ところで、上述したような車載用受信装置では、放送電波環境の不安定な地域を移動することを考慮して、弱階層の放送信号(12セグ放送)を用いた情報の再生と、強階層の放送信号(ワンセグ)を用いた情報の再生とを、所謂ヒステリシス特性をもって切り換えることが通常考えらえる。例えば、受信品質が所定の閾値以下となったときに弱階層の放送信号(12セグ放送)を用いた情報の再生から強階層の放送信号(ワンセグ放送)を用いた情報の再生に切り換える一方、受信品質が前記閾値を越えたときに即座に弱階層の放送信号(12セグ放送)を用いた情報の再生に復帰させるのではなく、その受信品質が前記閾値を越えた状態がある時間維持されたときに、つまり、受信品質が安定した状態であると判断されたときに、弱階層の放送信号(12セグ放送)を用いた情報の再生に復帰させる。このようにヒステリシス特性をもって切り換えることにより、受信品質が不安定となる放送電波環境の不安定な地域を移動する際に、弱階層の放送信号(12セグ放送)を用いた情報の再生と強階層の放送信号(ワンセグ)を用いた情報の再生とが頻繁に切り替わるという事態を防止することができる。
しかしながら、強階層の放送信号(ワンセグ)を用いた情報の再生を行っている最中に、前述したように一部の受信ユニット(例えば、2つの受信ユニット)を用いて前述したチャンネルサーチ等のバックグラウンド処理を実行していると、残りの受信ユニットでの受信品質は、全ての受信ユニット(例えば、4つの受信ユニット)での受信品質より低下した状態となっている。このため、前記バックグラウンド処理が終了しても、その低下した状態の受信品質の影響が残り、ヒステリシス特性に従った弱階層の放送信号(12セグ放送)を用いた情報の再生への復帰が遅れてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、強階層の放送信号を用いた情報の再生から弱階層の放送信号を用いた情報の再生への復帰の遅れを極力少なくするこのできる放送受信装置を提供するものである。
本発明に係る放送受信装置は、階層伝送によりデジタル放送される、弱階層の第1放送信号と強階層の第2放送信号とを含む放送信号を所定数の受信ユニットを有する受信部にて受信し、該受信部にて受信される前記第1放送信号及び前記第2放送信号のいずれかに基づいて情報を再生する放送受信装置であって、前記放送信号の前記受信部での受信品質が所定の切換え品質レベルまで低下したときに、情報の再生に前記第1放送信号を用いる第1再生形態から情報の再生に前記第2放送信号を用いる第2再生形態に切換え、前記受信品質が所定の復帰品質レベルを越えた状態がある時間継続されたときに、前記第2再生形態から前記第1再生形態に復帰させる再生形態切換え手段と、前記第2再生形態にて情報の再生がなされている状態において、前記所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットを前記情報の再生に係る前記放送信号の受信に用いつつ、残りの一又は複数の受信ユニットを用いて所定のバックグラウンド処理を実行するバックグラウンド処理手段と、前記バックグラウンド処理手段による前記バックグラウンド処理がなされる場合における前記復帰品質レベルを、前記バックグラウンド処理がなされない場合における前記復帰品質レベルより低く設定する復帰条件調整手段とを有する構成となる。
このような構成により、強階層の第2放送信号を用いた情報の再生がなされる第2再生形態において、所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットを放送信号の受信に用いつつ、残りの一又は複数の受信ユニットを用いて所定のバックグラウンド処理がなされる場合、前記第2再生形態から弱階層の第1放送信号を用いた情報の再生がなされる第1再生形態に復帰するための条件となる復帰品質レベルが、前記バックグラウンド処理がなされない場合の復帰品質レベルに比べて低く設定される。この場合、バックグラウンド処理のために所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットが用いられ、残りの受信ユニットによる放送信号の受信品質が前記所定数の全受信ユニットによる放送信号の受信品質より低下しても、前記低下させた復帰受信品質レベルを基準にして前記第2再生形態から前記第1再生形態への復帰が判断される。
