JP6128297B1 - 油井用高強度継目無鋼管およびその製造方法 - Google Patents

油井用高強度継目無鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用高強度継目無鋼管の提供。質量%で、C:0.20〜0.50%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.006%以下、Cr:0.1〜2.5%、Mo:0.1〜1.0%、V:0.03〜0.3%、Nb:0.001〜0.030%、B:0.0003〜0.0030%、O:0.0030%以下、Ti:0.003〜0.025%を含み、Ti/N:2.0〜5.5で、焼戻マルテンサイトが体積率で95%以上、旧オーステナイト粒が粒度番号で8.5以上、圧延方向に垂直な断面で、窒化物系介在物は100mm2あたり粒径4μm以上が100個以下、4μm未満が700個以下、酸化物系介在物は100mm2あたり粒径4μm以上が60個以下、4μm未満が500個以下である。

Description

本発明は、油井管やラインパイプ用として好適な、高強度継目無鋼管に係り、とくに湿潤硫化水素環境(サワー環境)下での、耐硫化物応力腐食割れ性(耐SSC性)の向上に関する。
近年、エネルギー資源の安定確保という観点から、高深度で腐食環境が厳しい油田や天然ガス田の開発が進められている。そのため、掘削用の油井管および輸送用のラインパイプに対して、降伏強さYS:125ksi(862MPa)以上の高強度を保持しながら、硫化水素(H2S)を含むサワー環境下での耐SSC性に優れることが、強く要求されるようになっている。
このような要求に対して、例えば特許文献1には、重量%で、C:0.2〜0.35%、Cr:0.2〜0.7%、Mo:0.1〜0.5%、V:0.1〜0.3%を含む低合金鋼を、A3変態点以上で焼入れした後、650℃以上Ac1変態点以下で焼戻する油井用鋼の製造方法が提案されている。特許文献1に記載された技術によれば、析出している炭化物の総量が2〜5重量%で、総炭化物量のうちMC型炭化物の割合が8〜40重量%となるように調整でき、優れた耐硫化物応力腐食割れ性を有する油井用鋼が得られるとしている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.15〜0.3%、Cr:0.2〜1.5%、Mo:0.1〜1%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.003〜0.1%を含む低合金鋼を、1150℃以上に加熱した後、熱間加工を1000℃以上で終了し、引続き900℃以上の温度から焼入れし、その後、550℃以上Ac1変態点以下で焼戻し、さらに850〜1000℃に再加熱して焼入れし、650℃以上Ac1変態点以下で焼戻す焼入れ焼戻処理を少なくとも1回施す、靭性と耐硫化物応力腐食割れ性に優れる油井用鋼の製造方法が提案されている。特許文献2に記載された技術によれば、析出している炭化物の総量が1.5〜4質量%で、総炭化物量のうちMC型炭化物の割合が5〜45質量%、M23C6型炭化物の割合が200/t(t:肉厚(mm))質量%以下となるように調整でき、靭性と耐硫化物応力腐食割れ性に優れる油井用鋼となるとしている。
また、特許文献3には、質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.10〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.005%以下、Cr:0.1〜1.5%、Mo:0.1〜1.0%、Al:0.003〜0.08%、N:0.008%以下、B:0.0005〜0.010%、Ca+O(酸素):0.008%以下を含み、さらにTi:0.005〜0.05%、Nb:0.05%以下、Zr:0.05%以下、V:0.30%以下のうちの1種または2種以上を含有し、断面観察による連続した非金属介在物の最大長さが80μm以下、断面観察による非金属介在物の粒径20μm以上の個数が10個/100mm2以下である油井用鋼材が提案されている。これにより、油井用として要求される高強度を有しかつその強度に見合う優れた耐SSC性を有する油井用低合金鋼材が得られるとしている。
また、特許文献4には、質量%で、C:0.20〜0.35%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.05〜0.6%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.100%、Mo:0.8〜3.0%、V:0.05〜0.25%、B:0.0001〜0.005%、N:0.01%以下、O:0.01%以下を含有し、12V+1−Mo≧0を満たす耐硫化物応力腐食割れ性に優れた低合金油井管用鋼が提案されている。特許文献4に記載された技術では、上記した組成に加えて、質量%で、Cr:0.6%以下を、Mo−(Cr+Mn)≧0を満足するように含有してもよく、またNb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、Zr:0.1%以下のうちの1種以上を含有してもよく、またCa:0.01%以下を含有してもよいとしている。
特開2000-178682号公報 特開2000-297344号公報 特開2001-172739号公報 特開2007-16291号公報
しかしながら、耐硫化物応力腐食割れ性(耐SSC性)に影響を与える要因は多岐にわたるため、特許文献1〜4に記載された技術だけでは、YS:125ksi(862MPa)級以上の高強度継目無鋼管の耐SSC性を、厳しい腐食環境で使用される油井用として十分な特性まで向上させる技術として十分であるとはいえない。しかも、特許文献1および2に記載された炭化物の種類と量や、特許文献3に記載された非金属介在物の形状や個数を、所望の範囲内に安定して調整することは、非常に難しいという問題もある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用高強度継目無鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。
