JP6127364B2 - 車両の制動制御装置 - Google Patents

車両の制動制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6127364B2
JP6127364B2 JP2012044002A JP2012044002A JP6127364B2 JP 6127364 B2 JP6127364 B2 JP 6127364B2 JP 2012044002 A JP2012044002 A JP 2012044002A JP 2012044002 A JP2012044002 A JP 2012044002A JP 6127364 B2 JP6127364 B2 JP 6127364B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
deceleration
braking
brake
determination value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012044002A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013180600A (ja
Inventor
慎次 塚本
慎次 塚本
将仁 寺坂
将仁 寺坂
佑介 竹谷
佑介 竹谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Advics Co Ltd
Original Assignee
Advics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Advics Co Ltd filed Critical Advics Co Ltd
Priority to JP2012044002A priority Critical patent/JP6127364B2/ja
Publication of JP2013180600A publication Critical patent/JP2013180600A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6127364B2 publication Critical patent/JP6127364B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

本発明は、車両の運転手によるブレーキ操作に基づき車輪に付与される制動力の増大を補助するための補助制御を行う車両の制動制御装置に関する。
従来、この種の車両の制動制御装置として、例えば特許文献1,2に記載の制動制御装置が提案されている。こうした制動制御装置では、運転手によるブレーキペダル(ブレーキ操作部材)の操作量を直接的に検出するためのセンサ(例えば、マスタシリンダ圧を検出するための圧力センサ)を用いないで、補助制御の開始タイミングを図っている。
すなわち、上記制動制御装置では、車両に搭載される車輪速度センサからの検出信号に基づき車両の推定車体速度が演算され、該推定車体速度に基づき車両の推定車体減速度が演算される。また、上記制動制御装置では、車輪のスリップ率が演算される。そして、運転手がブレーキ操作を行っている状態で、推定車体減速度が予め設定された第1緊急制動判定値以上であると共に車輪のスリップ率が予め設定された第2緊急制動判定値を超えた場合には、今回のブレーキ操作が緊急制動操作であると判断される。その結果、上記補助制御が開始される。なお、こうした補助制御のことを、「ブレーキアシスト制御(BA制御)」ともいう。
また、車輪のスリップ率の代わりに、車両に搭載された車体加速度センサからの検出信号に基づき車体減速度(「Gセンサ値」ともいう。)を演算し、該Gセンサ値を用いて今回のブレーキペダルの操作が緊急制動操作であるか否かを判断する方法も考えられる。
特開2002−193084号公報 特開2002−370634号公報
ところで、運転手によるブレーキペダルの操作量(以下、「ブレーキ操作量」ともいう。)と、車両の実際の減速度とは常に一定の対応関係を示しているとは限らない。例えば、運転手によるブレーキ操作量が同程度であっても、車両の積載量が多い場合の実際の減速度は、積載量が少ない場合の実際の減速度よりも小さくなる。また、車輪毎に設けられたブレーキ機構の構成部品(例えば、パッド)の温度が極端に高温になるなどのようにブレーキ操作量に見合った制動力を車輪に付与できない場合、車両の実際の減速度は、ブレーキ操作量に見合った制動力を車輪に付与できる場合の実際の減速度よりも小さくなる。
このようにブレーキ操作量に対して車両の実際の減速度が小さい場合、実際の減速度に近い値を示すGセンサ値が判定値を超えにくくなる。そのため、Gセンサ値を用いて緊急制動操作であるか否かを判定する従来の技術においては、運転手によるブレーキ操作量と車両の実際の減速度との対応関係の変化によって補助制御の開始タイミングにばらつきが生じるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。その目的は、緊急制動操作された場合には、適切なタイミングで補助制御を開始させることができる車両の制動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、ブレーキ操作部材(31)の操作量を直接的に検出するセンサを用いない一方で、車載の車輪速度センサ(SE2〜SE5)及び車体加速度センサ(SE6)を用いることで、緊急制動操作が行われているか否かを判定する機能を有する装置であって、車輪速度センサ(SE2〜SE5)を用いて演算された車両の第1の推定車体減速度(DV)が制動判定値(KDV_Brk)を超えた時点からの経過時間が第1の基準経過時間(TDVst)を経過する前に、第1の推定車体減速度(DV)が、制動判定値(KDV_Brk)よりも大きい第1の減速判定値(DV_st)を超えること(S37:YES)と、第1の推定車体減速度(DV)が第1の減速判定値(DV_st)を超えた時点からの経過時間が第2の基準経過時間(TGst)を経過する前に、車載の車体加速度センサ(SE6)を用いて演算された車両の第2の推定車体減速度(G)が第2の減速判定値(G_st)を超えること(S41:YES)とが成立したときに、運転者による今回のブレーキ操作が緊急制動操作であると判定できるため、運転手によるブレーキ操作に基づき車輪(FR,FL,RR,RL)に付与される制動力の増大を補助するための補助制御(S51〜S59)を開始する車両の制動制御装置を前提としている。そして、この制動制御装置が、運転者による今回のブレーキ操作が緊急制動操作であると判定していない状況で、ブレーキ操作部材(31)の操作量に対する車両の減速度が小さいと判定できる場合には、第2の減速判定値(G_st)を、ブレーキ操作部材(31)の操作量に対する車両の減速度が小さいと判定できない場合よりも小さくする(S30,S31,S33)ようにしている。
運転手によるブレーキ操作部材の操作量(以下、「ブレーキ操作量」ともいう。)に対する車両の減速度が小さい場合とは、運転手が要求する車両の減速度と比較して車両の実際の減速度が小さい場合である。この場合、車体加速度センサ(SE6)からの検出信号に基づいた第2の推定車体減速度(G)は、ブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さくない場合と比較して小さくなる。そこで、本発明では、ブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さいと判定できる場合には、ブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さいと判定できない場合よりも、第2の推定車体減速度(G)が小さいタイミングで補助制御(S51〜S59)が開始されるようになる。これにより、ブレーキ操作量と車両の減速度との対応関係に起因した補助制御(S51〜S59)の開始タイミングのばらつきが抑制される。そのため、緊急制動操作された場合には、適切なタイミングで補助制御(S51〜S59)を開始させることができる。
ブレーキ操作部材(31)の操作量に対する車両の減速度が小さいか否かを判定する方法としては、車両の積載量(MGmass)に基づき判定する方法が挙げられる。これは、車両の積載量(MGmass)が多いほど、車両の慣性力が大きくなり、運転手がブレーキ操作を行ってもなかなか減速されない、又は減速したとしてもその減速度が小さくなるためである。そこで、車両の積載量(MGmass)が多い場合には、積載量(MGmass)が少ない場合よりも、第2の推定車体減速度(G)が小さいタイミングで補助制御(S51〜S59)を開始させるようにしている。これにより、車両の積載量(MGmass)の相違に起因した補助制御(S51〜S59)の開始タイミングのばらつきを抑制することができる。なお、ここでいう「車両の積載量(MGmass)」とは、車両に積載された荷物の積載量及び車両に搭乗した乗員に基づく重量とを少なくとも含んだ重量である。
