JP6130214B2 - 製パン練りこみ用油中水型乳化物 - Google Patents

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本発明は製パン練りこみ用油中水型乳化物に関する。詳しくは、幅広い配合のパンでソフト性とボリュームを両立することができ、またコシ折れやシワの少ないパンを得ることができる製パン練りこみ用油中水型乳化物に関する。
近年、消費者の嗜好の多様化に伴い、従来にはなかったさまざまなパンが上市されるようになっている。例えば、もっちりとした食感やふわふわとした食感、しっとり感を強調したパンなど、その種類はバラエティーに富んだものとなっている。
一方で、今も昔も変わらずパンに求められるものとしては、ソフトな食感(ソフト性)と、コシ折れやシワがなくボリュームがあることが挙げられる。
一般に、ソフト性を向上させる方法の一つとして、水の添加量を増加させればよいことが知られている。しかし、水の添加量を多くすると、得られるパン生地は保形性を失い、流動状となり、各種の成形を行うことが困難となる他、焼成時のボリュームが出にくくなるという問題がある。一方で、増粘安定剤や食物繊維などを多く添加することで保形性を安定させることはできるが、生地が重くなり、やはり焼成時にはボリュームが出にくくなってしまうという問題がある。そのため、水の添加量を過度に増やさなくても上記の課題を改善する方法が各種検討されてきた。
例えば、特許文献1にはラメラ構造体を形成する乳化剤とゲル形成物質とを含有する食品用品質改良剤、特許文献2にはコハク酸モノグリセリドとアルカリ性物質とを含有する生地改良剤であって、活性グルテンを含有せず、特定のpHであることを特徴とする生地改良剤が開示されている。また、特許文献3には、アルギン酸プロピレングリコールエステルとグルコースオキシダーゼとを特定油脂中に分散させた製パン用油脂組成物について記載されている。
しかし、特許文献1に記載の食品用品質改良剤では、しっとりした食感を与えることはできるものの、ボリュームアップについては十分な効果が得られなかった。特許文献2の生地改良剤では焼成後の骨格を十分に維持できないためシワやコシ折れが発生しやすいという問題があった。特許文献3の製パン用油脂組成物では、アルギン酸エステルとグルコースオキシダーゼとを併用することでシワやコシ折れを改善しているが、ソフトでボリュームのあるパンは得られなかった。
一方、本出願人はこれまでに、グリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有する多加水パン生地(特許文献4)、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを特定量含有するベーカリー練り込み用油中水型乳化油脂組成物(特許文献5)について開示しているものの、これらの技術は加水量を増やしてソフト性を付与することが目的であったため、生地重量がやや重く、ボリュームの点では課題が残されていた。
このように、用途や配合に制約を受けることなく、ソフトな食感で、コシ折れやシワがなくボリュームがあるパンを得るには、課題が残されていた。
特開2009−297024号公報 特開平07−079687号公報 特開2010−098993号公報 特開2010−252667号公報 特開2012−075404号公報
従って、本発明の目的は、水分量を増やして多加水パン生地とせずとも、ソフト性とボリュームを両立することができ、またコシ折れやシワの少ないパンを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、アルギン酸エステルと特定の乳化剤とを併用した場合、ソフト性とボリュームを両立することができ、またコシ折れやシワの少ないパンが得られることを知見した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。すなわち、下記(a)〜(c)のすべてを満たすことを特徴とする製パン練りこみ用油中水型乳化物である。
(a)アルギン酸エステルを0.1〜5質量%含有〔乳化物基準〕
(b)コハク酸モノグリセリドを1〜10質量%含有〔乳化物基準〕
(c)ジアセチル酒石酸モノグリセリドを1〜10質量%含有〔乳化物基準〕
本発明によれば、幅広い配合でソフト性とボリュームを両立することができ、またコシ折れやシワの少ないパンを得ることができる。
以下、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物について説明する。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は下記(a)〜(c)のすべてを満たすものである。
(a)アルギン酸エステルを0.1〜5質量%含有〔乳化物物基準〕
(b)コハク酸モノグリセリドを1〜10質量%含有〔乳化物基準〕
(c)ジアセチル酒石酸モノグリセリドを1〜10質量%含有〔乳化物基準〕
まず、上記(a)について説明する。
アルギン酸エステルは、アルギン酸を構成するカルボキシル基の少なくとも一部がエステル化されたものである。アルギン酸は、コンブやワカメに代表される褐藻類等に含まれる多糖類であり、β−D−マンヌロン酸と、α−L−グルロン酸とが1−4結合したヘテロポリマーであり、様々な分子量のものが知られている。
例えば、褐藻類の細胞間には、高分子のアルギン酸(分子量約100000〜200000)が豊富に含まれているため、褐藻類を希硫酸で洗浄した後、炭酸ナトリウム溶液で抽出して、硫酸で沈殿させる方法を用いることによって、褐藻類からアルギン酸を高分子のアルギン酸として取得することができる。
また、上記高分子のアルギン酸は、例えば、高分子のアルギン酸に酵素を作用させる方法、酸化還元剤等と反応させる方法、熱分解する方法、又は加圧分解する方法等の公知の方法を用いることにより、容易に低分子のアルギン酸(分子量約40000以上100000未満)とすることができる。
本発明で使用するアルギン酸エステルは、上記アルギン酸を常法に従ってエステル化反応させたものであり、飲食品に使用可能なものであれば特に制限されず、分子量及びエステル化度等も特に制限されないが、本発明で使用するアルギン酸エステルの好ましいエステル化度は40%以上、より好ましくは70〜95%である。
また、アルギン酸エステルの1%水溶液の20℃での粘度(B型粘度計使用)は、好ましくは10〜1000mPa・s、より好ましくは50〜300mPa・sである。
上記アルギン酸エステルとしては、商品名「ダックロイドPF−H」、「ダックロイドPF」、「ダックロイドEF」、「ダックロイドLF−M」、「ダックロイドLF」、「ダックロイドSLF−3」(以上、株式会社フードケミファ製のアルギン酸プロピレングリコールエステル)、「キミロイドLV」(キミカ社製のアルギン酸プロピレングリコールエステル)等の市販品も好適に使用することができる。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物においては、上記アルギン酸エステルを乳化物基準で0.1〜5質量%含有する必要があり、好ましくは0.2〜3質量%、より好ましくは0.3〜1質量%である。本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物におけるアルギン酸エステルの含有量が0.1質量%よりも少ないとシワやコシ折れ改善の効果が得られず、5質量%よりも多いと得られるパンの食感が硬く、またボリュームの小さいものとなってしまう。
上記アルギン酸エステルとしては、上記課題を効果的に改善でき、且つ広く一般に使用されている点から、アルギン酸の2価アルコールエステルが好ましく、例えばアルギン酸エチレングリコールエステル又はアルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられ、中でも、アルギン酸プロピレングリコールエステルが更に好ましい。