本発明に係る放送受信装置は、階層伝送によりデジタル放送される、弱階層の第1放送信号と強階層の第2放送信号とを含む放送信号を所定数の受信ユニットを有する受信部にて受信し、該受信部にて受信される前記第1放送信号及び前記第2放送信号のいずれかに基づいて情報を再生する放送受信装置であって、前記放送信号の前記受信部での受信品質が所定の切換え品質レベルまで低下したときに、情報の再生に前記第1放送信号を用いる第1再生形態から情報の再生に前記第2放送信号を用いる第2再生形態に切換え、前記受信品質が所定の復帰品質レベルを越えた状態がある時間継続されたときに、前記第2再生形態から前記第1再生形態に復帰させる再生形態切換え手段と、前記第2再生形態にて情報の再生がなされている状態において、前記所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットを前記情報の再生に係る前記放送信号の受信に用いつつ、残りの一又は複数の受信ユニットを用いて所定のバックグラウンド処理を実行するバックグラウンド処理手段と、前記バックグラウンド処理手段による前記バックグラウンド処理がなされる場合に、前記第2再生形態から前記第1再生形態に復帰させるための条件である前記受信品質の前記復帰品質レベルを越えた状態が継続される時間は、前記バックグラウンド処理がなされない場合における当該時間より短く設定する復帰条件調整手段とを有する構成となる。
このような構成により、強階層の第2放送信号を用いた情報の再生がなされる第2再生形態において、所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットを放送信号の受信に用いつつ、残りの一又は複数の受信ユニットを用いて所定のバックグラウンド処理がなされる場合に、前記第2再生形態から弱階層の第1放送信号を用いた情報の再生がなされる第1再生形態に復帰するための条件である受信品質の復帰品質レベルを越えた状態が継続される時間が、前記バックグラウンド処理がなされない場合における当該時間より短く設定される。この場合、前記残りの一又は複数の受信ユニットでの放送信号の受信品質が所定数全ての受信ユニットでの放送信号の受信品質より低下することに起因してその受信品質の復帰品質レベルへの到達が遅れたとしても、受信品質が復帰品質レベルに達した後の前記復帰品質レベルを継続すべき時間がより短くなる。
また、本発明に係る放送受信装置は、階層伝送によりデジタル放送される、弱階層の第1放送信号と強階層の第2放送信号とを含む放送信号を所定数の受信ユニットを有する受信部にて受信し、該受信部にて受信される前記第1放送信号及び前記第2放送信号のいずれかに基づいて情報を再生する放送受信装置であって、前記放送信号の前記受信部での受信品質が所定の切換え品質レベルまで低下したときに、情報の再生に前記第1放送信号を用いる第1再生形態から情報の再生に前記第2放送信号を用いる第2再生形態に切換え、前記受信品質が所定の復帰品質レベルを越えた状態がある時間継続されたときに、前記第2再生形態から前記第1再生形態に復帰させる再生形態切換え手段と、前記第2再生形態にて情報の再生がなされている状態において、前記所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットを前記情報の再生に係る前記放送信号の受信に用いつつ、残りの一又は複数の受信ユニットを用いて所定のバックグラウンド処理を実行するバックグラウンド処理手段と、前記バックグラウンド処理手段による前記バックグラウンド処理がなされる場合における前記復帰品質レベルを、前記切換え品質レベルより低く設定する復帰条件調整手段とを有する構成となる。
このような構成により、強階層の第2放送信号を用いた情報の再生がなされる第2再生形態において、所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットを放送信号の受信に用いつつ、残りの一又は複数の受信ユニットを用いて所定のバックグラウンド処理がなされる場合、前記第2再生形態から弱階層の第1放送信号を用いた情報の再生がなされる第1再生形態に復帰するための条件である復帰品質レベルが、前記第1再生形態から前記第2再生形態に切換るための条件である切換え品質レベルより低く設定される。この場合、バックグラウンド処理のために所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットが用いられ、残りの受信ユニットによる放送信号の受信品質が前記所定数の全受信ユニットによる放送信号の受信品質より低下しても、前記第1再生形態から前記第2再生形態に切換るための条件である切換え品質レベルより低い復帰受信品質レベルを基準にして前記第2再生形態から前記第1再生形態への復帰が判断される。
前述した各放送受信装置において、前記バックグラウンド処理は、放送チャンネルを探索するためのチャンネルサーチ処理である構成とすることができる。
このような構成により、強階層の第2放送信号を用いた情報の再生がなされる第2再生形態において、所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットを放送信号の受信に用いつつ、残りの一又は複数の受信ユニットを用いてチャンネルサーチ処理がなされる。