また、ブレーキ操作部材(31)の操作量に対する車両の減速度が小さいか否かを判定する方法としては、上記の方法以外に、ブレーキ操作部材(31)の操作量に対して車輪(FR,FL,RR,RL)に付与できる制動力の大きさの推定値に基づき判定する方法が挙げられる。これは、車輪(FR,FL,RR,RL)毎に設けられたブレーキ機構(55a〜55d)の状態によっては、ブレーキ操作量が一定であっても、車輪(FR,FL,RR,RL)に付与できる制動力の大きさにばらつきが生じることがあるためである。そこで、このような制御構成を採用することにより、ブレーキ操作量に対して車輪(FR,FL,RR,RL)に付与できる制動力が小さいと判定できる場合には、ブレーキ操作量に対して車輪(FR,FL,RR,RL)に付与できる制動力が小さいと判定できない場合よりも、第2の推定車体減速度(G)が小さいタイミングで補助制御(S51〜S59)が開始されるようになる。これにより、ブレーキ機構(55a〜55d)が車輪(FR,FL,RR,RL)に付与できる制動力の大きさの相違に起因した補助制御(S51〜S59)の開始タイミングのばらつきを抑制できるようになる。
ところで、ブレーキ機構(55a〜55d)は、一般的に、車輪(FR,FL,RR,RL)と一体回転する回転体(70)と、回転体(70)に対して接近する方向及び離れる方向に相対移動する摩擦材(71)とを備えてなる。そして、ブレーキ操作部材(31)が操作された場合には、摩擦材(71)を回転体(70)に押し付けることで車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力が付与されるようになっている。こうした構成のブレーキ機構(55a〜55d)においては、摩擦材(71)の温度が高温になったり、低温になったりする場合、ブレーキ操作量が一定であっても車輪(FR,FL,RR,RL)に付与できる制動力が小さくなる。これは、摩擦材(71)の温度が適温である場合には摩擦材(71)と回転体(70)との間で発生する摩擦力が比較的大きいのに対し、摩擦材(71)の温度が適温よりも高温であったり低温であったりする場合には摩擦材(71)と回転体(70)との間で発生する摩擦力が比較的小さいためである。
そのため、ブレーキ操作部材(31)の操作量に対して車輪(FR,FL,RR,RL)に付与できる制動力が小さいか否かは、摩擦材(71)の推定温度(Ptemp)に基づき判定することができる。そこで、摩擦材(71)の推定温度(Ptemp)が所定の温度範囲に含まれない場合に、第2の減速判定値(G_st)を、推定温度(Ptemp)が温度範囲に含まれる場合よりも小さくする(S31,S33)ことが好ましい。その結果、摩擦材(71)の推定温度(Ptemp)が高温になっていたり低温になっていたりする場合には、推定温度(Ptemp)が適正な温度である場合よりも、第2の推定車体減速度(G)が小さいタイミングで補助制御(S51〜S59)が開始されるようになる。これにより、摩擦材(71)の温度の相違に起因した補助制御(S51〜S59)の開始タイミングのばらつきを抑制することができる。
なお、第2の減速判定値(G_st)を小さくした状態で補助制御の開始条件が成立した場合(S53:NO)とは、運転手が要求する車両の減速度と比較して車両の実際の減速度が小さいために、運転手による今回のブレーキ操作が緊急制動操作であるとの判定が遅れた可能性がある。そこで、補助制御では、補助制御の開始条件が成立した時点での第2の減速判定値(G_st)が小さい場合には、補助制御の開始条件が成立した時点での第2の減速判定値(G_st)が大きい場合よりも、車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力の増大速度を速くする(S57)ことが好ましい。これにより、もし緊急制動操作であるとの判定が遅れたとしても、車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力を速やかに増大させることができる。
なお、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明の制動制御装置にかかる一実施形態のブレーキ用ECUを備える車両を示すブロック図。 制動装置の概略構成を説明する構成図。 (a)〜(d)は車両減速時に補助制御が実行された様子を説明するタイミングチャート。 車両の積載量に応じてブレーキ操作量とGセンサ値との対応関係が変化する様子を示すグラフ。 ブレーキ機構のパッドの温度に応じてブレーキ操作量とGセンサ値との対応関係が変化する様子を示すグラフ。 車両重量を推定するためのマップ。 積載補正値を設定するためのマップ。 パッド補正値を設定するためのマップ。 制動制御処理ルーチンを説明するフローチャート。 情報取得処理ルーチンを説明するフローチャート。 BA開始判定処理ルーチンを説明するフローチャート。 BA処理ルーチンを説明するフローチャート。 BA終了判定処理ルーチンを説明するフローチャート。 (a)〜(d)は車両減速時に補助制御が実行された様子を説明するタイミングチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図14に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両は、複数(本実施形態では4つ)ある車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)のうち、前輪FR,FLが駆動輪として機能するいわゆる前輪駆動車である。こうした車両には、運転手によるアクセルペダル11の操作量に応じた駆動力を発生するエンジン12を有する駆動力発生装置10と、駆動力発生装置10で発生した駆動力を前輪FR,FLに伝達する駆動力伝達装置20とを備えている。また、車両には、運転手によるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル31の踏込み操作の態様に応じた制動力を各車輪FR,FL,RR,RLに付与するための制動装置30が設けられている。
駆動力発生装置10は、エンジン12の吸気ポート(図示略)近傍に配置され、且つ該エンジン12に燃料を噴射するインジェクタを有する燃料噴射装置(図示略)を備えている。こうした駆動力発生装置10は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有するエンジン用ECU13(「エンジン用電子制御装置」ともいう。)に制御される。このエンジン用ECU13には、運転手によるアクセルペダル11のアクセル開度を検出するためのアクセル開度センサSE1と、エンジン12のクランク軸の回転数(以下、「エンジン回転数」ともいう。)を検出するための回転数センサSE7とが電気的に接続されている。そして、エンジン用ECU13は、これら各センサSE1,SE7からの検出信号に基づき駆動力発生装置10を制御する。
駆動力伝達装置20は、自動変速機21と、該自動変速機21の出力軸から伝達された駆動力を適宜配分して前輪FL,FRに伝達するディファレンシャルギヤ22とを備えている。こうした駆動力伝達装置20は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有するAT用ECU23(「AT用電子制御装置」ともいう。)に制御される。このAT用ECU23は、車両の車体速度、運転手によるアクセルペダル11、ブレーキペダル31及び図示しないシフト装置の操作状況などに応じて、自動変速機21の制御(アップシフト制御やダウンシフト制御)を行う。
制動装置30は、図2に示すように、ブレーキペダル31に連結される液圧発生装置32と、2系統の油圧回路を有するブレーキアクチュエータ40とを備えている。そして、ブレーキアクチュエータ40の第1の系統の液圧回路には、右前輪FR用のブレーキ機構55aのホイールシリンダと、左後輪RL用のブレーキ機構55dのホイールシリンダが接続されている。また、第2の系統の液圧回路には、左前輪FL用のブレーキ機構55bのホイールシリンダと、右後輪RR用のブレーキ機構55cのホイールシリンダとが接続されている。