本発明で用いる上記アルギン酸エステルとしては、平均分子量、分子量分布、エステル化度、構成糖比等は特に制限されない。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物ではアルギン酸エステルのかわりに、アルギン酸やアルギン酸塩を用いても本発明の効果を得ることはできない。アルギン酸やアルギン酸塩を使用した場合、乳化不十分でダマとなりやすく、その結果パン生地になじみにくくなるためコシ折れ改善効果が得られない。
なお、後述するその他の成分としてアルギン酸やアルギン酸塩を添加すること、すなわちアルギン酸エステルに加えアルギン酸及び/又はアルギン酸塩を併用することは可能である。
次に、上記(b)について説明する。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は、(b)コハク酸モノグリセリドを乳化物基準で1〜10質量%含有し、好ましくは2〜9質量%、より好ましくは3〜8質量%である。
コハク酸モノグリセリドが乳化物基準で1質量%よりも少ないと生地の伸展性が不十分となりパンのボリュームアップに効果が得られない。また10質量%よりも多いと生地が伸びやすく、コシ折れしやすくなってしまうほか、乳化剤特有の風味によってパンの品質を損なってしまう。
次に、上記(c)について説明する。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は、(c)ジアセチル酒石酸モノグリセリドを乳化物基準で1〜10質量%含有し、好ましくは2〜9質量%、より好ましくは3〜8質量%である。
ジアセチル酒石酸モノグリセリドが乳化物基準で1質量%よりも少ないと生地の引き締め効果が弱いため、ボリュームが小さいものとなってしまう。また10質量%よりも多いと生地の引き締め効果が強すぎ、ボリュームアップに効果が得られないほか、乳化剤特有の風味によってパンの品質を損なってしまう。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物において、上記(b)コハク酸モノグリセリドと上記(c)ジアセチル酒石酸モノグリセリドの質量比は、コハク酸モノグリセリド1質量部に対し、ジアセチル酒石酸モノグリセリドが好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは0.7〜3質量部、最も好ましくは0.9〜2質量部となるように配合する。
上記(b)コハク酸モノグリセリドと上記(c)ジアセチル酒石酸モノグリセリドの質量比が、コハク酸モノグリセリド1質量部に対し、ジアセチル酒石酸モノグリセリドが0.5よりも少なかったり、5質量部よりも大きくなると、本発明の効果が十分に得られない場合があるため、好ましくない。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は油脂を含有する。上記の油脂としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂並びにこれらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂があげられる。本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物においては、これらの中から選ばれた1種または2種以上の油脂を用いることができる。
上記の油脂の含有量は、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物中、好ましくは55〜80質量%、さらに好ましくは57〜78質量%、最も好ましくは60〜75質量%である。
尚、油脂の含有量には、後述するその他の成分として油脂分を含む成分を使用した場合には、これらに由来する油脂分も算入するものとする。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は、トランス脂肪酸を実質的に含有しないことが好ましい。なお、ここでいう「トランス脂肪酸を実質的に含有しない」とは、トランス脂肪酸の含有量が、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物に含まれる油脂の全構成脂肪酸中、好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下であることを意味する。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は水を含有する。上記の水としては、水道水や天然水などの水や、牛乳、液糖などの水分も含めたものとする。本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物において水の含有量は、好ましくは10〜39質量%、さらに好ましくは13〜37質量%、最も好ましくは15〜33質量%である。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物の油相と水相の割合は、好ましくは油相60〜89質量%、水相11〜40質量%、さらに好ましくは油相62〜86質量%、水相14〜38質量%、最も好ましくは油相66〜84質量%、水相16〜34質量%である。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物の油相の割合が60質量%よりも少なかったり、水相が40質量%よりも多いと製パン練りこみ用油中水型乳化物の乳化が不安定なものとなりやすく、油相の割合が89質量%よりも多かったり、水相が11質量%よりも少ないと、得られるベーカリー製品において、ボリューム感がなかったり、ソフト性が得られにくい。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は、本発明の効果を妨げない範囲においてその他の成分を含有することができる。
上記のその他の成分としては蛋白質、糖類、甘味料、上記コハク酸モノグリセリド、上記ジアセチル酒石酸モノグリセリド以外の乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、卵類、無機塩類、乳清ミネラル、乳脂肪球皮膜、アミラーゼ・プロテアーゼ・アミログルコシダーゼ・プルラナーゼ・ペントサナーゼ・セルラーゼ・リパーゼ・ホスフォリパーゼ・カタラーゼ・リポキシゲナーゼ・アスコルビン酸オキシダーゼ・スルフィドリルオキシダーゼ・ヘキソースオキシダーゼ・グルコースオキシダーゼ等の酵素、β―カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料類、酢酸・乳酸・グルコン酸等の酸味料、調味料、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデーなどの蒸留酒、ワイン・日本酒・ビールなどの醸造酒、各種リキュール、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ナッツペースト、香辛料、カカオマス・カカオパウダーなどのカカオ製品、コーヒー、紅茶、緑茶、ハーブ、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、着香料、保存料、苦味料、酸味料、ジャム、フルーツソース、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス、食品添加剤等を添加してもよい。その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物中、30質量%以下である。
上記の蛋白質としては特に限定されないが、例えばホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて一種ないし二種以上の蛋白質として、あるいは一種ないし二種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