なお、ここでいう「高強度」とは、降伏強さYSが125ksi(862MPa)以上である場合をいうものとする。また、降伏強さYSは、好ましくは140ksi(965MPa)以下である。また、ここでいう「耐硫化物応力腐食割れ性に優れた」とは、NACE TM0177 Method Aに規定された試験方法に準拠し、10kPaの硫化水素を飽和させるとともに、pHを3.5に調整した5.0質量%食塩水溶液を含む酢酸−酢酸ナトリウム水溶液(液温:24℃)中で定荷重試験を実施し、被試験材降伏強さの90%の応力を負荷した状態で720h(時間)を超えて割れが生じない場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するためには、所望の高強度と優れた耐SSC性とを両立させることが必要であることから、強度と耐SSC性に及ぼす各種要因について鋭意研究した。その結果、降伏強さYS:125ksi級以上の高強度鋼管では、窒化物系介在物や酸化物系介在物が、そのサイズによって影響の度合は異なるが、耐SSC性に大きな影響を与えることを見出した。粒径が4μm以上の窒化物系介在物および4μm以上の酸化物系介在物はいずれも、硫化物応力腐食割れ(SSC)の発生起点となり、その大きさが大きいほど、SSCを発生しやすくすることを見出した。なお、粒径が4μm未満の窒化物系介在物は、単独で存在してもSSCの発生起点とはならないが、多数となると耐SSC性に悪影響を及ぼすようになること、また、4μm未満の酸化物系介在物も多数となると耐SSC性に悪影響を及ぼすこと、を見出した。
このようなことから、本発明者らは、耐SSC性の更なる向上のためには、窒化物系介在物および酸化物系介在物の個数を、その大きさに応じて、適正な個数以下に調整する必要があることに思い至った。なお、窒化物系介在物および酸化物系介在物の個数を、適正な個数以下に調整するには、鋼管素材の製造時、とくに溶鋼の溶製時および鋳造時等に、N量およびO量を所望の範囲内となるように、コントロールすることが肝要である。さらに、鋼の精錬工程および連続鋳造工程における製造条件の管理が重要である。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)質量%で、C:0.20〜0.50%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.015%以下、S :0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.006%以下、Cr:0.1〜2.5%、Mo:0.1〜1.0%、V:0.03〜0.3%、Nb:0.001〜0.030%、B :0.0003〜0.0030%、O(酸素):0.0030%以下、Ti:0.003〜0.025%、を含み、かつTi、NをTi/N:2.0〜5.5を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
焼戻マルテンサイトを体積率で95%以上とし、旧オーステナイト粒が粒度番号で8.5以上であり、圧延方向に垂直な断面において、粒径が4μm以上の窒化物系介在物が100mm2あたり100個以下、粒径が4μm未満の窒化物系介在物が100mm2あたり700個以下、粒径が4μm以上の酸化物系介在物が100mm2あたり60個以下、粒径が4μm未満の酸化物系介在物が100mm2あたり500個以下である組織を有し、降伏強さYS:862MPa以上である油井用高強度継目無鋼管。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する油井用高強度継目無鋼管。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%を含有する油井用高強度継目無鋼管。
(4)(1)ないし(3)のいずれかに記載の油井用高強度継目無鋼管の製造方法であり、鋼管素材を、加熱温度:1050〜1350℃の範囲の温度で加熱し、熱間加工を施して所定形状の継目無鋼管とし、前記熱間加工後に、前記継目無鋼管に空冷以上の冷却速度で表面温度が200℃以下となる温度まで冷却を施し、600〜740℃の範囲の温度に加熱する焼戻処理を施す油井用高強度継目無鋼管の製造方法。
(5)(4)において、前記冷却後で、前記焼戻処理の前に、Ac3変態点以上1000℃以下の範囲の温度に再加熱し、表面温度で200℃以下となる温度まで急冷する焼入れ処理を1回以上施す油井用高強度継目無鋼管の製造方法。
本発明によれば、降伏強さYS:125ksi(862MPa)以上の高強度を有し、耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用高強度継目無鋼管を、容易にしかも安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。本発明によれば、適正な合金元素を適正量含有させるとともに窒化物系介在物および酸化物系介在物の生成を抑制することにより、油井用として所望の高強度を、優れた耐SSC性とともに保持する高強度継目無鋼管を安定して製造できる。
本発明の油井用高強度継目無鋼管(以下、単に高強度継目無鋼管とも記す。)は、質量%で、C:0.20〜0.50%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.006%以下、Cr:0.1〜2.5%、Mo:0.1〜1.0%、V:0.03〜0.3%、Nb:0.001〜0.030%、B:0.0003〜0.0030%、O(酸素):0.0030%以下、Ti:0.003〜0.025%、を含み、かつTi、NをTi/N:2.0〜5.5を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、焼戻マルテンサイトを体積率で95%以上とし、旧オーステナイト粒が粒度番号で8.5以上であり、圧延方向に垂直な断面において、粒径が4μm以上の窒化物系介在物が100mm2あたり100個以下、粒径が4μm未満の窒化物系介在物が100mm2あたり700個以下、粒径が4μm以上の酸化物系介在物が100mm2あたり60個以下、粒径が4μm未満の酸化物系介在物が100mm2あたり500個以下である組織を有し、降伏強さYS:862MPa以上である。
まず、本発明の高強度継目無鋼管の組成限定理由について説明する。以下、組成における質量%は、単に%で記す。
C:0.20〜0.50%