ブレーキ機構55a〜55dは、所謂ディスク式のブレーキ機構であって、車輪FR,FL,RR,RLと一体回転する回転体としてのロータ70と、このロータ70を挟むように配置される一対の摩擦材としてのパッド71とを備えている。これら一対のパッド71は、ロータ70に対して接近する方向及び離れる方向に移動可能となっている。すなわち、ホイールシリンダ内のブレーキ液圧(以下、「WC圧」ともいう。)が増大されると、両パッド71が互いに接近する方向に移動してロータ70に摺接する。すると、車輪FR,FL,RR,RLには、パッド71とロータ70との間に発生する摩擦力に応じた制動力が付与される。
液圧発生装置32は、ブースタ320、マスタシリンダ321及びリザーバ322を有している。マスタシリンダ321は、ブースタ320によって助勢された操作力に応じたブレーキ液圧(以下、「MC圧」ともいう。)を発生する。このとき、液圧発生装置32からは、ブレーキアクチュエータ40の液圧回路を介してホイールシリンダにブレーキ液が供給される。
次に、ブレーキアクチュエータ40について、図2を参照して説明する。なお、各液圧回路41,42は略同一構成であるため、図2では、明細書の説明理解の便宜上、第1液圧回路41のみを図示し、第2液圧回路42の図示を省略するものとする。
図2に示すように、第1液圧回路41には、マスタシリンダ321に接続される連結経路43が設けられている。この連結経路43には、マスタシリンダ321内のMC圧とホイールシリンダ内のWC圧との間で差圧を発生させるべく作動する常開型のリニア電磁弁44が設けられている。また、第1液圧回路41には、右前輪FR用のブレーキ機構55aのホイールシリンダに接続される右前輪用経路44aと、左後輪RL用のブレーキ機構55dのホイールシリンダに接続される左後輪用経路44dとが形成されている。そして、これら各経路44a,44dには、ホイールシリンダ内のWC圧の増圧を規制する際に作動する常開型の電磁弁である増圧弁45a,45dと、ホイールシリンダ内のWC圧を減圧させる際に作動する常閉型の電磁弁である減圧弁46a,46dとが設けられている。
また、第1液圧回路41には、ホイールシリンダから減圧弁46a,46dを介して流出したブレーキ液を一時貯留するためのリザーバ47と、モータ48の回転に基づき作動するポンプ49とが接続されている。リザーバ47は、吸入用流路50を介してポンプ49に接続されると共に、マスタ側流路51を介して連結経路43においてリニア電磁弁44よりもマスタシリンダ321側に接続されている。また、ポンプ49は、供給用流路52を介して第1液圧回路41における増圧弁45a,45dとリニア電磁弁44との間の接続部位53に接続されている。そして、ポンプ49は、モータ48が回転した場合に、リザーバ47及びマスタシリンダ321側から吸入用流路50及びマスタ側流路51を介してブレーキ液を吸引し、該ブレーキ液を供給用流路52内に吐出する。
次に、制動制御装置としてのブレーキ用ECU60について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、ブレーキ用ECU60の入力側インターフェースには、ブレーキスイッチSW1、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE2,SE3,SE4,SE5、及び車両の前後方向における車体減速度であるGセンサ値を検出するための車体加速度センサSE6が電気的に接続されている。一方、ブレーキ用ECU60の出力側インターフェースには、ブレーキアクチュエータ40を構成する各弁44,45a,45d,46a,46d及びモータ48などが電気的に接続されている。
なお、車体加速度センサSE6からは、車両が加速する場合には車両の重心が後方に移動するためにGセンサ値が負の値となるような信号が出力される一方、車両が減速する場合には車両の重心が前方に移動するためにGセンサ値が正の値となるような信号が出力される。そのため、Gセンサ値は、車両が登坂路で停車中には負の値となる一方、車両が降坂路で停車中である場合には正の値となる。
また、ブレーキ用ECU60は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有している。ROMには、各種制御処理、各種マップ及び各種閾値などが予め記憶されている。また、RAMには、車両の図示しないイグニッションスイッチがオンである間、適宜書き換えられる各種の情報などが記憶される。なお、ブレーキ用ECU60は、車載の他のECU13,23とバス61を介して通信可能となっている。
本実施形態の制動装置30は、運転手による今回のブレーキペダル31の踏込み操作が緊急制動操作である場合には、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力の増大を補助(アシスト)する。しかし、本実施形態の制動装置30には、運転手によるブレーキペダル31の踏込み操作時の操作量(以下、「ブレーキ操作量」ともいう。)を直接的に検出するためのセンサ(例えば、MC圧を検出するための圧力センサ)が設けられていない。そのため、本実施形態では、上記圧力センサの代わりに、車輪速度センサSE2〜SE5と車体加速度センサSE6とを用いて、運転手による今回のブレーキペダル31の踏込み操作が緊急制動操作であるか否かが判定される。
そこで次に、車輪速度センサSE2〜SE5及び車体加速度センサSE6を用いた制動制御方法について、図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。
図3(a)(c)に示すように、第1のタイミングt1で運転手がブレーキペダル31の踏込み操作を開始すると、マスタシリンダ321内のMC圧が増圧され始める。こうしたMC圧の増圧に追随するように、各ホイールシリンダ内のWC圧が増圧し始める。すると、各車輪FR,FL,RR,RLにはWC圧に応じた大きさの制動力が付与され、図3(a)に示すように、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWが急激に減速される。このように車輪速度VWが減速されると、車両の車体速度VSの減速が開始される。
その結果、図3(b)に示すように、各車輪速度センサSE2〜SE5のうち少なくとも一つのセンサを用いて演算される車体減速度(第1の推定車体減速度)DVが上昇し始める。また、車体減速度DVの上昇に少し遅れて、車体加速度センサSE6を用いて演算されるGセンサ値(第2の推定車体減速度)Gが上昇し始める。車輪速度センサSE2〜SE5は、車輪FR,FL,RR,RLに近い位置に配置されるのに対し、車体加速度センサSE6は、車輪速度センサSE2〜SE5よりも車輪FR,FL,RR,RLから離間した位置に配置される。具体的には、車体加速度センサSE6は、車両のサスペンションで支持される車体に設置されている。そのため、車輪FR,FL,RR,RLに制動力が付与された場合、Gセンサ値Gは、車体減速度DVよりも遅れて変動し始める。
そして、車体減速度DVが制動判定値KDV_Brkを超えた第2のタイミングt2からの経過時間が第1の基準経過時間TDVstを経過する前に、車体減速度DVが、制動判定値KDV_Brkよりも大きな値に設定された第1の減速判定値DV_stを超えると、第1の開始判定条件が成立する(第3のタイミングt3)。続いて、第3のタイミングt3からの経過時間が第2の基準経過時間TGst(例えば、102ミリ秒)を経過する前に、Gセンサ値Gが第2の減速判定値G_stを超えた場合には、第2の開始判定条件が成立する(第4のタイミングt4)。このように第1及び第2の各開始判定条件が成立することで、運転手による今回のブレーキペダル31の踏込み操作は、緊急制動操作であると判定される。
その結果、図3(d)に示すように、補助制御条件成立フラグFLG2がオフからオンにセットされ、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力の増大を補助するための補助制御(「ブレーキアシスト制御」や「BA制御」ともいう。)が開始される。なお、補助制御条件成立フラグFLG2は、補助制御の開始条件が成立してから補助制御の終了条件が成立するまでの間、オンにセットされるフラグである。
補助制御は、図3(c)に示すように、ホイールシリンダ内のWC圧を増圧させて車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を増大させる増大制御と、WC圧を保圧させて車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を保持させる保持制御とを有している。増大制御では、リニア電磁弁44及びポンプ49(モータ48)が作動される(図2参照)。そして、予め設定された増大所要時間の間、増大制御が行われると、保持制御に移行する。この保持制御では、ポンプ49が停止され、リニア電磁弁44の作動によってホイールシリンダ内のWC圧が保圧される。ただし、ホイールシリンダ内のWC圧は、運転手によるブレーキペダル31の踏込み操作量が変動した場合、その変動に応じて増減される。