本発明に係る放送受信装置によれば、強階層の第2放送信号を用いた情報の再生がなされる第2再生形態において、バックグラウンド処理のために所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットが用いられ、残りの受信ユニットによる放送信号の受信品質が前記所定数の全受信ユニットによる放送信号の受信品質より低下しても、前記低下させた復帰受信品質レベルを基準にして前記第2再生形態から前記第1再生形態への復帰が判断されるので、強階層の放送信号を用いた情報の再生(第2再生形態)から弱階層の放送信号を用いた情報の再生(第1再生形態)への復帰の遅れを極力少なくすることができる。
また、本発明に係る放送受信装置によれば、強階層の第2放送信号を用いた情報の再生がなされる第2再生形態において、バックグラウンド処理のために所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットが用いられ、残りの一又は複数の受信ユニットでの放送信号の受信品質が所定数全ての受信ユニットでの放送信号の受信品質より低下することに起因してその受信品質の復帰品質レベルへの到達が遅れたとしても、受信品質が復帰品質レベルに達した後の前記復帰品質レベルを継続すべき時間がより短くなるので、強階層の放送信号を用いた情報の再生(第2再生形態)から弱階層の放送信号を用いた情報の再生(第1再生形態)への復帰の遅れを極力少なくすることができる。
更に、本発明に係る放送受信装置によれば、強階層の第2放送信号を用いた情報の再生がなされる第2再生形態において、バックグラウンド処理のために所定数の受信ユニットの一部の一又は複数の受信ユニットが用いられ、残りの受信ユニットによる放送信号の受信品質が前記所定数の全受信ユニットによる放送信号の受信品質より低下しても、第1再生形態から前記第2再生形態に切換るための条件である切換え品質レベルより低い復帰受信品質レベルを基準にして前記第2再生形態から前記第1再生形態への復帰が判断されるので、強階層の放送信号を用いた情報の再生(第2再生形態)から弱階層の放送信号を用いた情報の再生(第1再生形態)への復帰の遅れを極力少なくすることができる。
本発明の実施の一形態について図面を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係る放送受信装置は、車載用の地上デジタル放送受信装置であって、図1に示すように構成される。
図1に示す放送受信装置(地上デジタル放送受信装置)10は、地上デジタル放送を受信することができる。この地上デジタル放送では、前述したように、階層伝送により、1チャンネルに含まれる13セグメントのうち、12個のセグメントを用いた情報レートが大きく(例えば、多値QAMによる)高品質な弱階層の放送信号(以下、フルセグ放送信号(第1放送信号)という)と、残りの1個のセグメントを用いた電波の変動に強い方式で変調(例えば、QPSK)された強階層の放送信号(以下、ワンセグ放送信号(第2放送信号)という)とを含む放送信号が放送に供される。この放送信号は、放送すべき情報(音声、映像、データ等)に基づいて変調される複数のキャリアがOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)化されたOFDM信号として伝送される。
階層伝送される前記放送信号(OFDM信号)を受信する放送受信装置10は、図1に示すように、制御部11、4つのチューナ部(受信ユニット)12a、12b、12c、12dを含む受信部12、切換え部13、第1のOFDM復調部14a、第2のOFDM復調部14b、デコーダ15、表示処理部16及びデジタル/アナログ変換器(D/A変換器)17を有している。制御部11は、受信状態判定部111、切換え制御部112、サーチ処理部113及びEPG作成部114を有している。また、放送受信装置10は、インストルメントパネルに設けられたセンタユニット20に接続されている。センタユニット20は表示装置21及び操作部22を有し、このセンタユニット20にはスピーカ25が接続されている。
受信部12を構成する4つのチューナ部12a〜12dのそれぞれは、伝送チャンネルを選局し、その選局した伝送チャンネルの放送信号(OFDM信号)を受信する。この放送信号には、前述した弱階層のフルセグ放送信号(第1放送信号)と強階層のワンセグ放送信号(第2放送信号)とが含まれている。切換え部13は、制御部11における切換え制御部112の制御のもと、2つのチューナ部12a、12bからの放送信号が常時第1のOFDM復調部14aに供給される状態を維持しつつ、他の2つのチューナ部12c、12dからの放送信号を第1のOFDM復調部14a及び第2のOFDM復調部14bのいずれかに切り換える。