Cは、固溶して鋼の強度増加に寄与するとともに、鋼の焼入性を向上させ、焼入れ時にマルテンサイト相を主相とする組織の形成に寄与する。このような効果を得るためには、0.20%以上の含有を必要とする。一方、Cの0.50%を超える含有は、焼入れ時に割れを発生させ、製造性を著しく低下させる。このため、C含有量は0.20〜0.50%の範囲とする。好ましくは、C含有量は0.20%以上である。より好ましくは、C含有量は0.24%以上である。好ましくは、C含有量は0.35%以下である。より好ましくは、C含有量は0.32%以下である。
Si:0.05〜0.40%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶して鋼の強度を増加させ、さらに焼戻時の軟化を抑制する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、Siは0.05%以上含有する必要がある。一方、Siの0.40%を超える多量の含有は、軟化相であるフェライト相の生成を促進し、所望の高強度化を阻害したり、さらに粗大な酸化物系介在物の形成を促進して、耐SSC性や靭性を低下させたりする。また、Siは偏析して局部的に鋼を硬化させる元素であり、0.40%を超える多量のSiの含有は、局部的硬化領域を形成し、耐SSC性を低下させるという悪影響をおよぼす。このようなことから、本発明では、Si含有量は0.05〜0.40%の範囲とする。好ましくは、Si含有量は0.05〜0.33%である。より好ましくは、Si含有量は0.24%以上である。より好ましくは、Si含有量は0.30%以下である。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは、Cと同様に、鋼の焼入性を向上させ、鋼の強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Mnは0.1%以上の含有を必要とする。一方、Mnは、偏析して局部的に鋼を硬化させる元素であり、多量のMnの含有は、局部的硬化領域を形成し、耐SSC性を低下させるという悪影響をおよぼす。このため、本発明では、Mn含有量は0.1〜1.5%の範囲とする。好ましくは、Mn含有量は0.3%超えである。より好ましくは、Mn含有量は0.5%以上である。好ましくは、Mn含有量は1.2%以下である。より好ましくは、Mn含有量は0.8%以下である。
P:0.015%以下
Pは、粒界に偏析して粒界脆化を引き起こすだけでなく、偏析して局部的に鋼を硬化させる元素であり、本発明では、Pは不可避的不純物として、できるだけ低減することが好ましいが、0.015%までは許容できる。このため、P含有量は0.015%以下とする。好ましくは、P含有量は0.012%以下である。
S:0.005%以下
Sは、不可避的不純物として、鋼中ではそのほとんどが硫化物系介在物として存在し、延性、靭性、さらには耐SSC性を低下させるため、できるだけ低減することが好ましいが、0.005%までは許容できる。このため、S含有量は0.005%以下とする。好ましくは、S含有量は0.003%以下である。
Al:0.005〜0.1%
Alは、脱酸剤として作用するとともに、Nと結合してAlNを形成して、加熱時のオーステナイト粒の微細化に寄与する。また、Alは、Nを固定し、固溶BがNと結合するのを防止して、Bの焼入性向上効果の低減を抑制する。このような効果を得るためには、Alは0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.1%を超えるAlの含有は、酸化物系介在物の増加をもたらし、鋼の清浄度を低下させて、延性、靭性、さらには耐SSC性の低下を招く。このため、Al含有量は0.005〜0.1%の範囲とする。好ましくは、Al含有量は0.01%以上である。より好ましくは、Al含有量は0.02%以上である。好ましくは、Al含有量は0.08%以下である。より好ましくは、Al含有量は0.05%以下である。
N:0.006%以下
Nは、不可避的不純物として鋼中に存在するが、Alと結合してAlNを形成し、また、Tiと結合してTiNを形成して、結晶粒を微細化し、靭性を向上させる作用を有する。しかし、0.006%を超えるNの含有は、形成される窒化物(ここでいう、窒化物は熱処理過程で析出する析出物と凝固段階で晶出する介在物である。)が粗大化し、耐SSC性や靭性を著しく低下させる。このため、N含有量は0.006%以下とする。
Cr:0.1〜2.5%
Crは、焼入性の向上を介して鋼の強度を増加させるとともに、耐食性を向上させる元素である。また、Crは、焼入性を向上させ、厚肉材においても焼入れ組織を得ることが可能になる。さらに、焼戻処理時にCと結合し、M3C、M7C3、M23C6(Mは金属元素)などの炭化物を形成し、焼戻軟化抵抗を向上させる元素である。このような効果を得るためには、Crは0.1%以上含有することが必要である。好ましくは、Cr含有量は0.6%超えである。より好ましくは、Cr含有量は0.7%超えである。一方、2.5%を超えてCrを含有すると多量のM7C3、M23C6を形成し、水素のトラップサイトとして作用して耐SSC性を低下させる。また、含有量が過剰の場合、固溶軟化現象により、強度が低下することがある。このため、Cr含有量は2.5%以下にする。
Mo:0.1〜1.0%
Moは、炭化物を形成し、析出強化により鋼の強化に寄与する元素であり、焼戻により転位密度を低減させたうえで所望の高強度を確保するのに有効に寄与する。転位密度の低減により耐SSC性が向上する。また、Moは、鋼中に固溶して、旧オーステナイト粒界に偏析して、耐SSC性の向上に寄与する。さらに、Moは、腐食生成物を緻密化し、さらに割れの起点となるピットの生成および成長を抑制する作用を有する。このような効果を得るためには、Moは0.1%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超えるMoの含有は、強度上昇に対する、効果が飽和し、含有量に見合う効果を期待できなくなり、経済的に不利となる。また、針状のMC析出物や、場合によってはLaves相(Fe2Mo)の形成を促進して、耐SSC性を低下させる。このため、Mo含有量は0.1〜1.0%の範囲とする。好ましくは、Mo含有量は0.3%以上である。好ましくは、Mo含有量は0.9%以下である。より好ましくは、Mo含有量は0.7%以下である。
V:0.03〜0.3%