その後、ブレーキペダル31の踏込み操作量が少なくなったり、ブレーキペダル31の踏込み操作が解消されたりし、補助制御の終了条件が成立すると、補助制御条件成立フラグFLG2がオフとなり、補助制御が終了される。すなわち、リニア電磁弁44への給電が停止され、各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力が減少される。
ところで、上述した制動制御方法には、以下に示す問題点がある。すなわち、運転手によるブレーキ操作量、即ち運転手が要求する車両の減速度と車両の実際の減速度とは、常に一定の対応関係を示しているわけではない。例えば、図4に示すように、Gセンサ値Gを第1の値G1とするためには、車両の積載量が多い場合には積載量が少ない場合よりも、ブレーキ操作量を多くする必要がある。
なお、本実施形態の「車両の積載量」とは、車両に積載された荷物の積載量及び車両に搭乗した乗員に基づく重量とを少なくとも含んだ重量である。そして、自車両がトレーラを牽引している場合、トレーラの重量及びトレーラに積載される荷物の積載量も「車両の積載量」に含まれる。また、「軽積時重量」とは一名乗車時における車両重量であり、「最大積載時重量」とは定員数乗車かつ積載量最大時における車両重量である。
また、ブレーキ操作量と車両の実際の減速度との対応関係は、ブレーキ機構55a〜55dの状態によっても変動し得る。例えば、ホイールシリンダ内のWC圧が一定であっても、パッド71の温度によって、車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力の大きさが異なる。これは、パッド71をロータ70に押し付ける力(即ち、WC圧)が一定であっても、パッド71とロータ70との間に発生する摩擦力がパッド71の温度によって異なるためである。その結果、図5に示すように、Gセンサ値Gを第2の値G2とするためには、パッド71の温度が高温であったり低温であったりする場合にはパッド71の温度が通常の温度(例えば、60℃)である場合よりも、ブレーキ操作量を多くする必要がある。
そのため、第2の減速判定値G_stが一定である場合、第2の開始判定条件の成立しやすさが変化し、補助制御の開始タイミングにばらつきが生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、車両の積載量やパッド71の温度に応じた値に第2の減速判定値G_stを変更することにより、補助制御の開始タイミングのばらつきの抑制を図っている。
次に、補助制御の開始タイミングのばらつきを抑えるために必要な各種マップについて説明する。
まず始めに、車両重量を推定するためのマップについて図6を参照して説明する。なお、ここでいう「車両重量」とは、車体の重量と積載量とを含んだ重量である。
図6に示すマップにおいて、横軸はブレーキペダル31が操作されていない状態でのエンジン回転数と自動変速機21のギア比とから演算される駆動力EFXであり、縦軸は車体減速度DVに「−1」を掛け合わせた車体加速度である。このマップ上には、図6に示すように、車両重量Vmassに応じた複数の対応線が示されている。図6では、一例として、車両重量Vmassが軽積時重量Vmass_minであるときの対応線、車両重量Vmassが中程度の積載時の車両重量Vmass_midであるときの対応線、及び車両重量Vmassが最大積載時重量Vmass_maxであるときの対応線が描かれている。
図6から明らかなように、駆動力EFXが一定であっても、車体加速度は、車両重量Vmassが軽積時重量Vmass_minである場合に最も大きくなり、車両重量Vmassが中程度の積載時の車両重量Vmass_midである場合に2番目に大きくなり、車両重量Vmassが最大積載時重量Vmass_maxである場合に最も小さくなる。そして、本実施形態では、その時点の駆動力EFXと車体加速度との関係から、車両重量Vmassが、軽積時重量Vmass_minと最大積載時重量Vmass_maxとの間の値に設定される。
次に、車両の積載量に基づき第2の減速判定値G_stを補正する際に用いられる積載補正値Gmassを設定するためのマップについて、図7を参照して説明する。
図7に示すマップにおいて、横軸は車両の積載量MGmassであり、縦軸は積載補正値Gmassである。「車両の積載量MGmass」は、その時点の車両重量Vmassから軽積時重量Vmass_minを減算した値である。図7に示すように、積載量MGmassが「0(零)」以上であって且つ第1の積載量MGmass1(例えば、10kg)未満である場合、積載補正値Gmassは「0(零)」に設定される。また、積載量MGmassが第1の積載量MGmass1よりも大きい第2の積載量MGmass2(例えば、200kg)以上である場合、積載補正値Gmassは、「0(零)」未満の値に予め設定された第1の積載補正値KGmass1(例えば、−0.2G)に設定される。そして、積載量MGmassが第1の積載量MGmass1以上であって且つ第2の積載量MGmass2未満である場合、積載補正値Gmassは、積載量MGmassが大きいほど小さな値に設定される。
次に、パッド71の温度に基づき第2の減速判定値G_stを補正する際に用いられるパッド補正値Gpadを設定するためのマップについて、図8を参照して説明する。
図8に示すマップにおいて、横軸はその時点のパッド71の温度推定値Ptempからパッド71の適正温度Ptemp_norm(例えば、60°)を減算した値の絶対値である温度差分であり、縦軸はパッド補正値Gpadである。「適正温度Ptemp_norm」とは、パッド71とロータ70との間で発生可能な摩擦力を最大とすることができる場合のパッド71の温度である。図8に示すように、温度差分が第1の温度差分PGpad1(例えば、200℃)未満である場合、パッド補正値Gpadは「0(零)」に設定される。すなわち、本実施形態では、温度差分が第1の温度差分PGpad1未満であるときに、パッド71の温度が所定の温度範囲に含まれると判断される。また、温度差分が第1の温度差分PGpad1よりも大きい第2の温度差分PGpad2(例えば、250℃)以上である場合、パッド補正値Gpadは、「0(零)」未満の値に予め設定された第1のパッド補正値KGpad1(例えば、−0.2G)に設定される。そして、温度差分が第1の温度差分PGpad1以上であって且つ第2の温度差分PGpad2未満である場合、パッド補正値Gpadは、温度差分が大きくなるほど小さな値に設定される。
そして次に、本実施形態のブレーキ用ECU60が実行する各種制御処理ルーチンについて、図9〜図13に示すフローチャートを参照して説明する。
始めに、ブレーキ用ECU60が主に実行する制動制御処理ルーチンについて、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
制動制御処理ルーチンは、予め設定された所定時間毎(例えば、6ミリ秒毎)に実行される。そして、制動制御処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU60は、補助制御を行う際に必要な各種情報を取得する情報取得処理を行う(ステップS10)。続いて、ブレーキ用ECU60は、補助制御の開始条件が成立したか否かを判定するBA開始判定処理を行い(ステップS11)、補助制御の開始条件が成立した場合に補助制御を行うBA処理を行う(ステップS12)。そして、ブレーキ用ECU60は、補助制御の終了条件が成立したか否かを判定し、終了条件が成立した場合には補助制御を終了させるBA終了判定処理を行い(ステップS13)、制動制御処理ルーチンを一旦終了する。
次に、上記ステップS10の情報取得処理ルーチンについて、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
情報取得処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU60は、各車輪速度センサSE2〜SE5からの検出信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを演算する(ステップS20)。続いて、ブレーキ用ECU60は、演算した各車輪FR,RL,RR,RLの車輪速度VWのうち少なくとも一つの車輪速度に基づき、車両の車体速度VSを演算する(ステップS21)。例えば、ブレーキ用ECU60は、非制動時には従動輪である後輪RR,RLの車輪速度VWに基づき車体速度VSを演算し、制動時には駆動輪である前輪FR,FLを含めた全ての車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWに基づき車体速度VSを演算する。そして、ブレーキ用ECU60は、演算した車体速度VSに基づき車両の車体減速度DVを演算する(ステップS22)。例えば、ステップS22では、車体速度VSを時間微分し、該演算結果に基づき車体減速度DVが求められる。なお、車体減速度DVは、車両の減速時に正の値となり、加速時に負の値となる。
