送中である場合には、図10に示すように配送の最適ルートRを矢印で表示さてもよい。最適ルートの算出については、ステップS210で後述する。
図11に発注者の通信端末における注文待ち画面例(待機フェーズ)を示す。図11に示すように、受注者の待ち人数Ws2として「1」が表示されていることから、当該受注者は現在他の発注者の商品配送等に対応していることが暗示される。図11に示すように、直ぐには商品配送に向かえないことをより明確に示すために、例えば、他の発注者のために配送中である旨のメッセージM2を表示することは好ましい。このような臨機応変なメッセージ等を表示することにより、待ち時間が長時間にわたることへの発注者の不安感を軽減可能である。
ステップS210において、受注処理(S208)を終了した通信端末20は最適ルートを算出に移行する。最適ルート検索部212は、当該通信端末20の位置から所定数の訪問先(発注者の通信端末10)までの最短経路を算出して受注者に認識可能なように表示部224に表示する。(S212)。通信端末20についてのS204〜S210の処理の詳細については、図17を参照して後述する。
図12に通信端末20の表示部224に表示される誘導画面例を示す。図12の例では、受注者のアイコンPsの他に、商品の配送を待っている発注者の位置がアイコンPu1〜Pu5で示されている。発注者のアイコンPuには、配送順序を示す数値がそれぞれ表示される。図12の例では、アイコンPu1、アイコンPu2、アイコンPu3、アイコンPu4、およびアイコンPu5の順番で配送すべきことが示されている。ルートR1〜R5は、ステップS210において最適ルート検索部212が検索した最適ルートである。受注者は、誘導画面に表示される順序およびルートに従って商品を配送すればよい。図12に示されるような状態では、アイコンPu1に対応する配送順位1番の発注者の通信端末10には、図10で説明したような注文待ち画面(配達フェーズ)が表示される。またアイコンPu2〜Pu5に対応する配送順位2番以降の発注者の通信端末10には、図11に類似の注文待ち画面(待機フェーズ)が表示される。
ステップS134に示すように、注文待ち画面が表示されている間、注文商品の変更(注文数変更含む)や注文のキャンセルが可能になっている。注文商品の変更が選択された場合には(S134:変更)、ステップS118の商品選択に戻る。注文商品のキャンセルが選択された場合には(S134:取消)、通信端末10は注文取消要求を通信端末20に提供し、ステップS232の注文取消処理に移行する。
図13に通信端末10における注文変更/キャンセル画面例を示す。図13に示すように、発注者が修正ボタンBmを選択すれば、発注時に数量入力欄Pnに入力した数量を変更することが可能となる。商品の数量を変更して変更確定を選択すれば、数量が変更された発注情報が生成されて受注者の通信端末20に提供され、注文内容が更新される。図13の例では商品「フライドポテト」の発注数が発注時の「0」から「1」に変更されている。またキャンセルボタンBcを選択すれば、注文をキャンセルすることが可能となる。
ステップS232において、注文取消要求を取得した通信端末20は、当該発注者の注文情報とともに配送順序リストから当該発注者を消去する。そしてステップS210に戻り、最適ルート検索部212は、注文を取り消した発注者を除外した配送順序リストに登録されている発注者への最適ルートを再計算する。また、通信端末20は、注文取消要求を受け入れたことを示す注文取消承認を当該通信端末10に提供する。ステップS148において、注文取消承認を取得した通信端末10は、表示部124に取消完了通知を表示する。
(オンサイト表示)
ステップS136およびステップS214において、商品配送中の受注者の通信端末20と当該受注者からの商品配送を待つ発注者(配送順位1番の発注者)の通信端末10とのそれぞれでは、両端末の距離が定期的に測定される。具体的に、通信端末10のオンサイト表示部112は、アドホック通信または移動体通信により通信端末20から位置情報を取得し、無線標識への接続やGPS機能等を利用して自らの通信端末10の位置情報を取得して両端末の距離を演算し、両端末の距離が所定の条件に合致したかを判断する(S136)。また通信端末20のオンサイト表示部214は、アドホック通信または移動体通信により通信端末10から位置情報を取得し、無線標識への接続やGPS機能等を利用して自らの通信端末20の位置情報を取得して両端末の距離を演算し、両端末の距離が所定の条件に合致したかを判断する(S214)。そして両端末の距離が所定の条件に合致した場合に、通信端末10はステップS138およびステップS140に、通信端末20はステップS216に移行する。なお、所定の条件は、アドホック通信において単ホップ圏に相手方の通信端末が近づいたことや、両端末の距離が至近距離(5〜10m等)に近づいたこと、である。