Vは、炭化物や炭窒化物を形成し、鋼の強化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Vは0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.3%を超えてVを含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果を期待できなくなり、経済的に不利となる。このため、V含有量は0.03〜0.3%の範囲とする。好ましくは、V含有量は0.05%以上である。好ましくは、V含有量は0.25%以下である。
Nb:0.001〜0.030%
Nbは、炭化物やあるいはさらに炭窒化物を形成し、析出強化により鋼の強度増加に寄与するとともに、旧オーステナイト粒の微細化にも寄与する。このような効果を得るためには、Nbは0.001%以上の含有を必要とする。一方、Nb析出物は、SSC(硫化物応力腐食割れ)の伝播経路と成りやすく、0.030%超えの多量のNb含有に基づく多量のNb析出物の存在は、とくに降伏強さ125ksi以上の高強度鋼材において、耐SSC性の顕著な低下に繋がる。このため、所望の高強度と優れた耐SSC性との両立の観点から、Nb含有量は0.001〜0.030%とする。好ましくは、Nb含有量は0.001%以上0.02%以下である。より好ましくは、Nb含有量は0.01%未満である。
B:0.0003〜0.0030%
Bは、オーステナイト粒界に偏析し、粒界からのフェライト変態を抑制することにより、微量の含有でも、鋼の焼入性を高める作用を有する。このような効果を得るためには、Bは0.0003%以上の含有を必要とする。一方、0.0030%超えてBを含有すると、炭窒化物等として析出し、焼入性が低下し、したがって靭性が低下する。このため、B含有量は0.0003〜0.0030%の範囲とする。好ましくは、B含有量は0.0007%以上である。好ましくは、B含有量は0.0025%以下である。
O(酸素):0.0030%以下
O(酸素)は、不可避的不純物として、鋼中では酸化物系介在物として存在している。これら介在物は、SSCの発生起点となり、耐SSC性を低下させるため、本発明ではO(酸素)は、できるだけ低減することが好ましい。しかし、過剰な低減は精錬コストの高騰を招くため、0.0030%までは許容できる。このため、O(酸素)含有量は0.0030%以下とする。好ましくは、O含有量は0.0020%以下である。
Ti:0.003〜0.025%
Tiは、溶鋼の凝固時にNと結合し微細なTiNとして析出して、そのピンニング効果により、旧オーステナイト粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Tiは0.003%以上の含有を必要とする。Tiは0.003%未満の含有ではその効果が小さい。一方、Tiを0.025%を超えて含有すると、TiNが粗大化し、上記したピンニング効果が発揮できず、かえって靭性が低下する。また、さらに粗大なTiNが起因となり、耐SSC性が低下する。このようなことから、Ti含有量は0.003〜0.025%の範囲とする。
Ti/N:2.0〜5.5
Ti/Nが2.0未満では、Nの固定が不足しBNを形成し、Bによる焼入性向上効果が低下する。一方、Ti/Nが5.5を超えて大きい場合には、TiNが粗大化する傾向が顕著になり、靭性や耐SSC性が低下する。このようなことから、Ti/Nは2.0〜5.5の範囲とする。好ましくは、Ti/Nは2.5以上である。好ましくは、Ti/Nは4.5以下である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、Mg:0.0008%以下、Co:0.05%以下が許容できる。
上記した成分が基本の成分であるが、基本の組成に加えてさらに、選択元素として、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.0005〜0.0050%、を含有できる。
Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Wはいずれも、鋼の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて1種または2種以上を選択して含有できる。
Cuは、鋼の強度増加に寄与するとともに、さらに、靭性および耐食性を向上させる作用を有する元素である。とくに、厳しい腐食環境下での耐SSC性の向上に、極めて有効な元素である。Cuを含有した場合には、緻密な腐食生成物が形成されて耐食性が向上するとともに、さらに割れの起点となるピットの生成および成長が抑制される。このような効果を得るためには、Cuは0.03%以上含有することが望ましい。一方、Cuは1.0%を超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず経済性に不利となる。このため、Cuを含有する場合には、Cu含有量は1.0%以下に限定することが好ましい。
Niは、鋼の強度増加に寄与するとともに、さらに、靭性および耐食性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、Niは0.03%以上含有することが望ましい。一方、Niは1.0%を超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず経済性に不利となる。このため、Niを含有する場合には、Ni含有量は1.0%以下に限定することが好ましい。
Wは、炭化物を形成し、析出強化により鋼の強度増加に寄与するとともに、固溶して、旧オーステナイト粒界に偏析して耐SSC性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Wは0.03%以上を含有することが望ましい。一方、Wは3.0%を超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず経済性に不利となる。このため、Wを含有する場合には、W含有量は3.0%以下に限定することが好ましい。
Ca:0.0005〜0.0050%