第1のOFDM復調部14a及び第2のOFDM復調部14bのそれぞれは、切換え部13を介して入力される放送信号(OFDM信号)を復調してデジタル受信信号(トランスポートパケット)を生成する。制御部11は、第1のOFDM復調部14aからの複数(4つまたは2つ)のデジタル受信信号を所定のアルゴリズムに従ってダイバーシティ合成し、それにより得られた合成受信信号から、音声信号、映像信号及びその他の信号(データ、EPG情報等)を分離する。そして、制御部11は、音声信号及び映像信号をデコーダ15に供給し、データやEPG情報等のその他の信号については、内部で処理する。デコーダ15は、制御部11からの音声信号及び映像信号を復号する。デコーダ15での復号にて得られた復号映像信号は、表示処理部16にて所定の表示処理が施されてセンタユニット20に供給される。また、デコーダ15での復号にて得られた復号音声信号は、D/A変換器17にてアナログ音声信号に変換されて、センタユニット20に供給される。
センタユニット20では、表示処理部16からの復号映像信号に基づいて放送番組の映像が表示装置21に表示され、復号音声信号に基づいて放送番組の音声がスピーカ25から出力される。
制御部11における受信状態判定部111は、ダイバーシティ合成により得られた合成受信信号に基づいて、放送信号(OFDM信号)の受信品質、例えば、搬送波電力(C)と雑音電力(N)との比C/Nを、受信品質を表すパラメータとして演算し、このCNに基づいて受信品質を判定する。制御部11におけるサーチ処理部113は、2つのチューナ部12c、12dからの放送信号(OFDM信号)を復調する第2のOFDM復調部14bからのデジタル受信信号に基づいて受信可能なチャンネルを探すためのチャンネルサーチ処理を行う。このチャンネルサーチ処理の詳細については後述する。EPG作成部114は、2つのチューナ部12c、12dからの放送信号(OFDM信号)を復調する第2のOFDM復調部14bからのデジタル受信信号から分離したEPG情報に基づいてEPG(電子番組ガイド)を作成するための処理を行う。サーチ処理部113によるチャンネルサーチ処理及びEPG作成部114によるEPG作成処理は、例えば、受信される放送信号に基づいた情報(音声、映像)の再生(出力)に係る処理のバックグラウンドにて行うことができる。
制御部11は、弱階層のフルセグ放送信号を情報の再生に用いるフルセグ再生形態(第1再生形態)と、強階層のワンセグ放送信号を情報の再生に用いるワンセグ再生形態(第2再生形態)とを、受信状態判定部111により判定される受信品質に応じて切り換える(再生形態切換え手段)。制御部11は、例えば、フルセグ再生形態では、ダイバーシティ合成により得られる合成受信信号のうちフルセグ放送信号に対応する部分をデコーダ15に供給し、ワンセグ再生形態では、ダイバーシティ合成により得られる合成受信信号のうちワンセグ放送信号に対応する部分をデコーダ15に供給する。制御部11での前記フルセグ再生形態と前記ワンセグ再生形態との切換えは、例えば、図2に示す手順に従ってなされる。
図2において、受信状態判定部111は、C/Nで表される受信品質が、第1品質レベル(閾値)Th1以下であるか否かを判定する(S11)。受信状態判定部111により受信品質が良好であって第1品質レベルTh1以下ではないと判定されると(S11でNO)、制御部11は、フルセグ再生形態を維持する(S12)。これにより、受信品質(C/N)が第1品質レベルTh1を越えて良好な受信環境では、フルセグ再生形態が維持され、弱階層のフルセグ放送信号に基づいた高品質な映像及び音声の再生(表示装置21での映像表示、スピーカ25からの音出力)がなされる。
車両が走行して、放送信号の受信環境が悪くなり、例えば、図3の時刻t1で、受信状態判定部111により受信品質(C/N)が第1品質レベルTh1(切換え品質レベル)以下であると判定されると(S11でYES)、制御部11は、前記フルセグ再生形態から前記ワンセグ再生形態に切り換える(S13:再生形態切換え手段)。これにより、放送信号の受信環境が悪く、受信品質(C/N)が第1品質レベルTh1(切換え品質レベル)まで低下すると、前記ワンセグ再生形態に切り替わって、ノイズ等に強い強階層のワンセグ放送信号を用いて情報(音声、映像)の再生(映像表示、音出力)がなされる。
その後、制御部11は、バックグラウンドで後述するようなチャンネルサーチ処理(バックグラウンド処理)がなされるか否かを判定する(S14)。チャンネルサーチ処理がなされなければ(S14でNO)、制御部11は、前記フルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切り換える条件である前記第1品質レベルTh1(切換え品質レベル)と同じ品質レベル(Th1)をワンセグ再生形態からフルセグ再生形態に復帰させる復帰条件の復帰品質レベルThxとして設定する(S15)。そして、制御部11は、受信品質(C/N)が前記復帰品質レベルThx(=Th1)を越えたか否かを判定する(S16)。受信品質(C/N)が回復することなく、復帰品質レベルThx(=Th1)を越えていないと(S16でNO)、制御部11は、後述するタイマTがゼロであることを確認して(S17でYES)、ワンセグ再生形態を維持する(S18)。