ステップS138において、通信端末10は、上記所定の条件に合致したことを発注者に報知する。当該処理はオプショナルな機能であり、本実施例では、発注者側の通信端末10のみに実行させる。受注者は商品配送が業務であって報知せずとも発注者へ近づいていることを認識しているのに対し、発注者は発注待ち画面を参照すれば受注者が近づいていることを認識こそできるものの、原則野球等のゲーム観戦に集中しているものであって、商品が到着した時に認識できれば十分だからである。
ステップS140およびステップS216において、所定の条件に合致した場合に両端末は自らの撮影部を駆動させて使用者を撮影する。具体的に、通信端末10では、撮影部126を自分撮りモード起動させ、使用者である発注者を撮影し、発注者を撮影した画像を画像データとして通信相手となる通信端末20に提供する。通信端末20では、通信相手となる通信端末10から画像データが提供されたら、提供された画像を受注者に認識可能に表示部224に提示する。この画像は静止画像でも動画像でもよい。
(注文確認から決済完了まで)
ステップS218において、発注者へ引き渡す商品を受注者が検品した検品結果に基づいた注文確認情報を通信端末10へ提供する。具体的に、通信端末20の注文確定部216は、前もって取得した注文情報どおりの商品が引き渡される場合には、注文確定部216は引き渡し商品が確定した旨の注文確定情報を通信端末10に提供する。また注文者が商品の変更を希望した場合のように注文情報と異なる商品であったとき、注文情報の変更処理をした上で注文確定情報を提供する。さらに注文者が注文の取消しを希望した場合のように注文のキャンセルが発生した場合、注文情報の取消処理を実行する。
図14に通信端末20の表示部224に表示される注文確認画面例を示す。図14に示すように、取扱商品一覧Pt、発注数欄Pnが表示されているので、受注者は、注文された商品と発注数を口頭で確認する。
発注者の勘違いや事情により注文内容の修正又はキャンセルが必要な場合(S218:NG)、受注者は注文修正/キャンセルを選択する(S234)。具体的に、発注者が注文内容の修正を希望している場合には受注者は修正ボタンBm(図14)を選択する(S234:修正)。注文内容が修正された場合には、注文確定部216は注文修正情報を通信端末10に提供する。通信端末10は注文修正情報を取得するとその旨表示部124に表示させる(S152)。
また発注者が注文のキャンセルを希望している場合には受注者は注文確認画面からキャンセルボタンBc(図14)を選択する(S234:キャンセル)。注文がキャンセルされた場合には、注文確定部216は注文キャンセル情報を通信端末10に提供する。通信端末10は注文キャンセル情報を取得するとその旨表示124に表示させる(S150)。
発注者が注文内容を承認する意思表示をした場合(S218:OK)、注文商品を発注者に引き渡す(S220)。商品を引き渡した受注者が確定ボタンBa(図14)を選択すると、注文確定部216は、決済処理に必要な情報を通信端末10に提供し、続いて決済処理に移行する(S142、S222)。
ステップS222において、受注者の通信端末20には、決済処理選択画面が表示される。注文時に発注者は決済方法を選択しているため(S120)、注文時に選択された決済方法にそのまま移行してもよい。しかし、現実の商品取引では、現金決済を選択してみたものの現金が足りなかったり異なる決済方法に切り換えたくなったりする可能性がある。このため、当該実施例では、商品引き渡し後に再度決済方法を確認することとしている。
図15に通信端末20の表示部224に表示される決済処理選択画面例を示す。図15に示すように、決済処理選択画面には、限定的な例示として、決済金額Taの他に、現金決済ボタンB1、電子決済ボタンB2、修正ボタンBm、およびキャンセルボタンBcが示されている。