上記の蛋白質の含有量は特に制限はないが、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物において、好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0〜1.5質量%、最も好ましくは0〜0.75質量%である。
上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等があげられる。本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
特に上記の糖類としてブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖より選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
上記の糖類の含有量は特に制限はないが、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物において、固形分として好ましくは0〜1.2質量%、さらに好ましくは0〜0.6質量%、最も好ましくは0〜0.3質量%である。
上記の甘味料としては、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム等があげられる。本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記のコハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド以外の乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類等の天然乳化剤が挙げられる。本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物では、これらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
上記のコハク酸モノグリセリド及び上記のジアセチル酒石酸モノグリセリド以外の乳化剤の含有量を合計した、総含有量は特に制限はないが、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物中、好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
上記の増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
なお、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
次に本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物の製造方法について説明する。
まず油脂に、コハク酸モノグリセリドを製パン練りこみ用油中水型乳化物における含有量が1〜10質量%、好ましくは2〜9質量%、より好ましくは3〜8質量%となるように、及び、ジアセチル酒石酸モノグリセリドを製パン練りこみ用油中水型乳化物における含有量が1〜10質量%、好ましくは2〜9質量%、より好ましくは3〜8質量%となるように添加し、必要によりその他の成分を添加し、油相とする。一方、水に、アルギン酸エステルを製パン練りこみ用油中水型乳化物における含有量が0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、より好ましくは0.3〜1質量%となるように添加し、必要によりその他の成分を添加した水相を油相に加え、混合し、油中水型乳化物とする。水相と油相の混合割合は、質量比で、油相:水相が好ましくは60:40〜89:11、好ましくは62:38〜86:14、最も好ましくは66:34〜84:16である。
そして、得られた油中水型乳化物を殺菌処理するのが望ましい。殺菌方式は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続方式でも構わない。また殺菌温度は好ましくは80〜100℃、さらに好ましくは80〜95℃、最も好ましくは80〜90℃とする。その後、必要により油脂結晶が析出しない程度に予備冷却を行なう。予備冷却の温度は好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは40〜55℃、最も好ましくは40〜50℃とする。
次に急冷可塑化を行なうのが好ましい。この急冷可塑化は、コンビネーター、ボテーター、パーフェクター、ケムテーターなどの密閉型連続式掻き取りチューブラー冷却機(Aユニット)、プレート型熱交換機などを用いて行われ、また開放型冷却機のダイヤクーラーとコンプレクターを組み合わせたものを用いて行われる。この急冷可塑化を行なうことにより、可塑性を有する油中水型乳化物となる。
これらの装置を用いた後に、ピンマシンなどの捏和装置(Bユニット)やレスティングチューブ、ホールディングチューブを使用してもよい。
また、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物は、山形食パン、角型食パン、コッペパン、バラエティブレッド、ロールパン、菓子パン、スイートロール、デニッシュ・ペストリー、バンズ、ブリオッシュ、マフィン、ベイグル、スコーン、イングリッシュマフィン、ドーナツ、ピザ、蒸しパン、ワッフル等の各種パン生地に用いることができる。
次に、本発明のパン生地について説明する。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物を用いたものであり、具体的には本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
その際のパン生地の製法としては、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。尚、本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
本発明のパン生地における本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物の含有量は、特に制限はないが、ベーカリー生地で用いる穀粉類100質量部に対し、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜12質量部、最も好ましくは5〜10質量部である。
上記穀粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
次に、本発明のパンについて述べる。
本発明のパンは、上記の本発明のパン生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱処理することにより得ることができる。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱処理としては、焼成、蒸し、フライ等を挙げることができる。これらのうちの2種以上の加熱処理を併用してもよい。
また、得られた本発明のパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
以下に、本発明の実施例、比較例、使用例等によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等によって制限されるものではない。
下記実施例1〜7及び比較例1〜3においては、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物及び比較用の製パン練りこみ用油中水型乳化物をそれぞれ製造した。そして、下記使用例1〜7及び比較使用例1〜3においては、これらの製パン練りこみ用油中水型乳化物を用いてプルマン型パン生地を、下記使用例8〜14及び比較使用例4〜6においては、菓子パン生地を製造し、該パン生地からプルマン型パンと菓子パンを焼成し、得られたパンの評価を行った。