Caは、Sと結合しCaSを形成して、硫化物系介在物の形態制御に有効に作用する元素であり、硫化物系介在物の形態制御を介して、靭性および耐SSC性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Caは0.0005%以上の含有を必要とする。一方、Caを0.0050%を超えて含有しても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済性に不利となる。このため、Caを含有する場合には、Ca含有量は0.0005〜0.0050%の範囲に限定することが好ましい。
本発明の高強度継目無鋼管は、上記した組成を有し、さらに、焼戻マルテンサイトを主相として体積率で95%以上とし、旧オーステナイト粒が粒度番号で8.5以上であり、圧延方向に垂直な断面において、粒径が4μm以上の窒化物系介在物が100mm2あたり100個以下、粒径が4μm未満の窒化物系介在物が100mm2あたり700個以下、粒径が4μm以上の酸化物系介在物が100mm2あたり60個以下、粒径が4μm未満の酸化物系介在物が100mm2あたり500個以下である組織を有する。
焼戻マルテンサイト相:95%以上
本発明の高強度継目無鋼管では、YS:125ksi級以上の高強度を確保するためと、構造物として必要な延性や靭性を保持するために、マルテンサイト相を焼戻した焼戻マルテンサイト相を主相とする。ここでいう「主相」とは、当該相が体積率で100%である単相である場合、あるいは第二相を特性に影響しない程度の範囲である体積率で5%以下含む、当該相が95%以上である場合をいう。なお、本発明では、第二相は、ベイナイト相、残留オーステナイト相およびパーライトあるいはそれらの混合相が例示できる。
本発明の高強度継目無鋼管における上記の組織については、鋼の成分に応じて、冷却時の冷却速度を適正に選択することにより調整することができ、さらには焼入れ処理の際の加熱温度を適正に選択することによっても調整することができる。
旧オーステナイト粒の粒度番号:8.5以上
旧オーステナイト粒の粒度番号が8.5未満では、生成するマルテンサイト相の下部組織が粗大化し、耐SSC性が低下する。このため、旧オーステナイト粒の粒度番号を8.5以上に限定する。なお、粒度番号は、JIS G 0551の規定に準拠して測定した値を用いるものとする。
本発明において、旧オーステナイト粒の粒度番号については、焼入れ処理の際の加熱速度と加熱温度と保持温度、焼入れ処理の実施回数を変えることにより調整することができる。
さらに、本発明の高強度継目無鋼管では、耐SSC性の向上のために、窒化物系介在物および酸化物系介在物の個数を、大きさに応じて、適正範囲内に調整する。なお、窒化物系介在物と酸化物系介在物の同定は、走査型電子顕微鏡を用いた自動検出により行い、窒化物系介在物は、TiとNbが主成分のもの、酸化物系介在物はAl、CaおよびMgが主成分のものとした。介在物の個数は、鋼管の圧延方向に垂直な断面(管軸方向に垂直な断面:C断面)において測定した値とする。介在物の大きさは、各介在物の粒径を用いるものとする。なお、介在物の粒径は、介在物粒子の面積を求め、円相当直径を計算し、当該介在物粒子の粒径とする。
粒径が4μm以上の窒化物系介在物:100mm2あたり100個以下
窒化物系介在物は、降伏強さ125ksi級以上の高強度鋼管ではSSCの発生起点となり、その大きさが4μm以上と大きくなるほど、その悪影響が大きくなる。そのため、粒径が4μm以上の窒化物系介在物はできるだけ、少なくすることが望ましいが、100mm2あたり100個以下であれば、耐SSC性への悪影響は許容できる。このため、粒径が4μm以上の窒化物系介在物は100mm2あたり100個以下に限定する。なお、好ましくは84個以下である。
粒径が4μm未満の窒化物系介在物:100mm2あたり700個以下
粒径が4μm未満の微細な窒化物系介在物は、単独で存在してもSSCの発生起点にはならないが、降伏強さ125ksi級以上の高強度鋼管では、その数が多くなり、100mm2あたり700個を超えると、耐SSC性への悪影響が許容できなくなる。このため、粒径が4μm未満の窒化物系介在物は100mm2あたり700個以下に限定する。なお、好ましくは600個以下である。
粒径が4μm以上の酸化物系介在物:100mm2あたり60個以下
酸化物系介在物は、降伏強さ:125ksi級以上の高強度鋼管では、SSCの発生起点となり、その大きさが4μm以上と大きくなるほど、その悪影響が大きくなる。そこで、粒径が4μm以上の酸化物系介在物はできるだけ、少なくすることが望ましいが、100mm2あたり60個以下であれば、耐SSC性への悪影響は許容できる。このため、粒径が4μm以上の酸化物系介在物は100mm2あたり60個以下に限定する。なお、好ましくは40個以下である。
粒径が4μm未満の酸化物系介在物:100mm2あたり500個以下
酸化物系介在物は、降伏強さ125ksi級以上の高強度鋼では、粒径が4μm未満と小さいものでもSSCの発生起点となり、その数が多くなるほど耐SSC性への悪影響が大きくなる。そのため、粒径が4μm未満の酸化物系介在物でもできるだけ少なくすることが望ましいが、100mm2あたり500個以下であれば、許容できる。このようなことから、粒径が4μm未満の酸化物系介在物は100mm2あたり500個以下に限定する。なお、好ましくは400個以下である。
本発明において、窒化物系介在物および酸化物系介在物の調整については、とくに溶鋼の精錬工程における管理が重要であり、溶銑予備処理で、脱硫および脱燐を行ない、転炉で、脱炭および脱燐を行った後、取鍋で、加熱攪拌精錬処理(LF)およびRH真空脱ガス処理を行う。そして、加熱攪拌精錬処理(LF)の処理時間を十分に確保し、また、RH真空脱ガス処理の処理時間を確保する。また、連続鋳造法で鋳片(鋼管素材)とするに際しては、窒化物系介在物および酸化物系介在物が、上記した単位面積当たりの個数以下となるように、取鍋からタンディッシュへの注入に際し、不活性ガスによるシールを施し、また、鋳型内での電磁撹拌を施し、介在物の浮上分離を図る。
次に、本発明の高強度継目無鋼管の好ましい製造方法について説明する。
本発明では、上記した組成の鋼管素材を加熱し、熱間加工を施して所定形状の継目無鋼管とする。
本発明で使用する鋼管素材は、上記した組成を有する溶鋼を、転炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法で、鋳片(丸鋳片)とすることが好ましい。鋳片をさらに熱間圧延し所定形状の丸鋼片としても、あるいは造塊−分塊圧延を経た丸鋼片としてもよい。
なお、本発明の高強度継目無鋼管では、更なる耐SSC性の向上のために、窒化物系介在物や酸化物系介在物を、上記した単位面積当たりの個数以下となるように、低減する。このため、鋼管素材(鋳片あるいは鋼片)は、N(窒素):0.006%以下、O(酸素):0.0030%以下の範囲内でできるだけ低減する必要がある。
窒化物系介在物および酸化物系介在物を上記した単位面積当たりの個数以下とするためには、とくに溶鋼の精錬工程における管理が重要となる。本発明では、溶銑予備処理で、脱硫および脱燐を行ない、転炉で、脱炭および脱燐を行った後、取鍋で、加熱攪拌精錬処理(LF)、RH真空脱ガス処理を行うことが好ましい。LF時間が長くなるほど、介在物中のCaO濃度またはCaS濃度が減少し、MgO-Al2O3系の介在物となり、耐SSC性が向上する。また、RH時間が長くなるほど、溶鋼中の酸素濃度が低下し、酸化物系介在物の大きさが小さくなり、また個数も減少する。このようなことから、加熱攪拌精錬処理(LF)は処理時間:30min以上、RH真空脱ガス処理は処理時間:20min以上とすることが好ましい。
また、連続鋳造法で鋳片(鋼管素材)とするに際しては、窒化物系介在物および酸化物系介在物が、上記した単位面積当たりの個数以下となるように、取鍋からタンディッシュへの注入に際し、不活性ガスによるシールを施すことが好ましい。また、鋳型内での電磁撹拌を施し、介在物の浮上分離を図ることが好ましい。これにより、窒化物系介在物、酸化系介在物の量および大きさを調整することができる。
ついで、上記した組成を有する鋳片(鋼管素材)に、加熱温度:1050〜1350℃に加熱し熱間加工を施して、所定寸法の継目無鋼管とする。
加熱温度:1050〜1350℃
加熱温度が1050℃未満では、鋼管素材中の炭化物の溶解が不十分となる。一方、加熱温度が1350℃を超えて高温となると、結晶粒が粗大化するとともに、凝固時に析出したTiNなどの析出物が粗大化し、また、セメンタイトが粗大化するため、靭性が低下する。また、1350℃を超える高温では、鋳片表面のスケールが厚く生成し、圧延時に表面疵等の発生原因になるとともに、エネルギーロスが増大し省エネルギーの観点から好ましくない。このようなことから、加熱温度は1050〜1350℃の範囲の温度に限定する。好ましくは1100℃以上である。好ましくは、加熱温度は1300℃以下である。
加熱された鋼管素材には、ついで、マンネスマン−プラグミル方式、あるいはマンネスマン−マンドレル方式の熱間圧延機を用いて熱間加工(造管)が施され、所定寸法の継目無鋼管とされる。なお、プレス方式による熱間押出しで継目無鋼管としてもよい。
得られた継目無鋼管には、熱間加工を終了した後、表面温度が200℃以下となるまで空冷以上の冷却速度で冷却する冷却処理を施す。
熱間加工終了後の冷却処理:冷却速度;空冷以上、冷却停止温度;200℃以下
本発明の組成範囲では、熱間加工後に空冷以上の冷却速度で冷却すれば、マルテンサイト相を主相とする組織を得ることができる。表面温度が200℃超えで空冷(冷却)を停止すると、変態が完全に完了していない場合がある。そのため、熱間加工後の冷却処理は、表面温度が200℃以下となるまで、空冷以上の冷却速度で冷却することとした。また、本発明において、「空冷以上の冷却速度」とは、0.1℃/s以上のことを指す。0.1℃/s未満の冷却速度であると、冷却後の金属組織が不均一になり、その後の熱処理後の金属組織が不均一となる。
空冷以上の冷却速度で冷却する冷却処理を行なったのち、焼戻処理を施す。焼戻処理は、600〜740℃の範囲の温度に加熱する処理とする。
焼戻温度:600〜740℃
焼戻処理は、転位密度を減少させ、靭性および耐SSC性を向上させる目的で行なう。焼戻温度が600℃未満では、転位の減少が不十分であるため、優れた耐SSC性を確保できない。一方、740℃を超える温度では、組織の軟化が著しく、所望の高強度を確保できない。このため、焼戻温度は600〜740℃の範囲の温度に限定する。好ましくは、焼戻温度は660℃以上である。より好ましくは670℃以上である。好ましくは、焼戻温度は740℃以下である。より好ましくは、焼戻温度は710℃以下である。
なお、安定して所望の特性を確保するためには、熱間加工後、空冷以上の冷却速度で冷却する冷却処理を施したのち、さらに再加熱し、水冷などで急冷する焼入れ処理を1回以上施し、しかる後、上記した焼戻処理を施すことが望ましい。
焼入れ処理のための再加熱温度:Ac3変態点以上1000℃以下
再加熱温度が、Ac3変態点未満では、オーステナイト単相域に加熱されないため、マルテンサイト相を主相とする組織が得られない。一方、1000℃を超えると、結晶粒が粗大化し靭性が低下することに加え、表面の酸化スケールが厚くなり、剥離しやすくなり鋼板表面の疵発生の原因となる、などの悪影響がある。さらに、熱処理炉への負荷が過大となり、省エネルギーの観点からも問題となる。このようなことから、また、省エネルギーの観点から、焼入れ処理のための再加熱温度は、Ac3変態点以上1000℃以下に限定する。好ましくは950℃以下である。
また、再加熱した後に、焼入れ処理を施す。焼入れ処理の冷却では、好ましくは板厚中心位置の温度で400℃以下の温度まで、2℃/s以上の平均冷却速度で水冷し、表面温度が200℃以下となるまで、好ましくは100℃以下の温度まで冷却する。なお、焼入れ処理は、2回以上繰り返しても良い。
なお、Ac3変態点は、下記式で算出された値を使用するものとする。
Ac3変態点(℃)=937−476.5C+56Si−19.7Mn−16.3Cu−4.9Cr−26.6Ni+38.1Mo+124.8V+136.3Ti+198Al+3315B
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Cr、Ni、Mo、V、Ti、Al、B:各元素の含有量(質量%))
Ac3変態点の計算にあたっては、上記した式に記載された元素を含有しない場合には、当該元素の含有量を零%として算出するものとする。
なお、焼戻処理、あるいは焼入れ処理焼戻処理を施したのち、必要に応じて、温間または冷間で、鋼管の形状不良を矯正する矯正処理を施してもよい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