発注者が現金決済を希望している場合(S142、S222:現金)には受注者は現金決済ボタンB1を選択し、現金決済に移行する(S224)。現金決済が選択されたら、受注者は、発注者から受け取った商品の支払金額に過不足が無いか確認する。そして、現金が正しく支払われていたら、図示しない処理完了ボタンを選択する。注文確定部216は、現金決済に問題が無かった旨を示す決済完了情報を通信端末10に提供する。決済完了情報を取得した通信端末10は、図16に示すような処理完了通知画面を表示部124に表示して、処理を終了する(S146、S230)。
発注者が電子決済を希望している場合(S142、S222:電子)には受注者は電子決済ボタンB2を選択し、電子決済に移行する(S144、S226)。電子決済が選択されたら、注文確定部216は、決済機関システムCSにおける決済処理に必要な通信端末20の識別情報232を通信端末10に提供する。電子決済が選択されたら、決済処理部114は、移動体通信基盤設備2を介して決済機関システムCSに、個人情報134に含まれる決済信用情報、通信端末20から取得した決済金額情報、通信端末20の識別情報232を提供し、与信照会等の承認処理を依頼する。そして、決済機関システムCSから取得した承認処理の処理結果が与信可能である場合には、決済処理部114は、決済機関システムCSにさらに決済処理を依頼する。そして決済処理が終了したら、通信端末20に決済処理が完了した旨の処理結果を提供する。
通信端末10から決済処理が完了した旨を示す承認処理結果を取得した場合には(S144,S226:OK)、注文確定部216は、決済が完了した旨を表示部224に提示し、さらに決済完了情報を通信端末10に提供する。決済完了情報を取得した通信端末10の決済処理部114は、図16に示すような処理完了通知画面を表示部124に表示して、処理を終了する(S146、S230)。
万一、決済機関システムCSから通信端末10へ与信不可能である旨を示す承認処理結果が送信された場合には、決済処理部114は、通信端末20に処理結果を転送し、表示部124に電子決済が行えない旨の文字表示をする。与信不可能である旨の承認処理結果が転送された通信端末20は、電子決済が不可能である旨の文字表示をする。受注者は当該表示を見て上記「現金決済」に移行する。
受注者の通信端末20では、一人の発注者に対する決済が完了したら、配送順位リストから当該発注者の注文情報を消去し、次の配送順位に登録されている発注者の配送処理に移行する。
(経路探索処理:S204〜S210の処理の詳細)
図17に、図4におけるS204〜S210の処理の詳細を示すフローチャートを示す。当該フローチャートは次の前提条件において処理される。
<前提条件>
「注文グループ」:多数の注文を同時に受ける際、なるべく注文順で処理しつつ、受注者(売り子)の移動距離を最小化するため、注文票の受け取り順で所定件数(本実施形態では、非限定の例示として、5件とする)ずつに任意で区切ったグループをいう。注文の順番に従って発注者に訪問していくことにすると、個々の発注者へは最短距離を設定しているにも拘わらず全体的には非効率的な経路設定になり、移動距離を累積した総移動距離が長くなる結果、順番待ちをしている発注者へ到着する時刻が遅くなる。このため本実施形態では、注文グループを単位として、その中では発注の順番に優先させて総移動距離が短くなるような順路を探索することとして(順番がシャッフルされる)、その後の発注者の待ち時間を最小化することとしたのである。 「注文票」:概念的な帳票を意味しており、文字通り発注者が送信する注文データひとかたまりの単位のデータを指す。
「所定件数」:発注の順番をシャッフルさせる結果、発注グループ内で最も早く発注した発注者が最も遅い順番の訪問となる場合が生じうる。注文グループを構成する所定件数は、このような最悪の事例に該当することとなった発注者であっても許容できる待ち時間となるように考慮して設定される。本実施形態では、所定件数を最大5件とした。
注文グループと注文票は、受注者(売り子)の通信端末20の記憶部230に2種類のデータベースとして記憶する。
所定件数ごとに1注文グループを生成し、注文グループ単位で最適ルートの算出処理を行う。最上位の注文グループが処理されるまでは、後続の注文グループの処理は保留される。注文の取り消し依頼は随時生じうるため、早めに注文グループを生成してしまうと、その後の注文の取り消し依頼により、所定件数より少ない注文数で経路探索をしなければならなくなる場合が生じて、全体的な効率性を損なう可能性があるため、経路探索処理の直前に注文グループを生成するものとしたのである。