ブレーキ用ECU60は、車体加速度センサSE6からの検出信号に基づきGセンサ値Gを演算する(ステップS23)。そして、ブレーキ用ECU60は、所定の演算許可条件の成立時に、その時点の駆動力EFXと車体加速度(=車体減速度DV×(−1))とに応じた車両重量Vmassを、図6に示すマップを用いて求める(ステップS24)。なお、演算許可条件としては、非制動時であること、車両が加速中であること、及び車両の走行する路面が坂路ではないことが含まれる。
ステップS25において、ブレーキ用ECU60は、車両の外気温Toutを他のECUから取得する。そして、ブレーキ用ECU60は、ステップS23で演算したGセンサ値Gを以下に示す関係式(式1)に代入することにより、現時点のパッド71の温度推定値Ptempを求める(ステップS26)。その後、ブレーキ用ECU60は、情報取得処理ルーチンを終了する。

なお、関係式(式1)における「Ptemp(n)」は現時点の温度推定値であり、「Ptemp(n−1)」は前回のタイミングで求めた温度推定値である。また、「Kup」は温度上昇係数であり、「Kdw」は冷却項である。この冷却項Kdwは、外気温Toutが低温である場合には、高温である場合よりも大きな値に設定される。そのため、温度推定値Ptempは、車両に発生している減速度の絶対値が大きいほど高温となり、外気温Toutが低温であるほど低温となる。
次に、上記ステップS11のBA開始判定処理ルーチンについて、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
BA開始判定処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU60は、ステップS24で取得した車両の車両重量Vmass(即ち、車両の積載量MGmass)に応じた積載補正値Gmassを、図7に示すマップを用いて求める(ステップS30)。続いて、ブレーキ用ECU60は、ステップS26で演算したパッド71の温度推定値Ptempに応じたパッド補正値Gpadを、図8に示すマップを用いて求める(ステップS31)。
そして、ブレーキ用ECU60は、第1の減速判定値DV_stを設定する(ステップS32)。続いて、ブレーキ用ECU60は、予め設定された基本値KGst(例えば、0.3G)にステップS30,S31で設定した積載補正値Gmass及びパッド補正値Gpadを加算し、該加算結果を第2の減速判定値G_stとする(ステップS33)。なお、基本値KGstは、補助制御が実行されていない間での運転手によるブレーキ操作量が少なくなったかの判断基準として予め設定された値である。また、基本値KGstに各補正値Gmass,Gpadを加算した加算結果が予め設定された最小値(例えば、0.2G)未満になる場合、第2の減速判定値G_stを最小値に設定してもよい。
本実施形態では、運転手によるブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さいと判定できない場合には、各補正値Gmass,Gpadが共に「0(零)」であるため、第2の減速判定値G_stが基本値KGstに設定される。その一方で、運転手によるブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さいと判定できる場合には、各補正値Gmass,Gpadの少なくとも一方が「0(零)」未満に設定されているため、第2の減速判定値G_stが基本値KGstよりも小さい値に設定される。すなわち、車両の積載量MGmassが多い場合には、積載量MGmassが少ない場合よりも、第2の減速判定値G_stが小さな値に補正される。また、ブレーキ操作量に対して車輪FR,FL,RR,RLに付与できる制動力が小さい場合、即ちパッド71の温度が所定の温度範囲に含まれない場合には、ブレーキ操作量に対して車輪FR,FL,RR,RLに付与できる制動力が小さくない場合、即ちパッド71の温度が所定の温度範囲に含まれる場合よりも、第2の減速判定値G_stが小さな値に補正される。したがって、本実施形態では、ステップS30,S31,S33により、ブレーキペダル31の操作量に対する車両の減速度が小さいと判定した場合には、ブレーキペダル31の操作量に対する車両の減速度が小さいと判定していない場合よりも、第2の減速判定値G_stを小さく補正させる補正ステップが構成される。
続いて、ブレーキ用ECU60は、ステップS22で演算した車体減速度DVが上記制動判定値KDV_Brk(図3参照)を超えたか否かを判定する(ステップS34)。車体減速度DVが制動判定値KDV_Brk以下である場合(ステップS34:NO)、ブレーキ用ECU60は、第1判定用タイマT1及び第2判定用タイマT2を「0(零)」に設定すると共に、第1条件成立フラグFLG1をオフにセットする(ステップS35)。その後、ブレーキ用ECU60は、その処理を後述するステップS43に移行する。
一方、車体減速度DVが制動判定値KDV_Brkを超えた場合(ステップS34:YES)、ブレーキ用ECU60は、第1判定用タイマT1を「1」だけインクリメントする(ステップS36)。この第1判定用タイマT1は、車体減速度DVが制動判定値KDV_Brkを超えてからの経過時間に相当する。続いて、ブレーキ用ECU60は、以下に示す2つの条件が全て成立したか否かを判定する(ステップS37)。
(第1の条件)車体減速度DVが第1の減速判定値DV_stを超えること。
(第2の条件)第1判定用タイマT1が経過時間判定値KT1(例えば、10)以下であること。
なお、第2の条件は、車体減速度DVが制動判定値KDV_Brkを超えてからの経過時間が上記第1の基準経過時間TDVst(図3参照)以下であることと言い換えてもよい。つまり、第1の基準経過時間TDVstは、経過時間判定値KT1に所定時間(例えば、6ミリ秒)を乗算した値である。
第1及び第2の各条件が全て成立する場合(ステップS37:YES)、ブレーキ用ECU60は、第1条件成立フラグFLG1をオンにセットし(ステップS38)、その処理を後述するステップS40に移行する。一方、第1及び第2の各条件の少なくとも1つが非成立である場合(ステップS37:NO)、ブレーキ用ECU60は、第1条件成立フラグFLG1がオンであるか否かを判定する(ステップS39)。第1条件成立フラグFLG1がオフである場合(ステップS39:NO)、ブレーキ用ECU60は、その処理を後述するステップS43に移行する。一方、第1条件成立フラグFLG1がオンである場合(ステップS39:YES)、ブレーキ用ECU60は、その処理を次のステップS40に移行する。
ステップS40において、ブレーキ用ECU60は、第2判定用タイマT2を「1」だけインクリメントする。この第2判定用タイマT2は、第1条件成立フラグFLG1がオンになってからの経過時間に相当する。続いて、ブレーキ用ECU60は、以下に示す2つの条件が全て成立したか否かを判定する(ステップS41)。
(第3の条件)Gセンサ値Gが第2の減速判定値G_stを超えること。
(第4の条件)第2判定用タイマT2が、規定待ち時間KT_w(例えば、8)よりも大きく且つ開始時間判断基準値KT2(例えば、17)以下であること。
なお、開始時間判断基準値KT2は、上記第2の基準経過時間TGst(図3参照)に相当する値である。すなわち、第2の基準経過時間TGstは、開始時間判断基準値KT2に所定時間(例えば、6ミリ秒)を乗算した値である。
そして、第3及び第4の各条件の少なくとも一つが非成立である場合(ステップS41:NO)、ブレーキ用ECU60は、後述するステップS43に移行する。一方、第3及び第4の各条件が全て成立する場合(ステップS41:YES)、補助制御を実行する必要性があると判断できるため、ブレーキ用ECU60は、補助制御の開始条件が成立したことを示す補助制御条件成立フラグFLG2をオンにセットする(ステップS42)。その後、ブレーキ用ECU60は、BA開始判定処理ルーチンを終了する。
ステップS43において、ブレーキ用ECU60は、補助制御条件成立フラグFLG2をオフにセットし、その後、BA開始判定処理ルーチンを終了する。