<エステル交換油脂aの製造>
ヨウ素価55のパーム分別軟部油を、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂aを得た。
〔実施例1〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド3.5質量部、コハク酸モノグリセリド3.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水23.07質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.9質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物Aを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Aにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Aはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔実施例2〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド7.5質量部、コハク酸モノグリセリド4質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水19.17質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.3質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物Bを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Bにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Bはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔実施例3〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド6質量部、コハク酸モノグリセリド6質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水18.37質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.6質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物Cを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Cにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Cはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔実施例4〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド4質量部、コハク酸モノグリセリド6質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水20.57質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.4質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物Dを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Dにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Dはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔実施例5〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド9質量部、コハク酸モノグリセリド7質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水14.37質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.6質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物Eを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Eにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Eはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔実施例6〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド6質量部、コハク酸モノグリセリド6質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水18.87質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.1質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物Fを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Fにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Fはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔実施例7〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド6質量部、コハク酸モノグリセリド6質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水15.97質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)3質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練りこみ用油中水型乳化物Gを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Gにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Gはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔比較例1〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド7質量部、コハク酸モノグリセリド6質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水17.47質量部に、アルギン酸ナトリウム0.5質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、比較例である製パン練りこみ用油中水型乳化物Hを得た。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Hにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Hはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔比較例2〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ジアセチル酒石酸モノグリセリド7質量部、香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水23.37質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.6質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、比較例である製パン練りこみ用油中水型乳化物Iを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Iにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Iはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔比較例3〕
エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油69質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、コハク酸モノグリセリド7質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水23.37質量部に、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ社製、商品名「昆布酸501」)0.6質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、比較例である製パン練りこみ用油中水型乳化物Jを得た。なお、使用したアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は200mPa・s(1%水溶液、20℃、B型粘度計使用時)であった。また、製パン練りこみ用油中水型乳化物Jにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、製パン練りこみ用油中水型乳化物Jはトランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
〔使用例1〜7、比較使用例1〜3〕
<プルマン型食パンの配合・製法>
強力粉70質量部、生イースト3質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。
この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉30質量部、上白糖6質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩2質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた製パン練りこみ用油中水型乳化物5質量部をそれぞれ投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。
ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、 モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型
に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成して使用例1〜7及び比較使用例1〜3のプルマン型食パンをそれぞれ得た。
<菓子パンの配合、製法>
強力粉70質量部、生イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖3質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。
この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉30質量部、上白糖15質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.2質量部及び水23質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた製パン練りこみ用油中水型乳化物6質量部をそれぞれ投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、菓子パン生地を得た。得られた菓子パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。
得られた菓子パン生地は、フロアタイムを30分とり、50gに分割した。さらに30分ベンチタイムを取った後、丸め成形をし、38℃、相対湿度85%、50分のホイロを取った後、上火200℃下火200℃のオーブンで10分焼成して使用例8〜14及び比較例4〜6の菓子パンをそれぞれ得た。
以上の各使用例及び比較使用例で得られたプルマン型食パン及び菓子パンについて、下記評価基準に従って、ソフト性、ボリュームについて焼成後、1日後及び3日後の評価を行った。
さらにプルマン型食パンに関してはコシ折れについて、菓子パンに関してはシワについて評価を行った。
結果はプルマン型食パンについて[表1]に、菓子パンについて[表2]に示した。
〔プルマン型食パン評価基準〕
・食感(ソフト性)
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・ボリューム外観(体積)
◎:体積が大きく、細い均一なホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドである。
○:体積が大きく、ホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドである。
△:体積がやや小さく、明瞭なホワイトラインがなく、上面の4隅の角も丸いプルマンブレッドであった。
×:体積が小さいため、上面が平らにならず、曲面であるプルマンブレッドである。
・コシ折れ
◎ コシ折れがまったくなく、非常にバランスのとれた形状である。
○ コシ折れがまったくなく、バランスのとれた形状である。
△ わずかにコシ折れがみられる。
× コシ折れがみられ、バランスの悪い形状である。
〔菓子パン評価基準〕
・食感(ソフト性)
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・ボリューム外観(体積)
◎:体積が非常に大きく、腰持ちが良好な菓子パンである。
○:体積が大きく、腰持ちも良好な菓子パンである。
△:体積がやや小さい菓子パンであった。
×:体積が小さい菓子パンである。
・シワ
◎シワがまったくみられず、非常に良好である。
○シワがほとんどみられず、良好である。
△ シワがやや見られ、不良である。
× シワが多く、非常に不良である。
Figure 0006130214
Figure 0006130214

Claims (6)

  1. 下記の(a)〜(c)のすべてを満たすことを特徴とする製パン練りこみ用油中水型乳化物。
    (a)アルギン酸エステルを0.2〜1質量%含有〔乳化物基準〕。
    (b)コハク酸モノグリセリドを1〜10質量%含有〔乳化物基準〕。
    (c)ジアセチル酒石酸モノグリセリドを1〜10質量%含有〔乳化物基準〕。
  2. 上記(b)コハク酸モノグリセリドと上記(c)ジアセチル酒石酸モノグリセリドとの含有量比が(c)/(b)=0.5〜5である、請求項1記載の製パン練りこみ用油中水型乳化物。
  3. 上記アルギン酸エステルがプロピレングリコールエステルである、請求項1又は2記載の製パン練りこみ用油中水型乳化物。
  4. トランス脂肪酸を実質的に含有しない請求項1〜3のいづれか一項記載の製パン練りこみ用油中水型乳化物。
  5. 請求項1〜4のいづれか一項記載の製パン練りこみ用油中水型乳化物を用いたパン生地。
  6. 請求項5記載のパン生地を加熱してなるパン。
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