チャンネルサーチ処理がなされない状態では、更に、制御部11は、復帰品質レベルThxとして第1品質レベルTh1が設定されていること(S19でNO)、及びチャンネルサーチ処理がなされないこと(S14でNO)を確認するとともに、復帰品質レベルThxを第1品質レベルT1に維持しつつ(S15)、上述した処理(S16〜S18)を実行する。その結果、受信品質が復帰品質レベルThxとして設定された第1品質レベルTh1に達していない状態(S16でNO)では、ワンセグ再生形態が維持される(S18)。
前記チャンネルサーチ処理が行われずに前記ワンセグ再生形態が維持される状態で、車両の走行によって、放送信号の受信環境が改善されて、受信品質(C/N)が前記復帰品質レベルThx(=第1品質レベルTh1)を越えると(S16でYES)、制御部11は、タイマTがゼロであるか(T=0)否かを判定し(S22)、タイマTがゼロであれば(S22でYES)、そのタイマTをスタートさせ(S23)、該タイマTが所定時間Toに達したか否かを判定する(S24)。タイマTが所定時間Toに達していない場合(S24でNO)、制御部11は、ワンセグ再生形態を維持する(S18)。以後、受信品質(C/N)が復帰品質レベルThx(=Th1)を越えて受信環境が良好な場合であっても(S16でYES)、タイマTが動作しつつワンセグ再生形態が維持される(S14〜S16、S22〜S24、S18〜S19)。
放送信号の受信環境が不安定な状況では、受信品質(C/N)が一時的に前記復帰品質レベルThx(=Th1)以下に低下することがある。この場合(S16でNO)、制御部11は、タイマTがゼロでないことを確認して(S17でNO)、タイマTをリセットし(S21)、ワンセグ再生形態を更に維持する(S18)。その後、再び放送信号の受信環境の回復により受信品質(C/N)が前記復帰品質レベルThx(=Th1)を越えると(S16でYES)、制御部11は、タイマTがゼロであることを確認して(S22でYES)、再度、タイマTをスタートさせる(S23)。そして、制御部11は、タイマTが所定時間Toに達したか否かを判定し(S24)、タイマTが所定時間Toに達していないと(S24でNO)、受信品質(C/N)が復帰品質レベルThx(=Th1)を越えているものの、ワンセグ再生形態を維持する(S18)。
例えば、図3の時刻t1と時刻t2との間の状況のように、受信品質(C/N)が第1品質レベルTh1(復帰受信レベルThx)を越える状態が所定時間To維持できないような、放送信号の受信環境が不安定な状況では、タイマTのスタート(S16でYES、S22、S23、S24)と、リセット(S16でNO、S17でNO、S21)とが繰り返されつつ、ワンセグ再生形態が維持される(S18)。従って、このように放送信号の受信環境が不安定な状況では、ノイズ等に強い強階層のワンセグ放送信号を用いて情報(音声、映像)の再生(映像表示、音出力)がなされる。
上記のようにしてワンセグ再生形態が維持されている(S18)状況において、放送信号の受信環境が改善されて、受信品質(C/N)が復帰品質レベルThx(=Th1)を越えた状態(S16でYES)で、タイマTが所定時間Toに達すると(S24でYES)、即ち、図3の時刻t2と時刻t3との間の状況のように、受信品質(C/N)が復帰品質レベルThx(=Th1)を越えた状態が所定時間To継続すると、制御部11は、ワンセグ再生形態からフルセグ再生形態に復帰させる(S25:図3における時刻t3参照)。これにより、ノイズ等に強い強階層のワンセグ放送信号を用いた情報(音声、映像)の再生(映像表示、音出力)から、弱階層のフルセグ放送信号に基づいた高品質な映像及び音声の再生(映像表示、音出力)に切換えられる。
上述したように、受信品質(C/N)に応じて、高品質なフルセグ再生形態と、品質が劣るワンセグ再生形態とが切換えられながら、情報(映像、音声)の再生がなされている過程で、制御部11は、例えば、図4に示す手順に従って、チャンネルサーチ処理をバックグラウンド処理として実行する。
例えば、図5に示すように受信品質(C/N)が第1品質レベルTh1(切換え品質レベル)まで低下して情報(映像情報、音声情報)の再生が、フルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切換った状態において、所定の場合(例えば、利用者によりチャンネルサーチ処理を行わない動作モードが設定されている場合、受信品質の低下が著しい場合等)を除いて、例えば、前記ワンセグ再生形態に切換った(時刻t1)後のあるタイミング(時刻t11)で、チャンネルサーチ処理が実行される。