訪問途中で注文の取り消しがあっても、一度登録された注文グループは変更されない。すなわち、注文の取り消しがあっても、注文グループの繰り上げは行わない。注文グループに新たな発注者を追加すると注文グループ全体の経路探索処理を再計算しなければならなくなり、効率性を損なうおそれがあるからである。
各注文は処理された後、削除される。既に処理された注文は経路探索に不要なものだ
からである。また、同一の発注者からの次の注文は、新たな注文として順番に従って処理すればよいからである。
注文が全て処理された注文グループは削除され、各注文グループの処理順位が順次繰り上げられる。ただし、注文グループ番号は変更されない。既に処理された注文グループは不要なものだからである。注文グループの番号変更はそれだけで処理時間を要し、一旦付された番号については特段変更をする必要性がないからである。
追加注文は、新規注文として処理するため、考慮していない。倉庫など商品をストックしてある場所に取りに行く持参注文については、同じ発注者の別個の注文として受け付ける。ただし、ビールの杯数増減程度の軽微な注文変更は許容することとする。追加注文については、順番待ちをしている発注者が居る以上、新規注文として順序を繰り下げる取り扱いとするのが公平性の観点から妥当だからである。ただし、軽微な注文変更であれば、順番待ちをしている発注者への遅延の影響がほとんどないため、受け付けても問題はないからである。
以上の前提条件のもと、図17に示すように、ステップS204において、通信端末20の注文情報取得部208は、通信端末10から注文情報を取得したら識別情報132に基づいて当該通信端末10と対応付けて記憶部230に注文情報236を記憶する。ステップS206に移行し、注文情報提示部210は、注文情報236を受注者に認識可能に提示する。具体的に、注文情報提示部210は、注文情報236を取得すると、当該注文情報に基づいて注文商品とその注文個数とを認識可能なように表示部224に一覧提示する。表示部224に一覧提示した後、通信端末20は受注処理を行う(S208)。
受注処理(S208)が完了すると、通信端末20は各注文に対して注文Noを付して注文リストを作成する(S250)。注文リストは、例えば、次のように構成する。
<注文グループ1>
注文No.1:Aさん、位置情報:1、距離:1m、ルート順:1
注文No.2:Bさん、位置情報:10、距離:5m、ルート順:3
注文No.3:Cさん、位置情報:11、距離:5m、ルート順:4
注文No.4:Dさん、位置情報:2、距離:2m、ルート順:2
注文No.5:Eさん、位置情報:20、距離:10m、ルート順:5
<注文グループ2>
注文No.6:Fさん、座席No:3、距離:−m
注文No.7:Gさん、座席No:12、距離:−m
ここで、上記注文リストにおいて、注文グループ:処理単位ごとのグループ、注文No:注文順、位置情報:位置を特定できる情報であり、例示では座席情報(座席番号)。座標などでも可、距離:受注者(売り子)の現在位置との距離、ルート順:距離から算出した順序である。
上記例示において、注文グループ1については、既に所定件数(5件)に達しているため、グループが形成されており、経路の順序が設定されている。注文グループ2については、まだ注文が2件で所定件数(5件)に達していないので、グループ形成がされておらず、したがって最適経路も演算されていない。
注文リストは、受注者(売り子)の通信端末20の記憶部230にグループデータベースおよび注文データベースとして記憶される。
次に、ステップ252において、注文No÷所定件数(=5)=1の確認を行う。具体的には、注文Noは、アプリ起動時に“1”から始まる前提とする。注文No÷5の余りで、「5人単位グループの先頭か否か」を判定する。ステップ252において、注文No÷5=1でない場合(S252:No)は、新規注文票レコードを登録する(S256)。他方、ステップ251において、注文No÷5=1の場合(S252:Yes)は、新規注文グループを作成した後(S254)、新規注文票レコードを登録する(S256)。S254において、一定時間注文が入らない場合は、新規グループの作成を締め切ってもよい。例えば、1グループ処理の平均待ち時間(10〜15分程度)を経過したら、処理中のグループへの新規注文受付を締め切るようにしてもよい。また、グループ毎に待ち時間を表示部224へ表示するようにしてもよい。