次に、上記ステップS12のBA処理ルーチンについて、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
BA処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU60は、補助制御条件成立フラグFLG2がオンであるか否かを判定する(ステップS50)。補助制御条件成立フラグFLG2がオフである場合(ステップS50:NO)、ブレーキ用ECU60は、補助制御を行なわずにBA処理ルーチンを終了する。一方、補助制御条件成立フラグFLG2がオンである場合(ステップS50:YES)、ブレーキ用ECU60は、増大完了フラグFLG3がオフであるか否かを判定する(ステップS51)。増大完了フラグFLG3がオンである場合(ステップS51:NO)、増大制御が完了したと判断できるため、ブレーキ用ECU60は、その処理を後述するステップS59に移行する。
一方、増大完了フラグFLG3がオフである場合(ステップS51:YES)、ブレーキ用ECU60は、第3判定用タイマT3を「1」だけインクリメントする(ステップS52)。続いて、ブレーキ用ECU60は、積載補正値Gmass及びパッド補正値Gpadが共に「0(零)」であるか否かを判定する(ステップS53)。各補正値Gmass,Gpadが共に「0(零)」である場合(ステップS53:YES)、ブレーキ用ECU60は、第1増大制御を行う(ステップS54)。この第1増大制御は、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を第1の増大速度、即ち通常の速度で増大させる制御である。そして、ブレーキ用ECU60は、第3判定用タイマT3が第1判定時間TBA1th以上であるか否かを判定する(ステップS55)。第1判定時間TBA1thは、補助制御によって制動力を増大させる増大所要時間に相当する。
第3判定用タイマT3が第1判定時間TBA1th未満である場合(ステップS55:NO)、ブレーキ用ECU60は、第1増大制御を継続させるためにBA処理ルーチンを終了する。一方、第3判定用タイマT3が第1判定時間TBA1th以上である場合(ステップS55:YES)、ブレーキ用ECU60は、増大制御が完了したことを示す増大完了フラグFLG3をオンにセットし(ステップS56)、その処理を後述するステップS59に移行する。
その一方で、各補正値Gmass,Gpadの少なくとも一つが「0(零)」ではない場合(ステップS53:NO)、ブレーキ用ECU60は、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力の増大速度が上記第1の増大速度よりも速い第2の増大速度に設定された第2増大制御を行う(ステップS57)。例えば、第2の増大速度は、第1の増大速度の2倍程度である。なお、第2の増大制御では、第1の増大制御時と比較して、ポンプ49の作動速度を速くさせてもよいし、リニア電磁弁44の弁体の移動速度を速くさせてもよい。
そして、ブレーキ用ECU60は、第3判定用タイマT3が第2判定時間TBA2th以上であるか否かを判定する(ステップS58)。例えば、第2判定時間TBA2thは、第1判定時間TBA1thの半分程度である。こうした第2判定時間TBA2thは、第2の増大制御の実行時における増大所要時間に相当する。第3判定用タイマT3が第2判定時間TBA2th未満である場合(ステップS58:NO)、ブレーキ用ECU60は、第2増大制御を継続させるためにBA処理ルーチンを終了する。一方、第3判定用タイマT3が第2判定時間TBA2th以上である場合(ステップS58:YES)、ブレーキ用ECU60は、その処理を前述したステップS56に移行する。
ステップS59において、ブレーキ用ECU60は、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を保持させる保持制御を行う。その後、ブレーキ用ECU60は、BA処理ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では、ステップS51〜S59により、補助ステップが構成される。
次に、上記ステップS13のBA終了判定処理ルーチンについて、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
BA終了判定処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU60は、上記補助制御条件成立フラグFLG2がオンであるか否かを判定する(ステップS70)。補助制御条件成立フラグFLG2がオンである場合(ステップS70:YES)、ブレーキ用ECU60は、ステップS23で演算したGセンサ値Gが、ステップS33で設定した第2の減速判定値G_st未満であるか否かを判定する(ステップS71)。
Gセンサ値Gが第2の減速判定値G_st以上である場合(ステップS71:NO)、ブレーキ用ECU60は、BA終了判定処理ルーチンを終了する。一方、Gセンサ値Gが第2の減速判定値G_st未満である場合(ステップS71:YES)、ブレーキ用ECU60は、補助制御の終了条件が成立したと判断する。そして、ブレーキ用ECU60は、補助制御条件成立フラグFLG2及び増大完了フラグFLG3をオフにセットし(ステップS72)、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を減少させる減少制御を行う(ステップS73)。その後、ブレーキ用ECU60は、BA終了判定処理ルーチンを終了する。
その一方で、補助制御条件成立フラグFLG2がオフである場合(ステップS70:NO)、ブレーキ用ECU60は、BA終了判定処理ルーチンを終了する。
次に、運転手が緊急制動操作を行った場合における車両の動作について、図14に示すタイミングチャートを参照して説明する。前提として、車両の積載量MGmassが多かったり、パッド71の温度が高温になったりし、ブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さい状態であるものとする。また、以降の記載において、「ブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さい状態」のことを、「ブレーキの効きがよくない状態」ともいう。
図14(a)(c)に示すように、第1のタイミングt11での運転手によるブレーキ操作の開始によってマスタシリンダ321内のMC圧が増圧され始めると、MC圧の増圧に追随するようにホイールシリンダ内のWC圧が増圧し始める。すると、車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力が大きくなり、車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWが減速される。このように車輪速度VWが減速されると、車両の車体速度VSが減速し始める。
そして、図14(b)に示すように、第2のタイミングt12で車体減速度DVが制動判定値KDV_Brkを超え、第2のタイミングt12から第1の基準経過時間TDVstを経過する前の第3のタイミングt13で車体減速度DVが第1の減速判定値DV_stを超える。そして、この第3のタイミングt13から第2の基準経過時間TGstを経過するまでの間に、Gセンサ値Gが第2の減速判定値G_stを超えると、運転手による今回のブレーキペダル31の踏込み操作が緊急制動操作であると判定され、補助制御が開始されることになる。
しかし、従来のように第2の減速判定値G_stを小さな値に補正しないと、即ち第2の減速判定値G_stが基本値KGstのままであると、第3のタイミングt13から第2の基準経過時間TGstが経過した時点である第5のタイミングt15となっても、Gセンサ値Gが基本値KGstを超えていない可能性がある。この場合、運転手は緊急制動操作を行ったつもりであっても、補助制御が開始されない。
この点、本実施形態では、車両の積載量MGmass及びパッド71の温度推定値Ptempの少なくとも一方に基づき、第2の減速判定値G_stは、基本値KGstよりも小さくなるように補正される。そのため、第3のタイミングt13から第2の基準経過時間TGstを経過する前の第4のタイミングt14で、Gセンサ値Gが第2の減速判定値G_stを超える。その結果、図14(c)(d)に示すように、補助制御条件成立フラグFLG2がオフからオンにセットされ、補助制御が開始される。
しかも、この場合、第2の減速判定値G_stは基本値KGstよりも小さな値に設定されているため、補助制御の増大制御時には、第1増大制御ではなく第2増大制御が行われる。その結果、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力が速やかに増大される。