制御部11における切換え制御部112が切換え部13を制御することにより、4つのチューナ部12a〜12dのうち、2つのチューナ部12a、12bが、第1のOFDM復調部14aに接続されて、今まで選局されているチャンネルの放送信号の受信のために引き続き用いられ、残りの2つのチューナ部12c、12dが、第2のOFDM復調部14bに接続されて、チャンネルサーチのために用いられる。2つのチューナ部12a、12bにて選局されているチャンネルの放送信号を用いたワンセグ再生形態での情報(映像、音声)の再生と並行して、制御部11(サーチ処理部113)は、残りのチューナ部12c、12dを制御して、図4に示す手順に従ってチャンネルサーチ処理(バックグラウンド処理)を行う。なお、今まで選局されているチャンネルの放送信号が4つのチューナ部12a〜12dを用いて受信され、ダイバーシティ合成(4ダイバー合成)されていたが、チャンネルサーチ処理の開始によって、2つのチューナ部12a、12bを用いた受信に切換えられるので、チャンネルサーチ処理開始後に継続される今まで選局されているチャンネルの放送信号の受信品質(C/N)は、例えば、図5に示すチャンネルサーチ期間(時刻t11〜時刻t21)における破線で示す特性から実線で示す特性のように僅かに低下する(ただし、ワンセグ再生形態での情報の再生が可能な品質レベル範囲内)。
図4において、制御部11におけるサーチ処理部113(バックグラウンド処理手段)は、既に受信しているNIT(Network Information Table)に定められた受信可能な周波数帯域から1つのチャンネル周波数を選択して設定し(S31)、その設定チャンネル周波数の放送信号(OFDM信号)が2つのチューナ部12c、12dにて受信されるか否かを判定する(S32)。前記設定チャンネル周波数の放送信号(OFDM信号)を受信することができない場合(S32でNO)、サーチ処理部113は、図2に示すフルセグ再生形態とワンセグ再生形態との切換え処理において用いられているタイマTが所定時間Toに達したか否かを判定する(S36)。ワンセグ再生形態での情報の再生が維持されている状況であって前記タイマTが所定時間Toに達していなければ(S36でNO)、サーチ処理部113は、全てのチャンネルについてのサーチが終了したか否かを判定する(S37)。
全てのチャンネルについてのサーチが終了していなければ(S37でNO)、サーチ処理部113は、次のチャンネル周波数を設定し(S31)、その設定チャンネル周波数の放送信号(OFDM信号)が2つのチューナ部12c、12dにて受信されるか否かを判定する(S32)。前記設定チャンネル周波数の放送信号(OFDM信号)が2つのチューナ部12c、12dにて受信されると(S32でYES)、サーチ処理部113は、その受信される放送信号によってフルセグ再生形態での情報の再生が可能であるか否か、即ち、受信品質(C/N)が第1品質レベルTh1(切換え品質レベル)を越えているか否かを判定する(S33)。なお、ここでは、2つのチューナ部12c、12dでの受信結果に基づいて、4つのチューナ部12a〜12dで受信してダイバーシティ合成した場合の受信品質を推定判断している。その受信品質(推定受信品質)が第1受信品質レベルTh1以下であって、前記受信された放送信号によってフルセグ再生形態での情報の再生が可能ではないと判定されると(S33でNO)、前記タイマTが前記所定時間Toに達していないこと(S36でNO)、及び全チャンネルのサーチが終了していないこと(S37でNO)を確認した後に、サーチ処理部113は、次のチャンネル周波数を設定する(S31)。
更に、設定された次のチャンネル周波数の放送信号(OFDM信号)が受信され(S32でYES)、その受信される放送信号によってフルセグ再生形態での情報の再生が可能であると判定されると(S33でYES)、サーチ処理部113は、その受信される放送信号のチャンネルが、現在選局されてワンセグ再生形態にて情報(放送番組の映像、放送番組の音声)の再生がなされている放送信号のチャンネルと同じ番組を放送している中継チャンネルであるか否かを判定する(S34)。前記受信される放送信号のチャンネルが中継チャンネルではないと判定されると(S34でNO)、再度、前記タイマTが前記所定時間Toに達していないこと(S36でNO)、及び全チャンネルのサーチが終了していないこと(S37でNO)を確認した後に、サーチ処理部113は、更に次のチャンネル周波数を設定する(S31)。
このようにして、サーチ処理部113は、タイマTが所定時間Toに達していないことを確認しつつ(S36)、チャンネル周波数を順次変えて(S37、S31)、そのチャンネル周波数の放送信号がフルセグ再生形態での情報の再生が可能な中継チャンネルの放送信号であるか否かを判定する(S32〜S34)。その過程で、設定されたチャンネル周波数の放送信号がフルセグ再生形態での情報の再生が可能な中継チャンネルの放送信号であると判定すると(S32でYES、S33でYES、S34でYES)、サーチ処理部113は、その中継チャンネルを、現在選局されているチャンネルに代えて、受信・再生すべきチャンネルとして選局することを決定し(S35)、チャンネルサーチ処理を終了する。
図2に示す手順に従ってフルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切り換えられ(S13)、更に上述したチャンネルサーチ処理(図4参照)がなされる状況において、制御部11は、サーチ処理部113によるチャンネルサーチ処理がなされることを確認すると(S14でYES)、前記フルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切り換える条件である前記第1品質レベルTh1(切換え品質レベル)より低い第2品質レベルTh2をワンセグ再生形態からフルセグ再生形態に復帰させる復帰条件の復帰品質レベルThxとして設定する(S20)。これは、この復帰品質レベルThx(=Th2)が、前述したチャンネルサーチ処理がなされない場合における復帰品質レベルThx(=Th1)より低いことを意味する。
以後、制御部11は、前述した手順と同様の手順(S16、S17でYES、S18、S19、または、S16、S22〜S24、S18、S19、または、S16、S17でNO、S21、S18、S19)に従って処理を行ってワンセグ再生形態を維持させる。その過程で、前記チャンネルサーチ処理にて受信品質が良好な中継チャンネルが見つかって、該チャンネルサーチ処理に用いられる2つのチューナ部12c、12d以外の2つのチューナ部12a、12bにて受信される放送信号の受信品質が、例えば、図5に示す時刻t2において、前記設定された比較的低い復帰品質レベルThx(=第2品質レベルTh2)を越え(S16でYES)、更に、その受信品質が前記復帰品質レベルThx(=第2品質レベルTh2)を越えた状態が所定時間To継続すると(S24でYES)、制御部11は、ワンセグ再生形態からフルセグ再生形態に復帰させる(S25:図5における時刻t3参照)。チャンネルサーチ処理により受信品質が良好な中継チャンネルが見つかると、フルセグ再生形態に復帰する(図5における時刻t3)前に、チャンネルサーチ処理が終了し(図5における時刻t21)、全チューナ部12a〜12cにて受信さる前記中継チャンネルの放送信号(ワンセグ放送信号)を用いた情報(音声、映像)の再生がなされる。そして、フルセグ再生形態に切換った時点(図5における時刻t3)から、前記中継チャンネルの放送信号に含まれる弱階層のフルセル放送信号に基づいた高品質な映像及び音声の再生に切り換えられる。
上述したような放送受信装置10(車載用の地上デジタル放送受信装置)では、強階層のワンセグ放送信号を用いた情報の再生がなされるワンセグ再生形態において、4つのチューナ12部a〜12dのうちの2つのチューナ部12a、12bを放送信号の受信に用いつつ、残りの2つのチューナ部12c、12dを用いてチャンネルサーチ処理(バックグラウンド処理)がなされる場合、ワンセグ再生形態から弱階層のフルセグ放送信号を用いた情報の再生がなされるフルセグ再生形態に復帰するための条件となる復帰品質レベルThxが、前記バックグラウンド処理がなされない場合の復帰品質レベルThx(=第1品質レベルTh1)に比べて低い、また同時に、前記フルセグ再生形態から前記ワンセグ再生形態に切換るための条件である切換え品質レベル(第1品質レベル)Th1に比べて低い第2品質レベルTh2に設定される。この場合、チャンネルサーチ処理のために4つのチューナ部12a〜12dのうちの2つのチューナ部12c、12dが用いられ、前記2つのチューナ部12a、12bによる放送信号の受信品質が全4つのチューナ部12a〜12dによる放送信号の受信品質より低下しても、比較的低い復帰受信品質レベル(=Th2<Th1)を基準にして前記ワンセグ再生形態から前記フルセグ再生形態への復帰が判断される。従って、強階層のワンセグ放送信号を用いた情報の再生(ワンセグ再生形態)から弱階層のフルセグ放送信号を用いた情報の再生(フルセグ再生形態)への復帰の遅れを極力少なくすることができる。
制御部11は、図2に示す手順に代えて、図6に示す手順に従ってフルセグ再生形態とワンセグ再生形態の切換えを行うことができる。この例は、ワンセグ再生形態からフルセグ再生形態への復帰の条件である受信品質が復帰品質レベルを越えた状態が継続される時間(復帰品質継続時間)が、チャンネルサーチ処理を行う場合、チャンネルサーチ処理を行わない場合に比べて短くなることを特徴としている。なお、図6において、図2におけるステップを示す参照符号と同じ参照符号は、同じステップを示している。