ステップS258において、注文リストは必要に応じて更新される。次いで、ステップS260において、登録したグループが最上位グループか否かを確認する。すなわち、処理中のグループに登録された注文数が所定件数に達すると新規のグループが生成されてその瞬間に最上位のグループとなる。そこで、ステップS260では、処理中のグループが最上位のグループであるか否かが判定される。ステップS258において、最上位のグループではないと判定した場合(S260:No)は、登録したグループが最上位のグループになるまで処理を待つ(S263)。他方、ステップS260において、最上位のグループであると判定した場合(S260:Yes)は、まず、最上位グループに登録されているレコード全ての目的地(発注者の座席)を受注者(売り子)の通信端末20の表示部224に表示する(S264)。本実施形態では、最大5件の発注者の座席を表示部224に提示することになる。
次に、ステップS266において、アドホック通信または移動体通信により受注者たる通信端末20から位置情報を取得して、当該受注者(売り子)の通信端末20の表示部224に現在位置を表示する。
次に、無線標識への接続やGPS機能等を利用して、最上位レコード分の発注者たる通信端末10までの距離を算出する(S268)。すなわち、図18に示すように、受注者たる通信端末20の位置および所定件数(本実施形態では5件)の訪問先(通信端末10)の位置をノードとして各ノード間の距離を算出する。
次にステップS270において、通信端末20の位置情報と所定件数(本実施形態では最大5件)の訪問先(通信端末10)の位置情報とに基づいて、当該通信端末20の位置を起点として所定件数(5件)の訪問先(通信端末10)を訪問するための複数の経路のそれぞれについて合計距離を算出し、各候補ルートの中で距離総和が最小となるルートを確定する。すなわち、通信端末20および所定件数の通信端末10の位置情報に基づいて、通信端末20を起点とし所定件数(本実施形態では最大5件)の同一注文グループ内の訪問先(通信端末10)までの距離と、各訪問先(通信端末10)間のフルメッシュの直線距離を算定しておき、所定数(5件)を順番に回る各候補ルートの中で距離総和が最小となるルートをアプリからの推奨ルートとする。
図18を用いて最適ルートの経路探索方法を具体的に説明する。図18において、星印は受注者(売り子)Ps、丸印は発注者Pu1〜Pu5、実線は受注者(売り子)と発注者の距離、点線は発注者Pu1,Pu2,Pu3,Pu4,Pu5間の距離、矢印R1〜R5は受注者(売り子)Psから発注者Pu1〜Pu5へのルート、矢印R5〜R9は推奨ルートである。非限定の例示として、以下(1)〜(3)の手順を実施する。
(1)受注者Psたる通信端末20を起点とし、同一グループ内の所定件数(5件)の訪問先(通信端末10)Pu1〜Pu5のそれぞれを経由する複数の経路を算定する。
(2)各訪問先(通信端末10)Pu1,Pu2,Pu3,Pu4,Pu5間のフルメッシュの直線距離を算定する。算定数は5!/{2!×3!}=10となる。
(3)全経路(5×4×3×2×1=120ルート)の経路長の総和を求める。すなわち、通信端末20を起点として訪問先Pu1〜Pu5を回りうる候補ルートの総てについて、距離の総和を求める。
(4)複数の候補ルートの中で距離総和が最小となるルートを算定する。図18の例では、通信端末20の位置Psを起点として、Pu1、Pu2、Pu3、Pu4、Pu5の順序で訪問していく経路(経路R5→R6→R7→R8→R9を辿る経路)が推奨ルート(R5→R6→R5→R4→R3→R2→R1)として演算される。よって、この推奨ルートを受注者(売り子)の通信端末20の表示部224に表示する(図12参照)。
ステップS272において、ステップS320で受け付けた次の注文が処理中の最上位グループの中に含まれる発注者からの注文であって遅延なく当該注文グループの注文として処理可能であと判断された場合(S320:Yes)、ルート更新通知がされる。次に、ステップS274において、最上位の発注者の注文情報が受注者(売り子)の通信端末20の表示部224に一覧表示される。この時点は、商品を発注者に配達する直前の状態である。
ステップS276〜S286、S290、294は、受注者が実施する工程である。まず、受注者(売り子)は商品補充の要否を確認する(S276)。ステップS276において、商品の補充要と判断した場合(S276:補充要)は、受注者(売り子)は通信端末20で最寄りの補充場所を検索する(S278)。最寄りの補充場所を検索結果は通信端末20の表示部224に表示される。受注者(売り子)は検索された最寄りの補充場所から補充場所を選択する(S280)。最寄りの補充場所は、バックヤード(所定の商品倉庫)の場合(S282)と、他の売り子が携帯している商品の一部から補充する場合(S284)がある。受注者(売り子)は、最寄りの補充場所から商品を補充・受領し(S286)、ステップS276に戻る。
他方、ステップS276において、商品の補充不要と判断した場合(S276:補充不要)、受注者(売り子)は、自らの通信端末20の表示部224に発注者へのルートを表示させる(S288)。受注者(売り子)は、通信端末20の表示部224に表示された発注者へのルートを確認した後(S290)、目的地(目的の訪問先である次の発注者の座席)へ向かう(S294)。受注者(売り子)は、目的地へ向かう途中で、現在地やルートを適宜確認する。受注者(売り子)の所有する通信端末20では、現在地の情報が所定の間隔、例えば数秒間隔で取得され、一定周期で更新される(S292)。
ステップS298において、注文変更情報の取得の有無が確認される。ステップS296において、発注者からの注文変更(S296)により注文変更が発生している場合(S298:注文変更発生)は、最上位の発注者であるか否かを確認する(S300)。ステップS300において、最上位の発注者以外の場合(S300:最上位以外)は、ステップS288に戻り、通信端末20は表示部224に発注者へのルートを表示する。他方、ステップS300において、注文変更が最上位の発注者のものである場合(S300:最上位)は、ステップS274に戻り、通信端末20は表示部224に最上位の発注者の注文変更により変更された注文情報一覧を表示する。
他方、ステップS298において、注文変更なしの場合(S298:注文変更なし)は、通信端末20は注文取消情報の取得の有無を確認する(S304)。ステップS304において、発注者からの注文取消(S302)により注文取消が発生している場合(S304:取消発生)は、ステップS306において、対象レコードの削除を行い、ステップS258に戻って注文リストを更新する。ステップS304において、注文取消(S302)により注文取消が発生していない場合(S304:取消なし)は、注文情報の引き継ぎの要否を確認する(S308)。
ステップS308において、注文情報を引き継ぐ場合(S308:引き継ぐ)は、受注者は、表示部224に表示されたマップで上引継先となる受注者を選択して(S310)、引継対象の注文情報を当該引継先の受注者の通信端末20に送信する(S312)。引継対象の注文情報を当該引継先の受注者の通信端末20に送信した後(S312)、当該対象レコードの削除を行い(S306)、ステップS258に戻って注文リストを更新する。他方、ステップS306において、注文情報を引き継がない場合(S308:引き継がない)は、受注者(売り子)は発注者の座席(目的地(訪問先))に向かう。そして目的地に到着したら、受注者は商品を引き渡す。その場で、受注者は、商品の決済、取消、変更等の処理を行い、決済処理が終了したら完了処理を行う(S314)。受注者の通信端末20は、完了したレコードを削除する(S316)。
次に、ステップS318において、受注者(売り子)は次の注文の有無を確認する。ステップS318において、次の注文がある場合(S318:Yes)は、次の注文が最上位のグループか否かを確認する(S320)。ステップS320において、次の注文が最上位のグループの注文に属する場合(S320:Yes)は、ステップS272に戻って、ルートの更新を通知する。他方、ステップS320において、次の注文が最上位のグループ以外の注文に属する場合(S320:No)は、通信端末20は完了したグループのレコードを削除し(S322)、ステップS258に戻って、注文リストを更新する。
他方、ステップS318において、次の注文がない場合(S318:No)は、受注者(売り子)は注文リストを更新し(S324)、次の注文待ちをする(S326)。
(本実施形態の利点)
本実施形態によれば以下の種々の利点を有する。 (1)本実施形態によれば、通信端末20の位置情報と所定数(本実施形態では最大5件)の訪問先(通信端末10)の位置情報とに基づいて、当該通信端末20の位置を起点として所定数(5件)の訪問先(通信端末10)を訪問するための複数の経路のそれぞれについて合計距離を算出し、各候補ルートの中で距離総和が最小となるルートを確定する。したがって、受注者(売り子)が複数の発注者(訪問先)に至る最短経路を探索することができ、受注者の移動距離を最小化して、受注者が複数の発注者に注文商品を効率よく届けて販売することができる。