高炉出銑した溶銑を、溶銑予備処理で脱硫および脱燐を行ない、転炉で脱炭および脱燐を行なったのち、表2および表3に示すように、処理時間:60minまでの加熱攪拌精錬処理(LF)と、還流量:120ton/min、処理時間:10〜40minのRH真空脱ガス処理とを施し、表1に示す組成の溶鋼とし、連続鋳造法で鋳片(丸鋳片:190mmφ)とした。なお、連続鋳造法に際しては、AD鋼、AE鋼、AH鋼およびAI鋼以外ではタンディッシュのArガスシールドを実施し、Z鋼、AA鋼、AH鋼およびAI鋼以外では鋳型での電磁撹拌を実施した。
得られた鋳片を、鋼管素材として、加熱炉に装入し、表2および表3に示す加熱温度に加熱し、保持(保持時間:2h)した。加熱された鋼管素材を、マンネスマン−プラグミル方式の熱間圧延機を用いて熱間加工を施し、継目無鋼管(外径178〜229mmφ×肉厚12〜32mm)とした。なお、熱間加工後は、空冷し、表2および表3に示す条件で焼入れ焼戻処理を行った。なお、一部では、熱間加工後、水冷し、その後焼戻処理、あるいは焼入れ焼戻処理を行った。
得られた継目無鋼管から、試験片を採取し、組織観察、引張試験および硫化物応力腐食割れ試験を実施した。試験方法はつぎの通りとした。
(1)組織観察
得られた継目無鋼管の、内面側1/4t位置(t:管厚)から組織観察用試験片を採取し、管長手方向に直交する断面(C断面)を研磨し、腐食(ナイタール(nital(硝酸−エタノール混合液))腐食)して組織を現出させ、光学顕微鏡(倍率:1000倍)および走査型電子顕微鏡(倍率:2000〜3000倍)を用いて、組織を観察し、視野:4箇所以上で撮像した。得られた組織写真に基づき、画像解析により、構成する相の同定、およびそれら相の組織分率を、それぞれ算出した。
また、組織観察用試験片を用いて、旧オーステナイト(γ)粒径の測定を行なった。組織観察用試験片の管長手方向に直交する断面(C断面)を研磨し、腐食(ピクラール液(picral(ピクリン酸−エタノール混合液)))して旧γ粒界を現出させ、光学顕微鏡(倍率:1000倍)を用いて観察し、視野:3箇所以上で撮像した。得られた組織写真について、JIS G 0551の規定に準拠して、切断法を用いて旧γ粒の粒度番号を求めた。
また、組織観察用試験片について、走査型電子顕微鏡(倍率:2000〜3000倍)を用いて、400mm2の領域で組織を観察して、画像の濃淡から介在物を自動検出し、同時に、走査型顕微鏡に付設されたEDX(エネルギー分散型X線分析(energy dispersive X-ray analysis))により自動的に、介在物の定量分析を行い、介在物の種類、大きさおよび個数を測定した。なお、介在物の種類は、EDXによる定量分析から判定した。TiとNbが主成分のものは窒化物系介在物、Al、CaおよびMgが主成分のものは酸化物系介在物、と分類した。ここでいう「主成分」とは、当該元素が合計で65%以上である場合をいうものとする。
また、介在物として識別した粒子の個数を求め、さらに各粒子の面積を求め、円相当直径を計算し当該介在物の粒径とした。そして、粒径:4μm以上の介在物と粒径:4μm未満の介在物の個数密度(個/100mm2)を算出した。なお、長辺が2μmに満たない介在物は分析しなかった。
(2)引張試験
得られた継目無鋼管の内面側1/4t位置(t:管厚)から、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張方向が管軸方向となるように、JIS 10号引張試験片(棒状試験片:平行部径12.5mmφ、平行部長さ:60mm、GL(Gage Length(標線間距離)):50mm)を採取し、引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS(0.5%耐力))、引張強さTS)を求めた。
(3)硫化物応力腐食割れ試験
得られた継目無鋼管の内面側1/4t位置(t:管厚)を中心として、管軸方向が引張方向となるように引張試験片(平行部径:6.35mmφ×平行部長さ25.4mm)を採取した。
上記した引張試験片を用い、NACE TM0177 Method Aに規定された試験方法に準拠して、硫化物応力腐食割れ試験を実施した。硫化物応力腐食割れ試験は、上記した引張試験片を、試験液(10kPaの硫化水素を飽和させ、pHを3.5に調整した5.0質量%食塩水溶液を含む酢酸−酢酸ナトリウム水溶液(液温:24℃)中)で定荷重試験を実施し、引張試験により得られた実際の降伏強さYSの85%の応力を負荷した状態(鋼管No.10については降伏強さYSの90%の応力負荷も実施)で保持する定荷重試験とし、720hまでに破断しなかった場合を「○」(合格)とし、720hまでに破断した場合を「×」(不合格)と評価した。なお、目標の降伏強さが確保できない場合には、硫化物応力腐食割れ試験は実施しなかった。
得られた結果を表4、表5に示す。
Figure 0006128297
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Figure 0006128297
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本発明例はいずれも、降伏強さYS:862MPa以上の高強度と、優れた耐SSC性を兼備する継目無鋼管となっている。また、本発明例の鋼管はいずれも、降伏強さYS:965MPa以下にすることもできている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、降伏強さYSが低下し所望の高強度が確保できていないか、あるいは耐SSC性が低下している。
焼入れ温度が本発明の範囲の上限を超えた表2の鋼管No.16および鋼管No.18(鋼No.Eおよび鋼No.F)は、旧オーステナイト粒が粗大化し、耐SSC性が低下している(表4)。
また、焼戻温度が本発明の範囲の上限を超えた表2の鋼管No.22および鋼管No.26(鋼No.Iおよび鋼No.J)は、強度が低下している。そのため、耐SSC性試験を行わなかった(表4)。
また、焼入れ処理の冷却停止温度が本発明の範囲の上限を超えた表2の鋼管No.23および鋼No.27(鋼No.Iおよび鋼No.J)は、マルテンサイト相を主相とする所望の組織が得られず、強度が低下している。そのため、耐SSC性試験を行わなかった(表4)。
また、Cが本発明の範囲の下限未満である鋼管No.31および鋼管No.32(表1の鋼No.Mおよび鋼No.N)は、所望の高強度を確保できていない。そのため、耐SSC性試験を行わなかった(表5)。