図6において、チャンネルサーチ処理が行われない場合、受信品質が切換え品質レベルTh1以下になると(例えば、図3における時刻t1)、フルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切り換えられ(S11〜S13)、ワンセグ再生形態からフルセグ再生形態への復帰条件である受信品質が復帰品質レベルを越えた状態が継続される時間、即ち、復帰品質継続時間TxがToに設定される(S151)。それに加えて、ワンセグ再生形態からフルセグ再生形態への復帰条件である復帰品質レベルは、フルセグ再生形態からワンセグ再生形態への切換え条件である切換え品質レベルTh1(S16参照)と同じである。このため、チャンネルサーチ処理が行われない場合、実質的に図2に示す処理と同様の処理(S11〜S14、S151、S16〜S18、S191、S21、S22〜S24、S25)が行われる。その結果、図3に示すように、4つのチューナ部12a〜12dにて受信される放送信号の受信品質が切換え品質レベルTh1以下になると(時刻t1)、フルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切換り、その後、その受信品質が前記切換え品質レベルと同じ復帰品質レベルTh1を越えて(時刻t2)、その受信品質が復帰品質レベルTh1を越えた状態が復帰品質継続時間として設定された時間To継続すると(時刻t3)、ワンセグ再生形態からフルセグ再生形態に復帰する。
一方、フルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切換えられ、更に、上述したチャンネルサーチ処理(図4参照)がなされる場合、制御部11は、サーチ処理部113によるチャンネルサーチ処理がなされることを確認すると(S14でYES)、前記フルセグ再生形態からワンセグ再生形態に切り換える条件である復帰品質継続時間Txを、前記所定時間Toより短い時間T1に設定する(S201)。
以後、制御部11は、前述した手順と同様の手順(S16、S17でYES、S18、S191、または、S16、S22〜S24、S18、S191、または、S16、S17でNO、S21、S18、S191)に従って処理を行ってワンセグ再生形態を維持させる。その過程で、前記チャンネルサーチ処理にて受信品質が良好な中継チャンネルが見つかって、該チャンネルサーチ処理に用いられる2つのチューナ部12c、12d以外の2つのチューナ部12a、12bにて受信される放送信号の受信品質が、例えば、図7に示すように、チャンネルサーチ処理を行わない場合(放送受信に4つのチューナ部12a〜12dが用いられる)に予想される時刻t2より遅れた時刻t21において、復帰品質レベルTh1(=切換え品質レベル)を越える(S16でYES)。そして、その受信品質が復帰品質レベルTh1を越えた状態が、前記復帰品質継続時間Txとして設定された時間(=T1<To)継続すると(S24でYES)、ワンセグ再生形態からフルセグ再生形態に復帰する(S25:図7における時刻t3)。
この場合も、図5に示した場合と同様に、チャンネルサーチ処理により受信品質が良好な中継チャンネルが見つかると、フルセグ再生形態に復帰する(図7における時刻t3)前に、チャンネルサーチ処理が終了し(図7における概ね時刻t21)、全チューナ部12a〜12cにて受信さる前記中継チャンネルの放送信号(ワンセグ放送信号)を用いた情報(音声、映像)の再生がなされる。そして、フルセグ再生形態に切換った時点(図7における時刻t3)から、前記中継チャンネルの放送信号に含まれる弱階層のフルセグ放送信号に基づいた高品質な映像及び音声の再生に切り換えられる。
図6に示すような手順に従ってフルセグ再生形態とワンセグ再生形態とを切り換える放送受信装置10(車載用の地上デジタル放送受信装置)では、強階層のワンセグ放送信号を用いた情報の再生がなされるワンセグ再生形態において、4つのチューナ部12a〜12dのうちの2つのチューナ部12a、12bを放送信号の受信に用いつつ、残りの2つのチューナ部12c、12dを用いてチャンネルサーチ処理(バックグラウンド処理)がなされる場合に、前記ワンセグ再生形態から弱階層のフルセグ放送信号を用いた情報の再生がなされるフルセグ再生形態に復帰するための条件である受信品質の復帰品質レベルを越えた状態が継続される時間として定義される復帰継続時間Txが、前記バックグラウンド処理がなされない場合における当該時間Toより短い時間T1に設定される。この場合、前記2つのチューナ部12a、12bでの放送信号の受信品質が4つ全てのチューナ部12a〜12dでの放送信号の受信品質より低下することに起因してその受信品質の復帰品質レベルTh1への到達が遅れたとしても、受信品質が復帰品質レベルTh1に達した後の前記復帰品質レベルを継続すべき時間Txがより短くなる。従って、強階層のワンセグ放送信号を用いた情報の再生(ワンセグ再生形態)から弱階層のフルセグ放送信号を用いた情報の再生(フルセグ再生形態)への復帰の遅れを極力少なくすることができる。
なお、前述した例では、バックグラウンド処理としてチャンネルサーチ処理を実行するものであったが、例えば、EPG情報を取得するための処理(EPG作成部114での処理)等、他の処理をバックグラウンド処理として実行するものであってもよい。
また、バックグラウンド処理を実行する場合の前記復帰品質レベルThx及び前記復帰継続時間Txの双方を、バックグラウンド処理を実行しない場合のそれらより低く及び短く設定するようにしてもよい。