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)運転手によるブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さい場合には、ブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さくない場合よりも、第2の減速判定値G_stが小さい値に補正される、即ちGセンサ値Gが小さいタイミングで補助制御が開始される。これにより、ブレーキ操作量と車両の減速度との対応関係に起因した補助制御の開始タイミングのばらつきが抑制される。そのため、緊急制動操作された場合には、適切なタイミングで補助制御を開始させることができる。
(2)ブレーキ操作量が一定であっても、車両の積載量MGmassが多い場合には、積載量MGmassが少ない場合よりも車両の減速度が小さくなる。そこで、本実施形態では、車両の積載量MGmassが多い場合には、車両の積載量MGmassが少ない場合よりもGセンサ値Gが小さいタイミングで補助制御が開始されるようになる。これにより、車両の積載量MGmassが大きいためにGセンサ値Gが変化しにくい状況であっても、運転手が緊急制動操作を行ったときには、適切なタイミングで補助制御を開始させることができる。
(3)車輪FR,FL,RR,RLに設けられたブレーキ機構55a〜55dの状態によっては、ブレーキ操作量が一定であっても車両の減速度にばらつきが生じることがある。例えば、パッド71の温度が温度範囲に含まれない場合、ブレーキ操作量が一定であっても、パッド71の温度が温度範囲に含まれる場合よりも車輪FR,FL,RR,RLに付与できる制動力が小さくなる。そこで、本実施形態では、パッド71の温度推定値Ptempが温度範囲に含まれない場合には、温度推定値Ptempが温度範囲に含まれる場合よりも、Gセンサ値Gが小さいタイミングで補助制御が開始されるようになる。これにより、パッド71の温度推定値Ptempが高温であったり低温であったりするためにGセンサ値Gが変化しにくい状況であっても、運転手が緊急制動操作を行ったときには、適切なタイミングで補助制御を開始させることができる。
(4)第2の減速判定値G_stが小さい値に補正される場合とは、ブレーキ操作量に対する車両の減速度が小さい場合と考えられる。そこで、本実施形態では、第2の減速判定値G_stが小さい値に補正された状態で補助制御を行う場合には、第2の減速判定値G_stを補正しない状態で補助制御を行う場合よりも、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力の増大速度が速くなる。その結果、もし緊急制動操作であるとの判定が遅れたとしても、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を速やかに増大させることができる。
(5)車体減速度DVは、車体速度VSを時間微分した値であり、運転手が要求する車両の減速度に近い値である。これに対し、Gセンサ値Gは、車体に取り付けられた車体加速度センサSE6からの検出信号に基づいた値であり、車両の実際の減速度に近い値となる。そのため、車両の積載量MGmassが多かったり、パッド71の温度が温度範囲を含まれなかったりして「ブレーキの効き」がよくない場合の影響は、車体減速度DVよりもGセンサ値Gのほうが大きく受ける。そこで、本実施形態では、車両の積載量MGmass及びパッド71の温度推定値Ptempに基づき、Gセンサ値G用の判定値である第2の減速判定値G_stが補正される。そのため、車両の積載量MGmassが多かったり、パッド71の温度が温度範囲を含まれなかったりする場合であっても、緊急制動操作であるか否かの判定精度を向上させることができる。
なお、上記実施形態を以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・第2の減速判定値G_stを基本値KGstよりも小さな値に補正した場合であっても、補助制御時における車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力の第2の増大速度を、第1の増大速度よりも高速に設定するのであれば、第1の増大速度のN倍(Nは1よりも大きく且つ2以外の値)に設定してもよい。
・また、ステップS53の判定処理を省略してもよい。この場合、補正値Gmass,Gpadの少なくとも一方が「0(零)」ではない場合であっても、第1増大制御が行われることになる。
・車両の積載量MGmassに基づき第2の減速判定値G_stを補正するのであれば、パッド71の温度推定値Ptempに基づいた第2の減速判定値G_stの補正を行わなくてもよい。
・自動変速機21の出力軸の回転数を検出できるセンサが車両に設けられている場合には、上記の駆動力EFXの代わりに、このセンサからの検出信号に基づき検出された回転数を用いて車両重量Vmassを推定するようにしてもよい。
・パッド71の温度推定値Ptempに基づき第2の減速判定値G_stを補正するのであれば、車両の積載量MGmassに基づいた第2の減速判定値G_stの補正を行わなくてもよい。
・車両重量Vmassを、上記実施形態で説明した方法以外の他の任意の方法で取得してもよい。
例えば、非制動時に取得された複数の車両重量の平均値を、車両重量Vmassとしてもよい。
また、車両の中には、車内に搭乗した乗員の人数を検出するための検出センサを設けた車両がある。こうした車両では、検出センサからの検出信号に基づき乗員の人数を取得し、該人数に基づき車両重量Vmassを推定するようにしてもよい。
・「ブレーキの効き」のよいときとよくないときとの差は、Gセンサ値Gほどではなくても、車体減速度DVでも生じる。そのため、第1の減速判定値DV_stを、車両の積載量MGmass及びパッド71の温度推定値Ptempの少なくとも一方に基づき補正してもよい。この場合であっても、「ブレーキの効き」がよくないときでは、第1の減速判定値DV_stは、基本値よりも小さな値に補正される。その結果、「ブレーキの効き」がよくないときであっても、補助制御を適切なタイミングで開始させることが可能となる。
・車両は、後輪RR,RLが駆動輪となる後輪駆動車であってもよいし、全ての車輪FR,FL,RR,RLが駆動輪となる四輪駆動車であってもよい。
・制動機構は、車輪FR,FL,RR,RLと一体回転する回転体としてのドラムと、ドラムの摺接面に対して接近する方向及び離れる方向に移動可能な摩擦材としてのシューとを備えた、いわゆるドラム式の制動機構であってもよい。
・車両の動力源は、電動機であってもよい。
・本発明を、マスタシリンダ321内のMC圧を検出するための圧力センサを設けた車両の制動制御装置に具体化してもよい。そして、図9に示す制動制御処理を、上記圧力センサが故障した際に実行するようにしてもよい。
31…ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル、55a〜55d…ブレーキ機構、60…制動制御装置としてのブレーキ用ECU、70…回転体としてのロータ、71…摩擦材としてのパッド、DV…第1の推定車体減速度としての車体減速度、DV_st…第1の減速判定値、FR,FL,RR,RL…車輪、G…第2の推定車体減速度としてのGセンサ値、G_st…第2の減速判定値、MGmass…積載量、Ptemp…温度推定値、SE2〜SE5…車輪速度センサ、SE6…車体加速度センサ。

Claims (3)

  1. ブレーキ操作部材(31)の操作量を直接的に検出するセンサを用いない一方で、車載の車輪速度センサ(SE2〜SE5)及び車体加速度センサ(SE6)を用いることで、緊急制動操作が行われているか否かを判定する機能を有する車両の制動制御装置であって、
    前記車輪速度センサ(SE2〜SE5)を用いて演算された車両の第1の推定車体減速度(DV)が制動判定値(KDV_Brk)を超えた時点からの経過時間が第1の基準経過時間(TDVst)を経過する前に、第1の推定車体減速度(DV)が、前記制動判定値(KDV_Brk)よりも大きい第1の減速判定値(DV_st)を超えること(S37:YES)と、第1の推定車体減速度(DV)が前記第1の減速判定値(DV_st)を超えた時点からの経過時間が第2の基準経過時間(TGst)を経過する前に、前記車体加速度センサ(SE6)を用いて演算された車両の第2の推定車体減速度(G)が第2の減速判定値(G_st)を超えること(S41:YES)とが成立したときに、運転者による今回のブレーキ操作が緊急制動操作であると判定できるため、運転手によるブレーキ操作に基づき車輪(FR,FL,RR,RL)に付与される制動力の増大を補助するための補助制御(S51〜S59)を開始する車両の制動制御装置において、