また、Cが本発明の範囲の上限を超えた鋼管No.33および鋼管No.34(表1の鋼No.Oおよび鋼No.P)は、本発明範囲の焼戻温度では強度が高くなり、耐SSC性が低下している(表5)。
また、Moが本発明の範囲の下限未満である鋼管No.35および鋼管No.36(表1の鋼No.Qおよび鋼No.R)は、耐SSC性が低下している(表5)。
また、Crが本発明の範囲の上限を超えた鋼管No.37(表1の鋼No.S)は耐SSC性が低下している(表5)。
また、Nbが本発明の範囲を高く外れた鋼管No.38および鋼管No.39(表1の鋼No.Tおよび鋼No.U)は、介在物の個数が本発明の範囲を外れ、耐SSC性が低下している(表5)。
また、Ti/Nが本発明の範囲を外れた鋼管No.40〜43(表1の鋼No.V〜Y)は、窒化物系介在物および酸化物系介在物の個数が本発明の範囲を外れ、いずれも耐SSC性が低下している(表5)。
また、O(酸素)を本発明の範囲の上限を超えて含有する鋼管No.44および鋼管No.45(表1の鋼No.Zおよび鋼No.AA)は、酸化物系介在物の個数が本発明範囲を外れ、耐SSC性が低下している(表5)。
また、Tiを本発明の範囲の上限を超えて含有する鋼管No.46および鋼管No.47(表1の鋼No.ABおよび鋼No.AC)は、耐SSC性が低下している(表5)。
また、NとO(酸素)の両方を本発明の範囲の上限を超えて含有する鋼管No.48および鋼管No.49(表1の鋼No.ADおよび鋼No.AE)は、酸化物系介在物の個数が本発明範囲を外れ、耐SSC性が低下している(表5)。
また、成分は本発明の範囲内であるが、窒化物系介在物および酸化物系介在物の個数が本発明の範囲を外れた鋼管No.52および鋼管No.53(表1の鋼No.AHおよび鋼No.AI)は耐SSC性が低下している(表5)。
また、Cuを本発明の範囲の上限を超えて含有する鋼管No.59(表1の鋼No.AJ)は耐SSC性が低下している(表5)。
また、Crの含有量に着目すると、まず、Cr含有量が0.6質量%以上である表4の鋼管No.2(表1の鋼No.A)は、Cr含有量が0.6質量%未満である表5の鋼管No.54(表1の鋼No.B)に比べ、その他は同様の条件で製造しているものの、焼入れ性が安定し、マルテンサイトを体積率で95%以上とすることができ、肉厚が32mmである厚肉鋼管を得ることができる。
また、Cr含有量が0.6質量%以上である表4の鋼管No.9(表1の鋼No.C)は、Cr含有量が0.6質量%未満である表5の鋼管No.55(表1の鋼No.D)に比べ、その他は同様の条件で製造しているものの、焼入れ性が安定し、マルテンサイトを体積率で95%以上とすることができ、肉厚が32mmである厚肉鋼管を得ることができる。
さらに、Cr含有量が0.6質量%以上である表5の鋼管No.50(表1の鋼No.AF)は、Cr含有量が0.6質量%未満である表5の鋼管No.58(表1の鋼No.AG)に比べ、その他は同様の条件で製造しているものの、焼入れ性が安定し、マルテンサイトを体積率で95%以上とすることができ、肉厚が32mmである厚肉鋼管を得ることができる。
また、Cr含有量が0.6質量%以上である表4の鋼管No.19(表1の鋼No.G)は、Cr含有量が0.6質量%未満である表5の鋼管No.56(表1の鋼No.H)に比べ、また、Cr含有量が0.6質量%以上である表5の鋼管No.29(表1の鋼No.K)は、Cr含有量が0.6質量%未満である表5の鋼管No.57(表1の鋼No.L)に比べ、その他は同様の条件で製造しているものの、焼入れ性が安定し、マルテンサイトを体積率で95%以上とすることができ、肉厚が25mmである厚肉鋼管を得ることができる。

Claims (5)

  1. 質量%で、C :0.20〜0.50%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.1〜1.5%、P :0.015%以下、S :0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、N :0.006%以下、Cr:0.1〜2.5%、Mo:0.1〜1.0%、V :0.03〜0.3%、Nb:0.001〜0.030%、B :0.0003〜0.0030%、O(酸素):0.0030%以下、Ti:0.003〜0.025%、を含み、かつTi、NをTi/N:2.0〜5.5を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    焼戻マルテンサイトを体積率で95%以上とし、旧オーステナイト粒が粒度番号で8.5以上であり、圧延方向に垂直な断面において、粒径が4μm以上の窒化物系介在物が100mm2あたり100個以下、粒径が4μm未満の窒化物系介在物が100mm2あたり700個以下、粒径が4μm以上の酸化物系介在物が100mm2あたり60個以下、粒径が4μm未満の酸化物系介在物が100mm2あたり500個以下である組織を有し、降伏強さYS:862MPa以上である油井用高強度継目無鋼管。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する請求項1に記載の油井用高強度継目無鋼管。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%を含有する請求項1または2に記載の油井用高強度継目無鋼管。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の油井用高強度継目無鋼管の製造方法であり、
    鋼管素材を、加熱温度:1050〜1350℃の範囲の温度で加熱し、熱間加工を施して所定形状の継目無鋼管とし、
    前記熱間加工後に、前記継目無鋼管に空冷以上の冷却速度で表面温度が200℃以下となる温度まで冷却を施し、600〜740℃の範囲の温度に加熱する焼戻処理を施す油井用高強度継目無鋼管の製造方法。
  5. 前記冷却後で、前記焼戻処理の前に、Ac3変態点以上1000℃以下の範囲の温度に再加熱し、表面温度で200℃以下となる温度まで急冷する焼入れ処理を1回以上施す請求項4に記載の油井用高強度継目無鋼管の製造方法。

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