(2)本実施形態によれば、受注者(売り子)の移動中に注文変更があっても、注文変更の有無を確認することができ、注文変更が最上位グループ以外の発注者である場合には発注者(訪問先)へのルートを受注者の通信端末20の表示部224に表示させることができる。
(3)本実施形態によれば、本実施形態によれば、受注者(売り子)の移動中に注文取消があっても、注文取消の有無を確認することができ、注文取消が発生した場合には対象レコードを削除し、注文リストを更新することができる。
(4)本実施形態によれば、最上位グループ内の全ての発注者(訪問先)を訪問した場合は、当該訪問先情報を削除する機能を備えるので、受注者(売り子)に訪問したか否かの混乱が生じない。
(5)本実施形態によれば、待ち時間に応じてグループ内の人数を変更することにより、効率良く最適ルートを構築することができる。
<他の実施形態>
本発明は、上記各実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。すなわち、上記発明の各実施形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、または変更もしくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。そのような組み合わせまたは変更もしくは改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば、以下のような変形は本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態は、野球場F(図1)に本発明の会場注文方法(システム)に適用したものであるが、これに限定されない。例えば、スポーツを観戦する他の施設、陸上競技場、サッカー競技場、ラグビー場、アメリカンフットボール場等の野外競技場や、水泳、スケート、レスリングや武道関係の室内競技場に適用してもよい。また、スポーツ観戦の他に多数の観客を集めて実施されるイベント、例えばコンサート、音楽祭、文化祭、各種式典、花火大会等に適用してもよい。
(2)上記実施形態は、5人単位のグループを例示しているが、処理中グループへの登録済みユーザ数が3人などの5人に満たない状態において、当該グループの最初の発注者が登録されてからタイマー起動させ、例えば10〜15分程度の期間経過でグループ内の発注者が5人未満であっても締め切り、それ以降の受注は処理中の次のグループへ登録する機能を備えてもよい。すなわち、本発明の特徴であるグループごとに最適ルートを計算する、目的および効果と同様の観点から、注文が少ないために人数が所定数5人に達するまで時間待ちが長くなるという欠点が生じないように、所定数の5人に満たなくてもグループ化して最適ルートの算出を始めるためのタイマーを設定してもよい。これにより、待ち時間の最大値をある程度の範囲に収めることができる。
(3)上記実施形態では、発注者の使用する通信端末10と受注者の使用する通信端末20とは直接通信して情報の送受信をしていたが、サーバを介するように構成してもよい。例えばインターネット網INに接続する会場注文サーバを設けて、稼働中の受注者の通信端末20における受注者識別情報や地図情報等を一括して記憶、更新可能に構成しておくことができる。
(4)上記実施形態では、発注者は野球場Fの自席で発注するように説明したが、これに限らず、発注者が自席外から発注した場合にも受注可能に構成することができる。例えば、自席外から発注する場合のため通信端末10の表示部124に「この席へ配達」または「この位置へ配達」といった操作ボタンを設ける。これらの操作ボタンが操作された場合には、通信端末10は、操作ボタンが操作された時点で無線標識への接続やGPS機能等を利用して取得された通信端末10の位置情報で特定される位置を中心とする地図(シートマップ)を表示部124に表示する。そして発注者は表示された地図のうち配達先として指定したい座席や位置(座席が存在しない場所でもよい)をタップして、配達を指定する位置情報として通信端末10に記録させる。通信端末20側では、自席外で指定された通信端末10の位置情報を取得して配達先の一つとして記録し、当該位置情報で特定される自席外の位置を経路のノードとして演算に組み込んで処理をすればよい。このような処理により、ユーザは着席しているか否かに拘わらず、商品の配達サービスを受けることができる。座席の指定がない野外型のイベントに適する変形例である。