    前記制動制御装置が、運転者による今回のブレーキ操作が緊急制動操作であると判定していない状況で、車両の積載量(MGmass)が多い場合には、前記第2の減速判定値(G_st)を、積載量(MGmass)が少ない場合よりも小さくする(S30,S33)
    ことを特徴とする車両の制動制御装置。
  2. ブレーキ操作部材(31)の操作量を直接的に検出するセンサを用いない一方で、車載の車輪速度センサ(SE2〜SE5)及び車体加速度センサ(SE6)を用いることで、緊急制動操作が行われているか否かを判定する機能を有する車両の制動制御装置であって、
    前記車輪速度センサ(SE2〜SE5)を用いて演算された車両の第1の推定車体減速度(DV)が制動判定値(KDV_Brk)を超えた時点からの経過時間が第1の基準経過時間(TDVst)を経過する前に、第1の推定車体減速度(DV)が、前記制動判定値(KDV_Brk)よりも大きい第1の減速判定値(DV_st)を超えること(S37:YES)と、第1の推定車体減速度(DV)が前記第1の減速判定値(DV_st)を超えた時点からの経過時間が第2の基準経過時間(TGst)を経過する前に、前記車体加速度センサ(SE6)を用いて演算された車両の第2の推定車体減速度(G)が第2の減速判定値(G_st)を超えること(S41:YES)とが成立したときに、運転者による今回のブレーキ操作が緊急制動操作であると判定できるため、運転手によるブレーキ操作に基づき車輪(FR,FL,RR,RL)に付与される制動力の増大を補助するための補助制御(S51〜S59)を開始する車両の制動制御装置において、
    車両には、車輪(FR,FL,RR,RL)と一体回転する回転体(70)と、該回転体(70)に対して接近する方向及び離れる方向に相対移動する摩擦材(71)とを有するブレーキ機構(55a〜55d)が設けられてなり、前記ブレーキ機構(55a〜55d)は、前記ブレーキ操作部材(31)が操作された場合に前記摩擦材(71)を前記回転体(70)に押し付けることで前記車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与するようになっており、
    前記制動制御装置が、運転者による今回のブレーキ操作が緊急制動操作であると判定していない状況で、前記摩擦材(71)の推定温度(Ptemp)が所定の温度範囲に含まれない場合には、前記第2の減速判定値(G_st)を、前記推定温度(Ptemp)が前記温度範囲に含まれる場合よりも小さくする(S31,S33)
    ことを特徴とする車両の制動制御装置。
  3. 前記補助制御では、前記補助制御の開始条件が成立した時点での前記第2の減速判定値(G_st)が小さい場合には、前記補助制御の開始条件が成立した時点での前記第2の減速判定値(G_st)が大きい場合よりも、車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力の増大速度を速くする(S57)
    請求項1又は請求項2に記載の車両の制動制御装置
JP2012044002A 2012-02-29 2012-02-29 車両の制動制御装置 Expired - Fee Related JP6127364B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012044002A JP6127364B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 車両の制動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012044002A JP6127364B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 車両の制動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013180600A JP2013180600A (ja) 2013-09-12
JP6127364B2 true JP6127364B2 (ja) 2017-05-17

Family

ID=49271590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012044002A Expired - Fee Related JP6127364B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 車両の制動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6127364B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3246204B2 (ja) * 1994-07-25 2002-01-15 トヨタ自動車株式会社 車両の自動制動装置
JP3747574B2 (ja) * 1997-06-18 2006-02-22 日産自動車株式会社 ブレーキアシスト制御装置
JP2000108879A (ja) * 1998-09-30 2000-04-18 Fuji Heavy Ind Ltd 自動車のブレーキ装置
JP2001088668A (ja) * 1999-09-21 2001-04-03 Aisin Seiki Co Ltd ブレーキ制御装置
JP2007196705A (ja) * 2006-01-23 2007-08-09 Toyota Motor Corp 車両用制動制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013180600A (ja) 2013-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8382642B2 (en) Vehicle control apparatus
JP5302749B2 (ja) 電気自動車の制御装置
US9434364B2 (en) Braking control device for vehicle and braking control method for vehicle
JP5569550B2 (ja) 車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法
JP5471429B2 (ja) 車両の停止制御装置及び車両の停止制御方法
US9050954B2 (en) Braking control device for vehicle and braking control method for vehicle
JP5708010B2 (ja) 車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法
KR102535553B1 (ko) 전동 브레이크 장치
JP5776153B2 (ja) 車両の制御装置及び車両の制御方法
WO2011162374A1 (ja) 車両の制御装置及び車両の制御方法
JP2013035509A (ja) 車両用制動力制御装置
WO2012043530A1 (ja) 車両制御装置および車両制御方法
JP5787050B2 (ja) 車両の制御装置
JP5659580B2 (ja) 車両の制御装置及び車両の制御方法
KR101359375B1 (ko) 차량 안정성 제어 시스템의 차량 질량 추정방법
JP5810547B2 (ja) 車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法
JP2017065451A (ja) 車両の制動制御装置
JP6623952B2 (ja) 車両用制動装置
JP6127364B2 (ja) 車両の制動制御装置
JP6135406B2 (ja) 車両制御装置
JP2007326399A (ja) 制動制御装置
JP2005219580A (ja) 車両の挙動制御装置
JP6387949B2 (ja) 車両のブレーキ制御装置
JP6746839B2 (ja) 制動制御装置
JP4501274B2 (ja) 自動ブレーキ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170327

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6127364

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees